この業界の困った事情 - コーヒーブレイク

2001年 6月18日 築地

家電製品でも車でも、新製品というのは売り出し日が決まっている、車など生産数が限定されるのも注文さえすれば納車の日時は明示される、これが一般社会の常識と言う物である、しかしながら銃砲業界の新製品というのはいささか、おもむきが違っている。

 一昨年、レミントン、の電気雷管式ライフルの発表が有ったが、今日に至るもまだ現物を見ていない、まだ当社に入荷していないと言うのならともかく、ショットショーの会場でもカタログとパネル表示だけでまだ誰も実物には触れていないのである、勿論電気雷管式の実包にも市販品を見たことも無ければ買ったこともない、そのあとチタン製のレミントン700が製作された、現物はショットショーでは見ることは出来たが、まだ現物の入荷は今日に至るも達成されていない、さらに今年のショットショーレポートでウインチェスターの9410を紹介し、当社だけでも50丁以上の予約が有ったが、今日に至るも納期は全く未定である。

 会場でウインチェスター社の人間に聞いたら、3月から製造に着手するとの返事だったので夏には数丁のサンプル程度は来るだろうと考えていたら、何とアメリカサイドでも今日現在何処にも入荷していないようである、アメリカサイドでも相当数の注文がまとまったみたいではあるが、注文が多ければ多いでまたまた製造スケジュールが立たないようで困った事なのである。

何故、銃砲業界はこんなに納期が出鱈目かと言うと、元々構造不況業種で有る上にこの業界は徹底的に合理化が進んで、リスクのある物には絶対に手を出さないと言う、お約束が有るようである、であるから新製品発表でも、自動車業界や家電業界と違い、ある程度の製品の製造を先行して同時進行でカタログの印刷、製品の発表、そして一斉発売という具合にならないのである。この業界の新製品製造に至るシステムは、先ずは製品を作るかどうか社内検討して試作品が出来たらとりあえずカタログを作成する、それをショットショーで開示して、評判がよく、注文がまとまったら作ると言うような超慎重論でビジネスをやって居るようである。先ほど述べたようにこの業界、構造不況業種であるから従来の製品も在庫するような作り方はしない、全て年間スケジュールを組んで注文分しか製造しないのがこの業界の習わしのようである、つまり年間で作る製品は全部売り先が決まっているのである、そこへ新製品を割り込んで製造するゆとりは現実的にはあまり無いのかも知れない。
 レミントンなどは売れ線の700バーミンターのステンレス銃身モデルは製造中止したし、700BDLの308も製造中止である、この銃などは一番の売れ筋なのであるが何故製造中止したかその意図が不明である、しかしながら一番の売れ線の製造を中止して、値上げした後製造再開と言う手段はよく用いる手なので、700BDL308もそう遠くない内に値上げされた後製造再開される可能性は非常に高い。

ウインチェスター社に関して言えば、M-70スーパーグレードは一番の売れ線だが入荷予定が読めないので当社のカタログには掲載せずじまいまのである、実を言うと30-06、7ミリレミントンマグナム、300ウインチェスターマグナムが現在入荷し在庫で有るのだが、困ったことにこのコラムでしか"在庫があります"としか発表できない。
カタログに掲載したら印刷が刷り上がった頃には完売と言うことになりかねない、カタログを配布した後では保証付きで在庫切れと言うことになってしまい、かえってお客様に迷惑をかけることになってしまう。そんな訳でウインチェスター、スーパーグレードは当社のカタログにはほとんど掲載されることは無いが、現実には取り扱いをしているので興味のある方がお問い合わせいただきたい。

そんな訳でショットショーのレポートに掲載したウインチェスター9410も今年の夏のセールカタログには一切掲載されていないのでご了承いただきたい。またすでに注文をお受けした分、それはそれでブッキングしてあるが現状では入荷予定は全く立って無い、申し訳ありませんがご理解いただきたい。
今年のセールのカタログは全部当社に在庫である商品を写真撮影して掲載した。今まではメーカーカタログからの転載だったが、これだと現実に在庫のない物でも掲載できるため、セール開始時点で在庫がないと言うお粗末なことが起こり得る、そのため在庫にない物は写真としては掲載し無いことにしたのである。ほとんどのお客様はカタログの写真をみて、これがほしいと注文される、そのため良くも悪くも在庫である品物をカタログ掲載すると言うことは必要なことなのである。

全製品の写真を撮影してカタログを製作すると、運送料も含めて約700~800万円の経費がかる、しかし当社は元々都内の一等地に店舗を構えているのと違い、そうした店舗にかかる経費をカタログに転用している、ビジネスには色々な手法が有ると思うが、海外の例で言うと、店舗展開したガンビジネスはことごとく衰退し、カタログ展開したガンビジネスだけが拡大しているのが現実である、それを見れば当社の採用しているカタログ販売の方が将来的には拡大すると考えているのである、店舗展開をしないためご不満を持たれるお客様も多いと思うが、特にビギナーの方は店頭で色々子細にわたり説明をする方が親切であることは言うまでもない、銃砲店の店頭で子細な説明を受けて銃を購入したいと言うお方は当然にしてそちらの方を選択されていると思うので当社ではあくまでもこの方針でビジネス展開して行きたい。

当社の販売スタイルは最初から店舗無しのカタログ販売である、このビジネスを始めた最初の月の売り上げは1ヶ月でわずか70万円足らずであった、業界にすれば同情されこそすれ、驚異でも何でも無い数字なのである、ところがこれだけしか売り上げが無い当社に対して、翌月には当社の宣伝は雑誌から完全に排除されることになる、これはこの業界事態が無店舗カタログ販売が将来的に大きなビジネスに化けると考えていたからでは無いだろうか、そうでなければその時点での露骨な営業妨害などするわけがない、最初売り上げ70万弱でスタートした私のビジネスは、今期は3億円弱の売り上げを上げています、当然にして現在では当時とは比較にならないくらいの想像を絶する様な卑劣な営業妨害が絶えません、当社の売り上げが上がった分、相応の金額分が従来の銃砲店の売り上げに影響を及ぼし相応の迷惑をかけていることも事実ですので非難はお受けしますし、あえて反論もしませんが、しかしながら毎年お客様の数は確実に増え、また売り上げも確実に上がっていると言う事も事実なのです。 

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