ブローニング 自動ライフル - 裏側まで、徹底解説

2000年11月 7日 築地

ライフルの自動銃は色々あるが、世界中で一番売れている自動銃はブローニングである。
これだけは誰に聞いても疑いの余地のない事実であろう、当社でもブローニング95%に対してレミントンの自動の売上は5%位の物であろう、何故こんなにブローニングに注文が集中するのかというとバリエーションの豊富さと、故障の少なさが最大の要因であろう。
バリエーションで言うとマグナム口径を撃てる自動銃はこのブローニングしか存在しない。
マグナム口径も7ミリマグナム、300マグナム、338マグナムと3種類のマグナムカートリッジが使える。こんなに強力な弾を使えてしかも故障は皆無である。
当社では相当数の数を売っているが、修理で直す数は年間に極めて少ない、先程当社の販売量は95%がブローニング、レミントンが5%と書いたが、年間に修理するのはブローニングはレミントンと同じ程度の数でしかない、つまり圧倒的に故障が少ない。

照門
照門
ボス
ボス

ブローニングの銃のバリエーションは、通常の照星照門付の銃、ボスと言う反動軽減装置の付いたスコープ専用の銃、機関部がアルミ合金で出来た軽量銃と多種多様である。

しかしながら軽量銃はマグナム口径は対応していない、マグナム口径を撃つにはアルミ合金の機関部では耐久性が不足しているのである。軽量のアルミ合金機関部にもスコープマウントを取り付けるネジが切ってあるが、このネジの部分はアルミ合金では持たないので鉄の別部品が挿入され、ネジ部分だけは鉄で作られたブッシングで保持されることになるのでスコープを付けた状態でも充分な強度がある。

マウントネジ
マウントネジ

ライフル銃なのに、アルミ合金の機関部で強度は大丈夫だろうかとの懸念もあろうかと思うがそれは心配ない、弾の力を受けるボルトは、勿論クロームモリブデン鋼材で出来ている、ボルトの先端に歯車みたいなロッキングラグがあるが、これが銃身の後ろにある填め合いラグとかみ合って弾の圧力を受けているのである、アルミ合金の機関部は火薬と弾の反動を直接保持している訳ではないのである。
従って軽量化と言っても銃身、ボルト、激発機構は、クロームモリブデン鋼材で作らざるを得ないので軽量化と言っても自ずと限界があるのである、逆に言うと安全性だけは確実に確保されている。

ロッキングラグ
ロッキングラグ
ダストカヴァー
ダストカヴァー

機関部から見えるボルト部分は表面が白いがこれは防錆処理をしているので白いのである、しかし、この白い部分は実はダストカヴァーでこれにより機関部内部に木っ端等の異物の進入を防いでいるのである、ボルト本体はダストカヴァーの内側にありクロームモリブデン鋼材で作られているので黒い色をしているそれがボルトである。
時折、左用のブローニング銃はありませんかと聞かれることがある、じつはこの銃は左射手でも問題なく使える、あえて変更するなら安全装置を左右入れ替えるだけ大丈夫である、この費用は¥8000である。

安全装置
安全装置

勿論目で見て解るとおり、薬莢の飛び出るエジェクションポートは右側にある、左の射手が構えると顔の前にエジェクションポートが来ることになり、いかにも飛び出した薬莢が顔面を直撃しそうだが、そうはならない、薬莢は排莢されるときに薬莢の底の部分を中心にして先端部分、つまりネックの部分が外側に廻りながら排莢され、ネックの部分が機関部に激しく当たり、その反動で逆に前に回転しながら前方の45度の方向に飛んでいくのである。薬莢は後ろではなく、前45度の位置に排莢されるので顔に直撃することは無いのである。例を出すまでもないが、米軍のM-16もブローニングと同じように右側にエジェクションポートがあるが、兵隊の20~30%は左利きである排莢に関して支障があるという話は聞いたことがない。ブローニングは銃床の形状、グリップの形状も左右対照で、また銃床の曲がり、いわゆるキャストオフは作られていないので左右どちらの射手が使っても違和感は無いのである。
多くの自動銃がそうだが、弾を撃ち終わるとボルトは開いたままの状態で停止する、このボルトを前進させるのがボルトリリースである。

ボルトリリース
ボルトリリース
マガジンキャッチボタン
マガジンキャッチボタン
弾倉
弾倉

ブローニングは6ミリ口径の243ウインチェスターから8.5ミリの338マグナムまで色々な口径の銃が用意されているが、基本設計は全部同じである。
6ミリと8.5ミリでは反動も薬莢の大きさも大きく異なる、しかし大きく異なる弾でも同じように作動するのは、ガスポート部分が優れた設計になっているからである。
口径の小さい弾はピストンに小さな圧力のガスしか吹き付けない、逆にマグナムの場合強烈なガスを吹き付けることになる、この圧力差を同じように調整するためにガスピストンが作用している。

ガス調整装置
ガス調整装置
ガス放出口とピストン
ガス放出口とピストン

ガスポート部分にピストンが収まっているときは、どんな小さなガスでも逃がさずに受け止めることが出来る、しかしそのガスに押されてピストンが1センチ後退するとガスはリリースポートから全部抜けて余分な力がピストンにかからないようになっているのである。しかし薬莢を排莢し、ハンマースプリングをロックさせながらメインスプリングを完全に押し下げるには1センチではなく、10センチボルトが後退しなければならない、ピストンはわずか1センチしか後退しないのである。
ピストンが1センチ後退してボルトはスプリングを押しながら10センチ後退するメカニズムは、慣性の力である、ピストンは1センチしか動かないが、瞬間的に1センチ動くため、その慣性を受けてボルトはずるずると10センチ後退してしまうのである。
勿論弾頭が銃口内にある間にボルトが解放されると事故につながる、そのため弾頭が銃口から離脱して、銃口内のガス圧が完全に低下してからボルトは解放されるのである。
そのメカニズムを説明しよう、雷管に点火して弾頭が動き出す、全長52センチの銃身の中心まで前進するのに、1万分の5秒程度かかる、銃身の中心にガスポートがあるのでそこからガスが導入されるピストンを押し始める、その間弾頭はさらに前進を続け、さらに1万分の4秒くらい立つと銃口から離脱し、マッハ3弱のスピードで飛び出す。
ピストンはすでに作動を始めているがまだ数ミリ動いた程度である、銃口内のガス圧は充分に下がりつつあるが余分なガスは銃口から吹き出す。
銃口には炎と硝煙が吹き出しているが、すでに火薬は17インチの所で完全に燃焼しているのである、ピストンは1センチ移動してストッパーの力で停止するが、ボルトはさらに後退を続ける、ボルトが1センチ後退したところでボルトの先端が徐々に回転をはじめ、銃身とのかみ合いが外れる、ボルトはさらに後退して薬莢をエキストラクターが掻きだしてくる銃口内のガスはすでに充分に下がっているので薬室から吹き出すガスは無い、ボルトが7センチ位後退するとエキストラクターのバネの力で薬莢が排莢される。
この様なメカニズムで自動銃は作動しているのである。
この様に弱い弾でも、強い弾でもピストンが移動するのは1センチだけで、余分なガスは全て放出される様に出来ているので強い弾でも、弱い弾でも同じように作動するのである。

自動銃で一番錆びやすいのがこのガスピストンの辺りである、どんなに油を差しても、1発弾を撃つと油分は全て飛び散るので、銃を使った後は必ずここの油を吹いておいて欲しい、先台を外すのが面倒なら、ガスを抜くための先台と銃身の隙間からスプレーオイルを吹き込んでも良いが、出来れば先台を外して油を吹くのが望ましい。
先台の外し方は簡単である、負環金具のベースを回して取り外す、ボルトを一杯に引いてボルトストッパーを作動させておく、そうすると先台は前に簡単に抜くことが出来る。
こうすればガスポートに簡単に油を吹くことが出来る。
ここに吹き付ける油はWD-40をお使い頂きたい、間違ってもCRCは絶対に使わないようにしてください。

先台分解ネジ
先台分解ネジ

よく質問されることだが自動銃の場合、火薬ガスを使って回転させているのでボルトアクションの銃よりは威力が落ちるのでは? と良く聞かれるが、威力に関しては自動でもボルトでも全く違いはない、勿論初速も同じである。
それは火薬のエネルギーが弾を撃ち出す以上の十二分なガスを発生させているからである。弾を撃ち出した後銃口から火薬ガスが吹き出し、銃声が起こる、これは弾を撃ちだした後の余分なエネルギーなのである、その余分なエネルギーを使って自動銃は回転しているので撃ち出す弾に初速の低下は起きないのである。

スコープと照星照門
ブローニングには照星照門付のモデルと、照星照門の付いていない、最初からライフルスコープを使うことを前提としたモデルがある、ライフルスコープを使い場合は照星照門が付いていると低倍率のスコープを使った場合、照星がスコープの視野に入るのではなはだ具合が悪い、またスコープによってはスコープの先端が照門に当たる事になる。
人によってはスコープを使ったり、あるいは照星照門を使ったり、色々使い分けたいときがあろうかと思う、そういうときはリューポルド社製造のクイックリリースマウントを使うのがよい、マウントベースの横のレバーをひねるだけで簡単にマウントリングが外れる、取り付けるときもレバーの操作だけである、取り付け取り外しの時に生じる誤差は100メートルで1センチ以内であるから実用上なんの問題もない。ちなみに価格はセットで¥12000である。

ブローニングにはボス付もある、ボスの主な目的は反動軽減装置であるが、命中精度の向上にも効果がある "と、ブローニングが言っている" ので多くのユーザーに誤解を与えている、説明文によるとボスの目盛りの調整をすると命中精度が上がると書いてある、これは100メートルで3センチくらいの命中精度が出せる場合、ボスを調整すると2センチくらいになるというだけの事である、3センチ以上になる場合はボスをいくら調整しても意味がない。ましてや10センチくらいにしか集弾しない人がボスをどんなに調整しても集弾がこれより小さくなることはない。だから最近ではボスは調整しないで反動軽減装置として使ってくださいと言う説明に終始している。

ボス取り外し
ボス取り外し

ボス付の銃を購入すると、赤いプラの部品が付いてくる、これは何に使うかと言うと銃口から洗い矢ブラシを入れるためのガイドなのである、ボス付の銃は銃口を90度に切り落としてある、通常はマズルの部分を面取りと言って45度の角度で角を落としてある物なのだが、ボスの効果を高めるため銃口は角が立っており、そこにブラシを入れると角が傷付くことになる、銃の命中精度では銃口の角は極めて重要なポイントなのである、従って不用意にここからブラシを差し込むのはいけない、必ず赤いガイドを取り付けてブラシを通す様にしなければならない、銃口を保護するため赤いガイドの内径は銃口内径より小さく出来ているのである、そのためブラシの隣青銅が銃口を傷付けることはないのである。
ガイドに内径は銃口より細くできている、そのため間違ってこのガイドを付けたまま銃を撃つとガイドが弾頭で破砕されそのまま飛んでいくので絶対にガイドを付けたまま撃ってはいけない、そのために危険な赤色に出来ているのです。

ブランド
カテゴリー
ページの先頭へ