見えない砲弾 - コーヒーブレイク

2000年 1月 31日 築地

こんなタイトルで書くと、大砲の砲弾は肉眼で見えるのか言われそうですが。実を言うと、砲弾は肉眼で確認できます。それは砲弾自体がある程度の大きさが有ることと、初速がそんなに早くないので黒い固まりが中空の中に飛翔して行くのをはっきりと肉眼で確認できます。
しかし今回お話ししようと言うのは砲弾がレーダーで見えるかどうかの話です。
通常、大砲の砲弾はレーダーで補足出来ます。ただし通常のレーダーモードではなく、ドップラーレーダーモードでなら補足出来ます。
ではドップラーレーダーの事について少し説明をします。
救急車がサイレンを鳴らしながら近づいてきて、時分の前を通り過ぎ、救急車が遠ざかると音が変わりますよね、音は近づいてくる場合と、遠ざかる場合では周波数が変化するため音質が変わります。これをドップラー効果と言います。
レーダーの場合でもドップラーレーダーなら、目標物が近づく場合と遠ざかる場合ではチャント認識できるのです。勿論,方位、スピードも瞬時に認識できます。

実戦の場合、大砲の砲弾はある時突如飛翔してきます、ドップラーレーダーは常時中空を警戒していますので砲弾が飛翔してきたときはその飛行コースと初速をコンピューターで瞬時に演算して大砲の発射地点を割り出します。これは自衛隊でも最先端の技術です。
大砲の発射地点が特定できれば逆に、そこを攻撃されてしまいます。
私が見えない砲弾と言うタイトルにしたのはまさしくそこに意味があります。どうも米軍はこうしたドップラーレーダーに補足されない、見えない砲弾の開発に成功したみたいなのです。ただし今日に至るまでも正式な報道はありません。またジェーン年間にも公開されていません。見えない砲弾を開発したのは、F-177Aステルス機を開発した、ロッキードエアークラフトの開発部門、スカンクチームです。ステルス機の開発途上、ある特殊な表面処理と特殊な塗装をすることによりステルス性が出来ることを開発しました。
構造的には表面構造をハニカム構造にするとレーダー反射波を軽減することが出来るそうです、塗装は電子レンジの内側に塗装してある塗料と同じような成分でステルス性が生まれることも解っています。それをうまく融合させて見えない弾頭、つまりステルス弾頭を開発したようです。

ついでにステルス絡みの航空戦術についてすこし説明して見ましょう。アメリカ空軍が開発に成功し、現在テスト飛行中のステルス戦闘機F-22Aは世界で最初の見えない戦闘機です(F-177Aは見えない爆撃機です)
これを空中戦で運用する場合、通常の戦闘機小隊の、20~40ノーチカルマイル前方にこのステルス機を飛ばせます、つまり戦闘機小隊が東京上空にあるとき、ステルス機は横浜上空、または横須賀上空に有ると言うことになります。で、敵機が小田原あたりにあると仮定します。
これらの情報は空中警戒機ですべて補足されています、補足されても遠すぎてお互い攻撃できない距離にあります。空中警戒機のレーダー情報は無線で全ての戦闘機に伝えられます。
一番敵機に接近しているF-22Aは一切レーダー電波を発信しません。
いかなるステルス機でも、レーダー電波を自ら発信すれば簡単に相手に補足されてしまいます、ステルスで有るためには自ら電波を発信する事は絶対に無いのです。
通常の戦闘機小隊は警戒のため常時レーダー電波を出しています。
敵機からすると、レーダーで補足できているのはその戦闘機小隊だけですから、安心し、なおかつミサイルを撃たれても十分回避できる位置に居ることになります。
一番敵機に接近しているステルス戦闘機は、敵機との距離が5~10ノーチカルマイルになると突然機体からミサイルを発射して、急いで回避します。
敵にすればいきなり前方に敵機が現れ、ミサイルを撃ってまたレーダー上から消えるのですからほとんど回避できないまま撃たれてしまいます。
実際には、撃墜されるまでレーダーを欺瞞する金属片チャフや、熱赤外線を欺瞞させる光の玉、フレアーを出してミサイルを回避しようとするでしょうが、回避行動をしている間にまたミサイルを撃たれるので最終的には撃墜されてしまうでしょう。

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