銅弾(バーンズ弾頭)について - バー ンズ弾頭

2000年 2月 2日 築地
改訂 2000年 2月 3日 築地

多くのハンター達から、過去に何度も相談された事がありますが、20~30メートルの所にいる鹿を撃ったら、マグナムライフルなのに逃げられたとか。30-06なら止まるのにマグナムで撃つとだと逃げられると言う相談が幾度と無くありました。
これはマグナムライフルの場合、初速が早すぎて鹿の体内に衝突した瞬間、弾頭が破砕するのがその原因です。
ですから回収した鹿の弾頭をよく調べて見ると解りますが、1発で鹿が倒れなかった場合、銅のジャケットと鉛のコアーが完全に分離しているはずです、実はこれが殺傷力を極端に減少させている最大の原因なのです。
多くのハンターが誤解しているのですが、鹿の体内に弾頭が残留している場合、弾頭のエネルギーを100%消費したわけだから、一番破砕力が強いはずだと!
ところが現実にはそうなりません。ではその理由を説明しましょう。

一番わかりやすい例として、仮にごく至近距離に猪が出てきたとしましょう、Aの場合、スラッグで撃って弾頭は貫通したとします。かたや、Bの場合、雀撃ちに使う9号散弾よりももっと微細なダスト散弾を使って猪を撃ったとします、猪にすれば平手でひっぱたいたような物ですから。簡単に逆襲されてしまいます。しかし、この場合100%散弾は猪の体内に残留しているはずです、少なくとも貫通はしません、さあ、どちらの威力が強いでしょうか?

学校で教えられる事以外なら何でも知っていると言う貴方ならすでにお解りですね。

マグナムライフルを近距離で使うとこのような現象が起こると考えてください。
では学校で教えるように、もう少し論理的にご説明します。弾丸が獲物(人体も同じ)の体内を貫通するときどのような作用をするかと言いますと。弾丸が組織の細胞に衝突するとその細胞は弾丸よりも早いスピードで隣の細胞を破砕します。これは弾頭の質量と細胞の質量の違いです。これを実験で確認するにはアルミ板を標的にして弾丸で撃ち抜くと簡単に解ります、撃ち抜いた瞬間を高速度写真で撮影すると、弾頭の衝撃波と、飛散するアルミ板の破片の衝撃波は、明らかにアルミ板の方が早いのです。これは弾頭の質量とアルミ板の質量と比べると、アルミの比重が軽いのでスピードが早くなるのです。
ですから、弾頭が獲物の細胞に衝突した時、その細胞はまるでドミノ倒しの様に、隣の細胞、隣の細胞という風に、円錐状に破砕が進むのです。
ですからライフル銃で撃った穴の入り口は小さく、出口は大きいでしょう。
ライフルで撃った傷口はライフル銃は弾が回転しているから入り口が小さく、出口が大きいなんて解った様な事を言うベテランも居ますが、それは間違いです。
それが証拠に初速が遅ければ円錐状の破砕はその角度が浅くなります。
弾丸の初速が早いと円錐状の形状は角度が大きくなります、同じ回転数でです。
ですから破砕効果を持続するためには弾頭は出来るだけ内部で微細に破砕しないことが大切なのです。
180グレインの弾頭が体内に入り、体内から抜けた時も180グレインある方が破砕効果は強いと言う事です、体内で破砕した場合、弾頭は貫通できません。
理屈の上では弾頭のエネルギーは100%使われていますが、これはエネルギーが分散して有効に使われなかったと言うことを意味します。弾頭があまりにも微細に分解すると前進する力が無くなり、従って威力も無くなるのです。
従って、弾頭は貫通する事をもって一番威力を発揮できるのです。
ハンターの中には私と逆さまの理論を言っている人も居ますが、私の説が正解です!(キッパリ)弾頭が貫通すると言うと、軍用のフルメタルジャケットを想像される方も居られると思いますが、バーンズ弾頭は全体が純銅で出来ていますが、先端がホローポイントに成っているので完璧にエキスパンションします、バーンズ弾頭は初速1400フィートでエキスパアンションしますが、これは数ある猟用弾頭の中では一番低速でエキスパンションする弾頭です、実猟には最低でも1600フィート無いと威力不足で使い物にならないので弾頭のせいでエキスパンションしないと言うことはありません。
念のために言いますが、弾頭がエキスパンションして貫通することが、一番破砕力が強いのです。

数年前から私はバーンズ弾頭を輸入していますが、これは"近距離でマグナムライフルを使う可能性のあるハンターの為の"対策だったのです。これで金儲けしようと企んだ訳ではありません。
最近は尾白鷲の保護のため銅弾がにわかに注目を浴びていますが、なにもバーンズ弾頭が、わざわざ北海道の尾白鷲のために開発した訳ではありません。
勿論、私が尾白鷲のためにバーンズ弾頭を輸入しようとした訳ではありません。
私は、今説明したように、一部のハンターの為に輸入したので、これを大々的に当社のビジネスに組み込もうと考えた訳ではありません。

バーンズ弾頭は全体が純銅で出来ていますので、鉛の弾頭とするとライフリングに食い込む抵抗が大きくなります、したがって火薬の圧力は上がり、初速は早くなります。
当然弾着は変化します。弾頭を変えればデーターの取り直しをするのは、いわば"お約束"なのですが、一部のハンターの中にはデーター変更をしないまま使って、その結果弾着が変化したため、狙った所に当たらない、つまりバーンズは当たらないと言う結論を導き出した人も居たようで、頭をかかえます。
通常のジャケット弾頭は、ジャケットをプレスの絞り行程で作りますので外径の公差は2/1000程度で収まります、これ以上公差があると皺がよるか剪断しますので製品が出来上がれば自ずから寸法的には高精度で出来ることになるのです。
バーンズ弾頭は絞りで作っていませんので、ジャケット弾頭とすると公差は一桁大きいはずです。命中精度から言えば良いことではありませんが、ベンチレスト射撃みたいにミリ単位のグルーピングを競うのでなければ十分な実用性が有ります。 

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