銃器の手入れ方法に付いて - その他銃に関する情報

2000年 1月 7日 築地

銃の手入れに関しては散弾銃とライフル銃ではいくらか相違点があります。

散弾銃に関しては妨錆を最大の目的としますがライフル銃の場合はライフリングの保全を最大の目的とするからです。


散弾銃(自動・スライド式)

自動銃の場合、一番汚れやすいのはガスポートの周辺です、これは火薬ガスを吹き出す所ですから当然の話しですが、逆の言い方をすると少々ゴミが有ってもガスで吹き飛ばすので大丈夫です、問題は妨錆処理だけです、ここの部分はいくら妨錆油を塗っていても1発弾を撃つだけで油分を吹き飛ばしてしまうので、撃つ前よりも撃った後の手入れが大切なのは言うまでもありません。ここに付着したカーボンはブラシ等でそぎ落とすのが最良でしょう。その後妨錆油を吹いておいてください。

レミントン11-87自動銃の場合、ピストンリングの所にガスシーリングと呼ばれているOリングがあります、これは24グラム装弾を撃つときに必要な物です。

昔は射撃用の装弾でも32グラムだったのですが、現在は24グラムと言う極めて弱い装弾です、そのため24グラムで完全に回転するようにすると3インチ装弾を撃ったときスライドの動きが強烈になりすぎて故障の原因になります。そのためOリングを使いガスのシーリングを完璧にすることにより24グラム装弾での回転を確保しています。

しかしながらこのOリングは消耗品ですので、24グラム装弾を使うとき以外は外して置く方が賢明です。

そして射撃場で使うときだけ装着して使えばOリングの持ちも良くなります、勿論消耗品ですから当社では在庫しております、価格は1個 ¥500です。

引き金ブロックを取り外して手入れする必要はありません。そのままエジェクションポートから妨錆油を吹いてください。特にレミントンの自動銃の場合、引き金ブロックを取り外して、ハンマーを押さえないで空うちすると100%間違いなくキャリアーラッチパーツが破損します、絶対に引き金ブロックだけで空うちしてはいけません。

銃身の中の手入れは、銅ブラシでカーボンを除去した後、布で拭き取り妨錆油を吹いておいてください。そのほかに妨錆油を吹き付ける所は機関部の内部と外部、銃身の外部とガスポート周辺です。吹き付ける量は少々多くてもかまいませんので充分に吹き付けてください。吹き付けた後は銃口を下向きにしてガンロッカーの中に収納しておけば不要な油分は下に流れ落ちます。

スライド式はガスポートが無いのでその分手入れは自動銃よりは手間がかかりません、その他の手入れは自動銃と同じです。

散弾銃(上下2連銃・水平2連銃)

銃口内の手入れはどの散弾銃でも同じですが、上下2連の場合機関部に妨錆油を吹き付けておけば内部にも油は回りますので必ずしも銃床を取り外して木か鞍部の内部の手入れをする必要はありません。

射撃用の散弾銃は試合の場合など雨天の中で使用することもありますのでその場合リヴ等に付着した水分は完全に除去してください。

また彫刻のある機関部は水分が残りやすいのでこれも注意が必要です。

銃身や機関部が錆びたら黒染めをやり直せばと簡単に考えがちですが、銃の黒染めをする場合は、一旦現状の黒染めを研磨でそぎ落とし、完全に鉄の地肌を露出させてから再着色処理します、そのためごく薄くですが表面を削ることになります。そのため銃身に打刻してある刻印が薄くなり、我々が見ると一目で仕上げ直ししたのがわかります、当然、銃の評価は低くなります。仕上げ直しは表面を再研磨するのですから彫刻してある所はとても研磨できませんからこの場合ブラシで錆の部分を磨くしかないのです。

こんな面倒な事に成る前に使った後は必ず手入れをしましょう。

ライフル銃

ライフル銃の手入れで一番重要なことは銃腔内をしっかりと手入れすることです、ここを錆びさせたらライフル銃は駄目です。極端に命中精度が落ちるとは言いませんが一度錆びさせると後は簡単に錆びやすくなります。

銃腔内はボアーソルベントを付けて銅ブラシを使い、銃腔内を5~6回往復させます。

今までは、色々なメーカーからボアーソルベントが発売されています、ホップス9、カッパーリムーバー、シューターチョイス、色々有りますが、ダントツに優れているのはブッチボアーシャインです(www.bbsindustries.com)最近発売された物ですが効能は極めて優れています。残念ながら毒性が有るためか合法的にアメリカは輸出出来ないみたいですがサンプルとして当社には入荷しておりますので必要な方はご注文下さい。

価格は¥3800です、1回買えば2~3年は使えるほどの量があります。

ブッチボアーシャインの使い方は銅ブラシにこれを付けて銃腔を5~6回往復させます、その後10分間放置してふき取るだけです。3回ふき取れば完全にきれいになります、是非おためし下さい。

この時使うブラシはナイロンブラシではいけません、ナイロンでは銃腔に付着して銅は除去できません、ましてやVFGのフェルトなんか使うことはは論外です。

銃の外形の手入れは妨錆油を吹き付けるだけで大丈夫です、引き金や、ボルトは分解する必要はありません。

WD-40

今まで述べた中で妨錆油と言っているのは WD-40の事です、WD-40はほとんどのメーカーが工場で使用している妨錆油で効能は一番優れています。

面白い事に、メーカーブランドのスプレーオイルがそれぞれのメーカーから出されていますが、メーカー自身が使っているのはWD-40です、私はアメリカ、ヨーロッパの銃器工場に度々出かけていますが、どこの工場でもWD-40が転がっています。

WD-40の特性は浸透性が強いこと、スプレーした後でも揮発成分が蒸発した後でもごく薄い被膜を鉄の表面に形成します。

そのため妨錆効果が劇的に長持ちします。

何故かWD-40は銃砲店では販売しておりません、工具やさんか、日曜大工店、東急ハンズで取り扱っています、銃砲店で販売している妨錆油は使わない方が無難です。

ライフル銃の銃腔内の手入れには必ずブッチボアーシャインを使ってください。

但し、散弾銃の場合は通常に市販されているボアーソルベントでも使用できます。 

ブランド
カテゴリー
ページの先頭へ