銃創 - コーヒーブレイク

2000年 2月 2日 築地
改訂 2000年 2月 5日 築地
改訂 2000年 2月24日 築地
更新 2000年11月11日 築地
更新 2000年11月14日 築地

私は撃たれたことも有りませんし、撃たれたくもないのですが、銃で撃たれるとどうなるかと言う事については私自身はかなり興味をそそられます。それは単純に撃たれると痛いか痛くないか、痛いとしたらどのくらい痛いのか。そうした単純な疑問から銃創に付いて調べてみました。銃創に関した文献を色々探してみたのですが見つかりません、最近はコンピューターで検索できるのであらかたのテーマは絞り込めるのですが、残念ながらこうした事柄に興味を持ったのは私と、この原稿を読んでいる貴方だけみたいです。

知り合いの医者に相談してみたら医事情報として銃創の治療例が載っている文献を探してくれましたのでそれが唯一の臨床例となります。
医事情報ですから銃創のカラー写真も掲載されているのですが、笑っちゃう事に、そのほとんどが腕や足にモンモンを入れています。つまり日本での銃創例はほとんどが業界の方たちと言うことになります、これでは文献が無いのもうなずけます。

ヤー公が銃創を受ける場合、使用銃器は拳銃ですのでライフル銃や散弾銃とは状況が違うと思いますが、データーで見ると、即死というのは僅かで、60%が失血性のショック死でした。ヤー公のくせにショック死というとあまりにも情けない気がしますが、失血性ですからびっくりして死んだ、ショック死とは少し状況が違うようです。
失血性ショック死ですから拳銃で撃たれた場合、早急に輸血をすれば助かる事例も多いのでは無いかと思われます。

話は変わりますが、ワシントンDCでの例ですが、黒人居住区では拳銃発砲事件が今でも多発しており、拳銃で撃たれた黒人が救急病院に担ぎ込まれ緊急手術を受けます、その費用は50万~200万かかるそうなのですが、治療が有る程度済むとほとんどが医療費を払わないで脱走するため未収の医療費が財政を圧迫しているそうです。
しかし、命を助けたのだからと喜んでばかりはおられず、撃たれた方はその仕返しをするため、相手を撃つか、逆に撃たれてまた病院の世話になるそうです。
CBSニュースのインタビューに答えていた黒人少年は、今まで七回撃たれたと言っていました。これが38、これが45と一つ一つの傷口を説明しているのを見ると、本当に人間は撃たれ強いと思いました。中には最初の一発で脊髄を撃たれた少年もいて、かれは一生車椅子の世話になることになります。
しかしいずれの少年達からも撃たれた状況については残念ながらインタビューが有りませんでした。

昔、兵隊に行って銃で撃たれた人の話を聞いたのですが記憶が薄れていて状況を正確に聞くことは出来ませんでした。そうこうしているうち、ハンテングの最中に誤って自分の足を撃った人の話を聞くことが出来ました。(ラッキーなんて別に喜んではいませんヨ)
その人は柵を越えようとして誤ってライフル銃で自分の足を撃ったそうですが、弾が当たった瞬間は "痛くなかったそうです" 多分アルドナリンが大量に放出されたと思えます、そのため痛みを感じなかったのでしょう、当人は足を撃ったと言う自覚も無かったそうですが、ただ撃った瞬間は急に足から力が抜けたそうです。
また長靴を履いていたのですが、足先がヌルヌルしていたと話して居られますのでおそらく血液が貯まっていたのでしょう。そしてそのまま自分で車を運転し病院まで行かれたそうです。本当の痛みが襲ってくるのはこの後です、応急処置を済ませ、麻酔を打った後その麻酔が切れると心臓の鼓動に会わせて傷口が、ドクン=ズキン ドクン=ズキン ドクン=ズキン ドクン=ズキン と言う具合に夜通し痛み通しだったそうです。

さて、いくら痛みが激しくとも、手足の場合仮に損傷しても命には別状ありません。
やはり命に絡む問題ですと、急所を撃たれた場合でしょう。
頭や心臓を撃たれたら、当然即死と言うことになります。以前大阪の山口組と一和会の抗争事件の最中はボデーアーマーが飛ぶように売れたと、某輸入業者の人が言っていましたが、ボデーアーマーなんて、ライフルの弾なら簡単に貫通しますが拳銃の弾なら止める事が出来ます。日本のやくざは銃器に対して極めて無知ですので、ボデーアーマーを着ていれば何となく身が守れるように勘違いしていますが、アメリカなどでは以外とボデーアーマーはその業界の人たちも使っていません、それは何故かと言いますと、ボデーアーマーを着ていることを前提に、最初から頭を狙うからです。ですからボデーアーマーなんか何の役にも立ちません。
警察官の場合、もし銃撃戦になるような場合は必ずボデーアーマーを着用します、勿論規則で着用しなければ成らないのですが。何よりも腹を撃たれるのを嫌悪するからです。
頭や心臓を撃たれると即死ですから、撃たれた当人は痛みを感じる前に昇天しています。
ところが、腹を撃たれた場合、ほとんど即死を免れる割に死亡率は極めて高いのです。
しかもその間猛烈な痛みに苛まされます。腹、特に腸の周辺を撃たれると、腸が剪断され毒素が流れ、手術も極めて困難なのだそうです。ですから現場の警察官は腹を撃たれるのを極端に嫌がります。勿論何処を撃たれても良いと言うところは有りませんが、生存率で考えると手足と腹では天地ほどの違いがあります。
ボデーアーマーの本当の使用目的はこんな所にあると思います、日本ではボデーアーマーを、防弾チョッキと誤訳しているため誤解を招いています。
さて、戦場では弾丸そのものが直撃する事例より、爆弾等の破片により損傷をうける事例が多いのですが、ボデーアーマーを着用していれば小さな破片の場合は100%保護する事が出来ます。
昔、日本テレビのクイズ番組の実験でライフル銃を使った米軍のボデーアーマーの貫通テストをやったことがありますが、使ったのは6ミリPPCで、ホローポイント弾頭を使ったのに、ボデーアーマーは "ポン" と簡単に貫通し、モニターで確認したら、ボデーアーマーは微動だにしませんでした。勿論、前後完璧に貫通していました。
テレビ関係者は思いの外驚いていましたが、防弾チョッキと言う名称が相当な誤解を招いて居るようでした。

昔、昭和天皇ご在位の頃、お召し車の為にAガラスが防弾ガラスを開発しました。
豊和工業でテストしたら簡単に貫通してしまいました、それではとメーカーも張り切り、厚みを2倍にした防弾ガラスを作成しましたが、これも1発で貫通しました。
当然使い物に成らないのですが、メーカーは、しらばっくれて納品しました。
後日確認したらチャントお車には取り付けてありました。
私の自宅は東宮御所から10分程度の場所にあり、割合頻繁に皇室関係の車に出会います。
見ればすぐに解りますが、現在の車には一切防弾ガラスは使われていません。(キッパリ)
その代わり、内部が見えないようにカーテンで仕切られています。前後を警察の警備の車がガードしていますが、これにも防弾ガラスは使われていません。
で、その警備の物々しさの度合いで、だれが乗っているかは簡単にわかります。
当然、王位継承位の高い人ほど警備は厳重です。

さて、防弾ガラスの話ですが、アメリカのデスカバリーチャンネルを見ていたら、レックスガードと言う、現在では最強の防弾ガラス(材質はガラスでは無くてポリマーですが)と言う説明で、ショットガン、拳銃、HKサブマシンガンと、色々な銃器で実験をしてその防弾性能をレポートしていました、使った弾は9ミリパラが最強の弾ですから、逆の見方をすれば30口径のライフルなら簡単に貫通すると言うことです。

元々銃創のテーマで書き出したのですが、防弾ガラスまで話が暴走してしまいましたが、これが私のコラムのおもしろい所です。(何、面白くない!)

銃創・・・こんな事を調べてどうするんだと言う声が聞こえてきそうですが、銃創の痛みがどうなるのかが解ってやっと安心して眠れる事になりました。でも射撃場で出会ってもオイラを撃たないでネ。

ここら追記です
実はこのコラムを書いたら、これを読んだ人から電話がありました、私の主宰するベンチレスト射撃協会のSさんです。
電話は病院からでした、現在入院中だそうです。で、病名は何と、"銃創" だそうです。
ハンテングの最中に仲間のハンターから7メートルの距離で首の後ろを撃たれたそうです。
250発の弾の内、170発を摘出したそうですが、まだ40発は体内の残留しているそうです。担当のお医者さんも珍しい症例ですのでインターネット等を駆使して調べたそうですがやはり銃創に関しても資料は無かったそうです。
未だに40発の弾が体内に残留しているので、尿とか血液の中に鉛が混じってその反応が出るそうですが、私は心配ないで良いと返事をしておきました。
と言いますのは、鉛は体内では異物なので長い間体内に有る間に脂肪でくるまれ最終的には体外に排出されます、そのため影響は無いのです。
私が一番知りたかったのは痛みの事でした、撃たれた瞬間はバットで殴られたような打撲の感じがして前に転倒したそうですが、やはり私が書いたようにその瞬間は痛みは感じなかったそうです。
痛みが襲ってきたのは救急車の中だそうです、やはり撃たれた瞬間は痛みを感じないと言う説は正しかったようです。
何故、私が痛みに関してこんなにこだわるかと言いますと、死刑執行の場合、死刑は死刑囚に痛みを与えないで執行すると言う原則があるのですが、銃殺は痛みを感じるのかどうか知りたかったからです、これで銃殺も死刑を執行する側にすれば痛みを与えないで刑を執行すると言う意味では理屈に叶っていることが解りました。

11月11日更新
人は撃たれるとどうなるの? を読んだ東京のT、A、さんから銃創の写真の掲載された本を頂きましたのでご紹介しておきます。
色々なケースの銃創写真が掲載されていますが、開示した写真は比較的穏やかな物ですが、それでも充分衝撃的だと思います。

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