商売の手の内見せます - コーヒーブレイク

2000年 4月12日 築地

ビジネス上の手の内と言うのは、当然にして誰でも秘密です、しかし私のコラムも段々ネタ切れに成ってきましたので、この辺で私の商売の、手の内でも開かしてHPのアクセス件数を上げたいと思います。

私の商売は他の銃砲店とはかなり商売のスタイルが異なります、直輸入、直販、そしてその多くが通信販売で占めています。残念ながら店舗はありません、ビジネスをする事務所ですら普通の住宅地にあります、この場所は駅からは遠いし決して立地条件も良くありません、それに私の会社はたった二人だけで構成されています、私は一応は社長と言う立場ですが、たった二人だけの会社ですから、近所の八百屋さん、魚屋さんの方がはるかに会社の構成員の数から言えば大きいはずです、こんな程度なら、脱サラした人でも簡単に始められそうなビジネスではありませんか、そうした人たちに多少でも参考になれば、あるいは新しい銃砲店のスタイルを模索している日本全国の銃砲店の経営者の人たちに多少でも参考になれば、そんな気持ちでこのコラムを書いてみます。

当社の顧客数は約10000人いらっしゃいます、通常の銃砲店の感覚からすればとんでもない多くの数です、しかも業界紙には一切の宣伝広告が出来ない状態なのですから。
しかし実際にビジネスに繋がっているお客様は6000人位でしょう、のこりの4000人は今ビジネスにならなくても将来的にビジネスになれば良いのですから出来るだけ多くのお客様を取り込むようにしています。
雑誌、狩猟界の発行部数は私の推測では3000部です、GUN誌は10万部ですが95%がオモチャ関係ですから、当社の対象となるお客様はGUN誌と言えども5000人位です。
こんな中で当社はかなりな顧客数は把握できていると考えていますが、しかしながら全国で銃砲を所持している人は20万人居ますから、まだまだ掘り起こしは可能です、当社では一昨年から全国の猟友会名簿を元に2年かけて日本全国の名簿データーベースを作成しましたが、実を言うとあまり役には立っておりません、なぜならあまりにも膨大な数なのでダイレクトメールの出しようが無いからです、当社では毎年2回セールのカタログを作成して6000名の人に無償で配布していますが、この費用だけで年間数百万かかります。もしこのDMを20万人の人たちに年2回配布したら、簡単に一億円以上が吹っ飛んでしまいます、従ってこの膨大なデーターは現実には使うに使えない物になってしまいました。

本当は多くのお客様が当社のHPにアクセスして、メールでどんどん注文をしてくれれば最高なのですが世の中そんなに旨く話は進みません。
銃砲所持者の構成要員を年齢別に分析すると、60代40%、50代40%、40代15%、30代5%、と言うのが大体の構成要員ですから、とてもインターネットの世界にアクセス出来る雰囲気はありません。
こういう人たちにアピールする最大の宣伝は"口コミ"です、これが最大の効果を生みます。
特に狩猟の世界では、リーダーになる人が銃を買うと、それに影響されるというか、その流れに入る人たちが大半です、従って一度お客になった人は極力取りこぼさないように考える必要があります、そこで大活躍してくれるのがコンピューターです。
当社には購買層となるお客様は6000人いらっしゃいますので、電話が来たときに何処の誰かを瞬時に把握しなければなりません、特に以前買い物されたお客様の場合はその情報は絶対に把握出来ていないとビジネスの話が出来ません。

当社の顧客データーはマイクロソフト社のアクセスと言うデーターベースに入れてあります、保険会社みたいな膨大な数では無いので6000人というと、コンピューターから呼び出すのに、1秒もかかりません。そうして呼び出した顧客データーには、何時、何を幾らで買って、代金をどういう方法で支払ったから、あるいは単にヒヤカシだけの電話だったか仔細に書いてありますので、一度商品を買ったお客様で、支払い状況に問題が無ければ、そのお客様には数万円する商品でも代金後払いで安心して送ることが出来ます。
また最近では番号デイスプレイシステムが在りますので、誰からの電話か瞬時に検索も出来ます、しかし電話の20%位は公衆電話、会社からの電話、携帯電話、ですのでこれは相手先が解りません。しかし名前をお聞きすれば、瞬時にデーターを開示する事が出来ます。多分、お客が100人も居ない銃砲店より案外当社の方がより親密に話が出きるかも知れません。最大の懸念はコンピューターがクラッシュした時や、データーが紛失したときですが、そのリスクを出来るだけ回避するため、自宅と会社に予備のコンピューターを置いています、会社のコンピューターシステムには最近サーバーを導入しました、そのサーバーに社内LANで2台のコンピューターを接続しています、社内は2人しか人間が居ないのでいくらコンピューターが在っても2台しか使いようが無いのです、昔、サーバーと言えば我々にはとても手が出ない値段でしたが、今では劇的に安くなりました、これでは利用しない手は無いでは無いですか。
銃砲店のビジネスをやると、銃の出入り、それは法律上からも完璧に把握しなければなりません、販売銃の在庫状況は私が管理していますが、これはこれから入荷予定の銃も管理しているので実際の銃砲台帳とは内容が異なります。

法律で定められた銃砲台帳、それと経理のデーター入力は当社の人間ではなく、自宅でアルバイトする人に任せています。データー入力だけですから何の問題もありません。
これを全部社内でやったら後2人は社員を増員しなければならなかったでしょう。
インターネットの世界は、どんなに遠くに居ても二階に居る人とコンタクトしている様にデーターのやりとりが出来るので、実際に社員を抱えているのと同じ感覚で使えます。
銃砲台帳もアクセスをベースに当社独自のフォーマットを作成しました、帳簿は市販の経理システムを導入していますのでデーターさえ入れれば仕分けも計算も自動ですから間違いはありません。これらの全てはコンピューターが無ければとうてい出来なかった作業です、銃砲台帳も、経理帳簿も、基本的には何の利益も出さない作業なのでこれらの仕事を如何に安くこなすかは銃砲店経営で極めて大切な事です。

当社はお客様からご注文頂いた時点でご入金頂くシステムですが、これは決して評判が良いとは思わないが、これが無ければ成り立たない位大切な事なのです、と言うのは代金を払って貰ったからと言って、必ず銃を引き取って貰わないと保管庫がたちまち満杯になってしまいます、もし代金後払いと言うことになれば、途中で勝手にキャンセルしたお客様の銃の管理に不必要な時間をとられる事になります、信じられないかも知らないが代金を払っても銃を引き取られない方が少なからず存在するのです、こうしたお客様の場合、一年を経過したのに引き取られない場合は返金して注文をキャンセルしていただいているが、もし代金を受け取らずに管理していたらその煩雑さは相当な物になるで在ろう事は容易に想像できるではないですか。
1ヶ月100万円程度の売り上げならこうした管理も容易でしょうが、当社は昨年夏のセール時には1ヶ月で5000万円の売り上げを上げているのです、それも大半が値段の高い、ペラッチなら問題は無いのですが、ほとんどが10万円程度の銃であるので、多い日は1日30丁の銃を売ることもあります、これの管理を1年の期間やっていたら簡単に保管庫の容量がパンクしてしまうでしょう。
1日30丁売ると、終日、請求書と譲渡承諾書等の書類作成で終わります、とても銃砲の管理の時間はとれないのです、如何に無駄をなくすかと言うことからすると、入金の無い場合は注文を受けないのが一番合理的なのです。

仕入れに関しては出来るだけ安く仕入れると言う大命題が在るのですが、実はこの銃砲業界は徹底的な合理化が進められたため、メーカーは絶対に過剰生産はしないシステムになっているのです、日本人の感覚からすれば、お金さえ払えば何時でも商品が好きなときに入ると思いがちだが、ドッコイ、このビジネスはそこが大きな落とし穴なのです、この業界の"お約束"は事前に1年間の注文を出しておかないと全然銃が入荷しないことになりその時になって完全にパニックになってしいます、売れない銃は市場に余っているのですが、売れ線の銃は常に品不足の状況にあるのです、日本のお客は世界一わがままだと言えば、多くのひんしゅくを買いそうだが、外国のデーラーと交渉して、その雰囲気のまま日本のお客と対応するとどうしても態度が横柄になってしまう(私の対応が横柄なのはその為であるので決して誤解の無いようにお願いしたい)
どこの世界でも同じかも知れないが、品物が無いからと言って仕入先はあまり転々と変えない方が良いでしょう、何故かと言うと、この世界思いの外狭い世界なのです、特定の銃を仕入先が持っていないからと言って他の所に注文を出すと、そこがまた他の所に在庫状況を聞くので簡単に相手先に漏れてしまうのである、仕入先を転々とすると、今までの仕入先からも、もうまともに相手にされなくなってしまう恐れがあります、ではメーカーから直接仕入れないのかと皆さんから聞かれそうだが、私がそんなリスキーな選択をする訳がない、もしメーカーに注文したら、その途端にその情報は日本の代理店に流されるだけで、何の意味もない。
そんな訳で実際に銃を注文する場合は力のある代理店を利用するしか無いのである、そうすると、みずみすその代理店にコミッションを抜かれるが、それは経費として諦めるしかない。であるからして、平行輸入物は品物が違うと言う日本の代理店の主張は確かに的を得た指摘である、なぜなら代理店が購入する銃は、私が購入するよりもさらに10%~30%も安く購入できているからである、私みたいに中間業者が介在しない以上当然の事である。

どうです、脱サラしてガンビジネスやってみますか?

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