法改正の裏話 - コーヒーブレイク

2000年 6月11日 築地

ライフル銃を所持するには、装薬銃で10年の経験を要するのはご存じのとおりだと思います、無知なのか悪質なのか解りませんがある警察などは一般人が法律に疎いことを利用してか、狩猟で10年の経験が必要と、とんでもないデタラメな事を言っていますので警察に騙されないように気を付けてください、法律は勝手に警察が決められる事ではありません、司法、行政、立法、いわゆる三権分立は民主主義の法治国家の根幹に関わることですから勝手に警察が法律をねじ曲げないようにみんなで監視しましょう。

さて、今日は何故このような法改正がなされたのかその裏話をしてみます、しかしながらこの話は私が聞いた話なので話の内容については真実かどうかを保証している訳ではありません、この話をしてくれたのは日本ライフル射撃協会の会長であった安斎実会長です。
すでに故人となられているので一方的に私の話になります、事実は違うと言うところがあれば私の聞き間違い、私の勘違い、安斎さんがそんな事を話すわけが無いと言うのであれば、私のボケが進行しただけで、現実と想像がグチャグチャになって書いたコラムだと思ってあっさりと忘れてください。

ライフル銃を所持するために装薬銃で10年の経験を要すると言う法律が立法化されたとき、私はアメリカに居ました、アメリカのウエザビー社でガンスミスとしての修行中の時でした、1970年の時です。ご存じのようにウエザビー社はマグナムライフルで売り出した会社でしたから、扱い商品のほとんどはライフル銃ばかりです、当時、ウエザビー社では豊和工業にライフルを製造させていましたので、事務連絡と販売を兼ねたウエザビー日本支社を作る計画があったのです、一応私はその要員と言うことで計画に参加する予定だったのですが、その日本での銃刀法改正を受けて、ウエザビーでは今後日本国内ではライフル銃は売れないと言う判断に至り、日本支社設立の計画がご破算になった経緯があり、少なからず私は法改正の影響を受けたことがあります。ですからその法改正の経緯には個人的な事情もあり、事の外関心を持っていたのです。
アメリカでの修行を終え日本に帰ってから相応の日時が経ったとき、安斎会長から法改正の経緯を説明されました。
警察庁がどの様な経緯で法改正を持ち出してきたのか、その仔細については承知していませんが、ライフル銃を犯罪に使われた場合射程距離が長いことが問題になっていたようです、要するに警察としてはライフル銃を一般に持たせたくないと言うのがその本音です。
その様な法改正を提示すると、当然それに反論を唱える団体があります、その意見を聞くために猟友会と日本ライフル射撃協会に警察庁から声がかかってきたそうです。
話が飛びますが、普通自動車免許から二種免許を取得するには普通免許で三年の経験が求められます、二級建築士から一級建築士を受験するためには同じく二級建築士での三年の経験が求められます、大体世の中の常識としてワンランクアップさせるためには、三年の経験を要するとするのが一般常識です、しかしながら警察庁はこれを装薬銃で五年の経験がないとライフル銃を所持できないとしたかったらしいのです。
しかしながら法改正委の案を提示するとき、五年経験の案を提示すると、当然にして関係団体から反対され、間を取って三年と言うことになりかねないと考えた警察庁の人が、それならば10年経験を要すると言う案を提案すればとなったそうです。しかし殺人の前科があったとしても7年で所持許可の資格は免除になるのですから10年は無謀だとの意見も無くは無かったと聞いています。

ところがその10年案を提案したところ、猟友会の長老達は"はい、いいです"とあっさり法改正案を飲んでしまったそうなのです、安斎さんが確認を迫ったところ、俺達は10年経験があるから良いよ! と言われて安斎さんは思わず絶句したそうです。
しかしライフル射撃協会はとうてい飲める案ではありません、ライフル射撃競技は最初空気銃から始めて1~2年位でスモールボア射撃に移行するのが常でしたから、10年経験を要するなんて法律をとおされたら、学生は全員卒業してしまいます、これではライフル射撃競技は成り立ちません、安斎さんは強行に反対したそうです。
そうしたら警察庁は、ライフル射撃協会に関しては、推薦状があれば装薬銃の経験が無くてもライフル銃の所持を認めると言う案を提示したそうです、これでは反対する理由が無くなり、ライフル射撃協会は推薦状があれば何時でも所持でき、猟友会の所持は10年経験を要するとなったそうです、猟友会と言うのは狩猟免許などの事務手続きをする団体かも知れませんが、会員の権利を守るためには何も出来ない団体だと思えてなりません。
特に法律に関して現実問題その相談窓口もありません、事実法律絡みで猟友会に相談をした人は、猟友会はそういう相談を受け付けるところでは無いと断られ、私の所に法律の相談に見えたことがあります、私は単なるガンショップのオヤジです、法律相談を受ける立場ではありませんが、私で出来る範疇で法律の説明をしたところ、それだけで問題が簡単に解決した事もあります。
アメリカのNRAみたいになんて高望みはしませんが、猟友会はもう少し会員の相談を親身に受ける組織になって貰いたいものだと思わずにはいられません。

あ、勿論、同じ猟友会でもこのコラムを読んでいる貴方は別ですよ!

ブランド
カテゴリー
ページの先頭へ