レミントン7400 - 裏側まで、徹底解説

2000年11月18日 築地

ライフル銃の自動銃は以外と少ない、ハンテングにきっちり使えるのはブローニングとレミントンだけである。
当社のベストセラーはブローニングだが、レミントンもなかなか根強い人気がある、レミントンを好む人の多くは形から入っている人も多い、ブローニングのスタイルは一部の人にとっては格好が良くないらしい、また弾倉交換が簡単なのもレミントンが好まれる理由の一つである。
ブローニングの場合、弾倉を交換するのにはトリッガーガードの前にあるマガジンキャッチを押して、ヒンジを開き、その蓋の裏側に弾倉が取り付けられているので弾倉の後ろを持ち上げて外す、予備の弾倉を取り付けるには、弾倉の先端をヒンジの裏側にひっかけ、弾倉の後ろを押し下げ、"カチッ"とロックされるのを確認してヒンジを閉じる。
この様にブローニングの弾倉交換は煩雑極まりないのである。それとするとレミントンはマガジンキャッチを押しさせすれば直ちに弾倉が外れる、この作動性の良さは明らかにレミントンの方が優れている。

マガジンキャッチ
マガジンキャッチ
マガジン外し
マガジン外し

値段が安いこともレミントンの良さである、当社のセール価格は¥99,000である、正規代理店の価格では30数万円であることからして当社の価格は国内の正規代理店の価格からすると破格の値段だが、私からすると、ちゃんと適正利潤を確保した値段である。逆に言うと正規代理店価格は完全なボッタクリだったと言うことになる。小売店の名誉のために言うが小売店の利益はせいぜい30%である、通常は定価から10%程度の値引きをしているので利益率は20%程度ということで決して暴利を得ているわけではない、小売業者もいわば被害者なのである。輸入商社が如何に小売価格を押し上げていたか、その弊害の最たる物がこうした猟銃の価格で簡単に解る。
ビジネスを展開する上で価格は最も大切な事であるが同じように大切なことは技術的なサポートが出来る事である。銃器のサポートに関しては教科書が存在しない以上、銃器に関して豊富な経験と知識がないと出来ない、少なくともこれに関しては私の方が商社の社員より2歩も3歩もリードしていると自負している。
皆さんはすでにお解りだろうが、この徹底的に説明しましょうと言うレポートはほとんど毎日1本と言うペースで書いています、それも通常の仕事をちゃんとこなしながら書いている事なので、銃器の事がちゃんと頭に入っていないと出来ない芸当である。
誰かの書いた原稿や、資料を見ながら書いたのではとても追いつけないハイペースなのである。それに私は週末必ず射撃場に行くので、原稿を書くのは土日祭日以外の平日と言うことになるが、そうなると原稿を書くのは早朝と言うことになる、実はこの原稿を書いている今の時間は午前3時である。このまま2~3時間原稿を書いて6~7時には会社に出社しているのである。こんな事をつらつら書き連ねると、自慢話に聞こえるといけないが、つまり相当好きでないと出来ない芸当であると言うことをいいたかっただけなのである。

さて話がそれたがまた本題に戻ろう。自動銃で回転不良以外の次に多いトラブルは銃床の割れである。割れるのは決まって先台、元台が割れることはまず起きない。先台が割れる原因は火薬のガスである。自動銃を回転させるために銃身からガスを導入してピストンを動かし、その作用により弾を排莢して、弾倉から装填する、これら一連の作業はピストンに吹き付けたガスの作用による。

この火薬ガスはピストンを1センチメートル動かすだけである、あまりにも火薬のガスは強力なため、ピストンが1センチ動くだけでボルトはその "慣性" だけで10センチ動いてこれらの一連の作動を繰り返すのである。念のためにいうがピストンの力でボルトの作動範囲、10センチを動かしているのではない、わずか1センチである!
もしボルトを10センチ動かすようにピストンが作動したら、余りにも強烈な力のためボルトが崩壊してしまうはずである。ピストンを1センチだけ動かした後のガスがガス穴から放出される。この放出されたガスが当然にして強烈な力を持っている。
このガスが放出されるのは先台の中である、そのため自動銃の先台は割れやすいのである。

ガス吹き出し
ガス吹き出し

M-14という軍用銃があるが、この銃は火薬ガスを先台の中ではなく、先台の外に排出している、そのため先台の割れるトラブルは起こらないのである、国産でフジオートという散弾の自動銃があった、この銃は火薬ガスを先台の外に排出するシステムをとっていた、M-14と同じ設計である、こんな事を書くといかにも日本にも優れた設計者が居たかと思われるだろうが、実はこれはM-14のパクリである、ピストンの作動方法もM-14と全く同じだし、欠点まで完璧にコピーしているので簡単に解る。

さて、自動銃にとって先台が割れやすいということがお解りいただけたと思うが、レミントンの場合、新製品として銃床がシンセテックの物を発売した、シンセテックというのは対衝撃性プラスチックである、このプラスチック極めて強く、この材料を使ったナイフがあるくらいである、ただしナイフといっても切れ味が良いわけでは無い、シンセテックと言えどもさすがに鉄よりは弱いからである。このナイフ切る目的ではなく、刺す目的で作られたナイフなのである。では何故プラスチックかというと、それは金属探知器に反応しないからである。それにパソコンと一緒にカバンに収納すればレントゲンでみてもナイフと分かる事はない。何となくハイジャク犯人のために作られたようなナイフである。
話が横道に逸れたが、シンセテック銃床が割れないことはご理解いただけたと思うが、実は木製銃床も新型の物は横幅がかなり大きく出来ており非常に割れにくく出来ている、ここが旧型と違うところなので指摘しておきます。

さて自動銃がピストンの作動で回転することはご理解いただけたと思うのだが、実はこのシステムを使っていたのは他の自動銃である、このピストン方式は若干問題があったのである、使っている間にガス穴の中にカーボンが付着してくるとピストンの動きが渋くなって回転不良が起きやすいのである、レミントンの場合その構造は全く違う。ピストンにガスを吹き付けてピストンを動かすのではなく、ガスを直接アクションバーに吹き付けるのである、これだとカーボンがピストンに付着することはない、何故なら元々ピストンが無いからである。
そしてカーボンはガスと一緒に吹き飛ばされる。
昔の米軍の正式小銃はM-14であったが、これはピストンを使って作動させていた、それから後に正式採用されたM-16はピストンを使わず、ガスを直接ボルトに吹き付けて回転させる方式に改良した、しかしこの方法はボルトに直接ガスを吹き付けるためボルトが汚れやすい欠点があった、しかし新レミントン7400の場合、ボルトではなくアクションレバーに直接吹き付けるのでボルトが汚れる事はない。
旧型の物とはボルトのロッキングも変更された、旧型はボルトのロッキングがブローニングの様に6個付いていたのだが、新型は大きな物が2個付いている構造に変更された、ロッキングが多ければ多いほど異物を噛み込む可能性が大きくなる、それを避けるためにロッキングを少なくしたのであろう、ボルトの外側にはプラスチック製のダストカヴァーが付いているがこれも異物の進入を防御するためには効果がある。

レミントンには照星照門が付いている、もう一つレミントンで起こりやすいトラブルであるがこの照門を無くす人が思いの外多いのである、このサイトは調整式のためネジをゆるめて照準調整が出来るが、工場から出荷した段階でこのねじが良く締まって居ない物があり、山歩きの最中にポロリと抜け落ちてしまうのである。これは何もライフル銃だけに限った事ではなくレミントンの場合散弾銃のスラッグ銃身でも同じ事が言えるのでご注意願いたい。射撃場で照準調整を済ませた後は、ねじを完璧に締め上げ、そのあと外側をエポキシ系統の接着剤で接着しておくことをお勧めする、こうすれば抜け落ちることはない、どうしても再調整をするときはライターであぶると、接着剤を剥がすことが出来る。

照門
照門

銃全体の外見を見てみよう、写真では解らないと思うが金属部分は全部つや消し仕上げに出来ている、シンセテック銃床の仕上げとうまくマッチしている。
従来型の艶仕上げの7400とは全然雰囲気が違っている、ハンテングにはシンセテック銃床の方が良さそうに見える。

ウッド & シンセテック
ウッド & シンセテック
機関部の比較(ウッド、シンセ)
機関部の比較(ウッド、シンセ)

シンセテック銃床の機関部はよけいな装飾がないが、木銃床の機関部には彫刻が施してある、最も手彫りではなくプレスでスタンプしただけの簡単な物であるのであまり価値はないが。自動銃の回転不良を防ぐためには薬室をきれいに掃除しておかなければ成らない、自動銃は射撃をする度に火薬ガスが薬莢と薬室の間にわずかに進入する、通常は高圧ガスのために薬莢が膨らんでガスの吹き戻しをシールするがそれでも少しずつ汚れてくることには変わりない、またリーロードした弾を使う場合、ターボタンブラーできれいに研磨してから使うようにお勧めした、汚れたままの薬莢をそのまま使うと薬莢に付いたカーボンや汚れが、火薬ガスの圧力で薬室に押しつけられる、そしてそれが少しずつ蓄積するといつしか薬室の壁がざらざらになり、ついには薬莢が薬室に張り付くことになる。これが以外と回転不良の原因になるのである。ですから汚れた薬莢は使わない、射撃をした後は必ず薬室ブラシで薬室を清掃する事が必要である。この薬室ブラシを最初から付属で付けているのはレミントンだけである。

レミントンは最近のモデルから、安全装置に鍵がかかるようになった。この鍵を外さないと安全が外れないのである。つまり引き金を引くことが出来ないのである。
つまり安全装置が二重構造になっているのです、鍵を挿入して赤い印のある所まで回転させると初めて安全を左右に押して安全を解除したり、安全をかけたりすることが出来る。
鍵を挿入して白いマーキングの所に回すと、安全装置を左右に押し出すことが出来なくなる、つまり安全装置がロックされた状態になるのである。
かえって面倒に感じられるかも知れないが、今までとおりの使い方をするならば鍵の位置を赤い印の所にセットしておけば従来とおりの使い方が可能である。

安全装置の鍵
安全装置の鍵

レミントン7400には照星照門は全てのモデルに付いているが、当然にしてライフルスコープも使うことが出来る、マウントベースを取り付ける穴はすでに加工してあるので単純にネジ止めするだけで取り付けられる。
負環金具は付いていないのでアアンクルマイケル社の7400用専用負環を使うと先台の止めネジに差し替えるだけで取り付ける事が出来る、金具の価格は¥6000である。

先台の止めネジ
先台の止めネジ
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