もしもガンスミスに戻れたら - コーヒーブレイク

2003年 9月27日 築地

液体火薬のコラムで6ミリBB弾のフルオートシステムを発明して1500万円のあぶく銭を稼いだと書きましたが、実はこのシステムたった1週間で考え上げたのです。
たった1週間の間に、5通りのシステムを考え上げ、その中で一番燃費効率の良いシステムを採用したのです、私が1週間で考えたのですから、世の中のもっと頭の良い人は2,3日で考え出すに違いないと思っていたのですが、結局私の発明を超える人は居なかったですね、私が玩具業界のレベルが低いと感じたのは私のシステムをパクル人は居ても、これを超えようと頭をひねる人が居なかった事です。
パクル人が居たおかげで、私の発明は他人にパクられる位極めて優れた発明、そしてすでにコピーされているので緊急性があるということで、特許庁で優先審査と言う超スピード審査をしていただくことができました、特許申請を依頼した友人の弁理士も優先審査は初めての体験だったと言っていたので本当に例外的な事例だったのでしょう。
同業者の中にはまるで特許が趣味のような方も居られますが、特許料を稼げない特許は一銭にもなりませんが、手数料を稼ぐ弁理士さんには絶好のカモです。
昔、落語家の柳家金吾楼さんが、沢山の特許を持っておられましたが、これはこれで本当は大変な事なのです、特許の場合、どんな下らない特許でも毎年更新料を払わないといけないのです、特許が100あれば毎年100万円払わないといけないのです。
特許の有効期間は15年ですから、電気の点灯するゲタなんて馬鹿馬鹿しい柳家金吾楼の発明でも毎年更新料を15年間払うのですから金を生まない特許が如何に無駄かおわかりいただけるでしょうかね。

話が横道にそれましたが、現在私は販売業をしていますが、私のバックグラウンドに流れる血は製造の血、ガンスミスの血です。
ほんのわずか、スケベの血も入っていますがこれは神様の采配で私の所為ではありません。
その流れるガンスミズの血のために、いつの日にかまた製造業に戻りたいと言う夢は現在でも捨てきれないのです。
もし私がガンスミスに戻れたら一番最初に設計したいのは、空気銃の自動銃ですね。
現在では圧縮空気を使うハイパワーの空気銃が、度肝を抜くような高い値段で売られていますが、私なら10万円以下で販売できる、ハイパワーのフルオート空気銃を作って見せますね、おっと、フルオートは空気銃と言えども銃刀法違反ですから、セミオートで作りますかね。
空気銃の製造で一番難しいのはエアータンクの製造です。
エアータンクはあんな形をしていても、1枚の厚い鉄板から作られているので、厚い鉄板を絞り型で徐々に絞ってボンベの形にするのです、これは大きな圧力が加わっても容器がボンベが爆発しないようにとられている安全策なのです。
しかしながら、ボンベはボンベを作るメーカーが別にあり、そこから買えば良いだけですのでこれの入手は簡単です。
だとすれば後は銃身と機関部だけですから簡単です、銃身はファインベルクバウの銃身を作っているワルサー社から購入すればいいし、機関部なんて負担のかかるところはほとんどありませんからアルミで簡単に作れます。
問題は設計ですが、それは私の最も得意とする分野ですから、1週間あれば設計してみせます、嘘だという人が居たらとりあえず私に1500万円払ってみてください、1週間で設計図を書き上げてみますから・・・・・・・・

空気銃を完成できたら次は上下2連銃を作りますかね。
私は自分の発明をパクられた経験がありますので、人の設計をそのままコピーした製品なんて大嫌いで、そうしたコピー物は絶対存在価値を認めませんね。
巷ではペラッチのコピー物が多く出回っていますが、コピー物であれば当然の話ですがオリジナルを超えると言うことは絶対にあり得ません。
シャネルを超えるコピー物もないし、グッチを超えるコピー物もありません。
こうした商品のコピー物って犯罪ですが、銃器の場合は良いのでしょうね?
コピー物でも、ペラッチを超える工作技術があるとコマーシャルトークをしている人もありますが、ペラッチを超える技術があれば最初から物真似なんかしないでオリジナルの設計をすれば良いのです。簡単な話です。
ほぼ100%物真似ならまだご愛敬ですが、中には無理矢理内部の設計を変えたためにとんでもないとんちんかんな設計になっている部分があります。主に引き金の部分ですが工学的に、そして力学的に間違った設計をした言い訳を聞きたいくらいですね。
面白いのは、コピー物が存在するのはペラッチだけですよね。誰もベレッタのコピーはしませんよね。それが何よりペラッチの優越性を物語っていると思います。
この様にペラッチのコピーをするのは自らの設計技術がペラッチ以上には達していないと言っているのと同じですから、私自身はこういう会社のセールストークは全然信用しませんね。
さて、未だに散弾銃の世界では、ボラー鋼神話がありまして、ボーラー製鋼所で作られるモリブン鋼材が一番銃身材料として優れていると言う神話ですが、残念ながらこの神話はすでに無くなりましたね、日本でも昔はダイス鋼として金型屋さんなどにはボーラー鋼はよく売れたのですが、現在はほとんど日本の製鋼メーカーの材料に代わられています、それだけ日本製の鋼材の質が良くなったのです。
金型の世界では神話やネームバリューではなくて、金型の型持ちが良いかどうかだけで判断されますから、すでに、現在は日本製鋼材の方が優秀になり、ボーラー鋼の優劣性は昔物語になています。現在ではボーラー鋼の営業マンは泣いていますよ!売れないって!
そしてさらに進化した現在、日本の某製鋼所で現在の鉄材の4倍の強度を持つ鋼鉄の開発に成功しました。
何故それ程の強度が出るようになったかと言いますと、金属の組織を4倍に緻密にして鍛錬する事によって実現した鋼材と言う事です。
日本刀を鍛錬するのと理屈は同じですがね。
強度をそのまま額面通り受け取ると、上下2連銃の金属部分は、何と1/4の厚みで強度が保たれることになりますね、機関部も銃身も1/4なら相当軽い銃ができますよね。
最近では上下の銃に軽い銃、軽い銃という人がたくさん居ます、特にスキート射撃には多いですね。銃の重さも軽すぎるとかえって弊害が起きるのですが、当面こういう人たちのために1/4ではあまりにも非弱に見えるので、1/2の銃を作ってみましょうかね。
でも、今度は軽すぎで銃が走りすぎるかもしれません、あるいは、バイブレーションみたいな共鳴が起きるかもしれません。でもやってみないとわかりませんがね。
こうして本当に軽い銃ができれば、またぞろクレームが始まるかもしれませんね。
軽い銃は素材の肉厚が薄いので振動係数あたりで蘊蓄を言う人が出そうですね。
でも、もう少し銃が軽ければ・・・・・・・と言う人たちには言い訳が一つ減ると言うことになりますかね。

散弾銃の世界では、ハンマーのバネに松葉を使っているか、コイルを使っているかで、いろいろな論議があり、一般的には松葉バネが良いと言われています。
しかし、これは全く根拠がありません、良い鋼材と適切な熱処理ができていればどちらでも良いのですが、私はあえてコイルスプリングを評価しています。
昔のロンドンガンのサイドロック銃などは、最初からコイルスプリングの入る余地がありません、その為松葉バネを使ったと考えられます、火縄銃も松葉バネですからね。
しかしF-1エンジンのバルブスプリングをみてもコイルスプリングが優れていると簡単にわかると思うのですがね、コイルスプリングは毎分9000回転で回るエンジンのバルブを正確に作動させて"絶対に"折れませんからね。
でもより完璧なスプリングを求めるために、私は3本のコイルを撚って1本のコイルスプリングを作りますかね、全長はできるだけ長く、そして自由長を短くすれば事実上ほとんど折れないスプリングが作れますね、仮に撚ってある1本が折れても後の2本でカバーできますかね。仮に2本が折れても作動しますからね。

松葉がよいかコイルが良いかと言う判断の根拠とされるのに、引き金の切れ味があります、松葉は切れ味が良いが、コイルはだめだ、とか色々世間で言われますが、引き金の切れ味を決定つけるのは引き金の設計だけです。
引き金の設計さえ良ければスプリングの形状なんかどうでも良いのです。
散弾銃の引き金は、調整しても1.3~1.2キロ程度でしょう。
ライフル射撃競技の引き金なんて50グラムですよ!当然切れ味も抜群です。
ピストルに至っては10グラムですよ、いずれの銃もハンマースプリングはコイルを使っています、従って松葉バネが良いと言うのは単なる使用者の思いこみと言うことです。
誤解もここまで浸透してくると、その事態が常識と言うレベルにまで達していますから、射撃場でも私は自らのこうした引き金の蘊蓄を話すことはありませんがね。
HPなら相手がいないので思いっきり言えます、スプリングと引き金の切れ味は関係ないのです、引き金の切れ味は引き金の設計により変化するのです!
(ああ、すっきりした)

では、ライフル銃の中で唯一松葉スプリングを使っている銃をご紹介しましょう。
それは村田銃です、皆さんご存じの様に近代国家建設の黎明期に使われた軍用銃ですね。
村田銃を子細に観察してもらうとわかりますがボルトがやたらと大きくできています、そうしてボルトの付け根は平たくなっています、ここに松葉バネが入っています。
ここに入っている松葉バネで、撃針を動かしているのです。
当時は空撃ちするとスプリングが折れると言われたのですが、そうしたところにも原因があるかもしれませんね。
現在のボルトアクションライフルですが、レミントンのHPをみるとセンターファイヤーライフルは空撃ちしてもかまわないと明確に書かれています。
もちろんレミントンライフルもコイルスプリングを採用しています。

引き金切れ味を論議する場合、競技用ライフル、あるいは競技用ピストルの引き金と比べると散弾銃の引き金はいかなる引き金を持ってきてもズルズル、ガクガク、の引き金です。
ですからライフルの引き金メカを採用すれば引き味は劇的に良くなりますが、その引き味が散弾銃のシューターに解るか、あるいは評価してもらえるかは別問題でしょう。現在に至るも散弾銃でそうした切れ味の良い引き金が存在しない以上、切れ味の良い引き金がショットガンシューターに必要とされていないのだと思われます。従って散弾銃の世界で引き金の切れ味云々と言うのも無駄な論議かもしれませんね。
でも私なら、評価されなくてもかまわないので切れ味の良い引き金を作ってみたい物です。

もしもライフルを作るなら、ボルトアクションでしょう。
そして銃身はハート、あるいはシーレンを選択しますね。
もちろんこれ以外でもリルジャみたいに最近で出てきた良いメーカーもありますから、それらも選択肢には入りますがね。ですから銃身は最初からこれらのカスタムメーカーの物を採用します、これらの銃身は100メートルで、1~2ミリのグルーピングをマークできる命中精度を持っていますから、これ以上の物を私が作れるとは思えないので無駄な努力はしない事にします。後は機関部の軽量化、そして全体のダウンサイジングですね、銃身とほぼ同じ直径の機関部、薬莢と同じ直径のボルトで構成したいですね。
弾倉はフィーデングが完璧になるようにロータリーマガジンを採用しますかね。
世間にあるダブルカラアムの弾倉はマグナム系統の弾を使うと、装填時にスタッグしがちなので使いたくないですね。
引き金は着脱式にして、ハンテング使用の1.3キロの物、ターゲット用にl.0キロ~50グラムの可変の物を用意したいですね。
そして銃身も簡単に交換できるようにしておきたいですね。

こんな具合に与太話をしていると、実際の製造現場の人から苦情が来そうですね。
私も販売よりも製造の経験が長いので解りますが、製造は販売の100倍くらい大変なのです、製造は設計から製作に至るには血のにじむ様な苦労があります、その上、工場設備の確保と維持、雇用関係、資金計画、さらに営業活動とあり、一つの銃を作り上げるのは最低でも20年はかかると考えなければならないでしょう、残念ながらそれに耐えるにはまだ私が50代であっても余命が足りません。

もし来世で生まれかわったら、今度は必ず製造業で成功して見せます。

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