ウナートル スナイパー スコープ - パーツ&アクセサリー

2004年 3月 2日 築地

私がこのスコープを初めて見たのは、今から15年くらい前、狙撃訓練の為に訪問した沖縄のキャンプハンセン海兵隊基地でした。
羽田でJALのカウンターで携帯ののライフルを預けたため、ライフル射撃場の無い沖縄で何をするのかと怪訝に思ったスタッフが警察に電話したため、沖縄の飛行場から沖縄県警の尾行されました、勿論パンダ模様のパトカーではなくて、一般車両を装った車でしたが、さすがにスナイパー訓練所のスタッフですから「尾行されてる」と教えてくれました。
キャンプハンセンでは射撃訓練をしたことは事実ですが、自分の銃を使ったかどうかについてはコメント出来ません。
(私が行った当時、キャンプハンセンには現在のウナートル社の社長、ロッキー グリーンさんが勤務していたのでひょっとしたら何処かですれ違ったかも知れませんね)

さて、キャンプハンセンでは、今までに見たことのないスナイパーライフル、M40-A1がありました、それまでのスナイパーライフルというと、レミントンバーミンターにレザーウッド、スナイパースコープを取り付けたのが、唯一海兵隊のスナイパーライフルだったのです。
その新しいスナイパーライル、40A-1に取り付けられていたのがこのウナートルスコープでした。
M40A-1スナイパーライフルは、銃身はハート、機関部はレミントン700、銃床はマクミラン、引き金はジュエル、トリッガーガードはウインチェスターM-70用のスチールトリッガーガードの構成で作られていました、マウントはレッドフィールドのワンピースマウント、前後とも90度回して固定する、ヂュアルドブテールのリング、それにマウントリングの止めネジは上からでなく、下からネジ止めするBlack Luster と言うタイプのリングを使います、下からネジ止めするリングはレッドフィールド社でしか製造していません。
ヂュアルドブテールで前後のリングとも固定し、しかも下からネジ止めするなど、非常にやっかいな作業を強いられますが、それが一番信頼できる方法なのかも知れません。
このライフルは市販品ではなくて、すべて海兵隊で海兵隊のガンスミスが組み立てて作っていたのです。驚くことにスナイパー訓練中の射撃場の隣には大きなトレーラーが常駐しており、そこがガンスミスの工房に成っていたのです。

ウナートルスコープのボデーは1インチです、多くのタクチカルスコープが30ミリなのはリチクルの移動量が大きく取れるので30ミリボデーを使っていますが、ウナートルの場合、100ヤードでのリチクルのセッテング位置が最初から下になっているので、100ヤード射撃の位置にリチクルをあげても、ボデーの上にぶつからない設計に成っているのです、そういう意味では何も無理矢理30ミリボデーで設計する必要はないのです。
多くの人の間に誤解があるのですが、1インチボデーより、30ミリボデーの方が明るいとか色々間違った事を言われる事が多々ありますが、光学的に言うとボデーの大きさは何の関係もありません。

ウナートルスコープ
ウナートルスコープ

ウナートルスコープのレチクル調整は極めて特殊な方法です。
この設計はウナートル社の特許だったのですが、すでに特許は有効期限が切れているので、USオプチクスで100%同じ物が作られているのです。
しかし、USオプチクススとウナートル社の間で裁判が行われ、ウナートル社が勝訴し数千万円の賠償金をUSオプチクスが支払わなければ成らなくなったのですが、その保証の多くは、USオプチクス側の営業妨害の訴訟です。
同じ製品を作ったと言うことが裁判の争点に成ったわけでは無いそうです。
ウナートル社に対してUSオプチクス社が色々な誹謗中傷をしたことが営業妨害と認められたようです。そのため毎月USオプチクス社はウナイトル社に相当額の損害金を払っていると言うことでした。

ウナートル社の社長、ロッキーさんにショットショーでインタビューした中で、USオプチクスとウナートルとの相違点について色々質問したのですが、大きな相違点はレンズの違いだと強調していました。
ウナートル社の場合は全部アメリカ製だが、USオプチクス製はアジア製のレンズを使っていると言うことでした、これも最初はUSオプチクスはレンズはアメリカ製だと言っていたのですが、裁判の中で解った事実だそうです。
アジア製と言われても、日本もアジアなので、いささか私もムッとしましたが、日本のレンズが優秀なのはカメラ用のレンズだとか、そういう汎用向けのレンズは確かに優れているようです。しかしながら純粋の軍事用となると、これはもうアメリカ製の独壇場なのです、例えば、天文観測史上最大の貢献をした宇宙空間に打ち出されたハッブル望遠鏡ですが、これは100%アメリカ製のレンズが使用されています。軍事偵察衛星に使われる超高倍率、超高解像力のレンズもアメリカ製です。
実は、日本が世界に誇るスバル天体望遠鏡もアメリカ製なのです、どうです以外でしょう?
光学系は日本製が世界一だと思っていませんでしたか、実はアメリカ製が一番なのです。
人工衛星を追尾撮影するカメラがあるのですが、そのレンズをソ連に輸出した職人はスパイ罪でFBIに逮捕され無期懲役ですからね、日本にはスパイ罪はないので日本に注文すれば何の問題もないのですが、そこは人工衛星追尾用のカメラレンズはアメリカ製でないと駄目だったんですよ。
この様にレンズ物では最先端の物はアメリカ製と言うのが、本当は常識なのです。
ですから、ウナートル社がレンズは100%アメリカ製と胸を張るのは、レンズが良い事は勿論ですが、レンズ自体が相当高価であることを意味しています。

世間一般に言われるミルドットリチクルですが、多くのレチクルはエッジングで作られています、いわゆる写真製版と同じ様な技術ですね、薄い銅箔を写真蒸着した部分以外を溶剤で溶かして作る製法です、この場合リチクルのワイヤーをあまり細くすることが出来ないのです、またリチクルが切れやすいと言う欠点もあります。
ウナートルのリチクルは「メカニカル」製と言うことです。
縦横2本のワイヤーを張って、それにミルドットを取り付けるのです、細いワイヤーにどの様にしてミルドットを正確に付けていくのかどうして作るのか全く想像できません、現在この製法でミルドットリチクルを製造できるのは世界で1社、テキサス州にある*社しかありません。
エッチングの場合、このミルドットが大きくて、如何にも団子の串刺しに見えますが、ウナートルのミルドットは非常に細身なのです、ですからミルドットに邪魔されて目標が視認できないと言うことが無いのです、これがUSオプチクスとの大きな違いでしょうか。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
ウナートルスコープ
オリジナル画像

ウナートルスコープには照尺が着いています、308ウインチェスター、弾頭148グレイン、初速2800フィート、フルメタルジャケット軍用実包を使う場合、射距離に応じて正確な弾道修正が行えます。この弾道修正の方法も独特です。

ウナートルスコープ
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まず300ヤードでサイテングする場合、照尺の目盛りを(3)にします。
それから横のロックネジを緩めて、真ん中のネジで上下の調整をします、上に弾着を移動させたいときは、時計方向に回します。

弾着を下に移動させたいときは時計と反対方向に回します。
上下の弾着調整が終わったら、横のロックネジを固定します。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
ウナートルスコープ
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これでダイヤルのネジを(5)にすれば500ヤード(8)にすれば800ヤードの距離に自動的に弾道修正が行われます。弾道修正ダイヤルは(10)迄しかありませんが、1000ヤード以上は308ウインチェスターの射程外と考えて良いでしょう。
上下調整のダイヤルの下に、副調整レバーと言うべき物があります。
これは、射撃する条件により、弾着が上下に移動することがあります。
つまり空気の密度です、大気が寒いと空気の密度が大きいので飛翔する弾頭の抵抗力が大きくて弾着は下がります。
空気が暖かいと空気の密度が薄いので弾頭の受ける抵抗は減少し、弾着は上になります。
この様な場合、副調整レバーで上下に3MOAだけ弾着を調整出来るのです。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
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左右の調整も同じように横のロッキングネジを緩めて行います。

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