装弾の相談を読んだ方からの装弾の相談です - 装弾

2003年11月19日 築地

貴社にMX8を発注し現在所持許可待ちの**と申します。
所持許可待ちの間、はやる気持ちを築地氏のコラムを読んで気を紛らわしている今日この頃ですが。銃の選択および購入もネットですませ、射撃に関する具体的な情報は全てネットという非常に非現実的空間の中ですませてきたので、これから射撃を始めるにあたり装弾に付いての知識が無く、唯一知っているのは、教習射撃で使用したNIKEというブランドの装弾だけです。
つきましては、築地さんの豊富な射撃経験から、装弾のメーカー(ブランド)、使用経験上の感想など(出来れば値段なども)、これから射撃を始める人間にとって、装弾を選択するアドバイスを頂ければ有りがたいです。


以下、私の格調高い回答です。
私はライフル射撃の初体験は14歳ですから、異性関係との初体験より銃器関係の経験の方が2年だけ早いことになります。
こうした豊富な体験から言うと、ライフル銃と装弾の関係は、新婚ほやほやの仲の良い夫婦、あるいはラブラブのカップル、そうした相性以上により密接な相性が大切な事が解りました。
ですから、いくら命中精度の良い銃身があっても、マッチングしていない弾を使うと命中精度は良くならないのです。
逆にマッチングしない装弾でも別の銃身だと優れた命中精度を示したりします。
これは、人間の男女関係と極めて似ていますね、私などは何度女性に振られても、あるいはボロ雑巾の様に捨てられても、果敢に再チャレンジする内にまた新たな女神に出会います。で、結局また捨てられるのですが、また再チャレンジするのです。
この様に相性さえ良ければ、何とかなるのが男女の関係です。
人間の男女関係はライフルの場合の銃身と装弾の関係と同じなのです。
男性が装弾とすれば、やはり薬室を備えた銃身は女性と言うことになるのでしょうね。
念のためにドイツ語で銃弾の事を調べたらMunition(ムニツイオーン)と言うのですね、ドイツ語の場合には全ての名詞に性がついていますのでそれを調べたら、何と銃弾は女性名詞ですね!ウーム、ドイツの文化は奥が深いですね。

ところが散弾銃の場合、銃と装弾の関係というのは、それ程の相性を必要としません。
たまたま立ち寄ったキャバクラで、たまたま席に着いたオネーチャンと、適当に話をしてあわよくば、オトーサンの方は、オネーチャンのお体の微妙な部分にタッチ出来れば上出来と言うような、極めていい加減な関係にあります。
つまり相性なんかどうでもよく、最初からそれぞれの目的が違うと言うことであります。オネーチャンの方は「お金」、オトーサンの方は「タッチ」と言うことで、お互いに男女が協力して何かを成す、その場にはそういう高尚な目的は微塵もありません。
散弾銃と装弾もそうした密接な相性は要しないのです。
たまたま射撃場で売っている弾、たまたま銃砲店に在庫であった弾でも、ちゃんと当たるのです。散弾銃は決して装弾の選り好みをしないのです。
私はシドニーオリンピックの時に双眼鏡を持参して、オリンピック選手の使用している装弾を子細に観察したのですが、一つの装弾に「操をとおす」というような律儀な射手は居なかったように思います。
こちらの会社の方のファイトマネーが良い、あるいはサポート金額が大きい、そういう不純な動機で使っている人が少なくないように思いました。
やはりオリンピックの場でも一番影響力が大きいのは「お金」ではないでしょうかね。
オリンピック会場では、残念ながら日本製の装弾は皆無でしたね。だからといって日本製装弾が悪いとは思いません、むしろ世界的なレベルで見ると一流どころに位置しているのではないかと思えます。
散弾銃の装弾で一番大切なことは初速が安定している事です。
私は日本の装弾を使って雷管突破等というアクシデントにはあまり出会いません。
しかし、イタリアの装弾では雷管突破が多いですね。
雷管突破は銃の撃針が長いのではなくて、火薬の圧力が異常に高いので火薬ガスが雷管を通して後ろに吹き戻してくる現象です。火薬の圧力が高いと言うことはワッズの抵抗が大きいか、さもなければ火薬ガスの圧力が異常に高い事を意味します。
すなわち製品にばらつきがあると言うことです。
私が、ここの装弾は良い、とか、逆にこの装弾は劣悪とか言うと、多方面に色々影響があるかも知れませんので、雷管突破があるかどうかは実際にお使いになって自らご確認ください。
雷管突破は装弾の出来が悪いだけでなく、散弾銃の撃針を痛める要因にも成りますので、雷管突破が発生した装弾は、私は極力使わない様につとめています。

巷でよく言われる事ですが、銃口内が汚れると言うことは装弾の性能とは直接関係はありません。また銃口から煙が出るかどうかもあまり火薬の性能とは関係がありません。

但し、500発で\15,000以下の安物装弾のご使用も避けてください。

高い弾でも安い弾でも起こり得る事ですが、装弾のリムの整形がちゃんと出来ていなくて、薬室に装填したときにエジェクターの部品をくぐり抜けて装填されるとんでもない弾があります、こうなるとエジェクターは装弾の上にあり、機関部を閉鎖しようにもエジェクターが閉鎖できないために機関部は閉鎖できなくなります、また排莢しようとしてもエジェクターが邪魔して排莢出来ません。
装弾が薬室に装填されて、閉鎖も排莢も出来ないなんて冷や汗が流れます!

こうした装弾に遭遇したら、今後その装弾は出来るだけ使わないようにするのが無難です。
こういう装弾との出会いは、相性の良くない女性から「責任とって」と詰め寄られる様な悲劇なのです。 

ブランド
カテゴリー
ページの先頭へ