余ったお金で車を買おう! - コーヒーブレイク

2003年11月 7日 築地

今月末にお送りするウインターカタログには、特注品のペラッチを掲載してあります。
先行してそのカタログの一部を開示します。特注品ですから注文してから入荷するまで1年かかりますので現物が入荷するのは来年の夏頃になるのですが、とりあえずそのカタログの値段をご覧ください。一番高い銃は830万円です。
ひょっとして、このページを読んでいらっしゃるあなたの年収に匹敵する金額かもしれません。

830万円ペラッチ
830万円ペラッチ

この値段を見ると、皆さんの「ヒョエー」と言う声が耳元でしますが、勿論これを買うお客様は必ず居るはずです。もし居らっしゃらないと私が「ヒョエー」と言う羽目になります。

言うまでもありませんが、私はお客様のご注文を受けてペラッチに発注した訳ではありません。いわば私の思惑だけで発注した商品です。ですから売れないと私自身で買い取り、私自身で使うことになります。しかしながら品物が有ると必ず売れると思います。
私は現在のような不景気な世の中でも、意外とお金持ちは多いと私は踏んでいます。
ところがこうしたお金持ちはわがままで、目の前に商品があれば買うのに、1年待ちで注文する人はほとんど居ないのです。ですから泣き泣き在庫をする必要があるのです。

過日、世田谷のポルシェに行ったときに、ちょうど店頭に飾ってあったポルシェターボを買いに見えたお客様が居て、店頭のポルシェターボは全部売約済みと言うことを聞かされ、「それなら要らない」と言って帰られた人が居ましたが、この様に、ターボがあれば買うけど、待つなら買わないと言うお金持ちも少なくありません。往々にして金持ちほどこういう風にわがままなのです。

皆さんの感覚ですと、たかが銃に830万円、と思われると思いますが、830万円という値段は、ベンツやポルシェよりも安いではありませんか。
(少なくともそういう感覚で買われる方はいらっしゃいます)
でもベンツは車だろうと言われるかもしれませんが、別に品物の大きさで値段が変わるとも思われません、たとえば小さな茶碗でも非常に高い物もあるのです。
たとえば http://www.seikado.or.jp/sub030101.htm この画像をご覧ください。
これは国宝の曜変天目茶碗です、ご覧の通りのたかが茶碗ですが、その値段は、数億円は下らないでしょうね。曜変天目茶碗では通称、この稲葉天目の曜変が一番鮮やかですね。ですから決して値段の過多で売り買いされる物では無いのですが、仮に売買されるとしたら最低でも5億円は下らないと私は判断します。
でも10億円と言う値段を付けても所有者が手放されるとは思えませんから、結局のところ、こういう美術品には値段では無いのですね。

ですから、こういう美実品レベルの品物の良さが解る人には、ペラッチの830万円はお安い買い物のはずです。
ペラッチの830万円の銃は金象眼がありませんが、これより安い770万円の銃には金象眼が入っています。

770万円ペラッチ
770万円ペラッチ

勿論金象眼が入ると手間もかかるので一般的には金象眼がある銃は高いのですが、最も値段の高い散弾銃と言われているジェームス パーデイなどには概して金象眼はされていないのです。
良い彫刻を見慣れていないと、お神楽みたいな金象眼の彫刻が一番高いと感じられるかもしれませんが、本当に高い物は、意外と「品の良さ」を売り物にしているので、金象眼みたいなギラギラした物は案外入れないものなのです。

勿論、個人個人の趣向はありますので、金象眼が良いという人には、大きなお世話かもしれませんが、概して金象眼を好むのは本当に良い物に接した事のないアラブの金持ちか、選択眼の肥えていない一般人向けでしょうね。

ですから本当のお金持ち、本当に目の肥えた人は金象眼の無い彫刻を選択すると思うのですが、日本の鉄砲撃ちがそのレベルに到達しているかどうかは目下のところ私の知る限りではありません。

もし、射撃場で私が830万円のペラッチを使っていたら、それは私に選択眼があったのでは無く、その銃が売れなかったと思って笑ってください。

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