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ベレッタ391 ウリカ(ゴールド、シルバー、シンセテック)

2003年 3月18日 築地

左全体図
左全体図
右全体図
右全体図

私、最近足腰が弱りました!
年齢の所為も有りますが、何と言っても、足腰を使わなくなったと言うのが最大の原因でしょうね。しかしながら、腰に関しては年に数回、充分運動出来る様な思わぬ幸運に遭遇することも有りますが、足に関しては全然駄目ですね、私の通勤は車ですし、唯一の趣味である射撃ですら、べンチレスト射撃は椅子に座ったままですし、トラップ射撃ですら5つの射座をとぼとぼと移動するだけの動きですから、箸を動かすより運動量は少ないはずです。ですから歩くのも遅いです! ハンテングフィールドに出れば、70代、80代の大先輩方よりも歩きは遅いと思います。山歩きなんて論外ですね。
足は遅いのですが、他人の目から見ると手は早いようです。
ショットショーのレポートの中で、オイラのガールフレンド"クミちゃん"の事を書いたら、"さすが築地さん、手が早い、なんて言われ方もしておりますが、これって何の事なんでしょうね? さっぱり解りません。
手が早くても運動量解消にはあまり役立つとも思えず、足腰を強くするには、何と言ってもハンテングフィールドに出かけるのが一番ですね。
そしてハンテングに使用するには、一押しはベレッタ391です。
今回は、この銃について説明を繰り広げたいと思います。

当社で一番売れる自動銃(散弾銃)はベレッタです。

ですから、ベレッタの取扱説明書の日本語版が欲しいという声は以前から沢山リクエストがありましたので、今回はベレッタ391に付いて説明してみましょう。

391全体図
391全体図

この取扱説明書では、391ウリカ、ゴールドブラックと言う銃を使っていますが、これより下位のモデル、シルバー、あるいは銃床が対衝撃性プラスチックの、シンセテックモデルも構造は同じですので、取扱説明書としては同じと考えてください。

ベレッタが何故ベストセラーモデルなのかと言うと、先ず、故障が少ない、重さが軽い、これがお客様が購買を決定する最大の決め手だと思います。
機関部に軽合金を使っていますので、部材自体が軽いのですが、外見はスリムは仕上げに徹しており、これが軽量化に繋がっていることは言うまでもありません。

機関部右
機関部右
機関部左
機関部左

ゴールドブラックの機関部には、金象眼したような部分が有りますが、これは本物の金象眼ではなく、この部分だけメッキしたものです。
本物の金象眼で\185,000で売れるわけがありません、金象眼だけでこの値段がかかりますからね。しかし、見た目はいいでしょう。素人目には充分金象眼に見えますからね。
金象眼のある面は、研磨仕上げしてあります、研磨と言っても磨き上げではなくてヘアーラインと言う仕上げですね。この部分以外の上と下は、つや消し仕上げに出来ています。
これだけでも結構凝った作りです。艶消し部分と同じ仕上がりですが、トリッガーガードはファイバーグラスを混入したプラスチックで出来ています。
通常の軽合金を使ったのでは、この薄さでは簡単に割れてしまいますからね。

トリッガーガードには引き金の前に安全装置が付いています。赤いラインが見える状態ですと引き金が引けます、つまり安全が解除されている状態です。
この銃が優れている点は、この安全装置は左右どちらにでも変更できることです。
左利きの人は、当然安全装置は右用の人とは逆にして使いたい筈ですよね。
ストッパーを押しながら片方に押しますと、安全装置が抜けますので、逆に入れ替えると左用の安全装置に変更できるのです。
しかしながら、安全装置が引き金の"前"に有るのは非常に使い勝手が悪いのです。

安全装置
安全装置

引き金の"後"にあれば問題ないのですが、この事だけでベレッタの購入を止める人も少なくありません。この点に関してはレミントン、またはFNの方が優れていますね。

さて、銃の組み立てについて説明を進めます。
先台先端のネジをクルクル回しますと、ネジが取れ、先台がはずせます。
先台のネジのことを、フォアエンドキャップと言います。
先台を外した状態でメカの話をしてみます。先端に付いているのがピストンです。

ファエンドキャップ
ファエンドキャップ

ピストンですから本当は単なる円筒でいいのですが、このピストンは幾つものスリットが見えますよね、実はこの部分でガス筒に付着したカーボンを取り除くのです。

ピストン
ピストン

ベレッタが、セルフクリーニング(自動清掃)と言って宣伝しているメカニズムなのです。これで削り取られたカーボンはガス筒のエギゾーストノズルから自動的に排出されます。

ガス排出穴
ガス排出穴

ベレッタは24グラム装弾から57グラム装弾まで完璧に作動すると宣伝していますが、これは本当です!今まで回転不良のクレームは皆無です。

何故この様な事が可能かと言いますと、24グラム装弾を使うときは作動しないのですが、強い装弾を使うときは、ガス筒の前の部分が強さに応じて自動的に開放されますので、強い弾でもピストンが急激に動くことは無いのです。

バルブ
バルブ

一般の人が考えるのは24グラム装弾で動けば、強い弾でも動くわけですから、別にガスを逃がしたり、余計な事をしなくてもいいのではないかと思われるかも知れませんが、もし余分なガスを逃がさないと、ボルトが急激に後退し、機関部の後ろに激突して、機関部にクラックが生じる事があるのです。その為に強い弾を使うときは余分なガスは排出するように作られているのです。

ピストンの移動量
ピストンの移動量
スリーブの移動量
スリーブの移動量

ピストンが動くのは22ミリ、ピストンの後ろにあるスリーブがその慣性で95ミリ移動するのです。スリーブの取り付けてあるオペレーテングロッドを見てください。
レミントン等とすると数倍の強度があります。レミントン等はプレスで打ち抜いた物を加工していますので所詮は"鉄板"ですが、ベレッタの場合は"削りだし"です、それを溶接部分が酸素と結合しないように溶接した、アルゴン溶接で溶着していますので強度は完璧です。
ボルトの部分をご覧下さい。ボルトハンドルの後ろに楕円の穴があります。

溶接部分
溶接部分

ピストンが最初に動いたときには、先ず最初にボルトハンドルが10ミリ後ろに後退するのです、楕円の穴はその後退するスペースです。
ボルトハンドルが後退しますと、ボルトの上にある、銃身とロッキングしている、ロッキングブロックが降下してロッキングを解除します。

ボルトハンドルの移動量
ボルトハンドルの移動量

そしてそのまま95ミリ後退して薬莢を排出します。
銃身のロッキング部分をご覧下さい、この溝にロッキングブロックが填り込み、銃身とボルトをロックしているのです。

ロッキングブロックUP
ロッキングブロックUP
ロッキングブロックダウン
ロッキングブロックダウン

銃身を子細に見て頂くと銃身の内側は白く、銃身の外側は黒くなっているのがお解りでしょうか。これは白い部分が硬質クロームメッキしてあるのです。
ボルトの部分をご覧下さい、このロッキングブロックが持ち上がり、銃身部分に結合するのです。銃身に施してある硬質クロームメッキは錆止めの目的も有りますが、主たる目的は摩耗を防ぐためのメッキです。摩耗を防ぐためならロッキングボルトにも硬質クロームメッキをしても良さそうなもですよね。

銃身のロッキング部分
銃身のロッキング部分

私の解説書が、市販の雑誌のレベルを遙かに超えているのは、ちゃんとこうした事まで丁寧に説明する事にあります。と、言うよりは雑誌のライターなんてこんな事は知りません。鉄砲屋さんは勿論、自称専門家なんて言うレベルでも知らないでしょうね。
現場をちゃんと踏んでこないと知り得ない知識ですね。
さて、その理由ですが硬質クロームメッキはとても硬くて対摩耗性に優れているのですが、その硬い物同士を噛み合わせますと、お互いが硬すぎて両方に"カジリ"を生じてしまうのです。その為に硬質クロームメッキをした相手側は、通常のクロームモリブデン鋼材のままでないといけないのです。
ですから、機関銃の作動部分には硬質クロームメッキは絶対使ってはいけな事は、銃器設計者の常識なのです。
航空機に搭載してあるバルカン砲の銃腔内は銃身寿命を延ばすためにクロームメッキをしてありますが、それ以外の部品にはカジリが起きるので絶対硬質クロームメッキをしてはいけないのです。また、メッキは厚ければ厚いほど丈夫なように一般的には勘違いされていますが、硬質クロームメッキは実は薄ければ薄い程丈夫なのです、気取って厚いメッキをすればメッキと銃身は硬度が違うので剥離の原因になるのです。
過日、自衛隊の戦闘ヘリ、コブラの機関砲を見たのですが、銃身の1本に明瞭にメッキの剥離が視認できました、これは製造現場のエンジニアが気取ってメッキを厚くしたからです。メッキの剥離が起きると命中精度は極端に劣化します。
バリカン砲のミルスペックは、射距離300メートルに於いて、命中精度は1メートルの範囲に80%着弾すると言うことで、まるで散弾銃のパターンテストみたいな事をします。
しかしながら、昨年行われた総合火力展示演習の記録ビデオを子細に分析しますと、ホバリングしたコブラのバルカン砲は、300メートルの距離なら1メートルどころか、10メートル以上に拡散するほど非道い命中精度ですね! ホバリングするヘリコの振動は半端でないので、バルカン砲のせいだけではないので仕方ないのでしょうが、あれは物に命中させると言うための機関銃ではないですね、何処に当たるか解らないですから単なる脅しの為の機関銃です。弾着がバラバラですから弾幕を張るという目的には逆にいいかも知れませんがね。
私はメッキ屋の経験は無いのですが、64式小銃を開発した防衛庁の技術者に粘っこく食らいついて小銃の銃腔内メッキのノウハウについて徹底的に教えて貰ったのです。
ですから、チョットしたメッキ屋さんレベルの知識ならあります。

話が飛びましたが、銃身を機関部に取り付け、先台をはめますが、ベレッタの場合先台がちゃんと機関部側にぴったりと付いているか必ず確認してください。

これが正しい
これが正しい
これは駄目
これは駄目

先台がちゃんと機関部に付いていなくても取りあえず銃身は組み立てられます。
先台がちゃんと入らないのは機関部との填め合いのため、2ミリ程度の段差があるため、この段差にちゃんとはまらないとこんな状態になるのです。画像をご確認下さい。

カットオフボタン オフ状態
カットオフボタン オフ状態
カットオフボタン オン状態
カットオフボタン オン状態

機関部左側にカット-オフボタンがあります、これはボタンをオンにしますと、弾倉内の弾が出てこない装置です。通常の自動銃なら弾倉から弾が出てこないと意味がありませんよね、ではこの装置は何の為にあるかと言いますと、ハンテングの最中、チョット一休みなんて時に、当然にして薬室に入っている弾は抜きますよね、ところが弾倉に入っている弾を抜くとなりますと、何回もボルトを前後させないと駄目ですよね、ところがこのカット-オフ装置を使いますと、薬室の弾を抜いても弾倉の弾はそのままホールドされるのです。
そして、休憩が終わり、また銃を使おうとするときは、ボタンを戻すと弾倉の弾が給弾されるようになります。

ベレッタの場合、キャリアラッチは常にこの状態にあり、引き金を引いた瞬間に弾倉から装弾がここに飛び出します、偽装弾を使って空撃ちするとそのメカがよく分かりますよ。
ボルトが後退してボルトが前進すると、このキャリアが持ち上がり装弾を薬室に装填します。

キャリアラッチ
キャリアラッチ

銃を収納するときは、先台を取り付けますが、銃身が無い状態ではネジと先台の部分に空間があり、がたがたしますので赤いプラスチックスペーサーを使って組み立てます。

赤いスペーサー
赤いスペーサー

391ウリカには多くの付属品が付いています。
ベンドの高さを調整するスペーサーがあります、C-60-DXと書いてあるプラスチックの部品です。これは片方が厚くなっていますのでこれを上下入れ替えることによりベンドを高くしたり、低くしたり出来るのです。

ベンド調整スペーサー
ベンド調整スペーサー
スペーサー
スペーサー

また別の部品を銃床に組み込みますと、キャストオフ、キャストインの設定が出来ます。
キャストオフとは、右利きの射手が、銃身軸線から銃床の後ろを外側にずらすことを言います、通常キャストオフは5ミリ程度です、ストレート銃床の場合、左でも右でも使えますが、右用にキャストオフしてある銃床を左利きの人が使うと非常に使いずらいので、この場合は左用に調整する必要があります。

銃床の後ろに、このキャストオフの部品を組み込むとキャストオフになります。
この部品をひっくり返して使うと、キャストオンになります。

キャストオフ部品
キャストオフ部品

左用と言うと、薬莢が飛び出すエジェクションポートの事も気になると思いますが、これは全く気にする必要はありません。何故なら飛び出した薬莢は顔の方に向かって来る事はないのです。排莢した薬莢は先端が回りながら後ろに跳びますが、薬莢の先端が機関部にあたり、今度は逆に回転しながら45度前方に跳んでいくのです。ですから左利きでも全然問題はありません、それが証拠に軍用銃は全部エジェクションポートは同じですが、米軍の場合、30%兵隊さんが左利きです。

部品取り付け図
部品取り付け図

ベレッタ391にはガンケースも付属しています。中に何に使うか解らない金属棒が1本有ります、これはこれを弾倉内に入れることにより、弾倉内1発に改造するスペーサーです、外国では猟場によっては弾倉内1発と言う所もあるからです。
最近の銃は全てそうですが、ベレッタも交換チョーク式の銃身です、チョークは全部で5本付属しています。チョークの先端に溝が入っており、その溝の数で何のチョークか知ることが出来ます。

チョーク溝
チョーク溝
銃口部分
銃口部分

1本の溝は、フルチョーク 2本の溝はインプルーブド モデファイ、3本の溝はモデファイ 4本の溝はインプルーブド シリンダー 5本の溝はシリンダー 何も溝のない物はスキーとチョークです。
チョークのサンプルは4本有りますね、1本は銃身に付いています。
これで、合計交換チョークは5本付いていることになるのです。

チョークの他に厚さの違うレコイルパットも付属で付いています。

レミントン 11-87 プレミア

2003年 3月11日 築地

言わずと知れた11-87はレミントン社の自動散弾銃ですが、プレミアと言うのは直訳すると特選品と言うような意味があり、この銃は機関部、銃身はピカピカに磨かれた上で黒染めされ、銃床もアメリカンウオルナットを使い、ウレタンでピカピカに塗装されています、このモデルをプレミアと言うのです。

11-87
11-87

ハンテング専用のモデルは、SPS(スペシャルパーパス)と言って、機関部、銃身はつや消し、銃床もシンセテック銃床を使ってあります。
今回はプレミアについて説明しますが、内容的には同じですのでSPSの場合も同じだと考えてください。
ベレッタなどが機関部を軽合金にして、さかんに軽さを売りにしているのですが、未だにレミントンだけはかたくなに機関部は"スチール"を売りにしています。
勿論、スチールが丈夫なのは言うまでもありませんが、銃の耐圧は銃身と、銃身にロックされるボルトで保っているので機関部がスチールである必然性はないのです。
それが証拠に、軽合金の物でも機関部に割れが入ったなんてトラブルは皆無ですからね。
但し、金属の質感とか言うことになるとスチールの質感は軽合金では出せないのは事実です。なんて事を言いながら、この銃の引き金ブロックは軽合金です。
後半に引き金の説明の所に画像がありますのでご覧頂くと解りますが、引き金ブロックの下側は黒くなってますが、上の方はダイキャストの地肌のままですから白いですよね。
下の黒いのは焼き付け塗装なのです。

この様に機関部がスチールなのでレミントンは重たいと言われるのです。
しかし、ベレッタ等と比べると値段が安いので、値段で決めるならレミントンですがね。

アメリカでは子供が銃をいたずらして事故を起こすと言うことが少なからず発生しています、下手するとどんな大メーカーでも訴訟を起こされ、万が一にでも敗訴なんて事になると、膨大な賠償費用を請求されるため会社が倒産しかねません。

安全
安全

必ずしもそれだけが理由ではないかも知れませんが、レミントンの銃は安全装置が二重にかけられるようになっています。
通常、引き金の安全装置は左右に動かすことにより作動します。
これは従来とおりです、新しい安全装置は安全キーを使って、180度回転させてロックしたり、解除したり出来るのです。安全装置ボタンの白い矢印を、トリッガーガードの白いマーキングに合わせると、安全装置がロックされます。

安全キー
安全キー
安全キーを差し込む
安全キーを差し込む

これを赤いマーキングに合わせると安全装置を作動させることが出来ます。
日本では銃は全てガンロッカーに収納されているので、子供が銃を触ることもないし、そのために事故が起こると言うこともないので、こんな煩雑な安全装置を使う必要はありません、はっきり言って無駄な装置ですね。

銃は、銃身を取り外した状態で箱に収納されています、器用、不器用にかかわらず、必ず銃身は自分で組み立てなければなりませんが、これが出来ないという人は今まで居ませんでした、しかし、手間取る人は居ますね。、そこで手間取らないでスピーデーに組み立てられるコツを少しお話しします。

先ず先台のキャップ(ネジ)を外して先台を抜くと、銃身を機関部に取り付けられる状態になりますが、このまま銃身を差し込んでは駄目です。
ボルトが前進した状態では、ボルトの上にあるロッキングが出ている為に銃身が差し込めないのです。そのために銃身を差し込む前に必ず機関部を開放してください。

機関部開放
機関部開放

レバーを完全に後ろまで引けば、機関部は開放された状態で止まります。
この状態で銃身を差し込むのですが、銃身を差し込む前にもう一つだけチェックしておくことがあります。
レミントンの自動銃には24グラム装弾を使うときに、回転を確実にするためにガスヒールという部品をガスシリンダーの所に使います。

ガスシール
ガスシール

画像、ガスシールをご覧ください。
銃を箱から出した段階ではガスシールは大体ここの位置になります。
このまま銃身を差し込むと、ガスシールが弾倉パイプの段差の所で引っかかってしまい、銃身が上手くはまらなくなるのです。
その為に段差の所よりも機関部側にガスシールを移動させておくのです。
そうすれば銃身はスムーズに装着できるのです。

段差
段差

銃身とガスシールの位置関係をご確認ください。
ガスシールと言う名称ですが、要するにOリングです、しかし、市販のOリングを使うと簡単に切れてしますので、これが切れた場合はレミントン純正の物を使うしか方法はありません。純正品の値段は\1200です。
このOリングは比較的容易に切れますので、24グラム装弾を使用するとき以外は外しておいてください。マグナム装弾を使うと簡単に切れますが、切れても回転するのでほとんどの人がそれを知らないで使っているケースも多々あります。

ガスシールの位置
ガスシールの位置

ベレッタは24グラム装弾から52グラム装弾まで綺麗に回転しますが、レミントンの場合、24グラム装弾で回転不良が起きることがあります。これは元々マグナム装弾を使うことを前提として作られているので設計上問題があるのかも知れません。
逆にマグナム装弾を絶対に使わないと言う前提なら、レコイルスプリングを切りつめたり、ガス筒の穴を調整したりして24グラム装弾でも綺麗に回転するように調整する事は出来ます。このあたりのガス筒の設計はベレッタの方が上手ですね。
画像をご覧ください。ガスシリンダー本体の前に、ガスシリンダースプリングがありますね。これは強い装弾を撃つときにはここのスプリングが開いて余分な強いガスを放出するのです。

ガスシリンダー
ガスシリンダー

11-87の前のモデルは1100でしたが、昔の1100の頃は、射撃用装弾も32グラム狩猟用のマグナム装弾ですら45グラム程度だったので、こうしたガス抜きの穴は銃身には付いてなかったのです。
現在は24グラムから52グラムまで、装弾もいろいろありますのでレミントンも苦悩するところでしょう。

銃床の先台の内側にはファイバー繊維で内張してあります。
これは補強の為なのですが、昔、この補強が無かった頃は、やたらとここが割れましたね。
割れて割れて割れまくった感じでしたね。
1100のうんと古いモデルはほとんどここに割れが入っています。

先台内部
先台内部

日本では、法律で散弾銃の弾倉には2発しか装填出来ませんが、アメリカも場所によっては弾倉内は2発に制限されている所もあります。
そういう場所で使用するために弾倉無いにプラグを詰めます。

プラグの取り外し
プラグの取り外し
弾倉スプリング
弾倉スプリング

弾倉の先端には黒いプラスチックの部品がありますが、これはマガジンスプリング リテーナーと呼びます。

プラグスペーサー
プラグスペーサー

これはドライバー、または付属のチョーク交換レンチを使うと簡単に取り外すことが出来ます・・・・・・・・出来ますが、個人でやると武器等製造法違反ですからご注意ください。これはあくまでも説明書ですからこうすればこうなる言う意味での説明です。リテーナーを押し込んだまま、左右どちらでもいいですから45度回転させると弾倉の中のスプリングが、ビヨヨーーンと出てきます。この中にプラグを入れて弾倉内2発にしているのです。
再度警告しますが、プラグを抜くと武器等製造法違反、銃刀法違反ですからね!

キャリアラッチリリース
キャリアラッチリリース

さて銃身を取り付けたら、開放していたボルトを前進させなければなりません。
機関部の下にあるキャリアラッチリリースを押せば、ボルトはバシ~ンと前進します。言うまでもありませんが、銃身を着けない状態でボルトを前進させたら壊れますからね!

参考までに言いますが、ボルトを作動させるボルトハンドルはネジやピンで止まっている訳ではありません、単なる挿入です。ですからこのまま上に引くと簡単に抜けます。
時たまこれを無くす人が居ますので気を付けてくださいね。

ハンマー停止位置
ハンマー停止位置
激突
激突

トリッガーガードブロックは機関部にある2本のピンで止まっています。
ですからこの2本を抜くと引き金ブロックは簡単に外すことが出来ます。
取り外した後は"絶対に引き金を引かないでください。
その理由は、この状態で引き金を引くと、通常ならばハンマーはボルトの後端撃針を叩く位置で停止します、それ以上は動きません。しかし、ボルトば無い状態で引き金を引くとハンマーはキャリアラッチに激突して、保証付きでキャリアラッチを折るのです。
時々お客様から、「何にもしないのに部品が折れた」なんてとぼけた電話があります。
何にもしないでキャリアラッチは折れません!

ドクターサイト

2003年 3月 4日 築地

新しい、コラムのシリーズとして取扱説明書を徹底的に書くことにしました。
誰も書けないと言うのは、製品の利点も欠点もビシバシ書いていくので、とてもメーカーの取扱説明書では書けない領域まで踏み込むからです、だからといって書いたからと言って別に自慢になるわけでもなく、従って誰も書かない取扱説明書なのです。
従って誰も書けない、だれも書かない取扱説明書と言うタイトルを付けたのです。

元々は、当社の取扱説明書に日本語の取扱説明書が欲しいと言う要望が少なからず有りましたが、付属の取扱説明書を翻訳してもとてもユーザーの知りたい情報を提供できると思えなかったので翻訳はしなかったのです。特にアメリカ系統の銃の取り扱い説明書に至っては、裁判を起こされたときの予防策ばかりで、人に銃を向けてはいけないとか、常識以前の説明ばかりでしたので、とても取扱説明書のレベルではなかった事も事実です。
これを根本的に考え直して、銃の説明書と言うよりは解説書と言うレベルで書いてみたいと思います。
だからと言って、いいきなり銃の説明書では負担が大きすぎますので、最初はお気軽なサイトからスタートしたいと思います。

ドクターサイトとファイヤーポイント
ドクターサイトとファイヤーポイント

先ずは当社の一押しサイト、ドクターサイトの取り扱い説明書です。
ドクターサイトは昨年から取り扱いを始めた照準器です、類似のサイトとしては、イギリス製のファイヤーポイントが有ったのですが、この会社が倒産したため、急遽ドクターサイトの取り扱いを始めたのです。誰が見ても簡単に解りますが、ドクターサイトはファイヤーポイントの"パクリ"です。しかしゃながら一般的にパクリ物なら本物の半値くらいで良さそうな物ですが、逆に値段は倍近くします。
値段から考えても只のパクリでないことは容易に想像できます。ファイヤーポイントを取り扱っている時に気づいたのですが、ファイヤーポイントはあまり精度の高い射撃には向かない欠点がありました。
それは射撃の衝撃で赤点が少しずれる事が有るのです、何時もと言う訳ではないし、ライフル射撃の精密射撃に使われた訳ではないのでクレームにはなりませんでしたが、改良点であるなとは感じておりました。ドクターサイトが昨年発売され、この点が改良されていることでこのサイトの完成度が理解できました。それにこれを製造している会社は、東ドイツの頃はツアイス、イエナーと言う名称で軍用の双眼鏡などを作っていた会社ですから技術レベルはファイヤーポイントより遙かに技術的にはレベルが上と言うことです。
ファイヤーポイントは本体がプラスチックスでしたが、ドクターサイトは金属の削り出しですのでもともとボデーの剛性が全然違います、調整ネジを締めすぎてフレームが変形すると言うような事は全くありません。そういう意味でも基本的な基準になる精度が全然違うと言うことです。
ドクターサイトの裏側をご覧頂くと、金属削り出しと言うことがよくお解りいただけると思います。
電池を入れるときにお解りいただけるのですが、本体側に電磁石が入っており、電池を挿入するとき"バチッ"と本体側に吸い付きます。これで電池の接触不良を無くしているのですね、ファイヤーポイントとはここが違います。

裏側
裏側
仕組み
仕組み

電池を挿入すると自動的に赤点が点灯します。電源のスイッチは無いのですが、カバーを被せると自動的に電源はオフになります。
これは本体の先端に外部の照度を感知するセンサーが付いており、外部が真っ暗になると赤点は光らないのです、つまり電源が切られるのです。
逆に、クレー射撃の様に青空に向けて狙いを定めると、センサーが外の明るさを最大限に感知するため、赤点の光量も最大限になります。
この様に、ライフルスコープ仕様のものと違い、赤点の明るさは自動的に調整されるのです。赤点は本体内に設置された発光ダイオードを使い、それを前のスクリーンに反射させて照準するのです。通常のライフルスコープは十時のリチクル、または●の状態にエッチングで切り抜かれた、あるいはガラス板に印刷された物に反射剤を塗り、スコープ本体の中に仕込まれた発光ダイオードを反射させて見ます。そのためにスコープタイプの物はリチクルも、●も正確に縁取りされ、かつ、真円ですが、発光ダイオードを反射させる物は周りが滲んで見えてしまいます。
実は、発光ダイオードの発光部分と言うのは円では無くて、四角なのです。
これをレンズで拡大して、見た目の円にしているのです、従ってそれをスクリーンに反射させるとどうしても周りが滲んでしまうのです。

リフレックスタイプと呼ばれる、発光ダイオードを反射させるタイプの照準器はどうしても避けられない構造上の問題ですのでご承知おきください。
勿論、実用上は何の問題もないのですが、遠距離の標的射撃には赤点の周りが滲むので中心が捕らえにくいと言う感じはします。
しかし、そのために超軽量化、超小型化が実現出来ているのです。
参考までに、ニコン製のモナークサイトとドクターサイトをお見せします。
ニコンの方は赤点がくっきりしますがサイズはどんなに小さくしてもこれが限界です。
ドクターサイトは赤点が多少滲みますが、サイズはここまで小さくできます。

ニコンとドクターサイト
ニコンとドクターサイト

ファイヤーポイントの時は銃の衝撃で赤点が僅かにずれるという問題が有ったのですが、ドクターサイトの場合はその問題を修復しています。
ドクターサイトの正面に固定ネジが2本ありますが、このネジは発光ダイオードの取り付け部を固定するネジで、照準調整をするときは、最初にこのネジを緩めます。
これを緩めることにより、赤点の調整が出来るようになるのです。
照準調整をする前に、ドクターサイト本体をマウントに取り付けなければなりません、マウントがないと銃に取り付ける事が出来ないからです。
元々、この手の照準器は拳銃用に使われる場合が多く、マウントもそれぞれの拳銃用は色々用意されているのですが、ライフル、および散弾銃に使うにはウエーバータイプのマウントを利用して使うしか方法がありません。
ウエーバータイプのマウントは四隅にノックピンが立ててあり、これにドクターサイトをはめ込んでネジ止めするのです・・・・・が
このはめ込みがやたらきついのです、計器で寸法を計測してみたら5/100ミリ程度の公差しかないので、ほとんどガタの無い製品だと考えてください。
ガタがない=はめ込みがきついです。いかにも昔の東ドイツ製という感じです。
一旦はめ込むと次回にばらすときは大変な感じがしますが、通常の使用なら電池の寿命は5年間あると言うことなので、その時はその時で対応するしか有りませんね。

マウントベース
マウントベース
仕組み
仕組み

取り付け図をご覧頂くと銃に取り付けた状態をご確認頂けます。
目下の所、これ以上小さい光学照準器は存在しません。世界最小、世界最軽量ですね。

取り付け図
取り付け図
デスクにドライバーを差し込む
デスクにドライバーを差し込む

銃に取り付けると、今度は照準調整です。
照準調整をする前に、付属のデスクの中心に付属のドライバーを差し込みます。
勿論ドライバーだけでも照準調整は可能なのですが、調整量が解らなくなります、そこであらかじめデスクを取り付けておけば、照準調整の移動量を把握することが出来るのです。
照準調整の前に、正面2本の固定ネジを緩めるのは説明ししましたが、これを緩めて上下調整ネジを調整します、デスクの目盛りをドクターサイトの何処かを基準点に定めておきます、そこから1目盛り移動すると、100mで3cm移動することになります。

赤点固定ネジ
赤点固定ネジ
上下調整ネジ
上下調整ネジ

デスクの目盛りをドクターサイトの何処かを基準点に定めておきます、そこから1目盛り移動すると、100mで3cm移動することになります。
照準調整が終わったら、赤点の固定ネジを必ず締めておくことを忘れてはいけません。

デスクを使った上下調整
デスクを使った上下調整
デスクを使った左右の調整
デスクを使った左右の調整

射撃を終えたら、あるいは銃を収納するときはカバーをかけて収納します。
カバーはかけるときは簡単なのですが、問題は外す時です、これもが東ドイツの設計思想なのでしょうか、一旦はまったらなかなか外れません、それは蓋の内側にノッチがあり、それがドクターサイトの本体にがっちりはまりこむためです。
ですから蓋を外すときは蓋の両方を左右に開くようにして外すと簡単に外れます。
外した蓋は意外と無くす人が多いので、出来れば紐を付けておく方が蓋が外しやすく、なおかつ紛失の恐れがありません。お試しください。

本体とカバー
本体とカバー

ドクターサイトには赤点の大きさが3.5MOA(ミニッツ、オブ、アングル)と7MOAがあります、大きさの目安は3.5MOAは100mでの大きさが、約9cm
7MOAは100mでの大きさが約18cmです。
一般論としてライフルには3.5MOA、散弾銃には7MOAをお奨めします。

ドクターサイトの定価は¥55,000 マウントは¥7,800 ウエーバータイプのマウントベースは¥4,800ですが、機関部に取り付け穴が無い場合は加工料が¥5、000~¥6,000かかります。
散弾銃の換銃身で、カンチレバー付きの物はそのままマウントを購入するだけで取り付けられます。

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