レミントン700 ポリス - 裏側まで、徹底解説

2001年 8月27日 築地

レミントン700ポリスは警察向けの狙撃銃である。
てな書き出しで記事を書くと、仕事熱心な行政関係の方が読まれると、うむ、それではこの銃は狩猟用ではないな! と言い出しされかねない。
皆さんは"まさか"、行政官がそんな無謀というか無知なことを言うわけがないと思われるかも知れませんが、先々月号の狩猟界に今村銃砲の今村さんがサコーTRGを輸入しようとして警察からこの銃が狙撃銃だと認定され、輸入許可が貰えなかったと言う顛末が書かれているのでお読みになるとその"まさか"が現実に起こり得ることをご理解頂けるでしょう。
これは行政関係者の方が、たまたま、サコーTRGをどこかの軍隊で使っている写真を見て、仕事熱心なあまり、俺の目の黒いうちは何が何でもこの銃は輸入させないと決断されたのかも知れない、確かにこういう姿勢は仕事熱心かも知れないがたまたま目に付いた物だけに規制をかけようと言うのでは逆に言うと仕事に対して無知と言うことにもなる。

軍隊で使っている銃は猟銃としての輸入を一切認めないと言うので有れば、それでは1950年からアメリカ軍の狙撃銃として採用されてきたレミントン700、この銃はボルトアクションライフルとしては最も多く日本に輸入された銃であるがであるが、この銃については行政の仕事熱心な方はどういう説明をなさるのであろうか?

700ポリス
700ポリス

行政が無知だと国民が迷惑を被るが、さりとてあまり行政の悪口を言うとこちらまで目を付けられかねないので、逆に行政の方たちの立場に立って説明してみると、元々メーカーが猟銃として開発した物を、たまたま軍隊が狙撃用として採用したからと言ってそれが急に軍用銃になると言うのでは軍用銃の判断基準そのものが間違っているからである。
軍隊で使っている物は軍用銃、民間で使っている物は猟銃、軍隊で使っている物は軍用車、民間で使っているも物は自家用車、形が同じだから全部同じものと言うのでは行政に対する信頼はほとんどなくなりつつあるが、これでは法律に対する信頼までなくなりかねない。
昔からアメリカ軍の狙撃銃として使われてきたレミントン700であるから、いまさら警察向けの狙撃銃だと言っても、行政の方たちが目くじら立てられることも無いだろう。
最も狙撃銃だと言う言い方をしてもハンターが使えば猟銃になる、勿論軍隊が使えば全く猟銃と同じ銃であっても軍用銃という事になる。要はその使用用途で銃の名称も自ら変化するのである。この銃の機関部にはレミントン700と刻印があるが、軍用も、警察用途の銃も、そして猟銃もすべて同じ刻印なのである。何処にも違いはない。

刻印
刻印

刻印は同じなのだが多少は違いがあるのでその違いに付いて説明してみよう。
この銃のベーシックモデルは700バーミンターである、バーミントライフルは小さな動物を遠距離から狙う猟銃であるので、命中精度を最重要視して作られている、そのため重量は他の700より重量的には重たく出来ている。銃が重たいのは銃身の外形が太いからである、銃身が太いことは射撃時の銃身の熱の上昇を防ぐこと、反動を軽減すること、銃身の歪みが生じにくい、と言うことが利点として上げられる。
寸法的にはそのバーミンターと全く同じ寸法で作られているのがこのポリスモデルなのである。寸法的には全く同じであるが金属の表面処理は大きく異なる。
この銃の表面処理は最初にパーカーライジング処理をしてある、パーカーライジング処理をすると表面は隣酸皮膜が覆うので本来の色は白色になる、しかしながら白色では商品価値が半減するのでパーカー処理の上から黒染め処理を施してある。
パーカーライジングは防錆効果が極めて高いので、警察官が警察の装備品として使う場合、自分の銃と違い"手入れを怠るかも知れない"と言う前提でパーカー処理をしてあると言えなくもない。実はこのパーカー処理、顕微鏡で見ると小さなガラス状の結晶が表面に付着しているのが視認できる、顕微鏡の世界で見ると表面はかなり凸凹なのである、そのため表面が乱反射してつや消しの様な表面に仕上がっているのである。
金属の表面に処理するならば何の問題もないのだが、これが銃身の中に付着すると表面が凸凹なので命中精度は極端に劣悪になる。
レミントンの偉いところはちゃんと銃身内にはパーカー処理液が侵入しないように薬室側と銃口側にちゃんとプラグをして処理していることである、そのため銃口から覗くと、銃身内はつや消し仕上げになっていないことが簡単に視認できる。

銃身はまぎれもないレミントン製だが銃床はHSプレシジョン社製なのである。
この銃床の特徴は銃床の中に機関部を保持するためのアルミのフレームを埋め込んである事である。
プラスチックのままだと金型整形後変形しやすいのでアルミを埋め込むと変形が発生しない。

インナーフレーム
インナーフレーム

この銃床は外国では通称パームと呼ぶがグリップの所に脹らみを付けてあるが、脹らみが左右両方に付いているのが特徴である、警察の装備品の場合、右利き、左利き、どちらの人は使うか解らないので両方に対応しているのである。
一昨年までポリスモデルには弾倉交換式のモデルも有ったのだが、現在はヒンジタイプと呼ばれる固定式弾倉の物しか作られていない、狙撃用と言う以上、弾倉を交換して5発以上の弾を撃ち尽くすというのは現実的には考えられないからであろう。

銃床には負環の止め金具が2本付いている、先に付いているのはここにバイポットを取り付けるためである、後ろの金具にスリングを取り付ける。

皆さん方常識人にとってはとうてい信じられないでしょうが、バイポットが取り付く銃は軍用銃であると、我々輸入業者が血の気の引くような無謀な事を行政の方たちは平気でおっしゃいます、ですからこの銃にバイポットの付いた写真を公開することは出来ません。
負環の金具が2個付いているのは気の向いた時に好きなところに負環を付けるためかも知れませんが、ひょっとしたら先の方のはバイポットが付くのかも知れません、と、この程度しかかけませんので私の苦渋の内情をお察し下さい。

先台負環
先台負環

この様に馬鹿な人間が公務員になると国民が非常に迷惑します、私自身は元々納税意欲はあまり無かったのですが、こんな馬鹿公務員に給料を払うために納税するかと思うと、なおさら納税意欲が減退してきました。

ジュエルトリッガー
ジュエルトリッガー
ボルト分解工具
ボルト分解工具

引き金は通常のレミントントリッガーですが、これをジュエルトリッガーなどに交換すると引き味はさらに良くなります。ジュエルトリッガーの値段は¥38000です。

ボルトを分解するとき、またコッキングが外れたとき、再コッキング等に使うボルト分解工具は¥4500です。勿論、他のレミントン700全てに使えます。

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