水平二連で射撃を! - 射撃

2002年 6月17日 築地

この間射撃場で、お客さんから「築地さんは週1ですか」と聞かれたので、」私は通常週2ですと答えた。お聞きになったお客様は30代だったので、我々の30代世代は週2回と言うとなかなか女房が良い顔をしないのですよと言われた。
中には、週1どころか、月2とか、月1と言う例も決して珍しくないそうである。
そう言えば、私自身も半年に1回とか、年に1回とか、中には4年に1回とか、まるでたまにある楽しみがオリンピック開催年みたいな方も知らないわけではない。
4年に1回は論外だが、月1のペースでは体中がムズムズしてこないか人ごとながら心配である。私の場合月1では欲求不満で発狂しかねない。
私は50代だが、お客様の意見では、50代で週2回と言うと他の人から比べても多い方ではないですかと言われたが、私の楽しみは唯一これしかないので、出来る事なら週2どころか、週7でも大歓迎と言うのが私の本音である。私って異常でしょうか?
私は、この世界の初体験は14歳だったが、現在まで週1のペースは崩していない。
若い頃、アメリカでガンスミスの修業時代を過ごしたが、そのような恵まれない環境でも週一の励行を欠かしたことはないのである。
先月まで、私の休みは土、日、だったので、どうしても射撃は土曜日だけに集中して、日曜日は大会で事実上射撃場が使えないので、致し方なく、日曜日は映画を見たり、本屋を回ったり、昼間かからビールを飲んだ入りして1日を過ごすことになる。不健康この上ない事である。
しかし、今月から日曜日を出勤する替わりに、金曜日を私独自の休みにしてから、金曜と土曜日を射撃に振り当てる事が出来るようになった。
そんな訳で現在では毎週のお楽しみは週2回と成ったのである。

さて、今回のコラムのテーマは水平2連で射撃を!と言うテーマでお話しをする事にします。

私は週2回射撃場に行っていると書いたが、毎回同じ銃を撃っていたのではさすがに飽きが来る、そこで毎日同じ銃ではなく、以下のような色々な銃を取り混ぜて使っているのである。

まず、上下2連銃はペラッチSCOサイドプレート、この銃は某ペラッチ代理店の値段では700万円以上した銃である、当社で扱うようになって大分安くはなったがそれでも、現在では280万円である。FN-D4、ブローニングの上下でDグレードは一番高い、ブローニングの上下でDグレードの銃は如何なるルートから取り寄せても350万円以下にはならない、正規代理店の値段は470万円である。メルケル303サイドロックである。この銃は旧東ドイツの頃に作られた銃で、現在製造されている東西ドイツが合併後に作られた銃とはレーバーコストが全然違う銃である、東ドイツがまだ健在の頃は日本国内の定価は500万円していたのである。こうした銃をかわるがわる撃ち、またその合間に気分転換に水平2連銃を撃つことにしている。

ペラッチSCO
ペラッチSCO

私はクレー射撃のオリンピック出場を目指しているわけではない、射撃は単純に私の楽しみなのである。
射撃競技はライフル射撃だけで充分尽くした。14歳から54歳まで、40年間射撃競技をやってきたので、競技人生はもう結構と言う心境である。

私は現在は56歳、これからは生涯スポーツトしての射撃を目指そうと考えている。
上下だけを撃っていると、何となく銃が重く感じたり、その為か銃のスイングが鈍くなったりするが、水平二連を使うと、銃が軽いので切れ味の鋭いスイングをする事が出来る。
トラップ射撃をおやりの方ならお解り頂けると思うが、飛び出したクレーが力無く二枚に割れたりすることが良くある、これはスイングの切れが良くない証拠である。
ショットガンで撃ち出された散弾は、パターンと呼ばれる広がりと、散弾の連なりであるコロンで構成される。銃のスイングが鋭いと、コロンの繋がりが適正なので飛翔しているクレーに散弾の粒が次々と命中するためクレーは粉々に粉砕する、銃のスイングが遅い、あるいは撃つ瞬間に銃が止まった時など(銃が止まると実際は当たらないが)散弾の広がりのほんのわずかな粒が命中するだけなので、力無く"パカッ"と二つに割れたり、クレーは割れなくてクレーに塗られた白い粉だけが舞ったりするだけである。こんな時は銃を鋭くスイングさせればクレーは粉々に粉砕するのであるが射撃がマンネリ化していると鋭いスイングと言ってもなかなか出来ないのである。
そんな時に、水平二連銃を撃つと、銃が軽く、銃身が短いので上下2連銃の感覚で銃を振っても以外と鋭いスイングが出来るのである。

水平2連銃は鋭いスイングが出来るが、だからと言って水平2連でオリンピックに行けと言っている訳ではない。上下2連銃でスランプ陥ったり、マンネリ化した射撃しか出来なくなったときには水平2連銃を撃って、心機一転、また射撃の楽しみを見いだそうと言う訳である。上下を撃った後水平2連銃を撃つとまた新鮮な感覚で射撃が出来る。

ベレッタ451EELL
ベレッタ451EELL

水平2連銃の銃身長は長くても28インチしかない、絞りもフルとモデである、本来が狩猟用の銃であるのでベンドも深い、従ってクレーを狙う場合、前に出るクレーは素早いスイングで追い越しざまに撃たないと必ずスイングは遅れる。横に飛ぶクレーでは出来るだけ早く取らないと、絞りがモデなのですぐにパターンが広がる、そうした難しさがあるので上下2連銃と違ってまた水平2連銃の射撃は楽しいのである。そしてそれこそがクレー射撃の最も大切な基礎ではないか。

水平2連銃を撃つ時には、先台を持つ方には必ず手袋が必要である、これがないと焼けた銃身でやけどをしてしまう、私の使っているベレッタは、銃身の周りまで銃床でカバーしたビーバーテール銃床である、これがイギリスなどの伝統的に水平2連銃にある、小さなクラシカルタイプの先台だと、先台を持つ手は必ず銃身に触れているので手袋無しではとうてい使えない事になる。
水平2連銃でクレー射撃と言うと、射撃競技としては完全に場違いのような印象を持たれるかも知れないが、私が射撃を始めた昭和30年代は、割合多くの人が水平2連銃で射撃を楽しんでいたのである、事実、この頃開催された国体でも水平2連銃で国体に参加した選手も数多く存在するのである。多くの人がその存在すら知らないかも知れないが、有名なジェームスバーデーでは水平2連銃のトラップ専用銃すら製造している、私も一度見せて貰ったが、銃床のベンドが高く、リブの高さも狩猟用の物より高く作られていた、その銃は今は亡き萬屋錦之助さんの愛銃であったが、今は誰の所有になっているか私は知らない。この様に水平二連でも充分に射撃に使えるのである、しかも軽い、切れ味の良いスイングが出来ること請け合いである。それに第一撃っていて楽しい。
水平2連で当たらなくても誰も"下手くそ"と侮らない。しかしながら実際には上下と比べて1~2枚、悪くても2~3枚しか違わないのである。

ペラッチ上下とベレッタ水平
ペラッチ上下とベレッタ水平

水平2連銃の欠点は強い弾を撃てないと言うことである。昔のトラップ射撃では32グラム装弾を使っていたので、この装弾だと水平2連だと10万発は撃てないだろうと言われていた、強装弾を使った場合、やはり銃身と機関部の間に隙間が出来る。
それに、現実問題、昔は軽い水平2連銃で32グラム装弾を500発も撃つと、肩が痛くなり、頬付けも甘いので負けたボクサーがパンチを食らったみたいに頬が大きく腫れたものである。
そのためクレー射撃で水平2連銃を使うのは邪道扱いされたのである。
しかしながら、現在の射撃用装弾はわずか24グラムである、この様な弱装弾だと10万発撃ってもびくともしない。今でこそクレー射撃に水平2連銃を使える時代になったのである。私は現在ベレッタ451EELLと言う水平2連銃を使っている、すでに20年前に製造中止になっているが、当事、アメリカで$15,000していた銃である。単純に現在の為替1ドル¥125で計算しても日本円で\1,875,000である。あくまでも私の推測でしかないが、当事の銃砲業界は論外の価格体系をしていたので国内価格は400万円位していたのかも知れない。

私の体には、ガンマニアとしての資質が流れている、そのためにこうした超一流の銃を好むのである、良い銃を使うと、良い銃と悪い銃の違いが如実に分かる。
そのためそうしたガンマニアとしての知識は私のビジネスには絶対必要な事なのである。

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