カクタス シュート参戦記 (2000年) - 海外遠征 (ベンチレスト射撃大会)

2000年 3月11日 築地
改訂 2000年 3月13日 築地

アイ、ガット、トップ、トウエニー

アメリカから帰国したばかりなので、少しばかり英語圏の雰囲気でタイトルを付けました、日本語式に言えば、TOP20をゲット! てな感じでしょうか。

ベンチレストのアメリカ遠征はこれで3回目なので多少は状況も理解できるようになりました、特にフェニックスのベンアレー射撃場はワールドカップに次いで2回目の場所なのでここの射撃場の風の性質については他の日本チームのメンバー達よりは多少は理解出来ていると思います。勿論現地のシューターには全く及びませんが。

星条旗
星条旗
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)

私の射座の隣は、ベンチレスト射撃の殿堂入りを果たしているレスター、ブルーノでした、彼はここが地元でここの射撃場に精通している射手なのですが、以外と私の方が良く当たっていたように見受けました。ベンチレスト射撃の場合36倍のスコープで狙っているので、すぐ隣の標的は簡単に視野に入るからです。

射座周辺
射座周辺
射座周辺
射座周辺
射座
射座
射座(湖東さん)
射座(湖東さん)
射座
射座
射座(加藤さん)
射座(加藤さん)

私の銃身は6ミリPPCの1:14のツイストのハートバレルです、ターク高野の説明によると、世界のトップクラスのベンチレストシューターである、レスター、ブルーノや、トニー、ボイヤー、ゲーリー、オーカックなどは1:15のバレルを使っているそうです。

射座(私・・・築地)
射座(私・・・築地)

単に命中精度と言う観点からツイストを考えると、1:15の方が命中精度は良いのだそうです、しかし、その分、風には弱いのだそうです。
多分、こうした超一流の射手達からすれば、何よりも増して大切なのは命中精度、風は読めると、踏んだのでしょう。

射座(川村さん)
射座(川村さん)

ベンチレスト射撃は5発ずつの射撃を5回繰り返し、そのスコアーで順位を決めます。
リレー1(1射群)が撃ち終わるとリレー2が撃ちます、ベンアレー射撃場は射座が64しかないの、4回転の射撃をこなしたとしても256人しか参加できないのです。
私はリレー1で、0.179を撃ち、いきなり29位からスタート出来ました。
リレー2では0.259で31位、リレー3では0.184で15位に入りました、この時点でTOP20をゲット出来ました。
ところがリレー4で風の読み過ぎで0.397を撃ってしまいました、この時点で54位に転落です、最後は0.2459を撃って32位に持ち直すことが出来ました。
本来の成績は最終成績が問題なので、アイ、ガット、トップ、トウエニー と言うのは実は正確な表現ではありませんが、瞬間でもトップ20に入ったのでまあ大目に見てください。

銃のクリーニング(川村さんと私)
銃のクリーニング(川村さんと私)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)

ベンチレスト射撃で、何よりにも増して勝敗を左右するのは風の読み方です。日本の射手に風の読み方について説明してもあまり良く理解が出来ません、ほとんどの射手は、火薬量を精密に計ってみたり、それ以外のテクニカルな面に心血を注ぎますが、そんな努力は射撃場で風が少し吹いただけで瞬時に不毛の努力に帰します。

標的群(風を如何に読むか・・・)
標的群(風を如何に読むか・・・)
射座から
射座から

多くの人は風は無風の時が最良のコンデションだと考えると思いますが、実はこのときが一番ヤバイのです。完全な無風でも空気の流れは存在していますので、無風でも着弾は上下に散布するのです、無風よりは弱い横風の方が遙かに条件は良いのです。横風が吹いているときは少なくとも弾着に上下のブレは起きません、左右の風の強さだけを読めばいいのです、左右の風で弱い風の場合は細心の注意が必要です、あまりにも弱い風の場合簡単に吹く方向が逆転していることが有るのです、特に射座付近の風は同じ方向でも標的付近が逆風だと見誤りを犯しがちです。こうしたときに不注意な一発が命取りになることがあります、私がリレー4で犯した過ちは、風速の読み間違いでした。写真でもおわかり頂けると思いますが、射撃場には無数の風旗が立っています、多くの場合はリボンが付けてありますが、このリボンは弱い風でも簡単に真横になびくのです。
本当の風の強さは、羽車の回転数で読むべきだと思います。私はリレー4では最初の4発はかなりのグループを撃っていました、当然トップ20に残れるグルーピングです、それにトップ20からどうしても落ちたくなかったのです、最終弾の時どうしても風が収まらないので、今までより強い風の中で撃つことになりました、リボンはほぼ真横です、弾頭の変移量を考えてかなり狙いをずらして最終弾を撃ったら、なんと思いの外弾頭は流されないでは有りませんか、よく見るとリボンは真横に流されていますが風車はそれほど早い回転ではありません、完全に風を読み間違いました。
私のTOP20はリレー3で簡単にたった1発で消滅してしまいました。
ベンチレスト射撃はこうした劇的な変動の繰り返しです。

ローディング中(私)
ローディング中(私)
ローディング中
ローディング中

多くの方が命中精度を上げるコツは、より精密な火薬の計量だと勘違いしています。
中にはパウダートリックラーを使い、0.1グレインまで正確に計量する人が居ますが、ベンチレスト射撃でそんな精密な計量をする人は一人も居ません、その理由は正確な計量をしたからと言って命中精度が良くなるわけでは無いからです。
私は今回の大会のためにフラワー製の66グレインの弾頭を使い、H322の火薬を27.5グレインチャージしました、常識から言えばかなり少ない火薬量です。
ベンチレスト射撃では、どの弾頭を使い、何の火薬を何グレインチャージするかで命中精度に変化が生じます、決して火薬を正確に計ることにより命中精度が得られるわけではありません。火薬量は0.2グレイン以内の誤差なら無視してかまわないと私は考えています。

ターク高野は最近発売されたベンチマークの火薬を使っていました、ベンチマークと言う名称からすると、いかにも当たりそうですが、他の火薬と大差はないと思います。
射撃場では全員が射撃場でリロードしながら射撃をします、何故現場でリロードするかと言いますと撃つ場所により条件が変わるからです、私は初めてアメリカでの大会に参加したときは試合に使う弾は全部日本で作って行きました、しかし、今回は全部現地でリロードすることにしたのです。

火薬
火薬

私は日本の寒い環境の中でリロードしてテストをしていたので、初夏みたいなアリゾナでは初速が上がると考えていたのです、日本では最高の命中精度でもアリゾナでは初速が早くなり命中精度が変化する可能性があったからです。しかしターク高野はここでも初速は変わらないと言うのです、その理由は気温は熱くても標高が高いので空気に粘りが無いので初速が変わらないと言うのです、実際撃ってみて本当にそのとおりなのでビックリしました。
ターク高野は全米を回って射撃をしているので、外気温と標高の差は徹底的に頭に入っているようでした、アリゾナの初日はまるで初夏だったのですが2日目は雨で、日本より寒くなりました、本当はこのときにローデングデーターを替えなければならないのですが、実際に撃ったデーターが無いので何グレイン増量すべきは全く解りませんでした。
それよりも寒すぎて集中力が散漫になります、私は射撃時以外は車のエンジンをかけっぱなしにして車の中で暖をとりました、防寒着の携帯を忘れた私は完全に作戦の失敗でした。
こうした失敗の積み重ねと経験がベンチレスト射撃の大会では必要なのかな? とも考えました。

食事の風景
食事の風景
結果の貼り出し
結果の貼り出し
湖東さん
湖東さん
雨中の愛銃
雨中の愛銃
ポジションシューティング1
ポジションシューティング1
ポジションシューティング2
ポジションシューティング2
ひそひそ話し??<br>(ターク高野氏 & 川村さん)
ひそひそ話し??
(ターク高野氏 & 川村さん)
気を取り直して<br>(ターク高野氏 & 川村さん)
気を取り直して
(ターク高野氏 & 川村さん)

と、ここまで書いたら一緒に参加した秋田の加藤さんから200ヤードで、リレー3で0.4のグルーピングを出しているので、この驚異的な記録を強調して書いてくれとわざわざ手紙で横槍が入りましたので、そんな訳で嫌々ながらここに追記しておきます。
凄い! 200ヤード 0.4! アンタは天才だ! 同じ人が撃ったとは思えない!
(書いたからね、加藤さん)

左から(私、ターク高野氏、加藤さん、川村さん、湖東さん)
左から(私、ターク高野氏、加藤さん、川村さん、湖東さん)
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