硬質クロームメッキに付いて - その他銃に関する情報

2000年 1月 29日 築地

銃には耐久性を向上させる目的で硬質クロームメッキを施してある銃があります。
ベレッタの自動銃、SKBの散弾銃、等は銃口内にクロームメッキをしてあります、これは表面硬度を上げることと妨錆の目的でやってあります。

以前のSCO以上のペラッチの引き金内部も一時期硬質クロームをやって有ったのですが最近の物は内部のメッキが金メッキに変わりました、引き金の部品は耐久性の向上のためにやって有ったはずなのですがこれを止めた理由はお互いの部品にカジリが生じるからだと思います、引き金等の部品はハンマーとシアーが同じ硬度であるとかえって弊害が起きるのです、こうした噛み合いの場合は両方同じ硬度ではなく、片方の硬度をロックウェルで5ポイントくらい低くするか、逆に高くしておかないといけないのです。
最初ペラッチのSCOモデルの引き金に硬質クロームメッキがしてあったので変だなと思っていたのですが、やはり問題があったみたいですね。
クロームメッキをすると後で調整のために研磨等をするとメッキ部分が剥げるのであまりメッキ処理をすることはあまり良いことではありません、引き金部品はやはり適正な硬度調整をした部品で組み合わせた方が理屈に合っていますね。

ライフル銃で銃口内に硬質クロームメッキしてある銃は日本の自衛隊で使っている自動小銃、FNで作られたFALなどの軍用銃等があります。
以前、64式を開発した伊藤さんに聞いたことがありますが、64式は硬質クロームメッキをして、それまでの銃身寿命が1万発から3万発に延びたそうです。
ではどうして他の軍用銃にはやっていないのでしょうか? ドイツのヘッケラー&コッホのエンジニアの説明によると、軍用銃はいかなる場合でも4000発以上の弾を撃つことは無いのだそうです。ヘッケラー&コッホでは今までの戦闘に使われた軍用銃のデーターを徹底的に調べた結果以下の事が判明したそうです。
4000発の弾丸を発射するまでに・・・・・・・・・・・・

  • 1, 戦闘員が戦死する。
  • 2, 弾丸の補給が間に合わない。
  • 3, 戦争が終結する。
  • 4, 銃器のモデルチェンジがある。

このいずれかの状況に至るそうです。従って軍用銃の場合、銃身寿命が長いと言うことは何の意味もないそうです。

銃腔内にメッキをする場合、銃腔内に電極にあたる電線を通します、メッキする場合どうしても薬室側、銃口側のメッキが厚くなります。ライフル銃の場合内径の寸法に違いがあると命中精度が悪くなりますので、射撃用の銃には絶対メッキをしないものなのです。
散弾銃の自動銃の内径は硬質クロームしたものが多いのですが、機関部のパーツには絶対メッキをしません、それは硬質クロームメッキはお互いの摩擦に弱いのです、メッキしたもの同士をすりあわせるとカジリが生じるのです、そのため自動銃の内部には硬質クロームメッキをしないのが銃器設計者の常識なのです。 

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