上下2連銃について - 銃について

1999年12月29日 築地
改訂 2000年 1月24日 築地
改訂 2000年 1月28日 築地

当社で取り扱いをしているベレッタとペラッチについて紹介します。


ベレッタ(射撃専用銃の場合)

アメリカの射撃協会のサイトを覗くと、この協会の推薦している射撃銃はベレッタ682と、ASE90それにペラッチMX8だけです、それ以外の銃は推薦していません。
これら3丁の銃は、性能も、精度も、耐久性も、そしてコストパフォーマンスも最も優れた銃だからです。残念ながら日本のミロクも、ブローニングも推薦銃には入っておりません、しかしベレッタの銃種に関してはこれを訂正をしなければ成らなくなりました、それは今年の1月にラスヴェガスで開催されたショットショーでベレッタ製の銃にモデルチェンジがあったからです。ASE90は製造中止になり、それの改良モデルとしてDT10が新発売になりました。外見上はお互いそれほど大きな違いはありませんが、細かいところで改善がされていますのでその詳細について説明してみます。
まず、リヴの関係で言えば、DT10のリブは従来のASE90のリヴよりも少し高いステップリヴに変更されました。従来アメリカ向けの銃は銃床サイズがいくらか大きめに作られていたのですが、DT10の場合グリップも小さくなり、引き金とグリップの間隔も狭くなりました、銃床の長さ、プルレングスも短く成りました。相対的にASE90よりは少し小振りな感じに仕上がっています。
実を言いますと、ベレッタはアメリカ向けの銃と、ヨーロッパ市場に流す銃は銃床に若干寸法が違います、ヨーロッパ向けの銃はサイズが少し小さくできています。私の会社でも輸入する銃はサイズの小さいヨーロッパスタンダードと言う規格の銃を輸入しています。
ベテラン射手の中には、"日本人向け"の銃があると間違った考えにしっかり洗脳されている人が多いため事実を説明をするのに結構閉口しますが、実際には日本人向けの銃というのは存在しません、輸入元のリクエストで多少銃床の加工をしている事例は有るのですが、
単純に考えて、その日本人向けの銃というのは、一体身長何センチ、体重何キロ、年齢は何歳、射撃方法はどんなフォーム、の人を対象に作られているのでしょう? それが確定されていなければ銃床の寸法の決めようがないのに、具体的にそうした基本サイズの話は全くないまま、日本人向けの銃床と言う漠然とした話だけが既成事実として流れているのが現状です、ほんのわずか疑問を挟むだけで馬鹿な話だと言うことが解るのですが多くの射手が解らないままその風評を信じているので困ります。
日本人向けに作られた銃床とというキャッチは、商社が考えた与太話だと言うことです。
しかしながらベレッタには大別すると、アメリカ向けとヨーロッパ向けの銃床があり、アメリカ向けの銃を買うと確かにサイズ的には大きく感じます。
日本人にはヨーロッパスタンダードの規格が最適なので当社ではそのサイズの銃を輸入しています。で、今回の展示品が一体どの規格の銃を展示したのかそのスペックが解らないのではっきりしたことは言えないのですが、全体的には気持ち小さめに仕上がっているように感じました。
グリップのフィーリングはASE90とあまり変わりはありませんが、先台の指の辺りのくぼみの部分は、くぼみの取り方が大きくなり、実際に先台を握ると今までの先台より、よりしっかり握れる感じに仕上がっています。
銃床のチークピースは上下の可動式に成っており、左右に振ることも出来ます。これによりキャストオフ、キャストインを微妙に調整することが出来ます。
これは単に頬のサイズに合わすと言うことではなく、頬付けをしっかりする、あるいは通常の強さの頬付けにするかを容易に調整することが可能になります。
また銃身は全部交換チョーク式に変更されました。こうした変更には射撃フォームの変化がベースにあります。私が射撃を習った1960年代は、クレーが出て、ワンタイミングおいて、つまり"ため"を作ってからクレーを追う射撃方法が主流でした。
これに適したチョークは初矢がモデインプ(3/4)で後矢がフルチョーク(4/4)でした、クレーを有る程度飛ばしてから撃つため、私は特別注文の、上下の銃身ともフルチョークのメルケル303を使っていたこともあります。
この頃はあんまり早く撃つと、パターンが広がらない前に撃つといわれ、もう少し飛ばしてから撃てとよく言われたものです。
しかし、最近、オリンピッククラスの選手の射撃方法を見ますと、銃をかなり上に構え、クレーがでたら、銃身を上にもって行くと言うより、銃身を横にスイングさせるような感じで出来るだけ早くクレーを獲るような射撃方法に変わってきました。こういう射撃方法ですと銃床を柔らかく保持したり、頬付けが甘すぎると、シャープなスイングが出来ません。そのため銃自体もそうした射撃方法に合わせて改良がなされたと思います。
シャープにスイングさせると、銃が軽い方が有利なように思えますが、ある程度の重さがないと銃身が走りすぎるというのがベレッタの主張のようです。
ベレッタは多くのオリンピック選手のアドヴァイスによって作られます、そして多くのオリンピック選手に使われます、ですからベレッタが従来のASE90よりバランス的には重たい銃を作ったことは注目すべき事と思います。
さて、クレーを早く獲ると言うことは、散弾は早めに散開した方が良いに決まっています。
そのため希望の散開パターンが得られる用に全部の銃に交換チョークを取り付けているのです。スポーテングモデルは勿論ですが、スキート銃も交換チョーク式に成っています。
引き金に関して言えばASE90もそうでしたが、新製品のDT10も引き金は交換式に成っています。これは引き金が壊れた時に交換できると言うより、ハンマースプリングなどの交換が容易だと考える方が現実的な考えです。引き金が交換できるからと言って予備の引き金を持つのはナンセンスです、なぜなら引き金関係の故障の場合、撃針折れの場合は引き金を交換しても直らないからです。引き金が外れるのは、あくまでも修理がしやすいと考えるのが普通の考え方でしょう。
ベレッタの散弾銃は、銃身部分の製造方法で機関部とはめ合いになる銃身基部は大きなブロックから作られています。そのブロックに銃身を2本差し込んで作られています。
ブローニングなどは2本の銃身を上下に合わせて出来ています、ここが銃身の製造方法として違いがあるところです、別の言い方をすると、だからベレッタの銃は軽く出来るのです。で、この銃身の差込部分が従来のASE90よりDT10の方が長いそうです、その理由は、その方が耐久性が増すのでそうです。それにロッキングの部分も補強されたと説明していました。事実保証期間はASE90よりDT10の方が3年長いそうです。
当社では旧型のASE90は90万で発売していましたが、DT10は125万円と言う値段になります、ASE90は製造中止が確定したため現状ではもう少し値段は安くなるかもしれませんが、予算的に余裕が有ればDT10を買われる事をお勧めいたします。
国内の銃砲店ではまだこうした最新情報に接していないと思いますので場合によってはASE90も銃来の価格で取り引きされ続かもしれません、過去の事例を考えると、輸入元に旧型の在庫が無くなってから新製品の輸入を始めた事例もありますので消費者としてはこの事実はしっかりと頭に入れて購入してください。

ベレッタの射撃銃で最高級のモデルはSO5、またはSO6ですが、これは両方の銃ともサイドロック型式のため、コストが高くなっているのです。
サイドロック式の銃は左右のプレートの中に激発装置を組み込んでいるので構造が複雑になるため製造コストが高くなるのです、ではサイドロックのメリットは何かと言いますとサイドプレートを外すと、激発装置の部品交換や補修が簡単に出来るのが特徴ですが、DT10の様に引き金ブロックが簡単に外れるとサイドロックの意味が無くなります。
事実現在ではサイドロックの利点は全くありませんが、昔通りコストをかけて作っていると言うことがサイドロックの唯一の売りでしょう、故障発生率もむしろサイドロック系統の方が多いのが事実です、ですから射撃専用銃の場合、これを選択する理由はあまりありません。

同じく世界選手権やオリンピックに使われる、682ゴールドも型式が変更になることは確実です、しかしながらカタログには682Sとして新製品が掲載されているのですが展示会には新製品の展示が有りませんでしたので、発売は来年以降と考えるべきでしょう。
現状の682ゴールドは機関部は窒化仕上げをしてあります、これは金属の表面を深さ0.3ミリ程度ガスを浸透させ表面硬度を上げる処理の方法です、ガスを使わず楽品を使う方法もあります、機関部の硬度が上がっても耐久性能には何の変化もありませんが、表面が傷付きにくいという利点があります。
682ゴールドと新製品の682Sではタログで見る限りあまり大きな変更は有りませんが、チークピースの可動式と、固定式の両方が選択できうる様です、リヴの形状には変更はありませんが、機関部の彫刻には変化があります。年内の変更は無さそうなので今年購入する場合は買ってもかまいませんが、来年買い換えを希望し人は状況を見ながら判断される方がよろしいかと思います。

ベレッタ(狩猟用)

狩猟用の銃としてはシルバーピジョン、¥299000があります、基本設計は682と同じです、銃床の材質が682よりは少し落ちますが射撃用に使っている人も多くいます。
性能としては何ら変わりないので射撃用として使っても問題はありません。

シルバーピジョンと同じ構造ですが、機関部の材質に軽合金を使って軽量化を図った銃がウルトラライトです、重量はわずか2.6キロしかありません、弾の反動を受ける機関部の所にはチタニウムで出来た板を張ってあります、チタニユムはジェット機に使われる費用に高価な材料ですが、鉄よりも強い強度でなおかつ重量は鉄の60%しかありません。
そのためこのような軽量銃が出来たのです。しかしながら銃身等は鉄を使っています、ここはやはり安全性を無視できなかったからなのでしょう。価格はシルバーピジョンと同じです。ベレッタで一番お手軽なのはオニックスモデルです、値段的には¥199000とお手軽ですが、上下の銃身を取り付けているサイドリヴもありませんし、機関部も決して良い仕上げではありません、銃床も良い材料を使っていません。ま、値段で勝負と言うところでしょうか。

ペラッチ(射撃用)

世界選手権、オリンピック等で一番多くの選手が使っているのがペラッチです。
なぜ多くの選手が使っているのかと言うと、バランスの良さ、それが最大の理由でしょう。
ミロク等の銃と比べると機関部の大きさが小さいのがおわかり頂けると思います。機関部が小さいと当然重さも軽く出来ます、その軽い機関部に適当なバランスの銃身が付いているのです。
ペラッチのロッキングは上と下の銃身の間にロッキングが2個付いています、ブローニングやミロクはこのロッキングが銃身の下にあるため機関部全体が大きく成らざるを得ないのです。ペラッチの引き金ブロックは安全装置のレバーを前に押し出すと簡単に外れます、そのため引き金ブロックのメンテナンスは非常に簡単に出来ます、バネが折れたときにも簡単に交換できると言うメリットもありますが、現在製造されているペラッチのスプリングはめったな事では折れません、現在製造されるペラッチは、ほとんどのユーザーがスプリング折れは経験されていないはずです。勿論撃針折れもありません。金属材料はあまり変わっていませんが熱処理の技術が格段に進歩したのがその理由でしょう。
当社では当然スプリングや撃針の部品を持っているのですがここ3年間は1セットも販売したことはありません、これはペラッチの銃ではめったな事ではスプリング折れや撃針折れが発生した事がないと言う何よりの証明です。

ペラッチに関しては特段大きな変更はありません、やはり射撃用として一番売れているメーカーですからモデルチェンジは何の意味もないことを理解しているのでしょう。
しかしながら、特別注文で色々なバリエーションの注文を受けるようになりました。
交換チョーク式の銃身は下の銃身だけでも、あるいは上下2本の銃身だけでも引き受けるようです、また機関部の白仕上げも引き受けるそうです、当社では¥60000でお受けします、機関部だけでなく中の部品ごとの白仕上げもやるそうです、この場合追加料金は¥70000です。銃床の特別注文、アジャスト引き金、アジャスト銃床も注文に応じるそうです、このあたりベレッタと変わりはありません。
今年からペラッチ関係は値上げを決めました、MX5が$6400、当社は¥55000ですからアメリカで買うより割安で買えます。
MX8は$8800、当社の値段は¥85000ですから、これまたアメリカより安い価格で販売しています。
もし、折りがあったらミロク、SKBのアメリカでの販売値段を調べてみるとおもしろいと思います、ミロク、SKBは国産にも関わらず、外国では、なんと国内価格の半値で売っていますので、国内のユーザーはほとんどメーカーには舐められっぱなしです。
ミロクは最高と言う人も多いのですが、値段を倍もふっかけられてありがたがっているのですからメーカーも笑いが止まらないでしょう、そして心の中ではそうした射手を軽蔑しているに違いがありません、昔、国産の自動車がそうでした、1960年当時、ブルーバードはアメリカでは国内価格の半値売られていましたが現在は価格差がありません、銃砲業界に関しては消費者が無知である間はこの価格差は縮むことが無い事は間違いない事実です。皆さん出来るだけ早く事実に注目してください。
国産銃の値段は半分で売ったとしてもメーカーは採算が立つはずですから、2割引で買ったと喜んでいる方は3割高で買ったのと同じ事だと言うことを出来るだけ早めにお気付きなられるようの念じてなりません。

さて話が変わりますが、ペラッチの兄弟モデル、マエストロに付いてですが、今回も色々聞いたのですが外国での評価は全くよくません、念のため日本国内での修理状況を調べましたがマエストロは故障発生率が多いのが現状です、私は世界中から色々な銃を輸入して販売していますのでどこのメーカーにも何の義理もありません、マエストロを売る変わりにペラッチを売らなければ成らない義理もありませんが残念ながら世界の評価が極めて低い状況ではマエストロは当社の扱い品目に加えられません、もし世界選手権で大多数の選手が使うようになれば、現状のマエストロは国内標準価格の半値以下で売って見せます。なぜなら相変わらず標準価格の倍以上の値段で多くの人が買わされているからです。

ペラッチ(MX5)

MX5をMX8の下位モデルと見がちです、確かに価格的にはMX8¥850000に対してMX5は¥550000ですが、単に安いと言うことではなく、MX5の有利性と言うことにも着眼する必要があるかと思います。

MX5の特徴それはペラッチで一番軽量の銃だと言うことです、MX5のスキート銃の重量は3.5キロです、MX8よりも200~300グラム軽くできています。
そんためスキート射撃の場合に関して言えば、軽くて使いやすい銃と言う事になります。
スキート射撃の場合、クレーが出てから構えたのでは遅すぎます、"ガシャン"と言う放出器の音を聞いたときに瞬時に構えられなければなりません、スキート射撃の上達の秘訣を一言で説明するなら、如何に早く銃を構えられるかと言うことにつきます、そのためには軽い銃を選択するのは当然も事だと思います。スキート射撃の4番は銃の振れが一番大きなポジションですが、最初のクレーを捕ったあと、銃身を返す時には重いより軽い方が多くの射手に好まれるのは当然のことです。
オリンピッククラスになると、重たい方が銃のスイングが均一で、なおかつ最初のクレーを捕った後、ある程度惰性で振れた方が、銃身を戻したときに勢いが付くと言う論理もありますが、これはかなりの腕がある人の話ではないかと思います。
多くの人がMX5をスキート銃として選択するときは、"軽い"バランスが良い"こうした理由で選択されます、決して"安い"と言うことが最大の理由ではありません。
MX8からMX5に替えると言うことも起きています、MX5決して安いと言うことだけで選択されてはいないと言うことです。
トラップ射撃の場合、銃身を返すと言う動きがないので軽い銃のメリットがどれほどあるかは解りませんが、早捕りする人には好まれると思います。
ミロクとするとMX8は充分軽い、そしてバランスの良い銃ですが、MX8でも重たいと言う人にはMX5はお勧めです。 

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