ベレッタ682と686を比較する - 裏側まで、徹底解説

2001年 8月21日 築地

従来まであった682が新モデルとなり、682Eと言うネーミングでリリースされたのは一昨年の事である。
それまで686と言うシリーズも682よりも一段下のモデルとして存在していた、682シルバーピジョン、あるいは682オニックスというモデルがそれである。
両方のモデルは外見上明らかに違いがあるので割合容易に判別することが出来た。

ところが、当然というか、思いがけずと言うか、686Eと言うモデルが突然発売されてきた、それまであまり情報が無かったので最初見たとき682と間違いそうになった、機関部に刻印してあるマークでかろうじて別のモデルというのが判別できた。
それくらい682ゴールドEと非常に良く似ているのである、但し値段はそれなりに安いのである。

機関部の刻印
機関部の刻印

682ゴールドEのトラップ及びスキートモデルの当社での値段は\305000であるが、S686Eのトラップ及びスキートモデルの値段は\250000である。

名前も間違いやすいし、値段も間違いやすい、どの部分にどれほど違いがあり、どういうメリット、デメリットがあるのか徹底的にリポートして皆さんにその違いを理解していただこう。

材質について。
銃身素材、及び機関部の素材についてはいずれも全く同じだと思われます、と言っても銃身を切断して断面を顕微鏡で見たとか、素材を分析したとかそのようなことをしているわけではないので断言すると言うにはいささか根拠に乏しいが、今まで何度も説明してきたのだが銃身素材はクロームモリブデン鋼材が唯一の銃身材料でこれ以外の材料を使うと言うことはあり得ないので、材料については同じだと考えるのが常識でしょう。

しかしながらいまだに高い銃には高い鋼材を使っていると信じている方も多いのでこれらの人に説得するのは難しいかもしれない、私の使っているベレッタのサイドロックの水平は銃身にボーラースチールと打刻してある、確かに同じクロームモリブデン鋼材でもボーラー鋼材は値段が高いのでこの様に打刻する意味は理解できる、ボーラー鋼の特徴は不純物が少ないことがその最大の特徴であり、だからといって特別に強靱な耐久性があると言う訳ではない。これはオーストリアで産出される鉱石に特徴があり、その為に以前は珍重されてきた材料なのだが、最近では製鉄技術が向上して為不純物のある鉱石でも徹底的に不純物を除去出来る高炉や技術が開発され最早ボーラー鋼を使う意味はあまり無くった。現在はベレッタの最高級の銃にもボーラースチールと言う刻印が無くなったので、ボーラー鋼材を使っていないか、使っても刻印する意味が無くなったんのだと思われる。

機関部比較
機関部比較
686機関部
686機関部

機関部にもクロームモリブデン鋼材を使うのは常識であるが、機関部を加工した後、表面硬度を上げて耐久性を上げるように処理するのもこれも現在では常識である、機関部の色で見ると682ゴールドの方がいくらか黒ずんで見える、私は窒化処理の結果かなとも思ったのだか、両方の機関部の堅さを見てみると、ロックウエルで45程度出ているので両方に硬度の違いはない、とすると単純にメッキ処理の違いだけと言うことになる。
せめてメッキの色くらい変えておかないと値段差の根拠にならないと言う発想かもしれない、一般のユーザーに違いを認識させるには色と形を変えるしか手がないからであろう。

機関部上部比較
機関部上部比較
機関部上部比較
機関部上部比較

機関部の上部のつや消し部分はそれぞれ少しの違いを見せている、多少は682の方が、手がかかっていると言うことは出来る、最もだからと言って別にどうと言うことはないが。
また機関部のデザインも多少の違いが見受けられる、しかし、これも別にどうと言うことはないが。

外見上の違いをもっと探してみよう。
引き金は686が固定式なのに対して、682ゴールドの方は移動式に出来ている、この辺りはユーザーにとってはメリットと考える人も多いかもしれない。
また686にはスペアの引き金が付いているのも価格差の違いであろう。
銃床のチェッカリングに付いても違いがある、686はチェッカリングなのに対して、682ゴーリドはレーザーチェッカリングである、これもそれぞれの好みで別にどうということもない。リブ幅、リブの形状をみても同じ作りである。

サイドリブの比較
サイドリブの比較
リブの比較
リブの比較

銃身のサイドリブに付いては明らかに外見上の違いが見られる、686のダイドリブはフラットなのに対して、682ゴールドの方はスリットが切ってある、ほとんどの高級銃はスリットが切ってあるのが普通だから、ここにははっきりと価格差を付けてある。

銃床素材については一般論として言えば682ゴールドの方が良い素材を使っていると言えるがその差はわずかな差である。

先台の比較 横
先台の比較 横
先台の比較
先台の比較

銃を注文されるお客様の中には、同じ銃の中で出来るだけ良い銃床の物を選んでくださいとわざわざ言われる方もあるが、このクラスの銃で、値段の割に高価な銃床材料が間違って入っていた、等と言うことは1000丁の内に1丁もない、このように特別に木目の良い銃床が間違って安い銃に使われると言うことは絶対無いのですべて値段相応の銃床がつけられている事をご理解下さい。
DT-10はそれなりに、ASE90もそれなりに SO5もそれなりの銃床が使われていますが、逆の例は皆無です。

元台の比較
元台の比較

外見上の差を最後に一つだけ申し上げると、少しセコイが、ガンケースに金属の鍵が付いているのが682ゴールド、付いていないのがS686Eである。ここまでくるとほんとにセコイ話である。

ガンケース比較
ガンケース比較

外見上の違いはここまでで、内部機構の違いは全くない、全く同じ物である、引き金が前後調整出来ることを除けば部品の互換性すらある。完全に同じパーツである。

ではベレッタのロッキングメカニズムを紹介しよう。
トップレバーをひねるとロッキングアームが後退して銃身と機関部のロックを解除する。

ロッキング機構
ロッキング機構
ロッキングアーム
ロッキングアーム

ロッキングアームは機関部から2本の丸棒として機関部から突き出て、これが銃身のロッキング部分に組み合わされる。トップレバーをひねると同時に安全装置が働き、引き金を引けないようにロックする。
銃身を折り曲げると機関部のロッキングシャフトを押し、機関部に組み込まれたハンマーのシエアーがハンマーを押し上げ、引き金にロックさせる、これで激発準備完了である。

ロッキングシャフト
ロッキングシャフト

これでトップレバーを戻し、安全を外して(射撃場でいちいち安全を使う人はいないが)引き金を引けば初矢が発射される、初矢が出た後その反動で振り子が後ろに下がり、それで2の矢ロックが解除され、2の矢が撃てる。

振り子
振り子

この様にいちいち弾の発射を確認して次の弾を撃つような構造にしているのは、引き金を軽くしすぎると発射の衝撃で2の矢のハンマーのロックが外れて同発になるのを防止しているからである。

セフテーの仕組み
セフテーの仕組み
引き金の安全機構
引き金の安全機構
引き金の安全機構 解除
引き金の安全機構 解除

ベレッタのプルレングスは370ミリである、当社で販売しているペラッチは注文生産であるが、銃床の長さは360ミリから380ミリ以内なので、ベレッタの寸法は平均的な日本人の好みに合っていると言うことが出来る。

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