空気銃について - 銃について

2000年 2月 3日 築地
追記 2003年 3月30日 築地

(追記)
コラムの中で空気銃の取り扱いの記述がありますが、現在は取り扱いをしておりません。
その理由は、威力の強い空気銃は故障の発生を無くすことが出来ないため取り扱いを中止致しました。

今年から狩猟法が改正され空気銃が、散弾銃と同じ免許で撃てるようになります。
そのため最近空気銃の引き合いが俄然多くなりました、狩猟用の場合、当然その威力が最大の問題になります。国産ではホーワのガス銃、シャープのポンプ式空気銃があります。
ガス銃の場合、外気温度が低いと充分な威力が出せません。仮にある程度の外気温度が高かったとしても、ガスを放出するとその気化熱の為に外気温より銃の方が温度が低くなってしまいます、そのため冬季に外で使用する狩猟にはガス銃はお勧めできません。
ポンプ銃はポンプ回数により威力が増強できるので今でも多くのハンターが使用しています。しかし、口径が最大でも5.5ミリなのでその射程距離と威力には限界があります。
ポンプ式空気銃の場合射程距離は最大で30メートル、獲物も鳩程度で、鴨撃ちには威力不足の感じがあります。
ドイツのダイアナなどはスプリング中折れ式の強力な空気銃を昔から出しています。
威力は強いのですが、どうしても強いスプリングを使っている為、スプリング折れのトラブルは避けられません。

当社ではビーマンのクローマグナムと、スーパー12を取り扱っています、ビーマンの名称で販売していますがこれはOEM商品で原産地はイギリスです。
クローマグナムは一見中折れ式のスプリングと同じに見えますが、スプリングの代わりにガスピストンと言う方法を使っています。
このシステム、なかなか皆さんに理解してもらえないので折角の書き込みですから出来るだけわかりやすく説明してみます。

中折れ式空気銃の引き金をコッキングして引き金を引いてピストンが前進してその圧縮空気の力で弾を撃ちだすと言うメカニズムは従来型の中折れ式空気銃と全く同じです。ですからここのメカニズムに関してはこれ以上考えなくて結構です、考えすぎると頭が混乱します。ここではガスピストンのメカだけ考えてください。
この銃を分解すると、従来型のスプリング式であれは、そのスプリングの入っているところにショックアブソーバーみたいな部品があります、これがスプリングの代わりをしているのです。円筒形のボデーからシャフトが飛び出ていますが、これを押し込むとあたかも中にスプリングが入っているように押し返されます。いま、単に押し込むと簡単に書いていますが実を言うとこのガスピストンとても人間の力で押せるような代物ではありません。
空気銃で使うときも、中折れの部分を利用してテコの力でやっと押せる位の強力な力を要します。で、スプリングの代わりに中に入っているのは圧縮空気です。
このままでよく空気が漏れないもだと思いますがこのまま1~2年は空気漏れが無いまま使えます。空気のシーリングに使っているのは単なるOリングだけです。ですから内径の仕上げは鏡面で無いと空気漏れがおきます、もし内部に微細な金属片が有ってもOリングが傷ついて空気が漏れます。だからと言って使用者側でどうにかなる問題ではありません、2年くらい経過すると、少し空気が漏れる事があります、その場合、空気を補充するために付属のポンプが付いているのです。多くの人がポンプが付いているのでこれで空気を注入して打ち出すと誤解しているのですが、この空気ポンプは "ガスピストン" の空気が抜けた時に補充するためだけのポンプなのです。
ここまで書くと、では最初からその畜圧した空気を使って弾を撃ち出せば良いではないかと言われそうですが、もしそうした場合、空気の補充のため数百回のポンプを繰り返さなければ成らなくなります。これは事実上不可能です。ではガスピストンを使うと空気を放出しないのに何故強力な弾を撃てるかと言いますと、重たいピストンと弾の抜弾抵抗を利用した賢いアイデアが有るのです。
この銃にはガスピストンで押し出す、もう一つその前に重たいピストンがあります。コッキングしたガスピストンは引き金を引くと一気に解放され、重たいピストンを急激に前に押し出します、ピストンは瞬時に前進し弾の後ろの空気を圧縮します、空気銃の弾は銃身に込められていますがライフリングには食い込んでいません、ライフリングに食い込むには相応の力を掛けないと入らないのです。"これがミソです"スプリングはどんどん前進して弾の後ろの空気を圧縮していきます、単にガスピストンの力だけならその圧縮した空気の圧力の反発で逆に押し返されるところですが、重たいピストンの"慣性"のおかげで押し返されることはありません、弾の後ろの圧力が40気圧になると空気銃弾はライフリングに食い込み急激に前進を始めます、そしてピストンが機関部内部の壁に激突する前に空気銃弾は銃口を離脱します。ですから、銃のもの凄い振動が有っても命中精度には影響がないのです。ピストンが前進を始めるときに小さな初期振動が始まりますがこれは命中精度の影響を及ぼしますので、このタイプの銃を撃つときは、引き金を引く瞬間はしっかりと銃を押させてないと命中精度が劣悪になります。これが中折れ式空気銃を撃つコツなのです。昔は空気銃射撃の国体種目に、スプリング銃の部と言うのがありました、つまりスプリング銃は元々無反動の銃に比較してその命中精度に少しハンデキャップがあるものだったのです。

スーパー12はエアータンクを使用した空気銃です、このエアータンク200気圧まで空気を入れることが出来ます。昔は高圧ガス規制法と言う法律があり、この法律では100CCまでしか容器の容量を認めて無かったのですが、法改正があり、容器の大きさが400CCまで認められるようになり、この銃も日本で市販できるようになったのです。
圧力が200気圧と言うと、威力=圧力 という感じで圧力が強ければ威力が強いと単純に考えがちなのですが、一番大切なことは空気の"流量"なのです。
1回の発射にどの位の空気を放出するかで威力が決まります、この銃は200気圧の高圧空気を400CCの容器に入れて、70~90発消費します。
射撃競技用の銃なら同じ200気圧を、1/4の100CCの容器に入れたものを使い、200発以上使うことが出来ます。これを比較しただけで如何に大量の空気を放出しているかご理解頂けると思います。威力を増大させるためには空気銃弾が銃腔内を進んでいるときも常に弾の後ろに高圧の空気で加速し続ける必要があるのです。
クローマグナム、スーパー12の射程距離は50メートルです、狙うゲームは鴨、雉、カラス等です、ユーザーの多くがシャープの空気銃からの転向組ですから元々空気銃ハターの方たちが愛用されているようです。

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