装弾の相談を読んだ方からの装弾の相談の続編です - 装弾

2003年11月27日 築地

築地 様

あまりにしろうとの質問で恐縮ですが、築地先生の電脳社会のみの情報で銃を所持しかかっている者ゆえお許し下さい。

装弾についての質問なのですが、たとえばクレー射撃用装弾で24グラムとありますが、これが散弾(粒)の重さで、グラム数(粒の量)が変わっても火薬の量は変わらないという知識でよろしいでしょうか? また、装弾の長さに種類があるようなのですが薬室の大きさにより正しい長さのものを使用しないとまずいと言うことですか?
また、マグナム装弾云々というものを聞いたものがあるのですが、これはどのようなものでしょうか?AL391でも発射可能ですか?自分の場合AL391でスキート射撃をやりつつ、スラッグ弾等を使って色々な射撃を試してみたい欲求があるのですが、チョークとの関係等においてどのような注意が必要でしょうか?
「装弾の相談」続編と言う事で、お手隙の時に格調高いご教示をいただければ幸いです。


以下私の回答です。

散弾銃の装弾はグラム数が変化しても、装填してある火薬はあまり変わりません。
あえて絶対に変わらないとは断言しませんが、弾道学の常識で言うと、装弾の重さが重くなるごとに、火薬の燃焼速度を落として、火薬量を少しずつ増やすのが常識です。
その常識よりも、装弾メーカーの経済常識の方が会社にとっては優先順位が高いのだと思います、従って散弾の量が変わっても火薬の種類も、火薬の量も同じだと言っておきましょう。何故こうなるかと言いますと、火薬量の増減は装弾を作り機械で簡単に調整できますが、火薬の種類を変更するのは容易な事ではありません。

火薬の製造は1釜と言う単位で作られます、その1釜の火薬量は装弾の数で言うと25,000発~40,000発くらいに該当します。ですから意外と細かく作るというのは合理的でないのです。少なくとも量産するのと比べればコストアップになります。
今のように装弾の値段が1円安ければそれになびくという使う側の理論が優先する現在では、その散弾の量に合わせた合理的な火薬を装填するというのは会社経営の経済理念から言うと避けたいところでしょうね。

ライフル銃の火薬の場合、多種多様の火薬が用意されていますが、散弾銃の場合、通常燃焼速度から判断すると2種類くらいの火薬しか用意されていません。(私はそう思います)
従って射撃用の装弾も猟用の装弾も同じ火薬を使っていると考えるのが自然な考えです。
射撃用の装弾でも、同じ装弾でも火薬を変えているところは数社ありますが、外見上は使用する火薬が違っていますが、両方を燃焼させると燃焼速度は同じです。
つまり名目上の違いはありますが、燃焼実験すると特性は同じと言うことです。

メーカーによっては火薬をミックスさせているようですが、事実関係は確認できておりません。火薬をミックスして使うことは火薬の世界では「禁手」ですので、間違ってもメーカー側では事実関係は認めないとは思いますがね。
早い火薬と遅い火薬をミックスして使うと、ちょうど中間の燃焼速度が得られるのですが、この様な使い方は極めて危険と火薬会社では力説していますので「よい子の皆さん」は真似しないようにしてくださいね。

散弾銃の火薬が明確に違うのは散弾の装弾と、サボット弾の装弾です。
サボット弾は、コアと呼ばれる弾頭の部分をサボットと呼ばれるプラスチックの外皮でくるんだ装弾の事を言います。
この装弾は銃身に切られたライフリングの溝に添って回転して撃ち出されます、散弾銃であっても、性能的にはライフル銃と同じような物です。そのために命中精度も、そして威力も大きいのです。限りなくライフルに近い散弾銃装弾と言えます。

サボット弾の装弾は燃焼速度の遅い火薬が、約、倍量が入っています。
サボット弾は雷管のスパークで火薬に点火された後、最初の圧力で弾頭部分はライフリングに食い込みます、そして徐々に上昇する火薬の圧力に耐えきれずライフルの溝に添って前進を始めます。

装弾の前進に伴い、火薬はさらに燃焼を続けます。こういう燃焼の方法はライフル銃の推進薬と同じ発想で、ゆっくり、そして長く燃える火薬を採用しているのです。

サボット弾を撃つと解りますが、結構強烈な反動があります。
反動が強いと言うことは威力が強いと言うことです。
通常の装弾の倍の火薬量と言うことがその威力の強さを物語っています。

レミントンのサボット装弾には銃身肉厚の厚いヘビーバレル銃身以外には使用不可と注意書きが書いてありますが、レミントン社ではヘビーバレルは製造していないので、レミントン銃にレミントンのサボット装弾は使えないことになります。

実際問題は多くの人がレミントン銃にレミントンのサボット装弾を使っていますが、事実レミントンの銃身が避けた事例を私自身は数例見ています。
通常の使用で突然銃身の破裂が起こりますが、レミントン装弾を使うと起こりえる事なのです。ウインチェスターやアポロ装弾を使うと、弾頭の直径が小さく、火薬圧力の上昇も低いのでこうした問題は起こりませんが、そのかわり命中精度は最悪になります。
「初速が早く、火薬の圧力が高くないと当たらない」という私の理論を裏付けるような事実なのですね。
絶対に銃身が避けないのはハステング社のヘビーバレル銃身です。
ヘビーバレルでなくても、通常の銃身でもハステング社の製品では銃身破裂はありません、それはレミントンの銃身材料より、かなり堅く丈夫な鋼材で出来ているからなのです。
使用されている鋼材は、レミントンと同じクロームモリブデンですが、堅さ試験をすると明らかにハステングの方が堅くできています。熱処理が違うのでしょうね。

弾頭自体にライフルの切ってある物がスラッグ弾です、ライフルが無くても弾頭の内部に風きり羽があったり、自ら回転するような工夫がされていますが、これをチョーク付きの銃で撃ったら危ないのでしょうかと?よく質問されます。
結論から言うと、フルチョークで撃っても大丈夫なように作られています。
この弾頭をフルチョークで撃つと、チョークの部分で弾頭がつぶされて発射されます。
そのために、スラッグ弾頭の形状は、中が中空で出来ていたり、外側が力が加わると潰れるように出来ているのです。

24グラム射撃用装弾は2:3/4の薬室で使いますが、マグナム装弾は装弾の量が多いので薬室はそれよりも長い3インチで出来ています。
2:3/4の薬室に3インチマグナム装弾を使うと、装弾の先端のスタープリンプした部分が薬室の中に収まらずボアーの部分にかかるので、散弾が撃ち出される抵抗が異常に大きくなり、雷管突破や、異常高圧の原因となります。最悪の場合銃身破裂と言うことも起こりえます。

それでは、全ての銃の薬室を長めに作ればと言うことになりますが、3インチの薬室に通常の装弾を使うと、わずかな間ですが散弾が通過するときに隙間のある部分を通過することになりますが、これにより散弾のパターンが悪くなると言われています。

規定以上にパターンが広がったり、「死に弾」が出るようになると言われております。

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