ダブルライフルについて - 銃について

2000年 2月10日 築地

ダブルライフルとはライフル実包を使う水平2連銃であります。
上下2連のダブルライフルもブローニングから出ているのですが、私のノスタルジーなのか、それとも私の思いこみが強すぎるのか、上下2連のダブルライフルはどうしてもイメージが良くありません。
強度と言う面から言えば上下の方が強度的は出しやすいのですが、水平2連でその強度を再現しているところにダブルライフルの意味がある、なんて全く合理的でない理屈を持ち出してまことに恐縮ですが、ダブルライフルには元々合理性では説明しきれない存在でありますのでこうした屁理屈を言いたくなります。

何故ハンテングにダブルライフルが必要なのかと言う問いかけに対して、外国の文献は"より確実な射撃をするため"と書かれてあります。
自動銃は論外だが、ボルトアクションライフルの場合でももし装填不良の故障が起きても、ダブルライフルなら確実に2発撃てる、と言うのがその説明であります。ボルトアクションライフルで装填不良なんて、まずまず起こり得るわけは無いのです、逆に言うとダブルライフルでも、撃針折れや、スプリング折れが絶対に起こらないと言う保証も有るわけでは無いのですが、そういう説明しか出来ないのも事実です。
ダブルライフルを使うのは、どちらかと言うとハンテングに対する美学の問題であろうと思います、2発で獲物を倒せたらハンターの勝ち、2発の弾が当たらなかったら獲物の勝ち、そうしたハンテング美学が根底に流れているからダブルライフルに対しても思い入れが強くなるのかもしれないと思います。
ダブルライフルは元々アフリカでのハンテングを目的として作られた銃であるから、これで30-06なんて言う口径を選択するのは全く的はずれである、やはり375以上の口径でないと意味がない。意味が無いというよりサファリの場合は極めて危険ですらあるのです。
サファリハンテングをした人の多くが、究極のハンテングはケープバッファローだと言います、外国の文献にもそう書いてあります。
しかし、草原にいるケープバッファローを遠方から狙撃したのでは、危険でも何でもない。
アメリカのバッファローハンテングと同じであります。やはり正面から相対した場合のみ極めて危険なゲームとなるのです、亡くなられた大藪春彦さんと話したときは、ケープバッファローが一番怖かったと話して居られました、確か大藪さんは375を使われていたと思うのだが、正面から突進してくるケープバッファローに至近距離で3発かけて、4発目で倒したとか言われていました。もし最後の弾を外したら自分が殺されていたと言う話でした、ケープバッファローの頭蓋骨はかなり頑丈で3発の弾がそこで止まっていたそうです。
その大藪さんをニュージーランドで案内したのが、宮川雅雄さんです、彼は私の友人でそして射撃仲間ですが、彼もサファリでケープバッファローハンテングに挑みました。
足を骨折しながら車で追いつめて、ブッシュに潜んでいるケープバッファローが突然飛び出してきて、やはり彼も3発かけてやっと仕留めたそうです。かれのハンテング人生でも最大のイヴェントだったとみえ、仕留めたケープバッファローの写真はいつも彼の財布の中に入っています。彼の場合も同じように頭に3発弾頭を受けていたそうです。

話が横道にそれましたが、ですから2発しか撃てないダブルライフルを使ってのハンテングは美学となるのです、2発しか撃てない訳ですから375ではいささか心許ないという感じになるため、さらに強力な弾を使うと言うことになります。そうした強力な口径の弾を使うため銃身も太く、そして重くなります。口径によっては水平2連なのにボルトアクションより重たい銃にもなります。元々量産を考えて作られた銃ではないので値段も数百万と言う値段になります。ダブルライフルで有る程度の量産品と言う物を作っているのはヘイムです、昔はボルトアクションを作っていたのですが、最近はダブルライフルで有名になっています、値段も100万以下で売っているので買いやすい品物です。
命中精度そして工作技術も問題はありません、一度はダブルライフルを買いたいと言う人にはお勧めの銃です。
完全な手作りベースを今でも守っているのは、オーストリーのフェラッハでしょう、フェラッハと言っても会社の名前ではありません、町の名前なのです。ここでは小さな工房と呼べるような工場がそれどれオリジナルのダブルライフルを作っています。
ダブルライフルは2連と言うイメージが定着していますが、ここの銃はオリジナルですから水平3連と言う銃も作っています、最も私は個人的には水平3連なんてお断りですが。
ダブルライフルが何故こんなに高いのかと言いますと、やはり手間がかかると言うのが最大の問題でしょう、散弾銃の水平2連より手間がかかるのは、それぞれ2本の銃身が100メートル先でチャント同じ所に当たらなければならないからです。
2本の銃身は散弾銃と同じように、鉛で溶着されています、当然200度以上の熱を加えるので、溶着するまえは軸線が合っていたのに、温度を加えてそれが冷えると、どうしてもその方向に引っ張られるので銃身が曲がって狙いが狂ってしまうのだそうです、そのため先端にくさびを打ちながら、微調整をして仕上げるのだそうです、銃によってはそのくさびを入れたまま仕上げています、銃口からそのくさびが出ているため、銃口を下にしてついても、命中精度にとって一番大切な銃口を保護出来るからです。
イギリスではジェームス パーデー、ボスなどでダブルライフルの生産をしています。
価格は300万以上、納期は3年と言うことになります。
300万と言うと、ゲッ 高いと言われるかもしれませんが、かつて、日本ではこの300万の銃が1000万以上で売られていたこともあります。
現在世界で一番高い銃は、ある1丁のダブルライフルです、この銃はその歴史的価値のためこうした値段が付いています。
その銃はルーズベルト大統領の銃です、その銃は彼の功績をたたえた上院議員達の寄付で、ジェームス パーデーに依頼して作られました。
ルーズベルト大統領はそれを実際にアフリカでのハンテングに使用し、勿論獲物も仕留め、その写真と彼のサインも現存しております、さらに上院議員達のサイン、製作者のジェームス パーデー社の社長のサインまであります。
で、その値段は500万ドル(5億円)だそうです。某オークションで落札されました。
落札した人は、アメリカ上院議員の、あ、これは言えない事になっています。

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