[装弾の相談!]

ベンチレスト射撃大会・風を読む。


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装弾の相談!

2003年 5月26日 築地
更新 2003年 5月30日 築地
更新 2003年 6月 1日 築地


 

12番実包についてご質問いたします。
よくこの弾は、薬莢が硬いとか、柔らかいからだめだとか、言われますが何のことでしょう、又安い弾は、あまりクレーにあたらないのですか、私は今B&Pコンペと言う一番安い弾お使っておりますが、高い弾の方が良いのでしょうか、もしランクを、上げるとすれば、どのような弾が良いのでしょう、ちなみに私は、トラップ射撃で、銃は、ミロクの6000TR1です。


回答
私自身は、薬莢が硬い、柔らかい、と言う言い方には遭遇しておりませんが。実際に装弾を撃った感じの話ではないかと思います。これは散弾銃実包に限らず、ライフル銃の実包でも同じ事が言えます。同じ初速なのに撃った反動を軽く感じる弾と、強く感じる弾が存在します。これは弾の優劣ではなく、使用している火薬により感じる体感なのです。散弾銃の装弾の場合は、使用しているワッズによっても違うと言う理屈もありますが、それは全て装弾メーカーの一方的な言い分で、私自身は散弾銃装弾の手詰めをしないので、ワッズによる違いを断定することは出来ませんが、ワッズによる違いはほとんど無いと言うのが私の密かな印象ですが、この際あえて断言はしません。

今回はあくまでも使用される火薬による違いを説明してみます。22口径競技用ライフルに使われる装弾として、ドイツのRWSとイギリスのテネックスがありますが、これらの弾の撃った感じを説明すると、同じ重さの弾頭を、同じ初速で撃っても、反動の感じが全然違います、究極の命中精度を競うベンチレスト射撃競技に於いても、同じ6ミリPPCを使い、同じ弾頭を、同じ初速で撃ち出す場合でも、IMR4198の火薬と、H322の火薬では、反動のフィーリングが違います。

この様に反動のフィーリングに違いがあることは、ライフル銃の場合、散弾銃みたいにワッズを使わないので、使用される火薬により反動が違うことは明白です。早く燃焼する火薬の場合、反動の感じが強くなり、遅く燃焼する火薬の場合、反動にフィーリングがマイルドになります。
反動が違っても何故初速が同じかと言いますと、弾頭を薬室の辺りで「ドーン」と一気に加速するのと、銃身の中で徐々に加速するのとの違いです。
しかしながら明確に断言しますが、これは弾の優劣ではありません。火薬の種類を厳密に言うならば、ニトロセルローズを主原料としたシングルベースの火薬と、ニトロセルローズ、ニトログリセリンを主原料としたダブルベースの火薬がありますが、シングルベースの火薬の製造コストが安い反面、ダブルベースの火薬は製造コストが高くなりますが、ダブルベースの火薬が性能的に優れていることは言うまでもありません。西側諸国の中ではイタリアは最後までシングルベース火薬しか作れなかった火薬後進国だったのですが、アメリカや日本の技術指導で現在は全てのイタリア製装弾はダブルベース火薬を使用するに至りました。
言うまでもなくダブルベース火薬の方がよりパワフルなので、装弾として優れていることは言うまでもないのですが、値段の安い、シングルベースの火薬の方が反動はマイルドになります。従って反動のフィーリングを以て装弾の優劣を断定するのは明らかに間違いです。

ライフル銃の場合、弾の優劣を断定するのは極めて簡単です!  当たるか、当たらないかだけです。
オリンピック射撃競技では、RWS,テネックス、ラプア、フェデラル、等のメーカーがオリンピック選手に自社の弾を使って貰おうと必死です、しかしながら射撃選手の立場からすると、誰でも一番当たる弾を使いたがるのは当然のことです。アンシュッツやファインベルクバウの試射場に行くと、何種類もの弾が常に用意されており、製造された銃に対して、試射の時点で思うような命中精度が出ないと
きには、弾を変えると希望する命中精度が出ることがあります。
これは銃身により、必ず相性の良い弾、相性の悪い弾が存在するからです。
現在オリンピッククラスの選手は、それぞれの装弾メーカーに自分の銃を持参して、色々製造された装弾の中で、どのロットの弾が一番自分の銃に合っているか、適性を見極めるためにわざわざ工場まで出向きテストを繰り返します、そうして一番適性だと断定した弾を何十万発と言う単位でまとめて買い占めます。
しかし、その弾が他の銃に合うかどうかは別の話なのです。
メーカーによって違いますが、ある会社の例を説明しますと、火薬は大きな釜で色々な原料を混ぜ合わせて作りますが、1回の製造で2.5トンの火薬を製造します。火薬の場合、同じ成分を同じように混ぜ合わせて作っても、完璧に同じ物という物は絶対に出来ないのです、それぞれの火薬の特性は単に燃焼速度だけを取り上げても全部微妙に違うのです。さらにその火薬を使い、1ロット25万発の装弾を作りますが、同じ火薬を同じだけ装填しても初速が微妙に違うのです、そのため装填を開始した段階で弾の初速を計測し、弾の初速に合わせて火薬量を微調整するのです。これにより命中精度の優劣が変化するのです。また火薬だけでなく、雷管の火薬はさらに微妙なのです、一般的に雷管の火薬については、ほとんどの方が無関心ですが、雷管の燃焼速度に応じて火薬の燃焼速度も変化するのです。ライフル銃の場合、スタンダード雷管、マグナム雷管、ベンチレスト射撃用雷管が存在することからも、用途に応じて雷管を微妙に使い分けていることがお解り頂けますでしょうか?

これと比較すると散弾銃用の装弾でそこまで考えて使っている人は皆無です、せいぜい反動が硬いとか柔らかいとか、弾の性能からは全く関係のないことですが、銃口が汚れるとか、そう言う幼稚なレベルで装弾の優劣が論じられています。私自身散弾銃でも色々な装弾を使いましたし、シドニーオリンピックの時は、双眼鏡でオリンピック選手に使用されている装弾を子細に観察しましたが、散弾銃の場合、何を使っても結局同じと言う結論になりました。はっきり言うとお金をサポートしてくれる会社の装弾を使っていると言うことです。
ライフル射撃の場合には考えられない発想です、ですから散弾銃の場合、装弾による優劣は皆無だと断定出来ます!
何を使っても同じなら、せめて雷管突破の起きない装弾、リムの成型不良の装弾を使うべきですが、私の体験では、全ての装弾で雷管突破が起こりえます。
これは火薬量が多いかではなく、ワッズの抵抗が大きかったり、あるいは先端をクリンプしたときに抵抗が大きすぎるときに起きると思われます。


多くの人は雷管突破が起きると、撃針が長すぎた等と、とんでもない勘違いをしますが、撃針が長すぎれば毎回雷管突破するのが当然ですし、撃針は長すぎると言うことはないのです。散弾銃の場合、良い装弾というのは何を指すかと言いますと、常に安定した初速が出ている事です、初速が安定していると言うことはパターンが常に同じという事になります。
散弾銃の初速が変化するとパターンが変化すると言うことは、多分理解して頂けると思いますが、ほとんどの人はパターンが大きくなるか、小さくなるかしか考えが及ばないと思いますが、「銃器研究の異常者」を自認する私の場合、散弾銃の初速が上がると散弾のパターンは「ドーナツ状」になり、真ん中がスカスカのパターンになると断言します!
ですから装弾は初速が早ければ良いという物でもないのです。
しかしながら、かなり安い弾を使っても火薬によりパターンが変化するほど初速に違いはありません。従って、散弾銃の場合、値段によって当たる弾と、当たらない弾は存在しませんが、あえて言うなら散弾の粒が綺麗な丸状をして、チョークを通過した衝撃で変形しないことが言えます。
チョークで散弾が変形すると、それが空気抵抗になりちゃんとした形状の弾に遅れて飛翔するようになり、ひいては「死に弾」となってパターンを悪くする事になります。


質問者はB&Pの装弾をお使いだと言うことですが、この会社のF2と言う通称フラッシュと呼ばれている一番高い装弾の先端をカッターで切り、中の散弾粒を取り出して観察してみてください。
1粒1粒がベアリングみたいに綺麗に作られている事に驚かれると思います、これも単にパターンを均一にする目的なのです。そう言う意味ではこの会社、なかなか根性の入った作り方をしていますが、リムの長さが外の弾より長いので火薬の圧力が高いときにここの部分が膨らみ排莢出来なくなる事もあります、散弾銃用装弾の場合、この部品にお金をケチって鉄を使っているのでちゃんとスプリングバックで戻らないのでこうしたトラブルが起きるのです。
鉄を使ってもその上に真鍮メッキしてあるので真鍮と見間違いがちですが、この部分はれっきとした鉄製なのです。


会社によってはこのリムの部分の成型不良で、銃のエジェクターの中に潜り込む装弾に遭遇することがあります、そうした場合エジェクターが閉鎖しないので銃を閉鎖することもさりとて装弾を取り出すことも出来なくなる事があります、私はこうした装弾は二度と使うことはありませんが、装弾の優劣を断定するならせいぜいこうした製造上の問題だけでしょうね。

散弾銃の場合、値段によって優劣は有りませんが、一般的に言うと500発で\15,000以下の弾は往々にして成型不良の弾が多く混入しています。高速代金、クレー代金、射撃場使用料金は均一にかかるのですから、弾の値段を数円安く切り下げたために起きる、銃が損傷するリスクを私なら絶対避けますがね!

更新 2003年 5月30日

昨日誤字を訂正したのですが、ついでに装弾のコラムについてもう少し書き足してみたいと思います。火薬の燃焼速度が速いか、遅いかを見分ける方法ですが、一番てっとり早いのは実際に燃やして見ることです。ほとんどの方が火薬も燃やすと言う体験はしておられないと思います。それは火薬は火を付けると爆発するのではと言う誤った考えがあるからです、でもそれは映画の見過ぎです!

 でも、念のために忠告しておきますが、黒色火薬は火をつけると爆発しますから、黒色火薬に火を付けるのは論外ですよ! 幸いなことに現在の装弾で黒色火薬を使っている装弾は皆無ですから、無煙火薬には火を付けても大丈夫です。
幸か不幸か、このコラムは多くの行政の人も閲覧していますので、装弾をばらして火を付けるという行為は、装弾の目的外使用で火薬類取締法違反になります。私は順法精神の鬼ですから違法行為を推奨する事はありません。
装弾の火薬に火を付けろと言う行為は、たまたま不発弾に遭遇した場合の処置です。
勿論不発弾に遭遇した場合でも、それをばらして火薬に火を付けると言う行為は、違法行為には当たります、ちゃんと処理するには不発弾を(銃砲店ではなく)警察に提出して警察は自衛隊に依頼して海中投棄するのが火薬取締法の趣旨ですよね。
 でもね、警察で装弾を保管すると言うこと自体、火薬類取締法違反ですよね!、警察には火薬類を保管できる保管庫は無いはずですし、県警レベルでも火薬取締法で定めた火薬類の保管庫は備えていないはずです。(キッパリ)
とすれば不発弾を警察に届けて、結果的にですが県警に違法行為をさせるわけにも行かず、仮に警察本部が“超法規的承知”で火薬類の保管をしたとしても、現在ではそれを自衛隊に廃棄依頼する事は出来ないことになりますよね、何故なら新しい法律では火薬類の海中投棄は禁止されていますから、自衛隊は永遠に海中投棄による廃棄は出来ないことになっています。
そのため、装弾の購入者がたまたま不発弾に遭遇したため、自らの判断で「超法規的処置」により、装弾を分解して火薬を燃焼廃棄させ、雷管は再度激発して廃棄させる承知をとったとしても、違法はとられないと考えています。そういう特別な場合を想定した話ですからネ!
さて、散弾の装弾をカッターナイフで切りますと、散弾がバラバラと出てきます、その散弾には鉛だけでなくてアンチが含まれています、アンチと言う物質を混入させることにより散弾の硬度を上げます。散弾を硬くする目的は、散弾が銃腔内のチョークを通過するときに変形しないようにするためです、散弾の粒が真円の場合は問題ないのですが、それがわずかでも変形すると他の散弾より空気抵抗が大きくなり、飛翔する間に他の弾より遅れることになるからです。しかしながらアンチは鉛よりも10倍も高価な金属なので、そうそう大量に混入させることが出来ません、安い弾は1〜2%、高い弾は4〜5%混入させています。
装弾が高い安いかの一番の要因はこの辺にあります、理屈の上からは高い弾は当たる、安い弾は当たらない、と言うことは言えますが、今まで15枚しか当たらない人が、16枚になるわけではありません。しかしながら199枚当てる人が200枚になる可能性は“あえて否定しません”しかし、高い弾と安い弾の違いはその程度の効果しかないことを良く認識してください。
メーカーの言い分ですと、アンチの量の多い散弾はより遠くまで破砕力があると言うことですが、私の体験ではほとんど認識する事は出来ませんでした。その程度の違いでしかありません。
散弾を抜くと、中からワッズが出てきます。このワッズの形状についても、これでパターンが良くなると言う意見もありますが、私自身は、論理的に確認しておりません。
メーカーサイド、あるいは知ったかぶりの販売店では、ワッスの形状によりパターンが良くなると言う説明はありますが、ではどうしてそうなるのでしょうか、物理学的な説明が抜けていますので、私自身は新興宗教団体並みのかなり怪しい理論だと考えております。(但し、物理学的な弾道飛翔の論理説明提示がされたら記述を改めます)
ワッズを取り出しますと、やっと火薬が出てきます、色々な装弾を比較しますと、同じ装弾メーカーでも色々な火薬が使ってあることがお解りいただけると思います。火薬の形状は円盤型、真四角型、色々ありますが、それぞれ製造工程の問題で優劣ではありません。
火薬の表面積と燃焼速度は密接な関係があります、火薬の表面積が多い方は燃焼速度が速いのです、「なるほど、表面積が多い方が酸素と結合しますからね」などと言う理論は当てはまりません、火薬の燃焼は、鉋屑と薪の燃焼とは違うのです。火薬の中には燃焼する事で酸素を発生する薬剤が混入されていますので、外部からの酸素を必要としていません。
単に面積が大きい方が早く燃えると言うだけの話です。散弾銃、22口径ライフル、30カービンライフル実包、その他、拳銃実包等の装弾は、弾の直径と薬莢の直径が同じですよね、こうした装弾の火薬は早く燃焼させませんと、弾頭の前進に対して火薬のガス発生が追いつきません、そのために速燃性の火薬を使うのです。
ひるがえり、ライフル用の装弾、とりわけマグナムライフルと呼ばれる威力の強い装弾は装弾の弾頭の部分は7.62ミリしかないのに、後ろの方は大きなスペースがあり、火薬も散弾銃の10倍も装填できます、こんなに多くの火薬を装填しても、火薬は一気に燃焼するのではなく、火薬は順次燃焼してすぐに燃え尽きないようにしてあります、そうする事により弾頭が銃腔の中を前進する間でも、常時ガスが大量に発生して弾頭を加速し続けるのです。勿論それぞれ火薬の燃焼速度は全然違います。

さて話が飛びましたが、いよいよ装弾から火薬を取り出して燃やして見ましょう、火薬の燃焼をさせるためには出来るだけ広い屋外で、コンクリートの上みたいに水分や余計な物が無いところに出来るだけ火薬を集めて置きます、そこにマッチで火を付けると、黄色い炎を出して瞬時に火薬が燃焼します、間違っても爆発はしません。
”ボッ”と燃えるだけですね、2種類の火薬を同時に燃やすと、わずからながら燃え方に変化があるのが解ります、その燃え方の早いほうが速燃性の火薬なのです。

意外と原始的な方法で火薬の燃焼速度を決めているようですが、実際の火薬の燃焼速度もこうした燃焼実験で判定しているのです。
さて、一番最後に雷管が残ったはずですが、銃に装填して激発すると雷管が点火して安全な状態になります。
本当は、雷管の炎を視認できる方法で激発すると炎の発生に違いがあるのも視認できるはずです、散弾銃の場合大差はないのですが、それでも雷管の爆速が早いと火薬の燃焼はそれに連れて早くなります、爆速が遅いと火薬の燃焼も遅くなるのです。


更新 2003年 6月 1日

(読者のメールです)
さて、ショートコラム拝見いたしました。
アンチとありましたので最初び・びっくりしました。
アンチモン(アンチモニー)の事だったのですね。
ご存知の通り、チャカにテッポウ(釈迦に説法)ですが、
ご参考迄にSpec,を記します。

品名 元素記号 原子
(20℃)
密度
(比重)
原子容量 融点
(℃)
沸点
(℃)
線膨張係数
アンチモン Sb 121.76 6.691 18.4 630.5 1380 0.045
Pb 207.21 11.35 18.27 271.3 1725 0.083
Cu 63.54 8.94 7.09 1083 2595 16.5
Fe 55.85 7.87 7.1 1536 3000 11.76
モリブデン Mo 96.95 10.2 9.39 2610 5560 4.9
 

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