サコー フィンライト - 裏側まで、徹底解説

2002年 3月13日 築地

昨日、お客様からメールを頂いた。

ホームページ、数日更新がないと「身柄を取られたかな」と心配しています。警察も「高飛びしたか」と思うでしょう。

メールの発信人は某大新聞社の社会部の記者さんである、勿論ジョークで書かれたメールには違いがないのであるが、私の場合冗談が冗談で無くなる場面も充分想定されるので、また大急ぎでHPを頻繁に更新しなければならない、そうしないとお客様にも、行政にも疑念を招くことになりかねない。
そんな訳で、急遽、サコー、フィンライトのレポートに取りかかる事にする。

この銃はサコー75の軽量版である、この銃のカタログは意外と少なく、2002年版のベレッタ総合カタログには掲載されているがそれ以外には出回っていないのである。
従ってこの銃の詳細をレポートするのは雑誌も含めてこのレポートが始めてでは無いだろうか?

前回リポートしたレミントン700チタニュームとの違いは、チタニュームの弾倉は固定式なのと比べて、フィンライトの場合は着脱式に出来ていると言うことである。

どうしても軽量化と言うことになると弾倉は固定式にならざるを得ない、ウエザビーウルトラライトもそうだし、当社では取り扱いをしていないが、ウルトラライト社の、ウルトラライト、ライフルも弾倉は固定式である。
しかしながら、これらの銃を購入した人たちの多くが、後日、弾倉を着脱式に改造できないかと度々相談される、実際に使ってみると弾倉交換式の利点に着眼されるからであろう。

着脱式弾倉
着脱式弾倉

その点、最初から着脱式弾倉に設計したサコー フィンライト軽量モデルの登場はそれなりに大きな意味を持つことになる。

軽量モデルと言っても、レミントンチタニュームみたいに機関部に特殊な材料を使った訳ではない。
機関部は通常のサコー75と全く同じステンレス鋼である。但しロングアクションの場合サコー75と比べて、銃身を24インチから21インチに変更し、その銃身にスリットを切って、重量を3.75キロから3.15キロに減量している。
さらに308口径等のショートアクションの場合、機関部がロングアクションと比べて少し短いのでさらに軽量化されている、銃身もさらに短くされて20インチになり、重量は3キロとさらに軽量に出来ている。

フルーテッド銃身
フルーテッド銃身
ロングアクションとショートアクション
ロングアクションとショートアクション

減量化の為、トリッガーガードと弾倉は軽合金を採用している、従来のステンレス製と比較すると白さがより際だって見えるのはそのせいである。

アルミ弾倉
アルミ弾倉

サコーのシンセテック銃床は全体的に黒色で出来ているが、握りと先台の部分に灰色で出来ている部分があるが、これは柔らかいゴムが貼り付けられている部分である。

ゴムを貼り付けているその目的は握った感じが柔らかいことと、それと寒冷地で使った場合、シンセテックみたいに手に張り付いたり、冷気を感じないことである、これは結構寒冷地では効果的なのである。

ゴム引き部分
ゴム引き部分

サコー社が、ベレッタの傘下に組み込まれた事はご存じの方も居られると思うが、そのため現在はサコー純正のカタログは存在しない。
サコーのカタログはベレッタの総合カタログの中に掲載されているが、2002年のベレッタ総合カタログはまだ国内には出回っていないので、サコー フィンライトのカタログをご覧になった方は案外少ないのではなかろうか。

ベレッタ傘下に組み込まれる時に、イタリアベレッタ本社のサコー担当者がサコーマウントの注文を忘れた為であろうか、現在サコーの純正マウントが世界的な規模で劇的に不足している。
当社でも相当数在庫していたのであるが、現在はほとんど在庫も底を突いている有様でベレッタの不手際で入荷予定もはっきりとしていないのが現状である。

そこで代替え品としてドイツ製のEAWのマウントをお勧めしている。
EAWのマウントは全部削りだしで作られており、さすがドイツ製と言う出来の良さである。
しかしEAWマウントは削りだしで作られているために、他の機種の市販価格は5万円近くしているのであるが、サコー用マウントに関しては、サコー純正マウントと同じ2万円で販売しているのでご安心頂きたい。

EAWマウント
EAWマウント

前回のレミントン700のレポートでは、銃床の先端が銃身を押させていると書いてあるが、ウエザビーライフルも銃床の先端で銃身を押さえている、これは細い銃身の命中精度を確保するための一つの手段なのである。
しかしながら、ファインライトの銃身はフリーフローテングになっている、つまり銃身と銃床は全く接触していないのである。

これは銃身の太さを限界までに細くせず、有る程度の命中精度を確保しているためであろう。

そのため銃身と銃床の間に紙が差し込める隙間があり、多くの射撃専用の銃はみんなこの様にフリーフローテング加工をしてあるのである、これは銃身の振動を銃床などで阻害しないことにより命中精度を高める方法なのである。

フリーフローテング
フリーフローテング
先台の紙
先台の紙

話は変わるが、銃を梱包するときに銃身の銃床の間に茶色い紙が挟んである、またボルトも茶色い紙で巻いて、ビニールで密閉してある。

これは何のためにそうしているかと言いうと、錆止めの為なのである。

梱包されたボルト
梱包されたボルト

実はこの紙に有る薬品を染みこませてあり。この薬品が蒸発してガス化すると、錆の原因である酸素を除去する事が出来るのである、そのためこの紙を入れて外気と遮断すると、銃はほとんど永久に錆びないのである。

しかしながら、この銃はすべてステンレス製であるが、ステンレスと言えども銃器に使われるステンレスは"鉄分"が多くて限りなくスチールに近いステンレスなのでこうした防錆び処理が必要なのである。

サコー フィンライト、ロングアクションモデル (口径30-06、270)
全長:105.5cm 銃身長:53.5cm 重量:3.15キロ

サコー フィンライト、ショートアクションモデル (口径308ウインチェスター)
全長:103.0cm 銃身長:52.0cm 重量:3.0キロ

いずれも価格は¥225,000である。

ブランド
カテゴリー
ページの先頭へ