ボルトアクションライフルについて - 銃について

1999年12月25日 築地
改訂 1999年12月29日 築地

ボルトアクションライフルは100年以上前にすでに完成されたアクションで現在では全く改良の余地がないとされています。しかしながらそれぞれのメーカーで独自の進化を遂げていますのでそれぞれのメーカーによった特徴、長所、欠点を公開します。


ウインチェスター

ウインチェスター社は長い間、M-70ボルトアクションライフルを作り続けて来ました。
余談ですがアメリカのスミソニアン博物館には世界で初めて飛行機で大西洋を果たしたリンドバーグ関係の資料がありますが、ここにリンドバーグが白熊に襲われたときのための選んだ銃、M-70が展示してあります。
M-70にはプリ64モデルとポスト64モデルがあります、これは1964年以前に作られたモデルをプリ64、それ以降のモデルをポスト64と呼んで区別しています。
製造するためにうんと手間暇をかけたプリ64モデルの評価が高いことは言うまでもありません、コストダウンの為に設計変更をしたポスト64タイフはあまり評判が良くありません、最大の違いはエキストラクターです、プリ64タイプはモーゼル98用と同じように最強の構造でした、それと比べてポスト64タイプのエキストラクターの貧弱さは多くのハンターから不評を買いました、そのため売れ行きは激減してしまいました。
そのためウインチェスター社では4年前からプリ64タイプの再生産を開始しました。
中でも、M-70スーパーグレードの品質は最高です。
当社ではスーパーグレードを¥185000で販売していたのですがすでに1999年の12月現在で、3年間入荷しておりません、どう考えてもプリ64タイプのスーパーグレードはこの値段、この価格では完全な精算割れではないかと思われます。もし、この銃が再生産、再発売されたらためらわずに "買い" でしょう。

サコー

サコーは新製品のサコー75が好調な売れ行きを示しています、発売以来全てのモデルで品不足が続いています、サコーアクションは前のモデルとすると全面的な設計変更がなされています。ごく一部の人の中には昔のサコーアクションの方が優れていると言う人もいますがこれは間違いです。
昔のアクションにはボルトの横にボルトガイトと呼ばれる横板が付いています、実はこれがサコーの決定的な欠点だったのです、通常の使用では問題ないのですが何かの拍子にこのボルトガイドが前にずれるとボルトロッキングの間に挟まりボルトを起こせなくなってしまう決定的な欠点があったのです。 
サコー75ではこれが最初から付いていませんから最大の欠点が解消されました。
命中精度は数あるボルトアクションライフルの中ではAクラスです。
エキストラクターも丈夫に作られており、薬莢の焼き付きが有ってもボルハンドルを足でけ飛ばせば排莢出来るくらい丈夫なボルトアクションライフルです。
ボルト本体は、すべて一体で作られています。
またサコー75から採用された着脱弾倉式の弾倉は好評です。
サコー75にはスチール銃身を付けたモデルと、ステンレス銃身を付けたモデルがあります、ステンレス銃身の場合付属の銃床はシンセテック(耐衝撃プラスチック)銃床を使っています、サコーのシンセテック銃床は握りの部分に薄いゴムを張ってありますので寒い外気の中で触れても従来のシンセテック銃床の様に冷たい感じはしません。

レミントン

レミントンライフルの命中精度の良さには定評があります、銃身精度は正解最高といえます、その銃がデラックスモデルでも比較的安い、¥105000の値段で手にはいるので値段的に考えれば買いやすい銃ではあります。
しかしながら、この銃の欠点はエキストラクターとボルトハンドルが弱いことです、エキストラクター非常に小さな部品で出来ており、薬莢が張り付くと排莢は困難になります。異常高圧でボルトが動かなくなった時など、ボルトハンドルをハンマーなどで叩くと簡単にボルトハンドルが取れてしまいます、これはボルトハンドがボルト本体とは別部品で、接着されているからです、ボルトのロッキングブロックの部分も別部品です。つまりレミントンのボルトは3つの部品から出来ているのです。
また銃を軽く作ると言う意味から薬室部分の肉厚があまり厚くないのでマグナム系統の弾は排莢がしにくいと言う銃も中にはあります。
レミントンの着脱式弾倉は好評を得ています。

ウエザビーライフル

実を言うと、私は30年前ウエザビー社でガンスミスとして働いていたのです。
ですからウエザビーの事は結構知り尽くしているつもりですが、昨年までは積極的には取り扱いをしておりませんでした、それは幾分改良点が残されていたからです。
弾倉の底蓋、フロアープレートのキャッチはトリッガーガードの外側のノッチで止められていますが、銃を両手で保持してボサの中を進むと、時折ボサがこのノッチにかかり蓋が開いてしますことがあります、あるいはロックが甘く成っているときは射撃の衝撃でこれが開いてしまうこともあります。
また安全装置については問題が深刻でした、新品の内は良いのですが長い間使ったり、引き金を交換したりするとファイアリングピンのロッキングの位置に変化が生じ、安全をかけた状態で引き金を引くとロッキングが外れ、その時点では弾は発射されないのですが安全を戻した時に弾が発射されると言う大問題が有りました。この安全の問題はM-70でも発生するのですがウエザビーの方が問題はより深刻でした。
しかし一昨年からウエザビーはアメリカ国内で製造されるようになり、問題部分は解決されました、フロアープレートのキャッチはトリッガーガードの内側に取り付けられ安全装置も設計変更され問題点が無くなりました、従って私はウエザビーライフルの取り扱いを開始したのです。
ウエザビーライフルのなかでもウルトラライトと言う2.6キロの超軽量ライフルを発表してからこの銃なら売れると確信を得ました。
ウエザビーのウルトラライトは非常に軽いボルトアクションライフルです。 
命中精度も問題ありません、但し銃身が細いので連続して10発以上撃つて銃身が手で触れないくらい焼けて来ると狙点に変化が生じますのであまり連続して撃たない方が良いでしょう、銃身が焼けると狙点が変わると言うのは冷間鍛造で作られた銃身の特性ですからサコーも同じように発生しますのでウエザビーだけの欠点ではありません。
ウエザビーライフルはそのフォルムの美しいのを最大の特徴としていますのでグリップもかなり細く作られています、こんな華奢な銃床で強烈なウエザビーマグナムを撃つと、グリップから銃床折れが発生しやすくなります、グリップには金属のロットが通されているのですがそれでも木取りが悪いと折れます、木銃床の300マグナム以上の銃はこの問題が常に有ることを織り込んで購入してください。

ダコタライフル

すべて注文生産のカスタムライフルです。
基本設計はウインチェスターM-70のフルコピーですが、昔のプリ64タイプと同じ作りで、なお全ての部品が削り出しで作られている点が最高のカスタムライフルと評価を得ている点でしょう、実を言うとM-70は引き金が劣悪で、これがM-70の最大の欠点でしたがダコタライフルは生き金をカスタムバレルメーカーのシーレン社に作らせているので引き金も最高もレベルの物を使っています。(ダコタでは自社製造と言っていますが)
銃床の素材もすべて特別注文です、銃身もお好みのメーカーの物を付けてくれます、勿論ツイスト、それにあらゆる口径の製造に答えてくれます。
最近ベレッタでボルトアクションライフルの販売を始めましたが、ベレッタブランドのボルトアクションライフルは、実はダコタで生産しているOEM製品なのです。

ダコタの銃身はワルサー社製ですが、リクエストをすればハート、シーレン、等セレクテットマッチグレードの銃身も取り付けてくれます。

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