弾道計算尺(ミルドット マスター)の使い方 - 弾道学

2002年 6月13日 築地

ライフルスコープのリチクル(十文字)には色々なタイプがあるが、ミルドット言われるリチクルは、団子を串刺しにしたような形状をしている、参考までに取扱説明書の表紙にあるミルドットレチクルをご覧頂きたい。

この団子の一つの大きさが1ミルと呼ばれる大きさです、1ミルとは1000メートルの距離で1メートルの大きさである、つまり1メートルの大きさの物が、この団子と同じ大きさに見えたら、その目標までの距離は1000メートルであると言うことになる。
逆に言うと、目標の大きさが事前に解っていないと距離の補足は出来ないことになる。
しかしながら、実際のハンテングでの獲物は大半が鹿、熊、等のあらかじめ大きさの分かっているものであるから計測は容易である。

取り扱い説明書
取り扱い説明書

このミルドットと言うリチクルは、元々軍用のスコープとして開発された、軍隊で使う場合は立ち上がった歩兵のサイズとか、歩兵の肩幅とは、あるいは戦闘車両の大きさとか、あらかじめ基準となる物を決めておくことにより、その大きさがミルドットと比べてどの大きさに該当するかで距離を補足していた。

従って、ミルドットを使う場合、このスコープを覗くだけで目標までの距離も簡単に補足できるのである。
これは計算尺なので計算尺の中の目盛りの部分は上下にスライドする。TARGET SIZU (ターゲットサイズ)の目盛り10"の所を1ミルの所に合わせてみよう。10"(インチ)は25.4CMである、仮にこの大きさの物が、1ミルの目盛りの所で重なった場合、TARGET RANGE (ターゲットレンジ)の目盛りを見ると280の所に目盛りが来ている、つまり目標までの距離は280ヤードと言うことになる。
この様に目標の大きさがあらかじめ解っていれば容易に目標までの距離を割り出すことが出来るのである。

10インチの物を1ミルで合せる
10インチの物を1ミルで合せる

最近、ハンテングの世界では、レーザー距離計が普及しているので、スコープを利用して距離を計測すると言うことは無くなった。レーザー距離計の誤差は1メートル以内なので、こちらの方がはるかに高精度である。従ってレーザー距離計を使う限りに置いては、ミルドットを利用して距離を計測する意味はほとんど無くなった。

弾道計算尺と言っても、個々の弾頭のドロップ量が計算できるわけではない、弾道のドロップ量は使用する火薬、火薬量、火薬の種類、弾頭の種類、重さ、カートリッジ、外気温度、湿度、そうした要因で微妙に変化する。従って自分の使っている弾頭のドロップ量はあらかじめ把握しておかなければ成らない、そうしないとこの計算尺の使いようがないからである。この計算尺を最も有効に利用できるのが、リューポルドのM-3ライフルスコープであある、リチクルは元々ミルドットであるが、目標までの距離をレーザー距離計で計測する場合はミルドット使って計算する必要はない。
M3ライフルスコープは非常に勝れたライフルスコープで、308ウインチェスター、300ウインチェスターマグナム等のカートリッジを使用した場合、それぞれのカートリッジに合わせた照尺ダイヤルが付いている、100ヤードで照準調整をした場合、そのダイヤルの目盛りを100に合わせてねじ止めしておけば、その目盛りを300にすると自動的に300ヤードの照準に自動補正してくれる優れものなのである。
しかしながらいずれも水平距離における照準補正である、上に向かって照準した場合、下に向けて照準した場合、弾着はどの様に変化するかお解りだろうか?
上に向けて撃った場合、水平の照準点より、上に着弾するか、それとも下に着弾するか?
逆に、下に向けて撃った場合、水平の照準点より、上に着弾するか、それとも下に着弾するか? お解りだろうか?
正解は、上に向けて撃っても、下に向けて撃っても、水平撃ちしたときより上に着弾するが正解なのだが、この弾道学のイロハとも言うべき弾道学が理解できていない人は、当然獲物に命中するわけがないのである。当然撃つ角度でその着弾点は微妙に変化する。

どの程度変化するかは、私も実際にコンピューターで演算しないと解らない。しかしながらこの計算尺を使うと瞬時にその数字が割り出せる。
しかも、実際に撃つ角度も割り出すことが出来る優れものである。

角度を計測する
角度を計測する

この計算尺の端にひもを通し、一方に重りを付ける。計算尺の端面を利用して端から目標を見ると上向きか、あるいは下向きかによって下げた紐は必ず真下に位置するので、その紐の延長線上に有る目盛りを読みとると角度が解る。

60度で撃つ計算をすると
60度で撃つ計算をすると

では角度により計算方法を説明しよう。レーザー照準器を使い、あるいはミルドットを使い目標までの距離が300ヤードとしよう、そして角度が60度だったとしよう、 計算尺のターゲットレンジの目盛りを300に合わせると、60度の角度の所の目盛りは150に成っている、つまりこの場合、ライフルスコープの目盛りを150ヤードに合わせれば、300メートルで、60度の角度で撃つ場合の正照準となるのである。

弾道計算尺は、この角度調整の為だけでも充分に有効な道具なのである。

このミルドットマスター、取扱説明書が付いて、¥5,900である。買って!

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