2013年5月アーカイブ

スーパーシュート参戦記 ( 2004年)

2004年 6月 3日 築地

ホリデイイン エキスプレス329号室にて

5月23日、日曜日
昨年、カクタスシュートに参加した時に、ユナイテッド航空を使ったら、成田空港のカウンターでライフル銃には追加料金がかかると騙(だま)されて、現場のスーパーバイザーと称する「黒服」から一人頭\21,000のお金を巻き上げられましたが、後でユナイテッドのマニアルを"子細に"読んだら、ライフル銃には追加料金はかからないことが判明! その後、騙されたお金を取り戻すために国民生活センターに相談して、巻き上げられたお金の還付請求作戦を開始、結果的に無事お金を取り戻すことに成功しました。何故お金を巻き上げられたかと言いますと、「黒服」がマニアルの英語を読めなかった事、驚いた事に、ユナイテッド本社の日本人スタッフすら英語が理解できない事が解りました。マニアルの意味をユナイテッドのアメリカ本社に聞いて、やっとマニアルに書かれている日本語への意訳が理解できたと言う、ていたらくです。その顛末に関して、ユナイテッドから詫び状をとり、マニアルを書き直させ、併せて担当した「黒服」の名前を聞き、最悪な接客態度を厳しき指摘しておきました。そうした顛末は過去のコラムに書いてありますので興味のある方は過去のコラムをご覧ください。

今回の旅行もユナイテッドを利用しました。不愉快な思い出よりも、そうした痛い経緯を体験している会社を使う方がかえってうまく行くと考えたからです。
成田に行ったら、その「黒服」がちゃんと居ましたね。昨年の慇懃無礼と言う不遜な態度とは豹変して私を揉み手で出迎えてくれました。荷物の受け付けもファーストクラスで受け付けてくれて、私に対して付きっきりで世話してくれます。
今まで何度もユナイテッドのファーストは利用していますが、今回は別にファーストクラスで行ったわけではないのですが、ファーストクラス並以上の好待遇を受けました、こんな待遇を受けたことは過去において皆無です。
黒服には余程私の反撃が堪えたと思いますね、ははははは

(この追記は6月2日に書いているのですが、実は帰国した昨日、なんと荷物の受け取りカウンターまで出迎えて居てくれました。今までファーストクラスも含めて何度もユナイテッド航空を利用していますが、こんな好待遇を受けたのは初めてです。
私はこれ以上黒服君をいじめるつもりはないのですが、今後、我々ベンチレストシューターに対してあまりなめた事をしないように対応してくれればと思っています。)

アメリカには毎年銃を持ち込んでいるので感じるのですが、年々、検査が厳しくなります。
今回は経由地のシカゴで税関検査を受けましたので、そこの検査だけが特別厳しかったのかも知れませんが、シカゴの税関では銃番号までガッチリ調べられました。
一応検査は無事終了したのですが、私の持参したATF(アルコール、タバコ、銃器、取り締まり局)の輸入許可の事を、税関の担当者が全く理解できていなくて、書類を見ても「何これ」と言う有様です。
実はATFはアメリカの役所関係でもあまり評判が良くなく、毎年連邦予算の大幅請求に対して、毎年、予算はバッサリ切られているのが現状です。それは銃器取り締まりに対して反対のNRAのロビー活動が有ることも一因なのですが、全ての役所からATFが煙たがられる存在なのもその理由の一つです。全米中の政府組織から見れば、ATFは「ろくな事をしない」という風に見られているのかも知れません。
ATFはともかく、アメリカの税関職員がスカ太郎なのは、本当に困りました。
なんせ、担当の黒人の税関職員はATFの住所をコンピューターに打ち込むのに、人差し指で「ええと」なんて感じで一文字一文字打ち込みますので、私のイライラは極限まで達して居たはずです。顔は平静をしていますが心の中では、このここに書けないような黒人に対して最悪の悪態を吐き続けていたことも事実です。
飛行機の乗り継ぎ時間がぎりぎりまで迫っているので、待っている間は本当に胃が痛くなりました。
ですから目的地のクリーブランドに付いたときは、本当に一安心してします。
世の中のツアーコンダクターの方達の気苦労がよく理解できる一瞬でした。
今回もレンタカーはハーツを利用しましたが、カーナビが昨年より進化したので大助かりです、しかし、目的地に宿泊先のホテルを入れようとしても、他の古いホテルしか表示されないのは本当に困りましたがね。それもと更新が極端に悪いのでしょうかね?

日本のカーナビを使い慣れていますと、ハーツレンタカーのカーナビは10%程度しか機能していないですね。でも、カーナビは無視して、地図を頼りに多少の遠回りをしながら、何とか宿舎のホリデイイン エキスプレスに到着、明日からいよいよ練習開始です。

ホリデイイン エキスプレス
ホリデイイン エキスプレス

5月24日
実はホテルからケルブリーの射撃場までの地図は無かったのですが、ホテルのフロントに聞けば、そんな事は簡単だろうと考えていたのが大間違いでした。
ホテルに聞いてもケルブリーなんて会社は知りませんし、当然射撃場なんて当然知りません。
住所を言って、奥から地図を引っ張り出してきたのですが、それでも全然解りません。
最終的にホテルマンは何処かに電話をかけてケルブリー迄のルートを調べてくれました。
彼はそのルートを説明する前にこう言ったのです。
「今、貴方はとんでもない田舎に行こうとしているのですよ」まあ、私としても、町の真ん中に射撃場が有るとはこちらも思ってはいないのですが・・・・・
車にはカーナビも付いていますので、同行の井上さんが、ケルブリーの住所から、住所検索と言うモードで、目的地を呼び出してセットしてくれました。取り敢えずはそのカーナビの通りに出発、ところが向かう方向がクリーブランド市内方向になっているのです。目的地までの距離も150キロとなっています。ドライブしながら明らかに間違いに気づき、途中でUターン。どうやら井上さんの入れた地図の住所、アメリカには何処にもあるありきたりの名称だったらしいですね。日本で言うところの**銀座と言う感じでしょうか。
定かには知りませんが、九州でも北海道でも**銀座と称する所は無数に有るのでは無いでしょうか。これもその類であったと思います。
しかもケルブリーの辺りの住所は同じ名前でも検索にヒットしない事が明白でした。
こうなれば、ホテルマンの説明通りに行くしかありません。
その時、ホテルマンの言った、「今、貴方はとんでもない田舎に行こうとしているのですよ」と言うフレーズが頭によぎります。
最悪の場合、ターク高野氏に携帯で連絡すれば何とかなるのですが、この時点でタークはまだテキサスからの長距離ドライブの最中で、まだオハイオ州にも入っていなかったのです。
ホテルマンの説明通りに進んで行きますと、何だか昔に通った道みたいな懐かしさがだんだん湧いてきました。
そうです、数年前に初めてスーパーシュートに来たときの同じイメージです。
車を進めるごとにその思いは強くなる一方です。同行者達がだんだん田舎になるので不安になる中、私は行こうとしている場所に確信が持てるようになってきました。
「今、貴方はとんでもない田舎に行こうとしているのですよ」、そうだ、私はとんでもない田舎に行くのです! 

マーシャルビルと言うとてつもない田舎の町からさらに辺鄙な田舎に抜けて行きます。
ちなみにマーシャルビルの町の中心地をご紹介しておきましょう、右側の煉瓦建て建物は郵便局、左側の白い建物はライオンズクラブのビル、一応格式の有る建物が町の繁華街の中心に有るのがご理解頂けるでしょうか。

中心地
中心地

マーシャルビルと言うゴーストタウンみたいな町中から、さらに田舎に向かいます、私は同行者達に、道脇に小さな看板があるので見落とさないでね、と声をかけます。
看板を見落とさないようにスローで走る私の車の後から、恐らく地元の人なのだろう、猛烈なスピードで追い越していく、アメリカでは超希な片側1車線道路ですから、まともに走るには追い越すしか無いのです。どうやら私の運転は地元のドライバーに少なくないフラストレーションを与えたようですね。
「あった、ケルブリーの看板だ」同行の湖東教授が叫びます!

私はあわててハンドルを切る、タイヤが悲鳴を上げながら、脇道のさらに細い道路に突っ込んで行く、「今、貴方はとんでもない田舎に行こうとしているのですよ」再度ホテルマンのフレーズが頭をよぎります。

脇道
脇道

しばらく進みますと、とんでもない田舎には全然相応しくない、膨大な車が駐車している所が見えて来ます、その部分だけが完全に田舎では無くなっているのです、とんでもない田舎の中にポツンと存在する、とんでもない喧噪の場所なのです。
その喧噪の場所がケルブリー射撃場なのです、やっとケルブリー射撃場に到着しました。
とんでもない田舎で、駐車場所に苦労します、アメリカ人と言うのはとてつもなく早起きで、私はホテルを5時に出て来てもすでに駐車場は満杯状態なのです。
早起きと言う言い方がシューターだけに限定されるのかも知れませんが、シューターに限って言えば、本当にあきれるほど早起きなのです。すでにリローデングするテーブルは満杯で、7時の段階で我々日本人シューターのリローデングベンチは皆無です。
我々日本人が一番苦手なのは、こうした中に入って、何とか皆さんに融通して場所を空けて貰うと言う作業である。一番苦手なのでケルブリーの社長に依頼して、事前に6人分の作業テーブルを確保しておいてと依頼しておいたのですが、この時間ではまだ肝心な社長が出社していないのです。
しばらくしますと、会長のジョージ、ケルブリーがいたので再会の挨拶と、日本で製造しておいた、ベンチレスト射撃協会のピンバッジを渡します。
相好を崩して受け取り、早速スーパーシュートのTシャツに着けます。
このピンバッジ、国際親善、あるいは皆さんとの交流の為に作成した物なのです。
会員には全員1個ずつ配布しましたが、数百個は、私が全部自費で購入したのです。合計金額で8万円程でしたが、ピンバッジの効用は現場で痛切に感じる事になります。
多くのアメリカ人は我々日本人に対して、あまりフレンドリーだとは思っていないのは事実です、それは何と言っても言語の壁が大きく立ちはだかっているからなのです。
アメリカ人は、たいていの人間は英語が理解できる物と勝手に解釈している節があります。
だから誰でも、英語は出来るのは当たり前と考えている様です。だから、誰とも口をきかない日本人はフレンドリーでは無いと感じるのであるのも無理からぬ事なのです。
でも、日本人自信にも本質的に深刻な問題があると私は考えて居ます、何故なら、いい年をした大人の中でも、あまりにも、まともに口のきけない人が多すぎます。
私の昼飯はほとんど近所のそば屋で済ましていますが、昼時は非常に混み有るので相席なることも度々です。
その事自体は何の問題もないのですが、相席で私の前に座る人は大半が無言なのです。
大半が黙って、ボーッと座る、当然無言、視線は合わせない。まるで幽霊ですね。
「こちら、よろしいですか?」とか「失礼します」とか、たった一言言うだけでどんなにお互いの気持ちが和むことか、こんな簡単で常識的な事ですら、多くの日本人は言えなくなっているのです。これも日教組の所為だといったらいささか言い過ぎでしょうか。
アメリカ人の場合なら、絶対にこういう事はありませんね。
もしアメリカ人で黙って目の前の席に座ったら、完全に脳の回路が崩壊していますね。
その場合は、逆にその席から素早く立ち上がって席を替えた方がいいですよ。
着席の時に相席の人に挨拶が出来ません。こういう人達は脳細胞の言語分野に何らか致命的な欠陥を抱え込んだ人たちだと思います。
こう言う人たちがアメリカに行ったら、それこそ、フレンドリーでないと言われるに間違いありません。日本語でもまともに口をきけないのですから、英語では絶対に無理ですね。
私自体も、英語でジョークを飛ばせるほど、饒舌という訳ではありません。英語でイラク問題に関して自説で言い負かす、なんて夢の夢です。
それでも顔見知りの人間に挨拶する事ぐらいは言えます。でもそれだけなのです!
挨拶だけで、その後の言葉が出ない時、そういうフリーズしそうな時に、「これ、日本のベンチレスト射撃協会のピンバッジ」ですと行って差し出せば、ぐっとお互いの関係が増すのです。
もとより、ピンバッジを交換する、そういう風習はヨーロッパで育った習慣です。
過度に高い物は自分を卑下させる、貰う人間にも抵抗が出来る、貰う人間が全く抵抗のない物、でもレアな物、そういう物がプレゼントとして効果的なのですが、何をプレゼントするかはその人のセンスとしてか言いようがないがないですね。ピンバッジをあげると言う事はお互いの心を開かせる絶妙の裏技ではないかと考えています。

ピンバッチをあげる、これも過度に至ってはいけません。貰った人間が自慢できる範疇で渡さないといけないのです。貰った人間はすぐに帽子やシャツに付けます。誰でもこれを付けている訳ではありません。つまり値打ち付けです。出来るだけ値打ち付けして他の人に渡しますと、さらに効果的なのです。私はピンバッジに8万円のポケットマネーを使いましたが、その効果はそれ以上であった事は言うまでもありません。ピンバッジ一つでその瞬間、いい大人が感激して急激にフレンドリーになっていくのです。
いやはや大変効果的な使い方でした。

ピンバッジ
ピンバッジ

射撃場で撃っていますと、後ろに一人の日本人が立っており、聞くと近所で寿司屋をやっていると言うのです。単なる寿司屋の営業かと思ったら、何でもケルブリーに銃の事で相談に行ったら、「今日、日本人が来ますから」と言うことでわざわざ遠くから会いに来たと言うのです。
この、とんでもない田舎で日本人に出くわすのは極めて珍しい事なので、わざわざ射撃場まで出かけ来たと言うのもうなずけます。早速名刺の裏に地図を書いて貰い、そのお店「寿司勝」に全員で出かける事にしました。名刺に書いて貰った地図なので、歩いても行けそうな錯覚を覚えますが、やはりアメリカ、実際に寿司勝迄の距離を走りますと、ホテルからは間違いなく50キロ以上の遠方にありましたね。東京から横浜以上の距離です。
寿司勝の店主の名前はTony Kawaguchi。話を聞きますと、生まれは北海道の炭坑町、美幌町、寿司屋の修行をしたのは東京の立川。出前から初めてやっと寿司を握らせてもらえるようになり、アメリカの寿司ブームに乗って渡米、ホノルル、ニューヨーク、シカゴ、ロスアンジェルス、コロラド、アリゾナ、と転々とし、最終的にこのオハイオ州のアクロンに居着いたそうです。その経緯を聞いただけで私にはその店主のバックグラウンドのストーリーが見えたような気がしました。

来年も世界選手権だから来ますよと言ったら、「自分、ヘルプしますよ」「家に泊まってください」と言う。その彼の気持ちが何となくわかるような気がしました。
その感情は、実際に1970年、アメリカで修行していた私には、そう、何となく解る気がします。この解るという感覚には深い深い意味が有り、かつての自分の、アメリカでの修行中、苦労した事と、寿司勝の店主のTony Kawaguchi氏のバックグラウンドが重複し「苦労したんでしょうね」そんな感傷を思わず感じた夜でありました。
苦労した人間は人に親切に出来るのです。
苦労して人に親切になります。苦労していじけた人生をおくります。
人間には2つのタイプがありますが、私もTonyも明らかに前者のケースですね。

寿司勝
寿司勝

寿司勝の住所は、1446 N.Patage Path Akron,Ohio 44313  Tel (330)867-2334 です。
アクロンにおいでの際は是非とも寿司勝にお立ち寄りください。

5月25日
この日は2日目の練習日です。
早朝6時、全員が出発するのですが、但し私だけはホテルの部屋で居残りとなります。
実は、今年のカタログの版下の期限が6月の始めなのです。
5月の最後の週は、版下のチェックと、カタログ解説書の書き上げをしないとどうしても時間的にやりくりが付かないのです。今年のカタログ解説書は40ページにもなりますので、その膨大な量の原稿をどうしても今月中に書き上げないとならないのです。
その為に多くの資料とパソコンをここまで持ち込んでいるのです。出来れば射撃をした後に、時間を見つけて書き上げようと計画していたのですが、その計画は到底無理だと言うことが解り、練習日の1日を原稿書きの為に空けたのです。
早朝から深夜までかけて、カタログ解説書は、何とか書き上げました。今はその余暇を利用してこのリポートを書いているのです。カタログ解説書とリポート、同じ書き物でもそれぞれ別物なので、互い違いに書いていきますと、あまりストレスが溜まらず書き上げられるのです。物書きは私の隠れた趣味の一つなのです。
ですから、この日の射撃場リポートはありません。
明日からは、いよいよ大会本番と言うことになります。

原稿書き
原稿書き

5月26日
大会1日目
開会式では昨年のチャンピオンの人たちが紹介されました。常連のトニーボイヤー氏も出ていますね。

オープニングセレモニーは、ケルブリーの会長が車を引いて、名前は知らないのですがお金持ちのベンチレストシューターで、毎回参加している常連さんです。
この人は大会に参加すると言うよりも、こうしたアトラクションに命をかけているようです、勿論この出し物は彼のポケットマネーで作られました。

昨年のチャンピオン
昨年のチャンピオン
アトラクション
アトラクション
アトラクション
アトラクション

射撃を始める前に、弾頭、火薬、雷管を購入します。
会場ではN133の火薬も8ポンド缶で売っています。8ポンドで$135です。
アメリカ人からこれは日本で幾らするのだ? と聞かれたので日本円で\25,000、つまり$で238と答えますと、ヒューと口笛を鳴らして肩をすぼめます。
ついうっかりして、すみません!「8ポンド缶ではなくて2ポンド缶で・・・・」と訂正しようとしましたが、ついつい言いそびれてしまいました。
2ポンド缶ならわずか$32ですが、これが日本では\25,000となるのです。
価格差で言うなら、インドと日本のヘロインの値段差。北朝鮮と日本との覚醒剤の値段差に匹敵する価格差です。私も金に困ったら火薬の密輸に走るかも知れませんが、現在の所は、何とか理性で踏みとどまっています。
この火薬の輸入元、国友銃砲の社長からは祇園で御馳走になった恩義がありますので、国友銃砲の名誉の為にあえて説明を加えますが、火薬の輸入は船便で、しかも専用のコンテナを使わないと出来ないのです。
散弾銃の実包なら、1コンテナで45万発入ります。火薬なら10トンは搭載できるでしょうね、10トン搭載しても1ポンド搭載してもコンテナの搬送量は同じだという事をご理解ください。火薬も10トン、輸入しても瞬時に捌けるのなら、火薬の値段も劇的に安くなるのでしょうが、10トンのライフル用火薬と言うと、現在の需要者が今の1000倍の火薬を消費してもとても消化できない程の膨大な数量なのです。

日本チームの参加者全員がこの火薬を個人使用分として持ち帰りたいのは山々ですが、火薬類ですからアメリカの手荷物検査で引っかかるととんでもないトラブルになるので泣く泣く持ち帰りを諦めた商品です。

N133
N133

ベンチレスト射撃では、標的交換は一仕事です、勿論射手が自ら交換するとなると不正行為が起こらないとは言えませんし、第一大変煩雑です。
そのため、大会をサポートするためにターゲットクルーと言う人たちが標的交換を支えていてくれます。15分以内に60的ある的を全部交換します。
射座では、射撃中止1分前、30秒前、5秒前、とコメントが流れますから、「射撃中止」のコメントと同時にターゲットクルーが飛び出して行きます。
ターゲットクルーと言っても半分は子供達ですから、近辺の関係者の子供達でしょうか?
いずれも有り難い存在です。縁の下の力持ちと言うのでしょうね。

ターゲットクルー
ターゲットクルー
ターゲットクルー
ターゲットクルー

射撃中の井上さんです、射座と標的の間に無数の風旗が有るのがお解りでしょうか。
この風旗は全部射手が持ち込んだ物です。それぞれの射手は風に対して独特の読み方がありますので、こうして自分専用の物を設置しているのです。

井上さん
井上さん

風の流れを読まないで、漠然と真ん中だけを撃って居たのでは、絶対に良い成績は出せません、間違いなく最下位レベルですね。
ここでの射撃は風の流れを考えてほんの僅かずつ、狙点をずらして射撃しているのです。
そして5発の弾痕を出来るだけ小さく撃った人間が優勝するのです。
究極の命中精度を競う射撃競技です。ベンチレスト射撃を始めるとよく解るのですが、5発弾痕の内、4発はほぼ同弾痕で、1発だけが飛ぶと言う体験をほとんどの人が体験します、そしてその泣き言は大会の間、多くの射手から常時聞かされることになります。
これを私の命名で「泣きの1発」と言っています。ここでベンチレスト射撃競技が何故5発なのか説明しましょう。逆に3発競技であったら、ほぼ全員がワンホールを達成しているでしょう。ライフル銃の特性なのでしょうか、何らかの神に支配されているのでしょうか、不思議なことに3発は奇妙によく当たるのです。これは私の体験ですが、4198等の燃焼速度の火薬を使い、弾頭を60グレインくらいの軽い弾で撃ちますと、特によく当たります。
所が、こうしてよく当たる弾は同じように1~2発だけ大きく飛ぶと言う逆の特性を備えて居るようです、逆にN133やベンチマークなどを使い65~68グレインの弾頭を使い、3~5ミリ程度のグリーピングの装弾は大きく飛び跳ねる事がありません。と、言っても絶対的な事実ではなくて、私が体験した、体感した上で感じる長年の経験です。
4発、狂った様なワンホール弾痕を体験しますと、それから僅かに飛び出た1発の弾痕は無視しがちですが、しかしそれがその弾の特性と見なければいけません。

4発はワンホールになりますが、1発だけは外れる弾。
ワンホールにはなりませんが、飛ばしの出ない弾。

このどちらを選択するかで、成績も世界観も大きく変わってきます。
ベンチレスト射撃もそうですが、射撃と言う世界では往々にして神懸かり的な事を言う人が少なくありません、実際の射撃で外れの出た薬莢は「外れる薬莢」なんて除外して居る人も居ます、多分その人には当たる薬莢と言うのも存在するのでしょうね。
ネックターニングでも神懸かり的な領域に落ち込んで居る人も少なくありません。
まあ、射撃はある意味での宗教みたいな物ですから信じても構わないのですが、残念ながら信仰だけでは当たりませんね。
話は戻りますが、命中精度の特性を逆に利用した話ですが、ハンテングライフルには、付属で付いてくる試射的がある場合もあります。しかしそれは全て3発の弾痕であることにご注目ください。
何故3発なのかと言いますと、何故か3発なら本当によく当たるのからで。
もし1発外れる事があっても、それは無いことにして、再度3発撃てばほとんど当たります。射撃の世界の不思議な現象なのです。これは皆さんも体験していることでしょうから、思わず膝を打った人もおいででしょう、そしてその当たった事実だけが現実として認識されているのです、でも、外れた2発も貴方が撃った弾痕です。
この様に、3発と5発では命中精度の結果が全然違うのです。
ですからベンチレスト射撃競技は1圏的に5発撃ち込みさせているのです。
ベンチレストシューターがベンチレスト射撃を初めて、3発のワンホールを体感したとしたら、急に神の存在を感じたとしても不思議はありません、そういう不思議の国の世界なのです。
ですから、私から見て全く意味の無いような奇怪な作業が「奥義」あるいは「秘技」として口伝で伝わって居るようです。もっともさすが私には聞こえてきませんがね。
あるいは、こういう事を馬鹿にしている私には、裏では逆に築地はベンチレスト射撃の事は何も知らないと言われているのかも知れませんね。
奥義、秘技が、虚飾の技術だと解るには人によって大きな違いがあると思われます、命中精度の現象を、物理的な現象として把握できるでしょうか、あるいは神懸かり的な現象として捉えかにあります。ですから命中精度のテストでも、意外と3発は当たりますのに、5発撃つと1~2発が外れる特異な現象を、どう認識しているかによります。
命中精度に関して、少しだけ腕の良い誰かが、何か神懸かりな事を言いますと、多くの日本人は簡単にはまってしまうのですね。
合理的なベンチレスト射撃の世界でもこうなのですから、クレー射撃の世界はさらに神懸かり的な事を言う人が少なくないですね。そして簡単に引っかかります。
あまりこういう事を書きますと、反撃が大きいのでこれで口を閉じます!(オシマイ)
話を戻しますが、5発の内に1~2発外れる要因の多い、狂った様に当たる「悪魔」の装弾よりも、頂点は極められませんが、そこそこの当たりをする「地道」な装弾を選択しますか、この選択肢は非常に大切です。

射手が射撃をしている後ろには多くのギャラリーが見学しています。
彼らは射手の弾痕と風を見ていますので、見学イコール学習と言うことが出来ます。
我々は銃と、レスト、リローデングキットだけで膨大な機材となっているので、こうした余分な観的スコープは持参できません、その分学習効果は少なくなりますね。

ギャラリー
ギャラリー

会場には全米から集まったキャンピングカーで一杯です。
ベンチレスト射撃競技は全米の至る所で開催されていますので、こうしてキャンピングカーで転戦しているのです、キャンピンングカー自体も何千万円もしますので、結構お金のかかる競技なのです。私もキャンピングカーの中を見学しましたが、窓にカーテンを引くと、中は普通の家と見まごうばかりです。案外、日本の様な土地の狭い都会では、キャンピングカーよりも狭い家に住んでいる人も少なく無いかも知れません。キャンピングカーの中は、普通の家に有る物はほとんど揃っています。

キャンピングカーの中
キャンピングカーの中
キャンピングカー
キャンピングカー

こう言うキャンピングカーには全部トイレが併設されています、いわゆる落としではありません、ちゃんとした水洗トイレです。誰でも考えると思いますが、タンクが満タンになったらどうするのでしょう? 少なくとも彼らは10日以上ここに止まっているのですから。
それがここに来てから毎日気になっていたのですが、私達が射撃場に行きますと、何時も謎の車が射撃場から出てくるのです、不思議な車だと思っていたら、運転手のお兄―さんが、ホースを持って、キャンピングカーに接続しています。なーる程、これがくみ取り屋さんなんですね。こうして毎日くみ取り屋さんが呼ばれているのです。
でも、この車、くみ取り屋さん独自の臭いがしないのです。全くの実は無臭なのです。
車には色々な仕掛けが有るのでしょうね、だから全く気付かなかったのです。
でも毎日くみ取り屋さんを呼びつけているのですから、キャンピングカーて本当にお金がかかりそうですね。

くみ取り屋さん
くみ取り屋さん
くみ取り屋さん
くみ取り屋さん

すでに皆さんはお気付きかと思いますが、ここでは全然成績の事を話して居ませんね。
実を言うと私も含めて全員が、とても公表できる様な成績ではないのです。
アメリカの底の深さを感じます。実は我々がスーパーシュートに参加した、最大の要因は、来年ここでベンチレスト射撃のワールドカップが開催されますから、その予行演習、あるいは下見と言う目的があるからなのです。
ですから成績は公表しなくて良いのです。なんて勝手な事を言っていますが、インターネットの世界では全ての大会成績は公に開示していますので誰でも見ることが出来ます。
ですから成績をご覧になりたければそちらのサイトを覗いてください。
全くの言い訳でしか無いのですが、我々が翻弄されているのはオハイオの風です。ここは非常に天候が変わりやすい土地なのです。
我々がオハイオに着いてからは毎日初夏の様な陽気が続いて居ていますが、ジム、ケルブリーの話だと先々週は雪が降ったそうです。この様にここは陽気が激変する場所なのです、ですから風も多く、色々なタイプの風に翻弄され続けているのです。
特に我々が悩まされているのが、無風状態での風です、無風状態で風が有るわけ無いと言われると思いますが、風旗がなびかない無風状態で撃ちますと、弾痕は上下に大きく振られるのです。無風状態とは、風旗はなびきませんが、その分、上下の風が雑然と存在して、その存在が我々には見えないだけなのです。
大会が進んで来るにつけて発見したのは、アメリカ人は、無風状態の時は決して撃たないのです。ぎりぎりまで粘り、制限時間が無くなると致し方無く撃つのですが、やはり弾痕は上下に振られています、しかしながら我々日本人シューターよりは明らかに振れは小さいのです。
彼らは無風の中で風の息を読んでいるのですね。さすがに脱帽です!
最適な風は、そよ風が横方向から均等に吹いている状態です。
勿論私もその絶好のタイミングを逃さず射撃するのです、4発ワンホールを出すような場面でも、何処かの場所でささやかな逆風が吹いていて、1発大きくよそに持って行かれるのです、そよ風の中には何処かに逆風と言う悪魔が居着いて居るのです。
特に、ここの射撃場には、多くのアメリカ人はその悪魔の存在していない僅かな間隙に引き金を引いているのです。悔しいことですが、どんな風の中でも巧い人は巧いのです。
この無風状態の翻弄は追い風の時にも体験させられます、無風、追い風、はこの世界では鬼門なのです。
ベンチレスト射撃の世界は、たった1発のミスで全て終わります。どうも我々の人生模様に似ていなくもありません、バブルに浮かれて、1発のミスですべてオシマイ。そういう人たちを沢山見て居ますからね。ここでは悪魔のテクニックなんて存在しませんね、地道に努力を積んだ人だけしか神様は認めてくれないのです。

3日目の大会は200ヤードの競技が行われました、毎回5回の射群をこなして大会は進みますが、1回から5回までの射群の中で、常に自分の順位が張り出されます。
これはコンピューターのおかげで採点さえ済めば瞬時に成績が判明するからです。
私は1射群では、63位でしたが、次の射群で風に翻弄され、わずかなミスで281に転落、その後ミスを犯さず、109位、58位と順位を上げて来たのですが、最終回はまた風に翻弄されて369位に転落。最終的な順位は94位と言う結果になりました。
ほんの僅かなミスでこんなに劇的に順位が入れ替わる競技はそうそう無いでしょう。
これこそ人生の縮図そのそのものではないでしょうか。
「勝って奢らず、負けてめげず」これがベンチレスト射撃競技から学んだ貴重な教訓です。

ベンチレスト射撃競技をやっている人間なら、トニーボイヤーの事は誰でも知っています。本当に神様みたいな射撃の名人です。リューポルドのカタログの1ページにはトニーボイヤーの写真も掲載されています、それ程の伝説的な人なのです。

射撃の神様
射撃の神様

そのトニーボイヤーのトレードマークは何と言っても「帽子です」何時もこれを被っています。言うまでもありませんが、私はピンバッジをあげたらちゃんと帽子に着けてくれました。証拠の写真を公開しますね。

トニーの帽子
トニーの帽子

これで我々、日本ベンチレスト射撃協会は一気にメジャーになる筈です。
同行の井上さんは、持参のブルゾンの背中にサインを貰いました。
一番上がトニーボイヤー、真ん中がターク高野、一番下がドクター、リチャード モレッゾ、この人は古い古いベンチレストシューターで、「アキュラシー ライフルの」表紙に出ている人です。

サイン
サイン

ベンチレスト射撃では、4日間で4種目行われ、最終成績はその総合点で競いますが、幾ら1種目目の成績が悪くても、決してめげる必要はありません。

「Tomorrow is another day」これは映画「風と共に去りぬ」の中で、主人公のスカーレット オハラが、南北戦争の廃墟の中、実家のタラで人生の再起を力強く誓う言葉です。
「ツモロー イズ アナザー デイ」日本語に訳すと、明日は、また今日とは違う別の日。そう言う意味です。
「Tomorrow is another day」の一番適切な日本語は「仕切り直し」と言う事になるのでしょうか。ベンチレスト射撃競技では、競技は4種目ありますから、これは4回仕切り直しが出来ると言うことを意味しています。
人生も同じですね、順風満帆に行っていた人生もたった1回のミスで簡単にコケますが、その場合何度でも「仕切り直し」すれば良いのです。倒産、解雇、左遷、離婚、失恋、死別、病気、等いかなる絶望の底でも決してめげてはいけません。そうした悲劇的な現実の後は再度「仕切り直し」をすれば良い事です。
ある意味でベンチレスト射撃は人生の縮図その物ですね。
今日の射撃でも、私は右から左に流れる風を正確に読みながら1発、2発、3発、4発とほとんど同弾痕を記録し、あと1発でベストグループを達成出来るかどうか、と言う時ほんの僅か風が強くなったのを肌で感じたのですが、「今日の俺はついている」「せいぜいあと1発、たった1発だけだ」「今の俺には神が付いている」と信じ込み、「南無八幡大菩薩」と心に念じて、弾を放てばあやまたず、物の見事にスパーンと流されました。
取り返しの付かない大失敗です。
私はショックのあまりしばらく顔を上げる事さえ出来ませんでした。

その日、私はケルブリー射撃場に落ちる夕日を見ながら、「Tomorrow is another day」と密かにそう呟きました。

カクタス シュート参戦記 (2003年)

2003年 4月10日 築地
更新 2003年 4月14日 築地
更新 2003年 4月15日 築地
更新 2003年 5月 1日 築地

最近の新聞報道によると、イラク戦争開始の影響で航空会社の収益が大幅ダウンして大手の航空会社ですら倒産寸前の状態らしいですね。
私は、外国への大会参加は何時もユナイテッド航空を利用していますが、昨年の9月11日、ニューヨークのテロで客足が落ち込み、この航空会社昨年事実上の倒産をしました。
しかしながら現在も営業をしているのは、日本の民事再生法にあたるアメリカの法律のおかげで、債務を棚上げして日銭として入る航空運賃で最低限の支払いをして現在も凌いでいるのです。最低限のカスリとなる運賃収入は日銭で入るので過去の債務を棚上げすれば日常の営業は出来ると言うことらしいです。
しかしながら会社の健全経営のため、従業員の給料は20%カット、整備士組合は給料カットに抵抗したため、全員解雇して、再度20%ダウンの給料で再雇用すると言う荒療治をやってのけたようです、乗務員組合も20%カットを受け入れています。
とは言っても、ユナイテッドのパイロットの給料は相変わらずの高給で、70時間のフライトで、給料は2万5千ドル、アメリカ国内で順調に業績を伸ばしている、サウス、ウエスト航空のパイロットは90時間のフライトで、給料は1万5千ドルと言う状態なので高コストは誰の目から見ても明らかです。と、言いながらも他人の懐の心配などする必要は無いのですが、過去のユナイテッド航空は社員はおおらかで、私の好きな航空会社の一つであったのですが、その私の熱い思いに対して、私は思いっきり冷水を浴びさせられる事になります。

事の発端は、我々が持ち込むライフル銃に対して、超過料金をかけると言うとんでもない裏技を仕掛けて来たことにあります。数十年前に書かれたユナイテッドのレギュレーションに日本から持ち出すライフルは全部超過荷物として扱うと言う規則があるのです。しかしながら何処の航空会社にも、そんなトンカチな規則は無く、ユナイテッド自体に調べさせても、他の航空会社では超過料金を徴収していないと言う事実関係をユナイテッド自身が確認しています。そういう規約があっても、私たちは過去に何度もユナイテッドを利用してきて、一度も超過料金を徴収されたことがありません。それは当たり前でそんなことをしたらユナイテッド航空なんか使うわけがありません。驚いたことにその規約、外国の場合は問題ありませんのに、日本国から出入国する場合にだけに特別に加算すると言う信じられない代物です。しかも猟銃は駄目だが拳銃はOKと言う、どこの馬鹿が作ったレギュレーションか知りませんが、その規約が亡霊の如く生きていたのです。

チェックインカウンターでいつもの様にチェックインを済ませ、搭乗口に向かおうとしたら、ライフル銃ですからエクセスチャージがかかりますと言うではありませんか、¥500か¥1000か知りませんけれど、ここは太っ腹な所を見せましょうと、お幾らですか? と聞いたら。
片道¥21,000、往復で¥42,000ですと言うではありませんか、私は大会参加者全員7名分だと考えた、それでも充分高いのですが、全員でですかと念のために聞いたら、そうすると、な、な、な、な、何とおおおおおお~ お一人様です、と言うではないですか!
何!!!!!!、思わず私は聞き返しました。
普段穏和な私ですが、気が動転して、折角のルックスも夜叉の如くなっていたに違いありません、また驚きのあまり、私の肛門の皺は瞬時にのびでツヤツヤになっていた筈です。
本来ならば従業員の高賃金のカットで会社を運営しなければなりませんのに、この航空会社は、お客にとんでもない裏技をかけてきたのです。
¥42,000と言うと、他の航空会社ならアメリカ往復出来る値段です。値段の高いユナイテッドの航空運賃ですら、我々の購入した正規運賃でアメリカ往復¥78,000ですから、如何に別料金¥42,000と言う料金が暴利かお解り頂けるでしょうか。
銃に対して別料金を加算する根拠は実は何もないのである、別の飛行機をチャーターして銃だけ運ぶと言うのならばまだしも、サーフボードよりも小さく、ケースを入れるとせいぜいスキー程度の大きさでしかありません。物に別料金を徴収しなければならない根拠などあるわけがありません。勿論荷物も銃を入れて2個におさめています。
それでも、私は普段の穏和さを失わないように、殊更穏やかに・・・・・
今まで徴収されたことは一度もないのですが?
他の航空会社でも徴収していないのですが?
こうした事実を理路整然と述べても、金を払わなきゃ荷物を載せないと言う一点張りである、驚いたことに拳銃なら無料ですと言う始末です。
何でもレギュレーションにはそうなっているらしいです。
ひょっとしてこれって逆さまじゃないのでしょうか? 
日本は猟銃はOKですが、拳銃は駄目でしょう。これが日本だけに特別に決められたれ特別のレギュレーションのなりますと誰が考えても逆ですよね。
このレギュレーションは、ユナイテッド航空のアメリカの本社でアメリカ人が決めたレギュレーションですから間違ったんでは無いでしょうか?
まともな日本人から見ればこれって逆でしょう! ねえ皆さん!そう思いません????
拳銃は無料預かりですが、許可を受けたライフルは別料金だと私は訳がわからなくなって来てしまいました。まるで、北朝鮮か歌舞伎町の暴力バーに舞い込んだような気分です。キャンセルすればすでに支払い済みの¥78,000が逆にユナイテッドに丸儲けになる事になり、泣く泣くと言いますか、相手の言い分を聞くしか他に選択肢が無くなったのです。
スカ太郎みたいな社員に案内され、料金カウンターに行って、興奮で震える手でクレジットカードを差し出しました。私は真面目そうな女性社員に、あなた、こんな事をしているとユナイテッドは本当に倒産しますよ!と話しかけました。
女性は悲しそうな顔をして、突然立ち上がり、キットした目で私を見返しますと、「もう一度聞いてきます」と言って小走りでスカ太郎のもとに駆けつけました、少しして、力無く肩を落としてかえって来た女性社員は「申し訳ありません」と深々頭を下げました。この女性社員の一言で、まだほんの少しだけこの会社に最後の良心が残っているなと感じました。

結果的にユナイテッド航空は、レギュレーションに書かれた裏技を駆使し、何の営業努力、何の企業努力もせず、またお客に対して何の追加サービスもすることなく、まんまと¥264,000を只でパクッたのです。ヤー公顔負けのパクリ技ではありませんか。
世界の翼、アメリカの誇り、ユナイテッド航空も、こうしたせこいパクリをやるようになったらお終いですね。ユナイテッドにとっては、我々からパクッた金額は、本当に僅かな取るに足らない金額ですのに、しかしながら我々の脳裏にはしっかりとユナイテッドのパクリ技が刷り込まれましたからね。この屈辱は絶対忘れません!

憤懣やるかたないと言う気分のまま、サンフランシスコで入国手続きを済ませ、フェニックスに着いて荷物を受け取ってさらに驚愕した!我々のスーツケースの鍵が壊されているのです。しかもスーツケースの中は強盗に遭った後の様に引っかき回されています。
後でアメリカのユナイテッド関係者に聞いてみますと、何でもユナイテッドではスーツケースには施錠をしないで預けないといけないらしいです。
鍵をしているスーツケースは検査のために全部鍵を壊してでも開けるのだそうです。
しかしながらこうした肝心な事の説明は日本のカウンターでは一言もコメントはありません! 昔のユナイテッドの良き時代は完全に過ぎ去り、現在の社員達によき時代の対応を求めるのは最早不可能と言う所まで来ているようです。

不愉快なユナイテッドの体験を早く忘れ、頭のスイッチを射撃大会に切り替えます。
今回の大会参加者は7名の参会者がありました。年々増加しています。
奈良県から井上氏、竹本氏、神奈川県から川村氏、長野県から石田氏、秋田県から加藤氏、高橋氏、そして私もツアーコンダクター、運転手、雑用、通訳をかねて選手として参加しました。皆さんの為にやっていない仕事はポン引きくらいの物です。
本当はその仕事をお願いしたかったと竹本さんが不埒な事を申しておりました。
普通なら国際的な射撃大会に参加という事になりますと、何回も選抜を繰り返し、おおよそ1年がかりで選手を選出するのが普通ですが、我々ベンチレスト射撃協会では、手を挙げた人は誰でも参加できると言う、懐の深いところを見せています。
その上、文部省から紐付きの補助金を得ている訳ではありませんので、「勝たなければ」と言う余計なプレッシャーもありません、その代わり「NHK」の取材もありませんがね。
射撃場はフエニックス郊外にあるベンアレー射撃場である、広大な国立公園の中に設置された射撃場で、ゲートを入ると最初にスモールボア射撃場があります。私は6年前世界選手権で初めてこの射撃場を訪問したとき、最初に見たこの場所こそがベンアレー射撃場であると思い、誰もベンチレストシューターが居ないのを怪訝に思い、拳銃の射撃練習をしていた警察官に聞いたら、ベンチレスト射撃場はまだまだこの奥にあると言うことで、私が見たスモールボア射撃場はあくまでも、極々この射撃場の一部でしかないことを思い知らされました。

ベンチレスト射撃場
ベンチレスト射撃場

ゲートから射撃場の道を進みますと、最初にスモールドア射撃場、1000mポジションシューテング射撃場、300mシルエット競技射撃場、トラップ、スキート射撃場等々、多くの射撃場がこの広大な敷地に点在していることが解かりました、我々の目指すベンチレスト射撃場はその広大な射撃場の一部に存在しているに過ぎなかったのです。
その広大な射撃場の中のベンチレスト射撃場の中の、ごく一部を画像でご覧下さい。
何となく奥の深さを感じ取って頂けるでしょうかね?

さて、射撃場に到着すると加藤さんがサンドバックにいきなり砂を詰めだしました、我々の持参する荷物は非常に多岐にわたりかつ重たいので、荷物の軽量化のためにサンドバックの中の砂を捨てて、皮袋だけを持参したのです。そして現場で砂を詰めて、大会が終わったらまた砂を捨てて帰ろうと言う作戦です。加藤さんの詰めている砂は、一見すると単なる、何処にでもある砂と勘違いされると思いますが、実はこれは本当の砂ではなく、工業用のサンドブラストに使う砂です。

普通に何処にでもある砂を使いますと、使用する間に砂の粒子が微細化し、サンドバックの縫い目から微細な粉末が永遠に噴き出して来ることになります。当社ではヘビーサンドという名称で金属粉の粉末を¥5,000で販売していますが、使い終わったらサンドバックの砂を捨てると言うことは、それなりにお金のかかる行為なのです。

砂入れ
砂入れ

さて、私は今回の大会のために特別注文のストールパンダを用意しました、機関部の右側にエジェクションポートがあるのがお解りでしょうか、通常のベンチレストライフルは、左側に装填口があり、そこから弾の装填と、薬莢の取り出しを行う、しかしこれでは頻繁に変化する風の影響を避けるために、タ、タ、タ、タ、と連続して射撃をするのに排莢の時間を取られるのです、そのため特別に注文した銃は左から装填して、右から排莢する特別注文銃の製造を1年前から依頼していたのです。銃床にも日の丸を書き込んで貰いました。

日の丸
日の丸

画像エジェクションポートをご覧下さい、こうした具合に左から装填して、撃った後は右側のエジェクションポートから排莢するのです。

エジェクションポート
エジェクションポート
エジェクト
エジェクト

排莢した薬莢はこうしてタオルを敷いて受け取ります。

注文時に日本の国旗という風に文書だけで注文しましたので、ひょっとして間違って北朝鮮の国旗でも間違って書かないか非常に心配していました。
北朝鮮の旗が間違って書かれていたら、私は今回の大会には参加しなかったに違いありません。この画像を撮影してくれたのは、私の友人、ターク高野氏です。
さて今回使用する弾もこの銃の薬室に合わせて特別にリロードした弾を使います。

画像を見て貰えればお解り頂けますが、薬莢のネックの周りを削り込んで居るのがお解り頂けるでしょうか? これは薬莢の内径の中心を基準に外径を削った跡です。何故薬莢の外周を削るかと言うと、実は薬莢のネックの厚さは必ずしも均等で無いからです。

ネックターニング
ネックターニング

肉眼で見ると同じ厚さに見えるが百分の数ミリ必ず偏芯しているのである、だからそのままでは弾頭は軸線から偏芯した状態で薬室に装填されます。百分の数ミリの偏芯でも、ベンチレスト射撃競技は100m先での0.1ミリ単位のグルーピングを競う射撃競技なのでその些細な誤差が勝敗を決める大きな要因となり得るのです。
この薬莢のネックを削る作業をネックターニングと言うが、言うまでもないがこの削り込んだ寸法で最初から薬室の寸法を決めていますので、薬莢を削り込んでもここの部分に寸法のマイナスは起きず、その為にネックの寸法が小さくても火薬ガスが吹き戻す事は無いのです。

日本選手がこの大会でチャンピオンになる可能性は極めて小さいですが、多くのアメリカ人達は我々の事を、ショッピングのチャンピオンと密かに呼んでいます。
会場には地元のブルーノのお店が出店していますが、アメリカ人たちは買い物と言ってもせいぜい1ドル程度の洗矢ブラシしか購入しませんが、引率した選手達はこの時とばかりに一気に買いに走るのです、何しろ雷管は1個2円、火薬は1ポンド2千円、こういう値段で売られているのでお金の価値が何倍にもなったように感じられるからです。
私の推測ですが、日本人選手達は今回の試合1日で100万円程度の買い物をしたことは間違いありません。

そういう環境の中で我々日本人は最も歓迎される人達なのです。

弾
スコープ
スコープ
銃身
銃身
火薬
火薬
銃床
銃床
店内風景
店内風景

射撃場の後ろではリローデングが行われています。
事前に弾を作り置きしないのは、射撃場の環境に応じて微妙に装弾を作り替えているからである、気圧、気温、湿度、そうした環境に応じて、火薬の種類、装填量、弾頭の重さ、形状、そうした物を微妙に組み合わせているからです。
どういう組み合わせがベストであるのでしょうか、その指標は存在しません。

この大会には黒人は一人も参加して居ないのですが、参加できない規則が在るわけではありません、なぜだか黒人の参加者は皆無ですね、その為と言っては黒人の人達にはなはだ失礼ですが、ここの射撃場にはみんな高価なリローデングの機械をおきっぱなしです。
どんなに高価な物を放置していても絶対に無くなることはありません。

リローデング
リローデング

ワトソン氏の手作りの弾頭を販売しているところで、私が居たらアメリカ人が来て、ワトソンさん居ないの? と聞くので今射撃中みたいですと私が言ったら、$100をテーブルの上に置いて、風で飛ばないように弾箱をのせて立ち去りました、彼は私も含めて誰もこの$100を盗まないことを知っているのです。普通のアメリカの社会では考えられない行為です。

射撃場の中は色々な風旗が乱立していますが、それは個人個人の射手が持ち込んだ物です。
大会が始まる前にそれぞれの射手は自分の風旗を設置します。

風旗立て
風旗立て

マッハ3以上の速度で飛翔する弾頭も、風の影響で微妙に流されます。
ウインドイフェクトと言うチャートをレストに取り付けている射手もいます。
一般の人が考えると3時方向から吹いてくる風があれば、弾頭は反対側の9時方向に流されると考えるでしょうが、弾頭は1分間に10万回転以上の速度で回転していますので、その影響の為に9時方向ではなく、少し上にホップするのである、従って流される方向は10時方向と言うことになるのです、前から来る風には12時方向に流され、後ろから吹く風には6時方向に落ちるのです。我々はそれらの風を読み、1発撃つ毎に狙点を微妙に変化させて撃っているのです。

ウインドイフェクト
ウインドイフェクト

5発の射撃を終了した後は、10回くらいブラシを通し、を浸したボアソルベントパッチを20回くらい通してカッパーファウリングを除去します。
命中精度の維持と、銃身寿命の為と言うことなのですが、未だに私にはこの効果が完全には理解できません。

クリーニング
クリーニング

同行した奈良の井上氏の話では、日本国内での射撃はクリーニングするのは射撃の後、ここでの射撃みたいに頻繁にすることはありません。それでも現在すでに5000発以上のの弾を撃ちながら命中精度の劣化はおきていないのです、多くのアメリカ人達は銃身を2000~3000発で交換しているのを考えますと、本当にクリーニングが銃身寿命に効果があるのかどうか今でも疑念は深まります。
命中精度と言うことに関して言うならば、すでに5000発以上の弾を消費している井上氏なのですが、その銃身で何と、第1日目の大会、100ヤード競技の第2射群目にいきなりトップ10に躍りでました、引き続き第3射群では第3位です。

井上さん
井上さん

このまま行けば優勝か、どんなに悪くてもトップ10に入り込めそうな快挙です。
このレベルは今まで日本選手が誰も到達したことのない最高峰の所です。
ところが第4群でいきなり我々の集う、100番台に落ちてきてしまいました。

どうやら井上氏は高所恐怖症らしく、あまり高いところに長時間滞在することに慣れて居ないらしいです。井上氏の話では、トップ10に入り込めば、お祝いにホッターズと言うお店で祝賀会をやろうと私が提案し、言うまでもありませんが勘定は井上氏に持って貰うことになると言ったため、「それなら外すしかない」と言う訳でその一言が効いたと言う事ですが、しかしながら本当の理由は現在にも不明です。
今後二度と高いところに登ることが無いであろう井上氏の為に、大会の優勝者のカップを持って居るところを画像として残してあげました。

虚像
虚像

言うまでもありませんが、これはあくまでも井上氏の家族向けの虚像画像です。
他の選手達にも虚像画像を撮影してあげようと思ったのですが、嘘がバレバレなので止めました。

店内1
店内1
店内2
店内2

画像はホッターズでの写真ですが、私は金髪のオネーチャンに寄られますと、目の焦点が会わなくなるのはどう私の習性らしいです。この画像を見て、金髪とイッパツなどと言う妄想は抱かないようにお願いします。
画像で私が指を1本立てているのは、イッパツではなくて、ピッチャー1本と言う注文なので改めて誤解の無いようにお願いします。
その夜は、オッパイが1つ、オッパイが2つ、オッパイが3つ、オッパイが4つ、等と数を数えて寝よう試みました、逆になんだか興奮して寝付けなくなりました。

うるうる
うるうる

寝不足の状態で2日目を迎えま
した。 この日も井上氏は、トップ10のグループに食い込みます、このままトップグループに居ると友達を無くすと思い、私も少しだけいつもより丁寧に撃ち込みました。
そうすると、どういう神の采配でしょう! 200ヤード競技の3射群に置いて私はトップに躍り出ました。私にすればカクタスシュート参加6年目の快挙です。

証拠
証拠

この原稿は冷静に、淡々と書いていますが、200ヤード競技の3射群でのトップと言うのは私に取ってはあまりにも出来すぎの事件です。
この事実を永遠に伝えるために当社HPのバナーを書き出したい気持ちで一杯です。
バナー広告は兎も角、この事実は人に嫌がられても今後何年でも語り告ごうと思います。
射撃場で「話したっけな~ 30年前カクタスシュートで俺がトップを引いたの」なんて貴方に言っても嫌がらずに聞いてくださいね! そして「えっ凄いですね」と必ず驚いてくださいね。

今回の大会では初参加の長野県の石田さんです。
この方は初めての参加なので、何事も体験と言う感じで参加されました。
最初の日の1射群で、「射撃はどうでしたか?」と聞いたら、1発だけ的に入り、後は弾痕不明ですと力を落とされている、ベンチレスト射撃競技では5発弾痕をミリ単位でまとめ無ければならない、その中で弾痕不明と言うのは致命的な取り返しの効かないミスです。

氏は、何事も経験ですからと落ち着いて話して居られましたが、後で回収された標的が開示されたので解ったのですが、なんと5発の弾痕はみんな1つ穴に入って居たのです。
石田さんは5発撃ったのに弾痕が1つしかありませんので、4発の弾は弾痕不明と勝手に思いこんで居たのです、当人の思惑と違い思いがけない成績になりました。
勿論記念の標的はちゃんと日本にお持ち帰りになりました。
家族からは相手にされないでしょうが、当人は額に入れて毎日拝みたい状態かも知れませんが間違ってもご家族に強要しないようにお願いします。

石田さん
石田さん

前回の大会で驚異的な記録を達成し、地元新聞にも記事を書かれた加藤さん、今回は奮いませんでした、同郷の高橋さんを引率されて来られたのですが、高橋さんが到着当日風を引かれ、高橋さんが「医者に行きたい」と言われたため、真夜中にタクシーを手配し、大病院で診療を受けさせ、24時間営業の薬屋で薬を買い与え、ホテルに帰ったのが深夜の2時ですから当日は疲労困憊という状況だったのです。
目の焦点が合わず、スカ太郎の様な表情になっているのはそのせいで、決して自顔でないことを加藤さんの名誉のために付け加えておきます。

加藤さん
加藤さん

この日のデイナーは、GUN誌のライターとして、そしてガンスミスとして著名なターク高野氏を呼んでシーフードで盛り上がりました。タークしも大会選手として参加しています。写真に加藤さんと高橋さんが写っていないのは、このとき病院に居たからで、私が映っていないのは写真撮影をしているからです。

デナー
デナー

翌日は病欠していた高橋さんが参加されました。
シャカリキになってクリーニングをしているのが高橋さん、付きっきりでお世話をしているのが加藤さんです。加藤さん本当にご苦労様でした。

高橋さん
高橋さん
記念撮影 1
記念撮影 1
記念撮影 2
記念撮影 2

全ての競技を終え、日本選手全員とターク高野氏と記念撮影しました。
この画像は、川村氏の一言でタークが引いている、そして普段は笑顔の少ない高橋さんが大爆笑している写真ですが、皆さんで勝手の思いつくせりふを書いて遊んでください。
私が映っていないのは私がカメラマンだからです。
しかし今回の日本選手団のヒーロー(当然ですが私の事です)が居ないのもおかしな話なので、私の代わり加藤さんに撮影をお願いしました、私の顔が何となく偉そうにしているのは、やはりトップを引いたせいでしょうね。
画像を見て解ったのですが、川村さんはタークのお尻をまさぐり、タークは屁をこいて体をねじり必死にその手から逃げようとしてるのも解ります。

大会にはネシカの社員達も沢山参加しており、社長のマイケルとも1年ぶりに再会しました、私は300WSMのタクチカルライフルを2丁注文しました。
スコープ無しですので販売価格は¥900,000の予定です。この値段を考えるとえらい高い銃に見えると思いますが、機関部と、ボルト自体を大きなブロックから放電加工と、放電ワイヤーカット技術で切り出して作っていますので、想像を絶する化工時間と、膨大な費用がかかります。工業技術に精通している人間から見れば、¥900,000はむしろ安すぎる値段です。現物を見ると、現在考えられる最高の技術水準の銃です。銃身はハート、6本フルート、特殊表面処理(私には何か解らないのです)、弾倉交換式機関部、等々の当社の特注品です。

何とか夏のセールまで間に合えば良いのですがね。
この銃、品物が到着する前に売約済みになる可能性が在りますので、現物を見てから購入しようと言うお客様は取り敢えず、予約だけは入れておいてください。
予約と言っても現物を見た後のキャンセルは自由です、予約しても予約金は不要です。
せっかく買う決心をしても、入荷前に売約済みではあまりにも情けないですからね。
その為の予約です、お気軽にお申し出下さい。


更新 2003年 4月14日

カクタスシュート参戦記を読んだ読者の方からメールを頂きましたので開示します。
どうやら、私はユナイテッドの社員にはめられたようです。
何故そういうことになったかと言いますと、驚いたことにユナイテッドの社員、予約受付係、ユナイテッド航空受付カウンター、スパーバーザーと名乗る馬鹿、いずれもローマ字程度なら読めるのでしょうが英語力はからっきし駄目なのです。
私はてっきり、ユナイテッドの社員は全員学校を出ている人達だと誤った先入観で見ていました。
私より英語が出来なかったとは考えもしませんでした。
受付カウンターでは英語のマニアルとやらを見せてくれず、日本語での対応だったのでまんまと騙されました。
私のように、聖人の如くそもそも人を疑うことを知らない人間は、ユナイテッドの様な詐欺師集団にとっては赤子の手をねじるごとくと言うことでしょう。

以下、読者の方からお送り頂いたメールをご紹介します。


築地さん、私がお送りしたUAの運送約款をご覧になっていますか?
みごとに、UAのグランドクルーに「騙され」ましたね。
ライフルは無料です。

-Charges
追加料金
-To/From Japan: Only Target Pistols for use at international athletic meets are allowed and then always treat as one item excess bag.

日本発着:国際スポーツ大会で用いられる標的射撃用ピストルだけが許可され、常に超過荷物1個として扱われる。

すなわち、標的射撃用ピストルが有料です。
築地さんは間違った訳を教え込まれています。
課金されたエクセスチャージをを取り返してください。
後に続く者のためです。詐欺師は懲らしめなければ被害者を次から次へと産みます。

私は話していて気付いたのですが、UAのグランドクルーは成田も関空も英語が読めません。信じられないでしょうが、事実です。

上記のメールを受けて本日ユナイテッド航空日本支社宛に簡易書留で以下の内容を送達しました。
ユナイテッドから回答があったらまた開示します、さてどの様な展開になるか、ワクワク・・・・・・・・・

以下ユナイテッド宛の手紙の内容です。


私は毎年射撃協会のメンバーを引率して大会に参加しております、今回も私を含めて7名でまいりました。(4月3日~4月8日)

前回のトラブルはライフル銃の搭載拒否でしたので、それに関しては全くトラブルは無かったのですが、私が予想もしていなかったことですが、成田のカウンターでライフル銃は全部超過荷物と言うことで追加料金を徴収されたのです、私も出来るだけ穏便に対応したのですが、窓口の社員の上席の人間でしょうか? スーパーバーザーとやら名乗る人間が出てきて私との対応に当たりましたが、慇懃無礼と言うか横着と言うか聞く耳を持たないという態度で、屈辱的な対応をされました。この屈辱は生涯忘れませんが、いずれにしてもこれは私憤ですから問題はさておきます。

問題はライフル銃に対して超過料金をかけると言うことですが、残念ながら私は窓口でその根拠となるマニアルを見せてもらえませんでした。

しかしながら、平成11年9月16日付けの御社のお手紙の中で御社のマニアルを頂戴しておりますので何故追加料金を加算されるのか怪訝に持っております。

マニアルが変更になったのなら致し方ないと思い、アメリカでのチェックインの際にエクセスチャージがかけられるのか念のために確認しましたところ、アメリカではエクセスチャージはかけられませんでした。

マニアルの読み方に対して、御社のアメリカスタッフ、そして私の読み方が間違っているのでしょうか、それとも御社の社員の読み方が間違っているのでしょうか?

もし御社の方に間違いがあれば課金されたエクセスチャージの返金と謝罪を求めます。

築地恵


更新 2003年 4月15日

ネシカでは色々なタイプの銃を製造していますが、当社の注文はアーバンタクチカルを注文してあります。
スコープは付属ではありませんのでご注意下さい。

口径は:300WSM(銃身長26インチ)2丁と 308WIN(銃身長24インチ)2丁です。

ネシカライフル
ネシカライフル
銃身母材
銃身母材

更新 2003年 5月 1日

今日に至るもまだユナイテッドからは返事が来ませんね、一体どうしたと言うのでしょう。
奴らは一旦ポケットに入れたお金はこのまま頬被りするというのでしょうか?
時間が経過すれば経過するほど問題が大きくなり、ややこしくなるのは間違いないのに奴らは危機意識が欠如していますね。
恐らく私の手紙を受けて、ユナイテッド社内に英語の分かる社員が居ないので即答出来ないのでしょう。
ですから多分、英語の出来る人達の居るアメリカ本社に問い合わせているはずです。

もしユナイテッドから返事が来るとすれば、「返事が遅れて申し訳ありません、事実関係についてアメリカ本社に問い合わせていたため回答が遅れました」なんて言ってくるはずです。間違っても英語が読めないので本社に聞いていましたなんて事は恥ずかしくて言えないはずですからね。

さて、話は変わりますがカクタスの主催者から成績表が送られてきましたが、成績表の上にウエルスファーゴー銀行の小切手があります、私の分は$82.00 井上さんの分が$51.00です。
怪訝に思い成績表を見たら、なんと私は総合成績で29位、そして賞金として$82.00もらえたのです。井上さんは37位です。
これでユナイテッドの不愉快な思い出が一掃された快挙です。
目下の所、私が全ての射撃競技で日本での賞金王と言うことになりました。
そして、そう遠くない内に射撃のトーナメントプロとしでデビューするに違いありません・・・・・

Cash Option Summary

1.GaryOcock $1,406,61
2.Ed Adams $495.72
3.John Hom $417,73
4.Bill Hallam $414,37
5.Chuck Miller $375.46
6.LowelI Frei $335.91
7.Cecil Tucker $318.96
8.Lester Bruno $261,15
9.Larry Scharnhorst $232.57
10.Mustafa Bilal $150.73
11.BiII MeIIor $149.00
12.Don Neilsn $144.41
13.Steve Henager $144.00
14.Jim Erickson $140.56
15.Don Gentner $139.08
16.Bob McGmw $125.91
17.Skip Otto $119.10
18.Bruce Black $118.00
19.Jef Schopper $115.00
20.Gary Sinclair $103.16
21.Henry Pinkney $100.00
22.George Raymond $97.00
23.Adam Savage $90.16
24.Tom Martin $85.00
25.KarI Hunstiger $85,00
26.Gene DeLoney $84,00
27.Richard Carpenter $84.00
28.Darryl Whittman $84,00
29.Megumi Tsukiji $82,00
30.Jack Jackson $82.00
31.Randy Pumphry $81,00
32.Russ Hardy $76.82
33.Roy Damron $76.82
34.Camlyn Libby $61,00
35.Norm Lindley $57.16
36.Dennis Wagner $55.16
37.Akiraln inouie $51,00
38.BmnditGurr $51.00

カクタス シュート参戦記 (2002年)

2002年 4月12日 築地
続編 2002年 4月17日 築地
追記 2002年 4月18日 築地

毎年、アリゾナ州、フェニックスで開催されるこの大会に参加しているが、我々は最初の大会参加では箸にも棒にも引っかからないような惨めな結果であったが、毎回参加する内に多少は学習効果を積み重ねたと見えて、今年辺りは全員が参加者全員の中で、何とか中頃までに這い上がることが出来るまでになった、それにしてもアメリカのハードルはまだまだ相当高い所にある。

今年の大会から、昨年9月11日のテロの影響だろうか、アメリカで銃器の取り締まりを担当しているATF局(アルコール、タバコ、銃器取締局)の新しい規則が2月19日から施行された。
従来まで銃器のアメリカ本土への持ち込みは原則自由だったのであるが、如何なる理由が在ろうとも事前に許可を取らなければ成らなくなったのである。
私がこの事を知ったのは、3月に入ってからである、しかもATFに申請して許可されるまで平均約60日かかると言うことで、今から動いても逆算するととうてい4月、7,8,日の大会まで間に合いそうもない。

私の友人でベンチレストシューターのターク高野氏に連絡したところ、何とかATFと折衝してみてくれると言うことになり、とりあえず我々は飛行機の予約をし、私は政府の輸出許可を申請した。ATFは何とか大会までに許可を出してくれると言うことに成ったのであるが、送った筈の招待状が添付されていないとか、訳の解らないことを言い出してハラハラさせられた。
何処の行政も同じような物であろうが、遅々として進まぬATFの事務手続に対してターク高野は毎週2回以上電話をかけまくってくれた御陰で、何とか期日に間に合わせることが出来た。ターク高野は、多分何度も"切れそうに"なったのではないかと察するが、最後まで我々に愚痴を言うことは無かった。

ターク高野氏にはこの場を借りて、再度感謝の気持ちを表しておきたい。

いよいよ出発
いよいよ出発

アメリカに到着すると、国内線への乗り換えも、異常とも思えるようなセキュリテーチェックが待ちかまえていた、セキュリテーの後方には銃器を携帯した海兵隊員が警備している物々しさである。

厳重なセキュリテー
厳重なセキュリテー

私は1月のガンショーの時にこの異常なまでのセキュリテーを体験しているのでほとんどマークされるような荷物は持っていなかったが、川村氏は携帯していたサンドバックの中身まで疑われ、携帯していたパソコンには電源を入れてみろと言われ、あげくは靴の中まで調べられてしまった。私から見ると川村氏は遵法精神に富んだ好青年に見えるのであるが、セキュリテーの専門家の視点ではまた別の見方を抱いているのかも知れない。

フェニックスでのホテルは、射撃場の近く、滞在型のホテルで1泊$50のバジェットインに宿泊した。滞在型なので室内にはキッチンまで付いている、ご近所のスーパーで買い物をして自炊してお食事である、私はバドワイザーの瓶ビールを12本、それに同じ銘柄の缶ビールを数本空けて前後不覚になりその日の夜はそのままシートに倒れた!

ホテル
ホテル
お食事
お食事

翌日は練習日なので、それぞれ空いている射台で練習を開始する。
ベンチレスト射撃の場合は、射座が空いていれば自由に練習が出来る。
標的は張ってある物は自由に撃つことが出来るし、当然のことだが自分でも好きな標的を自由に張ることが出来る。

練習開始だ!
練習開始だ!

実際に射撃をしながら、最適のローデングを手探りで探す、我々は日本でローデングした弾を幾つか持参しているので、実際にアリゾナの射撃場で撃ったとき、どのように変化するのか試したのであるが、実際問題は日本でローデングした弾でも、ここアリゾナでも同じような精度があることが確認できた。

私自身は日本と全く同じ条件でリロードすることにしたが、人によっては0.5グレイン程度下げたり上げたりしながら最良のポイントを探していると言うことである。

リローデング中1
リローデング中1
リローデング中2
リローデング中2
リローデング中3
リローデング中3

ベンチレストの頂点を極めたと言われるトニー ボイヤー選手は、なんと2週間前から射撃場に入り、色々な気象条件でテストを繰り返していると言うことである。
昨日はぐでんぐでんに飲んだくれてしまった私としては反省することしきりである。

ベンチレスト射撃の世界では、5発ずつの射撃を5回繰り返し、それぞれのグルーピングで競う、5発撃つと射手は交代するので、その都度全員が銃身のクリーニングをする。
銅ブラシを使い、ボアーソルベントをブラシに浸し10回程度前後にブラシを往復させる、その後に、パッチと言う布でボアーソルベントを拭き取る。

射撃が終わればクリーニング
射撃が終わればクリーニング

それも半端な数では無い、射撃するよりも明らかにクリーニングをする時間の方が長いのである。地面に落ちたパッチの数を見て貰えば1回や2回のクリーニングでないことは容易に推測できるであろう。

今年のリューポルド社のカタログの見出しに、トニー ボイヤー氏が掲載されている、それほど氏のベンチレスト射撃に対する功績は大きいと言うことである。
彼の射撃方法は、極力同じコンデションで撃つと言うことを心がけている。
ベンチレスト射撃の制限時間は、5発に対して7分であるが、この中でほんのわずかな時間、風の条件が同じになることがある、試射をしながら風の変移量をチェックする、風が変われば絶対に撃たない、ひたすら同じ風が吹くのを待つのである、そして風の条件が同じになったと思えた瞬間に、わずか30秒程度で5発の弾を撃ち尽くす、但し風の状況に応じて狙いを微妙に変化させながら撃ち終えるのである。
我々から見たらまさに神業である!

パッチの数!
パッチの数!

同行した加藤さんが車の中で、日本のトニー ボイヤーさんは誰ですかねと聞く、私は、それは川村さんでしょうと答えた! 成る程ね~と相づちを打つ加藤さん。
私は心の中で、川村さんはトニー ボイヤーと言うよりは、どちらかと言うと、トニー谷ではないかと心の中で思った。

日本のトニーボイヤー
日本のトニーボイヤー

トニー谷氏、おっと、川村選手は射撃選手としてよりも、ショッピング チャンピオンとしてここアリゾナでは超有名なのである。何でも今回の大会で総額100万円近いお買い物をしたそうである。スコープを数本、バレルを数本、それに諸々の雑品を購入すると簡単にそうした数字になってしまう。会場には地元ブルーノが出店していて、川村様ご来店を手ぐすね引いて待っていた。

ブルーノ社のテント
ブルーノ社のテント
ブルーノ社の銃身
ブルーノ社の銃身
ブルーノ社の銃床
ブルーノ社の銃床

会場には、エド、ワトソン氏のキャンピングカーも来ており、ここで自作の弾頭を販売している。氏はこうして弾頭を販売しながら全米各地をベンチレスト射撃に参戦しながら回っているのである。

エド ワトソン氏のお店
エド ワトソン氏のお店

大会当日


試合初日は100ヤード競技である。
私は第1射群、川村、加藤氏と射群が続く、1射群目の私は射座について、射座のコンクリートが思いの外冷たいのを感じた、砂漠の夜は相当冷え込むことがこうした事からも解る、射撃場にはようやく朝の日差しが差し込んできているが、辺りには冷気が満ちている。

早朝、準備中の射座
早朝、準備中の射座
1射群目の私
1射群目の私

日の光の強さと、外気温の差がまだ大きくないので風は微風しか吹いていない。
射群が進むに連れて、日の光が増して地面が熱くなってくると、風が舞い出すのかも知れない。

標的がセットされると、初めのシリーズのみ制限時間は10分、試射は自由、1圏的5発打ち込みである。(コメント ファイヤー)の合図で射撃開始である。
ベンチレスト射撃では無風の時に撃つのは最もリスキーな選択である、無風と言っても旗がなびかないだけで、風自体はそこらに存在しているからである、しかもその吹く方向が解らないので弾が何処に飛ぶか解らない、一番コンデションの良い風は、弱い風が一定方向に吹いているときなのである、私は風が一定方向に吹いている時を見計らって試射弾を撃ち込む、"タン"と言う心地よい音を残し、4.8キロのベンチレストライフルを後ろに蹴飛ばしてマッハ3の速度で、65グレイン弾頭が銃口から飛び出して行く、弾丸は0.3秒間の飛翔後、遙か後方で砂のスモークが舞い上がる、弾頭がバックストップの土盛りに当たった、弱い"トン"という音が還って来る。

同じ風の条件で数発の試射を繰り返した後、風の条件が同じ内に出来るだけ素早く5発の弾丸を標的に送り込む。
その間、風は微妙に変化を続ける、右目でスコープを、左目で風旗を見る、同じ条件の風と言いながら風は常時微妙に変化し続ける、トニー ボイヤー選手みたいな超名人になると、その微妙な風に合わせて狙点をミリ単位で変化させて撃ち分けるようであるが、こちらは下手に変化させると命取りにならないとも限らない。
あまり余計な"読み"をしないで正照準で撃ち終える。
3年前に初参加の時は、全く風を読むという基本的なことすら知らなかったので、箸にも棒にもかからない成績であったが、だんだんこの世界でも"スレッカラシ"になってきた御陰で、現在では全員が中位くらいには食い込めるようになってきた。

射群が川村さんに回ってきた、氏は常に強気と弱気、強運と不運、躁と鬱が同時進行で進む事が多いので、成績に関しては良かった物も在る代わり、そうでなかった物も混在する。

春の珍事と言うか、青天の霹靂と言うか、空前絶後と言うべきか、言語道断と言うべきか、なかなか適切な比喩が見あたらないが、これから一生涯の加藤さんの幸運を全てこの瞬間に使い切ってしまったのでは無いかと思われるアクシデントが起きた!

それは最終射群の加藤さんがなんと、あろう事か! 
突然1位になってしまったからである!
私が言っても誰も信じないでしょう、当の加藤さんですら信じていないことなのですから、しかしながら成績表をご覧下さい、ちゃんと1位になっています。

頂点を極めた加藤さんと証拠
頂点を極めた加藤さんと証拠

人生の全てのラッキーポイントを全て使い切ってしまった加藤さんは、これを頂点に一気に下り坂を駆け下りることになるのであるが、それでも瞬間的に頂点を極めたことは間違いない事実なのである。

標的にズームイン!
標的にズームイン!

加藤さんの成績の事を書くと、これ以上私自身が文章を書く気がしなくなったので今回のレポートはこれにて終了!

成績表
成績表

続編 2002年 4月17日

カクタス参戦記、途中で終わるというのでは、築地さんの勃起能力を疑ってしまいます。前戯が終わって、先が埋まった段階で萎えてしまったような......

今回のカクタス クラシック参戦記を読んだ読者の方から上記の感想が寄せられました。

私の勃起能力を疑われては私のチンチンの名誉に関わります、しかしながら(前戯が終わって、先が埋まった段階で萎えてしまったような......)と言うご指摘には、私自身いささか思い当たる節が無いわけではありません。

最も、問題を指摘した読者の記述の方が、逆にかなり具体的でなおかつ真実味があるので、これは問題を指摘した当人が普段対峙している切実な問題なのかも知れません。

そんな訳でレポートの続を書く動機としては、いささかいささか問題の本質から乖離しているとは思いますが、さらに続編を書き上げたいと思います。

昨年フェニックスに来たときは日本で言えば初夏状態だったので、今年は他の物は忘れても海水パンツだけは絶対に忘れないように荷物にしまい込んだ。
夏になって泳がないと言うことは、射撃場に来て射撃しないとの同じ事である。
最初にアメリカに上陸したのはサンフランシスコであるが、ここの気温はほぼ東京と変わらない、ここで国内のシャトル便に乗り換えてフェニックス空港の着いたときの外気は、正しく夏であった、日差し、空気、そうした物がすべて夏の香りを放っている。

旅に出て一番面白いのはなんと言っても季節の変化を楽しめることである、桜の季節から一気に夏の季節に飛べることは海外旅行の最大の楽しみである。
5月にもオハイオ州のクリーブランドでも、ベンチレスト射撃の最大イベントのひとつ、スーパーシュートが開催されるが、ここは1回参加して懲りた! 何故なら5月と言えば日差しのいいときは日本でも初夏の陽気の時がある、そうした日本から北の地にあるクリーブランドでは日本で言えば3月程度の暖かさでしかない、何しろ湖を挟んだ対岸はカナダなので寒いわけである、そんなわけで季節が戻る環境と言うのを私は好まない。

毎月のように全米各地で開催される色々なベンチレスト射撃大会の内で、一番季節感を楽しめるのはアリゾナ州で開催されるこの大会では無かろうかと考えている

到着初日、練習日、第1日目、とほぼ初夏状態が続いていたが、大会2日目は朝から雨模様である、しかも寒い! 当然にして私は半袖しか持ってきていないが、大会参加のアメリカ人達は長袖を羽織っている。それぐらい寒い。

参考までに今回の大会成績を開示しますので、以下のアドレスに飛んで内容をご確認下さい。

http://benchrest.com/nbrsa/sw/reports/abrs0402a.htm
上記はライトバーミント100ヤード競技の記録です 私は139位です

http://benchrest.com/nbrsa/sw/reports/abrs0402b.htm
上記はヘビーバーミント100ヤード競技の記録です 私は159位です

http://benchrest.com/nbrsa/sw/reports/abrs0402c.htm
上記はライトバーミント200ヤード競技の記録です 私は93位です。

http://benchrest.com/nbrsa/sw/reports/abrs0402d.htm
上記はヘビーバーミント200ヤード競技の記録です 私は142位です。

http://benchrest.com/nbrsa/sw/reports/abrs0402g.htm
上記は大会の総合成績です、私は134位でした。

我々の成績は以上のとおりであるが、実は私自身は本当は失格しているのである、それは200ヤード射撃の時、早々と本射を撃ち終わり、最後の弾が1発残っていたので、試射的に撃ち込もうとして、レンジマスターの(リメイン 30セカンド)"残り時間30秒"の声を聞いた後、(シース ファイヤー)"射撃中止"のかけ声と同時に引き金を引いた。
射撃中止の声が有った後、射撃した射撃した場合は失格なのが規則だそうである。

レンジマスター
レンジマスター

私の反則射撃について競技委員の間で話し合いがもたれ、結局"お咎め無し"と言うことになった、考えようによっては、特段皆さんの成績に影響を与えるような成績ではないので大目に見て貰ったと言うことなのだろうと思う。

4年前から日本でも車の番号に好みの番号を選択できるようになったので、早速私も30-06と言う番号を"購入"した、手にした番号は(す)30-06である。
つまりスプリングフィールド 30-06である、カタカナは選択できないので単に偶然割り当てられただけであるが、偶然にしては出来すぎの話である。
アメリカは、車番の選択は一切が自由に選択できるようで、当然にして会場には6PPCと言う車番の車もあった、同好の志を見つけた思いである。

ナンバープレート
ナンバープレート

以前にもリポートの中に書いたことがあるが、射撃の世界ではほとんど黒人を見かけることはない、ガンショーに言ってもほとんど黒人は居ないはずである。
これは人種差別と言うよりは、それぞれの持つ文化の違いと言うことではないだろうかと思われる、今回の大会では唯一、一人の黒人選手が参加していたが、決して仲間から浮いているわけではなく、むしろ白人の選手達と和気藹々と接している。

但し、使用している銃も黒人が好むような派手派での色使いではなく、着ている服も黒人好みの服ではない、そうした価値観の問題、世界観の問題から白人と同化出来ているようにも見えた。

唯一の黒人選手
唯一の黒人選手

我々日本人選手も、日本人だからと言ってアメリカで疎外感を感じたことは一度もない。
あるとすれば、単なる語学力の問題だけである。このカクタスシュートの大会も、昔はオーストラリア、ドイツ、フランス、カナダ、メキシコ、と色々な国から参加していたようであるが、近年は外国から参加するのは我々日本選手だけで、世界的に不況だと言っても、世界的な尺度で見るとまだまだ日本は元気が有る方では無かろうか。

当然来年もカクタスに参加することになるのであるが、来年はもう少し参加者が増えそうな予感がしている。と言うことは日本の景気もやっと底を打ったと言うことなのであろう。


追記 2002年 4月18日

やったね加藤さん
加藤さんが地元の新聞に掲載されました

新聞記事
新聞記事

2001年 ベンチレスト世界選手権

2001年11月 7日 築地
更新 2001年11月13日 築地

日本は秋から冬に、ニュージーランドでは、春から夏に季節が変わり行く時期。
ニュージーランド、ネルソン市、ラザフォードホテル503号室にて。

ニュージーランドのネルソン市で、2001年度の世界選手権が開催されることになった。
我々ベンチレスト協会にもニュージーランド射撃協会から参加要請があり、会員の中から参加者を募集する事となった。
世界選手権と言うと、誰でも幾多の予選を勝ち抜いてきた強豪選手達が参加すると思っているかも知れないが、日本ベンチレスト射撃協会の場合は、暇と、多少の金のある人なら誰でも参加できるレベルなのである。勿論、外国の場合は違う、アメリカ等は猛烈な予選を勝ち抜いて選手が選抜されているが、我が日本では概ね希望者はだいたい選手として参加できる。
そんな訳で日本選手に関しては、世界選手権日本代表と言う名前が付いていても、町内会のゲートボール大会の参加選手と、資格、資質とも大差はないのである。
同じ世界選手権でも女子マラソンの高橋尚子選手とはこの辺が劇的にレベル違うところである。
この程度のレベルでの参加なのであるが、現実を知らないと言うのは恐ろしい物で、参加選手の一人Sさんからは、大会に優勝したときのスピーチを教えてくれと言われた。

勿論当人は、あくまでも"万一の場合"と念押しするが、我々日本チームはどんなに間違っても優勝することはあり得ない、この所は絶対と念押ししても大丈夫なくらいである。
Sさんは「あくまでも、万一の、万一の場合の事です」と食い下がるが、我々のメンバーが優勝する確率は、拾った宝くじが3億円に当たり、その3億円で北海道の原野を買ったら、そこから原油が噴き出したと言うくらいの確率である。
そもそもSさんは、我々のベンチレストの大会でも久しく上位に食い込んだ事がない、日本国内の大会ですら穴馬的存在なのに、世界選手権に出て優勝するなどと言う事は間違ってもあり得ないのだが、この当たりの雰囲気を皆さんに説明するにはどうしても私の文章能力では書ききれないので、ここはNHKのプロジェクトXのナレーション風に読んでいただく事で雰囲気を察していただきたいと思います。では、以下、山田トモロヲ氏のナレーション風に読んでください。

男達がいた・・・・・・・
それぞれが強烈な個性を持つ男達であった・・・・・・・
リーダーの築地は言った・・・「ニュージーランドで世界選手権があります、日本からも選手を送るつもりです、都合の付く人は参加してください」・・・・・・・・・
男の一人が言った・・・・・「私は参加しますが、優勝のスピーチは何と言うのですか」
築地は絶句した・・・・返す言葉を失った・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私にはSさんの心の中は全く読めないが、世界選手権に参加する心づもりを決めたSさんは、その時から優勝したときのイメージを大きくふくらませて居たのかも知れない。
普通の観光旅行と違い、ベンチレスト射撃では銃の外にレスト、ヘビーサンドの入ったサンドバックなど、色々余分な物まで持ち込むことになり、勢い全員が重量オーバーとなり、合計で14万円相当の超過料金を徴収される。
飛行機の中はテロの影響なのか、60%程度の混み具合である、大会が開催されるネルソン市までは飛行機の直行便があり、本来はそれを利用して行くのが本当であるが、我々の大会参加目的は大会参加の他に、物見遊山という目的もあるのであえて、クライストチャーチで飛行機から降りて、レンタカーでネルソンまで向かうことにした。
距離的にも、時間的にもこの間は東京~大阪間に相当する。途中、いたる所に牧場が続く、多くの牧場は羊を放牧しているが、中には牛、そして、鹿を放牧しているところもある、今回参加した選手の中に宮川雅雄氏がいる。かれは大藪春彦さんのビックハンテングに登場する人物で、本の中で大藪さんは"私の若い友人、宮川雅雄君"と言うフレーズで宮川さんを紹介している。宮川さんは昔ニュージーランドでハンテングガイドをしており、大藪さんのニュージーランドハンテングをコーデネイトしたのは彼である。従ってニュージーランドには殊の外詳しい。宮川さんにニュージーランドの人口は何人ですかと聞いたら、3000万人だという、物の本には300万人と書いてあったので、彼の頭の中では羊の数まで人口の中に入っているらしい。昔の船乗りは港々に"オンナ"が居たらしいが、宮川さんの場合はニュージーランドの山々に雌羊が居たのかも知れない。
宮川さんは大会の途中で友達に会いに行くと言って3日ほど姿を消したが、選手達の間では、宮川さんは、昔、ニュージーランドに残して来た雌羊に逢いに言ったのではと言う話が流れた、こういう事からしても、昔、宮川さんが日本に帰国するときに雌羊が飛行場に見送りに来たという噂は、案外真実なのかも知れない。

ネルソンに付いた時にはすでに夕暮れ時であった。
ホテルにチェックインを済ませ、その足で近くのレストランに直行した。
ビール、ワイン、をしこたま空けて、ビーフに、ラム、を平らげた、勘定を払って驚いた。合計金額を頭割りすると、一人頭2千円程度しかかかっていない、日本なら1万円と言われてもおかしくないボリュームであった。

翌朝、射撃場に向かう、ネルソンの射撃場は町の中心から僅か7分の所にある、町が大きくないと言うせいもあるが、町の周りに自然が多く残っているのでわずか7分の所に射撃場が存在できるのであろう、射撃場に向かう途中、最初公園がある、公園を過ぎるとクリケット専用の球技場がありその先にゴルフ場が見えてくる、ゴルフ場の先が射撃場である。

射撃場への道
射撃場への道
クラブハウス
クラブハウス

射撃場の周りには川が流れその周囲を山に囲まれた美しい射撃場である。
土地はネルソン市の所有で、そこを射撃クラブで借りて使っていると言うことである。


大会1日目、100ヤード ライトバーミント

大会前日に参加者全員で撮影した画像を見るとみんな一応に明るい表情をしている、この明るさが、大会が進むに連れて暗い表情に変化していくのであるが、この時点ではまだ誰も現実の厳しさに気付いていなかった。開会式は会長のスミス氏の来賓紹介から始まり、ネルソン市長の大砲の"ズドン"で開始された。

参加者全員
参加者全員
開会式の
開会式の"ズドン"

大会参加国はアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、南アフリカ、スエーデン、フランス領ニューカレドニア、そして日本である。参加選手総数は78名である。
ベンチレスト射撃は5発の射撃を5回撃ってそのグルーピングの大きさの平均点で採点する、当然グルーピングが小さい方が上位になる。ベンチレスト射撃では弾痕を1,2,3,4,5,発と数えられるようでは到底勝負にはならない、5発撃って、弾痕は1発しかないのが普通である、つまり5発の弾は同じ弾痕の中に入るからである、勿論6ミリの弾を撃って弾痕が6ミリと言うことは無い、普通7~10ミリくらいの弾痕になる、つまり1~4ミリ程度は上下左右にずれると言うことである。

5発の弾が同じ弾痕に入れるなら、3発、あるいは2発でとぼければ解らないのではと言う疑問が湧くだろうが、そこは標的の後ろにバックターゲットと言う標的があり、これがモーターで常時動いているので、バックターゲットは絶対に同弾にならない、バックターゲットに5発の弾痕があって初めて成績として認められるのである。

バックターゲット
バックターゲット

ベンチレスト射撃は、銃の重さは10.5ポンドに制限されているが、射撃方法はライフルレストの上に銃を置いて撃つ、いわゆる依託射撃という方法である。ライフルスコープは36倍の物を使っている、この倍率だと標的に当たった弾痕が視認できる、弾痕が視認できないと、風の影響で弾丸がどれくらい流されたかを視認できないのでベンチレスト射撃用としては使い物にならない。ワールドカップと言う以上、参加している選手達は風さえ吹かなければ5発の弾を同じ弾痕に撃ち込める技術がある。従って順位の優劣を決めるのは風の動きをどう読むかで大方の勝敗が決まる。
標的の左右には横縞の線を引いたボードがある、これはミラージュボードと呼ばれる物で、これをスコープで覗くと、陽炎が見える、その陽炎の流れで風旗がなびいていなくても風の流れが読めるのである。
ベンチレスト射撃で一番大切な物は道具である、使用する銃身、銃身のツイスト、機関部の材質、銃床の材質、使用する弾頭、使用する火薬、どのくらいの重さの弾頭に対して、どこの火薬をどれくらい入れるか、そうした諸々の知識を総動員して最高に命中精度の良い銃器に仕立て上げているのである、だから無風状態なら5発の弾が1発の弾痕にしか見えないくらいよく当たるのであるのである、車で言えばF-1にあたるレベルである。そのために徹底した銃器弾薬の研究は欠かせない。
しかしながら、何よりもまして重要な技術は風の流れを読むテクニックなのである。
弾丸のスピードは速くなれば早くなるほど風の影響を受けにくい、この大会で使用される口径はほとんどが6ミリPPCである、ごくまれに6ミリBRと言う口径も存在している、初速は3200~3400フィートは出る。
銃器の世界で言えば、超高速弾と言う事になる。
これほどの高速弾頭をしても、風が"そよ"と吹くだけで、100ヤードで1センチはずれる、"そよそよ"と吹けば2センチはずれる。
"ブワー"と吹けば10センチはずれる。幾ら長瀞で練習してもこうした風を読む練習には全く役立たない。これが日本選手達にとって致命的な問題なのである。

我々日本チームも多くの装備のため荷物超過でオーバーチャージを取られたと書いたが、アメリカチームは我々より遙かに多くの装備を持ち込んでいた、風の流れを読むために自分たちが常時使っている風旗まで持参している。
ここの射撃場は峡谷の合間に出来ているので常時風が吹いている、ただ単に吹くだけではなく常にその方向と強さが変化する、また風の特徴として常に同じ方向に吹いているわけではなく、射座の手前と標的の当たりでは、吹く風が逆になっていたりする。

アメリカチームの荷物
アメリカチームの荷物

多くの人は無風状態が一番射撃の条件が良いと勘違いしているが、ベンチレスト射撃みたいに1ミリ2ミリを競う競技では無風状態と言うのは決してベストコンデションではない。
何故なら無風と言っても完全に風がないわけではなく、風旗がなびかないだけであって気圧の変化は存在する、つまり見えないところに風は存在するのである、風旗がなびかないのは、たまたまそこに風旗が無いからその風が見えないだけなのである、また無風状態と言うのは、風自体が色々な方向に勝手に舞っていたりして決して大気の状態が安定している状態ではないのである。であるから無風状態で撃つと以外と命中精度に乱れが起きる、一番理想的な風は、あまり強くない風が均等に、そして同じ方向に吹いてくれることある、

この状態だと当然にして風が舞うと言う現象は起こらないし、風による変移量だけを把握できれば必ず最高の命中精度を発揮できる、しかしながらこの様な安定した風が吹くのはホンの数秒である、極めてラッキーな場合は数十秒吹くこともあるが、1分以上吹くことはほとんど無いので、この決められたチャンスに5発の弾を出来るだけ素早く撃ち込むのがベンチレスト射撃の極意とも言えるのである。

理想的な風
理想的な風

今回のアメリカチームは新型の機関部を持参していた、新パンダアクションのブルーの銃床をご覧いただきたい、この銃を使っている射手は左利きである。従ってボルトハンドルは左側にある、弾を装填するポートは目で見て手で確実にそして素早く装填できるように右側にある、画像で言うと機関部の反対側から弾を装填するわけである。従来のベンチレスト専用ライフルは、弾を撃つと装填した手で薬莢をしていたが、これはボルトにエジェクターを取り付け、ボルトを下げると新規に作られたエジェクションポートから排出される、つまり右から弾を装填して、左から排莢するように作られている、これだと5秒~10秒程度で5発の弾を撃つことが出来る。5発の弾の射撃制限時間は7分間あるので、一番風の安定した一瞬を狙って、5秒~10秒程度で5発の弾を集中して撃つ裏技なのである。

新パンダアクション
新パンダアクション

風は3時方向から真横から吹く風に対しては9時方向の真横に流れるのではなく、時計で言うと少し上の10時方向に流される、9時方向から吹く風に対しては真横の3時方向ではなく、少し下の4時方向に流される、これはライフルの弾頭は猛烈なスピードで回転しているのでこの様な独自の運動を起こすのである、前から吹いてくる風に対しては、弾頭は上にホップし、後ろから吹く風には下に押される。このお約束を完璧なまでに頭に入れておかないとベンチレスト射撃競技では絶対に勝つ事は出来ない。
真面目に真ん中だけを狙って撃てば、先ず保証付きで最下位と言う事になる。
風を読むのも結構リスキーな選択である。ある一定の風が吹いているときに変移量考えて、2センチ位、狙点をずらして撃とうとした瞬間、風の向きが変わる、その時には逆方向に4センチずれてしまい、たった1発で優勝候補が最下位に直行と言うことになりかねない。
この大会は全てのトータルで競技成績が決まるので、4日間の大会開催中、たった1発で全てのチャンスを失してしまうことになる、私が常々、"泣きの1発"という根拠は正しくここにあるのである。
我々は、Sさん以外、総合優勝と言うことは全く念頭にない、残念ながらそれが我々の実力なのである、従って、私は、1シリーズの中の、その瞬間で良いからトップ20位以内に入るのを一応の目的としてきた。

ここの射撃場は山間にあるので非常に天気が変わりやすい、おまけにニュージーラをンドは季節の変わり目であるので非常に天気が変わりやすく、10分で快晴から豪雨に天気が激変する、夕立みたいに突然雨になり出すことが少なくない。しかしながら命中精度に対しては雨の影響は以外と少ないのである、雨に伴う風、これが最大の問題なのである。

突然の雨
突然の雨

テントで雨宿りしている日本選手の表情を見ていただくと、成績=表情として現れているので余計な説明は不用かも知れないが、選手達のひんしゅくを買うことを承知の上であえて発表させていただこう、大会1日目の、ライトバーミント、100ヤード競技での成績は、47位、上野選手、50位、不肖築地、53位、川村選手、55位、湖東選手、65位、平澤選手、71位、清水選手、78位宮川選手、この大会で宮川選手より以下の選手が居たかどうかについては彼の名誉のためにあえて言わない。

成績=表情
成績=表情

成績のふるわなかった我々は、その夜のデナーは海の上に建てられたシーフードレストランに突入、その夜はまるで優勝祝賀会のように盛り上がってしまった、なんせ全ての料金が日本の半額以下だったからである。

シーフードレストラン
シーフードレストラン

2日目、100ヤード、ヘビーバートライフル

ベンチレスト射撃の大会は、日本では1種目であるが、世界的には10.5ポンドのライトバーミントと13.5ポンドのヘビーバーミントクラスの2種目がある。
競技の内容は全く同じで、ヘビーバーミント競技の場合、少し重めの銃を使うことが出来るが重いからと特段有利と言うことはなく、私の感覚からすれば再度、勝負の士切り直しみたいな感覚でしかない、アメリカ国内の試合の場合なら、ほとんどの人が車で来るので何丁もの銃を持参してくるので問題ないが、こうした外国の大会に遠征試合するとなると、ほとんどの人が1丁の銃で2種目参加している。
勿論、私も1丁の銃で参加したのだが、K君の場合、ヘビーバーミント対応の銃身を持ち込んでいたので、それと銃身交換して大会に参加した。
ところが、この銃身交換が後にあって考えると命取りの結果になることになる。私は1射群であったが、風が強くて弾があちこちに振られた。
私の後はK君の番であった、大した風もなく撃ちやすい状態であったが、最後の4発目を撃ったときに火薬の圧力が高かったと見えて、雷管突破で、破片がボルトの中に入り撃針をスタッグしてしまった、最後の1発が撃てない・・・・・・・・・・
結果、時間切れでその回は1発撃たなかった分のペナルテーとして1インチが加算されてしまった、この1インチの加算はベンチレスト射撃では絶望的なペナルテーとなる、初回からK君は最下位にランキングされてしまった。
雷管突破が起きるのは色々な原因がある、初心者は激針が長いからと思いがちだが、撃針は幾ら長くても雷管突破は起きない、それはスプリングの強さを必要以上に強くしていないからである、撃針が規定上に出過ぎていても、スプリングの強さが規定以内で収まっていれば何の問題もない。これは銃器設計のイロハである、時折、別売りしている強いスプリングに交換する人もいるが、私から言わせると、これは結構リスキーな選択である、スプリングを強くしなければならないのは共産圏の雷管を使った時だけである、自由主義諸国の中で唯一だめなのがイタリアだが、イタリアは雷管を売っていないので心配ない、雷管で信頼できるのは、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本である。
話が横道に逸れて恐縮だが、私はトラップ射撃にはレミントン製の弾を使っているが、最近はイタリアで生産されるようになった、品質管理の技術者に聞いたら、全ての物はイタリアで調達しているが、雷管だけは日本製だそうである。
さて、話を元に戻そう、雷管突破のもう一つの原因は撃針の先端の傷にある、ここに目で見えないような微細な傷があると、何らかの理由でそこに雷管の真鍮が付着することがある、それが一定量を超えた瞬間、雷管突破が起きる。しかし、その衝撃で付着した真鍮は撃針から吹き飛んでしまうので原因は永久に解らないことになる。
私はアメリカでガンスミスの修業時代、撃針の先端はビカビカになるまでバフ研磨しろと厳しく言われた事を思い出した。
物理的現象だけでなく、気象条件によっても雷管突破は起きることがある、使用する銃身によっても火薬の圧力が変化する、たとえば銃身の公差は上と下とでそれぞれ5/100ミリ公差が認められている。同じ6ミリで作られている銃身でも100分の5ミリ口径が細い銃身もあれば100分の5ミリ口径が大きい銃身もある、それぞれの違いを考えると10分の1ミリになる、その違いは大きめの口径に合わせて作った限界ぎりぎりの弾の場合、口径の細い銃身で撃てばたちまち異常高圧が発生する。
もともと、ベンチレスト射撃ではローデングブックに書かれているマキシマムよりも多く火薬を入れるので、常時ホットロードで撃っている事を忘れてはいけない。
そのため、射撃場の条件により、気圧、外気温度、に応じてローデングデーターは微妙に変化する。別の射撃場で何の問題も無かった弾も、気圧の高いところでは弾に抵抗が生じる、温度が低いと空気は濃くなり、温度が高いと空気は薄くなる、勿論、標高差で空気の濃さが違うのは当然の事である。

当然、何の問題もなかったとして日本でローデングした弾を持ち込み、そのまま使うととんでもないアクシデントに見舞われることになる。そのためベンチレスト射撃では現場でリロードするのは大原則なのである、実際に撃ってホットロードだと感じたら火薬を減らすし、逆にスピードが足りないと感じたら火薬量を増やす臨機応変さが必要なのである。

リローデング
リローデング

ちなみにK君は2射群では頑張った、それでもやっと順位を一つ上げただけだった。順位は27位、28位の宮川さんと入れ替わった。
競技大会中、わずか1発でもおかしな弾を撃つと、天国から地獄へ直行することになる。
私は初回こそふるわなかったが、2射群、3射群、と撃ち込んでいく内に、3射群の結果はトップ20に食い込んだ、勿論多分にラッキーな結果ではあるが、瞬間的にせよ、世界大会で上位20位に食い込むことが出来たのは、私にすれば望外の結果である。
しかし、4射群では23位、最終の5射群では30位と順位を下げてきたが、これはプレッシャーとか、そういうたぐいの物ではなく、あえて言い訳を許していただけるなら、全てが風のせいなのであるが、しかし、泣き言になるのでこれ以上言うことは止める。
ヘビーバーミント、100ヤードの成績は、30位、不肖築地、65位、湖東選手、70位、清水選手、73位、上野選手、75位、川村選手、76位、平澤選手、78位、宮川選手である。

さあ、シーフードレストランに行くぞ!


3日目、ライトバーミント 200ヤード競技

何時の場面も私は最初の射群なので、朝、射撃場に到着するとあたふたと準備を進める、ニュージーランドの国旗掲揚の後、すぐに競技が開始される。
私は射座に入り、南無八幡大菩薩と心に念じ弾を放てばあやまたず、同弾、同弾、同弾、また同弾と、まるで講釈士の講談みたいに連続して同弾が続く、思いもしない間に5発の弾を撃ち尽くし、標的を見ると、驚くことに弾痕は1個しか見あたらない、ありがたや、かたじけなやと、柏手を打って東方に一礼する。
これは普段の善行の賜か、はたまた信心の賜か、遂に日本人としては前人未踏の快挙を成し遂げたりと、八百万の神に感謝しつつ静かに射座を降りる。

果たして結果をと、表示板に駆け寄ると、ななななんと、それがしが、なななななんと、3位にランキングされているではないか。
これは著者の私が驚くべき所ですが、どうか皆さんも私以上に驚いて下さい。これはあってはならないことなんですから。
あってはならないことが起きるのがベンチレスト射撃です。
私は、単なる一つの射群でしかありませんが、遂に日本人として初めてワールドカップで3位にランキングされたのであります。ところが冷静に考えると、最初の回はワームアップと言って、ベンチレスト射撃特有のお約束事で、ワームアップは成績の対象にはしないことになっているのである。

あっ、3位だっ
あっ、3位だっ

嘘だろ~って叫んでもむなしかった・・・・・・・・・・・
私は、これからの射撃の運を、いや、人生における全ての運をこの瞬間のために全て使い果たした。そう感じた・・・・・・・・・・・・
例えそれがワームアップであっても、私はワールドカップで、瞬間的かも知れないが、3位に入ることで人生における全ての持ち点を失ってしまった・・・・・・そう感じた・・・・・
事実、その後の5回の射撃で、最初の3発は文字通りの同弾で、後の1発、あるいは2発が、信じられない所に飛ばされると言うアクシデントに毎回見舞われた、風のせいとしか考えられないアクシデントなのだが、原因は今もわからない。
私は、未だに最初に自分の持っているラッキーポイントを全部使い切ってしまったためだと今でもそう信じている。
200ヤード、ライトバーミントの成績は以下の通りである。
39位、上野選手、41位、不肖築地、47位、平澤選手、48位、湖東選手、72位、川村選手、77位、清水選手、記録では78位、宮川選手となっているのだが、彼の名誉のために説明しておくと、彼はこの日は参加していないのである、この日の朝、大会が終わるまで帰らないと言い残して、ニュージーランドの何処かに旅立ってしまったからである、如何なる理由によって旅立ったか、私は知らない。

試合が終わって、我々日本選手団はネルソン市内のCUT(カット)と言うレストランになだれ込んだ。
さんざんワインを飲んで、ラムを食べて盛り上がっていたら、お店のお客が「これ、貴方達でしょう」と言って新聞を持ってきてくれた、新聞を見るとなんと! スポーツ紙の一面に我々の写真が出ているではないか! そういえば射撃場で、新聞社のカメラマンが色々と写真を撮っていた、(新聞取材)の画像を見て貰えば解るが、カメラマンが選手を撮影しているこの写真はオーストラリアの選手がベンチレスト射撃の世界新記録をマークしたので、その取材のための撮影である、当然にしてこちらの方がニュースとしての扱いは大きくなるのが当然なのに、世界新記録達成の記事は白黒写真で扱いも極端に小さい。

新聞取材
新聞取材

しかしながら紙面のトップを飾ったのは・・・・・・・・何と、我々だった。
カメラマンは会場で何十枚という数の写真を撮影していたが、他の写真は全部"没"扱いだったらしい。新聞社のデスクはどんな写真もあまりニュース性がないと感じたのだろう。

しかしながら、日本人がニュージーランドに来て射撃をする、それほど我々の事はニュース性が有ったと言うことである。日本人はゴルフとパチンコしかしないと外国では思われているのかも知れない。スポーツ紙の一面トップの扱いなので、ここニュージーランドでは、我々はイチロー並みの扱いである。

新聞に写真が!
新聞に写真が!

そういえば、前日、全ての選手が集まって射撃場の隣のゴルフクラブでパーテーが行われ、我々日本選手団は、フランス領ニューカレドニアの選手達と一緒に、わざわざ遠いところから来てくれてありがとうと言う事で、ニュージーランド射撃協会から記念品をいただいた、私はこの原稿を書くためにパーテーには欠席したが、日本でベンチレスト射撃をやっていると言うことは世界的な視点で見ると、なにやら大変な事をやっていると言う評価らしい。だんだんそういう事が見えてきた。
たとえば今日、会場でわざわざアメリカのトニー、ボイヤー選手が私の所に来て、ベンチレスト射撃で解らないことが有ったら、何でもEメールで聞いてくれて言って、名刺を渡してくれた、トニー、ボイヤーと言えば、この世界では伝説的な射手である。
しかし、決して愛想の良い方ではなく、日本選手の中には過去の大会で挨拶しても返事をして貰えなかったと言う射手も少なくない、到底ベンチレストの事を教えて下さい等と言える雰囲気ではない人なのである、それがわざわざ自分の名刺を持ってきて"何でも聞いてくれと"言われたときは、この人、愛想は悪いが、本当はいい人なのだなと思えた。
そして、アメリカで開催された第4回ワールドカップ大会参加から4年を経過して、やっと我々も世界で認知されたかと言う想いがよぎった。


大会4日目、200ヤード、ヘビーバーミント競技

大会がここまで進んで、我々日本チームは箸にも棒にもかからない状態でいる。こうなると楽しみはランチタイムと言うことになる。ランチには毎回色々な肉を焼いて、それでパンに入れてくれる、初日はビーフ、2日目はラム、3日目はチキン、4日目はポーク、と言う具合である、こちらで食べるラムは全く臭みがない、牛肉と間違いかねないおいしさである。大会のレポートを書いているのにこうしてランチの事を書かなければならないのは誠に残念ではあるが、唯一の朗報と言える出来事は、第1射群で、湖東選手が6位になったことである、いずれにしても私と同じであくまでも瞬間記録なので最終結果はいつものとおりとなる。そのいつもの結果は以下のとおりである。
48位、不肖築地、49位、湖東選手、58位、平澤選手、62位、上野選手、70位、川村選手、76位、清水選手。

ランチタイム
ランチタイム

大会5日目、200ヤード、ヘビーバーミント、10発競技

この試合は1個の的に5発撃つ競技ではなく、10発の弾を撃ち込んでそのグルーピングを競う、従って撃つ弾数が多く、射撃開始時間が30分早められた。

1射群、2射群、と撃っていく内に思いがけない奇跡が起こった、なんと、2射群で私がトップになったのである、読者の皆さんはすでに私が3位に入った時点で、強制的に驚いて貰いましたが、今回はもっと驚いてください!
瞬間的といえども、トップを極めたのです、その瞬間には確かに私は世界一になったのです。

遂にトップに
遂にトップに

何時の瞬間か解らないが、確かに、何かが私の頭の中でひらめいた。
長年考えていた難問が初めて解けた様な気がした。
それは、風の読み方である、今までは風を読もうとしていた、風を読むなんて人間の慢心以外の何物でもない。風を読むのでは無く、風に聞くことだ!
この事についてもう少し要点を詳しく説明しよう、この事こそベンチレスト射撃の秘伝とも言える、誰も教えてくれなかった事で、私自身、この事を理解するまで何年もの時間が過ぎてしまった。

射座
射座

射座に着いたら風の流れを確認し、今、吹いている風、あるいは自分の好きな風の時に試射的に1発撃ち込む、それが何処にあたってもかまわない、しかし、無風の時には必ず狙点に命中するように調整してある銃で有ることは絶対に必要な事である。
試射の弾が何処に当たってもかまわないので、風が変わらない内にそのまま本射に入る、風が変化しない間に出来るだけの弾を撃つ、しかし風の変化が起きない内に5発の弾を撃ち尽くすのは現実問題では出来ない、風は常に変化している。
風の強さが変わり、風の方向が変わったときは、直ちに試射に戻る。試射をしてその変移量を見る、風が変わらない間にその変移量を見越して狙点をずらして撃つ。
これだけである。これこそが秘伝である! 今までに技術書を見ると、この風の時にはこれくらい流される、如何に風を読むかと言うことが書かれていたが、風を読むなんてとんでもない事である。風に聞くこと。これが秘伝中の秘伝である。

ついでにもう少し補足すると、一定の風が吹いているときに、風が弱くなるときがある、つまり風が息をついて、この時はこれから風が変化しようとする時である、この瞬間には悪魔が住んでいる、この時に撃つと、狙いとおり命中することも有る変わりに、信じられないところに吹き飛ばされる事がある。
風が変わる瞬間は風旗では見えない風が何処かに潜んでいると考えた方がよい。

射座
射座

私は最終日の試合の2射群目でトップを引いた事は書いたが、実を言うと、次の回はさらに良いグルーピングを撃っていた。
10発競技であるが、5発よりいいグルーピングであった。このまま行けば前のシリーズよりもさらによくなる、またトップになれる、そう思った。
9発目を撃ち、最後の弾を撃つとき風は弱まり、無風に近い状態になった。風が変わる瞬間だ、本来ならばここで試射に戻るべき所だが、9発同弾を撃っていて、無風に近いので狙ったとおりに当たるはずである。それに、今の俺は"ツイテイル"そう思った。
その時、私の耳元で悪魔が囁いた、「そのまま撃っちゃいな!」
私は弾痕の真ん中を狙い、"タン"と軽い音を残して引き金から指を外した。
会心の射撃であった、完全に命中したと信じていた・・・・・・・・・・・
スコープを覗くと体が凍り付いた! 完全な同弾だと信じた的の、右2インチの所に小さな弾痕が見える、虫なら動いてくれて念じた、弾痕は動かなかった。
頭の中がホワイトアウトした!
風のせいであることは間違いないのに、見ると、風旗は動いていなかった。
風に聞けばよかった・・・・・・・
風を読んでやると思った自分がいけなかった・・・・・・

最終結果は29位に終わった。
しかし、私は試合で勝つことよりも多くの教訓を学んだ。
風を読んではいけない、風に聞くことだ。
そう思った瞬間、ネルソンの風が心地よく頬をすり抜けた。


追記

ネルソンでの最後の夜を我々はホテル内のスシバーで過ごしていた、そこに同じホテルに宿泊している、アメリカチームの選手が来た、手を上げて呼び寄せ隣の席に座ってもらい、色々と話が出来た。以下その要約です。
川村選手が、私はネックターニングの極限まで極めて千分の数ミリの精度を出しています、と言うことを通訳してくれと言ったが私は通訳をお断りした、何故なら、私自身は常々それが命中精度に関してそれ程は重要な要因ではないからと考えているからである、私自身の理論からすると納得していない。そのかわり別の言い方で聞いた、貴方達はネックターニングするときに、手でやっていますか、それとも電動工具を使っていますかと言う聞き方をした、機械でやると千分台の寸法までコントロール出来るが手の加工だとせいぜい100分台でしかないからである、答えは手でやっていますと言う答えである、つまり、ネックターニングはあまり重要視していないと言うことである。
逆に我々が聞かれた、貴方達は何回薬莢を使っていますか?
川村選手が答えた、15~20回です、アメリカチームの選手達は顔を見合わせ、r
両手を広げ、肩を持ち上げ、口をへの字に結んだ。アメリカ人がコメントしにくいときに見せる仕草である。
私が聞いた、「多いですか?」
アメリカ選手が答えた。多すぎる! それも異常に多すぎると!
アメリカ選手は言った、我々はせいぜい薬莢を使うのは2回だよと。
驚いた!意外な結果であった。千分の数ミリまでネックターニングを極めた、ネックターニングの巨匠、K君は驚きのあまり、血が逆流したかも知れない。
K君は薬莢を20回ぐらい使っているのでは無いだろうか。
それはネックテンションをいくら厳密に作っても、薬莢の使用回数が多いと、薬莢自体の材質が堅くなり、それにより、逆にネックテンションが変化するではないかと言うのが彼らの言い分である。
確かに、試合中にK君の薬莢はネックから切れ、残りが薬室に残り、次の弾が撃てない。時間が無い、K君はチャンバーブラシを取りに走る。何とか間に合ったが、薬莢が切れた瞬間は、K君の頭も切れたのでは無いかと思った。
いくらネックターニングの精度を競っても、日本で誰もネックの硬度に言及しないのは絶対におかしい、ネックターニングに関して神懸かり的な精度を求めての悪いことではないが、使用回数が増すごとに硬度が高くなる真鍮の特性を無視して、寸法精度だけを追いかけるのは意味がないと言う理論には返す言葉が無かった。
それと、貴方達はランドタッチしているのかと言う質問に対して、我々はランドタッチをしていないと答えると、ほんの僅かでもランドタッチした方が良いと言うアメリカチームの答えである。これも我々の常識と逆の考えだ!
その理由は、ネックターニングを幾ら正確にしても、使用回数が2回以上になると、薬莢のネックの堅さが堅くなり過ぎ、抜弾抵抗がバラバラになるとのことである。
それならばほんの僅か、ランドタッチさせた方が、抜弾抵抗はかえって安定しているとの話である。
つまり、ランドタッチの抵抗の方が大きいため、ネックターニングの誤差が有ってもうち消せると言う事である。つまりネックターニングの誤差など取るに足らないと言うことである。でも、と、私は食い下がった。ランドタッチさせると、何らかの理由で装弾を抜くときに弾頭が薬室に残り、火薬がこぼれて、その火薬が薬室や引き金に入り込み、撃てなくなるではないですかと聞いたら、弾頭を抜くときは銃口を上にして、ソーットボルトを引くと、火薬は一切こぼれないでエジェクション出来ると言われて、成る程と納得出来た、これこそ全くコロンブスの卵だと思った。
我々は、装弾を抜くときは必ず銃口は標的の方向に向けておくべき物と考えていたが、よく考えれば、ボルトアクションライフルの場合、ボルトを起こせば絶対に激発する訳が無く、その時点で銃口を上に向けてボルトを引けば、仮に弾頭がランドタッチして、弾頭が抜けても薬室に火薬をばらまくことは無い訳である。
今まで、なんで気付かなかったのだと思った!
これで我々の世界観が180度、急展開した。
明日から、ランドタッチOK、ネックターニングは重要で無いとの結論が出ました。
薬莢の使用回数はせいぜい2回です。
今まで私のHPを読んでいただいた皆さん、今日から頭のスイッチを切り替えて下さい。

"パチン" はい、私自身はOK、切り替え完了です!

今日から私、私、築地はベンチレスト射撃に関してのテクニカルな質問には、今までの定説と逆のことをお話しする事になりますが、これは私の頭の回線がおかしくなったからではありません。

ではネルソン市から"グッダイ"・・・・・・・・

ベンチレスト世界選手権にて
ベンチレスト世界選手権にて

更新 2001年11月13日

追記の記事中で、私は薬莢の使用回数はせいぜい2回と書きましたが、K教授から、アメリカの選手はそんなに沢山の薬莢を持ってきていなかった、また2回で廃棄しているのを見なかったと指摘を受けて、早速トニーボイヤーさんにメールを出して事実関係に付いて聞きましたところ、以下のような返事が来ました。

"アメリカの選手で2回しか薬莢を使わないと言う人は知らない、普通の射手は15回くらいは使う"

との返事を貰いました。従って薬莢を2回しか使わないと言ったアメリカの選手は、酒を飲んでいる場だったので、単なる冗談で言ったか、さもなければ、その選手だけが2回しか使わなかったと言うことでしかありません。

また2回しか使わないことで命中精度が向上するという合理的な理由もありません。

またランドタッチも、アメリカの選手が言ったからと言って必ずしも正しいと言うことにはなりません、アメリカでもランドタッチさせている選手もいればさせていない選手も居ます、私自身はランドタッチさせていませんし、これからもランドタッチさせないで使います、それはランドタッチさせない方が、より初速が出るからです。

カクタス シュート参戦記 (2001年)

2001年 3月31日 築地
更新 2001年 4月29日 築地

第1日目

なんと言うことだ! 3月18日の長瀞の大会では道路脇に残雪が残っていたと言うのに、翌々日の3月20日、ここアリゾナ州フェニックスでは季節はすっかり夏である。7月、8月、になり本当の夏が来ればここは灼熱地獄と化すのであろうが、今の季節は日本で言えば完全な初夏である。

コットンのワイシャツとカシミアセーター、その上にダウンジャケットを羽織ってきた私は汗だくで飛行機から降り立った。一刻の余裕もなくスカイハーバーエアーポート内のショッピングストアーで、$20程度の半袖シャツを買う。汗が止まらないのでシャツ1枚になり何とか体温を調整する。

いきなり初夏
いきなり初夏

私は海外に遠征するときは何時もゼロハリバートンのガンケースを使用している、他のメーカーのガンケースでは必ず何らかのトラブルに見舞われる、多くの場合銃床が折れたり、割れたりする事に遭遇する事になる、海外のハンテングに行かれる方は、必ずゼロハリバートンのガンケースを使用されるようお勧めしたい。

かなりタフなガンケースだが今回の遠征旅行ではついにハンドルが壊れてしまった、10年以上使ったガンケースだが、ゼロハリバートンといえどもハンドルはプラスチックなので、放り投げられて当たり所が悪いとこのように破損してしまう事もあり得るのである。

ハンドルが取れた・・・
ハンドルが取れた・・・

荷物を受け取り、日本で予約したレンタカーを借り受け、宿泊するプレミアインの場所を地図で探すが見あたらない、致し方なくハーツカスタマーセンターで聞くことにした。インターネットからダウンロードした地図を見せると、"お客さん、これはイリノイの地図ですぜ、ほらイリノイ大学から2時間とか書いてあるでしょう"と指摘され、ふらふらと放心状態で事務所を出た、そして私の体に冷や汗が流れた、こう言うのを文字通り鳥肌が立つと言うのであろう。ターク高野から教えてもらったプレミアインのアドレスは、フェニックスのプレミアインではなく、イリノイ州にあるプレミアインのアドレスだったのである。
これだけなら普通なら単なる笑い話で済ませられるが、この時に限りターク高野から、今のアリゾナは観光シーズンでホテルが混んでいるとアドヴァイスを受けていたので、わざわざカード番号を提示して予約したので間違いなくその日の4部屋分の宿泊代は私のカードから引き落とされて居ることになる。せめて引き落とされるのは今日の分だけで絶対に5泊分の宿泊代が引き落とされないことを密かに神に願う。こういう時はいきなり信心深くなる私だが、お彼岸に墓参りに行かなかった罰かもしれない。

不機嫌な私はみんなのドライバーをしながら"本当の"プレミアインにチェックインした、私の予想通りホテルは空いていた、要するに予約する必要は全く無かったのである。
初日から全くついていない、こんな事ではと大会の結果が頭をよぎるが、そうでは無く、これで悪い運を使い切ったと考えるべきかも知れない。残りは良い運だけだと考えるべきかも知れない。ターク高野に教えてもらったプレミアインのアドレスはwww.premiain.com だがこれだとイリノイのプレミアインに飛んでしまう、アリゾナのプレミアインは www.premiainns.com と最後にSが付くのである(さらに困ったことにこのアドレスでは何故か接続できない)。Sが付くかどうかだけで私は数百と言う単位の$を無駄にしてしまった。

不機嫌な私
不機嫌な私

ターク高野から連絡があり、7時にロビーで待ち合わせる。
ご近所のステーキ屋で再会を祝しバドワイザーで祝杯を上げ、そしてTボーンステーキをたいらげる、日本からここまで、飛行機で13時間かかるが、ターク高野の場合はテキサスからなので車で17時間ドライブして来たそうである。日本から行く場合、飛行機で一寝入りして起きたらアメリカという感覚なので疲労感はほとんどない、特に最近の私は修行中の時代からすると、かなりお気楽なぬるま湯人生なので飛行機もほとんどがビジネスかファーストである、このクラスだと本当に寝てこられる。感覚的には東京から横浜に行く程度の感覚である。射撃に関して寝不足が射撃結果にどういう影響を与えるかについて海兵隊で実験した事があるとタークが話してくれた、海兵隊員のチームを2つに分けて片一方は充分な睡眠をとらせ、片一方は睡眠不足の状態で射撃をやらせた結果、睡眠不足のチームの方が明らかに射撃の成績がよかったそうである。射撃の場合必ずしも最良の体調が最高の成績を出す訳ではないらしい、体調のいい私にはまた不安が横切った。

ターク高野はパソコン持参で来ていたが、何でも新しい弾道計算ソフトで色々な実験をしている最中との事であった、この新しい弾道計算ソフトだと、湿度、気圧、風向、射撃角度、高度差、外気温度まで演算の対象とするそうである、タークの話では中でも湿度は如実に弾道に影響を与えるとの話である、湿度が低いと初速は早くなる、湿度が高いと弾頭の飛翔に抵抗が出て初速が低下するそうである。勘違いしもらいたくないのだが、湿度が火薬に影響を及ぼすのではない、弾丸が飛翔するときに外気の中での抵抗値が変化するのである、乾燥したところでローデングしたからと言って湿度の高いところで撃つと外気の影響を受けるのである、ビギナーの中にはローデングする時に、乾燥機を使ったりエアーコンを使ったりして同じコンデションでローデングする事に心がけている人も居るが、これは全く無駄な努力である。ローデングの状況ではなく、射撃する外気の条件で弾道が変化することを理解しておいてほしい。
同じような気候のテキサスとアリゾナですら微妙に違うのだから、残雪の残る長瀞射撃場でいくら当たっても、アリゾナでは我々がへろへろになるのはそうした気象条件を計算しないで何時も単一条件で弾を作って居るからである、一般論として高い命中精度を得るためには通常のマキシマムロードを越えないと最高の命中精度を得ることが出来ないが、残雪の残る長瀞で当たるような弾は、ここ初夏のフェニックスでは明らかにホットロードになる、初速が上がりすぎるために、逆に命中精度が悪くなる事になるのである。
それが外気温度だけでなく、湿度と気圧が微妙に影響してくるので実際に撃たないと最高のローデングが把握できないのである。日本では命中精度を調べるために弾速計算機でテストする人も少なくないが、アメリカでは初速を計る人は全く居ない、それは特定の初速が必ずしもその場所でも最高の命中精度を約束している訳では無いからである。
 北のクリーブランドでは初速****が最高に当たっても、初夏のフェニックスでは初速****が最高の命中精度を示すからである。しかもその場所で気圧と湿度がお互い影響してくれば最高の命中精度の初速が微妙に変化するので現場で初速を計測してもあまり意味のないことになってしまうからである。
それと初速が安定している事と、命中精度とはあまり因果関係はない、"何!"と物理学の先生からクレームが付きそうだが、物理学の法則で考えると初速のばらつきが無ければ弾頭の落下率が変化しないと考えるのが常識だが、6ミリ口径の場合、3300フィートでも3250フィートでも弾着にはほとんど変化がない、しかし初速の遅い2800フィートと、2850フィートでは同じ50フィートの差でも着弾に大きな変化が現れる、低速の弾頭ほど初速の変化が如実に着弾に現れる。我々が初速を極限まで上げるのはまさしくその変化の少ない着弾を求めているからである。物理学ではなく我々は体験的にそうなることを知っているからである。私は現場で弾を作りながら色々テストしてみるつもりであるが、どのようなアレンジにするかは現在のところ試行錯誤と言うことになる。

3月21日午前2時、アリゾナ州フェニックス 本当のプレミアインにて。


第2日目

砂漠の朝はいきなり明るくなる、都会の夜明けみたいに空が白んで朝日がビルの隙間から差してきて、等と言うプロセスを踏まずいきなり強烈な日差しを浴びせられる。

射撃場はホテルから30分くらいの所にある ベン アレー シューテングレンジと言うところが会場である、4年前ベンチレスト射撃のワールドカップで初参加したのがこの射撃場だった、射撃場のゲートをくぐり、しばらく走ると大きな射撃場に出る、ベンチレスト射撃場と書いてある、4年前に大会で初めてここに来たときは、てっきりここが大会会場だと考えて周りをみると誰もいないことに気づき一瞬頭が白くなった。初めての射手を連れてくるとほとんどの人が"やっと着いた"と言う感想を漏らす。しかし、ここの射撃場の偉大なことは、ベンチレスト射撃場がここだけでは無いと言うことである、この射撃場を横目にみながらさらに車を進めると、ピストル射撃場がある、これをすぎるとポジションシューテングが開催される、射撃場に出る、そこを曲がりさらに進むと多くのキャンピングカーが駐車しているもう一つのベンチレスト射撃場に出る、ここが会場なのである。

射場内の道
射場内の道
射撃場に到着
射撃場に到着
ベンチレスト射撃場
ベンチレスト射撃場

日本にあるクレー射撃場などは100も200も入る膨大な敷地なのである。
ここの射撃場だけに限ったことではないがアメリカの射撃場の多くは全ての射台にコンクリート製のベンチが常設してあることである、それに射台の後ろに弾を作るためのリローデングのスペースが設けられている事である。ベンチレスト射撃はリロードしながら撃つと言うことが大原則なのである。

日本選手のリローディング
日本選手のリローディング
リロード開始
リロード開始

つまり気象条件で命中精度は微妙に変化するという何よりの証明ともいえる。
私は日本から50発程度の弾を持参していた、これで大会に出ようと言うわけではない、日本でローデングした弾がここではどのように変化するかをチェックするためである。
ベンチの上にレストを置き、その上に銃を乗せる、レストの高さを微調整して標的に照準を合わす、写真は秋田から参加された加藤選手である、ちょうどスピードスクリューを調整している所だが、このねじを締めたりゆるめたりする事によりレストの後ろ足の高さを調整する、そうすると銃が微妙に上下する事になる、極めて小さな微調整が可能になる、100メートルで1ミリ程度の調整が可能である。

照準調整
照準調整

ベンチレスト射撃の標的は極めて小さい、100メートルでのグルーピングが5ミリ以下でないと勝負にならない世界である、これ以上のグルーピングを出していると完全に番外と言う感じになる。ベンチレスト射撃を見ると多くの人が銃を台の上に乗せてスコープで狙うのなら簡単ですねと感想を漏らされる、その通りだと思うが問題は競争しているレベルの問題である、ミリ単位の勝負なので、射撃の知識だけでなく、火薬、弾頭、薬莢、気象条件、そうした多くの知識を要求されることなのである、そして最大の問題はそれらがどのように関係しあっているのか、ほとんど書籍が無いことなのである、したがった知識の吸収のためにはこうした大会に参加して、多くの射手がどのようなコンポーネントを使い、どのような手法でリロードしているのかを実践的に学ぶ必要があるのである。
厳冬の長瀞用に作った弾で早速試射をする、着弾は数ミリ上に着弾したが明らかに初速が上がっているのを反動で感じることが出来る、長年射撃をしていると1発撃っただけで初速がどのくらい出ているかを体感できる、初速と反動は正確に比例するからである。

射座をみる
射座をみる

ボルトを開けようとしたら、ハンドルが堅い、かなり圧力が上がっていることの証明である、火薬の圧力が適正かどうかより、当たるか当たらないかが最大の関心事なので50発の弾を全部撃ちつくし、命中精度をチェックする、長瀞の時より命中精度が落ちている、しかし劇的な低下ではなく数ミリグルーピングが悪い程度である。
火薬量をぐっと減らして適正な火薬の圧力にして再度テストを試みる。
命中精度はさらに悪化する、逆にまた火薬量を増やしてみる、日本から持ってきた弾と、減量してテストした今の弾と中間の火薬量である。
ここの会場では火薬量を何グレインチャージしているか以外と誰も秤を使用していない、どの種類の火薬を薬莢のどこの部分までチャージするかでローデングの目安としている。
ターク高野に、厳寒の長瀞用に作った弾を、初夏のアリゾナで使ったのに思ったほど圧力の上昇が起きなかったと説明したら、ここは湿度が高いので意外と圧力が上がらないと言うことである、テキサスのミッドランドあたりだと湿度が少ないのでアリゾナ最適な弾はテキサスでは雷管突破すると言うことである。

私は何時もベンチレスト大会では会場でリロードしているが、今年からは参加した日本選手団も現場でリロードを体験する事になった、日本射撃場では射撃場でリロードする環境が整っていない、多くの射撃場でリロードを禁止している有様である、管理者は危険性を感じて禁止しているのであろうが、リローデングが危険な訳はない、リロードが危険と言うのなら弾を持参していることも充分同じ程度の危険性がある、多くの射手がこうした環境に育っているため射撃場でリロードする事に今までは違和感があったのだと思う。

川村さんの簡易プレス
川村さんの簡易プレス

ここで実際のリローデングについて説明しておこう、多くの人がリローデングにはリローデングセットを購入し、自宅でリロードしていると思うが、会場にそんな大がかりなキットを持ち込むわけでは無い、会場で使われるのはアーバープレスキットと呼ばれる簡易リロードセットである、簡易といってもこの方法が一番命中精度が出ると言われている、但しベンチレスト射撃ではマグナム口径の銃など使う訳がないので、薬莢のフルレングスリサイズをしないと言うことが条件である。30口径以上の薬莢をフルレングスするにはアーバーフレスでは強度不足である。従って使用する薬莢は6ミリPPC等の小さな弾が主体となる。使用するのはアーバープレスト言う簡易プレスである、使用するダイスはウイルソン社のダイスである、昔ハンマーで成型する為に作られた簡易ダイスだが現在では一番精度の高いダイスとして考えられている。

最近流行の簡易プレス
最近流行の簡易プレス
ダイスセット
ダイスセット

ダイスの中に薬莢を入れてアーバープレスで圧入してネックのサイズを成型する、薬莢全体の成型はしない、成型するのはネックの部分だけである、ネックを成型しないと薬莢が弾頭を保持できないからである。
このネックの成型も5/1000ミリ単位で色々なサイズのネックブッシングがあり、使用する薬莢に最適のブッシングを装着して自分専用のダイスに作り上げている。
成型した薬莢に雷管を取り付ける、次に火薬を装填する、火薬の誤差は0.5グレイン以下なら無視してかまわない、なぜなら0.5グレイン以下の誤差は弾着に影響を及ぼさないからである、色々な会社から、火薬量を微妙に装填できる物が販売されている、RCBS社のパウダートリックラーなどもその一種である、これらの道具は本来無用の長物である、こんな物を使ってローデングしていたのでは時間がかかってしょうがない。

雷管装着
雷管装着
火薬を装填
火薬を装填

シーテングダイスの中に薬莢を入れて、上から弾頭を入れる、そして弾頭を規定の深さにシーテングするのである、弾頭シーテングの深さは多くのベンチレストシューターが気にしている事である、シーテングの深さはライフリングにタッチする寸前にセットする、いわゆるランドタッチした場合、何らかの理由で実包を出さなければならないとき、弾頭がライフリングに食い込んでいると、弾頭を銃身の中に残して来てしまうからである。こうなると火薬がそこら中にこぼれ、完全に清掃しないと2度と装填出来なくなってしまうからである。私も前回の大会ではこのミスを犯してしまい、最後の2発を撃つことが出来ず。苦杯をなめた、さてここまで原稿を書くと時間はすでに午前3時を過ぎてしまった、今日の大会は6時集合、7時開始である。そろそろシャワーを浴びて気合いを入れる時間である。では試合の準備を始めます。

弾頭を入れる
弾頭を入れる
弾頭を入れる
弾頭を入れる
弾頭シーテング
弾頭シーテング
3月22日、午前3時、アリゾナ州フェニックスにて
3月22日、午前3時、アリゾナ州フェニックスにて

第3日目


試合の第1日目、第1射群(リレイ1)はどうした訳か完全な無風状態のスタートとなった。
ベンチレスト射撃では如何に風を読むかで勝負の大半が決まると言っても過言ではない。
多くの人は、無風状態で撃つのが最高の条件だと思うだろうが、無風状態の場合は目に見えない風が存在する、風旗は動かなくても空気の流れは存在する、これに影響されると弾頭は上下にずれて着弾する、左右に散る事は少ない、弾頭が上にずれるか下にずれるか、あるいは全くずれないか、これは撃ってみるまで解らない、従って無風状態は必ずしも最良のコンデションでは無いのである。
最良のコンデションとは左右いずれかから、弱い風が均等に吹いている状態である、風が吹いてさえいれば澱んだ空気の流れは無くなる、しかしながら、射座から標的までの間を均等な風が吹くと現実問題として起こり得ないが、少なくともこれが命中精度から言ったら一番望ましい気象条件である。
ベンチレスト射撃競技の方法であるが、無制限の試射の外、5発ずつの本射を5回行い、一番離れた弾着の距離を計測し、全ての射撃の平均数値が一番少ない物が優勝する。

射撃準備
射撃準備
射撃準備完了
射撃準備完了

今回の大会は200名の選手が全米から参加している、その中で我々の成績はその中間くらいから下に位置している、長瀞では5発グルーピングが3ミリ程度だが、ここで撃つと10ミリのグルーピングを出すのも容易な事ではない。風の中の射撃がこんなにも難しい物だとは参加した選手の偽る感想であろう、実際問題ここの射撃場のような自然条件の中にある射撃場日本では皆無である、どこの射撃場でも総理府令の設置条項のため射撃場は四方に囲いがあり、ここの射撃場みたいに砂漠の中で遮蔽物が全く無い射撃場で撃つことを我々は日本では経験したことが無い。アメリカの雑誌で公表される記録だけを見て判断していたのでは全く異なる状況での射撃に多くの選手が当惑している。

パルマ大会の会場
パルマ大会の会場

早い話が日本の記録がここで出せれば間違いなく優勝できる、しかしながらほとんどの日本選手は上位に食い込むことはほぼ絶望的な状況にある。なんと言っても風と陽炎を読むことを知らない。これが致命的な欠点である。
試合の標的は計測の終わった物から標的ボードに掲示される、画像は大会をサポートしてくれている少年の写真だが、この様に大会では家族ぐるみでサポートしてくれる会員に支えられている。

サポート少年 標的開示
サポート少年 標的開示
成績発表
成績発表

また大会の会場にはベンチレスト射撃関連の用品を取り扱っている仮設店が開店していてい色々な物を販売している、我々日本選手団は普段から、通産省の決めた訳の分からない法律のおかげで我々が必要とする品物は個人使用の物でもほとんどが輸入制限をされるため自由に輸入する事が出来ない、従ってこの大会で必要な弾頭やコンポーネントを調達する事になる。そんな訳で多くの日本選手が、射撃よりもお買い物ですっかり有名になっている、これらの業者にとっては日本人は最高のお客様と言うことになっている。

仮設店舗
仮設店舗
移動仮設店舗
移動仮設店舗
弾頭とダイス
弾頭とダイス
銃身
銃身

我々日本選手の大会成績はアメリカ選手の中では平均以下であるが秋田県から参加した加藤選手の標的の中に光る1枚がありましたので紹介しておきます。

加藤選手の標的
加藤選手の標的

ここのベンチレスト射撃場の隣が600ヤードのメタリック標的の射撃場、その隣の射撃場がポジションシューテングの射撃場、ここでは革コートを着て射撃する選手を見かける事がある、今ですら半袖で快適なここアリゾナで、7月8月の猛暑時に革コートを着てここの屋根なし射撃場で射撃をしたら、自殺行為に等しい、事実今の季節は快適だが真夏は射撃をする人が居ないそうである、日陰は何とか過ごせるが、日の当たる所に出たら大変な事になるそうである。

3月24日、冷房の利いたプレミアイン、夕暮れ前の静かに時に。
3月24日、冷房の利いたプレミアイン、夕暮れ前の静かに時に。

第4日目

第4日目は200ヤードの射撃である、この日から日本選手団には種々の災難を体験をする事になる、最初にトラブルに会ったのは湖東選手である、100ヤードで照準調整した銃でリューポルドの36倍スコープを使うときは5クリック上げれば200ヤードの正照準になる、全ての日本選手団はその5クリックUPの照準で全員がびしゃり照準調整を合わせた、しかし湖東さんの照準は5クリック上げても標的に着弾しない、元々ベンチレスト射撃の標的は極めて小さいので標的上に弾痕が認められないと照準調整がほとんど不可能になる。最初の射群で照準調整が出来なかったため、ターク高野のアドヴァイスで照準調整用の大きな標的に撃ち込んで何とか照準調整をすることが出来た、しかし、照準の狂いは5クリックどころではなくクリックノブを2回転回したと言うのであるから通常の5倍もクリックを回した事になる、湖東さんの銃に何か異常な事態が起こっていると感じざるを得なかった、最もその前は湖東さんの銃は標的上の弾痕が2カ所に集中するという異常現象が起こっていた、弾痕が2カ所のに集まると言う現象はスコープのリチクルが故障した場合に起きる事がある。また火薬のマッチングが出来ていないと起きることもある。私はそのいずれかの原因ではないかと推測したのであるが、湖東さんが何気なく銃身をさわり、銃身の取り付けねじがゆるんでいることに気づいた、本来銃身は機関部に堅くねじ込まれて居るのであるがベンチレスト用の銃は銃身交換を前提としているので通常の銃よりは銃身は堅くねじ込まれていない、そのため航空機の振動、あるいは運送途中の車の振動で機関部と銃身の止めねじがゆるんで居たらしい、ねじを締め直して最照準したら、いずれの問題も全て解決した、但し、競技の半分はすでに終了していたので成績の回復は望めなかったが本来は棄権すべき所を最後まで競技を終了されたことは特筆に値する行為である。
この射撃場に来て初めて体験した事だが、砂漠の朝は寒い、しかし太陽が昇った瞬間から気温はどんどん上昇して大地もどんどん熱せられてくる、そうすると地表から陽炎が上り、標的の番号も、標的に描かれた同心円の丸も全く見えなくなるのである、標的の横に平行な筋が何本も横に引かれた板が掲示してあるのだが、これはミラージュボードと言うのだそうであるが、実際にライフルスコープから覗くとこれの横棒がぐじゃぐじゃに曲がって見える、また困ったことに陽炎が発生すると標的の実際にあるところより、上に標的の虚像が出来る。これだけならまだしも、これに横風が吹き込んできて弾痕を風の力で編流させる、風が吹くと陽炎は流されると考えていたが、いくら強風が吹いても陽炎が減少する事はない。風と陽炎が発生すると弾着はとんでもないところに着弾するようになる。
恥を忍んで私の恥ずかしい写真を公開するが、この標的は同じ照準で射撃した結果の標的である、馬鹿で無ければこんなに大外しするわけがないが、風の力でこの様に編流されているのである、上下ずれているのは陽炎の影響かも知れない。

こんなに自然の影響を受ける射撃場は日本ではほとんど存在しない。アメリカに来てつくづく知らされるのは自然の力侮るべからずである。ベンチレスト射撃は風の流れと陽炎の状況を見極めてそのずれを"予測"した行う射撃でとても世間一般の皆さんが考えるようなお気楽な射撃では無いのである。ポジションシューテングの世界でどれほどの人が風の編流や陽炎対策を考えているのだろうか、私の経験ではほとんど居ないはずである。逆の言い方をすれば、そうした現象を無視してもポジションシューテングは何とかなる世界なのかも知れない。ポジションシューテングお世界の人から見ると台の上に銃を乗せてライフルスコープを使って撃つと言うことはお気楽な世界に見えるかも知れないが、それはそれでまた奥の深い大変な世界なのである。

ベンチレストと銃の間には銃の滑りを良くするためベービーパウダーを振っておく。
これは銃の反動を力で押さえ込むのではなく、銃の自然な反動を阻害しない方が結果的に命中精度によい影響を与えると言うことを体験的に学んでいるからである。

パウダーまみれ
パウダーまみれ

銃の反動を出来るだけ自然な状態で受け流す方法をフルーリコイルと言う、グリップなどは握っていないに等しい、反動を受け止める射撃方法をホールデングというが、この射撃方法を採用している人も少なくない、いずれも優劣つけがたいようである。

大会の参加者は我々大人だけではない、写真の少年も親の引率で大会に参加しているのである。この様な光景はほほえましい光景であるが事故などが起きることは皆無である、しかしながら日本の現状ではこうのような事は考えられない、日本の役人は国民に対してお節介を焼きすぎる、それが国民の為を考えているのならまだ納得出来るが行政の多くが自分たちの仕事を作るためにやっているとしか考えられないし国民性悪説に基づいて行政や立法をしていると言うのは私の言い過ぎだろうか?

こんな坊やも・・・
こんな坊やも・・・

試合の最中加藤選手が一時的な銃器故障で最後の数発の射撃が出来ずに困惑していたときは隣の優勝候補の射手が自分の銃を差し出し、これを使えと言って弾と一緒によこした事があったが、加藤選手はそれを使って射撃をし、かろうじて棄権をせずにすんだ事がある、選手の機転により取られた処置であるが、日本では恐らく考えられない行為であろう、日本では銃の貸し借りが禁止されて居るが、銃刀法は第1条の規定にあるとおり、危害予防と安全の為にこの法律が施行されているのであるが、所持許可を持っている者同士が銃の貸し借りをして、この危害予防と安全に著しい問題があるとはとうてい思えない、
他人の銃を使うから著しく危険性が多くなると言うのなら、レンタカーを使うと事故が起きるというのと同じ発想では無いかと思えてしまう。
役人に愚痴を言っても始まらないが、むしろこれらの法改正の説明があったときに、断固として抵抗しなかった業界および団体の非力さに私は憤りすら感じる。
馬鹿な役人を持つと国民が迷惑し、馬鹿な先輩方を持つと後輩が迷惑を被る。

大会の会場では色々な出店があるが、ハンドロードを前提としている我々ベンチレストシューターに取って、今まで日本に輸入されたと事のない火薬をテスト出来るのも大会の楽しみの一つである、今まで日本に輸入されていない火薬の一つにヴィタバリ、N133がある、アメリカでは多くの射手に使われているが、その火薬の特性については全く情報が無かったのであるが、今回の大会参加中使用することが出来た。

新しい火薬と雷管
新しい火薬と雷管

燃焼特性はH322よりも早く、IMR4198より遅い燃焼速度を持つ、CCIの雷管もベンチレストシューター達に評判のよい雷管であるが、使ってみた感想はいずれも大差ないと言うのが実感である。大差ないと言うことが解っただけでも進歩と言うものであろう。大会の会場には色々新しいコンポーネントが登場してきている、新型のベンチレストはジョイステックタイプと呼ばれるレストで、このジョイステックを上下左右に動かすとレストの部分が微細に上下左右に移動するのである、つまり風の流れ、陽炎の状況に応じて銃を微細に上下左右に調整して撃つための物である。

新型ベンチ
新型ベンチ
微調整ウインデージ
微調整ウインデージ

また最近の新製品はレストの上部だけを微細に左右に動かす物も出てきた、油圧かメカニカルかは不明だが、ダイヤルを動かすとレストの上部が微細に左右に動く、これで風の編流を予測してあらかじめ銃を少しずらして狙いを付けて風の編流分を計算に入れて射撃するための道具である。我々がこうした世界的な射撃大会に参加しなければ解らなかった新しい技術の多くを学び取ることが出来た。

私の恥ずかしい結果
私の恥ずかしい結果

3月25日朝8時、フェニックス、ベンアレー射撃場車中にて銃声を聞きながら。


第5日目

200ヤードの最終日である、この日は朝から非常に気象条件の良い日である、ほとんど無風、有っても微風のさわやかな風が射場を吹き抜ける。今朝は射撃場に通じるインターステイツフリーウエイ、17番が6時から工事で閉鎖になるため早朝5時起きで射撃場に駆けつける、そのため射撃場の設置風景を写真に納めた。

標的の設置
標的の設置
標的から射座を見る
標的から射座を見る

標的の両側には平行線を何本も引いたミラージュボードと言う物がある、射座から見るとこれが陽炎が立つとぐじゃぐじゃにゆがんで見える、陽炎を見やすくするためのボードである、ベテランの射手になるとこのミラージュボードを見て撃つところを修正すると言う訳である。
ベンチレスト射撃では1個の的に5発の弾を撃ち込むので、多くの場合が同弾になる、100%がファエアープレイをしてくれれば問題ないのだが、中には4発しか撃たないで5発撃ったことにしようなどとよからぬ事を考える射手がいないとも限らない、悪意が無くても犯しやすいのが、圏的間誤射である、特にミラージュの発生しているときは像が揺らいで自分の標的番号を視認知ることは出来ない、そのため誤射が出やすい、実を言うと私もこの大会で1発誤射をしてしまった、こうした誤射をしたときに、どこの射座から撃ち込まれた誤射か、を判断するために本標的の後ろにバックターゲットを設置している。
本標的とバックターゲットを重ね合わせると誤射の場合は1発だけ極端にずれているのが見つかる。5発の射撃に対して4発しか撃ち込まなかった場合はどうなるかと言うと、バックターゲットには4発の弾痕しか無いから明瞭に判断出来る。
本標的5発の弾を撃ち込んで完全な同一弾痕が出たとしよう、本標的の後ろにはネットが張ってあり、これが電動で常時動いている、本標的の全く同じ場所に弾が集中したとしても、必ずネットの影響で弾道が少し曲げられ、バックターゲット上には同一弾痕として残らない、そのためバックターゲットを見ると、5発の弾痕が残るのである。
今日の大会では風があまり無かったので、思いの外我々以外の射手は成績がよかった。

泣きの1発と言う標的が多発したのでその一部をご紹介しよう、4発の弾痕はほぼワンホールになっており、1発だけが外れたため泣きの1発と呼んでいる標的である、この1発がなきゃ、射手の嘆きが聞こえる標的である、しかし、この手の標的は掲示して有るだけで何枚もある、これは単に射手が動揺したとか、風の影響だったとか言うたぐいの物ではなく、ベンチレスト射撃では5発の内1発が極端に外れると言う現象も必ず体験する、これは当たる弾は逆に外れやすい要素もっていること、あるいは火薬がマッチングしていない。等々色々な原因が言われているが、これこそ正解と言う絶対的な回答は出ていないのが現状である。

泣きの1発 ①
泣きの1発 ①
泣きの1発 ②
泣きの1発 ②
泣きの1発 ③
泣きの1発 ③

しかし日本の射手が泣きの1発の事をくどくど言うのはいただけない、ここの大会では多数泣きの1発が出ている、そして本当に当たった物だけがにこにこマークを標的に審査委員から書き込んで貰える、"大変よくできました"と言うマークらしい。

ニコニコマーク
ニコニコマーク

我々日本人のレベルと比較すると、アメリカのベンチレストシューターのレベルは極めて高い、どこが違うのかよくわからない、使用銃、弾頭、火薬、雷管、薬莢、ほとんど優劣が無いはずだが唯一違うところは、5発の射を撃ち終わった後は必ず銃口内のクリーニングを欠かさない、銅ブラシを通したあと、パッチを20~30回も通している、クリーニングをした後のパッチの数を見てもらいたい、こんなにパッチが落ちていると言うことは相当回数パッチを通したはずである。これが命中精度の秘訣なのか私には断言できないが効果は有るのかも知れない。

パッチの山
パッチの山

ベンチレスト射撃場のとなりから、タ、タ、タ、タ、タ、と拳銃の連続音がしているのでちょっと覗いてみると、こちらも射撃大会の最中である。
今日の最終日を迎え、隣の作業台で仲良くしていただいたヘルマンさんと握手をしてお別れすると心地よいアリゾナの風が頬を吹き抜けた。

ハンドガン射撃大会
ハンドガン射撃大会
隣のヘルマンさん
隣のヘルマンさん

夜になるとターク高野が最後の夜なのでと言うことで我々をデナーに招待してくれた、我々は食事とワインをとりながらいつもながらの銃器論に話が弾む、スナイパーライフル、ミリタリーライフル、勿論ベンチレストライフルの話にも及ぶ、ある会社が300WSMを使ったスナイパーライフルをある政府機関に売却すると言う未確認情報も得ることが出来た。我々の中では一番最年少の川村さんが実は多種多芸の人で空手は初段だと聞かされた、ターク高野は今年で57歳になる、常識的に言えば筋肉の力も落ちて来ている年齢である、川村さんはターク高野に"私は今まで腕相撲で負けたことが無い"とまでタークに言い切ってしまった、その瞬間、誇り高い元空挺隊員の目がきらりと光った、"川村さんに負けたら射撃をやめます"ターク高野が切り返す、なかなかおもしろい展開になってきた。(ワクワク) ターク高野の30年以上にも及ぶ射撃人生に終焉かけて川村さんの部屋に行きタークと川村さんが腕相撲対決することになる、川村さんはパンツ一つになり気合いを入れる、タークはいつものように平然と構えている、1,2,3,でスタート、結果、5秒で勝負が付いた。
ターク高野は言った、腕を巻き込まなければもう少し早く勝てると、で、腕を巻き込んで良いと言う条件で再勝負である、今度は2秒でけりが付いた、ターク高野はこれからも射撃を継続する事になった。

今回の射撃で色々我々のために親身になりお世話をし、川村さんの鼻柱を折ってくれた私の30年来の友人、ターク高野に感謝の言葉を述べ、このレポートを終わります。
最後まで私の駄文におつきあいいただきありがとうございました。

ターク高野氏と
ターク高野氏と

3月27日、ユナイテッド航空897便機内にて。    
日本ベンチレスト射撃協会 築地恵


更新 2001年 4月29日

私のカクタスシュートレポートを読んだ方からのメッセージです、追記しますので参考にしてください。 

カクタスシュート大会のレポートを大変楽しく読ませていただきました。
 その中で、いくつか気がついたことがありましたので、一応ご報告させていただきます。

 ①フィンランドのビサボリパウダー
このパウダーは今まで日本への船便ルートが確立されていなかったため輸入できなかったそうでしたが、現在、国友さんがアメリカ経由での輸入ルートを探しているそうです。近年中に、日本においても入手が可能になりそうです。詳細については国友さんへお問い合わせください。

 ②リローディング時の湿度
   これにつきましては少々物申したいことがあります。ですが、決して築地さんへの反論ではないので怒らないでください。この件については、あくまでも"22ロングライフル弾"を使用した"ポジション シューティング"に限り通用することだと思います。
   根拠1)
イギリス エレー社ではテネックス、エクストラマッチプラスを製造する際には、工場内を何十時間もかけて「大除湿」を行ってから、機械を動かし始めるそうです。そうしないと良い弾ができないそうです。従って、エアコンで除湿してから弾を作るということは、あながちウソではないと思われます。
   根拠2)
10年程前、伊勢原に中国のピストルナショナルチームのコーチが来日したときの話によると「湿度が高い状態で、弾を続けて発射すると、銃身の命中精度が落ちてくる」とのことでした。また、「乾燥した状態では3P-120を一度もクリーニングなしで撃ち続けてもかまわないが、雨が降っているとき(湿度の高いとき)は1回くらいクリーニングを行ったほうが良いかもしれない」とも言っていました。ただし、何発ぐらいで精度が落ちるのかは各銃身によってマチマチだそうです。ちなみにこの結果は、銃)アンシュッツ 弾)エレーテネックスによって出されたものだそうです。

カクタス シュート参戦記 (2000年)

2000年 3月11日 築地
改訂 2000年 3月13日 築地

アイ、ガット、トップ、トウエニー

アメリカから帰国したばかりなので、少しばかり英語圏の雰囲気でタイトルを付けました、日本語式に言えば、TOP20をゲット! てな感じでしょうか。

ベンチレストのアメリカ遠征はこれで3回目なので多少は状況も理解できるようになりました、特にフェニックスのベンアレー射撃場はワールドカップに次いで2回目の場所なのでここの射撃場の風の性質については他の日本チームのメンバー達よりは多少は理解出来ていると思います。勿論現地のシューターには全く及びませんが。

星条旗
星条旗
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)

私の射座の隣は、ベンチレスト射撃の殿堂入りを果たしているレスター、ブルーノでした、彼はここが地元でここの射撃場に精通している射手なのですが、以外と私の方が良く当たっていたように見受けました。ベンチレスト射撃の場合36倍のスコープで狙っているので、すぐ隣の標的は簡単に視野に入るからです。

射座周辺
射座周辺
射座周辺
射座周辺
射座
射座
射座(湖東さん)
射座(湖東さん)
射座
射座
射座(加藤さん)
射座(加藤さん)

私の銃身は6ミリPPCの1:14のツイストのハートバレルです、ターク高野の説明によると、世界のトップクラスのベンチレストシューターである、レスター、ブルーノや、トニー、ボイヤー、ゲーリー、オーカックなどは1:15のバレルを使っているそうです。

射座(私・・・築地)
射座(私・・・築地)

単に命中精度と言う観点からツイストを考えると、1:15の方が命中精度は良いのだそうです、しかし、その分、風には弱いのだそうです。
多分、こうした超一流の射手達からすれば、何よりも増して大切なのは命中精度、風は読めると、踏んだのでしょう。

射座(川村さん)
射座(川村さん)

ベンチレスト射撃は5発ずつの射撃を5回繰り返し、そのスコアーで順位を決めます。
リレー1(1射群)が撃ち終わるとリレー2が撃ちます、ベンアレー射撃場は射座が64しかないの、4回転の射撃をこなしたとしても256人しか参加できないのです。
私はリレー1で、0.179を撃ち、いきなり29位からスタート出来ました。
リレー2では0.259で31位、リレー3では0.184で15位に入りました、この時点でTOP20をゲット出来ました。
ところがリレー4で風の読み過ぎで0.397を撃ってしまいました、この時点で54位に転落です、最後は0.2459を撃って32位に持ち直すことが出来ました。
本来の成績は最終成績が問題なので、アイ、ガット、トップ、トウエニー と言うのは実は正確な表現ではありませんが、瞬間でもトップ20に入ったのでまあ大目に見てください。

銃のクリーニング(川村さんと私)
銃のクリーニング(川村さんと私)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)
 カクタス シュート参戦記 (2000年)

ベンチレスト射撃で、何よりにも増して勝敗を左右するのは風の読み方です。日本の射手に風の読み方について説明してもあまり良く理解が出来ません、ほとんどの射手は、火薬量を精密に計ってみたり、それ以外のテクニカルな面に心血を注ぎますが、そんな努力は射撃場で風が少し吹いただけで瞬時に不毛の努力に帰します。

標的群(風を如何に読むか・・・)
標的群(風を如何に読むか・・・)
射座から
射座から

多くの人は風は無風の時が最良のコンデションだと考えると思いますが、実はこのときが一番ヤバイのです。完全な無風でも空気の流れは存在していますので、無風でも着弾は上下に散布するのです、無風よりは弱い横風の方が遙かに条件は良いのです。横風が吹いているときは少なくとも弾着に上下のブレは起きません、左右の風の強さだけを読めばいいのです、左右の風で弱い風の場合は細心の注意が必要です、あまりにも弱い風の場合簡単に吹く方向が逆転していることが有るのです、特に射座付近の風は同じ方向でも標的付近が逆風だと見誤りを犯しがちです。こうしたときに不注意な一発が命取りになることがあります、私がリレー4で犯した過ちは、風速の読み間違いでした。写真でもおわかり頂けると思いますが、射撃場には無数の風旗が立っています、多くの場合はリボンが付けてありますが、このリボンは弱い風でも簡単に真横になびくのです。
本当の風の強さは、羽車の回転数で読むべきだと思います。私はリレー4では最初の4発はかなりのグループを撃っていました、当然トップ20に残れるグルーピングです、それにトップ20からどうしても落ちたくなかったのです、最終弾の時どうしても風が収まらないので、今までより強い風の中で撃つことになりました、リボンはほぼ真横です、弾頭の変移量を考えてかなり狙いをずらして最終弾を撃ったら、なんと思いの外弾頭は流されないでは有りませんか、よく見るとリボンは真横に流されていますが風車はそれほど早い回転ではありません、完全に風を読み間違いました。
私のTOP20はリレー3で簡単にたった1発で消滅してしまいました。
ベンチレスト射撃はこうした劇的な変動の繰り返しです。

ローディング中(私)
ローディング中(私)
ローディング中
ローディング中

多くの方が命中精度を上げるコツは、より精密な火薬の計量だと勘違いしています。
中にはパウダートリックラーを使い、0.1グレインまで正確に計量する人が居ますが、ベンチレスト射撃でそんな精密な計量をする人は一人も居ません、その理由は正確な計量をしたからと言って命中精度が良くなるわけでは無いからです。
私は今回の大会のためにフラワー製の66グレインの弾頭を使い、H322の火薬を27.5グレインチャージしました、常識から言えばかなり少ない火薬量です。
ベンチレスト射撃では、どの弾頭を使い、何の火薬を何グレインチャージするかで命中精度に変化が生じます、決して火薬を正確に計ることにより命中精度が得られるわけではありません。火薬量は0.2グレイン以内の誤差なら無視してかまわないと私は考えています。

ターク高野は最近発売されたベンチマークの火薬を使っていました、ベンチマークと言う名称からすると、いかにも当たりそうですが、他の火薬と大差はないと思います。
射撃場では全員が射撃場でリロードしながら射撃をします、何故現場でリロードするかと言いますと撃つ場所により条件が変わるからです、私は初めてアメリカでの大会に参加したときは試合に使う弾は全部日本で作って行きました、しかし、今回は全部現地でリロードすることにしたのです。

火薬
火薬

私は日本の寒い環境の中でリロードしてテストをしていたので、初夏みたいなアリゾナでは初速が上がると考えていたのです、日本では最高の命中精度でもアリゾナでは初速が早くなり命中精度が変化する可能性があったからです。しかしターク高野はここでも初速は変わらないと言うのです、その理由は気温は熱くても標高が高いので空気に粘りが無いので初速が変わらないと言うのです、実際撃ってみて本当にそのとおりなのでビックリしました。
ターク高野は全米を回って射撃をしているので、外気温と標高の差は徹底的に頭に入っているようでした、アリゾナの初日はまるで初夏だったのですが2日目は雨で、日本より寒くなりました、本当はこのときにローデングデーターを替えなければならないのですが、実際に撃ったデーターが無いので何グレイン増量すべきは全く解りませんでした。
それよりも寒すぎて集中力が散漫になります、私は射撃時以外は車のエンジンをかけっぱなしにして車の中で暖をとりました、防寒着の携帯を忘れた私は完全に作戦の失敗でした。
こうした失敗の積み重ねと経験がベンチレスト射撃の大会では必要なのかな? とも考えました。

食事の風景
食事の風景
結果の貼り出し
結果の貼り出し
湖東さん
湖東さん
雨中の愛銃
雨中の愛銃
ポジションシューティング1
ポジションシューティング1
ポジションシューティング2
ポジションシューティング2
ひそひそ話し??<br>(ターク高野氏 & 川村さん)
ひそひそ話し??
(ターク高野氏 & 川村さん)
気を取り直して<br>(ターク高野氏 & 川村さん)
気を取り直して
(ターク高野氏 & 川村さん)

と、ここまで書いたら一緒に参加した秋田の加藤さんから200ヤードで、リレー3で0.4のグルーピングを出しているので、この驚異的な記録を強調して書いてくれとわざわざ手紙で横槍が入りましたので、そんな訳で嫌々ながらここに追記しておきます。
凄い! 200ヤード 0.4! アンタは天才だ! 同じ人が撃ったとは思えない!
(書いたからね、加藤さん)

左から(私、ターク高野氏、加藤さん、川村さん、湖東さん)
左から(私、ターク高野氏、加藤さん、川村さん、湖東さん)

Q&A 銃関連その他

築地

Q130  1.銃身によく反動防止(跳ね上がり防止)のガス抜き穴が開いている銃、銃の銃口に付いているものですが、これがあると無いのではやっぱし反動そのものの違いって結構あるんでしょうか?またこれが付いているため銃そのものの威力が落ちると言うことあるんでしょうか?
2. 1とちがってよく映画で出てくるサイレンサーですが同じ原理間のでしょうか?これを使うと本当にサイレンス効果があるのでしょうか?また1と同様銃の威力が落ちるんでしょうか? 04-6/18

1.これは元々反動の強いマグナムライフルの場合には効果的ですが、あまり反動の無い銃の場合にはほとんど効果はありません。
多くの軍用銃は22口径ですが、これは反動軽減装置ではなくて、発射時の炎を消す消炎装置です。
散弾銃の場合、射撃に使うのは24グラム装弾ですから、元々大した反動はありません。
私は同じミロクの銃をマズルブレーキ加工前、加工後、と反動の実験をしましたが、大差はありません。
厳密に言うと確かにガス抜きがあるとマズルジャンプは少ないですが、それが射撃競技に有利に働くとまでは思えませんね。
いずれもマズルブレーキを取り付けても初速に変化は有りませんので威力が落ちると言うことはありません。

2.最近のサイレンサーの性能は極めて良くなっていますので、少なくとも銃声には聞こえません。
あまり適切な比喩が無いのですが、最先端のサイレンサーは、広げた本を勢いよく閉じたくらいの音でしかありません。
この技術は軍事レベルの物なので些細な情報の入手は難しいですがね。
勿論、威力は落ちません。初速が100ヤードくらいは低くなるかも知れませんが、ライフルの初速は軍用の308ウインチェスターで2900フィート有りますから、100フィート落ちても、通常の308ウインチェスター装弾、2800フィートと同じになります、従って威力は同じと考えて下さい。


Q129 「銃を用いた狩猟がしたい」と思い、まず、「銃を持つには...」と調べだして、銃の奥深さに眩暈を感じました。
私は全くの素人です。どうやら、許可をもらうには、前もって購入する銃の種類を決>めておいたほうがよさそうだとは感じましたが、何を基準に、どうやって選んだらよいのか、全然わからず、途方に暮れています。 銃に詳しい知人もおらず、つい、メールをしてしまいました。ぜひ、アドバイスをお願いいたします。04-4/13

まず肝心なことは何処で、何を捕るかです。
東京で熊を捕るなんて、論外な要求をされても困りますが、お住まいの神奈川県でもほとんどハンテングをする場所はほとんどありません。
そうすると、それ以外の場所で、何を捕りたいのかと言う話になります。
ビギナーの方の場合、いきなり銃を購入して、ハンテングに出かかると言うことは事実上不可能です。
獲物の方も生き死にの問題ですから、そう簡単に捕獲はできません。
現実的な問題解決としては、地元の猟友会に相談するのが一番てっとり早いでしょう。
但し、猟友会も、あまりにも漠然として問い合わせには狼狽するかも知れませんね。

取り敢えず、鳥撃ちをしたいのだがどうしたら良いか聞いてみるのも手段の一つでしょう。
初心者がお気楽にやるには、あまり山歩きをしないですむ鴨撃ちが良いかもしれません。
しかし、私の意見としては、まず散弾銃を所持して、クレー射撃で有る程度腕を上げて、それからハンテングを目指すのが一番穏便な感じがします。
クレー射撃をするなら、上下2連銃が最適ですので、先ずはその辺りから検討したらいかがでしょうか。


Q128 御多忙のところ真に恐縮です。散弾銃の銃身に、いわゆるガスポートと呼ばれる穴を開けたものが最近良く見受けられますが、ぶっちゃけた話弾の速度-弾速は低下するのでしょうか。反動低減その他、功罪は多々あろうかと存じますが、弾速にのみ限って御教示願えれば幸いです。04-4/10

初速は低下しません。
一般的に考えれば、弾を押し出す力を他に利用する訳ですから弾速が低下すると考えるのが常識ですが、激発した瞬間、銃口から弾頭が撃ち出された後、余分な火薬ガスが吹き出す事実を御考え頂ければ容易に推測出来ると思いますが、弾頭が銃口離脱前に余分なガスを吹き出しているだけですから弾速は低下しないのです。


Q127 築地様の扱う中古銃は、全てオークションでしか販売しないのですか?03-9/14

そのとおり、大量の中古銃がありますが、煩雑ななのでオークションでしか販売しません。


Q126 今年の、ジメジメした夏のせいか?暫くぶりに ガン・ロッカーを開けてみると、何と 銃床 にカビが生えていました。ウッドストックの エアー・ライフルは言うまでも無く、シンセテック銃床にまで、うっすら生えていたのには驚きました。散弾銃のオイル仕上げの銃床は、何故か無事でした。質問ですが、このようなガン・ロッカーの中のカビの発生を防ぐには、どの様にすれば良いでしょうか?市販の、押し入れ用の除湿剤をガン・ロッカーに入れても問題(悪影響)は無いでしょうか?また、カビを取り除くには、どうすれば良いでしょうか?03-9/14

カビの発生を防ぐには、市販の防カビ材をガンロッカーの中に入れておけば大丈夫です。
もしカビが発生した場合は、歯ブラシに銃床油を付けて磨けば綺麗に取れます。


Q125 質問その1
米軍がイラクを攻撃するときに使った「クラスター爆弾」の子爆弾の不発弾で、たくさんの市民が、犠牲になっているようですが、何で地面に落ちた衝撃で爆発しないものが、手に取っただけで爆発するのでしょうか?またああいった爆弾は、輸送中に爆発したりすることはないのでしょうか?普通の爆弾や対人地雷など(埋めている途中に、爆発しそうな気がするのですが、)についても、原理がわかったら、教えてください。

質問その2
航空自衛隊も「クラスター爆弾」を保有していると、報道された時に、防衛庁は、「有事の際に、国内で使う」と言っていましたが、一昨年古河の駐屯地で基地祭があったときに、対戦車地雷を埋めるための車両が展示したあったので、そこの担当の自衛官に、「この車両で埋めた地雷は、有事が終わったらどうやって、処理するのか?」聞いたのですが、「地図で、大体の場所はわかる」と言う返事は返ってきたのですが、どこの部隊が処理すると言う答えは帰ってきませんでした。「うちの部隊ではなく、他の部隊が処理する。」とは帰ってきましたが・・・  こんなところに、「クラスター爆弾」なんて、持たしていいのでしょうか?

質問その3
「デイジーカッター」の、圧力と、衝撃波で、「クラスター爆弾」の不発弾は、処理できないのでしょうか?(できたら、とっくに米軍が処理しているかな?)03-5/20

回答1:
クラスター爆弾については多くの種類がありますが、一言で言うと、親爆弾の中に子爆弾を内蔵し、その子爆弾の中に孫爆弾を内蔵して空中で投下すると、それが順次爆発して広範囲にわたって孫爆弾(クラスター爆弾)を散布します。
クラスター爆弾は地面に到達時に爆発しますが、不発の場合でも地雷的性格を持った爆発物になります。
ここで砲弾、爆弾等について基本的な事を説明しますが、こうした爆発物は必ず爆発しなければ成らない反面、絶対爆発してはいけない側面もあります。
つまり、敵地に着弾した場合は必ず爆発しなくてはならないかわりに、砲身に中にあるときは絶対爆発してはいけないわけです、砲身の中で砲弾が爆発すれば砲身は裂け、砲塔の兵隊は全員即死します。山本五十六元帥は小指を失われていますが、これは日露戦争の時に砲弾が砲身爆発をおこしたため追われた傷です、この様に爆弾や砲弾が自分の手元にある間に爆発してはいけないことは言うまでもありません。
そのため、砲弾、爆弾には二重三重の安全装置がありますが、それでも爆薬に装着されている信管には、より過敏な物よりより安定性のある物が装着されるようになりました、より安全と言うことは、場合によっては不発が起こりえると言うことです。
かりに不発が起こったとしても爆撃機に搭載されている最中に飛行機の振動で雷管が爆発したなんて悪夢よりは間違いなく良いですよね!
それが爆弾、砲弾がの不発弾の発生の最大の要因です、仮に不発弾があったとしてもその雷管は極めて過敏になっていますので些細な衝撃で簡単に爆発するのです。
射撃をしていると時折不発弾に出会うことがありますが、再度装填して引き金を引くと80%~90%の確率で激発するはずです。不発弾と言うのはこれくらいの高い確率で激発するのです。

回答2:
当然持たせて良いですね、そもそも軍事はそれぞれの担当部署があるわけですから地雷を除去するのはその専門部隊です。
地雷除去の際に大切なのは、何処のその地雷を埋めたかです、埋めた場所さえ特定できていれば爆薬で一気に除去する事が可能です。
また地雷除去を人力でちまちな行うのではなく、専用の戦車を走らせて順次除去する方法もあります。
地雷設置部隊の一番大切なことは、何処に埋めたかを正確に把握し、除去する場合に正確に伝達する事にあります。

回答3:
数千万円の 「デイジーカッター」で数百円の地雷を爆破するのは論外の作戦でしょうね。


Q124 ボルト・アクションの大まかな、撃発メカニズムは理解しているつもりですが、ボルトの 撃針 というか撃針用のスプリングが、何時、圧縮されるかが良く判りません。
Q1. ボルト・アクションの激発用スプリングは、何時、圧縮されますか?
上下二連の散弾銃であれば、打ち終わって、排莢(折り曲げた)際に、激発用のスプリングは、圧縮され、その後、カラ撃ちをするまでは圧縮されたままとおもいますが、ボルト・アクションの場合、最終弾を撃ち終わって、ボルトを、アクションより、抜き出した状態では、激発用のスプリングは、どうなっているのでしょうか?
Q2. 何らかの方法による、スプリングの圧縮の解放等が必要でしょうか??03-5/15

A1:ボルトを起こしたときにコッキングされます。 コッキングされたままになっています。
A2:必要ありません、コッキングしたままでもスプリングのへたりはありません。車にもスプリングが付いていますが、乗らないときは "ジャッキアップ" なんて誰も考えないでしょう。


Q123 私は、ライフル協会をやめました。しかし協会の話では推薦で銃を所持したのだから銃も処分しないと推薦取り消しで不法所持違反になると言われました.03-4/19

そのとおりです。


Q122 ホントかしら?たしかに推薦書類に射撃以外に使用したとき、脱会したときは推薦取り消しなる事に同意したが、協会やめても射撃してれば違反にならないと思うのですが?03-4/19

射撃をしているかどうかでは無くて、体育協会の推薦で、国体等を目指すと言う目的で所持されたはずです。
所持目的が変更になったのなら当然違法と言う解釈になります。
そもそも銃刀法では、銃砲を単なる趣味としての所持を認めていません。
銃刀法で所持を認めているのは、有害鳥獣駆除を目的とした(趣味ではありません)狩猟か、国体、世界選手権、オリンピック等を目指すスポーツとしての用途しか認めていないのです。


Q121 私の銃は222REMなので狩猟には使えないですが、6mm以上の銃で狩猟用途に変更できないのですか。 ?03-4/19

その銃を一端廃棄して、改めて銃身を6ミリ以上に改造し、狩猟目的で申請すれば可能ですが。


Q120 もう一点、お願いします。ステイヤーのSSGを使っています。この銃身も早くから冷間鍛造で造られたそうですが、パーカーを施した銃身表面にライフリングのツイストのような模様が浮き出ています。
浮き出た模様のピッチも銃口部に向かうにつれてゆるくなっています。逓変するライフリングは冷間鍛造ではできないと思うのですがいかがでしょうか。この模様はなんでしょうか、鍛造したライフリングが外周を旋削したため現れたでしょうか。また、この銃身は銃腔もテーパーで絞ってあるようで、洗矢を通すときブラシが進むほど重くなります。なお、命中精度は4000発超えていますが非常に良好です。03-4/11

そのとおり、これは冷間鍛造のハンマー痕です、本来はこの凸凹を研磨して使うところ、上手く表面の模様にして利用しています。


Q119 ブロンズブラシと銃身命数の話題で、冷間鍛造で制作した銃身はマンドレルと接する内部が表面硬化して銃身命数が長くなるとありました。64式の開発担当者、津野瀬氏は「冷間鍛造は銃身素材の硬度を低くしてやらないとうまくいかない。そのため命数が短くなる。このため銃腔内にクロームメッキをかけた」と述べておられます。
冷間鍛造で加工硬化が生じ、ライフリング表面の硬度が高くなるのは眼からうろこが落ちる思いで理解できましが、津野瀬氏の説も一理あるようにも思います。さらに、命中精度にもっとも重要と言われる薬室直近のライフリング立ち上がり部分は、薬室をリーマーで切るときに加工硬化した表面を削り落としてしまうのではないでしょうか。
308や30?06のような比較的人気ある口径は薬室部分まで含めたマンドレルで一気に冷間鍛造できないものでしょうか。 03-4/11

豊和工業で製造したライフル銃身は私自身が何十本も自ら加工していますので良く熟知していますが、とりわけ硬度が低いと言うことはありません。
少なくとも、カスタムバレルの、ハート、やシーレントと比較しても硬度の違いはありません、むしろ豊和工業の銃身の方が粘りがある位です。
津野瀬氏の言われる豊和工業の銃身が柔らかいというのは何の銃身と、何処のメーカーと比較してか解りませんが、少なくとも他のメーカーの銃身と比較して柔らかいと言うことはあり得ません。
ですから、そのために銃腔内にクロームメッキをかけると言う説明も的を得ていません。豊和工業の銃身でハンテングに使用する程度なら1万発は銃身寿命があります、射撃競技でも4000発程度の命中精度はあります。ですから豊和工業で製造されているハンテング用の銃にはメッキはかけてありません、ハンテング用よりも遙かに弾を使わない、自衛隊の銃の銃腔内にクロームメッキをかけて銃身寿命を延ばすと言うことは意味がありません。なぜならば軍用銃で1万発以上消費することは通常の運用ではあり得ないからです、仮に戦闘に使用する状態であっても4000発以上の弾は1丁の銃では消費しないと言うデータすらあります、4000はつ以上消費する前に、戦闘員が戦死する、補給が間に合わない、それまでに戦闘が終了すると言う事です。
これはHK社のデーターですが、現実問題ほとんど戦闘を前提としていない自衛隊の銃に何故銃腔内にクロームメッキをかけるかと言いますと、その分余計に政府からお金をいただけると言うことではないでしょうか。

外国の銃の場合、冷間鍛造で薬室まで加工するところはいくらでもあります、例えばHK等は薬室にフルートを切ってありますから、これなどは冷間鍛造でないと絶対に作れません。
冷間鍛造のコアはどうしてもビカビカに研磨して作りますので、薬室の部分も鏡のように綺麗なのですが、薬室を異常に綺麗に仕上げるとかえって薬莢の張り付きを起こしやすく、問題があるのです。


Q118 猟場でどろんこにしてチューブ弾倉まで汚してしまうこともままあります。また、M1?AやAR系の箱形弾倉も5発制限のスペーサーが入っていますが、個人が分解掃除することは違反でしょうか。よろしくご教授下さい。03-3/22

分解掃除に関しては規定はありませんが、一時的にでもスペーサーを取り外したりして弾倉としての機能を変更する場合は武器等製造法違反になります。
法律的に矛盾しますが、銃の所持者でない人間が、サープラスショップなので銃の部品として購入したのではなく、単なる金物、あるいは玩具のアクセサリーとして購入した弾倉を改造しても、必ずしも武器等製造法違反にはなりません。
何故なら、元々それが弾倉だと言うことで輸入されていないからです。
サープラスショップで取り扱っている弾倉の多くは"スクラップ"として輸入されており、その段階ですでに銃の部品では無いからです。
銃の部品としてなら、銃の製造免許、あるいは販売免許の無い業者には輸入許可は交付されません。
それにそれを購入した人間が銃の所持者でない場合は、最初から銃に装着して使うと言う認識は無いからです。
単なる玩具の部品として購入したと言うのであれば、強力な弁護士を付ければ武器等製造法違反で起訴されたとしても勝てると思います。

では、それを銃の所持者がサープラスショップ等で購入した場合はどうかと言いますと、それは最初から銃の弾倉だという認識で購入したと認定されるので、
輸入時点でスクラップであっても、銃器に使う弾倉を改造したと断定されるでしょう。


Q117 レミントン11?87の解説に、チューブ弾倉のスペーサーを抜くと「武器製造法違反」になってしまうという行がありましたが、例えば銃身部、機関部を分解して銃としての機能
を喪失している状態でスペーサーを抜いてチューブ弾倉内を掃除してもダメでしょうか。03-3/22

組み立てれば機能を回復する場合は銃と同じですから当然駄目です。


Q116 チタニュウムについてのお話しは大変、興味深かったのですが、
①チタニュウム製のボディのスコープが発売されていますが、これらのスコープはボディの加工精度ではアルミや鉄に劣ると考えるべきなのでしょうか?更に言えばスコープのボディはチタンを使っても大丈夫なのでしょうか?マウントとリングで力を加え続けるとある日ポッキリといくことはないのでしょうか?

②レミントンのチタニュウムモデルはレシーバー部がチタンということですが、レシーバー部というのは、他の部分に比べて粘りというか靭性が劣っても大丈夫なのでしようか?

③カナダにプレーリーというカスタム屋さんがあって、チタン製レシーバーのマグナムモデルも発売しているようですが耐久性は大丈夫なのと思ってしまい質問させていただきました。

④チタンを合金にして加工性を上げると、軽量さや耐久性は失われてしまうのでしょうか?03-3/3

①実は、ボデーの全体にチタニュームを使っている訳ではありません、ニコンの場合半分だけですね。
それでも材料代だけで\8,000かかります、無駄な経費でしょう?ですからチタニューム製なんて買うのは止めておいた方がいいですよ。
②銃身とボルトはモリブデンですので、機関部の破砕はおきません。
③銃身とボルトの問題ですね。
④特性が失われるので意味無いでしょうね。


Q115 各社のリローディングマニュアルを見ておりますと、試験用のバレルがWisemanとなっていることが多いのですが、不勉強なせいか、あまり聞いたことがありません。どのようなメーカーなのでしょうか?試験用に使用されるくらいですから精度や耐久性に優れている特殊な製品なのでしょうか?03-3/3

カスタムバレルですが、大したことはありません、誰もベンチレスト射撃では使わない位ですからね。


Q114 ピストルグリップと言うと、かって今村義逸が著書"猟銃"で通常銃床まで含めて殆どを指し、既に築地先生が多くのQ&Aコーナーで用いられている表現とは違う気もするのですが、この場では私が勝手に考えた"ハンドガンタイプ=グリップと表現させて頂きますが、これらは現行銃刀法では違法となるのでしょうか。
アメリカでは既に販売されていますが、合法なら取り寄せ販売して頂けるのでしょうか。03-2/20

ピストルグリップは合法です、何故なら銃刀法の何処にも禁止条項は無いからです。
しかしながら輸入は出来ません、その理由は経済産業省が輸入許可を出さないからです。
銃刀法で禁止していない物を輸入禁止にするなんて行政の一貫性から言っても不思議な事なのですが、どうせ理由を聞いても言わないでしょうから現状では対応策はありません。


Q113 散弾銃に特殊サボットを用い、45口径ピストル弾頭を用い発射すると違法になりますか?03-2/20

銃刀法、火取法、では禁止しておりません。銃器の世界では拳銃でもライフルでも共有して使う弾が幾らでもあります、従ってこれは拳銃用。、これはライフル用と言う仕分けは出来ません。しかしながら輸入許可を得る場合に、45口径拳銃弾頭の用途について説明する場合、通常の猟銃に使用するためと言うと輸入許可は出ないと思いますので難しいでしょう。


Q112 掲載終了


Q111 狩猟界誌に、辻一献氏がレーザー発生装置を取り付け、実猟の照準器として記述されたいますが、築地先生はどの様にお考えでしょうか?03-2/20

私は記事を読んでいないので詳細は解りませんが、元々レーザーサイトは暗闇で使う拳銃の照準装置として作られました、幾らレーザー光線が明るくても太陽光線が照射しているところでは視認できません。基本的に夜間、または日没後に使うには良いかと思います。


Q110 御社ではベネリーM3 M4等の輸入販売はして頂けますか。03-2/20

経済産業省が輸入許可を発行すれば取り扱いますが、現在の所輸入許可の取得はと困難かと思います。


Q109 ①日本国内でもM9バイオネットは(銃剣)は本物かコピー品なのかはっきりしませんが入手できます。当然、銃の装着は違法でしょうが、もしテツパイプや木棒にとりつけ「罠師」が止め刺しように用いたら違法ですか?
②その槍刀を猟銃と一緒に持ち歩いていれば違法になりますか?03-2/20

①銃刀法には禁止条項はありません。
②用途があれば合法です


Q108 北海道のエゾシカ猟は鉛弾禁止ですが、スズ、亜鉛、なら合法?
しかしその場合銃身に与える影響は如何なものでしょう。03-2/20

なまり以外は合法です、ライフル銃の場合、外側に銅製のジャケットがないと、ライフリングのツイストで弾頭に回転を与えるときに、ライフルがスリップしてしまいます。
従って外側は必ずどうの銅製のジャケットを使うことが絶対条件なのです。
コアの部分に鉛に変わり、スズを使うことは考えられますが、亜鉛は鉛と同じように害が有るので使えば駄目になるでしょうね。しかしながら現状ではいずれの金属も鉛と見た目での違いがないので駄目でしょうね。


Q107 海外の中古銃・・・特に軍用銃などの市場へ出かけると、ボルトアクション銃では、銃のシリアルナンバーとボルトのナンバーが明らかに異なって、どさくさに組み込まれている(モーゼル98Kなんかよくあるとききますが)ものが、売られたりしていると聞きます。当然ヘッドスペース等の調整は皆無と思われますが、こうした状態の銃(銃とボルトが不適合)の銃では、単に命中精度以外にどんな不都合が起きうると思われますか?また、ヘッドスペースの調整は必要こそあれ、なぜそんなに重要なのでしょうか?素人の質問ですいません。01-12/30

多くの人がヘッドスペースこそが命中精度に関して一番大切だと誤解していますが、大変な間違いです。
そもそもワイルドキャットカートリッジという物はヘッドスペースと言う概念がありません、どんな弾でもその最初はケースフォーミングが最初のスタートではないでしょうか。
命中精度に関しては最高の名作と言われる6ミリPPCもワイルドキャットからスタートしています。
どんな薬室でもリーマを作るのは簡単ですか、薬莢を作るのは数千万円かかるでしょうか、従って誰でもケースフォーミングからのスタートです。
ケースフォーミングですから、最初からヘッドスペースなるものは存在しません、しかし、当たる弾はケースフォーミングの段階から当たります、従って命中精度とヘッドスペースの因果関係は存在しません。
それにヘッドスペースの調整は非常に簡単で、素人でも誰でも出来る作業です、ゲージを入れながら銃身を閉め込んで行けば1/100ミリ単位の調整は簡単に出来ます。
しかしながら、究極の命中精度を競うベンチレスト射撃では誰もヘッドスペースには何の関心も払いません。
アメリカの大会会場では誰でも簡単に銃身交換できるように必ず銃身交換の工具が備えられています、しかし、全員が銃身交換は単にネジが締まった所でOKとしています。何故ならヘッドスペースは命中精度には何の関係もないからです。
しかしダイスのセッテングには千分の1ミリ台の隙間ゲージを使う彼らがです、命中精度には極めて大切な部分と、どうでもいい部分とがあります。
ヘッドスペースはそのどうでもいい部分の一例です。

さて、命中精度以外の問題と言われましたが、ヘッドスペースは命中精度に関しては問題ないとして、軍用銃の場合、最大の問題はネジを締め込んだ時点でちゃんとサイトが真上に来るかどうか、これが最大の問題です。それに98Kの場合、サイトの位置と同時にボルトのエキストラクターの位置も問題になります。
ガーランド等の場合、サイトは勿論、ガス穴の位置も問題になりますね、軍用銃が一番優れている点は、全ての銃が "ネジ規制" されて製造されている事なのです。
"ネジ規制" とは銃身や機関部にねじ切りするときに、ネジのスタート位置を完璧に規制してあることを言います。従って銃身、機関部とも専用機で作らないとこれらの工作が出来ません。従って軍用銃に関しては、どの銃身とどの機関部を組み合わせようと、必ずぴったりと合致するのです、勿論ヘッドスペースもがっちり合います。

参考までに申し上げますがヘッドスペースとは、限りなくゼロを目指すのではなく、必ずプラス寸法とマイナス寸法が存在します、指定以下のヘッドスペースだと装弾が入らないおそれがあります、指定以上ですと薬莢の切断が起きます。


Q106 今月号の狩猟界に命中精度の事が書かれています、メーカーに問い合わせしたら50万円で銃身を交換してくれるそうです、なんでも特別にアメリカの会社に製造させたと言っています、事実本当に撃ったかどうかは解りませんが標的が掲載されており、本当にこのくらい当たるなら50万円の価値はあると思いますが。ご意見はいかが。01-12/30

ご存じの様に、私はベンチレスト射撃協会を主宰しております、当然にして銃身の命中精度に関しては他の同業者よりも相当な関心を払っておりますが、はっきり申し上げますが、アメリカで特別に作られた銃身と言う物は存在しません(キッパリ)まともなビジネスマンならこうした詐欺まがいの説明はしないはずです。

何処の会社で、どのような工作をさせると50万円の値段になるのでしょうか?

それについての記述が一切欠落していますのでこれは単なる詐欺商法でしょう。

我々ベンチレストシューターの間では、アメリカのトニーボイヤーは誰もが認めるベンチレスト射撃のトップシューターです、彼は1年間に20本の銃身を購入しています、それは常に最高の銃身を探し求めて居るからです、もし、特別製の銃身が存在するとしたなら、ためらいもなく彼はそれを購入するでしょう。どんなに高い銃身でも年間20本の銃身を購入するよりは明らかに安いからです、それに命中精度の追求のためなら金銭は問題ではありません。

雑誌を見てみたら、掲示してある標的は埼玉県のSさんの撃った標的だとあります、Sさんはベンチレスト射撃協会の会員で、確かにK社の銃を使っていますが、少なくとも過去の大会で雑誌に掲示してある様な記録を出したことはありません、念のために先月号に掲載されている我々ベンチレスト射撃協会の記録をご覧下さい。

我々の大会の記録は100メートルで、1ミリ台、300メートルで10ミリ台の記録のはずです、大会でこれだけ撃てるのですから練習の成績は当然これ以上出せます。

当社ではこれらの銃身をアメリカで加工させて¥85,000で販売していますが、私の知る限り、これ以上命中精度のよい銃身は存在しません。従って、たかが銃身に50万円というのは明らかに詐欺まがいの商売です。しかもその銃身のメーカーは明示してありません。

ちなみにK社が標的を掲載したSさん、今まで使用していたK社の銃を捨ててストールパンダに乗り換えることにしたそうです、K社には今まで500万円程度のお金を払ったと嘆いていました。


Q105 (不審船騒動で曳光弾が派手に海保のバルカン砲?から放たれてましたが)、曳光弾は我々民間の射手の使用は火災防止上等から使用禁止となっているはずですが、古い雑誌などをみるとクレーの試合ではしばしば使われていたような記事を読んだ記憶があります。 築地さんの知る限り、このライフルとクレーの曳光弾使用制限の違いは、どうしてか御存知ならば教えて頂きたいのですが?ライフルもかつては曳光弾が民間でも使われていた時代(戦後)があったのでしょうか。01-12/26

曳光弾(トレーサー)の使用が法律的に禁止されている訳ではありません。
ライフル用のトレーサーは弾頭の後ろに火薬が入っています。火薬は爆発性の物ではなく、隣と同じように1~2秒煙を吐いて燃焼する火薬です。
民間の射撃場は50~300メートルの距離しかありませんが、トレーサーは300メートルを過ぎないと曳光火薬に点火しないように出来ています、銃口から離脱した弾丸は最初の0.3秒は単なる導火線の役目を果たします、銃口から弾丸が離脱して直ぐに曳光火薬に点火すると、機関銃の発射地点が敵から視認されます、そのため意図的に最初の300メートルは曳光をしないように出来ているのです。従って300メートル以上の射程距離がないとトレーサーとしての効果は視認できません。

散弾銃のトレーサーはライフル用の物とは目的が違いますので銃口から離脱した瞬間から煙を吐いていきますが、これはクレーの何処を狙ったかチェックするための物です。
私自身も使った事はありますが、トレーサーと言うにはあまりにも性能不足で、肝心なスモークはほとんど視認出来ません。
試しにビデオで撮影してみた事がありますが、全く視認できませんでした。確かに小さな光が飛んで行くのは解るのですが、慣れた人ならトレーサーを使わなくても自分の撃った弾がクレーのどの辺を撃ったか解りますので現在では全く流通しておりません。


Q104 火薬では、一般にIMRやホジドンなどが国内射手に多く使われておりますが、やや安価な我が国の国産火薬(たとえばD社)などが、性能において優劣つげがたいと言われている一方で、イマイチ、ライフル射手に人気がないのはなぜでしょう?筑地さん達ベテランの方の御意見をお聞きしたいのですが、いかがでしょうか?01-12/10

なんと言ってもデーターが少ないことです、後少し火薬の燃焼速度を上げたいと言うときには全く不利になります。
国産の火薬は軍用の火薬の転用だからです、火薬は1回で1トン500キロの火薬が出来ます、しかしながら全く同じように作ってもそれぞれ燃焼特性が違いますので、1トン500キロの火薬を3回作り、それをミックスして使用しています、とうてい民間市場で消費できる量ではないので、民間用としては国産では特定の火薬しか流通していないのです。


Q103 ベンチレストの方々や一部のベテランハンターの中には、(あくまで自己責任下で)リローディングの際、マニュアルのMAXを越えた装薬量をチャージする話は聞きますが、逆に、弱装弾とか減装弾といわれる弾をつくる方もいるようです。この減装弾も、ケース内にエアスペースが多くなるだけ異常高圧が起きやすいので、初心者は特に気おつけるよう昔いわれた事があります。これは事実でしょうか?01-12/10

事実です。減装薬には一般論として燃焼速度の速い火薬を使います、極端な話、散弾銃用の火薬を使う人もいます。
通常は問題ないのですが、エーアスペースが大きいと、マグナム用の火薬みたいに燃焼速度の遅い火薬でも異常燃焼を起こすことがあります。


Q102 初心者講習や経験者講習で配られる冊子にある「火薬類の自宅保管」の数量で質問です。狩猟者免状の新規や更新の時に使われる「狩猟読本」にも同様の記載がありますが、お役所言葉で解釈しにくいので是非解説してください。迷っている人も多いと思います。
自宅保管は装弾ロッカー等に実包は800発、火薬は5キロ、雷管2000個ここまでは誰でも判ります。問題は「火薬を装填しない雷管付き薬莢=無制限」という表記です。
爆粉が入っていない、すなわち撃ち殻薬莢はいくら持っていてもいいですよ。リサイズして生きている雷管だけはめたものはいくら持っていてもいいですよ。ただし雷管単体では2000個までです、難解です。01-11/17

火薬取り締まり法で、実包800発、火薬5キロの自宅保管と制定したのは、役人が適当に数量を決めたわけではなく、しかるべき機関がちゃんと燃焼実験をして安全な範疇を定め、その実験結果を踏まえて立法化されました。
実包800発は30-06の実包、及び散弾銃の12番を想定して実験されました、従って22口径ロングライフルなどは、数千発保管しても安全上は問題ないのですが、かえって煩雑になると言う理由で800発に統一されました。
雷管付きの薬莢も同じように実験され、実験の結果何千発合っても雷管が爆発しても安全上問題が無かったので、薬莢に雷管を付けた物は、雷管の数量を制限しないとなったのです。


Q101 ①自動動式散弾銃を2発より3発に改造したら、最悪、銃刀法違反という事は至極あたりまえと思いますが、脱着式の弾倉を2発以上入るように改造したらどうなりますか?
②ライフル銃を持っている者がライフル銃の20発用マガジンボックスを持っていたらどうなりますか?
持っていたらというのは、自宅に保管中という意味と銃と共に持ち歩いている場合です。
③また、自分でそれを5発用に改造して持っているのは、違反ではないですよね?
④さらには、個人輸入で20発用マガジンボックスを入手するのも違反ではないですよね?01-9/5

①難しい相談ですが、散弾銃で2発以上装填できる弾倉はありませんので事実上これを改造してと言う想定は難しいのですが、仮に改造すれば5発装填できる弾倉が有ったとしましょう、2発用に改造されている物をさらに改造して5発にすることは武器等製造法違反です、しかしながらそれを装着する銃を所持していなければ、弾倉と言っても単体では武器と認識しにくいですね、ですから多分検挙の対象にはならないでしょう。
②銃に装着して使用しなければ単なる入れ物ですね。装着した瞬間には違反になることは間違いないですが、単に所持しているだけでは違反には成らないと思いますが、あくまでも私の勝手な解釈ですから取り締まりの警察官によっては書類送検される可能性は否定できません、しかしながら法廷で論争した場合どのような判決が出るか判例はありません。
③勿論
④個人使用の場合、20連マガジンでは輸入許可は下りないはずですが。


Q100 猟銃、例えば散弾銃の弾倉を二発以上込められるように改造したとしたらどんな罰則になりますか?
(例えば所持許可はその銃のみか全ての銃の許可を取り消しとか)01-9/3

違反を見つけた警察官の裁量権によっても大きく違いますが、銃砲検査で発見された場合、その銃だけの返納と言う処置もあります。

しかしながら、他県で違反を摘発され、最も最悪なケースに発展した場合、改造していた銃を所持していたと言う罪で銃刀法違反、無許可で銃を改造したと言う罪で武器等製造法違反です。
捕まれば銃は全部没収です、罰金は3~5万円くらいでしょう。罰金の金額は大したことはありませんが、最悪の場合、前科が銃刀法違反だと銃は永久にもてませんね。

ですからお気薬に弾倉を改造することは絶対に止めてください。


Q99 自分が所持する銃が盗難に遭うとやはり何等かのペナルティがあるのでしょうか?例えば盗まれたのが一丁だけでも全て取り消しとか。また自分の銃を全て盗難に遭うとやはり許可の取り消しで一からやり直しでしょうか?01-8/22

法律では猟銃の管理義務を所持者に課しています。

従って猟銃の盗難に遭遇した場合、問われるのは管理義務違反があったかどうかです。

ガンロッカーの設備をして、その中に収納しておいたのに、泥棒が侵入してそのロッカーを壊して中の猟銃を盗んだ場合、必ずしも管理義務違反があったといえませんよね、ちゃんと警察の指導とおりに管理していたのですから、この場合必ずしも違反は問われないと思います。しかしながら、盗難にあった銃は管理下に無いわけですからその銃の所持許可は取り消されます。所持している銃を全部盗られた場合は当然全部取り消しです、しかし数丁所持する銃の内に何丁か残っていた場合は、盗られた銃だけが取り消しと言うことになります。

しかしながら管理義務の概念は法律的に定着している訳ではないので、状況によっては違反を問われる事はあり得ると思います。
法律でかかれていることはいわば最低限度の管理義務を言っている訳ですから、それ以上の厳重な管理をしていれば仮に盗難に遭ったとしても管理義務違反を問われることは無いと思います。

皆さんもご存じの例だと思いますが、以前、中国人の窃盗団が東京都内の銃砲所持者の家に進入して貴金属と現金を盗んだ事件が有りました、銃はちゃんとガンロッカー内に収納していたのですがロッカーを破砕して数丁の銃を盗み出した例がありました、この場合ちゃんと銃を収納していた訳ですから管理義務違反は無かったんですが、だいぶ警察は所持者に銃の返納を求めたようです、しかしながら強制的に全部の許可の取り消しをするには至っておりません。


Q98 金属材料学のイロハ楽しく読ませていただきました。ところで質問なのですが、国内のキングなんとかゆうカスタムビルダーの会社の銃はニッケルマルエージング鋼とか言うハッブル宇宙望遠鏡とかフォーミュラーマシンのサスペンションと同じ素材で造られてると宣伝してますが、それは高級な素材なんでしょうか?
クロームモリブデン鋼との違いはあるのでしょうか?01-6/3

クロームモリブデンにニッケルや、バナジュームを混ぜると強度は増すと思います、軍事機密で明らかにされていませんが戦車砲にはこれらの金属が使われています、しかしながらライフル銃の銃身にはこれらの金属は常識的に使用しません、それは加工性が悪いため命中精度の良い銃身にならないからです、弾は出ても命中精度が悪ければライフル銃の銃身としては使いものになりません。たしかキングなんとかゆうカスタムビルダーの会社の銃は銃身はアメリカのカスタムメーカーの銃身を使っているはずです、それもハート、シーレン以外の銃身だったと思います、命中精度に関していればハート、シーレンが最高の命中精度ですから、これよりはランクの落ちる銃身を使っていることになりますね。

ベンチレスト射撃に使うレベルですとこれらの命中精度の限界はは3000発です。

それと比べてクロームモリブデンを使った機関部なら耐久性はほぼ無限です、錆びさえしなければ寿命も数千年持つはずです、銃身寿命が3000発しかないのに機関部の耐久性に言及しても全く意味のない事です。


Q97 先日、クレー射撃場にて銃に実包を装填しようとしたところ、誤って地面に落としてしまい、* ドキッ * とした経験をしました。幸い、地面に落下した実包の雷管が地面の小石等に当たることなく実包が発火することはなかったのですが・・・・
そこで、質問ですが、このように銃の薬室以外の空間で実包が何らかの刺激により発火/爆発した場合、周囲の人や物に対してかなりの危険をあたえるのでしょうか?空間で散弾実包やライフル実包が発火爆発した場合、弾頭(散弾)や薬莢の破片がどれくらいの殺傷力を持っているものなのでしょうか?
また、空間で発火爆発した実包からどれくらいの距離、離れていれば安全なのでしょうか?01-5/18

まず、装弾の安全性について説明します。
装弾は不用意に落下させたぐらいでは雷管には点火しません、たとえば装弾の入ったコンテナをクレーンから落下させても爆発はしません、勿論程度物ですが通常の荷扱いの不手際位では何の問題もありません、しかしながら矛盾することはある決まった衝撃を与えると必ず点火しなければ成りません、安全性と作動性の二つの矛盾を解決しなければ成らないことですが、これを解決するには衝撃を与えるスピードで安全性と作動性の両方の問題を解決します。
つまり、装弾を落としたときの衝撃のスピードと、撃針で叩くスピードの違いです、撃針で叩いたときは100%点火して、これ以下のスピードで叩いたときは点火しないと言うことです、従って装弾は落としただけでは点火はしません。
しかしながら何らかの理由により点火したとしましょう、その場合の危険性ですが使用する装弾により大きく変化します。
危険かどうかは火薬の燃焼速度大きく変化します、散弾の火薬は一番燃焼速度が速いので危険性も一番大きいのですが、火薬が爆発しても薬室の中に装填されている訳ではないので散弾を遠くまで飛ばすために火薬の力がかかるわけではありませんから、火薬によって飛ばされた破片が皮膚などに当たって少し血が出るくらいの物で生命に影響するような事故にはなりません。


Q96 ライフルの銃口に雪など入らないよう、紙テープなどでふさいだ状態で、発射しても銃口へのダメージは無いものなのでしょうか? また命中精度に影響もないものなのでしょうか?01-5/3

全くありません、しかしながら銃口内部と外気とを完全に遮断した場合、暖かい車内から、零下20度の屋外にいきなり持ち出した場合、銃口内部で水滴が発生し、それが氷結する恐れが無いとは言い切れません、そのため空気を完全遮断するテープの場合、ピンで穴を開けておいた方がさらに良いでしょう。テープを付けたまま発射しても命中精度、銃口ダメージは一切ありません。


Q95 "Air Gauged Barrel" に関して。銃身の説明等で、" Air Gauged " と言う言葉を目にしますが、この Air Gauged とは、どう言うものでしょうか?素人考えでは、Air Gauge と言う測定器で、加工精度を計測した(高精度の)銃身 と思えますが、通常の物と何が違うのでしょうか?SHILEN、HART 等の barrel は、Air Gauged でしょうか?01-5/1

ご指摘のとおり、エアーゲージクラスと言うのは、精密測定器のエアーゲージで計測してそのスペックに合格した物の総称を言いますが、通常何処のメーカーでも銃身の内径計測にはエアーゲージを使います、銃身の規格はそれぞれの会社により勝手に規格が決められており、エアーゲージクラスは別段統一された規格ではありません。
銃身の内径公差は通常5/100ミリですが、この公差よりも命中精度に取って一番大切なことは、内径の寸法にばらつきが無いかと言うことです、つまり入り口と出口に公差が無い事が最大の問題なのです、銃身内径の途中に公差があると命中精度に極端に悪影響を及ぼします。SHILEN、HART 等の 銃身内径の公差は1/100ミリ以内には押さえられています。


Q94 銃刀法の説明で、所持許可対象の銃は猟銃それ以外の銃は小銃との説明がありましたが、それでは警察の使用する銃は猟銃でしょうかそれとも小銃でしょうか。
地元の警察の説明では小銃と同じ形状をしている物は許可に成らないのではという説明を受けましたが、警察の所有する狙撃銃と同じ物を所持するのは法律的には違法なのでしょうか、それとも合法なのでしょうか。01-4/13

所持許可対象以外の銃は小銃という通産省の解釈ですから、警察が所有している銃は許可対象の銃ではありませんから、当然小銃と言うことになります。警察で狙撃用に使用している銃は、ホーワ、ゴールデンベアー 30-06通常のスポーターライフルです、スコープは国産のブッシュネル3倍~9倍を使用しています。
なぜこんなに詳しいかと言いますと、実は当社が警察庁の装備課にライフルスコープを納入したからです。この銃と同じ物は今まで相当数の銃が国内に販売されております、ホーワ工業で製造販売する唯一のボルトアクションライフルですから当然の話です、これの所持を行政が禁止したらその瞬間から法の信頼は全くなくなるでしょう。
銃刀法上からは警察で使う銃は小銃に分類されますが、それと同じ銃であっても民間に販売される銃は猟銃です。


Q93 今日はスコープについてお尋ね致したいと思います、私が行く射撃場は50Mの射距離しかないため普段はあまり気にしないで練習していますが、年に2回(3月末と10月末)に長瀞に行きますが、行く度に着弾点が変わります仲間も同じ事を言います、スコープはブッシュネル、サイモンズ、タスコ、ニコン等色々ですが全て可変倍率です、仲間に一人単倍のスコープを使用している者がおりますが彼は変わらないと言います、射撃時の気温もそんなに変化は無いと思いますし、スコープの性能なのかと思案していますがもしも性能だとしたらメーカーでも差はあるでしょうし、可変と単倍でも違うような気がします、メーカーによる差、可変と単倍の差、弾を作った時の湿度の違いなど、大きな要因は何なのか教えて頂きたいと思います。150M超で熊の急所に入らない位ずれます、宜しくお願い致します。01-4/7

ライフルスコープの倍率を変えると、着弾点が変わるのは "当然" の事です。
これは簡単な実験で解りますのでやってみて下さい、銃を、あるいはスコープを完全に固定して、そのままズームを動かして見て下さい、スコープは動いていないはずなのにリチクルが少し動くのがお解りいただけるはずです、これはズームを変化させる事により、光学的に中心塾線がずれくるからです、この狂いを日本語では"視差"英語ではパララックスと読んでいます、この視差はどんなスコープでも存在します、必ずしも値段には影響されません、しかしながら視差が一番少ないのはリューポルドです、私が射撃用にリューポルドを推奨するのはそのためです。

解決策
どんなスコープでも視差はありますが、いずれもその決められた倍率ではいつも同じ所にリチクルがあります、つまり9倍照準調整すれば、3倍の時にはずれますが、また9倍に戻せばちゃんと正照準で当たります、従って照準調整は9倍で調整すれば遠距離は9倍にするはずですから誤差は少なくなります、近距離の場合3倍に調整するかも知れませんが、スコープの誤差は出ても距離が近いですから獲物を外すことはないはずです、相対的な誤差を少なくするには3倍から9倍の中間、つまり6倍くらいで照準調整する方法も良いと思います、この倍率で調整しておけば3倍にしたときでも、また9倍にしたときでも相対的な誤差は、9倍で調整して3倍で使う時よりは少なくなります。


Q92 ライフルの口径について教えて頂戴。散弾銃は12番、20番、410番、ぐらいしかないのに、ライフルの表示は「何でわかりにくいの」、「何でたくさんの表示があるの」、ズバリわかりやすく解説してください。01-4/1

散弾銃の場合、薬莢の形がストレートなので弾の性能を向上させようとしても全長を長くする程度しか改良の方法がありません。
また全長を長くしたとしても散弾を多く入れれば自動銃の場合回転に問題が起こります、散弾の量が多くなればボルトの後退が急激になりリコイルバッファーが絶えきれなくなります、火薬量を増やしても同じ事が言えますが今度は散弾のパターンまで変化してしまいます、初速を上げれば単純にパターンが小さくなるかと言いますとそうでもありません、逆にドーナツ状に散弾が展開する事になります、従って散弾銃の弾は同一のサイズに統一せざるを得ないのです。

ひるがえり、ライフル実包は過去から現在まで絶え間ない改良が施されています、それは同じ火薬量でもボデーの形状を変化させるだけで火薬の燃焼特性が変化するからです。ショルダーの角度に関しては40度にするのが一番火薬の燃焼特性が良くなることは色々な試作の結果ほぼ特定できていますが、外径の形状に付いてはまだまだ不明な点が多いのです、いや、全く解っていないと言っても過言ではありません。
そこに、我こそはと言う人たちが沢山出てきて色々なカートリッジが出来てくるのです。ワイルドキャットのほとんどはボルトアクションライフルに使われますのでフィーデングの問題を除いては自動銃みたいに回転不良を起こしたり、バッファーを痛める心配は皆無です。
新規に作られたライフルのカートリッジはその作成者が勝手に自分の名前を付けて良い世界です、そのため弾の性能はどうでも、とりあえず自分の名前を弾に残したいと言う人たちが出てきます、そのため実に膨大な数のワイルドキャット弾が誕生する事になったのです。
ワイルドキャットカートリッジと言う書籍に掲載されている物の1000倍くらいはこうしたガラクタ実包が存在しているはずです。

外務省の馬鹿が国家機密費をパクリましたが、競走馬に愛人の名前を付けて自己陶酔する位なら、ワイルドキャットに愛人の名前を付けた方が罪が少なくて済みます、私の場合もネーミングすべき名前が無くもないのですが、いずれも私を踏み台にしてオイラよりもっと良い男にステップアップしていった女達ですので名前を付けるには今ひとつ踏み切れないでいます。


Q91 ボーラースチールに関して書き込みをしたら早速以下のように某製鉄会社の技術の方から指摘を受けました。実を言うと私もこの事は知っていたのですが話を延ばすために次回にでも書き足そうと考えていたことです。図らずも訂正文を掲載致します。01-3/17

ボーラー鋼は世界で一番高価な銃身鋼材ではなくなりました。
19世紀から20世紀にかけて急速に産業が発達し鋼の精練技術も上達して来ました。
しかし当時は所詮 高炉や平炉の精練法では鋼に含む不純物の燐や硫黄の除去(0.030%以下 JIS規格)が困難でした。 ・・となると不純物含有の少ない鉄鉱石が産出される所は強みを発揮出来る訳で良質な鋼が生産出来た訳です。(当時比)
 近年電気炉が一般化して精練技術も上がりはて叉真空溶解法等も取り入れている今、最早ボーラー鋼やショーラー鋼は取るに足らない物となってしまいました。 刻印は一種の昔からのステイタスの名残りであり現在業界ではボーラー鋼といえども単なる戦艦三笠にすぎなくなって居ります事をお伝えして筆を置かせて戴きます。


Q90 20年程前からゲーム・ソナー(doog beeper)なるものが売り出され、確かに最初のうちはそれなりに役に立つ代物でしたが今はソナーの音がしただけで一筋向こうの谷の雉まで逃げてしまいます。これに代わる物、例えば音は出ないが犬の挙動が確認できる物というのは無いのでしょうか?01-3/16

あります、軍隊で使う熱探知スコープです。これなら数キロ先の動物全てに反応します、目標を光学的に視認するのではなく熱源として視認するので熱のある物は全て明るく見えます、単なる個体だけではなく、数時間、数分前までそこに車が停車していた場合はエンジンの熱願が残っているので確認することが出来ます、また動物が休んでいたところも体温が残っているので確認できます。
目下の所之が最先端の道具です。しかし、値段は聞かない方が良いかもね!


Q89 BOULERスチールはオーストリアのボーラー社製のボーラースチールを使用しているという事であるとのことですが、わざわざ銃本体にそれを示す特別な理由があるのでしょうか?何か特殊な製法をされているとか成分をふくんでいるとか。01-3/16

ボーラースチールは不純物が少ないことを最大の特徴とします、隣、硫黄などの不純物が混入していると鉄がもろくなります、ボーラースチールはオーストリーで採取される鉄鉱石を使っており、この鉄鉱石は特に不純物が少なく、昔から刃物鋼として利用されてきました、日本でもプレスの金型鋼材、あるいは刃物鋼材として輸入されております、当然にして単価が高いのが特徴です、安物の銃はボーラー鋼は使わずもう少し安い鋼材を使います、ボーラー鋼材は世界中で一番高価な銃身鋼材です。そのためわざわざボーラー鋼材使用と刻印しているのです。


Q88 昔から疑問に思っていたのですが、なぜ米軍海兵隊などのスナイパーのライフルはバーミントタイプのヘビーバレルなのでしょうか。・・・というのは、私の認識では例えばベンチレストなどでグルーピングを競う場合では、発射による摩擦熱で銃身に影響を及ぼすことを防ぐためにヘビーバレルにしている、というには分かるのですが。そもそも狙撃手は初弾がすべてのはず。であればわざわざ重いバーミントタイプよりも機動性を鑑みた場合、ハンチングタイプのライフルの方がより適していると思うのですが。いかがでしょうか。01-2/9

スナイパーにとって一番大切なことは初弾を必ず命中させることです、そのためにはあらゆる努力を惜しみません、ご指摘の様に最初の1発だけならハンテングタイプの銃の方が機動性を考えてとのご指摘ですが、ハンテングライフルの命中精度とバーミンターライフルの命中精度は大きく違います、100メートルの命中精度がハンテングライフルが2センチ位なのに対して、海兵隊のスナイパーライフルは1センチいかに集弾します。
つまり、最初の1発もこの範囲に入れることが可能だと言うことです、それと軽いハンテングライフルの場合、射撃時の反動で狙いに狂いが出やすいのです、やはりヴァーミンターの方が安定した射撃が出来ます。
機動性に関しては確かにヴァーミンターライフルは機動性に劣りますが、スナイパーは常に二人で行動します、スナイパーが重たい銃を持つ分、一部の装備を観的手が持って機動性を確保します、しかし、仮に機動性が犠牲になっても絶対的な命中精度の銃を使うことを私なら選択します。


Q87 この装弾が発火しないのは、銃の撃針が短くなったか、スプリングの弱り、だとノタマウのですがこれもホントかしら?01-1/17

私がソ連の弾が腐れ弾と言うのはまさしく不発の連続だからです、しかしソ連の銃で撃つと何故か撃てます、ソ連の銃は不発を前提に撃針スプリングをかなり強くしています、ソ連から見れば西側の銃は撃針が短くてスプリングが弱いと言うことに成るのでしょうね。
まあ、これは基準の置き方が違うので論点はかみ合いませんが。それに相手はソ連人なのでしょう?


Q86 在日米軍はT銃砲店から「バイカル装弾」を購入し好んで使用してい た。?ほんまかいな・・・・・・米軍の銃砲なら教授のとこから入っているでしょうし、そんな優秀な装弾があれば、教授が商いをしてるでしょう?01-1/17

在日米軍には当社が装弾を購入する際、アドバイスをして購入先を指示していますが、バイカル装弾の購入を勧めたことは過去一度もありません。
そんな事をしたら当社が米軍から契約を破棄されかねません、しかし、変態のアメリカ人が勝手にバイカル装弾を購入したとしても私の知るところではありません。
在日米軍がソ連から装弾を購入すると言うことはジョークで無い限りどう考えても考えにくいことです、これも誤記か貴方の勘違いではありませんか?


Q85 ロシア、フィンランド製火薬の性能について地球上の位置からして、優秀な極寒地用火薬の製造能力を持っているそうです。本当かしらとても信じられませんけど? さらに、欧米製の火薬をロシア極寒地で使用すると、「火薬が完全燃焼せず、火薬残留がでる」そうです。今日びそんな火薬が存在するのでしょうか?
そして日本で使用すると、ハイパワー、ハイスピード実包と同様の高性能に変身する?01-1/17

昔、私が修行中の時代極貧だったので泣く泣くソ連の腐れ弾を使ったことがありますが、どんな状態でも燃えかすが残りました、雷管の火薬は錆を呼びやすく最悪の弾でした、ソ連のオリンピック選手がソ連の弾を使っていたので密かに薬莢をくすねてみたら何とアメリカ製の弾でした、せいこい事をやっていました、しかしながらフィンランドの弾は最高です、これは世界最高レベルの弾です、安心してお使い下さい。
火薬は寒冷地仕様と言う物は原則的にありません、しかしながらダブルベース火薬は零下40度以下では分解することがありますが、シンブルベース火薬は基本的に威力がないのであまり使われていません。寒冷地用の火薬が存在しない以上それらを使うと日本ではパワーが増すと言うことはありません。しかしちゃんとした銃砲店がそのような与太話をする訳がありませんので噂の出所を良く確認してください。


Q84 私は2日前に射撃教習を受講し、合格したばかりなのですが、銃購入と同時に保管庫、弾薬庫、射撃ベスト、運搬用のガンケース等も購入しなければなりません。これらもFEGSさんで取り扱っていますか?これらも銃と同じように、一般の鉄砲火薬と比較して、FEGSさんではものすごく価格が安かったりするのでしょうか?00-11/28

ガンロッカーは¥23500、装弾ロッカーは¥8700、ガンケースは¥7500です。


Q83 万一故障が発生した場合もFEGSさんで修理可能との事ですが、FEGSさんは二人の従業員さんで営業しているようですが、修理期間が心配です。故障内容にもよるのですが、だいたいどのくらいの修理期間がかかるのでしょうか?何週間、もしくは何ヶ月も手元に戻ってこない場合もあるのでしょうか?00-11/28

修理まで私がやっている訳ではありません、修理は通常2週間くらいで完了します。


Q82 掲載終了


Q81 一般の鉄砲火薬とFEGSさんではものすごい価格に差があります。それは日本の鉄砲火薬店と海外の鉄砲店との価格差でもあります。日本の一般的な鉄砲店は何故こんなに高いのでしょうか?差額は何に使われているのでしょうか?ショップの丸儲けになるのか、それとも海外の製造メーカーとの保証契約等に使用されているのでしょうか?00-11/28

正規代理店と称するところが大幅に利益を抜いていると言うことですね、使い道についてはさすがに知り得ませんが。


Q80 バ‐ンズの弾頭でコオテッドとそうでない物がありますが。どのように違うのですか。また2種類の弾頭の値段を教えてください。カタログナンバー
   30854    30857   30859   コオッテド
   30817    30827   30840   銅色中 00-11/20

コーテング弾頭は 通称XLCと言いますがこれは ¥4600です、通常の銅弾は¥3800です。
通常の銅弾はライフッリングに食い込む抵抗が強いので弾頭が前進する前に火薬の圧力がピークに達してしまし初速を上げることが出来なくなります、それと比べてコーテング弾頭は、コーテング剤がテフロンで出来ていますので弾頭がライフリングに食い込む抵抗が少なく火薬の圧力がピークに成る前に弾頭が前進を始めます、そのためピークになる時点が遅くなるため火薬をかなり大目に装填できますそれが初速の増大になります。
バーンズ弾頭は初速を出さないと命中精度が良くありません、それと何よりも初速が出ていないと威力が出ませんからXLCの方が初速が出やすいのです、しかしながら弾頭の軽い物、たとえば30口径で言えば140GR、とか130GRは弾頭が軽いので出やすくXLCにする必要がありません。
最もバーンズでもXLCにしているのは150GR以上の弾だけです。


Q79 火縄銃は、所持するとしたらどんな分類にはいります?適合実包もないと思います。口径に合えばどんなタマ(弾頭)でも撃てますし・・・00-11/14

これは銃刀法で所持は出来ません、火縄銃は猟銃では無いからです。
火縄銃は教育委員会の所管ですから火縄銃に登録証が付いています、銃刀法では人物に許可を与えているのに対して、火縄銃に許可を与えているとも言えます、従って前科があろうが無かろうが誰でも買えることになります。
しかしながら発射(射撃)には制限があります、研究目的、又はお祭りなど決められた条件でしか使えませんが、研究のための練習という事で射撃練習は出来ます、但し、火縄銃射撃の許可を得ている射撃場しか出来ません、近県では伊勢原射撃場、真壁射撃場などで撃てます。火縄銃の射撃をするためには日本ライフル射撃協会の傘下にある全装銃射撃協会に入会して、研究目的で使用する事が必要です。弾頭は鋳型で作るので大体のサイズはあります。


Q78 貴社でLAPURAの薬莢の販売は取り扱っておられますか?00-11/10

6ミリPPCのベース、22ラッシアンしかありません、それ以外のラプアは取り扱いをしておりません。
弊社以外でのラプア取扱店は
   銀座銃砲店    電話 03-3571-2639
   國友銃砲火薬店 電話 075-351-3037


Q77 トリガーはダブルステージとシングルステージで、使用上の目的により優劣はあるのでしょうか?(個人の好みは別として)00-11/10

ハンテングライフルはほとんどがシングルステージです、これは的を狙ってゆっくり絞り込んで撃つと言うことが無いからです、ベンチレスト射撃でもシングルステージです。
しかしながら、軍用銃、及びポジションシューテングの銃は全てダブルステージです、これは的をゆっくり狙って引き金を絞り込んで、ここで落ちると言う予告があって激発できるのでダブルステージが良いのです、これは個人的な好みではありません、ハンテングでもダブルステージを好む人も居ますが、これは個人のお好みです。


Q76 スコープによる長距離射撃等では、スコープ内のレティクル移動量の関係から鏡胴が30MM以上ないと難しいと、Q&Aにありましたが、使用弾頭の特性を認知した上で、たとえ100Mでゼロインした1インチ径スコープでも、クロスヘアーを標的の上方において(無論、ミルドット等の利用は必要ですが)射撃すれば、レティクル移動量に関係なく射撃が可能ではないでしょうか?00-11/10

勿論です、私は今年の猟期は北海道で1000メートル射撃にチャレンジしますが、300メートル正照準で合わせていますので1000メートルでヒットさせるには7メートル上を狙うことになります。


Q75 モリコート弾頭を使用後は、通常のクリーニング処置で構わないのでしょうか?(モリコートによる付着物を除去すろ作業が時々必要とも聞きますが) 00-11/10

通常の除去作業で充分です、モリコートを除去すると折角定着したモリコート(2硫化モリブデン)を除去することになり、再度モリコートが定着するまでクリーニングショットをしなければならなくなります。


Q74 アメリカの通販カタログを観ておりますと,良くライフル弾頭・拳銃弾頭の鋳型が販売されております.それを見ていて思ったのですが,ライフル弾頭に鉛管などを溶かして作成した鉛弾頭(鉛むき出し)を発射したとして銃身に鉛がこびりつくなどの悪影響はないのでしょうか.00-8/22

アメリカで販売されてる弾頭鋳型の場合、必ず弾頭のストレート部分に溝が切ってあります、実はここに潤滑剤となるワックスを流し入れるのです。
そのため鉛の弾を撃っても鉛が蓄積されることがないのです。
鉛弾を無煙火薬で撃つ場合はこれだけで何の問題もありません、射撃競技用の22口径弾頭は鉛ですが、何千発、あるいは何万発撃っても鉛は蓄積されません。


Q73 今猟期から銅弾使用とのことで,教えてください,銅弾にはコーテングしてるのと、してないのがあるようですがその違いを、教えてください。00-8/10

従来の鉛のコアの上にジャケットで覆った従来型の弾頭の場合と比較すると、全銅弾の場合ライフリングに食い込む抵抗が大きいので火薬の量を少し減さないと火薬の圧力が上がりすぎる傾向があります、そのため弾頭の表面にテフロンコーテングしてライフリングに食い込む抵抗を和らげようと言う目的です、またコッパーファウリングと称する銃腔内の銅付着も少なくなります。
さらに狩猟目的の場合、弾頭の初速を上げる必要もありますが、コーテング弾の場合初速を上げることが可能になりました。そうしたメリットがあるようです。


Q72 突然お客様から電話で質問されたのだが、「今月9月号の狩猟界、88ページに辻一献と言う方がライフル銃身のQ&Aを書かれていて、氏はその中でライフル銃の銃身長とグルーピングの事に付いて書いています、その中で氏の主張は、良く当たる銃身は24~26インチだと主張されております」が本当ですか?00-8/7

回答が長くなるのでコラム(銃身長と命中精度の因果関係について)に記述しました御覧ください。


Q71 続き 可能な場合、何時までに、銃番号が判明(警察に通知)すれば、良いでしょうか?00-8/6

銃を譲渡する時点で譲渡承諾書をお渡しします、つまり、銃番号で銃を特定するのは銃を警察が確認した後で良いわけで事前に銃番号によって許可するか否かの判断材料にはならないからです。


Q70 購入(所持)しようとしている銃の、銃番号が、判らない時点でも、警察に、所持許可申請を出す事は、可能でしょうか?00-8/6

銃刀法では申請時点で銃が特定できないときは譲渡承諾書の添付義務はありません、しかしながら当社では銃番号を空欄にして譲渡承諾書を添付しています、これだけでも充分親切なのですが、警察では、銃の全長と、銃身長を記載しろとか、銃番号を記載しないと受け付けないとか、全く法律に無知としか言いようのない様な対応をしていますが、本来は銃の種類、ライフル銃か散弾銃か、あとは銃の型式を記載すれば事足りる事なのです。


Q69 ㈱ファーイースト ガンセールス 殿では、例えば、私からのオーダーが無くても、Rem. 700ポリス を在庫用に、何丁かメーカーに、発注されますか? それとも、発注には、私のオーダーが、必要でしょうか?00-8/6

貴方のオーダーは必要ありません、当社ではレミントンに今期はじめに1億円、サコーに1億円、ブローニン
グに1億円の注文を出してあります、これが全部即納で入荷したら資金繰りで大変ですが、現実問題保管庫にも入りきれません、しかし、売れ線の商品は注文数の50~60%しか入荷しないのです、それも1年間で分納ですから3億円の注文をしても大丈夫なのです。
実際に入荷するのは1億5000万円くらいです。
レミントンの中でポリス仕様は売れ線です、ポリス仕様を日本で最初に入れたのは当社ですが、ポリス仕様は思いの外注文が多かったため全部の注文に応じきれないのが現状です。では何故メーカーは増産をしないのか説明しますが、銃砲業界は長い間構造不況業種だったため、レミントンの場合で言いますと、1種類あたり8000丁の注文がないと絶対に生産にかかりません、つまりコストダウンのため一切のリスクを背負わない態勢が完璧に出来上がっているのです、注文があるから工場施設を拡大すると注文が切れた時に倒産の危機が訪れるからです。


Q68 続き また、ゼロインの際、銃は委託するとしてより正確に行うとすれば、銃の委託にはベンチレスト射撃で使用されるライフルレスト等の使用がゼロインの精度上、有効でしょうか?

ご専門の一つであられるベンチレスト競技(極めて射撃諸要素に高精度を要求されると聞きます)では、ゼロインについてどのように対処しているのかも、教えて頂ければ幸いです。00-7/19
ベンチレスト射撃用のレストがゼロインには一番有効ですが、ベンチレスト射撃の場合、射撃の最中、試射的を撃つときは常にゼロインをやっているような物ですからクリックを移動してのゼロインはほとんどありません、これ以外の要因、つまり風をいかに読むかが最大の要因になります。


Q67 ライフルのゼロインについて、お聞き致します。一般には、ボアサイティングやスコープサイターでおおむね合わせ、射場で依託射撃をしつつ、微調整していくと考えていますが、これが基本にして最短の方法でしょうか?
初心者と築地さんなどのようなプロ的な射手ではゼロインが一応完了するまでに使用する実包(なかなの出費です)の数が違うと思いますが、コツや効率のよい手順というようなものがありましたら御教授下さい。00-7/19(改)

究極のゼロインはたった1発で可能です、最も最初の1発が標的に着弾するという条件は必要ですが。
では以下、究極のゼロインについて説明します。最初に標的の中心を狙い絶対に間違いないと言う自信の元に標的に1発だけ弾を撃ち込みます。次に銃を何らかの方法で固定します、私はベンチレストの台の上に銃をおいてバランスを取って保持します。
この場合標的の中心に照準を合わせておきます。次にスコープの調整ネジを動かして標的の弾痕の所にリチクルを移動させます、これで照準調整が出来ました。(コツはリチクルを調整するときに絶対に銃を動かさないことです)


Q66 所持許可がおりたのですが、これは、郵送でファーイースト ガンセールスさん宛に送るのでしょうか?FAXではだめでしょうか?00-7/15

銃刀法では銃の受け渡しは所持許可を提示して受け取る、所持許可の提示を受けて渡すとなっております。
ですからFAXで確認するのはお互いに違法になりますが、貴方の所轄の警察がFAXで確認するようにと行政指導してくれれば当社はFAXで確認します。


Q65 射撃目的で散弾銃を所持する準備をしている者です。貴殿のホームページに「所持許可申請をした際に調査と称して警察官が職場に来て上司にいろいろ聞いていく事例」が載っていましたが,警察官が自宅に上がり込んで来て家宅捜索の様に根掘り葉掘り家の中を調べていくことはありえるのでしょうか?私は独身で3年間1度も掃除をしたことが無く家の中はゴミ溜めの様な状況になっています。もし,そういうことがあるなら所持許可申請の前に家の中を1ヶ月ぐらいかけて掃除しておこうと思います。00-7/15

警察官が調査と称して家に上がり込むのは違法です、(貴方が承諾すれば別ですが)しかし、家の中はゴミ溜め状態なら警察では無く、保健所から指導されそうですね、はははははは・・・警察とは関係なく、家の中は綺麗にしましょう!


Q64 「ライフルリングのことを一般的に銃腔内にある「螺旋状の溝」と言っていますが、私にはどう考えても「螺旋状のレール」にしか思えないのですが、間違っているのでしょうか?
「螺旋状の溝」と言う場合、溝がなくても銃身内を銃弾が通過できる直径があり、その周囲に螺旋状の溝がある状態(エアソフトガンで言う「サイクロンバレル」)であり、溝を掘らないとないと銃弾が通過できないのは、どう考えてもおかしいと思うのですが・・・?それに、「溝に食い込ませて、回転をかける」と言う表現がありますが、溝と言うのは凹んでいるものだから、食い込ませるのは無理なので、「螺旋状のレール」と言うのが正しいような気がする
のですが00-7/13

私は今までの人生で溝に食い込ませてと言う表現をしたことは一度もありません、ライフリングの山に食い込ませるが正しい記述です。
溝があればその頂点は山ですから、山に食い込むのが正しい表現です。


Q63 以前から疑問に思っていたのですが、「ライフル銃」と、「ショットガン」と、 「ピストル」は、何を基準に分けているのでしょうか?このホームページに来るまでは、銃膣の中が平たんなのが「散弾銃」で銃腔の中に、螺旋状の溝が入っているのが、「ライフル銃」と、「猟銃等講習会」の時に聞いたままに思い込んでいましたが、ここのホームページを見ていると、ショットガンにも「フルライフルドバレル」なるもながあることがわかったのですが、そうなると何を基準にこれらの銃を区別しているのでしょうか?
できれば、「日本の基準」と、「アメリカの基準」を教えてください。00-7/13、00-8/16(訂正)

日本の銃刀法ではライフル銃にはライフリングがあるものと定義があります、これが日本の定義です。
アメリカの場合は、散弾実包を使用する物が散弾銃、ライフル実包を使用する物がライフル銃です。

ピストルとは別名ハンドガンと言いますので片手で撃てる物を言いますが明確な定義はありません。
カービン銃だって片手で撃とうと思えば撃てますし、バースト射撃の出来るベレッタ93Rは両手で撃つように出来ていますしね。


Q62 ライフリングの不思議
教授のカクタス射撃大会のレポートにもありますし、ビーマンのカタログもにライフリング数の記載があるのですが数字がいろいろですね。射撃の理論が完成されているとするならば、なぜ違いがでるのまた、教授の評価はいかが?00-7/11

ライフリングの数と命中精度との因果関係はありません、ライフリングの数はその製造方法で異なります、たとえばライフリングを1本ずる切削する場合はライフリングの数は少ない方が作業工程が少なくて済みます、ブローチみたいな刃物で1回で加工する場合、あるいは多くのカスタムライフルメーカーが採用しているボタン加工法の場合、ライフルの数が少ないと刃物にかかる負担が大きいのでライフリングの数を多くします、ライフルリングの数が多いか少ないかはこうした加工方法の作業性の為に違いがあるのです。


Q61 スコープでツアイス以外は倍率を調整すると着弾が変わるのは本当ですか、つまりツアイス以外のスコープで200Mで8倍合わした着弾点を今度は5倍で撃つと着弾点が変わるのは本当ですか、ツアイスはそのために倍率を調整するとクロスが前後するのだそうです。
私は今ツアイス以外のスコープを使っていますが信じられない話と聞きました。00-7/8(改)

私も信じられません、ズームのスコープの倍率を変化させると弾着が変化するのは本当です、これは視差(パララックス)と言いまして、倍率を変化させるとリチクルと映像の交差点が少しずれるのでどうしても違いが出るのです、この視差が一番少ないスコープはリューポルドです、ツアイスは少ない方ですが、全くないわけではありません。
ツイアスの特徴は、レンズが明るいこと、コントラストが良く表現されていることがその特徴ですが視差については多少存在しています、これはツアイスの使用目的が狩猟なので狩猟目的から考えると理にかなった性能です、リューポルドは視差は少ないのですがレンズはツアイスと比べると明るさは落ちます、しかし視差はツアイスより少ないと思います、そのため多くの狙撃用、ベンチレスト射撃用に採用されているのです。
ツアイスはそのために倍率を調整するとクロスが前後するのだそうですと言うことですが、リチクルの移動量は1ミリ無い位の微妙な誤差ですからそれを調整できるスコープを作るくらいなら、徹底的に調整して視差の無いスコープを作る方がよほど理屈にかなっています、ですからこれは嘘です。

どのくらい視差があるのかを簡単に見分ける方法を説明します。
銃を完全に固定して、スコープの倍率をどちらか一方に回しておいてください、最高倍率でも最低倍率でもかまいません、完全固定したままそのまま何かを狙ってください、狙いが定まったら倍率を反対側にいっぱいまで回して見てください、狙点が少しずれていると思います、これが視差です、通常のスコープは100メートルで1センチほどの視差がありますがこれは交差内の視差です。


Q60 自分でできる銃の改造についての法律的な判断をお教えください。
1:散弾銃のレシーバの彫刻を削り落とし、染め直す。
2:散弾銃のレシーバにスコープマウントが付けられるように工作する。
3:1、2を行うために、自宅とは別の作業場(会社の工作室や友人の家)などにレシーバを運ぶ。
4:1、2を行うために、3の場所で実際に工作をする。
所持許可を持っている散弾銃のレシーバを自分で上記のようにした場合、法律上問題があるでしょうか?
5:伸縮するストックをアメリカにいる友人に送ってもらい、日本で最大に縮小できる長さを所持している銃の全長に合わせて、それ以下にできないように工作して銃に取りつける。きくところによると、銃の製造免許が無いとダメらしいと聞いています。00-7/8

1:これは自分でやっても問題ありません。
2:これは自分でやっても問題ありません。
3:銃が自分の管理下にあるので問題ありません。
4:銃が自分の管理下にあるので問題ありません。
5:これは法律の抜け穴があるのでお教えます、元々銃に付いている銃床を改造すると銃の製造になり免許が無いと出来ませんが、銃床を単なる部品として入手した場合、それ自体は銃ではないのでどの様に改造しても違反ではありません、たとえばそれを第3者が加工したとしたら全く問題は生じませんよね、で、改造したその銃床を自分の持っている銃の取り付ける場合、全長に変更が無ければ銃床を取り替えても違反ではありません、話の内容から察するとAR-15の銃床を変えようと考えていますね、今の方法でやると合法ですのでガンバって下さい。


Q59 続き 最小修正量は? (一般的に)どちらが何に向いている?00-7/8

ロングレンジスコープはロングレンジの射撃用ですから最小調整量は通常のスコープと同じ1クリック1/4ミ
ルです、ですから1クリックで100メートルで6ミリ程度の移動量ですので通常の使用には何の問題もありま
せんが、軍用スペックのMark4は1クリック1ミルですから移動量はむちゃくちゃ大きいです、私自身も使った
ことがありますが、射撃用の標的の場合、3時方向の9点ギリギリに着弾した弾痕を調整しようとして1クリッ
ク動かすと10点を超えて9時方向の9点に当たったりします、見た目は軍用タイプはカッコいいのですがリチ
クルの移動量の大きさには閉口します。

ちなみに1ミルとは1000メートルで1メートル(約)ですから精密射撃のレベルと言うとかなり荒っぽい修正ですが軍隊ではこのくらいの移動量でないと実用的ではありません、軍隊で使う火砲の場合、何も目標の中心に着弾しなくてもインパクトゾーンが大きいので目標の破砕と言う目的は果たせます。

いずれのスコープもボデーは40ミリと巨大ですが、これは長距離射撃の場合、中のリチクルの移動量が大きいのでボデーを太くしているのです。

ちなみに当社扱いの値段は、
Mark4 M3-10x40mm(matt)
Duplex \188500
Target Dot \188500
Mill. Dot \202500

VariXIII 3.5-10x40mm Long Range M3(matt)   
Duplex \120700
Target Dot \126500
Mill. Dot \134500

参考までにリチクルの光る、イルミネーターリチクルの場合。

VariXIII 3.5-10x40mm Long Range M3(matt)   
Illum.Duplex \154500
Illum.Mil. Dot \173000


Q58 スコープのことで購入のための情報を下さい。貴社のHPに掲載されていたカタログを基に、候補を選定しております。ただ、細かいスペックについては、見えない部分が多く、若干苦慮しております。近所の銃砲店で探したのですが、どこもカタログを置いてない状態でした。現在リューポルド社のスコープを2種を候補にしております。お忙しいとは思いますが選定材料を下さい
1、Mark4 M3-10x40mm(matt)
2、VariXIII 3.5-10x40mm Long Range M3(matt)
上記の各スコープについて教えてください 重量は?00-7/8

Mark4 M3-10x40mm(matt) 595グラム
VariXIII 3.5-10x40mm Long RangeM3(matt) 623グラム
この際重量は無視して考えて良いでしょう。


Q57 ハイマウントの大口径スコープは不適、ベタベタに背の低いスコープが実猟にはベスト
*これも射程距離の短いシ○ープ社や○ーワの銃のことでしょう。長距離射撃・精密射撃をするにはライフル用で良い(高い)ものを選ぶほうがいいに決まっていますよね?00-7/8

いや、マウントは低い方が頬付けもしっくりいくので低い方を選択すべきです、最もマウントが選択できればの話ですが。


Q56 スコープマウントに取り付けるさい、スコープの接眼レンズと目の距離にベストな距離ってあるの?私の実験では一番短い(近い)位置にするとかえって見にくいようなのですが、あまり離しても顔が迎えにいってしまうし。自分で納得いく位置(見やすい)にするよりないの?00-7/3

アイリリーフの長さは設計で決められていますが、何と言っても自分が一番見やすいところがベストです。
もう少し解りやすいポイントはスコープを前後させて、レンズの周りに影が出ないところ、そこが最良のポイントです。


Q55 私のホームグランドにしている射撃場は散弾銃のトラップとスキートの射面しかありません。
スラッグ(サボット)による静的射撃をする射面が無いのです。そこで、質問ですが、トラップ(スキート)射撃場でスラッグ(サボット)を撃つと銃刀法違反になりますか?
飛翔するクレーを狙って撃つつもりは毛頭ありません。トラップ(スキート)射撃場の山の斜面(弾止めの斜面)に、試射という名目で撃つこと(サイト合わせすること)は銃刀法的に許されるのでしょうか??00-7/1

射撃場で指定した装弾以外を撃つと銃刀法違反を問われます。絶対に撃たないようにね。
いかなる理由を付けても違反です。


Q54 許可申請に全長を記載する時可変長ストックはどうなるのでしょうか?銃の長さが変わってしまう可変長ストックは許可されないのでしょうか?00-6/29

銃床は一番短い状態で計測します、可変長銃床が規定より短くなる場合は、接着剤、溶接等で固定すれば使えます。


Q53 ペラッチを購入しようと思うのですが、銃砲店で平行輸入物は日本人向けの銃よりは銃床が長いと言われましたが銃床の切りつめは可能でしょうか。00-6/26

これも、銃砲店が輸入代理店から高いペラッチを購入させようとして言っているヨタ話です、ペラッチは銃床サイズだけでなんと、1番から40番まであります、勿論、スキート用とトラップ用を合わせた数ですが、この中に何処にも日本人用と言う仕様はありません、それは常識で考えれば解ることですが、日本人にも色々なサイズがあり、日本人向けと一言でかたづけられたら馬鹿にされているのと同じではありませんか? 

小さなアメリカ人もいれば、大きな日本人もいます、それが現実ではありませんか?

当社では希望があればペラッチに規定仕様の中からご希望の銃床を取り寄せますが、銃床の調整はかえって日本で撃ちながら調整する方がより合理的だと思います、銃床の切りつめはペラッチの場合は¥12000です。

ペラッチでは如何に色々なサイズの銃床を取りそろえてあるか、以下のページでご覧頂けます。
http://www.fareast-gun.co.jp/catalog/images/Perazzi2/Perazzi2_100-101.jpg

このスペックを見た後、日本人サイズなんて事を言うと外国の選手からは馬鹿にされかねません、貴方が本当に希望するのは日本人サイズではなく、貴方に最適のサイズでは無いでしょうか?
それは国籍には関係しませんが!!


Q52 レミントンの散弾銃を買おうとして、近所の銃砲店で築地さんの話をしたら、平行輸入物は銃床が外人向けだからサイズが大きいと言われました。日本人向けの銃とどの程度違うのでしょうか?00-6/26

レミントン社では、日本人向けの銃は作っておりません、レミントンの場合ライフルと散弾銃が約100種類あります、これだけの種類がありながら1種類の注文が8000丁を越えないとレミントンは製造にかかりません、勿論単一モデルで8000丁ですから、こんな会社が100種類それぞれのモデル毎に日本人向けの銃を作れるわけがありません。日本の代理店は一体何丁買っていると思いますか、残念ながらちょっとしたアメリカのデーラーより少ない数しか輸入できていません。これはアメリカの一銃砲店が、当社向けの銃はレミントンの特別注文だと言っているに等しい話です、それに単純に考えて、日本人はそんな単純なサイズでしょうか?

大きい人も、小さい人も、色々居ますよね、一体日本人向けと言うサイズが存在したとして身長、体重、年齢、射撃フォーム、一体どれを参考にしたか聞きたいくらいです。
逆にその銃砲店に日本人向けサイズの基準を聞いてみたら如何でしょう? 

元々そんな基準が無い以上簡単にボロが出ると思いますが。


Q51 Q&Aで少し触れられていましたが、何かのミスで、弾頭が銃身内に停滞した場合、先輩連の対応策が二分しております。
(1)銃口からロッドを差込み、クラウンをかばいながらもたたき出す。(これを、やっているのを見た事はありますがかなり重労働のうえ、銃が壊れそうであまりやりたくないような)
( 2)薬莢に装薬のうえ、弾頭をシートせずちり紙で詮をして、「手製空砲弾」をつかい、一発撃つと弾頭が飛び出す。無論矢先は標的に向けて作業する・・・・というのですがそんな事をしたら、異常高圧で死ぬともいう人もいます。00-6/25

薬室側から押し出すのなら可能性はありますが、銃口側からはやらない方がいいです。
(2)の方法も採用しません、何故なら弾頭が銃口付近にあると火薬が燃焼しない可能性があります。


Q50 タンブラーのコンセントプラグは、三極(国内の家庭用プラグと違いますので)式なので、何らかのアダプターを家電屋かなんかで購入して併用するのでしょうか・・・?不要なら、丸棒の電極を無視して使って大丈夫でしょうか?電気オンチなのでアドバイスをお願いします。(もしかしたら、同じようなお客さんがいるかも・・・)00-6/25

DOS/V系統のコンピューターのほとんどがそうですが、アース用の丸棒が2極の外に付いています、パソコンショップに行けばこれに対応するソケットが売っていますので購入して使ってください、気の短い人は丸棒をペンチでねじり取っても使えます。


Q49 また、膝射や伏射でも、狩猟用のスタイルなどは競技用と異なるものが存在する(技術は最終的には形でないので名人はオリジナルなスタイルを持っているでしょうが、基本として)のでしょうか。大口径はレミントン700でオリジナルストックで射撃していますので、狩猟射撃スタイルも研究してみたいのですが、そのような参考文献はあれば教えてください00-6/24

狩猟用の射撃姿勢と言う物は存在しません、それぞれ勝手に撃っています、従ってあまり参考にはなりません。
参考文献としてはこのQ&Aを越える物は存在していません。


Q48 ライフル射撃術について日頃よりの疑問があります。私は、競技射撃オンリーですが、立射の競技スタイルに対して、狩猟等では右ひじを水平にしたスタイルが多い(軍隊射撃も)のは、単に移動目標を追いやすいのためでしょうか?00-6/24

これは銃床の形状によります、軍用銃の銃床は、ガーランド、M-14、38式、k98、いずれも銃床の折れを防ぐためあまりグリップが立っていません、これらの銃床を握ると必然的に肘が高くないと使えません、従って軍隊では盲目的に射撃姿勢は肘を上げさせます。しかしながらM-16等のピストルグリップでは肘を上げると逆に使いずらくなります、射撃銃の場合もそうですね、従ってこの場合は肘を上げないのが正しい使い方です。移動的の問題ではありません。


Q47 トリガーに各社あるようですが、1kgから2kgまで使用状況に応じて(それ自体おかしな事ですが)射手が簡単に可変できるようなものは存在しますか?00-6/24

いずれの引き金も多少の調整は出来ますが、1キロ~2キロと言う変更幅はないですね。


Q46 ブッチボーシャインの毒性は、かなり強いのでしょうか?(まあ、飲む人はいないと思いますが)使用上、注意点があればよろしくお願いします。00-6/24

成分に付いては秘密で教えてくれないので毒性の程度に付いては把握出来ませんが、アメリカで販売されている位なので人体に毒性があるとは思えませんが、アメリカからの輸送は禁止されています、運搬中に破損したときに問題が出るのでは無いかと考えています。基本的に、銅、鉛、を溶かす溶剤ですから飛行機に大量に搭載するのは破損の事を考えると問題なのかも知れませんが、詳細は不明です。


Q45 似たような質問になりますが、ステン銃身等を黒染めするのは、銃腔内に溶液が入り精度を落とすとのので宜しくないとのQ&Aの記事を拝見しましたが、ある銃砲店の店先の会話で、銃口にコルク詮をしてアメリカではやっているとか・・・聞いたことがあるのですが、この点如何でしょうか?00-6/24

アメリカでは、テフロン塗装が主流です、ステンレスの黒染めをやっているのは世界中でも私だけでは無いでしょうか(多分?)


Q44 パーカーライジングは一種の腐食処理と聞きましたが(したがってステン銃身には不可と聞きます)、ほんとうでしょうか?また、パーカーライジング仕上げの銃器(たとえばレミントン700PSSなど)は、銃身交換の際、同処理の換え銃身は手に入るのでしょうか?(可能なら費用はいくら位でしょうか・・・?)00-6/24

パーカーライジングはステンレスには反応しません、レミントンではライフル用の換銃身は販売しておりません。


Q43 もし銃が盗難にあって、事件などに使用された場合、被害者に損害賠償しなくてはならない。との事です。盗難の状況にもよるのではと思うのですが、本当にそのようなことがありえるのか、あったのか、また対策、保険等など教えていただければ有りがたいです。00-6/22

玄関に銃と一緒に弾も放置しておいて銃を盗まれた場合、(論外な話ですが)そうした場合管理者責任と言うことを問われることはありますが、ちゃんとガンロッカーに収納して盗難に遭った場合はその様な事にはなりません。
ま、早い話警察の脅しですね、


Q42 いつも興味深くホームページを拝見しております。私は、散弾銃二丁(スポーティング銃、ガスオート)と狩猟用空気銃一丁(現在申請中)を所持しております。所持歴はまだ3年目の初心者です。
ライフルに興味がありますが狩猟のためには10年以上の経験が必要だし、また、10年の経験があっても法的には問題はなくてもなかなか申請許可がおりないと聞いております。(私には職業柄警察と喧嘩する勇気がありません)で、質問なのですが、現在申請中の狩猟用の4.5mmの空気銃でライフル協会に所属し公式戦とかに出場して、実績で小口径、大口径と進み、そのうち狩猟経験が10年以上たった地点で用途欄に狩猟・有害鳥獣駆除を書き加えてもらうことは可能ではないでしょうか?
 狩猟用の空気銃でライフル協会の公式戦に出場できるのかわからないのと、また、そのようなうらわざ的な変更はできないような気もするのですが、いかがでしょうか。00-6/17

ライフル銃の所持許可申請に対して、警察官と喧嘩する必要はありません、単に申請するだけですから元々喧嘩になる要素は皆無ですが、何らかの理由で極力穏やかにやりたいと言うのなら一応その趣旨でお答えいたします。

狩猟用の銃でライフル射撃協会の公式戦に出ることは、最初からかなり浮き上がった存在になることは間違いありません、ライフル射撃競技ではライフルスコープは使えませんから、ピープサイトを取り付ける必要があります、勿論フロントサイトも取り付けなければなりません。その上射撃コートは必需品ですからこれだけのお金を使うのなら最初から中古の射撃専用銃でも購入した方が間違いなくお買い得です、射撃専用の空気銃は中古なら1~4万円であります。
空気銃でライフル射撃協会の段級審査の5級に合格すれば推薦を受ける資格が得られますが、射撃協会によっては初段を取らないと推薦をしない協会もありますのでご注意下さい。

小口径の中古銃は以外と少ないので新品を購入する必要があります、この段階で30万円くらいの予算を考えておく必要があります、最低1年、年4回くらいの大会参加を果たし、スモールボアで初段を取ると大口径の推薦を受け付けてくれると思います。

大口径の推薦を受けるときにライフル射撃協会に誓約書を提出しますが、その誓約書はライフル射撃協会の推薦で取得した銃は狩猟目的には使わないと言う内容です。
狩猟目的に使った場合推薦を取り消す事があると言われますが、火薬銃の経験が10年経過した時点で(狩猟の経験が10年ではありません)狩猟用の目的に変更する事は、少なくとも法律的には可能です。
射撃協会に対しては背信行為と言う側面はありますが!


Q41 大阪で銃の所持をするのは他府県には無い苦労があります。今一番心配していることは、大阪では散弾銃による実猟の経験が10年無いと限定解除ライフル(日ラでは推薦状を出さないセミオートライフル銃)の所持が出来ない事です。銃刀法の本(警察と対等に渡り合うため、一民間人が警察しか買わないような本をわざわざ買いました)で勉強した限りでは猟銃の所持10年でライフル銃の許可申請が出来るとしか書いてありませんでした。(何処か見落としていますでしょうか?)。
22LRの単発式ライフル銃といえど日本では猟銃と言っていますし、そこから考えると限定解除ライフルも、日ラ推薦のライフル銃を所持した時から10年たてば申請出来るはずではないでしょうか。私の解釈でいくと後4年でセミオートライフルの所持が出来るはずなのですが、いかがでしょうか。 00-6/11

大阪府警察本部がもし、その様な事を言っているのであれば、単なる間違いでは無く、明らかに大阪府警察本部の法律違反です。
警察が法律にないことをあたかも法律であるかのごとく指導した場合は、警察官職務執行法違反ですし、公務員法違反になります、もし申請を受け付けないとなると行政手続き法違反となります。

ちなみにわざわざ銃刀法の本を買わなくても http://www.normanet.ne.jp/~hourei/ で銃刀法や行政手続法を閲覧することができます、皆さんの権利を守るのは、猟友会でも、日本ライフル射撃協会でもありません。
勿論、警察でもありません。

皆さんの権利を守るのは、日本国の法律です、法律を徹底的に読み込んでください。

関連法律をUPしました銃器のコラムを御覧下さい。


Q40 Q39.上記の回答は正しいのでしょうか?
4・28の経験者講習会(神奈川県警)で講師がこの話に触れ、アメリカ軍の設備で銃を撃つのは外国で銃を撃つのに相当し、違反ではないが、アメリカ軍の設備まで銃を持って行く事は"銃器の運搬"に関する所で法律違反になるので、実際上は銃(自分の)は撃てないとと話されたが、どうなのでしょうか? 00-6/11

この中にはいくつかの間違いがあります、米軍施設内は外国ではありません、その理由は日本の警察権が及ぶと言うことです、実際上は米軍憲兵隊と、警察の合同運用になりますが日本の警察権が及ぶ以上外国と言い切るのは間違いです、米軍施設の運用は日米地位協定により運用されており、その解釈については法律の条文を熟読するしかありません。銃器の運搬に関しては、"用途" があれば良いわけでそれを以て違反と解釈するのは間違いです。


Q39 在日米軍の友人に座間キャンプ内のクレー射場へ撃ちに来ないかと誘われています。彼らの銃を借りて撃つ分には問題ないと思うのですが、自分の銃を使用して撃つことは合法なのでしょうか?

所轄の担当者が良い人で、県警本部に電話してもらったところ、「何とも言えない」(即答出来ない)というお答えを受けました。やはり公安委員会指定の射場でなければならないのでしょうか。"たぶん"というお話でも構いません。ご意見を頂けると幸いです。
合法です。この件に関しては当社の顧問弁護士から警察庁あて疑義照会をして警察庁から合法との回答を得ています。
何しろ米軍のキャンプ座間に銃を納入しているのは当社ですから。


Q38 RCBSマスターリローディングキットを購入したいのですが、223を6x45にネックアップするダイも合わせて購入できるでしょうか?

ダイスは¥6500で販売します。


Q37 私の効き目は左眼のため,照準に支障をきたしております。リブ付銃身ならばアキュポイント等のプラスチックファイバを用いた照準補助具が使えますが,この銃ではそうもいきません。
照星照門もありませんので,ダットサイトやホロサイトを使うことを考えていますが,効果は有るのでしょうか?また,装着にはサイドマウントベースを用いるか,機関部へ直接ネジ止め(レールを介して)する方法のどちらが良いでしょうか?

ダットサイトやホロサイトを使っても効き目が違うと使い勝手が悪いものです、右目が視力が無いのなら別ですが、単に左目が効き目と言うだけなら、左目を閉じれば問題解決です、完全に閉じなくても、いわゆる半眼に閉じるだけでも効き目は右側に移動します、射撃練習の時に左目だけにレンズの入ったサングラスを使うと段々効き目が右目に変化します。
一番理想的なのは銃身の上にマウントベースの付いているカンチレバー式銃身を使うのが最良です。
何故なら、870の場合機関部と銃身は一体ではありません、そのため機関部の軸線と、銃身の軸線は必ずしも一致していないからです、また射撃の際に僅かながらガタがあるためチャントしたところに当たりません。
機関部にサドルマウントを取り付けるとスコープの位置が高くなります、機関部にベースをねじ止めするとスコープの位置は低くなりますが機関部にねじ跡が残ることになります、どちらが良いかはご自分のお好みです。


Q36 最近教授はピストルグリップは合法とホームページ上で明言しすぎです、お上の反感をかって禁止にならないか大変心配してます。「ピストルグリップが合法なのは以前から知っていましたが、こうも大々的に宣伝されると反響の大きさから法律を変えようとゆう動きが出ないとも言い切れないと思いますが、いかがですか、そうなったら責任とってよね!」と言いたい。

法律を改正する必要があったのならとうの昔に改正すべきでした、すでに多くの人がこうしたたぐいの銃を所持している現状からかんがみ、法律改正への動きはそれなりに相当大変だと認識しています、法律は改正されないとは断言はしませんが、改正するには相当大変だろうと私は思います、この辺の事情はあまり詳しく書けませんが、今になって私がGUN誌に広告を出したと言うことはそれなりの確信があってやっていることです。


Q35 続き もしそうなったとして、既に所持している場合はどうなりますか?

憲法には不訴求の原則と言う事が明言されています、これはとても大切な事です。
憲法は法律の中の法律ですからこれを越える法律はありません、不訴求の原則とは、ある時法律が出来てもそれ以前にさかのぼって法律違反を問われる事がないと言う大原則です。
これがないと、法律への信頼感が失われるので、法律の根幹をしめる大切な条項なのです。
ですから今許可されていることは、将来法律が変わったとしても罰せられる事は無いのです。


Q34 掲載終了


Q33 外国の通信販売のホームページを見ているとイヤープロテクターにマイクがセットされている「エレクトロニックマフ」などと称した物が$150前後で販売されています、通常は会話や獲物の動きはよく聞こえ、銃を発射したときだけ一瞬にして音をカットするとうたっていますが。 これの効果のほどはいかかでしょうか? 難聴防止として実際の狩猟で使用できるものなのでしょうか。

この種のイアープロテクターを最初に採用したのはアメリカ陸軍砲兵部隊です。
砲兵は座標の指示通りに砲身を向けて発射しますが、座標の指示は無線士が口頭で指示します、しかし射撃の瞬間は衝撃波を避けるため後ろ向きになり、耳栓をして、なおかつ口を開けて衝撃波による空気圧の変化に対応させ、それからトリッガーを引きます、本当は耳栓を付けたり外したりしないと作業しにくいのですが、ほとんどが耳栓をしたまま作業します、その作業用に開発されたのがイアーマフにマイクを仕込んだイアアープロテクターです、結局米軍物は入手できませんでしたが民間用に販売されている「エレクトロニックマフ」を購入して使っております。
最初は重たい物しか販売されていなかったのですが最近は比較的軽量の物も売られるようになりました。この構造上どうしてもバッテリー内蔵式ですのでバッテリーの重たい物は閉口します。射撃には必需品ですが、狩猟には使えません。
テレビで放映されているF-1レースなどにも無線機内蔵のイアープロテクターが使われていますが、あれも利用することが出来ます、モトローラ製が一番流通していますがあれを使うと射撃中に会話も出来ます。


Q32 例えばリロードの失敗で火薬の量を間違え、それを発射し、銃口内で弾頭が留まり、射手がそれを知らずに次弾を発射した場合どのようなことになりますか。またそのようなことが実際に起こったことを聞いたことがありますか。

リロードの際、一番多いのが火薬の入れ忘れです、雷管を付けて火薬を入れようとしたところで電話に出る、あるいは子供を風呂に入れる、あるいはムラムラと来て思わずオカーチャンを押し倒す、色々なケースが考えられますが、リロードの最中は出来るだけムラムラ来ないように注意しましょう。
火薬を入れないで撃つと、雷管は点火しますが弾頭を押し出す程の力はありません、多くの場合ライフリングに食い込むところで弾頭はストップします、滅多にありませんが、もしライフリングに食い込めば弾頭は発射されます。
しかし、何かの加減で途中で停弾したとき次弾を撃てば間違いなく銃身が破裂するか膨らみます。
ライフルの場合、それが理由で銃身破裂が起こった事例は私は知りません。


Q31 銃床については「全長が変わらなければよい」ということは、勝手に変更しても良いってことですね。もっとも、技術も金もないので理屈だけですが?替え銃床なるものを造って時々替えてもいいんですね?しかし、簡単に取り替えできるものなの?

全長が変わらなければ銃床を交換するのは自由です、こういう風に書くと、サムホールをピストルグリップに交換しても良いの? と、聞かれそうですが、実は・・・・・良いのです。 
簡単に取り替えられるかどうかは銃によります、たとえばAR系統の銃の場合、セレクターのスプリングがピストルグリップの中に入っていますので、ピストルグリップの交換は先にセレクターを外して、セレクターピン、そしてセレクタースプリングを外す必要があります、それと比べるとFAL系統は簡単です。


Q30 私の銃身はスキート絞りで狩猟には使い難いので替え様かと思っています。あと2年でライフルが持てる様に成りますがライフルの危険性を考えると国内(北海道を除く)での狩猟にはスラッグでも十分ではないかと思いますが・・・でも300メーターの射撃もやってみたいしいま迷っています。

散弾銃でも充分危険性はあります、ライフルの危険性に着眼するなら散弾銃の危険性も把握する必要がありますが、ライフルの危険性を認識できれば使う資格はあると考えます。


Q29 銃身長について。銃身長についての理論はあるの。なにと一緒で長けりゃいいってもんでもないと思うのですが。いかがただ、太いのはとってもいいって教授が書き込みしてましたっけ?ショットガンとライフルでは銃身長がおよぼす影響は違うの?

ライフルの場合、命中精度の阻害要因となる物にバイブレーションがあります、太いとか、長いとか、バイヴとか、怪しげな言葉が飛び交っていますが、長いよりも太い方がバイブレーションが少ないのでライフルの場合は命中精度が良いのです、ショットガンの場合は銃身が長いと初速の伸びがあるのでロングレンジの場合は有利です。


Q28 先日人間ドックで左耳難聴と判定されました。撃ち過ぎかしら?イヤー・プロテクターなるもの全く使用していなかったもので、某紙によれば治らないとのこと?これからは使おう。さて、耳栓タイプとヘッドホンタイプどちらがオススメ?推測ではヘッドホンタイプが高価(効果)有りそう。

やはり左耳がイカレましたか、ショットガンやライフルを撃つと、左耳がイカレ、ハンドガンを撃つと右耳がイカレます。
私の場合はテーンエイジャーの頃、米軍でさんざんガヴァメントを撃っていたので最初に右耳がイカレ、その後に左耳がやられました、そんなわけで左右の耳が難聴です。耳栓タイプはショットガンの場合は効果がありますが、室内で撃つライフルの場合は何の役にも立ちません、当然ヘッドホンタイプが一番優れています。


Q27 銃器設計の天才ているの?某雑誌によれば「ジョン・ブロ-ニング」とありましたが、他にはだあれ? 私の一押しは「築地 恵」なんちゃって・・・・・

私もジョンブローニングが最高のガンスミスだと思います。
しかし私も偉いではなくて "エロイ" ガンスミスと言うことであれば、私も国内ではそこそこのレベルに達すると思います。


Q26 スコープメーカー「HAKKO」の評価は、たしか教授のHPのオススメには出ていなかったと思います。すなわち、「評価に値しない」と言うことですかな?

私の口から言うと営業妨害になりますのでコメントしませんが、少なくとも私は使っておりません。


Q25 GUN買い付けのキンパツおいしそう。gunビジネスに女はつきもの?私もGUNディラーになりゃよかった。デッカイおっぱいたまりまへんな~

あの、"ブニュー" と押し付けられているオッパイの感触を想像してみてください。
ここで質問です、あのオネーチャンの陰毛は何色だったでしょう? 
ヒントはコラムの大藪さんと私を読んでください。


Q24 所持許可だけでも、世界一?厳しいのに製造となるともっ と難しい?それともたいしたことない?

以外と簡単に製造許可は取得できます、これは許可をする主務官庁の考え方により大きな違いがあります。
銃砲所持許可は、警察庁が担当しており、もともと禁止されている所持を、例外を以て所持させると言うのが法律の骨子ですが、銃の製造許可をする通産省は銃の製造をとおして産業を育成すると言う考え方ですから、もともとの発想に根本的な違いがあります。


Q23 築地さんの設計でカスタム銃を作成するとすれば、いかほどになりますか?00-9/16 改訂

散弾銃の世界で言うとジェームスパーデイあたりの値段が一番高いと思いますが、銃身などは専門のメーカーに製造を依頼するのが品質とも最高の物が出来ます、従って銃身素材は外注、それを仕上げるのは自社、機関部は自社、銃床、彫刻も自社で加工するとします、どんなに手間をかけても銃を仕上げるのには1~2ヶ月です、彫刻が3ヶ月でしょう、銃床は1週間ですね、これ以上手間をかけて作ればそれは経済の原則を無視して製造する趣味の世界の仕事です。
従ってジェームスパーデークラスの銃でも、工場原価は300万円~500万円でしょう、販売価格600万円~1200万円、これが世界最高の値段でしょう。
ライフル銃に関して言えば、もっと単価は安くなります、彫刻の無いプレインの銃の場合は工場原価60万円くらいが最高でしょう、販売価格で言うと120万円くらい、これ以上はボッタグリ価格と言うべきでしょう。
しからば私がその値段で世界最高の銃を作れるかと言うとそうではありません、世界最高の銃を作るには当然工場設備が必要です、最先端の機械を導入して工場を建設して、製造した場合、機械の稼働時間で物の値段が変わります。
機械の稼働時間の短い工場はその負担分がすべて製品に加算されていると考えるべきです。
私が思うに、ハンテングライフルではダコタ、ベンチレストライフルに関してはケルブルーあたりが最高の製品を作っていますが、国内販売価格はダコタで80万円、ケルブルーで50万円くらいですから、これ以上値段の高い銃を作っても意味は無いことになります、カスタムに着手するかどうかは、これ以下の値段で作れるかどうかにかかっています。


Q22 海外には過去にも、現在も名銃とよばれるものがあるのに日本には名銃と呼ばれるものはないの?

散弾銃の世界では、かってカスタムと呼ばれるレベルの散弾銃が存在しました、ほとんどが水平2連銃ですが世界的に見ても一流の中で上中下のクラスで言うと、一流の下のクラスでした。
しかしながらこの頃のガンスミスは全て分業で作業していますので、銃身を作る人、彫刻をする人、銃床を作る人、機関部を作る人、の分業作業です、いわゆる機関部を作る人が製造元になり、その人の名前で銃が販売されました。

私は、現在数多くの中古銃を取り扱っていますが、1000丁くらいの中に1丁くらい、そうした昔のカスタムガンに出会うことがあります、その多くが相当使い込まれていますので逆にその銃の真価が分かりますが、銃身に関してはあまり出来は良くありません、外見加工は綺麗なのですが銃身を真ん中あたりで切断すると、変心の度合いが大きいのです、外径に対して内径が必ずしも中心に空いていません。最も如何なる銃身でも穴あけ加工の時は必ず変心します。問題はその公差なのですが、当時はあまり精度の良いガンドリルマシンが無かったとみえて、そのずれが現在の銃と比較すると大きいようです。機関部と銃身のロッキング部分は現在の銃と遜色はありません、彫刻も、当時は腕の立つ彫金師が多く存在していたと見えて現在の物よりも優れた彫刻が数多く見られます、最もイタリアなどの彫金と違い、日本の場合は獲物等の彫金は伝統的にあまりやりませんから刀の鍔や、根付けなどに使われた技法が認められます。
銃床材料は如何なる名銃も最低の素材しか使われておりません、当時は材料の入手は不可能に近い事だったのかも知れません。


Q21 ライフリングの不思議?築地さんのカクタス射撃大会のレポートにもありますし、ビーマンのカタログにもライフリング数の記載があるのですが数字がいろいろですね。射撃の理論が完成されているとするならば、なぜ違いがでるのまた、教授の評価はいかが。

ライフリングの数と命中精度の因果関係はありません、(キッパリ)
しかしながら何故ライフリングの本数に違いがあるかと言いますとその製造方法に理由があります、ライフリングを刃物で1本ずつ削る場合は本数が少ない方が作業効率が良いのはお解りですよね、そうして作った銃身の場合、4本くらいのライフリングで済ます場合もあります。ところがブローチ加工と言いまして一気に全てのライフルを削って作る場合、ライフルの本数が少ないと逆に刃物に与える負担が大きいので幅の狭いライフルを何本も付ける場合もあります、こうした場合8本のライフルもあります。
中には従来のエンフィールド型ではなく、ポリゴナル銃身みたいに角を全く持たないライフルや、ラチェット型と呼ばれる形状の物もあります、あるいはある種のカスタムバレルの場合、3本ライフルと言う物もあります。
いずれの銃身も命中精度に優劣はありませんが、ライフルの本数が少ないと、あるいはポリゴナル形状のライフルの場合、ライフリングに食い込む抵抗が少ないので意図的に内径を小さく作らないと十分な火薬の圧力上昇が得られないので通常の内径で作ると当たらなくなります、内径を小さく作ると通常の薬室リーマが使えないので加工上不便な一面もあります。ライフルが多いから当たると言うのはメーカーの与太話です。
本気で信じている射手がいたら単なる無知ですから無視してかまいません。


Q20 築地さんの所に銃を修理に出すときに宅急便を使ってもし、送った銃がなくなった場合の責任はどうなるのでしょうか?教えてください。

これは運送業者の責任です、ですからあまり扱いたがらないのです。
ついでに銃刀法上の解釈について説明します、銃は必ず自分の管理下におかなければ成らないと法律で定めていますが、銃を運送業者に委託した時、管理下にあるかどうかの解釈ですが、これは大正年間に大陪審院の判例がでていまして、運送業者に委託した荷物は荷主の管理下にあると言う定義が確立しています、そのため運送業者に銃の配送を依頼しても、その銃は貴方の管理下にあると解釈しているわけです。
しかしながらそれを紛失すれば運商業者が責任をとらされることになりますが、銃刀法としての責任は負いません。


Q19 クロネコヤマトでも銃は取り扱ってはいけなかったと記憶してます。なにも問題がないから通販をやっているのでしょうが、銃の通販について詳しく教えていただけないでしょうか。

宅配便業者によってと言うよりは、それぞれの営業所の方針で取り扱わない物があると考えた方が良いでしょう。
と言いますのは、銃器を預かって途中で紛失した場合、警察の調査が厳しく、銃が出るまで調べられるので割が合わないと言うのが業者の本音でしょう、しかしながら、銃砲店やメーカーの取り次ぎをする場合は取り扱った方がビジネスになると判断すればそこの営業所では銃器の取り扱いをすることになります、要するにそれぞれの営業所の営業方針によります。
当社では荷物の全てを一番信頼の出来る方法で出荷しています、年間1200丁の銃を販売しますが、今まで紛失した事例は1例もありません。


Q18 築地さんの所では通信販売をなさってますが、私の記憶では銃の郵送は禁じられていたようなきがします?

禁じられてはいません、当社には国際郵便で銃が送られて来る事もありますが、税関で通関した後は会社まで郵便小包として配送されてきます。


Q17 続き スコープ付きのライフル銃の場合、運搬時、スコープは取り付けたままですか?それとも、取り外して、輸送すべきでしょうか?

当然取り付けたままです。


Q16 ライフル銃の運搬には、どの様なケースを使用されますか?

ライフル銃用の GUN CASE(ハード・ケース)製品を調べたところZERO HALLIBURTON , HOPPE's PROTECTO , Doskocil ,Flambeau , SKB , Pelican (Browning) 等、様々なケースがあり、それぞれ特長(軽量、頑丈、気密性、材質、等)があり、何を選んで良いかが、よく判りません。
ベンチレスト用と、ハンティング用 等、エアーラインと車、等によっても違うかと思いますが、ハード・ガン・ケースの選択基準、実績の様なものが在れば、教えて下さい。
色々あるガンケースの中で私が愛用しているのは "ZERO HALLIBURTON " です、今まで何度も海外遠征言ったときでも完璧に銃をガード出来たのはこのガンケースだけです。
ガンケースのサイズ、それとガンケースの重量を気にしなければ外にも丈夫なガンケースはありますが、車しか使わないのならともかく、飛行機や、外の交通機関を利用する場合は "ZERO HALLIBURTON " が一番コンパクトでなおかつ丈夫で最良です。


Q15 スコープ・リングとスコープ筒の間に、サコー純正マウントのインナー(プロテクタ)の様に、ビニールの様なものを、挟めば、スコープを傷つけなくて良いのでは?と考えますが如何でしょうか?

そのとおりですが、リングに挟み込むと言うことは寸法が変わるわけですから使うことが出来ません。
さて、ここまで書いて私の意見を言いますが、マウントリングのラッピング等一切する必要はありません。
どうしてもやりたいと言う人を力ずくで止めるつもりはありませんが、そんな事をしても命中精度が上がるわけでも無くほとんど無意味な事ですからビールでも飲んで寝ちゃいましょう。


Q14 スコープ・リングのラッピング後の処理に関して。GUN誌に、Turk さんが、書かれている Rifleman's Cornerの 4. スコープ・マウント (1994/10 )の記事中で、スコープ・リングのラッピング後の処理は、「ディグリーサーで、油気を取る」と書かれています。素人考えでは、コンパウンドを用いてラッピングを行うと金属の地肌が出てしまい、スコープ・リングの材質や、ライフル銃の用途(使用環境)によっても違いはあると思いますが、そのままでは、"錆"が発生するので、何らかの錆止め処理(コーティング)が必要なのでは?と思いますが、如何でしょうか?

錆は表面が酸素と触れるために起きる現象です、絶対酸素に触れなければ錆は出ません、従ってラッピングした後でもスコープを取り付けておけば大丈夫です。


Q13 ライフル射撃場の電子的の構造に付いてお願い致します。なんでライフルの弾が当たっても壊れないんですか?

ライフル射撃の電子標的の黒丸の部分はゴムの薄いロールで作られています、1発撃つごとにそのロールが3ミリ~5ミリ程度下がって、いつも新しいゴム板を撃っているのです。
で、何故点数が解るのかと言いますと標的の4角にマイクが仕掛けてありました、標的に当たった弾丸の音を拾っているのです、その音が伝わる時間差を演算してどこに着弾したかをコンピューターで計算しているのです。


Q12 ステンレス銃身を黒染め出来るでしょうか。またその費用と時間はどのくらいでしょうか?

可能です、値段は¥20000~¥30000ですが、銃腔内に液剤が入り、銃腔内もメッキされるので命中精度上からは良くありません。


Q11 銃床の手入れについて、教授のオススメ「あまに油+α」を画材屋さんで買ってきてとりあえず、先台に塗ってテストしているのですが、なぜか「乾き難い」んですが、こんなものですか?

そんな物です、銃床油は乾くと言うよりは空気に触れて硬化する物なのでもし銃床にシーラー系統の塗装が染みこませてあったら残念ながら永遠に染みこみません、その場合は剥がすより、研磨して磨きかげる方が良いでしょう。
それで十分な光沢が得られます、勿論1200番の耐水ペーパーで銃床油を付けながら擦り込むと言うことを忘れずに。


Q10 軍用銃も現用機種?でなくなれば、民生用(狩猟用)と見なされるの?当局の認定基準てあるの?

アメリカの場合、軍籍から除外されたものが民間用として流通しています、民間用として除籍された物は銃床に(P)マークが打たれます、プライベートと言う意味で軍籍から除外されていることを意味します。
そういう意味ではM-14は未だに軍籍にある銃が何十万丁と油紙に巻かれて事ある時に備えて某所に保管されています、しかしながら軍籍から除外されたM-14は極めて珍しく、現在はレア物として珍重されています。

皆さん良くご存じの事だと思いますが、昔スプリングフィールドと言う兵器工廠がありました、ボルトアクションの03や、ガーランドを製造していた所です、ここが閉鎖され、株式会社スプリングフィールドアーモリーが設立され、ここで新ガーランドが作られていたことがあります、この事を某警察の技官に説明してもどうしても理解して貰えず、相手の馬鹿さ加減に口喧嘩になったことがあります。
最終的にアメリカ国務省から軍用銃では無く猟銃だとの証明書を発行して貰いましたが、そこまで言い切った相手も引っ込みが付かなくなり、銃の名前を変更して許可して貰った事があります。軍用銃と民間銃の区別はさほど煩雑と言うことは言えます。


Q9 銃身長を調整する、フラッシュハーダイてなに?

銃口の先端に付いている、漏斗形、あるいはスリットの入った部品の事で、フラッシュハイダーとも、フラッシュサプレッサーとも呼びます。
これは射撃時の銃口からの炎を消すのが目的ですが、最初に作られた漏斗型のサプレッサーでは炎はあまり消えませんが、炎を隠すと言っても射手の側、つまりサイトを見る側に炎を隠すのが目的です、夜間の戦闘では元々目を凝らしてサイトを見つめていますのでその状態で銃口から火が出ると一瞬にして目がくらみます、それを防止する目的で作られたのがフラッシュハーダーです、しかしこれには欠点がありました、漏斗形の為、逆に敵から見るとはっきりと銃口が視認出来てしまうのです、そのため炎全体を消してしまう、フラッシュサプレッサーになってきたのです、本当に炎が消えるのか私自身で何度も実験してみましたが、全く炎が出ないわけではありませんが、炎が出てもすぐに消えてしまいます、炎は勢いのある内は銃口から50センチくらいまで飛びますが、すぐにフラッシュハイダーのスリットのスタート位置から、単なる煙に変わります。


Q8 ある銃砲店で、大口径ライフルのカートリッジ(弾)の形をした、レーザ・ポインター を見ました。チャンバーの中に入れて、銃口から、レーザーを投影する様です。正確に、弾の寸法であれば、チャンバーに入れて、銃身(銃口)の中心から、レーザーが投影されると思います。
安価な、プレゼンテーション用のレーザー・ポインターでも数100m 先まで、届きますから、スコープの調整等に使えるかと思いますが、実際の所は、如何でしょうか? 製品、価格、実績、使用感 等の情報があれば、教えて下さい。

御指摘の様にレーザー光線は数100m 先まで届きますが、ルビーを使った本格的なレーザー光線ならほとんど拡散せずに月まで到達しますが、ダイオードを使った簡易レーザーですと光が拡散しますので数100m と言うのは現実的ではありませんが、100メートル以内なら充分使えます、しかしながら昼間明るいところでは光線がよく視認出来ませんので暗いところに照射すると良いでしょう、カートリッジ型のレーザ・ポインター ですが、銃腔軸線と完全に一致させるためには、かなりの微調整が必要です、内部のレーザ・ポインター を支えているのは4本のネジですから、このネジが少しでも狂うと全く使い物になりません。
購入したとしても完全に照準が合っているスコープと軸線が一致しているか確認して使う必要があります、軸線が完全に一致しているのを確認できたらネジがゆるまないようにネジロック等でネジを固定しておいた方が無難でしょう。アメリカでは$30位で販売されています。


Q7 LEUPOLD の SCOPE の Mount Base には、1-Piece のタイプ と 2-Piece のタイプがある様ですが、1-Piece と 2-Piece の 選択基準、精度の違い、実際、使用しての、操作面等の違い 等に関して、教えて下さい。

1ピースの場合ですとねじ3本~4本で固定します、1個のブロックを数本のねじで固定するので確実な固定が出来ると言うことです、しかしながらその分重量が重くなります。
2ピースの場合、それぞれのベースは2個のねじで固定しますが、2ピースの場合の方がねじのゆるみによるトラブルが起こりやすいのです。従ってどちらを優先するかはユーザーの選択によります。

また、1ピースの場合、レミントンや他の数社の会社に見られるようなボルトアクションの場合、機関部の長さに308用のショートアクション、30-06用のロングアクションとある場合、1ピースではそれぞれのアクションに対応した物を選択しないと寸法が合いませんが、2ピースならいずれの機関部にも対応できますので2ピースの方が便利という利点もあります。


Q6 ピストルグリップのライフルについてお聞きしたいのですが。 日本で所持できる口径、装弾数でしかもグリップが ピストルグリップの銃は現在、所持できるのでしょうか?

サムホールでなければ法律的にはダメなのでしょうか? 昔の「GUN」に軍用銃(もどき)の所持者の記事がありました。たぶんその中に築地さんがいらっしゃったと記憶しています。
銃刀法から言えば、ピストルグリップの使用は禁止されておりませんので所持は出来ます。最近、当社でもAR系統の銃を輸入することになりましたが、輸入、及び銃の譲渡の時はサムホール銃床を付けてお渡しします、これは銃を販売するにさいして行政サイドとの "お約束" なのです。しかしながら所持者が銃床を交換しても、全長等に変更が無い限り銃刀法違反にはなりません。


Q5 教科書には古い弾は酸化していて集弾しないので使うなと書いてあるのですが、ペレット・22リムファイアで集弾に問題が出るのは何ヶ月後位からでしょうか?一般的な「賞味期限」が有るならご教示頂ければ幸いです。

1年位から劣化が始まります、オリンピックを対象とするならこの辺を目安にしますが、通常の使用なら10年は大丈夫です、50年経っても使えますが、精度は劣悪になります。


Q4 装薬銃で「銃身内側は鉛の皮膜があることで弾がスムーズに出て行くのであり、掃除をしすぎると当たらない」と言うことを聞きますが、これも迷信でしょうか? もし本当だとすると掃除の加減はどの辺を目安にすれば最良の結果が得られるのでしょうか?

22口径で言えば、射撃を終了した後でしょうね、射撃開始前は掃除をすると言うよりはパッチを通してコンデションを均等にしておく位の手入れで充分です。それに少なくとも試合中は掃除をする必要はありませんし、掃除をすると着弾が変化しますのでやらない方が良いでしょう。しかし掃除をすると当たらないと言うのは逆です。


Q3 「装薬銃で「硝煙が銃身内部を錆さすから掃除をしなければならないのであって、毎日撃つなら掃除なんか必要ない」ということを聞きますが、本当でしょうか?いかに高精度でデッドスペースのない単身単発ボルトアクションでもナニガシかの堆積物は出るような気がするのですが。

これは嘘です、ベンチレスト射撃の場合、試合中5~10発撃つとクリーニングしますが、私は50発くらい撃たないと掃除をしませんが、アメリカのシューターに言わせると、これですらクレージーだと言います。
上記のような話をしたらアメリカのベンチレストシューターは卒倒するのでは無いでしょうか?


Q2 銃今度アメリカに出かけますが、現地で銃を購入して持ち帰りたいので方法を教えてください。

残念ながら旅行者がアメリカで銃を購入する事は出来ません、アメリカで銃を購入する場合は現地の居住者でないと購入できません、これは連邦法で定められた法律ですから全ての州で旅行者の銃の購入は禁止されています。
数年前位まではアメリカに在住している知り合いに頼んで購入して貰らい、それをプレゼントと言う形で持ち帰った事例は多数ありますが、現在ではこれは法律違反でプレゼントした当人も罰せられます。
昨年、実際にアメリカで銃を購入して、空港でチェックされアメリカの税関に領置されたため、帰国してから私に業務で輸入してくれないかと依頼され調べた事があります。
アメリカに在住している人に頼んで銃を購入し、飛行場でその人から受け取りチェックインしたところ、そのまま2人とも税関に連れて行かれ、銃購入の経緯を調べられたそうです、実はその方は3年前も同じ方法で銃を購入したそうですが、その時は何も問題が無かったので深刻な問題だとは考えていなかったようです。
税関で数時間取り調べられたため予約した飛行機は出発してしまうし、本来は起訴されるところでしたが初犯だし日本人で法改正の事実を熟知していなかったため、なんとか起訴は免れたようです。当人には税関から領置の証明書を貰い、正規の手続きを取れば還付すると言うことで私の会社に泣きついてきたのです。
私の使っている輸出業者に依頼すれば、アメリカからの運賃が1万円くらい、輸出許可の取得と輸出業務で10万円くらい、日本での通関料が4万円くらい、合計15万円がかかります。当社の手数料を5万円として考えて、約20万円で輸入手続きをしてあげることに成りました、1件20万円かかれば、ほとんどの銃は当社から購入した方が安いのですが、なんでも非常に高価な散弾銃の上下2連銃とかで、どうしても輸入してくれとの依頼でしたので、銃を領置している税関に電話して聞いたところ、銃を還付する場合は、当人が正規の手続きを踏んで正規に受領する場合のみ還付するとの事で、本人の依頼が有っても業者が代理で引き取ることは出来ないそうです、しかも領置の期間は3ヶ月との事でした。アメリカで正規に銃を所持する場合は、最低でも90日アメリカに滞在している居住者でないと購入許可が貰えません、領置期間が3ヶ月、所持許可を得るためには3ヶ月、これではどう計算しても日時が足りません、結局当人は銃の受け取りを諦めざるを得ませんでした。現在はアメリカの銃規制が劇的に難しく成っています、間違っても現地で違法に銃の購入をしないようにご注意下さい。

全く別の事例ですが、参考までにお話ししましょう。
ある商社の重役さんも現地で銃を購入してゴルフバックに銃を入れてチェックインしようとしたそうですが、税関に発見されその場で逮捕されたそうです、ゴルフバックに入れて隠して通過しようとしたのが極めて悪質と取られたようです、当人はそのまま留置場に1日留置されたため予約した飛行機は出てしまい、弁護士を頼んだため弁護士に$4000取られたそうです、そのうえヴィザを取り消されたため、外国に出かけるのが仕事の商社マンとしては致命的なペナルテーとなり最終的には会社を退社された事例があります。
外国での銃の購入は思わぬトラブルに成りかねませんのでご注意下さい。


Q1 千葉県の射撃場でライフル銃の照準調整をして、北海道に行ったら弾着が上に外れて獲物を逃がしました、北海道は寒いのに何故着弾が上にそれたのか理由をお教え下さい。

千葉県と北海道では気温に違いがあります、常識的に言うと寒冷地の方が空気の密度も濃い為、また火薬の燃焼速度も遅くなるため下に着弾するのが常識です、上にそれたと言うことはその常識からすると逆の現象が起こったと言うことです、たとえば、今の沖縄は気温が20度以上あります、ここでリロードした弾で、北海道の旭川で撃ったとすれば旭川の方が寒いので着弾は間違いなく下に着弾します、逆に旭川でリロードした弾を沖縄で使えば着弾は間違いなく上に着弾します、あるいは雷管突破が起こるかも知れません。

しかしながらこの弾着の変異差は必ずしも外気温度だけで起こる事では無いのです、実は弾着には空気の密度がさらに大きな影響を与えているのです、単純に火薬の燃焼特性の変化だけを見ますと、火薬は零下40度以下では燃焼速度が低下しますがそれ以上の温度差の中では多少は起こりますが、あまり大きな変化は起こりません、しかしながら外気温度が高いと空気は膨張している訳ですから空気の密度が薄いと言うことです、外気温度が低いと空気の密度が濃い言うことです、この違いが弾着に影響を及ぼします。

空気の密度による違いが弾着には多くの影響を及ぼすと言うことを良く頭に入れてください。暖かい所で撃つと弾着が上に行き、寒いところで撃つと下がる、それが温度だと思うと勘違いします、それは空気の密度も大きく影響しているのです。

 従って暖かい千葉県の射撃場で照準調整を完璧にしても、そこの射撃場の海抜があまり高くない場合の条件では、逆に北海道の外気温度が相当低くても射撃した場所が山の上だと空気の密度が薄いので弾頭が飛翔するのに空気抵抗が少なくなり弾着が上に当たってしまうのです。
弾道計算の場合、気圧は1013ミリバール、(単位はヘクトパスカルでもかまいませんが)を基準に考えるのでこれが変化すると弾道そのものが大きく変化するのです。

Q&A ライフル銃関連

築地

Q61 今使われているライフリングの旋回ピッチはどのようないきさつから何インチくらいで切られているものなのでしょうか? 04-7/15

経験上ライフリングのツイストは体験、あるいは経験上で決められています、決して数学の理論では表せないのです。
通常30口径は1:10か1:12です、たとえば1:10.5とかそういう微妙なツイストはありません。
180グレイン以上の弾頭を使う場合は1:10を使用します、これは弾頭が重たいとあまり初速を出せないのでピッチがきつめになっているのです
逆に180グレイン以下の弾頭を使う場合は、1:12がよく使われます、これは初速が2800フィートくらい出せるのでツイストがゆるめなのです。
では3200フィートくらい出せる7ミリマグナムの場合、どうかと言いますと、ツイストが10インチを超えると何故か当たらなくなります。
1:14は勿論、1:12でも命中精度が出なくなります。レミントンの場合、1:9.5ですからね。
7ミリ口径に関しては私の経験上1:10か。1:9.5でないと当たりません。
何故と聞かれると答えられません、私は滅多に知らないとは言わないのですが、このライフッリングツイストと命中精度の因果関係は解りません。


Q60 ライフリングについての質問です。右回り6条や、左回り5条(PSG-1が確かこれだったと)などを見聞きしたことがあります。もしライフリングの旋回ピッチをきつく(ゆるく)した場合、命中精度にはどのような変化がでるものなのでしょう? 04-7/15

ライフリングツイストの右回りと左回りは命中精度上から言うと何の関係もありません。

ではライフリングツイストについて説明してみます。中でも命中精度の究極を極める6ミリPPCについて説明してみましょう。
この装弾は100mで5発撃った弾痕の、一番離れた弾痕のセンター間センターが1~2㎜程度になると言う究極の装弾です。
通常これに使われるツイストは1:14、つまり14インチで1回転のいツイストが普通です。
これより、1インチだけツイストの弱い、1:15のライフッリングツイストを使った場合、命中精度は理論的には良くなりますが、風に弱くなります。
ライフッリングの関係はこうした関係がありますね。
またツイストがきついと抵抗が大きくなるので同じ火薬を同じ量使っても圧力が高くなり、初速が高くなります。
ツイストが緩いと弾頭の受ける抵抗が少なくなり初速は落ちます。


Q59 「ライフル銃弾は鉛直に打ち上げられた場合、どの位の高さまで上昇するのか、 そしてそれが落下して地表に激突する時の速度は打ち上げられた時の初速と同じではないのか?」というものです。
イラクの報道などで、自動銃を天に向けて発射している映像を見ることがありますが、これはかなり危険な行為ではないのでしょうか?04-4/13

大東亜戦争前の日本陸軍でこれのテストをした記録があります。
テストしたのは38式歩兵銃で、口径は6.5ミリ弾頭です、従って現在流通して標準的な308や30-06よりも威力が少ない事を理解してください。
しかしながら、その記録は私の所有する膨大な資料の山に埋もれてしまっておりその資料を探すのは事実上不可能です。
従ってここでは正確な数字を開示することが出来ません。
数字の問題は事実とはかけ離れている可能性が有りますのでご理解ください。
まずがライフル弾頭を真上に撃ち上げた場合、800m位上昇すると思います、(この数字はかなりうろ覚えの数字です、正確ではありません)しかしながら軍隊で使う高射砲の場合は高度8000mまで上昇します。(この数字はかなり正確です)

日本軍のテストでは、上に撃ち上げたライフル弾頭で、それが落下した場合殺傷能力が有るかどうかの実験をしました。

実験はトラック1台分の松の板材を練兵場に搬入し、それを隙間無く広げ、38式歩兵銃を真上に打ちあげて落下した弾頭で松板が貫通するかどうかの実験でした。

正確な松板の厚さは資料の中にあり、正確な数字を言うことは出来ませんが、確か2cm程度だったのでは無いかと思います。
実験の結果、これが貫通すれば人間は死傷すると言われています、人間の体の中で、真上から飛来する弾頭については極めて弱いのです。
で、実験の結果、38式歩兵銃の弾頭は全部この松板を貫通しました、その結果、真上に撃ち上げた弾頭でも、落下すれば人を殺傷する能力が有ると断定されました。
これにより、軍隊で射撃する場合、命中精度は期待できなくても、弾丸が命中すれば人間は死傷することが確認されました。
わずか55グレインしかない米軍のM-16の装弾でも800m離れてスチールヘルメットを簡単に貫通している事実もあります。
追記ですが、弾頭を撃ち上げた初速と、落下する弾頭の初速は空気抵抗の関係で、同じではありません。
空気抵抗の壁が有るため規定のスピード以上には早くならないのは実験で確認されています。
イラクなどで空に向けて銃を乱射している映像がありますが、着弾点に人が居れば間違いなく死んでしまう事は間違いありません。


Q58 ライフル銃床の、「木」製と「シンセテック」製との違いについての違いは価値観だけなのか?精度なのか?用途上 は?03-9/14

究極の命中精度を競うベンチレスト射撃競技では、絶対に木製銃床は使いません。
それは木製銃床の場合、経年変化、または外気における銃床の変化を極力排除するために木製銃床は使わないのです。

通常のハンテングライフルの場合、上記の理由の外に、簡単に折れない、割れない、と言う理由があります。
また製造上の理由から言うと、大量生産に適している、量産すればするだけ単価が低くなるという利点もあります。


Q57 ライフル銃のメンテナンスで銃身をブラシで清掃すると「ライフル条痕が荒れるから、ブラシを使い過激な扱いをしてはいけない」と先輩各に言われました。銃身に良い本当のメンテナンスの方法は?お忙しいところ恐縮ですが何らかの方法でご回答を!03-9/14

ライフルの弾を1発撃つのと、ライフルのブラシを10回通すのと、摩擦による摩耗は同じだと言う資料を読んだことがあります。
ベンチレスト射撃の場合、究極の命中精度を求めますが、5~10発撃ったら、50~100回ブラシを通したり、パッチを通したりするのが常識になっています。(カクタスシュートのコラムを読めば良く分かりますのでご覧下さい)
ブラシを通してライフルが荒れたなんて聞いたことがありませんね。


Q56 銃砲店で購入した308実包で5発クリップ付きFN79と刻印が有り弾頭144グレイン、フルメタルジャケット、ベンダル型プライマー、真鍮製ケース5発1000円で購入したこの実包は、軍用弾?どこ製の弾でしょうか、ベンダル型プライマーは軍用か民間用?それと1発85円で販売されている308実包が有りますが、これも軍用か、この手の弾は、どこ製なのか、使用して銃が痛むと聴いた事が有る、ホントなら、なぜでしょうか、宜しく教えて下さい。03-3/25

質先ずFN79と言う刻印ですが、これはファブリック、ナショナル社製、1979年製造という意味です。
つまり24年前の弾ですね、軍用装弾は毎年定量の数を発注し、メーカーは毎年注文数を製造します、この数量は工場設備を何とか維持するための製造ですから有事の際から考えると決して多い数字ではありません、新しい弾は弾薬庫に収納し、古い物から取り出して訓練用に使用します。
アメリカの場合は、軍用として製造するほかに、軍用で作った物を民間用にも流していますが、その場合製造年月日は昨年、あるいは今年というのが普通です。今年製造した弾なら、アメリカでの値段は1発30円程度です。
この弾はアメリカの銃器新聞に掲載されていますので調べてみたら、1発¥26で販売されています。1発¥26円と言うのは小売値段ですから、卸価格なら高くても¥18.20ですよね。ですから5発¥1000と言うことは1発¥200・・・・ウーン覚醒剤並みの利益率ですね。

さてベンダル型プライマーの事ですが、正確にはベルダン型プライマーと言います、イギリスのヒルマン、ベルダン少佐の開発した雷管で、発火金が薬莢側に付いている旧式のタイプの物で、雷管の穴は2個開いています、そのためリローデングは全く出来ません。旧ソ連などはこのタイプの物を使用しています、昔、私が日本で初めて6ミリPPCを作ったときにはソ連のAK74の弾を使用したため、ベルダン型雷管を抜いてリロードしました、プライマーホールが2個あるので雷管を抜くのに大変苦労しました、どうやって抜いたのかと言いますと、水圧で抜いたのです、薬莢の中に水を入れて、弾頭と同じ径の丸棒を挿入してハンマーで叩くと水圧で雷管が抜けます。
こんな具合でリローデングはほとんど不可能です、これと違い通常の雷管タイプは、ボクサー型と言います。

この弾の値段は非常に安いですが、だからといって銃が痛む事はありません、銃が痛むのはソ連製の弾です、雷管に塩素酸塩分が使われているようで銃腔内が簡単に錆びます、それに薬莢が鉄製の場合、薬室に非常に大きなダメージを与えます、ソ連の軍用銃など1丁僅か¥15,000程度ですし、軍用ですからそれほど多くの弾を消費しないのでこうしたクサレ弾でも何とか使うのです。我々の銃に使用するのは論外の話です!


Q55 質ロッキングラグについて
1. BAR、レミントンともマルチプルラグと思いますが数はそれぞれいくつなのでしょうか。解説記事を拝見するとレミントンはラグが2つとの記述が見られますが、とても二つとは思えません。少なくとも4つ、或いは6つではないでしょうか。
2.上記のようなマルチプルラグの場合、各々のラグが均等に荷重を持つのが難しいとのはなしもあります。ラグの損傷などは不具合としてあるのでしょうか。
3.BAR、レミントン7400、M1ガーランド、M-14の各々のボルト回転角度が分かりましたらご教示下さい。
4.回転角の点からすればM-16のようなタイプがアンロックの力が要らず優れているといえますか。
5.ウインチェスターM100について この銃は自動銃としての作動の確実さはどうなのでしょうか。優れていれば生産が継続さ
れているのでは、とも思えます。ロッキングラグは3個で回転角は60度なのですか。02-12/26

1.ブローニング、レミントンとも3分割された列に3個の並んでありますので9個ですね。
コルトの場合は7個ですね。(本来は8分割ですが、エキストラクターがあるので7個のラグになっています)

2.ありません。金属にいはそれ自体ではたわみ、のびもありますので、いずれのラグも均等にほ保持します。
仮にガラスみたいに全く延びの無い材質なら機械工作の公差もでるでしょうが、クロームモリブデン鋼の場合、ラグの損傷事故はありません。ラグが壊れる前に銃身が破砕する、その次に機関部が膨らむ、ボルトは最後まで破砕しません。そのために銃身が一番硬度が低く、機関部がその次、ボルトは一番硬度が高いのです。
逆に硬度を上げすぎると破砕の原因になりますが、銃器の設計に無知な設計者が製作した3流の銃以外はボルトの破砕はありません。
アーマライトのサイトを見ると技術ノートとして、A10の7個のラグの内、エクストラクタ-の隣の2個のラグは荷重が集中するとの話しがありました。レミントンでも742は荷重分担の面からより頼りなく思えてしまいます。
レミントンのエキストラクターはボルトフェイスの中にありますので、ラグにかかる力は均等です。ウエザビーVも同様かもしれませんが。
ウエザビーの場合、3分割にされたラグが3列並んで9個のラグになっていますが、いずれもエキストラクターの場所以外にありますのでラグにかかる力は均等です。
この点からはラグが二つのガーランドなどの方がすっきりしているように思えます(強度はどうなのかはありますが、COMBAT PROVENでしょうか)。これは設計上の問題です、ガーランドやカービン、M?14はラグは2個ですが、現在使われる多くのアサルトライフルはラグが7個ですから、設計上はこちらの方が改良型と言っていいでしょう。


3.約60度ですね、ラグの面積が小さいので90度回転する必要はないのです。

4.そのとおり

5.この銃は撃針の設計不良でリコールされた銃です。ロッキングラグの問題ではありません、当然ながらリコールされた銃の販売はされません。


Q54 私は、大口径初心者ですが、質問がありますので宜しくお願いします。現在308で標的射撃をしておりますが、今度6ミリを持ちたいと思っております。
そこで質問ですが、6mmBRと6mmPPCがありますが、どのような違いがあるのでしょうか?(100m又は300m標的射撃において)02-12/03

6ミリPPCは、薬莢の原型がソ連の機関銃弾、7.62ラッシアンを使いました、そのためボルトの底部が308ウインチェスターと比較すると0.8ミリ小さくなった居ます、そのためレミントン700のボルトを使うとうまく排莢出来ません。

6ミリBRはレミントン社が6ミリPPCに対抗して、308ウインチェスターの薬莢を小さくして作った弾です、当然薬莢の底部も308ウインチェスターと同じ寸法に出来ています。

両方の薬莢のサイズを比較すると、6ミリBRはほんの僅か大きめに出来ています、そのため装填する火薬量が少しだけ多くできるので6ミリPPCと比べると弾頭重量が少しだけ重い物が使えます、6ミリPPCは60~67グレインなのに対して、6ミリBRは65~70グレインまで使えます。だからどうなの、と言われると残念ながら返事のしようがありません。

命中精度は両方とも同じと考えて良いでしょう、100mで、5発撃ち込んで、お互いに一番離れた弾痕同士を計測して、3ミリ以下にはなるでしょうね。(ベンチレスト射撃の大会では1ミリと言う集弾も記録されています)

300メートルでは5発撃ち込んで10円硬貨で全部隠れるでしょう。


Q53 ①射撃を主な目的に考えていますが、6mmPPCを選択した場合、猟にはまったく威力不足でしょうか?
②308との命中精度の差はどの程度なのでしょうか?
③ 6mmPPCはコスト的に高くなりますか?02-03/14

①PPCの場合、命中精度が非常に優れているので300メートルでのヘッドショットが可能です。ヘッドショットが出来れば蝦夷鹿でも即死です。

②100メートルで308が1cm以内にまとまりますが、6ミリPPCな3ミリですね。

③PPCは基本的にすべてハンドロードですから、ハンドロードするとコストは1発あたり¥70程度です。


Q52 ライフルのエロージョンについて、初速等が同等であっても、使用火薬の特性差によってもすすみ具合は違うことはあり得るんでしょうか?01-12/26

エロージョンが起きる原因は火薬の圧力ですから、火薬の種類による顕著な特性差はありません。


Q51 ハンドロードについての質問ですが、薬莢をリサイズした場合、もとの長さより少し長くなるので308の場合50.7mm以下になるように調整するように先輩から言われました。薬莢の長さと命中率の関係について教えてください。01-11/21

はっきり申し上げて、薬莢の長さを調整するのは命中精度から言うとほとんど無意味です。
私自身も308を使っていますが、今まで長さを調整した事はありません、実は薬莢が少しのびても薬室はさらに2ミリ程度のクリアランスを取ってありますので、薬莢がのびて装填できないと言うことは先ずありません。
また薬莢の長さと命中精度の因果関係はありませんのでそのまま使っても大丈夫です。
勿論、長さをそろえたければそろえても別段弊害もありません、要するにやっても、やらなくてもどちらでもいいです。


Q50 セミオート・ライフルの銃身交換に関して。Browning BAR 、Remington 7400 、 Springfield M1A 等の セミオート・ライフルの銃身は、交換可能でしょうか?
交換可能な場合
・ガスポート周りで、どの部分までが、交換となりますか?
・ ハート社やシーレン社の銃身にも、交換可能でしょうか?
・ 交換費用は、いくら位でしょうか?01-10/16

自動銃の銃身交換は原則としてやっておりません、それは自動銃には付き物のガスポートの加工が出来ないからです。
ガーランドや、M-14,等の銃は銃身の外形までが規制されており、当然ねじもねじ規制と言って、ねじの開始部分の位置が決められております、従ってねじ込んだ状態でヘッドスペース、ガス穴の位置がピチッと定位置に来るように作られています。
こうした製品を汎用機械で作るのは至難の業です、しかしながらこうした銃にはスペアーの銃身が数多く販売されているのでこれらの完成銃身を購入すると銃身交換は可能です。但しこれを分解するために機関部を押させる専用のジグ、銃身を加えるための専用ジグが必要となります。

Browning BAR 、Remington 7400 、の換銃身は販売されておりませんので銃身交換は出来ません。


Q49 こんにちは,現在H&KのSL-7を使っています。G3,33,53,41等も同型のリア・サイト(照門)が付いているようですが,ドラム型で回転させることができます。1の刻印があるところは,谷型に切られていますが,2・3・4は穴照門で穴の大きさが変化していきます。説明書を読むと(あまり理解できません)このリアサイトを回転させて,射程を調整する方式とありますが,どのように使ったらよいか分かりません。現在は,1で100Mに合わせてあります。宜しくご教授願います。01-9/6

これは2,3,4,の数字のところにセットすれば、2=200m 3=200m 4=400m の正照準にセットされます。
つまり、ほんのわずかずつ上にずれているのです、勿論使用する弾頭によって多少のズレは生じますが、元々軍用の流用ですので、弾頭147gr、初速2900フィートのフルメタルジャケットを使用した場合を想定してありますが、通常の猟用弾頭でもほとんど違いはありません。


Q48 狩猟界10月号のあるページのハンドロードに関する記述に「丈夫なボルト式でも冷や汗ものだというのにセミオートで挑戦する人がいる、それも軽合金製の軽量ライフルでマキシマムのオーバーロードにチャレンジなどと、これは文句なしに危険だ」とありますが、どのあたりが危険か良く解りません、270Win軽量の自動で140grの弾頭を06のケースをネックダウンして3100ft以上を出そうと考えております(ボルトでは可能)がこれは危険なのでしょうか。01-9/6

これは素人の書いた記事では無いでしょうか、いかなる自動銃でもボルトだけはクロームモリブデン鋼材で製造されています、そしてそのボルトは銃身に取り付けられた同じくクロームモリブデン鋼材で作られたロッキング部分と組み合わせますので強度に関しては機関部がどのような部材で作られていても強度的には無関係です。その記事を書いた人はボルトのロッキングが軽合金の部分でホールドされていると勘違いしているのでは無いでしょうか、常識では考えられない回答ですが銃器関係の仕事に従事している人ならそんな無知な回答はしないと思います。

私が考える火薬の圧力の限界は、雷管が脱落する時点での圧力です、実際にテストしてみると多くのデーターブックが限界よりかなり下目の数字をマキシマムに設定していることが解ります、少なくとも市販装弾の威力より少ない相当少ない数字がマキシマムロードとなっていることからしても、データーブックのマクシマムロードはあまりあてに成らないと言えるでしょう、しかしながら、訴訟を起こされないと言う意味ではデーターブックの発行先は安全な数字を提示していると言えます。
ボルトアクションライフルは確かに大きなラグを備えていますが、逆に言うとボルトはむき出しです、ロッキングが破砕するとボルトが後ろに吹っ飛んで来ます、私自身は遭遇した事は有りませんが、異常高圧でボルトが後ろへ吹き飛んだ事例は私自身数回確認しています。
勿論使用者が負傷したことは言うまでもありません。
しかしながら、自動銃で異常高圧が発生した場合、ボルトが吹き飛ぶと言うことは有りません、多くの場合機関部に割れが入るか、機関部がふくらむだけですんでいます、この様なことからしてボルト式ライフルは安全で自動銃は危険と言う発想は、少なくとも私は持っておりません。

例えば米軍の正式軍用銃M-16の場合、機関部は軽合金で出来ていますが異常高圧が起きた場合、ボルトの破損と機関部の脹らみでほとんどが使用者の傷害から回避できております、この場合銃身破裂はすらほとんどありません。
かっての軍用銃、M-1でもM-14でも異常高圧の場合機関部にクラックが入るだけで済んでいます、しかしながら多くの人が機関部にクラックが入ると、銃が悪いと勘違いしているようで、それが異常高圧により発生した物と気が付かない様で、多くの場合クレーム処理されているようです。
これは銃ではなくて弾の方にクレームが向けられるべき事例なのです。

この様に機関部が軽合金だと危ないと言う発想はシロート的な発想ではないでしょうか。

当社でも自動銃を使って異常高圧が起き、銃が使えなくなった事例が数回有りますが、困ったことに、いずれも工場製装弾を使って事例でした、異常高圧はハンドロードでも起こり得ますが、だからといって火薬量を増やしたから異常高圧が起きると言う単純なことではありません。


Q47 自動式ライフル銃(ブローニング)の薬室に実包を装填して持ち歩く時に撃発しない安全な方法はありますか、また銃を保管して置くときに盗難防止のため分解もしくは部品を別保管しますが自動式ライフル銃の場合はどうすれば安全でしょうか。01-9/6

自動銃の薬室に実弾を装填して安全に携帯する方法は有りません、一応全ての銃には安全装置は付いていますが、何かの拍子でこれが解除されれば激発しますので装填しないことが最大の安全策です。


Q46 ボルト式ライフル銃に実包を薬室に装填して持ち歩く時に、「引き金を引いた状態でボルトを落とすと撃発しない」と言われていますが雷管に撃針が接触した窪みがつきますが大丈夫でしょうか。01-9/6

引き金を引いた状態でボルトを落とすと言うのは、引き金を引いたまま、ボルトハンドルを持ってそ~っと落とす。と言うのが正確な説明です。
引き金を引いたまま、ボルトを落とすと激発する可能性が高いです、私は雷管だけを装填した薬莢を使い、何度かテストしてみましたが、銃によっては100%激発した例もありました、気を付けてください。


Q45 私は射撃競技用のライフル銃を使っています。
射撃場でボアーサイテングしている最中、ライフル銃の銃身を子細に見ている最中に発見したのですが銃身の中がほんのわずかですが曲がっているようなのです、命中精度に不満はありませんがこの銃身は不良品なのでしょうか?01-8/22

一般常識から言うと、ライフル銃の銃身と言うと完璧な直進孔が空いていると思われると思いますが、実を言うとライフル銃の内径は射撃専用銃といえども完全な直進孔の空いている物はありません、実を言うと100%のライフル銃身はほんのわずかですが全部曲がっているのです。
銃身の素材にガンドリルと言う工具で穴空け作業をするとき、入り口は真芯に穴が明くのは当然ですが、出口はどうしても中心からずれて穴が明きます、機械工学の常識から言えば700ミリもの深穴を明けるのに出口が中心に穴が明くと考える方が無理な話です。

工場で銃身素材に穴あけしている現場を見られるとびっくりされるかも知れませんが、ドリルの出口が素材の真芯に穴の明いている物は何百本とある材料を見ても中心に穴の明いている物は皆無です、あくまでもミリ単位ですが全部中心からずれたところに穴が明いています。
このままですと商品に成らないし、誰が見ても不良品に見えるので出口の方は穴の中心に回転センターと言う工具で保持して、その穴を中心にして外径を旋盤で削ります、勿論薬室加工するところも念のため穴の中心にして外径を旋盤加工します。

こうすることにより薬室側、銃口側、それぞれ穴を中心にして外径が削られていますので銃身の真芯に穴が明いていることになります。
しかしながら銃身の真ん中で切断すると、穴がわずかながら曲がっているので中心では穴は必ずしも真芯に明いていないことがご理解いただけるでしょうか。
もっと解りやすいのは銃身自体を旋盤にくわえて銃身を回して銃口を除くと銃口の中が振れているのが視認できるはずです。

これは銃身内の穴が曲がっているから起きる現象なのです。
銃身内部が曲がっていると命中精度が悪くなると考えられるかも知れませんが、実はこれは命中精度には何の影響もありません、実は20年くらい昔まではこうした銃身の曲がりを補正していたのですが、これはやってもやらなくても命中精度には何の影響もないと言うのが現在の常識となっています。

銃身の曲がりよりも命中精度にとって大きな影響を与えるのに内径の公差があります、内径の公差が大きいと命中精度は劣悪になります。1/10ミリの公差があったらほとんど使い物にならない位の出来の悪い銃身となります、この公差が1/100ミリ程度に収まっていればベンチレスト射撃に使える命中精度の良い銃身になります。
この公差をさらに少なくするためにラッピング加工(研磨作業)をします。こうしてその公差を千分台にまで少なくしていくのです。
従って、製造した銃身が当たるかどうかは、実際に撃たなくても内径の公差を計測することにより予測することは出来ます、この場合は銃身の曲がりは無関係ですから誰も銃身の曲がりを計測したりはしません、しかしこうして内径を徹底的に計測した銃身でも100メートルで1ミリ2ミリを競うベンチレスト射撃では実際に撃つまで本当に当たるかどうかは解らないと言うのが現状です。


Q44 22-250なるカートリッジについて、 特徴、諸元等を教えてください。223、6ppcに対し、精度、射程はいかがなものでしょうか?ベンチレスト用として性能はいかがでしょうか?01-6/26

このカートリッジは250-300サベージからのネックダウンワイルドキャットです、と言っても全然ピント来ないですよね、日本では250-300と言ったら超マイナーなカートリッジですからほとんどの人が知らないと思います、むしろ22-250の方が遙かに有名ですから、この弾は1965年にリリースされ、1970年代にアメリカで爆発的にヒットしたカートリッジです、22口径ですが初速が4000フィート出ましたからハンテングには非常に魅力的なカートリッジでした、昔、22口径で鹿が撃てた頃は一部のハンターの間で密かに愛用された弾です、このカートリッジは頭を撃てば22口径といえども蝦夷鹿を1発で倒せました。
私も使ったことがありますが、反動が軽く、また弾自体が小さいので機関部もうんと小振りの物が使えました、私はウエザビーマークVの一番小さい機関部に取り着けて使っていました、但し、命中精度はあまり良くありません、せいぜい30-06並でしょう。
PPCなどとは命中精度に関しては比較になりません、現在ではあまり使われなくなった古いカートリッジです。


Q43 私しレミントンM700 BDL30-06を所持しているのですが前猟期中に銃口内に雪が入っているのを知らずに発射してしまい銃口先端3~5センチくらいまで膨張させてしまいました。射撃場で試射もいたしましたが、グルーピングが、50メーターで10センチ膨張前は1~3センチでした。そこでご質問ですが銃身先端部を2インチ切断して使用したいと考えております 22インチから20インチにしてもちろんプロに加工していただいてですが、もとのグルーピングに戻るでしょうか?また実猟に耐えれる精度でしょうか?01-5/22

ライフル銃の銃身長は20インチ有れば命中精度が確保できます、銃身を切りつめればまた元の精度に回復します。
銃身の切りつめは¥9000です。


Q42 いつもホームページ楽しませてもらってます。先月12チャンネルの「日高リポート」で沖縄の海兵隊の特集をしていました。番組冒頭で射撃大会の模様が数分放映されました。使っている銃は、M16A2で射撃場の片隅にトーチがあり、そこでトーチから出る"すす"でサイトの反射を防止していました。射距離は、600ヤードのプローン、300ヤードの立射でした。600ヤードを5.56㎜で射撃しているのはすごいことだと思いました。それも締め付けベルトは付いているが布コートだけで、射撃ズボンは、はいてませんでした。いつもガチガチの射撃コートとズボンをはいて射撃しているのが恥ずかしくなりました。
SS109ってW308以上に安定しているのですか?精度も良いのでしょうか?
SS109(M855)について、解っていることがあったら教えて下さい。01-5/17

私も日高レポートは欠かさず見ています。レポートに出ていたのは沖縄中部ににあり海兵隊の訓練基地キャンプハンセンです。
私自身もここの射撃場で訓練に参加したことがあります、海兵隊員の着用している射撃コートは、いわゆるライフル射撃の選手達が着ている革コートと異なり、肘の所を補強したお粗末な射撃コートで、お世辞にも優れた物とは言えません、ご存じの様に海兵隊は常時腕まくりして半袖が正装ですから、このままの射撃では肘が痛くて伏撃ちは出来ません、そのためあの射撃コートを使うのです。
軍用の223カートリッジに使うSS109と言う弾頭は、特段精度が良いわけではありません、むしろ人体に当たった場合の被弾効果を高めるためのものです、つまり弾頭の潰れ方が通常弾頭より大きく、よって人体に当たったときの破砕効果が大ききくなります、勿論フルメタルジャケットなので狩猟に使うソフトポイントなどとは比較になりませんが。
命中精度としては、100,200,なら308よりも良いと思います、しかしながら300ヤード以上になると308の方が有利でしょう。
223は弾頭が軽いのでどうしても風の遍流を受けやすく、レポートの中でも兵隊が説明していましたが、風旗を見て常にウインデージを調整すると言っておりました、射撃技術はかなりレベルが高い事は確かです、600ヤードでも立撃ちでほとんど黒丸から外しません、私自身実際に射撃をして、標的交換のお手伝いもして実際に視認していますが、兵隊と言えども専門的に射撃をやっている日本のライフル射撃協会の会員と射撃レベルは全く遜色がありません、それに思いの外M-16は良く当たります。
沖縄は場所柄時として猛烈なスコールに見舞われるときがありますが、如何なる雨でも海兵隊員達は普段と同じように射撃をします、猛烈なスコールで標的が全く見えないときでもそのまま射撃を継続しているのには正直驚きました。あの射座は一切の排水設備が無いのでスコールが起きると射座は数センチ水が溜まりますが、その中で平気で伏撃ちをしている姿は感動的ですらあります。


Q41 実猟ライフルの場合308と30-06の威力や命中制度に関する違いを教えてください。01-4/22

いずれのカートリッジも性能的に大差があるわけではありません、30-06は100年前に開発された弾、308は50年前に開発された弾です、薬莢の大きさの違いは当時開発されていた火薬の性能を反映したものです。
30-06は当時としてはあの大きさがないと180グレインの弾頭を2800フィートで飛ばせなかったのです。
308はあのキャパシーテーでもIMR4895の火薬を使うと、150gr弾頭を2800フィートで撃ち出せます、弾頭をクリンプすればさらに抜弾抵抗が大きくなるので火薬の圧力がより上昇するため2900フィートまで加速できます。

308は180グレインまでは使えますが、これ以上重たい弾頭を使うには充分な初速が出せないと言う問題があります、しかしながら30-06の場合はキャパシテーが大きいので燃焼速度の遅い火薬を使うと200グレインの弾頭も使うことが出来ます。

30-06は大きなキャパシテーがありますが、威力はは308と比べても5%程度しか強くありません、大きなキャパシテーで火薬も沢山入るのに何故そうなるのかと言いますと、30-06は燃焼効率が悪いのです。

当時の人たちは気づかなかったのですが、色々実験の結果解ったことですが、ショルダーの角度が40度でないと火薬が上手く燃えないみたいです、これが38度でも39度でも駄目、また41度でも42度でも駄目なのです。何故か40度の角度にすると途端に燃焼効率が良くなるのです。
火薬の燃焼は雷管で点火された爆薬が火薬に点火するのですが、ショルダーの角度が40度だと、ここで炎が一旦逆流して火薬全体に着火して、より効率よく燃えるのではと言われています。

それが証拠に、30-06で今まで2800フィートしか加速出来なかった180グレインの弾頭を、薬莢のショルダー角度を40度にすると、 途端に3000フィートを越えるまでに加速できます、実に不思議な現象ですがこれは紛れもない事実です。

では何故みんながみんなこのような改造をしないかと言いますと、改造するくらいなら最初からマグナム口径を使った方が良いからです。

命中精度の要因はカートリッジの性能の外に銃身素材の善し悪しがあります、最高の銃身としてはハート、シーレン、ですが、今までの私の知る限りの知識では最高の銃身を使っても、30-06は100メートルで1センチ以内にしか集弾しませんが、308は5ミリ以内に集弾します、308は30-06の倍も命中精度が良いと言えますが、100メートルで1センチにまとまれば充分な命中精度と言えますが、しかしながらミリ単位の命中精度を競うベンチレスト射撃競技では、使い物にならない命中精度です。

したがって30-06が100メートルで1センチに当たる事を、当たると評価するか、当たらないと評価するかは使う人のバックグラウンドによります。


Q40 銃器のコラムの「ダブルライフルについて」の項目に「2本の銃身は散弾銃と同じように鉛で溶着されている」とありますが、これはロウ付け(多分銀ロウ?)ではないでしょうか?01-3/16

銀蝋ではなく鉛を使用しています、銀蝋だと温度を上げすぎるので銃身が曲がってしまうのです。


Q39 水面にライフル弾を撃った場合弾が跳ね上がる現象について(昔GUN誌で取上げていた)、その弾の飛ぶ距離、跳ね上がる可能性のある角度、事故の事例について。01-2/5

使用する弾頭の形状、波の状態により大きく変化します、実験する意味もないので誰も実験したことはありません、軍隊でも実験のデーターはありません。


Q38 外国のバーミント狩猟について、鴨をライフルで撃った場合の肉の傷み具合について。そのことを知人に話すとライフルで撃つと弾は炸裂しないので、矢鴨みたいに半矢になりやすいと言っていたが、ほんとうか。01-2/4

狩猟法でライフル銃での鳥類の捕獲は禁止されているので実験した訳ではありませんが、半矢になることはあり得ません、弾頭が炸裂しなくてもライフル弾頭は散弾の倍のスピードがありますので、弾頭が当たった瞬間、細胞が破砕してその衝撃はフラスコ状態で拡大していきますので半矢どころか即死でしょう。
但し当たり所によっては半矢にもならないことは言うまでもありませんが。


Q37 昔GUN誌で自作のサイレンサーについて特集がありましたが、その構造と最新のサイレンサーの構造について。サイレンサー等を作って悪い事をする気は有りませんのでごしんぱいなく。01-2/4

銃声の要因は急激に火薬ガスを空気中に放出するために起きる空気振動が原因の現象です、そのため火薬ガスを高い圧力のまま放出しないようにすれば銃声は激減します、サイレンサーには色々なタイプがありますが、原理としては弾丸が銃身内部(サイレンサーも含む)を通過中に、火薬ガスを徐々に銃身から抜いて行くことにより空気中に放出させる火薬ガスを減少させる構造になっています、こうすれば銃声は少なくなります、それにともないほんの僅かエネルギーが小さくなりますが懸念するほどの威力の減少ではありません。


Q36 レミントン バーミントモデル700VS SF 308 ・モデル700VS ・レミントンチタニム308 ・サコーバーミント308の命中精度、レミントン バーミントモデルVS SF 308の性能について、価格について。01-2/4

バーミンターの命中精度はどれも同じような物でしょう、100メートルで1センチくらいの命中精度はあります、レミントン700の場合、ステンレス、及びフルーテットドは製造中止です。
レミントン700 チタニウムは通常のハンテングライフルですから命中精度は100メートルで2センチくらいと考えてください。価格は¥185000を予定しています。


Q35 Moly-Coated弾頭と火薬の相性に関して、アドバイスをお願いします。 .308 Win に Sierraの 155 gr Moly-Coated弾頭 ( #2155M. )を使用したいと考えています、通常弾頭の場合、308 Win と 155 grの弾頭重量 であれば、例えば、IMR ×××× が相性が良い(精度が良い?)等と言われますが、Moly-Coated弾頭 の場合、この通常弾頭 と火薬の相性関係は、そのまま、適用されるのでしょうか?
銃身内通過時の弾の抵抗が異なる分、火薬の圧力 等に影響が及ぶかと思われますが、火薬量の調整で、相性の良さは継承されますでしょうか?、それとも、燃焼速度等の面からの検討(別の種類の火薬の検討)が必要になりますでしょうか?01-2/3

そのまま適用されます、火薬量は変化しますが、火薬の種類を変化させるほどの物では無いのです。


Q34 .308 Win に Sierraの 155 gr Moly-Coated弾頭 [#2155M. 30 caliber, 155 gr. HPBT Palmac MatchKing]を使用したいと考えていますが、最新の Sierra のデータブックにも、Moly-Coated弾頭のデータは、記載されていないとの事です。この 155 gr Moly-Coated弾頭を 308 Win. にて使用する際には、一般に言われている様に火薬量を、2~3% 多めにすると言う対応で宜しいでしょうか?
ちなみに、想定は、26インチ銃身、12インチ・ツイストです。01-2/3

そのとおり、モリコート弾頭は表面に付着させている二硫化モリブデンのため、ライフリングに食い込む抵抗が少ないので、同じ弾頭でも軽い弾頭を使ったのと同じ現象がおきます、従って火薬の量を多くするのです、余談ですが100%銅弾の場合、ライフリングに食い込む抵抗が大きくなるので火薬量と通常弾頭の時よりは減少させます。


Q33 火薬量 と 弾頭重量 の関係に関して、教えて下さい。 .308 Win の場合、データ・ブック等には、弾頭重量が168 gr や 150 gr のデータが、多く記載されています。155 gr ( Moly-Coated )用の データを探しているのですがなかなか、集まりません。そこで、168 gr の データを応用したいのですが、単順に、弾頭の重量が軽くなるので、火薬量も少なくすれば良いのか と考えましたが、同一 パウダーでの、168 gr と 150 gr の データを比較すると、推論とは逆に、軽い 150 gr 弾頭の方が、火薬量が多い様です。このあたりの理屈に関して、簡単に教えて頂けないでしょうか?01-2/3

バーガー製の155gr弾頭は、割合命中精度が良いと思います、しかしながら、バーガー社は弱小メーカーですからリローデングデーターを作ることが出来ません、それにバーガー社はベンチレストシューター向けに弾頭を作っています、アメリカを例に取って言うなら、データブックを見てリローデングしているシューターは皆無です、少なくともベテランは皆無です、何故ならリローデングデーター通りに作っていたら当たらないからです、命中精度はある程度初速が出ないと良くなりません、リローデングデーターはそれぞれの会社が、訴訟を恐れてでしょうか、かなり低めのデーターしか開示していません、そしてまだまだ安全域なのにマキシマムロードとしているのです、従ってマキシマムロードはベンチレストシューターの場合自ら決めています。勿論マキシマムロードが幾つかを決定するのは自分の責任でやって下さい、私が責任をとるわけでは無いので、不安だと言う人はデーターブックのマキシマスロードを厳守してください。

さて、弾頭重量と火薬量の関係ですが、軽い弾頭であれば、弾頭の前進が容易です、つまり銃口内においても早く前進します、そのため火薬量が多くないとその前進に充分火薬の圧力が付いていかないのです、重たい弾頭の場合、弾頭の前進スピードが遅いので火薬量が多いと火薬の燃焼速度の方が早すぎで圧力が上がりすぎ、マキシマムを越えてしまうのです、軽い弾頭は燃焼速度の速い火薬、重たい弾頭の場合は燃焼速度の遅い火薬を使うのはその為です。


Q32 続き 別の尋ね方をさせて頂くと、同一弾頭重量、同一火薬量の場合、使用する銃身が長くなると、火薬の燃焼&弾速から見た際、どの様な違いが生じるのでしょうか?従って、弾の命中精度を高める為(&安全の為)には、火薬量 and/or弾頭重量 をどの様にすれば、良いのでしょうか?01-2/3

質問が重複していますので上の回答に変えます。


Q31 火薬量 と 銃身長 の関係に関して、教えて下さい。 同一弾頭種類、同一弾頭重量、同一火薬 を使用する場合で、データブック等の、銃身長 24インチの場合の火薬量データを銃身長 26インチ に応用しようとする際、火薬量の加減はどの様にすれば、宜しいのでしょうか?
想定: .308 Win , 155 gr Moly-Coated Sierra Bullets01-2/3

増減する必要はありません、元々火薬量の設定は銃身長で変化する物ではありません、変化するとすれば個々の銃身により変化するものです、例えば、全く同じメーカーが作った同じ長さの銃身でも、内径の公差は5/100ミリあります、最大公差の物と、最小公差の物では実に1/10ミリの公差が認められているのです、内径が小さければ圧力が上がります、内径が大きければ圧力は上がりません、従って火薬量を変化させるのはこの違いがあるためです、実際に撃って当たるか当たらないか、初速が出ているか出ていないかで判断するわけで、撃たなければ解らない、と言うのが現実の回答です、もし私のデーターが全ての銃に転用できるのなら、とっくの昔にアキュレートロードが公表されている筈です。
このコラムでもとっくの昔に開示していますが、従ってデーターの変化はライッフリングツイストはもとより個々の銃身により微妙に変化するのです。これは銃身長の変化よりも大きいかも知れませんが、銃身長だけで銃身の違いを論じるのは間違いなのです。


Q30 アーマライトのマズルブレーキ交換は「T銃砲店にのみ交換が承認された」とありますが、そのわりにはその銃身は替え銃身として販売し、オリジナルも、つけたままとのこと・・・しかも見た目は単にマズルを取り外しただけ見たいだし・・・写真は単にひっくり返しただけだし・・これなら、「単なる替え銃身の販売」じゃないの?こんなものを225千円で売るってのはいかがなものでしょう・・・・ノーコメントかしら? 01-1/17 改01-1/24

昨日アメリカのショットショーから帰りましたが、アーマーライトのブースで貰った価格表によるとAR-10 A4 Rifle -Green,Chrome Barrel 上記のデラープライスは$769.00です、希望小売価格ですら$960.00です、換銃身だけで本当に¥225,000でしょうか、見間違いではないのですか、それとも誤記ではないでしょうか。一度確認された方が良いと思います


Q29 先日銃砲店にて一発89円の.308実包を購入しました。この実包は一回使用したら薬莢は再利用出来ないのでしょうか?00-11/25

共産圏、とりわけロシアの弾は劣悪です、この弾は多分高圧が高いのではと思われます。
薬莢は鉄製ですが、何故鉄を使うかと言いますと、単なるコストダウンの為です。では外のメーカーな何故鉄製の薬莢を使わないかと言いますと、鉄と真鍮ではスプリングバック係数が違うからです。つまり、弾を撃ったときに、薬莢は薬室の中で広がります、これは薬室と薬莢の間をシールしてガスの吹き戻しを押さえるためです。真鍮製の薬莢の場合、一旦膨らんでもまた元のサイズに戻りますが、鉄の場合膨らんだままになり薬室に張り付いてしますことがあります、そのため共産圏の軍用銃は薬室の寸法が大きめに出来ています。
ですから共産圏の軍用銃で真鍮薬莢を使うと、薬莢が割れることもありますが、再使用する事を前提としておりませんので軍用としては問題ないのです、むしろ非常時には鉄製の薬莢も利用できるのでこちらの方が応用範囲は広いと言えます。

共産圏の薬莢はプライマーホールが1穴のボクサー型プライマーホールではなく、2穴空いているバーダンプライマー型なので通常のダイスでは雷管を抜くことが出来ません。そのため再利用は出来ません。
この弾89円と割安ですが、アメリカではわずか1発10円で販売している腐れ弾です。
この手の弾は爆粉が劣悪なので銃身が錆びやすくなるかも知れません、ご注意下さい.


Q28 ライフル銃の銃身にほどこしている(フルート)は何の意味があるのでしょうか?00-11/22

元々フルートはモーゼル社で作った戦闘ヘリに搭載する機関砲の銃身に施されたのが最初です。
この頃は空冷効果の意味があったのですが、ライフル銃の銃身の場合空冷効果はほとんどありません。
従って意味を見いだすとしたら、軽量化と見た目の効果しかありません。


Q27 ライフル銃の、機関部 等の手入れに関する質問です。弾を撃った後の、レシーバ部、及び、ボルト部、マガジン等の手入れは、どの様にすれば良いのでしょうか?前の質問と同様、材質、発射弾数 使用状況 等によって、違いはあるかと思いますが、宜しくお願いします。00-11/20

レシーバー、ボルトにはWD-40を吹いておくのが最良でしょう、人によっては黒いカーボンを除去しないと気が済まないきれい好きの人も居るでしょうが、機関部、ボルト、弾倉は錆びていなければ原則的に使えます、あえて言うならきれいにゴミを除去すれば大丈夫です。


Q26 ライフル銃の銃身の手入れに関する質問です。弾を撃った後の、銃身の外側、及び、銃口部(クラウン)の手入れは、どの様にすれば良いのでしょうか?銃身の材質(ステンレス、クロモリ[ブルー仕上げ、パーカライジング」)と、発射弾数(狩猟での数発と、射場での数十発)、猟場で、雨に遭った 等で、違うのでは? とも思いますが、ガン・オイルで、拭くだげ で良いのでしょうか?( それでも、指紋や、油分を除去した後は、オイル分も拭き取るのか、多少、オイルを塗布した状態にするのか等が考えられます。)00-11/20

銃を撃った後はボアーソルベントを銅ブラシにひたひたに付けて、銃腔内を5~10回くらい前させ、そのまま10分放置した後ふき取ります。
その後長期間放置する場合はWD-40を吹き付けますが、そうでない場合は通常のスプレーオイルを吹き付けます。
WD-40は油分が蒸発した後、薄い皮膜が出来ますので長期間放置しても錆びませんが、通常のスプレーオイルだと蒸発して長期保存には向きません。
しかしながら、WD-40は皮膜が強力なので長い間放置した後射撃する場合は銃口内に皮膜がこびりついてこのまま撃つと全然当たらなくなります、そのため、ボアーソルベントと銅ブラシで完全に皮膜を除去してから射撃をしてください。

ステンレスの場合、通常の保管では銃身は錆びないのでWD-40は使わない方が無難です。
クラウンは特に手入れをする必要はありません。


Q25 続き それから 150grの弾頭とマッチする装薬はなにが1番よいでしようか?それともうひとつ、M1Aの手詰の場合い弾頭の偏心はあまりきにする必要はないのでしょうか、M1Aはスロ-トライフリング部分とのスペ-スはどのくらいが、適当ですか?おしえてください。00-9/16

スローバーニングの火薬を減薬すると、原因不明ですが異常高圧になることがありますのでお勧めしません。
シーテングの長さは、弾倉に入る長さが何よりも大切です。


Q24 友人のM1Aの308の手詰のことなんですが、工場装弾で初速3000でているそうなんですが、これは、銃身にメッキが入っているので銃口圧があがるためらしいのですがそのため燃焼速度の遅い4350とシエラの150Grのボ-トテイルで組み合わせています。00-9/16

軍用実包は2900フィートは出ますが、3000フィートはなかなか出ないと思いますが出ていたとしたら以下の理由のためです。軍用弾頭は初速を上げるために、弾頭と薬莢を接着しています、接着に使っているのはコールタールの様な物ですが成分は不明です。
銃口内のメッキの厚さは千分の数ミリですから、初速のアップには何の貢献もしておりません。


Q23 ミリタリーライフルのことについてちょっとお聞きしたいのですが、AR-15と言う銃はどれくらいの距離まで、届くのでしょうか?「空想科学論争」(扶桑社)によると、有効射程が、200メートルで、最大到達距離が、460メートルとなっていましたが、本当にその程度の威力しかないのでしょうか?散弾銃の「ライフルドスラグ」よりも飛ばないものを戦争で使っているとは、思えません。本当はどれくらいの威力があるのか教えてください。00-9/13

私がキャンプハンセンで海兵隊と射撃訓練をしたときは、海兵隊員は500ヤードで射撃訓練をしていました、この距離は実際の戦闘を想定した射撃練習です、この程度の距離なら立っている人間なら充分狙撃できます、実際訓練では人間の大きさの的に95%必中させていました。状況に応じては実際の戦闘では800メートルまでは充分使用できます、これ以上になると弾のドロップが大きくサイテングが大変難しくなります。しかし223と言えども1200メートルなら弾さえ当たれば人間は死にます。


Q22 ミリタリーライフルの入荷状態は、その後どの様になっているのでしょうか。00-7/5

国務省がこの手の銃の輸出をしたくないらしく、色々嫌がらせがあります。
通常はライフル銃の輸出許可は1ヶ月で出るのが普通ですが、今回の例で説明すると、1ヶ月の時点では調査中との返事、2ヶ月目になって、数が多いので申請書の書式が変わるからと言って最初からやり直しさせられました、これですでに1ヶ月経過しています、いくら引き延ばしてもあと1ヶ月が限度でしょう。
ライセンスさえ出れば輸入できます。
アメリカ政府は、大統領の交代とともに政府スタッフも総入れ替えになりますので、クリントンが大統領になってから銃器関係はムチャクチャ嫌がらせをやられています、しかし難しければ難しいほどやりがいがありますし、必ず輸入します。
さすがクリントン政権でも、輸出許可を出さないと言うことは出来ませんから。


Q21 レミントンライフル銃身は純正品としてメーカー供給されてない旨、御答えいただきましたが、将来的に銃身交換をする場合、純正品外の銃身を交換するとして、貴社では工賃込みでいくら位でしょうか?
なお、本体がパーカーライジング仕上げなので、パーカー仕上げを(クロモリ銃身でなるべく高精度)あわせて依頼した場合いくらくらいでしょうか?00-6/25

シーレンのセレクテットマッチグレードの銃身で¥79000で販売しています、勿論カスタムオーダーですから銃身の太さ、長さ、口径、適合実包、ライフリングツイスト、フルーテッド加工(+¥40000)、マズルブレーキ装着(+¥40000)、何でもご希望次第です。

パーカーライジング処理は+¥30000です。


Q20 308や3006でベンチレスト射撃に使われる弾頭は168grが一番グルーピングが良いとレミントンの記事で見たことがありますが、素人目には100gr~120grで弾速を上げた方がグルーピングが良いような気がしますが何故でしょうか、ご教授願います。00-6/15

一般論として言うと、初速は早いほうが命中精度がいいのですが、308の場合、軽い弾頭では弾が早く進みすぎるので308用の火薬、4895や3031では火薬の燃焼速度が弾頭の前進スピードとマッチングしません、そのため308には150gr程度の弾頭でないと火薬が効率よく燃焼してくれないのです、308には150gr~168gr程度がマッチングしますが、30-06には168gr~180がマッチングすると思います。


Q19 ウインチェスター製 ガーランドは何故値段評価が高いのですか。 00-6/11

出来の良さです。


Q18 レア物のミリタリーライフルを長期間使用した場合、当然各部品が磨耗し、交換と言う事になると思いますが、戦時中作られたオリジナルパーツ等は入手可能ですか? 00-6/11

戦時中のパーツはあります、たとえばウインチェスター製の部品なら、戦時中に作られたことがはっきりしていますから。


Q17 オリジナル ガーランド/M-14、レストア物 ガーランド、スプリングフィールド製M1Aの内で、どれが一番命中精度が良いですか? 00-6/11

何とも言えません、これらの銃は命中精度を競うための銃ではありません、命中精度を競うなら銃身交換してベデングする必要がありますがそういう趣旨では使わない方が良いでしょう、せっかくのオリジナルの銃身を交換する訳ですから。


Q16 M1ガ-ランドとM1-Dの銃本体で異なっている個所はありますか。(例えば、M1-Dの方が精度の良いパーツを組み込んであるとか...) 00-6/11

一応そういう説明ですが、本当かどうかは不明です、しかしながら通常のガーランドに部品を買ってきてM1-Dに見せても実際にはスコープと照準が合いません、本物のM1-Dの場合1丁1丁スプリングフィールドアーモリで照準調整して製造したようです。


Q15 M-14のフルオート機能は改造してセミオートにするのですか。 00-6/11

M-14の場合、前期のモデルですとフルオート機構が付いていますが、後期モデルは付いておりません。
これはフルオート機構を取り付けると弾の補給が間に合わないためとりつかないようになっているのです。
初期モデルの場合は、フルオートシエアーを取り外し使えないように改造します。


Q14 M1ガーランドの装弾数8発、M-14(20発)に対して銃刀法に合致させるにはどうやるのですか。(法規では薬室1発+弾倉内4発だったと思いますが) 00-6/11

5発用のクリップを使います。


Q13 レア物のカービンの購入を考えています、カービン銃は色々なメーカーで作られた物があると聞いていますがやはりウインチェスター製が一番高いのでしょうか? 00-6/11

カービンは以下の会社で作られました。
Inland (General Motors)
Saginaw (General Motors)
Underwood
National Postal Meter
Quality Hardware Machine Corporation
Standard Products Corp.
IBM
Rock-ola
Winchester

上記のメーカーでRock-olaとWinchesterの評価が一番高いのです。理由は希少価値と工作の良さです。当然両社の物が値段も一番高くなっております。
当社ではWinchesterだけを輸入しますが、リクエストがあれば他のメーカーの物も取り寄せ可能です。


Q12 続き また、初めはスタンダートなアッパーレシーバでもスコープを付けてみたいと思いますが、スコープリングのベースは合う物が購入できるでしょうか?

コルトのOEM製品のスコープはマウント付きで販売されていますが、ガラクタなので私は取り扱いません。


Q11 続き フラットトップレシーバですが、これは銃身込みでないと購入できないのでしょうか?フロントのガスブロックと双方交換できればアッパーレシーバと2つでフラットトップに変更できると思いますが?また、この場合には部品を輸入していただけるでしょうか?

この作業は以外と大変なので換銃身として販売するのですが、アッパーレシーバーだけの販売もします。
部品はすでに手配済みですが価格は未定です。


Q10 続き 銃身ですが、以前に書かれていた、"シーレンのセレクテッドマッチグレード銃身"でしょうか?または、ヘス製の物になるのでしようか?

シーレンの銃身を使う必要は無いでしょう、命中精度を上げるには外にも色々やることがあります。
ヘスでは銃身は作っていませんので、外のカスタムバレルを使うことになります。


Q9 コルトにはいろいろなバージョン?のAR-15があると思いますが、今回輸入していただけるのは何という型番になるのでしょうか?

現用の軍用モデルと同じタイプです、あ、勿論フルオートではありませんが。それと着剣装置はありません、(これはアメリカの法律です)


Q8 突然でまことに申し訳ありませんが、AR15についての素朴な質問をお送りしたいのです。僕はまだ高校生ですが、父の友人にエアライフルのシューターがいて、近く、ショットガンの申請をするのだそうです。
そしてゆくゆくはライフルで狩猟をしたいと言っておられるのですが、ファーイースト・ガンセールスさんが輸入されたAR15の改造の程度についてとても興味を持っておられるのです。特に使う弾丸の種類、チャンバーの形状や口径の大きさ、それにマガジンの改造の程度が気になるそうです。僕としてもその人に是非教えてさしあげたいのです。もしよろしければ、これらの事柄についての返信をいただきたいのですが・・・・00-9/16 改訂

AR-15は元々が223レミントンを使うように設計されています、日本の法律では銃を所持する目的はオリンピックや国体等で行われる射撃競技、そして狩猟用のいずれかの目的でないと所持できません。
ライフル射撃競技では223レミントンを使うことは出来ますが、ライフル射撃協会は射撃競技用の銃しか推薦の対象としていませんのでオートマチックであるAR-15は推薦の対象になりません。
従ってAR-15を所持する場合は、狩猟目的でないと駄目なのですが、狩猟法では6ミリ以下の銃での狩猟を禁止しています、これは口径の小さな銃で狩猟すると獲物を半矢にする恐れがあると言う理由で法律改正されたものなのですが、それでは30カービンと、22-250はどちらが威力が強いのかと言うと、間違いなく22-250なのですが、銃器に対して無知な役人が作った法律なのでこうした矛盾があっても致し方ありません。
さて、AR-15は22口径なので狩猟目的で所持する場合はこれを6ミリに変更する必要があります、そのためオリジナルの銃身を外して6ミリの口径の銃身を取り付けます、薬室は223レミントンの口径だけを大きくした6x45と言う名称の薬室になります、薬莢は223を使ってダイスを使ってネックアップすると6x45の薬莢に変身します、口径が5.6ミリから0.4ミリ大きくなって6ミリになっただけですから外見上はあまり変わりはありません、弾頭の重さは60~65グレインを使います、223の弾頭は55グレインですが、少し重たくなった分ガスポートから吹き出すガス圧が強くなりますから、ガスポートの穴を少し小さくして同じようなリコイルに調整してあります。リサイジングには6x45のフルレングスダイスをいます。

マガジンは5発用もあるのですが、取り扱いの便利さと値段を考えると、20連マガジン、30連マガジンを利用して中にスペーサーを入れて5発以上の弾が装填できないように改造して5発弾倉として使う方が便利です


Q7 現在所有している銃ですが、スプリングフィールドM1A(308)はライフリング4条です。
レミントン700(308)はライフリング7条です、なぜこのように違うのか疑問に思います?ライフリング条の決め方の条件と、条数の違いによる長所、短所が知りたいので教えてください。

一般論から言うと、昔の銃は4本ライフルが多いですね、これはライフリングを削るとき、カッテング方式ですとライフルを1本ずつ切削加工するので4本だと4工程で済みますが、6本だと6工程かかります、これが大量生産が要求される軍用銃の場合致命的な欠陥になります、従って軍用銃は4本ライフルが主流なのです、しかしながら現在のように冷間鍛造のように、銃身の中に超硬合金の芯金(コアー)を入れて、周りから鍛造しながらライフリングを加工する方法ですと何本のライフリングがあっても1行程で作業できますので4本でも6本でもあるいは8本でも一気に加工できるのです。
ライフリングの本数が少ないと、ライフルに食い込む抵抗が少ないので火薬の圧力が上手く上がらないと言うこともありますが、谷の部分からガスが抜ける、ジェットエフェクトが起きる弊害もあります、しかし決定的なマイナス要因はありません。
一部のカスタムバレルでは3本ライフルでかなり命中精度の良い銃身を製作していますので、本数が少ないことは必ずしもマイナスではありません、現在のライフリングは6本が主流です、逆にブローチと言って長いクリーニングロッドみたいな棒に、刃物を沢山付けてそれを引き抜くだけでライフリングを切削する加工方法もありますが、この場合はブローチ本体への負担を出来るだけ少なくするため、切削面積を出来るだけ小さくするため8本、あるいは12本等のライフルを削ることもあります。こうした銃身は安物の銃にしか使われません。


Q6 クリーニング・ロッドの長さに関して。例えば、口径308、26インチ銃身のボルト・アクションのハンティング・ライフルに用いる場合、どの程度の、クリーニング・ロッドの長さが、適切でしょうか?

例えば、Dewey の Cleaning Rod には、36 inch と 44 inch の長さの製品が有る様ですが、使いやすさ、運搬 等の面から、アドバイスをお願いします。もし、差し支えなければ、築地さんは、どのメーカーのクリーニング・ロッドを使われているか、教えて下さい。
使い勝手の良さはそれぞれに違いがあり断定は出来ません、私の個人的な意見を言うと、ロッドを押すときにロッドが長いと曲がる事があります、そのため出来るだけ短い物を好みます、それとガンケースに入ると言うことは絶対条件ですからその辺も加味して選択する必要があります、アメリカの場合ほとんどが車移動ですし、クリーニングロッドはそれぞれ専用のケースに入れているのでどんなに長くても問題は無いのですが日本の場合とは多少状況が違うと思います。
私の使用しているクリーニングロッドは、ハイテックと言う新しいメーカーの物です、以前はDewey 製を使っていましたがハイテックの方がグリップの回転が良いので最近はこれを好んで使っています。


Q5 HPで拝見しました。超レア物が手に入ったようですね。ところで50年も前の銃、「命中精度」は現行のライフルと比べていかがですか?

これがベンチレスト射撃専用銃であれば大いに問題がありますが、軍用オートマチックライフルとして考えれば現在製造される物と遜色はありません。ベンチレスト射撃の専用銃であればその銃身寿命は3000発くらいですが、これは100メートルで2~3ミリの命中精度を求める以上当然の事です、しかしながらガーランドの銃身寿命は10000発と言われています、これは命中精度が100メートルで3センチ程度であることを考えれば、これまた当然の事です。
今の銃身製造法と比較すると、現在のカスタムバレルに使われる、ナスビ形の超硬合金のコアーを強制的に銃腔内を通過させてライフリングを付けるボタン製造法はすでに戦前から確立している製造方法です、当時の軍用銃製造に使われたライフリングを1本ずつ切削するカッテング方法も、明治時代から完成している製造方法です(軍艦砲は全部この方法で作られています)、従って銃身の製造方法に現在と50年前と遜色はありません。

*銃の基本構造は変わっていないので、現在の銃とさほど違わないか?
そのとおりです、銃器の世界はほとんどが完成され尽くしていて現在ではほとんどと言うよりは全く改良の余地がありません、何しろ100年前にスイスやオーストリアで製造され、とっくの昔に製造中止された "直動式ボルト式" をあたかも最新の技術の様に触れ回っているブレザーやモーゼル等もあるくらいですから。


Q4 7.62x39弾、銃の質問 ルガーミニ30・コルトスポーター30の銃は、口径(0.308)か(0.311)どちらですか?
口径(0.311)の銃は、どんな銃が有りますか。それと、口径(0.308)の銃で(0.311)弾を撃つと、なにか問題おきますか。また、その逆ではどうなりますか。

ルガーミニ30・コルトスポーター30に使われる装弾は、AK-47に使われる装弾ですが、これの銃の口径は30口径ですが、弾頭は30口径も使えますが310径の弾頭も使います、310径の弾頭は弾頭重量の軽い123グレインの弾に採用されていますが、150グレインの弾頭は308径の直径に出来ています、軽量弾頭に310径を使うのは火薬の圧力を充分に引き出すためです、口径が308径で弾頭の重さが123グレインですと、弾頭が早く動き始め火薬の圧力が充分に上がりません、その対策です。 ですから逆の事例は考えられません。
昔、自衛隊で米軍から貸与されたガーランドの内径が摩耗して大きくなっていたので、310径の弾頭を使って精度を回復したという話を担当の技官から聞いたことがありますが、310径の弾頭はそういうすり減った銃、あるいは意図的に火薬の圧力を上げたい銃に使われる事はあり得ますが、内径を大きく作る銃は常識的にはありません。


Q3 ライフル銃の最大射程はどの位でしょうか?

狙って当てると言う範疇で言うならば1000メートルでしょう、アメリカでは1000ヤードのベンチレスト射撃競技がありまして、上位の射手は1000ヤードでリンゴくらいの大きさに命中させています、ですから可能性としては、1000ヤードは充分射撃可能でしょう。
アメリカ海兵隊の狙撃チームの話では1200ヤードまで可能と言う話もありますが、これはあくまでも弾の威力として可能と言うことで、1200では弾のドロップ量が大きすぎて実用にはならないでしょう。

1000ヤード射撃と言っても通常皆さんが使っている銃では無理かも知れません、それは1000ヤード射撃をするためにはライフルスコープのリチクルをうんと上げなければなりませんが通常の1インチボデーのスコープではリチクルを上に移動させようとしても上にぶっつかってしまい、調整が出来ません、仮に調整できたとしても下から押しているバネの力が無いので左右に照準がずれてしまいます。
それを可能にするためには、マウントベースの前のベースを3mm程度削って、300メートルでリチクルを一番下げた状態で使うように調整しておく必要があります、そうすればリチクルを一番上げた状態で1000ヤードに照準を合わせることが出来ます。
もっとも理想的なのは、そうしたベースを取り付け、ボデーが30ミリの物を使うとさらにリチクルの移動量が多くなるのでお勧めです、最近ではそうした長距離射撃の為に、ボデーが42ミリと言う狙撃用のスコープまで出来ています。
照準装置はこれで良いのですが、弾の初速は出きるだけ早くしておく必要があります、そうでないと弾のドロップ量が多すぎると照準調整範囲から外れてしまうからです。
1000ヤード射撃に使うには300マグナムくらいは欲しいところですが、どうしても308を使いたいと言う場合は、出来るだけ銃身長を長くして初速が伸びる様にしておく必要があります、26インチ銃身では力不足で、出来れば30インチは欲しいところです。


Q2 現在308口径のライフルを所持しています、命中精度の良い6ミリPPCに銃身交換したいのですが可能でしょうか?

308の薬莢と比べると6ミリPPCの薬莢は0.8ミリくらいボルトヘドの直径が小さいので銃によってはエキストラクターで排莢出来ない可能性があります、レミントンの場合エキストラクターの移動量が少ないので排莢出来ませんが、サコーの場合は移動量が大きいので可能です、しかし6ミリPPCと同程度の命中精度のある6ミリBRなら308と同じボルトヘッドサイズなのでレミントンでも銃身交換は可能です。

銃身交換の技術は難しい技術では無いので、いかなる銃身にでも交換は出来ますが、最大の問題は弾倉から弾が上がってきて薬室に装填される、いわゆるフィーデングの問題が最大の懸念材料です、30-06を308に銃身交換するのはいとも簡単ですが、この場合フィーデングの問題でまずつまずきます、適合実包を変更すると弾の外径の形状が違うので弾倉からせり上がる状況が変化するのです、早めに装弾が上がる場合は、弾頭の先端が薬室の上部に引っかかります、逆の場合は薬室の下、あるいは横に引っかかります。
単発で撃つ気持ちが無いと銃身交換は結構トラブルの要因になりますのでご注意下さい。


Q1 ブローニング社のボス付きの自動ライフルを購入しました、ボスの調整方法について教えてください。使用する弾はレミントンの308の150グレインです。

調整する必要はありません! ボスはそのまま締め込んだ状態で使って下さい。

何故かと言いますとボスを調整して効果が認められるのはグルーピングが100メートルで3センチ以下にまとまった場合です、この場合ですとボスの調整を繰り返すことでグルーピングはあと1センチくらい小さくなり、最終的には2センチくらいにまとまる様に成るかも知れません、しかしながら工場製の既成装弾を使って3センチのグルーピングにすることは至難の業です、はっきり言って不可能だと言えます、私がライフル射撃を40年やっていて難しいと言うのですから、それは相当難しいレベルだと考えてください。
はっきり言って、100メートルで10センチあたりにうろうろしている射手がボスを調整したからと言って、急に2~3センチに当たるように成るという魔法の装置ではありません。

残念ながら現実問題としては100メートルで3センチにまとめるには銃砲店で既成装弾を買っているのでは不可能に近いことです。この程度の命中精度を出すにはハンドローデングで作った弾でないと出来ません、しかしハンドロードで弾を作るのならボスを調整する理由が無くなります。それは何故かと言いますと、ボスを調整するのは銃身に固有に発生する銃身のバイヴレーションを、ボスを伸ばしたり引っ込めたりする事によりバイヴレーションの振動係数を調整して銃口の振動係数を最小にして命中精度を上げる装置ですが、ハンドロードすることは使用する火薬を調整する事によりそのバイヴレーションを調整している事にも繋がります、色々なローデングを繰り返し当たるデーターを見つけたときは間違いなく銃口のヴイヴレーションが最小に成っているはずだからです。

ですからハンドロードで一番当たる状態から、ボスを動かせば逆に当たらない状態に変更する事になります。ですからボスは事実上調整しても無駄と言う結論になるのです。
こんな事を書くと、"おまえの所のカタログにボスは命中精度向上に役立つと書いてあるでは無いか"と叱責を受けそうだが、あれはビジネスマンの築地が勝手に書いたことで、今はガンスミスの築地がお答えしています、実を言うと私、多重人格者なのです。ゴメンね!

Q&A 散弾銃関連

築地

Q74 1.貴社様より、サボット銃。買いたいのですが、猪猟に使います。そこで12番がいいのか、20番がいいのか、迷っています。
2.また、ドクターサイトか、スコープがいいのか
3.またサボットの弾頭詰め替えは、どのようにしますか、射撃場で使うには高すぎます。
4.ブローニンゲデアハンターの、銃床は替えられますか。いいものにしたいのですが  04-04/11

1.猪猟には20番の威力でも充分です、20番の方が軽いので良さそうですが、弾の入手は難しいかも知れません。
事前に弾の入手先を確認してから銃を決めた方が良さそうです。
また20番の1/2ライフルは、レミントンしか製造していません。
私の個人的意見ではブローニングの12番を推奨します。

2.猪猟ならドクターサイトが良いでしょう。

3.当社HPのリンク先にハンドロードしている人たちが居ますのでよく読んで研究して下さい。
メールを出すと、返事を貰えるかも知れません。

4.ブローニングは予備の銃床の在庫はありません。


Q73 送っていただいたハスティングのスキートチョークは、射出部の肉厚が、ベレッタ純正品に比べて厚く見えたので、ノギスで測ってみました。射出口から12mm奥の内径でハスティグSK18.3mm、純正SK18.5mmで0.2mmの差。
ちなみに、同様に測って純正のCyは18.4mm。ImpCy18.0。Mod17.9・・・Full17.5mmと、絞りに比例していることが分かりました。当然のことですが。
ここで「はてな? 」と感じたことは、ハスティグSKの口径は、なぜ純正のSKより0.2mm絞られているか? さらに、純正のCyより絞りが強いのか? ということです。'03-09/14

銃身の絞りは散弾の広がり、つまりパターンをコントロールするためのものであることは言うまでもありません。
しかしながら、散弾のパターンは弾の初速によって変化します、通常の猟用装弾の初速は1300フィートですが、この初速で希望するパターンを得るためには、通常の絞りより強くなければなりません。

しかしながら射撃用の24グラム装弾の場合、1400フィート出ます、その場合、通常の絞りより少し大きめでないとスキートチョークのパターンを再現できません。つまり初速が早くなれば成る程、絞りが強くなるのです。

銃器メーカーによってチョークの内径は全部微妙に違いがあります、また製造された時期によっても違いがあります、それは散弾の装弾の初速が昔より早くなっていることに起因します。
それが証拠に、昔のベレッタの方が同じチョークでも今の銃よりも少し絞りがきついですよ、それは昔のイタリアの装弾は火薬がシングルベース火薬が主で、あまり初速が出なかったのがその理由です。


Q72 散弾銃のフルライフリングは 1/2ライフリングに対して相当に命中精度が良いのでしょうか。'03-02/20

同じです。


Q71 昨年まで"コンポジット銃身"がレミントン社のカタログに目立ちましたが、急に寂しくなったように見えます。やはりあれは不良品?だったのでしょうか?'03-02/20

不良品とは思いませんが、銃身を軽量化するには細くするか短くすれば事足ります。
銃身を太くするにはバイブレーションの軽減が目的のはず、そのどちらにも目的が認められません、少なくとも私は1丁も輸入しませんでしたがね。


Q70 近年、レミントン社は12番口径の 31/2インチ対応薬室銃を販売していますが、31/2対応のサボット装弾綬を銃を販売してはいません、ドウシテ?
銃の強度に関しの事、それともアメリカ国内の規定?'03-02/20

通常のレミントン銃に、レミントンのサボット装弾を使用するとチョットした火薬ガスが高い場合簡単に銃身が裂けます。その対策でしょう。


Q69 1100用3インチ装弾交換銃身がありますか?この銃に11-87などの3インチ装弾用銃身を取付けて3インチ装弾を撃つことができますか?'02-12/06

使えます、但し、3インチ装弾は長さが長いので今までのガス圧力と、レコイルスプリングのバランスでは、ちゃんとスライドが下がりきれない可能性があります、そのために、レコイルスプリングを1~2cm切りつめる必要があります。


Q68 スチール装弾、3インチ装弾用銃身への交換等、この銃でこのままスチール装弾を撃つことができますか?スチール装弾用銃身に、あるいはスチール装弾用交換チョークに替えなければいけませんか?'02-12/06

スチール用装弾を使う場合、より絞りの強い物にしないと適正なパターンが得られません。

パターンの成形を無視して、今までのチョークが単純に使えるかどうかだけで判断すれば""使えます" 世間では今までの銃でスチール装弾は使えないとしていますが、それは上下2連銃の場合です、上下2連銃の絞りは、銃身と同じ硬さですからスチール装弾を撃つとその部分が膨らみます、しかしながら交換チョーク式の交換チョークはそれよりも硬度を硬く取っていますので、通常の使用でも問題なく使えます。

但し、通常のチョークでスチールショットを使うと以下のようになります。

鉛弾を使用した場合           スチール装弾を使用した場合は
モデチョークを使用しても     →    インプシリンダーのパターンになります
フルチョークを使用しても     →    モデチョークの効果しかありません
エキストラフルとかスーパーフル →   やっと普通のフルチョークの効果があります。

この様にスチールショットの場合鉛より比重の低い鉄を使いますので、絞りはさらに絞った物にしないといけません、そのためスチール装弾を使うためにはさらに絞り込まないと適正なパターンが得られないのです。

念のため申し上げておきますが、エキストラフルや、スーパーフルはスチール装弾用のチョークではありません、さらに硬度を上げたスチール装弾用の正規のチョークをお使い下さい。


Q67 24g装弾の回転不良について御社のホームページではレミントン製自動銃のガスシールの使い分けについての説明がありますが、スポーティング12では24g装弾とそれ以上(32g装弾など)の装弾の作動性を両立させるにはどのような方法が考えられますか?
追加工ではなく、ガスシールの脱着など部品交換レベルで対処したいのですが可能でしょうか?'02-12/06

スポーティング銃だけでなく、トラップ専用銃(アメリカントラップ用なので当社では輸入しておりませんが)スキート専用銃は、それぞれが射撃専用ですので24グラム装弾、28グラム装弾で回転するように作られています。

昔の公式装弾32グラムでも回転します、しかしながらこれ以上の強い装弾を使われることはお奨め出来ません、これ以上強い装弾を使うと、レコイルバッファーに衝撃が加わるため銃に悪い影響を与えます。


Q66 私は主にスラッグ射撃を楽しんでいるのですが、少し疑問に思うことがあります。それは「反動」です。
一度海外でライフル弾を撃ったことがあるのですが、スラッグ弾とほぼ同じパワーなのに、反動はあまり強く感じませんでした。
一方、日本ではリロードのスラッグ弾(速燃性火薬で)を使っていますが、反動がかなり強く感じます。この違いはなぜですか?'02-3/15

銃の反動は、弾頭の重さが同じ、初速が同じ場合は、弾頭の断面積の大きい方が反動が強くなります。
つまり、同じエネルギーでも口径が大きい方が反動が大きいのです。


Q65 チョークとスラッグについてお聞きしたいのですが、チョーク付の銃でスラッグを撃った場合、チョークや銃身は破損するのでしょうか(チョークの端の段差) また段差が大きな問題の場合、チョークの薬室側の内側の端を削り内径のみラッパ状にするといった方法はいかがなものでしょうか?'01-9/8

チョークと銃身が接触する部分はチョークラッパ状に成っていて、銃口からの弾は段差が生じないように出来ています。
逆にチョークの方から覗くと接触部分に段差が見えるはずです、つまりチョークの先端は銃口より広く出来ていると言うことです。従ってここに引っかかって銃身が破損すると言うことはありません、しかしながらチョークを完璧に閉めていない場合、隙間からカーボンが浸食し、それが散弾が通過する際の抵抗に成ることがあります、そうした場合銃口付近に脹らみが生じることがあります。


Q64 今回購入したS686シルバービジョンは、空撃ちで、上下とも引き金が落ちますが、これは、いわゆる、振り子式ではなく、メカ仕様のトリガーシステムなのですか?'01-8/24

S686シルバービジョンは間違いなく振り子式です、実を言うと最近のベレッタ引き金を少し設計変更したようで、新銃の内は振り子式でも引き金を引くだけで上下とも引き金が落ちてしまいます、何度かテストを繰り返す内にちゃんと振り子で作動するようになります。
摺り合わせが改善される、あるいはグリースが除去される、そうしたことが原因で改善されると思いますが、ベレッタの場合新銃の内は良くある現象です。


Q63 ペラッチのトラップ射撃用で銃身長を従来と同じ75cmの寸法で、特別注文でもう少し軽い銃身を依頼することは出来ますか。'01-8/22

ペラッチの銃身の肉厚は普通の銃でも0.8ミリしかありません、この肉厚はすでに限界に近い薄さなのです、念のためにペラッチに聞いたらこれ以上肉厚の薄い銃身は安全性の問題でペラッチでは"絶対に作らない"そうです。
確かに銃身の肉厚0.8ミリではすでに限界だと思います、銃身を作るとき丸棒の素材にガンドリルで穴を空けますが、ガンドリルで加工するときに厳密に言うとわずかに芯ぶれがあります、散弾銃の場合ドリルの直径が大きいので通常の加工では芯ぶれは0.1以内だと思いますが、しかしながら機械や刃物、あるいは工作技術の問題でそれ以上ぶれている可能性も否定は出来ません。熱間鍛造や冷間鍛造で銃身を作ったとしても0.1ミリ程度の公差は無くせません、技術レベルが低いとそれ以上の公差が出来たとしてもおかしくありません、わずか0.1ミリのぶれでも銃身の肉厚は片方が0.9ミリになるのに対して、もう片方は0.7ミリです、0.3ミリ芯がぶれたら最早火薬の圧力に耐える限界の領域になります。
したがってこれ以上銃身の肉厚を削ると言うことは極めて危険だと言うことです。
もし限界を超えて薄くした場合、事故にならなくても銃身が膨らみその銃が廃銃に成ってしまう可能性があると言うことです。
しかしながら、クレー射撃ではバランスと言うことに対して多くの人か関心を持っています、銃身を軽くしないで銃床に重りを入れてバランスを変化させると言うのも一つの方法です。私が確認した訳ではないのですが、ペラッチの関係者の話では、シドニーオリンピックのゴールドメダリスト、ダイアモンド選手は銃床をかなり重たくして先を軽く感じるようにバランスを調整していると言う話でした。


Q62 ベレッタDT10について質問させてください。DT10の正規代理店物と並行品の違いについてどの程度違うのでしょうか?
正規代理店物を扱う銃砲店での話しとして、並行品はグリップ部が長く、正規品はJGTが特注している為国内流通物ミロク銃とほぼ同じくらいのグリップ寸法で仕上げられている。(日本人向けとは言ってませんでしたが・・)並行輸入のヨーロッパ向けはグリップ部が長いと言っています。(だから使いにくいとも言ってませんでした)この「長い」はグリップの長さなのかトリガーからの距離なのかは確認忘れました。
現在ミロク銃を使用していますが、近々購入を計画しております。
当地では現物を比較し見ることは不可能ですので、詳細についてご説明頂けると助かります。
私にとっては、非常に高価な買い物ですから大変慎重に検討しています。トリガーがスライドするので影響無いとも思いますし、現在ミロクを使用しているのでこれよりグリップが長いとなると少々の不安もあります。
いろいろ情報があるのですが、自分の目で確認できないので、どちらを購入するべきか判断に迷っています。
その他正規品と、並行品の違いについて教えて頂ければありがたいのですが・・・?'01-4/22

ミロクは95%の銃をブローニングに輸出している会社です、つまり輸出専門の会社です当然にして作っているのは外人向けです。
貴方はひょっとして輸出物はサイズが大きいと思って居るのではありませんか?
残念ながら国内用に販売している物と、輸出している物とは全く同じものです。その外人用の物を使っているのに何の違和感も感じていないのは単なる先入観だけなのです。
逆に言うと、外国の物はすべからく大きくできていると言う偏見に満ちていませんか? 残念ながらミロクのサイズは外人向けなのですが、日本人の貴方が使う場合は、本来それを大きいと感じなければ間違いなのですが、サイズを小さくしたとして決して当たるようにはならないから問題なのです、ベレッタやペラッチは、逆に大きい物も作っています、大きい物は主にアメリカ向けに輸出されていますが、ヨーロッパ圏内ではサイズは小さい物が使われています、当社が輸入している物はサイズの小さいものです、ペラッチに関しては私が指示してプルレングスやベンドの寸法を決めています、未だに当社扱いの銃は外人向けでサイズが大きいとデマを飛ばしているショップが多くて困りますが、結果的にお客様に嘘の情報を与え、お客様に損害を与えていることになります。


Q61 以前アラスカでレッドショットが禁止になって以後3,5インチ薬室のショットガンをよく見かけるようになりましたが、同じ物が日本国内でも販売される可能性はあるのでしょうか?'01-3/16

当社でも注文があれば輸入します。特段問題はありません。


Q60 私が渡米時購入した、SHOOTING TIMES / GUN GUIDE `99では、BERETTA 686 ONYXが$1470、BERETTA 686, 687 SILVER PIGEON MODELSが$1740-$2410となっており、686 ONYXの方がかなり安くなっています。しかし日本の世紀代理店の販売価格はS686 SILVER PIGEONが\360,000- ~\460,000-で、S686 Onyxが\390,000-となっており、S686 Onyxの方が若干高く設定してあります。これは何故でしょうか?(もちろん日本でも、S687 SILVER PIGEON IIはS686 Onyxよりも高く設定してあります。)00-11/28

正規代理店に聞かないと胸の内は解りませんね。


Q59 FEGSのカタログにはS686onyx3-1/2"(89mm)が記載されていません。現在取り扱っていないモデルだと思うのですが、ホームページには、「記載のない物も取り寄せします。」と書かれています。取り寄せは可能でしょうか?またその金額はいくらぐらいになるでしょうか?やっぱりカタログに記載無い製品をオーダーする場合は大量に輸入するモデルよりも高くなったりするのでしょうか?(あまりお金に余裕が無いもんで、すみません...。)00-11/28

単品で輸入する場合シルバーピジョンより高くなります。


Q58 トラップ用やスキート用と言うのは分かるのですが、スポーティングやフィールドとは何を意味しているのでしょうか?
フィールドとはトラップ用やスキート用と同様の射撃競技の名称で、スポーティングとは狩猟用の事を意味しているのでしょうか?00-11/28

スポーテング射撃と言う競技があります。競技の説明はあえて致しませんが。


Q57 ベレッタのS686onyxに興味があります。特に3-1/2"(89mm)の薬室を持っているからです。私が目にする多くの散弾銃は、3"(76mm)もしくは2-3/4"(70mm)がほとんどです。3-1/2"(89mm)の弾はあまりポピュラーではないのでしょうか?
ちなみに私は将来狩猟をやりたいと考えており、是非3-1/2"(89mm)の薬室が欲しいと考えています、たとえそれが狩猟するのに必要なくとも、どうしても使ってみたいと望んでいるのです...。00-11/28

狩猟用の銃なら全て3-1/2"(89mm)の薬室です、当社ではオニックスは出来が悪いので取り扱いません、一番安い物でもシルバーピジョン止まりです、価格は¥199000ですから無茶高い訳ではありませんから。


Q56 モズバーグ695のボルト部にエンジンターン磨きを施せるのでしょうか?00-11/22

理屈の上では出来ますが、エンジンターンをやるには専用のジグが必要です、そのジグまで作っていたら加工代金は銃より高くなります。


Q55 M870ポリス仕様を買いました。パーカーライジング処理されているため、表面がザラッとしてます。使用してるうちに白い跡が目立つようになり、きれいにしようと布でぬぐったところ、もっと白く(広く)なってしまいました。どうすればよいでしょうか。00-11/14

あまり触らない方が無難ですが、再着色は出来ます、部分的に着色するのはムラになりますので全仕上げが原則です。


Q54 それともう一つ聞きたいのですが、申請の時に薬室等も入れた銃身長を申請して1/2以上のライフリング銃身を所持している友人が居るのですが、バレた場合その銃の許可だけ取り消されるのでしょうか?それとも全ての銃許可が取り消されるのですか?00-10/6

犯意があったかどうかで異なります、犯意があったのなら銃刀法違反です、犯意がなかったのなら過失です。


Q53 続き それから、今後1/2ライフリングのサボット銃身も規制されるのでしょうか?00-10/6

いいえ、あれは散弾銃実包を使うので対象外です。


Q52 「えっ こんなのありなの? 続編」を読んで驚くと共に質問があります。すでに1/2ライフリングを持っている者は所持許可の取り消しと書いてありますが、ほかに普通の散弾銃を所持していても、すべて取り消しでしょうか?00-10/6

いいえ、偽ライフル銃だけの取り消しです。


Q51 今年「ベレッタ682ゴールドEスポーティング28インチ」の銃を購入し、現在スキート射撃を練習してます。つい先日、先輩より「チョークをはずしたほうがいいんじゃないか?」と言われましたが、銃砲店に相談してみたところ「チョークをはずすと、マズイ」と言われました。先輩は「大丈夫!」と言いますが、私も銃砲店店主も銃身内のねじやまが壊れるんじゃないかと思っていますが実際のところどうでしょうか?ご指導のほど、よろしくお願いします!00-10/6

チョークを外すのは論外です! チョーク外してもねじ山は壊れませんが、長期間そのままで使用した場合はねじの溝にカーボンが付着し、2度とチョークが付けられなくなります、それとチョークを外して何の意味があるのかな?


Q50 ウィンチェスターのM12とゆーチョット古いフルチョーク銃身付きの(2-3/4インチ)を譲り受ける事になったのですが、これはスチール散弾は対応しているのでしょうか?持ち主に聞いても判然としません。00-9/9

スチール弾を撃つためには通常のフルチョークより、もう一段絞りのきついチョークを使わないと希望するパターンが得られません、そのため今までのフルチョークではインプモデ程度のパターンになると思います。
さて肝心なこの銃にスチール装弾が使えるかどうかと言うことですが "使えます" 案外昔の銃は大丈夫なのです、最近の銃は新開発された抗張力のクロームモリブデン鋼を使っているので今までの銃身より少し細くできます、それが銃の軽量化に拍車をかけているのですが、M-12の様に昔ながらのモリブデン鋼を使って作られた銃は重たい反面、十分な強度がありますのでスチール弾を撃っても大丈夫です。
でも同じ昔の銃でも上下2連は使わない方が無難でしょう。


Q49 1/2ライフリングについて
全ライフリング銃身だと散弾銃でも「ライフル」との解釈はいつごろからですか?それまでに許可された銃があるとすればそれは「散弾銃」として許可されているのでは?
もっとも、ショットガンは散弾銃でライフルはライフルでいいんじゃないの?00-7/11

これはレミントン社でサボット弾を開発してからの話ですから最近の話です。
当時はフルライフルでも適合実包が12番紙薬莢だったので散弾銃で登録されたと思いますが、すぐに全ライフルはいけないと成ったのです。これがいつ頃かは勉強不足で知りませんが、こんな事をするからライフル銃でも1/2ライフルを除去すれば散弾銃と言う解釈せざるをえなくなってくるのです、本来は適合実包で判断するのが常識ですが、警察庁は銃砲に対して無知ですからこうした訳の分からないことが起こるのです。


Q48 ペラッチは、冬のセールでも同等の価格(セール価格±5%)になる?00-7/8

工場出し値が変わらなければ同じです。


Q47 ベレッタのスポーティングとウルトラライトの違いは、重量だけ?00-7/8

スポーテング銃は基本的には射撃専用銃です、そのため適度な重さがありますが、ウルトラライトは狩猟が目的の銃ですから極めて軽く作られています、山歩きするときは軽くて使いやすいのですが、射撃をする場合は軽い分だけ反動を強く感じるでしょう、また射撃みたいに相当数の弾を撃つ目的で作られているわけではありませんので、耐久性は劣ります。
銃を軽く作れているのは機関部の材質の違いです、銃身はどちらもスチールですがウルトラライトの機関部は軽合金で作られています、しかし弾の圧力をもろに受けるブリーチ部分はチタンを使っています、チタンは熱処理をすると鉄と同じ強度を出せますが、比重は鉄の60%です、欠点は材料費が鉄の10倍する事と加工が難しいのでブリーチ部分の一部として使われています。


Q46 ベレッタのトラップ/スキートとスポーティングの違いについて?00-7/8

トラップ射撃の銃は、最初から銃を構えて撃つので銃床の頬付けの部分は高めに出来ています。
また銃身を少し上から見るような構造になっています、これは狙った所より上に着弾するように作られているのです。
これはトラップ射撃ではクレーが手前から遠ざかる方向に飛翔しますので真正面に出るクレーは追い越しざまに撃つと丁度命中するように作られているからなのです、従って左右に飛翔するクレーは少し下を撃つのがコツです。
スキート射撃は基本的には狙った所に着弾するようにできています、そのため銃をスイングさせながらクレーの飛翔する先を狙います、実際の射撃ではクレーを見ながら撃ちますので狙った所より少し上に着弾しますが、トラップ用の銃ほどではありません。
スポーテング銃はこれらの銃の中間に位置する銃です、この銃ではトラップ射撃もスキート射撃も出来ますが、逆に言うと専門銃ではないと言う欠点もあります。


Q45 M870遅発についてM870を所持して13年になります、前々から気になっていたのですがもし遅発が発生した場合M870の場合どうなるのでしょうか、トリガーを引くと発射に関係なくロッキングがはずれてしまう銃だと思うので仮に1秒位の遅発が発生した場合はロッキング解除状態で爆発する事になるので危ないのではないのでしょうか、今まで不発・遅発に遭遇したことがありませんがどうなるのでしょうか以前、M870のロッキング部品を組み忘れ機関部が膨れてしまったと言う事を聞いたような記憶があります。00-7/8

散弾銃の場合、まずまず遅発は起こりません、遅発が起こるのはライフル用の燃焼速度の遅い火薬です。
勿論絶対と言うことはありませんので注意をする事に越したことはありません。


Q44 クレー射撃の場合、自動式とポンプ式とでは、どちらの方が良いのでしょうか?(上下2連式を買うほど予算がないもので。)00-7/5

トラップ射撃の場合、自動銃だと隣の人に薬莢が当たるのでひんしゅくを買いそうです、870ならその心配はありません、また安全面でも自動銃は弾を2発入れると排莢が大変ですし、隣の人は "大丈夫かこいつ" てな感じで見られると思います、870なら排莢が楽ですからお勧めは870ですね。


Q43 クレー射撃主体で、たまに狩猟に使ういう場合、銃身長は何インチのものがよいのでしょうか?00-7/5

28インチで大丈夫ですが、出来れば30インチの方が振り回しが楽です。


Q42 M16(AR10系)410番なんてリクエストできますか?ご回答いただければ有難いです。00-7/5

残念ながらこの手の加工はやっておりません。


Q41 続き 私は、身長170cm、体重84kgですが、銃のサイズは何インチのものを選べばよいのでしょうか?00-6/29

銃身長はどういう用途かにより変わります、体格の問題ではありません。


Q40 現在、セールスカタログをみながら、自動散弾銃をブローニングにしようか、ベレッタA-390にしようかと考えています。そこで、質問ですが、双方で顕著な違いというものがあるのでしょうか?00-6/29

いいけ、顕著な違いはありません。


Q39 モズバーグボルト式散弾銃で鹿猟と標的射撃を楽しみたいと思っているんです。
モズと比べて870の強度(安全性)はどうなのでしょう あわせて教えてください。 00-6/11

いずれの銃も安全性については一切の懸念は必要ありません。


Q38 一番心配なのは異常高圧などのトラブルにより、ボルトの固定が破壊され後方突出しのための顔面損傷なのですが? 00-6/11

これはライフルの火薬を使ってライフル銃で撃った場合です、散弾銃の場合は元々速燃性の火薬を使っているので、火薬の量が非常に少なく異常燃焼、異常高圧を起こす可能性は皆無です、安心してお使い下さい。


Q37 どこかで「12番のボルト式散弾銃は強度的に心配」というような 記載がありますが?やはりそうなんですか?
射撃銃のように何万発も撃てるような耐久性はないのでしょうか? 00-6/11

10万発は問題なく撃てます、記述で言い足りないところがあったようです。


Q36 続き さらに薬室の大きさは2・3/4もしくは3インチのどちらが良いと思われますか?また購入後の部品交換による変更は可能なのでしょうか?

3インチにしておいた方が無難です、部品交換による薬室の変更と言うよりは、銃身交換による変更は可能です。


Q35 続き あと、二分の一ライフルの入った銃身での散弾の射撃は可能なのでしょうか?

可能ですが、散弾を回すわけですから散弾のパターンがドーナツ状になりますよ。


Q34 続き またいろいろな用途に使用したいので、替え銃身の購入も検討しておりますが、築地様が某HPで記入されていた、薬室と銃身が一体となった「ターハントの新製品」(これは二分の一ライフリングの物だと思いますが)は日本で購入が可能なのでしょうか?

可能ですが、納期と値段を考えると貴方の場合は避けた方が良いでしょう。


Q33 続き 購入する銃はレミントンの870を考えておりますが、ウイングマスターとエキスプレスの違いとは何なのでしょうか?

銃床の素材です。機関部と銃身の仕上げも違います、ウイングマスターは艶ありの仕上げですが、エキスプレスはつや消しです、製造上はつや消しの方が多少コストダウン出来ます。


Q32 続き またサイトインについて今まで我流で行ってきましたので、世界標準のような方法がありましたらお教えください。

自動銃、スライド式の銃に関しては実際に撃つ方が手っ取り早いです。
一応、薬室にレーザー照射照準調整器を入れるとか、鏡を使ってボアーサイテングするとか、一応方法はありますが私は採用していません。


Q31 続き 他の銃砲店で同じ質問をすると、いろいろ試してみて一番集弾するものにせよと当たり前のことを言われますが、そんなもんなんでしょうか?銃と装弾の最適合の探し方についてお教えください。

まず、装弾の弾頭だけを取り外します、弾頭が銃口内で隙間無くフィットしていれば問題ありませんが、隙間があったら駄目です。


Q30 先日購入させていただいたRem M870ハーフライフリングにはやはりレミントンの純正サボット弾がベストマッチングするのでしょうか?

そうです!


Q29 スムーズボアのバレルでサボット装弾を発射すると具体的にどのような危険がどの程度あるのでしょうか?

某銃砲店で聞いた話では、過去レミントンのサボット弾で事故があり、しばらく輸入を中止していたと聞いています。その銃砲店でサボット弾を購入すると、箱の裏に、「このサボット装弾はパラドック銃身以外には絶対に使用しないでください。 普通の銃身で使用すると銃身が破損します」と注意文が貼りつけられています。
通常のスラッグ弾は弾の内側が空洞になっていたり、弾自体が鉛で出来ているのでフルチョークの銃身で撃っても弾自体が変形して飛翔しますので何の問題もありませんが、サボット弾の場合、弾自体は銅製のムクですからチョークがあると停弾し、従って銃身が裂けます。
以前、どこかの馬鹿がサボット弾を通常のチョーク付きの銃身で発射して銃身が裂けたことがあります。
問題はこれに対する対応の仕方が間違っていました、顧客はえらい勢いで輸入元にクレームを出したみたいなのですが、対応した社員が銃のことに無知だったため、スミマセンと謝ってしまったのです、これが大きな誤りでした。
おかげでお客は間違いに気づかず、弾が悪い、危険だ、輸入を止めるとおかしな事になったのです。
最近その間違いに気づいて輸入が再開されましたが、モノを知らないと言うことは恐ろしい事です。
皆さんはこのQ&Aを読んで賢いユーザーになって下さい。


Q28 20番のライフルドスラグで3インチマグナム装弾(サボット装弾ではありません)は販売されているのでしょうか?(国内、海外を問わず)

一度銃砲店で探してもらいましたが販売されていないとの事で入手できませんでした。販売されていましたら、ぜひ入手したいと考えてますので、情報をいただきたいと思います。確か、フェデラルではサボット装弾で3インチを販売していたと記憶しています。
フェデラルの発売元、京都の国友銃砲店に問い合わせて見てください。
ここの社長は同志社大学の射撃部のOBで、年齢も私と同じで、飲み友達です。


Q27 現在,私はレミントン M870マリンマグナム20inを狩猟・射撃・有害鳥獣駆除用途として所有しております。この銃,近距離の山野猟ではそこそこの猟果をあげておりますが、いかんせんバレルが短いために中長距離での命中率が今ひとつです。また、射撃でもスキートはともかくトラップは絶望的です。そこで,この銃に合う換え銃身(26-30in)は有るでしょうか?色々調べましたが(御社とRem.のHPも含めて)よくわかりませんでした。
近所の銃砲店(この銃を購入した店)でも「多分870用なら合うんじゃない?」と適当な返事しか返って来ません。もちろん,この銃はNiめっき銃身のため通常の黒染めではカラー的に合わないのは承知しており,無電解Niめっき加工する事も考えています。
本来なら,用途別に銃を所有すべきと思いますが,愛着のあるこの銃を出来るだけ使いつづけたいと思いこの様なことを考えてます。

870の換銃身なら全て使えます、安心してお使い下さい。


Q26 ライフリング除去の件了解しました。除去するとして1/2除去なのか2/3・3/4除去なのかチェックできるんですか?

警察では難しいかもしれません、私はボアースコープを使って検査しますので正確です。


Q25 ひょっとして、当局が気がつかずに許可してしまえば・・・・・

当局が気ずかなければ許可になりますが、それはあくまでも虚偽の方法で取得した許可ですから何の意味もありません。銃身を廃棄していればさかのぼって調べるのは難しいかもしれませんが、現実に所持している場合は何時でも逮捕されます。


Q24 もし、ライフリング落し忘れた銃身を申請すると、罪状はなに?

銃刀法違反です、虚偽の方法を用いて所持している銃は何時でも取り消し出来ます。


Q23 1/2ライフリングについて
教授のところについてから、当然前(銃口)からグリグリですよね?だって薬室側を残さないと命中精度が出ないんでしたね。でも、後ろ(薬室側)からグリグリもあるの?

私事ですが、以前つきあっていたガールフレンドが、セックスの事をグリグリと隠語で言っていたので前からグリグリとか、後ろからグリグリとか言われると全く淫乱なイメージが浮いてきますが、気を取り直して銃器の話に戻ります。
私の理論は、薬室側にライフルを残さないと火薬の圧力がうまく上がらないと言うのがその根拠ですが、銃口のライフルを除去するとき、内径を削りすぎると命中精度が劣化する危険性があります。それと比べると薬室側を除去するのは、加工が悪くてもある程度の命中精度を確保できる利点もあります。
ターク高野は銃口側を残すと言う方が有利だと言っていましたが、未だ実験した訳ではありません。

訂正
私は薬室側にライフルを残すべきであると言う考えですか、ターク高野は銃口側に残すべきだと書きましたが、ターク高野から連絡が入り、その様な事を言ったことはないと訂正要求の連絡が入りました。

書いたことは私の勘違いです、私の書き間違いでタークの意見が間違って掲載されましたので訂正してお詫びします、タークは安全性を考えて薬室側にライフルを残すべきだとの考えです、今でもこれが正しい方法だと考えているとの事ですので、彼の名誉のためにも私の書き間違いの部分をあえて残して(私の恥にはなりますが)タークの主張を掲載させていただきます。
ターク高野からの連絡(アメリカ時間、5月28日、23時35分連絡)


Q22 1/2ライフリングについて
さて、輸入した銃身(スラッグ)にはフルライフリングが切ってあるのでは?(ライフリング落とすアホな国は日本だけ)そうすると、通関はできるとすると何時ライフリング落とすの?

輸入したライフルドバレルは当然、フルライフルですから通関は出来ないのですが税関は銃刀法に熟知している訳ではありませんので "合法" だと勘違いして通関下だけです、通関した人間は、"合法的に所持できる" と虚偽の申告をして通関した訳ですから、明らかに密輸だし、明らかに銃刀法違反になるのです。
この手の銃刀法違反は発見されれば全ての銃砲が没収されますし、今後銃は所持できなくなります、ですから海外からフルライフルドバレルを購入するのは銃砲所持者にとっいてはすこしリスクが大きすぎると私は思います。
通関後、1/2ライフル除去作業を "喜んでやる" 銃砲店は無いと思います。


Q21 ハーフライフリング銃身の散弾銃は通常サボット弾を撃つ為ですが、価格の高いサボット弾は射撃場でパカスカ撃てません。通常の鉛スラッグをこの銃身で使用することについての見解をお聞かせください。 (射撃場での遊びで精密射撃をしようなどと考えていませんが、猟期前にはサボット弾でサイトインするつもりです)か。

遊ぶには何の問題もありません、しかし、サボット弾の弾頭だけを購入して差し替えると言う遊び方もあります。
弾頭はバーンズ弾頭(銅弾)を1発¥170(ワッズ付き)で、当社で取り扱っています。


Q20 サボット弾は通常の鉛のスラッグ(ロケット)に比べて飛距離が長いとされていますが、どうしてでしょうか?

命中精度はライフリングのおかげで良いのは分かりますが、その結果飛距離も伸びるとはどうにも理解できません。火薬、ワッヅに何か仕掛けがあるのでしょうか。
単純に弾の重量と空気抵抗の関係です、市販されているロケット弾は12番にあわせて作られているので、弾の中を中空にしないと弾の重量が重く成りすぎます、ブリネッキでも後ろによけいな物を取り付けて弾頭のバランスを取っています。
しかしながらライフル弾頭はあんな形状はしていませんよね、弾頭重量に対して空気抵抗が大きいと射程距離は伸びません、しかし空気抵抗が少ないと射程距離が伸びます、しかしライフルみたいに伸びるわけではありません、それは散弾銃の初速がライフル銃の半分しかないからなのです。


Q19 近々鉛弾の使用が禁止されると思いますが870用の換銃身はスチールその他鉛以外の弾も撃てるのでしょうか?

スチール弾対応のチョークを使えば使えます。銃を交換する必要はありません。


Q18 カタログの最終ページ換銃身でレミチョークとレミンチョークと有りますがこれは違う物でしょうか?

そういう質問をすると私のアホさが判明するので今後は質問しないようにお願いします。


Q17 レミントンMー870についてお尋ねしますが 私の870の銃身には2-3/4in shellと刻印が有ります。貴店から換銃身を購入した場合 ほとんどが3インチ用だと思いますが私の銃に合うでしょうか また3インチの弾も撃てるのでしょうか?

3インチが撃てるかどうかは銃身で決まります、870の場合、3インチを使える機関部にはマグナムと刻印がありますが、これは排莢とか、装填の問題の場合のみのを想定した場合の話ですから、マグナム用と刻印が無くても少なくとも強度の問題は大丈夫です。
但し、銃身は必ず3インチ対応になっていることを確認して使ってください、銃身が3インチ用なら機関部は3インチ対応になっていなくても機関部の強度は大丈夫です、只単に排莢の時引っかかる事があるという懸念はありますのでそこだけ注意してください。


Q16 某紙の記事から
 1.銅製サボット弾は遠射がきく。
 2.エゾ鹿に対して命中するとほとんど走ることなく回収できる?

これは410番に限定した事では無く、20番も、12番もサボット弾は遠射がきくと解釈すべきだと思いますが。


Q15 某紙の記事には良く410番が取り上げられ「絶賛」されていますがほんとうなのでしょうか?

たんなるライフル銃を改造して所持するための口径ではないの?
410番はガラクタですが、410番と称してライフル銃のライフッリングを1/2除去して*******のマーリンのライフル実包を使用する銃は、元々がライフルなのですから命中精度も、そして威力もライフル並にあります。
こんな事を書くとそのライフルが売れそうですが、銃刀法の趣旨から考えると私は疑問に思っています。


Q14 1/2ライフリングについて全ライフリング銃身だと散弾銃でも「ライフル」との解釈はいつごろからですか?それまでに許可された銃があるとすればそれは「散弾銃」として許可されているのでは?
もっとも、ショットガンは散弾銃でライフルはライフルでいいんじゃないの?

ライフルか散弾銃かの解釈は明治年間に確定されています、当時軍隊で使用していた村田銃を民間に払い下げる際、ライフルを半分除去して散弾銃として只みたいな値段で猟師に払い下げた事例があります。
従って1/2ライフルは散弾銃という解釈が生まれたのです、逆に言うとライフルの定義はライフリングのある銃と言うことになっていますので、サボット弾を撃つ散弾銃が出現したときライフルになってしまった訳です。
ご質問にありますとおり、ライフルはライフル、散弾銃は散弾銃というふうにしないと、現用のライフルのライフリングを半分除去して410番散弾銃と言ってまかり通っています現状を考えると、ふと考えてしまう事があります。


Q13 1/2ライフリングのボルト式の散弾銃の購入を考えています。用途は射撃専用ですが、引き金の重さはどれくらいなのでしょうか?また、軽くする事はできますか。

通常のライフル銃と同じ引き金ですから軽くすることは可能です。しかしあまり軽くするのでは無く1キロくらいが安全面から言うと無難です。


Q12 マガジンキャップをロックするのにバレルの基部に小さいボールがスプリングと共に埋め込まれている物と、今回の870エキスプレスのようにボールを使用せずに、マガジンスプリングリテーナーの表面に山を作りその凸凹でマガジンキャップをロックしているものがあるようですが、このボールを埋め込む加工をお願いするとしたらいかほど費用が掛かりますでしょうか?
・・・と言いますのも、マイケル社のQD用マガジンキャップを使用しようと考え準備していましたが、まさかボールが付いていないとは思わなかったので少々気落ちしています。

ボールの取り付け加工は致しません。何故ならレミントンが部品を供給しないからです、レミントンではここのボールは不要だと考えているようです。


Q11 樹脂製のトリガーアッセンブリーでハンマーをコックしたままの保管についてもこのトリガーアッセンブリーが割れないか心配しています。基本的にこの種の銃は保管時にハンマーはどのような状態が良いのでしょうか?この割れるに至る期間については長期的な使用、保管(3年~5年スパン)での話で考えています。

ハンマーはリリースしておく方が理想的ですが、コッキングしていても特段問題はありません。
間違っても3~5年で壊れると言う事にはならないはずです。安心してお使い下さい。


Q10 私の870エキスプレスは、トリガーアッセンブリーが樹脂で出来ていますが射撃後の手入れでWD-40を吹き付けておいても割れてくることはないのでしょうか? 今までの経験より樹脂に対して防錆油が付着したまま長時間放置しておくと、割れの原因となっていたことを記憶しています。

これは大丈夫だと思います、私自身が実験をしたことはありませんがこの素材は対衝撃性プラスチックでこれが割れたため部品交換をした事例は今まで有りません。銃床素材も同じですが、これも今まで油がしみこんで割れたと言う事例はありません。


Q9 ショットガンのパターンについてショットガンの有効射程?については、狩猟読本etcに出ていますが、m単位のパターンはないものでしょうか?メーカーにはあるんでしょうね。

初速はフィート、射撃の距離はヤードで表示しています、日本式にメートルで表示したら比較が煩雑なのでこうしたデーターは世界的に統一するのが一般的です。


Q8 12番紙薬莢ってなんでしょう普通の散弾つかえない特殊な銃なんですか?

12番の寸法は12番紙薬莢と12番真鍮薬莢とがあります、通常使用しているのは12番紙薬莢の寸法ですが、昔みたいに村田式みたいなハンドロードを作る場合は12番真鍮薬莢を使います。
12番紙薬莢と言う名称は薬室の寸法名称であって、紙の薬莢を使うわけではありません。
プラスチックの薬莢を使用している現在の弾の薬室名称が "12番紙薬莢薬室" なのです。
では何故紙薬莢と言うのかと言いますと、昔は散弾の薬莢が紙で出来ていたのです、多くの場合ボトムには真鍮(実は鉄に真鍮メッキしたもの)がはめ込まれていましたが、ホシノ紙工と言う会社から売られていたモノは全部紙で出来ていました。


Q7 T銃砲店が扱っている「AR改造バージョン」なんて、なんの価値もないんですね。たしか410番に銃身が改造されて、変な銃床がついてましたっけ?なんにも知らない私は憧れていたことを恥ずかしくおもいます。あの銃当たりそうですか?失礼当たるわけないし、ARを冒涜している。ですね。
 ☆ミリタリーライフルには歴史的価値があるが、ショットガンには歴史的価値のあるものはあるの?
 ☆軍用といかないまでも、警察使用やミリタリー仕様とされるショツトガンの評価はいかが、某銃砲店で聞くと教授がおっしゃる軍用ライフルの評価(確実に出る、故障しない・・・)でした。

Q1.T銃砲店が扱っている「AR改造バージョン」なんて、なんの価値もないんですね。たしか410番に銃身が改造されて、変な銃床がついてましたっけ?なんにも知らない私は憧れていたことを恥ずかしくおもいます。あの銃当たりそうですか?失礼当たるわけないし、ARを冒涜している。ですね。
A1.ただ単に銃を持ちたいと言う人たちを利用しての金儲けでしょうね、銃を愛していたらとても出てこない発想です。

Q2.ミリタリーライフルには歴史的価値があるが、ショットガンには歴史的価値のあるものはあるの?
A2.当然ありますが、ショットガンの場合、ミリタリーガンとして採用された事例が少ないので歴史的な意味から言うと少ないですが数種類有りますね、但し私の個人的な感じではあまり評
価は高くありません。

Q3.軍用といかないまでも、警察使用やミリタリー仕様とされるショツトガンの評価はいかが、某銃砲店で聞くと教授がおっしゃる軍用ライフルの評価(確実に出る、故障しない・・・)でした。
A3.軍用のショットガンは民間用の銃を転用して利用しているだけで、純粋に開発して採用したわけではありません、それに利用目的が警備ですから歩兵用の小銃とは開発要求が違うと思います。


Q6 サイドロック銃の特徴について教えてください。

サイドロック式の銃は値段が高いのが特徴です。
簡単に言うとこれが特徴ですが、もう少し詳細について説明してみます、通常の銃はボックスロックと言って機関部の後ろに激発機構が組み込まれています、サイドロックの場合左右のプレートに激発機構が組み込まれているのです。
構造学的に言えば、ボックスロック機構の方が遙かに優れています、ハンマーを支えるピンを例に取って説明してみましょう、ボックスロックのハンマーピンはハンマーのピン穴を貫通して左右の機関部のブロックで保持されています、しかしサイドロックの場合はプレートに止めているので、左側の激発機構は左側のプレートだけで保持しており、右側には何の支えも無いのです、勿論、相応に強度を持たせて作られていますが、構造的に考えれば決して丈夫な機構では無いのです、またこの小さなスペースの中に同発防止装置も組み込まなくては成りません。当然振り子を使うようなスペースはありませんから、ハンマーをロックするシェアーを2個組み込んだような複雑な構造になります、しかしこうした機構を組み込んでもサイドロックの銃には同発が多いのです。

私はメルケルの303ETのトラップ銃を使っていました、メルケルの中では最高級の銃です。引き金は、何の調整もしないでオリジナルのまま使っていましたが何度も同発を体験しています、では何故そんなサイドロックを使うのかと言いますと、他人のことは解りませんが、私みたいにキリキリのガンマニアの場合は、その加工技術にうなってしまうからです。メルケルの内部のパーツには機械加工した後はありません、と言うことは機械加工した後はすべてヤスリと研磨で仕上げられているからです、サイドロックの場合、部品をはめ込めばそれで完成と言うわけにはいきません、それぞれの部品を微調整しながら組み立てなければ成らないため、必然的に全ての部品を研磨する事になるのです、本来は引き金の懸かりの部分だけをヤスリや研磨で調整すれば事足りるのですが、それでは見た目が貧弱なので部品を全面的に研磨仕上げしているのです、ねじも既成のねじは使っていません、全部メルケルの工場で作られたねじです、ですから小さなねじを紛失するとそれに変わるねじを市販のねじで補修する事は出来ません、メルケルの部品は全部こんな調子で作られています、サドロックの激発機構は非常に複雑な形をしております、銃床の中ぐりもそれに合わせて微妙な形状に削られています、大雑把に銃床を削ると、銃床の中がスカスカになり強度を保てません、そのため削る面積を最小にしているのです、ですから機械加工で銃床の中を削ることが出来ないのです、メルケルの銃床の中は全部ノミで仕上げられています、これは目で見れば誰でも解ります。歴然とノミ後が残っているからです。
こうした加工を見せられると機構的な合理性より、加工の難易度に心を奪われてしまうのです、サイドロック銃の存在理由、存在価値、それは正しく加工の難易度にあります。
従ってどこのメーカーでもサイドロックが一番高い銃になっているのです。


Q5 ベレッタの上下2連を使ってトラップ射撃をやっています、初矢は引き金を引くだけで落ちるのですが、二の矢はバットプレートを下にして床に軽く叩きつけないと落ちません、先輩に聞くと中に振り子が入っているのでそうなると言われました、友人の使っている銃は引き金を引くだけで初矢も二の矢も落ちますが、振り子は何の為にあるのでしょうか?

これは同発防止機構です、振り子が無いと初矢を撃ったその衝撃で二の矢のロックが外れて上下の銃身が同発してしまうことがあります、それを防止するために初矢の反動を受けて銃が後退しその慣性を受けて中の振り子が後ろに下がり、初めて二の矢の引き金ロックが解除されます、後は引き金を戻して引けば二の矢が発射されます。
しかし、この方式の場合、初矢が不発の場合銃に反動が発生しないので振り子も作動せず、従って上の銃身も撃てないと言うことになります、この場合は引き金を引くだけで上下の銃身が順次激発できる振り子の無いタイプの方が有利です、外見はほとんど同じですがミロクは振り子タイプ、ブローニングは振り子なしの機構です。

振り子は同発防止と言いましたが、それでは振り子が無いと同発するかと言いますとほとんどその懸念はありません、事実、私はトラップ射撃にはブローニングのD-4を長年使っていますが今まで同発したことは一度もありません、ではブローニングは同発が起きないのに何故ミロクは振り子機構を採用しているのでしょうか? 私のブローニングは絶対同発しないかと言うと、引き金を不必要にいじくり回すと起こる可能性があります、散弾銃の引き金は射撃用のライフル銃の引き金と比べると比較にならないくらい粗雑な引き味です、なんと言ってもストロークが長すぎます、では何故私が引き金調整をしないかと言いますとその必要性を感じないからです、スキートもそうですが、トラップ射撃も引き金を引くのは一瞬です、クレーを追いながら引き金を絞り込むと言うことは絶対にありません、クレー射撃は最初から"ガク引き"射法なのです、従って引き金調整する意味は全くありません。しかし引き金調整を繰り返し、ハンマーの懸かりを限界まで調整すると同発が発生しやすいのです。その時には振り子の存在意味が出てきます。

振り子式引き金の最大の利点と言うべきは、初矢を撃った後、引き金を戻して、また再度引き金を引いて二の矢を撃ちます。この引き金を戻すストロークが決定的に違います。
私はトラップ射撃にブローニングのD-4と、ペラッチのSCOサイドプレートを使っていますが、ブローニングに関しては長年使っているのに初矢を撃った後、引き金の戻しが足らなくて、二の矢を撃てなかったことが年に何回かあります。これを限界まで調整すると引き金の戻しは少なくなりますが、非常にデリケートな引き金に成るので同発がでる可能性が高くなります、しかしペラッチの場合は二の矢を撃つのには引き金の戻しは非常に短いのです、引き金を戻すと言うよりは、引き金の力を緩めると言う感じだけで二の矢を撃てます、このフィーリングはクレー射撃には非常に大切だと痛感しています。


Q4 AR-15を購入して、410番に改造したいのですがお願いできますか?

この手の改造はお受けしません、その理由の一つは、私のポリシーとして折角作られたライフルを除去すると言う仕事はガンスミスとして耐えられませんのでお受けしません。

もう一つの理由は、AR-15の場合は、アッパーレシーバーを交換すれば簡単にライフルに改造できます、警察は専門家では無いので銃器の事は解らないでしょうがガンスミスとしては法の趣旨に反するので作業致しません、悪しからずご了承下さい。


Q3 レミントンの自動銃を使っています、ピストンの所にゴム製Oリングがあります、部品の名称で言うと"ガスシール"となっています、ガスをシールする物だと思っていたのですがこれが切れても使用上何の支障もありませんが、あれは何の為の部品なのでしょうか?

それはガスシールの為の物です、貴方の使っておられるのは猟用装弾だと思いますが、その場合にはそのガスシールが無くても問題なく回転します、しかし射撃用の24グラム装弾を使ったときは弾が軽すぎるため回転不良がおきます、その回転不良を防止するためにガスシールを使い、ガスが漏れないようにしているのです。
しかしながら、28グラム以上の弾を使うときにこのガスシールを付けたままだとガスシールが簡単に切れてしまいます、ですから24グラムの射撃用装弾を使うとき以外は取り外しておく方が良いのです。
このガスシールは24グラム装弾専用の物だと言うことを覚えておいてください。
もしその銃を射撃しか使わないと言うのであれば、最初から24グラム装弾対応の銃に調整する事も出来ます、その方法はリコイルスプリングを1~2センチメートル切りつめる方法と、あまりやりませんがガス穴を0.5ミリ程度大きくすることです。


Q2 新品の上下2連を購入しましたが、銃を収納するときに引き金を引いてハンマースプリングを落としておかなければ成らないのでしょうか?(実は昨日射撃場で銃を使ったときに不発が出て、その不発弾の雷管を見たら打跡がすごく小さいのでバネが弱っていると考えられます。)

銃を収納する時にハンマーを落としておく必要はありません、ハンマーをかけたままに放置しておいてもバネが弱る事はありません、たとえば貴方の使っている車、ジャッキアップしておかなかったからと言ってバネがへたり段々車高が低くなったなんて事は無いでしょう、それと同じです。貴方の上下2連に不発が起きたのは多分、弾の問題です、ひょっとしてイタリア製の弾を使ったのではありませんか?

共産圏の弾は最悪ですがイタリア製の弾は自由主義諸国の中ではあまり出来が良くありません、特に雷管に使用する爆粉がよくありません、そのため不発が出るのです。
"でも撃針の打跡が小さい" と言われると思いますが、打跡が小さいのはハンマースプリングが弱いのではなく、逆に雷管が強いからなのです、雷管の素材が肉厚が厚いか、材質がほんの僅か硬いかのどちらかです、ですからその雷管が完全に潰れる様に叩かないと中の爆粉が点火しないのです、ですからあえて雷管を強くして強い撃針で叩くように意図的に設計しているのです。
話は少しそれますが、ライフル銃に使う雷管とピストル用に使う雷管は外見も中身も全く同じです、では何処が違うかと言いますと、ピストル用の雷管の方がほんの僅か材料の肉厚が薄いのです、ピストルのハンマーはライフルと比べると弱いので雷管も薄く出来ているのです、一方ライフル用は火薬の圧力がピストル用よりも強いので雷管が厚く出来ているのです、ですからメーカーにより雷管の材質に厚みや堅さの違いがあるのは当然の事です。

さて話を戻しますが、雷管を叩いた打跡が小さいのは撃針が雷管を叩いた後、撃針はリバウンドと言って少し叩いた位置から戻るように出来ているからです、雷管の材料が硬いと撃針が戻されるのです、それは撃針のリバウンド機構とも大きな関連があります。
上下2連銃の場合はリバウンド機構を確認しやすいので確かめてください、ハンマーがロックされている状態ですと機関部の撃針の周りを触ると撃針が引っ込んでいるのが解りますね、(当然ですが)では引き金を引いてハンマーを落としてください。瞬間的に撃針は出ているはずですがなかなか目には見えません、その状態でまた機関部の撃針の周りを触って見てください、ハンマーは落ちているのに撃針は引っ込んでいるでしょう。これがリバウンド機構です、なぜこうなっているかと言いますと、もしハンマーを落とした状態で撃針が出っぱなしだと、弾を入れて折った機関部を戻した時に撃針が雷管に当たりますね、そうすると弾が出てしまうではないですか、極めて危険ですよね。その為に撃針は雷管を叩いた後はすぐに引っ込むのです、これは自動銃の場合も同じです、もし撃針が出放しだと弾倉から出てキャリアーで運ばれた弾を薬室に送り込むとき、雷管を叩いてしまいますね、そのためリバウンド機構が働いて撃針は前に出ない様に成っているのです。

ピストルの場合も同じです、リボーレバーを例に取って説明すると、ハンマーを起こして引き金を引くとハンマーが落ちて撃針が雷管を叩きます、で、引き金を戻すとハンマーは数ミリ強制的に戻されるのです、これもリバウンド機構です。
このように撃針は雷管を瞬間的にしか叩かないので、雷管の材質が硬いときには撃針がはね返され、弱い打跡しか付かないのです。
つまり撃針はビリヤードで言えばボールみたいな物で、ステックで叩かれたボールが慣性で前に出るのと同じ事なのです、ですから撃針は常にカタカタしていると考えてください。
それを確認する良い方法をお教えしましょう。
上下2連銃に弾を込めてください、念のためどちらの弾にも撃針跡が無いことを確認しておいてくださいね、初矢を撃った後、機関部を開いて上の銃身に装填している装弾を確認してください、雷管の中心に極めて小さい跡がありませんか? これは初矢を撃った反動で銃が後退したとき、その慣性で上の銃身の撃針が雷管を叩いた跡なのです、勿論撃発する様な衝撃では無いので問題は無いのですが、これは撃針がカタカタしているなによりの証拠です。


Q1 散弾銃の自動銃を使っています、自動銃は火薬のエネルギーを、自動銃を回転させるために使っているため、ポンプ銃と比べて威力が少し小さいと先輩から聞きましたが本当でしょうか?

それは嘘です、確かに常識的に考えれば相当なエネルギーを自動銃の回転の為に使っています。そのエネルギーを使った分はどこかから減算しないと物理の法則に背きますが、以下の理屈を読んでいただけるとお解りいただけると思います。

簡単に言うと、弾を撃ちだした後、銃口から火薬ガスが出ますよね、銃口から散弾が出た後はあのガスは全く無駄な存在なのです、仮に弾頭が出た後、余分なガスが全く無いのなら自動銃を回転させる為に使った火薬のエネルギーは減少しますが、元々有り余るガス圧がありますので自動銃を回転させる為に使用したガスなどは弾の威力には何の影響も与えないのです、もっと解り易くいうなら、銃口からガスだ吹き出している限りにおいては、弾の威力は全く減少していないと言うことです。

狂人に刃物

2001年 7月20日 築地

気違いに刃物と言う例えがあるが (差別用語であるので「狂人に刃物」とする)は考えただけでも背筋が冷たくなる。
最近は刃物が簡単に銃器にとって変わられる。"狂人に猟銃"、これこそは私が考える最悪のパターンである。

言うまでも無いがこのコラムを読んでいる人の大半は絶対にその様な事があってはならないと考えているはずである。
アメリカ等で起きている銃器による大量殺人など、ほとんどがこの狂人に猟銃と言うパターンであろう。
アメリカではともかく、日本では現実に精神病院に入院している患者に所持許可が交付されるわけはない、それだけでなく精神病院に通院歴があれば所持許可の交付は事実上されていない。

従って警察の許可行政はまともに機能していると断言できる、しかしながら、精神異常といえないレベル、単なる躁鬱病程度の人の場合は、所持許可は交付される。
これは考えてみれば当たり前の話で、躁鬱病患者まで所持許可交付に対して警察からあーだこうだと言われたのでは、多くの人がその対象になりかねない、多かれ少なかれ、大多数の人が躁鬱病の"気"はあるのでは無かろうか? 
まあ、"気"だけですんでいる場合は実害がないが、実を言うと私の周りですでに3人の人が自殺している。自殺する以上、いずれも何らかの形で精神を病んでいたことは間違いない。
自殺者の3人はいずれも銃砲所持者である、これが服毒自殺や首吊り自殺なら、別段関心も持たないが、猟銃所持者の場合は、自殺の道具に猟銃を使う可能性があるので問題が深刻なのである。
日本における自殺者は年間3万人に上ると言われている、その中のわずか3人なので統計的には非常に少ない数ではあるが、銃器を使用した自殺は深刻な社会問題化する可能性がある。その深刻さの度合いは、周りの人を簡単に事件に巻き込む可能性にある。

警察がひた隠しに隠すので私もあえて詳細を言わないが、ある自殺者の場合は、自分以外に3名の人間を殺して自らも自殺しているのである。これは自殺と言うよりは殺人事件であると思うが、この事件は新聞にも、テレビにも、一切報道されていない、しかしながら、当の本人と私は自殺前日に話をしている、話した感触では私自身相手に対して異常は感じたが、自殺するレベルの異常さでは無い。
話しただけで当人が自殺するかどうかは恐らく医者でも見抜けなかっただろう。
実は当人を良く知っているある精神病院の院長先生も当社のお客様なのだが、先生に聞いた話では確かに当人に異常な所はあるが、精神病院で治療したわけではなく、単なる変わり者程度のレベルでしかないと話して居られた、検死を担当された警察医の先生も当社のお客様なのであるが、自殺した当人の部屋の中は乱雑の極みで、全く整理が出来ていなかったとの事であるが、しかしながら、それだけで精神異常とするには無理があるのでは無いかと言うのが私の感想である。

裁判では殺人事件を起こした人間を精神鑑定する事があるが、私に言わせれば殺人事件を起こすのは元々何らかの精神異常があるから殺人を起こすわけで、元々の精神異常か、脳に何らかの傷害が無い限り、まともな人間が元々殺人を犯す訳がないと言うのが私の考えである。
しかしながら精神障害は誰でも起こり得る要素がこの世には満ちあふれているように思える、その最大の問題が常々色々な形で加わる精神的なストレスである、もっとありていに言えば、お金である! 資本主義社会である以上多くの価値観、多くの評価はお金で計られる、企業業績、個人年収、多くの評価がこうした金銭に置き換えて評価されている。
しかも、人間の欲は上限と言う物がない、従っていくら稼いでも達成感と言う物はなかなか得られないのでは無かろうか、そのストレスが有る限りこれからも多くの問題が発生するように思えてならない。
当社のお客でも精神異常一歩手前と言う人は時折見かける、最近ではこういう事例があった、お客のリクエストに応えてある銃のサイトを交換してあげた、サイトを交換するだけでから単なるねじを外して再度ねじを締めるだけの仕事なのであるが、当人から銃口から見たらねじが貫通していると言うクレームが寄せられた、ねじ穴加工をしている訳では無いので絶対にあり得ない事なのだが、当人はそう信じて疑わないのである。
またあるお客は、銃が付いたら取り付けられていたスコープがガンケースを開けたらポロリと外れたとか、こちらが頭を抱えそうなクレームを寄せて来ることがある。
そうかというと、変質狂的に私の悪口を言っている人間とか、とかく最近は狂ったような人間が多くてこちらが当惑することしきりである。しかしこういう精神異常者には出来るだけ近づかないようにしている、何時こちらが被害者にならないとも限らない。
君子危うきに近寄らずである。

動物で自殺する物はいないので、自殺と言う手段をとるのは人間が知能を得たその反作用と見る事も出来るかも知れない、しかしながらわざわざ必要以上のストレスを自分に課して、自らの脳細胞をパニックにするような愚かな事は何としても改めるべきである。
私は精神科医ではないので解らないのだが、今まで自殺した人たちとの会話を思い出してみると、自殺寸前は明らかに情緒不安定であった、ひどく攻撃的になったかと思うと、翌日詫びの電話をしてきたり、私からすると明らかに異常なのだが、元々そうした人は数えくれない位いるので、それらの人の行動全てを異常な行動と結びつける訳にもいかない、
私みたいに酔っぱらったり、スケベになったり、法螺を吹いたり、私自身はそうした事でストレスを解消している側面も有るのでだが、自らストレスを抱える人は、そうした私をみて相変わらず変質的な非難を続けるのかもしれない。
しかしながら、困った事に人の悪口は自らのストレスを解放する最良の手段でもある、上司の悪口、部下の悪口、飲み屋に行けば皆さんそれぞれ話して居られる、皆さんのストレス解放になるなら、いくらでも私の悪口を言っていただいていっこうにかまわない。
逆に私は誰かの悪口を言うと言う場面はあまりない、それは私自身、別段普段からストレスが無いからかも知れないし、私が単なるスケベな酔っぱらいのせいかもしれない。

バルカン砲の誤射

2001年 6月27日 築地

今日のニュースで自衛隊のファントムからバルカン砲での誤射があったと報じていました。
私は軍隊に近親間を持っていますので特段自衛隊を非難する気にはありません。
念のため言いますが、このコラムは自衛隊にクレームを付けるためのコラムではありません。

 何故か解りませんが、多くの戦闘機はパイロットが意図しないのにミサイルが発射されたり、今回の様にバルカン砲が発射されたりします、知らない人が聞くとびっくりするかも知れませんがこれは事実です、過去にもF-15がミサイルモードになっていない状態でトリッガーを引いたらミサイルが発射され戦闘訓練中のF-15に命中して撃墜した事件がありました、これは加害者も被害者も本当に気の毒な事件でした、これも単に機械の故障です、ずいぶん昔になりますが米海軍では空母で整備をしていたファントムからミサイルが発射され、空母の上の戦闘機に命中し、空母が3日間炎上した事例もあります。

ミサイル発射するには、兵器モードを、安全→機関砲→長距離ミサイル→短距離ミサイルという風にそれぞれのモードに切り替えないと発射出来ないようなシステムになっているのですが、F-15の場合(外の戦闘機でもそうだと思いますが)ミサイルモードに切り替えなくてもミサイルが発射されることがあるそうです、(F-15の場合 メーカーの事後通知マニアルで明らかにされています)当然バルカン砲も同じ事が考えられます、ミサイルもバルカン砲も単に電源が入れば自動的に発射されますので、操縦桿のトリッガーを引かなくても何らかの故障で電源が入ればその必ず発射されます、戦闘機のほとんどは常時最小限の装備をしています。これは戦闘機では当たり前のことです、戦闘機は常時最小限のミサイルと機関砲に実弾を装填しているのは軍隊の常識至極当たり前の事です。
警察官が拳銃を携帯しているのと同じ事です。

今回の報道で不思議に思ったのは、自衛隊側は発射されたのが"模擬弾"と直ちに報道していましたが、画像で見る限りあれは模擬弾では無く、通常弾頭だと思います、自衛隊が模擬弾とわざわざ言っているのは危なくないよ、と言う意図があるのはありありですが、真意は不明です、バルカン砲の弾頭には火薬を装填した物、対戦車に使うような鉄鋼弾(劣化ウラン弾もその1種ですが)等がありますが、模擬弾と言うのはそれらの弾では無いと言っているのでしょうか? 意味が分かりません。
我々が通常"模擬弾"と言えばダミーを言いますが、米軍でもダミーと言えば火薬を装填して無く、雷管も無く、ボデーには穴をあけている物を言いますよね、ダミーから弾頭が撃ち出せる訳がありません。
場合によってはダミーには弾頭に木製の物を使って誰が見ても明らかに模擬弾としているのを通称、常識的には"模擬弾"と呼ぶのでは無いでしょうか?
自衛隊では歩兵科を普通科、駆逐艦を自衛艦、最大の間違いは軍隊を自衛隊と言う具合に、今日まで、まるで自衛隊は政治家の言葉の玩具にされた感じがあります、ちゃんとした軍隊を自衛隊と言いくるめられたとおり、単に口先だけの誤魔化しで来たため、そのため自衛隊自らが普通弾頭を模擬弾とマスコミに言いくるめたいのかもしれません。

しかし、後で嘘を繕うようになると自衛隊そのものの信頼が失墜してしてしまうのではと心配でなりません。
バルカン砲が発射されたのはロケット弾投下訓練中との話がありましたが、ロケット訓練中でも最小限度のミサイルと実弾を戦闘機に搭載しているのは軍隊では常識です、戦闘機が何時でも戦闘状態に入れるので無ければ軍隊じゃないし戦闘機でもありません、米軍の空母での着艦訓練でも、スパロー2発、機関砲弾500発は最低限搭載しています、空母への着艦訓練、特に夜間の訓練は極めて大きい危険性を伴います、着艦に失敗した時のことを考えると武器を搭載しない方が絶対良いのですが、武器を搭載しないで戦闘機を飛ばすことは考えられません。第一その時に敵に襲われたらアウトじゃないですか。

 話がそれましたが、爆弾や、ロケット弾の対地攻撃の場合、地上の機関砲に銃撃されないため戦闘機は高度を8000メートル以下に下げる事はありません、レーダーに発見されやすいと言う欠点を除けば、通常は出来るだけ高い高度を飛行する方が戦闘機はより安全に飛行できます、8000メートルまで高度を下げるのは単に爆弾のロケット弾の命中精度を上げるためです、とすると戦闘訓練に入る前は相応の高度で飛行していたのではないかと推測されます、その高度でバルカン砲の電気スイッチが入ったとして、発射された弾頭は飛行高度によりますが地上に落下するまでは20秒~1分位は飛翔すると思われます、初速890メートルで発射されたと仮定して、その時間飛翔すれば20キロ~40キロくらい楽に飛翔する事になります、機関砲と言えども思いの外遠方まで飛ぶはずです。
参考までに説明しますと、ミサイルと言うと飛んでいる戦闘機を何処までも追いかけて撃墜すると考えている人も多くいます、ミサイルのロケットモーターは一体どのくらいの時間燃焼すると思いますか? 短距離の空対空ミサイルはわずか**秒です(軍事機密なので内緒です)これだけの短時間しか燃焼しないのですが、何故遠距離飛行するかと言いますと、点火のあとミサイルはとりあえず高度を取ります、とりあえず高く高く上昇する訳です、ロケットモーターの燃焼が終わったら惰性で飛行して自らのレーダーまたは赤外線探知装置を使いグライダーの様に飛翔して敵戦闘機に命中します、ですからバルカン砲ですら高度があればびっくりするほど飛翔するのです。要はミサイルと同じなのです。

バルカン砲の命中精度は当然ですがあまり良くありません、回転している砲身からから撃ち出すのですから当然と言えば当然です、バルカン砲のミルスペックでは、300メートルで1メートル以内に80%の弾が当たる事となっています、この80%と言うのが問題ですね、あとの20%は何処に当たるかわからないのです、いずれにしても標的以外の弾痕不明弾です、しかしバルカン砲の場合、ライフル銃と違い命中精度が良いと言うことは戦術的に言うとあまり意味はないのです、バルカン砲で地上を攻撃する場合、あまり1点に集中しても周囲に対しても破砕効果と言う面から考えると有る程度散布して着弾する方が望ましいのです。
空対空の戦闘の場合対面交差する場合は戦闘機同士があまりにもスピードが早すぎで撃つ時間は無いのです、射撃のチャンスがあるのは追尾する時だけでです、バルカン砲の照準装置は機銃モードを選択すると自動的にファネルサイトと言って、丁度、漏斗の形をしたリチクルがヘッドアップデスプレーに表示されます、漏斗であるから上が広くて下に行くほど狭くなっています、この幅に相手の戦闘機の翼端を合わせます、下に行くほど狭いのは遠距離になるほど上を狙うことになるからです、一見狙うのは簡単そうに思えるかも知れないが相手も高速でGをかけながら回避運動をしているので射撃のチャンスはほんの一瞬しかないのです、
このファネルサイトはコンピューターで常時演算しているので横旋回すると、ファネルサイトも横にねじれて表示されます、その中に敵機をッサイテングして引き金を引くのは、ほんのわずかな瞬間でしかありません、丁度クレー射撃のトラップで、一瞬を狙って引き金を引くのと同じ事です、バルカン砲は1分間に4000発、別のモードでは6000発の射撃が出来ますが、戦闘機に6000発の装弾を搭載しているわけではありません、そんなに搭載したら弾の重さだけで何トンにもなってしまいます、通常は500発程度しか搭載できません、従って実際の射撃では1~2秒しか撃たないのです、何故短い時間にこんなにたくさんの弾を発射するかと言うと、勿論命中率を高めるためと、もう一つ破砕の相乗効果を高める為です、機体に1発の弾が当たった場合、機体は貫通するだけだが、最初の着弾と至近距離に2発目が命中すると機体が破砕されるからでです、その為のバルカン砲であるから、あまり命中精度を高めることは意味のないことなのです。
さてそのバルカン砲砲弾、自衛隊では飛翔距離が伸びたのは跳弾だったからとの説明をしているようですが、馬鹿を言っちゃいけないと言うのが私の感想です、自衛隊にすれば兆弾だから威力は有りません、と言いたいところだろうがこんなセコイ誤魔化しはかえってしない方がいい、嘘がばれたら今度は事実を説明しても信じてもらえなくなる、いまや情報公開の時代である、何でも正直に説明した方がいい。

しかし、跳弾、飛翔距離の事に対してテレビは勿論、航空評論家、軍事評論家、いずれもこうした当たり前の事を全く説明していないのでこのコラムで説明します。 

劣化ウラン弾

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2004年 5月 1日 築地

過日、Q&Aの質問で以下の様なメールが寄せられました。

最近、マスコミで劣化ウラン弾と言う言葉をよく聞きますが、これはどういう用途に使われるどういう弾頭なのですか?


本来は、こうした問い合わせに対しては、Q&Aの中で、わずか数行で回答するのですが、数行で回答するには極めて多くの問題を含んでいますので、あえてQ&Aではなく、コラムとして開示したいと思います。

以下その回答です。

私は銃器に関する専門家では有りますが、放射線の、あるいは核物質の専門家でもありません、それでも自然界に存在する放射線と、核分裂を起こす濃縮ウランの放射能被爆と全く別物だと言う事は理解できます。最低限この理解がないと話が進みませんので理解できない人はそれを理解して読んで頂くか、理解できなければ、誤解を生じますのでこれ以上このコラムを読み進まないで下さい。

理解出来る方は以下の文章に進んでください。

いかなる金属もラジオアイソトープとしての放射線は存在しています、その量は0.0001%位かも知れません。

普通に採掘されたウランは99.3%が238ウランです、残り0.7%のウラン235がラジオアイソトープとしてのウランです。この0.7%を3.5%に濃縮すると核分裂するウランが完成します、このウランを濃縮する技術は相当高度なレベルの技術で、アメリカが戦前に原子爆弾製造の為に要したマンハッタン計画では、町一つを構築する位の人間と、天文学的な金額を投入してやっと完成させた物なのです。

この濃縮ウランを生成する課程で、いわば絞りかすとしで出来るのが劣化ウランなのです。

名前こそウランと付いていますが、この中に金の何十倍も高価な、235ウランが存在していると言うことは絶対に有りません。もしそれが残留していたら、濃縮できていないと言うことに他なりません。しかしながら劣化ウランといえども、立派な放射性廃棄物なのです。
もう一つ明確に記憶して頂きたいのは、世界中で濃縮ウランを生成出来るのは極めて限られた国だけなのです。アメリカ、イギリス、ソ連、位の物でしょう。
パキスタンが出来たとか、インドが出来たとか、そういうのは単なる実験レベルの話であり、原子力発電に使う濃縮ウランを生成出来るレベルでないと、大量の劣化ウランは製造できないと考えてください。つまりお金持ちの国でないと劣化ウランは作れないのです。
当然、日本も作れません。この事が貧乏な国のネガチブキャンペーンに使われていると言うことも事実なのです。劣化ウランは放射性廃棄物では有りますが、原子力発電所で職員の着用していた衣服も放射性廃棄物ですが、そういうレベルの廃棄物だと考えてください。
ですから、劣化ウランにガイガーカウンターを近づけたら激しく反応したというのは、全くのデタラメなのです。確か、赤旗の記事の中で「鳥島の射爆場で、弾頭の着弾地点でガイガーカウンターの針が振り切れるほど激しく反応した」と言う記事を見たような記憶が有りますが勘違いだったらすみません。もし本当にこういう記事が有ったのなら完全にデタラメな捏造記事ですね。

その他に、TBSのイラク戦争の報道の中で、劣化ウランが撃ち込まれた場所で、ガイガーカウンターが反応したと言う報道が有りましたが、またもやったかTBS、と言う感じで、石原都知事のコメントをねじ曲げて報道したり、そんなことを平気でやる報道機関ですから視聴者も相当レベルが高くないとまんまと騙されますね。
ガイガーカウンターが反応したのなら、その場所こそ、核弾頭が有った場所に他なりません。この様に、放射線と放射能の違いが解らないから、こういう幼稚なやらせを起こすのでしょうね。その他にもテレビ朝日で同じような捏造報道をしていました。
いずれも、親会社が毎日新聞と朝日新聞ですから、こう言う捏造報道をしても「それが社風」と言うことでかたづけられるかも知れませんが、それを見ている視聴者には相当な見識がないとこういう左翼系統のポロパガンダに騙されるかしれませんからお気を付けてください。

実を言うと、誰も言っていませんが、劣化ウラン弾は、ポケットに入れて持ち歩いても安全な物なのです。何処のメヂアも劣化ウラン弾をポケット入れても安全だとは言い切っていません、そういう言い切りをしているのは私のコラムだけです。
しかし、その事を断言するには相応の知的バックグラウンドが有ることも事実です。
劣化ウラン弾等をポケットに入れて持ち歩くと放射線傷害を受けるという方は、その事実を証明できる資料を添えて反論されて結構です。

劣化ウランは鉛の1.7倍もの比重があります、しかも硬度が極めて高いのです。
ですから、戦車砲のサボット弾頭に使えば極めた有効なのです、射程4キロ位なら、ほとんど直進する位の超低伸弾道で飛翔します。サボット弾ですから105ミリ砲弾で撃ち出しても、コアの直径はせいぜい1インチでしょうから、初速4000フィートは軽く出るでしょうね。このコラムの読者ならライフル弾頭でも、30-06クラスで、初速は2800フィートだと言うことは常識的にご存じの筈ですから、4000フィートが驚異的な初速だと言うことは簡単にご理解頂けるところですね。

サボット弾のコアは、弓矢の矢みたいな形状をしており、コアの重さの割に断面積は極めて小さく、その長い飛翔物を安定して飛行させるために羽が付いているのです。
劣化ウラン弾等が初めて兵器に採用されたのは、艦船を敵のミサイルから防御する、ファランクスとか、ゴールキーパーとか呼ばれる、バルカン砲に搭載されたのが初めてです。
こうしたバルカン砲はレーダーと連動させて作動するのですが、その作動は敵ミサイルの飛翔方向に、バルカン砲から打ち出された弾頭を交差させると言うプログラムで構成されています、我々が銃を撃つように「狙って撃つ」と言うシステムとは異なるのです。
敵ミサイルにバルカン砲の弾道を交差させると言うためには、超低伸弾道の弾頭が必要なのです、その為には出来るだけ比重の重い弾頭を使うのはどうしても必要な事なのです。
劣化ウラン弾頭は原料が只だから使うというのは、明らかに左翼プロパガンダの間違いですね、現在、自衛隊では劣化ウラン弾頭の替わりにタングステン弾頭を使っていますが、この弾頭を使う事により、ファランクスの命中精度が低下したのは間違いない事実です。

それが事実かどうかは、自衛隊の艦船にミサイルが撃ち込まれるまでは立証出来ないのでがね。
さて、劣化ウラン弾等に関する些細な仕様は以下のページに記載して有りますので、必ず見てください、相当な分量の記述が有りますので出来ればプリントアウトして読んで頂けたらと思います。

このページを読むだけで正確な劣化ウラン弾等の知識が有られると思います。

http://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/Pub/29.html

IPSHU 研究報告シリーズ 研究報告No.29 武力紛争における 劣化ウラン兵器の使用

このページは研究期間として極めて誠実に書かれていますので、左翼のプロパガンダには全然害されていません。また劣化ウラン弾頭の画像も掲載されております。

ここまで書くと、私自身が米軍のプロパガンダの一面を、になっているように思われるかも知れませんが、必ずしもそういう事ではありません。
私はアメリカの報道番組、CBSの隠れたフアンです、特にドキュメンタリー部門の60ミニッツは毎週欠かさず見ています。CBSの報道番組は、ウオルター、クロンカイトを始め、現在はダン、ラザーを筆頭に誠実な報道番組を放送している会社です。
誠実なCBSの報道番組を、やらせのTBSが報道している所は苦笑せざるを得ないところですが、それは我慢して見るしかありません。

最初に劣化ウラン弾の傷害について報道したのはこのCBSの報道です。

湾岸戦争で大量の劣化ウラン弾頭が使われました。劣化ウラン弾等は対戦車攻撃に使用すると、敵戦車の装甲鋼板を撃ち抜くときに、猛烈な高温を発します。
その猛烈に燃焼したガスが、微細な微粒子となって空中をさまようと言うのがスプレー現象と言っている事です。ですから劣化ウラン弾等の影響は周囲数キロに及ぶと言うのが左翼プロパガンダの言い分です。
猛烈な高温と言うのは、何も劣化ウラン弾の特性ではなく、タングステン鋼でも同じです。

我々が使用するライフル弾頭でも同じです、弾頭が装甲鋼板で跳ねればエネルギーはさらなる飛翔の為に使われますが、貫通の為にエネルギーが使われると、弾頭が燃焼するしかエネルギーを放出する方法がないのです。ですからライフルの30-06弾頭ですら、装甲鋼板に命中すると激しく燃焼してガス化するのです、装甲鋼板に命中すると、劣化ウラン弾頭だけが高温で燃焼すると言われているのは間違いです。左翼プロパガンダだけでなく、普通の研究者もこうした間違いを平気でおこしています。この様に通常弾頭でも激しく燃焼します。エネルギーの放出は、車のブレーキをかけると、車を停止させるためのエネルギーが、デスクブレーキの高熱として放出されるのと同じ理屈です。

話が横道にそれましたが、湾岸戦争後、帰還兵の中に劣化ウラン砲弾が撃ち込まれた敵戦車の中に突入した、あるいはその敵戦車周辺で作戦を展開したアメリカ軍兵士の中に、明らかに放射能後遺症と思われる傷害が発生したと言うのがその報道の最初でした。
私の見たアメリカ兵は、下半身が異常な形状に発達しており、明らかに生殖体の異常と思われる症状をていしていました。染色体の異常は放射能障害にある独特の症状ですからね。
その時は私も相当の衝撃を受けたのですが、そうした染色体の異常を来した兵士はごくわずかでしか無いことも後で解りました。

そしてその時点で、国防総省は劣化ウラン弾等と染色体の異常は因果関係がないと断定していました。現在に至るもその因果関係は立証されてはいません。
しかしながら、湾岸戦争シンドロームと呼ばれる、原因不明の病気が存在することも事実です。それも劣化ウラン弾頭との因果関係は立証されていません。

しかしながら、立証されていないから無関係とも言い切れないところがあるのです。
ですから劣化ウラン弾等と、原因不明の病気との因果関係は、有るとも、無いとも、どちらとも言えないのが現在の判断だと思います。

現在科学的な分野からちゃんと分析しても、そういう結論にならざるを得ないことは厳然たる事実ですから、国防総省の言い分も、とりわけ左翼のプロパガンダもどちらの言い分にも、どちらにも断定を下す訳にはいかないのが現実なのです。 

カタログ脱稿

2005年 6月 8日 築地

トヨタ自動車の人たちが「いつかはペラッチ」と言う様に、(言いません!)
ニッサン自動車の人たちが「Shift-The far-east」と言う様に、(言いません!)
ヤナセの人たちが「良い物だけを世界から」と言う様に、(これは言います)

今や世界的なトレンドの銃はファーイーストから購入するのが常識となりました。
しかし、未だにこの常識から取り残された不幸なシューターの為に、今年も淡々とカタログを作りました。
そして、そのカタログ原稿を昨日脱稿しました。この脱稿と言う文字、漢字変換を間違えると口にするのも恐ろしい、とんでもない意味に変換されてしまいます。
「だっこう」とパソコンで打ち込んで色々変換してみてください。通常変換文字は2つしかないのですぐに恐ろしい漢字が変換されます。
カタログ、そしてそれを解説したカタログ解説書は、もとより全て自分で書いたのですが、自分で書いた原稿を自分でチェックすると意外と変換間違いや誤字に気づかないものなのです。自分で書いているので元々違和感が無いのですね。他人なら簡単に間違いに気づきます。自ら書いた原稿を社内で他の社員達に添削してもらうと、原稿に大量の赤文字が入ります。
カタログだけは誤字脱字を避けたいため、極力注意を払って修正を加えました。
それでもまだまだ修正しきれて無いところが有るかも知れません。皆さんにカタログが配布されるのは6月末ですが、カタログを入手したら決して誤字脱字をの粗探しをしないようにお願いしておきます。

カタログ表紙
カタログ表紙

前回のカタログで利用できる写真は今回も流用しましたが、追加で挿入した画像は全部私が自ら撮影した物です、以前プロカメラマンに撮影をお願いした物と、私が撮影した物と比べても、画像に遜色はありません、少なくとも解像力は私が撮影した物の方が優れています。

これは、私の腕ではなくて、最新型のニコンD2Xの1200万画素のカメラのおかげだと思います。ボデーだけで60万円する高いカメラですが、カタログの原稿を自ら撮影する事によりほとんどカメラ代金は回収することが出来ました。
現在オークションに開示している銃の画像を撮影しているのもこのカメラです。。

ニコンD2X
ニコンD2X

当社のカタログに掲載している商品は、全てが一流品です。全ての商品は私が自らチェックした商品です。一番高いのは¥8,850,000のペラッチです。
一番安いのはウインチェスター社製の散弾銃スライドアクション、1300ブラックシャドーです。お値段は¥58,000です。この値段はほとんど玩具の値段です。
この金額は銀座の高級バーなら何も飲まないで座っただけで請求される金額です。

実はこの銃、正規代理店で販売している値段は¥241,500です。
スポーツガン誌、127ページにはちゃんと掲載されています。

スポーツガン誌 127ページ
スポーツガン誌 127ページ

¥58,000÷¥241,500=0.24、つまり当社の値段は正規代理店価格のわずか24%なのです。
でも、あまり大きな事は言えません、アメリカでの定価はわずか$376.00なんですからね。アメリカでの販売価格は当社の値段よりももっと安い値段です。
当社の仕入れはアメリカの販売店から購入しているのでどうしてもアメリカの販売価格よりは少しだけ高くなってしまうのです。

アメリカの価格は以下のページでご確認下さい。
http://www.winchesterguns.com/prodinfo/catalog/detail.asp?cat_id=512&type_id=040&cat=012C

正規代理店は当然当社よりもさらに安い値段で仕入れている訳ですから、いったい何倍の利益を乗せているのでしょうかね。ひょっとして覚醒剤並の利益率ではないのでしょうか。
覚醒剤の利益率は10倍位だと聞いています、どうやら正規代理店の仕入れ値段と日本国内の小売値段の価格差はこれに近い金額の様ですね。
しかし、スポーツガン誌も罪なことをしますね、ちゃんと雑誌代金¥4,200を払って購入した大切な読者にこうしたいい加減な情報を出しているのですからね。言葉は悪いですがスポーツガン誌の読者は詐欺にかかったような物ですね。これでは正規代理店のカタログ代わりの意図的で作為的な情報を出しているのと同じ事です。せめてアメリカの値段を併記すれば読者にも情報判断が正しくできると思うのですがスポーツガン誌を見て、これがまともな値段だと思いこまされて銃の購入を決めた人は本当に気の毒ですね。
もし、スポーツガン誌を購入した読者が、当社のカタログを事前に閲覧していれば全て笑い話でしか無い事実ですからね。時折、後で当社の存在を知って悔しがっている方達が沢山居られることも事実ですからね。
今、この原稿を読んでいるあなたがその対象者でないことを心よりお祈りします。
さて、ウインチェスター社のM-94のレバーアクションのライフルは¥79,000です。
スポーツガン誌150ページにはこれもお値段が掲載されています。
正規代理店価格は¥199,500です。
この値段差を考えるとなんだか頭がクラクラしてきました。
まだこれでも愚直に正規代理店価格で購入される方が居られるのでしょうか。
当社には今での年に数回くらい「お宅は並行輸入業者ですか」なんてとぼけた質問をされる方がおいでになります。お宅はちゃんと修理が出来ますか等と、私の神経を逆撫でされる質問をされる場合もあります。そういう場合はまともに回答をせずに「ご不安なら正規代理店で正規価格で購入しください」と返事をしますが、こういう馬鹿はどっぷり正規代理店にパクられるのが今後の身のためでしょう。
正規代理店フェチは永久にこういう無駄金を使っていただきたいと思います。
こうした驚くべき価格体系は当社のカタログと、スポーツガン誌を比較するとどんどん出てきますので、カタログが配布されたら当社のカタログとスポーツガン誌で価格比較をして楽しんでください。銃を購入しないでも充分楽しめます。
もし正規代理店価格で購入されたお友達がいたら事実を教えてあげるのも友情というものです。決して友人が落胆した姿を楽しんではいけません!

さて、今年のカタログからエアーガンを追加しました。
販売価格は¥98,000です、従来は¥170,000位で販売されていた銃です。
コンドルはコラムでも書いていますが世界最強の空気銃です。
但し単発です、やはり中には連発銃を希望される方も少なくありませんので今年から従来TFCで販売していた連発のサイクロンも取り扱います。
サイクロンは¥189,000です。スポーツガン誌によると、サイクロンは国内定価¥378,000ですから当社の値段はこれの約半値ですね。新品の値段が半値になったということは、現在銃砲店にある在庫の銃はもはや従来の値段では絶対に売れないと思います。銃砲店の中には銃をTFCに返品するところや、サイクロンを半値で投げ売りするところが出るかも知れません。新品が半値ですから中古の値段も当然暴落です。当社のオークション向けの買い取り価格は最早3万円位に落ちました。以前は中古を10万円でも売らない人がいましたからね。早く売っておけば良かったと後悔しても手遅れです。
このコラムをお読みの方は、ちゃんとこうした事情を賢察の上ご購入を決めてください。

あまりこういう話題を書くと業界の敵が多くなるので話題を変えます。
当社では他の業者が取り扱っていない物も沢山取り扱っています、しかも全て私のチェック済みの物ばかりです。
くだらない商品ですが標的もその一つです。標的なんてどこの射撃場でも販売しています、むしろ射撃場によっては強制的に買わせられるところもあります。
しかし、これは射撃場側が大変な勘違いをしています、わずかな標的代金を稼ぎたいのならその分を使用料を値上げした方がむしろ射手には親切です。使いたくもない標的を強制的に使わされなくてすみますからね。射手には自由に標的を使わせてあげるべきです。
私はライフル出身ですから情けない標的を強制的に使わされる位情けないことは有りません、私たちベンチレストシューターは、100mでのグルーピングは1,2,3,ミリのレベルで競っています。センターが1cmも有るようなどでかい標的でどうして練習や競技が出来るのでしょう、ひるがえり、ハンターなどの場合は銃の性能も射手の腕も違いますから、ミリ単位の標的では狙い様すらないのです。こういう基本的な事が解っていないところが少なくありません。栃木県のニッコー総合射撃場などは、射撃場で販売している「指定の標的以外を使った場合は退場を命じる」なんて恐ろしいことが書いてあります。
こうした射撃場の経営者は標的がどういう紙質で作られているかご存じないようですね。
参考までにお手元にある新聞紙を縦に裂いてみてください。
どうです、縦方向なら綺麗に裂けるでしょう?
今度は同じ新聞紙を横に裂いてみてください。
今度は綺麗には裂けないでしょう?
これは紙の繊維が一方的な方向で織られているからなのです。
日本に現存する紙は、全てこういう紙です。こういう紙しか無いのです。
日本ライフル射撃協会の標的紙は日本に現存する唯一の標的専用紙を使用していますが、これは特別にライフル射撃協会が大日本印刷に特別に漉かした紙を使っているからです。
1962年、東京プレオリンピックの前に正式なオリンピックで使う標的をどういう紙質の物にするか、私は当時の冨岡射撃場で弾痕の切れ具合、標的紙の色等が微妙に違う物を何枚何枚も実際に撃って何日もかけて色々なテストしました、そういう事実体験があるので私は標的紙の事についてこうした蘊蓄を知っているのです。
もっと厳密に言うならば標的の丸は厳密な真円ではないのです、標的は湿気で微妙に収縮するので、繊維の方向に合わせて収縮率を最初から計算して、最初から千分の数㎜楕円形に印刷されているのです。それがオリンピックで使われる公式標的なのです。
そこまで理解して標的を作っている射撃場は皆無でしょう。
当社で販売している標的はベンチレスト標的、あるいはサイテング用の標的ですから円ではありませんが、標的用の紙は、縦にも、横にも、同じように裂けるちゃんとした標的専用紙で出来た物を販売しています。
実際にテストすると解りますが、外国製の標的用の紙は特別に漉いた紙なのです、そして紙の繊維は短く縦横の繊維が同じ様に入り組んでいますから紙は縦横均等に裂けるのです。そのために弾痕の切れ具合が綺麗に切れるのです。
では当社で販売しているクロスヘアー標的を裂いてみます。

標的
標的

どうです、縦横綺麗に裂けているでしょう。
これが標的用の専用紙なのです、しかもこの標的は1枚わずか¥13です。
当社で一番安い取扱商品たかが¥13の標的でもこの様に蘊蓄の深い逸話があるのです。
私は標的を販売するに際して実際に輸入して、そして実際に射撃して弾痕の切れ具合を実際にテストしています。
たかが標的ですがちゃんとこうしたテストを経て販売しているのです。
ですから特にこうした標的紙の特性を知らないで普通の紙に射撃場専用の標的を印刷して強制的に射手に買わせている射撃場は本当に罪な事をしています。
こういう馬鹿馬鹿しい標的を法外な値段で強制的に売るくらいなら、当社から外国製のまともな標的を仕入れて、それに利益を乗せて射手に販売した方がどれだけみんなに喜ばれるか知れません。(なんて、ちゃっかりコマーシャル)

こだわりのファーイーストガンセールス、こだわりの築地だから、たかが1枚¥13の標的までこうした深い蘊蓄と徹底的なこだわりを持っているのです。どうだ!

カタログの傾向と対策

2005年 4月 28日 築地

傾向と対策なんて言うと昔の受験勉強時代を思い出す人も少なくないかも知れませんが、私の場合は「老化の傾向と惚けの対策」と言う日々をおくっています。
最近は「コラムが少ない」なんてメールを寄越される方も少なくないのですが、これまでの間、決して遊んでいた訳ではありません。
私はコラムを書く代わりに、48ページのカタログと、54ページのカタログ解説書を書く為に日夜苦しんでいたのです。 特にカタログ製作に欠かせない写真撮影費用を節約するために、私自身自ら商品撮影すら着手していたのです。
カタログ製作と、カタログ解説書を書き上げるために、コラムを書き上げる100倍くらいの労力を費やしていたに違いありません。
そもそも、コラムを書くと言うことはお金のかかる事ではありません。単なる駄文を書きなぐるだけでお気楽な暇つぶしの行為なのですが、実はカタログの作成はこれだけで500万円位の費用がかかるのです。原稿でお金を稼ごうなんてゆめゆめ思いませんが、原稿で500万円のお金を使うとうなるとかなり神経を遣ってしまいます。
実は私のカタログ作成計画はすでにアメリカで開催されたショットショーからスタートしているのです。各社の新製品の発表をインターネットで調べ、実際にショットショーのパンフレットを収集して今年の各社の販売の傾向をプランニングするのです。
その傾向と対策の集大成が2005年版のカタログなのです。
このコラム、「2005年カタログの傾向と対策」と題したのはそれが理由です。

カタログ表紙""
カタログ表紙

業界の売れ筋傾向を調べると、カタログだけでは読み取れませんが、実は密かに空気銃の人気が上がっている様なのです。
日本では狩猟法の改正で空気銃が人気が出ていますが、これとは全然別の理由で外国でも空気銃の人気が高まっていたのです。
外国で空気銃が密かに人気が出ていると言う証拠は、すでに色々なメーカーから新しい空気銃が新発売されていますが、それが何よりの証拠です。しかもこれは決して日本向けに開発した空気銃ではないのです、最初から外国のマーケットで販売することを視野においた商品なのです。
それが証拠にアメリカ国内でもエアーガン専門店が知らない間に沢山開店しています。
インターネットで調べると空気銃専門店が沢山ヒットしてきます。
アメリカの「空気銃専門店」これは従来の銃砲店とは少し違うようです。そもそも最初から装填薬銃は取り扱わず、エアーガン専門店として営業しているのです。
ですから玩具のエアーガンも取扱品目になっています。
これからの銃砲店はエアーガン(空気銃)が時代のトレンドになると私は読みました!
そこで当社でも空気銃に力を入れる事にしました。
この様に、よく言えば、変わり身の早さというか、時代を読む目と言うか、ビジネスの嗅覚と言うか、先見性と言うか、そういう言い方も出来るでしょうが悪く言えば「セコイ」と言う言い方も出来ると思います。
おいしい所取り、二匹目のドジョウ狙い、と言う言い方も出来ます。

当社ではホームページ上で、すでにエアーフォース社のコンドルは取り扱いを表明していますが、さらに追加でスエーデンの「F」社の「サ」も取り扱います。
「F」社の「サ」なんて言い方をするのは、私は気が弱いのでこれらの会社名と商品名をフルネームで書く勇気を持ちません。
私が何を取り扱おうとしているかはどうか皆さんお察しください。
実はこの空気銃は雑誌「スポーツガン」159ページにの一番下に掲載されており、国内販売価格が¥378,000となっております。
当社ではこれを約半値の¥187,000で販売する予定なのです。
コンドル空気銃は単発ですが、「サ」は連発が出来るのが特徴です。
実猟では1発撃てば当たっても外れても、空気銃の発射音で他の獲物は逃げていくので連発の意味はあまり無いのですが、どうしても連発が欲しいと言うお客様も少なくないので
「サ」の取り扱いを開始するのです。
実は、日本では「サ」しかご存じ無い方も多いのですが、これの上位機種がアメリカでは販売されています。その名称は「ブラックウイドウ」です。基本的なメカは同じなのですが銃床の素材と工作が違います、チェッカリング等も繊細な彫刻がなされています。

当社はこれも販売します、販売価格は¥210,000です。「サ」より上位機種なので正規代理店が日本では販売すれば40万円位に相当すると思います。
参考までにグリップ部分のチェッカリング画像を掲載しましたのでご覧ください。
「サ」よりは、丁寧なチェッカリングがしてあるでしょう。銃床素材も「サ」よりは良い物を使っています。この銃床を作っているのはスエーデンの、シュルッツ&ラーセン社です、元々ハイパワーライフルの製造で有名な会社ですかちゃんとした銃床を作っていますね。銃身は、ワルサー製だそうです。ですから命中精度も心配なさそうですね。

ブラックウイドウ グリップ
ブラックウイドウ グリップ

こうした「F」社の空気銃の取り扱いを始めるとなると、「F」社の代理店からは猛烈に怒られる事は百も承知です。しかも当社では正規代理店で販売されている値段の50%で販売します。だから余計許してもらえそうもありません。この事が油に火を注ぐ結果にならなければ良いがと身をすくめて物事の推移をながめています。
業界では私が銃砲業界の価格破壊をしているように言われているかも知れませんが、実はごく当たり前の価格で仕入れて20%~30%の適正利益で売れば、結果的にそれが国内の50%の値段になってしまうのです。決して意図的に価格破壊をしている訳ではないのです。
つまり、元々国内の販売価格が異常に高すぎる事が最大の問題なのですが、知らない間に、私が業界の価格破壊をしているように言われているようです。
そして銃砲業界の不況の原因は私の所為にされているのではないでしょうか?
銃砲業界が不況だという最大の原因、それはメーカーも販売業者も消費者の趣向をちゃんと把握出来ていないからではないでしょうか?
オリンピックで使われる銃は95%がベレッタとペラッチです、ベレッタは中国など貧乏な国の選手に使われますが、先進国の選手はペラッチが多いですね。
何故ミロクやSKBがオリンピック選手に使われないのか、その事を本当に、そして真剣に考えてみる必要があると思います。
これは単に私の意見ではなくて当社のオークションを観察していただければ簡単に解ります。私自身はペラッチも使っていますが、FNも使っています。ですからミロク系統の銃も私なりにちゃんと評価しています。
でも私が幾らミロクを評価しても、オークションでお客様達が指し値をされるミロクの評価は全然駄目ですね。ミロクのどんな銃でも20万円なんて値段は絶対に付きませんね。
ベレッタなら簡単に値段が20万以上の値段が付きますよ。当然ですがペラッチならそれ以上になります。残念ながらそれが正直なお客様のミロクSKB、そしてペラッチ、ベレッタに対する評価です、当然ですがSKBはミロク以下の評価です。
これがマーケットの正直な回答ではないでしょうか?
このお客様の声を真摯にメーカーも業界も受け止める必要があるはずです。

ベンチレスト射撃用の標的

2005年 5月16日 築地
更新 2005年 5月19日 築地

神奈川県の古いお客様からベンチレスト射撃用の標的を作っていただきましたので皆様に公開します。
製作者のご厚意でどなたでもダウンロードしてご自由にお使いいただけます。


築地社長殿

Benchrest用Targetを作ってみました。ダウンロードページなどで公開してみてはいかがでしょうか。商売上はうまくないかもしれませんが。
米国のサイトで探して見たら、いくつかはダウンロード用として存在していました。
ところが印刷してみるといまいちしっくりきません。ほとんどが印刷された標的をデジカメあるいはスキャナーで読み取ったもののようでした。また、寸法もかなり違って印刷されました。
NBRSAのホームページで公開されていたRuleに準拠して、汎用作図ソフトVisioで製図したものをPdfファイルにしました。(デジカメやスキャナーを使ったものではないということです。)

1)A4の紙に家庭用インクジェットプリンターで印刷できるものとしました。
2)プリンターによっては多少、サイズに差がでるかもしれません。
私のPC+プリンター(Canon BJC-890)の場合、ほぼ正しく印刷できました。
3)公開することに問題あるかどうか分かりません。少なくとも私は版権など主張しません。
4)100Yard用と300Yard用を作ってみました。比例でよければ150、200Yardあるいはメートル用も簡単に作成できます。
5)用紙はこれからいろいろ試しますが、厚手(300μ)の写真用紙に印刷して撃ってみたところ、黒で印刷された部分は多少弾痕が大きめに見えます。(紙面の写真用コーティングが弾が抜ける時に穴の周辺が剥がれるというか割れるという状態になる。)

ダウンロード  ・・・  target.pdf

更新 2005年 5月19日 ・・・ アメリカでは販売していない、150m 200mバージョンも追加します。

100m
100m
150m
150m
200m
200m
300m
300m

ロング ロング レンジ

2005年 2月 6日 築地
更新 2005年 2月20日 築地

先ずは以下の画像をご覧下さい。
これは私が毎月購読している、プレシジョン シューテングと言う、ベンチレスト射撃や、長距離射撃の専門誌です。まあ、マイナーと言えばマイナーな雑誌ですがね。

1200ヤード
1200ヤード

今年の1月号の表紙になっている写真です。
場所は、オーストラリアのウーメラ射撃場と言う所です、何でも1200ヤードあるそうです。
画像を子細に見ると、周りは広大な砂漠ですから、別段射撃場で無ければそれ以上の距離でも簡単に撃てそうですね。
標的の後ろにバックストップがあるから射撃場と言う事が解りますが、バックストップを外せばさらに広大な場所が広がっており、何キロでも先まで勝手に撃てそうな場所ですね。

おじさんが奇妙な射撃姿勢で撃っていますね、別にこのおじさんが変態なのではなくて、これはイギリス独自の射撃姿勢なのです。
最もイギリス人自体が変態だと言う説には特段異論を挟むつもりはありませんがね!
雑誌の中では、この射撃姿勢を、バックガン ポジションとして紹介されています。
この射撃方法は100年も前からイギリスでは長距離の精密射撃方法として確立されている射撃方法なのです。勿論、軍隊での狙撃にも使われています。
この射撃姿勢が低く、依託射撃が出来る点は優れた射撃方法だと私も認めます。
使用している弾は308ウインチェスターですから、この位の距離になると、弾道は大きく弓なりに変化します。
300mでは命中しても1200ヤードの狙い越しなんて見当も付きませんよね。
多分、数メートル上を撃つことに成るはずです。
ですから一端弾痕不明になれば、何処に命中しているのか皆目見当が付かないはずです。
多分100発撃っても標的に入れることは困難な筈です。
それを可能にしているのが隣でスコープを見ているおじさんです。
銃口から撃ち出された弾は、弾自体は小さくて肉眼では確認できませんが、弾が巻き起こす衝撃波で、まるで撃ち出されたロケット噴出ガスを見るように、衝撃波がスコープで視認できるのです、衝撃波その物の大きさは30~100cmあります、その為に弾頭が何処を飛翔しているか容易に推測することが出来るのです。弾が標的のどのくらい上に当たったか、あるいは下に当たったか、又は左右の何処に当たったか、大体の弾着の予見が出来るのです。そのために赤シャツのおじさんが、弾着を視認して、寝転がって撃っているいるおじさんに何クリック上げろとか、指示を出せるのです。
ですから長距離射撃の照準調整は絶対に一人では出来ないのです。
なかなか珍しい写真ですから、説明を加えて紹介してみました。

さて、雑誌、プレシジョン シューテングの中で、昨年行われたスーパーシュートの事が記事になって掲載されていましたので紹介します。
全米、そして世界の各地から集まった387名の選手で競われた、スーパーシュートは実は世界的に有名な大会なのです。その様子は8ページにわたって書かれています。
この大会はベンチレスト射撃と言って、究極の命中精度を競う射撃大会です。

銃の精度、なかんずく銃身の命中精度、弾頭の精度、火薬の選択、雷管の選択、薬莢の選択、そのチューニング、そうした諸々の最先端の知識を吸収できる場でもあります。
少なくとも、日本でライフル銃の命中精度を云々する限りにおいて、ここでの知識を無視して話すことは絶対に出来ません。

もし、訳知り顔でライフル銃の命中精度云々なんて事を話している業者が居たら、案外、詐欺まがいの話をしている人かも知れませんのでご注意下さい。

この大会で使われる銃身が世界最高レベルの銃身の証なのです。

オリジナル画像
オリジナル画像

現在、ベンチレスト射撃で使われる銃身は、ハート、及びシーレンです、そこに最近はクリエーガー銃身が少し台頭してきました。
現在のベンチレスト射撃界はこの3社が主流と考えて良いでしょう。
使用されるカートリッジは、圧倒的にPPCカートリッジであることは言うまでもありません。
現在の所、PPCカートリッジ、これを超える物は無いですね。
また、この記事の中では、当社で取り扱いをしているTMクリーナーの事も書かれています。これは案外最先端のボアークリーナーだったんですね。
PPCカートリッジの話が出たついでに、そのカートリッジを開発した、Palmisano さんとPindell さんをご紹介しましょう。
当日の大会に見えていたお二人の画像があります。PPCとはお二人の名前を頭に持ってきてパルミサノさんとピンデルさんのカートリッジと言う事でPPCと命名されたのです。写真で見るとお互いにお年を召されていることがよくわかります。

オリジナル画像
オリジナル画像

会場ではお二人は超有名人なんですよね。
だって、未だに参加選手のほとんどがお二人が開発されたカートリッジを使っているのですからね。
さて、この大会には全米は勿論ですが、世界の各国から選手が参加しています。
フランスからは2名、ロシアから1名、カナダから3名、ニュージーランドから1名、ドイツから2名、オーストラリアから2名。そして日本からは、我々6名で参加しました、参加国最大の選手を送っているのです。
結構、この世界では、日本選手は有名なんですよ、ははは

オリジナル画像
オリジナル画像

更新 2005年 2月20日

大会に参加した某大学射撃部OBの方からメールがありましたので紹介します。

1.1200ヤード
あの写真は、オーストラリアに、イギリスの連中がマッチライフルの普及兼交流試合に出かけたときに、撮ったものですよね。マッチライフルと言うのは、308か223を、スコープサイトで、伏射+ベンチ台で撃つ競技です。
1200ヤードを私は308でアイアンサイトで撃ちました。2002年のウィスコンシンです。
私は、アイアンサイトでは、標的は見えて十分狙えるし、当たり外れもわかるのですが、なんと標的番号が読めなくて隣の標的を撃ってしまいました。

あけましたおめでとう

2005年01月01日 築地

ジャンボクジ、当たった人はおめでとう、外れた人もおめでとう、買わない人もおめでとう、そして、みなさん、明けましておめでとうございます。

今年から、新規にUFJ銀行の自由が丘支店に新規口座を開設しましたので、さらに皆さんのご便宜に供したいと思います・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんて瀟洒な寝言を言っていますが、感の良い当コラムの読者の皆さんですから「あ、今度はUFJから借り入れしたな」なんて簡単においらの馬脚を見抜いてしまわれましたね。
そのとおり、大当たりです、でもね、別段UFJから新規融資を仰がなくても、現在でも色々な色々な銀行からジャブジャブ借り入れをしていますから資金は潤沢にあるのです。
現在の借入先は、三井住友銀行、ミズホ銀行、そして今度のUFJ銀行です。

但し、私の名誉のために言いますが、私からお金を貸してくれと銀行宛に懇願したことは只の一度も有りません。全部、相手先の銀行から「借りませんか?」と言って来た事例ばかりです。一体、何処から調べて来るのでしょうかね? 不思議です!

でも、すべての借り入れについて「担保も差し出しませんし、連帯保証もしません、それでも良いですか?」と聞いたらそれで良いです、と言われたので借り入れしているのです。その借入金を利用したおかげで現在の在庫総額は2億円を超えました。
まだUFJの資金は手つかずの状態なのですから、そう遠くないうちに在庫は3億円くらいになるかも知れません。

私はガンビジネスのプロを自称していますから、銀行がお金を貸してくれるというのであれば幾らでも借ります、そもそも年に数パーセントの銀行金利をガンビジネスで稼げないくらいなら、とっての昔にこのビジネスから退却しています。
現在の銀行金利は私の矯正視力と同じくらいの低さです。これを利用しない手はありません。この金利で借り入れをしないで何時借り入れをしようと言うのでしょうかね?
私は銀行から融資して貰った資金は全部銃の仕入れに回しています、では仕入れた分に応じて銃が売れるかと言うと必ずしもそういうことではありません。
残念ながら世間はそれ程甘くはありません。1億円分の銃在庫が2億円になったからと言って倍売れる訳ではありません、3億円になったからと言って、3倍売れる訳ではありません。それは言われるまでもない常識以前の常識ですね。
でも、それ以外の条件が全く同じなら在庫の多い方が絶対に有利な販売が出来ると私は思います。
値段も、サポートも、同じ条件なら在庫の多い方が絶対に有利だと言うのが私のビジネス判断です。
現状では銃の値段に関しては当社より安い価格を提示されているところはほとんどありませんので値段で負ける事はあり得ませんが、仮に当社と同じ値段を提示された会社がおありだとしても、在庫数が多い方が販売する上では明らかに有利ですね、勿論、五分の勝負なら絶対在庫量で勝負に勝てると確信しています。
ところが、顧問の公認会計士も、銀行の融資窓口も、在庫が多いのを好みません、当社の場合、売り上げに比例して在庫が多いと言うのです、せいぜい適正在庫は売り上げの3ヶ月分と言うのが彼らの常識のようです。
でもその彼らの常識が現在の不良債権企業を産み、膨大な赤字企業を産んでいるのですから、その会計システムにも何処か問題が有ることも間違いありません。
公認会計士の経理システムも、銀行の経理システム、そしてその分析判断方法も同じですから同じ評価に成るのでしょうね。
しかし、バブルの頃のような時代なら兎も角、現在のように不況の状態では何処の会社も在庫を持たないのが常識ですから、逆にその常識の裏を行く「たっぷり在庫」で勝負をかけるしかないのです。
つまりビジネスに勝には常識の裏をかくと言うのも一つの戦法なのです。
今の様な在庫は売り上げの3ヶ月分なんて合理的に資金管理している時代ですから勝負に勝つには逆に潤沢な在庫が必要なのです。

当社のロッカーには沢山の銃が在庫されていますが、これは全て現金と同じです。
銀行が現金を積み上げているのと同じです。銀行は現金がないと勝負に成らないではないですか、鉄砲屋に鉄砲がないとこれも同じように勝負に成りません。
しかも売れ筋の銃は毎年必ず値上がりします、為替の変動以外では在庫銃が値下がり要素は有りません。
但し、売れない銃だと駄目ですね!注文したら即納されるような銃では何時金銭的な価値が崩壊するか解りません、注文して1年待ちくらいの中でないと、銀行からの融資を受けて購入する意味はありません。当社の売れ筋商品はすでに1年前から注文してある商品ばかりです。その辺りを勘違いするととんでもない事になります。
売れない銃は、自らセールストークで売らないといけませんが、こんな銃を取り扱うと大変です。私は黙っていても売れる銃、これを出来るだけ安い値段で、そうして常時即納できる在庫体制で販売しています。
上下2連銃に関しては、オリンピックで使われた銃、あるいはそれを製造しているメーカーの銃しか基本的には取り扱いしません。
つまりペラッチとベレッタですね、それ以外のメーカーの銃を、口八丁手八丁で売るのは非常に大変です、オリンピックで使われない銃を、何らかかのコマーシャルトークで売るのには大げさな脚色や虚偽を作り上げることにもつながりかねません。
しかもそれらの銃をベレッタやペラッチよりもさらに高い値段で売るとなると、当然不合理な、あるいは非合理な価格体系が存在すると勘ぐってしまいます。私はそういうビジネスはしません、選択肢は常にお客様にあります。
お客様自身が選択された物を出来るだけ安く提供するのが私のビジネススタイルです。

当社の在庫リストは、私がガンビジネスを展開する上で練り上げて練り上げて完成させた緻密なエクセル計算表ですから、どの銃が何時、幾らの為替の時に幾らで入荷して、利益率が何%で、何日間在庫されていたか瞬時に解ります。
別に何処かにマクロを埋め込んで有るわけでもありません、ただひたすら今までの経験から知り得た通関費用を含めた諸経費を厳密にに計上して有るにすぎません。
その原価に対して、30%以上の利益があれば、利益が多いので他業者の参入を呼び起こしますから警戒します、逆に20%を切った場合は会社が倒産しますので躊躇無く値上げします。20%以上30%以下、これが当社の適正な利益です。
通常直輸入の場合は40%の利益を確保するのが常識です、輸入した製品が全部完璧だと言うことではないからです、不良品が有る場合もあります、銃床が割れてる場合もあります、荷扱いが悪く、傷がある場合もあります。それを加味して輸入業者の場合は利益率は40%とするのが常識なのです。でもその常識でビジネス展開していたら勝てませんね。
何%の利益率でよしとするかはそれぞれのビジネスの考え方で自ずと違いがあるでしょう。私は私の考えた利益率で勝負して行きます。

さて、それらの原価計算したデーターは全てサーバーに有りますので、サーバーにLAN接続したコンピューターなら社員の誰でも閲覧できます。
ですから、社内の誰に電話されても在庫の状況、入荷予定状況は瞬時に回答できるのです。
勿論、それらの在庫総額も簡単に演算できていますので、今日現在の在庫がいくらか、それも瞬時に解ります。
在庫は入荷したたびに記録され、出荷したたびに記録されます、言うまでもありませんがその金額は常に自動計算されますので今日、今現在の在庫金額は常に把握できます。
つまり、在庫分の金額を銀行から借り入れても全然怖くないですね。
新規に借りても、その分は在庫金額に算入されるのでこれも怖くないのです。
それに必ず売れる物しか私は買いませんからね。
翌年は必ず数%の工場出荷価格は値上げになりますから、銀行金利はこれでチャラですね。

お客様の情報も全て記録されています、何時、何を幾らでお買いあげ頂き、何時ご入金頂いたかは、これらの記録は商人の命ですから常に完璧に把握しています。
この記録の中には個々のクレームの記録、そしてそれをどのように対応して解決したかも記録されていますので大福帳と言うよりは、病院のカルテに近いですね。
多くのお客様はすでにご存じだと思いますが、当社は電話が有ったその時点で、何方からの電話かはすぐにモニターに表示されます、これはよっぽど警察のシステムより優れていますね。
モニターに表示されたデーターも常時更新されています、お電話のあった日時、何をご注文頂いたから、これも全部記録されています。

従って、ご注文があれば、原則即日発送しています。勿論代金は後払いと言う事になります。後払いで踏み倒しが無いのか、皆さんには御懸念が有るかも知れませんが、その懸念はほとんど杞憂に終わるほどお客様とは密接な信頼関係で成り立っています。
過去の記録を全てコンピューターで演算して、後払い支払い方法でもリスクは限りなく0に近いことが確認できています。

ここまで書くと「なんだよ、自慢話かよ」と言われそうですが、そうではないのです。
実は、こういうシステムは何処の中小企業でも当たり前にやっている事と思っていたのです。ですから銀行さんが見えても、単なる会社の説明としてそのシステムを説明していたのですが、どうやら、そういうシステムを構築しているのは非常に珍しいビジネスモデルだと言うことが解りました。
細かい説明をするたびに銀行の担当さんが驚嘆の声を上げておられたので必ずしも演技ではないと思っています。

当社は年間1200丁の銃を販売しています、毎月100丁ですね、でも在日米軍向けが年間200丁以上有りますから、国内に販売している新銃は1000丁弱でしょう。
それが多いか少ないか、私は体感的には解りません。
銀行も私の様な人間に融資するのも、さすがに心配だったと見えて、銀行さんが自ら1年間に日本に輸入される猟銃の数量を調べられてきました、最初は経済産業省に聞いたらしいのですが、どうやらお門違いと言うことで門前払いを食ったようです、それでもしつこく食い下がり、銀行の主務官庁、財務省を経由して税関での通関総数を調べ上げて来ました。税関の資料なら厳密に通関された記録なのでこれは一番正確です。
その資料によると、年間に輸入される猟銃は1700丁と言うことだそうです。これには私自身が仰天しました! なんと、たった3人でやってる私の会社が、何と市場占有率60%を押さえています。
日商岩井さんや、ミロクさん、JGTさんの数字は何処に行ったのでしょう?
この数字、今でも私自身、今でも半信半疑なんです。

皆さんどう思います?????

一番短いコラム

2004年 4月 9日 築地
更新 2004年 4月10日 築地

ご近所に、こんな石碑が、ありました。

オワリ。


更新 2004年 4月10日
質問)
一番短いコラムの「禁銃猟碑」の由縁が気になります?  よろしければ教えて下さい。

回答)
ここ、世田谷区は明治時代は広大な田園地帯が広がっていました。
そのため、明治時代には鴨などが飛来していたことは容易に想像できます。
それが証拠に、当社の前に流れる小川も、鴨が居着いています。

世田谷区は広大な田園地帯ですから充分に銃猟が可能だったと思われます、しかし、何時しか宅地も増え、銃猟をするには適さなくなったと思われます。
この石碑は大変なコストをかけて警視庁が石工に作らせた物ですね、当時はこんな石碑は多く見受けられたと思いますが、現在はほとんどありません。
この石碑はたまたま道路の角に設置されていたので、たまたま現在まで残った数少ない石碑だと思います。

禁銃猟
禁銃猟

変わらなきゃ、変わらなきゃ、

2004年 1月30日 築地

今年に入ってまだ一度もコラムを書いていないのですが、コラムも一端書き出すと止まらないのですが、逆にさぼり癖がつくと、なかなかコラムも書き始められないと言う悪癖が私にはあります。何しろ書き出すきっかけが無いからです。それに冬は寒いですからね。
テクニカルな話も、ありそうなのですが私自身はなかなか思いつきません、世評を書くほど文章能力はありません、それに一番肝心な事ですが、コラムを書いても、それ程アクセス件数が伸びる訳でもありません。勿論書かなければHPも衰退することは明白なのですが、私のコラムよりも、オークションに商品を開示すると、簡単にアクセス件数が伸びます。
「そうか、オークションの充実が鍵なのか!」この様に文章能力に乏しいコラムニストとしてはアクセス件数を増やす裏技を簡単に結論付けてしまいました。

話は飛びますが、最近の景気動向について、良いと判断される会社と、依然厳しいと判断される会社があります、大手企業でも中小企業でもそうです。
当社は、私も含めてたった3人で運営している会社です、八百屋さん、魚屋さん、床屋さんと同じレベルです、こういう会社は中小企業以下、零細企業以下の家内工業と言います。我々みたいな家内工業ですら景気の良い会社と悪い会社があります、その違いは何かと端的に言うと、「常に変化しているかどうか」だと思われます。
常に新しいことにチャレンジしている会社はそれなりに業績が上向いているように思えます。この様に変化すると業績は上向き、何もしないと衰退していくのは資本主義のお約束みたいです。

この二つの現実を考えると、当社でも何とか「変わらなきゃ」と言う思いに至ります、では一体何を変えるかと言うことで、取り敢えずはHPのオークションサイトの充実というか、オークションサイトを改革から始める事にしました。
当社のオークションサイトでは値段の点から考えて中古銃だけを取り扱ってきました。
先ずはここの常識から変えようと思いました、つまり、中古銃だけを取り扱うという概念を改めました。新品をオークションに出しても良いではないか、と言う風に考えたのです。
こんな事を書くと、皆さん方は「ははー、在庫処分をするのだな」なんて考えられたら、それは一寸違います、指摘は的はずれですね、売れないものを売ったら余計にオークションは衰退します、要らない物は只でも要らないと言うのが現在の物余り時代の現実です。
私は敢えて当社でも売れ線の新品の銃をオークションに出そうと考えています。
黙っていても必ず売れる物をあえてオークションで、そして激安価格で売る、人助けみたいですが、これは一種の宣伝すね。
オークションの評判が評判を呼び、これにより一気にアクセス件数を上げようと言うのが私の魂胆です、少々の損を覚悟してもアクセス件数が伸びれば結果的にビジネスチャンスも広がろうというものです。その為の宣伝ですからね。
オークションで落札出来なかったから「しょうがないから新品を買おう」、なんてお客様が居られたら、このオークション改革も大成功と言うことになります。
でも、その通り巧くいくかどうかは解りません、オークションで次々と安値落札をされて原価割れで泣くことになるかも知れません。こればかりは蓋を開けてみないと誰も解らないでしょう。

でもね、結果的に良くても悪くても良いのです、とりあえず「変わらなきゃ」と言う当社の積極姿勢を解って頂くだけど充分です、変わろうとする会社は必ず救われると言うのが、最近の資本主義のお約束みたいですからね、当社は取り敢えずチャレンジしてみます。
オークションを変えるために、色々システムの変更をしました。
従来のサイトをリニューアルしました、一番大変で一番労力を有したのはプログラムの作成です、従来のプログラムより格段に作動性は良くなっています。
バグも極めて少ないはずです、従来はプログラムの問題で巧く作動させられなかった、自動延長機能も取り入れました、それでもバグはほとんど解消されたはずです。
それに少しだけデザインも工夫してみました。
新しいシステムですから従来のオークションパスワードは使えません、新規オークションサイトでは、また新たに登録して頂き、新規パスワードを取得してください。
それに登録して頂く事柄も厳密になりました、いい加減な名前やいい加減な住所では登録できません、登録して頂く住所、氏名は、その住所で郵便物が配達されることが条件です。
登録するとすぐに仮登録されパスワードが送られますが、登録内容は全て私が確認させて頂きます。12時間以内に正式登録をしますが、その時点で不審な仮登録は削除しますのでご注意ください。これはサイトの信頼性を高めるために是非とも必要な処置ですので何とぞご理解ください。
従来でも当社のサイトにはオークション荒らしみたいな不審な人物は一度もアクセスした事はありませんが、この信頼度を維持するために、資格審査はより厳密に執り行います。

少なくないお客様の中で、パソコンは閲覧できるけど、入札が出来ないと言うお客様が居られます、これはいろいろな事情が介在します、会社で閲覧している人の場合、子供のパソコンで閲覧している場合、ネットカフェで閲覧している場合、数え上げればきりがありません、そうした方々の為に、当社では代理入札を承ります。

FAXに氏名、住所、電話番号、職業、生年月日を記入して、オークション商品の名前と入札値段を書いて送信してください。その場合必ずハンドル名をお書きください。
そのハンドル名で指定の金額を入札します、ハンドル名をご確認頂くとちゃんとご自分の入札が出来たかご確認になれます、勿論FAX以外の、メールでも、電話でも承ります。
代理入札を承れるのは、会社の営業時間内に限ります、つまり受付は夜7時で終了します。HPのオークションは通常9時まで受け付けており、延長システムを採用しておりますので誰かが入札されると落札時間がそのつど10分間延長されます。
当社で代理入札する場合は自動延長には対応しておりませんのでご了承ください。

では皆様のご参加をお待ちしております。ジャンジャン

感謝状

2003年12月 5日 築地

今週の初めに沖縄の米軍関係者から感謝状を頂きました。
16年間、長年に渡り中古銃を販売してくれた事に関する感謝状だそうです。
頂いたのは当社ではなくて、勿論私でもなく、当社のスタッフ、カジガヤ君です。
実を言うとカジガヤ君は、16年間年に数回、沖縄に中古銃を販売していたのです。
感謝状と言っても紙一枚では無くて、何やらメダルが色々取り付けてある感謝状です、感謝状と言うよりは感謝メダルと言った方が適切かも知れませんね。
画像を見て頂くとお解りいただけますが、アメリカ空軍、アメリカ海軍、アメリカ陸軍、そしてアメリカ海兵隊、なんと国防総省のメダルまでありますね。
カジガヤ君は16年前から米軍に銃を販売していたのですが、私は当社に入社してたったの6年です、入社と言ってもいきなり社長として来たので、これは入社と言うのが正しいか、参入と言うのが適切か、あるいは参加、別の言い方をして招聘と言うべきか、逆に乱入と言うべきか、または乗っ取りと言うのが適切か、この辺りの正確な表現は今後、業界の皆さんの判断にゆだねたいと思います。

業界の中で、ファーイーストのあれは結局参入だったとか、いや、よく考えると乗っ取りだとか、ケンケンガクガクの論議が銃砲小売商組合の総会で交わされるかも知れません。
あるいは猟用資材工業界でも、例会の議題に上り、その中で正式な定義が定められるかも知れ、ませんね、ボクは最終的にその判断にゆだねたいと思います。

感謝状
感謝状

さて中古銃の話に戻りますが、中古銃と言っても、当社のオークションに開示している様な物は超特級品で、米軍向けに販売する多くの銃は数千円あるいは1万円程度で購入したガラクタの中古銃です。実を言うと、この値段帯中古銃となると、かなり酷い物になります。
日本のマーケットではとても流通しない物ばかりです、初心者が教習射撃を受験して銃を所持するまでお金にすると5万円以上かかりますよね、それに要する時間も加味したら銃を所持するために支払うべき対価はおおよそ10万円以上を支払って居るかも知れませんね。
ですからこういう方達には、あまりに安い銃は推奨できないことになります。
そういう方達にこんな銃をお見せしたら「馬鹿にすんなよ」と言われるかも知れません。
当社が、中古銃の買い取りで小売店から送られてきた銃に値段を付けると、数千円と言う事になります、こんな値段を付けると、銃砲店から「馬鹿にすんなよ」と言われてしまいます。
そういうときは、「馬鹿にしてんじゃないかんな」と言う態度を見せないといけないかも知れません。
その為にこれは買うけどこれは要らないなんて言い方はしません、どんな物でも全部買い取るのです、1丁いくらと言うより、一山いくらと言うことですね。
最近では、銃砲店の方もこちらの世界観を理解してくれたらしく、程度は悪いが捨てても良いような物を持ち込まれる事もあります、「馬鹿にしんじゃないかんな」と送られた銃砲店の方にもそう言うお気持ちはあると思いますが、欲しくない、買いたくない、と言う銃も少なからず混入しておりますが、でも当社では全部買い取っていています。
これは買うけど、あれは要らないなんて偏食児童みたいなわがままは絶対に言いません。
銃は全部買い取ります、その代わり只で買い取る物もあります、只でも銃砲店が廃棄するよりは安いからです。銃の廃棄は公害ゴミを出すような訳にはいかないからです。

参考までに只で買い取った(正確には貰った)銃の一例をご紹介しましょう。

空気銃
空気銃

これは兵林館製の空気銃です、ご存じの方には懐かしい名銃ですが、現在では只でも要らない銃なのです。只で買って米軍に¥5,000で販売します、¥5,000と言う値段は沖縄までの送料、販売手数料を加味すると、結局は只で販売すると言うことになりますね。
いくら程度が良くても値段が高いと米軍関係者には高い値段では絶対に売れないのです、逆に安ければいくらでも買ってくれます、一人で十数本購入する兵隊さんも居ます。
そんなに買ってどうするのと言われそうですが、アメリカの友達にプレゼントするとか、頼まれて購入するとか目的は様々です。
中にはリタイアしたら銃砲店を開くなんて兵隊さんも少なからずいらっしゃいます。

こうして兵隊さんと仲良くなると、ビジネスの関係だけでなく色々便利なこともあります。
例えば、キャンプハンセンの海兵隊基地の中にある、500ヤードレンジなんて使わせてもらえる事もあります、自分の銃を持参するか、アメリカ軍の銃を使うかについては口が裂けても言えません。 またキャンプハンセンは海兵隊のスナイパー訓練もしていますので、色々M-40スナイパーライフルについて最新情報も得られます。
ここの基地の中にはゲールースーツを着用したスナーパー達が転がって居ますので気を付ける必要があります、これらの兵隊さん達は10m位の距離では周りの自然の中に溶け込んでいてほとんど視認できません、ここで立ち小便するときには余程周りを警戒してから開始しないといけないのです。

余ったお金で車を買おう!

2003年11月 7日 築地

今月末にお送りするウインターカタログには、特注品のペラッチを掲載してあります。
先行してそのカタログの一部を開示します。特注品ですから注文してから入荷するまで1年かかりますので現物が入荷するのは来年の夏頃になるのですが、とりあえずそのカタログの値段をご覧ください。一番高い銃は830万円です。
ひょっとして、このページを読んでいらっしゃるあなたの年収に匹敵する金額かもしれません。

830万円ペラッチ
830万円ペラッチ

この値段を見ると、皆さんの「ヒョエー」と言う声が耳元でしますが、勿論これを買うお客様は必ず居るはずです。もし居らっしゃらないと私が「ヒョエー」と言う羽目になります。

言うまでもありませんが、私はお客様のご注文を受けてペラッチに発注した訳ではありません。いわば私の思惑だけで発注した商品です。ですから売れないと私自身で買い取り、私自身で使うことになります。しかしながら品物が有ると必ず売れると思います。
私は現在のような不景気な世の中でも、意外とお金持ちは多いと私は踏んでいます。
ところがこうしたお金持ちはわがままで、目の前に商品があれば買うのに、1年待ちで注文する人はほとんど居ないのです。ですから泣き泣き在庫をする必要があるのです。

過日、世田谷のポルシェに行ったときに、ちょうど店頭に飾ってあったポルシェターボを買いに見えたお客様が居て、店頭のポルシェターボは全部売約済みと言うことを聞かされ、「それなら要らない」と言って帰られた人が居ましたが、この様に、ターボがあれば買うけど、待つなら買わないと言うお金持ちも少なくありません。往々にして金持ちほどこういう風にわがままなのです。

皆さんの感覚ですと、たかが銃に830万円、と思われると思いますが、830万円という値段は、ベンツやポルシェよりも安いではありませんか。
(少なくともそういう感覚で買われる方はいらっしゃいます)
でもベンツは車だろうと言われるかもしれませんが、別に品物の大きさで値段が変わるとも思われません、たとえば小さな茶碗でも非常に高い物もあるのです。
たとえば http://www.seikado.or.jp/sub030101.htm この画像をご覧ください。
これは国宝の曜変天目茶碗です、ご覧の通りのたかが茶碗ですが、その値段は、数億円は下らないでしょうね。曜変天目茶碗では通称、この稲葉天目の曜変が一番鮮やかですね。ですから決して値段の過多で売り買いされる物では無いのですが、仮に売買されるとしたら最低でも5億円は下らないと私は判断します。
でも10億円と言う値段を付けても所有者が手放されるとは思えませんから、結局のところ、こういう美術品には値段では無いのですね。

ですから、こういう美実品レベルの品物の良さが解る人には、ペラッチの830万円はお安い買い物のはずです。
ペラッチの830万円の銃は金象眼がありませんが、これより安い770万円の銃には金象眼が入っています。

770万円ペラッチ
770万円ペラッチ

勿論金象眼が入ると手間もかかるので一般的には金象眼がある銃は高いのですが、最も値段の高い散弾銃と言われているジェームス パーデイなどには概して金象眼はされていないのです。
良い彫刻を見慣れていないと、お神楽みたいな金象眼の彫刻が一番高いと感じられるかもしれませんが、本当に高い物は、意外と「品の良さ」を売り物にしているので、金象眼みたいなギラギラした物は案外入れないものなのです。

勿論、個人個人の趣向はありますので、金象眼が良いという人には、大きなお世話かもしれませんが、概して金象眼を好むのは本当に良い物に接した事のないアラブの金持ちか、選択眼の肥えていない一般人向けでしょうね。

ですから本当のお金持ち、本当に目の肥えた人は金象眼の無い彫刻を選択すると思うのですが、日本の鉄砲撃ちがそのレベルに到達しているかどうかは目下のところ私の知る限りではありません。

もし、射撃場で私が830万円のペラッチを使っていたら、それは私に選択眼があったのでは無く、その銃が売れなかったと思って笑ってください。

素朴な疑問

2003年11月 6日 築地

読者から以下のメールが寄せられました。
Q&Aで答えるよりも、コラムとして書いた方が多くの人に読んで貰えると考えて「素朴な疑問」と言うタイトルで書いてみたいと思います。
先ずは読者の質問をお読み下さい。


築地 様

いつも楽しく読ませて頂いております。

散弾銃の弾道学や、その他の記事を読ませて頂いておりますと、スプリング1つ、弾頭1つ、引き金1つなど、およそ全てのパーツに理屈があって、無駄には設計されていないのだなと、超初心者の私としては、非常に勉強になる内容ばかりで感服しております。

ところで、初心者ならではの恥ずかしい素朴な質問にお答えいただければ幸いです。
上記のように、あらゆるパーツ、設計に工夫を凝らされた銃器ですが、散弾銃にはどうして照門がないのか、疑問で仕方がありません。
友人の所有するレミントン系の銃身には(銃身によっては)銃身の中ほどにそれらしきものがあって、「中間照星」と友人は説明してくれました。しかし、照門がない散弾銃が大半ですね。

クレーなどで使うことが前提なので、照準を合わせている暇がないから?
そういう文化だから?と、首をひねってみましたが、説得力のある説明は出来ません。
友人、先輩も、身近な人は誰も「なるほど」という説明を持たないようです。

今まで持ってきたおもちゃの空気銃、ピストル、ライフル、果ては夜店の射的の銃にも照門らしきものがありますし、火縄銃にもそれらしきものがあるのを、近くの居酒屋に置いてあった模型で確認しました。
非常に疑問で、気になって仕方がありません。
頬付けをしっかりしたら当たるからといわれればそれまでですが、でもいまいち納得できません。
狩猟中などで居鳥をゆっくり狙って撃つとき、照門があればなあと思うことがあります。(ヘタだからですが・・・)

なんだか締まらない質問ですが、これも初心者ならではとお許しください。
お時間の許すときにお答えをいただければ、喉のつかえが取れます。
よろしくお願いいたします。

さて、これからが私の回答です。

散弾銃でもちゃんとサイトの付いた銃はあります、例えばボルト式散弾銃等はそうですね。
モズバーグ695、ミロクのSS20等がそうです。
木の枝などに留まっている鳥などを狙う場合、50m以内なら100発100中でしょう。
多くの場合、ボルト式散弾銃にはスコープが取り付けられています、これは単弾のスラッグや、サボットを撃つための物です。スコープを使えば、サボット弾で150m位の湯飲みにも簡単に命中させる事が出来ます。
この様に狙った所に当たると言うのは、あくまでも標的が固定して居る場合の話です。
ところが、目標が移動している場合、その命中率は極端に悪くなります。
何故ならば、銃をスイングさせて撃つと、目が視認してその情報を神経が脳細胞に伝達し、脳の中で情報処理して指先に指令を出して、引き金を引くまで百分の数秒かかります、さらに千分の3秒のロックタイムで雷管を激発して銃口から弾頭が飛翔しても、銃口がスイングしながらの離脱した弾頭は必ず流されます。

この流されるという感覚は、当社のHPの入り口に、マウスポイント追尾型のムービーでご確認下さい。
このシステムは円盤を任意に変形させて、それがマウスポイントを追尾します。
このムービーはイメージ的にはクレーをイメージして作っていますが、いわば弾の流れを表現しているとも言えますね。
標的が固定している場合は驚異的な命中精度を誇る銃も、目標が移動すると命中させる難易度は極端に悪くなります。

現在ではほとんど起こりえないことですが、戦闘機と戦闘機が機関銃で空中戦をする場合、空対空の機銃モードにウエポンシステムを選択すると、戦闘機のヘッドアップデスプレイにはファネルサイトと言うモードが表示されます。
ファネルサイトとは戦闘機独自のモードで、ファネル、つまり漏斗と同じ様な形状が表示されます。漏斗ですから上が広くて下が狭い2本のラインで構成されています。
このモードはその2本の幅に相手の戦闘機の翼端を合わせれば自動的に照準調整され命中するように作られています。ですから目標が遠ければ遠いだけ、目標の翼端は小さくなる訳ですからファネルサイトの下の方で狙うことになります。つまりその分上を狙う訳ですからそれだけ狙い越を付けていることになりますね。
ファネルサイトの一番上の部分、つまり幅の広いところに相手の翼端を合わせると、その時点の距離は300mです、戦闘機のバルカン砲のサイテングは、300mに設定されていますのでこの距離で撃てれば完璧なのですが、現実の先頭ではこういう状況はほとんど無いでしょうね。

このモードは戦闘機に搭載されたコンピューターで演算されてデスプレイに表示されますから、零戦の頃の固定式のリチクルと違い、目標が旋回して回避する場合、ファネルモードの下端は旋回と逆方向にグーット変形します。
旋回方向と逆方向に変形するわけですから、その分相当先を狙わないと命中しないと言うことです。
私は弾が出る物は何でも好きですから、このシステムを戦闘機のフライトシュミレーションで何度も試した事があるのですが。
相手の戦闘機が500m以上離れた距離で限界ぎりぎりの回避中に、機銃を撃つとすれば、飛翔している戦闘機の100m以上先を撃たないと絶対に命中しません。
現実にはそれ位弾は流されるのです。
もしこれが、真っすぐ飛行していたら、簡単に100%命中しますね。
固定している目標と、移動している目標ではこれだけ違いがあることを認識して下さい。

さて、話をまた散弾銃のサイトに戻しますが、言うまでもありませんが散弾銃が固定的を撃つのであれば照星照門を使うのが圧倒的に有利です。
今まで説明した様に、飛翔物体を狙うには、目標の先を撃たないと命中させる事が出来ないのです。この理屈はお解り頂けましたよね。
さて、問題の先を撃つ場合、つまり狙い越をして撃つ場合ですが、照星は有っても良いのですが、照門があると、何故か人間は先を撃てなくなるのです。
それは何故かと言いますと、照星と照門があれば、人間の特性として先ず照星照門を正確に合わせることに意識が集中して、狙い越して撃つという作業が極端に遅れるのです。
飛翔物体を撃つ場合、射撃のタイミングこそが一番重要なファクターですから、正確な狙いを求めても目標が遙か遠くに飛んでいけば射撃そのものが成り立たないのです。
クレー射撃で言えば、クレーが土手に着いてから「ドカン」と撃つような物です。
いくら正確な狙いでもこれでは駄目ですね。
ですからスピーデイな射撃をするためには、照門を見ないで、照星だけで目標を狙い、そして追い越しざまに撃つのが一番利に叶った撃ち方なのです。
照門が無い分、脳細胞の情報処理がかなり軽減されるから目標に意識を集中できるのです。
そして、早いタイミングで射撃することが出来るのです。

この場合の射撃は「正確な射撃」ではなくて「思い切りの良い」射撃の方が遙かに有利なのです。

目標が大きい内に素早く撃つ、これが散弾銃で照門を使わない最大の理由なのです。

人間の情報処理能力と言うのは見方を変えれば、極めて脆弱だと言うことが出来ます。
車を運転しながら携帯電話を使うと、事故率が激増しますね。
これも人間の脳は同時に二つの作業をこなすことが出来ないと言うこと物語っています。
照星照門を使わないで、照星だけで目標を狙う事もそうした事が理由なのです。

ガールフレンドも同じでしょうかね? 一人なら何とかなっても複数のガールフレンドをを処理しようとすると自らパニックに陥ったり、言語がしどろもどろに成ったりしますね。
私はこういうパニック状態にはまると、いきなり難聴になったり、惚けた振りをしてパニックを回避しようとしますが、回避できないときはあえなく撃墜されます。

撃墜されたときはフライトシュミレーションと同じでまた簡単にリセットします。

これでどうだ! 金利0%

2003年11月10日 築地

ご覧頂いておりますHPに「ポリシー」と言うタグがあります。
ここには、私が何の目的で会社を運営しているのか、どういう指針で会社を経営しているのか、そして業界をどうしたいのか、そうしたことがめんめんと書き込んであります。
その中で「非常識なことをやる」と言う書き込みもあります。
ガールフレンド達からそう言う趣旨の事を詰め寄られるような事はここ十数年、久しくありませんが、ビジネスではこれを常道としています、ちゃんとした家に住んでいれば家訓としたいくらいです。

非常識な事をやると言う事で、今までGUNローンを1.9%の金利でやってきましたが、12月1日から、ローン金利を0%でやります。

ジャパネット タカタの高田社長風のトーンで言うならば・・・・・・・・・はい、ペラッチMX8、昔は正規代理店価格で¥1,9000,000していた銃です。
今回は、はい、¥1,000,000を切ります! はい、¥800,000も切りました!
お値段は、何と、はい、¥645,0000での提供となります(ウオー)
これにガンケース、予備の撃針、スプリング、分解のドライバー、メーカーの保証書、ぜ~んぶおつけします。
(これから声が裏返えり)これだけぜーんぶおつけして、お値段¥645,000!(ウオー)
金利手数料、ぜ~んぶ、ファーイースト ガンセールス負担です(ウオー)
てな具合に絶叫したいところです。
残念ながら私は気弱な人間なので、とても皆さんの面前では到底出来ないパフォーマンスですね、嗚呼恥ずかしい!

冗談は顔だけにしておきますが・・・・・・・・・・・・・・・
真面目な話、10万円以上、12回払い以内なら、金利手数料は全部ファーイースト負担で取り扱いします。最近ではGUNローンでは、銃だけでなく、意外とライフルスコープのローンが増えてきました。
他の会社では、10万円を超すようなスコープの取り扱いはあまり有りませんよね。
これは、所持許可を持っていない輸入業者が10万円以上するスコープなんて誰も買うわけ無いと、勝手に決め込んでいるからです。素人に言われたくないですよね!
仮に10万円以上するスコープを取り扱っても、何故そのスコープが10万円以上するのか、その、性能の違いは何処にあるのか? 
そうした蘊蓄を説明できないのでは無いでしょうかね。
私はその理由を、メーカーのエンジニアに酒を飲ませながら徹底的に聞き込んでいます。
そして自らそれを実際に使い、その性能の確認もしています。
私は病的にマニアックなところが有りますからね、「ガンマニア」と言う言い方は、私に取って賞賛の意味を含んだ、言い方ですね。
そして、「良い物は良い」それが私の得た結論です。
ですが、銃よりも高いスコープだと皆さん購入するには躊躇が有りますよね、ですから金利0%で買って頂きたいと言うのが別の意味での私の本音なのです。

当社の扱い商品と言うのは、厳密には消耗品はほとんどありません。
ちゃんとお使い頂ければ20年、30年と使える物ばかります、ですから、最初から出来るだけ良い物をお買い求め下さいと言う趣旨もあります。

そして、何よりも良い物の価値をお解り頂きたい、それも私の本音です。

話は変わりますが、例えば食事を例に喩えても、一番良いステーキと、一番安いステーキを食べ比べると、ステーキのランクが解りますよね。
安いステーキを食べても、値段相応であれば充分納得出来ますし、値段が高いと言うだけの不味いステーキなら軽蔑できますしね、ちゃんと物の価値が解ってくると、人生も充分楽しくなります。

この様に良い物を接触すると言うことは、物に対する目利きが出来るようになります。
何が良いのか、何が悪いのか、そうして目を養うことは人生にとってとっても楽しいことです。こんな事を書くと、相応にお金がかかりそうですが、必ずしもそう言う事ではありません、当社ではE-フィット イアープラグと言う¥500の耳栓も取り扱っています、はっきり言って、こんな物たかが¥500です、でも使ってみるとこれが良い物だと簡単に解って頂けると思うのです。
耳栓は遮音効果が何よりの性能ですから、これなら耳に差し込むだけで誰でも善し悪しが判断できます。
ただ、そこに至るまでには相当数の耳栓を実際に使い、かつ、耳鼻科の先生の話も充分に聞く必要があるのです。
ベンチレスト射撃のメンバーに耳鼻科の先生もおいでですが、難聴は直らないと言うのが先生の結論でしたから、如何に良い耳栓を使っても、私の場合はすでに手遅れではありますが、耳栓の善し悪しを判断する指針にはなりました。

スリング等も、ビアンキ製が一番出来が良いですよ。
少なくない方がスリングだと言うと、「安いのでいいや」なんて言われて¥3,800のスリングを売ることも多いのですが、こういう方達はスリングを消耗品だと考えているのでしょうね。
安物のスリングは何年も使う内に、スリングの付け根が痛み、ある時、いきなり切断する不幸に出会うこともあります、スリングが劣化のために突然切れる事故に出有ると、ライフル銃はライフルスコープを下にして思いっきり落下する事になります、こうなると「グシャ」と言うスコープが潰れる音が聞こえそうで怖いですね。
数十万円のスコープはあえなく崩壊です。

ビアンキと言う名前からしてもお解り頂けると思いますが、ビアンキ氏はイタリア系のアメリカ人です、彼は元々は警察官だったのですが、警察を退職後、革製の拳銃のホルスターを作り始めたのです、革製品はイタリアが有名ですが、一番大切なのは革製品を見る選択眼ですね。
その選択眼のおかげと良い製品を作り続けた事により、多くの警察で彼の制作したホルスターが採用されます。現在では米軍のホルスターは全部ビアンキ製なのです。

私が、ビアンキの革製品が優れていると思うのは、全ての革が「生きている」と言うことです、ベルトでも何でもそうですが、革を触った感覚で、しんなりとしている、パサパサしていない、しっとり感がある。そう言う事で製品の善し悪しがよくわかりますね。
安物は全部駄目ですね、そこそこの値段がしても革が「死んでる」ので中国製なんて駄目ですね。日本製も当然駄目ですね。
最近はブランド物のベルトでも、裏を返すと中国製だったりしますが、これも全部駄目ですね、革製品の良い物が日本に無いのは、部落の問題が根底にあるのですが、そのおかげで日本人は相当不利益を困じていますね、部落のことをあまり書くと某組織から突き上げを食いそうなのでこの辺で書くのは止めておきますがね。

さて、「良い物だけを世界から」なんてヤナセのコマーシャルのパクリみたいな事を言いますが、本当に良い物を使って頂くと、趣味の世界の充実感が広がります。

決して高い物を買えと言っているのではありませんが、どうしても高い物は金利手数料、ファーイースト負担、0%ローンでお買い求め下さい(ウオー)

ファーイースト ガンセールス コピー集

2003年10月 7日
更新 2003年11月 5日

コピーライター:築地恵

前のHPでは格言集を開示していたのですが、HPリニューアルにあわせて削除しました。
削除後、格言集について私より年上のオトーサン達、そして驚いた事に少なくない女性達からも賞賛の声が少なくありました、女性から賞賛されるなんて私の人生には希有の出来事です。
そこで、ファーイースト ガンセールス コピー集として、駄作を削除、新規を数点追加して再度開示します。

2003年11月 5日 更新 駄作を削除し、新作を追記しました。


優れたコピーライターは、下ネタを大切にします

初めてやるのは14才(空気銃)
初めて行くのは18才(クレー射撃)

DMを見る目、少年の目

おいくつですか、「オニーサン」
祇園では、80歳でも「オネーサン」と呼ばれます

「出る杭」はうったえます、「正規」代理店価格で売りません
「正規」輸入価格で売っています

品のある質、品質のペラッチ

名人でなくても、ペラッチは似合う

50才前後の少年、ペラッチヲ買ウ

微笑年、青春を始める

あなたの中のイタリア、ペラッチ

ファーイーストの商品は、見る物では無く、買う物です

話せるガンショップ

当社は大希望小売店です

あまったお金で車を買おう(ペラッチ スーパーエキストラ)

60才は、3度目の二十歳

雨天決行! ウインターセール

GUNを知らない人生なんて
SEXを知らない人生と同じです

SEXを知らない人生なんて
GUNを知らない人生と同じです

良い銃は、ローンを忘れさせる

使うだけでは勿体ない、持つ喜び、ペラッチ!

ほう、関心だな、若いのに「ペラッチ」・・・・・・・・

ペラッチに興味の無い人は、すでにペラッチを買った人です

早く買えば、長く楽しい

ファーイーストについて調べてみた、世間知らずだった!

安物は嫌だが、安い物は買いたい

一流の物を使わないと、一流の仕事は出来ない

一流の銃を買うことは、一生続く満足感です

銃が壊れたらチャンスです

ファーイーストが来るまで、並行輸入は少数派だった

人の上に立つのは苦手なので、メーカーとユーザーの間に立っています

何時の日か、自動車業界のファーイーストとHONDAが呼ばれますように

ファーイーストからチャレンジを引いたら、正規代理店になる

正統派は少数派から生まれる

ファーイーストって、ロックンローラーみたい

「出る杭」になります

銃砲業界も「再起動」しなきゃ

「プロジェクトX」に出たい!

単に一途な会社です

我慢することが男じゃない

正規代理店代理店価格で買うと言うことは今一番の贅沢かも

値段が全てじゃないという人は、すでにファーイーストから買っている

ファーイーストはお客様を外見で判断しません

バーゲンはありませんが、何時もバーゲンです

お買い物を年に2回お届けします

男も衝動買いしたい!

並行輸入で買う安心、正規輸入で買うリスク

買いたい物がある幸せ

ゴメンナサイ! 彼氏のハートを虜にしたのは当社のDMです

同業者の言う事がもし本当だったら、とっくに潰れています

物が売れないなんて嘘です、物を売ろうとしないだけです

自分が気に入った物が、結局一番の売れ筋でした

ペラッチを買うと、買い換え時が無くなります

視射してみてください

正規代理店の"正規"って何だ?

競合商品はありますが、競合会社はありません

流通業界の隠蔽体質を変えます

触っただけで出ちゃいました(ジュエル トリッガー)

「付けなきゃいやっ」と彼女が言いました(ウルチメート イアープロテクター)

願い!「入れてっ」と彼女が言った (10点圏)

抜かず3発 (メルケル コンビネーションガン)

正常位 (上下2連銃)

側位 (水平2連銃)

一人H (単身銃)

3P (コンビネーションガン)

自慰 (スライド式)

暴発 (青年)

不発 (老年)

装弾 (男)

標的 (女)

正しい生き方は知りませんが、楽しい生き方は知っています

一生懸命遊んだら、それが仕事になっちゃいました

ファーイーストのDMは、かなりショッピングでしょう

考えるより、注文すべし!

いつかはペラッチ (トヨタ自動車)

Shift The ファーイースト (日産自動車)

キリン一番搾り (フル チョーク)

ブローニング BAR (自動ライフル)

BAR ブローニング (飲み屋)

予備弾倉 (愛人)

実包 (男)

薬室 (女) 

もしもガンスミスに戻れたら

2003年 9月27日 築地

液体火薬のコラムで6ミリBB弾のフルオートシステムを発明して1500万円のあぶく銭を稼いだと書きましたが、実はこのシステムたった1週間で考え上げたのです。
たった1週間の間に、5通りのシステムを考え上げ、その中で一番燃費効率の良いシステムを採用したのです、私が1週間で考えたのですから、世の中のもっと頭の良い人は2,3日で考え出すに違いないと思っていたのですが、結局私の発明を超える人は居なかったですね、私が玩具業界のレベルが低いと感じたのは私のシステムをパクル人は居ても、これを超えようと頭をひねる人が居なかった事です。
パクル人が居たおかげで、私の発明は他人にパクられる位極めて優れた発明、そしてすでにコピーされているので緊急性があるということで、特許庁で優先審査と言う超スピード審査をしていただくことができました、特許申請を依頼した友人の弁理士も優先審査は初めての体験だったと言っていたので本当に例外的な事例だったのでしょう。
同業者の中にはまるで特許が趣味のような方も居られますが、特許料を稼げない特許は一銭にもなりませんが、手数料を稼ぐ弁理士さんには絶好のカモです。
昔、落語家の柳家金吾楼さんが、沢山の特許を持っておられましたが、これはこれで本当は大変な事なのです、特許の場合、どんな下らない特許でも毎年更新料を払わないといけないのです、特許が100あれば毎年100万円払わないといけないのです。
特許の有効期間は15年ですから、電気の点灯するゲタなんて馬鹿馬鹿しい柳家金吾楼の発明でも毎年更新料を15年間払うのですから金を生まない特許が如何に無駄かおわかりいただけるでしょうかね。

話が横道にそれましたが、現在私は販売業をしていますが、私のバックグラウンドに流れる血は製造の血、ガンスミスの血です。
ほんのわずか、スケベの血も入っていますがこれは神様の采配で私の所為ではありません。
その流れるガンスミズの血のために、いつの日にかまた製造業に戻りたいと言う夢は現在でも捨てきれないのです。
もし私がガンスミスに戻れたら一番最初に設計したいのは、空気銃の自動銃ですね。
現在では圧縮空気を使うハイパワーの空気銃が、度肝を抜くような高い値段で売られていますが、私なら10万円以下で販売できる、ハイパワーのフルオート空気銃を作って見せますね、おっと、フルオートは空気銃と言えども銃刀法違反ですから、セミオートで作りますかね。
空気銃の製造で一番難しいのはエアータンクの製造です。
エアータンクはあんな形をしていても、1枚の厚い鉄板から作られているので、厚い鉄板を絞り型で徐々に絞ってボンベの形にするのです、これは大きな圧力が加わっても容器がボンベが爆発しないようにとられている安全策なのです。
しかしながら、ボンベはボンベを作るメーカーが別にあり、そこから買えば良いだけですのでこれの入手は簡単です。
だとすれば後は銃身と機関部だけですから簡単です、銃身はファインベルクバウの銃身を作っているワルサー社から購入すればいいし、機関部なんて負担のかかるところはほとんどありませんからアルミで簡単に作れます。
問題は設計ですが、それは私の最も得意とする分野ですから、1週間あれば設計してみせます、嘘だという人が居たらとりあえず私に1500万円払ってみてください、1週間で設計図を書き上げてみますから・・・・・・・・

空気銃を完成できたら次は上下2連銃を作りますかね。
私は自分の発明をパクられた経験がありますので、人の設計をそのままコピーした製品なんて大嫌いで、そうしたコピー物は絶対存在価値を認めませんね。
巷ではペラッチのコピー物が多く出回っていますが、コピー物であれば当然の話ですがオリジナルを超えると言うことは絶対にあり得ません。
シャネルを超えるコピー物もないし、グッチを超えるコピー物もありません。
こうした商品のコピー物って犯罪ですが、銃器の場合は良いのでしょうね?
コピー物でも、ペラッチを超える工作技術があるとコマーシャルトークをしている人もありますが、ペラッチを超える技術があれば最初から物真似なんかしないでオリジナルの設計をすれば良いのです。簡単な話です。
ほぼ100%物真似ならまだご愛敬ですが、中には無理矢理内部の設計を変えたためにとんでもないとんちんかんな設計になっている部分があります。主に引き金の部分ですが工学的に、そして力学的に間違った設計をした言い訳を聞きたいくらいですね。
面白いのは、コピー物が存在するのはペラッチだけですよね。誰もベレッタのコピーはしませんよね。それが何よりペラッチの優越性を物語っていると思います。
この様にペラッチのコピーをするのは自らの設計技術がペラッチ以上には達していないと言っているのと同じですから、私自身はこういう会社のセールストークは全然信用しませんね。
さて、未だに散弾銃の世界では、ボラー鋼神話がありまして、ボーラー製鋼所で作られるモリブン鋼材が一番銃身材料として優れていると言う神話ですが、残念ながらこの神話はすでに無くなりましたね、日本でも昔はダイス鋼として金型屋さんなどにはボーラー鋼はよく売れたのですが、現在はほとんど日本の製鋼メーカーの材料に代わられています、それだけ日本製の鋼材の質が良くなったのです。
金型の世界では神話やネームバリューではなくて、金型の型持ちが良いかどうかだけで判断されますから、すでに、現在は日本製鋼材の方が優秀になり、ボーラー鋼の優劣性は昔物語になています。現在ではボーラー鋼の営業マンは泣いていますよ!売れないって!
そしてさらに進化した現在、日本の某製鋼所で現在の鉄材の4倍の強度を持つ鋼鉄の開発に成功しました。
何故それ程の強度が出るようになったかと言いますと、金属の組織を4倍に緻密にして鍛錬する事によって実現した鋼材と言う事です。
日本刀を鍛錬するのと理屈は同じですがね。
強度をそのまま額面通り受け取ると、上下2連銃の金属部分は、何と1/4の厚みで強度が保たれることになりますね、機関部も銃身も1/4なら相当軽い銃ができますよね。
最近では上下の銃に軽い銃、軽い銃という人がたくさん居ます、特にスキート射撃には多いですね。銃の重さも軽すぎるとかえって弊害が起きるのですが、当面こういう人たちのために1/4ではあまりにも非弱に見えるので、1/2の銃を作ってみましょうかね。
でも、今度は軽すぎで銃が走りすぎるかもしれません、あるいは、バイブレーションみたいな共鳴が起きるかもしれません。でもやってみないとわかりませんがね。
こうして本当に軽い銃ができれば、またぞろクレームが始まるかもしれませんね。
軽い銃は素材の肉厚が薄いので振動係数あたりで蘊蓄を言う人が出そうですね。
でも、もう少し銃が軽ければ・・・・・・・と言う人たちには言い訳が一つ減ると言うことになりますかね。

散弾銃の世界では、ハンマーのバネに松葉を使っているか、コイルを使っているかで、いろいろな論議があり、一般的には松葉バネが良いと言われています。
しかし、これは全く根拠がありません、良い鋼材と適切な熱処理ができていればどちらでも良いのですが、私はあえてコイルスプリングを評価しています。
昔のロンドンガンのサイドロック銃などは、最初からコイルスプリングの入る余地がありません、その為松葉バネを使ったと考えられます、火縄銃も松葉バネですからね。
しかしF-1エンジンのバルブスプリングをみてもコイルスプリングが優れていると簡単にわかると思うのですがね、コイルスプリングは毎分9000回転で回るエンジンのバルブを正確に作動させて"絶対に"折れませんからね。
でもより完璧なスプリングを求めるために、私は3本のコイルを撚って1本のコイルスプリングを作りますかね、全長はできるだけ長く、そして自由長を短くすれば事実上ほとんど折れないスプリングが作れますね、仮に撚ってある1本が折れても後の2本でカバーできますかね。仮に2本が折れても作動しますからね。

松葉がよいかコイルが良いかと言う判断の根拠とされるのに、引き金の切れ味があります、松葉は切れ味が良いが、コイルはだめだ、とか色々世間で言われますが、引き金の切れ味を決定つけるのは引き金の設計だけです。
引き金の設計さえ良ければスプリングの形状なんかどうでも良いのです。
散弾銃の引き金は、調整しても1.3~1.2キロ程度でしょう。
ライフル射撃競技の引き金なんて50グラムですよ!当然切れ味も抜群です。
ピストルに至っては10グラムですよ、いずれの銃もハンマースプリングはコイルを使っています、従って松葉バネが良いと言うのは単なる使用者の思いこみと言うことです。
誤解もここまで浸透してくると、その事態が常識と言うレベルにまで達していますから、射撃場でも私は自らのこうした引き金の蘊蓄を話すことはありませんがね。
HPなら相手がいないので思いっきり言えます、スプリングと引き金の切れ味は関係ないのです、引き金の切れ味は引き金の設計により変化するのです!
(ああ、すっきりした)

では、ライフル銃の中で唯一松葉スプリングを使っている銃をご紹介しましょう。
それは村田銃です、皆さんご存じの様に近代国家建設の黎明期に使われた軍用銃ですね。
村田銃を子細に観察してもらうとわかりますがボルトがやたらと大きくできています、そうしてボルトの付け根は平たくなっています、ここに松葉バネが入っています。
ここに入っている松葉バネで、撃針を動かしているのです。
当時は空撃ちするとスプリングが折れると言われたのですが、そうしたところにも原因があるかもしれませんね。
現在のボルトアクションライフルですが、レミントンのHPをみるとセンターファイヤーライフルは空撃ちしてもかまわないと明確に書かれています。
もちろんレミントンライフルもコイルスプリングを採用しています。

引き金切れ味を論議する場合、競技用ライフル、あるいは競技用ピストルの引き金と比べると散弾銃の引き金はいかなる引き金を持ってきてもズルズル、ガクガク、の引き金です。
ですからライフルの引き金メカを採用すれば引き味は劇的に良くなりますが、その引き味が散弾銃のシューターに解るか、あるいは評価してもらえるかは別問題でしょう。現在に至るも散弾銃でそうした切れ味の良い引き金が存在しない以上、切れ味の良い引き金がショットガンシューターに必要とされていないのだと思われます。従って散弾銃の世界で引き金の切れ味云々と言うのも無駄な論議かもしれませんね。
でも私なら、評価されなくてもかまわないので切れ味の良い引き金を作ってみたい物です。

もしもライフルを作るなら、ボルトアクションでしょう。
そして銃身はハート、あるいはシーレンを選択しますね。
もちろんこれ以外でもリルジャみたいに最近で出てきた良いメーカーもありますから、それらも選択肢には入りますがね。ですから銃身は最初からこれらのカスタムメーカーの物を採用します、これらの銃身は100メートルで、1~2ミリのグルーピングをマークできる命中精度を持っていますから、これ以上の物を私が作れるとは思えないので無駄な努力はしない事にします。後は機関部の軽量化、そして全体のダウンサイジングですね、銃身とほぼ同じ直径の機関部、薬莢と同じ直径のボルトで構成したいですね。
弾倉はフィーデングが完璧になるようにロータリーマガジンを採用しますかね。
世間にあるダブルカラアムの弾倉はマグナム系統の弾を使うと、装填時にスタッグしがちなので使いたくないですね。
引き金は着脱式にして、ハンテング使用の1.3キロの物、ターゲット用にl.0キロ~50グラムの可変の物を用意したいですね。
そして銃身も簡単に交換できるようにしておきたいですね。

こんな具合に与太話をしていると、実際の製造現場の人から苦情が来そうですね。
私も販売よりも製造の経験が長いので解りますが、製造は販売の100倍くらい大変なのです、製造は設計から製作に至るには血のにじむ様な苦労があります、その上、工場設備の確保と維持、雇用関係、資金計画、さらに営業活動とあり、一つの銃を作り上げるのは最低でも20年はかかると考えなければならないでしょう、残念ながらそれに耐えるにはまだ私が50代であっても余命が足りません。

もし来世で生まれかわったら、今度は必ず製造業で成功して見せます。

液体火薬

2003年 9月22日 築地
追記(訂正) 2003年 9月24日 築地

ある場所で、リキッド、プロペラント、なんて英語を聞いて思わず興味を引かれました。
英語でプロペラントと言う言い方は、弾の推進薬と言う場合に使われます。
爆速が8000メートルを超える爆薬の場合、ハイ、エキスプローシヴ、通常の火薬は単なるエキスプローシヴと英語では言われています。
一般に言われているガンパウダーと言う英語は軍事専門家の間では使われません。
リキッドプロペラントと言っているのは、米軍の専門家ですから、間違って発言した言葉ではありません。早速食い下がって聞いてみますと、文字通り液体推進薬、もっと平たく言えば液体火薬と言うことです。
どうやら米軍では液体火薬の実用化に成功したようです。
写真を見せて貰いますと、105ミリ砲程度の大きさの砲に使用しているのが解ります、105ミリ砲と言うのは資料で見た私の推測で、もう少し大きいかも知れません。

液体火薬を開発した目的は、砲の完全無人化にあるそうである、事実液体火薬を使う砲は全くの無人で、砲自体は離れたところからの遠隔操作でコントロールされるそうです。
液体火薬のもう一つの利点は、炎と煙が出ないことです。
発射の瞬間の映像をビデオで見ますと、炎は全く発生していません。黒煙も皆無です。
ほんの僅か白煙が出るだけです。
それともう一つの利点は機関銃みたいな連続発射が出来ると言うことです。
残念ながら連続発射のビデオは見せて貰えませんでしたが、私の想像では機関銃みたいに1分間に400~600発と言うサイクルではなく、砲身を安定させる為にはもっとゆっくりの間隔でないと撃てないはずで。私の推測では1発撃つのに2~4秒は要するでしょう。
関係者の話では、連続して撃てるのは5発までと言うことでしたが、これは連続して5発以上撃ちますと、砲身が加熱して狙点が狂うからでしょう。
私の推測では砲の中に20~40発以上の弾頭は装填できるはずです。
つまり、連続して5発の発射を数回繰り返すことが可能なはずです。
画像を開示できれば一番良いのですが、最先端の軍事機密ですから画像の開示は出来ません、でも私が見た限りの画像では砲の薬室にあたる部分に大きな四角い容器のような物があり、その中に液体火薬が入っているそうです、その液体を定量薬室に送り出し、弾倉にある弾頭を装填して発射するシステムだそうです。、弾倉には弾頭だけを装填してありそれを1発ずつ薬室に送り込んで撃ち出すそうです。
液体を薬室に送り出すと言うことに関しては、エンジンにガソリンを送り込むのとシステム的には似ているようには思えますが、自動車エンジンみたいにガソリンを気化させて送り込むのではなさそうですし、それに点火プラグみたいな物で点火させてる様子もありません。言うまでもありませんがガソリンでは砲弾を撃ち出すパワーとしては絶対的に爆発力が不足しています。
当然ながら液体火薬の成分、それの点火装置などは秘中の秘と言うことで、現在のところは知る事は出来ません。
ここで砲の命中精度と言うことで少し説明をしてみますが、砲の命中精度は砲の設置された地盤の状況によって大きく変わります、地盤をしっかり整えておけば相当な命中精度が出せますが、地盤が悪いと発射の瞬間に砲身がぐらつき、命中精度はバラバラとなります。
ライフル銃で言えば、ベンチレスト射撃みたいに依託射撃するのと、ハンテングみたいにオフハンドで撃つのとの違いを考えて貰えば良いでしょう。
いくら銃の命中精度が優れていても、実際の命中精度には天地ほどの違いが出るのは容易にお解り頂けますよね。
こうした液体火薬を使う自動砲では、人間が介在するのはせいぜい移動時だけで、2~4程度の兵隊でスピーデイーに移動して、移動場所で油圧装置で足場をキッチリと固めて、30~60分程度で発射準備が出来るはずです、現在では素早い移動と展開が軍事技術の世界では非常に重要な要素となっています。
現在の砲弾用ドップラーレーダーでは相手が砲弾を発射した瞬間、砲弾の飛行コースを瞬時に割り出し、その砲弾の発射地点を逆算して割り出し、簡単に反撃できるシステムが出来上がっています、その為にこの液体火薬を使用する砲弾には、レーダーに写らないステルス砲弾が使われると思いますが、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、と5発砲弾を発射したら直ぐにその場所から移動できる事も考えて設計されていると思われます。

ちなみに米軍のステルス砲弾を作成したのはナイトフォーク、ステルス爆撃機を作った、ロッキード社の、スカンクチームです。あの大きな爆撃機すらレーダーには小鳥の大きさにしか写らないのですから、熱源のないステルス砲弾は事実上レーダーでは捕らえられないはずです。それに砲弾は丸いですからレーダー波を反射しやすい平面の対象物はありませんからね。
言うまでもありませんが、自衛隊にはステルス砲弾なんて最先端の砲弾は存在しません、あ、ひょっとしたらステルス砲弾の存在も米軍の軍事機密だったかもしれません。

軍隊の世界での命中精度は、ライフルも含めてミルの指標で評価されます。
1ミルとは1000メートルで、1メートルの事を言います、100メートルなら10センチと言うことになりますね。
しかし、現在の砲は1000メートルで1メートルの目標に命中させられる命中精度を持っています。つまり、最先端のライフル銃と同じ命中精度と同じなのです、多くの人は大砲なんて相当命中精度は悪いと考えているのでは無いでしょうか、所が意外や意外、ほとんどのハンターの足下にも及ばないような命中精度を誇っているのです。
もっとも大砲の命中精度というのも軍事機密ですから、ほとんどの国民が知らないのも無理はありませんが、それに大砲の射程というのは1000メートルで使われることはほとんど無くて、近くても4000メートル、この場合命中精度は4メートルですが、戦車なら命中するレベルですよね、しかし、30キロ、40キロと言う長距離になると目標に命中させると言うよりは、その地域の上空で砲弾を炸裂させてその地域を制圧すると言う運用のされ方に変化します。

こんな大砲の話を書くと銃器のコラムと言う趣旨からは相当乖離してきますが、弾が出れば何でも同じと言うのが私の理論で、昔は6ミリBB弾をフルオートで撃ち出すシステムを発明して1500万円の特許料を稼いだこともありますし、また大砲の話にもこうして夢中になれるのです、この情報ですら、テレビで飼われている"自称軍事評論家"という素人集団は勿論、軍事情報の専門誌、ジェーン年間ですらまだ把握していない事実かも知れませんよ。


追記 2003年 9月24日

読者意見

築地さん、初めまして。残念ながら所持許可は持っていませんがファーイーストのHPを偶然見つけて以来毎日のようにアクセスしています。築地さんの解説やコラム、抱腹絶倒の面白さで病みつきになってしまい、所持の予定もないのに新着情報なども隅々まで読んでいます。

今回の液体火薬のコラムも非常に興味深い内容で、読ませていただいて有り難く思っております。軍事や技術に少しは興味があるので得難い情報でした。
液体火薬で思い出したのですが、88年頃に出版された英国の小説家ギャビン・ライフルの「砂漠の標的」に、フィクションですが液体火薬を使った戦車砲が出てきます。
作品中では特徴の一つとして射程に合わせて装薬量を変えるという説明がありました。後は小型化できるのが利点として自動装填の小型砲塔という設定でした。実際の液体火薬の開発、機密程度については知るよしもありませんが、液体火薬については、とりあえず知ってはおりました事をお知らせしたくメールいたしました。
ただ、今回のコラムを読むまでは忘却の彼方にありましたので、興味を持ったら継続して調べる努力をすべきだと叱咤されたような感じです。メディアではそれこそ液体火薬の「え」の字も見かけなかったので、トンデモの類と勝手に決めつけて忘れてしまったようです。

さて、上記のギャビン・ライアルの別の作品にはパーディの銃が登場するのは有名ですが、コラムでパーディの名前を見た時にはああ、やっぱりあったのかと嬉しい驚きでした。しかし、高級銃とは作品中でもありましたが、そんなに高価とは知らずもっと驚きました。また、私は中学生時分に友人を誘っていわゆるサバイバルゲームをしていました。お金がないので、せいぜい自作ケースレス化、ポンプアクションキット組込ぐらいでした。丁度フルオートのガスガンが出てきたところで、指をくわえて見ていましたが、あれを発明されたのが築地さんだったとはこれまた驚きでした。インターネットがなければこれを知る事もなかったと思うと感無量です。

長くなりましたが最後にコラムについてですが、それこそ材質、加工法から業界の仕組み、人種問題や心の問題について幅広いテーマについて詳しい解説と深い洞察にはいつも敬服しております。内容についてもほぼ、というか、全く同感の事ばかりです。私にとっては勉強させてもらっているようなもので、こうなったら授業料代わりに所持許可を取って・・・といつも思うのですが、生憎そのような甲斐性もないので、メールにてお礼に代えさせてください。今回「銃器のコラムと言う趣旨からは相当乖離」と書かれていますが、このような脱線は私は大歓迎です。(機械に限らず、「仕組み」を知るのが好きなのです。)


訂正

液体火薬のコラムで誤記があり、以下の方からご指摘を受けました。改めて訂正致します。

■Sさんからのメール
HPの液体火薬の項で下記の数字が間違いではないかと・・・思い。
軍隊の世界での命中精度は、ライフルも含めてミルの指標で評価されます。1ミルとは1000メートルで、1メートルの事を言います、100メートルなら1センチと言うことになりますね、ライフル銃の場合100メートルで1センチに命中する銃は、相当優れたスナイパーライフルと言うことが出来ます。100メートルでは10センチ!!!では。

■Hさんからのメール
築地様、疑問な点が ありましてメールいたします。コラムの中で1ミルは1000メートルで1メートルとの解説がございます、その比率で計算すると、100メートルでは1/1000の0.1メートル、すなわち10センチだと思うのですが? 100メートルの距離は1000メートルの1/10、ゆえに1メートルの1/10は10センチとなると思います。ご挨拶遅れましたが、私、ライフル銃を所持してまだ2年目の初心者です、スコープの調整がやっと出来るようになりました、ファーイーストガンセールスのホームページが楽しみで拝見してます、これからも宜しくお願いいたします。

■またYさんから以下のメールも頂きました。
コラムにて言及されていた液体火薬ですが、防衛庁も「液体発射薬」と言う名称で研究を行っています。研究している事実は防衛庁のHP上でも公開されています。 

脳内物質ドーパミン

2003年 9月 9日 築地

私は1960年に射撃を始めましたが、射撃を始めた当時はずいぶんと一生懸命に射撃をやりました、一生懸命にやれば必ず良い成果が得られるとひたすら信じていたからです。
勿論、ある程度成績は良くなりますが、日本を凌駕して世界に羽ばたくなんて全くの夢のまた夢でした。
現実問題として、私よりも後に射撃を始めた人が、私を踏み台にしてどんどん上に上がっていきます。その内、どうも私は一所懸命に射撃をしても、費用対効果が薄いことに気づきました。
無駄な練習を重ねる内に極めて少ない人たちの中にですが、あまり練習をしなくても、劇的に射撃の上達する人達が居ることを自覚するようになりました。
割合で言ったら100人に一人くらいでしょうかね? 努力すれば100人に一人くらいの人は国体選手にはなれるでしょうね。
それと500人に一人くらいですと、全日本を狙えると思います。
でも、オリンピックはこの10倍以上のレベルだと私は思います。
それも単に出場するだけのレベルです、優勝するとなると、それの何倍、いや何十倍の位のレベルなのでしょうか? 想像するのも気が重くなりますね。

しかし、無駄な時間を使わなくても射撃に適性があるかどうか、簡単にわかる方法があります。
全くの初心者の場合、銃を構えさせただけでもある程度適性が予測できます。
初めて銃を持って、ちゃんとしたフォームになっていればある程度の適性が認められます。そして実際に撃たせればさらに歴然とします。上手い奴は、生まれたときから上手い! と言うことが良く解ります。言うまでもありませんが努力をしないと駄目ですよ! 努力をしないで上手くなった人は皆無ですが、努力をしたのに成果が上がらなかったという人は多数います。今、このコラムを読んでいる貴方もそうではないですか????
間違っていたらご免なさいね!

でも、良く冷静に考えてみてください。生まれて物心がついた頃、鏡を見て自分はスターに成れると思う人間はそうそう居ないはずです。
それは自分の顔立ちが他の人と比べて、どの程度のランキングになるか幼い頃から良く理解できているからです。幼稚園の頃から、異性にもてるかどうかで、さらに如実に現実を知らされます、当人の努力とは無関係に「もてる子」と「もてない子」が居る現実を見せつけられると、子供の内から、"もてる"と言う適性があることもうなずけます。

私も世の中に顔立ちで勝負する気は毛頭ありませんが、射撃は努力することで栄光を掴めるのではとついつい錯覚していました。
それは、戦後、日教組の間違った教育で「努力すれば望みが叶えられる」と間違った事を教えられていたからです。

でも、栄光を極めると言っても、市町村の大会で極めるとか、県大会で極めるとか、そういうレベルなら容易に叶えられるでしょう、それこそ相応の努力をすれば叶うレベルです。
日教組の言うとおりです。
私が言う、極めると言う頂点は、人間の能力の頂点、それも世界中能力の頂点、つまりオリンピックでの優勝です。
これは、単に努力だけでは出来ない事です。つまり適性がないと絶対到達できませんね。
大多数の人が50年努力して到達できないレベルですが、適性のある人間には数年で到達できる世界です。

昔、ライフル射撃のオリンピックメダリスト、バッシャム選手の講習会を聞きに行ったことがあります、演題は「貴方もチャンピオンに成れる」と言う如何にも嘘くさい内容でした。内容を聞かないで何故嘘くさいかと言いますと、チャンピオンに成れるのは常に一人だけです。会場には相当数の人間が来ていましたので、この会場の全員がチャンピオンに成れるわけないと単純に理解できました。
話の内容もイメージトレーニングの話が主で、技術的な話はほとんどありませんでした。
これは彼自身が天才的な射手なので、技術的な問題点は把握できてないのです、ひたすら精神面の話でした。私だったら全然逆の話になったでしょうね。
どうしたら当たるかと言う論理的に説明はほとんど無かったように記憶しています。
彼みたいな天才がコーチに成ったら悲劇でしょうね、何故此奴らが当てられないのかコーチ自身がイライラするのではないでしょうか?
修羅場をくぐった私の方がむしろ適切なアドバイスを出来るかも知れません。
一流選手、必ずしも一流コーチに成らずと言うことでしょうかね?

ですからバッシャム選手の講習会も、誰でも当てられると言うことを前提とした精神面の話でした、いわゆるイメージトレーニングです。
技術力がまだ備わっていない選手にイメージトレーニングの話をしてもほとんど無意味です。私が思うに、イメージトレーニングの最大の活用法は、せいぜいSEXの不感症の治療に使える位のものです。
私も時折必要に迫られて、頭の中で妄想を逞しくしてある種のイメージトレーニングに精魂を傾ける事も少なくありません。
イメージトレーニングの中で色々な妄想を膨らます中で、ふと会社の資金繰りを考えたり支払日を考えたり、次の融資を考えたり色々資金的な事を考えたりすると、急激に一物が萎えたりするのも、現在に至るもイメージトレーニングの修行が足りない所為なのでしょう。

オリンピック選手の中に、生まれつき上手かったと言うエピソードには事欠きません。
その選手が最初に射撃を始めた時、最初の1年間で何点を撃っていたか、最初にオリンピックに出たときその年齢が幾つだったか、キャリアが何年だったか、そうした事を聞けば大した弾数を使って居ないことは容易に解るはずです。私のような銃砲販売業者が、射撃は適性で撃つ!なんて断言しようものならいきなりビジネスに影響が出そうですが、現実には全く影響はないでしょう。
何故なら、日本でも真剣にオリンピックゴールドメダリストを狙っているのは、ほとんど皆無と思っているからです。オリンピックに出たいと思う人はいても、金メダルを狙う人は極めて少ないはずです。だから金メダルは適性がないと取れないよ、と言っても日本国内では気落ちする人は皆無だと考えているからです。

生まれつきの顔立ちでスターになれるかどうかの要因があるとする以上、射撃も適性があるかどうかで将来も大方の予測はできるのですが、世の中はこれだけが唯一の世界ではありません。それ以外の他人にはない優れた適性が人間には無限にあるはずだからです。
射撃は下手でも、ハンサムでなくても、ピカソみたいに絵を描く適性があるか、ビルゲイツみたいなビジネスの適性に恵まれるか、人間には駄目な適性もある替わりに、人より秀でた適性が必ず備わっていると私は信じます!
少なくとも私は今のビジネスで食っているわけですから、私自身、射撃は駄目だったけど、射撃をネタに食う適性は備わっていたと言うことなのでしょう。
過去には射撃にはまり、射撃に熱中するあまり社業が疎かになり、射撃の腕が上がった代わりに会社が倒産したなんて、オトーサンも沢山知っています。
まあ、こういう人は射撃の適性はあったのでしょうがね! 私は真似したくないパターンです。

さて、皆さん方にも色々な適性が備わっているはずです、その優れた適性も四六時中同じ事を考えていると脳細胞が疲弊してしまい、ろくなアイデアが出なくなります。
脳細胞が疲れてくるんですね。
その為に射撃をやると効果的なのです、射撃は、少なくとも撃つ瞬間は全精神を射撃に集中しないといけません。その神経を集中している瞬間は、普段使っている脳細胞とは全く別の部分を使います。
実はその間、普段、仕事で四六時中使っていた脳細胞群はゆっくりお休みができるのです。
射撃に100%神経を集中するだけで、射撃を終えた後は、得も言われぬ開放感に浸れるのはそれが理由です。
言うまでもなく、射撃は的に命中させることによりさらに多くの快感を得ることができます。
それは脳の中枢神経にある部分から、ドーパミンと呼ばれる「ご褒美の」物質が放出されるからです。それにより、幸福感や満足感を得ることができるからです。
ドーパミンは人間の生存に関わる問題では常にご褒美を放出します。
人間の存在に関わる問題、それは食欲と性欲です。
とりあえずこれが満たされればドーパミンが放出されます。
しかし、食欲と性欲だけでは情けないですね!
惚け老人になってもこれだけは最後まで無くならないと言うのも頷けます。
しかし、我々シューターが食欲と性欲だけで満足していてはいけません。

ドーパミンはこれ以外の事でも放出されます。
それは試験勉強の末に大学に合格したとか、運動会で一等賞になったとか。
他人より優れた成果を上げたときにもドーパミンが放出されます。

でも、最高のドーパミンは射撃によって放出されるドーパミンでしょうね。
満射でもいいでしょうし、トーナメント射撃の優勝でもかまいません。

この際、みんなでドーパミン中毒になっちゃいましょう!
実を言うと、麻薬を使うと同じようにドーパミンが放出されるのが医学的に証明されています、でも麻薬の使用は最悪ですね、やはり困難な目標を到達したときに放出されるドーパミンを体感しましょう。早急にドーパミンの放出を体感したい時のキワメツケの裏技をお教えします。実は鉄砲を買い換えてもドーパミンが放出されるのです。それも出来るだけ高い銃を買った時ほど効果的です。

ファーイーストで銃を買えばさらに大量のドーパミンが放出されます。

ホントだってば! 

「狩猟界」Q&A批評

2003年 4月 3日 築地
更新 2003年 4月 9日 築地

読者の方から以下のようなメールが来ました。

ハンテングの世界の業界紙とも言うべき「狩猟界」に記載された記事に付いての質問です。
この雑誌は特殊な雑誌で、返本が常識の出版界で、一切の返本が出来ないと言う特殊な雑誌なので普通の本屋さんでは販売しておりませんが、銃砲店などでは販売されており、多くのハンターが読んでいる雑誌なので誤解が広がるのもどうかと思い、当社のHPでは私の私見を述べて誤解を解きたいと思います
念のために申し上げておきますが、「狩猟界」は普通の本屋で販売している雑誌ではないので私は記事の内容を一言一句確認した訳ではありません。
従って「狩猟界」のQ&Aの中に本当にこの記述があるかどうか、少なくとも今日(4月3日)現在では確認できません、もしこの記述が無い場合は、あるいは誤りが有った場合、それが解った時点で直ちに訂正します。
このコラムは、あくまでも質問者の質問に回答すると言う意味でのコラムです。

読者質問
過激トーク楽しみに拝見しています。「狩猟界」誌にトンデモない回答が出ていたので、改めて築地様に御回答を求めます。


「狩猟界」記述
(1)空気銃の銃身のほとんどは柔らかい材質でできているので、金属性のブラシを使うべきではない。真鍮ブラシを一回使っただけで、銃身をだめにした例がある。
*いったい回答者は空気銃の銃身は「何」でできていると言うのでしょうか?
真鍮ブラシを一回通しただけで、ライフリングが消えるなんて・・・・悪夢

築地回答
真鍮ブラシを通しただけでライフリングが駄目になると言うことは常識では考えられません。文中では真鍮ブラシと言う言い方をしていますが、本当は隣青銅ブラシです、色的には真鍮に近いので誰でも真鍮と間違いやすいですが、隣青銅の硬さは真鍮とは比較になりません、隣青銅の板材はバネとしても利用されるくらい硬い材料です、しかしながら銃身と言うのはクロームモリブデン鋼材で出来ているので、隣青銅のブラシでライフルが駄目になるなんて回答は常識の域を超えていますね。
私は今日からベンチレスト射撃の大会に参加するために渡米しますが、ベンチレスト射撃の場合究極の命中精度を競いますので、5発撃ったら隣青銅ブラシで10~20回往復させて、徹底的にカッパーファウリング、つまり銅の付着を取り除き、その後ボアーソルベントを浸したパッチを50回位通します、こうしないと命中精度が持続しないのです。
私はあまり掃除はしない方ですが、掃除しないと銃身が持たないよ、と良くアメリカ人から言われます、空気銃の銃身は別の材料で作られていると言われるかも知れませんが、参考までにここのサイトを覗いてみて下さい
http://www.lothar-walther.de
ここの会社は銃身だけを製造する会社ですが、ファインベルクバウの競技用の空気銃銃身から、カスタムライフルのダコタライフルの銃身まで製造しています。
名前がワルサーと言うように、有名なワルサー社の創立者、カール、ワルサーの息子さんが創業者です、言うまでもありませんが空気銃銃身も含めてワルサー社の銃身は全部この会社で製造しています。ここの会社では冷間鍛造(コールドハンマー)と言う方法で銃身を製造しています、冷間鍛造(コールドハンマー)とは穴あけした銃身にコアと呼ばれる超硬の芯金を入れて外側からハンマーでガンガン叩いてライフリングを付けるので、口で言うのは簡単ですが、クロームモリブデンの鋼材の40ミリ程度の直径の物をガンガン叩いて30ミリ程度に伸ばすのですから半端な音ではありません、イアープロテクター無しではとても作業現場には居れません。
この様に猛烈な圧力で銃身を作ると、芯金との接触面、つまりライフリングの表面は0.3ミリ位の深さまで、硬度が上がります、表面硬度で言えばRC50位はありますね、この表面に関しては銃の中で一番硬い部分となります。この硬くなる現象を加工硬化と言います。
安物の空気銃の場合、コストの関係で銃身を冷間鍛造で作れない場合もあります。
そうした場合は、ボタンと言って、下穴を空けた銃身に超硬で出来たなすび型をしたコアーをスチールロッドの先端に銀猟で付けて引っ張るか、あるいは油圧で押し出すかしてライフリングを付けます。クロームモオリブデン鋼材よりも安い鋼材と言うと、炭素綱があります、通常45C等を使いますが、加工性が悪くてかえって加工工賃が高くなりコストアップになりかねません。ステンレス鋼材なら日本でも多く出回っている416ステンレス等は銃身鋼材としても使われています。シーレン、ハート等のカスタムライフルは、隣、硫黄を意図的に加えて、高精度を出すために加工性を良くしていますが、それでもベンチレスト射撃で使う銃身ですから、弾を撃つよりもブラシを通す回数が多い銃身です。
昔、銃身の摩滅とブラシの因果関係を自衛隊で研究したことがあり、研究員の人にデーターを口頭で教えて貰った事があります。その結果ですが、解りやすく言うと、弾を1発撃つのと、ブラシを10回通すのと同じ摩耗だそうです。
しかもその実験は軍用銃での使用を想定していますから、鉄のロッドに隣青銅のブラシを付けての実験です。鉄の部分にプラスチックをコーテングしてあるロットで実験すればさら数字は変化し、弾1発撃つのと、ブラシ10数回と同じ言うことになったでしょうね。


(2)中折れ式ガスラム銃25口径に取り付けた、リューポルド(2x7)は壊れた(レチクル切)が、国産品では壊れない。
*国産のスコープがリューポルドのスコープより優れているとは、考えにくいのですがね・・・・
ついでに、相変わらずフエルトを撃って銃腔内の掃除をすることを奨めています。

築地回答
ライフルスコープのリチクル切れは、どのライフルスコープに於いても起こり得る事です。ライフルスコープも色々な物がありますが、実を言うとリューポルドのリチクルは数多いライフルスコープの中で一番リチクルの切れにくいスコープです。
逆に言うと切れやすいスコープもありますが、あえて公表は差し控えます。
そのリューポルドでさえ、絶対に切れないとは言い切れませんが、国産だけが切れないと言うのはかなり論点がおかしくなりますね、例えば**の物は切れないと言うのならまだ論点が決まりますが、国産と言ってもピンキリですからね。デユープレックスリチクルは非常に繊細な加工物で、あのリチクルはエッチングの腐食作用で切り抜いた物です。いわゆるクロスヘアーと呼ばれる、単なるクロスの場合タングステンのワーヤーを張った物です。
数あるスコープの中で一番細いワーヤーを使っているのはリューポルドでしょう。
私がベンチレスト射撃競技で使っているのは、リューポルド36倍の1/8ミルドットと言うスコープです。極細のワイヤーを十時に張り、その中心に鉛のドットを付けるのですが、これが私の知る限り一番細いリチクルです、で、私自身ベンチレスト射撃ではこればかりを使っているのですがこんなに細いワイヤーを使ってもリチクルが切れたことは一度もありません、勿論他のお客様のリチクル切れを修理したこともありません。
絶対にリチクルが切れない物としては、リチクルの代りにガラス板にリチクルを印刷して使う物があります、これだとリチクルは絶対に切れません、ライフルスコープの中では、照尺の書かれている物、あるいは十時以外の変形リチクルなどがありますが、これは全部ガラスに写真現像の方法でリチクルを写した物ですから絶対にリチクルは切れませんが、あえて言うならば、国産とか言うのではなく、写真印刷のリチクルと言うべきでしょうね、言うまでもありませんがこの技術は国産独自の物ではありません。何処のメーカーでも対応出来る物です。
皆さんがライフル銃の照準合わせに使われる、ボアーサイター、あれの升目、あれが写真印刷技術です。ではどんなスコープもそれにすれば良いと思われるかも知れませんが、欠点もあります、例えばスコープの内部に塗られている艶消し塗装ですが、艶消し効果が良くなればなるほど、微細な粉末がはがれやすくなります、この粉末がリチクルを印刷したガラスの表面に付着する事があります、実用上は問題ない物の、これがあると本当にイライラさせられます。
また光学的な見地から言うとスコープの中に1枚のレンズが追加されるので、理論的にはその分暗くなります。


空気銃の銃腔内のクリーニングですが、実を言うと空気銃にはクリーニングはあまり必要ないのです、空気銃の弾は鉛で出来ていますが、この鉛弾を撃つたびに銃腔内には薄い鉛の皮膜が付くのです、鉛の場合には金属への付着性が非常に良いので、普通なら鉛がどんどん重なって行きます、スラッグ射撃をやっている人ならお解りですよね。
この場合は銃腔内をクリーニングしないと命中精度はバラバラになります。
しかし、空気銃の場合はそうなりません、それは何故かと言いますと、空気銃の弾の表面には、グラファイトが薄くまぶしてあるからです、鉛の表面は本来銀色に輝いているのが本当です、空気銃の弾をカッターナイフで切って見るとよくわかります、切断面は銀色の筈です。ところが、空気銃の弾の表面は薄くネズミ色になっているでしょう、それがグラファイトです、グラファイトを使わずにワックスを使っているメーカーもあります。
この様に、空気銃の銃腔内には薄い鉛メッキをしたような状態ですから、かえってこのままの方が銃腔内は錆び無いのです。そう言う意味から言うと銃腔内の清掃という意味でのクリーニングは空気銃には必要ないのです。
むしろ、鉛が表面に付着してる場合の方が銃腔内は錆びないのです。
ですから鉛を完全に除去するとかえって錆びやすくなります、もし鉛を除去した後普通のスプレーオイルを噴霧しておくと、揮発して油分が無くなると防錆効果はなくなります。
そうしたことを防止するためには、WD?40と言うオイルをお使い下さい。これは同じ油でも、油分が揮発した後でも薄い被膜が構成され、錆の発生を防ぎます。
ですからVGF等のフエルトパッチは鉛を除去するという目的では全く効果はありません、鉛の除去には隣青銅ブラシを使う以外に方法はないのです。
しかし、今まで説明したように空気銃の場合は鉛を除去するのは必ずしも良いこととは言えません。銃口からWD?40を吹いておくだけで充分メンテナンスとしては効果がありますが、その場合余分な油を除去するという意味では、VGFを入れて1発撃てば事足ります。


更新 2003年 4月 9日

雑紙「狩猟界」の批評に対して何通かメールを頂きました。
現在に至るも私自身が「狩猟界」を読んでいないんですが、何でも「狩猟界」の内容は銃はシェリダンで、銃身は真鍮が内径に使ってあるとの事です。
確かに、40年くらい前の日本の空気銃にもこうした物がありました、シェルダンもそうです。アメリカではこうした銃は銃器としてではなく、子供達が空き缶を撃って遊ぶ"プリンキングガン"と言うカテゴリーに分類されていますので、銃器としての分類は銃刀法の見地からはともかく、本来は銃器として考えるべき物ではありません。
シェリダンの銃身は真鍮に見えますが、案外砲金では無いかと思います、砲金と言うくらいですから幕末から明治時代にかけては砲の材料として使われていました。
同じ材料の物は現在でも機械の軸受けに"メタル"と言う名称で使われています。
軸受けに使うくらいですから硬い材料と思われるかも知れませんが、軸を削らないように実は柔らかい金属なのです。柔らかい金属でも充分な油を潤滑する事により砲金の摩滅はほとんどありません、仮に潤滑油が充分でないため金属が削れる場合は、大切な機械の軸は削れず、砲金の「メタル」の部分だけが削れるように出来ているのです。
現在の最先端技術F-1のピストンのコンロッドとカムシャフトのつなぎ目にもメタルは使われています、さすがにF-1には砲金は使わないと思いますが、似たような材料だと推察されます。砲金は硬度も隣青銅より柔らかいので 理屈の上からは隣青銅のブラシで、砲金のライフリングは摩耗します。しかしながら、ブラシはライフリングと同じ方向に移動するわけですからこれだけでライフルが無くなると言うのは相当無理があります。
隣青銅のブラシをモーターで回転させてライフルの部分に当てるのならライフルの方向と相対するのでライフルの摩耗は認められるかも知れませんが、現実にはあり得ないことですから、仮に砲金の銃身に隣青銅ブラシを使用しても簡単にライフルが摩滅する事はありません。 

不況の時こそ、ビジネスチャンス

2003年 2月 4日 築地
更新 2003年 2月 6日 築地
更新 2003年 3月 6日 築地

何処の会社もそうかも知れませんが、昨年は非道い年でした。

当社の売り上げも一昨年と比較して30%ものダウンです。当社の売り上げは毎年順調に伸びていましたので、つい安心してしまいました。
一昨年は7月の夏のセール時だけで、1ヶ月で5000万円以上の売り上げを上げました。
5000万円と言うと、小さな銃砲店なら1年分売り上げです、いや中堅どころでも1年分の売り上げに相当するかも知れません。
5000万円の売り上げと言うと、たった2名(当時)でやっている当社にとっては、私は朝から晩まで譲渡承諾書を書きまくり、請求書を作りまくる毎日です。来年はもっと忙しいだろうと考え1名社員を追加したら今度は逆に30%もの売り上げダウンです。
公認会計士とか、税理士の先生方に相談しますと、売り上げが落ちたら在庫を減らして、適正在庫でビジネスをするようにアドバイスを受けますが、それはあくまでもその人達の常識であって、ビジネスを大きくするには私は逆だと考えています。
今みたいに不況の時は、お客様から問い合わせの電話を頂いても、お客様自身は、在庫がないと言われたら、買わないでおこうと、なんて考えて電話される場合も少なくないと思います。
ですから、電話で在庫の引き合いが来ても、すみません、在庫はありませんがすぐに入荷しますから、なんて答えようものなら、 "良かった、これで買わないぞ" と改めて決心されてしまいます。

ところが、当社の場合カタログに掲載しているものはほとんど在庫がありますから、電話で在庫の照会を頂いても、"ハイッ、在庫あります! 書類を作りますか?"とお聞きしますと、一瞬お客様側に、"タメ"がありますね。
"あっ、掴まっちゃった!"と言う感覚でしょうか。

在庫が無ければ堂々と断れたのに、在庫が在った為に買う羽目になったと言うことです。
この様に、不況の時こそ、お客様が迷っている時にこそ、在庫の有無が売り上げを決定付けます。特に不況の時は同業者がどんどん在庫を減らしますから、逆に在庫の在る方はビジネスチャンスが広がります、誰だってわざわざ在庫の無いところに注文はしませんよ、ましてや、値段が高かったら尚更です。

私は売り上げの分析と将来予測をコンピューターで判断していますが、今年の売り上げは昨年度より30%アップすると見ています、私の予測はほとんど間違い在りません。
但し、当社に充分な在庫があり、同業者には充分な在庫がないと見た場合です。
当社の中古銃オークションを見ていますと、お客様の動向がよく見えます、過日開示したミロクのSP-6は私の予想を裏切り、開示価格の20万円から全く上昇しませんでした。150万円位した銃ですよ。結局20万円の値段を付けたお客様が居られましたので、何とか落札は出来ましたが、散々な評価だと思います。それと比べますと、中古のベレッタ682が22万円と言う値段で落札されています。当社の定価で30万円しないのですよ。しかも現在流通しているモデルではなく、その一つ前のモデルなのにですよ。
SKB如きは、2月3日の今日現在値段すら付いていないと言うテイタラクです。
オリンピックで使われない銃と言うのは、エンドユーザーではこういう評価なのです。

この辺の事実は、メーカー、販売店、よくよく認識して頂きたいことです。
ミロクもSKBも確かに良くできているとは思います、でもエンドユーザーからは魅力的な銃とは思われていないと言うことです。
全く使用頻度が同じな銃で、ミロクの銃と、SKBとペラッチ、それぞれ同じ価格帯の銃をオークションにかけたら面白いと思います。私はダントツでペラッチが高い値段を付けると断言します。
逆の言い方をしますと、銃砲店の推奨で買ったミロクは、SKBは、中古で出すと二束三文と言う評価になると言うことです。
嘘だと思われるなら、それらの銃を購入した銃砲店に買い取って貰えばわかります。
恐らく、"ギャッ"と言われるような値段しか提示して貰えないはずです。

最近のお客様は、昔ほど情報に無知ではありません。よく、銃砲店で最近は新しいお客が居なくて、なんて泣き言を聞く事がありますが、当社のお客様は比較的初めての方が多く見えます。しかも今までカタログも配布したことのなり一見さんのお客様です。
で、どういう伝手で当社をお知りになったかと言うと、ほとんどの方がインターネットです。インターネットで検索すれば、当社のHPは更新が多いし、アクセス件数も多いので簡単に検索出来ますし、価格を比較すれば当社の値段は格安です、それで新規のお客様が多いのです。

ですから業界全体で見て決して新規のお客様が減少している訳ではありません。
しかしながら従来通りの"待ちの"ビジネスでは、新規のお客様が来るわけ在りません。
インターネットを個々の銃砲店で対応するのは大変かも知れません、そのためには、メーカー、あるいは銃砲商組合が率先してインターネットHPを開設して、それぞれの銃砲店の情報や、その他の情報を開示しなければならないのですが、はっきり言って現状ではチョット頼りにならないですね。これでは当社にガンガン食われっぱなしです。関係者の方々は是非とも業界の為に頑張ってください。信じられない事ですが最大手のミロクのHPすら無いでしょう。もう一つ、HPは広告媒体では無いと言うことです、勿論広告媒体としての側面も在りますが、基本的には情報開示メディアと言う風に私は認識しています。

ホームページで、こんなの売っていま~す、なんてレベルの書き込みがあっても、それが激安ならともかく、当たり前の値段で売っているものは見向きもされません、インターネット創世記の頃は、ホームページさえ開設すればどんどん注文が舞い込むなんて迷信がありましたが、インターネットは如何に情報を開示していくか、それがポイントです。
勿論、銃を買って貰うには一番安い値段を提示するしかありません。
値段の提示と言うことに関しては、2番手は必要ありません。注文は1番手にしか行かないのです。ですから一番安い値段を提示しない限り、この世界では生き残れないのです。
当社は町中の一等地に居を構えているわけではありません、社員も私を入れて僅か3名、装弾の取り扱いもありません、そうしたマイナス要因を抱えても年間1200丁のの銃を販売して、売上高も多分日本一でしょう。

この不況の時にこそ当社はさらに銃の在庫を抱えて、一気呵成に駆け上がります。


更新 2003年 2月 6日

読者の感想

先日レミントンをオークションで落札したものです。これがはじめての、銃砲所持になるわけですが、そもそも「良し、一つ挑戦してみようか!」と思ったきっかけは、たまたまこのホームページを去年の8月に見つけたことでした。それから、いろいろほかの銃砲店のホームページも調べました。しかし、コラムに書かれていることもありますが、だいたいあまり更新もしていません。

 なにより、販売している人の人となりが見えにくいですね。私みたいに周りに相談する人もいない状況の人は、果たしてそういうところが頼りになるのかどうか心配です。そして、具体的な警察との対応などに関してこのホームページが一番しっかりと書かれていることが大変参考になりました。わたくしの住んでいるところは関東のようになかなかすんなりとは行きませんでした。いろいろと「おかしいのでは?」と思われることを警察に要求されながら、このホームページで教えていただいたことを参考にしてきました。

 そして、どうしてもうまくいかないときは、最後は「築地さんに相談しよう。」と、いわば「心の支え」でもありました。
そして、中古の銃では、ただ安いだけならほかにもほかのホームページでもありました。しかし、どうしても筑地さんから買おうと思っていました。そうでないと、何となく義理を欠くような気がしました。
また、何かあったときも一番頼りになるだろうと思ったからです。(これは、ひとえに築地さんの努力のたまものか、あるいは、思うつぼなのか...)今ようやく銃砲所持にこぎ着けそうですが、これはひとえにこのホームページがあってこそ可能だったと思っています。


更新 2003年 3月 6日

以下の感想文が読者の方から寄せられました。

この感想文の通り、企業努力、あるいは対応策をとっていない銃砲店は私を毒蛇の様に毛嫌いしているでしょうね。
しかしながら毛嫌いしているところは逆に安心です、毛嫌いしている分、全く対応策が無いことがはっきりしていますからね。

ですから真実を知っているお客様は口には出さないまでもその銃砲店を内心馬鹿にしているはずです。
真実を知らないお客様も、真実を知った瞬間、その銃砲店を軽蔑するでしょうね。
不幸にして高い商品を掴まされたお客様は詐欺に遭ったような気分になるかも知れません。
感想文に書かれた銃砲店の泣き言は虚飾と虚偽である事はユーザーの方が一番ご存じですが、内容が面白いので感想文はあえて訂正せずにそのまま開示します。

この銃砲店のように私の事をボロクソに言っている間は全く問題有りません、脅威にもなりません。なぜならば全く対応策をとっていないからです。私が警戒するのは、これと逆のパターンです、私と同じ路線を歩もうと考える人は将来的には私のライバルになる可能性が大です。

しかしながら、残念ながらと言うべきか、ありがたい事にと言うべきか、現在のところ具体的な脅威は全くありません。
当社では毎日相当数の新規のお客様から注文があります、インターネットのおかげで一見さんのお客様が半分以上です。
政府の輸入統計から計算すると、日本に輸入される銃の30%は当社が扱っていることになります。
実を言うと、当社は年間1200丁を販売しています。これこそ多くのユーザーから支持されている何よりの証拠です。

同業者のひんしゅくを買う事を恐れずに告白しますと、当社の先月の同月比売り上げは過去最高でした。
この様に、不況の時ほどビックなビジネスチャンスなのです。

以下、読者の感想文です。

先日某県内の銃砲店でこんな話を耳にしました。

1.FEGSで販売した銃は、銃番号を登録してあるので、メーカーでも修理しない。
2.FEGSは、国内ディーラーを経由していなから安いが、どの銃砲店に行っても修理は拒否される。
3.FEGSは、販売だけで修理は受け付けない。売り切りだから安い。
4.銃砲店で販売しているスポーツガン紙の銃砲店一覧表にFEGSが記載されているが、黒マジックで塗りつぶして販売している。(実際に塗りつぶされているのを見ました)
5.銃砲店が警察に提出した廃銃を集めて、米国海兵隊相手に販売している。

こんな話がまかり通っているに腹立たしく思いました。
ずいぶん話が曲がってますよね!
自分たち(銃砲店)では、なにも企業努力せず、商社の言いなりになって
FEGSだけ目のカタキにしています。
こんな銃砲店とは付き合いたくなくなりました。

HP閲覧御礼

2003年 2月 2日 築地

何時もHPを閲覧していただき、ありがとうございます。

当社のHPは更新も多く、結構内容も充実させて居ると自負しております。
何と言ってもアクセス件数で、多くの方に支持されている事が解ります。
実を言いますと、ビジネスを目的としたHPの維持には相応の金額がかかります。家庭向けの**チャンの運動会なんて、家族以外の人間にとっては何の興味も抱かないような画像をUPするだけなら、HPビルダーで簡単に作れるかも知れませんが、そういうHPソフトの使い方を勉強をする暇が有ったら、出来るだけ自ら原稿を書いて、出来るだけ情報開示した方が意味があると考え、私は思いきってHPの運営は専門家に任せました。勿論当然相応の維持費がかかります。

同業者の間でHPの話になり、HPの運営には相応の維持費がかかると言うと、同業者のほぼ全員は"ゲッ"と言ってほとんど話に乗りだしてきません。
しかしながら現在の情報化時代に自らの情報を開示しないでビジネスと展開するのは非常に大変です、情報を出来るだけ出すことが現在のビジネスニーズに合致していると私は信じております、それも早くやった者の勝ちです、二番手は居ないのです。

当社のHPの原稿を見て、GUN誌の某ライター氏から、"原稿は誰が書いているの"と聞かれた事があります、"俺ですけど"と答えたら、大変ですね、と言う様な返事だったと思います。氏から見ますと、内容はともかく、とうてい仕事の合間に書ける原稿量ではないと思われたのかも知れません、確かに、定期的な月刊誌に毎月書いている人から見れば、その10倍位書いていることになるのかも知れません。その上にちゃんと仕事をこなしているのですから、ゴーストラターが居ても不思議でないと思われているのかも知れません。
しかしながら、実は、私は原稿を書いているキャリアは以外と古いのです。
最初に原稿を書き出したのは1968年からで、すでに廃刊になった"現代狩猟"とか、"シューターズ、ライフ"そして現在も発行している"狩猟界"などに相当量の原稿を書きました、当時はワープロもありませんので、下書き、構想、清書と、3回もの原稿を書いていましたので、かなり大変な思いをしました。
現在はパソコンのおかげで相当なスピードで原稿が書けるのです。当時の苦労からすると現在は夢のようです。昔は誤字を書くわけにいきませんので、解らない漢字はその都度、辞書を引いて書いていましたが、今はパソコンで書くので漢字を忘れますね。
当時、(今でもそうですが)あれだけ一生懸命書いてもこれら弱小出版社の雑誌の原稿料如きは、400字詰め原稿用紙1枚書いて僅かたったの¥800です。
ですからボランテア精神がないと書ける物ではありません。ですから現在では狩猟界の記事などは、記事のレベルが低く、猟友会の自慢話に終始している感じがあります、残念ながら雑誌と言うよりは同人誌のレベルですね。

狩猟界より無料の私のHPの方が記事は充実していると思います。無料の情報ですら相応のレベルなのですから、代金を取って販売する雑誌の場合、これからどんどん環境は厳しくなってくると思います。少なくとも私の記事のレベルより相当高くないと理屈に合いません。
幸か不幸か、今まで原稿を格安原稿料で掲載して頂いた出版社のおかげで、原稿は只同然で書くという体質が染みこんでいますので、こうしたHPの書き込みも全く苦にならないのです。(読む方は苦になるよ)と言う読者の声も耳元で聞こえますが、少々のクレームは無視して突っ走る私のコラムですから、苦になるところは軽く読み飛ばしてください。
元々、私のコラムは週刊誌のノリで書いています、新しい情報や、問題提起も、週刊誌のレベルです。教科書を書いている訳ではありません。
事実誤認があればその都度訂正しますが、射撃理論での訂正はしません。
射撃理論は100人の人間が居れば100人の理論があります、従って私の射撃理論に意義があれば、ご自分のHPで問題提起されれば良いと思います。
私の原稿料は¥800だったと話しましたが、GUN誌や、コンバット誌はそれで生計を立てている専門のライター氏が居られるのです、これらの会社の原稿料は別格ですよ!
ライター氏が相応の生活が出来る原稿料で有ることは間違いないでしょう。(念のため)

そういう風に、私には原稿は只同然で書く物と言う体質が染みついていますので、HPにもこうしてガンガン原稿を書けるのです、今になって思いますと、只同然で原稿を書いていたためこれが出来るのだと考えると何が幸いするかわかりませんね。
GUN誌や、コンバット誌のライターだったら、多分、無料で開示するHPには原稿は書かなかったと思います、いや、書けなかったと思います。
書いたら本を有料で買ってくれた読者に申し訳が立たなくなるでは無いですか。

当社のHP運営には相応のコストがかかると言いましたが、当社のHPにはオークション市場が在ることはご存じだと思いますが、現在はあれで上がる利益でHPは充分運営できています。皆さんはあの中古銃市場の相場をどうお考えですか?
安いと思いますか? 高いと思いますか?
日本の世間相場から言うと当社の中古銃相場は当然安いのですが、案外外国はっと安いとお考えではないでしょうか。実を言うと当社の値段はアメリカ相場から見ても、適正価格か、さも無ければもっと安い位です。

参考までにアメリカの中古銃サイトを開示しますからご自分でアクセスして覗いてみてください。結構面白いと思います。何と言っても当社とは数が違いますから。

www.gunsamerica.com   www.auctionarms.com   www.gunbroker.com

中にはマニアの方達にはよだれが出るような銃もあるかと思いますが、当社では取り扱いをしておりませんのでご了承ください。 

ハイリブでの射撃

2002年11月 7日 築地

ミロク5000Tハイリブをつかい2000発ほど撃ってますが腕が悪いのかぜんぜんあたりません、15mで撃ちますが、あたらないので、横へ飛ぶのわクレーのやや下を撃ったり、まっすぐは下や上を色々と考えながらやりますがいつも、はずかしい成績に終わります。そこで質問ですがハイリブですなおに(雪だるまでなく、すっと頬付けして中間照星と照星にすきまができる感じ)つけて撃つと弾は、狙うとこよりもかなり上にいくものなんですか?
てっぽうは悪くないとは思いますが、平リブなら、クセがなくもうちょっとあたりますかねエ、ファーイーストでDT10ブラックでもむりして買おうかな? 何か、アドバイスをいただけんでしょうか。


ハイリブだからと言って狙いが違ったりする事はありません、多分狙いは正しいと思います。
しかしながら、ちゃんとちゃんと狙っているのに当たらないと言うことは、スイングが遅いのではないでしょうか?

スイングが遅いと幾ら正確にクレーのラインを追っても、また狙いが正しくてもほとんど後ろを撃つことになります。

私の撃ち方を説明しましょう。

1 銃を構える、照星とリヴをみて頬付けを確認する。

2 頬付けはそのまま、目の視点を上にずらす、つまり遠くを見る。

何故遠くを見るかと言いますと、飛び出すクレーを容易に、そして確実にとらえるためです。視点の下で照星がそこにあると言うことは意識下で確認します。

3 コールをかける

4 クレーが数メートル飛翔するまで銃は動かさない、クレーの飛翔方向を確認する。

5 飛翔するクレーの倍のスピードでクレーを負い、追い越しざまに撃つ!

私はこの射撃方法をシドニーオリンピック観戦時に把握出来ました。
私はいわゆる "教えたがり屋" さんでは無いので聞かれない限り言いませんがこれが現在の射撃理論としては一番理にかなっていると思います。

クレーを追うスピードは1.2~1.4倍という人も居ますが、昔の遅いクレーならそれで良いでしょう。
また、散弾の粒が1発でも当たれば割れる、国産クレーを使っていればそれも良いでしょう。
しかし、海外の大会で使用している"堅いクレー"はそれでは割れません。

私はクレーが割れたかどうよりも 粉々に割れたかどうかでエクスタシーを感じる人間なのです。
ですからクレーと遠くに飛ばして、後矢で、力無くクレーが割れるのには感心しません。

勿論当たりは当たりです、私は出生がライフル屋なので、黒丸に入ればOKというのでは無く、ど真ん中に当たるのを命中と思う性癖があるのでご勘弁下さい。

勿論、銃によって当たるとか当たらないとかそういうことは皆無です! 

飛翔する弾を見る

2002年 9月 4日 築地

高速度写真で激発の瞬間を撮影すれば、誰でも銃口から飛び出たばかりの弾の映像を見ることが出来る。
しかしながら、それは停止した画像であり、私の言っているのはそうではなくて、実際に飛翔する弾頭、例えば22口径で撃った弾を見る、大口径で発射した弾を見る、あるいは散弾銃で発射した散弾を見ると言うことである。

空気銃の弾も視認できないのが現実なのにそんなことが出来るかと言うと、何故かこれが出来るのである。空気銃の弾が何故視認できないかと言うと、空気銃の場合、ほとんどの射撃場が室内で、しかも蛍光灯の明かりの中で射撃をしているからである。屋外で、早朝に逆光の中で撃つと空気銃の場合、案外簡単に視認できる、それも10mでなく、30m位で撃つとより明確に飛翔する弾が見えることがある。
しかし、空気銃弾の飛翔を見たところで別段どうと言うことはない。
意味があるのは空気銃以外の弾道を視認することなのである。

まず22口径ロングライフルであるが、これはアンシュツでも、ファインベルクバウでも、ワルサーでも、如何なる銃でも簡単に視認できる。
視認する方法は通常のアイアンサイトの代わりに、36倍程度の高倍率のライフルスコープで射撃することである、そうすれば誰でも簡単に自分の撃った弾道を見ることが出来る。22口径の弾道を子細に観察すると、単純に銃口を離脱した弾が、単純に上昇した後に、引力の力で下降して標的に吸い込まれるという単純な上下運動の挙動ではなく、僅かに捻り込みをしながら飛んで行くのが視認できるはずである、極端な言い方をすると、野球ボールのカーブみたいな動きをしているのである、これが何を言うかというと、射撃する距離が変化すると、単純に上下だけの照準調整ではなく、僅かだが左右の調整も必要と言うことなのである。
センターファイヤーライフルで言うと、100mで照準調整した銃で300mを撃つと、単純に上下だけの調整ではなく、左右の調整も必要だと言うことなのである。
ライフル弾頭は距離に対して単純に上下しているのではなく、すこし捻り込み運動をしながら飛翔していると言う事になる、これはライフルの弾頭が猛烈なスピードで回転している為に起こる運動なのである、この運動が右回転のライフルと、左回転のライフルでは逆の運動をするのは言うまでもない。

センターファイヤーライフルの弾道を見る。
一昨日、アメリカで行われた1000ヤード射撃に参加してきた、ベンチレスト射撃協会の小澤理事と飲んだのだが、「初体験でいきなりの1000ヤードだと、照準調整が大変だったでしょう」という私の質問に対して、「スコアラーがいるから簡単でした」と言う答えであった。
スコアラーを観的手と訳すと誤解を生むことになる、スコアラーは観的壕にいるわけではなくて、射手の後ろでスコープを見ている人なのである。
観的手に弾痕をみて貰う限りに於いては、少なくとも標的内に命中しない限り弾痕の位置は観的手には解らない。
スコアラーは射手の後ろで見ているので、撃った弾が標的よりどのくらい、どの方向に離脱しているか簡単に視認できるのである。
小澤さんの話では、外国の選手は慣れているので、射手の後ろで見ているスコアラーも実は次の射群の射手なのであるが、初弾を見ただけで、何クリック上とか、下とか、指示して一発で照準調整が出来るそうなのである。
では、射手自身がライフルスコープを付けて撃った場合弾道が視認できるかと言うと、これは弾道の視認は絶対無理なのである、それは如何なる倍率のスコープ持ってしても、撃った時の衝撃とそれから発生する衝撃波、そして銃口から吹き出す火薬ガスのため、絶対に自分の撃った弾道を見ることは出来ない。
しかし、射手から数メートル離れて銃の衝撃波が影響しない、そして火薬ガスの影響の無い所で、40倍程度のスコープで見ていると、射手の撃った弾が飛翔するのがはっきり視認できるのである、物理的に言うと、100~300m以上で7.62ミリの物体を視認するのは通常のスコープの分解能力を超えているので理論的に見えるわけはないのであるが、ライフルの弾頭はマッハ3近い速度で飛翔しているので、大気の中で膨大な衝撃波を出しながら飛翔して行くので、それが弾道として見えるのである、その現象はミサイルが飛んで行くのを後ろから見ているのと全く同じ映像である。弾頭が起こす衝撃波は弾頭の直径の10~20倍くらいはあるのだろうか、相当大きな大気の揺らぎを起こすので、弾頭は容易に視認できるのである。
但し、この現象は近距離の射撃、または室内の射撃では視認できない。
300m程度の距離が確保できる屋外なら簡単に新視認できるのでお試しあれ!

話は違うが、アメリカの海兵隊の狙撃チームは必ず2名で行動する、一人は狙撃を担当し、もう一人はスコアラーを担当する、(厳密にはそれぞれの別の分担もあるが)狙撃する当人には弾道は見えないが、スコアラーにはスポッテングスコープを使って、射手から少し離れて見ているので、目標に対して弾道がどのくらいずれたか明確に指示することが出来るのである。
一昨年、私は北海道での長距離射撃に挑戦したが、その時は撃つのは私一人と思っていたので観的スコープを持参しなかったが、これは大失敗であった。
観的スコープがあれば、前もって決められた所までの弾道調整が出来たのである。
しかしながら狩猟法では猟場での弾着調整は禁止しているので、少なくともその時点で狩猟法違反を犯すことは無かったのではあるが!
数百メートルと言う距離で、鹿を狙う場合、照準調整が出来ていないと、何発撃っても鹿はキョトンとしているはずである、しかし、射手の方は、自分の撃った弾頭が何処に行っているのか全然解らないと照準調整の方法は全くない!
こんな時には、別の人に少し離れた場所から40倍のスポッテングスコープで見ていて貰えば、弾道がどのくらい上か、あるいは下かを簡単に指摘して貰う事が出来る。
是非とも一度お試し頂きたいテクニックである。

さて、次は散弾銃の弾道を見る話をしよう。
ガンマニアの私にとって、雨の中の射撃は出来るだけ避けたいところである、銃が雨に濡れると言うことは自分自身が雨に濡れるより何倍も辛い体験である。
特に上下2連銃の場合、リブの中に雨が浸透すると思いがけない所に錆が出たりする。
雨の中での射撃で雨の浸透を防ぐには、ひたすら撃ちまくる事である、3ラウンドくらい連続して撃つと、銃身が手で触れないくらい加熱するので、撃ったあと直ぐに雨のかからないところに移せば、銃自体の熱で銃にかかった雨は全て蒸発してしまう。
雨の中で私が何かに憑かれた様に射撃するのはそのためである。決して雨女か何かが憑依している訳では無いので誤解の無いようにお願いしたい。
さて、雨の中の射撃は決して悪いことだけではない、通常の雨では見えないが、豪雨の中でクレーを撃つと、明瞭に散弾の弾道が視認できる、これは飛翔している散弾が雨と衝突して起こす現象である、こうした現象を視認すると、多くの人が「散弾銃のパターンは以外と小さいな」と、と思われるはずである。
ところが、パターンの外側の散弾は密度が薄いのであまり雨と衝突しないと見えて、実施あのパターンの半分程度にしか見えないはずである。
雨の中でも射撃で一番有用なのは、パターンを視認することではなく、銃がちゃんと振れているかどうか、つまりスイングが正しいかどうかを確認できると言うことである。
ある時、豪雨の中で初心者の人と射撃をすることがあったが、このビギナー氏の場合、クレーを追うスピードが遅いので、毎回明らかに後ろを撃っているのが視認できる。
初矢、二の矢、と撃つのであるが、2発とも毎回クレーの後を撃っている。
この様にはっきり銃のスイングが確認できるのが、豪雨の中の射撃である。

ちなみにライフル銃の場合、相当な豪雨でも弾道上の数カ所で弾道と衝突した雨が飛沫をあげるが、弾道を視認すると言うまでには言えない。
参考までに言うが、豪雨の中での射撃でも、雨は弾道に影響を及ぼさないと見えて、ほとんど弾着の調整は必要ない。(全くと断言しても間違いではないでしょう)

豪雨の中のクレー射撃では弾道の視認は出来ても、パターンは実際よりも小さく見えるので豪雨の中ではパターンを視認する事は出来ない。
長年ライフル射撃をやってきたおかげで、条件によってはスポッテングスコープを使わなくても、自分の撃った弾道を見ることがある。さすがにセンターファヤーの弾道を見たことは無いが、22口径ロングライフルの場合、初速が遅いので自ら視認することが出来る。
但し、これには条件があって、早朝に逆光で屋外の射撃場撃つと、何らかの加減で太陽光線が弾頭に反射して見えることが出来る、これも滅多に無いことなのでこういう条件なら必ず見えると、その再現性を指摘することは出来ない、しかしながら22口径の場合、自分の弾道を見たと言う人は以外と多いはずである、決して虚言癖で言っている訳ではない。

さて、ライフルでこうした体験をしたことがあるので、何とかクレー射撃でも見ることが出来ないか色々試してみた、その結果、どのようにしても自分の撃った弾は未だに視認できていないが、人の撃った弾は視認出来るようになった。
これも、早朝逆光の中でしか視認できないが、太陽光線の加減によっては見ることが出来るようになった、ライフル弾頭とちがって、散弾銃の場合の弾道は、薄い雲が猛烈なスピードで飛翔するように見える、何回か見ている内にパターンは勿論、コロンの形状まで見えるようになった、銃口から離脱した瞬間の映像はいくらでも存在する、その映像は、まだパターンと呼べるほど散弾が広がっていないので、先頭から順序よく連なっているだけでしかない、しかしながらクレーに命中する時点では散弾は充分拡散しており、私の視認した限りだと、上の丸い形状の蓋が、横になって飛んで行く様な形状である、球を半分に切ったような、そんな丸さでは無く、丸味を帯びた蓋と言う表現が一番的確であろう。
これを見ると、パターンの端でクレーと捕らえると、割れる力が少ないと言うか、堅いクレーだと割れないな、と言うことが具体的に実感できる。 

ガンショーへ行こう!

2001年12月26日 築地
更新 2002年 1月 3日 築地
更新 2002年 1月 6日 築地
更新 2002年 1月 8日 築地
訂正 2002年 1月 9日 築地

今日、ユナイテッド航空からダイレクトメールが来ていたので開封して驚いた!
毎年ガンショーに行っている私だが、今年は航空運賃が激安である。
例年ならば10万円程度の航空運賃なのにロスアンジェルスでも、シカゴでも、ニューヨークでも、6万円程度の格安運賃を提示している。これだけでも充分驚きだが、なんと、この航空運賃、一人買えば一人が只だと言うではないか。つまり実質一人の航空運賃は6万円の半額、つまり3万円と言うことになる。誰がどう考えてもこれでは航空会社に取っては間違いなく赤字であろう、しかしながら赤字を承知で集客しなければならいなほど航空業界は深刻な問題に取り憑かれていると言うことになる。

念のために言うが、これは往復運賃の話である!

こんなに安いのなら皆さん方にも是非とも一度ガンショーを見学して貰いたいと思う。
2002年度のガンショーはラスベガスで開催される、ラスベガスはホテルも安い、一般的なホテルなら1万円も出せば泊まれるし、もっと安いホテルも幾らでもある。
日本の旅館では一人幾らという料金体系であるが、アメリカの場合は部屋貸しであるので、一泊幾らという料金体系は一人で泊まっても3人で泊まっても基本的には同じ料金である。
それにラスベガスの多くのホテルはカジノとの併設であので、バクチのカスリを稼ぐために意図的にホテル代を安く設定してある、その上、他のホテルに宿泊している客まで集客しようと、食べ放題の豪華料理が1000~2000円程度で食べられる。
ラスベガスではバクチさえしなければホテル代も食事代もうんと安く上がる都市である。

ガンショーには世界中から主だった銃器メーカーが出展している、展示会なので会場での銃器の販売は無いが、色々な新製品の銃が一同に閲覧できる最大の展示会である。
展示会の会場はラスベガス、コンベンションセンターと言う所で開催される、有名なホテルからは送迎バスが出ているが、タクシーで行ってもせいぜい$10~$15程度で行けるはずである。別に英語が出来る必要はない、会場で色々な展示品を見るだけなら何ら英語力は必要ではないからである。
会場をキッチリ回ると到底1日では回りきれない、最低2日あるいは3日かかるほどの大きなスペースである、見ておいて損はない!
最近ではインターネットの普及で、簡単にラスベガスのホテル料金や空き部屋状況などが調べられる、英語で予約を入れるのに抵抗がある向きは、日本の旅行会社にアクセスして予約を入れると言う方法もある、勿論航空チケットの予約をすることも可能であるが、ラスベガスまでユナイテッド航空の場合二人で6万円と言うことを頭に入れて交渉される方がいい、ちなみにユナイテッド航空の料金は比較的高い航空会社である、当然、大韓航空等の場合さらに安い料金であろうことは容易に想像できる。

ガンショーではアメリカ人に混じって中国人の姿を多く見かける、これらの中国人は商売をしようとして来場していうと言うより、何か模倣して中国で作れる物が無いか、虎視眈々と狙っていると言う印象を抱く、日本からも多くの人が来ているが、銃砲関係者、商社、そういう人たちが主流では無かろうか。

銃砲店でお客のためにガンショー見学ツアーを企画したと言う話はあまり聞かない、それは顧客をガンショーに連れて行くことは、銃の原価を開示するような物で、銃砲店とすればビジネス的には逆効果だからかもしれない。
私自身はツアーコンダクターでもないし、旅行社でもないので今までお客を引率したことは無いが、多くの人がガンショーに行かれる事は大歓迎である。
私の場合、逆にアメリカでの原価を見て貰う事は大歓迎である。
たとえばペラッチのコーナーで、アメリカで販売されているMX8の値段を見て貰うと、この銃がアメリカでは$8,500で売られている事が誰でも解る、$8,500×今日の為替\130をかけると、\1,105,000となる。これがアメリカで購入した場合の金額である。
これから比較しても当社の販売価格\699,000がリーズナブルな価格であることが一目でお解りいただけるからである。

ガンショーの開催日は、2002年、2月1日~2月5日、展示会場はラスベガスコンベンションセンター。入場料は5日間通しで、$50.00


更新 2002年 1月 3日

ガンショーに付いて多数の方からご照会を頂きましたが、今回はツアーと言う形では企画しておりません。

時間的に余裕が有れば旅行社に企画させてツアーを組むことも可能だったのですが、現在では時間的にプランニングする事が出来ませんのでそれぞれ個人で旅行社にお申し出下さい。

ユナイテッド航空の特別キャンペーンをご利用されます場合は、ユナイテッド航空予約センター 0120-114466 又は03-3817-4411にお電話され、キャンペーンコード MP1002 とお伝え下さい。

特別価格で航空券が購入でき、さらにその航空券と同じクラス、同じ旅程で同行者の無料航空券が取得できます。(つまりそれぞれが半額ということになります)
ガンショーの開催期間、成田~ニューローク間が\65,000となっております。

ホテルは直接ご予約下さい、最近はインターネットの普及で割合簡単に予約できるはずです。
しかしながらいずれも面倒だと言う方は、直接旅行社にご相談になり、ホテルもセットされたラスベガスの旅行ツアーを申し込まれるとお手軽だと思います。


更新 2002年 1月 6日

ショートショーの視点
ショットショーを別の視点から眺めると、色々と面白い側面が見えてきます。
今回のショットショーはラスベガスコンベンションセンターで開催されます。
今回はどうせ見るなら面白く見た方が楽しいので、色々な見方をアドバイスしてみましょう。

ラスベガスで「まっとうな」ホテルに宿泊したお客にはガンショーの開催期間中送迎バスが運行されます、これはホテル側がバスを出すのではなく、ガンショーの主催者側がバスを用意して、5~10通りのコースでバスを運行しているのです、バス運行のスケジュールはホテルの玄関近くに掲示されている場合が多いのですが解らなければフロントに聞く方法もあります。
開場は午前9時の予定ですが、バスの運行は1時間くらい前から始まるのが普通です。
バスに乗るのが面倒だと言う人はタクシーで行けばいいでしょう、ラスベガス市内なら大体$15あれば行ける距離です。開場1時間くらい前の8時頃から人が集まり始め、開場直前には長い長い行列が出来ます。銃器の展示会にこんなに多くの人が集まると言うこと自体、アメリカにおけるガンビジネスが相当深くまで浸透していることが想像できます。

私自身は多くの人がこうしてショットショーに集まってくる事自体に、この業界の先行きに安心感を覚えます、入場するまでの1時間くらいの間は足も疲れてしんどいのですが、腹も立てずにじっと辛抱できます、ここに来ている全員が銃器に関心があるかと思うと我々ガンビジネスをする人間には心強い限りです。
入場すると全員にガイドブックが渡されます、このガイドブックにはこの展示会に参加した業者全員が掲載されていますので後々、業者と連絡を取る場合には便利だと思います。
また開場の入り口でビジネスバックと称したアタッシュケースサイズの段ボールが無料で配られていますのでこれを利用するとカタログを収集するのに重宝します。

会場入り口の正面は、メジャーなメーカーのブースがあります、レミントン、ブローニング、等々です。
いずれのブースもその設備に相当なお金を使っているのが解ります。
日本でも幕張メッセ等で、コンピュータ関係や、自動車ショー等、色々な展示会が開催されています、しかしながら日本では展示会場に設置した設備はその場だけの設備で、開催期間が終了すれば全部取り壊し、全てゴミとして廃棄されるのです、どんな大がかりな設備でも例外なく壊されて破棄されます。
アメリカの場合、展示会場で設置した設備は解体され大型トレーラーに収納されて、また次回の展示会まで倉庫で保管されるのです。初めてショットショーをご覧になる方は、日本と比べて展示施設に相当なお金をつぎ込んでいるのが一目でわかると思いますが、実は毎回同じ展示施設を使い回しているので、案外こちらの方が経済的だと言うことが出来るのです。その分毎回見ている私からすると毎回全然代わり映えしませんが。
展示会は世界中から色々な人たちが来場します、日本からの来場者の場合、ガンマニア、モデルガン業界関係者、輸出入の商社、そうした人たちも少なくありません、勿論私みたいに純粋に銃器のトレードを目的に来ている業者もありますが案外数としては少ないかもしれません。

中国、台湾からも多くの人たちが来ていますが、これらの国にガンビジネスの需要がそれ程あるとは思えませんから、多くの人が何か模倣して安く作れる物はないか虎視眈々と狙いに来ていると思います。
彼らがカタログを収集する目的は、購入するためと言うよりは模倣するための参考資料になるのかも知れません、とにかくここ2,3,年は異常な増加傾向になります。
逆にほとんど見かけられないのが黒人です、アメリカ国内でも相当数の黒人がいますが、ガンビジネスに従事している黒人は極めて少ないと思われます、何故そうなのか、私はアメリカ人ではないので詳細についてはコメント出来ませんが、2002年の現在でも、銃器の世界は未だにアングロサクソン系のビジネスなのです。
随分昔になりますが、1970年私はアメリカでガンビジネスを始めるために渡米しましたが、ガンビジネスはアングロサクソン系のビジネスだと直ぐにそうした雰囲気を感じました、そのため1971年にはアメリカから引き揚げ、日本でガンビジネスを目指すようになったのもそれが最大の理由です。
アメリカのガンショップでは拳銃を買いに来る黒人は多数いますが、ライフル銃を買いに来る黒人はほとんど居ません。ハンテングをやる黒人も、ライフル射撃をやる黒人もほとんど居ません、勿論このショットショーに来る黒人もほとんど居ません、別に黒人に入場制限している訳ではないのですが何故かその理由は解りません。(会場に行ったらその現実をよくご覧下さい)

我々日本人はアメリカとビジネスパートナーとしてビジネス展開している事に関しては少なくとも認知されています、しかしながら日本人がレミントン、スミス&ウエッソン、コルト、等の会社のオーナーになることに付いてはアメリカ人にすれば複雑な国民感情があると思います。
今の私はアメリカ人と付き合って不愉快な想いをすることはありません。私の場合、日本、アメリカにかかわらず、親しい業者とはホテルで一緒に酒を飲んだりして情報交換をします、この情報交換こそが私に取ってはショットショーに来る一番大切な目的かも知れません。
銃砲業界と言うのは思いの外狭い業界で、世界中の動きを私の様な末端の販売業者でも知り得る事が出来ます、ショットショーは情報交換の場として最大限私は利用しています。
私にはこの会場でビジネスの話をしたいと言う取引先からの要望もありますが、私自身は一切交渉をしないことにしています、それは業者間の話というのは、ほとんど、「もっと買え」と言うテーマに終始しているので話し合ってもほとんど意味がないからです。
下手すると、外人におだてられてとんでもない注文を出す羽目にならないとは限らないからです。

**社代理店等と言う看板を上げるようになると、案外そういう術中に填り込んだ結果かも知れません。
私が特定の会社の代理店をしていない間は、外人に乗せられて日本のお客様にとって不本意な製品の販売を押しつけていないと言う何よりの証です。


更新 2002年 1月 8日

http://www.shotshow.org/
ショットショーの詳細は上記ショットショー公式HPでご覧下さい。


訂正 2002年 1月 9日

当社のお客様から以下のとおり指摘がありました。
私が見た¥65,000の運賃は、あくまでも一人の運賃で、割引チケットが利用できる物とは価格帯が違うそうです。
早とちりして誠に申し訳ございません、ご指摘の文章を掲載して訂正させて頂きます。

いつも、築地様のホームページを楽しく拝見させていただいています。
さて、ガンショーの記事は大変興味深く拝見し、私も行ってみたいと思っております。ところで、築地様の記事に水をさす訳ではありませんがUAの一人分がただのこの時期のベガス行き航空券は、予約クラスがB以上のものつまり、一番安いもので「GO USA GO」が対象になります。従って、平日で142,000円、週末で152,000円になります。65,000円の航空券は、「GO USA 7」で予約クラスMですので、ひとり分がただにはなりません。

その他無料航空券は、マイル加算されない等の制約があるようです。

ミサイルの話

2001年 7月22日 築地

このコラムは種々雑多な事を私が勝手気ままに書いている、別段原稿料をいただいて決められたテーマで書いているわけではないので、毎回実にお気楽な書き込みである。

さて、今回はミサイルのお話をさせていただく、実を言うと、ミサイルの特性は非常に弾丸の特性に似ている、そのため私の仕事とは全く畑違いでありながら、興味をそそられるテーマなのである、多くの一般の方が頭の中で描いているミサイルとは、戦闘機から発射されると何処までも相手の戦闘機を追いかけていく、と考えておられる方が案外多いので逆にこちらがびっくりする事がある。皆さんが映像などで戦闘機からミサイル発射のシーンを見られる場合、実は多くの場面がスローモーションを多用している、そのため多くの方がミサイルの速度は戦闘機より"チョット早め"程度に認識されているようである。
逆にその程度のスピードで打ちだされる以上、ミサイルは1~2時間くらい相手の戦闘機をどこまでも追いかけていくと、かなり誤解されているようである。
 しかしながらこうした皆さんの常識と現実は全く別物であると言うことをこれから説明していく。
ミサイルは、正しく機関銃の延長線上に開発された物である、初めてミサイルが実際の戦闘で使われたのは1958年9月24日、台湾と中国軍の戦闘である。
中国軍のミグ15,17,等に対して、台湾側はF-86セイバーに、アメリカ海軍が開発した空対空ミサイル、サイドワインダーを使用して29機のミグを撃墜して圧倒的な戦果を上げた。
サイドワインダーのスピードはマッハ2.5、射程は1~3キロである。
この初速は30口径のライフル弾頭と同じ初速である、最大射程もわずか3キロである。これで、ミサイルはほとんどライフル弾頭の世界と変わらないことがお解りいただけるであろうか。
最大射程が3キロと言うと、皆さんは3キロまではロケットモーターが燃焼していると思われるかも知れないが、実際は2キロくらいで燃焼がストップして後は惰性で飛翔すると言うのがミサイルの世界では常識なのである、実はミサイルを発射すると瞬時に最大加速をさせるためロケットモーターは燃焼と言うよりは爆発に近い燃え方をする、そのため多量の白煙を吐くのだが、ミサイルを撃たれたパイロットからはその白煙が容易に視認できるのである、そのためミサイルを視認したパイロットは戦闘機の運動能力の限界ぎりぎりで回避運動をしてミサイルをかわす事も可能なのである。
例えば、こちらが時速50~80キロで走行している車を運転していたとしましょう、相手が自足250キロで追ってきたとしたら、ぎりぎりまで接近させて限界ぎりぎりで回避すれば、250キロで追尾してきた方はそれを追尾するのは不可能ですよね。それと同じことです。
しかし、それが視認出来ないと当然回避出来ないですよね、戦闘機の場合でいうとミサイルのロケットモーターが燃焼を終えて、惰性で飛翔してきた場合、視認することは絶対に不可能です。サイドワインダーの直径はわずか13センチしかありませんから遠方から飛翔するミサイルが見えるわけがありません、したがってミサイルは相手を撃墜するまでロケットモーターが燃焼する必要はないのです、それどころか燃焼していないほうがかえって良いのです。
マッハ2.5で飛翔して、射程距離が2キロメートル、惰性で3キロメートルと考えた場合、ロケットモーターが燃焼するのは、3秒もあれば充分ということになります。
5秒も燃焼すれば燃えすぎな位の時間です。
ミサイルの射程は思いの外短いと感じられませんでしたか? 私がミサイルはライフル弾頭の延長であると説明した意味がお分かりいただけたでしょうか、皆さんはそのミサイルは古いから、と言われるかもしれませんが、改良された最新型のサイドワインダーでも、最大射程は5キロ程度でしかありません、惰性飛翔も含めて7キロくらいまでは狙えるとは思いますが、短距離ミサイルとはせいぜいそんなものです。
もちろん中距離ミサイルと呼ばれるものはもう少し射程が長くなります、現在、航空自衛隊でも使用しているミサイル、スパローの射程は25キロ~50キロです、射程はこんなものですが、驚くべきはそのスピードです、なんとマッハ4出るのです、完全にライフル実包より早いですよね! このスピード、これこそがミサイルの本当のパワーです。しかしこれを実際のスピードの映像で撮影したら、ミサイル発射の瞬間は瞬時に終わり、何がなんだか解らない映像で終わるはずです。ですから皆さん方"素人"に見せるときは高速度撮影にして、ミサイルがゆっくり飛んでいく映像をわざわざ見せているのです、また映像のほとんどが、機体に取り付けられたパイロンというミサイル取り付け装置から、スルスルと滑り出して出て行くミサイルを見せられていると思いますが、実際にこんな撃ち出し方をしているのはごく一部のミサイルで、多くはミサイルエジェクターという装置で機体から外側に叩き出すようにして機体から離した後ロケットモーターに点火しているのです。ミサイルエジェクターには火薬を使う方法もありますが、自然に落下させる自然式を使う場合もあります。

さて、スパローの射程が50キロとして、マッハ4で飛翔して30キロの距離に到達するまで何秒でしょう、一応軍事機密ですから言いませんがだれでも計算すればホンのわずかな時間しかロケットモーターは燃焼しないことがご理解いただけたでしょうか、しかしながらミサイルにとって極めて大切なことは、そのスピードにあると言うこともご理解いただけたでしょうか、まさか、ライフル実包より早いとは思っていなかったでしょう。
ミサイルで撃たれるということは、ライフルで撃たれるのと事実上は同じことなのです。

ミサイルを撃たれる前に相手の戦闘機からはレーダーが照射されますから、レーダー照射された戦闘機にはレーダー照射警告が出されます、相手の戦闘機がロックオンすると、ロックオンの警告も出されます、ミサイルを発射されると、ミサイル発射の警告音も出されます、その場合、アフターバーナーを焚いて回避運動をしますが、アフターバーナーを焚くということは、蓋の無いドラム缶を連続して倒すくらいの猛烈な燃料消費をしますので、1万リッター近く燃料を搭載した戦闘機でもせいぜい5分くらいしか燃やせません、それ以上燃やしたら燃料不足で基地に帰れなくなります。
1万リッターといえば、リッターあたり¥100としても燃料代だけで100万円です、アフターバーナーを焚き続ければこの1万リッターの燃料がわずか15分で無くなります、戦闘機の燃料消費量たるや、我々の常識レベルをはるかに超えた話しなのです。

ミサイルが戦闘機を追尾するシステムは赤外線ホーミングミサイルと言ってエンジンから排出される熱源を追尾するシステムがあります、この方法は戦闘機の後ろを追尾する場合はエンジンから900度の燃焼ガスが出ているので追尾が簡単なのですが、正面から狙う場合、正面には熱源がないので非常に狙いずらくなります。
しかしながらアクテブホーミングミサイルと言って、自らレーダー電波を出して追尾する場合いかなる方向から来る戦闘機でもレーダーで捕捉することが可能なのです。
赤外線ホーミングミサイルを撃たれたら、マグネシュームと火薬で作られた、フレアーという猛烈な熱を発生する筒を機体から出して、エンジンを絞り、急激に旋回すると、ミサイルは戦闘機の代わりにそのフレアーの出す熱源を追いかけていくことになります。
レーダー電波を出すアクテブホーミングミサイルの場合は、アルミ製の金属片をつめたチャフという筒を放出する、チャフは色々な大きさに切られたアルミ片が詰まっており、レーダー上からは、戦闘機よりチャフの方がより大きな画像となるのでミサイルはそのチャフを追いかけていくことになります、実際の回避運動ではミサイルがどちらのタイプのミサイルかはわからないので、フレアーとチャフを同時に、2,3発出して回避します、念には念を入れてということでしょう、命がかかっているので当然の話ではあるが。
これがミサイル回避の方法ですが、ミサイルも回避されるのを前提に作られているので、接近信管と言うものが使われていのです、これは千分の一秒単位で目標との距離を捕捉し、目標にかわされた瞬間、目標が遠ざかるその一瞬に爆発する信管なのです。
戦車などと違い戦闘機は非常に衝撃に弱い、大きいミサイルは60キロくらいの高性能爆薬を搭載しているので、これが破裂すれば小さなビルなら木っ端微塵にするくらいの能力があるのでミサイルをかわしても戦闘機自体が撃破されることはありえることなのです。

さて、このスパローミサイル、1発でポルシエは勿論、ロールスロイスやフェラーリ等よりずっと高い値段です。うーん欲しい、スパローミサイルよりもっと好きな、空対地ミサイル、HARM、私一番のお気に入りミサイルなのですが。

皆さん、今、私のことを変態と思ったでしょう!

死すも独りなり

2001年 7月14日 築地

死するも独りなり

今日は銃器の話とは少し畑違いの話なので、お気に召さなければ読み飛ばして下さい。
最近は皆さんのおかげでこのHPのアクセス件数も確実に数字を伸ばしております。
多数の方が訪問して頂いているので、たまには銃器と関係のないコラムでもひょっとしたら暇つぶしに読んで頂けるのではと思い書いてみました。
ご存じのように、私は従来の銃砲関係のビジネス方法とはいささか異なったビジネス展開をしております、私のビジネスが大きくなると、逆に迷惑を被る同業者も多いと思います。
このビジネスを始めたおかげで、多くの同業者からは私自身非難の目で見られていると思います、また有形無形の営業妨害も有ると思います。しかし、それは仕方の無い事です。別に気にもしていません。この事は決して強がりや、弱音の裏返しで言っている訳ではなく心底そう思っているのです。
私が今、一番心酔している言葉は、次のいっぺい上人の言葉です。

生ぜしも一人なり
死するも独りなり
されば人と共に住するも独りなり
そいはつべき人なき故なり

この説明をすると、人は生まれるときは一人で生まれると言うことです。
死ぬときも一人と言うことです。
たとえ、親兄弟、親子と一緒に暮らしていても結局は一人と言うことです。

人間は生まれながらにして一人であるが故に、逆に孤独を嫌うのです。
人は人同士で集い、お互いの社会を形成します。業界のお約束と言うのもそうした村社会の掟だと思います、その掟を乱す私などは村八分になっても当然の事です。
孤独を避けるという意味でも、異性同士の場合はお互い話を聞いてくれる人を求めあい、そして暖めあい、愛しあい、そして究極のセックスと言う行為を求めるのでしょう。
しかしながらどんなに愛し合って、床を同じくしてセックスして愛し合ったとしても、お互い見る夢は違うのです。これを同床異夢というのです。
私が仮にオネーチャンとある時、寝床を同じくすることが有ったとしても、これは私がスケベのせいではなく、人間として孤独になりたくないと言う、真に人間の本質から出た行為なので誰もとがめてはならないのです。
で、私がこんな偉そうに講釈をしていますが、これは皆さんに賛同を得ようとして言っている訳では有りませんので誤解のない様にお願いします。

現在の地球上の人口は60億人に達しようとする勢いですが、これだけの人口がいても、全く私と同じ考えを持っている人は世界中で一人もいないはずです、築地はあんな事を言っているが、と言ってひんしゅくをかったとしても、それは当然な事なのです。
私の考えと貴方の考えは違っていて当たり前なのです、この世の中に60億人の人間がいたら60億通りの考えがあるのが当然の事です、ですから私のコラムを読んで、読んだ全員が納得しなくて当然なのです。

私がこのコラムの中でおかしな事を言っているなと皆さんが感じる事があって当然なのです、逆に私もこれが真実だと思って書いているのですから皆さんから批判されたからと言って今説明した自説を曲げることもないのです。
今日の私があるのは、私自身の努力もありますが、私は私の力だけでそれを達成出来た、等と思い上がっている訳ではありません、私に関わる全ての周りの人たちの力、神の力、仏の慈悲、宇宙の力が関係している筈です、別段ここでオームみたいな事を言う訳ではありませんが、簡単な話、私がこの日本ではなく、北朝鮮に生まれていたら私の置かれた状況は今とは相当変わっていたはずです、仮に日本に生まれていたとしても、ある時不本意ながら北朝鮮に拉致されていたら、同じ様に大きく世界観は変わっていたいだろうと思います。こんな事を書くと朝鮮総連の関係者が気を悪くするといけないので、別の例に例えますと、例えばアフリカのボツワナ等の国の少数部族に生まれていたとしたら、乳飲み子のまま死んでしまったかも知れません。
これらの場面に遭遇しなかったと言うことを、当たり前と考えるか、仏の慈悲と考えるかそれはその人の世界観の違いです。
今こうして宗教的な事を話していますが、私は特定の宗教を持っている訳ではありません、私の家系は先祖代々浄土真宗ですが、先祖の墓参りに行くことはあってもどこかの寺の檀家と言う訳ではありません。私自身は、もし私が死んでも亡骸を焼き場で焼いたらそのまま灰を焼き場に捨てて貰いたい気持ちです、灰を持ち帰ることでまた新たなメモリーを誰かが建てることになり、それがまた面倒な事ではありませんか。
墓標を建てることは供養と言う目的も有るでしょうが私は元々この世の中に怨念を持って生きておりませんので供養してもらう必要はありません、メモリーと言う意味での墓石なら私には必要有りません。
実は私も人の子、何らかの形でメモリーを残したいとしたいと思うこともあります、その為にはこの電脳社会こそ私のとっての最大のモニュメントなのです、私はこのHPに色々書いていますが、これこそが私の残しているメモリーなのです、しかしながらこの書き込みは時代と共に陳腐化するでしょう、ですから出来るだけ陳腐化しない様に書き込みを更新させていく必要があります。しかし現実問題はなかなか理想的にはまいりません。
そして私が死なんだときはすぐに忘れ去れれていくことになるでしょう、しかしながらこうしてメモリーを残している事も事実なのです。

阿川弘之氏の小説に、"雲こそ我が墓標"という感動的な本が有りますが、私の場合は電脳社会こそ我が墓標ととらえ、これからもコラムを書き続けて行きます。

お盆が近いので、少しおかしなコラムになりましたがご容赦を。

したたかな世代

2001年 6月24日 築地

私は昭和21年代の生まれで54歳、この世代はアメリカで言えばベビーブマー、日本で言えば団塊の世代と言うことになる。この世代になるとやっと子供達の手が放れ、家のローン等から解放される世代である、50~60歳台の世代は、実を言うと不景気な世の中、一番自分で使えるお金を持っている世代でもあるのである。

 当社のお客様の年齢構成を見ると、50歳代が一番多く、続いて60歳代、40歳代と続く、30歳代は少なく、20歳代となるとほんのわずかしか居ない。
この業界は50~60歳代が一番幅を利かせているという不思議な世界なのである、知らない人から見ると、何となくおじさん達ばかりでこの業界は覇気がないように思われるかも知れない。しかしながら実はこの50~60歳代が金銭感覚から言うと一番パワフルなのである。おじさん達の姿はあまりユニクロなどでは見かけないかも知れないが、それはお金が無いからではなく"買う物が無いからである"、けっして使うお金がないからではない。現実的には一番大変なのは20~30歳代では無かろうか? 収入の割には思いの外、色々な費用が必要で、自分の小遣いは以外と少ないのでは無かろうかと思われる。

 ユニクロ等にこうした世代が多いのはお金が有るからではなく、逆にお金が無いからかも知れない。当社の例で言えば30歳代で高い銃を躊躇無く買えるのは、親の遺産が転がり込んだか、よっぽどバブリーなビジネスをしている人か、それとも本当に実力のある人では無いのだろうか。こんな悪口を言っても平気なぐらい、30歳代はお金がない! ところが50~60歳代になるとごく平凡なサラリーマンのお父さんでも、スパッと鮮やかに高い銃を買われる、それだけ50~60歳代は余裕のある人が多いのである、世の中には色々なビジネスがあるが、銃砲業界くらい50~60歳代が集中している業界も少なくないと思う、業界関係者と話をすると、この業界は若い人が少ないと嘆く声が少なくないが、実はこの業界、50~60歳代が多いからビジネスになっているのである。

この世代はお金は持っているのだが、滅多に衝動買いはしない、それは何故かと言うと、元々そんなに欲しい物がないからである、だからこうした世代の人たちに欲しい物を頭の中にインプットさせるのがビジネスとして大切なテクニックなのである。

 実を言うと、当社にカタログ請求されて、カタログを見て、すぐに銃の購入を決められる方は以外と少ない、初めてカタログを送るとほとんどの人が無しのつぶて状態である、初めてカタログをお送りした場合、現実にはほとんど反応はない、これがこの世代の特徴、"欲しい物がない症候群"の現れである。しかし、これで簡単にあきらめてはいけない、この事を書くとカタログ販売のノウハウを公開することになるが、実は、この世代の人たちはカタログを配布して2~3年くらい経過して初めてぼちぼち反応が現れる。
初めてのお客様はカタログを送ると取り敢えずカタログをめくって見ることになる、しかし、欲しい物は無い! また次のシーズンにカタログを送る、2~3年と言うことは最低でも4~6回カタログをお送りすることになる、そうすると何となくカタログを見ている内に欲しい物が見えてくる、と言ってもあくまでも私の勝手な思いこみなので現実にはそれとは大違いの場面も有ることは間違いないが、まあ色々な場面展開は有るとは思うが、これらの世代に対してはカタログを配布して反応がないからと言って、直ちにカタログ配布をストップするのはビジネスとしては最悪の選択なのである。

当社の場合は当人から配布拒否の連絡が無い限り坦々とカタログをお送りし続けることにしている、そうすると2~3年目にポツリと注文が来ることになる、つまり、お送りしたカタログは毎回目を通し、何が欲しいかがだんだん見えてくると言うことである。
先ほどからくどくど言っているように、この世代で一番困るのは、お金があっても"欲しい物がない"と言うことである、しかしカタログを毎年見ている内に、何となく"欲しい物"が見えて来ると言うところに案外カタログ配布の意味があるのである。

 おっと、あんまり私の手の内を公開しても困るのだが、だからといって私の手法を誰でも模倣出来るわけではない、なんと言っても一番大切なのは誰がカタログを必要としているか、そのおいしい情報である、お客様にはインターネットを通じてカタログ請求をしていただいているが、実を言うとかなりの割合で、まだ銃を持っていないと言う人が多いのである、この世の中、銃を買いたいと言う顧客データーは何処を探しても有るわけがない、インターネット時代のおかげで誰でもインターネットにアクセス出来、カタログでも見てみようか、という世代を取り込むことが最大のビジネスチャンスを作り出すことになる。これらの方達はこれから確実に銃を買おうとしている人たちである、このビジネスを始めた時、お客様とのつてが全く無いので猟友会の名簿を元にDMを出したのだが、これは大失敗であった、費用対効果が最悪であったからである。最初トライアルで2,3の県に葉書を出して反応を見たが、効率が悪いことが判明してすぐにこの作戦は撤収した。

昔からそうだが今でも最良の作戦は"口コミ"である、実際に銃を購入した人から聞いた話、それが口コミで伝わり、その結果仲間の人がカタログを請求されると言うケースが一番販売効率がいい、しかしながら口コミは逆の効果もあるわけで、銃を販売した後、フォローが悪く当社に対して悪い印象を持たれた場合は、ビジネスとしては逆効果になりかねない、これがあれば私のビジネスは命取りになる。

当社がカタログビジネスを展開する中で、未だに無くならない、と言うよりはその手段が年々巧妙悪質になっているのは同業者の悪口である、これが特定の業者の顔を出して非難するのならフェアープレイだが、お客の振りをしてあちこちにガセネタを撒くので知らない人が聞くと本当のユーザーの声かと勘違いしてしまう、しかしビジネスだから同業者から悪口を言われるのは仕方ないと思っている、はじめの頃はユニクロだって、ダイエーだってさんだん言われていただろう、しかし当社の、特に50~60代のお客様は今までしたたかに生きてきた人たちだから、こうした下らないガセネタに踊らされることはないのである。

したたかな54歳、築地でした。

この業界の困った事情

2001年 6月18日 築地

家電製品でも車でも、新製品というのは売り出し日が決まっている、車など生産数が限定されるのも注文さえすれば納車の日時は明示される、これが一般社会の常識と言う物である、しかしながら銃砲業界の新製品というのはいささか、おもむきが違っている。

 一昨年、レミントン、の電気雷管式ライフルの発表が有ったが、今日に至るもまだ現物を見ていない、まだ当社に入荷していないと言うのならともかく、ショットショーの会場でもカタログとパネル表示だけでまだ誰も実物には触れていないのである、勿論電気雷管式の実包にも市販品を見たことも無ければ買ったこともない、そのあとチタン製のレミントン700が製作された、現物はショットショーでは見ることは出来たが、まだ現物の入荷は今日に至るも達成されていない、さらに今年のショットショーレポートでウインチェスターの9410を紹介し、当社だけでも50丁以上の予約が有ったが、今日に至るも納期は全く未定である。

 会場でウインチェスター社の人間に聞いたら、3月から製造に着手するとの返事だったので夏には数丁のサンプル程度は来るだろうと考えていたら、何とアメリカサイドでも今日現在何処にも入荷していないようである、アメリカサイドでも相当数の注文がまとまったみたいではあるが、注文が多ければ多いでまたまた製造スケジュールが立たないようで困った事なのである。

何故、銃砲業界はこんなに納期が出鱈目かと言うと、元々構造不況業種で有る上にこの業界は徹底的に合理化が進んで、リスクのある物には絶対に手を出さないと言う、お約束が有るようである、であるから新製品発表でも、自動車業界や家電業界と違い、ある程度の製品の製造を先行して同時進行でカタログの印刷、製品の発表、そして一斉発売という具合にならないのである。この業界の新製品製造に至るシステムは、先ずは製品を作るかどうか社内検討して試作品が出来たらとりあえずカタログを作成する、それをショットショーで開示して、評判がよく、注文がまとまったら作ると言うような超慎重論でビジネスをやって居るようである。先ほど述べたようにこの業界、構造不況業種であるから従来の製品も在庫するような作り方はしない、全て年間スケジュールを組んで注文分しか製造しないのがこの業界の習わしのようである、つまり年間で作る製品は全部売り先が決まっているのである、そこへ新製品を割り込んで製造するゆとりは現実的にはあまり無いのかも知れない。
 レミントンなどは売れ線の700バーミンターのステンレス銃身モデルは製造中止したし、700BDLの308も製造中止である、この銃などは一番の売れ筋なのであるが何故製造中止したかその意図が不明である、しかしながら一番の売れ線の製造を中止して、値上げした後製造再開と言う手段はよく用いる手なので、700BDL308もそう遠くない内に値上げされた後製造再開される可能性は非常に高い。

ウインチェスター社に関して言えば、M-70スーパーグレードは一番の売れ線だが入荷予定が読めないので当社のカタログには掲載せずじまいまのである、実を言うと30-06、7ミリレミントンマグナム、300ウインチェスターマグナムが現在入荷し在庫で有るのだが、困ったことにこのコラムでしか"在庫があります"としか発表できない。
カタログに掲載したら印刷が刷り上がった頃には完売と言うことになりかねない、カタログを配布した後では保証付きで在庫切れと言うことになってしまい、かえってお客様に迷惑をかけることになってしまう。そんな訳でウインチェスター、スーパーグレードは当社のカタログにはほとんど掲載されることは無いが、現実には取り扱いをしているので興味のある方がお問い合わせいただきたい。

そんな訳でショットショーのレポートに掲載したウインチェスター9410も今年の夏のセールカタログには一切掲載されていないのでご了承いただきたい。またすでに注文をお受けした分、それはそれでブッキングしてあるが現状では入荷予定は全く立って無い、申し訳ありませんがご理解いただきたい。
今年のセールのカタログは全部当社に在庫である商品を写真撮影して掲載した。今まではメーカーカタログからの転載だったが、これだと現実に在庫のない物でも掲載できるため、セール開始時点で在庫がないと言うお粗末なことが起こり得る、そのため在庫にない物は写真としては掲載し無いことにしたのである。ほとんどのお客様はカタログの写真をみて、これがほしいと注文される、そのため良くも悪くも在庫である品物をカタログ掲載すると言うことは必要なことなのである。

全製品の写真を撮影してカタログを製作すると、運送料も含めて約700~800万円の経費がかる、しかし当社は元々都内の一等地に店舗を構えているのと違い、そうした店舗にかかる経費をカタログに転用している、ビジネスには色々な手法が有ると思うが、海外の例で言うと、店舗展開したガンビジネスはことごとく衰退し、カタログ展開したガンビジネスだけが拡大しているのが現実である、それを見れば当社の採用しているカタログ販売の方が将来的には拡大すると考えているのである、店舗展開をしないためご不満を持たれるお客様も多いと思うが、特にビギナーの方は店頭で色々子細にわたり説明をする方が親切であることは言うまでもない、銃砲店の店頭で子細な説明を受けて銃を購入したいと言うお方は当然にしてそちらの方を選択されていると思うので当社ではあくまでもこの方針でビジネス展開して行きたい。

当社の販売スタイルは最初から店舗無しのカタログ販売である、このビジネスを始めた最初の月の売り上げは1ヶ月でわずか70万円足らずであった、業界にすれば同情されこそすれ、驚異でも何でも無い数字なのである、ところがこれだけしか売り上げが無い当社に対して、翌月には当社の宣伝は雑誌から完全に排除されることになる、これはこの業界事態が無店舗カタログ販売が将来的に大きなビジネスに化けると考えていたからでは無いだろうか、そうでなければその時点での露骨な営業妨害などするわけがない、最初売り上げ70万弱でスタートした私のビジネスは、今期は3億円弱の売り上げを上げています、当然にして現在では当時とは比較にならないくらいの想像を絶する様な卑劣な営業妨害が絶えません、当社の売り上げが上がった分、相応の金額分が従来の銃砲店の売り上げに影響を及ぼし相応の迷惑をかけていることも事実ですので非難はお受けしますし、あえて反論もしませんが、しかしながら毎年お客様の数は確実に増え、また売り上げも確実に上がっていると言う事も事実なのです。 

米軍での中古銃販売

2001年 6月14日 築地

アフターバーナーの暴力的なサウンドを地上に叩き付け、急速に加速したF-15は垂直に上昇していく、我々部外者からみるとアドレナリンが体内を駆けめぐるようなサウンドだが、地元、沖縄の人たちから見ると苦々しいサウンドにしか聞こえないだろう。
その暴力的なサウンドの発生源、嘉手納空軍基地で年に数回開催される恒例の中古銃セールを開催した、このセールたった1日で100~200丁の銃を販売する、正確に言うならばほぼ午前中で完売する、それくらい兵隊さんたちには人気の高いイベントなのである。
兵隊に銃を販売すると言っても日本国内と違い、いちいち譲渡承諾書などの書類を作成する必要がないので兵隊さんはお金を払えばそれでおしまいである。

米軍
米軍

兵隊さんに銃を販売すると言っても、当社が兵隊さんに直接売るわけではない、名目上、当社はこれらの中古銃を嘉手納基地のガンクラブに一括販売する、連中はガンクラブから購入すると言うことになる、ガンクラブは当社からの仕入れ価格に手数料を加算して販売する、その手数料がガンクラブの運営費となるわけである。中古銃販売の主催者は嘉手納ガンクラブなので販売も兵隊さんたちがお手伝いしてくれることになる。

米軍
米軍

当社が在日米軍に銃を販売できるのは日米地位協定に基づいた法律によるものである。
アメリカのガンショーをご存じの方ならおわかり頂けると思うが、銃の展示の方法は全くアメリカのガンショーと同じである、そのためガンショーと同じものが沖縄で開催されると言うことで連中にはすこぶる評判がいい、銃の仕入れは銃砲店の不良在庫を当社で一括購入して集荷している、不良在庫だからとうてい国内では販売できないような古い、そして値段の安い銃ばかりである、例えばSKBの中古の古い自動銃などは当社の購入価格は¥3000位である、それを米軍基地では¥5000位で販売しているのである。
安い!と思われるかも知れないが、残念ながら幾ら安くても国内では誰も買わない銃である。

米軍

そしてこんな銃がまだまだ銃砲店にはごろごろ転がっているのである、このコラムをお読みの銃砲店オーナーの方に提案いたします。売りようのない中古銃が大量にありましたら当社で一括購入しますのでご連絡下さい。
まとめて一括購入しますので数がまとまれば相応の金額になります。

金属材料学のイロハ

2001年 6月 2日 築地

この間飲んだ勢いで、"女は男のおもちゃ" なんて軽い冗談のつもりで言ったのに、一緒にいたガールフレンドにこっぴどく怒られ非道い目に遭った。

私が今一番欲しいおもちゃは、新しいガールフレンドではなく、F-15戦闘機である、新型のF-18スーパーホーネットもお気に入りの機種の一つである。
 私がおもちゃと言う割には、おそらくこれらの戦闘機に使われるチタン製のボルト1本すら値段が高すぎて現実には買うことは困難であろう。ボルト1本で多分数万円するであろう。最新式のジェット戦闘機のエンジンブレードは、たった1枚で、多分数百万はするはずである、なぜこんなに高価なのかと言うとエンジン内部で1000度くらいに温度を上げても、強烈な遠心力のかかるブレードが変形しない様に作られているからである、エンジンの温度が高いと言うことはそれだけエンジン性能が良くなる事を意味しているので、これを何らかの方法で冷却すると言うことはエンジン工学から言うと間違った事なのである。しかしながら1000度の温度で通常の強度を持つ軽い材料を作ると言うことは容易な事ではない。そのため、通常の機械工作では作れない特殊な製法で作っているからである、旅客機に使われるブレードは絶対に1000度を超える使われ方はしない、もし1000度を超えるとエンジンブレードが簡単に溶けてしまうからである、こんなありきたりの旅客機のブレードでも1枚80万円するのである。
ですから、戦闘機こそは材料学の究極に位置する物で材料的には幾らお金をかけても経済的にペイする唯一の機械工作物だは無かろうか、ちなみにF-15は1機130億円する、値段で言えば空母などは6000億円とも言われているが、重量当たりの演算で言えば世界中でF-15は一番贅沢な機械工作物であることは皆さんも異論の無いところであろう。

F-15は材料のほとんどにチタンを使っている、チタンは、強度は鉄よりも強く、重量は鉄の60%しかないことが使われる最大の理由である。金額の事は誰も異論を唱えない。
この贅を尽くした乗り物に、重量の重い鉄が使われている部分がある、それは機関砲である、銃身は勿論、それに付属している部品はすべて鉄である、もっと詳しく言うとクロームモリブデン鋼である、私が何故こんな回りくどい言い方で説明しているかと言うと、銃に使われる材料で未だにいい加減な理屈が巷に流れているのでその説明をするため、あえて回りくどい言い方で説明させて頂く。

その一番多い悪い例は、高級な上下連銃は、高い物は材料が違うという誤った考えである。

銃の材料は何よりも引っ張り強度を重要視されて使われる、その最適な材料はクリームモリブデン鋼材なのである、これは100年も前から定義付けられ今日に至るも変化はない、確かにクロームモリブデン鋼材は普通の鉄とすると割高な材料である、しかし、所詮鉄砲1丁で1万円くらいの材料費である。20年くらい前までは銃身素材にボーラースチール使用と打刻されていた銃も多かったが、現在はほとんどこうした打刻は無い、それは、昔ボーラスチールは世界で一番不純物の少ない材料であって、値段も高く、かつ当時としてのレベルでは品質も良かったからである、おっと、ボーラースチールといえども銃に使われるのは同じクロームモリブデン鋼なので勘違いして貰ってはこまります、ボーラーと言うのは会社の名前で単なるブランドと考えればわかりやすい。
ところが、現在では製鉄技術に関しては最早日本が世界最高のレベルに達しているのである、従ってボーラースチール使用と打刻することは現在ではあまりカッコいい事ではないのである。
ところが、何でもかんでも舶来崇拝という資質のある人は、ボーラースチール使用と打刻してあると何か異質な材料のように勘違いしてしまい、ただひたすらその銃を崇拝してしまうことになるのである。最悪なのはその素材も何種類も種類があり、銃のモデルによっては材料を使い分けていると考えている人が決して少なくないのである。

材料学をやっている人なら、材料を使い分けると言うことはとてつもない無駄であることはすぐにわかるのだが、こうした知識の無い人に取っては私の理屈の方が遙かに無知と言うことになるのかも知れない。そういう人たちにすると良い銃にはとてつもなく高い材料を使い、安い銃にはそれなりの安い素材を使っていると思っているらしい。数年前まで豊和工業ではウエザビーライフルを製造していたが、最近の傾向としてステンレスの銃が流行ってきたのでウエザビーでもステンレスのライフルを作ることになり、豊和工業にステンレスライフルの発注をした、豊和工業は製鉄メーカーに素材の購入を打診した、銃に使われるステンレスは普通に流通している133ステンレスや188ステンレスなどと違い、切削性、加工性を良くするためほんのわずか隣などの不純物をあえて加える、そのため他の用途には全く転用できないのである。そのため銃に使用するステンンレス鋼材は全くの特注品と言うことになる。
で、その特注の材料を注文するのに、1回のロットで豊和工業で製造するウエザビーライフルの数年分の量なので、あまりにも膨大な注文量なのでとうとう豊和工業はステンレス材料を注文出来なかったのである、程なくウエザビーは豊和工業に製造させていた銃の製造を全面的に中止し、アメリカ国内で製造するに至っている、銃用のステンレス素材なら、まだアメリカの方が少ない数量での注文が可能だからである。しかしながらステンレス銃を作っていない散弾銃に関しては未だにSKB社に注文を出していることからして、豊和工業が銃用のステンレス鋼材を発注出来なかった事は製造中止を余儀なくされた大きな要因の一つだと考えている。材料をスチールの外にステンレスを加えるだけで"仕事を失う"ほどの事をやっているので、銃によって材料を変えていると言う理論は与太話でしかないのである。

この様に特殊な材料を注文すると言うことはその辺で米を買うのとは根本的に大変な違いがあるということである、従ってペラッチなどが高い銃には高い素材を使っていると言うのは間違いである、もしそれをイタリアの銃砲店、あるいはペラッチ関係者から聞いたというのであれば、聞いた当人がイタリア人から簡単に騙されたとしか言いようがないのである。

素人意見では、素材の堅さが違うと言うことを材料が違うと勘違いしている節がある、クロームモリブデン鋼は素材の状態では普通の鉄と変わらない堅さである、それは刃物で加工しなければならないからである、加工の終わった製品は熱処理をされる、その熱処理の処理方法で鉄の固さが決まるのである、熱処理では同じ素材でも銃身は柔らかく、機関部は堅く熱処理する、それは異常高圧が発生したときには、必ず銃身が破裂すると言う"お約束"があるからである、かりに銃身が堅いと、破裂するのは機関部と言うことになり極めて危険な銃になるからである、同じ素材を使ってもメーカーによって堅さが違うが、それは銃器の設計者がどのような考え方で銃を設計しているかによる事である。
昔とするとクロームモリブデン鋼は多少の進歩があった、鉄の組織を緻密にすることで鉄の強度が高くなったからである、そのため最近作られるレミントン、ベレッタ、ブローニングの自動式散弾銃の銃身は昔とすると0.5ミリ程度薄くなっているのである、材料の強度としては同じでなおかつ薄く作れるようになったのである、現在考えられる最先端の技術が実用化すれば鉄の強度は今の2倍くらいまで強くなると言われている、金属の組織を極限まで緻密にすることによりそれが可能になる。そうした材料なら一般のクロームモリブデン鋼よりは高いかも知れない。
逆に出来るだけ安い銃を作ろうとして鋼材を極限まで切りつめたとしても、銃の安全性から考えて使えるのは45C等の炭素鋼だけである、確かにこの材料はクロームモリブデンよりは材料代は安いのだが加工性が悪いので、結局は製造現場でのコストは高く付くことになり、現在では10万円の銃でも1000万円の銃でも、使用している材料には違いがないのである。1000万円の銃を持っている人に、10万円の銃と同じ素材だよと言われればきっと "ムッ"と来ると思うが、130億円するF-15のバルカン砲と同じ素材だよ、といえば納得していただけるかも知れない、130億円は飛行機の値段だろうと指摘されるかも知れませんが、バルカン砲自体は一億弱する銃器なのです、どうです一億弱の銃からすると1000万円のペラッチはおもちゃに見えてきませんか。

バルカン砲は一億弱する銃器なので"銃身には特殊な素材を使っている"等と愚かな事を言うと、GEのエンジニア腹を抱えて笑い転げることでしょう。

弾の値段

2001年 1月28日 築地

1960年、私が射撃を始めた時はクレー射撃に要する値段は今と大差ない、弾の値段も30数円していたし、クレー代金も30円くらいだったと考える、1発撃つと約60円かかったのである、ところがこの60円で当時はラーメン1杯食べられた値段なのである。
つまり現在の値段に直せば¥500~¥600と言う事になる。
1発撃てば、ラーメン1杯、これは当時良く使われたフレーズであった。
当時はとてもサラリーマンがクレー射撃を出来る時代ではなかった。当時クレー射撃が出来たのはごく一部の階級の人たちででしか無かった、当時は銃の貸し借りは自由だったので今の天皇陛下、当時では皇太子だったが体験射撃をなされた、腕前の方はと言うとはっきり言って****だった。

当時の値段と、今の値段を比較するとこれだけ給料や物価が上がっているのに、弾代やクレー代はほとんど上がっていない、つまり相当にコストダウンが進んでいると言うことになる。日本の銃砲業界の銃器の値段に関しては相当にでたらめなのは私のコラムを読んで頂ければお解りのとおりだが、散弾銃の弾の値段は外国と比較しても暴利をむさぼっているわけではない。業界にとっては秘中の秘、弾の値段を公開しよう。皆さんが使っている24グラムの射撃用装弾、イタリア製の物で11円~15円である。但しイタリア工場渡しで、5000万発~1億発注文した場合の値段である。
これが国内では36円くらいで売られているが、弾を輸入して販売するまでの付帯経費を考えると適正な価格であると言っておく。
お客様から装弾は扱わないのですかと良く聞かれるが、当社では劇的なコストダウンが望めない物は原則として取り扱わないので、当社で装弾を取り扱う予定はない。
散弾の装弾は比較的リーズナブルな値段で取り引きされていると思うが、時折見かけるライフル実包の軍用装弾はかなりの暴利で販売されている。

サープラス

日本国内では1発150円くらいで販売されているが、外国では1発19円の弾なのである。当社に送られてきた取引先の値段表を開示しよう、 Surplus .308 Ball と書いてある弾がある、サープラスとは軍用流れであることを意味している、ボールとは軍用のフルメタルジャケット弾頭の事である。 この弾イギリス製の弾であるが、製造は1979~1985年に製造された弾である。 気になる値段だが、20発入りで、$3.18、為替¥120で計算しても381円60銭、である、1発の値段では無い、20発の値段である、従ってこの値段を20で割ると、1発19円と言うことになる。

ルガーミニ13

これでびっくりしてはいけない、ソ連の弾だが、ルガーミニ13に使われている、7.62x39の弾、20発で$1.90である、為替¥120で換算して228円である、これを20で割ると、1発当たり11円40銭と言う値段になる。アメリカの射撃場に行くと、薬莢が大量に捨てられているが、この値段を考えると薬莢を拾って手詰めするのが馬鹿馬鹿しくなる、これが軍用装弾の相場なのである。

取引先の値段表
当社に送られてきた取引先の値段表を開示
取引先の値段表

代理店制度を考える

2001年 1月27日 築地

どうも日本人はことのほか"正規代理店"と言う名前に弱いようである、そういう人たちにすればメーカーの正規代理店資格を得ることは、あたかも宝の山を掘り当てたような錯覚に陥るかも知れない、正規代理店と言う資格はそのメーカーの製品を独占的に取り扱う事が出来ると言う事を意味している、この事は40年くらい前の日本では確かに意味があった。それは日本政府が外国製品の輸入を抑えるため、正規代理店以外の製品に対して輸入許可を出さなかった時期があるからである。いわば第二次大戦度の、戦後処理政策の一環であったこである、パーカー万年筆など、正規代理店以外の並行輸入と言うか、輸入経緯が解らないような商品は東京上野の"アメ横"で購入したものである、ここで購入すること自体何かいかがわしい行為をしているような、半社会的な行為をしているような、そんな雰囲気に陥る、ここで購入した商品は、とうてい正規代理店に修理に出せないなと思わせる何かがあった。

しかし、この様な悪しき政策は日本経済が復興するとともに直ちに見直され、正規代理店資格を有する者は、その製品の修理を拒否できないと言う判例まででた、私の知る事例は、当時ベンツの輸入代理店であったヤナセに対して修理拒否をされたユーザーが訴えて、ヤナセ側が敗訴して事である、(この事例は私の記憶だけで書いていることなので事実関係に間違いであったら謝ります、事実の経緯について指摘があればこのページで公表します)
 これは海外でも当たり前のことで、これが世界の常識なのだが、当時の日本は正規代理店資格を得ていることはあたかも日本政府がその既得権を法律で守ってくれているような錯覚を持ったのである、頭の良い人たちは代理店資格の虚像についてすぐに現状認識できたのだが、悲しいことに我々銃砲業界には未だにこうした代理店資格についての誤った認識に支配されている人が多いように思えてならない。
私の亡くなった友人に、現代狩猟の奥城さんと言う方がいるが、この人がMTMと言う会社の代理店資格を得るために、大量のMTM製品を注文された事がある、MTMと言うと弾箱を始めとした色々なプラスチック製品を取り扱っている、ライフル用の弾箱など50発入りの物で、輸入原価は¥300位だったろうか、それを数百万円の単位でオーダーされたのである、そのおかげで代理店資格は得られたが、大量の製品がアメリカから送られ、倉庫代だけで毎月100万円払っていると話されていたが、冗談だったのか本当だったのかは私は知らないが、弾箱など消耗品ではない。事実私は40年前に購入した弾箱を未だに使っている、決してケチでやっているわけではないが、壊れようがないから捨てようもないのである。大量に仕入れられたMTM製品がなかなか売れなかったことだけは容易に想像がつく。その奥城さんに対して、MTM社は来年度の代理店契約を更新するには今年度の***%UPの注文をしないと代理店契約を取り消すと通告があり、事実関係は知らないが、多分契約をうち切られたのではないかと思う。
これが代理店契約の現状である、海外の会社から考えると代理店契約は終身契約ではなくたかが1年契約なのである、勿論代理店契約を数十年にわたり継続している事例は多々あるが、それはあくまで相手の会社がその方法が一番有利だと考えるからである。
代理店になった側はその代理店契約を失わないために、常に相当数の数を売らないといけないと言うジレンマがある、そのため代理店契約をしている会社は、日本全国に製品を売るため製品の値段を異常なまでに高くする必然性が出てくるのである。
つまり、輸入元自身利益を**%、商品を卸してくれる大卸の利益を**%、卸し業者の利益を**%、小売店の利益を**%、てな具合に乗せていくので、原価$500の物が日本の小売価格では20~30万円と言う値段に化けるのである。

しかしながらこういう流通システムを経由しないと大量に販売することが出来ない、メーカーにとっても大量に売れることは良いことであるから、こうした馬鹿げた代理店制度を後押しすることになる。結局一番馬鹿を見るのは消費者である。覚醒剤並の利益率を課せられた銃を騙されて買うわけである。正規代理店の製品というのは大半が流通マージンだと言うことを忘れてはいけない、銃本体の値段はその30%程度でしかない。

70%の価格は業界への寄付金だと考えた方がわかりやすい。

2年に1回、銃砲年間と言うカタログ誌が発行されているが、それには正規代理店のオンパレードである、この銃砲年間によると今回私が新製品として売りに出したウインチェスター 9410は¥250000である、これに対して当社の値段は¥89000である、レミントン、ペラッチ、の価格については、お気の毒なので正規代理店価格はあえて公表しない。
当社はどこの会社の銃器代理店資格も得ていない、それは代理店資格を得た瞬間から相当数の銃を販売しなければならない義務を負うため、どうしても流通経路に乗せる必要があり、結果的に高い値段を設定することになるのである。
ショットショーなどで、ペラッチを仕入れようとしてペラッチのブースに出向いて"売ってくれ"と言っても、ペラッチは日本の正規代理店****から買えと言われるだけである、しかし、アメリカで売っている店を教えろと言えば、親切に教えてくれるはずである。これは、直販は出来ないが、わざわざここから買えと言っているようなものである。こういう方法でいくらでも銃は買えるのである、私の知る限り、日本では6~8社くらいの会社はこういう方法でペラッチを仕入れて売っている、店頭で正規代理店経由として売っているかどうかは定かではないが、もしチャントした"定価"で売っているなら大した儲けと言うことができるであろう。

代理店資格をとれば輸入する原価は私の仕入れ価格より10%~20%は安くなるはずである、しかしながら、その反面、販売数をこなすと言う難問も抱えることになる。
よって私の提示価格より遙かに高い価格設定をせざるを得ないことがお解りいただけたであろうか、正規代理店から正規代理店価格で銃を購入すると言うことは、60~70%の部分が業界への寄付行為だとお考え頂きたい。
であるからして、私は生涯、いかなる親しい銃器会社でも正規代理店と言う看板を掲げることは無いと思う。これが私が正規代理店を受けない最大の理由なのである。 

暗闇の中での射撃

2001年 1月26日 築地

軍隊では、戦闘行為は必ずしも昼間に発生する訳ではない、同じく犯罪も必ずしも昼間に発生するわけではない、とすると、軍隊のスナイパーチーム、警察のスナイパーチームとも夜間狙撃を想定して訓練する必要があるのは当然の事である。
暗視装置が作られてすでに40年経過するが、初期の物と比べると装置の大きさは十分の一と最近の物は非常に小型化され価格も数百万円していた物が数十万円の単位まで安くなってきている、使用するバッテリーも単四2個と極めて省エネルギーで駆動するように改良されてきた。ナイトビジョンそのものは単なる暗視装置であり、ライフル銃の照準装置ではない、当然ナイトビジョンにはリテクルも弾着を調整する装置もない、これだけ見たのでは単なる暗闇の覗きでしかない、しかしこれにライフルスコープを組み合わせると夜間の暗視照準装置に変身する。

写真はナイツのSR-15の装着した夜間照準装置にユニットである、スコープはリューポルドのロングレンジスコープである、このスコープは300~1000ヤードまで簡単に照準調整する事が出来る、調整方法は上下左右のリテクルを調整して300ヤードで正照準に合わせる、照準が合ったら弾道調整のノブを300の目盛りの所に合わせる、後は射撃する距離に応じて、500ヤードなら500、800ヤードなら800にする事で簡単に弾道修正が出来るという優れものである。

ナイツSR-15 & 夜間照準装置
ナイツSR-15 & 夜間照準装置

308の場合使用弾頭は150GR、初速2900フィートで計算された、弾道通り正確に修正できるのである、308の他に223レミントン、300ウインチェスターマグナムなど、主に狙撃に使われる弾頭に合わせた3個のノブが付属で付いているので使用する弾頭に合わせて、ノブを組み替える事が出来る、これ以外の口径のためには任意の所にマーキングが付けられるブランクのノブも用意されている。

ナイト
ナイト
ナイト
ナイト

この弾道修正装置思いの外正確で、ほとんど狂いは起きない。実はこうした弾道修正装置付のスコープはここ3年くらいの間に民間に売られるようになってきた、昔からリューポルドで作っていたのであるが、主に軍隊向けで、民間には必要ないとリューポルド自身の自主規制で販売を自粛してきたのだが、最近ではスプリングフィールド、あるいはナイトフォースなどリテクルの中に弾道のドロップ量をマーキングしたスコープが販売されるようになり、リューポルドも自主規制の意味合いが薄れてきたので、自由販売に踏み切ったのである、長距離射撃をやるならば何と言ってもこのリューポルド、ロングレンジスコープが一番である。当社では13万円~15万円の価格で販売している。
このスコープの前にナイトビジョンを装置すると、夜間でもロングレンジスコープが見えるようになるのである、リューポルドのロングレンジスコープとナイトビジョンの組み合わせは最強の照準装置となる、最も日本では全く使い道はないが。

この業界の行方

2001年 1月25日 築地

当社のビジネスのスタートは、その対象を最初の内はベテランの人に限っていた、元々、私がファーイーストガンセールスを始める前は、全てのお客様がいずれかの銃砲店のお客様だったわけで、そのお客様を何らかの形で取り込むには普通の銃砲店では飽き足らない、そういう人向けに、もう少しハイレベルな技術サポートの出来る銃砲店でないと立ち行かないと私は考えたからである。
何故ならビギナーと言うか、うぶなシューターの多くは最初から近くの銃砲店に接点を求め技術的なサポートも、射撃指導も、射撃用品の購入もすべて地元の銃砲店に頼り切っていると考えていたからである。言葉は悪いが、地元の銃砲店では手に負えないような、訳知りの、うるさ型のシューターを私が一手に引き受けようと考えたのが元々の構想であった。

当社の値段は従来の銃砲業界価格からすると価格破壊とも呼べる値段であるが、その値段の安さを実感できる人は、すでに何丁も銃砲店から銃を購入している人が一番良く理解できるはずであると考えたからである。ビギナーの人にとっては本当に値段が安いのかどうなのか判断出来にくいと考えたからである。

 当社のHPをご覧頂いている方にはお解りだと思うが、どうやったら銃を持てるの、と言ったビギナー向けのノウハウコーナーは設けていない。最初からベテランシューターだけを対象としていたのである。
最近、銃砲業界では新人が来ないと言う深刻な話を銃砲店の関係者から聞く、新しく射撃を始めると言う人が減少していると言うのがこの業界の感触の様である。この業界としてはそうかも知れないが、当社では最近になり結構ビギナーの数が多くなっている、お客様の中には最初から銃とガンロッカー、装弾ロッカーを買い求めるので聞かなくても簡単にビギナーと解る。
最初からビギナーが来る、この現実はインターネットの普及によるところが大きいと実感している、多くのビギナーが先ず、最初に情報を求める先は、インターネットの世界である、インターネットが一番お手軽だからである、幸か不幸か、銃砲業界では入門書と言うべき書籍が劇的に不足している、その情報不足の穴埋めをしているのがインターネットなのである。

 物事を勘違いして、それでは銃砲関係の入門書を作成しようなどとしてはいけない、そんな本を作ったとしてもせいぜい初版3000部くらい出しておしまいである、版を重ねたとしてもせいぜい1万部であろう、銃砲店に置いてある業界唯一の専門誌"狩猟界"ですら1ヶ月の出版数は3000部くらいだと私は推測する、雑誌の発行部数はその出版社にとっては秘中の秘である、雑誌社の人間は絶対に正確な発行部数を言うことはない、それを言えば広告宣伝費が十分に取れないからである、秘中の秘の発行部数を言う場合でも多めに言うのが常識であろう、私は単に推測で言っているだけなので、本当の発行部数を把握して居るわけではない、念のため!
しかし、当社のカタログでさえ年間でで14000部製作しているのだる、当然余計に印刷することはなく毎回すべて配布しつくす、今年は2万部を配布する予定である、当然の話であるが無料配布である。

現在の時代は如何に情報を出すかにかかっている、カタログを有償でなんて図々しいことを言ってはいけない、ビジネスの展開は無償の情報を如何に出すかで勝負が付くと私は考えている、2万部のカタログを出すと1000万円は軽くかかるが、そんな費用は決して惜しくはない、むしろ安いくらいである。
インターネットのアクセスにに付いては、年間で15万件あるが、この数字は日本の銃砲業界のHPとしてはトップクラスであろう、銃を売りたいかどうかは、如何に多くの情報を提供するかに関わると言っても言い過ぎではあるまい。当社のHPは比較的短時間に更新をしているが、その度合いが銃を販売する上での意気込みと言うか熱意になるのでは無いだろうかと思う。
当社では毎年前年比30%UPの売り上げを上げている、当社1社の売り上げは大した数字ではないがそれでも通産省の統計からすると日本全国で輸入される総輸入銃の30%は当社1社で取り扱っている事になってしまっている。
インターネットの時代になって来ると、"地元の"という価値観が薄れてくる、必ずしも"地元"で購入するメリットが薄れてくる、はっきり言って日本全国から銃は当社から購入できるし、装弾は射撃場でも購入できる、地元ではせいぜい狩猟用の装弾の購入に利用されるくらいが関の山になって来ている。こういう話をすると、諸悪の根元はファーイーストの築地だと業界関係者は思ってしまうだろうが、ちょっとお待ちいただきたい! 私を悪者にするのは一向に構わないが、それでは事の本質を見失ってしまう。

日本国内の事例を持ち出すと感情的になり、事の本質を勘違いされてしまうので、海外の例を参考にお話してみよう、アメリカ西海岸のサンフランシスコの例を参考にしてみよう。1970年代はサンフランシスコに30軒近くの銃砲店があったのである、それが現在はハイブリッジアームス1軒だけである、30軒近いお店が閉店して1軒だけ残っていればハイブリッジアームスは大繁盛していてもおかしくないのだが、このサンフランシスコ最後の銃砲店ですら決して現状では大繁盛と言うわけでは無いのである。
しかし、1970年代にあったメーカーの多くは現在も健在である、勿論財務内容は悪くなっているかも知れないが、閉鎖した会社は数えるほどでしかない、1970年代からすると生産量は減少している事は間違いないが、メーカーは堅実に経営しているのである。
数が激減したのは小売の銃砲店だけである、だからこの業界からお客が居なくなった訳では無いのである、ヨーロッパでも同じ事が言える、ドイツでも1970年代をピークに町の銃砲店がポツリ、ポツリと消えて行っている。しかしドイツの銃器メーカーが消えたわけではない、顧客は依然としてドイツに存在しているのである。
最大の問題はそのお客が何処に行ったのかである。お客は消えていない!
世界中で起きていることだが、お客は"地元"の銃砲店からから値段の安い、在庫の豊富な銃砲店に移動しただけである。
スーパーが出来ると行って、地元の商店街が騒ぐのはお客がスーパーに流れるのが解っているからである。これと同じ事が銃砲業界、とりわけアメリカで最初に起こったのである、それは1980年代である、それがヨーローパまで広まり、そして今日本で起こりつつあるのである。では日本で生き残るにはどうしたら良いのかというと、アメリカ、ヨーロッパで生き残った銃砲店のやり方をそのまま履行するのが最良であろうと思う。
何がお客に求められているか、それを徹底的に考えれば自ら回答が出てくるとは思うが。 

ブッシュ政権とガンビジネス

2001年 1月23日 築地

今回のアメリカ大統領選挙ほど我々ガンビジネス業界の関心を集めた選挙はありませんでした、特に日本からこの選挙戦の行方を見ている人間にとっては、クリントン政権時代、銃による規制がどんどん行われ、日本への輸出許可の取得でも昔と比べてかなり煩雑になった事を実感しているので、ブッシュ政権に落ち着いてやっと一安心と言う感じを持っていた。プレスルームで、プレスでも無い私がターク高野氏に逆インタビューしたところ、

タークは私の考えている、(ブッシュ政権になるとガンビジネスはもっと良くなる)と言う推測と全く逆の事を言った。ターク高野氏は30年以上にわたり雑誌GUNに記事を書いているライターなのだがそれ以前にシーレンバレルのエンジニアだったし、ガンスミススクール時代の関係等々、この業界に取っては相当な事情通である、実際彼と会場を回るとかなりのブースで"ターク、ターク、"と声をかけられる、一流メーカーにはほとんど知り合いが居り、実に顔が広い、彼の紹介で私があるメーカーの社長と契約して、さてデポジット(予約金)はいくらですかと聞いたら、ターク高野の紹介ならデポジットは要らないと言われて驚いた、この業界では大した顔である。おっと話がそれたがターク曰く、昨年は勿論それ以前、つまりクリントン政権下では、銃は売れに売れたそうである、事実私も銃の輸入に関して如何に現物を確保するかで四苦八苦した、これはアメリカの景気が良いから売れているのだと解釈していたが現実は必ずしもそういうことでは無いらしい。
クリントン政権下では、犯罪者に対してはほとんど効果の無い政策をして、銃を正規に所持している人間には厳しく当たるクリントン政策をしてきた、こういう状況が続くと"世の中どうなるか分からない"と言うような、なんとなく社会的に不安定な雰囲気が多くの人を銃の買いに走らせたそうである。

今までの歴史の中で銃砲業界が最悪だったのは、なんとレーガン政権の頃だったそうである、レーガン大統領はNRAのライフメンバーだったし、自らが狙撃されても銃規制の法律は作らなかったし、銃器関係者に取っては最高の大統領だったのである、また軍事関係にも大きな予算を振り分け、軍事拡張競争をして経済的に軍事破産に追い込みソ連を負けに味合わせた大統領である、誰が考えてもレーガン政権下では銃器産業は潤いそうな物だが、ドッコイ、世論はレーガン大統領に対して、安心できる大統領、軍事力に力を入れ、治安を回復してくれた大統領と言うことになり、逆に多くの人が自らを守るために"銃を買いに走る"と言うことが無くなったのだそうである、勿論今みたいな訳の分からない銃規制などは全く無いのだが、この時が銃器業界にとっては最悪の年だったのである。であるからして、ブッシュ政権の誕生はレーガン政権下の過去を知っている業界関係者にとっては、何となくアメリカのマーケットに暗雲が漂っているような不気味さがあるのだと思える。

逆にブッシュ政権になったのだから、場当たり的に作ったとしか思えないようなクリントン政権時代の訳の分からない銃規制がすべて撤廃されるのかと思ったら、やはり一度出来上がった法律だから、これを規制緩和の方向に持っていくことはないと言うのがタークの意見であった、従って銃規制は従来とおり、多くの人が銃の"買い"には走らないという銃砲業界には最悪の社会情勢! 銃砲業界は当面頭の重い展開になるかも知れない。 

ガンビジネスと第三国人

2001年 1月20日 築地

日本では第三国人と言っただけで馬鹿新聞が、差別だ、差別だ、と騒ぐので、えらい人はおちおちコメントも出来ないだろうが、今回のガンショーほど第三国人が沸くように会場につめかけたショットショーは初めてである、極めて異常な展開と言う外はない。
ショットショーはガンビジネスのトレードをする場所である、私も幾つかの商談をこなした、お互い握手してビジネスの成功を目指し事にした。

しかしながら第三国人達は、ガンビジネスのためにやってきた人たちではない、現実に考えてみれば簡単に分かるが、中国、あるいは台湾で、銃器を購入するようなマーケットがいきなり出現するわけがない、多くの第三国人が、パーセンテージで言えば限りなく100%に近い第三国人が、このガンショーで"模倣できる物がないか"と目を皿のようにして探し回っているのである、間違っても商談する場面には出会わない、会場のそこそこで第三国人同士でひそひそ情報交換はしあっているが、北京語や広東語なので何を話しているか知る由もない。会場で必死にカタログを収集しているのは、それを購入する為ではなく、それよりも激安の模倣品を作るための情報収集である。

今月号のGUN誌にスイスのシグ拳銃を模倣した中国製の拳銃のレポートが出ているが、あれでは開発費も試験研究費も一切かけないでお安く出来てしまう、あれをやられたらメーカーも大打撃を被る、模倣をすることについて第三国人達は一切罪の意識がない、それが最大の問題である。

模倣品を作るという事はエンジニアとして最も恥ずべき行為だが、日本のホーワライフルは昔のサコーのデッドコピーである、ホーワライフルの宣伝の何処を見ても、サコーのアンダーライセンスを得て作ったとは一切書いていない。つまり、"パクリ"であろう事は容易に想像が付くが、こんな事をして恥ずかしく無いのだろうか? 設計者は何とも感じないのだろうか? 外国の人間から見ればこんな物を作っただけでその会社が如何なる物作ろうとも永遠に3流会社の評価しか得られない事を歴代の経営者は気づかなかったのだろうか? 豊和工業のような一部上場会社でもこうしたパクリを平気でやっている体質に愕然とする。
今回のガンショーではホーワライフルは展示されていなかったように思うが私の錯覚だったのだろうか? 仮に展示していてもパクリの銃などだれもジャンクとしか見ないであろう、だって絶対にサコーより高く売れるわけが無いかである、この銃、アメリカで実際価格はいくらなのかな? $400位でしょうか? とすれば日本の工場出し値価格は$200ですよね、この銃日本でいくらで売られていますか? 雑誌によると日本国内では$2000以上しています。いきなり0がひとつ多くなるのです、まさしく覚醒剤並の利益率ですね。こういう流通体制が業界用語で言う、足並みをそろえると言うことなのでしょうか? アメリカ人から見れば、我々日本人も第三国人と言うことになるのでしょうね。 

レミントンの失敗

2000年 8月25日 築地

日本の景気は回復したか? と言うことが色々な媒体で言われているが、私の個人的な意見で言うと回復した企業もあれば、さらに業績が悪化した企業もあるであろう、今までは概して横並びであった日本の経済は今大きな過渡期に立っていると思う、これからは業績の良い会社と悪い会社が決定的に選別されるのではないかと思えてならない。
私の生業とする銃砲業界も今年は昨年よりも業績の悪いところが大半ではないだろうか、それを裏付けるように東京都の統計によると都内の銃砲店は3割が閉鎖したそうである。
幸いなことに当社は毎月の統計で見てもここ数年間、常に前年比20~30%平均の売り上げUPが継続している。現在の所2位以下を大きくリードしてダントツの1位であることは間違いないであろうがこうして売れている間は調子に乗りがちだが、過去の経験からすると、案外ここに大きな落とし穴が隠れているものである。

私も来年は調子をこいて商品相場に手を出し、あえなく倒産などと言うことに成らないよう気を付けなければと想うこの頃である。
かつて私もバブルの頃は株式相場で数千万円の利益を上げたのだが、バブル崩壊後動きの少ない株式相場に嫌気がさして、値動きの早い商品相場に手を出し、数ヶ月で数千万円をすってしまった事がある、そのおかげで為替の読み方は今でも下手な経済アナリストよりもよっぽど確かで、現在も為替の読みでは大はずれしないですんでいる。
こうした事が銃の仕入れには多少役立っている現在である。

さて、アメリカの好景気は数年前から現在も続いていて、銃砲関係も好調な売れ行きである、当然レミントンも売り上げが上昇していた(のだがと過去形にしておく)、アメリカのビジネス方法としてボリュームデスカウントと言う方法が多くの場合に取り入れられている。5丁仕入れる銃砲店と、100丁仕入れる銃砲店では仕切り値段が違うのである。この値段が違うという事の外に、買い入れ量に応じてキックバックと言う、リベートが払い戻される。
従来の銃砲業界で言うと、このキックバックリベートを受け取れるのは、デストレビューターと呼ばれる、いわゆる問屋さんだけであった。
この問屋さんと同じ規模と言いたいところだがその何倍もの規模で大量購入するところが現れた、それはK-マート等に代表される、いわゆる巨大スーパーマーケット群である。
アメリカのスーパーマーケットと言うととてつもない大きな規模である、それが全米ネットで銃を仕入れたら、それこそとてつもない注文が舞い込むことになる、その総数に応じてボリュームデスカウントを実施するとなるとレミントン始まって以来の値引率になったことは間違いない、販売価格も常識はずれで銃砲店が仕入れる価格より、スーパーの店頭で売られている価格の方が安いという逆転現象が起きるようになった。当然銃砲店の店頭からはレミントンの銃は徐々に姿を消していくことになる。

異変が起きたのは銃を使った事件がテレビ等で大きく報道されるようになってからである、特に学校で銃を使った殺傷事件が多発するようになり、銃に対して風当たりが急に険しくなってくると、多くの家族がショッピングするスーパーマーケットでは徐々に銃の取り扱いを止めるところが増えてきた、特にチェーンストアーなどは本社が取り扱いを中止すれば全国的に中止するわけであるから、その影響は相当大きい数字となる。
そして現在では銃を取り扱っているスーパーマアーケットはほとんど存在しないところまで来ているのである。
レミントンとしても大弱りで、セールス担当の社員に営業に当たらせたのだが売れるところは銃砲店しかない、しかしながら今や銃砲店のオーナー達は、レミントンがスーパーマーケット群に銃砲店が立ち居かないような値段で銃を卸していた経緯があるので、今度はレミントンだけは意地でも売らないと言う雰囲気になって居ることにすぐに気付く事になる。レミントンボルトアクションライフルに対抗する銃としてはサコーがある、自動ライフルに対抗するにはブローニングがある、散弾銃に至っては、ベレッタもブローニングも、ウインチェスターもある。
銃砲店の方で、こちらの銃が故障が無くて良いですよと言えば、どちらにしようかと迷っているお客ならためらいもなくレミントン以外の銃を選択することになる。

その影響をもろに受けてレミントンの業績はがた落ちとなった、会社の格付けも落とされ、業績不振の会社と言うことになってしまった、このアメリカの好景気の時に絶好の稼ぎ場を無くしたことになる。おいしい所はみんな他のメーカーに持って行かれてしまったのである。ここまで書くとレミントンの銃はマーケットに満ちあふれていると思われると思いがちだが現実問題はそれと逆の現象が起きているのである、それはレミントンの製造システムに根幹がある、レミントンはライフル、散弾銃を合わせると60種類くらいの銃があるが、そのいずれも、1種類で8000丁の注文がないと製造にかかれないシステムが出来上がっているのである、もっとわかりやすく言うと1種類8000丁が採算ベースなのである。これ以下の数量で生産すると間違いなく赤字になってしまうのである、従っていくら注文があっても8000丁以下では作れば作るほど赤字と言うことになり、結局作れないため市場からレミントンが姿を消しつつあるのである。

今やレミントンは超品薄ブランドである。

法改正の裏話

2000年 6月11日 築地

ライフル銃を所持するには、装薬銃で10年の経験を要するのはご存じのとおりだと思います、無知なのか悪質なのか解りませんがある警察などは一般人が法律に疎いことを利用してか、狩猟で10年の経験が必要と、とんでもないデタラメな事を言っていますので警察に騙されないように気を付けてください、法律は勝手に警察が決められる事ではありません、司法、行政、立法、いわゆる三権分立は民主主義の法治国家の根幹に関わることですから勝手に警察が法律をねじ曲げないようにみんなで監視しましょう。

さて、今日は何故このような法改正がなされたのかその裏話をしてみます、しかしながらこの話は私が聞いた話なので話の内容については真実かどうかを保証している訳ではありません、この話をしてくれたのは日本ライフル射撃協会の会長であった安斎実会長です。
すでに故人となられているので一方的に私の話になります、事実は違うと言うところがあれば私の聞き間違い、私の勘違い、安斎さんがそんな事を話すわけが無いと言うのであれば、私のボケが進行しただけで、現実と想像がグチャグチャになって書いたコラムだと思ってあっさりと忘れてください。

ライフル銃を所持するために装薬銃で10年の経験を要すると言う法律が立法化されたとき、私はアメリカに居ました、アメリカのウエザビー社でガンスミスとしての修行中の時でした、1970年の時です。ご存じのようにウエザビー社はマグナムライフルで売り出した会社でしたから、扱い商品のほとんどはライフル銃ばかりです、当時、ウエザビー社では豊和工業にライフルを製造させていましたので、事務連絡と販売を兼ねたウエザビー日本支社を作る計画があったのです、一応私はその要員と言うことで計画に参加する予定だったのですが、その日本での銃刀法改正を受けて、ウエザビーでは今後日本国内ではライフル銃は売れないと言う判断に至り、日本支社設立の計画がご破算になった経緯があり、少なからず私は法改正の影響を受けたことがあります。ですからその法改正の経緯には個人的な事情もあり、事の外関心を持っていたのです。
アメリカでの修行を終え日本に帰ってから相応の日時が経ったとき、安斎会長から法改正の経緯を説明されました。
警察庁がどの様な経緯で法改正を持ち出してきたのか、その仔細については承知していませんが、ライフル銃を犯罪に使われた場合射程距離が長いことが問題になっていたようです、要するに警察としてはライフル銃を一般に持たせたくないと言うのがその本音です。
その様な法改正を提示すると、当然それに反論を唱える団体があります、その意見を聞くために猟友会と日本ライフル射撃協会に警察庁から声がかかってきたそうです。
話が飛びますが、普通自動車免許から二種免許を取得するには普通免許で三年の経験が求められます、二級建築士から一級建築士を受験するためには同じく二級建築士での三年の経験が求められます、大体世の中の常識としてワンランクアップさせるためには、三年の経験を要するとするのが一般常識です、しかしながら警察庁はこれを装薬銃で五年の経験がないとライフル銃を所持できないとしたかったらしいのです。
しかしながら法改正委の案を提示するとき、五年経験の案を提示すると、当然にして関係団体から反対され、間を取って三年と言うことになりかねないと考えた警察庁の人が、それならば10年経験を要すると言う案を提案すればとなったそうです。しかし殺人の前科があったとしても7年で所持許可の資格は免除になるのですから10年は無謀だとの意見も無くは無かったと聞いています。

ところがその10年案を提案したところ、猟友会の長老達は"はい、いいです"とあっさり法改正案を飲んでしまったそうなのです、安斎さんが確認を迫ったところ、俺達は10年経験があるから良いよ! と言われて安斎さんは思わず絶句したそうです。
しかしライフル射撃協会はとうてい飲める案ではありません、ライフル射撃競技は最初空気銃から始めて1~2年位でスモールボア射撃に移行するのが常でしたから、10年経験を要するなんて法律をとおされたら、学生は全員卒業してしまいます、これではライフル射撃競技は成り立ちません、安斎さんは強行に反対したそうです。
そうしたら警察庁は、ライフル射撃協会に関しては、推薦状があれば装薬銃の経験が無くてもライフル銃の所持を認めると言う案を提示したそうです、これでは反対する理由が無くなり、ライフル射撃協会は推薦状があれば何時でも所持でき、猟友会の所持は10年経験を要するとなったそうです、猟友会と言うのは狩猟免許などの事務手続きをする団体かも知れませんが、会員の権利を守るためには何も出来ない団体だと思えてなりません。
特に法律に関して現実問題その相談窓口もありません、事実法律絡みで猟友会に相談をした人は、猟友会はそういう相談を受け付けるところでは無いと断られ、私の所に法律の相談に見えたことがあります、私は単なるガンショップのオヤジです、法律相談を受ける立場ではありませんが、私で出来る範疇で法律の説明をしたところ、それだけで問題が簡単に解決した事もあります。
アメリカのNRAみたいになんて高望みはしませんが、猟友会はもう少し会員の相談を親身に受ける組織になって貰いたいものだと思わずにはいられません。

あ、勿論、同じ猟友会でもこのコラムを読んでいる貴方は別ですよ!

商売の手の内見せます

2000年 4月12日 築地

ビジネス上の手の内と言うのは、当然にして誰でも秘密です、しかし私のコラムも段々ネタ切れに成ってきましたので、この辺で私の商売の、手の内でも開かしてHPのアクセス件数を上げたいと思います。

私の商売は他の銃砲店とはかなり商売のスタイルが異なります、直輸入、直販、そしてその多くが通信販売で占めています。残念ながら店舗はありません、ビジネスをする事務所ですら普通の住宅地にあります、この場所は駅からは遠いし決して立地条件も良くありません、それに私の会社はたった二人だけで構成されています、私は一応は社長と言う立場ですが、たった二人だけの会社ですから、近所の八百屋さん、魚屋さんの方がはるかに会社の構成員の数から言えば大きいはずです、こんな程度なら、脱サラした人でも簡単に始められそうなビジネスではありませんか、そうした人たちに多少でも参考になれば、あるいは新しい銃砲店のスタイルを模索している日本全国の銃砲店の経営者の人たちに多少でも参考になれば、そんな気持ちでこのコラムを書いてみます。

当社の顧客数は約10000人いらっしゃいます、通常の銃砲店の感覚からすればとんでもない多くの数です、しかも業界紙には一切の宣伝広告が出来ない状態なのですから。
しかし実際にビジネスに繋がっているお客様は6000人位でしょう、のこりの4000人は今ビジネスにならなくても将来的にビジネスになれば良いのですから出来るだけ多くのお客様を取り込むようにしています。
雑誌、狩猟界の発行部数は私の推測では3000部です、GUN誌は10万部ですが95%がオモチャ関係ですから、当社の対象となるお客様はGUN誌と言えども5000人位です。
こんな中で当社はかなりな顧客数は把握できていると考えていますが、しかしながら全国で銃砲を所持している人は20万人居ますから、まだまだ掘り起こしは可能です、当社では一昨年から全国の猟友会名簿を元に2年かけて日本全国の名簿データーベースを作成しましたが、実を言うとあまり役には立っておりません、なぜならあまりにも膨大な数なのでダイレクトメールの出しようが無いからです、当社では毎年2回セールのカタログを作成して6000名の人に無償で配布していますが、この費用だけで年間数百万かかります。もしこのDMを20万人の人たちに年2回配布したら、簡単に一億円以上が吹っ飛んでしまいます、従ってこの膨大なデーターは現実には使うに使えない物になってしまいました。

本当は多くのお客様が当社のHPにアクセスして、メールでどんどん注文をしてくれれば最高なのですが世の中そんなに旨く話は進みません。
銃砲所持者の構成要員を年齢別に分析すると、60代40%、50代40%、40代15%、30代5%、と言うのが大体の構成要員ですから、とてもインターネットの世界にアクセス出来る雰囲気はありません。
こういう人たちにアピールする最大の宣伝は"口コミ"です、これが最大の効果を生みます。
特に狩猟の世界では、リーダーになる人が銃を買うと、それに影響されるというか、その流れに入る人たちが大半です、従って一度お客になった人は極力取りこぼさないように考える必要があります、そこで大活躍してくれるのがコンピューターです。
当社には購買層となるお客様は6000人いらっしゃいますので、電話が来たときに何処の誰かを瞬時に把握しなければなりません、特に以前買い物されたお客様の場合はその情報は絶対に把握出来ていないとビジネスの話が出来ません。

当社の顧客データーはマイクロソフト社のアクセスと言うデーターベースに入れてあります、保険会社みたいな膨大な数では無いので6000人というと、コンピューターから呼び出すのに、1秒もかかりません。そうして呼び出した顧客データーには、何時、何を幾らで買って、代金をどういう方法で支払ったから、あるいは単にヒヤカシだけの電話だったか仔細に書いてありますので、一度商品を買ったお客様で、支払い状況に問題が無ければ、そのお客様には数万円する商品でも代金後払いで安心して送ることが出来ます。
また最近では番号デイスプレイシステムが在りますので、誰からの電話か瞬時に検索も出来ます、しかし電話の20%位は公衆電話、会社からの電話、携帯電話、ですのでこれは相手先が解りません。しかし名前をお聞きすれば、瞬時にデーターを開示する事が出来ます。多分、お客が100人も居ない銃砲店より案外当社の方がより親密に話が出きるかも知れません。最大の懸念はコンピューターがクラッシュした時や、データーが紛失したときですが、そのリスクを出来るだけ回避するため、自宅と会社に予備のコンピューターを置いています、会社のコンピューターシステムには最近サーバーを導入しました、そのサーバーに社内LANで2台のコンピューターを接続しています、社内は2人しか人間が居ないのでいくらコンピューターが在っても2台しか使いようが無いのです、昔、サーバーと言えば我々にはとても手が出ない値段でしたが、今では劇的に安くなりました、これでは利用しない手は無いでは無いですか。
銃砲店のビジネスをやると、銃の出入り、それは法律上からも完璧に把握しなければなりません、販売銃の在庫状況は私が管理していますが、これはこれから入荷予定の銃も管理しているので実際の銃砲台帳とは内容が異なります。

法律で定められた銃砲台帳、それと経理のデーター入力は当社の人間ではなく、自宅でアルバイトする人に任せています。データー入力だけですから何の問題もありません。
これを全部社内でやったら後2人は社員を増員しなければならなかったでしょう。
インターネットの世界は、どんなに遠くに居ても二階に居る人とコンタクトしている様にデーターのやりとりが出来るので、実際に社員を抱えているのと同じ感覚で使えます。
銃砲台帳もアクセスをベースに当社独自のフォーマットを作成しました、帳簿は市販の経理システムを導入していますのでデーターさえ入れれば仕分けも計算も自動ですから間違いはありません。これらの全てはコンピューターが無ければとうてい出来なかった作業です、銃砲台帳も、経理帳簿も、基本的には何の利益も出さない作業なのでこれらの仕事を如何に安くこなすかは銃砲店経営で極めて大切な事です。

当社はお客様からご注文頂いた時点でご入金頂くシステムですが、これは決して評判が良いとは思わないが、これが無ければ成り立たない位大切な事なのです、と言うのは代金を払って貰ったからと言って、必ず銃を引き取って貰わないと保管庫がたちまち満杯になってしまいます、もし代金後払いと言うことになれば、途中で勝手にキャンセルしたお客様の銃の管理に不必要な時間をとられる事になります、信じられないかも知らないが代金を払っても銃を引き取られない方が少なからず存在するのです、こうしたお客様の場合、一年を経過したのに引き取られない場合は返金して注文をキャンセルしていただいているが、もし代金を受け取らずに管理していたらその煩雑さは相当な物になるで在ろう事は容易に想像できるではないですか。
1ヶ月100万円程度の売り上げならこうした管理も容易でしょうが、当社は昨年夏のセール時には1ヶ月で5000万円の売り上げを上げているのです、それも大半が値段の高い、ペラッチなら問題は無いのですが、ほとんどが10万円程度の銃であるので、多い日は1日30丁の銃を売ることもあります、これの管理を1年の期間やっていたら簡単に保管庫の容量がパンクしてしまうでしょう。
1日30丁売ると、終日、請求書と譲渡承諾書等の書類作成で終わります、とても銃砲の管理の時間はとれないのです、如何に無駄をなくすかと言うことからすると、入金の無い場合は注文を受けないのが一番合理的なのです。

仕入れに関しては出来るだけ安く仕入れると言う大命題が在るのですが、実はこの銃砲業界は徹底的な合理化が進められたため、メーカーは絶対に過剰生産はしないシステムになっているのです、日本人の感覚からすれば、お金さえ払えば何時でも商品が好きなときに入ると思いがちだが、ドッコイ、このビジネスはそこが大きな落とし穴なのです、この業界の"お約束"は事前に1年間の注文を出しておかないと全然銃が入荷しないことになりその時になって完全にパニックになってしいます、売れない銃は市場に余っているのですが、売れ線の銃は常に品不足の状況にあるのです、日本のお客は世界一わがままだと言えば、多くのひんしゅくを買いそうだが、外国のデーラーと交渉して、その雰囲気のまま日本のお客と対応するとどうしても態度が横柄になってしまう(私の対応が横柄なのはその為であるので決して誤解の無いようにお願いしたい)
どこの世界でも同じかも知れないが、品物が無いからと言って仕入先はあまり転々と変えない方が良いでしょう、何故かと言うと、この世界思いの外狭い世界なのです、特定の銃を仕入先が持っていないからと言って他の所に注文を出すと、そこがまた他の所に在庫状況を聞くので簡単に相手先に漏れてしまうのである、仕入先を転々とすると、今までの仕入先からも、もうまともに相手にされなくなってしまう恐れがあります、ではメーカーから直接仕入れないのかと皆さんから聞かれそうだが、私がそんなリスキーな選択をする訳がない、もしメーカーに注文したら、その途端にその情報は日本の代理店に流されるだけで、何の意味もない。
そんな訳で実際に銃を注文する場合は力のある代理店を利用するしか無いのである、そうすると、みずみすその代理店にコミッションを抜かれるが、それは経費として諦めるしかない。であるからして、平行輸入物は品物が違うと言う日本の代理店の主張は確かに的を得た指摘である、なぜなら代理店が購入する銃は、私が購入するよりもさらに10%~30%も安く購入できているからである、私みたいに中間業者が介在しない以上当然の事である。

どうです、脱サラしてガンビジネスやってみますか?

GUNビジネスと人種差別

2000年 4月 9日 築地
追記 2000年 4月24日 築地

私のコラムはアメリカに在住している人たちも閲覧しているので、この書いた内容に関して、そのとおりだ! と言う意見も在るかも知れないし、あるいは的はずれだと言う指摘も在るかも知れない、しかしながら、いかなる批判も、いかなる指摘も甘んじて受けるが、少なくとも私はそう感じたのでこの今まで誰も書かなかったことだが、コラムを書くことにした。

1970年、私は不安と希望を抱いてアメリカに渡った、GUNビジネスを生業とするためである。1960年代のアメリカは公民権法の承認を巡って人種差別問題が大きな社会問題となっていたが、実際にカリフォルニアで生活してみると全く人種偏見を感じる事は無かった、銃の制作現場でも多くのアメリカ人が色々親切にしてくれた、それらの人達空はほとんど家族同様の処遇を受けたと言って良い、少なくとも人種的な偏見は全く無かったと断言できる。

しかし、アメリカでGUNビジネスの世界にどっぷり生きている間に、GUNビジネスの業界ではほとんど黒人が居ないことに気づいた、皆さんも手元にアメリカの銃雑誌が在ったら開いて見て貰いたい、その中の何処にも黒人の写真は一枚も無いはずである。
ハンテングの雑誌、銃器の雑誌、何でも良い、黒人の射手は一枚も写っていないはずである。日本に居ると全く意識する事はないが、今まで何気なくアメリカのGUN雑誌を見ていた人は、よくよく意識して全ての写真を熟視して見て貰いたい。

アメリカのGUN雑誌には黒人の写真は一枚も無いはずである!

黒人が本質的に銃を嫌いならこうした事も解らないでは無い、しかし黒人街で未だに銃の乱射が絶えず銃によって多くの黒人が命を落としているのも事実である、そしてそれを撃っている加害者もほとんどの場合が黒人である。で、あるからして黒人が銃を所持していないと言うことではない、銃が多いから社会問題となっているのである、事実銃砲店に行くと黒人が拳銃を購入している場面にはよく遭遇する事がある。
しかし、私がレポートしたGUNビジネスのイヴェント、ショットショーでも、黒人に出くわすことはまずあり得ない。
ショットショーの会場では日本人を見かけることは多々あるが、黒人は何故か一人も居ない。ショットショーの会場では日本人は少数派であるが、黒人はゼロである、来場者は数万人とも言われるが黒人が一人も居ないのは、どう考えても極めて異常な世界である、展示している側は勿論、お客としても存在しない。仔細に考えるとかなり異常な世界である。

私が、この異常な世界に初めて気付いたのは渡米してすぐの事である、GUNビジネスの世界で私に親切にしてくれた人たちは、この世界では私はあくまでも "お客さん" であるからである。
勿論、日本人であっても、この世界で生きていく事も問題はない、しかし当時の私はビジネスの頂点を極めたかったのです、勿論その事は簡単に出来る事ではないし、私に出来るとも思えなかったのだが、当人の能力以外の事でGUNビジネスの頂点を極めるその道が最初から閉ざされているとしたら早めに方向転換する方が賢明と言う物である、そのため私はアメリカでの修行を終えて、アメリカでは無く、日本でGUNビジネスの頂点を極める事に目標を改めた(勿論、現在に至るも頂点は極めていないので誤解の無いように、これはあくまでも目標である)
これは単なる人種差別と言う簡単な問題ではない、銃は白人社会の物なのである、ジャズやブルースが黒人の物であるなら、カントリーは白人の物である。善し悪しでは無い、それが文化なのである。私はカントリーソングが好きなので衛星放送でカントリー音楽専門を24時間放送しているチャンネル、CMTと契約しているが、私は今までこのチャンネルで黒人が歌っているのを見たこともない、しかし、誰もそれが人種差別だとは指摘しない、これは人種差別ではなく文化なのである。同じように白人がブルースを歌っても似合わないでは無いか。ここまで書くと、アメリカ社会は病んでいるよ思いがちだが、それでは皆さんにお聞きしたい。

かりに、黒人の刀匠が居たとしよう、全く同じ技量の日本人の刀匠も居たとしよう、売っている値段が全く値段が同じだったら貴方はどちらから買います?

結果は聞くまでも無いでしょう、しかし、刀匠の技術を学びたいと言う黒人が居たら多分大歓迎をされるのでは無いかと思う、それは日本刀の制作現場では黒人は "お客さん" であるからである、丁度、白人社会でGUNビジネスをやろうと目指した私の様に。

私がGUNビジネスをアメリカで始めたとしても、そこそこのビジネスは出来るであろう。頑張れば小さな銃砲店の店主、あるいは、運に恵まれ才能にも恵まれたとして、最高に出世して大会社の副社長、せいぜいそこまでである。出来る、出来ないの問題ではなく、コルトの社長が日本人では絶対にまずいのである。
日本人が寿司屋のオーナーになっても問題は無い、コンピューター会社の社長になっても問題はない、しかし、銃器会社の社長はまずいのである、コルトも、スミス&ウエッソンも、ウインチェスターも、レミントンも、まずいのである。もし日本人が社長になったら、多分その会社の売れ行きは激減するであろう。善し悪しでは無くて、それが銃社会の美学なのである。この事は単にアメリカの問題ではなくヨーロッパでも同じ様な事が言えるであろう。私は毎年ドイツにも行く、批判を承知であえて書くが、私はナチスの政策には心情的に賛同できる物がある、ヒットラーの書いたマインカンプは基本的には人種問題だと考えている、さすが日本語版では削除されているがオリジナルのマインカンプでは日本人の事も相当悪く書いてある、しかしそれはそれでいい、戦争の多くがこの人種問題から端を発していることを思うと、当然にしてこの問題を避けて通れはしないであろう。
私自身ヒツトラーの書いたマインカンプを読んだ為に多少はナチスの事情には通じているが、ある時、GUNビジネスで知り合ったドイツ人にビールを飲む席で、"ナチスも悪くなかったな"、小声で言ったら、かなり意気投合して話が弾んだ、私はむしろ怪訝な目で見られるのを承知であえて言ったのだが、どうも話を聞くとドイツでもGUNビジネスの世界では、思いの外ナチスが多いそうだ、日本ではナチスと言うといきなりヒットラーを連想されると思うが、ナチとはドイツ語で言う所のナショナリズムの事であるから、どんな国でも国民の間に自然にある思想である、逆にナショナリズムの無い国は独立国として存在し得ない、どこかの属国でもなった方が賢明だろう。
ネオ、ナチと言うと頭を丸刈りにした怖いお兄さん達の集まりみたいに言われている一面もあるが、ネオ、ナチとは、ドイツ語で言う所の、新ナショナリズムの事であるから、この事もどこの国民でも抱くごく常識的な感情であることを説明しておく。

さて話は変わるが、先月、アリゾナ州フェニックスで開催されたベンチレスト射撃競技、カクタスシュートに参加してきた、250名の参加者の中で、たった一人だけ黒人の選手が居た、チャントした銃を持ち何の遜色もない選手だったが、驚いた事に誰も彼に話しかけない、"完全に無視"と言う感じである、私が彼の立場だったらいたたまれない感じがしたであろう。
ベンチレスト射撃の世界では、みんなそこそこの成功者が多い、彼も多分、黒人社会の中では成功者の部類かも知れない、そして希望を持って大会に参加してきたのであろう、しかし、多分来年の試合で彼を見かける事は無いであろう。
射撃大会は、白人社会の所有物である、これは私が初めて渡米した30年前と少しも事情は変わっていない、いやいや数百年前から全く変わっていない、そして私が生きて射撃をやっている間は多分変わることは無いであろう。


追記 2000年 4月24日

★★ 読者からの意見 ★★

コラムを読ませていただきました。築地さんのGUNビジネスのフロンティアとしてのご苦労は真に尊敬申し上げます。
ただ「GUNビジネスと人種差別」のなかで、「かりに、黒人の刀匠が居たとしよう、全く同じ技量の日本人の刀匠も居たとしよう、売っている値段が全く値段が同じだったら貴方はどちらから買います?
結果は聞くまでも無いでしょう、...」の記述、及び「射撃大会は、...、そして私が生きて射撃をやっている間は多分変わることは無いであろう。」との記述に関して、確かに築地さんが「そう感じたのでこの今まで誰も書かなかったことだが、コラムを書くことにした」ことは画期的なことです。しかし築地さんが日本でGUNビジネスの頂点を極める事が目標であるほどの影響力を持とうとする人であるのなら発言にはもう少し優しさが必要です。日本(もしくは日本語を読める人)には、黒人の方々をはじめとする自己回復不能な差別を受けている外国人や被差別地域出身者、AIDS患者をに代表される不治の病の病人、そして現代でも不当に差別を受けつづけている女性がいます。築地さんの上記表現はそれらの人々の一部に悲しみと恐怖を与えてしまうのです。築地さんにはぜひとも「黒人の刀匠」を選んで欲しいし、「射撃をやっている間は多分変わることは無い」のかもしれないが人種間の障壁撤廃には努力して欲しいと思っています。頂点を極める強い人は思いやりのある人でなければなりません。またインターネットを使い、国を超え人種を超えてビジネスをしようとする人は、多様な人々の気持ちを理解しようと努力しなければなりません。
どうか私の願いが築地さんのホームページ上にもいつしか表現されることをお祈りしております。

4月24日、上記のコメントがありましたのでご意見として掲載致します。(築地)

大藪春彦さんと私

2000年 3月27日 築地

1971年、私はアメリカでのガンスミズの修行を終えて帰国した。
アメリカでハート、ステンレスバレスの銃身を使用した射撃専用銃を自作して持ち帰り、その年北海道真駒内で開催された全日本ライフル射撃選手権に参加した。
大会の宿舎で初めて大藪さんにお会いした、私から声をかけたのではなく、大藪さんの方から声をかけられた、それまでアメリカでの修行の様子を、雑誌"狩猟界"に3回の原稿にして寄稿していたので日本に帰国したときはすでに大藪さんは私のことをご存じだったようだ。
当時、日本では銃器に関する情報は極めて乏しく、私の知り得ている範疇の事でも非常に興味深げにお聞きいただいた記憶がある。そのご縁から大藪さんの銃のメンテナンスを依頼されるようになり、亡くなられるまで何本かの銃身を交換したりさせて頂いた。
大藪さんとお会いになった人ならすぐにお解りになるのだが、大藪さんの書かれる小説の主人公と大藪さんは、ちょうど正反対の人物になるのではないだろうか?
まあ、射撃はそこそこ撃たれていたが、それ以外は小説の主人公、伊達邦彦とは真反対のイメージで考えられると良いと思う。
昔、ある書店の企画でサイン会で横浜に行かれた折りに、私も一緒に中華街に呼ばれ食事をしたことがあるが、中華の場合は飲まれる酒がマオタイ酒なのには驚いた、これをロックでガンガン飲まれていた。酒が回り、女性の話になり、話はかなり隠微な話題に及び、隠微から陰毛に話が流れ、陰毛の色と頭髪の色との話になり、陰毛の色と眉毛の色は同じですよと私が話したら、非常に驚かれていた、私にすれば常識みたいな事なのであるが、思いの外大藪さんはそうした事の経験は少なかったようである。売れっ子の作家であるから一人や二人のガールフレンドは居たのだろうが、大藪さん自身、あまりモテモテだったと言う話は伝わっては来ない。
私の主宰する、ベンチレスト射撃協会では大藪さんの先輩であった早稲田大学の射撃部OB、Kさんに色々ご指導を仰いでいるが、大藪さんの事を"大藪"と呼び捨てにされたのは私の知る限りKさんだけであった、大藪さんは早稲田大学を卒業されたわけではないのであるが、後年早稲田大学の射撃部監督をされた、これにはKさん等、早稲田大学のOBの方たちは少なからず不満を持たれていたようである、大藪さんを早稲田大学の監督にしたのはまた別の思惑のある人達の動きだった様に思える。
大藪さんも、早稲田大学射撃部監督と言う名前を、御自分への値打ち付けに使われたのかも知れない。私も週刊誌のグラビアで何度か拝見した事がある。
大藪さんはアラスカ、モンゴル、南アフリカのハンテング紀行を、雑誌として出版されているが、これも小学館が、頭から尻尾まで一切丸抱えで面倒を見た経緯があり、我々の間ではハンテングとしての評価はあまり高くない。
ニュージーランドのハンテングガイドをしたのが宮川さんである、雑誌の中に大藪さんの記述で"私の若い友人、宮川雅雄君"というフレーズで書かれているが、これも同じくベンチレスト射撃協会のメンバーである宮川さんの事である。で、宮川さん曰く、大藪さんのニュージーランドハンテングはヘリコプターでの移動で、あまり足で歩いたハンテングではなかったそうである。
最も、今の私も足で歩くハンテングなどとても出来ない体になり、普段からの不摂生と自堕落な生活が大藪さんと同じような体型、そして同じような体質になってしまった。
宮川さんの話では、大藪さんはいつも大量の薬を愛用されていたそうである、オーバーな話かも知れないが、常時段ボール1杯の薬があったそうである。
それが何の薬だったのかは今となっては不明だが、結果的には薬の飲み過ぎが結果的に老化、あるいは病の進行をを早めたのかも知れない。
私が最後に大藪さんの仕事をさせて頂いたのは銃身交換であった、それは大藪さんの別荘の在った軽井沢の射撃場で、ライフルスコープの照準調整をするボアーサイターのアーバーを銃身の中に入れたまま弾を撃ったので銃身が膨らんだので交換してももらいたいと言う依頼であった、大藪さんに話を聞いたら、弾を入れて撃ったのに反動もないし音もしないのでボルトを開いたら"シュッ"と音がしてガスが抜けたそうである。
はっきり言ってアーバーを銃身に入れたまま撃つという事はシューターとしては完全なケアーレスミステークである、この時はもう大藪さんも射撃に関しては駄目かなと思わざるを得なかった。また朝霞射撃場では隣の的に誤射してそのまま気づかず撃ち続けたと言う逸話も残っている、これ以降大藪さんが朝霞射撃場で射撃されることはなかった。
私が、大藪さんの銃身交換の仕事を終えて、銃を取りに見えた大藪さんがあまりに痛々しいので車まで見送りに行くと、大藪さんは歩行もやっとと言う状態で大きな体を大きく左右に振られながらやっとの状態で歩行され、助手席に乗り込まれるのも大儀に体を動かされ、やっとの状態で乗り込まれた。大藪さんが亡くなられたのはそれからまもなくであった。

今回は普段、皆さんが見聞きしている大藪春彦さんとは少し違った一面をお話ししましたが、これは大藪さんがエンターテナーとして、小説を面白く書かれるため如何に努力されていたと言うことを言いたいために書きました。
もし、大藪さんが自分の体験をしたことをありのまま書いたら、あのような痛快なハードボイルドアクションは生まれなかったでしょう、射撃を、ハンテングを、そしてハードボイルドを、読み物としてこの世に残して下さった大藪さんに敬意を表して皆さんの知れない大藪春彦像をご紹介させて頂きました。

初速

2000年 2月 4日 築地

弾の初速を計測するのには、弾速測定器を使います。
最初に使ったのはエラー社の測定器です、この測定器はほとんど全ての弾頭メーカー、ほとんど全ての銃器のメーカーが採用しています。アメリカ陸軍も採用している製品ですので私もこれを使用しております。エラーを英語で書くと、OHererと書くので、常識的にローマ字読みするとオーヘラーとなります、ですから今でもこれはオーヘラーと言う名前だと誤解されている方も居ますが、英語読みするとOHの字は発音しませんのでエラーと言う言い方になるのです。
さて、今から20年くらい前でしょうか、最初この測定器を使ったときに弾のスピードの1発1発があまりにも違いがあるので、本当にこの測定器の数値を信じて良いのかどうか相当悩みました。何しろこの計測器が正しいかどうかを計測する計測器が無かったからです、それに、構造もセンサーの所には、電球の壊れたような物が有るだけで、これで本当に弾速を検知出来るのか疑わしく思えたからです。もっともこれがフォトダイオードだと知るのはだいぶ後に成ってからです。
さて、話は飛びますが、光ケーブルで数万回線の電話が使えると言う記事を何かの本で読んだとき、何故単なる光で数万回線の電話回線が利用できるのかどうしても理解出来ませんでした。どう見ても光回線は回線が多いわけでは無く、1本しかありません、しかもどう見ても単純に点滅を繰り返しているだけで(点滅が見えるわけではありませんが)何故これで数万回線の電話が使えるのか、どうしても理解できませんでした。なぜならこれを解説した書物には出会わなかったからです。(勿論畑違いであることは認めますが)しかし、あるときコンピューター関係の本を読んでいるとき、インターネットはパケット通信にして情報を送受信していると言う記事を読んで初めて、光通信メカニズムのシステムが理解できました。私の理解では、光ケーブルを通過する光はあくまでも1本と言うことです。しかし1万回線の電話を送るためには、1秒を1万分の1秒に分解して、最初の1万分の1秒をAさん、その次の1万分の2秒目をBさんに配信することで、1万回線の通信を可能にしているのだと理解できました。
(筆者注:この記事を読んでいる頭のいい人のなかで、"それは違う"というご指摘がありましたら直ちにメールをください、すぐに原稿を訂正してしらばっくれますから)
で、その光をデーターに変換しているのがフォトダイオードだと言うことも理解できました、その時点で初めて弾速測定器の信頼度が理解できました。1発撃つごとにバラバラだった初速は100%弾による誤差で、計測器による誤差はほとんどあり得ないことが理解できました。

で、私が最初に考えたのは弾の初速のばらつきの無い弾を作れば結果的に一番命中精度の良い弾を作れるのだと! やりましたねー、色々、しかしテストを繰り返す中で初速と弾着が必ずしも理屈通りに成らないと言う現実に出会いました、弾着と言ってもミリ単位なのですが、初速が早くても下に着弾したり、初速が遅くても上に着弾したりする弾を発見しました。
そして、色々な実軒結果から、初速が安定していても命中精度が悪かったり、逆に初速が安定していないのに命中精度が良かったりする弾が有ることも発見しました。
(ただしこの誤差は秒速50フィート以内の誤差です、初速3000フィートの場合ごくわずかな誤差です、これ以上の誤差になると上下に変化します)
その結果、弾のスピードが安定しているからと言って命中精度が良いと言う訳では無いことが理解できました、命中精度は必ずしも地球の引力だけに支配されているのでは無く、もっと種々多彩の要因により影響されているのだと言うことが理解できました。
ですから、弾の威力と言う点から観察すれば初速のチェックは意味が有りますが、命中精度のチェックにはあまり役に立ちませんでした。

これから弾道学を研究する人に無駄足に成らないようにアドヴァイスしておきますが、初速を安定させることと、命中精度は因果関係はありません。

ちなみに、射撃競技専用の空気銃の場合、その初速は170~175メートルが一番命中精度は安定しています。一昨年、ドイツのファインベルクヴァウと、アンシュッツの工場に行ったとき、どちらの会社の空気銃も初速は173~174メートルでした。
それぞれのメーカーは体験的にこの初速が一番安定していることが解ったのでしょう。

さて、散弾銃の初速の話をしましょう、散弾銃の場合その弾の初速は1400フィートです、メーカーによって早い弾や遅い弾が有っても良さそうな物ですが、すべてのメーカーがこの基準で作っています。
それは何故かと言いますと、初速を変化させると弾のパターンが変化するからです。パターンが変化すると言うとほとんどの方は、弾の初速が早いと絞りの効果が強く現れ、初速が遅いと絞りの効果が薄れると考えられると思いますが、実は初速が早くなると、散弾のパターンはドーナツ状に中心が薄くなるのです。散弾は周りに集まってしまいます。
そのために初速は変えられないのです。
と、言いながら昔は射撃に使う散弾は32グラムでした、今はルールが変わり24グラム装弾です、当然、当時とすると初速は早くなっています。ですから昔の銃とすると現在の銃はチョークのスペックを若干変更していると思います。
ですから昔の銃の方が同じチョークでも絞りは少しきつかったはずです。

銃創

2000年 2月 2日 築地
改訂 2000年 2月 5日 築地
改訂 2000年 2月24日 築地
更新 2000年11月11日 築地
更新 2000年11月14日 築地

私は撃たれたことも有りませんし、撃たれたくもないのですが、銃で撃たれるとどうなるかと言う事については私自身はかなり興味をそそられます。それは単純に撃たれると痛いか痛くないか、痛いとしたらどのくらい痛いのか。そうした単純な疑問から銃創に付いて調べてみました。銃創に関した文献を色々探してみたのですが見つかりません、最近はコンピューターで検索できるのであらかたのテーマは絞り込めるのですが、残念ながらこうした事柄に興味を持ったのは私と、この原稿を読んでいる貴方だけみたいです。

知り合いの医者に相談してみたら医事情報として銃創の治療例が載っている文献を探してくれましたのでそれが唯一の臨床例となります。
医事情報ですから銃創のカラー写真も掲載されているのですが、笑っちゃう事に、そのほとんどが腕や足にモンモンを入れています。つまり日本での銃創例はほとんどが業界の方たちと言うことになります、これでは文献が無いのもうなずけます。

ヤー公が銃創を受ける場合、使用銃器は拳銃ですのでライフル銃や散弾銃とは状況が違うと思いますが、データーで見ると、即死というのは僅かで、60%が失血性のショック死でした。ヤー公のくせにショック死というとあまりにも情けない気がしますが、失血性ですからびっくりして死んだ、ショック死とは少し状況が違うようです。
失血性ショック死ですから拳銃で撃たれた場合、早急に輸血をすれば助かる事例も多いのでは無いかと思われます。

話は変わりますが、ワシントンDCでの例ですが、黒人居住区では拳銃発砲事件が今でも多発しており、拳銃で撃たれた黒人が救急病院に担ぎ込まれ緊急手術を受けます、その費用は50万~200万かかるそうなのですが、治療が有る程度済むとほとんどが医療費を払わないで脱走するため未収の医療費が財政を圧迫しているそうです。
しかし、命を助けたのだからと喜んでばかりはおられず、撃たれた方はその仕返しをするため、相手を撃つか、逆に撃たれてまた病院の世話になるそうです。
CBSニュースのインタビューに答えていた黒人少年は、今まで七回撃たれたと言っていました。これが38、これが45と一つ一つの傷口を説明しているのを見ると、本当に人間は撃たれ強いと思いました。中には最初の一発で脊髄を撃たれた少年もいて、かれは一生車椅子の世話になることになります。
しかしいずれの少年達からも撃たれた状況については残念ながらインタビューが有りませんでした。

昔、兵隊に行って銃で撃たれた人の話を聞いたのですが記憶が薄れていて状況を正確に聞くことは出来ませんでした。そうこうしているうち、ハンテングの最中に誤って自分の足を撃った人の話を聞くことが出来ました。(ラッキーなんて別に喜んではいませんヨ)
その人は柵を越えようとして誤ってライフル銃で自分の足を撃ったそうですが、弾が当たった瞬間は "痛くなかったそうです" 多分アルドナリンが大量に放出されたと思えます、そのため痛みを感じなかったのでしょう、当人は足を撃ったと言う自覚も無かったそうですが、ただ撃った瞬間は急に足から力が抜けたそうです。
また長靴を履いていたのですが、足先がヌルヌルしていたと話して居られますのでおそらく血液が貯まっていたのでしょう。そしてそのまま自分で車を運転し病院まで行かれたそうです。本当の痛みが襲ってくるのはこの後です、応急処置を済ませ、麻酔を打った後その麻酔が切れると心臓の鼓動に会わせて傷口が、ドクン=ズキン ドクン=ズキン ドクン=ズキン ドクン=ズキン と言う具合に夜通し痛み通しだったそうです。

さて、いくら痛みが激しくとも、手足の場合仮に損傷しても命には別状ありません。
やはり命に絡む問題ですと、急所を撃たれた場合でしょう。
頭や心臓を撃たれたら、当然即死と言うことになります。以前大阪の山口組と一和会の抗争事件の最中はボデーアーマーが飛ぶように売れたと、某輸入業者の人が言っていましたが、ボデーアーマーなんて、ライフルの弾なら簡単に貫通しますが拳銃の弾なら止める事が出来ます。日本のやくざは銃器に対して極めて無知ですので、ボデーアーマーを着ていれば何となく身が守れるように勘違いしていますが、アメリカなどでは以外とボデーアーマーはその業界の人たちも使っていません、それは何故かと言いますと、ボデーアーマーを着ていることを前提に、最初から頭を狙うからです。ですからボデーアーマーなんか何の役にも立ちません。
警察官の場合、もし銃撃戦になるような場合は必ずボデーアーマーを着用します、勿論規則で着用しなければ成らないのですが。何よりも腹を撃たれるのを嫌悪するからです。
頭や心臓を撃たれると即死ですから、撃たれた当人は痛みを感じる前に昇天しています。
ところが、腹を撃たれた場合、ほとんど即死を免れる割に死亡率は極めて高いのです。
しかもその間猛烈な痛みに苛まされます。腹、特に腸の周辺を撃たれると、腸が剪断され毒素が流れ、手術も極めて困難なのだそうです。ですから現場の警察官は腹を撃たれるのを極端に嫌がります。勿論何処を撃たれても良いと言うところは有りませんが、生存率で考えると手足と腹では天地ほどの違いがあります。
ボデーアーマーの本当の使用目的はこんな所にあると思います、日本ではボデーアーマーを、防弾チョッキと誤訳しているため誤解を招いています。
さて、戦場では弾丸そのものが直撃する事例より、爆弾等の破片により損傷をうける事例が多いのですが、ボデーアーマーを着用していれば小さな破片の場合は100%保護する事が出来ます。
昔、日本テレビのクイズ番組の実験でライフル銃を使った米軍のボデーアーマーの貫通テストをやったことがありますが、使ったのは6ミリPPCで、ホローポイント弾頭を使ったのに、ボデーアーマーは "ポン" と簡単に貫通し、モニターで確認したら、ボデーアーマーは微動だにしませんでした。勿論、前後完璧に貫通していました。
テレビ関係者は思いの外驚いていましたが、防弾チョッキと言う名称が相当な誤解を招いて居るようでした。

昔、昭和天皇ご在位の頃、お召し車の為にAガラスが防弾ガラスを開発しました。
豊和工業でテストしたら簡単に貫通してしまいました、それではとメーカーも張り切り、厚みを2倍にした防弾ガラスを作成しましたが、これも1発で貫通しました。
当然使い物に成らないのですが、メーカーは、しらばっくれて納品しました。
後日確認したらチャントお車には取り付けてありました。
私の自宅は東宮御所から10分程度の場所にあり、割合頻繁に皇室関係の車に出会います。
見ればすぐに解りますが、現在の車には一切防弾ガラスは使われていません。(キッパリ)
その代わり、内部が見えないようにカーテンで仕切られています。前後を警察の警備の車がガードしていますが、これにも防弾ガラスは使われていません。
で、その警備の物々しさの度合いで、だれが乗っているかは簡単にわかります。
当然、王位継承位の高い人ほど警備は厳重です。

さて、防弾ガラスの話ですが、アメリカのデスカバリーチャンネルを見ていたら、レックスガードと言う、現在では最強の防弾ガラス(材質はガラスでは無くてポリマーですが)と言う説明で、ショットガン、拳銃、HKサブマシンガンと、色々な銃器で実験をしてその防弾性能をレポートしていました、使った弾は9ミリパラが最強の弾ですから、逆の見方をすれば30口径のライフルなら簡単に貫通すると言うことです。

元々銃創のテーマで書き出したのですが、防弾ガラスまで話が暴走してしまいましたが、これが私のコラムのおもしろい所です。(何、面白くない!)

銃創・・・こんな事を調べてどうするんだと言う声が聞こえてきそうですが、銃創の痛みがどうなるのかが解ってやっと安心して眠れる事になりました。でも射撃場で出会ってもオイラを撃たないでネ。

ここら追記です
実はこのコラムを書いたら、これを読んだ人から電話がありました、私の主宰するベンチレスト射撃協会のSさんです。
電話は病院からでした、現在入院中だそうです。で、病名は何と、"銃創" だそうです。
ハンテングの最中に仲間のハンターから7メートルの距離で首の後ろを撃たれたそうです。
250発の弾の内、170発を摘出したそうですが、まだ40発は体内の残留しているそうです。担当のお医者さんも珍しい症例ですのでインターネット等を駆使して調べたそうですがやはり銃創に関しても資料は無かったそうです。
未だに40発の弾が体内に残留しているので、尿とか血液の中に鉛が混じってその反応が出るそうですが、私は心配ないで良いと返事をしておきました。
と言いますのは、鉛は体内では異物なので長い間体内に有る間に脂肪でくるまれ最終的には体外に排出されます、そのため影響は無いのです。
私が一番知りたかったのは痛みの事でした、撃たれた瞬間はバットで殴られたような打撲の感じがして前に転倒したそうですが、やはり私が書いたようにその瞬間は痛みは感じなかったそうです。
痛みが襲ってきたのは救急車の中だそうです、やはり撃たれた瞬間は痛みを感じないと言う説は正しかったようです。
何故、私が痛みに関してこんなにこだわるかと言いますと、死刑執行の場合、死刑は死刑囚に痛みを与えないで執行すると言う原則があるのですが、銃殺は痛みを感じるのかどうか知りたかったからです、これで銃殺も死刑を執行する側にすれば痛みを与えないで刑を執行すると言う意味では理屈に叶っていることが解りました。

11月11日更新
人は撃たれるとどうなるの? を読んだ東京のT、A、さんから銃創の写真の掲載された本を頂きましたのでご紹介しておきます。
色々なケースの銃創写真が掲載されていますが、開示した写真は比較的穏やかな物ですが、それでも充分衝撃的だと思います。

写真
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見えない砲弾

2000年 1月 31日 築地

こんなタイトルで書くと、大砲の砲弾は肉眼で見えるのか言われそうですが。実を言うと、砲弾は肉眼で確認できます。それは砲弾自体がある程度の大きさが有ることと、初速がそんなに早くないので黒い固まりが中空の中に飛翔して行くのをはっきりと肉眼で確認できます。
しかし今回お話ししようと言うのは砲弾がレーダーで見えるかどうかの話です。
通常、大砲の砲弾はレーダーで補足出来ます。ただし通常のレーダーモードではなく、ドップラーレーダーモードでなら補足出来ます。
ではドップラーレーダーの事について少し説明をします。
救急車がサイレンを鳴らしながら近づいてきて、時分の前を通り過ぎ、救急車が遠ざかると音が変わりますよね、音は近づいてくる場合と、遠ざかる場合では周波数が変化するため音質が変わります。これをドップラー効果と言います。
レーダーの場合でもドップラーレーダーなら、目標物が近づく場合と遠ざかる場合ではチャント認識できるのです。勿論,方位、スピードも瞬時に認識できます。

実戦の場合、大砲の砲弾はある時突如飛翔してきます、ドップラーレーダーは常時中空を警戒していますので砲弾が飛翔してきたときはその飛行コースと初速をコンピューターで瞬時に演算して大砲の発射地点を割り出します。これは自衛隊でも最先端の技術です。
大砲の発射地点が特定できれば逆に、そこを攻撃されてしまいます。
私が見えない砲弾と言うタイトルにしたのはまさしくそこに意味があります。どうも米軍はこうしたドップラーレーダーに補足されない、見えない砲弾の開発に成功したみたいなのです。ただし今日に至るまでも正式な報道はありません。またジェーン年間にも公開されていません。見えない砲弾を開発したのは、F-177Aステルス機を開発した、ロッキードエアークラフトの開発部門、スカンクチームです。ステルス機の開発途上、ある特殊な表面処理と特殊な塗装をすることによりステルス性が出来ることを開発しました。
構造的には表面構造をハニカム構造にするとレーダー反射波を軽減することが出来るそうです、塗装は電子レンジの内側に塗装してある塗料と同じような成分でステルス性が生まれることも解っています。それをうまく融合させて見えない弾頭、つまりステルス弾頭を開発したようです。

ついでにステルス絡みの航空戦術についてすこし説明して見ましょう。アメリカ空軍が開発に成功し、現在テスト飛行中のステルス戦闘機F-22Aは世界で最初の見えない戦闘機です(F-177Aは見えない爆撃機です)
これを空中戦で運用する場合、通常の戦闘機小隊の、20~40ノーチカルマイル前方にこのステルス機を飛ばせます、つまり戦闘機小隊が東京上空にあるとき、ステルス機は横浜上空、または横須賀上空に有ると言うことになります。で、敵機が小田原あたりにあると仮定します。
これらの情報は空中警戒機ですべて補足されています、補足されても遠すぎてお互い攻撃できない距離にあります。空中警戒機のレーダー情報は無線で全ての戦闘機に伝えられます。
一番敵機に接近しているF-22Aは一切レーダー電波を発信しません。
いかなるステルス機でも、レーダー電波を自ら発信すれば簡単に相手に補足されてしまいます、ステルスで有るためには自ら電波を発信する事は絶対に無いのです。
通常の戦闘機小隊は警戒のため常時レーダー電波を出しています。
敵機からすると、レーダーで補足できているのはその戦闘機小隊だけですから、安心し、なおかつミサイルを撃たれても十分回避できる位置に居ることになります。
一番敵機に接近しているステルス戦闘機は、敵機との距離が5~10ノーチカルマイルになると突然機体からミサイルを発射して、急いで回避します。
敵にすればいきなり前方に敵機が現れ、ミサイルを撃ってまたレーダー上から消えるのですからほとんど回避できないまま撃たれてしまいます。
実際には、撃墜されるまでレーダーを欺瞞する金属片チャフや、熱赤外線を欺瞞させる光の玉、フレアーを出してミサイルを回避しようとするでしょうが、回避行動をしている間にまたミサイルを撃たれるので最終的には撃墜されてしまうでしょう。

防弾のお話

2003年12月12日 築地

昨日、やっと小泉総理が自衛隊派兵を決定してくれて、まともな国民の一人としてやっと、ホッとしたところです。

それにしても、マスコミの派兵反対の攻勢はもの凄いですね、国民にインタビューと言う姑息な手段を用いて、全員が派兵反対と言うコメントを連日流し続けていますね、こんな作為的な報道を聞いていると腹が立ってくるのでさっさとチャンネルを変えますが、こういう偏向番組はさっさとチャンネルを変える、私のような常識を踏まえた視聴者が居ると言うことをテレビ屋さんにも理解して貰いたいですね。

こうした報道の中には、お約束の様にお馬鹿な家庭の主婦みたいなキャラクターが出てきて、自衛隊員を危険な場所に行かせると言うことは心配だとか、ノータリンな事を喋っていますよね。
こういう人たちは自分の家が火事になったらどうするのでしょうかね?
火事場みたいな危険なところに、消防隊員を派遣するのは危険だから、とでも反対するのでしょうかね? 不思議な人たちですね、こういう発言に嬉々として報道するテレビ屋も不思議な人たちですね、完全に「常識」と言う脳細胞が破壊していますね。

かつて、山本五十六元帥は、兵を100年養うは1日これを使うためにあると言われていますが、こういう時こそ自衛隊の出番だとおもうのですがね?
だれもこういうコメントする市民は居ないように思えますが、こういうコメントをした場合はデレクターの判断で全部カットするのでしょうね、コメントを求める全員が全員、ノータリンだとは思えないので意図的に作為的な報道を流しているのでしょうね。
過日、TBSで石原都知事が韓国の併合についてコメントしたら意図的に発言内容をねつ造して180度違った発言に作り直しましたが、結局視聴者からの指摘、当人の石原都知事の指摘で簡単にバレましたが、TBSのニュースをみたら、「聞き間違いをして放送したので謝りました」とシャーシャーと報道していましたが、ねつ造報道と言うことについて一切知らん振りを決め込んでいて、これが犯罪と言う事をひたすら隠蔽していました、TBSは以前にもオーム事件の時の虚報を報道し、またもやったかTBSと言う感じでしたね。

かつて、私は日本テレビの報道について放送法違反で訴訟を起こしましたが、テレビでは特集としてニュース報道の中で3,4回連続して報道してくれました、そのおかげで、売れ行きの止まった下らない玩具を、テレビ報道のおかげでさらに4億円分販売した事実がありました。
テレビ屋さんもこうして旨く利用するとビジネス的にもかなり効果的に使えます。

さて、話が飛びましたが、防弾鋼板の話に戻します。
イラクの派兵が決定したおかげで、これで日本もテロリストからのテロの攻撃から避けられなくなりましたから、防弾扉を販売すると言う新しいビジネスが立ち上がろうとしています。

それは在外公館、あるいはそれに準じる施設に防弾扉を取り付けると言うビジネスです。
しかしながら防弾扉は何もテロリストのためだけの物ではありません。

ヤー様関係の皆さんも導入を検討されてはいかがでしょうか?
ヤー様関係の業界の方は、是非ともこうした防弾扉を備えて来たるべき組同士の抗争の為に是非ともお備え下さい。

防弾扉と言う位ですから銃弾を止めるのが目的ですが、アメリカの防弾鋼板のスペックではこれらの仕様がレベル1からレベル8までありまして、一番レベルの低いのは拳銃弾を防弾出来れば良い性能です。レベル8と言うのは、M-14を使いフルオートモードで3発フルメタルジャケットの308銃弾を止める事が出来れば良いのです。
レベル8、これが防弾鋼板の最高レベルです。

随分昔ですが、私は日本テレビの取材でボデーアーマーの貫通実験撮影をしたのですが、ボデーアーマーの貫通実験でライフル弾頭としては一番弱い部類に入る6ミリPPCで撃ったら、前も後ろも簡単に貫通しました。
それよりもさらに昔ですが、ベトナム戦争当時、兵隊の兵員輸送に使われていた兵員輸送車両ですが、キャタピラが付いていて一見防弾鋼板も完璧の様に見えますが、輸送車自体の重量制限があったらでしょうかね、あの防弾板は全部単体のアルミ製でした。
ですから、機銃掃射やライフル銃の射撃で簡単に穴が空きましたね。
当時ベトナムの戦場から、数百台の兵員輸送車両が三菱重工相模原工場での修理のために横浜のノースピアに送られてきていました。当時、私は米軍に銃器を輸出する仕事でノースピアに頻繁に出入りしていたので、荷物の搬入をお昼時にすると事務所がお昼休みでお休みなので、その時間をぬって、そうした兵員輸送車両を色々見て歩きました、それは凄かったですね、死体こそありませんでしたが、軍靴が片方転がっていたり、血が流れていたり、内部は酷かったです。防弾板と言っても、1枚の板だと思いの外弱い物なのです。

防弾と言う事について全然知識がないと、一般の人たちは単純に厚い鉄板を使う事が思い浮かぶのでしょうか、確かに厚い鉄板を使えば防弾としての効果はあります。
しかし、これは一番非効率的な防弾装置の考え方なのです。
単板の場合、衝撃波が鉄板全体に伝わるので、その部分の金属組織の破砕が起こりやすいのです。

これが戦車の場合ですと、戦車砲のサボット弾頭や、ヒート弾頭の直撃を受けると防弾鋼板は貫通しなくても、内部の剥がれた鋼板が砲塔内を飛び周り、中の兵隊はミンチ状態になります、そのために防弾鋼板は単体の鋼板ではなくて積層鋼板を使用するようになったのです、戦車の砲塔が丸みのある物は単体の防弾鋼板で作られた物、これだと中の兵隊さんはミンチになりますが、砲塔は平面の物で組み合わせられている物は積層鋼板ですから安全なのです。

防弾扉を製造する某メーカーから防弾鋼板製造の話があり、技術的なコメント求められたので3種類の防弾鋼板の図面を見せて貰い、事前に確認しますと、ライフル実包なら全部貫通するレベルなので、そのとおりに説明したら、相手にはとても信用してもらえませんでした。なぜならば38口径の拳銃弾を阻止できる鋼板を4枚も使っているからです。

技術者は絶対的な自信を持っていましたが、私は貫通すると説明しました。
私は貫通すると主張し、技術者は貫通しないとお互い絶対の自信を持っていました。
致し方無いので私が実験で証明してあげることにしました。

機密に属する事なので些細な説明は出来ないのですが、メーカーで用意した防弾鋼板は3種類ですが、その3種類とも全部貫通しました。
確かに拳銃用の防弾鋼板を数枚使って作ったそうですが、残念ながら作り方が間違っていました、だから貫通したのです。
貫通実験した後で、正しい防弾鋼板の設計方法について説明してあげました。

以下、防弾鋼板についての設計の基本概念です。
防弾鋼板と言うことで、単純に厚い鋼板を使うのは一番幼稚な発想なのです。
確かに厚い鋼板ならライフル実包を止めることは出来ますが、同じ防弾効果を得るのであれば、もっと薄い鋼板でその効果が実現可能なのです。
防弾効果を出来るだけ上げるには、防弾鋼板をより変形させれば良いのです。
弾の入り口はともかく、出口の変形が大きいと見た目の問題もありますから、防弾鋼板の内部での変形を大きく考えれば良いのです。
ですから防弾鋼板の内部に使うのは鉄よりもアルミの方が効果的なのです。
そして単純に積層するよりもそれぞれの鋼板の間に空間を空けておく方がより効果的なのです。
ではその理由を説明します。まず防弾鋼板の1枚目の鋼板弾頭が命中した時点で、出来るだけ弾頭を変形させる形状の方がいいのです。
変形した為に弾頭の断面積が増えますよね、そうすると面積あたりのエネルギーは減少することになります。断面積が倍になれば面積当たりのエネルギーは半分になりますからね。

そして断面積が増えた状態で出来るだけ柔らかい物で受け止める事によりさらにエネルギーを減少させます。ですからこの時点では鉄板よりアルミの方がより効果的なのです。
同じ鉄板であっても引っ張り強さが強い方が、防弾効果がより効果的なのは言うまでもありません。コストの事を考えると使えないのですが、アルミの代わりに、その何倍も引っ張り強さに強いケブラー繊維を使用すると、さらに効果的です。
防弾鋼板の中を、鋼板と鋼板の間に空間を空けておきますが、これは弾丸と鋼板の変形をより大きくするための空間です、この空間に砂などを詰めておくこともさらに効果的です。
砂は弾頭の変形をより大きくします、また中間に入れる物はセラミックを使うと言う方法もあります。
また鋼板を熱処理と圧延によって一定方向の引っ張り強さを増強する事も効果的です、そして、その一定方向の強度を増した鋼板を互い違いに組み合わせるのもさらに効果的です、つまりベニア合板の積層と同じですね。

一応軍事機密ですが、自衛隊の最新式戦車は鋼板をベニア式に積層してその後にセラミックを挟んで、また防弾鋼板を積層しています。この防弾鋼板ですと105ミリ砲弾は充分防弾できます。戦車砲のヒート弾頭も、サボット弾頭も阻止することが可能なのです。
戦車砲に使われている防弾鋼板が目下のところ最強の防弾鋼板ですが、一般市民には無用の長物ですね。またチタンを使った航空機搭載の防弾鋼板も研究が進んでいます。

嗚呼、またマニアチックなコラムを書いてしまいました。

火薬燃焼、その瞬間の世界

2002年 5月17日 築地

私は1960年に射撃を初め、毎年2万発くらいの弾を消費しているので、今迄100万発くらいの弾を撃ってきたのであろうか?
その定かな数字は知る由も無いが、今まで何度も火薬の異常高圧に遭遇し、様々な火薬の異常現象を体験してきた。その都度火薬の専門家に聞いたりしてきたが、問題点の多くが専門家からですらちゃんとした回答を得られないまま現在に至っている。
火薬を製造する側と、使用する側では、体験の内容と度合いが違うし、さらに一番肝心なことはその体験を再現することが不可能だからである。
私は火薬の製造を生業としていないので、専門家と言うにはいささか問題はあるが、自らハンドロードし、工場製実包も含めてすでに100万発近くの装弾を消費してきた実績から言うと、限りなく専門家に近いユーザーであると言う事くらいは言えるのでは無かろうか。

火薬がどのようなプロセスで点火され、燃焼していくか、誰も見た者は居ない、40年くらい前にウインチェスター社で、火薬燃焼の瞬間を把握しようとして、銃身に装填した弾丸に強力なX線を照射して、それを超高速度フィルムで撮影して"その瞬間"を解明しようとしたが、膨大な電気を使い、多額の費用をかけただけで、いずれも画像が不鮮明で火薬が燃焼するプロセスの撮影は出来なかった。しかしながら弾丸が銃身の中を通過していく現象だけは映し出すことは出来た。
それ以来、現在に至るまでも火薬の燃焼のプロセスを撮影した映像は存在しない、従って火薬の燃焼については、すべて我々の頭の中で描かれるシミュレーションに頼るしかないのが現状である。しかしながら膨大な体験を通じて、火薬は恐らくこういうプロセスで燃焼していくのであろうと言うことは、ほとんど推測出来る迄に至った。

実際に弾を撃つまでもなく、激発の瞬間は文字とおりほんの一瞬の出来事である。
雷管の燃焼速度は爆速8000メートルであるから、ファイアリングピンの衝撃で点火してスパークが数ミリ前進するのは文字とおり瞬間中の瞬間の出来事なのである、しかしながらそのスパークがどのように火薬に伝達して燃焼していくか、火薬がどのように燃えるのか、ほとんどの人が関心がない様である。それは私自身が今まで一度もそうした質問をされたことがない事からも判断できる。しかし、私自身は長年大いに関心を持ち続けたテーマで有ったが、毎月アメリカから取り寄せているベンチレスト射撃にカンする専門誌、プレシジョン シューテング誌の5月号に、たまたま火薬燃焼のプロセスを書いた記事があり、思わず、同じ事を考えている人が他にも居ることを知った。

今までその火薬燃焼のプロセスを図式で示した事例が無いので、これは日本の射手にも大変に参考になると思い、その図式を参照させて貰いながら、原稿を進めていくことにする。
まず、最初に図1をご覧頂きたい、これはシリンダー形式の実包の燃焼説明である、シリンダー形式とは、薬莢と弾頭が同じ寸法の物の事である、例えば30カービンや散弾銃装弾等はその代表的な例である、この図を見るとお解り頂けるが、雷管が点火して、火薬に燃焼が移行すると、その段階で弾頭はすでに前進を始めていると言うことである。多くの人は雷管から火薬に点火して火薬が全て燃焼して弾頭が前進すると勘違いしている人があるが、火薬は弾頭の前進と共に燃焼を継続していくのである、そのため弾頭が前進して薬莢にスペースが生じても常に火薬の圧力が発生し続けると言うことになるのである。

図1
図1

もし弾頭が前進する前にこの火薬が全部燃焼しあっとしたら、それはダイナマイトと同じで、その瞬間に銃は破壊されている事になる。
この火薬の燃焼が異常に早くなる事により、異常高圧が発生する、異常高圧が発生するとボルトアクションの銃の場合、ボルトが張り付いて開かなくなる、自動銃の場合機関部にクラックが入る。これが異常高圧である。
異常高圧はまず滅多に起きる現象ではないので別段心配する必要はないが、さりとて異常高圧を避ける方法もないのが現実である。
異常高圧が起きる原因であるが、雷管の衝撃で火薬が何らかの異常を起こして分解され、先祖帰りとも言うべき、火薬がその原材料のニトログリセリンと同じような異常に速い速度で燃焼するのが原因と私は考えるが、火薬メーカーの技術者はそうした現象が起きることすら認めていない、中にはこれらの現象について全く知らない技術者も少なくない。
この事を説明しても技術者達からは、"銃口内に異物が有ったからではないですか"の一言でかたづけられてしまう。

通常のライフル実包は、薬莢の外形寸法より、弾頭部分の寸法が小さくなっている、これをボトルネックケースと呼んでいる。
シリンダー形状のいわゆるストレート形状の薬莢と、薬莢の先端が細くなっている、ボトルネック形状の薬莢とではその使用する火薬は全く違う、シリンダー形状の薬莢の場合、弾頭の前進により薬莢の体積と比較してエアースペースがどんどん大きくなっていく、ボトルネックの場合は薬莢の体積に比較して弾頭の直径が小さいので、体積の広がり方は少ない、そのためにシリンダー形状の装弾に使う火薬は燃焼速度が速く、ボトルネック形状の装弾の場合は燃焼速度が遅い、さらに薬莢の体積が大きい、マグナム口径の場合は火薬の燃焼速度はさらに遅くなる。
シリンダー形状の装弾にマグナム用の燃焼速度の遅い火薬を使った場合は、弾頭の前進に対して火薬の燃焼が追いつかないので回転不良が起きたり、弾の威力が激減するだけで実害はないが、逆にマグナム薬莢にシリンダー形状の燃焼速度の速い火薬を使うと、大事故になる、弾頭の進行以上に火薬の燃焼速度が速いため、火薬の圧力が異常に上昇するのがその原因である。
最近、ライフルのハンドロードをする人たちから、弾頭の先端をライフリングにタッチさせる状態で弾頭シーテングをする、いわゆるランドタッチシーテングが流行っているようであるが、"これは直ちに止めて下さい"その理由は弾頭を抜くときに弾頭はライフリングに食い込んでいるため弾頭が薬莢から抜けることがあるからです、またランドタッチさせると初速が50フィート位遅くなります。
この様にランドタッチさせる事はあまり良いことではありません、一般的に誤解されている、ランドタッチさせると命中精度が良くなるというのは間違いです。ベンチレスト射撃の場合でも0.5ミリ程度ランドタッチさせないのが一般的な考え方です、ベンチレスト射撃でもランドタッチさせないのですから、通常のハンテングライフルではランドタッチしない弾を作るのが良いでしょう。
雷管に点火して、弾頭が0.5ミリ前進するだけでも火薬の燃焼特性が変化するようです、何故そうなるのかとても説明は出来ませんが、弾頭が少しでも動く事により火薬の燃焼は一瞬"息をつく"という感じで燃焼するのかもしれません。
火薬の燃焼を安定させるために弾頭は均等な力で薬莢に保時されている必要があります、軍用弾頭などは機関銃に使用した時でも弾頭の位置がずれないように、弾頭にクリンプと言って溝を付けてあり、そこに薬莢の先端が食い込むようになっていますが、このクリンプの力が均等で無いためでしょうか、クリンプをすると命中精度が悪くなります。
しかしながらクリンプをする事で弾頭が簡単に動かないため、火薬の圧力が上がり、初速は100フィートほど速くなります。

散弾銃の装弾を考える
私は散弾銃も撃ちますが、元々の専門はライフルなのでライフル射手の特性として装弾には殊の外気を遣います、従って散弾銃を撃つときも、装弾としては何処のメーカーの物が良いのか常に関心を払っています。シドニーオリンピックの時もオリンピック選手は一体何処のメーカーの弾を使っているのか子細に観察したのですが、使う装弾はバラバラでした、それは装弾が成績には何の影響もないことを証明していると言うことです。
印象として一番多いなと感じたのはフィヨッキ装弾でしたが、ライフル実包の経験から言うとフィヨッキ装弾は決して良い弾ではないのですが、その装弾を使用することにより、何らかのスポンサー料が支払われているのかも知れません。
散弾銃装弾に使われる火薬は、シリンダー形状の装弾ですから火薬の燃焼速度は非常に速いのが特徴です。少しでも対抗があると火薬の圧力が急上昇します。
そのため、散弾銃装弾の場合は雷管突破のトラブルが頻繁に発生します、散弾銃を撃つ方は多分何度と無く雷管突破の体験があると思います、雷管突破とは雷管からガスが吹き戻しているトラブルです。
多くの方が、これはファイアリングピンが長いために雷管を打ち抜いたと思われているかも知れません、あるいはハンマースプリングが強いから雷管を打ち抜いたと考えても居られるかもしれません、しかし、原因は全然違います。
これはほとんど、火薬の圧力が強い為に起きる現象です、私はライフル銃でも何度も体験しているのでよく分かります。雷管突破がファイアリングピンの長さや、ハンマースプリングの強さでないことは、他の装弾の打跡と比べれば簡単に解るはずです、他の装弾の打跡はそんなに強くないはずです、打跡は適正な強さで打たれているはずです、なのに何故雷管突破が起きるかというと、その弾の火薬の圧力が強かったからです、と言っても別段火薬が多い訳ではありません、何らかの理由で装弾のクリンプなどが強いだけで簡単に火薬の圧力は強くなります。散弾銃の火薬はそれほどデリケートだとも言えます。
雷管突破した装弾メーカーの技術者に聞いてみたら、案の定、ファイアリングピンだとか、雷管が薄かったとか、なんだかんだ訳の解らない事を説明されました、火薬の圧力だという人は皆無でした。しかし、この雷管突破は簡単に再現出来ます。装弾の先端に溶かした蝋を付けるだけで簡単に雷管突破が起きるので、弾が装弾から抜けるときの抵抗が強くなると火薬の圧力が強くなり、雷管突破する事が再現できます。しかしながら重大事故に繋がる恐れがありますので絶対にまねしないで下さいね)
この様に散弾銃の雷管突破は装弾の製造過程での品質管理の問題です、雷管突破が起きると、機関部のファイアリングピンホールから火薬が逆流する訳ですから、何度も頻繁に起きると次第に穴が大きくなり、ファイアリングピンと、穴の間に隙間が出来ます、そうすると今度はたいした圧力がかからなくても簡単に雷管突破が起きるようになります。また雷管突破の度に雷管の破片などの異物が機関部内に入ることにもなります。
今までの私の経験でこの雷管突破が一番起きたのは、マエストロ装弾です、一番少なかったのはレミントン、プレミアです。以外と日邦工業で製造したレミントン装弾でも雷管突破を体験してから、私は使用する装弾はすべてレミントン、プレミアを使用しています。
たまたま、その装弾が無いときに他の装弾を使うと、色々勉強させられます。
私は銃が好きなので、ペラッッチSCOサイドプレート、FN-D4、メルケル303、ベレッタ405EELL水平2連銃等の比較的高い銃を使っていますが、弾の値段が少し安いと言う理由だけで高級銃を痛めかねない三流装弾を使う愚は極力避けたいと思います、安い装弾を使って、高い銃がイカレタのでは全く割に合わないからです。
皆さんが装弾の善し悪しを決めるのにはどの様な判断で決められていますか?
一番多い意見は、銃が汚れないと言うことですが、これは装弾の善し悪しを決める基準になりません、火薬には色々の添加剤がコーテングされていますが、それは火薬の特性を改善するための物で、火薬によってはそれの燃え残りが出ることもあります、また火薬には黒鉛等をコーテングしてある事もありますが、黒鉛は燃焼しないため銃口内に残留しますがこれは掃除するときには黒い汚れとなってしまいます、だからといってこれは欠点ではありません、例えばこれらの現象はライフル銃の場合ごく当たり前に発生する事なのです。

逆に言うと、装弾の場合致命的な欠陥は、火薬の圧力が高いために起きる雷管突破か、逆に火薬の圧力が低い為に起きる火薬の残留があるかです。こうした弾は極力使用を避けるのが賢明です。

また、ライフル装弾の話です。
図2をご覧下さい。これは雷管のショックウエーブの展開図です、今までこうした事柄が書物に書かれたことはないので極めて貴重な資料です。
これは雷管のスパークがこの様な形で火薬に点火すると言うことを説明しているのです。
薬莢のショルダーの角度が浅いと、雷管の衝撃波は大きなエネルギーとなって伝播しません、Figure(8)をご覧下さい、この薬莢のいわゆる40度の角度です。

図2
図2

この40度という角度が実に微妙で、これ以上でもこれ以下でも駄目なのです。
40度の時に雷管の衝撃波が劇的に火薬全体に伝わり、一気に大きなエネルギーになります、これは誰かが流体力学を研究してこの結果を導き出した訳ではありません、この事に一番最初に着眼したのがP.O.アクックリーという人です。
図3のカートリッジ素面を見て下さい、上の図面は通常の30-06の図面です、下の図面はアックリーさんが作った30-06改良型、通称30-06アックリーと言う薬莢です、寸法はほとんど違い有りませんが、ショルダーの角度だけが、30-06は17.16度、アックリーさんのは40度、これだけの違いですが、30-06はどんなに頑張っても初速は2800フィートなのですが、アックリーさんのは3000フィートまで加速できるのです、3000フィートと言うとほとんどマグナム装弾と同じなのです。

この様にショルダーの角度だけで火薬の燃焼特性は劇的に変化するのです。

30-06
30-06

6ミリPPCケースフォーミング

2000年 3月 1日 築地

ノルマ、及びサコーの6ミリPPCの薬莢が製造中止されるのに伴い、ラプア製の220ラッシアンからケースフォーミングして使わなければならなくなりますのでその手順をこのコラムで伝授致します。

私が最初に6ミリPPCを使ったのは今から20年位前です、当然6ミリPPCと言う既成の薬莢は存在して居らず、ロシアのAK74の薬莢を手に入れ、それからケースフォーミングして作ったのです。私は共産圏の物が大嫌いなので、赤みがかった不気味な薬莢なんか使いたくなかったのですが、これから作るしか方法が無かったので致し方なかったのです。この薬莢はプライマーを抜くことから大変面倒な手間がかかりました。

皆さん雷管の穴が1つの、ボクサー型雷管しかお使いになっていないと思います、これなら雷管を抜くのも簡単ですよね、ところがこの共産圏の薬莢はベルダン型と言って、プライマーホールが2個空いているのです、ですから通常のデキャッピングツールでは雷管を抜くことが出来ないのです、特殊工具の作成も考えたのですがプライマーホールが小さすぎますし、2個の穴を探して通すのが極めて困難なのです。仕方なく水圧で雷管を抜くことにしました、薬莢の中に水を入れ、弾頭と同じ直径の棒を使い、棒の先端をハンマーで勢いよく叩くと水圧で雷管が抜けます、但し、その水圧はネックから棒の隙間を抜けて水が勢いよく噴き出して来るので頭から水をかぶりながら雷管を抜くことになります。
私は毎回悪態を吐きながら腐れ弾の雷管抜きをしました、雷管を抜いた後は良く乾燥させなければなりません、乾燥が済んだ後は雷管を装填するのですが、この場合ベルダン型のプライマーホールには発火金が元々整形されているので市販の雷管の発火金を外さなければなりません、そうして装填するのですが0.2ミリくらい、我々が使う市販の雷管の寸法が小さいのです、ですから雷管を入れても逆にすると雷管が抜け落ちるのです、それを防止するのに隙間に瞬間接着剤を流し込みました、これでガスの吹き戻しも起こらなくなります。
こんな具合に当時6ミリPPCはこんな大変な手間をかけて作ったのです、その後サコーやノルマから既成の薬莢が発売され誰もこうしたケースフォーミングはしなくなりました。
しかし、アメリカではすぐにラプア製の220ラッシアンから6ミリPPCをケースフォーミングする方法に殆どの射手が方向転換しました。
それはラプア製の薬莢の方が強度が強いと言うのがその理由です、最高の命中精度は弾頭が最高速域のレベルで発揮されますので、ケースにかかなりのプレッシャーがかかります、そのためほぼ全員がラプア製を使う様になったのです、逆に言うとそれがノルマや、サコーの薬莢が製造中止になった大きな原因です。
ラプア製の薬莢のプライマーホールはボクサー型なので、雷管を抜くために頭から水をかぶる必要も無くなりました、そんな事で一気にラプア製の220ラッシアンの薬莢に人気が流れていったのです。

この薬莢から6ミリPPCにケースフォーミングするのはとても簡単な作業です。
220ラッシアンの薬莢をPPCのダイスに入れてリサイズするとネックが22から6ミリに変更されます。ネックが広がれば通常の6ミリPPCのデーターでリロードすればすぐに使えます。一般的には少ない火薬で一度ケースフォーミングしてからと考えがちですがその必要はありません、最初から6ミリPPCと同じデーターの薬量を装填すれば同じ様な性能が引き出せます。
リローデングの時は殆どの方が通常のRCBS等のプレスを使い、リロードされるとおもいますが私はアーバープレスを使ってリロードしています、これはロックチャッカーなどよりさらに簡単なリロードの機械ですが、この方法が一番使いやすく、なおかつ高精度です、欠点はあまり大きな力をかけられないのでマグナムカートリッジのケースフォーミングには向きません、アーバープレスはこちらのサイトで御覧頂けます。
http://www.sinclairintl.com/
左の画像の上の方にハンドルのついたスタンド状の機械がありますが、これがアーバープレスです、これにウイルソン製のダイスを使いリロードします。
これなら射撃場で射撃をしながらリロード出来ます、アメリカのベンチレスト射撃では殆どの射手がこれを使っています。
私もこれを使い射撃場で射撃をしながらリロードしています。

市販の銃の殆どが通常のPPCの寸法ですが、精密射撃用にタイトネックに出来ている薬室の銃は以下の事を読んでください。

タイトネックの薬室に使う場合はネックターニングの方法がチョット違いますので注意してください、既成のPPCの薬莢はまさしくネックだけネックターニングすれば薬室に入りましたが、220ラッシンから作ったPPCの薬莢の場合ネックターニングはショルダーにちょっとかかるまで削ってください、そうしないと薬室に入りません。

銃の着色方法に付いて

2000年 1月29日 築地
改訂 2000年 2月25日 築地

銃の色を英語ではガンブルーと言います、そして着色作業の事をブルーイングと言います。
銃の色は黒いのにガンブラックとは言いません。これは何故かと言いますと、昔、銃の色はブルーだったのです。当時入手できた化学薬品では銃を漆黒に染めることはできす、銃の色は深い青色をしていたのです。最近では西部劇当時の銃を再現しているメーカーもあり、コストピースメーカーを、あえて深い青色に仕上げているところもあります。
現在は化学薬品が色々作られ、金属の表面を漆黒の色に染めることが可能になりました。防錆効果もブルー仕上げよりは、漆黒仕上げの方が皮膜も丈夫になっています。
この着色皮膜ですが、多くの人が金属の表面に何らかの物を重ねていると考えているようですが、メッキの場合は何らかの金属を重ねていますので、メッキの厚さが30ミクロンとか言いますが、銃の黒染めの場合は、金属表面の変化だけで着色していますので寸法的に重ねられているのでは無いのです。つまり寸法そのものは全く変化していないのです。
あの黒は、いわば金属の表面に出来た錆みたいな物です、ですからこの着色皮膜は酸化被膜と呼ばれています。酸化被膜と呼ばれながら表面はアルカリ処理されていますので、酸には極端に弱く、銃身に錆が浮いたときなど、どうかすると日曜大工道具店から錆取り溶剤を購入して来て、銃身表面に塗った途端"ギエッ"と言って溶剤を塗ったところが白く変化して大慌てと言う状態で相談を受けることがありますが、これは錆取り溶剤が酸性なため、瞬時に表面が中和されるからです。
これを補正するには再度着色のやり直しをしなければなりません、ですから銃身に錆が浮いたときは一番細かいスチールウールで油をつけながら丁寧に錆を除去するしかありません。間違っても薬品で錆を落とそうなど考えてはいけません。

着色方法

銃の着色には2つの方法があります、1つはライフル銃や散弾銃の自動銃などに着色される、通称ホットブルーと呼ばれる着色方法と、散弾銃の上下2連や、水平2連の銃に施されるコールドブルーです、これは2連銃のように銃身の接着に鉛を使っているかどうかでその処理方法が決まります。
昔、銃のメーカーは銃身を着色する溶剤をそれぞれの会社で独自の研究で作り出して使っていました、当然企業秘密でした、しかし世の中でメッキ業が盛んになるにつけ、金属の黒染めもメッキやさんの仕事となり、黒初めの溶剤がメッキ材料屋さんから販売されるようになると、これらの溶剤の方が遙かにコスト的にも、そして仕上がりからも遙かに優れた物が出されるようになり、メーカーの黒染め液の自作は無くなりました。
皆さんも目にされるチャンスは多いと思いますが、6角穴のボルトなどはみんなこうした黒染め液で染められているのです。
しかし、ボルトと比べると銃の仕上げは比較に成らないくらい真っ黒で美しい色をしていますよね、実はこれ、単に表面の仕上げだけの問題であのような色の違いとなるのです。
メッキ屋さんが受け取るボルトの黒染め費用は、1本1円にも成らないくらいの安い費用です。しかし銃身の着色となると、修理の場合は2万円くらい要求されるのでは無いでしょうか。

黒初めそのものはほとんど同じプロセスなのですが、銃身着色の場合は銃身表面を徹底的に磨き込みます、この磨き込み費用が銃砲店で請求される黒染め代金の大半だと考えてください。着色その物は大した手間では無いのです。
この着色溶剤の主成分は化成ソーダです、強アルカリ性なので皮膚に着くと皮膚が溶けます、衣服に付いたら衣服が溶けます。かなりヤバイ薬品なのです、ですからこの薬品をメッキ屋さんから購入するには、排水処理の設備が整っていると言う証明書を出さなければ購入できません。
この溶剤は常温では白い結晶ですが、水と混ぜると化学反応で温度が上がります、それをガスで摂氏140度まで加熱します。140度くらいが沸点ですから溶剤が沸くか沸かないかの間くらいで処理します。ピカピカに磨き上げた銃身をその中に浸すと、おおよそ10分くらいで漆黒の色に変化します。それを引き上げ温水の中で洗浄し、乾かした後油の中に付けで出来上がりです。
この溶剤もある程度の処理を重ねると劣化してきて、漆黒の表面に錆色の不純物が薄く付着するように取り替えなければなりません。この取り替えの時に溶剤を全部中和して処分しなければ成らないのでメッキ工場と同じ排水設備が必要となるのです。
この黒染め方法が使えるのは、ライフル銃みたいに全てが鉄で構成されている場合のみ可能です、上下2連や、水平2連をこの溶剤に入れると、それぞれの銃身の接着に使われている鉛が反応しブクブク泡を出しながら鉛が溶解してしまいます。
従って2連銃の場合はまた別の着色方法で着色されるのです。
これに使われる銃身着色剤は銃砲店で市販されているインスタントの補修着色剤、タッチブルー、ガンブルーなどの名称で売られている物と基本的に同じ物です、しかしアマチュアとプロがやった場合、その仕上がりに歴然とした差が現れます、誰が見ても全然仕上がり感が違うはずです、それがプロの技です、ではそのプロの技を公開します。
アマチュアとプロではその磨き込みに最大の違いがあります、アマチュアが大体この位で良いだろうと思う以上にプロの仕事は表面を磨き上げます、表面の仕上がりは鏡、もしくはメッキ仕上げした金属表面と同じレベルまで磨き上げます、この仕事、ほとんど忍耐の仕事です。
そして表面を完璧に仕上げたあと、着色する銃をお湯の中に入れて全体の温度を40度にします。実は、このコールドブルー溶剤は40度の時一番反応が良いのです、40度以上だと反応が早すぎ全体にムラが出ます、40度以下だと反応が悪く、これまた色むらが出ます。
こうしたテクニックは何処のメーカーも何処のガンスミスも絶対に公開しませんが、このHPでは最先端の情報も、秘中の秘のテクも全面公開です。

さて、コールドブルーで着色すべき上下や水平を、色鮮やかなホットブルーで着色しているメーカーがあります、それはミロクです、これは実にお見事な技術です、また最新の注意を払わないと出来ないハイレベルの着色方法です。
先ほど、ホットブルーの溶剤の中に鉛を入れると化学反応して溶けると書きましたが、完全に溶けるまでは多少の時間があります、鉛が溶け出す前に金属の表面着色が完了すれば直ちに中和する事により反応の進行がストップします、つまり鉛が溶け出さないですむのです、ミロクの銃の銃口あたりを仔細に観察すると鉛の露出部分の表面が梨地に成っていますが、これは溶剤の中で鉛が反応した後です。これをやるには着色剤が最大限に金属に反応するように温度管理を徹底し、なおかつ溶剤の劣化を絶対起こさないようにしなければなりません、ミロクの銃は事着色に関してはトップクラスの技術を継承しています。

下線の事に対して、東京の吉田銃器さんから間違いだとご指摘がありました。
私はミロクの上下は鉛で付けてあると思っていたのですが、これは銀蝋付けだそうです、鉛を全く使用していないのホットブルーで処理できるわけですね、銃口の所に鉛が露出しているのでてっきり鉛を使用していると思ったのですが、私の間違いでした。
鉛は後で挿入して居るみたいです。お詫びして訂正いたします (2月25日訂正)

燐酸被膜について説明します、この被膜はいわゆるパーカーライジングの事です。
この被膜は通常の銃には使われませんが、しかし軍用銃等は全ての銃がこの処理をされています。もともとこの処理方法は戦艦の砲身処理のためアメリカで開発されたものです、戦艦の砲身に使うと言うことは防錆効果が特出していると言うことです。この被膜は今まで説明した表面処理と違い、金属の表面に結晶が積層していくので寸法が変化します。従ってライフル銃の銃身に施す場合、銃身内部まで結晶が積層するので内径寸法が変化し、故に命中精度が劣します。
パーカーライジングの表面は白い結晶が付着したような仕上がりですのでそのままでは銃器の表面処理としてはいささか不都合が生じます。そのためパーカー処理した後、表面を着色するのです、第2次対戦用に作成されたM1ライフルには最初、グリーン系統の混ざった黒色の染料が使われました、最近のパーカーは全部黒色なので、コレクターの間ではグリーンがかったパーカーは貴重品扱いです。

硬質クロームメッキに付いて

2000年 1月 29日 築地

銃には耐久性を向上させる目的で硬質クロームメッキを施してある銃があります。
ベレッタの自動銃、SKBの散弾銃、等は銃口内にクロームメッキをしてあります、これは表面硬度を上げることと妨錆の目的でやってあります。

以前のSCO以上のペラッチの引き金内部も一時期硬質クロームをやって有ったのですが最近の物は内部のメッキが金メッキに変わりました、引き金の部品は耐久性の向上のためにやって有ったはずなのですがこれを止めた理由はお互いの部品にカジリが生じるからだと思います、引き金等の部品はハンマーとシアーが同じ硬度であるとかえって弊害が起きるのです、こうした噛み合いの場合は両方同じ硬度ではなく、片方の硬度をロックウェルで5ポイントくらい低くするか、逆に高くしておかないといけないのです。
最初ペラッチのSCOモデルの引き金に硬質クロームメッキがしてあったので変だなと思っていたのですが、やはり問題があったみたいですね。
クロームメッキをすると後で調整のために研磨等をするとメッキ部分が剥げるのであまりメッキ処理をすることはあまり良いことではありません、引き金部品はやはり適正な硬度調整をした部品で組み合わせた方が理屈に合っていますね。

ライフル銃で銃口内に硬質クロームメッキしてある銃は日本の自衛隊で使っている自動小銃、FNで作られたFALなどの軍用銃等があります。
以前、64式を開発した伊藤さんに聞いたことがありますが、64式は硬質クロームメッキをして、それまでの銃身寿命が1万発から3万発に延びたそうです。
ではどうして他の軍用銃にはやっていないのでしょうか? ドイツのヘッケラー&コッホのエンジニアの説明によると、軍用銃はいかなる場合でも4000発以上の弾を撃つことは無いのだそうです。ヘッケラー&コッホでは今までの戦闘に使われた軍用銃のデーターを徹底的に調べた結果以下の事が判明したそうです。
4000発の弾丸を発射するまでに・・・・・・・・・・・・

  • 1, 戦闘員が戦死する。
  • 2, 弾丸の補給が間に合わない。
  • 3, 戦争が終結する。
  • 4, 銃器のモデルチェンジがある。

このいずれかの状況に至るそうです。従って軍用銃の場合、銃身寿命が長いと言うことは何の意味もないそうです。

銃腔内にメッキをする場合、銃腔内に電極にあたる電線を通します、メッキする場合どうしても薬室側、銃口側のメッキが厚くなります。ライフル銃の場合内径の寸法に違いがあると命中精度が悪くなりますので、射撃用の銃には絶対メッキをしないものなのです。
散弾銃の自動銃の内径は硬質クロームしたものが多いのですが、機関部のパーツには絶対メッキをしません、それは硬質クロームメッキはお互いの摩擦に弱いのです、メッキしたもの同士をすりあわせるとカジリが生じるのです、そのため自動銃の内部には硬質クロームメッキをしないのが銃器設計者の常識なのです。 

ライフル銃の異常高圧について

2000年 1月 16日 築地

異常高圧の起こる可能性のある銃器はライフル銃と拳銃だけで、22口径のライフルと散弾銃では発生しません。
何故かと言いますと22口径と散弾銃の火薬は、色々な火薬のある中で、一番早い燃焼速度をしているからです、異常高圧は燃焼速度の遅いライフル用の火薬がプライマーの衝撃で瞬間的に分解され、ニトログリセリンの燃焼速度と同じに変化するために起きる非常に特殊な現象です。この現象はそうそう頻繁に起きることではなく、10万発に1回くらいしか発生しないためほとんどの人が体験をしないままだと思います。
しかしこれが起きるとほとんどの人は原因が分からないため、装弾や、銃器に対しての不信感が起きてしまいます。あるいはまた同じ事が起きるのではないかという不安感、装弾を購入した銃砲店への不信感、あるいはリロードは危険という誤った先入観など多くの弊害が起きます。そのためそうして誤解を解くためにこの事を書くことにしました。

異常高圧を起こした銃を見せられると、それを販売した銃砲店、あるいはそれを製造したメーカーに人は何故こうした事故が起きたかほとんど弁明の方法を見いだせないはずです。そして結果的に誤りを認め、それによってお客の方は間違った知識を得ることになります。
火薬の原料はニトロセルローズですが、火薬は元々ニトログリセリンをその先祖としていますので何も手を加えなければ燃焼速度はダイナマイトと同じなのです。その部材に色々な混合とコーテングをして燃焼速度を遅くしたのが火薬です。

爆薬は燃焼速度が秒速8000メートル以上有り、これを爆薬と呼んでいます。もしこの爆薬を火薬の代わりに詰めた場合、弾が出る前に圧力が上がりすぎ機関部が爆発してしまいます。弾の前進速度より火薬ガスの圧力の上昇が早いので機関部が崩壊してしまうのです。銃器に使う火薬は燃焼速度を遅くして、弾頭の前進するスピードに合わせて火薬の燃焼が起きるよう燃焼速度をコントロールしているため"弾を撃ち出す事が出来るのです"、しかし何かの理由で火薬が瞬時に分解して爆薬並のスピードで燃焼すると異常高圧が発生するのです。
散弾銃の場合でも、ひょっとしたら異常高圧が起きているかも知れませんが、散弾の火薬はもともと早く燃える火薬を使っていますので火薬の量に対して、散弾が前進して銃腔内の面積拡大が大きいので異常燃焼の高圧でも異常現象として認識されていないのかもしれません。また散弾銃の装弾は火薬を装填して有るところにエアースペースが全くないことも幸いしています。
異常高圧が起きる場合は、多くの場合装弾にエアースペースが有る場合に起きやすいのです、エアースペースが有る方が、雷管の衝撃で分解しやすいみたいに思えます。
ライフル銃の装弾で、減装弾を作る人が居ます、キャストブレット(全鉛弾)を自分で作り、燃焼速度の速い火薬を定量の1/3位入れると、反動量の軽い装弾を作ることが出来ます。しかしこの弾は異常高圧の発生率が極めて高いので、絶対に作られないようにご忠告しておきます。

目下の所異常高圧を避ける方法はありません。
ボルトアクションライフルの場合、異常高圧が起きてもボルトが張り付く位で被害は起きないと思いますが、自動銃の場合、機関部にクラックが入ることがあります。また、衝撃で部品が外れそれが目、又は顔に当たることがあります。
そのため自衛手段として射撃中には耐衝撃性のグラスを使用したシューテンググラスをお使いになることをお薦めいたします。

異常高圧の起こる可能性のある銃器はライフル銃と拳銃だけで、22口径のライフルと散弾銃では発生しません。
何故かと言いますと22口径と散弾銃の火薬は、色々な火薬のある中で、一番早い燃焼速度をしているからです、異常高圧は燃焼速度の遅いライフル用の火薬がプライマーの衝撃で瞬間的に分解され、ニトログリセリンの燃焼速度と同じに変化するために起きる非常に特殊な現象です。この現象はそうそう頻繁に起きることではなく、10万発に1回くらいしか発生しないためほとんどの人が体験をしないままだと思います。
しかしこれが起きるとほとんどの人は原因が分からないため、装弾や、銃器に対しての不信感が起きてしまいます。あるいはまた同じ事が起きるのではないかという不安感、装弾を購入した銃砲店への不信感、あるいはリロードは危険という誤った先入観など多くの弊害が起きます。そのためそうして誤解を解くためにこの事を書くことにしました。

異常高圧を起こした銃を見せられると、それを販売した銃砲店、あるいはそれを製造したメーカーに人は何故こうした事故が起きたかほとんど弁明の方法を見いだせないはずです。そして結果的に誤りを認め、それによってお客の方は間違った知識を得ることになります。
火薬の原料はニトロセルローズですが、火薬は元々ニトログリセリンをその先祖としていますので何も手を加えなければ燃焼速度はダイナマイトと同じなのです。その部材に色々な混合とコーテングをして燃焼速度を遅くしたのが火薬です。

爆薬は燃焼速度が秒速8000メートル以上有り、これを爆薬と呼んでいます。もしこの爆薬を火薬の代わりに詰めた場合、弾が出る前に圧力が上がりすぎ機関部が爆発してしまいます。弾の前進速度より火薬ガスの圧力の上昇が早いので機関部が崩壊してしまうのです。銃器に使う火薬は燃焼速度を遅くして、弾頭の前進するスピードに合わせて火薬の燃焼が起きるよう燃焼速度をコントロールしているため"弾を撃ち出す事が出来るのです"、しかし何かの理由で火薬が瞬時に分解して爆薬並のスピードで燃焼すると異常高圧が発生するのです。
散弾銃の場合でも、ひょっとしたら異常高圧が起きているかも知れませんが、散弾の火薬はもともと早く燃える火薬を使っていますので火薬の量に対して、散弾が前進して銃腔内の面積拡大が大きいので異常燃焼の高圧でも異常現象として認識されていないのかもしれません。また散弾銃の装弾は火薬を装填して有るところにエアースペースが全くないことも幸いしています。
異常高圧が起きる場合は、多くの場合装弾にエアースペースが有る場合に起きやすいのです、エアースペースが有る方が、雷管の衝撃で分解しやすいみたいに思えます。
ライフル銃の装弾で、減装弾を作る人が居ます、キャストブレット(全鉛弾)を自分で作り、燃焼速度の速い火薬を定量の1/3位入れると、反動量の軽い装弾を作ることが出来ます。しかしこの弾は異常高圧の発生率が極めて高いので、絶対に作られないようにご忠告しておきます。

目下の所異常高圧を避ける方法はありません。
ボルトアクションライフルの場合、異常高圧が起きてもボルトが張り付く位で被害は起きないと思いますが、自動銃の場合、機関部にクラックが入ることがあります。また、衝撃で部品が外れそれが目、又は顔に当たることがあります。
そのため自衛手段として射撃中には耐衝撃性のグラスを使用したシューテンググラスをお使いになることをお薦めいたします。

ライフル銃の遅発について

2000年 1月 11日 築地

火薬取り扱いの教本や、装弾の取り扱いの所に不発が出た場合、最低10秒待ってから解放しとあります、これはその間火薬がくすぶる事があるためと書いてありますが、実際にはこういう形態の遅発はまず有りません。それは共産圏の弾か、50年以上昔に作られた弾の場合はあり得ますが、現在流通している装弾ではまず起こり得ない現象です。私は過去にこうした遅発は見たことも聞いたこともありませんが絶対ないとも断言は出来ないので注意しておくことに越したことはないでしょう。

さて現実問題として頻繁に発生する遅発の現象についてお話致しましょう。
ここで書いている遅発は散弾銃ではおきません、ライフル銃でハンドロードした場合のみ起きうる遅発ですからその点をご理解下さい

皆さんよくご存じのように火薬の種類は数百種類以上の火薬が流通しています。
火薬を大別するとシングルベース火薬とダブルベース火薬に分けることが出来ます、さらに分けるとそれぞれ種類によって微妙に燃焼速度の異なる特性を備えています。
6ミリPPCなどに使われる、燃焼速度の速い4198等のファーストバーニングの火薬、308等に使われる4895等のスタンダードバーニングの火薬、マグナム弾に使われる、4350等のような燃焼速度の遅いスローバーニングなどの火薬があります。
では雷管はどうでしょう、スタンダードプライマー、マグナムプライマーとありますね、どこが違うのでしょうか? 実はこれも燃焼速度の違いなのです、スタンダードプライマーの爆速は一秒間に8000メートルです、しかしマグナムプライマーの爆速はこれよりずっと遅くなっているのです。
全く同じ火薬を使っても、雷管の爆速で火薬の燃焼特性は大きく変化します。早い爆速の雷管で点火すると火薬の燃焼も早くなるのです、遅い爆速では遅い燃焼をします。
スパークの長さはマグナムプライマーの方が二倍も長いのですが、意外ですがスパークの長さは燃焼特性にはあまり影響しません、ベンチレストプライマーもスパークは長いのですがこれも燃焼特性には影響が出ません。スパークが長い利点は、火薬の量が少ないときに均等に火薬に点火すると言う利点はありますが減装薬を使わない以上、実際には大したメリットはありません。

こうした利点の説明は多くはメーカーのセールストークだと考えてください。
このセールストークのおかげで、マグナムライフルを使う人は例外なくマグナムプライマーを使うようになりました、そのおかげでかえって深刻な問題が新たに起きるようになりました。それは遅発です。
マグナムライフルにマグナムプライマーを使うと 遅発 が起こりやすいのです。理由は爆速の遅い雷管で、燃焼速度の遅いマグナム火薬に点火すると燃焼速度が遅くなるからです。
遅発 と言っても、何秒か後に点火するというレベルではなく、1000分の数秒レベルの遅発です、条件によってはマグナムライフルを撃つとき、カチンと言う撃針の音が聞こえるときがあります、勿論聞こえた瞬間に弾は出るのですが、撃針の音が聞こえること、これが遅発です。
勘違いしないでくださいよ、撃針の音が聞こえたとしても、それは貴方の感性が研ぎ澄まされているのではなく、単に"遅発"が原因なのです。

こうした事が起きたときは、雷管をスタンダードプライマーに変更すると簡単に問題を解決できます。まだ少し紙面があるのでもう少し説明をします、同じ条件で作られた弾を使っても遅発の起こる銃と起こらない銃があるのです、ではどんな銃にこれが起こるかと言いますと、スロートの長い銃です、え、 スロートを知らない? それはスロート(素人)です。(苦笑)すみません、くだらないシャレでした。

ストーロとは薬室の前にあるライフリングの無い空間の事です、これを設ける事により雷管により点火された火薬は完全燃焼をする前に弾頭を3cmくらい前に押し出します。この3cmの空間がスロートです、そこからライフリングが始まるのですが、弾頭は一時的にライフリングがスタートするところで一時的に止まります、実は弾頭がライフリングに食い込むにはものすごい抵抗がかかるからなのです、何のためにスロートを設けるかと言いますと弾頭が前進した分、薬莢が拡大したのと同じ効果が得られからなのです。
ですから多くのマグナムライフルにはスロートがあるのです。火薬の燃焼が始まり圧力が3500気圧まで高まると初めて弾頭はライフリングに食い込み猛烈な勢いで前進を始めます。
この、弾頭が前進を始めるまで、一瞬火薬の燃焼がくすぶるのが遅発の原因なのです。

ライフル銃身の銃身長と命中精度の因果関係について

2000年 8月 7日 築地
更新 2000年 8月 8日 築地

突然お客様から電話で質問されたのだが、今月9月号の狩猟界、88ページに辻一献と言う方がライフル銃身のQ&Aを書かれていて、氏は、その中でライフル銃の銃身長とグルーピングの事に付いて書いています、その中で氏の主張は普段私の主張している事と大きな違いがありますのでここであえてご説明させていただきます。
氏は記事の中で良く当たる銃身は24~26インチだと主張されております。

さらに、なかには「ライフルは短銃身ほど命中する」と豪語する人もいますが、何の根拠もない与太話に過ぎません。とも説明されております。

私も短いほど当たるとは言いませんが、ベンチレスト射撃の世界を例にとって説明すると100%の人が20インチ銃身で参加しております、これってライフルの銃身では短い銃身では無いでしょうか? では何故全員が20インチ銃身をあえて使うかと言いますと、それは絶対的に当たるからです。

我々のベンチレスト射撃の世界では100メートルでクルーピングが1ミリ以下なのはすでに実証済みで、事実、大会でも1ミリ、2ミリ台はごく普通に出ております、従って練習では1ミリ以下、計測不能と言う記録も珍しくありません。

(こちらに日本ベンチレスト射撃協会 がありますのでご覧下さい。)

氏はこの様な驚異的な命中精度の世界を御存じないかも知れませんが、いずれも20インチ銃身で記録したのです、世界的なベンチレスト射撃競技に24~26インチ銃身で参加されるような無謀な人は一人も居ません。

また氏は、記事の中で削りだしバレル(カスタム銃身の事か?)はツイストからクラウン加工まで客のニーズに合わせた細かい設定が可能なので命中精度が良いと主張されています、そしてその分、値段はベラボーに高い、と結論付けられております。

当社ではシーレンのセレクテットマッチグレードの銃身を、シーレン社で外径、チャンバーねじ切りまで完全に加工させて¥79000です。この値段がベラボーに高い値段かどうかはその方の世界観にもよりますが、私はベラボーに高いとは思いません、皆さんは如何でしょうか?

さて、しからば射撃専用銃、又はヴァーミンターライフルで24~26インチ銃身が何故使われているかを説明しないと片手落ちになりますので以下説明を続けます。
ベンチレスト射撃の場合、銃を固定して撃つので20インチでも良いのですが、オリンピックなどで使われる射撃競技専用銃には20インチ銃身を使う人は絶対に居ません、私は何でも実験して納得しないと居られない性格ですから自らちゃんとした射撃銃の銃身をわざわざ20インチに切断して実験しました、結果は明らかに記録がダアウンしました、私はライフル射撃で3段を持っているので全くの初心者とは思わないでください。

銃身が短いと振り子の理論と同じで、引く瞬間簡単に銃身が動いてしまうのです、銃身が長いと銃身固有の命中精度はともかく、銃のモメントが長いので銃身の振れがスローなのでタイミングを合わせて射撃するライフル射撃では、タイミングが取りやすいのです。

それが射撃競技に28インチ銃身が使われる最大の理由です、バーミンターに26インチ銃身、狙撃用に26インチ銃身が使われる理由はまさしくここにあります。
人間が実用的に使うには24~26が一番使いやすい長さなのですが、単に命中精度を以て判断するなら20インチ銃身の方が命中精度が良いと言えましょう、少なくとも100メートルで1ミリ以下のグルーピングを出した24~26インチの銃身を私は見たことがありません、ベンチレスト射撃の世界は、技術の進歩に非常に従順でまた積極的に新しい考えを受け入れます、そうした土壌は完璧に身に付いています。ですから将来さらに新しい理論が出てくれば全員がその技術を受け入れる事は間違いありませんが、しかしながら目下の所100メートルで1ミリ以下の精度が確立している以上、これ以上の命中精度の銃身を作ると言うと現実的には難しいのが現状ではないでしょうか、100メートルで5発の射撃をして、弾痕はほとんど1発しかありません、同弾痕でも弾痕を5発数えられたらこれは我々の世界では勝負にはならないレベルです、私の説明が本当かどうか、私の主宰するベンチレスト射撃協会の大会を見学されれば一目瞭然です。

さらに命中精度の世界を極めたければベンチレスト射撃協会に入会されることをお勧めします。

入会金¥1000、年会費¥5000です、(なんだか宣伝になりましたがご容赦を)
日本ベンチレスト射撃協会


更新 2000年 8月 8日

このように書いた後で、ベンチレスト射撃協会の川村さんから計測不能の1ミリ以下の記録は24インチ銃身でも記録したと知らせがありました、従いまして20インチ銃身でも、22インチ銃身でも24インチ銃身でも1ミリ以下の記録を出せることが確認出来ました。従って20インチ以上あれば命中精度上の優劣は付けられません。

銃身寿命

2005年 2月 5日 築地
更新 2005年 2月20日 築地

「少年易老学難成」
少年(しょうねん) 老いやすく(おいやすく) 、学成り難(がくなりがた)し。
まるで私自身の事を指摘されたような言葉です。
私は来年で60才です、年月の過ぎるのは早い物で正しくあっという間に過ぎていった年月です。60才と言うと公務員でも、普通の会社の勤め人でも定年を迎える年です。
自衛官なら4年前に定年を迎え、毎日が日曜日と言うお気楽な毎日を過ごして居たに違い有りません。しかしながら、私は自営業者ですから、幸か不幸か定年はありません。
同級生達が定年を迎えると、何となく残りの人生と言うか、残りの寿命を考えてしまいます。「憎まれっ子、世にははばかる」と言う言葉もありますが、私も同業者から見れば「憎まれっ子」でしょうが、皆さん達ユーザー、あるいは読者の方達から見ればまた違った視点で私を見ておられるかも知れません。
そうすると短命なのだろうか?等と残り少ない人生をカウントしてみたくもあります。
人間には寿命があり、これだけは誰も避けて通ることは出来ません。
人間だけでなく、この世に存在するあらゆる物に寿命があります。
ここまで書くとコラムのテーマが読めてきますね。
そうです、今回は銃身寿命についてお話します。別に私の寿命について話してもしょうがないですからね、銃身寿命については大体の概念は解っているのですが、一般の人達に解るように説明できる資料はないのです。そうした資料を作るには実際に銃身を数本捨てなければ成らないし、第一相当な装弾を使い捨てなければ成らず、余程のお金持ちで暇人で出来ないとやらない実験です。
しかし、ブローニング社のホームページを覗いたら面白いデーターが開示されていましたのでご照会します。以下のアドレスに飛べば図表を見られます。

http://www.browning.com/products/features/detail.asp?id=79

取り敢えず私が図表だけを切り抜きましたのでそれをご覧頂いても構いません。

銃身寿命

この図表の左側をご覧ください、数字が1から4迄ありますが、これは弾の集弾をインチで示してあります。工場での試射は普通3発で行いますが、我々ベンチレストシューターは5発撃ちでグルーピングを言います。まあ、命中精度のレベルから判断して5発撃ちのグルーピングだと思います。図表の下に書かれた数字は弾数です。

この実験に使われた装弾は223WSSMと22-250装弾の銃身寿命の違いを説明した資料です。
これはブローニング社のHPですから、当然223WSMの性能が良いと言う事を言っている訳です。しかし、どちらも約4000フィート出る超高速弾ですから、こういう弾を使うと銃身寿命は極めて短いのです。
黄色とグリーンの線で示された線をご覧ください。下の数字の弾数、800発辺りで線は大きく上に上がっていますよね。弾数1000発では大きく上に4インチを切って上がっています。
4インチと言うことはグルーピングは10cmですから、これでは銃身寿命は尽きたと判断されますね。それとすると223WSSMは1500発位までは命中精度が保たれて居ると言うことを言いたい訳です。でも皆さんの感覚からすれば、1500発と言う数字も意外に感じられるのではないでしょうか?

メーカーにすれば、「1500発」保つと言うことを言いたいのですが、皆さんの感覚からすると「1500発しか」保たないと思われるのではないでしょうか?

案外銃身寿命って保たないでしょう、実は戦艦武蔵の砲身は500発しか保たないのです。
銃身寿命は弾の初速、言い換えれば火薬の圧力で大きく影響されるのです。
弾頭の初速が早いから「摩擦」で銃身が摩耗するのではなくて、弾頭の初速を上げるために火薬の圧力を高くすると、火薬の粒子が銃控内で猛烈なスピードで動き回るために、薬室近辺で銃控を損傷してしまうために銃身の寿命が尽きてしまうのです。
これを「エロージョン」と言います。
でもこうした超高速弾の銃身寿命は短いのですが、皆さんが使われるような初速が2800フィート程度の308や、30-06なら銃身寿命は6000発位ありますからご安心下さい。

さて、私の寿命も223WSSMを使う銃身にたとえれば、すでに1500発は撃ち尽くした銃身と同じかも知れません、さて後何発分、命中精度が残っているのでしょうかね?

子曰、吾十有五而志干学。三十而立。四十而不感。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲、不踰矩。

子 曰く 、 吾 十 有 五 にして 学 に 志す 。 三十 にして 立つ 。 四十 にして 惑わず 。 五十 にして 天命 を 知る 。六十にして 耳順 う。 七十 にして 心 の 欲する 所 に 従う 。 矩 を 踰 えず


更新 2005年 2月20日

どうも私は目も頭の回転も劣化した為か、何でも早とちりする事が多くなっています。
特に最近は英語はちゃんと読まなくなっています、見ただけで早とちりするのでこんな指摘を受けるのですね。
メールを送ってくれた人は、私の親切な友人ですから、私が恥の上塗りをしないように親切に教えてくれました。ここで訂正して、お詫びいたします。

銃身寿命
あれは223WSMの薬莢がいいのではなくて、よくグラフの注釈を見ると、223WSMはクロームメッキ(銃身内)22-250は普通のクロモリ、ガンブルーどぶづけだからだと思うのです。

解説を見ると、 In chromed barrels, the wear resistance is doubled (see chart).と書いてありますから、クロームメッキは倍は寿命があるぞ、といってますし。

It should also be noted that Browning has never sold a rifle in 223 or 243 WSSM without a chromed barrel.とかいてますから、
要は、ブローニングの鉄砲の寿命は銃身内をクロームメッキだから長いよ。といっているんです。
多くのハンター達から、過去に何度も相談された事がありますが、20~30メートルの所にいる鹿を撃ったら、マグナムライフルなのに逃げられたとか。30-06なら止まるのにマグナムで撃つとだと逃げられると言う相談が幾度と無くありました。
これはマグナムライフルの場合、初速が早すぎて鹿の体内に衝突した瞬間、弾頭が破砕するのがその原因です。
ですから回収した鹿の弾頭をよく調べて見ると解りますが、1発で鹿が倒れなかった場合、銅のジャケットと鉛のコアーが完全に分離しているはずです、実はこれが殺傷力を極端に減少させている最大の原因なのです。
多くのハンター頭とすると公差は一桁大きいはずです。命中精度から言えば良いことではありませんが、ベンチレスト射撃みたいにミリ単位のグルーピングを競うのでなければ十分な実用性が有ります。 

テーパードボア 銃身

2003年 7月21日 築地

時折メールでテーパードボア銃身について聞かれますので、コラムとして書いてみたいと思います。

テーパードボア、つまり銃身の内径がテーパーに出来ている銃身のことです。
こうした銃身は作るのが大変なので滅多に日本ではお目にかかれませんが、僅かですが存在します。但し、とうてい適正価格と思えないようなべらぼうな値段で取引されているのでその加工方法と意味と効果と適正価格と、そしてその歴史について説明してみます。

テーパードボアでゆっくり絞るのでパターンが良いとか、反動が少ないとか、逆に初速が上がる(反動が強い)とか色々な説があります。
私自身は実射実験をしていないので何ともコメントできませんが、これ以外の現用のチョークの銃でちゃんとクレー射撃は25満射が出来るのでテーパードボア銃身が特段優れていると私は全く思いません。
散弾銃はパターンだけで撃つのではなくコロンでも破砕するわけですから、パターンが大きいと言うことはコロンが短いと言うことになります。
私はクレー射撃を毎週撃っていますが、トーナンメント射撃はライフル射撃の世界で40年以上やっているので、クレー射撃でトーナメント射撃の世界に入るつもりはありません。では何故クレー射撃をそれほどやっているかと言うと、シドニーオリンピックで見た、クレーを粉々に粉砕する射撃を徹底的に追求しているからです。
日本のクレー射撃では、クレーを飛ばしてかなり遠く言ったところで(パターンの広いところで)撃って、やっとクレーに当たって力無く2枚に割れても1点は1点です。
私は、クレーを粉々に粉砕する射撃が好きなのです、何となくこれこそがトラップ射撃と思えてなりません、少なくともオリンピックで見た感想はそうでした。
割れさえすれば1点と言う考え方は確かに正解ですが、だからクレーを遠くまで飛ばして出来るだけ散弾の開いたところで取れば確率は良いかも知れません。
だからパターンの事を云々するのかも知れません、でもオリンピックでの射撃は違います。
クレーを粉々に粉砕します、明らかに日本の射撃方法とは違うと思います。
もしこういう射撃を目指すなら、パターンが広いとか、狭いとか言う理論は何処かにすっ飛んでしまいます。
クレーを粉々に粉砕するにはコロンを有効に使わないととうてい無理だからです。
私は、ブローニング,メルケル,ペラッチを使って徹底的に撃ち込んでいます。
メルケルの絞りが一番きついのですが、どの銃を使ってもクレーを粉々に粉砕することは可能です。但し、いずれの銃もスイングのスピードは相応のスピードが必要です。
銃のスイングを速くすると「銃身がぶれる」「狙いのラインが崩れる」「銃のスイングが速すぎる」種々の要因で外れることが少なくありません。
トーナメント射撃を想定すると、クレーをゆっくりと追って、散弾のパターンが広がったところでクレーをとらえた方が点数は稼げるかも知れません。
しかし、オリンピックでは「違う」と思います。
こういう撃ち方をすれば、国で違うクレーの堅さは問題ではありません。
外国の大会で硬いクレーが使われたとしたら、外国選手と日本選手との差はてきめんに出るはずです。ま、国内で和気藹々とクレー射撃を楽しむ分には問題ないですけどね。
さて、テーパーボア銃身の話をするのに余計なことを書いたように思われるかも知れませんが、テーパー銃身はパターンが良いと言われているので、パターンよりもコロンを重要視すべきだという意味でこういう話をしたわけです。
そもそも散弾銃のパターンと言うのは装弾の初速と極めて密接な因果関係にあります。
装弾の初速を上げると、散弾はドーナツ状に展開します。
装弾の初速が早い場合は、チョークの寸法を少し大きくする必要があるのです。
これは単にチョークの寸法だけで変化する問題ですから、コーンの長さが長いとか、チョークのテーパーがどうとか、チョークの長さがどうとか、チョークの形状により劇的な変化が生じる訳ではありません。もとより、チョークの形状と言うのは今まで色々なメーカーで色々なチョークを出しました。そして全てのメーカーが「当社のチョークこそ最高の性能」と宣伝した物です。30年くらい前はそうではなかったでしょうか?
「一部の会社は今でもそうですがね」で、違いはありましたか?
私はチョークはどれもこれも同じような物と思います。
これはパターンテストでは無くて、実際に撃った感想です。
パターンテストではコロンのテストは出来ないので、実際に撃って体験するしかないのです。私の体験では全部同じです、特にコロンで撃つという事に関しては優劣はありませんでした。ですから今時テーパードボアと言うのは怪訝に感じるのです。
勿論、テーパードボア銃身の優劣性を信じていらっしゃる方のお考えは否定しません、なんせ私が撃っていないのですからコメントのしようがないのです。
但し、はっきり言えるとはクレーに当てると言う本質はパターンの問題では無いということです。

私はテーパードボア銃身は撃ったことはありませんが、作った事はあります。
テーパー銃身の作り方は、穴を空けた銃身に角リーマと言う真四角の焼き入れした長いリーマを使うのです、真四角のリーマの1面に和紙を乗せ、その上に竹の割った物を乗せます、竹の背の部分が銃腔内の面に辺り、その反対面の角リーマの角で銃腔を削るのです。実際には削ると言うよりは摺り取ると言うよな感じで、鉄は削りかすと言うよりは粉状の鉄粉しか出ません、削り面は恐らく1/100~5/1000程度ではないでしょうか。
ですから1本の銃身を削り上げるのに2日ほど要します。
これは何の銃身かと言いますと、実は火縄銃の銃身なのです、前の会社では火縄銃の補修もしていたのでこうした作業もやっていたのです。
散弾銃の銃身の場合、2本ですから加工には4日かかることになります。
この4日と言う時間に幾ら工賃を見るかで銃の単価が判断できると思います。
実際の加工は時間もかかるし、大変ですから私自身は加工しませんが、作業工程はよく熟知しています。作業自体は時間がかかって大変ですが、高度なテクニックを要する加工ではありません、何も現在の名工にやって貰う加工ではないのです。
ですから加工工賃は自ずと常識の範疇の筈です。まあ、
銃身を作るのには、普通の工員の4日分の作業工賃です。
さて、何故火縄銃の銃身をテーパードボアにするかと言いますと、威力を高めるためです。言うまでもなく火縄銃は黒色火薬を使いますが、黒色火薬は威力が弱いため、威力を高めるために色々な工夫がされています。
火縄銃は先込式ですから、銃口の内径より大きい弾は使えません、そのためそのまま撃ったのでは火薬に圧力がかからず全然威力が無いのです。
そのため、テーパードボアに火縄銃の銃腔内を加工して、その銃身に黒色火薬を入れ、最後に鹿革を使い鉛の丸弾をくるみ装填します。
そして銃腔内に奥まで押し込みます、押し込んだところで、さくじょうで、ガンガン叩いて、奥の内径に革が密着するようにするのです、こうした状態で撃てば、火縄銃の中の丸弾はテーパードボアのために常に銃腔内に密着して撃ち出されるので大きな威力が出るのです。このアイデアを日本人は400年前に考えついていたのです。

ですからテーパードボアと言う理論は400年も前に日本で確立されていたのです。
全然新しいアイデアではありません!

多分散弾銃は違う! きっと別の方法で加工しているはずと言われると思います。
私も文献を見ていなければ同じ様に考えていたに違いありません。

所が、30年くらい前に製銃技術の文献を徹底的に読みふけっていた頃、イギリスで書かれた「ロンドンガン」と言う本に、ジェームス パーデイの製銃行程が書いてあったのです、その中になんと火縄銃を加工した"角リーマ"があったのです。
それを読んだ当時は、角リーマなんて知りませんからなんて面倒なリーマ加工だろうと思いました、当時はすでにガンドルもあったし、機械工作の見地から言うと角リーマはとんでもないガラクタとしか見えなかったのです、こんな事をするからパーデイは高い値段になるんだとも考えました。
所が大違いでした、火縄銃の加工をしてその本質にに初めて開眼しました。
角リーマが昔からヨーロッパに在ったのか、パーデイが偶然考えついたのか、それとも火縄銃の製作法から学んだのか、残念ながらそれについては不明です。
いずれにしても、パーデイのテーパードボアは、火縄銃と同じテーパーボアにして威力を高める為の工作だったのです。
上下二連と違い、水平二連は耐圧が弱いため、32グラム装弾以下の弾しか使えなかったのです、ですから同じ装弾を使っても威力を高めるために施された工作だったのです。
実際に角リーマで加工してみると、実に完璧なテーパーが作れます、他の機械工作を持ってしても絶対に不可能な工作だと断言できます。

でも現在の射撃装弾は24グラムと決まっており、初速も1400フィートですから、テーパーボアにして威力を高める意味は全くないのです。初速を上げる必要もありません。

テーパードボアを使うとパターンが良くなると言うなら、それも宗教ですから、別に否定はしませんが!

テーパー銃身と言うには些か語弊があるかも知れませんが、ライフル銃でも銃口が絞ってある物もありました、ありましたと過去形で書くのは現在は無いからです。
1970年代までは、アンシュッツ、ワルサー等の22口径射撃専用銃の銃身は銃口が少し絞ってあったのです。これは22口径の弾頭だけを外して、薬室からロッドで押していけば簡単に解りますが、銃口付近でグッと抵抗が増えるのです、計器で計測できないのでこうして確認するしか方法がないのですが、誰でも実感できる体感なのです。
何故こうしたことをするかと言いますと、鉛の弾は銃腔内を前進していく最中に弾頭の直径が少しずつ削られるかのでその削られた分に合わせて銃口を細くしたのです。
これは油圧で微妙な力加減を加えて外側から押し縮めて加工したのですが、当時は門外不出の技だったのです。私もトライしてみましたが絞りすぎると全然当たらなくなります。
私も長年これこそライフル銃の命中精度を上げる秘策だと勘違いしていた次期がありましたが、アメリカのカスタムライフルを知ってから、これが全く意味のない工作だと次第に解って来ました。私が理解できた後、アンシュッツもワルサーも銃口の絞り加工はやらなくなりました。

テーパードボアについて色々書いてみましたがが、これは一部の射手の間で、値段は高いが、画期的で革新的な工作だと勘違いされて情報が伝達されているので、すでに400年も前に火縄銃で確立されていた日本の加工技術だと言う、歴史のお勉強でした。 

銃身破裂

2002年 7月 5日 築地

ある日突然、この銃のオーナーから怒りの電話を受けた!
射撃場で射撃中に突然銃身が破裂したと言うのである。

銃の全体図
銃の全体図

「何もしないのに突然銃身が破裂した」と言われて私も当惑した。
突然銃身が破裂したので、お怒りの様子であったが原因が無くて銃身が破裂する事はない。必ず原因が有る筈なので、順序を追ってお話しを伺った。
まず、火薬が原因の場合は主に機関部が損傷する、今回の場合は銃身の破裂、それも銃身の中心付近と言うことなので、そうすると異物の残留が原因と考えられる。
その事を話すと射撃中に突然起こったので異物が有るとは考えられないとの事で、お客様は何か銃身素材が不良だったのではと言うような雰囲気であった。
私は、お客様に装弾はハンドロードかどうかお尋ねしたところ、ハンドロードだとのお答えであった。私は思い当たるフシがあったので、銃身破裂する前、ちゃんと弾が出ましたかと聞いた、一瞬沈黙の後、ちゃんと出たとお答えが帰ってきた。
私はさらに質問を重ねた"反動が有りましたか?" 数秒の沈黙の後、「反動が無かったと」との答えである。
その答えを聞いて、私は原因を指摘した。

"その弾には火薬が入っていませんでしたね!"

つまり原因はこういう事である。
雷管の圧力だけで弾頭が押し出され、雷管の火薬ガスだけでは火薬の絶対量が不足しているので銃身の途中で弾頭が停止し、その後ちゃんとした弾を撃ったので、途中で停止した弾頭に次の弾の弾頭が追突して異常高圧が発生し銃身破裂が起きたのである。私はその事を順序立てて説明し、その時点でやっと原因がご自分に有ったとご理解されたようである。

破裂した銃身
破裂した銃身
割れた先台
割れた先台


火薬ガスは気体なので、皆さんにはあまり実感を持って考えにくいと思いますが、弾頭が急停止した場合、火薬ガスは銃口に向けて突進している最中なので気体であっても急停止は出来ない。列車事故で先頭の車両が何かとの追突により急停止した場合、後続の列車が次々と折り重なって来るのと同じような現象だとお考え頂きたい。
この銃身はバーミント用の太い銃身なのであるが、そうした異常高圧が起きるとこんな頑丈な銃身でもひとたまりもない。

レミントン700の銃身素材はクロームモリブデン鋼である、この材料は粘りや引っ張りに強い鋼材で充分な強度を持っているのであるが、その素材がこの有様なのである。

銃身接写
銃身接写

こんな強力な破砕作用が起きたのであるから、撃った人は大丈夫妥当かと思うのが当然であるが、思いの外ほとんど無傷である。但し、この射撃中はベンチレスト射撃をやってたまたま指の一部を銃身にかけていたので、飛散した弾頭の破片で指に傷を負われたようであるが、通常の様に先台を握って、ちゃんと構えて撃たれていれば無傷であった事は間違いない。何故なら機関部とボルトは完全な状態であるからである。
銃の鋼材はすべてクロームモリブデン鋼を使用している、しかしながら銃身が破裂して機関部が無傷なのはどうしてだろうかと思われるかも知れないが、実は熱処理でそれぞれの硬さに違いを持たせてある、一番硬度が低いのが銃身である、その次に硬いのは機関部で、一番硬いのはボルトである。この様に硬度を変化させて異常高圧が発生した場合はまず、最初に銃身が裂けるように作られているのである。
銃身が裂ければ圧力は瞬時に低下する、そうする事により機関部の損傷を回避しているのである。

無傷のボルト
無傷のボルト
無傷の機関部
無傷の機関部

この銃の機関部の写真をご覧頂きたい、写真でお解り頂けるように、機関部には全く異常はない、ボルトも全然痛んでいない、銃身が破裂する事により、こうして機関部が安全に守られたのである。

無傷のボルト 側面
無傷のボルト 側面

もう40年くらい前の話になるが、今は無くなった神奈川県の富岡射撃場で、当事唯一の国産ライフル銃を製造していたYSSと言う会社の銃をこの会社のオーナーが試射している最中に突然ボルトが抜けて射座の後の板に突き刺さったという事件があった、幸い試射なので銃を構えたわけではなく、サンドバックの上に置いて撃っていたのでけが人は無かったか、見学していた射撃部の学生の間では有名な話として語り継がれ、当事からYSSライフルを敬遠する人たちは概ねこうした噂話が記憶の底に残っていたのかもしれない。
ウインチェスターやレミントンの半値くらいしかしなかったYSSも国内では全然売れず会社は倒産してしまった。私はYSSの工作が駄目だったのではなく熱処理が硬すぎたのが原因では無かったかと今でも密かに思っている。
この様に、銃器の場合は熱処理が非常に大切な事なのである。
機関部は、不必要に硬ければ良い、不必要に強ければ良い、と言う物でもないのである。

今でも時折、名もないメーカーの機関部破損等の事故を見ることがあるが、ほとんどの場合機関部の硬度が硬すぎるようである。機関部の硬度が硬すぎると、逆に今度は火薬ガスの圧力がボルトに集中することになる。
銃身が破裂するのが一番の、そして最初の安全回避策であるが、火薬を間違えて、ライフル火薬の替わりに散弾銃の火薬を間違って装填したような場合、弾頭が前進する前に機関部付近で異常高圧が発生するので銃身が破裂する前に機関部に火薬ガスの圧力が集中する、その場合、雷管の穴からガスが逆流しファイアリングピンの穴を通過してボルトのガス抜きから弾倉の方に抜けるのである。ファイアリングピンの穴と言うと非常に細いのでにわかに信じられないかも知れませんが、ガスも非常に高速ですと、曲がる事がないのでほとんど直線上を逆流する事になる。そのため機関部の横方向にガス穴が有ってもほとんどそちらには流れない、最初はファイアリングピン穴にそって逆流をする、そして開放された部分に来て、初めて方向を変えて弾倉方向にガスは流れ始めるのである。
有る程度圧力が下がったと言っても、この時点で弾倉はほとんど破砕され、底蓋は間違いなく抜け落ちる、これが機関部で起きる破砕現象である。

無傷の弾倉
無傷の弾倉

このガス回避策が設けられていなかったり、機関部の強度が必要以上に強いと、ボルトが破砕され、ボルトが銃を狙っている人の顎を直撃する事になる。

残念ながら、こうした事例も現実に起きているのである。

装弾の相談を読んだ方からの装弾の相談の続編です

2003年11月27日 築地

築地 様

あまりにしろうとの質問で恐縮ですが、築地先生の電脳社会のみの情報で銃を所持しかかっている者ゆえお許し下さい。

装弾についての質問なのですが、たとえばクレー射撃用装弾で24グラムとありますが、これが散弾(粒)の重さで、グラム数(粒の量)が変わっても火薬の量は変わらないという知識でよろしいでしょうか? また、装弾の長さに種類があるようなのですが薬室の大きさにより正しい長さのものを使用しないとまずいと言うことですか?
また、マグナム装弾云々というものを聞いたものがあるのですが、これはどのようなものでしょうか?AL391でも発射可能ですか?自分の場合AL391でスキート射撃をやりつつ、スラッグ弾等を使って色々な射撃を試してみたい欲求があるのですが、チョークとの関係等においてどのような注意が必要でしょうか?
「装弾の相談」続編と言う事で、お手隙の時に格調高いご教示をいただければ幸いです。


以下私の回答です。

散弾銃の装弾はグラム数が変化しても、装填してある火薬はあまり変わりません。
あえて絶対に変わらないとは断言しませんが、弾道学の常識で言うと、装弾の重さが重くなるごとに、火薬の燃焼速度を落として、火薬量を少しずつ増やすのが常識です。
その常識よりも、装弾メーカーの経済常識の方が会社にとっては優先順位が高いのだと思います、従って散弾の量が変わっても火薬の種類も、火薬の量も同じだと言っておきましょう。何故こうなるかと言いますと、火薬量の増減は装弾を作り機械で簡単に調整できますが、火薬の種類を変更するのは容易な事ではありません。

火薬の製造は1釜と言う単位で作られます、その1釜の火薬量は装弾の数で言うと25,000発~40,000発くらいに該当します。ですから意外と細かく作るというのは合理的でないのです。少なくとも量産するのと比べればコストアップになります。
今のように装弾の値段が1円安ければそれになびくという使う側の理論が優先する現在では、その散弾の量に合わせた合理的な火薬を装填するというのは会社経営の経済理念から言うと避けたいところでしょうね。

ライフル銃の火薬の場合、多種多様の火薬が用意されていますが、散弾銃の場合、通常燃焼速度から判断すると2種類くらいの火薬しか用意されていません。(私はそう思います)
従って射撃用の装弾も猟用の装弾も同じ火薬を使っていると考えるのが自然な考えです。
射撃用の装弾でも、同じ装弾でも火薬を変えているところは数社ありますが、外見上は使用する火薬が違っていますが、両方を燃焼させると燃焼速度は同じです。
つまり名目上の違いはありますが、燃焼実験すると特性は同じと言うことです。

メーカーによっては火薬をミックスさせているようですが、事実関係は確認できておりません。火薬をミックスして使うことは火薬の世界では「禁手」ですので、間違ってもメーカー側では事実関係は認めないとは思いますがね。
早い火薬と遅い火薬をミックスして使うと、ちょうど中間の燃焼速度が得られるのですが、この様な使い方は極めて危険と火薬会社では力説していますので「よい子の皆さん」は真似しないようにしてくださいね。

散弾銃の火薬が明確に違うのは散弾の装弾と、サボット弾の装弾です。
サボット弾は、コアと呼ばれる弾頭の部分をサボットと呼ばれるプラスチックの外皮でくるんだ装弾の事を言います。
この装弾は銃身に切られたライフリングの溝に添って回転して撃ち出されます、散弾銃であっても、性能的にはライフル銃と同じような物です。そのために命中精度も、そして威力も大きいのです。限りなくライフルに近い散弾銃装弾と言えます。

サボット弾の装弾は燃焼速度の遅い火薬が、約、倍量が入っています。
サボット弾は雷管のスパークで火薬に点火された後、最初の圧力で弾頭部分はライフリングに食い込みます、そして徐々に上昇する火薬の圧力に耐えきれずライフルの溝に添って前進を始めます。

装弾の前進に伴い、火薬はさらに燃焼を続けます。こういう燃焼の方法はライフル銃の推進薬と同じ発想で、ゆっくり、そして長く燃える火薬を採用しているのです。

サボット弾を撃つと解りますが、結構強烈な反動があります。
反動が強いと言うことは威力が強いと言うことです。
通常の装弾の倍の火薬量と言うことがその威力の強さを物語っています。

レミントンのサボット装弾には銃身肉厚の厚いヘビーバレル銃身以外には使用不可と注意書きが書いてありますが、レミントン社ではヘビーバレルは製造していないので、レミントン銃にレミントンのサボット装弾は使えないことになります。

実際問題は多くの人がレミントン銃にレミントンのサボット装弾を使っていますが、事実レミントンの銃身が避けた事例を私自身は数例見ています。
通常の使用で突然銃身の破裂が起こりますが、レミントン装弾を使うと起こりえる事なのです。ウインチェスターやアポロ装弾を使うと、弾頭の直径が小さく、火薬圧力の上昇も低いのでこうした問題は起こりませんが、そのかわり命中精度は最悪になります。
「初速が早く、火薬の圧力が高くないと当たらない」という私の理論を裏付けるような事実なのですね。
絶対に銃身が避けないのはハステング社のヘビーバレル銃身です。
ヘビーバレルでなくても、通常の銃身でもハステング社の製品では銃身破裂はありません、それはレミントンの銃身材料より、かなり堅く丈夫な鋼材で出来ているからなのです。
使用されている鋼材は、レミントンと同じクロームモリブデンですが、堅さ試験をすると明らかにハステングの方が堅くできています。熱処理が違うのでしょうね。

弾頭自体にライフルの切ってある物がスラッグ弾です、ライフルが無くても弾頭の内部に風きり羽があったり、自ら回転するような工夫がされていますが、これをチョーク付きの銃で撃ったら危ないのでしょうかと?よく質問されます。
結論から言うと、フルチョークで撃っても大丈夫なように作られています。
この弾頭をフルチョークで撃つと、チョークの部分で弾頭がつぶされて発射されます。
そのために、スラッグ弾頭の形状は、中が中空で出来ていたり、外側が力が加わると潰れるように出来ているのです。

24グラム射撃用装弾は2:3/4の薬室で使いますが、マグナム装弾は装弾の量が多いので薬室はそれよりも長い3インチで出来ています。
2:3/4の薬室に3インチマグナム装弾を使うと、装弾の先端のスタープリンプした部分が薬室の中に収まらずボアーの部分にかかるので、散弾が撃ち出される抵抗が異常に大きくなり、雷管突破や、異常高圧の原因となります。最悪の場合銃身破裂と言うことも起こりえます。

それでは、全ての銃の薬室を長めに作ればと言うことになりますが、3インチの薬室に通常の装弾を使うと、わずかな間ですが散弾が通過するときに隙間のある部分を通過することになりますが、これにより散弾のパターンが悪くなると言われています。

規定以上にパターンが広がったり、「死に弾」が出るようになると言われております。

装弾の相談を読んだ方からの装弾の相談です

2003年11月19日 築地

貴社にMX8を発注し現在所持許可待ちの**と申します。
所持許可待ちの間、はやる気持ちを築地氏のコラムを読んで気を紛らわしている今日この頃ですが。銃の選択および購入もネットですませ、射撃に関する具体的な情報は全てネットという非常に非現実的空間の中ですませてきたので、これから射撃を始めるにあたり装弾に付いての知識が無く、唯一知っているのは、教習射撃で使用したNIKEというブランドの装弾だけです。
つきましては、築地さんの豊富な射撃経験から、装弾のメーカー(ブランド)、使用経験上の感想など(出来れば値段なども)、これから射撃を始める人間にとって、装弾を選択するアドバイスを頂ければ有りがたいです。


以下、私の格調高い回答です。
私はライフル射撃の初体験は14歳ですから、異性関係との初体験より銃器関係の経験の方が2年だけ早いことになります。
こうした豊富な体験から言うと、ライフル銃と装弾の関係は、新婚ほやほやの仲の良い夫婦、あるいはラブラブのカップル、そうした相性以上により密接な相性が大切な事が解りました。
ですから、いくら命中精度の良い銃身があっても、マッチングしていない弾を使うと命中精度は良くならないのです。
逆にマッチングしない装弾でも別の銃身だと優れた命中精度を示したりします。
これは、人間の男女関係と極めて似ていますね、私などは何度女性に振られても、あるいはボロ雑巾の様に捨てられても、果敢に再チャレンジする内にまた新たな女神に出会います。で、結局また捨てられるのですが、また再チャレンジするのです。
この様に相性さえ良ければ、何とかなるのが男女の関係です。
人間の男女関係はライフルの場合の銃身と装弾の関係と同じなのです。
男性が装弾とすれば、やはり薬室を備えた銃身は女性と言うことになるのでしょうね。
念のためにドイツ語で銃弾の事を調べたらMunition(ムニツイオーン)と言うのですね、ドイツ語の場合には全ての名詞に性がついていますのでそれを調べたら、何と銃弾は女性名詞ですね!ウーム、ドイツの文化は奥が深いですね。

ところが散弾銃の場合、銃と装弾の関係というのは、それ程の相性を必要としません。
たまたま立ち寄ったキャバクラで、たまたま席に着いたオネーチャンと、適当に話をしてあわよくば、オトーサンの方は、オネーチャンのお体の微妙な部分にタッチ出来れば上出来と言うような、極めていい加減な関係にあります。
つまり相性なんかどうでもよく、最初からそれぞれの目的が違うと言うことであります。オネーチャンの方は「お金」、オトーサンの方は「タッチ」と言うことで、お互いに男女が協力して何かを成す、その場にはそういう高尚な目的は微塵もありません。
散弾銃と装弾もそうした密接な相性は要しないのです。
たまたま射撃場で売っている弾、たまたま銃砲店に在庫であった弾でも、ちゃんと当たるのです。散弾銃は決して装弾の選り好みをしないのです。
私はシドニーオリンピックの時に双眼鏡を持参して、オリンピック選手の使用している装弾を子細に観察したのですが、一つの装弾に「操をとおす」というような律儀な射手は居なかったように思います。
こちらの会社の方のファイトマネーが良い、あるいはサポート金額が大きい、そういう不純な動機で使っている人が少なくないように思いました。
やはりオリンピックの場でも一番影響力が大きいのは「お金」ではないでしょうかね。
オリンピック会場では、残念ながら日本製の装弾は皆無でしたね。だからといって日本製装弾が悪いとは思いません、むしろ世界的なレベルで見ると一流どころに位置しているのではないかと思えます。
散弾銃の装弾で一番大切なことは初速が安定している事です。
私は日本の装弾を使って雷管突破等というアクシデントにはあまり出会いません。
しかし、イタリアの装弾では雷管突破が多いですね。
雷管突破は銃の撃針が長いのではなくて、火薬の圧力が異常に高いので火薬ガスが雷管を通して後ろに吹き戻してくる現象です。火薬の圧力が高いと言うことはワッズの抵抗が大きいか、さもなければ火薬ガスの圧力が異常に高い事を意味します。
すなわち製品にばらつきがあると言うことです。
私が、ここの装弾は良い、とか、逆にこの装弾は劣悪とか言うと、多方面に色々影響があるかも知れませんので、雷管突破があるかどうかは実際にお使いになって自らご確認ください。
雷管突破は装弾の出来が悪いだけでなく、散弾銃の撃針を痛める要因にも成りますので、雷管突破が発生した装弾は、私は極力使わない様につとめています。

巷でよく言われる事ですが、銃口内が汚れると言うことは装弾の性能とは直接関係はありません。また銃口から煙が出るかどうかもあまり火薬の性能とは関係がありません。

但し、500発で\15,000以下の安物装弾のご使用も避けてください。

高い弾でも安い弾でも起こり得る事ですが、装弾のリムの整形がちゃんと出来ていなくて、薬室に装填したときにエジェクターの部品をくぐり抜けて装填されるとんでもない弾があります、こうなるとエジェクターは装弾の上にあり、機関部を閉鎖しようにもエジェクターが閉鎖できないために機関部は閉鎖できなくなります、また排莢しようとしてもエジェクターが邪魔して排莢出来ません。
装弾が薬室に装填されて、閉鎖も排莢も出来ないなんて冷や汗が流れます!

こうした装弾に遭遇したら、今後その装弾は出来るだけ使わないようにするのが無難です。
こういう装弾との出会いは、相性の良くない女性から「責任とって」と詰め寄られる様な悲劇なのです。 

装弾の相談!

2003年 5月26日 築地
更新 2003年 5月30日 築地
更新 2003年 6月 1日 築地

12番実包についてご質問いたします。
よくこの弾は、薬莢が硬いとか、柔らかいからだめだとか、言われますが何のことでしょう、又安い弾は、あまりクレーにあたらないのですか、私は今B&Pコンペと言う一番安い弾お使っておりますが、高い弾の方が良いのでしょうか、もしランクを、上げるとすれば、どのような弾が良いのでしょう、ちなみに私は、トラップ射撃で、銃は、ミロクの6000TR1です。

回答
私自身は、薬莢が硬い、柔らかい、と言う言い方には遭遇しておりませんが。実際に装弾を撃った感じの話ではないかと思います。これは散弾銃実包に限らず、ライフル銃の実包でも同じ事が言えます。同じ初速なのに撃った反動を軽く感じる弾と、強く感じる弾が存在します。これは弾の優劣ではなく、使用している火薬により感じる体感なのです。散弾銃の装弾の場合は、使用しているワッズによっても違うと言う理屈もありますが、それは全て装弾メーカーの一方的な言い分で、私自身は散弾銃装弾の手詰めをしないので、ワッズによる違いを断定することは出来ませんが、ワッズによる違いはほとんど無いと言うのが私の密かな印象ですが、この際あえて断言はしません。

今回はあくまでも使用される火薬による違いを説明してみます。22口径競技用ライフルに使われる装弾として、ドイツのRWSとイギリスのテネックスがありますが、これらの弾の撃った感じを説明すると、同じ重さの弾頭を、同じ初速で撃っても、反動の感じが全然違います、究極の命中精度を競うベンチレスト射撃競技に於いても、同じ6ミリPPCを使い、同じ弾頭を、同じ初速で撃ち出す場合でも、IMR4198の火薬と、H322の火薬では、反動のフィーリングが違います。

この様に反動のフィーリングに違いがあることは、ライフル銃の場合、散弾銃みたいにワッズを使わないので、使用される火薬により反動が違うことは明白です。早く燃焼する火薬の場合、反動の感じが強くなり、遅く燃焼する火薬の場合、反動にフィーリングがマイルドになります。
反動が違っても何故初速が同じかと言いますと、弾頭を薬室の辺りで「ドーン」と一気に加速するのと、銃身の中で徐々に加速するのとの違いです。
しかしながら明確に断言しますが、これは弾の優劣ではありません。火薬の種類を厳密に言うならば、ニトロセルローズを主原料としたシングルベースの火薬と、ニトロセルローズ、ニトログリセリンを主原料としたダブルベースの火薬がありますが、シングルベースの火薬の製造コストが安い反面、ダブルベースの火薬は製造コストが高くなりますが、ダブルベースの火薬が性能的に優れていることは言うまでもありません。西側諸国の中ではイタリアは最後までシングルベース火薬しか作れなかった火薬後進国だったのですが、アメリカや日本の技術指導で現在は全てのイタリア製装弾はダブルベース火薬を使用するに至りました。
言うまでもなくダブルベース火薬の方がよりパワフルなので、装弾として優れていることは言うまでもないのですが、値段の安い、シングルベースの火薬の方が反動はマイルドになります。従って反動のフィーリングを以て装弾の優劣を断定するのは明らかに間違いです。
ライフル銃の場合、弾の優劣を断定するのは極めて簡単です!  当たるか、当たらないかだけです。
オリンピック射撃競技では、RWS,テネックス、ラプア、フェデラル、等のメーカーがオリンピック選手に自社の弾を使って貰おうと必死です、しかしながら射撃選手の立場からすると、誰でも一番当たる弾を使いたがるのは当然のことです。アンシュッツやファインベルクバウの試射場に行くと、何種類もの弾が常に用意されており、製造された銃に対して、試射の時点で思うような命中精度が出ないと
きには、弾を変えると希望する命中精度が出ることがあります。
これは銃身により、必ず相性の良い弾、相性の悪い弾が存在するからです。
現在オリンピッククラスの選手は、それぞれの装弾メーカーに自分の銃を持参して、色々製造された装弾の中で、どのロットの弾が一番自分の銃に合っているか、適性を見極めるためにわざわざ工場まで出向きテストを繰り返します、そうして一番適性だと断定した弾を何十万発と言う単位でまとめて買い占めます。
しかし、その弾が他の銃に合うかどうかは別の話なのです。
メーカーによって違いますが、ある会社の例を説明しますと、火薬は大きな釜で色々な原料を混ぜ合わせて作りますが、1回の製造で2.5トンの火薬を製造します。火薬の場合、同じ成分を同じように混ぜ合わせて作っても、完璧に同じ物という物は絶対に出来ないのです、それぞれの火薬の特性は単に燃焼速度だけを取り上げても全部微妙に違うのです。さらにその火薬を使い、1ロット25万発の装弾を作りますが、同じ火薬を同じだけ装填しても初速が微妙に違うのです、そのため装填を開始した段階で弾の初速を計測し、弾の初速に合わせて火薬量を微調整するのです。これにより命中精度の優劣が変化するのです。また火薬だけでなく、雷管の火薬はさらに微妙なのです、一般的に雷管の火薬については、ほとんどの方が無関心ですが、雷管の燃焼速度に応じて火薬の燃焼速度も変化するのです。ライフル銃の場合、スタンダード雷管、マグナム雷管、ベンチレスト射撃用雷管が存在することからも、用途に応じて雷管を微妙に使い分けていることがお解り頂けますでしょうか?

これと比較すると散弾銃用の装弾でそこまで考えて使っている人は皆無です、せいぜい反動が硬いとか柔らかいとか、弾の性能からは全く関係のないことですが、銃口が汚れるとか、そう言う幼稚なレベルで装弾の優劣が論じられています。私自身散弾銃でも色々な装弾を使いましたし、シドニーオリンピックの時は、双眼鏡でオリンピック選手に使用されている装弾を子細に観察しましたが、散弾銃の場合、何を使っても結局同じと言う結論になりました。はっきり言うとお金をサポートしてくれる会社の装弾を使っていると言うことです。
ライフル射撃の場合には考えられない発想です、ですから散弾銃の場合、装弾による優劣は皆無だと断定出来ます!
何を使っても同じなら、せめて雷管突破の起きない装弾、リムの成型不良の装弾を使うべきですが、私の体験では、全ての装弾で雷管突破が起こりえます。
これは火薬量が多いかではなく、ワッズの抵抗が大きかったり、あるいは先端をクリンプしたときに抵抗が大きすぎるときに起きると思われます。

多くの人は雷管突破が起きると、撃針が長すぎた等と、とんでもない勘違いをしますが、撃針が長すぎれば毎回雷管突破するのが当然ですし、撃針は長すぎると言うことはないのです。散弾銃の場合、良い装弾というのは何を指すかと言いますと、常に安定した初速が出ている事です、初速が安定していると言うことはパターンが常に同じという事になります。
散弾銃の初速が変化するとパターンが変化すると言うことは、多分理解して頂けると思いますが、ほとんどの人はパターンが大きくなるか、小さくなるかしか考えが及ばないと思いますが、「銃器研究の異常者」を自認する私の場合、散弾銃の初速が上がると散弾のパターンは「ドーナツ状」になり、真ん中がスカスカのパターンになると断言します!
ですから装弾は初速が早ければ良いという物でもないのです。
しかしながら、かなり安い弾を使っても火薬によりパターンが変化するほど初速に違いはありません。従って、散弾銃の場合、値段によって当たる弾と、当たらない弾は存在しませんが、あえて言うなら散弾の粒が綺麗な丸状をして、チョークを通過した衝撃で変形しないことが言えます。
チョークで散弾が変形すると、それが空気抵抗になりちゃんとした形状の弾に遅れて飛翔するようになり、ひいては「死に弾」となってパターンを悪くする事になります。

質問者はB&Pの装弾をお使いだと言うことですが、この会社のF2と言う通称フラッシュと呼ばれている一番高い装弾の先端をカッターで切り、中の散弾粒を取り出して観察してみてください。
1粒1粒がベアリングみたいに綺麗に作られている事に驚かれると思います、これも単にパターンを均一にする目的なのです。そう言う意味ではこの会社、なかなか根性の入った作り方をしていますが、リムの長さが外の弾より長いので火薬の圧力が高いときにここの部分が膨らみ排莢出来なくなる事もあります、散弾銃用装弾の場合、この部品にお金をケチって鉄を使っているのでちゃんとスプリングバックで戻らないのでこうしたトラブルが起きるのです。
鉄を使ってもその上に真鍮メッキしてあるので真鍮と見間違いがちですが、この部分はれっきとした鉄製なのです。

会社によってはこのリムの部分の成型不良で、銃のエジェクターの中に潜り込む装弾に遭遇することがあります、そうした場合エジェクターが閉鎖しないので銃を閉鎖することもさりとて装弾を取り出すことも出来なくなる事があります、私はこうした装弾は二度と使うことはありませんが、装弾の優劣を断定するならせいぜいこうした製造上の問題だけでしょうね。

散弾銃の場合、値段によって優劣は有りませんが、一般的に言うと500発で\15,000以下の弾は往々にして成型不良の弾が多く混入しています。高速代金、クレー代金、射撃場使用料金は均一にかかるのですから、弾の値段を数円安く切り下げたために起きる、銃が損傷するリスクを私なら絶対避けますがね!


更新 2003年 5月30日

昨日誤字を訂正したのですが、ついでに装弾のコラムについてもう少し書き足してみたいと思います。火薬の燃焼速度が速いか、遅いかを見分ける方法ですが、一番てっとり早いのは実際に燃やして見ることです。ほとんどの方が火薬も燃やすと言う体験はしておられないと思います。それは火薬は火を付けると爆発するのではと言う誤った考えがあるからです、でもそれは映画の見過ぎです!

 でも、念のために忠告しておきますが、黒色火薬は火をつけると爆発しますから、黒色火薬に火を付けるのは論外ですよ! 幸いなことに現在の装弾で黒色火薬を使っている装弾は皆無ですから、無煙火薬には火を付けても大丈夫です。
幸か不幸か、このコラムは多くの行政の人も閲覧していますので、装弾をばらして火を付けるという行為は、装弾の目的外使用で火薬類取締法違反になります。私は順法精神の鬼ですから違法行為を推奨する事はありません。
装弾の火薬に火を付けろと言う行為は、たまたま不発弾に遭遇した場合の処置です。
勿論不発弾に遭遇した場合でも、それをばらして火薬に火を付けると言う行為は、違法行為には当たります、ちゃんと処理するには不発弾を(銃砲店ではなく)警察に提出して警察は自衛隊に依頼して海中投棄するのが火薬取締法の趣旨ですよね。
 でもね、警察で装弾を保管すると言うこと自体、火薬類取締法違反ですよね!、警察には火薬類を保管できる保管庫は無いはずですし、県警レベルでも火薬取締法で定めた火薬類の保管庫は備えていないはずです。(キッパリ)
とすれば不発弾を警察に届けて、結果的にですが県警に違法行為をさせるわけにも行かず、仮に警察本部が"超法規的承知"で火薬類の保管をしたとしても、現在ではそれを自衛隊に廃棄依頼する事は出来ないことになりますよね、何故なら新しい法律では火薬類の海中投棄は禁止されていますから、自衛隊は永遠に海中投棄による廃棄は出来ないことになっています。
そのため、装弾の購入者がたまたま不発弾に遭遇したため、自らの判断で「超法規的処置」により、装弾を分解して火薬を燃焼廃棄させ、雷管は再度激発して廃棄させる承知をとったとしても、違法はとられないと考えています。そういう特別な場合を想定した話ですからネ!
さて、散弾の装弾をカッターナイフで切りますと、散弾がバラバラと出てきます、その散弾には鉛だけでなくてアンチが含まれています、アンチと言う物質を混入させることにより散弾の硬度を上げます。散弾を硬くする目的は、散弾が銃腔内のチョークを通過するときに変形しないようにするためです、散弾の粒が真円の場合は問題ないのですが、それがわずかでも変形すると他の散弾より空気抵抗が大きくなり、飛翔する間に他の弾より遅れることになるからです。しかしながらアンチは鉛よりも10倍も高価な金属なので、そうそう大量に混入させることが出来ません、安い弾は1~2%、高い弾は4~5%混入させています。
装弾が高い安いかの一番の要因はこの辺にあります、理屈の上からは高い弾は当たる、安い弾は当たらない、と言うことは言えますが、今まで15枚しか当たらない人が、16枚になるわけではありません。しかしながら199枚当てる人が200枚になる可能性は"あえて否定しません"しかし、高い弾と安い弾の違いはその程度の効果しかないことを良く認識してください。
メーカーの言い分ですと、アンチの量の多い散弾はより遠くまで破砕力があると言うことですが、私の体験ではほとんど認識する事は出来ませんでした。その程度の違いでしかありません。
散弾を抜くと、中からワッズが出てきます。このワッズの形状についても、これでパターンが良くなると言う意見もありますが、私自身は、論理的に確認しておりません。
メーカーサイド、あるいは知ったかぶりの販売店では、ワッスの形状によりパターンが良くなると言う説明はありますが、ではどうしてそうなるのでしょうか、物理学的な説明が抜けていますので、私自身は新興宗教団体並みのかなり怪しい理論だと考えております。(但し、物理学的な弾道飛翔の論理説明提示がされたら記述を改めます)
ワッズを取り出しますと、やっと火薬が出てきます、色々な装弾を比較しますと、同じ装弾メーカーでも色々な火薬が使ってあることがお解りいただけると思います。火薬の形状は円盤型、真四角型、色々ありますが、それぞれ製造工程の問題で優劣ではありません。
火薬の表面積と燃焼速度は密接な関係があります、火薬の表面積が多い方は燃焼速度が速いのです、「なるほど、表面積が多い方が酸素と結合しますからね」などと言う理論は当てはまりません、火薬の燃焼は、鉋屑と薪の燃焼とは違うのです。火薬の中には燃焼する事で酸素を発生する薬剤が混入されていますので、外部からの酸素を必要としていません。
単に面積が大きい方が早く燃えると言うだけの話です。散弾銃、22口径ライフル、30カービンライフル実包、その他、拳銃実包等の装弾は、弾の直径と薬莢の直径が同じですよね、こうした装弾の火薬は早く燃焼させませんと、弾頭の前進に対して火薬のガス発生が追いつきません、そのために速燃性の火薬を使うのです。
ひるがえり、ライフル用の装弾、とりわけマグナムライフルと呼ばれる威力の強い装弾は装弾の弾頭の部分は7.62ミリしかないのに、後ろの方は大きなスペースがあり、火薬も散弾銃の10倍も装填できます、こんなに多くの火薬を装填しても、火薬は一気に燃焼するのではなく、火薬は順次燃焼してすぐに燃え尽きないようにしてあります、そうする事により弾頭が銃腔の中を前進する間でも、常時ガスが大量に発生して弾頭を加速し続けるのです。勿論それぞれ火薬の燃焼速度は全然違います。

さて話が飛びましたが、いよいよ装弾から火薬を取り出して燃やして見ましょう、火薬の燃焼をさせるためには出来るだけ広い屋外で、コンクリートの上みたいに水分や余計な物が無いところに出来るだけ火薬を集めて置きます、そこにマッチで火を付けると、黄色い炎を出して瞬時に火薬が燃焼します、間違っても爆発はしません。
"ボッ"と燃えるだけですね、2種類の火薬を同時に燃やすと、わずからながら燃え方に変化があるのが解ります、その燃え方の早いほうが速燃性の火薬なのです。

意外と原始的な方法で火薬の燃焼速度を決めているようですが、実際の火薬の燃焼速度もこうした燃焼実験で判定しているのです。
さて、一番最後に雷管が残ったはずですが、銃に装填して激発すると雷管が点火して安全な状態になります。
本当は、雷管の炎を視認できる方法で激発すると炎の発生に違いがあるのも視認できるはずです、散弾銃の場合大差はないのですが、それでも雷管の爆速が早いと火薬の燃焼はそれに連れて早くなります、爆速が遅いと火薬の燃焼も遅くなるのです。


更新 2003年 6月 1日

(読者のメールです)
さて、ショートコラム拝見いたしました。
アンチとありましたので最初び・びっくりしました。
アンチモン(アンチモニー)の事だったのですね。
ご存知の通り、チャカにテッポウ(釈迦に説法)ですが、
ご参考迄にSpec,を記します。

品名元素記号原子(20℃)密度(比重)原子容量融点(℃)沸点(℃)線膨張係数
アンチモンSb121.766.69118.4630.513800.045
Pb207.2111.3518.27271.317250.083
Cu63.548.947.091083259516.5
Fe55.857.877.11536300011.76
モリブデンMo96.9510.29.39261055604.9

12番紙薬莢

2003年10月31日 築地

当社の譲渡承諾書の適合実包欄には、散弾銃の12番の場合には、12紙薬莢と書いていますが、時折、警察官の方から、今時紙を使う薬莢と言うのは有るのですかと質問されますが、この適合実包の欄に記載する紙薬莢と言う名称は、使用する薬莢の材質を書いているのではなく、適合実包の名称を書いているのであります。
つまり紙薬莢もプラスチック薬莢も全て、適合実包としてのい名称は"紙薬莢"なのであります。これ以外の適合実包としては"黄銅薬莢"と言う名称が存在しますが、これはいわゆる手詰めの村田銃に使う装弾なのです。
それぞれがJIS規格で決められた装弾で、それぞれ寸法が違うのです。
ですからJIS工業規格ではプラ薬莢とか、12番とか、そういう名称の物は存在しないのであります。
12番紙薬莢が唯一、一番正しい表記方法ですが、いちいち、そのいわれを警察官に説明するのも時間の無駄ですから最近では適合実包の欄には12番とだけ書くようにしています。この方が面倒が無くて助かります。
本当は、12番と書くこと自体が間違いだと指摘してもらうと、行政に対する信頼度もグン上がるのですが現状では致し方ないでしょうね。
さて、12番紙薬莢と書くと、"今時そんな弾があるか "と警察官に言われたと書きましたが、フェデラルで今度、紙薬莢装弾を作ってくれたので、今後はそのような言い方はされなくて済みそうですね。

装弾
装弾

過日、京都国際射撃場で発撃ちして12番紙薬莢装弾を撃って「反動が軽い」と感じたので、早速その理由を知りたくて中身をばらして見ました。
紙薬莢だから、ワッズの代わりに厚い棉で出来たコロスでも入っているのかと期待したのですが、やはり中身は今までとおりのプラワッズでした。
装弾をカットした画像でご確認ください。
ワッズは散弾銃のパターンを決定する大きな要因のパーツですからこれはさすがに触れなかったようです、散弾は画像でおわかりのように銅メッキをしてあります。
これは銃の性能の為と言うよりは、環境対策では無いでしょうかね?
そうすると紙薬莢も環境対策と言うことになるのでしょうか?
私は反動が軽かった理由を火薬に求めたかったのですが、火薬は特段違いは有りませんでした。
画像をごらん頂くとおわかりいただけますが、火薬、ワッズ、散弾、紙薬莢、プラ薬莢とも中身は全く同じです。

装弾内部
装弾内部

火薬は燃焼させて確認していますが燃焼速度も他の装弾と全く同じでした、紙薬莢とプラ薬莢が同じだと言うだけでなく、他の装弾の火薬と比べても同じだと言えます。
但し、雷管は違います、雷管の臭いで他の装弾とは違いますね、但し、フェデラルのプラ薬莢の雷管も紙薬莢の雷管の臭いも同じなので、フェデラル同士は同じ雷管を使用していることになりますね。
どうやら反動が軽い原因はワッズの形にあるようですね。
ワッズの形状を子細に観察すると、私は今まで見たことのない形状をしています。
ワッズは単なるプラの円柱で支えられています、そして先端は外側にめくれているのです。このまま力がかかると円柱はさらに外側にめくれることが容易に推察できます。
今までのワッズは波形のプラで反動を軽減するように出来ていましたが、これらとは明らかに異なる形状です、どうやらこれが効果的に激発時の反動を軽減しているようです。

散弾とワッズ
散弾とワッズ

紙薬莢装弾と内部構造が全く同じ、フェデラルのプラ装弾で撃ってみたところ、やはり「反動は軽かった」ですね、反動が軽いのは紙薬莢の所為でも、火薬の所為でも無かったのですね、ほんの少しだけ雷管の影響も有るかもしれませんが、その影響は5%程度の微細な影響でしょう。
最大の影響はワッズの形状にあったとするのが私の結論です!

フェデラルは紙薬莢にこだわる必要はなく、プラ薬莢でも非常に軽い反動で撃つことが出来る優れ物の装弾です。

フェデラル装弾は私の知る限りNo1の装弾です。

さすがアメリカチーム公認弾ですね。

「こういう風にヨイショすると、國友さんにお世話になった、祇園での恩返しを、ほんのわずかだけした気持ちになりますね」

「まだ全然元を返してもらってないよ」と言う國友さんの声が耳元でしますが、いつの間にか、その声も、爽やかな秋風が消し去ってくれました。

簡単、明瞭、トラップ射撃術

2004年 9月14日 築地
更新 2004年 9月22日 築地
更新 2004年 9月24日 築地
更新 2004年 9月29日 築地

私は射撃を始めたのは14才、1960年、ローマオリンピックの時です。

爾来、2004年、今年のアテネオリンピックで 44年間射撃をやっていたことになります。銃器関係の原稿も、1968年以来「現代狩猟」「ライフル スポーツ」「シューテング ライフ」「狩猟界」と多くの雑誌に長年書いて来ました。
しかしながら今まで一度もハウツウ物は一度も書いたことはありません。
当然、私のコラムでもその類の書き物はありません。
それは何故かと言いますと、射撃技術という類の物は人それぞれであまりにも多種多様の理論と方法があるからです。10人の射手が居れば10通りの射撃方法があります。
100人の射手が居れば100通りの射撃方法があります。
私の理論で射撃方法を説明すれば、別の人からすれば、それはそれで、また間違った射撃理論になります。
私は自らの書き物で他人から「間違った」と言う言われ方をしたくないので色々な意見が存在する射撃教本の類には今迄踏み込まないで来ました。
しかしながら、射撃教本の類を書いてくれと言うリクエストは非常に多いのです。
特に最近は当社から通信販売で銃を購入された方からそういう声が少なからずあります。
今回はそういう方々のフォローとして、初めてハウツウ物を書くに至りました。

先ずは、銃の選び方と言うテーマについてお話しします。
トラップ射撃をやるには、要するにトラップ銃であれば銃は何でも良いのです。
当社で販売しているSKBの中古、5万円程度の銃でもいいのです。
トラップ射撃には命中精度という概念は存在しません。
また、どういう装弾を使ってもそこに優劣は存在しません。
当然、銃器にも機能的な優劣は存在しません。
存在しないと断定すると幾ばくかの疑念はありますので、存在しないと断定するのでは無くて、優劣は稀薄だとあえて言い換えておいたほうが無難でしょうね。
トラップ銃には、リブの高さがうんと高いお神楽みたいなハイリブ、あるいは少し段が付いただけの一寸気取ったけど意味のないステップリブ、謙虚で実用本位の、全く段差のない平リブ。30年前に流行したリブの幅が広いワイドリブ、また昔に戻ってきた普通の物よりも狭い細リブ、ペラッチに使われている、先に行くほど細くできているテーパーリブ、色々ありましてそれぞれの蘊蓄はありますが、概して同じだと考えていいでしょう。激発機構もサイドロックもボックスロックもありますが、概して同じだと考えて良いでしょう。スプリングも松葉バネもコイルスプリングも有りますが、概して同じだと考えて良いでしょう。これに蘊蓄をたれる人も少なくありませんが、ペラッチは松葉が主流ですがコイルもあります、ベレッタはコイルです、FNのコイルです。
コイルも松葉もこれらが何かが抜きん出て、あるいは卓越して優位という物は事ではありません。意味が有るように言っている人は一方だけの優位性しか知らない人なのかも知れませんね。
こうした銃の事について神懸かり的な蘊蓄を話す人がいたら、その人とは少し距離を置いて冷静に観察した方が良いでしょう。
あるいは特定の銃の優位性について、妙に神懸かり的な話をする人は変人かも知れません。
でも私は変な事は書きませんが、充分変人の要素は兼ね備えています。
このコラムの読者の賢者の方々は少なくとも、そう言う訳の解らない神懸かり的な言い分を真に受ける愚だけは犯さないと思います。
中には私から見ると完全に宗教化して居るように見える群れもありますからね。

散弾銃に於いて命中精度と言う概念はありませんが、トラップ銃の選択において、銃のバランスとか、銃のフィーリングとか、銃の完成度とか、そういう要素はあります。
そういう要素を語り出すと、コラムの話が終わらなくなりますので説明は勘弁してください。
銃の善し悪しについては、オリンピックで使われているかどうか、それが一番解りやすい回答です。それ以上の銃は存在しませんし、それらの銃のコピー物はさらに論外でしょう。
コピーがオリジナルを超える訳がありません、でもコピー物がオリジナルより高いと言う怪奇現象もこの業界には存在します。
過日、「貴方の会社で売って居るペラッチはコピー物ですか」なんて目が覚めるような事を電話で突然言われましたが、この人はペラッチがわざわざお金をかけてコピー物を作ると考えて居るのでしょうかね、私はわざわざそのコピー物だけを売っていると・・・・
最近は私もメジャーになったと見えて、こうした「気違い」からの目の覚める様な電話も少なくありません。

話がそれましたがペラッチとかそうしたメジャーな銃を使わなくてもトラップ射撃は充分出来ます。それこそSKBの中古、5万円程度の銃でもいいのです。
トラップ射撃をすると解りますが、だいたい1日、1~2万円を使いますね、私は3万円使うこともあります。だいたい年間これらの練習に費やすコストから逆算して銃を選択するのも悪くないかも知れません。この辺りの選択はそれぞれの個人に感性にお任せします。

スタンスについて
銃を構えたときの足の位置の話です。本当はこういう話は全くの時間無駄なのですが、ビギナーの人の中には、これが極めて大切だと考えて居る人も少なくありません。
ライフル射撃でもわざわざ、足の位置をチョークで書いている人も居ますが、時間の無駄ですからすぐに止めた方が良いですよ。
私は射撃の極意には精通していませんが、射撃に関する無駄には良く精通しています。
何しろ私自身の存在が44年間の無駄な射撃の結果なんですから。
射撃の無駄、それを説明するために無駄なスタンスの原稿を書きますので少々お付き合いください。
中々来ない恋人をボサーット待っている状態の足幅、虚脱感からボサーット遠くの雲を見ている足幅、女に捨てられて項垂れている時の足幅、それが一番自然な足幅です。
こういう体験をされた方は容易にその足幅の感覚がお解りになる筈です。これより広くても狭くても不自然です。
逆に言うとそれが一番安定しているそして疲れないスタンスです。
ですからら何も注意を払わなくても自然と立っていれば自ずと一番安定して足幅になっているはずです。わざわざ足幅を細かくチェックしているひとはその分、「的を狙う」と言う一番大切な部分の神経を無駄に使っていることになります。
足幅だけのチェックをこまめにする人は、その事だけで、2,3年無駄な射撃をしているように私は思えてなりません。さあ、足幅チェックは止めてちゃんと的を狙いましょうね。
足幅はどうでも良いのですが、飛び出すクレーに対して、右利きの人は概ね右45度に体を傾けます、これは右利きの人の場合、先台を保持した左手は押す力より引く力の方が強いので、こうしたスタンスになる訳で、これは初心者からベテランまで同じスタンスです。
これに付いては特段コメントすることはありません。

狙い方
私は元々がライフル射撃の出身です。
ですから狙うと言う事については相当な拘りを持って居るのですが、クレー射撃では「狙ってはいけない」と言うのが私の44年間の射撃の末に到達した考えです。
狙うのでは無くて感覚で撃つのがクレー射撃です。
ライフル射撃の場合、フロントサイトとピープサイトで照準を定めます。
ピープサイトの1クリックは百分の25ミリ移動します、これで風を読んだり、微妙なサイテングを調整したりします。
しかしながら散弾銃にはピープサイトはありません。その替わりになるのが自らの目です。
ですからこの目の位置は絶対に動いてはならないのです。
いわゆるヘッドアップして目の位置が狂ったのでは、ミリ単位の誤差がピープサイトで起きている訳ですから、スイングが完璧で、狙いも完璧でも当たらないのは当然です。
しかし、目がちゃんと見ていたかどうかは目の感覚だけでは絶対に解りません。
それを確認出来るのが唯一頬の感覚です。銃床が頬に当たってる強さ、それは感覚的に把握する事が出来ます。ですから頬付けの感覚が常に同じようにして撃てばヘッドアップは起きません。私は生来のガンマニアですから、トーナメント射撃で優勝するよりも、色々な銃を替わる替わる撃つのを最良の楽しみとしています。
ペラッチ、FN,等を撃つ合間にメルケルも撃ちます。ですがメルケルはベンドがえらく深い銃なのです。通常のペラッチの頬付けをメルケルでしたらリブなんか全然見えなくなります。
しかし、私は他の銃と同じように撃つことが出来ます。それはメルケルの頬付けの感覚が解っているからです、メルケルは優しく頬付けするとリブの見え方はペラッチと同じになるのです。
この頬付けの感覚を完璧に身につけられれば、照星でクレーを狙うと言う事は必要なくなります。
ではその狙い方を伝授します。
先ず銃を構えて、リブの見え方で頬付けを確認します。
そうしたら目の視線は土手に合わせます。遠くに視線を合わせておくとクレーが飛びでは瞬間を正確に把握出来ます。そこでクレーの飛翔ラインを完璧に把握してください。
これはあくまでも感覚の話ですが、目の下に照星が有ることを感じてください。
そして目の下の照星で飛翔するクレーを撃破するのです。
完璧なスイングが出来る人なら、ちゃんと照星でクレーを追いかけても構いません。
あるいは、感覚で撃ったり、ちゃんと狙って撃ったり、混在した射撃をしても構いません。
照星を感覚で捕らえておくと言うことは、銃のスイングをスムーズにするための秘伝なのです、一般的な人は照星でクレーを追うと、銃のスイングが止まる事が有るからです。
銃のスイングが完璧に出来ればどちらの方法で狙っても構いません。
スイングが完璧に出来れば銃床なんてどうでも良いことです。
こんな事を書くと銃床屋さんに怒られますが、銃が当たらなくなるとやたら銃床をいじくる人が居ます、中には銃床を作り替える人も居たりします。
これってあまり意味無いですね。銃床に問題点が有ると考え出すと3年は無駄にするでしょうね。3年くらい銃床をいじくり回して、また最初に戻ると言うのが一般的な末路です。
この間は、全く無駄な射撃と、全く無駄な銃床を作ったと言うことになります。
膨大な時間と、膨大な費用の無駄ですが、では人は何故銃床を作るのでしょう。
それは新しい銃床だと何故か良く当たるからです、それが幻想だと気付くまでは2,3回の射撃で簡単に解ります。新しい銃床の場合変な癖が無くてちゃんと基本とおりの射撃が出来るからでしょうか、ちゃんと当たります。昔、銃の貸し借りが自由だった頃、他人の銃で撃つと妙に当たる事があります。「これだっ」と思い、急いでその銃を購入して撃つといつもの射撃しか出来ないと言う場面に遭遇した事は、私自身1度や2度ではありません。
そうです、別の銃で撃つと変な癖が付かずにちゃんと基本とおりの射撃が出来るからなのです、しかし、その銃に慣れるとまた「ちゃんと」当たらなくなるのです。
おかげで、今はどんな銃でも同じように撃てる様になりましたが、女性の取り扱い方も同じかどうかは私は体験がないので良く解りません。

狙う高さ
銃を構えて狙いを付けるのに、クレーの放出口、それよりは少し上、芝生の切れ目、あるいは土手、そういう風に銃を構える高さは人によって色々あります。
銃の構えが高いと、クレーを追うために無駄な動きは少なくなります、その代わり、銃口が急いで動くと言う欠点も犯しがちです。
銃の構えが低いと、銃の動きが多くなる反面、スイングを綺麗に出来ると言う利点もあります。いずれも完璧なスイングをするためにはどちらが有利か、個人個人で考えるしかありません、私は高付けで撃っていますが、それが正解かどうかは解りません。
30年くらい経てば、射撃理論は簡単に替わりますからね。

銃の保持
銃をどれくらいの力で保持するかと言う問題は、具体的な力の入れ具合を数字で表せないので困りますが、力を抜かず、力を入れすぎず、あえて言えば、それが極意です。
銃を構えたときに、正面から見ると左右の腕は八の字になっています。この時肘が上がれば上がる程力が入っています、肘が下がれば下がる程力を抜いています。
銃を横から見た場合、グリップが横になればなる程力が入ります。
グリップが立っていれば立っている程力は入りません。
現在の銃は、実に微妙なところでこの角度が出来ており、極めて完成度が高い設計になっています。グリップの角度は同じですが、グリップの上を持てば力を入れられます。
グリップの下を持てば力が抜けます。これはグリップと引き金の距離関係にも直接関係します、グリップと引き金の距離が遠いと感じたらグリップの上を持てば距離は近くなりますし、下を持てば距離は遠くなります。
グリップと引き金の距離がミリ単位でああだこうだと言う人も居ますが、グリップの位置をずらすだけで簡単に5ミリ程度は自由に変化させることが出来ます。
銃を力を入れて保持すると、素早いスイングが可能です、またクレーのラインを追うときにも銃がぶれません。また初矢を撃ったときにも銃がぶれないので二の矢が素早く的確に撃てます。ところが力みすぎるとクレー射撃で致命的な、撃つ瞬間に「銃が止まります」
力を入れたまま綺麗にスイングすることがこの場合極めて大切です。
力を入れて銃を保持しないとこれと逆の事が言えます。
力を入れていないので、銃のスイングは遅れ気味になりますが、すぐにクレーを追わないと言うことは別の意味での必中の極意ですからこれはこれで良いのです。
但し、有る程度の力で銃を保持しないと、初矢を撃った瞬間に銃がぶれます。あるいはクレーを追うときにラインが崩れます。
しかし銃を無理矢理、力でコントロールしていないので「引き止まり」は意外と起こりにくいのです。慣性で銃がスイング出来てしまうので良く当たるのです。
女性にはこうした撃ち方をしている人も居ますね。
この事から言えるのは力を入れすぎず、力を抜きすぎない、これが極意です。
この極意がだんだん高レベルになると、力を入れて銃を保持しているのに銃の「引き止まり」が起きない、ちゃんと「完璧なスイング」が出来ていると言う事になります。

私がコラム「散弾銃の弾道学」で書いたように銃口から撃ち出された散弾は最初、横の広がりよりも縦長の広がりの方が長くなって飛翔します。
つまり俵状の物が飛翔する、あるいは円柱状の物が飛翔すると考えてください。
横の広がりは30cm位でも縦の長さは1mにもなります。
しかし遠くになればなるほど、横の広がりが大きくなります。
横の広がりが1mにもなれば縦の長さは30cmくらいになります。
あまりにもクレーを飛ばしてから撃つと、スカスカのパターンでクレーを捕らえる事になります。従ってクレーを何処の位置で捕るかは大切な問題になります。
クレーをうーんと飛ばして、撃つと、クレーは力なくパカッと2枚に割れます、しかしクレーをあまり飛ばさないで、素早いスイングで撃つと、銃口から飛び出た散弾は銃のスイングに合わせて横に流れながらクレーを粉砕します。
クレーが横に飛んでも、散弾は直線ではなくて少し横に流されながらつまり少し斜めに飛翔しますので散弾の先端でクレーを割っても次々と散弾がクレーに襲いかかり完璧に粉砕してしまうのです。これが完璧に出来た場合、クレーが粉砕された煙としてしか残りません。
昔、装弾に32グラムもの大量の散弾が装填されている頃は、クレーを有る程度飛ばして、散弾のパターンが有る程度開いたところで撃つと言うのが当時の最先端の射撃理論でした。今時、24グラム装弾でこういう撃ち方をすると、広がりきった散弾の僅かな粒でクレーがかろうじてパカンと割れる射撃になります。勿論クレーが割れれば1点は1点です。
でも私は嫌ですね、こういう撃ち方で満射が出ても全然嬉しくありません。
私なら、15枚しか当たらなくてもクレーを粉砕する撃ち方をしますね。
まあ、これは個人の好みですがね。

撃つタイミング
ビギナーが、少し射撃の完成度を上げてくると、過ちを犯しやすいのが銃のスイングのタイミングです。
クレーを早く捕ると言う事を目指すあまり、クレーが飛び出た瞬間クレーを追いかけますがこれは結果的にクレーを早く捕る事にはなりません。
これでは銃口のスイングのスピードははクレーの1.5倍程度でしかありません。
真横にクレーが飛ぶような早いクレーの場合はそれでも当たりますが、チョコンと前に出たクレーの場合は、オットトットてな具合で銃口が先走ってしまい外れます。
あるいは横に少しだけ切れた場合は、銃口が簡単にクレーに追いついてしまし、撃つ瞬間に引き止まりが起きてクレーの後ろを撃ってしまいます、かろうじて当たってもクレーの先端しか当たらないので、隊列の後ろのクレー、つまりコロンは無駄になってしまいます。
つまり、これもパコッと二枚に割れる口ですね。
銃口のスイングを完璧にするためには、クレーが飛び出しても0.2~0.5秒はじっと我慢をしてください、そしてその瞬間はシッカリとクレーのラインを見極めてください。
そして、見極めた瞬間、ライオンが獲物を襲うように素早くクレーを追いかけて間髪を入れず粉砕します。これが完璧に出来ればチョコンと前に出たクレーを慌てふためいて追いかけるなんて愚を犯すことはありません、また引き止まりもありません。
理論的には放出口から出た瞬間のクレーは、真横に飛翔する場合はクレーの3倍のスピードで追いかけて撃破すると完璧な破砕が出来ます。
冷静にクレーを見定め、瞬時に粉砕する事が私のトラップ射撃術の極意です。
私は現在でも毎週2回射撃をやっています、関東近県の射撃場には毎週出没しています。
その私に、じゃコラムで書いた射撃をやって見せろなんて酷な事を言ってはいけません。

私はトーナメント射撃を目指しているのでは無く単なるガンマニアの射撃なんですから。


更新 2004年 9月22日

簡単、明瞭、トラップ射撃術を読んで

昨年11月からクレー射撃(主にトラップ)始め、15から20までしか当たらなかったのですが、簡単・明瞭・トラップ射撃術を読んで翌日5ラウンド18・21・20・20・17の成果がありました。
1番良かったのは、ボサーっと立つ・・で力が抜けたことだと思います。築地様有難うございました。
この日で、始めてから消化弾数4,057発ですが、スタンスについては45度は誰でも言いますが、しっかりと踏ん張る・・とかケツの穴に力を入れろとか言われてたので腰が回っていなかったと感じます。
皆勝手な事ばっかり言うもんですね。
関西でも御社で買ったと言う人がかなりいます(私はSKBのスポーティングをベント調整器付及びガスポート付のカスタムを格安で買いました)、ユーザーの評判は良いのですが銃砲店はむちゃくちゃ(大阪弁)
言うてますよ。やはりクレームがあったらしい・・とか、並行ものなのでアフターに金が掛かる・・とか、売りっぱなしにされるでが1番多いですね、イヤですね。
そんな事言ってる銃砲店がいい加減なことをしてる・・とも聞きました。

標記のアップ、ありがとうございます。
内容的には、クレー射撃、そのことなる射撃理論の存在を、更に我々初心者にわかりやすく解説して頂いているようで、大変ありがたく思っています。
私にとっては、スタンスの考え方と感覚的に狙って撃つという部分がとても参考になりました。
クレー射撃に限らずどんな操作でも、ある程度経験して初めて理解できるものがあり、この二点については当にその通りになっています。
スタンスは、初めの内注意してとっていましたが、なれたせいもあるのか、今は自然に立っている感じがします。
二点目につき、初めの内あれほどよく見えていた照星が、今は何となくはっきり見えない場合があります。
その代わり、管理人さんから撃破点が10m位早くなったと言われています。
狙い込まない場合も出てきているのだと思っています。
安定するまではもっと撃ち込む必要もあるとは思いますが、記事内容が、身体やそれに伴うセンスで理解できるようになっていることをご報告します。


更新 2004年 9月24日

簡単、明瞭、トラップ射撃術を読んで

大変ごもっともなご知見だと一々納得させられました。
私は、射撃をやる前は乗馬の障害競技に力を入れまくっていたのですが、腕が上がるにつれインストラクターから技術の押し売りが段々と強くなってきました。自分としては何も考えずに自然体で馬に随伴していけば馬は勝手に高い障害でも何なく飛んでいきます。まさに一点に集中しながらも体のどこにも力を入れるということがない状態です。ところがそれではダメだと始まるわけです。
案の定、首は、腕は、腰は、膝は、踵はというぐらいで、10の障害を1分もかからずに通り過ぎていく行くのに、そんなことをいちいち考えている暇は全くありません。
私と違って真面目な人は、あまりにも考えすぎたため飛ぶ障害の順番を間違えて失格し失笑を買うことが良くあります。ようは、障害を飛ぶのは馬の方ですし、まさに随伴して馬の動きを邪魔しないということが一番大切なはずです。
ところが、自分の信じて止まないことをどうしても教え込もうとします。それで、今までは難なく飛越していた障害が物の見事に飛べなくても「今はより一層上級者になるための過渡期だから変な癖をつけずにその調子で慣れてくれば見違えるよ、確実にうまくなっている」などと全く無責任なことを平気でのたまうわけです。乗馬の障害競技では飛越姿勢を採点されることはありません。兎に角、飛ばなければどんなことを言っても負け犬です。
スポーツというものは、技術が日々進化していくものでなければなりません。相撲のように、何百年も48手しか決まり手がないものは、スポーツではなく伝統芸能です。武道の世界では「守・破・離」という言葉がよく用いられるそうですが、一応の基本から入ることは大切にしても、最終的には自分のスタイルを確立し、道具(この場合馬や銃)を使うスポーツはその道具が持つポテンシャルを最大限に引き出すことが最終のゴールではないでしょうか?この辺に、世界のスポーツ指導者とのロジックの違いを感じます。
教え魔は、あなたの技術を滅茶苦茶にしようと日夜てぐすねを弾いて待っています。その毒牙にかかったとたん、あなたはあなた自身を失うことになります。そんなに正鵠を射た技術ならお前がオリンピックに出ろといいたくなります。挙句の果てに、物事がうまく行かないと、今度は道具のせいにされます。教習射撃ではレミントンのボロボロ教習銃使用したのにかかわらず21/25で合格しましたが、今は15もあたればいい方です。
兎に角、横から一々ああせいこうせいと言うのはやめてください。特に、手を叩いたところで引き金を引けというのだけは簡便してください。今は、そのような輩のいない時間を見計らって射場に行くので大変です。掲題のコラムを教本を基に「守・破・離」の精神で自分なりのスタイルを確立したいと思います。
かつてベートーベンは音楽評論家に何を望みますがという質問を受けたとき、「何ものぞまない、一つあるとすれば沈黙していて欲しい」と答えたそうです。
自分の道は自分で切り開く精神で頑張ることが大切ですね。早くペラッチの許可をいただいて、「簡単、明瞭、トラップ射撃術」を試して見たいと思っています(今は自動銃のためスキートが主です)また、私自身初心者のため、何か間違っていたり考え違いをしている点があればご教示いただきたく存じます。
コラム、これからも期待しています(やはり技術論が待ちどうしいのですが)


更新 2004年 9月29日

初めまして
自(陸)の*****をしております。
後輩の射撃技術の向上に繋がればと貴社のHPをいつも拝見して、指導の資としております。

射撃の指導というのは難しいですね。
自の指導方法は、画一的であり、教範資料に基づく事項とベテランの経験で指導しますが、前者は当然として、後者すら着眼は同じであり、指導される方にしてみると、いつもいつも、どこに行っても同じ指導の繰り返しで、射撃技術の向上へ向けての研究心が感じられません。

私自身は、**で約7年ほど*******を経験し、その間、通常の隊員の10~15倍の弾数を射耗してきました。
しかしながら、指導となると「経験が余り物を言わないな・・」と、感じる毎日でした。
こう感じる理由については、以下の理由が考えられるのですが

1 射撃は個人指導であり、個体差(身長・体重・柔軟性・視力・?等々)
  に差があるため、教える方も、教えられる方も歯がゆいところがある。
  ?は、ちなみにセンスとか感性とかです。

2 前項でセンスと書きましたが、
  当たる隊員は最初から何も教えなくても当たる。

3 数少ない弾薬のため、その場の命中にこだわり、
  指導や自己の弱点等の分析による(そこまでやってるのかな?)
  研究的な射撃をしない。(させてないのか?)

要するに、云うことを聞かない奴らばっかりでって事ではなく、教える方も教わる方もあまり射撃自体に興味がないのでは・・
という結論に至りました。

そんな時、バイアスロン時代に研修に行った、自の体育学校及びB大(弾道学)で習った雑談を射撃の導入教育に使用したところ、今までにない目の輝き、反応があり、
やれ、バレルタイムだのやれロックタイムだの銃身のたわみが弾道に影響する(我々の射撃にはほとんど関係ないが・・)原理だのを暇を見つけては語っていました。
そんな時に貴社のHPを発見し(ネタギレしためネットで検索していた→まさに、ネタ発見!という感じ)私自身興味深い内容にどっぷり浸ると共に、射撃の教育の参考にさせてもらっています。(FSの資料よりわかりやすいので・・)

科学的に懐の中にある銃のマクロの世界の出来事の方が300m先の標的の弾痕について語るより興味や研究心を引き出すには適していたようです。

自の若い者は、「射撃」がいかに貴重で重要な訓練であるか再認識しなくてはいけません。
一般の人は撃ちたくても簡単には撃てません。費用も莫大にかかります。
成果がなければ血税の無駄遣いです。成果がなければ任務が達成できません。
自分が死にます。仲間が死にます。国民が死にます。
このことを充分に理解させ、じ後の訓練に励んでいこうと思います。
HP更新楽しみにしております。 

満射を撃ったその時は

2003年12月 2日 築地

ボクは満射撃つ事なんて滅多にないので、あまりこうした心配をすることはないのですが、かと言って、全く満射と言うアクシデントに遭遇しない訳ではありません。

何しろ週に2回、10ラウンドずつ、1年を通じて毎週射撃をしているのですから、結果的に相当な数を撃ちますので、たまたま25発連続して命中する事はままある事なのですね。

自分一人撃っている時は気にしないで良いのですが、他の人たちと一緒に撃っているときなど、満射を撃つと全員から拍手されたりしますよね、仲間同士で来たときは口笛を吹いてくれたりもしますよね、射座の後ろでは仲間達で大騒ぎに成る事もあります。

肩をたたかれたり、頭をなでてくれたりすることもあります(それは無いか)

その時はどういう風に反応したらいいのでしょう? 

ドウモといって軽く会釈するのが良いのでしょうか。

でもそうすると「満射なんか撃ち慣れているもんね」てな具合に他の人に見られないでしょうか?

それとも国会議員の亀井静氏みたいに苦虫を噛みつぶして、おまけに正露丸も噛みつぶしたような顔をして「ウム」という方が良いのでしょうかね?

そうすると、この野郎!「気取りやがって」なんて思われないでしょうか?

ではVサインを出して小躍りしたらいいのでしょうか、でもそれだと転がっている薬莢を踏んで、転倒し、転んだ勢いで頭を打ってバカになったら困りますね。

満射を撃ったときは快事なので喜ぶべき事なのですが、満面笑みを浮かべると言うのも大人気ないですね、そうすると照れ隠しに笑いを殺すと言う事になり、他の人から見ると不機嫌な様子に見えたりもします。満射を撃って不機嫌になると言うのも不自然ですよね。

あまりに笑いをこらえると涙が出たりしませんか? 涙を流すと「満射を撃っただけで泣くな」と言われてしまいますね。

この様に私は満射を撃ったときの反応は場慣れしていないだけに反応に苦慮します。

オリンピックを見ていた時は、オリンピック選手達は満射を撃っても、撃った当人も、周りの射手も、何事もなかったように当たり前の表情で、当たり前に対応していましたね。

このクラスになると、満射を撃つのが「日常」ですから当たり前に対応できるのでしょうね。本当はこういう雰囲気の方が気楽で良いのですが、何せ、満射は私にとって「非日常」ですから撃った当人もオロオロしてしまいます、ナンダ、ナンダ、ドウシタ、ドウシタ、と言う風に狼狽えてしまいます。

不思議なことに満射と言うのは鼻息を荒くして、肩を怒らせて、「ようし、満射を撃ってやる」なんて気迫を込めて挑むと最初の1発から外してしまったりしますね。

かと言って気を抜いて射撃すれば、また最初の1発から外れたりしますね。

気持ちを入れて、しかも淡々と撃っている時に、思わず満射がポロッと出たりします。

満射を撃った後は、誰が何と言おうと次も満射、つまり50満射を内心意識してしまいます、これも淡々と撃てれば可能なのでしょうが、悪魔が耳元で囁きます「あと*枚で50満射だね」そうすると、ついつい1枚1枚のクレーを丁寧に狙いすぎて、その結果銃の振りが遅れたり、タイミングがずれたりして、射撃はボロボロになり、悲惨な結果となります、スコアーボードに目をやると、やっぱり自分は普通の人だったと思い知らされる事になります。

40年射撃をしてこの体たらく、でもまた週末が来ると、いそいそと射撃場に出かけてしまうのです。

おいでやす! 京都国際射撃場

2003年10月26日 築地

京都国際射撃場は、ナショナルチームのトレーニング射撃場でもあり、射撃場の環境や設備はピカ一の射撃場でもあります。
昨年の夏も、個人的な夏休み射撃遠征でもここに寄せてもらいました、ですから今回の訪問は2回目と言うことになります。
前回、京都を訪問した折りは、國友さんから「京都に来る時は必ず声をかけろ」ときつく言われていたのですが、京都独特のしきたりで、来いと言われてノコノコ出かけていくと、「ほんとに来たの?」なんて嫌みを言われないかと、私の様な小心者は要らぬ心配をしてしまい、2回目の京都訪問でやっと國友銃砲に顔を出すことが出来ました。
言うまでもなく國友さんは、スコープのシュワロフスキー、装弾のフェデラル、エレー、銃器のワルサー、等々の総代理店の社長で流通業界の頂点の立っている人です。
ひるがえり、私は言うまでもなく流通業界に反旗を掲げる平行輸入業者ですから、本当の事を言うと利害関係が対立する立場のですが、私と國友さんの関係は、お互い利害関係が対峙する以前からのお友達としてのお付き合いですから、このコラムを読んで業界関係者の方々はお怒りに成らないようにお願い申し上げます。

さて、今回の京都行きには一つだけ目的がありました、それはアメリカの射撃チームの専用装弾であるフェデラルの紙ケース装弾をテストしてみる事なのです。
この装弾は値段が通常の倍すると言うことで、何処の銃砲店でも取り扱いをされておりません、幸いに國友さんの会社には現物が有ると言うことなのでそれも京都行きを決めたと言う経緯の一つなのです。

新幹線で京都に到着すると、早速タクシーで國友銃砲店に向かいます。
京都はタクシーが安いですね! 1000円もしない料金で本社に到着です。
この安さも、価格破壊のMKタクシーが原因でしょうかね?
最近は猟銃の値段も昔よりは相当安くなっていると思いますが、これは当社の影響が少なからずあると自負しています。
余計な話をしましたが早速装弾を購入して、射撃場に出かけます。
今回のテストの為に、愛銃のメルケルと、ペラッチを持参しました。
写真はメルケルと、フェデラル紙薬莢装弾です。

メルケルと紙薬莢装弾
メルケルと紙薬莢装弾

この日はお天気が良くて絶好の射撃日和です。
ガンマニアの私は、銃が雨に濡れるのが大嫌いで、体の心配よりも銃の心配の方が先に立ちます。
フェデラルの紙薬莢装弾、射撃した最初の感想は「反動が軽い」と言うことです。

射撃開始
射撃開始

私が普段使っている装弾よりも反動が軽く感じます、撃った感じで弾の初速は1400フィート出ているようで、他の弾との初速の違いはないので、同じ初速で反動が軽いと言うことは火薬の燃焼が緩やかで、銃身内の散弾の加速が非常にスムーズだと言うことなのでしょう。ライフルの場合は同じ初速でも、火薬の圧力上昇が早いと「カツン」と言う反動になりますし、圧力の上昇が急激でなく淡々と圧力が上がる場合は「トン」と言う感じの軽やかな反動になります、いずれの場合も初速は同じですから、撃った感じは柔らかい方が射撃の感じは断然感じは良くなります。
言うまでも有りませんが、二の矢を撃つ感じも反動が軽い方が違和感がありません。
射撃中に解ったのですが、今までの装弾と明らかに雷管の臭いが違います。
撃った後、空薬莢の臭いを嗅ぐと簡単に解ります。
多くの人はその臭いは火薬の臭いではと勘違いされますが、それは雷管の臭いです。
それが証拠に散弾も火薬も全部除去して、雷管だけを激発しても同じ臭いですから、雷管の臭いに間違いありません。
いろいろな装弾を撃った後に、空薬莢の臭いを嗅ぐのは私の性癖ですが、ほとんどの装弾は、雷管の臭いはほとんど同じです。
基本的な成分は同じと言うことが言えます。
唯一、共産圏の腐れ弾等は異質な臭いがしますが、これは商品の出来が悪いからでしょう。事実、共産圏の劣悪な装弾で、弾頭と火薬を抜いて雷管だけで激発させて放置させておくと、一週間で保証付きで銃腔内に錆がでます。
共産圏の腐れ雷管の臭いは何か「ツン」と鼻に来る感じですから、酸性ガスが発生しているのかもしれません。
フェデラルの雷管の臭いはこうした嫌な臭いではないのですが、他の装弾の臭いとは明らかに違った臭いをしていますので、火薬の成分が違うことは間違い無さそうです。
私はメルケルとペラッチで、國友さんはペラッチで撃ちまくりましたが、私は反動が軽いと言う印象を受けましたが、私の射撃を見て、國友さんは「二の矢の威力が落ちない」と言う印象を持たれたようです。
紙薬莢装弾は、散弾が全て銅メッキされています、これが弾道上影響があるのかどうかはまだ解りません。

國友さんと
國友さんと

当日もそうですが、別にこの装弾を使ったからと言って満射が撃てた訳ではないので、別段装弾により成績が左右される程の影響は無さそうですね。

紙薬莢装弾とプラ薬莢装弾
紙薬莢装弾とプラ薬莢装弾

10ラウンド位の射撃で射撃終了し、國友さんの会社の火薬庫が近くにあると言うので見学させてもらった。
東京近郊の銃砲店の火薬庫というと、6畳くらいのスペースがせいぜいですが、國友さんは打ち上げ花火をやったり、装弾、火薬の総輸入元ですから、現場に行ってその規模に圧倒されました、とても写真に写しきれないので、火薬庫の隅っこの一部だけを撮影してみました。

ここにはどでかい火薬庫が4棟建てられていまして、1棟の火薬庫に、火薬にしたら40トン、装弾にしたら6000万発が収納できるそうです。
6000万発X4棟ですから、2億4000万発になります、1円儲けたとしても2億4000万円です、儲けが1円と言うことはないでしょうから、10円儲けたとしたら24億円、これを年に4回転したら、「嗚呼、考えるだけで息が止まりそうです」
どうやら、とてつもない金額を儲けているらしいことは何となく國友さんの艶々した顔色で解りました。

弾だ
弾だ

今回の京都行きには、銀座銃砲の安齋さんも同行されました、安齋さんと國友さんとは装弾、火薬の関係で取引関係にありますが、それ以前に我々は三名とも昭和21年生まれで、飲み友達でもあります、三名が顔を合わせれば、当然にして宴席と言うことになります。
今回は日本の奥座敷京都に出かけたのですから、京都の奥座敷祇園に出向く事になりました。そういう訳で祇園の奥座敷「美濃幸」に出かけます。
祇園の御茶屋さんは、何処も一見さんお断りですから、我々は國友さんが居なければ歯牙にもかけられません。
お茶屋さんから「またおいで」とつれなく追い返されるところです。
美濃幸の奥座敷の広さからは想像出来ない様な、密やかな入り口から入り、足下をぼんやり灯す明かりの中の水を打ったばかりの飛び石の路地を抜けると、光を押さえた広い玄関が「どどーん」と忽然と現れ、「あらー、お兄ちゃん、おいでやす」と仲居さんが空気の中を泳いで出てこられます、どうやら國友さん、相当な顔みたいですね。
てな訳で、朱漆塗りの、20名くらいは楽に座れそうなとてつも長い机が用意された奥座敷で宴会が始まります。

こういう画像を公開するのは、お二人にとって非常に迷惑なのは重々承知で公開させて頂きますが、事前に画像公開の承諾を頂こうとすると間違いなく拒否されると思いますので、
お二人とも会社がお休みの間に公開しちゃいましょう!

安齋さん
安齋さん
國友さん
國友さん

安齋さんとは長いお友達関係ですが、今までどんなに飲んでも、泣き言も、自慢話もされません、今回の祇園でも、泣き言も自慢話もありませんでした。「当たり前ですかね?」
安齋さんは「白玉の歯にしみ通る秋の夜の、酒は静かに飲むべかりけり」と言う雰囲気で静かに飲まれていました、國友さんも何時も紳士的な酒を飲まれます、この画像での國友さんは、財布の中身を見ておられるのか、手帳を見ておられるのか詳細は不明ですが、何やら財布のご心配をされている様に私のような貧乏根性の人間には見えてしまいます。

今回の勘定は國友さんに、おんぶにだっこに肩車という感じで、頭からしっぽまで全部お世話に成りました。
祇園では我々一見さんには勘定書が回って来ないシステムに成っていますので、これは私にとっては非常に良きシステムだと思います。

舞妓さんと
舞妓さんと

私も舞妓さんの踊りを見たり、芸子さんとの会話を楽しんだり大満足の私でした。
そして、月はおぼろに東山~~と流れる舞妓さんの踊りの中で、祇園の夜はシンシンと更けゆくのでありました。

釧路も、いいんでないかい

2003年 9月 8日 築地

東京都内に住んでいますと、近郊の射撃場に行こうとしますと、最低でも1時間半はかかります、行楽シーズンによっては2時間、あるいは3時間と言うことも例外ではありません。

北海道の釧路に300mのライフル射撃場が出来たというので早速出かけてみることにしました、釧路までは飛行機で1時間20分、飛行場から射撃場までは車で5分、なんと東京都内からは、時間的に言うと一番近い射撃場と言うことになります。
驚いたことに射撃場は100万坪と言う私有地内に建てられています、100万坪という単位の広さはは、都内の住民である私には到底想像できません。
当社のご近所には岩城滉一さんの家も、長島一茂さんの家もあり、この辺りの坪単価は法外と言うか論外な値段なのですが、100万坪と言われますと、思わず地価の計算してしまうのは私の悲しい性なのでしょうか。

ここの射撃場は元々川口屋の射撃場だったのを、埼玉の峰岸さんが購入して、趣味の延長線上の様な射撃場を作ってしまわれたのです。
これだけの敷地を購入して設備を作り、射撃場の売り上げだけで運営できているとは到底思えませんので、色々財政的には持ち出しで運営されているのは無いでしょうか。
今回はライフル射撃場のレポートがメインですが、この射撃場は元々散弾銃の射撃場がメインで、私が訪れた前の週まで世界選手権に出場するクレー射撃の強化合宿が行われていました。
私の専門はライフルですが、折角クレーがあるのでクレー射撃も楽しませて頂きました。

画像を見て貰うとお解りいただけますが、射座には屋根がありません、これは経費をケチって屋根を付けないのではなく、ヨーロッパの射撃場と同じ雰囲気にしているためにあえて屋根を付けていないのです。
シドニーオリンピックの射撃場も屋根はありませんでした、シドニーオリンピックのレポートを参照して頂くとお解りいただけますが、弾を置く台すら置いてありません。
大体外国の射撃場はこんな作りなのです。

オープン
オープン

従って、日本の射撃場みたいに射撃をしようとしてしている射手の手前では後ろを通るのを控えて待っているなんて習慣は外国にはありませんね、別に射手の真後ろを通るわけではありませんから、大回りして歩けば撃とうとする射手には何の影響もないではないからです。

ルート
ルート

私が撃っているのはトラップですが、私の横に見えるのはスキート用のクレーハウスです、つまりこの射撃場はトラップとスキートの兼用射台なんです、これも一見するとセコイ作りみたいに見えますが、外国の射撃場はこうした射撃場が非常に多いのです。
射台は3面ありますので、内地の射撃場なら、ためらわずトラップ2面、それも1面は初心者用に遅い設定にするでしょう、そしてスキート射撃場1面と言う作りにするはずです、しかしながらここはトラップは全部公式設定です。
セコイ作りでやって居るわけはないと言うことが簡単に理解できます。

トラップ
トラップ

100万坪と言う広大な敷地のおかげで、射撃場には欠かせないバックストップと言う目障りな物がこの射撃場にはありません。
空に向かって撃つ快感があります、この空に向かって撃つ快感、下手なSEXより余程気持ちいいですが実際に皆さんがそう感じられるかどうかは保証の限りではありません。
女房とのSEXの方が気持ちが良かったと言われても、私は責任は取れません。

クレーの飛び出したすぐは、バックの森のグリーンに色が浮き立ち、はっきりと視認できるのですが、空の領域に入ると空の明るさに負けてクレーが視認できにくくなりますのでクレーの飛翔ラインはクレーが飛び出たときにしっかりと把握しておく必要があります。

視認
視認

プーラーハウスは射手のズーット後ろにあり、これも射撃をするのに全く目障りになりません。

プーラーハウス
プーラーハウス

参考までにスキート射撃をしている人達の画像も紹介しておきましょう、この画像でスキート射撃とトラップ射撃の配置が良く分かると思います。

スキート射撃とトラップ射撃の配置
スキート射撃とトラップ射撃の配置

この射面のさらに奥がライフル射撃場になっているのです。
ライフル射撃場の公認は7月12日に交付されておりますので、出来立てのほやほやなのがよくお解りだと思います。

ライフル射撃場の公認
ライフル射撃場の公認

ここのライフル射撃場はバッフル式ですが、何よりも評価したいのは標的交換の為の観的壕を設置しなかったことです。警察の指導を安易に聞くと、安全のために標的交換の観的壕を設けがちなのですが、これを作りますと、観的壕にゴミと水が貯まり、射撃場として最悪の状況になります。またそれの管理費用も馬鹿になりません。
ここの射撃場では標的交換の時はお互いの安全を確認して前に出て標的交換をします、外国の射撃場はほとんどこれですし、安全上、実用上、何の弊害もありません。

バッフル式
バッフル式

射撃場のオーナーがここまで考えてやったかどうかは不明ですが、射座の上はかまぼこ型のテントで覆われています。こういう開放的な設計ですと発射音が室内にこもりません。

かまぼこ型のテント
かまぼこ型のテント

射撃場で最悪なのは狭い室内で、土管の中に銃を入れて撃つ方法です。
射撃場は出来るだけ開放的に作りませんと、音が室内にこもり快適さに欠ける事になります。ここの射撃場は音が外に逃げてくれるので非常に助かります。

射座の雰囲気は清潔でゴミもなく、快適に射撃が出来ます、ここの射撃場自体は風が吹いているのですが、5射座の左右に土手がありますので、こういう射撃場の場合、弾道に対しての風の影響はほとんどありません。
また射撃場全体が明るいですので、300mの標的もベンチレスト射撃用スコープを使えば、完璧に弾痕を確認することが出来ます。

ベンチレスト射撃
ベンチレスト射撃

クレー射撃、その異なる射撃理論の存在

2003年 9月25日 築地
読者意見追記 2003年 9月26日 築地

私が射撃を始めた1960年には、ライフル射撃の世界では、すでに"ライフル射撃の理論と実際と"いう600ページにも及ぶ厚い教本が存在しました。
書かれた内容は、的確とまでは言わないまでも、ライフル射撃の基礎的な事を書いた書物としてライフルシューターに長年読継がれて来ました。
その後もラルフ、ホーネバー氏の教本とか、色々な指導書が出版されましたが、クレー射撃の世界では射撃教本と呼ばれる指導書の類が、今日に至るも全く出版されていません。

最も、全くの初心者に、許可の取り方等の射撃を始めるためのハウツウ物なら皆無とは言えませんが、少なくとも射撃理論を解説した出版とは言えない物ばかりです。
何故こうした教本の類がないのか不思議に考えていたのですが、自ら色々なタイプの銃を使い、年間200万円以上の弾代を使い、クレー射撃の射撃理論を自ら探求してみてやっとその理屈が解るように成りました。

これからその理由、およびトラップ射撃の射撃理論を併せて説明してみます。

初めてクレー射撃をやる人が、事実上初めて指導をして貰うのは教習射撃の時です。
その時は一般常識的な話をされると思います、クレーが出たらクレーを追い越しざまに撃つとか、頬付けをしっかり付けるとは、クレー射撃のABCを教わります。
それについては私も全くの異論は無いのですが、それからしばらくすると色々な疑問が出てくるはずです。

先ず狙い方です。

1,目のピントを照星に合わせて、クレーが出たらそれを追って追い越しざまに撃つ理論

これは昔32グラム装弾で射撃していた頃は圧倒的に、そして唯一の理論だったのです。装弾の初速が遅い代わりに32グラムという多くの装弾が装填されていたので、コールをかけてクレーが飛び出た後、クレーが充分に飛行して散弾のパターンが充分開いた位置で撃っても充分命中させられた頃の理論です、これも理論的に間違っている訳でもありませんし、現在の24グラム装弾でも充分通用しますが、24グラム装弾で二の矢を撃つときには明らかに不利になると思います。でも決して間違いではありません、古いシューターならこうした理論で初心者を指導する事になると思います。昔の名人の人は今でもこうした射撃方法で撃たれていますが当然ちゃんと当たります、しかしながら、照星をよく見て撃つと言うことは相当数の弾数を撃たないとその感覚が身に付かないのでは思われます。

2,照星をしっかりと見て、そのまま目のピントを土手に合わせてクレーが出たら撃つ理論

これは狙い方そのものは1と同じですが、ピントの合わせ方を照星から土手に移したと言う事で、1の射撃方法の改良型、あるいは発展型、とも言えます。
目のピントを何処に合わすかと言う論争は今迄ずいぶんと交わされましたが、どちらの言い分も正論と言うのが現在の私の考えです、何故ならどちらの射撃方法をとっても、どちらもちゃんと当たるからです。しかしながら何れの照準方法も相当数の弾数を撃たないと身に付かないと言う事が言えます。

3,照星をしっかりと見て、そのまま視点を上にずらして目のピントを遠くに合わせて、クレーが出たら、少しクレーを飛ばして感覚的に銃口をクレーに向けて撃つ理論。

これは現在私が推奨している照準方法です。
照星をしっかりと見て頬付けを確認したら、目の焦点を上に上げます、そして土手を見るのです、その場合、両眼照準であることは言うまでもありません。
両眼で遠くにピントを合わせて、そして広い視野を見るとクレーが飛び出してもしっかりとクレーを視認できます。
クレーの飛翔方向をしっかりと確認して、充分な「タメ」をおいてからスピーデーに銃口を振ります、この場合クレーを見ている感覚は95%、照星を見ている感覚は5%です。
照星は感覚的に捕らえていると考えて良いでしょう、もっと大胆に言うと照星は無くても良いのです、感覚的に銃口を振る事が出来れば必ず命中します。

私はライフル射撃の出身ですから、クレー射撃の当たりも、ライフル的な感覚で言うならば、二の矢でクレーが力無く二個に割れた物は、ライフル射撃の感覚で言えばそれは4点位の意味しかありません、30~40メートルの距離で、クレーを煙のように粉砕した場合は10点です。ですから出来るだけ10点のクレーを撃つように心がけるのが本来のクレー射撃の姿だと私は信じます。
その理論から言うと一番優れているのが3の照準方法なのです。

ビギナーのシューターが、超ベテランのシューターに、1や2の理論をたたき込まれた後、私の3の理論を聞いても、私が間違った事を言っていると感じるのは当然の事です。
しかし、逆の場合もあるでしょう。ですから初心者がとまどうのです。

これがクレー射撃の理論は、人ごとに違うと言う最大の理由です。
困ったことにその何れも理論的に間違いであると断定できないためにに多くの混乱を来す理由にも成るのです。どれも正解なのです!

過去から現在に至るまで、全ての人が共通して理論的に一致していることが一つだけあります、それは頬付けです、射撃中に頬付けが浮いたりすれば、照準の基準となる目の位置が変化するので、照星とクレーが一致しても命中する訳がありません。
いわゆるヘッドアップの弊害です。
ヘットアップの弊害を完全に無く為に、私は照準装置としてドットサイトで実験したことがあります、これは光学照準器でヘッドアップすれば照準点も変化するので、ドットとクレーの位置関係で正確な照準が出来ると言う優れものです。
1年以上実験したのですが、クレー射撃の場合、撃つ瞬間は感覚的にクレーを見ているのでおおよそ照準器のドットとクレーの位置関係を把握できないのです、ドットとクレーの関係を正確に把握すると撃つタイミングが致命的に遅れるのです、ですからクレー射撃には照準器は必要ないと言う結果に落ち着きました。

クレー射撃は感覚で撃つ射撃競技なのです!

クレー射撃に必要なのは頬付けの感覚と、銃口がどの当たりにある、か、(感覚的には目の下、顎の上と言う感覚ですね)そう言う感覚が身に付いて感覚だけで撃てる様になるのが本当です。ですから照星は必要ないとも言えるのです。
照星の色を変えたり、大きさを変えたり、少なくとも当たらない原因を照星に求めている内はまだまだ頂点を極めると言うにはほど遠いレベルでしょうね!

さて頬付けの話が出たのでベンドの問題をお話しします。
ベンドの高さがどうたらこうたらと多くの人が言いますが、はっきり言うと全く関係ないと言うのが私の理屈です・・・・・・・・・・・・・なんて事を書くと、ここぞとばかりに非難が集中してくるのを背中で感じますが、では非難する方にお聞きしますが、ベンドの事を云々する人で、チークピースの厚みを論議しますか? チークピースの厚みを言わないでベンドの事を言っても不毛の論理と考えませんか?
ミロクのベンドが**ミリなのでペラッチも同じベンドでなんて事を言われる方も少なくありません、しかしペラッチの銃床はもっと厚みがあります、つまりふっくらしているのです、ですから同じベンドにしたら相当な違和感があるはずです。
その銃が違えばフィーリングが違うはずですから、フィーリングを無視して寸法で比べると言うところに根本的な無理があるのです。
一番大切なのはそのフィーリングを大切にする事なのです、ペラッチを改造してミロクみたいな銃にしても(最も完全な改造は無理な話ではありますがね)何の意味もないと言うことなのです。
私はペラッチとFNとメルケルのトラップ銃を使い分けていますが、メルケルとペラッチではベンドの高さは劇的に違います、メルケルは深すぎてほんの僅かチークピースが頬に触っているだけです、メルケルはそうやって撃てばちゃんと満射が撃てます。ペラッチはがっしり頬を押し付けて撃たないといけませんが、そうやって撃てばこれまたちゃんと満射が撃てるのです。
つまりベンドの高さなんて、使う側がちゃんと使えばどうでもなると言うことです、幾ら調整しても頬付けが弛めば何の意味もないことがご理解頂けますでしょうか。

まあ、お好みでベンドの高さを変える事まで止めろとは言いませんがね!

ピッチダウンについて。
ベンドですらどうでも良いわけですからピッチダウンに神経質になる必要はありません、私の知る限り32グラム装弾を使っていたことは反動がきついので、レコイルパットの角度が肩に正確に合っていないと、初矢の反動が大きかったり、肩にアザが出来たり、色々な弊害がありました。
また初矢の反動がが大きいとか言う理屈もありました、でも24グラム装弾ではそれほど神経質になる必要もないと思います。現在でも5円硬貨をレコイルパットと銃床の間に挟んだりする人も皆無とは言えませんが、現在の24グラム装弾を使う限りは効果の程はあまり無いと私は考えています。

スタンスについて。
スタンス、つまり足場の問題ですが、これはライフル射撃でも気にする人も少なくありません、勿論クレー射撃においても同じです。
はっきり言うとこれはどうでも良い物です、気にする人にとっては大切な物でしょうが、ベテランでこれを気にする人は皆無ですから、自然と立った位置が適正な位置に成るのでしょうし、この位置を気にするほど射撃への集中力が削がれるのではないでは無いでしょうかね、上手になればこうしたことはあまり気にしなくなるものです。

高付けか、低付けか、
銃口の位置を土手に合わせるか、クレーの放出口に合わせるかという問題ですが、その理屈について説明してみます。銃口の位置が高いと早くクレーを捕らえられます。その為に銃の振りが少なくて済みますので、あまり疲れないと言う利点がありますが。
漫然とそうした撃ち方をしていると、今度は銃が全然振れなくなってしまうことがあります。
銃口の位置を放出口の所に付けている人は、飛び出たクレーを追いかけるために必然的に銃口の振りが大きくなります、適正なスイングをすると言う意味では銃口の位置は低い方が良いのです、スイングが的確に出来てさえ居れば、銃口は高付けでもちゃんと当たります、逆に高付けで漫然と撃っているといつの間にか銃口のスイングが遅くなる人も居ますので、そうした場合は再度、低い付け方にして適正なスイングを再度身につけた方が良いと思います。勿論的確なスイングスピードが身に付いたら、また高付けにしても何の問題もありません。

何れの場合も、絶対的に必要なのは「タメ」です、0.5秒~1.0秒位のタメ、つまり銃口が動かない時間が絶対的に必要なので。
クレーが出てすぐに追いかけると銃口のスイングが遅くなり、必ずクレー後ろを撃って「正確に外す」事になります。
タメの感覚がよく理解できない人は、銃口の上に大きな仮想の虹を描いてください。
クレーが放出されても、その仮想の虹をクレーが通過するまで銃口を動かしてはいけません。クレーが仮想の虹を通過するまで待つことにより、クレーの飛翔コースを正確に把握出来ます、そして銃口のスイングスピードを的確にスピーデーに振るためにどうしても必要なプロセスなのです。
タメを作らないでクレーに当たった場合、銃口のスイングが遅いためにクレーの割れ方が悪いはずです、それは散弾銃の破砕力で必要なコロンの力を充分利用できていないからなのです、コロンの事についてはコラム、散弾銃の弾道学を参照してください。

この様に銃口は高く付けても低く付けてもどちらでも当たるのですが、人によってはどちらかが絶対的な物として説明してしまうかも知れません、これも極端な両論が存在する理由なのです。

力を入れて保持するか、軽く保持するか
これもどちらも正解と言うことが出来ます。
力を入れて銃を保持すると、スピーデイなスイングが出来て、またクレーを追うラインにもブレが出ません、その変わり腰の動きが悪いと、ある地点で銃が止まってしまう恐れがあります、腰がちゃんと回っていれば大丈夫なのですが、相当な弾数を撃たないとそうしたスイングは身に付きません。
銃を軽く保持していると、銃の慣性で綺麗なスイングが出来てしまいます。
スイングが良いとクレーも粉々に粉砕されますね、しかし大会等で緊張したときなど、なかなか軽く銃を持つと言うことが出来にく成ってします事もあります。
ペラッチなどの銃床は力を入れて保持するように作られていますので、軽く銃を保持すると言うのはペラッチ向きの撃ち方ではありませんね。
逆にメルケル等はこうした撃ち方をした方がよく当たります。
力を入れるか、力を抜くか、これは銃床の形状に左右される要因も多々ありますので、ベテランの人に間違った指導をされると、そのまま間違った使い方をすると地獄にはまることにも成りかねません。
射撃大会などの緊張の極に立つ場合は、力を入れて撃つ方がかえって適正かもしれません。
力を入れない撃ち方をマスターした場合、大きな大会で力を入れないで撃つことはまた別の意味での修練を要することに成るかも知れないからです。

30年前の射撃理論と現在の射撃利理論とでは違っているのが当然です。
装弾の量も、初速も、そしてクレーのスピードも、クレーの切れ方も、そしてクレーの硬さも違ってきているのですから、逆に昔と同じだとおかしいと思います、その様に変化するのが射撃理論ですから、100人いれば100通りの、1000人いれば1000とおりの射撃理論があるのが当然なのです。
ですから、色々な射撃理論が混沌として存在するのも事実なのです、そして最大の問題は、その何れもそれぞれ正論なのです。

ですから"クレー射撃の理論と実際"と言うようなバイブル的なハウツウ物を書くほど厚顔無恥なシューターは存在しないと言うのが事実ではないでしょうか。
書けば必ず反論されるのは見え見えですからね、それに人の足を引っ張る人はこの世界には意外と多いのではないかと思われます。

ですから、このコラムで書いた私の射撃理論も当然ボロクソに言う人が存在したとしても不思議ではないし、私自身はそれに反論もしません。
しかし、私のコラムに異論があれば、別のHPでさらなる優れた射撃理論の展開、そして開示を切望するものです。


読者意見追記 2003年 9月26日

築地様

始めまして。いつも楽しくHP拝見させていただいております米国CA在住の****と申します。
日本国内で所持許可を取るほどの甲斐性が無かった私ですが、もともと銃器関係は好きだったので在住後に散弾銃を含め4丁ほど所持し、ただいまクレー射撃(主にアメリカントラップとスポーティングクレー)にしっかりはまっています。(と言ってもクレーは始めて1.5ヶ月の超初心者ですが)

いつもながら、非常にわかりやすいコメントやアドバイス、業界の事情など知識と文才にうなるばかりですが、今回の御社のコラム「クレー射撃、その異なる射撃理論の存在」は大変参考になりました。

理論など何も判らずに闇雲に始めて以来、すぐに20個以上は当たるようになったのですが、どうしてもスカッと粉砕しない事に不満を覚えて、まず今回とは別のコラムでの射撃法を勉強させていただき、多少は粉砕回数を上げる事ができました。

ちょうど時期を同じくして、上手な方のフォームを見て、皆、結構バラバラなので疑問に思っていた所でしたので「そういうことなのか」と判った(おそらくわかった気持ちになっているだけ?)次第です。
私の地元では田舎なのでインターナショナルトラップはあまり見かけませんし、使用装弾も異なるので全く同じではないかもしれませんが、過去の歴史も含めたコラムはその点でも非常に参考になります。

色々と業界に旋風を巻き起こし、その中で常にシェアを伸ばすことは想像を越えるご苦労があるかと思いますが、是非これからもがんばってください。HPも楽しみにしております。 

水平二連で射撃を!

2002年 6月17日 築地

この間射撃場で、お客さんから「築地さんは週1ですか」と聞かれたので、」私は通常週2ですと答えた。お聞きになったお客様は30代だったので、我々の30代世代は週2回と言うとなかなか女房が良い顔をしないのですよと言われた。
中には、週1どころか、月2とか、月1と言う例も決して珍しくないそうである。
そう言えば、私自身も半年に1回とか、年に1回とか、中には4年に1回とか、まるでたまにある楽しみがオリンピック開催年みたいな方も知らないわけではない。
4年に1回は論外だが、月1のペースでは体中がムズムズしてこないか人ごとながら心配である。私の場合月1では欲求不満で発狂しかねない。
私は50代だが、お客様の意見では、50代で週2回と言うと他の人から比べても多い方ではないですかと言われたが、私の楽しみは唯一これしかないので、出来る事なら週2どころか、週7でも大歓迎と言うのが私の本音である。私って異常でしょうか?
私は、この世界の初体験は14歳だったが、現在まで週1のペースは崩していない。
若い頃、アメリカでガンスミスの修業時代を過ごしたが、そのような恵まれない環境でも週一の励行を欠かしたことはないのである。
先月まで、私の休みは土、日、だったので、どうしても射撃は土曜日だけに集中して、日曜日は大会で事実上射撃場が使えないので、致し方なく、日曜日は映画を見たり、本屋を回ったり、昼間かからビールを飲んだ入りして1日を過ごすことになる。不健康この上ない事である。
しかし、今月から日曜日を出勤する替わりに、金曜日を私独自の休みにしてから、金曜と土曜日を射撃に振り当てる事が出来るようになった。
そんな訳で現在では毎週のお楽しみは週2回と成ったのである。

さて、今回のコラムのテーマは水平2連で射撃を!と言うテーマでお話しをする事にします。

私は週2回射撃場に行っていると書いたが、毎回同じ銃を撃っていたのではさすがに飽きが来る、そこで毎日同じ銃ではなく、以下のような色々な銃を取り混ぜて使っているのである。

まず、上下2連銃はペラッチSCOサイドプレート、この銃は某ペラッチ代理店の値段では700万円以上した銃である、当社で扱うようになって大分安くはなったがそれでも、現在では280万円である。FN-D4、ブローニングの上下でDグレードは一番高い、ブローニングの上下でDグレードの銃は如何なるルートから取り寄せても350万円以下にはならない、正規代理店の値段は470万円である。メルケル303サイドロックである。この銃は旧東ドイツの頃に作られた銃で、現在製造されている東西ドイツが合併後に作られた銃とはレーバーコストが全然違う銃である、東ドイツがまだ健在の頃は日本国内の定価は500万円していたのである。こうした銃をかわるがわる撃ち、またその合間に気分転換に水平2連銃を撃つことにしている。

ペラッチSCO
ペラッチSCO

私はクレー射撃のオリンピック出場を目指しているわけではない、射撃は単純に私の楽しみなのである。
射撃競技はライフル射撃だけで充分尽くした。14歳から54歳まで、40年間射撃競技をやってきたので、競技人生はもう結構と言う心境である。

私は現在は56歳、これからは生涯スポーツトしての射撃を目指そうと考えている。
上下だけを撃っていると、何となく銃が重く感じたり、その為か銃のスイングが鈍くなったりするが、水平二連を使うと、銃が軽いので切れ味の鋭いスイングをする事が出来る。
トラップ射撃をおやりの方ならお解り頂けると思うが、飛び出したクレーが力無く二枚に割れたりすることが良くある、これはスイングの切れが良くない証拠である。
ショットガンで撃ち出された散弾は、パターンと呼ばれる広がりと、散弾の連なりであるコロンで構成される。銃のスイングが鋭いと、コロンの繋がりが適正なので飛翔しているクレーに散弾の粒が次々と命中するためクレーは粉々に粉砕する、銃のスイングが遅い、あるいは撃つ瞬間に銃が止まった時など(銃が止まると実際は当たらないが)散弾の広がりのほんのわずかな粒が命中するだけなので、力無く"パカッ"と二つに割れたり、クレーは割れなくてクレーに塗られた白い粉だけが舞ったりするだけである。こんな時は銃を鋭くスイングさせればクレーは粉々に粉砕するのであるが射撃がマンネリ化していると鋭いスイングと言ってもなかなか出来ないのである。
そんな時に、水平二連銃を撃つと、銃が軽く、銃身が短いので上下2連銃の感覚で銃を振っても以外と鋭いスイングが出来るのである。

水平2連銃は鋭いスイングが出来るが、だからと言って水平2連でオリンピックに行けと言っている訳ではない。上下2連銃でスランプ陥ったり、マンネリ化した射撃しか出来なくなったときには水平2連銃を撃って、心機一転、また射撃の楽しみを見いだそうと言う訳である。上下を撃った後水平2連銃を撃つとまた新鮮な感覚で射撃が出来る。

ベレッタ451EELL
ベレッタ451EELL

水平2連銃の銃身長は長くても28インチしかない、絞りもフルとモデである、本来が狩猟用の銃であるのでベンドも深い、従ってクレーを狙う場合、前に出るクレーは素早いスイングで追い越しざまに撃たないと必ずスイングは遅れる。横に飛ぶクレーでは出来るだけ早く取らないと、絞りがモデなのですぐにパターンが広がる、そうした難しさがあるので上下2連銃と違ってまた水平2連銃の射撃は楽しいのである。そしてそれこそがクレー射撃の最も大切な基礎ではないか。

水平2連銃を撃つ時には、先台を持つ方には必ず手袋が必要である、これがないと焼けた銃身でやけどをしてしまう、私の使っているベレッタは、銃身の周りまで銃床でカバーしたビーバーテール銃床である、これがイギリスなどの伝統的に水平2連銃にある、小さなクラシカルタイプの先台だと、先台を持つ手は必ず銃身に触れているので手袋無しではとうてい使えない事になる。
水平2連銃でクレー射撃と言うと、射撃競技としては完全に場違いのような印象を持たれるかも知れないが、私が射撃を始めた昭和30年代は、割合多くの人が水平2連銃で射撃を楽しんでいたのである、事実、この頃開催された国体でも水平2連銃で国体に参加した選手も数多く存在するのである。多くの人がその存在すら知らないかも知れないが、有名なジェームスバーデーでは水平2連銃のトラップ専用銃すら製造している、私も一度見せて貰ったが、銃床のベンドが高く、リブの高さも狩猟用の物より高く作られていた、その銃は今は亡き萬屋錦之助さんの愛銃であったが、今は誰の所有になっているか私は知らない。この様に水平二連でも充分に射撃に使えるのである、しかも軽い、切れ味の良いスイングが出来ること請け合いである。それに第一撃っていて楽しい。
水平2連で当たらなくても誰も"下手くそ"と侮らない。しかしながら実際には上下と比べて1~2枚、悪くても2~3枚しか違わないのである。

ペラッチ上下とベレッタ水平
ペラッチ上下とベレッタ水平

水平2連銃の欠点は強い弾を撃てないと言うことである。昔のトラップ射撃では32グラム装弾を使っていたので、この装弾だと水平2連だと10万発は撃てないだろうと言われていた、強装弾を使った場合、やはり銃身と機関部の間に隙間が出来る。
それに、現実問題、昔は軽い水平2連銃で32グラム装弾を500発も撃つと、肩が痛くなり、頬付けも甘いので負けたボクサーがパンチを食らったみたいに頬が大きく腫れたものである。
そのためクレー射撃で水平2連銃を使うのは邪道扱いされたのである。
しかしながら、現在の射撃用装弾はわずか24グラムである、この様な弱装弾だと10万発撃ってもびくともしない。今でこそクレー射撃に水平2連銃を使える時代になったのである。私は現在ベレッタ451EELLと言う水平2連銃を使っている、すでに20年前に製造中止になっているが、当事、アメリカで$15,000していた銃である。単純に現在の為替1ドル¥125で計算しても日本円で\1,875,000である。あくまでも私の推測でしかないが、当事の銃砲業界は論外の価格体系をしていたので国内価格は400万円位していたのかも知れない。

私の体には、ガンマニアとしての資質が流れている、そのためにこうした超一流の銃を好むのである、良い銃を使うと、良い銃と悪い銃の違いが如実に分かる。
そのためそうしたガンマニアとしての知識は私のビジネスには絶対必要な事なのである。

銃床材を極める

2004年 6月21日 築地
更新(インレット画像追加、油仕上げ追加) 2004年 6月22日 築地

外国ではこうした銃床材料をfancyu woodと言うのですが、日本には適切な訳文がありません、銘木という言葉は適切ではありませんね。これよりも全然レベルの低い材料でも銘木として売られているからです。銘木よりも何ランクも上の銃床材ですね。
ペラッチの最高級銃でも、FNの最高級でも使われていません。
あえて言えば値段の有って無いような、フェラッハのダブルライフルには使われています。ですから1千万円クラスの銃に使われているのですね。
詳細は拙著、IWAリポートをご覧下さい。
私がドイツで開催されたIWAに行った時、このfancyu woodの銃床を2本買ってきたのですが、誰も買う人は居ないだろうと思いながら、¥380,000と言う値段を付けたら、お客様の中でどうしてもその銃床材料が欲しいと言う方がおいでになり、結局2本ともお客様に御譲りせざるを得なくなりました。
2本とも手放したために、自分用に使う銃床材料が無くなり、急遽ドイツにメールを送り、追加で2本の銃床材料を購入しました。
ドイツの銃床屋さんとは画像でやり取りしましたが、そのやり取りした画像がこれです。

素材
素材

この画像の銃床素材を2本購入しました。左側の素材は私が使いましたが、右側の素材は神奈川県のMさんが購入され、ミロクスペシャルの銃床素材として作られました。
ミロクの銃ですから、高知のミロクに送られて加工されたようですが、私は未だ見せて頂いてないのですが、多分すばらしい出来上がりだと想像しています。
言うまでもなくミロクにもこのクラスの銃床材料は有りませんからね。
あれば私から購入する必要もありません。

私はこの銃床を手持ちのベレッタ451EELLに使用しました。
この銃をこの材料を使い、オイル仕上げで作り上げるつもりなのです。
この手の銃床はほとんど日本には輸入されていないと思います。何故なら私自身はこれと同じ様なレベルの銃床は未だに日本国内では一度も見た事がないからです。
こうした銃床材の木質は、巨木の木の根っこの部分僅か1m程度にしか存在しません、小さな丸い渦巻きはそこの部分から細い根っ子の枝が出ていたことを物語って居ます。また木目が波状に波打っているのは何十トンもの木の重量を支えているために導管が真っ直ぐ成長できなかった事も意味しています。こういう根っこの部分は何百年と経過た巨木でないとこういう木質になりません。
何百年のも間には落雷と言うアクシデントに遭うのは当たり前のことですが、落雷に遭うと木の中心が焼けこげ、その部分は腐ってしまいます。落雷に遭わなくても多くの大木は中心が空洞になっている物も少なくありません。大きな大木ほど落雷に遭う可能性は高くなります。ですから、こうした完璧な素材が入手できるのは極めて希な事なのです。
こうした貴重な素材は西側諸国では完全に枯渇して、この材料はかつての共産圏、アゼルバイジャンで入手出来た物なのです。かつての共産圏ではこういう貴重な素材を掘り起こしても売れる場所がありませんでしたので、幸いな事に現在まで持ちこたえていたのです。
でも将来的にはここでもいずれはいつかは枯渇することは明白な事実です。
こういう特選銃床が今まで日本に無かったと言うのは、銃床屋さんに持ち込むと簡単に解ります。多くの銃床屋さんは「割れが多いね」「ひびが有るね」甚だしい場合は「節があるね」とさえ言われかねません。そういう銃床屋さんは今までこの手の銃床の加工をしていないためにそう言われるのかも知れません。逆に言うとこういう銃床は今まで見たことがないと言う証でもあります。
でもこの手の銃床材料には割れは避けられないのです。割れと言っても致命的な大きな割れではなく、多くの場合、横で数ミリ、幅で0.数ミリと言うレベルです。

インレット1
インレット1

木の根っこの部分には多くの水分を含んでいますが、乾燥の途中で水分が蒸発しますと、必然的に細かい割れが発生するのです。木質が真っ直ぐなら簡単ですが、根っこの部分ですので導管が複雑に入り組んでいるため、全体的に小さなひびが存在しているのです。
普通ならこうした割れはエポキシや砥の粉を目止めして修正するのですが、私は同じ材料から切り出した木片を丁寧に1つずつ埋めていきました。

インレット2
インレット2
インレット3
インレット3

安物なら目止めで簡単に補正するのですが、高い材料ですからこうした方法を採るのです。
1970代、アメリカで修行中の私は銃床制作の過程で良くこういう作業をやった記憶があります。
多くの場合がくさび状に削りだした木片で、横幅数ミリ、先端は0.2ミリ程度です。
それをラジオペンチを使い空洞に押し込みます、有る程度挿入できたら、軽くハンマーでたたき込みます。ハンマーでたたき込むとほとんど隙間は視認できません。勿論接着剤も使いません。本来はこうした作業も銃床屋さんの作業なのですが、日本の銃床屋さんではこういう仕事の体験が無いために、私が自分でこなしているのです。

未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床

画像では見にくいのですが、未完成銃床には細かい割れが無数にあるのです。
細かい作業ですが2日もあれば完成ですね。
あとは仕上げをしてチェッカリングをして銃床の外見は出来上がりです。

銃床油セット
銃床油セット  (¥14,000)

これからいよいよ、銃床の油仕上げに入るわけですが、銃床仕上げに使う油はわざわざヨーロッパから取り寄せました、私がIWAで購入してきた物と同じ物ですが、購入分は全て完売しましたので追加で輸入した物です。
銃床油セットは、シーラー、銃床油、硬化剤、800番耐水ペーパーのセットで、¥14,000です。
銃床油セットの、一番右側にあるのはシーラーと呼ばれる溶剤です。
何か特殊な溶剤かと思ったのですが、単に砥の粉を溶かしただけの物みたいです。
砥の粉ですから銃床の導管を目止めする物ですね。少し塗るだけで木が非常に乾燥しているのでどんどん染みこみます。

シーラーを塗る
シーラーを塗る

どんどん染みこんでどんどん乾いていきます。溶剤を調べたら水溶性です、その為に染み込みが良く、乾燥も早いのですね。
シーラーは手で塗りますが、手に付いたシーラーは水道水で洗うと簡単に落ちます。

有る程度シーラーを塗り込んだら、付属の180番の耐水ペーパーで空研ぎします。
つまり、何も付けないで銃床の表面にペーパーをかけるのです。そうすると余分な砥の粉が削れ、導管には逆に砥の粉がすり込まれます。
次のステップでいよいよ銃床油を擦り込みます。
銃床の表面に油をタラ~と流し、その上からコルクの板に巻いた、180番の耐水ペーパーで研ぎ上げていきます。
勿論木に巻いて研ぎ上げても良いのですが、コルクの方が木になじむので作業がはかどります。でも間違っても手で研ぎ上げないように注意して下さい。
手で研ぎ上げると表面を平面に仕上げることは困難です。

銃床油は、導管の粗いところはどんどん油を吸い込んで行きます、木質の堅いところはあまり吸い込みません、そうして銃床に綺麗なコントラストが生まれます。
銃床全体を銃床油と、180番の耐水ペーパーで研ぎ上げたらいよいよ仕上げです。

付属の硬化剤を銃床に垂らして全体に行き渡るように擦り込みます。
布を使っても良いのですが、手でやった方が細部まで完璧に出来ます。
硬化剤と言うと、これで銃床油がカチカチになると思われるでしょうが、そうではありません、銃床油が「シットリ」としてくるのです。不必要に染みこまないし全体的に表面にとどまり、全体的に「シットリ」した感じで完成します。

完成銃床
完成銃床
完成銃床
完成銃床

銃床の油仕上げと言うと、相当長い時間かけて完成させている様に思われるかも知れませんが、実はこの仕上げは8時間程度で完成させたのです。
ビジネスの場合、不必要に時間をかけるのは問題です。これくらいの時間で完成させるのが工場サイドでは常識なのです。この様に短時間で完成させるのには専用の銃床油セットが不可欠です。市販されているアマニ油を塗り込んで居たのでは1ヶ月かかっても完成しないでしょう。
何故なら1ヶ月擦り込んでも、まだまだ幾らでも油が染みこむからです。
逆に銃床が熱い場所に置かれると油が浮き上がってきます。油が「シットリ」落ち着くには硬化剤が必要なのです。

銃床油セットは、シーラー、銃床油、硬化剤、
800番耐水ペーパーのセットで、¥14,000です。
  *この機会に是非、御注文ください。

銃床油セット
銃床油セット(¥14,000)

私は銃床の取り付け取り外しは自分でやりましたが、一般の方は銃床の取り付け取り外しは必ず銃砲店、または銃床屋さんに任せて下さい。
散弾銃のネジは全て特殊なネジですから、間違ってネジの頭を滑らせると補修がききません。ネジの頭には彫刻があるので他のネジでは補修が出来ません。
また彫刻のスタイルがそれぞれ独自なので、他の彫刻師に依頼しても駄目なのです。
そのリスクを考えると、絶対に自分で銃床は取り外さないように注意して下さい。

完成銃床
完成銃床
完成銃床
完成銃床

最後になりますが、こうした難作材料なのに嫌な顔もせず、なおかつ非常に高度な工作を要求されるサイドロックの銃に最高の加工をして頂いた、栗原銃床製作所の皆さんに最大の感謝の意を表します。

皆さんも高度な銃床加工を依頼されるときは、栗原銃床製作所をご利用されると良いかと思います。以下、住所と電話、FAXを明記しておきます。

〒145-0066 東京都大田区南雪谷5-17-22
栗原銃床製作所
電話:03-3727-7203 FAX:03-3727-7219

ウナートル スナイパー スコープ

2004年 3月 2日 築地

私がこのスコープを初めて見たのは、今から15年くらい前、狙撃訓練の為に訪問した沖縄のキャンプハンセン海兵隊基地でした。
羽田でJALのカウンターで携帯ののライフルを預けたため、ライフル射撃場の無い沖縄で何をするのかと怪訝に思ったスタッフが警察に電話したため、沖縄の飛行場から沖縄県警の尾行されました、勿論パンダ模様のパトカーではなくて、一般車両を装った車でしたが、さすがにスナイパー訓練所のスタッフですから「尾行されてる」と教えてくれました。
キャンプハンセンでは射撃訓練をしたことは事実ですが、自分の銃を使ったかどうかについてはコメント出来ません。
(私が行った当時、キャンプハンセンには現在のウナートル社の社長、ロッキー グリーンさんが勤務していたのでひょっとしたら何処かですれ違ったかも知れませんね)

さて、キャンプハンセンでは、今までに見たことのないスナイパーライフル、M40-A1がありました、それまでのスナイパーライフルというと、レミントンバーミンターにレザーウッド、スナイパースコープを取り付けたのが、唯一海兵隊のスナイパーライフルだったのです。
その新しいスナイパーライル、40A-1に取り付けられていたのがこのウナートルスコープでした。
M40A-1スナイパーライフルは、銃身はハート、機関部はレミントン700、銃床はマクミラン、引き金はジュエル、トリッガーガードはウインチェスターM-70用のスチールトリッガーガードの構成で作られていました、マウントはレッドフィールドのワンピースマウント、前後とも90度回して固定する、ヂュアルドブテールのリング、それにマウントリングの止めネジは上からでなく、下からネジ止めするBlack Luster と言うタイプのリングを使います、下からネジ止めするリングはレッドフィールド社でしか製造していません。
ヂュアルドブテールで前後のリングとも固定し、しかも下からネジ止めするなど、非常にやっかいな作業を強いられますが、それが一番信頼できる方法なのかも知れません。
このライフルは市販品ではなくて、すべて海兵隊で海兵隊のガンスミスが組み立てて作っていたのです。驚くことにスナイパー訓練中の射撃場の隣には大きなトレーラーが常駐しており、そこがガンスミスの工房に成っていたのです。

ウナートルスコープのボデーは1インチです、多くのタクチカルスコープが30ミリなのはリチクルの移動量が大きく取れるので30ミリボデーを使っていますが、ウナートルの場合、100ヤードでのリチクルのセッテング位置が最初から下になっているので、100ヤード射撃の位置にリチクルをあげても、ボデーの上にぶつからない設計に成っているのです、そういう意味では何も無理矢理30ミリボデーで設計する必要はないのです。
多くの人の間に誤解があるのですが、1インチボデーより、30ミリボデーの方が明るいとか色々間違った事を言われる事が多々ありますが、光学的に言うとボデーの大きさは何の関係もありません。

ウナートルスコープ
ウナートルスコープ

ウナートルスコープのレチクル調整は極めて特殊な方法です。
この設計はウナートル社の特許だったのですが、すでに特許は有効期限が切れているので、USオプチクスで100%同じ物が作られているのです。
しかし、USオプチクススとウナートル社の間で裁判が行われ、ウナートル社が勝訴し数千万円の賠償金をUSオプチクスが支払わなければ成らなくなったのですが、その保証の多くは、USオプチクス側の営業妨害の訴訟です。
同じ製品を作ったと言うことが裁判の争点に成ったわけでは無いそうです。
ウナートル社に対してUSオプチクス社が色々な誹謗中傷をしたことが営業妨害と認められたようです。そのため毎月USオプチクス社はウナイトル社に相当額の損害金を払っていると言うことでした。

ウナートル社の社長、ロッキーさんにショットショーでインタビューした中で、USオプチクスとウナートルとの相違点について色々質問したのですが、大きな相違点はレンズの違いだと強調していました。
ウナートル社の場合は全部アメリカ製だが、USオプチクス製はアジア製のレンズを使っていると言うことでした、これも最初はUSオプチクスはレンズはアメリカ製だと言っていたのですが、裁判の中で解った事実だそうです。
アジア製と言われても、日本もアジアなので、いささか私もムッとしましたが、日本のレンズが優秀なのはカメラ用のレンズだとか、そういう汎用向けのレンズは確かに優れているようです。しかしながら純粋の軍事用となると、これはもうアメリカ製の独壇場なのです、例えば、天文観測史上最大の貢献をした宇宙空間に打ち出されたハッブル望遠鏡ですが、これは100%アメリカ製のレンズが使用されています。軍事偵察衛星に使われる超高倍率、超高解像力のレンズもアメリカ製です。
実は、日本が世界に誇るスバル天体望遠鏡もアメリカ製なのです、どうです以外でしょう?
光学系は日本製が世界一だと思っていませんでしたか、実はアメリカ製が一番なのです。
人工衛星を追尾撮影するカメラがあるのですが、そのレンズをソ連に輸出した職人はスパイ罪でFBIに逮捕され無期懲役ですからね、日本にはスパイ罪はないので日本に注文すれば何の問題もないのですが、そこは人工衛星追尾用のカメラレンズはアメリカ製でないと駄目だったんですよ。
この様にレンズ物では最先端の物はアメリカ製と言うのが、本当は常識なのです。
ですから、ウナートル社がレンズは100%アメリカ製と胸を張るのは、レンズが良い事は勿論ですが、レンズ自体が相当高価であることを意味しています。

世間一般に言われるミルドットリチクルですが、多くのレチクルはエッジングで作られています、いわゆる写真製版と同じ様な技術ですね、薄い銅箔を写真蒸着した部分以外を溶剤で溶かして作る製法です、この場合リチクルのワイヤーをあまり細くすることが出来ないのです、またリチクルが切れやすいと言う欠点もあります。
ウナートルのリチクルは「メカニカル」製と言うことです。
縦横2本のワイヤーを張って、それにミルドットを取り付けるのです、細いワイヤーにどの様にしてミルドットを正確に付けていくのかどうして作るのか全く想像できません、現在この製法でミルドットリチクルを製造できるのは世界で1社、テキサス州にある*社しかありません。
エッチングの場合、このミルドットが大きくて、如何にも団子の串刺しに見えますが、ウナートルのミルドットは非常に細身なのです、ですからミルドットに邪魔されて目標が視認できないと言うことが無いのです、これがUSオプチクスとの大きな違いでしょうか。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
ウナートルスコープ
オリジナル画像

ウナートルスコープには照尺が着いています、308ウインチェスター、弾頭148グレイン、初速2800フィート、フルメタルジャケット軍用実包を使う場合、射距離に応じて正確な弾道修正が行えます。この弾道修正の方法も独特です。

ウナートルスコープ
オリジナル画像

まず300ヤードでサイテングする場合、照尺の目盛りを(3)にします。
それから横のロックネジを緩めて、真ん中のネジで上下の調整をします、上に弾着を移動させたいときは、時計方向に回します。

弾着を下に移動させたいときは時計と反対方向に回します。
上下の弾着調整が終わったら、横のロックネジを固定します。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
ウナートルスコープ
オリジナル画像

これでダイヤルのネジを(5)にすれば500ヤード(8)にすれば800ヤードの距離に自動的に弾道修正が行われます。弾道修正ダイヤルは(10)迄しかありませんが、1000ヤード以上は308ウインチェスターの射程外と考えて良いでしょう。
上下調整のダイヤルの下に、副調整レバーと言うべき物があります。
これは、射撃する条件により、弾着が上下に移動することがあります。
つまり空気の密度です、大気が寒いと空気の密度が大きいので飛翔する弾頭の抵抗力が大きくて弾着は下がります。
空気が暖かいと空気の密度が薄いので弾頭の受ける抵抗は減少し、弾着は上になります。
この様な場合、副調整レバーで上下に3MOAだけ弾着を調整出来るのです。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
ウナートルスコープ
オリジナル画像

左右の調整も同じように横のロッキングネジを緩めて行います。

暗視スコープ

2003年 2月10日 築地

今回は暗視スコープの事について書きます。
普通の銃砲店でこうした商品を取り扱ったり、解説を書いたりするところは皆無だと思います、しかしながら、ガンビジネスの頂点を極めようと言う私にとって、暗視スコープに熟知するのも私の中では大切なアイテムとして位置付けられているのです。
私が暗視スコープに付いて、妙に詳しいと、"築地は夜撃ちをやっている"なんて勘ぐられるかもしれませんが、夜撃ちは論外な話で、この世にある一切の違法行為は私の周辺から完璧に排除しています。今や完全に順法精神の化身と化している私にとって、車のわずかなスピード違反、そして些細な賭け事も一切ないのです。
嘘だと言うなら賭けてもいい!

暗視スコープの最初は朝鮮戦争当時、夜間戦闘用に米軍が赤外線照射のスコープを使ったのが最初です。
5万カンデラ以上もある、強力な投光装置に赤外線のフイルターを付けて照射すると、人間の目には見えなくても赤外線フイルターを通して見ると、チャンと視認できるのです。
これを使って夜撃ちを試みた人が居るのですが、虫が大量に寄ってきて撃つどころの話では無かったという事です、また獲物も赤外線を当てると、普通の光を当てたのと同じように瞬時に逃げ出すそうで、赤外線が見えないのはどうやら人間だけみたいです。
自衛隊でも74式戦車などには大型の赤外線照射装置が長い間取り付けられていましたが、赤外線を照射すると、相手が赤外線スコープを持っていれば簡単に視認できる訳で、長年これを使っていた訳ですから、いささかお粗末な軍事知識ですよね。物のついでに申し上げますが、現在自衛隊で今でも製造、そして配備され続けていますが、対空レーダー、対空機関砲エリコンを搭載した陸上自衛隊自慢の対空戦車があります。10億円もするような馬鹿高い装備ですが、エリコンの対空機関砲の射程はせいぜい4キロでしょう、現在の航空機の装備から言っても、戦闘ヘリコプターですら、射程10キロ程度のミサイルを装備しているのが常識ですから、誰が考えても対空戦車の射程内に航空機が到達する前に、対空戦車は全部ミサイルの餌食です! ましてや、対空戦車はジープなどと比べて4倍以上のレーダー反射をしますから、一番最初の攻撃目標にされます。
航空機が地上に攻撃をかける場合、脅威となる目標を最初に攻撃するのは常識以前の常識ですから、一番最初に破砕されると言うのは100%断言できますね、第一、対空戦車の射程にのこのこ入る航空機が有るわけありません。
対空戦車の機関砲の初速はマッハ3以下でしょう、米軍のミサイル"ハーム"なら初速はマッハ4です、機関砲の弾よりもミサイルの方が早いのが昨今の軍事技術です。使い道が無い対空戦車に無駄金を使う位なら暗視スコープを陸上自衛隊員に大量に装備した方が隊員にはよほど励みになると思うのですが石破茂防衛庁長官、如何でしょうかね。

おっと、我々の仮想敵国、北朝鮮には姿勢制御技術が未熟なため何処に飛んでいくか解らないフラフラミサイル、ノドンは在っても、命中精度の良いハームなんて最先端のミサイルは在りませんでしたね、どうしても軍事技術は最先端の西側を見てしまうので大間違いをしてしまいます。アメリカと戦争しない限りこうした心配は無用でしたね。
いずれにしても米支援さえ停止すれば自然崩壊する国家の軍事技術なんて現在は脅威でも何でもないので考える必要は在りませんでした。
北朝鮮と言えば、シークレットヒール野郎の馬鹿息子、金正男氏が頻繁に赤坂の韓国バーに出没していたのを公安当局の方はご存じでしたでしょうか? 当然ご存じですよね!
私ですら知っているありきたりの情報ですからね。(言うまでもありませんが、奴をファーストクラス貸し切りで国賓待遇で田中真紀子の馬鹿が中国にお送り返す前の話ですよ。)
遊ぶ事を知らない私にとっては、こうした水商売の仕来りはよく知らないのですが、バーの同伴と言うのは一般的には8時くらいに入るのが普通らしいですね、その馬鹿は暇なのか、早起きなのか、熱心なのか、スケベなのか解りませんが、馬鹿が同伴で店に入るのは何時も5時です、酒はオヤジに似て強いですよ!。5時に来て看板まで飲みます。当然、ふんだんに金を使います、通常の財布では札が入りきれないのでルイビトンに特注で作らせた財布にはち切れんばかりに万札を入れて連日くるのですから、並の日本人は全て全滅です、間違いなく200万円以上は入っていますね。試したかどうかについてはコメント出来ないのですが、大判の財布ならぎちぎちで200万円は入ります、特注と言うことはこれ以上ですから300万円?それとも、もっとでしょうか?その財布の中身をガンガン使われたら全ての日本人は降参です!
戦争になれば北朝鮮には簡単に勝てそうですが赤坂のバーでは完全に北朝鮮に負けましたね。
しかし、奴がまともに金を稼げる訳もなく、その原資たる軍資金は日本の援助金でしょう!それを考えますと、はらわたが煮えくりかえりますよね。
店内では、なんだらかんだらハムニダ! どうのこうのスムニダ! なんて朝鮮語でお店のホステスを口説いていましたね、で、毎回お店のホステスを自分のホテルに連れ込んでいました。で、奴のお気に入り、そこのナンバーワンの韓国ホステスがある日、忽然と消えました。これも拉致でしょうかね? 
奴が、母国ではなくて世界中を放浪してこの間はフランスで入国拒否されましたね、将軍様の後継者たる馬鹿が、母国に居ないという事は、何時国が崩壊してもおかしくないと、当の将軍様とその馬鹿が感じているからでしょう、奴の盟友だったルーマニアのチャウチェスクの例は絶対に脳裏から消えないのでしょうね、あれほどの独裁者が、権力の座から落ちた瞬間、自国から脱出することも出来ず、夫婦そろって殺されたんですからね。チャウチェスクもそうですが金親子はあまりにも人を殺しすぎました。総軍様が軍を視察に行くとき、視察を受ける部隊の全ての兵隊の銃からは、装弾は勿論、撃針まで取り外しさせています、奴はすでに北朝鮮人民軍ですら信じられないのですから、こんな状態では国の崩壊は近いですよ。こんな国に支援をしてきた政治家は国賊です、ましてや援助の見返りに金を受け取った政治家は売国奴ですね。おっと、あまり余計な事を喋りすぎると朝鮮総連から刺客が飛んで来そうですから、この辺で話を止めます。

本体
本体

さて、これからが本題です。暗視スコープ、英語ではナイトビジョンと言いますが、この製品、現在ではアメリカからの輸出は禁止されていますが、しかし、ごく少ない数ですが何らかの方法で日本に輸入されています、アメリカが輸出禁止しているのは、これが北朝鮮やイラクに流れるのを問題視しているからです、しかしながら戦闘中や、あるいはスパイなどを使って入手する場合を想定してでしょうか、これに使われる電池も極めて特殊な電池を使います。秋葉原で探そうが、何処を探そうが絶対に入手できません。
電池の名称はBA5567/Uと言う電池です。
しかし、そうは言っても通常では入手できないナイトビジョンがこうして存在するのですから、蛇の道は蛇、電池も何とか入手出来ない事もありません。しかしながら実際の戦闘状態でこの電池が切れたら戦場では補給が無い限り入手できないこともあると見えて、現在では単3電池を使用できるバッテリーパックと言うのも後で作られるようになりました。しかし、北朝鮮にバッテリーパックが流れたら同じ事なので、やはりバッテリーパック自体も暗視スコープと同じように極めて入手困難な部品なのです。バッテリーパックで単3電池が使えるなら、最初から単3電池を使えるようにすれば良かったのでは無いかと思ってしまいますが、アメリカ軍もよほど心配なんでしょうね。

軍用バッテリーパック
軍用バッテリーパック
単3電池バッテリーパック
単3電池バッテリーパック
パックを閉じる
パックを閉じる
パックを乗せる
パックを乗せる

この暗視スコープANP/PVS-4は正式の軍用モデルで、10年前は某商社で350万円で売られていた物です、当時は高価すぎて、いくらマニアでも買いようが無かったのですが、現在は中古品だったらその値段は1/10程度まで価格は落ちています、ですから今ここにこうして在るのですけどね。
現在では最先端の暗視スコープは大きさもこれの10分の1程度まで小さくなっていますが、しかしながらこの様なコンパクトな暗視スコープの様にリチクルは内蔵されていません、何故なら暗視スコープはライフル銃の照準装置として使うだけでなく、ヘリコプターや車両のパイロット用、または単なる前線の監視用等、色々多用途の目的のために使われるので最初からリチクルは内蔵していないのです。こうした暗視スコープは通常のライフルスコープの前、あるいは後ろにつけて、ライフルスコープを通して使うように作られています。
暗視スコープは通常の明かりを4万倍まで拡大して見られます、構造を簡単に説明しますと、一種のテレビカメラ装置と考えてください。対物レンズから入光したわずかな光を電気的に増幅して画像として表示しているのです。ですからスコープを覗いた映像は質の悪いビデオカメラを覗いて居るような画像なのです。当然ですがカラーではありません、軍用品ですからカラーにする必要はないのです。
暗視スコープは別名スターライトスコープと呼ばれており、わずかな星明かりで見ることが出来ます、星明かりで見るのですから、東京都内みたいに、何処かしらに明かりのあるところでは逆に明るすぎて使えません。
車の明かりも、街の明かりも、家庭の明かりも一切の光が存在しない、北朝鮮みたいな国で使うには最適なのです、日本で使うなら山の中か何処かでないと何かしらの光がありますから逆に使い道がありません。
しかしながらマニアと言うのは使い道が無くてもほしがる物なのです、子供と同じですね。
暗視スコープは光の無いところで使うように出来ていますので、昼間に使うことは出来ません、用途は夜間射撃です、夜間射撃と言っても東京都内みたいに常時何らかの光源があるところでは、対物レンズから入光する光を制御する必要があります、光の量が大きすぎると暗視スコープの中の撮像管が壊れるか、極端に寿命が短くなります。
最初に作られた頃の暗視スコープは、漆黒の中で兵士を狙っていたときに、兵士がたばこを吸うためにライターに火を付けた瞬間、撮像管が壊れたなんて話もあるくらいです。
その瞬間350万円の暗視スコープは不燃物ゴミになります。

絞り
絞り

これもそうですが、現在の暗視スコープはフューズが内蔵されていますのでさすがにそういうことはありませんが、フューズ事態も入手困難な貴重品です。東京都内みたいに光の量が多いところで使うには対物レンズにはデイライトカバーと言う部品が装着されており、ここから入光するわずかな光量で使うようになっています、デイライトカバーには3個の穴があいておりカバーのレバーを回転させることにより、穴の大きさを選択できます。つまり光の量を調整すると言うことです。

開放時
開放時

人間の目で視認できないような漆黒の闇では、このカバーを取り外して使います。
カバーを取り外した状態が、本当の暗視スコープの姿です。
私はこの状態の暗視スコープが一番格好が良いと思います。
暗視スコープに使われる撮像管は極めてデリケートな製品で、使用時間4000時間で完全に壊れます、また50度以上の中に放置しますとこれこそ保証付きで完全に壊れます、夏の車の中に放置したら完璧にアウトですね。しかし軍用品だからこれで良いのです。
言うまでもありませんが、壊れた場合、修理の方法は全くありません。
それを前提に購入していると言うことです、高いオモチャですね。

接眼部には、ラバーアイシェードと呼ばれる部分があります、これに目の周りと言うか、顔を押しつけると、ラバーの中心が"パカッ"と開き、レンズを見ることが出来ます。
つまりラバーアイシェードに顔を押しつけない限り、接眼レンズは解放されないのです。
これは何のためかと言いますと、漆黒の世界で唯一光を放っているのが暗視スコープの撮像管なのです、もしラバーアイシェードが無い状態で暗視スコープを使うと、撮像管の緑色の光が瞳に当たっているのが見えます。これは戦場の場合、敵からも見えると言うことで、自らの居場所を察知されることになります、極めて危険ですよね。
ですから撮像管の光が外に漏れないように、顔を押しつけないとラバーアイシェードが開かないように出来ているのです。

接眼部
接眼部

この暗視スコープは、正規軍用モデルなので、リチクルも軍用物が使われています。
このリチクルを使うと、目標までの距離を簡単に補足することが出来ます。
参考までにリチクルを使った距離の補足方法を取扱説明書から開示しますので内容を読みとってください。この内容を逐一素人さんに説明するのは好みません、その筋のマニアなら簡単に解りますよね。レチクルの図を見ただけで簡単に解りますよね。

リチクル取り扱い説明書
リチクル取り扱い説明書
スイッチ詳細
スイッチ詳細

リチクル内蔵の暗視スコープは、リチクル自体も明るくなります。
しかし、何時も明るいままで馬鹿みたいに使っていると、撮像管の中でこれが白焼けして、明るさを絞っても撮像管に残ることになります。ですから暗視スコープの使い方はこまめにスイッチを切り、出来るだけ光量を上げないで使うことが賢い使い方なのです。
軍隊では撮像管は消耗品として位置付けしているようで、壊れたら単に取り替えるという考え方です。暗視スコープの撮像管は、いわばノートパソコンのデスプレイみたいな物で、ドット抜けというか、一部に黒点が残る場合がありますが、これは不良品ではなく、避けられない問題なのです、しかし実用上の問題は全くありません、なんせ用途が軍用目的なのですから。画像を楽しんで貰う目的ではないのです、あくまでも照準装置ですから。

照準調整は、上下左右のリチクル調整ノブを使い通常のライフルスコープと同じ照準調整方法です。現在のライフルスコープは、イメージムーブと言って、リチクルの調整をしてもリチクルは常に中心にありますよね、これはライフルスコープは二重の筒の構造になっており、内部の筒の中心にリチクルがあり、照準調整はその筒を動かして調整します、従って"見た目"リチクルは常に中心に見えるのです、30年位前はイメージムーブと言う考え方はなく、ライフルスコープのリチクルは、常にどちらかに寄っていたものです。
当然と言えば当然ですが、この暗視スコープもイメージムーブではありません、ですからリチクルは使用する銃により、真ん中には無く、常にどちらかに変位しています、しかし、イメージムーブでないこの方がリチクルの移動量が大きいのです。
この暗視スコープはマウントシステムを変えることにより、どんな銃にも付けられます。
現在、この暗視スコープに付いているのはウエーバータイプのマウントです、ウエーバータイプならマウントベースを銃に取り付ければ、どんな銃にでも取り付きます。

マウントベース
マウントベース
マウントレバー
マウントレバー

銃床について考える

2000年 7月15日 築地

今回は銃床の寸法に付いて考えます、日本国内では銃床について誤った考え方をする人が少し多すぎるように思えます、私は射手として40年間射撃をやっています、ライフル射撃、トラップ射撃、ベンチレスト射撃、こうしたジャンルを徹底的にやってきました。
私は射手ですが、併せて銃器を製造するサイドにも携わりました、こうした経験の中で体験的に取得したのですがその人に適した最適の銃床の長さとはその人の射撃フォームで判断するのが最適です、そして、判断するのは貴方では無く、私です!

シューターに最適の長さを判断させると間違いなく最適の長さより短い銃床を選択します。これは当たる銃床ではなく、単に使いやすい銃床を選択するからです。
この間違った考えを助長しているのが、肘の内側に銃床を当て、それからグリップを握る、そうするとほとんどの場合引き金に適性に指が届かない、届くのが正しい銃床のサイズと誤解しているのでこのような大間違いをしでかすのである。

使用目的により銃床の長さは違ってくるが、銃床を肘に当ててグリップを握った感じで適性を決められるケースは、ライフル射撃競技の立射の場合だけである、これだけである。これは反動の無い銃を筋肉の緊張をさせないで(少しの緊張は要するが)タイミングを計って撃つ場合には最適な銃床の長さである、しかし膝撃ちや伏撃ちの場合は、完全に銃床は短くなる、そのため3姿勢射撃競技専用銃は必ず銃床の長さが調整出来るように作られている、こんな事はライフル射撃をやっている人間にとっては常識以前の常識なのだ、銃床の長さを短くして使うと使い易いのだが何故だか当たらない、伏せ撃ちの場合には銃床を立ち撃ちの時より1~2センチ伸ばさないと筋肉の緊張が保てないので、銃をうまく保持出来ない。この事はライフル射撃の体験者なら体験的に知っている。
間違っても外人向けの銃は大きく作られている等と言う人は居ない、そんな事を言ったら完全に馬鹿扱いされるに違いない。

ひるがえりショットガンシューターの中にはこうした経験を経ていないので、不必要に銃床を改悪するケースが少なくない、最悪なのは先程述べた肘を基準にして銃床の長さを判断する誤った考え、それに外国の銃は外人用に作られているという先入観がこうした誤りを助長する、お店の店頭で適正な長さの銃床と、切りつめた銃床の銃を交互に構えれば切りつめた銃の方が遙かに使いやすいはずである、しかし実際に撃つと、銃床を切りつめすぎた銃は何故だか当たらなくなる。

その銃が適正な長さかどうかは実際に銃を撃ってみて点数が上がるかどうかで判断すべきではないかと思う、スコアーが上がらなければ何の意味も無いでは無いか、仮に同じスコアーだったとしよう、銃床が短いと試合の時のように緊張した状態ではさらに結果は悪くなる、では何故こうなるかガンスミスの立場で説明してみよう。

銃を撃つ場合には全ての筋肉が緊張状態に無ければならない、筋肉が緊張していないと銃を適性にコントロール出来ないからである、私の経験論からすると射手が最適とする銃床からすると1~2センチ長くした銃床が最適な寸法である、別の言い方をするならば肘の内側にバットプレートを当てて、引き金に指をかけて、1~2センチ長い寸法が最適である、多くの方が大変な勘違いをしている事に外国作られた銃は外人向け、国産の銃は日本人向け、と言う大間違いがある、ミロクのホームページを読むと、ミロクで作られる銃の95%は輸出用なのである、つまりミロクでは5%しか国内向けに販売していないのである、では国内向けの銃は銃床サイズが短いだろうか? そんな事はない、全く同じである、としたら皆さんはミロクを使っている限り全員外人向けの銃を使っていることになるでは無いか! しかしご安心あれ、それでいて日本人に適正な寸法なのである、勿論長い銃床をそのまま使えと言うような暴論を吐くつもりは無い、私自身はFNのDグレードを使っているが、これは銃床を1センチ切りつめて使っている、同じくペラッチのSCOサイドプレートも使っているがこの銃の銃床は切りつめていない、昔メルケルが東ドイツだった頃、少し小さめの銃床で特別注文したらメルケルの会社から"止めなさい"と適切なアドヴァイスが届いた、アドヴァイスの通り作ったらなる程適正な長さであった。勿論ヨーロッパで流通しているスタンダードのサイズでありごく普通の寸法であるが物を知らない人に言わせれば"外人サイズ"の銃であることに間違いはない。

私はウエザビー社でガンスミスとして働いていた、ウエザビーのグリップは数ある世界中のライフル銃の中で一番細いだろう、もしこれを"外人サイズ"と言う人が居たら、日本人サイズのグリップとは割り箸サイズになるでは無いだろうか? はっきり言っておくが銃を設計するときグリップの大きさは使う人の手の大きさで決めている訳では無い!

ウエザビーを例にして言うと、グリップを細く作っているのはデザインの華麗さの為である、実際グリップの太いライフルはカッコ悪い、昔の軍用銃は銃床折れを防ぐためグリップは出来るだけ太めにして作られているが、丈夫ではあるが残念ながら華麗さには欠ける、しかしながら、グリップを細くするとここから折れ易くなる、特にウエザビーの場合マグナムライフルが売りなのであるから反動も強烈で本当は太くしたいのが山々なのだが、ウエザビーの場合はここに芯金を入れてまで、グリップの細いさにこだわった。

昔、設計者のフレッド、ジニー氏に聞いたところ、これがアメリカ人好みの銃床なのだと話してくれた。決して手の大きさで決めたわけでは無い。

話を戻してペラッチのグリップについて話そう、人によってはペラッチのグリップは大きい、あるいは遠いと感じる人が居ると思うが、グリップを細く、引き金を近くにする手に緊張感が無くなる、緊張感が無くなるから引き金の感じを敏感に感じるようにもなる、引き金を鋭敏に感じると良さそうに思えるかも知れないが、引き金に対して常に気持ちが行くことになる、いつも引き金が気になって気になって仕様が無い状態に陥る、こんな状態では絶対に当たらない、本当に射撃が当たるときは何も考えないで無心で撃っているときである。この様にあんまり射手のわがまま通り作ると使いやすいのだが、結局当たらない銃に出来上がってしまうのである。 

引き金について

2000年 1月16日 築地

引き金について書くと、散弾銃の場合は散弾銃の引き金だけ、ライフル銃の引き金の場合はライフル銃の事だけ、書くのが今までのスタイルです。
私は最もデリケートな競技用拳銃の引き金からから銃器の中では最悪とも言える散弾銃銃の引き金まで今まで色々な引き金をチューニングしたり、そして実際に作ったりしてきた人間ですから、このコラムでは今まで誰も書かなかったすべての銃器の引き金について説明してみましょう。

あらゆる銃器の中で最も繊細で最も軽いのは競技用のフリーピストルの引き金です。
固定的を撃つ射撃競技の場合、一番銃口が振れるのはピストル射撃です、そのため激発のチャンスはほんの一瞬しかありません。またピストルの場合、引き金に力を加えると簡単に銃口が振れてしまいます、そのためフリーピストルの場合極限まで引き金のウエイトを軽くしています、その引き金ウエイト、わずか15グラムです。もっと軽くしようと思えばまだ軽くは出来ますが現状ではこの位で使っています。
引き金を15グラム以下に調整すると、ピストルの銃口を上に向けただけで、引き金の自重だけで激発してしまいます。いくら軽くできても15グラム辺りが限界でしょう。
この15グラムの引き金でもしばらく使うと重く感じてくるから人間と言うのはまことに不思議です、こんな引き金を使っていても、もう少し軽いととか、もう少し切れ味がいいと、とか色々考えてしまいうのが人間のエゴと言う物でしょうか。
実は、引き金を軽くするというのはそれほど難しい技術ではありません、一番シンプルな散弾銃の引き金の場合、ハンマーを止めているストッパーを直接引き金力で外して激発します。引き金としてはこの方法が一番お粗末というか、一番シンプルなシステムです。
ハンマーの重さを直接引き金自体で受ける場合、必然的に重さも、ストロークも長くなりますが、シェアーを一つ介在させると、それだけでかなり軽い引き金にする事が出来ます。
原理を図面ではなく、文章で説明するとかなりの難しさを感じますが、引き金の間にもう一つ引き金を組み入れるような物です、フルーピストルの場合、そのシェアーが5段階に出来ているのです。
つまり15グラムの引き金を引くと、最初のシェアーがはずれて、それが外れると次のシェアーが外れ、その次、その次、その次と段階的に外れ、最後にハンマー自体が外れて激発します。メカ的には、カチャ、カチャ、カチャ、カチャ、カチャ、ドッカ~ンと言う具合になります。勿論ロックタイムは長くなりますが、5/1000程度長くなるくらいの物でしょう。
ロックタイムの事にも少し触れておきます。
ロックタイムと言うのは引き金を引いてから激震がプライマーを叩くまでの時間です。
昔、計測器を作り色々ロックタイムを計測したことがありますが、ロックタイムを短くするためにハンマースプリングを強くすると、ロックタイムがかえって不安定に成ることが解りました。
そのほか、現在国体種目として使われているビームライフルの試作をしたときに、ビームライフルは電気的に信号を送れますので、ロックタイムはいくらでも簡単に調整できるんどえすが実験の結果、ロックタイムを0にするとかえって成績が悪くなることも解りました、射手は無意識でロックタイムを計算し、将来的に銃口が狙点に行くであろう事を予測してその事前に引き金を引いているのです。この事からしてロックタイムを短くすることはあまり意味が無く、それよりも安定したロックタイムで激発できる銃の方が遙かにすぐれているのです。
また散弾銃の引き金の話に戻りますが、散弾銃の引き金でもこうしたフリーピストルの引き金メカを導入すれば簡単に切れ味の良い、軽い引き金を作ることが出来ます、何も5段階のシェアーを組み込まなくても、1段階の物を組み込んでも相当軽くできます、しかしあまり意味はありません、射撃を3~5年くらいやると、えてして引き金をいじくる人が多くなります、こういう人は引き金を直せばもっと当たると勘違いしているのです。
引き金の引き味は良くなりますが、成績には何の関係もありません。
もし引き金を直すだけで成績が良くなるなら、散弾銃のメーカーがとっくの昔に、この引き金メカを採用しているはずです。
それをやらないのは、散弾銃の場合やってもあまり意味がないからなのです。
その理由は後で説明します。

フリーピストルのカチャ、カチャ、カチャ、カチャ、カチャ、ドッカ~ンと言うメカに変わり、最近では電磁石を利用したエレクトリックトリッガーが最近ではフリーピストルに使われています。
これだとメカ的な物と比べるとロックタイムが早くなりますし、それに作るのもより簡単に出来ます。昔、ライフル銃でもエレクトリックトリッガーが売り出され、私もいち早く試した事がありますが軽すぎて使い物に成りませんでした。
何故使い物に成らなかったのか、エレクトリックトリッガーについて説明します。
ピストルと違い、ライフル銃のグリップはある程度の力で保持しています。
肘の高さが上がっているとグリップには力が入っています、肘が下げるとグリップの力を少し弱める事が出来ます、これはライフルだけでなく散弾銃でも同じ事が言えます。
しかしエレクトリックトリッガーを使うと、あまりにも引き金が軽いため、グリップをしっかりと保持することが出来なくなります。そして色々試行錯誤した結果結局軽すぎて使えないと言うことがはっきりしました。
散弾銃の引き金が、何故そんなに軽くできていないのか、その意味もここにあります。
散弾銃の場合、ライフル銃よりもグリップはしっかりと握ります、そうしないと銃を振り回す事はとても出来ません。
引き金を軽くすると、グリップがしっかり握れなくなるのです。そのためにあまり軽くしないのです、ですから、高い散弾銃を持っている人が、この銃は特注だから引き金が軽いとか言っているのをみると思わず苦笑してしまいます、勿論メーカーはセールストークで、高い銃を売るのですからそれくらいのデタラメは平気で言うと思います。
特にイタリア人は平気でそうしたことを言いますので、木訥な日本人は簡単にコロリと騙されてしまいます。
今でも人によってはコイルスプリングは切れ味が悪く、松葉バネは切れ味が良いとか、そういう事を平気で言う人が相当いますが、切れ味はハンマーとシェアーの相互関係で決まります。ばねの形状ではありません。
あくまでも引き金の重さはハンマースプリングとトリッガースプリングの相互関係できまります。ただそれだけの話です。

ペラッチの場合、値段の安いMX5はコイルスプリングを使っています、値段の高いMX8は松葉バネを使っています、しかしそれよりももっと高いブローニングの最高グレード、Dモデルはコイルスプリングを使っています。
スプリングとしては松葉バネは強く、コイルスプリングは折れにくいのを特徴とします。
数ある散弾銃の中で一番強いハンマースプリングの銃はメルケルです、何故メルケルのスプリングが一番強いのかと言うと、メルケルはかって共産圏であった東ドイツで作られていたからです。
え??と言われると思いますのでその説明をしてみましょう。共産圏の火薬製造技術は劣悪です、火薬の燃焼特性は悪いし、雷管は不発だらけです。
特に先進国で作られた銃に共産圏で作られた装弾を使うと酷い事になります。
撃つ弾の1%~10%は不発です、しかしそれらの腐れ弾を確実に撃つには並はずれた強力なハンマースプリングが必要なのです。
そのため東ドイツで作られていたメルケルのハンマースプリングは異常に強いのです。
私の持っていたメルケルではいかなる腐れ弾でも100%確実に激発出来ました。
その代わりスプリング折れはかなり頻繁に発生します。メルケルを使うときはいつも予備のスプリングが欠かせませんでした。
共産圏は論外ですが、西側でお粗末な弾を最後まで作って居たのはイタリアです。
私のFNでイタリアの弾を撃つと、共産圏の弾と同じ程度の割合で不発が出ました。
そのイタリア製のペラッチですからイタリアの弾を不発なしで使うにはペラッチは松葉バネを使わざるを得なかった、というのは私の考えすぎでしょうか?
しかし、最近ではイタリアの装弾も劇的に改善されました、それはアメリカ、日本などの資本や技術が導入され、火薬やプライマーが相当改善されたからです。
つい数年前までイタリアの火薬は威力の弱いシングルベースの火薬しか作れなかったのですが、最近はダブルベース火薬を使っている装弾が多くなりました。
最近発売されたレミントンの弾は、なんとイタリア製ではありませんか、しかも使うと火薬は十分なパワーがあり、間違いなくダブルベースの火薬が使われています、プライマーもその硝煙の臭いで、アメリカの火薬と同じ成分です。
イタリアの技術もここまで出来るように成ったのです、メーカーブランドを注意してみると何とデオニスと同じメーカーが作っています。デオニスには日本の技術も入って居るはずですのでこうした改善された弾が作られるようになったのです。
勿論雷管も劇的に改善され、私のFN-Dで使っても最近のイタリア弾は不発は1発も出なくなりました。(これはレミントンブランドの弾をデオニスしかテストしていませんが)
それに併せてペラッチもコイルスプリング対応のMX8まで作られるようになりました。
MX-8Bはコイルスプリングを使ったMX8です。

もう一つコイルスプリングの利点は、折れにくいと同時に、折れても一時的な使用に耐えると言うことです。松葉はその構造上折れればその瞬間から弾性は無くなりますが、コイルスプリングの場合、もし途中で折れても、弾性は弱くなりますが、スプリングの弾性が全く無くなるわけではありません、折れたとしても、要は短いコイルスプリングが2本入っているのと同じ事なのです。
兵隊の命のかかっている軍用銃の場合、ライフルでも、拳銃でも、松葉バネを使用した銃は絶対に存在しません、機関銃でも、戦車でも、戦艦でも、潜水艦でも、戦闘機でも松葉バネはどこの部品にも使いません、それはなぜだか、すでにお解りですね?

さてまた引き金の話に戻ります、今度はライフル銃の引き金です。
ライフル銃独自の引き金としてセットトリッガーがあります、引き金を引く前にセットトリッガーを引いてセットすると、引き金が軽く引けるシステムです。
これは最新の技術だと思ったら大間違いです、このシステムは銃が発明されるズーット前から存在したのです。
それはクロスボーに使われていたのです、あのクロスボーの弦はとても人の力では引けません、そのため梃子を使い弓をかけるのです、手でかけられる物はオモチャのクロスボーです。それほど強力な弦ですから当然引き金にも相当な力がかかっています。
通常に使ったのでは、ものすごく強い引き金になってしまいます、それでその引き金を叩くもう一つの引き金を組み込んだのがセットトリッガーなのです。
ですからセットトリッガーはムチャクチャ昔からあったのです。
セットトリッガーがヨーロッパでしか使われないのはそうした歴史的な背景があるからなのです、西部劇で使って居るのはみたこと無いでしょう!
で、使い勝手ですが、結論から言うとピストルグリップの銃には必要ありません。
その理由はグリップがしっかり握れないことと、もし軽い引き金を使いたい場合は市販されている、ジュエルやシーレンのマッチトリッガーの方がはるかに優れているからです。

シングルステージ、ダブルステージの事について説明してみましょう。
ライフル銃の場合、軍用銃は100%ダブルステージの引き金を採用しています。
ダブルステージとは引き金を引くと、最初に一定のストロークがあり、ある所から急に重たくなる所があります、そこからは少しでも引くと激発されます。
これは日本の軍隊でも予告式と言って射手に激発する瞬間を理解させるために作られた引き金で射撃専用銃も100%このシステムです。この引き金ならあらかじめある程度の重さを引き金にかけておくことができます、そして引く瞬間に指にわずかの圧力をかければガク引きをすることなく激発出来るからです。
散弾銃ではこうした構造はしておりません、なぜなら、ここと言うときに思い切りよく引き金を引かないと当たらないからです。

話は変わりますが、私は現在でも神奈川県のライフル銃の教習射撃指導員をしております、(実際の指導は10年前に引退していますが資格は保持しています)私はライフル銃の所持に教習射撃が義務つけられた昭和54年に最初に指定され、関東地方では私が最初に教習射撃を実施しました、そのときは誰もやって居なかったので私が講義内容、教習指導方法を作り最初に実施しました、関東で最初だと言う理由は、私が神奈川で実施した教習射撃を警視庁と千葉県警の警察本部から見学に来たので解ります、事実これが最初だと言っていました。
なぜこの教習射撃の事を話すかと言いますと、そのあと10年近く神奈川県で教習射撃を実施していく中で、散弾銃の10年経験でライフルの教習射撃を受験する人は、まず100%の人がガク引きをするため、これはライフルの世界では絶対にしてはいけないと口を酸っぱくして、徹底的に吹き込まなければ成らなかったからです。
ライフル銃の場合、ガク引きしたら絶対に当たりません。
散弾銃の場合、思い切りよく引き金を引かないと絶対に当たりません。

引き金の引き方、それどれの銃で全く違いますのでよくご理解ください。 

換銃身について

2000年 1月11日 築地


レミントンの換銃身

散弾銃用の換銃身の場合、多くの場合メーカーで生産される純正部品を取り付けるので特別注意を払うことはないがレミントンの換銃身の場合、LCとSPと書かれたモデルがあるのでそれぞれの銃身について説明をしておきます。

LCと書かれた換銃身、そのLCの意味はライトカウンターと言う意味です、日本語で言うと軽量銃身、つまり銃身の肉厚が少し薄く作られているモデルなのです。
スタンダードの銃身を使っている銃にLC銃身を取り付けるのには問題はありません、しかしこれの逆は出来ません。しかしながらスラッグ用の換銃身の場合、すべてスタンダード銃身しか存在しないので、これをLCタイプの銃に取り付けると、先台の銃身が接触する部分で当たり先台を奥までセッテングすることが出来ません、その場合、先台で銃身と接触する部分をほんのわずかサンドペーパーで削り落とす事が必要です。
銃身と同じ太さの丸棒に(銃身を使うことも可能です)サンドペーパーを巻いて、それで先台と銃身が接触する先台の先端部分を0.5ミリ程度研磨すれば先台が入るようになります。昔はスタンダードばかりで、なぜ現在はLCバレルが作られるようになったかと言いますと、銃身素材の改良が進んで銃身の肉厚を0.5ミリ削減しても同じ耐圧が得られるようになったからなのです。
しかしながらスラッグ銃身の場合、対応する銃身の安全係数の圧力が高すぎるのでLCカウンターの銃身は作れないのです。常識的な事ですが、スラッグ弾はインプシリンダーの交換チョークを取り付けて使うように出来ているのですが、間違ってユーザーがフルチョークを使っても銃身の耐圧が大丈夫なように作られているからです。
フルチョークを使った場合、弾頭にかかる抵抗が異常に強くなり圧力もあがりますが、その状態でも安全なように作られているのです。
SPの銃身は銃身がサンドフラスト仕上げで全体的につや消し仕上げに出来ているので表面が綺麗に研磨されているプレミアーのモデルの銃につけると違和感があります、しかし寸法的な問題はありません。

ライフル銃の換銃身

シーレン、ハート、リルジヤ、クルーガー等の換銃身のメーカーはライフル用の換銃身の素材を作っているメーカーです。元々銃のメーカーでは最初から銃身のついた完成銃を作っているのでライフル用の銃身だけを作ってはたしてビジネスになるのかと考えがちですが、メーカーで作られる銃身よりもさらに高精度な銃身を作ることによりこれらのカスタム銃身メーカーはビジネスとして成功しています。
では何故その相違があるのか説明してみます。
レミントン、サコー、ウインチェスター、等々、メーカーで作られる銃身はすべて冷間鍛造と呼ばれる方法で作られています。
これはガンドリルで穴あけした銃身部材に、コアーと呼ばれる超硬で出来た芯金を入れて、これを周りから押し付けてライフリングを付けるのです。
芯金には最初からライフリングがつけられています。
銃身の部材の直径は40ミリあるのですが、コールドハンマーと呼ばれるこの機械に通すと細く絞られ直径は30ミリになって出てきます、当然銃身にはものすごい圧力がかかっています。機械から出てきたときは触ると大やけどをするくらい強烈な加工熱を発しています。加工時には強烈な音もしますのでイアープロテクターなしでは加工現場に居ることはできません。ライフリングの部分は加工硬化と言って表面の0.5ミリくらいは硬度も硬くなります。こうして加工するので銃身部材全体に歪みが生じています。
機械から出てきたこの段階ではストレートの30ミリの丸棒なのでこれからならい旋盤にかけて銃身の形状に加工して銃身として完成します。
コールドハンマーでの最大の製造利点は量産が容易だと言うことです、当然コストも安くなりそのため大量に銃を製造するには欠かせない設備です。
しかしながらこの製造方法で作られた銃身は、実際に使用するときにはあまりにも細すぎる銃身の場合連発して銃身の温度が上がってくると、ほんのわずかですが、銃身が曲がってきて狙点がずれてくることがあります。これがコールドハンマー製造方法の欠点です。

カスタムバレルメーカーで作られる銃身の場合、これらの欠点が改善されています。
カスタム銃身の製造方法ではコールドハンマーは使いません。
ガンドリルであけた銃身部材の中にボタンと呼ばれるこれまた超硬で作られた芯金に油圧をかけて押し出します。その時にライフリングが作られるのです。
この製造方法の場合、銃身部材にはそれ程のストレスはかかりません。
しかしそれでも少しのストレスは存在していますので、調質と言うやり方で銃身のストレスを抜きます、この方法は加工の済んだ銃身を800~600度の釜にいれて少しずつ温度を下げながら24時間くらいかけて常温まで戻します、そうすると銃身部材のストレスは全部抜けてしまいます、メーカーで手間がかかりすぎるのでやりません。
そうして出来た銃身の内径を整えるため銃腔の内径と同じになるように棒の先端に鉛を長さ2センチくらい流し込み、それに研磨材をつけて気の遠くなるようなラッピング作業をします。そうして内径の仕上がりが整った銃身がカスタム銃身と呼ばれる物です、命中精度は抜群の命中精度を示します。

100メートル離れて5発の弾を撃ったとして全弾小指の爪の中に入るでしょう。
300メートル離れて5発の弾を撃ったとして全弾10円硬貨の中に入るでしょう。

この驚異的な命中精度の詳細についてはリンクを張ってあるベンチレスト射撃協会のページをご覧頂くと容易にご理解いただけると思います。
いろいろな換銃身メーカーがある中で銃身の薬室とねじ切り外形の仕上げまでの完成銃身としての加工をしてくれるところはシーレン社だけですので当社ではシーレン社の換銃身だけを取り扱っています。完成銃身の値段は¥79000です。
世界最高品質の銃身がわずか¥79000ですから安い値段だと思います。
国内でいろいろ高い銃身が存在しているようですが、これらの銃身以上に高性能の銃身はありません、従いまして¥79000以上の銃身は全く無駄な出費です。
ただし、銃身交換をご自分でやられる場合はかまいませんが銃身交換を当社に依頼される場合は銃身交換費用¥20000が別途かかります。
シーレン社で完成銃身の製造をしているのは、レミントン、サコー、ウインチェスター、ウエザビーだけです、それ以外の銃は個々の銃身ねじに合わせるため国内で加工します。
ねじ加工の部分がさらに¥10000加算されます。

銃身のカウンター(外形寸法)、口径、カートリッジ、ライフリングツイストなどは自由に選択できます。
換銃身ですから現在所持している銃と異なる口径の銃身の製造も可能ですが、ボルトヘッドが異なる、スタンダードカートリッジとマグナムカートリッジの併用は出来ませんのでご注意ください。
また弾倉から装弾が上がってきて薬室に送られる、いわゆるフィーデングの問題があるためあまりにも形状が違いすぎると問題が生じます。
たとえば30-06のネックダウンである270ウインチェスターの場合は問題ありません、308のネックダウンである243も問題はありません、300マグナムから7ミリマグナムの変更も問題ありません。
それ以外のカートリッジ間の相性については電話でお問い合わせください。 

銃身素材に付いて

2000年 1月 4日 築地

私の所では1丁数百万もする散弾銃から1丁数万円の散弾銃まで色々販売していますので、高い散弾銃は易い散弾銃と比べて銃の材質が違うのでしょうとよく聞かれます。 またカスタムライフル メーカーは特殊な鋼材を使っていると説明していますので多くの方が高い銃=材料が高いと勘違いして居られますので今回は材料と銃器について説明してみましょう。

ライフル銃でも、散弾銃でも、材料として使われるのはクロームモリブデン鋼です、これが唯一の銃器の材料です。数百万の銃でも、数万円の銃でも全く同じクロームモリブデン鋼です、部材の原価、つまり鋼材の値段で言うと銃身1本の鋼材原価はせいぜい2000円程度でしょう。銃1丁分の鋼材原価は5000位の物です。安い銃も高い銃も全く違いはありません。超高級銃はこれ以外の付加価値でその値段が決まります。

散弾銃の場合、ペラッチとブローニングの場合を例にとって説明します。

まずペラッチの場合です。最大の値段の違いは、彫刻の違い、そして銃床素材の違いがあります。彫刻の違いは職人の手間代ですから値段に違いがあるのは当然です。
何も彫刻がされていないのがMX8ですがSC3は彫刻があります、この上がSCOそしてSCOのサイドプレートモデルと続きます、最高級はエキストラモデルです。
基本設計はいずれのモデルも同じですが、スタンダードモデルのMX8の場合、たとえば銃を折ったとき一番折った時にハンマーがコッキングされるのではなく、その少し手前でハンマーがロックされます、つまり銃を目一杯まで折った時に力を抜くと、ほんのわずか折れが戻ります、この位置ですと初矢の弾を入れる弾のリムが機関部の上端に当たるときがあります。しかしSCO以上のグレードになると、銃を一番折った時にハンマーがコッキングされるように微調整がされています、この調整は極めてやっかいな作業ですし、後々部品がすり減るとハンマーがかからなくなります、そのためSCOの部品には硬質クロームメッキが施してあります。こうした調整がされているのも値段の高い理由です。

ブローニングの場合、グレードはA、B、C、D、とあります。
一番安いのがAグレード、一番高いのがDグレードです、A、B、C、のモデルとも最初の内はロッキングするときも硬く、いかにも新銃と言う感じですがDグレードになると中古銃の様に簡単に折り曲げる事が出来ます、これは決して使い込んだ訳ではなく徹底的に当たりと摺り合わせをやってあるため最初から作動部分が軽いのです、これだけ摺り合わせをやってあると、使い込んでも削れる所はあまりありません。勿論彫刻も最高級の物がされていますが。

ライフル銃で一番高い銃は水平のダブルライフルです、これが高いのは強力な圧力を水平二連の構造で持たす為のロッキング機構と、100メートル先で2本の銃身が3センチ以内に集弾するように調整するのが極めて煩雑だからです。
2本の銃身は鑞付けで付けられていますが、鑞付けしたときには平行だった銃身も、銃身が冷えると微妙に反ってしまうからその調整が極めて大変な作業なのです、このように銃が高いのにはそれどれちゃんとした理由があります、おおよそ材料が高いから銃の値段が高いと言うのはどう考えても理屈に合いません。

銃の素材として一番優れているのがクロームモリブデン鋼なのです。銃を作る上で一番大切な特性は、加工性と引っ張り強さです、銃が異常高圧になったとき、堅すぎて割れるような材料は危険すぎて使えません、ですから一番折れにくい、曲がりにくい材料を使うのです。ライフル銃を例に取ってお話ししますと、銃身、機関部、ボルトとある中で同じクロームモリブデンで作りながら、熱処理の過程で一番柔らかく作るのが銃身です、その次が機関部、ボルトは一番堅く熱処理します。これは異常高圧が発生したとき銃身が膨らんで危害を防ぐ為なのです。
ボルトのロッキングが折れると大惨事になることは皆さんも容易に想像がつくはずです。ですからいたずらに堅い材料を選択するのは大変な大間違いと言うことになります、勿論熱処理を間違って堅くしすぎることも大惨事になります。
ですから、私から言わすと、この銃は焼きが違うとか、材料が違うと言う理論は大間違いの理論と言うことになります。決してそのような話をありがたがってはいけません。
クロームモリブデン鋼は車のシャフトや、クレーンのフック、スパナ等の材料として使われています、クロームモリブデンより少し粘りも強さも強い材料としてクロームバナジュームがあります、40年くらい前に作られていたブローニングのハイパワーライフルの銃身はクロームバナジュームで作られていました。今まで作られた銃身の中では最強の銃身でしょう。しかし最強である分、加工性が悪いのです
私も一時期この銃を使った事がありますが、命中精度は決してよくありませんでした、はっきり言うと劣悪でした、ですから材料が堅いと言うことは銃として決して完成度が高いことでは有りません。
ベンチレスト射撃の世界では銃身はステンレスと言うのが常識ですが、これとて303や18-8ステンレスのような、流し台に使うような強靱なステンレスは絶対使いません、わざわざ隣や硫黄などの不純物を混入して堅さも粘りもクロームモリブデンと同じ物を使っているのです、その理由は加工性を良くして精密な加工をするためです、銃身にステンレスを使う唯一のメリットは、錆びないこと、ただそれだけです。ヨーロッパで作られるダブルライフルの多くは、その材料としてBuler(ボーラー)スチール使用と刻印されている事もあります、そんためこの材料は何か特殊な鋼材と勘違いしている人も居ますが、これもオーストリアのボーラー社で作られているクロームモリブデン鋼です。ボーラー鋼も昔は不純物の無い優れた鋼材でしたが現在の製鉄技術では国産でも遜色の無い鋼材が作られるようになったためボーラー鋼を使う意味は無くなりました。同じようにドイツではクルップスチール等、イギリスではビッカーススチールの名称もありますがこれもクロームモリブデン鋼です。 

銃床素材に付いて

2000年 1月 4日 築地

銃床に使われる材料はクルミ材です、クルミ材は多くの木材の中でもっとも粘りがあり、木質も緻密でなおかつ非常にきれいな木目をしています、日本にもクルミ材はありますが木の色は白く木目も綺麗ではありませんので使われるクルミ材料は100%輸入された物です。
クルミ材は大きく分けるとイングリッシュウオルナットとアメリカンウオルナットに大別する事が出来ます。
イングリッシュウオルナットと呼ばれる種類は木質が緻密で木目は繊細ですが育ちが遅い木材です、アメリカンウオルナットは木質が荒く木目も緻密ではありませんが育ちが早いのを特質とします、日本ではイングリッシュウオルナットの事をフランスクルミと言う名称で呼んでいますが、勿論フランスで産出されるわけではありません、だからと言ってイギリスで産出される訳でもありません、たぶん昔から最高級の散弾銃を作成してきたイングリッシュガンからその名称が由来してきた物だと思います。

これらイングリッシュウオルナットの最大の産地はトルコです。
恐らく何百年も昔はヨーロッパ中にこれらの材料はあったと思いますが先進国ほどその伐採が進んで最初に材料が枯渇したのだと思います、従って現在残っているのはトルコだけと言うことになります、クルミ材料は寒い地方で産出された物でないと育ちが良すぎて道管が荒くなります、熱帯地方の木代であるラワンなどと比較されるとおわかりいただけるでしょうか。
最良の銃床材となると樹齢は100年を越さないと良い銃床材料はとれません、最低ランクの銃床材なら30年程度で使えますが、最良の銃床材料となると樹齢は1000年を越します、1000年を越すような材料になると木材自体の重量が非常に大きくなるため、木の下端の部分には相当な何トンと言う相当な重圧がかかっています、そのため緻密な木質はさらに圧縮され木目はさらに繊細になります、若木の内は木の目は真っ直ぐに成長しますが、木の重量が増大するとその重さのために根本の部分は波状にうねるうねりながら上に伸びることになります。そのため銃床材料として切り出したときに、その表面が虎目として浮き上がることになります。虎目の銃床材は100年程度の樹齢の木で認められますが木質が特に緻密で木目が入り組んでいる物は数百年、あるいは1000年以上の樹齢がある材料から作られています、イングリッシュウオルナットの場合、薄い黄色い地肌に黒のグレインの入った物がありますが、こうした材料は数百万する銃の材料に使われます。
こうした最高級の銃床材料を使っているのは、ブローニングのDグレードの散弾銃、またはベレッタのSO6の最高級モデルだけです。こうした材料が最高級で虎目はありません、虎目があるのはこれらの銃よりワンランク下の銃に使われています、日本では虎目のある銃床は最高級との見方がありますが、決して最高級ではありません。
最高級の木目として根っこの部分だけにみられるバードアイと言われる部分の材料があります、ここの部分はほぼ根の部分で成形されており、木質はパイプの材料として使われるホワイトヒースと同じように小さな渦の集合でできています、その渦の一つ一つが鳥の目の様に見えるのでバードアイと呼ばれています、カエデなどの木でもバードアイはありますが、これはあまり高い材料ではありません。
ウオルナットのバードアイの方がはるかに高級品です。
オールトリアのフェラッハで作られるダブルライフルの材料は伝統的にバードアイの材料だけが使われています。残念ながら日本ではこれらの材料を使った銃を使っている人は今まで見たことはありません。

現在一般的な銃に使用される銃床材料の大半はアメリカンウオルナットです。
現在は作られる銃にはウオルナット以外の材料は全く使用されていません、昔の日本軍の38式にはクルミ材ではなく桜が使われました、ソ連の銃には白樺、フィンランドの銃にはカバの木が使われ、ドイツの98kはクルミの合板が使われました、美的な一面を無視するならこれらの材料も使えますが、クルミの持つ独特な色合いは、残念ながらいずれの材料では再現することは出来ません。
参考までに言いますと日本の火縄銃に使われているのは樫材です、関東の火縄には白樫、関西の国友、堺などの火縄には赤樫が使われています、樫も強いのですが以外と割れに弱い材料です。
話を戻しますが、銃床の色は塗装で色付けされている物だと思っている人もいますが、あの色はクルミ独特の色なのです決して染料を使っている訳ではありません。
きわめて安物の銃の場合、銃床に染料を塗って色をごまかしているメーカーもありますがこれらの銃床の場合、銃床を削ると色が変わります。
量産される銃に使われるアメリカンウオルナットの材料はあまり木目の入り組んだ材料は使われません、最大の理由は値段が高いことですが量産する場合は不都合が多いのです。
銃床はコピーマシンと呼ばれる機械で外形が作られます、アルミで出来た型を通りに回転している刃物が材料を削り上げていきます。この際木目が入り組んでいると逆目を削る事になるので銃床が割れることがあるのです、ですから木目は出来るだけ素直な物が量産向きなのです。
銃床は出来上がると塗装されます、使われる塗装はほとんどがウレタン塗装です。
塗装の場合、最初にレタンシーラーが塗られ、レタンサンジングシラーが重ねられ、最後にクリアーで仕上げられます。塗装の種類を変えるのは木材との定着性をよくするためです。
中にはつや消し仕上げで塗装される銃床もありますが多くの方がこれはオイル仕上げだと誤解される方が多いのですが、オイル仕上げまがいの銃床はレタンシーラーをしみこませてあり、いわば塗装を2~3ミリ奥の方まで浸透させて奥で硬化させてあるので表面にいくらオイルを塗っても何の効果もありません。
本当のオイル仕上げの銃床は表面にオイルを塗っておくと染みこみますので判断できます。
オイル仕上げの方法はひたすら時間との勝負です、使用するオイルはボイル油といって画材やさん等で売っていますので買い求めてください。ボイル油は黄色い沈殿物がある物が最良です、この沈殿物は松ヤニでして銃床のつや出しに効果があります。
オイル仕上げは単に油を塗るだけではだめです、蒲鉾板に1500番~2000番の耐水ペーパーを巻いて油をつけながら銃床を研ぎ上げるのです。
そうすると塗装仕上げでは得られない非常に美しい表面を作り上げることが出来ます、耐水ペーパーで研ぎ上げる理由は、研ぎ上げる行程で出る微細な木のパウダーを木の道管に塗り込むことが目的です、そうすると表面が非常に綺麗になります。
お試しください。

銃床の寸法について
よく質問される事なのですが、その銃床は日本人向けに作られたのですか? と聞かれる事があります、この質問が一番回答に窮するのですが、これは一部の業者が "当社で輸入する銃は日本人向けに特別に作ってある" というコマーシャルトークを流しているのが原因だと思うのですが、残念ながらどこのメーカーも日本人向けと言う銃は作っておりません。勿論輸入元は独自のスペックの銃床を特注で作らす事は可能です、しかし、日本人の寸法と言っても一体身長がいくつ、体重がいくつ、年齢がいくつの人を対象にしているのか、肝心な輸入元からその基準サイズは未だに公表されたことはありません、もしそういう基本サイズが存在するならば、逆にそれ以外のサイズの日本人は全部サイズが会わないと言うことになってしまいます。
ペラッチでも基本サイズは4種類あり、1種類の銃床を以して、これが日本人向けに作られた特別の銃床と言うのはあまりにも現状を無視した話です、同じ日本人でもいろいろなサイズがあると言うのが本当だと思いますがみなさんはいかがお考えでしょうか?
銃床サイズについてもう少し話を続けますが、日本のミロク製作所はブローニングの散弾銃を生産しており、ミロク製作所で制作する90%の散弾銃はブローニングのブランドで海外に輸出されております。
同じくSKBもウエザビーブランドの散弾銃を制作しており、これまた90%以上を海外に輸出しております。
そして両社とも10%以下の銃を国内で販売しております、両社の技術担当の人に一度聞いてもらうと簡単にわかると思いますが、"国内で販売される銃は日本人サイズになっているのでしょうかと?" 答えは同じ物を販売しておりますと言われるはずです。
しかしながらペラッチは日本人向けに作られていると、何のためらいも無く話している射手、銃砲店の人がミロクの銃は外国向けと同じサイズだと言うことには全く気づきません。しかしこれは当たりまえなのです。
それは元々日本人サイズの銃と言う物が存在しないからなのです。
銃床のサイズは国によって決まるのではなく、それぞれの体型によって異なるという基本的な事が解らないからなのでしょう。

銃床の寸法の決め方ですが、一番確実なのは実際に銃を構えてもらって目視で判断するのが最良ですが、お客さんが自分自身で最良の寸法を判断するのはかなり難しいと思います。
特にビギナーの場合は判断に迷うところです、ではベテランに聞けばどうかと言いますと結構いい加減なベテランが多いのでこれまた下手にアドヴァイスをもらえないと思います。
一般的に言われていることに手の長さとプルの寸法をあわせると言う事がありますが、実際にはこの寸法から1~2センチ長い寸法が良いのではないかと思います。
それと絶対やってはいけない事ですが、銃砲店で的を撃たずに構えだけで "使いやすい" 寸法にしないことです、これだけはよく覚えてください、使いやすい銃がよく当たる銃ではありません、むしろ少し長めでちょっと長いなと感じる程度の銃が一番よく当たるはずです、使いやすい銃は銃身が走りやすい、流れやすい銃になり決して当たり易い銃になるわけではありません、ライフル銃の場合は使いやすい銃は引き金を引く瞬間に銃口が動いてしまう可能性が高いのです。
銃砲店で銃床の長さを合わせて"これならイケル"と喜んで射撃場に行って思いの外当たらないと言うのはほとんどそれが原因です。
勿論短すぎる銃床はかなり悲惨な結果を生むはずです。 

実は私は20年前、アメリカでガンスミスをしているとき、多くの特別注文の銃床を作る仕事もしていたので、普通の人よりはいくらか銃床には詳しいと思います。 

弾道学のお話

2004年 10月18日 築地

我々男達は毎日何気なく、そして何度も何度もやっている小便ですが、是非とも小便をするときには飛翔状況を子細に観察してみてください。
放尿した物が微妙にスパイラルを描いて飛翔しているのをご確認頂けると思います。
これは尿道にライフルが存在するからなのです。
水道ホースみたいに漠然と放出されている訳ではありません。
私自身、若い頃から何となく解っていたのですが、それが私自身の特異体質の問題なのだろうかと思い誰にも聞けなかったからです、幾ら男同士でも、他人の道具もそういう物か、流石にそこまでは確認するわけにはいかなかったからです。
この事を専門のお医者さんに聞いたところ、「それはライフル銃と同じように尿道に螺旋が有るから」だと説明を受けましたが。
その理由も同じようにお聞きしたら、放尿を周りに飛散させないためと説明を受けました。
この様に男性は生まれながらにしてライフル使いだったのです。
ではそのライフリングと称するメカがどうなっているか、せめて自らの所持品で調べようとしたのですが背骨を折りそうなので残念ながら調査は断念しました。
調査を続行していたら、背骨を折り、脊髄損傷で下半身麻痺に成っていたに違い有りません。読者の皆さん方は小便する場合でも、ただ漫然と放尿されていると思いますが、こういう事ではいけません。私は常に物事を探求していますので、この様に単なる放尿でも常に絶えまぬ探求をしているのです。たかが放尿、されど放尿なのです。
こうした普段は見逃すような些細な現象でも、絶えまぬ探求心と、豊富な好奇心のおかげで、今まで多くのコラムを書き上げてきたのです。
こういう私の行動を評して、「偉い!」と言う方もごく一部で居られるかもかも知れませんが、ひょっとすると、ほとんどの方はかなり呆れておられるかもしれません。
こういうくだらない話から切り出すのが落語で言うところの「まくら」と言うことになります、何故まくらに小便の話を持って来たかと言うと、弾道の話を展開するのには、毎日何度も何度も体感している小便の話からするのが、一番適切だと判断したからです。
何しろ弾道も、小便も同じように放物線を描いて飛翔する物だからです。
しかし、この比喩が適切かどうかについては後世の読者の判断にお任せしたいと思います。

さて、出来るだけ遠くに小便を飛ばすには、言うまでもなくチンチンを少し上向きに向けて飛ばす必要があります、弾道も同じです。
遠くの的に命中させるには銃身を少し上向きに撃つ必要があります。
この辺の理屈はお解り頂けますよね。
一般的な308の150グレインのスピアー弾頭を2800フィートで飛ばした場合、100mで命中させると、100mを過ぎた後はひたすら落下を続け、300mでは47cmもドロップしてしまいます。
最初から300mに命中させようとすれば、銃身をほんの少しだけ上向きに撃てば良いのです、300m命中させる為には、ほんの少しだけ上向きですから、コンピューターで演算すると100mで15.71cm上に当てれば良いのです。
そうすると300mでは正照準、350mでも、18.8cmドロップするだけです。100mで正照準の場合の弾道と、300mで正照準の弾道とグラフにしたのでご覧ください。ちなみに後で説明しますが、この表は距離はヤード、弾道のドロップ量等はインチで表示しています。完全にメートルで演算するのは簡単なのですが、メートルとインチの表があると混乱するので今回はヤード/インチの表でご覧下さい。

100ヤード弾道表
100ヤード弾道表
300ヤード弾道表
300ヤード弾道表

標的に弾頭が当たれば7.62ミリの穴が空くだけですが、ハンテングの場合、獲物の着弾点の回り10cm位の広範囲を破砕してしまいます。
多くの方が、ライフルの弾頭は先が開くので破砕力が大きいと考えておられますが、必ずしもそれは正確ではありません。弾頭が開くのであればその開いた直径だけが破砕されそうな物ですが、実際はそれ以上の範囲が破砕されます。
それは弾頭の初速に最大の理由があります。弾頭が獲物に命中し場合、少し難し理屈で言いますが、弾頭と獲物の細胞との元々質量の違いがありそれが細胞の破砕に根本的な影響を与えます。弾頭は鉛ですから、それよりも軽い細胞は、弾頭の命中した速度以上で飛翔しないと物理学の法則から外れます。これが質量の問題です。
例えばライフルの弾頭でアルミの板を撃ち抜いた場合、弾頭のスピードよりもアルミ破片のスピードの方が早いのです、これは質量の違いでそうした事が起こるのです。
このスピードの違いは容易に高速写真で確認することが出来ます。
弾頭がアルミ板に命中した瞬間の写真を使い、弾頭が飛翔する時の空気の衝撃波の角度と、アルミが飛翔する空気の衝撃波の角度を調べると容易にスピードが判断できるのです。
空気の衝撃波の角度が鋭角になる程、スピードが出ていると言うことなのです。
ですから弾頭が獲物に命中した場合、弾頭よりも軽いタンパク質の細胞は、その弾頭のスピードよりもさらに早いスピードで細胞は隣の細胞に叩きつけられるのです、そしてその破砕の連鎖活動は広範囲に広がっていくのです、こうして細胞が次々と破砕されていくのでバイタルゾーンつまり破砕範囲は、弾頭が開いた状態の直径よりも広くなるのです。
ライフル弾頭の射入口よりも射出口が大きいのはそれが理由です。
弾道学で重要なのは弾頭が命中した時の破砕範囲、つまりバイタルゾーンのことは最も大切なことなのです。
ライフル弾が口径よりも初速を重要視されるのはここにその理由があります。
45口径(11.4mm)の拳銃弾よりも、30(7.62mm)口径のライフル弾頭の方が、口径は小さくても破砕力が大きいのはひとえに初速の違いが影響しているのです。

300mで正照準にしておけば、350m以内は全部狙い越無しで撃ってもバイタルゾーンのおかげで、ほとんどの獲物を仕留めることが出来るのです。
もし100mで照準を合わせれば、弾頭は落下する一方ですからバイタルゾーンが広くても獲物には致命傷を与えることが出来ないのです。
100mで正照準に合わすか、300mで正照準に合わすから、それぞれの猟場での
展開により異なると思いますのでその選択は皆さんの自由です。
でも一番便利なのは、100mと300mで瞬時に狙いを替えるのが一番便利ではあります。

これからは弾道学の抗議も第2ステージに昇格します。
これ以降の原稿をお読みになる方は相当な博識をお持ちの方でないと付いて来れません。
心して熟読して弾道学を学んでください。
この高尚な原稿を読み切った方は、自らの名刺に弾道学修士と印刷しても構いません。
本当は、弾道学の事を説明するには弾道計算ソフトの話を避けて通れ無いのですが、今回は修士課程ですからそこまで踏み込みません。
但し、これからは弾道学の話は距離はヤード、着弾の移動量はインチで説明しますのでご了承ください、何しろアメリカ系のライフルスコープのクリックは全部インチ単位で目盛りが切られているのでこれをいちいちメートル換算していたのではかえって煩雑になるからです。
ヤードとメーターの違いは僅かメートル÷1.094がヤードですからいちいちメートルに演算せず、同じ感覚で考えてください、少なくともこの程度の距離の違いは弾道学上の弾頭の着弾には大きな影響は有りませんから。
弾道表を再度ご覧ください、308ウインチェスター150グレイン弾頭を初速2800フィートで飛ばした時、ヤードとインチで計算した弾道表です。
この表で見ると、300ヤードで照準が合っている場合、100ヤード地点では、弾頭は4.84インチ上を通過していることが解ります。
ほとんどのライフルスコープのダイヤルの大きい目盛りは、1インチの移動量を示しています。小さい目盛りは1/4インチの移動量を示しています。
通常の使用は100ヤードで使っていて、時と場合により300ヤードに照準を調整する場合、ダイヤルを動かして、リチクルを4.84インチ上げれば良いのです。
つまり数字を4.84にすればいいのです。これなら簡単でしょう。
ここでスコープの調整について説明をしなければなりません。
ほとんどのハンテング用スコープは猟場でちょこまか調整するのを前提としていないので調整クリックはキャップを外して中のダイヤルを動かさないとなりません。
ましてや、中のダイヤルは必ずしも0の位置にあるわけではないので、そこから4.84目盛り、つまり4.84インチ上に上げるなんて煩雑ですよね、確かに煩雑なのですが、少なくともその煩雑さを軽減するために、ダイヤルを0に合わす方法だけは説明しておきます。
今お手持ちのスコープがあればご確認ください。
キャップを取り外してダイヤルをご覧頂くと勝手な所にダイヤルが有るはずです。
照準調整の終わったスコープは、このダイヤルを0にする方法があります。

これはリューポルドのハンテング用スコープの調整ネジです、リューポルドはこれ以外にもネジを緩めると空転する物もありましたが、これは一番新しいタイプです。
真ん中の溝は25セント硬貨を使ってネジを回すための溝です。
このネジを使って上下左右の調整をした後、回転版の切り欠きの部分にドライバーなどをいれて回転板を空転させ0点に合わせます。

ダイヤル1
ダイヤル1

これはツアイスの調整ダイヤルです。
ツアイス等、ヨーロッパ物はメートル表示になっています。
H/Rと書いてあるのは、ドイツ語で、ホーホ オーダー レヒト、ドイツ語のホーホ(hoch上)又はレヒト(recht右)を意味します。上下左右とも同じダイヤルを使用しているので、上または右と書いてある訳です。つまり右の左右調整のダイヤルも同じ事を書いてあります。
ドイツ語でHochと言うと上とか、高いところと言うことを意味します、Rechtは文字とおり右という意味です。アメリカの物はUPと書いて矢印があれば上の方向に弾着が移動しますが、 ドイツ語では弾着を上に移動させる場合は(hoch)ホーホの方向に移動させます。弾着を下にやりたい場合は(tief)テーフの方向に回します。

ダイヤル2
ダイヤル2

弾着を右にやりたい場合は(recht)レヒト、弾着を左にやりたい場合は(link)リンケに回します。ドイツ物はこの上下左右のネジが逆ネジに成っているので回す方向がアメリカ物とは逆の方向なのです。
ドイツ物は移動量もメートル表示ですから1目盛りで、100mの距離で、弾着は1cm移動する移動量を表します。

ダイヤル3
ダイヤル3

ツアイスのダイヤルは上に引き上げると空転して任意の所で止めることが出来ます。

ダイヤル4
ダイヤル4

これはツアイスのターゲットタイプのダイヤルです。
ダイヤルが露出しているので弾道修正は簡単に出来ます。
リューポルドとダイヤルの回転方向が逆です。

ダイヤル5
ダイヤル5

ダイヤルの中心のネジを緩めるとダイヤルを空転させることが出来ます。

ダイヤル6
ダイヤル6

これはリューポルドのM-1タイプのダイヤルです。
照準調整を済ませて、ダイヤル上のねじを緩めるとダイヤルが空転しますので0をあわせます。

ダイヤル7
ダイヤル7

これはリューポルドのM-3タイプのダイヤルです。

ダイヤル8
ダイヤル8

いわゆる照尺付きといわれるタイプですね。

ダイヤル9
ダイヤル9

これも同じようにダイヤルの上のねじを緩めるとダイヤルが空転しますので、100mで照準を合わせた場合、ダイヤルの目盛りを0にします。

ダイヤル10
ダイヤル10

このまま、ダイヤルの目盛りを3に合わすと300ヤードでの正照準に合う事になります。

ダイヤル11
ダイヤル11

ここで前の記述を思い起こしてください。

「弾道表を再度ご覧ください、308ウインチェスター150グレイン弾頭を初速2800フィートで飛ばした時、ヤードとインチで計算した弾道表です。
この表で見ると、300ヤードで照準が合っている場合、100ヤード地点では、弾頭は4.84インチ上を通過していることが解ります」

こういう風に書いています、ではダイヤルのインチの目盛りをみてください、目盛りは約5インチの所を示していますね、4.84、つまり約5インチの所ですね。
この様に弾道修正は距離の目盛りを使ってもいいし、インチの移動量を目安にしてもいいのです。
ここまで書くと、ヤードとメートルは違うのではと言われると思いますが、弾道学の見地から言えば、ヤードもメートルも大差ないのです、弾道はそれ以外の要因で簡単に変化します、その時の風、風向、気圧、高度、外気温度、銃身温度、そうしたもので容易に変化します。
ですから少々荒っぽいように思われるかもしれませんが、ヤード表示もメートル表示もそれほど気に病む必要はありません。
第一、弾道計算ではやたら細かい数字でが出ますが、現実に弾道がその通りに飛翔したら1000M先でも、弾痕はワンホールに成ることになります。
しかし、1000M先でワンホールなんて絶対に起こりえません、ですから弾道計算の数字にそれ程振り回されてはいけません、あくまでも目安です。
弾道計算では、まるで1000m先でもワンホールに命中するような演算の仕方ですが、軍用の場合はこれに散布率と言うものを加味します。つまりばらつきです。
でも軍用の散布率はかなり非道くて、100mで数ミリのグルーピングを競う、私のようなベンチレストシューターには到底容認できる物ではありません。
一番非道い散布例をご紹介しますと、それは戦闘機に搭載されるバルカン砲のミルスペックです。1分間に4000~6000発撃つバルカン砲ですから、有る程度の散布率は仕方ないとしても、その規格は300の距離で撃って、1m以内に80%の弾着が有ればいいと言うものです、80%と言うことは残り20%は弾着不明でも良いと言うことですから、これはまるで散弾銃のパターンテストの様な物です。
ですから軍用の散布率を計算に引用するととんでもない事になってしまうのです。
さて話が横道にそれましたのが、照準調整は300mで0にしても良いし、100mで0にしてもかまいません。しかし日本全国に300mの射撃場が沢山ある訳なので、多くの人は100m射撃場で照準調整をされていると思います。
100mの射撃場で照準を言わせているのだが、実際に使うのは北海道で、その為に300mに正照準を合わせたいとした場合、簡単です!
今までくどくど説明してきたのはその為です、アメリカ系スコープの場合はダイヤルの目盛りを5にすれば良いだけです。つまり100mの時点で5インチ上に着弾すれば、即、それは300mでの正照準なのです。これで簡単に300メートル正照準に調整できました。言うまでも有りませんがこの目盛りは使用するカートリッジと弾頭により違います。
2インチの場合もあれば、3,4,インチの場合もあります。
巻末にその100m対300mの移動量を書き置きますので参考にしてください。

ダイヤル調整ではなくて、リチクルで狙い越をつける方法もあります。
ミルドットリチクルなどはその例ですが、HPの当社カタログの中のリューポルドタクチカルスコープの所に解説がありますので参考にしてください。

ここのタクチカクル レチクル と言うぺージをご覧いただくとミリドットの説明があります。ミルドットで説明している、1ミルと言う単位は元々軍事用語です、1ミルと言う言い方は最初は砲術に使われていた単位で、1000mで1mの移動量を表しています、厳密には少しの違いがあるのですが、1ミルは100mの地点で約1インチの移動量と考えても構いません。我々にとっては1000m先の話より、100m先の話の方がより具体的で解りやすいですからね。4インチ狙い越を付けると言うことは、4ミル狙い越を付けると解釈して構いません。ミルドットもこういう使い方をするとハンテングの世界でも充分実用性があるのです。
ミルドッットは上下左右にもミルドットがあります。
1ミルは1000mで1mの大きさを表しますので、1mの物が1ミルの大きさでみれればそれは目標までの距離が1000m、もし2ミルの大きさでみれれば、目標までの距離は500mとなります。この様に目標までの距離を測定するのにも利用されます。
また左右のミルドットは、歩行する歩兵を狙撃する場合、移動する車を狙撃する場合の狙い越量として利用されます。

これはナイトフォースのリチクルです。
詳細はここをご覧ください。http://www.nightforceoptics.com/
この様にリチクルに最初から狙い越量があるので、瞬時に狙い越を付けて撃つことが可能です。ではそのリチクルの使い方について少し説明をしてみます。


先ずNP1-RRリチクルについて説明します。
リチクルの下の方に簡易距離計があります、アメリカで一番普及している、黒丸の大きさが9インチの的を参考に演算します。日本では射撃場というと、最初から100m射撃場、200m射撃場、300m射撃場と距離が決まっていますが、アメリカの場合、私有地なら何処で撃っても自由なので、例えば砂漠の何処かで、任意の場所に標的を設置した場合、そこまでの距離が幾らか解りませんよね、そこでこの簡易距離計で大まかな標的までの距離の目安を付けるのです、日本では例え自分の地所でも、銃を自由に発砲する事は出来ません、銃刀法で発射の制限と言う事が法律で決まっていますからね。
アメリカの場合は銃の発射の制限が緩やかなので、こうした物が必要なのです。
○の上にある-線と数字の書いてある上の-線との間に鹿の胴体を当てはめればおおよその距離の目安も計れます。これなどは日本の猟場でも利用できそうですね。

P1-RR リチクル
P1-RR リチクル

NP-R2のリチクルについて説明します、このリチクルの1目盛りは100ヤードで1インチの巾を示しています。弾のドロップ量に応じてこれを使い分けると容易に弾道修正が出来ます。
(弾道計算表装入)
これで弾道学修士課程は修了しました、ではお開きにしますので小便でもしてきて下さい。あ、言うまでも有りませんが、放出は一歩前進、正照準でお願いします。

NPR2 100m照準
NPR2 100m照準
NPR2 300m照準
NPR2 300m照準

※この計算式は100ヤードで正照準を合わせた場合、それどれの距離に応じた正照準にするには
ダイヤルを何インチ上に移動させれば良いかを計算しています 。

カートリッジ名称重量初速100200300400500
243 ウインチェスター80335001.253.416.29.72
270 ウインチェスター130306001.473.736.479.68
7mm レミントンマグナム140317501.273.25.518.16
30 カービン110199006.4616.229.1245.01
30-30 ウインチェスター150239003.789.612.6528.25
308 ウインチェスター150280001.974.918.5412.94
30-06 スプリングフィールド180270002.436.0910.8616.98
300 ウインチェスターマグナム180296001.563.886.629.78
300 ウエザビーマグナム180312001.373.516.19.11
338 ウインチェスターマグナム200292501.674.167.1610.65

弾道学、番外編

2003年 8月13日 築地

前回のコラムで、防衛大学の応用物理学教室の先生から講義を受けて、その中で直径1ミリのアルミ弾をマッハ30で撃ち出す、超々高速銃の話をしました。
そしてそれをレントゲンを照射して1億分の1秒でシャッターを切るとちゃんと、マッハ30で飛翔するアルミ弾が撮影できると書きましたが。今は夏休みですから弾道学から少し離れて弾道学番外編として、その延長線上の話をもう少し展開してみたいと思います。

先ず、この超々高速銃ですが、銃という名前はあっても、実は何トンもある機械でおおよそ銃の概念からはかけ離れた物なので、大がかりの長尺旋盤みたいな物だと考えて下さい。
成る程、超々高速銃を設備して超々高速飛翔物体の研究をしている、さすが防衛大学! なんて感心してはいけません、防衛大学はそれほど予算が無くてこれを持っているのは、実は東京工業大学です。ですから防衛大学の先生もこれの実験をするためにはわざわざ東京工業大学まで出向かなければ成らない事になるのです。
実は、防衛大学教授、田村英樹先生は昨年まで東京工業大学の先生だった方で、防衛大学も超々高速銃を設備する予算がないので、ちゃっかり田村先生を引き抜き、それで超々高速飛翔物体の研究をしようとしているのではないかと思うのは私の勘ぐりでしょうかね?

皆さん方の常識からすると、防衛大学の先生方と言うと、何か自衛隊出身の人達が教えているように勘違いされているかも知れませんが、元はと言えばほとんどの先生がかっての国立大学の先生方です。防衛大学と言っても教えている内容は普通の理工科系の大学と変わらないはずです。海上防衛学、陸上防衛学、航空防衛学と言う教室があるかどうかは私は知りません。
話がトンチンカンに成る前に超々高速銃の話に戻しますが、前回のコラムではこの超高速弾頭を撮影する為、1億分の1秒でレントゲン光を露光すると書きましたが、では一体どの時点で露光をしたらいいのでしょうか、マッハ30で飛翔してくる弾頭をどの時点で感知して、どの時点で露光するか、それのメカニズムを知りたくなります。
先生に聞いたら弾頭を最初に感知するのは「光センサー」だと言うことです、それはフォトダイオードですかと聞いたらそのとおりだと言うことです。
1億分の1秒を制御出来るのですから、フォトダイオードはそれ以上に時間制御が出来無ければなりません。専門家の話だとフォトダイオードは1兆分の1秒まで制御できるのだそうです。コンピュータを使ってこのコラムを読んで居られる方は、当然インターネットに接続されているはずですが、最近は光通信と言う手段がかなり普及して来ています。私の会社も光通信です。その光通信の端末にあって膨大なデーターをを制御しているのが実はこのフォトダイオードなのです。

昔、私は光ケーブルで何故膨大な量のデーターが送できるのか不思議でしょうがなかったのですが、光の中からフィルターを使って色々な波長を取り出し、それをフォトダイオードで制御すれば、映画みたいな膨大なデーターでも短時間で送れると言う理屈が近年になってやっと飲み込めるように成りました。

さて、このフォトダイオード、実は弾速計算機にも使われているのです。
実は弾速計算機でライフル弾頭の初速を計ると、毎回計測する数字が違います。
あまりにも違うので、弾速計算機に誤差があるのでは? と疑問に思っていた時期がありましたが、フォトダイオードの分析能力を知ると、表示された初速の下4桁くらいまでは容易に分析出来る能力が有る事が理解できました。
下4桁の表示は実用上意味がないので表示していないだけだったのです。

弾の初速を計ると、銃口から飛び出す瞬間の弾頭を見たくなります。
実は弾頭を撮影するのは意外と簡単なのです、ストロボを使えば簡単に撮影できます。
問題はセンサーの使い方です、フォトダイオードを使うには蛍光灯などのパルスを発する物は誤作動が生じるので使えません、そう言う場合はマイクを使うと言う方法もあります。問題はマイクをどの位置に設置して、何時ストロボを発光させるようにするかです。
しかし、これも何度か実験していく中にベストポイントが解るようになります。
銃口から飛び出た弾頭と言うのは、すでに多くの雑誌で随分発表されていますから多くの方がその画像をご存じだと思います。
しかしムービーとなると少し難易度が上がります、高速度撮影機を使うとムービーが撮れますが撮影のメカニズムとして、シャッターを開いて撮影して、シャッターを閉じる、フィルムを1コマ送ってまたシャッターを開く、このメカを連続して行うのですから、あまり高速にするとフィルムが剪断してしまいます。これ以上の高速で撮影するには別の撮影方法を使います。つまりフイルムを動かさないのです。
イメージとして大きな樽を想像して下さい、その樽の内側にフイルムをびっちり張ります。樽の中心にレンズがあり、レンズの後端にプリズムを置きます、そのプリズムを高速で回転させて撮影するのです。
勿論フイルムの枚数に制限があるので、長い時間の撮影は出来ませんが、弾頭発射の瞬間の映像なら充分すぎるフイルム枚数です。
こうして撮影すると、ライフルや拳銃の弾頭は、銃口から弾頭が出る前に火薬ガスが吹き出しているのが見れます。
実は弾頭は、火薬ガスが吹いてから出てくるのです。
英語でジェット イフェクトと言う言い方がありますが、この事を言っているのかも知れません、日本語はまだこの事実を知らない人が多いので適当な語彙はありません。

映像を見なくても火薬ガスが銃口から吹き出ていると言うことは容易に証明できます。
お手持ちのライフル銃の内径を子細にご覧下さい。
弾頭が銃腔内を通過していった痕跡があります。
つまりカッパーファウリングです。弾頭の銅が銃腔内に付着した痕跡です。
どんな銃を見ても、銅が付着しているのはライフリングの山の中心、そして谷の中心だけです、ライフルの山の両端、谷の両端には絶対に銅は付着していないはずです。
つまり、驚いた事にこの部分は弾頭とライフリングは接触していないのです。
銃口だから弾頭が銃腔内を通過する課程ですり減ったのではありません、ボアースコープで銃腔内を観察すると、ライフリングが始まる所からそうなっているのです。
と言うことは弾頭とライフリングが接触していない所を、3500気圧のガスが吹き抜けて行ったと言うことなのです。
逆の言い方をすると、火薬ガスが吹き出るために弾頭腔内のこの部分は接触していないのです。
それが証拠に、高圧ガスを使わない空気銃などはライフルの全面に鉛の付着が認められます。
ですから、フォトダイオードを使った弾速計を使うときは、銃口から1m以上は離さないといけないのです。
その理由は、弾頭が出てくる前に火薬ガスが吹き出すので、フォトダイオードがガスをあたかも弾頭と感知してしまうから誤作動を起こすのです。

高速度撮影と言うとやたらフイルム代がかかると思われるかも知れませんが、フイルム代は意外と安く\5,000程度の物です。
高速で弾頭を撮影すると意外な発見をすることがあります。
その1例として、スラッグ弾を撮影すると、スラッグ弾の中が中空の物は銃口から離脱した瞬間、ガスの力で弾頭が膨らみます。ほっぺをぱんぱんに膨らまして飛んで行っている様にも見えます。
スラッグ銃の多くは銃口には全然絞りがありませんが、ほんの僅かでも絞りがあるとこうした現象は起きません。スラッグを撃つときはシリンダーではなくて、インプシリンダーを推奨するのはこうした事がその理由なのです。

散弾銃の弾道

2003年 8月12日 築地
追記 2003年 8月13日 築地

私は長い間ライフル射撃を専門としていたので、どうしても弾道学という理論が頭から離れません、得意分野がライフルなので、不得意分野のクレー射撃を徹底的にマスターするため、ここ15年くらいは徹底的にクレー射撃を撃ち込んでいます。
先週、火薬の譲受け許可が満了になったので申請に行ったら、警察官に「随分撃ちますね!」と言われた。前の申請が5月だから、3ヶ月で5000発撃っていることになる。
とすると、年間20000発である。改めて諸費用を計算してみたら、弾代とクレー代で年間180万円使っていた。高速代やガソリン代まで入れると、250万円に以上になる。
私は射撃の腕前を上げると言うよりも、生来の凝り性のおかげで、メカ的な事を探求する事にその指向が向いている。クレー射撃はライフル射撃みたいに目標を狙い込んで撃つ射撃ではなく、感覚で撃つタイプの射撃である、従ってクレー射撃に於いては「理論と実際」というたぐいの弾道学の書物が意外と存在しない。断定するのも何だが、あるいは先人達の書かれた優れた書が在るのかも知れないが、私は不勉強で未だにそうした資料に遭遇したことはない。

クレー射撃で一番大切なのは、照準とスイングである。
ライフル銃の場合、照星照門を正確に合わすことにより、正確な射撃が出来る。
散弾銃には照星はあるが、照門は無い。つまり自分の目が照星と言う訳である。
従って、その照門となるべき目の位置が違ったら正確な照準は到底おぼつかない、目の位置が変わったら照星とクレーは一致していても、とんでもない所を散弾が飛翔していることになる。その様な理由で散弾銃は元々照門が無いのであるから、ヘッドアップしたら全然当たらないのである。
ライフル銃では照星照門が合ってさえいれば、あるいはライフルスコープのリチクルさえ合っていれば、必ず弾は目標に命中する。頬付けなんてどうでも良いのである。
私の所には初めてライフル銃を所持される方が数多く来社されるが、初めての方は多くの方がライフル銃のベンドが低いと良く言われる。しかし、ライフル銃の場合ベンドはどうでも良いのである、照準さえ合っていれば必ず命中するからである。
第一ベンドを高くしたらライフル銃のボルトが抜けなくなるではないか。
ベンドのことは別段このページで説明しなくても、常識以前の常識なので殊更説明するまでもないが、スイングについてはあまり論理的に書かれていないと思う。
それは何故スイングが必要かと言うために説明するのに欠かせない、弾道学が確立されていないためかも知れない、散弾が空中でどの様に飛翔するかについて、実験データーが今まで極端に少なかったからである。
散弾が銃口から飛び出した瞬間の写真はストロボを使えば比較的簡単に撮影することが出来る。過日、縁があって 防衛大学で応用弾道学を研究されている防衛大学教授、田村英樹先生からお話を頂き、マッハ30で飛翔する物体の画像を見せて頂いたが、真空中でレントゲンを使って1億分の1秒で露光すると、この様な超高速飛翔物でもはっきりとした画像が写し出される。超高速飛翔物体の撮影はこのレベルまで到達しているのである。

散弾銃で大切な、パターンテストは誰でも簡単に出来る。
射撃場でパターン用紙をはり、ズドンと一発撃てばおしまい、誰でも出来る。
しかし、これで散弾銃の弾道学を語るとトンチンカンな話になり、暴走すれば神懸かり的な与太話を展開することにも成りかねない。
散弾銃の場合は銃口から30~40m離れた所でんの散弾の飛翔映像がないと弾道学が語れないのである。その事こそが散弾がクレーに命中する瞬間の弾道学であるからである。
飛翔する散弾も高速度撮影機を30m離れた所に設置して撮影すれば、理論的には撮影できるのであるが一番の問題は"タイミング"である。通常の撮影では1分間に60~120コマで撮影するが、弾道を撮影するための高速度撮影では、1200~2400コマ撮影するのであるが、撮影機の構造上あまり長いフイルムは使えないので、撮影はホンの一瞬で終わる。
最大の問題は散弾が写っているかどうかである、現像して写っていなければ再度撮影しなければない成らないので飛翔する散弾の撮影は膨大な時間とコストがかかるので今まで出来なかったのであるが、時代の進歩はすばらしい! 現在は超高速ビデオが作られ、これで飛翔する散弾を簡単に撮影することが出来るようになったのである。
何と言っても、写ったかどうかを直ぐに確認でき、写っていなければタイミングをずらして何度でも、写るまで撮影が可能になったからである。
もったいぶらないで結果を言おう、散弾が銃口から30~40メートル飛翔している時点で散弾のコロンの長さは1mである。
言うまでもないが銃によって、あるいは使用する散弾によってコロンが微妙に変化するのは言うまでもないが、学術的に違いがあるだけで、実用上の違いは存在しない。
念のために言うが銃の値段が高いからと言って優劣が在るわけでもない。
コロンは全ての銃で約1メートルである、これを良く覚えておいて頂きたい。

ホースで水道水を水まきするときに、ホースを振らないと水は真っ直ぐに放水される。
ホースの出口を左右にスイングすると、水もその動きに応じて放水される。
スイングが速ければ早いほど、その水の動きは速くなる。

銃口をスイングさせる理由はまさしくここにある。
散弾は秒速1400フィートの高速で飛翔するが、いくら初速が早いと言っても散弾は真っ直ぐ一列になって飛翔する訳ではない、ホースを左右にスイングさせた時の水の動きと全く同じなのである、早くスイングさせればコロンの先端と後端はあたかも水道ホースをスイングさせた時の水流と同じ動きをするのである、時折テレビで飛行機を機関銃でスイングさせながら撃つシーンがあるが、あのシーンを思い起こして頂きたい、トレーサー弾頭が流れるように飛翔する、あれと同じイメージを描いて頂きたい。
散弾銃も銃口をスイングさせて撃つとあのように弾が流れて飛翔するのである。
しかしながら、散弾のコロンは、ホースの先端から出る水のように無限にある訳ではない。
機関銃のように連続して弾が出るわけではない。
散弾のコロンは1メートルしか無いという事である。
逆に言うと1メートルもあると言う言い方も出来よう。
横に飛翔するクレーに対して、銃口を素早いスイングで振ると、散弾のコロンは流れるように飛翔して、先頭の散弾がクレーに命中し、飛翔し続けるクレーに対して、次々と散弾が命中し続ける事になる。
まさしく、銃口をスイングさせる理由はここにある、コロンを有効に使うためにスイングさせるのである。
銃口から離脱した散弾はパターンを広げながら飛翔する、そのコロンは1mあると言うことである。この1mあるコロンを有効にクレーに命中させられれば、クレーは粉々に粉砕するが、コロンの先端だけ、あるいは後端しか命中させられないと、クレーは力無く2個割れ、あるいは4個割れになるのである。
言うまでもなく、クレー射撃のルールでは、割れれば1点である。
しかしクレーを粉々に粉砕することこそがクレー射撃の神髄である、少なくとも私はそう考えている。

コロンの長さが1mと言うことが解れば、少し計算すれば、クレーに対してどの位のスピードで銃をスイングさせれば良いか、簡単に計算できるはずである。
計算された物を見るのではなく、自ら計算することで銃口のスイングスピードがより正確に把握できるはずである。クレーに対してどれくらいのスピードが一番効率的か!
銃口のスイングのスピードは論理的に分析され無ければならない。
案外先輩方の今までの説明が間違っていることも充分あり得るのである。

言うまでもないがクレ-が飛翔する角度によって、銃口のスイングのスピードが変化するのは言うまでもないが、早すぎず、遅すぎず、正確なスピードで銃口をスイングさせることが絶対必要なのである。
但し、銃口をスイングさせる前の0.5秒の制止時間、「タメ」も忘れては成らない。
この銃口の静止時間である「タメ」はクレーの飛翔方向を正確に把握するためと、銃口のスイングのスピード、そして安定性、加速性を確保するためにどうしても必要なプロセスだからである。

銃のスイングが正確であれば、銃口は高付けであっても、放出口に付けてもどちらでもかまわない、高付けの方が銃のスイング量が少ない分、疲れないと言うだけの話である。

計算が苦手ならスイングのスピードは体感的に感じてもかまわない、クレーが粉々に粉砕した、そのスイングこそがコロンを一番有効に使った射撃である。
その瞬間の射撃を忘れないように記憶して頂きたい。
狙いは何処だったか、スイングのスピードはどうだったか、それを良く反芻して頂きたい。
そしてその射撃の再現に努める事である。
外れたら何故外れたか、命中できたら何故命中できたか!
考えながら撃つ、これこそが少ない予算で射撃を楽しむコツなのである。


追記 2003年 8月13日

散弾銃の弾の初速は銃口付近で、クレーのスピードの約10倍です。
しかしながら銃口から離れる毎に散弾の初速は急激に減少して行きます。

ライフル実包と違い、散弾の場合は散弾が大きく散開するの上に、飛翔する散弾にはコロンが存在するので、散弾の1粒だけを抽出して銃口から先の初速を計測すると言う事は事実上できません。

従って、あくまでも推測のレベルですが、銃口から30~40mで、散弾の初速は30%減少していると私は推測します。
とすると、散弾がクレーに命中する時点では、散弾はクレーの7倍位のスピードです。

これからスイング量を算出すると・・・・・・・・・

斜め45度に切れるクレーを30~40mで撃つには、45度ですからクレーの見かけの飛翔スピードは真横の半分になります。
従ってクレーを見た目のスピードの3.5倍の銃口のスイングが必要と言うことになります。

しかしながら横に飛ぶクレーを視認して捕らえられるのは現実には30~40mよりかなり先になるはずですから、散弾の初速はさらにもっと落ちています。ですから60~70mで撃つ場合は、銃口のスイングはクレーの見た目の飛翔スピードの、2.5倍~3倍位になるはずです。

正確な狙いで、しかも理想的なスピードでクレーを追えたかどうかは、クレーが粉々に粉砕されたかどうかが唯一の目安です。

かなり早くスイングしたとしても、横に飛翔するクレーを粉砕できないのは、まだ銃身の振りが遅いと言うことになります。

逆にほとんど上昇しないで、前に出るクレーは、クレーの見かけの移動量の1.1倍くらいのスイングスピードになります。

弾道計算尺(ミルドット マスター)の使い方

2002年 6月13日 築地

ライフルスコープのリチクル(十文字)には色々なタイプがあるが、ミルドット言われるリチクルは、団子を串刺しにしたような形状をしている、参考までに取扱説明書の表紙にあるミルドットレチクルをご覧頂きたい。

この団子の一つの大きさが1ミルと呼ばれる大きさです、1ミルとは1000メートルの距離で1メートルの大きさである、つまり1メートルの大きさの物が、この団子と同じ大きさに見えたら、その目標までの距離は1000メートルであると言うことになる。
逆に言うと、目標の大きさが事前に解っていないと距離の補足は出来ないことになる。
しかしながら、実際のハンテングでの獲物は大半が鹿、熊、等のあらかじめ大きさの分かっているものであるから計測は容易である。

取り扱い説明書
取り扱い説明書

このミルドットと言うリチクルは、元々軍用のスコープとして開発された、軍隊で使う場合は立ち上がった歩兵のサイズとか、歩兵の肩幅とは、あるいは戦闘車両の大きさとか、あらかじめ基準となる物を決めておくことにより、その大きさがミルドットと比べてどの大きさに該当するかで距離を補足していた。

従って、ミルドットを使う場合、このスコープを覗くだけで目標までの距離も簡単に補足できるのである。
これは計算尺なので計算尺の中の目盛りの部分は上下にスライドする。TARGET SIZU (ターゲットサイズ)の目盛り10"の所を1ミルの所に合わせてみよう。10"(インチ)は25.4CMである、仮にこの大きさの物が、1ミルの目盛りの所で重なった場合、TARGET RANGE (ターゲットレンジ)の目盛りを見ると280の所に目盛りが来ている、つまり目標までの距離は280ヤードと言うことになる。
この様に目標の大きさがあらかじめ解っていれば容易に目標までの距離を割り出すことが出来るのである。

10インチの物を1ミルで合せる
10インチの物を1ミルで合せる

最近、ハンテングの世界では、レーザー距離計が普及しているので、スコープを利用して距離を計測すると言うことは無くなった。レーザー距離計の誤差は1メートル以内なので、こちらの方がはるかに高精度である。従ってレーザー距離計を使う限りに置いては、ミルドットを利用して距離を計測する意味はほとんど無くなった。

弾道計算尺と言っても、個々の弾頭のドロップ量が計算できるわけではない、弾道のドロップ量は使用する火薬、火薬量、火薬の種類、弾頭の種類、重さ、カートリッジ、外気温度、湿度、そうした要因で微妙に変化する。従って自分の使っている弾頭のドロップ量はあらかじめ把握しておかなければ成らない、そうしないとこの計算尺の使いようがないからである。この計算尺を最も有効に利用できるのが、リューポルドのM-3ライフルスコープであある、リチクルは元々ミルドットであるが、目標までの距離をレーザー距離計で計測する場合はミルドット使って計算する必要はない。
M3ライフルスコープは非常に勝れたライフルスコープで、308ウインチェスター、300ウインチェスターマグナム等のカートリッジを使用した場合、それぞれのカートリッジに合わせた照尺ダイヤルが付いている、100ヤードで照準調整をした場合、そのダイヤルの目盛りを100に合わせてねじ止めしておけば、その目盛りを300にすると自動的に300ヤードの照準に自動補正してくれる優れものなのである。
しかしながらいずれも水平距離における照準補正である、上に向かって照準した場合、下に向けて照準した場合、弾着はどの様に変化するかお解りだろうか?
上に向けて撃った場合、水平の照準点より、上に着弾するか、それとも下に着弾するか?
逆に、下に向けて撃った場合、水平の照準点より、上に着弾するか、それとも下に着弾するか? お解りだろうか?
正解は、上に向けて撃っても、下に向けて撃っても、水平撃ちしたときより上に着弾するが正解なのだが、この弾道学のイロハとも言うべき弾道学が理解できていない人は、当然獲物に命中するわけがないのである。当然撃つ角度でその着弾点は微妙に変化する。

どの程度変化するかは、私も実際にコンピューターで演算しないと解らない。しかしながらこの計算尺を使うと瞬時にその数字が割り出せる。
しかも、実際に撃つ角度も割り出すことが出来る優れものである。

角度を計測する
角度を計測する

この計算尺の端にひもを通し、一方に重りを付ける。計算尺の端面を利用して端から目標を見ると上向きか、あるいは下向きかによって下げた紐は必ず真下に位置するので、その紐の延長線上に有る目盛りを読みとると角度が解る。

60度で撃つ計算をすると
60度で撃つ計算をすると

では角度により計算方法を説明しよう。レーザー照準器を使い、あるいはミルドットを使い目標までの距離が300ヤードとしよう、そして角度が60度だったとしよう、 計算尺のターゲットレンジの目盛りを300に合わせると、60度の角度の所の目盛りは150に成っている、つまりこの場合、ライフルスコープの目盛りを150ヤードに合わせれば、300メートルで、60度の角度で撃つ場合の正照準となるのである。

弾道計算尺は、この角度調整の為だけでも充分に有効な道具なのである。

このミルドットマスター、取扱説明書が付いて、¥5,900である。買って!

ウインド イフェクトの表(チャート)

2001年 4月14日 築地

有りそうでなかなか無かった、ウインド イフェクトの表(チャート)です。
矢印の方向から吹く風と、弾着の関係を示しています。風の影響を受けるベンチレスト射撃には無くてはならない必需品です。

ウインド イフェクトの表

カクタスシュートの会場で、隣のベンチでローデングをしていたジェリーさんが送ってくれた物です。本当に有りそうでなかなか入手できなかったチャートです。

バーンズ弾頭は命中精度が悪いの?

2000年10月11日 築地
更新 2000年10月13日 築地

私がバーンズ弾頭を輸入したのは、マグナム弾を至近距離で使った場合、通常の狩猟用の弾頭だと初速が早すぎるために爆発現象が起き、弾頭全体が瞬時に粉砕されるために獲物が半矢になるためそれを防止する目的で全体が純銅で構成されたバーンズ弾頭を輸入するように成ったのである、バーンズ弾頭の場合いかなるスピードで弾を撃ちだしても弾頭が粉砕することはない、そのために造られた弾頭なのである。

もう少し解りやすく説明すると、 "マグナム弾を近距離で撃つため" の弾なのである。

北海道ではでは尾白鷲の個体保護のために鉛弾を狩猟に使うのが禁止されたため、にわかに純銅の弾への関心が高まってきたが、それにつれて弾頭のことをよく分かっていない人が勝手な事を雑誌に書いたり、色々な噂を流したりする人がいるため、バーンズ弾頭は狩猟に使えなく粗悪な弾だと言う話が流れてる、真偽を確かめるため昨日10月9日は長瀞射撃場でベンチレスト射撃協会の大会が有ったのでそこで実際に私が撃ってみることにした。

使用した銃はサコー75、口径は7ミリレミントンマグナム、これはこの口径が一番命中精度を出すのが難しい口径だからである、300マグナムならもう少し命中精度が良くなるはずである、勿論308ウインチェスターならさらに命中精度が良くなる。

私はこのサコー75にリューポルドの3倍~9倍のスコープを使った、ごく標準的な実猟用の銃である、使用した薬莢はレミントン製の7ミリレミンマグナム薬莢、弾頭はバーンズXLCコーテング弾頭、弾頭重量140グレイン、火薬はIMR4350を72グレイン装填した、この弾を300メートルで射撃した、3発の試射をした後に10発の射撃をした、使用した標的は300メートル公式標的を使った、標的は射撃場によっては色々勝手な標的があるので、あえてドイツ製のエーデルマン社製の標的を使った、これなら公式300メートル競技で使われる標的しかないので一番解りやすい。

人のいないところで撃てばあまり真実性がないので、命中精度にはことのほかうるさいベンチレスト射撃協会のメンバーの立ち会いで撃つことにした、射撃の試合中なら一番真実性があると考えたからである。

結果、10発射撃の内、全弾を9点圏内に命中させる事が出来た、鹿なら全弾心臓、又は頭に命中している事になる。同じ距離で私はベンチレストライフルを使い、500円硬貨なら全弾命中させる事が出来るので、それからするとバアーンズ弾頭は確かに当たらない、300メートルで鹿の頭の頭に命中させる事は出来るが、それ以上の命中精度は出せない、しかしこの程度の命中精度が出せない人はバーンズ弾頭が当たるとか、当たらないとかを語る資格はない、そういう方はまず腕を上げる事が先決ではないだろうか? 

腕を上げると言うことは射撃テクニックだけの問題ではなくリローデングテクニックを含めた総合的なテクニックである、以下そのテクニックをご説明しよう。

命中精度を出す秘訣

1,データーブックのマキシマムロードは越える事!

バーンズ弾頭はその弾頭の特性として初速が高くないと命中精度が出ない、今までみたいに中速度域では思いの外当たらない、多くの方がこの結果を以て当たらないと判断しているのかも知れない。

多くの人が十分に初速を上げない最大の理由は弾頭メーカーが出すデーターブックの弊害がある、アメリカは訴訟世界である、そのためデーターブックには本当のマキシマムロードより相当下回ったところでマキシマムロードとしてあるのが現実である。

私は7ミリマグナムに140グレインの弾頭を使い、4350を72グレインチャージしたと書いたが、念のためバーンズのデーターを読んでみると、マキシマムロードはたったの59グレインである。

私の弾頭は初速3300フィート出ているが、データーブックの初速は3022フィートである、これでは当たらない。

勿論私のローデングでもプライマーが抜けるにはまだまだ余裕がある、従って本当のマキシマムロードは74グレインくらいではないかと思われる、この様に実際のマアキシマムロードは遙かに高いレベルにあるのである、ですからデーターブックのデーターをそのまま信じて、中速域で弾を撃ちだすと、バーンズ弾頭は当たらない。

2,フライヤー対策

数発は非常に良いグルーピングを出す弾も、5発に1発、あるいは3発に1発とんでもないところに弾が飛ぶことがある。これをフライヤーと呼ぶ。

多くの人がこの1発は何らかの人為的なミスにより外したと思いがちだが、実は火薬の相性が合っていないために起こる現象なのである、一般の人には初めて聞くことだろうがベンチレストシューターなら誰でも知っているごく当たり前の現象である。

このフライヤーがどのような原因で起こっているかはまだ原因は解明されていないが、対策としては火薬の装填量を変えるか、火薬を別な火薬に変更するかで回避することが出来る、こればかりは実際に実験するしか方法がないのである。

バーンズ弾頭を300メートルで公式標的の9点圏に当てることが出来ない人は、今後バーンズ弾頭が当たるとか、当たらないとか、偉そうなことは言わないようにお願いします。

しかし命中精度に関して誰にも引けを取らないと言う自身のある方は是非ともベンチレスト射撃協会の大会にご参加下さい、100メートルで1ミリ、300メートルで5ミリ位がトップを狙えるレベルです、勿論バーンズ弾頭を使ったのではこんなグルーピングは出せません、バーンズ弾頭は当たらないからです、すくなくともこんなには


更新 2000年10月13日

バーンズ弾頭の命中精度について書きましたら、北海道伊達市の長野さんから連絡がありました。長野さんは毎年1000発のバーンズ弾を購入されるお客さんです。

長野さんに命中精度の事を聞いてみたら、長野さんは単なるハンターですが100メートルで1~2センチ以内に集弾するそうです。

初速は何と、3570フィート出されています、バーンズ弾頭は初速を上げると突然良く当たるようになります。(実はこれが秘訣なのですが)

長野さんは、昨年仲間の見ている前で600メートルの鹿を4頭連続して倒されたそうです、そして昨年の捕獲数は250頭とのことです、これで年間1000発の弾を購入される理由が解りました。

念のため申し上げますが、長野さんが連続4頭倒されたのは有害駆除期間です、250頭の捕獲は親子で捕獲された総数ですので誤解の無いように。

長野さんが射撃場で試射されているときに狩猟界に原稿を書かれた方が来られて長野さんの2センチに集弾した標的を御覧になって "雑誌に嘘を書いたことになったな" としみじみ感想を言われたそうです。

長野さんはフェールセーフも試されたそうですが、バーンズ弾頭の方が性能は良いとのことです、フランス製のナンダラカンダラと言う弾はテストされたそうですが弾道性能が良くなくて長距離になると威力が激減すると言われていました、私はまだ試していないのでコメントは出来ませんが。

この事実からして、バーンズ弾頭が当たらないと言った方は自らの腕の未熟を公表しているような物です、今後バーンズが当たらないと言った人の意見はあまり参考にしない方が良さそうです、こういう人達はあまり腕は大したことなさそうですから。 

リローデングデータの見方

2005年 1月13日 築地

前に2回ほど、コラムで「ハンドローデングのすすめ」を書きました。
これを読まれた方も数多くおいでだと思います。それを読んで実際にハンドロードを始められた方も少なく無い筈です。それは当社のハンドローデング用のマスターリロードキットの販売量を見ても容易に判断が出来ます。
しかしながら、その中でまだ説明できていない事があります。それはリローデングマニアルの読み方です。読み方と言うと語弊がありますので理解の仕方と言った方が適切でしょうね。ハンドロードを始める場合、どの種類の火薬をどのくらい装填するのが適当か、誰でも当たり前に考えられるはずです。
リローデングマニアルにはその事が細かく書いてあります。

幾ら大胆な人でも、あるいは世間で太っ腹と呼ばれる人でも、適当な火薬を適当に装填する人は居ないはずです。何しろ物が火薬ですから取り扱いを誤ると、とんでもない事故に繋がると考えるのは当然の事です。
火薬の取り扱いで一番危険な事、それは火薬の種類を取り違えることです。
例えば、拳銃や散弾銃に使う火薬をライフルに使えば間違いなく異常高圧を起こしてボルトが張り付くか、場合によっては機関部が破砕する事すらあります。
従って火薬の種類を取り違えないことは基本中の基本、リローデングで一番大切な事なのです。ライフル用の火薬でも、速燃性のIMR4198等の火薬を、遅燃性の火薬を使うマグナムライフルに装填すれば、先ず保証付きで異常高圧が発生してボルトはびくとも動かなくなります。
しかしながら、こういう間違いをされる方はほとんどありません、何故ならば火薬の選択間違いで当社に修理に持ち込まれる銃はほとんど無いからです。
これは皆さんがリローデングマニアルをシッカリと読まれている何よりの証でしょう。

所がこのリローデングマニアル、安全第一の為でしょうか、危険領域を示すマキシマムの決め方が結構いい加減なのです。
リローデングマニアルにマキシマムと書いてあってもその数字は決して本当のマキシマムではないのです。
ですから、多くの人がもう少し火薬量を増やさないとちゃんとした命中精度も、ちゃんとした威力も出せないのに、勝手にリローデングマニアルで決めた、仮定のマキシマムをそれが火薬量の限界だと勝手に決め込んでしまうのです。
そして真面目に物事を考える人ほど禁忌過剰にそれを頑なに守り通されるのです。
つまり結果として威力が無くて当たらない弾を沢山作ることになるのです。
私のコラムは、希にはおちゃらける事もありますが、基本的に私のコラムは真実を追究する真面目なコラムですから、間違いは間違いと的確に指摘します。しかし、私の説明よりリローデングマニアルに書かれている情報の方が確かに真実味はあると思いますが、取り敢えず私の言うことは本当です。
私自身も、雑誌あるいはインターネット上での情報で、リローンデングマニアルのマキシマムが低すぎると言う情報は今まで目にした事も聞いた事もありません。
皆さんもこうしたリローデングマニアルの間違いについてこうしたコラムを読まれるのは初めてだと思います。それに他の雑誌ではあまりこうした事は書きませんね。
アメリカは訴訟世界ですから、マニアルに書いてあるデーターが低ければ少なくとも事故は起きないので取り敢えずそれで良しとしているのでしょうが、火薬量が少ないと弾頭に本来のエネルギーも与えられないし、本来の命中精度も発揮出来ないのです。
工場製の装弾の場合は充分すぎる初速が出ているのでそれなりに命中精度も威力もあるのですが、リローデングマニアルとおりに装弾を作れば、工場装弾と比較して威力のない弾が出来上がるのです。ローデングデーターのマキシマムを厳守してリロードされている方の場合、一度工場製の実包と、自分でリローデングした実包の雷管の潰れ具合を比較すると容易に解ります。
私が何を言いたいのかと言いますとリローデングマニアルに書かれているマキシマムロードを越えないと、決してまともな弾は出来ないと言うことです。こういう事を書くとある意味危険な事のように思われるかも知れませんが、私自身は女性で間違いを起こした事は幾たびかありますが、火薬で間違った事は一度もありませんので安心して読んでください。
では具体的に説明を進めて見ましょう。

こういうテストに、さすがに人の銃は使えないし、人の実験させる訳にもいかないので、私の使っているサコー75、7ミリ、レミントンマグナムを使い、自らの体でテストしてみました。だからといって別に危険な実験と言う訳ではありませんよ。(ドキッパリ)
実験に使ったのはバーンズトリプルショック弾頭、7ミリ口径、140gr弾頭です。
ちなみにトリプルショック弾頭は新製品ですので、まだバーンズ弾頭のリローデングマニアルには記載されていませんが、ローデングデーターはXBT弾頭とほぼ同じだと考えてください。
先ず、バーンズのリローデングマニアルをご覧ください。

リローデングマニアル
リローデングマニアル

弾頭140grのページ、火薬はIMR4350の場合、XBT弾頭(トリプルショック弾頭も同じ)ではマキシマムロードは59グレインですね。
ではそのマキシマムで装填した薬莢をご覧ください。

バーンズ
バーンズ
59gr
59gr

火薬の圧力を判断する場合、雷管の潰れ具合で見るのが一番的確です。
画像を見て貰うと雷管の角にまだ丸みがありますね、つまり雷管を装填した時と同じ様な状態で雷管はほとんど変形していませんね。
火薬の圧力が高くなると、雷管は薬莢の中の火薬ガスでボルトヘッドに押しつけられ、ボルトヘッドの形状とおりに平たく変形するのです。
その変形が無いと言う事は火薬ガスがまだまだ低いと言うことを物語っています。
これがデーターブックのマキシマムなのです。
言うまでもありませんが、本当のマキシマムはもっとこれよりも上なのです。

ご注意
シェラなどの他のデーターブックの場合、マキシマムはもっと高いのですが、それは使う弾頭が芯に鉛を使って外側を銅のジャケットで覆った、いわゆる柔らかいジャッケト弾だからです。つまりこうしたジャケット弾は外側が凹み易いのでライフリングに食い込む抵抗が少ないのです、ですからバーンズ弾頭の時よりも火薬量は多くても良いのです。
それでも、ジャケット弾頭を使うと仮定したばあい、データーブックに書かれたマキシマムはやはり依然低い数字なのです。本当のマキシマムはもっともっと上の数字と言うことにを理解しておいて下さい。

使う弾頭によって火薬の量が変化すると言う事をもう少し詳しく説明してみます。
上の説明に書きましたとおり、ジャケット弾の場合は、弾自体の素材が鉛で銅弾より明らかに柔らかいので、純銅のバーンズ弾頭よりライフリングの食い込む抵抗が少なく、その為に火薬量は多くても良いのです。
ですからリローデングマニアルでは、バーンズとシェラでは同じ140grの弾頭を使う場合でもマキシマムの火薬量は弾頭が柔らかいシエラの方が火薬量は多いのです。
つまり、ジャケット弾の場合、火薬の点火と同時に弾頭がライフリングに食い込んでスムーズに前進するので火薬量は多くても弾頭の前進に合わせて徐々に火薬が燃焼して行くので火薬の圧力が異常に高くならないのです。
つまり弾頭が前進した分だけ火薬が燃焼していくと考えてください。
バーンズのリローデングマニアルをご覧頂くと解りますが、同じ7ミリ口径の140グレインの弾頭で、上に書いてあるXBTのマキシマムは59グレイン、下の方に書いてあるXLC弾頭の場合、マキシマムは66.5グレインです。
同じ純銅弾同士ですから何か変ですよね。弾頭の芯は間違いなく同じ純銅の弾なのです。但し、XLC弾頭は外側にテフロン、コーテング塗装をしてあります。
こうしたほんの僅かな事でマキシマムが容易に変化するのです。
テフロンは一種の潤滑剤です。テフロンは弾頭の滑りを良くしますから、ライフリングの食い込みも「スルッ」と入るのです。
比喩が適切でないと多くの女性からひんしゅくを書くことを承知で書きますが、ある種の行為の時にある種のゼリーなどを利用するとある種の挿入が楽になりますが、原理的にはそれと同じ理屈なのです、つまり「スルッ」と入るのです。
つまりテフロン、コーテングは弾頭の潤滑剤であり、ある種の行為をするときのゼリーと同じ役目を果たしているのです。
こういう比喩を多様して書くと、コラムの読者のおじさん達には極めて理解が早いのです。
すでに「成る程成る程」と大きくうなずいているおじさん達も多数居ます。(いません!)
私は決して自らの好みでこういう比喩を引用している訳ではありません。
本来は高尚な文章書きを心がけている私ですが、コラムの読者層に合わせて致し方なくこうした通俗的な書き方をしているのです。

さて自ら潤滑剤とも言うべきゼリーもどきを塗っているXLC弾頭君は何の躊躇もなくライフリングに挿入出来たため、XLC弾頭君は火薬の圧力に応じて、銃控内をどんどん前進し、その分火薬の燃焼がそれに応じて行き充分なエアースペースが確保出来ます。
従ってXLC弾頭を使った場合は火薬の装填量が多くても火薬は異常高圧にはならないのです。しかし火薬量が多い分、銃控内全体の圧力は相対的に高いのでその分初速が早くなるのです。
逆に火薬に点火しても潤滑剤を体に添付していないXBT(トリプルショック)弾頭君の場合、火薬の圧力がかかって後ろからグイグイ押されても、まだその時点でライフリングに挿入しようかどうか大いに躊躇しているのです。勿論、火薬の燃焼は万分の1秒と言うような瞬間の世界なので、弾頭の躊躇は人間世界の物差しでは測れない時間なのです。
出来ることなら挿入しないで済ませたいと思っているかも知れません、その様に大いに迷ってると言うことも出来ます。しかし火薬ガスの上昇に伴い、致し方なく挿入と言う行為に走るのです。言うまでもありませんが、XBT(トリプルショック)弾頭君の様に自らのボデーに潤滑剤が無い場合、ライフリングに挿入するときにかなり抵抗があるのです、有る意味でライフリングの挿入は「無理矢理挿入」と言う言い方も出来無くはありません。
無理矢理という行為ですからライフリングと弾頭の間に合意はありません、従ってスムーズな挿入というか、スムーズな前進と言うか、何らかの形で弾頭君の挿入行為が妨げられるのです。
そうこうする内に火薬の圧力は限界まで達してしまうのです。
これが理由でXBT(トリプルショック)弾頭君の場合は火薬量が多く装填できないのです。
潤滑剤の無いXBT弾頭には多くの火薬を装填できない、これが最大の理由なのです。
無理矢理と言う行為の後なのでライフリングは心に傷を負ってもいます(いません!)
火薬ガスが「オラオラ」と言って弾頭の後ろから暴力的にガンガン押している場面が想像できますね。XBT弾頭君は決して無理矢理挿入したくはなかった筈です。
出来るならば合意の上で、そういう想いが有った筈です。ひょっとしたら火薬にそそのかされてと言う無念の想いが有ったかも知れません。
この様に無理矢理とか、強引にとか、そういう行為は決して良くないのです。
あくまでも優しく、相手が挿入を許してくれるまで自然に待つ心のゆとりが欲しいのです、本能の赴くまま暴力的な挿入はするべきでは有りません、「あくまでも自然に」と言う行為を心がけたいとXBT(トリプルショック)弾頭君は思っているかも知れません。
すでに涙を流して、大きくうなずいているオトーサン達も居ます(いません!)
XBT(トリプルショック)弾頭君の前進がスムーズでないと弾頭が前進して充分なエアースペースが確保されないので簡単に火薬の圧力が危険領域まで上昇してしまい、多くの火薬が装填できないのです、結果的には初速が上がらないと言うことになるのです。
この様に同じ弾頭でも弾頭にテフロン、コーテングしてあるかどうかで火薬の燃焼特性も火薬の装填量も大きく変化するのです。

XLC弾頭
XLC弾頭

画像の左側はトリプルショック弾頭、右側は同じ銅弾ですが外側をテフロン、コーテングしているXLC弾頭です。
弾頭の中には、テフロンでは無く、二硫化モリブデンの粉末をまぶした黒いモリコート弾頭もありますが、モリコートも潤滑剤の一種、つまり、これも火薬の圧力を高くしない、あるいは初速を上げる為の物なのです。

話しはまたトリプルショック弾頭の事に戻りますが、トリプルショック弾頭のマキシマムロードは59grでしたが、火薬量をもう少し増やして、62grにしてみましょう。
これが火薬量62gr装填した装弾の薬莢です。

雷管は前よりも潰れていますね、でもまだまだマキシマムではありません。
この位の火薬圧力だと命中精度も充分出ていますし、弾頭の威力も充分です。
一応、この辺りが排莢もスムーズで一番使い勝手の良い装弾です。
グルーピングを確認してそこそこの命中精度ならこの辺りの所でOKとすべきでしょうね。

62gr
62gr

これは実験ですから火薬量をもう少し上げて行きましょう。
これが72gr装填した薬莢です。

雷管はかなり平たく潰れていますね、撃針の打痕跡の回りが盛り上がっていますね。
この盛り上がりは、ボルトの撃針と撃針穴の僅かな隙間に雷管が押し出されたために出来た盛り上がります、こうなると火薬圧力は高すぎ、排莢が困難になります。

72gr
72gr

火薬量をさらに増やして行きます。
これが74gr装填した薬莢です

雷管が完全に抜けましたね、これが文字通りの本当のマキシマムなのです。
この様に、実験の結果で比べると、データーブックで言うマキシマムとは13グレインの開きがありましたね。

これでローデングデーターのマキシマムは決して実態を表している事でないことがお解りいただけましたでしょうかね。

74gr
74gr

バーンズ弾頭は元々、近距離でマグナム装弾を使うために開発された弾頭です。
近距離で初速の早いマグナム装弾の弾頭を使うと、柔らかい弾頭だと初速が早すぎて獲物の体内で弾頭が破砕してバラバラになり、威力が激減するのを防ぐために作られた弾頭です、決して遠距離で命中精度を競うための弾頭ではありません。
マグナム装弾の弾頭は初速が早すぎるため、近距離で撃つと弾頭が獲物の体内でバラバラに崩壊します、丁度平手で叩いたのと同じ事です、平手よりも拳骨の方が痛いですよね、それはその方がエネルギーが集中するからです。そういう目的で最初の銅弾は作られたのです。
しかし、遠距離で撃つ場合はマグナム装弾の弾頭は丁度良い具合に弾頭が潰れます。

バーンズ弾頭はそうした目的で開発された弾頭で、決して日本の北海道の為に作られた弾頭ではありません。しかし、環境のために鉛弾を使わないと言うのは今や世界的な趨勢に成りつつあります。その為に銅弾であっても遠距離での命中精度も求められるように成りました。
最初は純銅のXBTと言う弾頭だけだったのですが、外側をテフロン、コーテングしたXLC弾頭が出来て、弾頭の初速を上げることで命中精度を向上させることになりました。
その後、弾頭の3本の溝を付けた新製品のトリプルショック弾頭が作られて、さらに命中精度が向上しました。
この弾頭の場合、100mで2cm以内、300mで5cm以内のグルーピングは可能です、もしどうしても命中精度が出ない場合は弾頭ではなくて別の要因だと考えた方が良いでしょう。

マッシュルーム弾頭
マッシュルーム弾頭

XBT弾頭は、弾の回りが全部ライフリングが食い込みます、その為ライフリングに食い込む抵抗が大きいのですが、トリプルショック弾頭の場合、ライフリングが食い込む部分、つまりドライビングバンドの面積がXBTより少ないのです、その為にライフルイングに食い込む抵抗がXBTよりも少なく、そのバランスの微妙な加減が思わないところで高い命中精度を出せる事になりました。また溝を設ける事により銃腔内の銅の付着、つまりカパーファウリングを減少させた事も命中精度を高めた要因だと私は考えています。
画像をご覧頂くと解りますが、弾頭はマッシュルームの状態で弾頭自体は全然崩壊を起こしていません、この状態で獲物の体内を貫通すると細胞に今までの弾頭には無い非常に大きな破壊を与えます。
ちゃんとした所に命中すれば大きな獲物でも一発で即死する事は間違いありません。

さて、改めてバーンズ弾頭の説明を付け加えますと、純銅で作られたXBT弾頭は弾頭自体に潤滑性はありませんから、同じ口径なら出来るだけ軽い弾頭を使うことにより初速を上げ、結果的に命中精度と破壊力を高めて使うには適した弾頭です。
30口径のマグナム装弾でも130grの様な超軽量の弾頭も多く使われています。
値段は1箱50発入りで¥4,200です。

XLC弾頭は弾頭自体に潤滑性があるので火薬量を増やして初速を上げて使うにの適した弾頭です、テフロン、コーテングしてある分値段も高く、1箱50発入りで¥4,700です。

私の一押しは、新製品のトリプルショック弾頭です、命中精度と獲物の破砕力は充分で一番使いやすい弾頭だと思います、ローデングデーターはXBT弾頭と同じと考えて下さい。
値段は1箱50発入りで、¥4,200です。

バーンズ、バーガー、シェラ、ノスラー、ホナデイ、等々いずれの弾頭を使う時でも、マキシマムロードは必ず雷管の潰れ具合で確認して下さい。
本当に本当のマキシマムロードは、リローデングデーターでは分かりません。
いずれにしても、本当のマキシマムロードは、リローデング データーに書かれているマキシマムロードより、数グレイン上であることは間違い有りません(キッパリ))
でも、ここまで「キッパリ」言い切って、後でトラブルを持ち込まれてもかなわないので、このコラムの最後は以下のフレーズで締めくくりたいと思います。

このコラムに書かれていることは全部真実です・・・・・・・・・なーんちゃって!

ハンドローディングの全て

2003年 7月 7日 築地
更新 2003年 7月 8日 築地

ライフル銃の性能を100%引き出すためには、装弾の性能が良くなければなりません。工場装弾の中にも、ラプアやフェデラルと言うような比較的命中精度の良い弾がありますが、これとてハンドロードの装弾の命中精度を超えるという事はありません。
何故ちゃんとした工場で作って、命中精度の良い装弾が出来ないのでしょう?
それは、全ての銃に最適な装弾というのは事実上作れないのです。
最適な装弾、それはその銃に合わせた特製の装弾でしか性能を発揮できないのです。
ライフル銃の銃身は、内径の公差±5/100ミリで作られます。
そもそも機械工作と言うのは必ず公差がつきものです、30口径、つまり7.62㍉を正確に加工しようとしても、必ず大きめに出来たり、逆に小さめに出来たりもします。
その公差が大きくてもプラス百分の5ミリ、小さくても百分の5ミリと言うわけです。
ですから同じメーカーの銃で、同じ銃身であっても厳密にはみんな微妙に内径が違うと言うことです。ですから同じ装弾を使っても内径の小さい銃身で撃てば、弾頭がライフリングに食い込む抵抗が大きくて火薬の圧力が高くなります。逆に内径の大きい銃身の場合、弾頭のライフリングに食い込む抵抗が少ないので火薬の圧力はあまり上がりません。
それぞれの銃身を初速で考えると、100フィート程度の違いでしかないでしょうが、命中精度には少なからず影響を与えます。日本で一番多く売られている装弾はレミントン、そしてウインチェスターでしょう。
これらの装弾は弾の威力、つまりエネルギーを重要視して作られているため、初速は早いのですが命中精度の視点から考えると少し問題があります。命中精度を重要視して考えると、少し初速が早すぎる感じがします。

世の中には装弾メーカーと弾頭メーカーがあることに着眼下さい。
レミントンや、ウインチェスターでは、弾頭メーカーの弾頭は使いません、全部自社製造です。弾頭メーカーは装弾は作りません。
しかし、レミントンやウインチェスターでは、薬莢も弾頭も火薬も雷管も販売しています。
普通に考えれば、大手メーカーが全部供給している訳ですから、弾頭メーカーは存在出来ないように思われるかも知れません、しかしアメリカには幾つもの大きな弾頭メーカーがあります。また究極の命中精度を競うベンチレスト射撃では、ほとんど家内工業の手作り弾頭が常に上位を占めています。
世間で命中精度が良くないと言われているバーンズ弾頭ですが、308ウインチェスターの場合、110グレインの弾頭を使い、4895の火薬を48グレインチャージすると、様変わりの命中精度が出ます、当然初速は3000フィートを軽く超えます。
この弾頭300ウインチェスターマグナムや、300ウエザビーマグナムに使っても効果があります。
しかしながら、困ったことにこの弾頭は今年から製造中止になりました、あまり買う人が居なかった為かも知れません。しかしマグナム口径なら130グレイン装弾でも命中精度は相応に出ますので試してみて下さい。
この様に理想的な装弾を作るには、自らリロードするしか方法がないのです。

ハンドロードの利点はそれだけではありません、むしろこれが最大の利点とも言えますが弾の値段が非常に安く出来るのです。
308ウインチェスターなら1発¥80程度、マグナム装弾なら1発¥100程度です。
装弾の値段が安いと言うことは、それだけ充分な練習が出来ると言うことになります。
射撃は弾数を撃たないと上手くなりません、それには弾代が安いことが絶対条件です。

さて、前書きが長くなりましたが、徹底的に説明するハンドロードなのでこうしたくどい説明があるのです。
くどくど書いているので読む方は大変でしょうが、書く方はなお大変です。
電話でもハンドロードの質問を受けることが多々ありますが、常識的な質問が少なくありません、そうした基本的な、そして常識的とも言える事に対して、わざわざ電話で聞かなくても解るように、出来るだけ子細に説明を試みようとして書いたのがこの記事なのです。

当社では、これ一式でいきなりハンドロードが始められると言う、ハンドロードのセットを販売しています。それはRCBSマスターリロードキット(¥59,000)とリーアニバーサリーリローデングキット(¥19,000)です。
値段が相当違うので、安い方はちゃんとリロード出来るのかと言う問い合わせがありますが、間違いなくちゃんとリロード出来ます。値段の違いはそれぞれのパーツの作り方の問題です、RCBSのプレスはスチール製ですが、リーの製品はアルミダイキャストです、また多くの部品がプラスチック製です。実用上ほとんど問題はないのですがプラスチック製の場合、火薬の定量を装填するパウダーメジャー等は、静電気を持った火薬がプレスチックの部分に付着して、指で弾いて火薬を振り落としたりする事もあります。
プレスはここまで強固にある必要は無いじゃないか! と言う思想で作られたのがアニバーサリーキットだと考えてください。しかし一生もんだからと言う考えならためらわず最高のRCBSを選択した方が良いでしょう。財布の問題と言うよりはハンドロードに対するスタンスの問題でしょうね、どちらを選ぶかは!

いずれのセットも薬莢を成型するダイスは付属ではありませんので別途にお買い求め下さい。このダイスは色々なメーカーで作られていますが、プレスに取り付けるネジ部分は全て共通です。
当社では以前はRCBSをメインに販売していたのですが、最近はレーデングをメインに販売しています、それはレーデングの方が材質が硬く、型持ちが良いからです。
シェルホルダーもレーデングの方が持ちが良いのですが、値段の問題で現在もRCBSを販売しています。

今回の記事はRCBSのセットをベースに話を進めますが、先ずはダイスの説明です。ダイスとセットで必要になるのがシェルホルダーです。
薬莢を保持する部分ですね、これは¥1,200です。

これは必ず必要な物ですからダイスを購入するときは忘れずに購入して下さいね。
シエルホルダーは色々な場面に使われます、プレスには当然使われますが、プライミングツールにも全て使われますので複数必要となります。

シェルホルダー
シェルホルダー

ダイスセットは通常2本のダイスがセットになっています。価格はスタンダード口径の物は¥5,000です。セットの内訳はフルレングスダイスと、シーターダイスです。
フルレングスダイスの役目は、薬莢の成形をすることと、雷管を抜くことです。
従って雷管を抜くためのデキャッピングピンが付いているのがフルレングスです。

ダイッスセット
ダイッスセット

フルレングスダイスからデキャッピングピンを取り外して見ましょう。
先端の白い金属の部分がエキスパンダーと呼ばれる部品です、この部品は薬莢のネックの内側を広げる目的があります。

デキャッピングピン
デキャッピングピン

この部分で薬莢を広げますので、ここに油を付けてないと薬莢を成形するたびに"ギギー"と擬音がする事になります。油を付けると言ってもわざわざコレを取り外して付けるのではなく、薬莢のネックの内側に少しだけ油を付ければ良いのです。
私は薬莢のネックの内側に少し付けますが、ブラシで付けても構いません。
しかし油を塗ると火薬を入れたときに火薬がここに付着します、付着しても弾頭を入れるときにちゃんと装填されますので問題はありません。
油の替わりに雲母の粉で出来た乾燥潤滑剤を付ける場合もあります。

乾燥潤滑剤
乾燥潤滑剤

次にエキスパンダーを取り外してみましょう。
デキャッピングピンが差し込まれていますが、コレを止めているのがエキスパンダーなのです、ですからデキャッピングピンが折れたりして取り替えるときはエキスパンダーを外して取り替えるのです。
このエキスパンダーの部分に超硬を使った物も販売されていますが、使用感はあまり違いはありません。別にこの部分は真鍮のネックを広げるだけなので別に超硬を使わなくても摩耗は発生しません。
デキャッピングピンをねじ込んでいくと、いくらか偏芯して入っていきますが、この偏芯は気にしなくて構いません。
エキスパンダーが薬莢のネックに入ると、強制的に薬莢のセンターに修正され、そのままプライマーホールに導入され雷管を抜きます、雷管が抜けないくらい偏芯していれば問題ですが、雷管が抜ければ何の問題もありません。

ピン
ピン

さて、このデキャッピングピンのアジャスト方法ですが、プレスにダイスをつけて成型します、デキャッピングピンがちゃんとした長さにセットされていないと、雷管は抜けません、デキャッピングピンを少しずつ奥に締め込んで行き、雷管が抜けたところでセットします。長すぎたからと言って特に問題は無いのですが、デキャッピングピンのピン折れの原因になります。
フルレングスダイスの取り付け。
プレスにフルレングスダイスを取り付けます。 このときにシェルホルダーとダイスの下端が隙間無く接触している状態が正常な状態です。

正常なセッテング状態
正常なセッテング状態

時折ネックサイザーの注文を受けます、ネックサイザーとはボデーは成型せずにネックの部分だけを成型するダイスです。しかしながらアメリカではほとんどネックサイザーの需要がないと見えて値段はこの2個のダイスセットよりも1本のネックサイザーダイスの方が高いのです。
何故誰も買わないのかと言いますと、フルレングスダイスのセッテングを少し変えるだけで簡単にネックサイザーになるからです。
先ず薬莢の形状をご覧下さい、如何なる薬莢も全てテーパーが付いています、薬莢を成形するときにダイスの中に薬莢を挿入します、そして少しずつ送り込んでいくと、先ずネックの部分を成形します、最初の挿入ではほとんどネック部分の成形なのです、そして最後の2ミリくらいでボデーの成形をします。ネックの部分はストレートなので先ずはネックの成型をするのです、そして最後の2ミリで薬莢のボデーはテーパーなのでここでやっとボデーの成型をするのですね。
では最後の2ミリを送り込まないとどういう事になるのでしょう。
"そうです、ネックだけを成形してボデーは成形しないわけですから、これはネックサイザーダイと同じ事なのです、お客様からネックサイザーの注文が有る度に、"私が何度もネックサイザーは要らないですよ、ネックサイジングはフルレングスダイスで出来ますと説明しても、依然ネックサイザーを買う人が後を絶ちません、そのため現在はネックサイザーダイスも置いていますが、これは全く無駄な買い物です!
画像をご覧下さい、こうしてダイスとシエルホルダーの間に2ミリの隙間を作ると、たったこれだけでフルレングスダイスはネックサイザーダイスに変身したのです。

ネックサイジングのセッテング
ネックサイジングのセッテング

薬莢をフルレングスダイスで成型する場合、必ず薬莢に油を付けなければなりません、通常はルーブリカントオイルと言う油をスポンジのパッドの上に染みこません、その上で薬莢を転がしながらボデー全体に塗りつけます。
これが一般的な方法ですが、油を付けすぎると油の逃げ口が無くなり、ショルダーの所が内側に凹む事があります。薬莢はこの常態で凹んだまま使用しても何の問題もありませんがその時は薬莢に塗る油は少し少なめにした方が良いでしょう。
ベンチレストシューターのほとんどは、ルーブリカントオイルではなく、リサイジングワックス(¥800)と言う製品を使っています。

リサイジングワックス
リサイジングワックス

これはルーブリカントオイルみたいにベタベタしません、それに使う量はごくわずかなので拭き取りも簡単です。使い方は指に塗ったワックスを薬莢に塗ります、パッドなどの上で転がしたりはしません、チョットだけ薬莢の上部に塗るだけです、上部にぬればダイスの中でワックスは下に伸びていくので結果的に薬莢全体に回るのです。
私もコレを使っていますが、出来れば皆さんにもお勧めしたい逸品です。

次に雷管の装着について説明します。
雷管の装着には色々な方法があります、RCBSのプレスには雷管を装着するパーツが付いていますのでそれを使うのも一つの方法です。これの利点はハンドプライミングツールを買わなくても言い替わりに、"ガクッ"と入ることや、スピーデーさに欠ける点にあります。
もう一つはリーのオートプライムを使う方法です、これはプレスの上にリーのオートプライムを取り付けて使う方法です、これの利点は微妙な力加減で薬莢がおかしく装填されたときには気が付くという点、欠点としては雷管の流れをスムーズにするため、時折トレイを指で弾いたりする事があります。

リーオートプライムもそうですが、RCBSのハンドプライミングルールのトレイも、同心円の○が幾つもあります。コレは何のためにあるかと言いますと、トレイの上に雷管を置いて左右にスイングさせると、薬莢は全て上向きにセットされます、これは円の端で雷管の端を引っかけて上向きにひっくり返すからです。
数分スイングさせると雷管は全て上向きになります。

リーオートプライム
リーオートプライム

あとはLPSを使った装着方法です。
これはあらかじめスリップに装着した雷管を利用して雷管を装填します、力のかかり具合も微妙に分かりますし、シエルホルダーがアジャスタブルのため、薬莢ごとに交換する手間がかからないことがありますが、スリップに装着する分二度手間になります。

LPSプライミングツール
LPSプライミングツール

しかし、最初からスリップ装着の雷管も販売されていますのでそれを使えば簡単ですがね。
一番多く出回っているのはハンドプライミングツールでしょう、これは手で持って使う分使い勝手が良く、雷管の流れも簡単に調整できます。

RCBSハンドプライミングツール
RCBSハンドプライミングツール

次に火薬の装填ですが、これにはパウダーメジャーを使います。
私個人はレーデングのパウダーメジャー(¥25,000)を使っています。
調整のダイヤルに目盛りが付いているので、微妙な調整が可能です。

レーデングパウダーメジャー
レーデングパウダーメジャー

パウダーメジャーの下に長い透明のチューブが付いています、これは同じ量の火薬を装填した時、ネックからこぼれる様なときでもちゃんと圧入されるのです。
「え、ネックからこぼれる位装填する?」そうです、ちゃんとした命中精度を出すためにはそうした装填も必要なのですが、それは後で説明します。

タンブリングチューブ
タンブリングチューブ

パウダーメジャーでセッテングした火薬が何グレインか調べるためには、デジタルスケールを使います、勿論付属のリローデングセットにも天秤のスケールが付いていますのでそれを使っても構いません。しかしながら海外に遠征に行ったときはこうした電気製品は使えませんのでその時はパウダースケールの目盛りを目安にします。

デジタルスケール
デジタルスケール

アメリカの大会に行くと、射手同士が火薬を何グレインと言う替わりに、目盛りでいくつと言う言い方をしていますので、それに慣れれば結構重宝です。
パウダーメジャーとセットで使われるのがパウダートリックラーです。

パウダートリックラー
パウダートリックラー

これはトリックラーのダイヤルをクルクル回すと、火薬が数粒ずつ送られて0.1グレインの計量が可能なツールです。お客様から注文がある度に、パウダートリックラーは必要ないですよと説明していたのですが、あまりに注文する人が多いので現在は在庫で置いて販売していますが、はっきり言って必要のない道具です。
確かに0.1グレインずつ計量できるのですが、ハンドローデングの場合0.5グレインの誤差は全く着弾に影響しません。
念のために今年開催されたベンチレスト射撃、カクタスシュートのローデングの現場写真をお見せします。

カクタスのローディング現場
カクタスのローディング現場

ベンチレスト射撃は究極の命中精度を競う大会ですから、みんな最先端の技術を持って大会に参加しています、画像を見て貰うとお解りいただけますが、誰もデジタルスケールやパウダートリックラーを使っていないのがお解りいただけるでしょうか、全員がパウダーメジャーだけです。これで私の言うことがご理解頂けたでしょうか。
お客様からの注文があれば、黙ってトリックラーを売れば良さそうなものですが、「お客に不必要な物は売らない」と言うのが私のポリシーですから致し方ありません。
こうしてわざわざ説明して注文が来ないように努力しているのです。

さて、弾頭のシーテングですが、シーテングダイスを取り付け、弾頭を手で押さえながらゆっくり弾頭を押し上げていきます。
弾頭が薬莢に挿入されるときには、ほんのわずかな抵抗が在りますのでそれを「感じて」下さい。何故感じることが必要かといいますと、それを感じないような荒っぽいシーテングをしますと、装弾のショルダーの部分が外側に変形します、見た目では気づかないほどのわずかな変形ですが、コレを自動銃などに使うと、間違いなく薬室で噛みこんで装填するのも排莢するのも出来なくなってしまいます。ご注意下さい。

シーテングダイス
シーテングダイス
装弾の変形
装弾の変形

弾頭をシーテングしたときに、多くの皆さんが気にされるのはその長さです。
ローデングブックに細かい寸法が書いてある物があるので、気にされているのだと思いますが、はっきり言って「この寸法はどうでも良いのです」弾倉に入る長さであればいくつでも構いません、自動銃の場合はちゃんと回転する長さが最適な寸法です。
装弾の全長はデーターブックの寸法に惑わされる必要はありません。
それと同じようなレベルですが、薬莢の寸法を調整するケーストリマーも必要ありません。
私は308ウインチェスターを使う時は一度もケーストリマーを使用したことはありません。
銃器を作っていた立場で言いますと、薬莢の先端と薬室の寸法の部分は2ミリ程度のクリアランスがとられています、従って薬莢が2ミリ伸びても実用上は何の問題もないのです。
少なくとも薬莢が伸びて装填不良になったという事例はほとんど聞いたことがありません。新型のRCBSマスターリロードセットから、このケーストリマーが除外されましたが当然の事と私は思います、しかしながらネックターニングしたり、几帳面な性格の方はケーストリマーを使われるので一応在庫はしてあります。(¥18,000)

弾頭をシーテングしたとき後に、間違った弾頭を付けた、あるいは火薬を間違えた、その他色々な理由で弾頭を抜かなければならないこともあります。
相当数の弾頭を抜かなければならない場合は、ブレットプーラーを使うと良いでしょう。

ブレットプーラーはプレスに取り付けて使います、ブレットプーラーは(¥4,300)弾頭によって内径の違うコレットが必要ですが、コレットは(¥2,800)です。

ブレットプーラー
ブレットプーラー

ブレットプーラーにはハンマー式のキネックブレットプーラもありますが私は推奨しません(¥3.950)何故なら1回では抜けなくて最低2回叩かないと抜けないのと、結構な音がすると言うことです。
あまり大量の弾頭を抜かない場合は、弾頭をペンチで保持して、シェルホルダーで保持した装弾を下に下げると簡単に抜けます。これならブレットプーラーを使わなくても簡単ですからお試し下さい。

弾頭をペンチでつまむ
弾頭をペンチでつまむ
そのまま薬莢を下げる
そのまま薬莢を下げる
抜けた弾頭
抜けた弾頭

次に油を付けないとフルレングスダイスに薬莢が焼き付きます。
無理して薬莢を抜こうとするとリムがかけてしまいます。そうしたケースを抜くのがスタッグケースリムーバーという道具です。
簡単に説明すると、焼き付いた薬莢にドリルで穴を空けて、それにタップを立ててネジの力で取り外そうという訳です。
所がこの部品は¥4,300するのです、それなら最初から新品のダイスを買った方がお買い得です、時折フルレングスダイスだけと言うご注文が有りますが、残念ながらどこの会社もフルレングスダイスだけの販売はしておりません。

さて次にローデングに実際について説明してみましょう。
ローデングブックを開くと、使用する弾頭と火薬、何グレインチャージすると初速がいくつになると書いてあります、またこれ以上入れてはいけないと言うマキシマムロードも書いてあります、しかしながら色々な会社のローデングデーターを比較すると、その数字は微妙に違っています、従って本当のマキシマムは自分で調べるしかないのです。
火薬量を1グレインずつ増量していくと雷管が徐々に潰れてきます、マグナム口径の雷管などマキシマムでなくても平たく潰れています。
スタンダードカートリッジでマグナム装弾並みに雷管が潰れていたら一応それは限界の一歩手前くらいの領域です、それ以上火薬を増量していくと撃針痕の周りにクレーターと呼ばれるバリがセリ出てきます、これはもう限界です、このあたりが事実用のマキシマムロードです、これから薬量を少し減して使用されれば良いでしょう。

先程パウダーメジャーの所で、透明チューブの話をしました、透明チューブを使うと薬莢のネックからあふれる火薬でも、ある程度圧入出来るのでネックぎりぎりで装填できます。
ネックの上ぎりぎりまで火薬が有れば、どう見ても弾頭の底部で火薬を圧入すると言うことになります。火薬を弾頭の底部で圧入すると言うと、たいていの人が「大丈夫ですか?」と怪訝な顔で尋ねられます。
重たい弾頭を撃つときは火薬量が少なくなりますが、軽い弾頭を撃つ場合は多くの火薬を装填します、と書きましたが、これは誤記では在ありません、でも常識で判断するとちょっと意外ですよね、重たい弾頭の場合は火薬を増量し、軽い弾頭の場合は火薬を減量してと言うのが一般的な考えかも知れませんが、軽い弾頭の場合初速が早くなるので火薬の量を増やさないと燃焼が追いつかないのです。そのため308口径の場合、125gr程度の軽い弾頭の場合、火薬量はネック一杯まで来るのです。

スピアーのデーターを参考にしましたが、ローデングデーターをお見せしますのでご覧下さい、薬量の右にCと書いてあるのはコンプレシードロード、つまり火薬を圧入すると言うことなのです。火薬は圧入しても安全なのです、勿論燃焼速度も変化しません。

コンプレシードロード
コンプレシードロード

ターボタンブラーです。(¥19,000)
薬莢を研磨する機械ですが、モーターの振動で薬莢とメデア(トウモロコシの芯を砂状に粉砕した物)をタンブラーの中で擦り合わせ汚れを取り除く装置です。
通常は10時間くらい連続運転するようお奨めしていますが、私自身は24時間かけっぱなしにしています、いくらかけすぎても薬莢の寸法がマイナスする事はありません。
308ウインチェスター薬莢なら1回で200個磨けます。

タンブラー
タンブラー

何故薬莢磨きを推奨するかと言いますと、カーボンの付着した薬莢を使うと、そのカーボンが薬室に付着して薬室が荒くなってしまうからです、ボルトアクションの場合排莢不良になることもあります、スライド式ライフルですと薬莢の張り付きになります。自動銃ですと回転不良の原因にもなります、そうした理由から薬莢を使った後は必ずタンブラーでクリーニングすることを推奨します。

タンブラーでクリーニングした後は、セパレーターと呼ばれる、振るいにかければメデアは簡単に除去できます、メデアを入れるバケツまで付属で付いています。
タンブラーには、メデア、セパレーター、バケツ、そしてメデアに入れるクリーナーまで付いてます。

セパレーター
セパレーター

ハンドロードを始めよう

2001年10月17日 築地
更新 2001年10月19日 築地

最近は軍用実包が大量に日本のマーケットにも流れてきているので、結構安い値段で完成実包が購入できるようになった、最も308ウインチェスターだけに限った話で、他の実包は別に安くなってはいないが、それでも308の場合は、1発¥100位であろうか、ラプアなどの命中精度の良い弾でも、100発まとめれば1発¥150で買えるそうで、なかなか良い時代になってきた。
しかしながら308以外の弾は相変わらず高い、ウエザビー系統の弾は1発¥500近くする、ハンドロードで造れば1/4位の値段で出来ることになり、ハンドロードの経済性は卓越していることになる。

308が¥100で買えたとしても、私自身は308でも全てハンドロードで作っている、それは命中精度の良い弾を作るにはハンドロードが唯一の方法だからである。
軍用の308実包は、できたての弾でも、アメリカではわずか1発¥30で買えるのである、賞味期限の過ぎた古い弾ならわずか1発¥10である、これを日本では¥100~¥150で売っている訳だからこうした経済実体が解ると余りありがたがってもいられない。

軍用弾頭はその特性上、自動小銃、または機関銃に使用される、また全天候で使われるため防水処理が施されている、弾頭と薬莢はピッチの様な溶剤で接着してある、これにより湿気の侵入と、弾頭が機関銃などの振動で弾頭が動かないようにしてある、また弾頭が接着してあるので抜弾抵抗が強くなり初速は通常の物より100フィートくらい加速される、しかしその分抜弾抵抗のばらつきがあるため、命中精度から言うと良い結果は得られない。

はやい話、いくら軍用弾頭が¥100で買えるからと言って、同じ値段ならハンドロードの方が絶対にお勧めである。
308の場合、薬莢は1発¥38である、フルパワーをかけても最低15回は使える、仮に15回で廃棄したとしても1回辺りの原価は、¥38÷15回=2円50銭ということになる、弾頭が¥45,火薬が¥40、雷管が¥13として計算すると、大体¥100見当で収まることになる。
勿論、30-06でも、270でも、概ね同じような値段で出来る、マグナムの場合、薬莢の値段が¥75,火薬は¥100~¥150分くらいは使うだろう。
薬莢の値段は¥75でも、マグナムの使用回数はせいぜい3回である、3回使うとマグナムの薬莢は必ず切れる、もし3回で切れないマグナム弾なら、逆に言うと、全く初速が出ていないことになる、初速が出ないマグナムならばマグナムの意味がない、それなら30-06で充分である。だから3回で薬莢が切れるマグナムは正常なのである、3回以上使えるマグナムが異常なのである。

あまり使う人はいないが、6ミリPPCなどの特殊な弾の場合は、ハンドロード以外で製造する方法はない。

RCBS社から、マスターリロードセットと言うハンドロード機材が¥59000で売られている。これ以外に必要な物は薬莢を成形し、弾頭をセットするダイスセットが必要になる、ダイスセットはほとんどの口径の物が¥4500である。
それに薬莢をくわえるシェルホルダーが必要になる、これは¥800である。
さて、マスターリロードキットを購入すると、これをセットする机が必要になる。
出来れば専用の机にボルトでプレスを止めるのが一番理想的であるが、家庭の事情でそうもいかない場合は、机にCクランプで止めると言う方法もある。
Cクランプは1個¥500~¥1000で買える、これが2個あれば充分しっかり止めることが出来る、自宅以外でハンドロードする場合は、簡単に移動できる便利な方法である、弾を作るのには、必ずしも自宅で作らなくても法律違反ではない、
私のハンドロード機材を見て貰うと解るが、RCBSのロックチャッカーは机に据え付けであるが、これ以外に携帯用のプレス2台を使っている、海外にベンチレスト射撃の遠征試合に行くときは、現地で、そこの気候に合わせたリロードをする必要から携帯用のプレスを持参して、現場でリロードするのが常識なのである。
日本では多くの射撃場がハンドロードを禁止しているので、射撃場ハンドロードする場合は事前に確認しておく方が良いだろう。

工具一式
工具一式

ネックサザーとは、薬莢全体の成型をしないで、ネックの部分だけをリサイズするダイスであるが、ネックサイザーを購入するほとんどの人が、ネックサイズだけでリサイズした方が命中精度が良い、あるいは薬莢の保ちがいいと考えているようであるが、ネックサイズだけでリサイズしていると、薬莢が大きくなり、何時か薬室に入らない時が出てくる恐れがある、それと、フルレングスサイズをかけても308なら20回程度は使えるので特段薬莢の寿命に影響がある訳ではない。さらに説明するならば、どうしてもネックサイズを使いたいと言うのであればフルレンズスダイスを使い、最後の2ミリ位、クリアランスを付けて押し込めば、ネックの部分は成型し、ボデーは成型しないと言うことが出来る。ネックサイズだけならこれで充分効果を果たせる。この様にネックサイズダイスを購入する人は極めて少ないので、現在では、2個セットのフルレングスダイスセットよりも、1個しかないネックサイザーの方が値段が高いという逆転現象が起きている。

ダイスセット
ダイスセット

さて、ダイスのセッテングであるが、フルレンズスダイスをプレスにねじ込んでいく。

ダイスの適正位置
ダイスの適正位置

ダイスの下端と、シェルホルダーが接触するようにセッテングする。

ダイスのセット
ダイスのセット

ダイスの位置が確定したら、ダイスに付けてある外ねじリングを回してリングの位置を決める、そのリングが動かないように6角レンチで止める、これで次回からダイスをセットするときは何時も同じ位置にセットされることになる。

ダイスの位置決め
ダイスの位置決め

マスターリロードセットを購入すると、リザイジングオイルと言うのが付属で付いている、これをパッドと呼ばれるスポンジの上に塗り、その上で薬莢を転がし、薬莢全体に油を塗る、この油塗りの作業を怠ると、薬莢成形のフルレングスダイスに薬莢が焼き付いて抜けなくなる。
油塗りは絶対に忘れてはいけない作業である、油は外側に塗ると同時にネックの内側にも塗るのを忘れてはいけない、薬莢の成型は、ネックの内径と、薬莢の外形、この両方を同時成型するので両方に油を塗る事が必要なのである。
油は塗りすぎても弊害は無い、せいぜいショルダーの所が溜まった油で内側に凹むくらいで、凹んだ所で何の問題もない、むしろ塗り足らなくて焼き付いた場合はそのダイスは廃棄するしかない、(焼き付いた薬莢を取り除くスタッグケースリムーバーと言う工具も¥3800であるが、ダイスセットを改めて¥4500で購入する方が、面倒が無くていいかも知れない)

サイジングワックス
サイジングワックス

付属のリサイジングオイルよりも、私はリサイジングワックスの使用をお勧めする、この1缶で普通の使用頻度なら1年は持つはずである、このワックッスは必ず手で塗るので不必要に多くの油を塗りすぎることがない、使い勝手が非常に良いのでお勧めの商品である。
価格も¥1400とお手頃価格である。
私がこれを知ったのはアメリカのベンチレスト射撃大会に参加したとき、参加選手全員がこれを使っていたので早速試してみた結果、お勧めしているのである。

フルレングスとシェルホルダーはクリアランス無しで取り付けると書きましたが、弾頭をシーテングする、シーテングダイスの場合は2~3ミリ、クリアランスを空けてください、そうしないとシーテングダイスの場合は、マウスの先端をクリンプすることになります、クリンプとは軍用弾頭の用に、弾頭に溝の入っている弾頭を保持するために薬莢の先端をわずかに内側に折り曲げる事を言います。

通常の弾頭を使うときはクリンプをすると命中精度が悪くなります。

フルレングスにかける
フルレングスにかける
ケーススタンド
ケーススタンド

さて、通常ならこれから次のリローデングステップに入る所であるが、実際にはここで薬莢をターボタンブラーにかけて薬莢の研磨を行うのである。
薬莢の研磨は、同時にリザイジングオイルの除去を兼ねるので、フルレングスサイズしたあと必ずターボタンブラーで研磨することをお勧めする。
ターボタンブラーは¥19000である。
タンブラーで研磨する時間は最低でも6時間くらいは必要である、24時間かけっぱなしでも大丈夫である、1~2時間では全く効果がないのでご注意を。

タンブラーで研磨
タンブラーで研磨

研磨が終わった薬莢に雷管を取り付ける、雷管を取り付けるには、ロックチャッカーに付いているプライミングツールを使う方法もあるが、あまり使い勝手が良くないので、RCBSのハンドプライミングツール(¥3800)を使うか、リーのプレス用のオートプラアイムを使うか、いずれかの方法をお勧めする。
私はリーのオートプライムをプレスに取り付けて使用している、価格は¥3800である。

リー オートプライム
リー オートプライム

リーオートプライムのセッテングは、プライミングトレーと呼ばれるトレーの上に雷管を乗せて左右に細かく揺する、さらに小さな同心円の溝があり、ここに雷管の角がひっかかり、しばらく揺すると全ての雷管が上向きに整列する、この状態でふたをしてオートプライムに取り付ける。

雷管のセット
雷管のセット

このプライミングツールはプレスに取り付けて使用する。シェルホルダーに薬莢を取り付けてプレスのレバーを押し下げると、雷管がセットされることになる。

雷管取り付け
雷管取り付け

次に火薬の装填である、パウダーメジャーのレバーを1回上げ下げすると、規定量の火薬が出てくる、それをデジタルスケールのトレーで受け、デジタルスケールで計量する。

火薬のセット
火薬のセット

マスターリロードキットには天秤のはかりが付属で付いているが、デジタルスケールの方が使いやすいので、私はこれを使っている、デジタルスケールは¥25000である。

デジタルスケール
デジタルスケール

デジタルスケールで計りながら、パウダーメジャーの目盛りを調整して規定量の火薬のセッテングが出来たら、全ての薬莢にパウダーメジャーから装填する。

火薬を入れる
火薬を入れる

精密射撃を目指すあまり、パウダーメジャーで計量した火薬を再度デジタルスケールで計測し、パウダートリックラー(¥3800)を使い、火薬の微調整をしながらより正確な火薬計量を目指す人もいるが、実は火薬量を細かく計量してもあまり命中精度にから言うと意味はありません、少なくとも0.5グレイン程度の誤差は無視してもかまいません。
命中精度と火薬の因果関係は、どの種類の火薬を、どのくらい装填するかで決まります、火薬量の正確さではありません。それと一般論ですが、弾のスピードは早いほうが命中精度からは良い結果が得られます、ハンテングに使う場合でも初速が速いと言うことは絶対条件ですから、リローデングの場合、遅い弾より、速い弾を作るように心がけて下さい。

火薬を装填したら次は弾頭のセッテングです。

プレスにシーテングダイスを取り付け、弾頭を薬莢の上に置いたまま、ソーッとハンドルを押し下げます。
この時、特に注意しなければならない事として、弾頭が薬莢に挿入される時、ゆっくり挿入するようにしないと、ガツン、と弾頭を薬莢に押し当てると、薬莢のショルダーの部分が外側に張り出してしまい、見た目では解らなくても、銃に装填したときに装弾が薬室に装填できないと言うアクシデントに見舞われることになります。
ですから、この作業は出来るだけ丁寧に作業するように心がけて下さい。

弾頭のセット
弾頭のセット

これで、装弾の完成です、長文をお読みいただきお疲れさまでした。

装弾の完成
装弾の完成

これでリローデングの説明は終わりですが、マニアックな方のために少し追記しておきます。

多くの方から装弾の長さは? と質問されることがありますが、ハンテングライフルの場合、弾倉に入る長さが適正な寸法です。
装弾が弾倉から薬室に送り込まれるとき、場合によっては薬室の入り口で引っかかる事があります、これは使用する弾頭が尖ってるか、丸くなっているかでも違いますが、弾頭の長さを調整することで改善されることもあります、この場合トラブルの起きない弾頭の長さが適正な寸法と言うことが出来ます、ハンテングライフルの場合、装弾の長さはこういう事を基準に判断して下さい。
よく、ライフリングにタッチする、ランドタッチの寸法が最良だと言う人も居ますが、ハンテングライフルでランドタッチの弾を作ると、とてつもなく長い弾になります。
とうてい弾倉には装填できないし、必ずしも命中精度は良くありません。

命中精度を競うベンチレスト射撃専用銃の場合、ライフリングのスタートがかなり薬室の手前にあるのでランドタッチで作ることが出来ます。
火薬も雷管も入れていない状態で弾頭だけを長めにセッテングして、それを強制的に装填してボルトを閉鎖すると、弾頭はライフリングの所で止まっているので弾頭は薬莢の中に無理矢理挿入されることになり、そのまま抜き出せばそれが正しくランドタッチの寸法になります、これを専用のジグを使ったノギスで計測すると寸法を計測できます。

この基準弾頭を0として、いくらランドタッチから引くかを決めます。
私はランドタッチから0.5ミリ程度引いた寸法でリロードしています。
ランドタッチと命中精度の因果関係はまだ解っておりませんが、わずか0.5ミリでも、ランドタッチさせるか、させないかで初速が変化します、ランドタッチさせると初速が遅く、ランドタッチさせないと初速は速くなります。
火薬が燃焼するとき、0.5ミリ弾頭が動くだけで、火薬の息使いが出来ると言いましょうか、火薬が良く燃えるようになります、実に不思議な現象ですが現実です。

長さのチェック
長さのチェック

ベンチレスト射撃の世界では、命中精度を高めるためネックターニングと言う作業をします、これは薬莢のネックはミクロの単位で言うと、必ずしも真円でないから、薬莢の軸線に合わせて外形を真円に加工する作業を言います。
少しずつ削ると最初はマウスの一部だけが削れます、これでマウスが真円でないことが簡単に理解できます、こうして削る作業をネックターニングと言います。
そうして削った薬莢は通常の薬室ではネックの寸法がぶかぶかになります、そのため最初からネックターニングした薬莢を使うことを前提として薬室を加工した物を、タイトネックチャンバーと呼びます、これはネックの部分があらかじめ小さめに出来ています、ネックターニング加工をして初めて装填できる薬室です。

ブッシングダイスのセット
ブッシングダイスのセット

こうしたネックターニングして小さめに出来たネックの薬莢を通常のダイスで成型してもネックの寸法が小さいので全く成型が出来ません。そのためネックの部分だけさらに小さな寸法で成型出来るように、ネックの部分だけを交換できるようにしたのがブッシングダイスと呼ばれる物です。
ネックサイズに合わせて色々な寸法のブッシングが売られています。

ブッシングの色々
ブッシングの色々

ベレッタ451 EELL

2003年 1月30日 築地

鉄砲自慢もいよいよネタ切れ! これで最終回です。
チッ、たった4回、そうです、そんなに自慢できる銃がある訳無いじゃないですか。

で、今回は水平2連銃、ベレッタ451、EELLです。

全体図
全体図

この銃の購入目的は当然狩猟用なのですが、現在のように狩猟鳥が劇的に減少している昨少なくとも東京周辺ではバードハンテングは事実上出来ないのが現実です。
しかしながら、当、ファーイーストガンセールス社の前の小川には、鴨が何羽も居着いているのです。当社に来社されるお客様の多くが、 "鴨が居ますね" と笑顔で言われるのですが、その度に "撃っちゃ駄目ですよ" とたしなめています。
田園調布の町中で撃てば、間違いなくテレビ放映され、翌日の新聞を飾るのは目に見えていますからね。北海道の競馬馬誤射事件より最も大問題になるでしょう。

川と鴨
川と鴨

私自身は終日ハンテングで歩き回っても、狩猟鳥と遭遇するのは希有な事なので声を掛ければ100%間違いなく飛び出す、クレー射撃で楽しんでいます。
この水平2連、購入したのは新品ではなく中古銃です。前の持ち主は柳田佳久さんです。何冊もハンテングの本を書かれているのでご存じの方も多いと思います。
お年も70以上になられていますのに、私よりは若く見えます。そろそろ鉄砲も整理したいと言うことで私は氏のお持ちだった水平2連銃を分けて頂きました。
水平2連銃ですと、ストレートグリップの両引きであるべきだと見識のある方は言われるかも知れませんが、射撃用として使いますと、ビバーテイルの単引きで、ピストルグリップと言う取り合わせが最適です。氏の銃もそのスペックだったのでためらわず分けて頂きました。ただし厚着した中で振り回しよく使えるように銃床はかなり短めです。
私はどんな鉄砲でも文句を言わずに使うと言うスタイルですので、外見が汚くなるような銃床の継ぎ足しはしません。
銃床にはレコイルパットもバットプレートも付いていませんので、知らない人は、これは"安物"か? と思われるかも知れませんが、高級銃と言うのは実はレコイルパットもバットプレートも付いて無く、木部に直接チェッカリングを切ってあるだけなのです。

銃床銃尾
銃床銃尾

銃床と機関部を取り付けるネジ穴の蓋も、同じ材質の木で作り、それを挿入してあるだけです。勿論こうした、レコイルパットもバットプレートも無いと言うのは狩猟用、あるいはスキー射撃用に限ったことではありますが。
当然、ジェームズパーデイも、こうしたロンドンガンと言われる高級銃にはレコイルパットもバットプレートは付いていません、少し安くなると水牛の角などで作ったバットプレートを付けていることもあります。
あるいは金属で縁取りしたバットプレートを取り付ける事もありますが中心部はあえて木部を露出させます。
以前に当社で販売したFN-のMモデル、つまりFNでは最高級のモデルでサイドプレートのタイプの物ですが、スキート用の銃にはレコイルパットが付いていませんでした。
この様に最高級の狩猟銃にはレコイルパットは付いていないのが本当なのです。

ベレッタの彫刻には舌を巻く事があります、繊細な彫刻と言う以前に、手彫りでも無いのに手彫りに見せる技術が格段に優れているのです。
ベレッタの上下2連、687とか、687EELLモデル等の彫刻は多くの人が手彫りだと思っているのでは無いでしょうか? だから高くても仕方がないと考えて居られると思います。
当社のカタログにはベレッタのこうしたシリーズは掲載しておりません、何故ならスタンプ、およびエッチング処理なのに手彫りと同じくらい、ぶっ高い値段だからです。
スタンプといえば、プレスを使って型押しするだけのことです。
エッチングと言うのは写真製版の技術を利用して加工面に写真焼き付けしたものを酸で溶かして模様を付ける方法です。これらの銃はベレッタにとっては相当利益率の良い銃でしょうが、逆にお客様にとっては非常に割高な銃なので私は取り扱って居ないのです。
しかしながらこれが手彫りだと誤認しているお客様にっては満足度の高い銃かもしれません。最もコーナーの縁取りなどは手彫りで彫っているのでなかなか素人目には見極が難しいのです。私の451 EELLは手彫りです、手彫りかどうかの確認をするには、私は彫刻の表面を顕微鏡で見ます、顕微鏡で見てタガネの後を子細に確認するのです。
そうしないとなかなか手彫りかエッチングか見分けが難しいのです。
でもスタンプ彫刻は、線の脇が盛り上がりますので簡単に視認できます、それに第一、タガネの痕はありません。

水平2連と言うと多くの人が、上下よりも安いと思われているかも知れません、しかしながら、ちゃんと作るとむしろ上下2連より手間がかかるものなのです、現実問題、上下よりも安い値段で売られている水平2連はそれなりに手抜きをして作られています。
ちゃんと作った銃は例外なく、上下よりも高い相応の値段をしています。
ジェームズパーデイ等はその代表でしょうか、メルケルも安い値段で水平を作っていますが、彫刻も含めてそれなりに手抜きをして作っています。
しかしながら世界的な傾向ですが、水平は上下よりも安い! そう言う常識があるのでどこの会社も水平2連銃は作らなくなりました。
水平2連銃の特徴は、軽いと言うことです。ペラッチのコラムでも書きましたが、最近は妙に軽い射撃銃を欲しがる人が多いのですが、そんなに軽いのが良ければ水平をお使いなさいと言いたくなります。 私の水平は3.2キロ、銃身重量は1.4キロです。
軽い水平を使いますと、成る程と言えるくらいスイングは楽になります、軽い銃を欲しがる理由も解らなくはありませんが、軽ければ軽いで、銃身が走りすぎる傾向もあり、なかなか一長一短です。水平で射撃と言うのは無理があるのではと多くの方が思われると思いますが、殆ど上下と変わらない位に撃てると思います、私が水平で当たらないのは、単に下手なのと単に外の銃を使いすぎるからに外なりません。勿論、殆どの水平が狩猟目的で作られていますのでベンドが深く、プルレングスも短いので使い勝手は良くありません。
従って、上下2連銃と比べますと、狙点はかなり上になります。
勿論、リブの水平面とするとそれなりに銃身は上向きになっては居ますがね・・・
クレーの狙いについては水平銃身の中心でとらえるのでかえって中心を明確に視認できると私には思えます。水平2連銃の射撃で絶対的に必需品なのは、手袋です! これがないと銃身の熱で触れません。私の銃はビバテイル銃床なのでまだ良い方ですが、これが正統派のイギリスタイプですと、ほとんど銃身を持って撃つようになりますので、手袋がないと銃身の熱で10発以上続けは撃てないはずです
ビバーテイルと書きましたが、これは文字通りビーバーのテイル、つまりしっぽみたいな形状をしたと言う意味です。
こうした形状の先台も、こだわりのある水平フアンからしますと、邪道と言う事になるのかもしれません。

ペラッチのコラムでも書きましたが、銃の値段によって材質の違いは無いと断言しましたが、この銃身にはボーラースチールと打刻してあります、いわゆるボーラー鋼使用という訳です。打刻はBORERですが、この会社はオーストリアの会社でドイツ語圏ですので正確にはOの上にウムラウト、つまり点々がつきます。

銃床先台
銃床先台
銃身刻印
銃身刻印

発音も、ボーラーと明るく発音するのではなく、少し濁ったような発音になりますね。

ボーラー鋼と言うと何か特別の鋼材みたいに思われると思いますが、ボーラー製鋼所製のクロームモリブデン鋼材で、通常銃に使われるクロームモリブデンと違いはありません。
しかしながら、昔のボーラー社は非常に優れた鋼材を製造していたのです、何よりも不純物が極めて少なく、鋼材の均一性を最大の特性としていました、従って値段も通常の鋼材の倍以上もしていたのです。40年くらい前は、ボーラー鋼材で作ったプレスの金型は型持ちも良かった様です、ボーラー社の刃物鋼材も結構日本に輸入されていた筈です。私も入手したことがあります。しかしながら日本の製鉄技術が向上するに従い、ボーラー鋼材の特異性も無くなり、現在はボーラー鋼材使用と、あえて宣伝している銃器メーカーは皆無になりました。
現在の銃砲はすべてボーラー鋼材と同じレベルの材料が使われているはずです。
同じように30年くらい前までのドイツでは、クルップ製鋼所で作られたモリブデン鋼材を使った物は、スペシャル、クルップスチール等と刻印した物もありましたが、これらの刻印はとっくの昔に無くなりました。

昔の銃は、射撃でも32グラム装弾が普通でしたので、水平2連には耐久性の問題から35グラム以上は使ってはいけない、等と言われていました。
ですから、銃身のロッキング、いわゆるダボが1個の物は安物、2個ある物は高級銃と言う言い方がありました、メルケルや、一部のロンドンガンはクロスボルトも備えています。しかしながら、現在の射撃のように24グラム装弾しか使わない場合は、水平2連銃は耐久性に気兼ねなくなくどんどん撃つことが出来ます。
水平2連銃で強い弾を撃ち続けると、機関部と銃身の間にクリアランスが発生します。
クリアランスがある場合、銃口から覗くと機関部と銃身の合わせ目の所から僅かに光が差し込むのでそれが視認できます。
昔はこうして寿命を判断していました、しかしながら使えないというレベルではありません。まあ、鉄砲屋さんがお客に買い換えを勧める手段だったのかもしれません。

EELLのサイドロックには、ピンが4本あります、つまり中のパーツの支点は4個と言うことですが、私が昔上司から教わった話では、サイドロックのピンは最低でも7本無いと良いサイドロックとは言えないと教えられたことがあります、その理屈からすると、この銃のサイドロックはあまり高級な出来ではないと言うことになります。
機関部のブリーチ面を見ると、撃針は表から取り外せる様に出来ています。
現在のミロクの方式と同じですよね、どちらかがアイデアをパクッたと言うことですが、一体どちらが先に出来たんでしょうね? 興味はありますが調べる元気はありません。

ブリーチ面
ブリーチ面

最後に451 EELLの彫刻をお見せしましょう、上下、左右とも繊細な唐草が掘ってありトップレバーには透かしも入っています。

彫刻 1
彫刻 1
彫刻 2
彫刻 2
彫刻 3
彫刻 3

今回もまたガンケースの話をしますが、ベレッタの水平を入れているガンケースは非常にコンパクトに出来ています、水平だからこういうサイズと言うのではなく、参考までにFNのD-4を収納してみます、これは銃身長30インチですからこれ以上大きい物は無いのですがちゃんと収納できます。このガンケースも例によってイタリアのEmmebi snc社です。ホームページもあるので一度覗いて見てください。アドレスは以下の通りです。
http://www.emmebi.it/

ガンケース
ガンケース
ガンケース内部
ガンケース内部

ブローニング D-4

2003年 1月27日 築地

最近は全然ブローニングが売れません。
一昨年、ブローニングのD-5を売ったきり、引き合いもありません。

銃の全体図
銃の全体図

基本的にミロクもブローニングも同じなので、わざわざ値段の高いブローニングを買う必然性が見あたらないのがその理由でしょう。
確かに、ブローニングのA,B,C,はミロクと大差ありません、しかしながらDグレードはちょっと違います。私が最初に自分のDグレードを手にしたとき、あまりにも開閉が緩いのでまるで中古銃であるかの様な印象を受けました。
しかしながら中古銃か新銃かの判断くらいつきます。紛れもない新銃なのですがトップレバーをひねると銃身の重みで中折れ部分が自動的に折れる位柔いのです。
しかしその理由は直ぐに理解できました、なんと機関部と銃身を徹底的に摺り合わせをしているので摺動面での抵抗が極めて少ないのです。摺り合わせをすると言うことはそれぞれの部品を最初から少し大きめに作る必要があります、そして当たり面に朱(朱肉みたいな物)を付けて朱の取れたところだけを僅かずつ研磨して削り取るのです。
この作業、写真では見たことはあるのですが、実際の作業をドイツIWA展示会に行ったときに初めて見ました、この作業、殆ど忍耐との勝負の様に見えました。
ひたすら何時間も摺り合わせを繰り返します、で、削りすぎれば大変な事になります。
全部おシャカと言うことになります、忍耐の仕事ですが気を抜くことは出来ないのです。
前々回のメルケルの項で書き忘れたのですが、メルケルの新品は中折れ部分がむちゃくちゃ堅いのです。よくこれで摺り合わせをしたなと関心するぐらいきついのです、それと比べるとDグレードはふにゃふにゃしていて頼りないくらいです。
善し悪しではなくて、それぞれの会社のポリシーの違いなのでしょう。
で、実際に射撃に使ってみると、射撃中は射撃に集中しているのでDグレードの様に弱い力で折れる上下の方がやはり使いやすく感じます、中折れ部分が堅いと射撃への集中力が遮断される、あるいは阻害されるような感じを受けます。これが実際に射撃をしてみて感じる使用感です。

日本ではDグレードと言うと圧倒的にD-5の唐草模様が一番好まれます。
私自身は変わり者ですから、D-5ではみんなと同じなので、あえてD-4を選択しました、しかしながらD-4の使用者は非常に少なく、私以外にD-4を使っている人には今まで出会った事はありません。

彫刻 1
彫刻 1
彫刻 2
彫刻 2
彫刻 3
彫刻 3

Dの後に付く、1,2,3,4,5,と言う数字は彫刻の種類であって、いずれも値段は同じです。このDグレード、ミロクの定価は470万円です、当社の販売価格でも310万円ですから、以外と価格差は少ないのです。
こんな値段が高くても、銃の製造現場では年々コストダウンをされています。
私の使用しているDグレードは1989年製造ですが、最近製造される物はリブの部分が明瞭に違っています。
私のDグレードは薬室の上にあるリブは銃身と一体で作られています、勿論薬室上部から先のリブは別部品の後付けです。実はリブが一番剥がれやすいのは薬室の上なのです、もっとも作業が粗末でリブの一部にハンダが回っていない場合はそこの箇所が剥がれるのは言うまでもありませんが、すべて同じレベルの作業がされている場合は、一番振動の起こる薬室の上が弱いのです。と言っても理論上そうだと言うことで、丁重な仕事をした銃は、生涯リブ剥がれは起きないでしょうけどね。
でもリブ全体の中でどこが一番弱いかと言うとやはり薬室の上が一番弱いのです、ですから薬室の上の部分のリブが銃身と一体で出来ているのとは耐久性の面でちゃんと理屈が付くのです、しかしながらこれを銃身と一体で作ると言うことは非常に余分な手間がかかることは言うまでもありません。
銃身部材は旋盤で削って作るわけですから、リブの部分を残すという事は丸い円周全部を削り残し、リブ以外の不要な場所をフライス盤で削り取るわけですから、無駄な作業この上ない事なのです。しかしながらこういう無駄な作業に手を掛けていると言うことがユーザーサイドには好まれるわけで、ですからFNを探す人はあまり使っていない古い物を探すと言う現象も起きてきます。ですからコストダウンをした最近のFNは特に売れ行きが悪いのです。

私のFNは古いモデルなのでリブはワイドリブです、 ワイドリブはクレーが見やすいと言う理由で使われていたのですが、クレーの速度が速くなってからはだんだん使われなくなり、現在、新銃でワイドリブというのは全く存在しません。
しかしながら、だからといってワイドリブが使い難いと言うこともないので、私はこのまま使用しております。

ワイドリブ
ワイドリブ

ミロクもそうですが、ブローニングもハンマースプリングはコイルスプリングを使用しております。射手の中にはスプリングは絶対に松葉でないと、と言うこだわりの人も少なくありません、理由を聞くと多くの人が引き金の切れ味が良いからと答えますが、引き金の切れ味とハンマースプリングの因果関係はありません。世の中で一番引き金の切れ味を大切にするのはフリーピストルですが、これに使われているのは全部コイルバネですからスプリングの種類が引き味と連動していないことは明白です。
でも、松葉ばねの方がスプリングの特性が違うので、空撃ちしたときの質感が良いのか、その様に感じているのかもしれません、また耐久性でもどちらのスプリングも優劣はありません。
では何故散弾銃には松葉バネが多いのかと言うと、スプリングを組み込むスペースの問題だと私は考えます。例えばサイドロックの銃には大きすぎてコイルスプリングは使えません。サイドロックの部分にスペースが無いし、それに格好が悪すぎます、出来るだけコンパクトに綺麗にメカ部分をまとめるには松葉バネが最適なのです。

松葉バネが良いと言われる根拠の一つに、ペラッチの引き金が影響しているかも知れません、はっきり言ってFNと比較するとペラッチの引き金は切れ味が鋭く、使用感も快適です、クレー射撃の場合、1発目と2発目を撃つ機会が多く、タン、タン、と撃つ、その切れ換えのフィーリングが大きく影響します。
FNの場合初矢を撃った後、充分に引き金を戻さないと、2の矢がセットされません。
ペラッチの場合こうした場面には殆ど遭遇しません。
それが松葉は切れが良いと言われている所以では無いかと考えています。
実はペラッチの場合も松葉スプリング以外にも、コイルスプリングも用意されていて、通常の松葉バネのモデルがMX8ならば、コイルスプリング使用のモデルはMX8Bと呼ばれています。FNの引き金の切れが悪いのは設計上の問題だと思います。
勿論調整すれば改善されるのですが、私はオリジナルのまま使用しています。
少なくともそれが命中不良の原因にはならないと考えているからです。

前回のメルケルの項では、共産圏の粗悪な装弾を使うためにメルケルのハンマースプリングは極めて強くしてあると書きましたが、Dグレードの場合はその逆です、雷管が撃発する範疇で、出来るだけハンマースプリングを弱くしてあります、ハンマースプリングが弱いと言うことはそれだけ銃の耐久性が増すことになります、スプリングが弱ければ空撃ちしても全然問題がありません、唯一問題なのは性能の悪い装弾を使った時など不発が多発することです。

ついこの間までイタリア製の装弾は性能が悪く不発の連続でした、しかしながら日本やアメリカ等の装弾メーカーが技術供与して装弾を作らせるようになってからは劇的に性能が向上しました、しかしながらイタリアで作られるレミントンのプレミアは未だに雷管だけは日本製と言うことです。この様にそれぞれの国の化学工業の完成度のレベルに応じて雷管の性能は大きく左右されます、日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、北欧、等は良い雷管を製造していますが、スペイン、イタリア、等はまだ完成度は低いと思います。
旧共産圏のレベルは全然駄目でしょう、ロシアなどは雷管の性能が悪いのに加えて、塩素酸塩類でも使っているのでしょうか、簡単に錆を誘発します。
幾ら弾が安くてもこんな弾は私なら使いませんね。値段の安い弾は要注意です!

FNの場合、ハンマースプリングが弱いので、引き金を引いてから撃発するまでのロックタイムは明らかに遅いですが、ロックタイムを云々するより、散弾銃の装弾の初速は1400フイート、ライフル装弾はその倍の2800フィーですから、長年ライフルを撃ってきた私からすると、散弾は弾のスピードが遅いのでロックタイムの遅さは全然気になりません。
殆どの上下2連銃は初矢を撃ったときの反動で2の矢をセットする振り子を内蔵しております、これは同発を防止するためのメカですが、Dグレードには振り子はありません、しかし絶対に同発はしません、いままで一度も同発の体験はありません。
同発しないと言う事の前提には、引き金の掛かりや重さをいじくらないという条件が付きます、些細な衝撃で引き金のロックがはずれれば当然同発することになります。
同発が絶対に起こらないと言うためか、発矢を撃った後、完璧に引き金を戻さないと2の矢を引けないことがあります、おっとっと、と言う感じで前につんのめるは格好悪いのでFNの時は引き金はちゃんと戻して引くように心がけています。
それと比べるとペラッチの引き金は秀作です、引き金をちょっと戻しただけでも確実に2の矢は激発します、欠点と言えばこれがFN系統の欠点でしょうね。
振り子がないと初矢が不発でも、そのまま引き金を再度引けば上の銃身から弾が出来ます。Dグレードはこうしたメカを採用していますが、ブローニング社では振り子を使わない、この方が優れていると言う判断なのでしょう。

Dグレードのハンマースプリングは弱いのに、エジェクタースプリングは異常に強すぎると私は感じます、ミロクも、そしてFNも欠点と言えばこのスプリングが強すぎるために、エジェクターの折れが起きることです、これを防ぐにはエジェクタースプリングを弱くするのが最良の方法だと思います。
今に時代、薬莢をそんなに遠くまで飛ばさないでも良いと思うのですがね・・・・・

銃床材料は年々悪くなるように思えます、Dグレードといえども最近の展示会に出してある物は飛び抜けて良いとは感じられません。
はあ~・・・・・・と思うようなDグレードも展示会で時折見かけます。
それと比べると私のDグレードはまだまともな方だと言えます、我々が銃を注文するときにはどんな銃床が付いてくるのか全然解らないのです、少なくとも銃床材の指定は出来ないのです。
Dグレードに粗末な銃床が付いてきたら売る方としては非常に困るので、最近ではブローイングを注文するのは控えています。

ブローニングの引き金は一見すると簡単に見分けられるように外見上の特徴があります、
同じ銃に見えて、ミロクとFNが歴然と違うのは引き金の上の部分が膨らんでいる事です、こう言う形状にすると指が引き金に当たる面積が増えますね、指の当たる面積が多ければ多いほど、引き金は軽く感じられます、引き金が指に当たる面を出来るだけ多くとる、これはブローニングのポリシーみたいで、上下2連みたいに基部が膨らんでいるという形状ではありませんが、ライフル銃も、拳銃も、そして機関銃までこんな感じで作られています。引き金の幅を広くしても軽く感じられますが、今度はその分デリケートな引き金感覚は阻害されます。

引き金
引き金

銃身を取り外すためには、先に先台を取り外すのはどの銃でも同じですが、先台の取り外し方法にはメーカーにより色々なタイプがあります。
メルケルの場合、先台の下半分を取り外して銃身を取り外します。
このタイプの場合、銃床の経年変化、あるいは乾燥の度合いにより、上下の合わせに狂いが生じることがあります。

先台取り外し 1
先台取り外し 1
先台取り外し 2
先台取り外し 2
先台取り外し 3
先台取り外し 3

ペラッチの場合、先台全部を取り外します、通常はこうしたタイプがおおいですね。
このタイプの場合、新品の時にはやたら堅い先台があり、外すのに苦労する場合があります、また外すとき勢い余って銃身や先台に傷を付ける事もあります。
あまり高級銃では使わないタイプです、唯一の例外はペラッチだけですね。
FNの場合、先台を前に前進させ銃身を取り外します。このタイプの場合、上下合わせみたいに狂いが生じることはありませんが、先台を前にずらすため、銃身の下側の黒染めがはげる場合があります、Dグレードの場合、メルケルみたいに上下に外すタイプの銃床もあります。

平行リブ
平行リブ

ブローニングのリブは銃身と平行に作られています、そのため狙点よりも上に着弾しなければならないトラップ銃は、少し銃身が上を向いている必要があります。
そのためリブの中心に中間サイトが付けてあり、これと照星とが8に字になるような見え方でリブをみるとちょうど良い具合に、僅かに銃身は上向きになり、照星で狙う狙点より上に着弾することになります。そのため前に出るクレーは追い越しざまに、横に飛ぶクレーは、クレーの下を撃つ事により命中します。
実際に射撃をするときは、銃を構えたときに、照星と中間照星、そのリブの感覚を確認しながら頬付けの感覚を記憶します。
その状態を継続しながらクレーを追って撃発するわけで、その瞬間は中間照星を見ることはありません。初心者にありがちなトラブルは、クレーを追っていくときに顔が上がることです、いわゆるヘッドアップと言う現象です。
拳銃にも、ライフル銃にも照星、照門が付いていますが、上下2連銃には照星はあっても、照門はありません、その照門の替わりになるのが自分の目なのです。
ですから、頬付けが変化すれば照門である目の位置が変わるので、保証付きで当たらないと言うことになります。
と、言うことになるとベンドの高さが極めて需要になりますよね、人によっては数ミリ単位で神経質に高さを調整する人も居ます、別にそれはそれで良いのですが。
私は、メルケル、ペラッチ、FN,ベレッタ水平を代わる代わる撃って楽しんでいます、いずれの銃もベンドは勿論、銃床の長ささえ違っていますが、いずれの銃でも満射の体験があります、と言うことは、それぞれの銃にあわせて、狙点を変化させればちゃんと撃つことも可能なのです、私の悲しい性は、一つの銃を徹底的に使い、射撃競技一本に集中することが出来ないと言う事なのです。
物事を一本に絞れない、女性関係に関しては"当たり"という方も読者の中には居られるかも知れませんが、やはり物事は一本に絞るのが王道でしょうね、しかし残念ながら私にはできませんね・・・・・・・・・・・・・

あ、勿論鉄砲の話ですよ、このコラムは鉄砲自慢ですから。

ここまで書いて終わりにしようと思ったのですが、他のコラムと比べて原稿量が少ないのでもう少し、番外編として書き足します。

番外編はガンケースです。
今まで誰もガンケースの事について書いた事例は少ないので書いてみます。
世界中のガンケースやさんで、私がベストだと考えているのが、イタリアのEmmebi snc社です。ホームページもあるので一度覗いて見てください。アドレスは以下の通りです。
http://www.emmebi.it/home.html 私がここの会社がガンケースでは一番だと思うのは、イギリスの名銃、ジェームスパーデーのガンケースの製造を受けていると聞いたからです。メルケルのガンケースも作っています。パーデイのガンケースを作っていればガンケースメーカーで頂点である事は言うまでもありません。
HPを覗くと色々なタイプのガンケースを作っていることがお解りいただけると思います。多くの銃器メーカーがここに自社ブランドで注文を出していますので、それぞれのメーカーの最高級のガンケースは大体ここの製造になります。
ヨーロッパに行ったときに、日本では何処に卸しているの? と聞いたら*社と*社に出ていると言う事でした、ここの会社のガンケースはユーロで表示されています、為替相場では1ユーロ=¥127位ですから演算してみてください。
日本国内で売られている価格は、この価格の倍以上ですが、倍の値段なら運賃、通関費用、流通経費等々を考えると、ごく当たり前の価格です。
それに、ここの会社個人向けには売らないそうで、最低ででも10本以上の注文でないと受け付けないと言っています。
私の購入したのは1000/71と言うモデルで、ここの会社の最高級モデルです。
これと同じ物をジェーズパーデイ用に作っていると言っていました。
日本国内の価格で言うと30万円くらいではないかと推測します。

ガンケースの外側は、パナマキャンバスと言う生地に、皮でステッチしたカバーをかけてあります、革製のガンケースは簡単に水がしみます、雨に当たっても皮は簡単に水滴を吸い込みます、勿論、皮革油を付ければ水滴は跳ね返せますが、結構べたべたして感触が良くないので、一般的に革製のガンケースに油の塗ってある物は安物ですね。
高い物はこの様に油を塗らない代わりに、キャンバスのカバーを使います。

ガンケース本体
ガンケース本体
ガンケース内部
ガンケース内部

革製のガンケースの部材は一般的にラミネートの板材です、いわゆるベニヤですね。
ベニヤでケースの本体を作り、それに皮を張り付けて作ります。
私のガンケースは、ベニヤではなくて樫材で本体を作っています、わざわざ樫材を使っているので、その樫材の本体が見えるように木部を露出させています。
その樫材で出来た本体に革を巻いて作り上げています。
このガンケースは、丈夫に出来ている分、重さが他のガンケースよりも重くできています。

ガンケース樫材
ガンケース樫材

ぺラッチSOC

2003年 1月25日 築地

前回書いたメルケルは、いずれも高いグレードの物は気の遠くなるような徹底的な摺り合わせをしてあると書きました。
しかしながら、ペラッチに関しては高い製品も安い製品も全部同じ作りなのです。違いは少しだけ磨きが良くて、良い銃床材料を使い、単に彫刻などで芸術的な付加価値を付けたかどうかにすぎないのです。
私は現在ペラッチSCOサイドプレートを使っているのですが、通常のMX8とどこがどう違うのか実際に使いながら確認したいという好奇心もありました。
良い物と悪い物を比較する場合、たとえば安い肉と高い肉を食い比べる、安い酒と高い酒を飲み比べる、そうすると何が良くて何が悪いか、体験的に理解することが出来ます。
体験じゃないと、物の本を読んでも、人の話を聞いても本当の所は正確には解らないじゃないですか、やはり自分で試すのが一番です。
それに、第一自分で使わないと、人に説明するのに説得力が無いではないですか、実際そうして使ってみると、今までペラッチについて語り継がれてきたことが、嘘だったり、逆に以外と知られていない面も解るようになってきました。
今回はそうした諸々のペラッチに関する話をしてみたいと思います。

写真はSCO専用のガンケースです、恥を忍んで書きますが、銃を車のトランクに仕舞おうとして、別の事を初め、そのまま収納するのを忘れ、車を動かしたため、このガンケースを車で踏んでしまいました、ガンマニアとしては心の痛むことしきりです。
思わず、心の中で"痛い"と叫んでしまいました、当然銃は修復不能とあきらめたのですが、なんと無傷でした、このケース、外側は皮ですが本体は金属で出来ているようです。
大したモンだと改めて感心したケースです。

SCOケース
SCOケース
箱の中
箱の中

ペラッチのMX8は、正規代理店が独占的に販売していた頃は、何と、190万円していたのです、現在の当社の価格は64万5千円ですよね。
あまりに価格差が大きいので全く同じ鉄砲かと疑いたくなるでしょうが、正真正銘同じ物です、例えば同じMX8、現在のアメリカでの価格は$9,500です。為替を120円で計計算しても、114万円です。これからしても正規代理店が輸入していた価格は法外だし、当社の値段も法外に安いと言うことになります。
常識的に考えれば、アメリカの値段がまともな値段と言うことですね。
当社の、こうした異常に安い値段が何故可能なのか、それは秘中の秘なのですが、書きたがりの虫がうずうずしていますので思い切って書いちゃいます!

 ペラッチは、名前の割には小さな会社です、ベレッタと比較すると像とあり程度の比較です、ベレッタはアメリカの軍用拳銃を作っている会社です、当然他の国の軍用銃も生産しています、ひるがえり、ペラッチは射撃専用の上下2連銃だけを作っている会社です、自動銃すら製造しておりません。従って日本の中小企業と同じで、年中資金繰りは厳しいはずです。ですから正規代理店と言っても、数を買わない代理店などイタリア国内の卸値段と同じ程度でしか売りません、逆に言うと相応の数を注文すると、相当な無理が利きます。
当社のペラッチの販売丁数と言うのは、日本国内では一番でしょうが、世界的に見ればとるに足らない存在です、実はそう言う会社が世界中にはたくさんあります。
最近はインターネットでも共同購入と言うシステムが流行っているでしょう、私はあれに
着眼しました。そうだ!力の無いところが結集して共同購入すれば安く買える!
私はそう思ったのです、それで外国のある会社に相談して話を持ちかけました。
そこで、試しに1億円分のペラッチを全額前金で購入したら幾らにしてくれるか相談しました、全額前金と言うことは、当社の注文する銃の銃床は全部特別注文ですから納品は最低でも6~10ヶ月後ですからこの間充分な資金繰りが出来ます。
何社か集まれば1億円分の注文も不可能なのです。
すると驚くべき価格を提示してくれたのです、些細な金額は秘中の秘ですが、当然日本の正規代理店価格より安いはずです、もっとも1億円分の銃を当社1社で購入する訳ではありません、それだからこそ共同購入なのです。
共同購入の展開が開けると具体的には資金計画が必要です。
これが最大の難問だったのですが、ある時、三井住友銀行からDMが来て中小企業の皆さんに低利で融資しますとあります、駄目元でFAXしたら担当が飛んできて、決算書との納税証明を持って帰りました。それから3日後に4000万円融資すると言うではありませんか、それも無担保、金利は2.9%です。
銀行の担当者に些細な事情を聞くと、今までは担保に対して融資していたが、現在の様に担保が目減りして不良債権になっている、その反省から、担保融資ではなく、企業の業績に対して融資すると言うのです。その時は真面目に税金を納めていてヨカッタと思いました。その4000万円がペラッチ購入資金になったのは言うまでもありません。
これが現在のようにペラッチをお安くできた秘密です。

ですから正規代理店の190万円のペラッチも、当社の64万5千円のペラッチも全く同じ製品なのです。

日本では昔から銃は贅沢品だと見られてきて、法外な値段で売られてもそれが法外だと理解できない国民性がありました、悪く言えば無知だったのでしょうね。
40年前、国産の乗用車は幾らだったでしょう?ご存じですか?
その当時同じ車がアメリカでは日本より安く売られていたのです、しかし現在では乗用車の価格差はありません。それが経済の本当の姿だと思います。
ペラッチは当社がリーズナブルな値段まで価格を引き下げましたが、しかしながらまだまだ高い製品が国内でも流通しています。例えばウエザビー社の上下2連銃、これはSKBのOEM製品ですから、アメリカ国内で販売されている価格から演算すれば、ウエザビーのごく標準のモデルでも7万5千円位で工場から出ていると思われます。
アメリカで販売している値段の50%~40%が工場出荷価格だと私は思います。
それからすると、SKBの国内価格は随分高いですね。
ミロクも残念ながら安いとは言えません。 
唯一のライフルメーカー、ホーワライフルも、アメリカでの2000年版販売価格は$435.00ですから為替120円で計算しても\52,200でしかありません。
工場出荷価格を40%と計算すると、僅か\20,880です。しかしながらカタログ誌、スポーツガンに掲載された石井銃砲店のホーワライフルの値段をみると、一番安いホーワ製の銃でも¥223,000です。この価格体系、なんか狂っているとしか私には思えないですね。
さもなければあまりにもユーザーを馬鹿にしているように思えてなりません。

この様に流通を整理する事により、銃の値段はもっともっと安く出来るのです。
日本では銃の所持者が少ないから、警察の規制が厳しいから、色々な屁理屈は言えますが、世界的なレベルで考えて、東京は例外にしても、一つの県に数カ所も射撃場のある国はそうそうありません、間違いなくアメリカより射撃できると言う環境は良いはずです。
確かに警察の規制も度を超しているとは思いますが、それでも運転免許よりはハードルは低いと思います。
ですから銃の値段を安くする事が唯一、この業界の発展に繋がる事だと信じます。

横道の話の方がメインテーマになりそうで本当に困ってしまいますが、今回はペラッチの話なので本題に戻ります。
ペラッチの高い銃と安い銃の違いですが、銃砲店の人が与太話を言った為でしょうか、それとも無知な射手が出鱈目を言ったためでしょうか、ペラッチは値段によって金属材料が違うと言う説が真しやかに流れています、噂の範疇であっても誰も否定しない、おかしな空気が漂っています、私がSCOを使っているので断言できますが、使用感において材質の違いはありません、それははっきり断言できます。
私は、元々銃の製造に携わっていたので、銃の金属材料については相応の知識は持っています、金属材料が違うという話が、仮にペラッチの人間から出たとしても、それはイタリア人特有の、よく言えばおおらかさ、悪く言えば無責任、それに何でもありがたがる日本人体質、それらが一体となって作り上げた虚偽の話です。
ペラッチの機関部の素材は全て鍛造から作られます、クロームモリブデン鋼の素材を炉で真っ赤に焼いて、プレス機を使って、ドンドンと叩いて、大まかな成型をします。
解りやすく言えば日本刀の鍛錬と同じですね。
鍛造というこの行程は金属の組織を緻密にして強度を上げる目的と、加工しやすい形に成型するのが目的です。銃砲店のカタログや広告を見ますと、****は特別な金属材料を使ってと言う記述を見る事がありますが、クロームモリブデン鋼材の鍛造品これこそが銃の材料として最良の物なのです、クレーンのフック、よく工事現場で見かける物です、あれは絶対強靱な製品でないと大変な事になりますよね、だれでも常識で判断できると思います。
あれが、クロームモリブデン鋼材の鍛造品です。
さらに強度を上げるために、バナジュームを添加した、クロームバナジューム鋼材という鍛造品もあります、クレーンのフック、あるいは身近にあるスパナ等の製品がそれです。
ただし、クロームバナジュームだと機械の加工特性が悪く、寸法がちゃんと出来ない、あるいは加工痕汚いと言う欠点があり、銃器の材料としては現在殆ど使われません。
名もない小さなメーカー等が、当社の材料はもっと良い材料で値段も高いと、特性も違うなどと、的はずれな宣伝をしているのを時折見かけますが、そう言う会社に限って鍛造の製品は使わない物なのです、何故なら、鍛造品を作るには相応の数量と金型が必要だからです。
これが出来ない会社が、当社の材料は特別だと吠えているだけです。
この事からしても、ペラッチが銃のグレードに応じて金属材料を変えるというのが、如何におかしな話かご理解頂けるでしょうか。古今東西銃色々な銃器メーカーがありますがグレードに応じて金属材料を変えている会社は存在しないのです。
材料を変えると、加工刃物から切削速度、挙げ句の果ては油まで変えなければならないのです、これは加工現場では常識以前の常識なので、わざわざ取り立てて言うレベルでは無いのですが、念のため説明しておきます。

ペラッチを購入する人から一番聞かれる質問が、ベレッタと比べて耐久性はどうですかと? 言う事です。
ここで銃の耐久性と言う事について説明してみます。
上下2連銃の銃身と機関部というのは別部品から出来ています、当然ですがね!
お互いは組み立てて使用しますが弾を装填すると言う作業があるので、お互いの作動性と言う問題もあります。しかしながら銃身と機関部は装弾を発射するという目的の為に作られていますから、お互いが装弾の発射にともなう圧力に耐えなければいけません、つまり、銃身と機関部は火薬ガスの圧力で分離しようとする動きが発生しているのです、高い銃ほど、あるいは設計が良いとされる銃ほど、その圧力に耐える面積が多いと言えます。そのメカからすると断然ペラッチの方が優れているのです。
まずペラッチのその耐圧部分を説明します。

銃身のロッキング部分
銃身のロッキング部分
ロッキングの厚み
ロッキングの厚み

まず機関部と銃身の支点、ここに圧力がかかりますが、この部分の出っ張りはベレッタよりペラッチの方が大きくなっています、それに薬室のサイドに設けられたロック部分、ここも大きな力を受けます、従来の上下2連と言うのは、メルケルも、ブローニングも全部銃身の下にこれが有ったのです、思い出して頂けましたか?

機関部のロッキング
機関部のロッキング

これを薬室の横に配置したのがペラッチの偉大な所です。ロック部分を薬室の横に配置することにより、機関部自体をコンパクトに出来ます。機関部がコンパクトと言うことは軽いと言うことです、機関部が軽ければ銃のバランスが良くなります、少なくとも好みにバランスに調整しやすくなります。いままでブローニングタイプの上下2連しか無かった世界で、このメカを考えたペラッチは本当に偉大な存在です。
それからすると、このペラッチのメカをそのままパクッた様な銃が多数出ていますが、基本構造はパクリながら、無理矢理内部を設計変更しているため結局ガラクタな銃になっています、私は全く評価しないのですが、それでも結構買っている人も見かけます。
物まねで作って、オリジナルを超えると言うことは殆どあり得ないことなのですが、人が使っていない物を使いたいと言うので有ればそれはそれでその人の認識でしょうね。
私は、上下2連はオリンピックで使った物しか売らないと言うスタンスをとっています。私はそれが一番正常だと思うのですがね。

オリンピックと言えば最近、ペラッチはオリンピック選手用に特別なチョークを密かに作り、それを極限られた人にしか販売しないが、**社にはその特殊な銃が入荷した、価格は200万円と高いが、ファーイーストなら幾らで入りますかと言うメールが数回舞い込んだ、これも詐欺まがいの商法だと思うのですが、シューターと言うのは純朴な人が多いのかよくこんな話に簡単に乗せられると感心してしまいます。
いまや、オリンピックと言うのは非常に大きなビジネスの場と化しています、そのオリンピックで密かに特性のチョークを作って、一部の人だけに販売している???????
常識で考えれば解りそうな物ですが、もしオリンピックで使われて、そのチョークが本当に効果的で、メダルでも独占できる程度の製品なら、私がペラッチの社長なら、絶対、それこそ絶対と言う言葉が1000回続くぐらい絶対を言った上で、"密かに売る"なんて事はしませんね、当然にして、大々的に宣伝して売りまくります、それこそがビジネスの常識、王道ではないですかね。またパターンが良いとか、色々な話を聞きます。パターンが良いと言うことはコロンが短いと言うことなのでしょうかね??????
騙される人が居るから騙す人も出てくるのでしょうが、射撃を、銃器を愛する人間として銃を利用して詐欺まがいのビジネスをするというのは悲しい事ですね。

ペラッチのトップレバーはひねった状態でロックされます、これはSKBみたいにロックしないとクロスボルトに銃身が激突すると言う防止策の為では無く、ロック部分を引っ込めて置くことにより、銃身を閉鎖したときに軽く閉鎖できる様にしているためです。
従って、間違ってトップレバーが戻っているときに銃身を閉鎖しても何の問題も起きません。私のSCOはサイドプレートであり、サイドロックではありません。サイドロックと言うメカが作られたのは、フィールドで簡単にハンマースプリングが交換できると言う利点のためです、しかしながらその分、工作が面倒になるので値段も高くなると言う寸法です。
しかしながら純粋にメカニズムの観点から考えると、スプリングもハンマーも、全ての部品を片面だけで支えているわけで力学的に考えても合理的な考えではありません。
力学的に合理的なのは、機関部の中で左右のピンで支えられたボックスロックが最良です、しかし、ボックスロックのハンマースプリングを交換するには銃を全分解しないとできない、ブローニングなどはその構造ですよね。
しかし、ペラッチは引き金部分を脱着出来るようにしてしまったのです、この機構の設計や製造が困難という物ではなく、全くコロンブスの卵的発想です。
引き金が外れると言うことは確かにスプリングの交換は容易だが、さりとて撃針が折れれば、やはり完全分解しないといけないので、あまり大した意味は無いように思うのだが、日本の総代理店は、引き金が外れると言うのを利用して、スペアーの引き金を付けて販売しました、190万円と言うのは、正確に言うとスペアートリッガー付きで190万円です、当社の価格はスペアートリッガーの付いていない値段で64万5千円である、日本総代理店の名誉のためにあえて記述しておきます。

しかしながら私のペラッチは、今日に至るまで未だにスプリングも撃針も折れていないので、分解掃除以外で引き金を取り外した事は過去に一度もありません、付属のトリッガーなどは全くの無駄と言うほかありませんが、未だにスペアートリッガーを希望される方も少なくないので別部品としては販売しています。スペアートリッガーの取り外しは、セフテーの目一杯前進させるとロックが外れ、下に外すことが出来る、ところが新銃の内はこのロックが堅く、容易な力では外れません、親指の指紋が無くなるのではないかと思うくらいの力を出さないと動かないのです、ペラッチを購入したお客様から、引き金を外してくださいと言われる度に気が萎えるます。

引き金取り外し
引き金取り外し

ペラッチは銃身を折ったときにハンマーがロッキングされます、そのメカを少しお話ししよう。
銃身を折ると銃身に附いているレバーを下げる部品が機関部に組み込んであるレバーを後ろに押し上げる、このレバー機関部の内側と裏側からお見せしよう。

引き金
引き金
引き金レバー
引き金レバー
機関部サイド
機関部サイド
機関部内側
機関部内側

銃身を折ることによりこれらの一連の作動が完了するのですが、これらの作動をするために作動部分、特に接点の所には非常に大きな力がかかるのです、この部分は絶対に油を切らさないようにして頂きたい、私は通常のガンオイルではなく、グリースを使用しています。
ペラッチの凄いところは、全てが機械加工で出来ているのに機械の加工痕が全く無いと言うことです、こう書けば、メルケルもそう言っていたではないかと言われそうですが、メルケルの場合全て手作業でやっているので、特定の銃身と機関部はぴったり合うのです、しかし当然の話、銃が変われば合わないですよね。
ところが、ペラッチの場合、別の銃の銃身を持ってきてもビシャリと合うのです。
これは驚異的な精度で、一見手作業で出ているように見えるこれらの填めあわせが、すべて機械の研磨作業で出来ていることを意味しています、研磨作業だと3/1000ミリまで加工できますからね、また完璧な平面度も再現できます。
残念ながらこの作業を手作業でこなすのは不可能な事なのです。
試しに、私のSCOとグレードに違うMX8の銃身をはめてみた、"ビシャリ"と結合する。
お見事と言うしかない出来映えなのである。

銃身の互換性
銃身の互換性

ペラッチの銃を購入されるお客様から、銃身の重さを聞かれることがよくあります、トラップ銃の場合、1.55キロ、スキート銃の場合、1.5キロくらいが標準の重さなのですが、もっと軽い銃身の物はありませんかと聞かれることがありますが、私としてはあまりお奨めしたくはないのです、そのために銃身の作り方を少し説明しておきましょう。
銃身はパイプから作られるのではなく、鍛造された鋼材から、銃身の中にロングのドリルで穴を空けるのです、機械工作が解る人なら簡単に理解出来ると思いますが、30インチもの長さを一方からだけ空けると出口は必ず偏芯して出来上がるのです。穴の開いた後はその穴を中心にして外形を切削するので、皆さんの手元にある銃は入り口も出口も真心に穴が開いているはずです、当然ですがね!
ところが銃身の中心の所は必ずどちらに偏芯していることになりますよね!
元々出口は偏芯していたのですから。これがどれくらい偏芯しているか外見上からは全く解らないのです、ですからむやみに細くすることは非常に危険なのです。ですから銃身の外径を削るとき一定の寸法で削ろうとしても銃身材料のクロームもモリブデン鋼材は、切り子が刃物に絡んだりする事が多々あります、そうするとそこの部分が深く削れたり、あるいは切り子のために傷が深く付いたりする事もあります。
これが同じ鉄でも快削鋼と呼ばれるような材料なら綺麗に削れるのですが、粘りのあるクロームモリブデン鋼材は削り難いのです、少し専門的になりますが銃身の様に長い材料を削ると言うことは、旋盤加工で非常に面倒な加工なのです。

銃身がストレートならまだ加工方法があるのですが、銃身と言うのは薬室部分は太くて銃口は細いですよね、こうした作業はさらに面倒になります、従って加工途中でバイトがかんだり、切り子が絡んだり、従って傷の付いた銃身素材は外径をより研磨しないと傷が除去できません、逆にほとんど無傷のまま出来上がった銃身は外径の研磨が少ないのでトラップ銃の場合など1.65程度の重さで仕上がります。ですから銃身の重さは重量で指定されても作ることは困難なのです、しかしながら傷が深くてたまたま軽くできる物はありますが、トラップの仕様で1.5以下と言うのは事実上耐久性の問題で作る方も売る方も抵抗があるのです。しかしながら他のメーカーでは1.5以下の銃身も存在しますが、こうしたメーカーの銃は、銃身が膨れたり、銃身が抜けたりした事例があります。

そんなとき、銃身が軽いから仕方ないね! なんておおらかな考え方をしてくださるお客様は皆無です、我々の感覚からすれば、軽い銃身でたまたま異常高圧の弾に遭遇するとそういう事が起こるのは当然のことなのです、こういうクレームを持ち込まれたくないからペラッチも軽い銃身は作らないし、私も売りたくないのです。
あまり、こういう事を"売り"にするメーカーには信頼は置けないし、私はこれを"売り"にはしたくないのです。

彫刻左
彫刻左
彫刻右
彫刻右
彫刻下
彫刻下

メルケル303

2003年 1月22日 築地
更新 2003年 1月28日 築地
更新 2003年 1月31日 築地

私は、人に自慢できるような物は何一つ無いが、私自身マニアのなれの果てなので唯一、鉄砲だけは自慢できる、と言うよりはこれしか自慢する物が無いと言うのが現実です。
多くの人は、クレー射撃や、ライフル射撃をやっておられても、常々点数がどうしたこうした、と言うスコーアの話になるが、私自身は点数よりも色々な銃を使いこなすことに密かに喜びを感じている。
まあ、変態といえば言えなくもない、しかしながらそうした性癖のおかげで、それを生業にするまでなったのであるから、これも怪我の功名と言うところであろうか。

私は14才から射撃を初めたので、現在で、すでに40数年この世界にどっぷり浸かっていることになる。射撃技術についても、相応の体験は積んでいるが、何よりも多くの知識の源泉となっているのは今まで色々多くの銃を使い切ってきたという体験である。
私は射撃選手と言うよりは、ガンスミスとしての血の方が遙かに濃いので、射撃の成績よりも、銃器そのもの方にどうしても、より興味をそそられる。今でも毎週射撃場には出かけて、行くたびに数万円のお金を射撃場の肥やしとして蒔いているが、これは射撃の腕を上げるためと言うよりは色々な銃を撃ち比べる事の方に興味をそそられるので、多分にトリッガーハッピー的な要素を潜在的に含んでいることは否定できない。

射撃場に行って、弾を激発した後に漂う、ほのかな雷管の臭い(火薬の臭いではない)を嗅ぐ時などは至福の瞬間である。私は雷管の臭いの方が、婦人の色香よりも遙かにエクスタシーを感じる。これは、今まで婦人の色香では何時も悲しい体験をしているので、知らず知らずの内にそういう異常体質になってしまったのかも知れない。
その体験を通じて、人に自慢できる唯一の事例、鉄砲を自慢する事によりこのコラムは成り立つ、従ってひんしゅくを買うような記述があるやも知れぬが、それはこのコラムの体質である特性であるの、なにとぞご容赦を。

それでは短期連載コラム、鉄砲自慢、メルケル303の巻き、始まり始まり。

実を言うと、メルケル303を購入したのは、これで3丁目である。
最初に購入したメルケル303は、まだ東西ドイツが統一されていない頃、共産圏国がガラクタな製品を産出している中で、唯一西側の製品に勝るとも劣らない製品を作っていたのが東ドイツ、ズールにあるメルケル社の銃である。
銃器に関心を持った頃から何時の日かメルケルを手にしたいと考えていた、その想いが募り3丁ものメルケル303を購入する事になったのである。

メルケル全体図
メルケル全体図

当時のメルケル303のジャパンガンの定価は470万円である、もっともこんな値段で購入する気は無いので、直接ドイツの商社に依頼して注文をした。チークピースが付いていないだけの、特別注文ともいえない程の極ありきたりの製品であったが、それでも注文してから入手出来るまで2年を要した。
銃の入っていた紙箱も、そしてぺらぺらの取り扱い説明書も、こんな紙が存在するのかと思えるほど、粗雑な紙で作られていた。今時、北朝鮮でしかこんな紙は使わないだろう。
そしてその粗末な紙そのものが唯一、この銃が共産圏の製品である事を如実に物語っていた。
箱はお粗末だったが銃の出来は私を充分うならせる出来であった。
特に、粗末な機械設備しか無かったであろう共産圏で、どうやって機械工作したのか解らないような箇所が何カ所もある。

機関部四角穴
機関部四角穴
機関部四角穴銃身無し
機関部四角穴銃身無し

たとえば機関部の下にある四角の穴、これは銃身の薬室の下にある、ロッキングが機関部とはまり合う所である、ロッキング部分なので丸穴では具合が悪い、強度を考えると四角穴でないといけないのである。丸穴ならドリルでもめば簡単に穴あけ出来るが、四角い穴は非常に工作が難しい、理論的に考えられる唯一の方法は、ドリルの様な形状をしたフライスの刃で、少しずつ穴を空けて極力四角穴に近づける、しかしながら回転するドリル状の刃物なので、角はどうしても残ることになる。その角をスロッッターと呼ばれる、刃物が前後に動く機械で角を削る、あるいは油圧で作動する、ブローチと呼ばれる刃物を使い、それを通して角を落とす、それくらいしか加工方法が見あたらない、現在なら放電加工と言う方法も取れるが、まだ放電加工が発明されていない頃からメルケルは四角穴を作っていたのである、従ってスロッター加工か、ブローチ加工以外、加工方法が無いはずである。しかしながらいずれの四角穴にも刃物後が全く無いのである、現在であっても機械工作で加工後を残さないで作ることは事実上不可能な事なのである。
さらに驚くのは、その四角穴は真っ直ぐ開いているわけではない、銃身のラグは真上から降りてくるのではなく、機関部先端のピンを軸に斜め上から回転するように動きで入ってくるわけで、その動きに合わせて穴加工がされているのである、銃身の2個のラグの形状を見て貰いたい、これと同じ形状の穴を空けているのである、こうなるとスロッターでもブローチでも加工は困難である、どうやって加工したのか、未だに解らない。

しかも穴の何処にも機械加工した痕が全くないのである、そうなると膨大な手間をかけ丁寧に研磨をしたとしか考えようがないのである、研磨すると言うことは穴自体を最初から小さめに作る必要がある、その穴を手作業で正規の寸法に仕上げると言うことは膨大な作業時間を必要とする、しかも熟練した労働者でないとこうした加工は出来い。

銃身ラグ
銃身ラグ

だからこそ共産圏の製品で、470万円と言う値段で売られていたのである。
子細に調査した訳ではないが、この値段だと共産圏で売られていた、トラバントと言う東ドイツ製の乗用車は少なくとも10台は買えたはずである。
恐らく、東ドイツの市民でメルケル303を買えた人間は居なかったのでは無いかと思う。
それくらい共産圏の東ドイツでは論外の値段だったはずである。

最初にメルケル303を購入したのはこれで3丁目だと書いたが、最初のメルケル303はどうしたかと言うと、ある射撃場のオーナー氏が、どうしても私の持っているメルケルを譲って欲しいと、私が射撃場に行く度に懇願するので、"貴方が自分で使うのなら"と言う条件で、50万円で売ってあげた、相場からしてもかなり安い値段だったので、相手も非常に喜んでくれた。
しばらくすると、知らない人が私のメルケルを使っている、他の人にさり気なく聞いてみたら、その射撃場オーナーから250万で買ったという話である。
どうもその射撃場オーナー氏は、お客からメルケルの注文を受け、私に狙いを定めて必死に買い取り作戦を始めたらしい。こうした行為は確かに真義にはかけるが、腹が立つ前に、そのビジネス手腕に感心するばかりであった。

2丁目のメルケルは東西ドイツが合併してから購入した物である、正確に言うと注文時点ではまだ東西ドイツが存在したのであるが、品物が送られてくるときは合併した後であった。当時、東ドイツと西ドイツは賃金に相当差があった、多分5倍以上の開きがあったのでは無いかと記憶している。併合された後は当然値上げされる物と思っていたのだが、値上げなしで注文は継続された。値上げがされなければ当然どこかをコストダウンしなければ理屈に合わないのであるが、逆にどこをコストダウンしてくるのか、そこが不安だった。しかし送られてきた製品を見て、ほとんど品質が落ちていないことに安堵した。
しかしながら、"ほとんど"と書いたように、全く変わらないと言うわけでは無かった。
無視しても良いような所だが、がさつな加工が随所に見られた。実際に使うには全く問題は無いのであるが、私は射手としてよりも、ガンマニアであることを自負しているので、どうしても愛着が持てず、早々に手放してしまった。
現在使っている3丁目のメルケルは非常に珍しい東ドイツ製のメルケルと言うので、やっと手に入れた逸品である。

メルケル303はメルケル社の最高級品で、撃発機構はサイドロック式である。
共産圏で作られた銃であるので、当時の劣悪な共産圏の弾を100%点火させるために非常に強いハンマースプリングが使われている、その為にもあるが、それにスプリング折れが出やすい、共産圏の国では金属材料と熱処理は西側と比較すると遅れていたので、東ドイツ製の頃のスプリングは、現在のメルケルの物と交換した方がトラブルは少ない。それにスプリングが強いために引き金のシエアーの部分の負担が大きく、絶対に引き金調整をしないようにしないといけない。引き金を軽くしたり、遊びを無くしたりすると、同発の原因になる。

サイドロック
サイドロック

別に引き味に問題は無いので私はオリジナルのまま使っているがこれをいじくるといろいろなトラブルに悩まされる事になる。
メルケル303のサイドロックメカの優れている点は、手で簡単に取り外す事が出来ると言うことにある。右側のサイドプレートの所に隠しネジが取り付けられている。

隠し蓋
隠し蓋
蓋を開ける
蓋を開ける
つまみを持つ
つまみを持つ
ネジとサイドプレート
ネジとサイドプレート

隠しネジの蓋を持ち上げると、それがつまみになりネジを回転させることが出来る。
ネジを外すとサイドロック機構が取り外せる。この撃発機構の全ての部品にも機械加工の跡はない、どうやって作ったかは想像力で分析するしかない。

左右のサイドロック機構
左右のサイドロック機構

ハンマーをロックしているのは2個のシエアーである、1つはハンマーをロックしているシエアー、もう一つは引き金を 引かないときに初矢の振動で引き金が落ちないようにするためのロック機構である、ロック機構は引き金を引いたときに一番最初に作動しハンマーロックを外す、そしてその後を追うように引き金のロックがはずれ、このハンマーが作動する訳である、この様に微妙なシステムなので、メルケルの引き金調整はしてはいけないのである。サイドプレートの内側は、きれいな文様が描かれている。
これはエンジンターンと呼ばれる物で、ボール盤を使い、ドリルの替わりに棒の先端に硬質ゴムを取り付け、それにエミリー粉と呼ばれる、グラインダの素材となる研磨剤を付け、金属表面に文様を付けていく手法なのである。

サイドロック内部
サイドロック内部

本来は単に文様を付けるという目的ではなく、細かい溝を付けることにより油ためて置く目的でなされたのであるが、現在ではあまりそうした目的は認識されていない、ほとんど単なる文様であるが、イギリス等の高給銃には例外なく施されている手法である。

外見からもこの機構は非常に複雑な形状をしている、その為にこの機構を銃床に組み込むためには非常に複雑な加工をしなければならない。現在ではどんな銃器メーカーでも銃床加工は100%機械加工である、そうでないと正確な加工が出来ない。また互換性もとれない。そんな時代にあって、メルケルの銃床加工は完全に手加工である、全ての部分にノミの後が歴然と残っている。この部分だけは絶対に機械加工が出来ないらしい。

銃床内部
銃床内部

銃床の内部加工を、大きくとれば機械加工も簡単に出来る、しかしながらこの複雑なメカを組み込んで、メカと銃床の間は1ミリ程度の隙間しかないのである。出来るだけ多くの木部を残すと言うことは、それだけ木部の強度を保つことになる、その為にこうした非常に手間のかかる作業を厭わないでやっているのである。
手作業にこだわるもう一つの理由は、これだけ複雑な加工になると、機械で加工した場合、木の順目と逆目を配慮して加工することは出来ないからである、機械加工の場合、エンドミルで削るので削る方向は常に一定方向だけである、そうすると順目の部分は綺麗に削れても、逆目の部分はむしり取られるように削られる、その木くずが激発機構に入ると作動不良を起こすし、木の強度も保てない、しかも、こうした高給銃に使われる銃床材料は、良い材料になればなるほど、木目が入り組んでいる、日本では高級材料と信じている人も多い、虎目の銃床は、こうした順目と逆目が織りなしている模様でこれだけでもかんなで削れば模様の度にかんなが引っかかると言う扱いにくい材料なのである。
従って、手作業で加工するのが最良の方法なのである。

機関部と銃身のロッキングは、2個のロッキングラグと、クロスボルトで止められている。
常識で考えれば、ボルトが穴に入る場合、ボルトと穴の両方か、少なくともどちらかはボルトが入りやすくするために先端をテーパーに作るのが常識だが、メルケルの場合、そのテーパー部分は全くない、こういう機構の場合、穴とボルトが完璧に一致しないと絶対に作動しないわけだが、テーパー部分を全く設けていと言うことは、加工精度に絶対的な自信があるからに違いない。こういうほんの些細な事で私みたいなメカ好きは完全に脱帽してしまう銃なのである。

クロスボルト銃身側
クロスボルト銃身側
クロスボルト
クロスボルト

こういうクロスボルト式の銃は色々あるが、メルケル以外の銃は例外なくトップレバーを開いたときには、それをロックするための装置が必ず設けてある。そうしないとトップレバーが自動的に戻れば、クロスボルトの上に銃身の穴の部分が激突することになる。
しかしながらメルケルにはその装置はない。トップレバーにかけた親指を放せば何時でもトップレバーは自動的に戻る、つまりクロスボルトも閉鎖したままである。
普通の銃ならこれで銃身を閉鎖させれば、銃身のロック部分がクロスボルトに激突するわけであるが、メルケルはそうならない。それは銃身に付いているロッキングの一つが、機関部側のラグに連動して銃身を閉鎖しようとすると、ラグが後退するのと同時に、トップレバーも動き、同時にクロスボルトも開くのである、これこそ完璧なメカニズムである。

トップレバー
トップレバー
銃身ラグ トップレバー連動部
銃身ラグ トップレバー連動部

当社では中古銃の取り扱いもしているので、SKBの上下が入荷したときなど、組み立て中にトップレバーを開かないで、そのまま組み立てようとして、銃身のロック部分がクロスボルトに激突してしまうことが間々起こる。SKBの中古だからさほど心は痛まないが、こんな時にはメルケルの優秀さをあらためて実感する。

SKBクロスボルト1
SKBクロスボルト1
SKBクロスボルト2
SKBクロスボルト2

メルケルのサイドリブは空気穴が無い、その為か、連続して射撃すると銃身が熱くなるのが早い、まあ欠点とは言えないほどの事ではある、私の感覚では我慢できる範疇に属する。
メルケルの先台は上下分離式である、ほとんどトラブルは無いが、私が最初に買ったメルケルは経年変化により先台の先端が2ミリ程開いてしまった事がある、仕方ないので銃を収納する時は、ここの部分をプラバンドで収束して収納しなんとか改善したが、銃床材料の良い物を使うとこうしたトラブルが出ないとも限らない。

分離式先台1
分離式先台1
分離式先台2
分離式先台2

最近は、上下の銃身、そしてリブを止めるのにハンダではなく、銀蝋を使う銃が増えている、ミロクもそうだし、ベレッタのDT-10もそうである。
銀蝋は剥がれにくいと言う利点がある替わりに、逆に剥がれた時には補修が聞かない。
勿論ミロクは日本のメーカーだから修理は出来るだろうが、ベレッタ等はお手上げである。
勿論本社工場に送り返せば修理できるが、かなり修理期間をとられる。
それも完璧な故障なら修理と言うことも出来るが、修理と言えないようなトラブルの場合、は非常に困るのである。
たとえば、DT-10の場合、ベレッタは銃身の基部に銃身の筒を挿入して銃身を完成させている、この部分は圧入ではなく、銀蝋がよく回るように僅かな公差を設けて作られている、ここに完璧に隙間を埋めるように銀蝋が流れてくれれば良いのだが、時には僅かな隙間が出来ることがある、これは製造上の事で容認されるレベルの事なのだが、私が体験した事例は薄い油をたっぷり塗ったのであろうが、射撃をして銃身が熱くなると僅かに油がにじむ事でクレームとして持ち込まれた。製造現場での感覚で言うとトラブルとは言えないのであるが、通常のハンダの場合は修理で対応できるのだが、銀蝋の場合は鉄が赤くなるまで焼かないと銀蝋が溶解しない、そのため事実上修理は出来ないのである。
真っ赤に焼いたら再度熱処理をしなければならず、熱処理をするとなると金属材料の組成が解らないとやりようがないのである。従って日本では手も足も出ないことになるのである。
仮ににベレッタに送ったら、こうした程度のクレームは向こうの感覚では修理対象とは認識してくれないだろう。従って説明のしようが無くなるのである。
リブなどが変形した場合も同様である、これがハンダ付けなら修理も容易だが銀蝋の場合は国内での補修はほとんど絶望的である。

そういう意味ではメルケルは当然してハンダ付けなので、補修も容易と言うわけである。

メルケルの銃床はベンドが深く、グリップも細い、最近では***は日本人向けに銃床を作っている、だから正規代理店で購入しないといけない等と、無知なシューターに吹き込む業者も多かったが、元々銃床サイズは日本人向けと言うおおざっぱなサイズがある訳ではなく、同じ日本人でも多種多様な人が居るわけで、背の大きい人も小さい人もいる、太った人も痩せた人もいる、体力のある人も非力な人も、男性も女性もいる。
一体日本人向けとはどういう体躯の人を対象としているのか、代理店はそのデーターは一切公表していない。
当社ではペラッチはいろいろなサイズで多くの日本人が好む寸法で作らせている。
そもそも銃床の寸法というのはそれを設計した人が、どうした射撃スタイルで撃って貰いたいかを考えて作る物である。
またオリンピッククラスの射撃選手が依頼する銃床の型を参考にする場合もある。
あるいは、その銃のポリシーというか、外観を重要視して決める場合もある。
例えばウエザビーライフルの場合、グリップは極端にまで細くしてある。
この銃はアメリカ人に販売するために作られ銃であるが、グッリップは本当に細い、私は1970年、ウエザビー社でガンスミスの修行をしていたので解るが、ウエザビーライフルはこの細いグリップでマグナム装弾を撃つのであるから、グリップが頻繁に折れる。グリップの部分にアルミの棒を挿入して多少防止策を図ったが、それでもグリップ折れは無くならない、ある時ウエザビーの設計担当の副社長と話したときに、ウエザビーではグリップが折れるからグリップを太くすると言うのは出来ない。何何故ならば、それによってウエザビースタイルが阻害されるから、そう言う話だった。
先台の細さ、グリップの細さ、そしてチークピースに広がるふくよかな形状、それがウエザビーの命だとも話していた。
ウエザビーの散弾銃はSKBでOEM生産されているが、日本向けに出荷される銃よりも、ウエザビー社に出荷される銃の方がグリップは細いのではないかと思う、ミロクの銃は外この国向けも国内向けも同じグリップな筈である。
日本人向け銃床?????
製造現場では誰もその様な与太話は信じていないはずである。

私の原稿は頻繁に話が横道にそれるが、そちらの方が退屈しないで良いのでは無いかと勝手に解釈して、また話をメルケルに戻す。
メルケルのベンドは深いので、普通の銃しか撃ったことの無い人は"これじゃ使えない"等と簡単に判断してしまう事になる。

ペラッチを例にとって話すが、ペラッチの銃は銃身とリブが平行に出来ている。
そのためベンドを高くしてリブを斜め上から見るような構造になっている、つまりそう言う見え方をすることにより、銃身が上を向いているので照星で狙った所より、上に着弾する様になる。

元台写真
元台写真

狙った所より上に着弾しないと、トラップ射撃で上に飛び出すクレーは相当上を狙い超ししないと命中しない事になる、我々が飛び出したクレーを視認して、弾を撃つには、目で視認するとその情報が脳に入り、それを脳が判断して人差し指に"引き金を引け!"と指令するまで相応の時間がかかる、正確な時間は失念したが、100分の3秒くらいだったと思う、その後ハンマーがリリースされて撃針を叩くまで、いわゆるロックタイムという時間だが、これだけでも1000分の3秒くらいかかる。
そのために目で視認して弾が出るまで、あるいは弾が飛翔して目標に当たるまで、当然にし相応の時間がかかる、そのため前に出るクレーには見越しの時間が必要なのである、狙い腰とも言うが。弾は狙ったところより上に着弾するように出来ているので、必然的に横に飛ぶクレーはクレーの下を狙うことになる。
メルケルの場合のリブは、銃身と平行ではない。
リブの平行線から見ると銃身は僅かに上を向いている、メルケルのリブを銃身の真ん中と先端で比較すると、先端のリブが薄くなっていることがおわかりいただけるだろうか。
そのためにリブは斜め上から見る必要は無いのである、リブをほとんど平らにして見ても狙点よりも必ず着弾は上に行くように出来ているのである。
であるから、メルケルの場合、リブを斜め上から見る必要はないのである。リブを平行に見てもちゃんと弾着は照星の上に着弾する事になる。

リブ
リブ

逆に言うとペラッチやベレッタ等の銃身と平行のリブの銃はは、リブを斜め上から見るようにしなければいけないのである、従ってこれらの銃に中間照星を付ける事は私は推奨しない。
もし中間照星を付けて、それが8の字状に見えたら明らかにベンドは削り過ぎである。
照星と中間照星の間は相当離れていないとリブを正しく視認している事にはならない。
それなら最初から中間照星を付けない方が絶対に正しい狙いが出来る、なんて書きながら私はペラッチに中間照星を付けてしまって、しまったと思ってが手遅れで、さりとて一端付けた物を外すわけにも行かず現在も付けっぱなしである、私のペラッチをみてこの原稿内容と言うことが違う等と誤解をしないようにお願いしたい。

あまり知られていないがメルケルのチョークは他の上下よりも絞りがきつい。
一番大切なのはスイングだが、チョークの絞り具合もグレーの粉砕時には影響が大きい、実際にメルケルで射撃すると、スイングが完璧で、狙点も正確だと、パターンだけでなく散弾の隊列とも言うべきコロンが飛翔するクレーに次々に当たっていくため、クレーは粉々に粉砕する。これはメルケルの特徴である。
しかしながらコロンが長いと言うことは当然パターンは小さいと言うことになる。

彫刻1
彫刻1
彫刻2
彫刻2

メルケルの彫刻はこうしたハンテングシーンの他に、唐草模様の彫刻があります、1丁目も2丁目も唐草を使ったのですが、唐草は表情に乏しいので飽きがきます、それで3丁目はハンテングシーンを選択しました、ペラッチなのの繊細な毛彫りと違い、ドイツの彫刻は全部深彫りです、毛彫りと深彫りとは一長一短があり一概にどちらが良いとは断言できませんが、些細な質感を表すには毛彫りが一番である。、しかしながら長年使うと彫刻が薄くなってくるという欠点もある。メルケルの深彫りは彫刻が薄くなるなんて事は絶対にあり得ない。

彫刻3
彫刻3

メルケルのグリップもめちゃめちゃ細い、画像でごらんいただけるであろうか。

グリップ写真
グリップ写真

アメリカに売られている銃も、ヨーロッパで流通している銃もメルケルはみんなこんなにグリップは細いのである、これがメルケルの標準寸法なのである。
この様に銃メーカーによって、グリップの細い物もあれば太い物もあるのである。


更新 2003年 1月28日

Sさんの感想文です

HPのメルケル303のコラム、とても興味深かったです。
実は私も10数年前、中古のメルケル303を所有していて少しスキートを撃ったのですが、スプリング折れ、撃針折れなどトラブルに悩まされ、やむなく手放した経緯があります。
どうも前オーナーがかなり、いじっていたようです。
私の父が射撃場に通っていた30数年前はメルケル303といえば全シューター憧れの銃だったそうです。ちょっと普通の人は手が出なかった価格だったようです。
普通に射撃をやるにはベレッタ、ペラッツィで十分で、かえってメルケルは今や扱いにくい銃と見る人が多いようですが、イタリア銃とは異なるドイツ鉄砲職人の魂というか鉄砲鍛冶気質の結晶のような魅力があると思います。
私もお金に余裕があれば是非貴社にオーダーしたいのですが、この不況下では・・・・・・。
でもいつかは、持ちたい銃です。
今後益々の貴社のビジネスのご発展をお祈り申し上げます。

Kさんの感想文です。

いや~メルケルはただ高いだけでなく、本物の名銃だったんですね。いまだに機械を凌駕する、職人が存在することに敬意を払いたいと思います。素晴らしい技も、これを評価する人や解説できる人がいないと、何時の間にか消えてしまうことが、間々あります。ぜひ、すばらしい技と技術について解説をお願いします。「出物情報」もまってます。


更新 2003年 1月31日

築地様のHP、いつも興味深く拝見しております。
そして鉄砲自慢メルケル、興味深く読ませて頂きました。

私は昨年の夏から射撃を始めまして、今日に至るのですが・・・
父の勧めもありまして、中古のメルケルスキート銃を購入致しました。
購入当時は、何故こんな重くて、古い銃・・・しかも今時どこにもない26inc。
と思っておりましたが、鉄砲自慢のコラムを読ませて頂きようやく東ドイツ製メルケル銃の価値を知りました。

父はもう20年前ほどに射撃をやめていますが、メルケルと言う銃は本当に憧れの的だったんですね。
父の若かった頃には、とても手が出る銃ではなかったと聞かされました。
私が自宅に持ち帰った銃を手にとって、「これこれ!初めて手にした」と言って、私以上に嬉しそうでした。
何十年も前、射撃場でメルケルを横目でチラチラ見ながら撃った経験があるそうです。
また気のせいか、メルケルの銃は他の銃とは違った重みのある銃声に聞こえたそうです。

自分が持ちたくても持てなかった銃・・・息子の私に持たせて、若かった頃を思い出しているのでしょうか・・・
父の話だけでは、メルケル銃の優秀さと価値を信じきれなかった私ですが、コラムを読ませて頂きようやくこの古いメルケルに愛着がわいてきました。

さ~週末もこの古いメルケルで練習してきます!
メルケルの詳細な解説、どうもありがとうございました。

ナイトフォース

2004年10月 9日 築地

かなり値段の高いスコープですが、レンズの明るさ、解像力は他のスコープよりも卓越していますね。箱1本1本にシリアルナンバーが書いて有るのは初めて見ました。

弾倉修正チャートは取扱説明書の中に有りまして、日本語の部分は私が追記したものですが、これの説明をしますと、100ヤードで照準調整をして、調整をした後、調整ネジの上に付いている6角ネジを緩めますと自由に動きますから、目盛りを0にします。

0の時点では100ヤード正照準ですが、目盛りを2クリックにすると300ヤードでの正照準になります。
4クリックだと400ヤードでの正照準と言うわけです。

当然、使用する弾頭で微妙に変化しますが、このクリックの変移量を逆に弾道計算ソフトで演算してみたら、30-06 180グレイン弾頭を使い、初速2800フィートで撃つと大体これと同じに成りますね。

他の弾頭を使う場合、弾道計算ソフトを使うと簡単に演算できます。
例えば300ヤードで正照準した場合、100ヤードでは何インチ上に当たるかと言うことを計算すればいいのです、言うまでもありませんが300ヤードで命中するには、銃口から離脱した弾頭は曲線を描いて飛翔します、その場合100ヤードでは何インチ上を飛翔するか演算すれば良いのです、2インチ上を飛翔する場合、2クリック上げれば300ヤードでの照準に簡単に調整出来るのです、これはナイトフォースだけの特徴ではなく、普通のスコープでも調整できますが、スコープのキャップを取り外して、コインでねじの調整をしなければならず、かなり煩雑な作業となります。

そこで多くの人は単に、見当だけで狙い越をして撃つはずですが、なかなかリチクルだけで狙い越量を定めるのは至難の業です。

ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース

ナイトフォース 12倍~42倍 56 NP-1RR リチクル

ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース
ナイトフォース

WD-40

2004年 4月 3日 築地

東急ハンズ、カー用品店、等では売っている商品ですが、こういう所で入手できるので当社ではあえて取り扱いをしていなかったのですが、地域によっては全く入手困難という所が少なくありません、その為どうしても当社での取り扱いを要望される方が少なくないので取り扱いを開始します。

何故この製品を推奨するのかと言えば色々ありまして、以下にその理由を書き置きますが、先ず私が最初にこの製品に出会ったのは、アメリカの銃器会社で修行中の時でした。
工場で銃を製造して、全ての銃にこのWD-40をスプレイして梱包出荷していたからです。銃器会社では自ら色々な防錆油、いわゆる自社製ガンオイルを製造販売しているのに、工場ではこのWD-40を使っているのです。
思わず笑ってしまいますが、アメリカだけに限らずヨーロッパの銃器メーカの工場にもこのWD-40が大量に転がっており、ここでも自社製品は使わずWD-40を使っていることが確認できました。
私自身、長年このWD-40を使用して、銃器のメンテナンスにはこの油が卓越した性能を持っている事に着眼していますので、当社でも取り扱いを開始し、広く販売して参ります、銃を注文された時、現在お使いの油が無くなった時、是非ともWD-40をお使い下さいますよう推奨します。

WD-40
WD-40

私が推奨する4つの理由

1 卓越した防錆性能
WD-40の防錆能力は抜群です。金属面に散布すると通常のスプレイオイルと同じように潤滑面と、防水皮膜を形成します。他社のスプレーオイルもここまでは同じですが、他社のスプレーは数週間もすると油分が蒸発して防錆効力が無くなってしう、あるいは性能が発揮出来なくなります。
所が、WD-40はオイル分が蒸発しても、5ミクロンの薄い膜が形成され錆を完璧に防ぎます。
この被膜は薄い黄色をしていますので油分が蒸発した後は目でも視認できます。

2 卓越した防湿性能
WD-40は、メーカーで「水置換性」と呼んでいますが、金属表面に付いた水滴の下に潜り込んで金属の表面を守る性能があります。
この特性は雨の中で銃を濡らした場合の防錆効果に極めて効果的に作用します。
この効果は電気製品が冠水時に、製品に吹き付けるとショートを防ぐと言われるくらい優れた性能です。

3 卓越した潤滑力
私も自分の銃にはWD-40を使っています、負担の強くかかるところはプロゴールドルーブリカントを使いますが、通常の作動部分は全部WD-40を使っています。
元々がNASA等や航空会社で使うように航空宇宙工学用に開発された油ですので潤滑性能に関しては優れた油なのです。

4 卓越した洗浄、保護力
WD-40は、金属に付いているゴミや固まったグリースなどの下に進入し、直接金属表面に付着するために、これらのゴミを取り除く作用があります。
例えば、電気接点の表面に付着した、酸化被膜を除去し、性能を回復する性能があります。これと比較すると、銃器の表面に付着したゴミ等は容易に除去してくれます。

WD-40
WD-40
WD-40
WD-40

レミントン700 センデロ SF

2003年 9月16日 築地

レミントンの新製品です、センデロと言うモデルは昔からありまして、マグナム口径をバーミンターのスペックで作ったのがそれに該当します。

700 センデロ
700 センデロ

SFと言う言い方は、ステンレス銃身のフルーテッド加工という意味です。
この口径は、ウインチェスター300WSMの対抗馬だと言うことは誰が考えても容易に想像できます。これらの薬莢の最大の特徴は、全長が短いので機関部を308並のショートアクションが使えると言うことでしょう。
薬莢を比較して頂くとお解りいただけますが、レミントンの方がほんの僅か、全長が短くできています。
レミントンの場合、弾頭140グレインの物を使うと、初速3200フィートで飛ばす事が出来ます。ウインチェスターの場合、薬莢の内部キャパシテーが少しだけ大きいので、140グレインの弾頭を、3300まで飛ばすことが出来ます。レミントンより約100フィート早いですね。
でも、100フィートの差は、このマグナム装弾のレベルでは大差ないと考えて良いでしょう。
弾頭の破砕力は3000フィートを超えると破砕力が劇的に変化します。
2900フィートと、3000フィートでは同じ弾頭でも破砕力は全然違う弾に見えます、しかし、3200フィートと、3300フィートではあまり大きな違いを見いだせないでしょう。
3000フィートを超えるかどうかが、マグナム弾頭かどうかの見極めだと私は考えていますので何れの弾頭も間違いなくマグナム弾頭です。
薬莢の底部にリムがあるかどうかがマグナム装弾の違いではありません。

刻印
刻印
薬莢比較
薬莢比較

センデロのフィーリングは、銃身が26インチ、なおかつヘビーバレルの26インチなので、先重の銃になっていますが、マグナム系統の銃であればこのバランスが最適だと思います、銃床もプラスチックなのでグリップが細く出来ており、引き金を引くフィーリングはなかなか良い物があります。プラスチックと言ってもシンセテック銃床みたいに中が空洞ではないので、空撃ちしたときに銃床が共鳴するような不快感はありません。
木銃床と全く同じフィーリングです。

このレミントン700の300レミントン ショートアクション ウルトラマグナムは通常の700にシンセテック銃床を取り付けたモデルもありまして、これは\135,450とお手軽価格になっております。

データシート1
データシート1
データシート2
データシート2
データシート3
データシート3

リューポルド CQ/T 1倍~3倍

2002年 6月 1日 築地

今年のショットショーで初めて現物を見たが、実際に現物を見ないとこのスコープの本当の良さは解らないかも知れない。何しろ当社での販売価格は¥155,400である。

全体図
全体図
外箱
外箱

この手のスコープとしては法外な値段に思われるかも知れないが、覗いてみると瞬時にその価値を解ってもらえるかも知れない。
何しろ、覗いただけで、レンズには相当なコストをかけていることは容易に察しが付く、先ずはレンズの解像力が格段に優れていることである、それに明るい! 
これだけのレンズを作るとなるとレンズの素材もさることながら、なんと言っても磨きが徹底していると言うことなのであろう。
玩具に使うような低倍率のスコープ等、数千円で売られている、高くても1~2万円と言うところである、低倍率は安いから良い物が作れない、良い物が無いから敬遠される、従来の低倍率スコープはこうしたイメージが強かったため、低倍率スコープはどうしても偏見の目で見がちであった。私自身低倍率の物は良い物が作れないのでは等と勝手に思っていた。
その常識を打ち砕いたのがこのリューポルドCQ/Tなのである。

照度調整ダイヤル
照度調整ダイヤル

裏の事情は知らないので何とも言えないが、このスコープは一般に発売される前に、米軍の特殊部隊で採用が確定していた位なので、最初から軍隊向けに開発された製品なのだろう。軍用として開発されたのならコストは二の次で何よりも性能第一と言う事になる。
そういう事で有れば\155,400という値段は性能から考えて当然の価格と言うことになる。

このスコープを取り付けてみると解るのだが、このスコープは最初から両眼照準で狙うことを想定して設計されている、従って倍率は1倍~3倍であるが、言うまでもなく1倍で使うのが一番使いやすい。レンズの明るさも裸眼と同じ明るさなので両眼照準しても何の違和感もない。近距離射撃には最適なスコープである。
レンズの良さや、使い勝手の良さはなんと言っても現物を覗かないと解らないのであるが、このスコープを覗いた状態をカメラで撮影してあるのでご覧頂きたい。

両眼照準
両眼照準

カメラのレンズで撮影した画像なので、スコープの周辺がゆがんで見えるが現実にはこの様なゆがみは全くない、リチクルは黒いサークルである。サークルの中心にドットがあるが、このリチクルは、昼間は黒くなり、周りが暗くなると黄色に明るく光るリチクルに変化するのである。黄色に光るのはバッテリーの力である、バッテリーは防水のバッテリーパックに収納した物をスコープ本体の下に収納するように作られている。

対物レンズ
対物レンズ
バッテリーパック
バッテリーパック
バッテリーパックを入れる
バッテリーパックを入れる
バッテリーパック 回転させてロック
バッテリーパック 回転させてロック

このスコープのボデーにはウエーバーベースと同じ形状をしたマウントベースの様な物があるが、これはM-16小銃に取り付けたときに、他のアタッチメントを取り付けるためのベースなのである。

多くのスコープがデュープレックス等のいわゆる+のリチクルを使用している、これはエッチング(腐食)加工を利用して小さな+を作り出してスコープの焦点の所に設置しているが、あまりにも細くて繊細な物なので、銃の反動などの影響を受けて切れることがある。
しかしながら、CQ/Tのサークルリチクルはガラスの上に写真撮影したサークルを焼き付けているのである、従ってこれが切断すると言うことは全く起こらない。
リチクルをガラスの上に印刷(写真撮影)するのは、コストとして割高になるのであるが、これはスコープの価格自体が割高なので理解できる。
スコープの内部は、いかなるスコープも艶消しの黒色で塗装されている、この塗装、非常にデリケートな物なので非常に剥離しやすいのである、この塗装が剥離するとその微細な粒がガラスリチクルの場合は表面に付着してしまうことがある、リューポルド社の話では、その艶消し塗装に特別な技術を用いて絶対に剥離しない塗装を施してあるので、ガラスのリチクルには剥離した塗装粉末は付着しないと断言している。

このリューポルド、CQ/T、当社で販売しているライフル銃の値段よりも高い値段であるが、買って損のない逸品である。

ベレッタ マトーライフル

2001年10月23日 築地

マトーライフルは、ベレッタから新発売されたボルトアクションライフルである。

ベレッタ マトー ライフル
ベレッタ マトー ライフル

ベレッタブランドであるが機関部はダコタ製である。ダコタライフルは元々カスタムライフルとして有名な会社であるが、マトーライフルと同じ程度のダコタライフルならば、当社で80万円している銃である、それからすると¥451,500円と言う価格は非常に割安な価格設定である。
この銃は名銃と呼ばれたウインチェスターM-70プリ64モデルを参考に作られている、しかも初期モデルと同じように機関部は削りだしで作られている、ボルトもボデー、ボルトハンドルは一体物である。本家のウインチェスター社ではこうした製造方法では採算割れになるため、40年も前に削りだし加工からはさっさと退散してしまったのである。
初期モデルの削りだしモデルから、鍛造の地肌仕上げの物に細部を変更するなどして1964年までは何とかプリ64モデルとして製造してきたが、いかなるコストダウンをしても原価割れして、結局製造を続行することが出来なくなった、それが1964年、今から37年前の事である。ダコタ社の社長は、その削りだしM-70を再現するために、ダコタカスタムライフルの製造をスタートした。価格は80万円程度したが、それでも多くのお客の注文があった。

ベレッタ社は、このダコタにベレッタブランドの銃を注文し、マトーライフルと言うブランドで昨年のショットショーで新製品の展示をした、この段階では銃にはダコタ ライフルと刻印してあり、外見もダコタライフルと大差なかった、また価格も明示してなかったので、ダコタと同じじゃん、と言う感じで私自身も大して期待はしていなかった。

マトー ライフル 元台
マトー ライフル 元台
マトー ライフル 先台
マトー ライフル 先台
マトー ライフル 先台左側
マトー ライフル 先台左側

しかし、量産モデルがリリースされて驚いた! 価格はダコタの半値、デザインは遙かに洗練されている、銃床はレベルの高い物が採用されている。試作品の出来とは大違いである。

マトー ライフル グリップ
マトー ライフル グリップ
マトー ライフル 下部
マトー ライフル 下部
マトー ライフル 下部
マトー ライフル 下部

展示会場では試作品はショーケースに入れられているだけで、実際に手を触れてフィーリングを確かめることが出来なかった。しかしリリースされた銃を構えて驚いた!

マトー ライフル 細い先台
マトー ライフル 細い先台
マトー ライフル 細いグリップ
マトー ライフル 細いグリップ

びっくりするほど銃床はスリムに出来ている、写真を見ていただければお解り頂けるが、私がグリップを握って充分手が余る、先台にしても非常の細く仕上げられている。

銃床の寸法は、ほとんどの人が銃床は使う人のサイズに合わせて作られていると勘違いしているが、実はそうではない。

マトー ライフル シャドウチーク
マトー ライフル シャドウチーク

ウエザビーライフル等も、グリップも、先台も非常に細く作られている、私は1970~1971年までウエザビー社でガンスミスとして修行をしていたが、ウエザビー、マークVを設計した、フレッド、ジニー氏の話では、このグリップの細さが、そして先台の細さがアメリカのデザインなんだとしきりに私に力説した、確かにヨーロッパ系統の銃ではこうした細いグリップ、細い先台の銃は全く採用されていない、これは使いやすさとか、使う人間のサイズに合わせたとか、そう言うレベルの話ではなく、デザインに対する美学の問題だろうと私は考えている、それにしても特に最近は格好の悪いライフルがヨーロッパでは出回っている、ドイツのヘッケラー&コッホの新しいハンテングライフルなど、どうしても私には受け入れがたい。あれが格好いいと言う人の感性が理解できないし、そんな人とは付き合いたくもない。皆さんはどう思われますか?

ベレッタはヨーロッパの会社であるが、イタリアの物はデザイン的に非常に勝れている、パラッチ、ベレッタ、こうした会社で作られる銃はデザイン的に非常に卓越した物がある。
このマトーライフルのデザインがイタリアか、あるいはアメリカか、定かなところは知らないが、この銃の製造はベレッタUSAである、つまりアメリカにあるベレッタ社現地法人が製造した事を考えると、デザインの基礎にアメリカンライフル的デザインの考え方が底流に流れているよう思える。
現在のボルトアクションライフルはほぼ100%完成され尽くしたと思っていたが、銃床デザインでこれほどインパクトのあるデザインが出来るとは考えてもいなかった。
また新しいボルトアクションライフルの出現である。

ダコタライフルはM-70を模倣したため、引き金に関しては出来が良くなかった、プリ64モデルでも、引き金の出来は最悪である、そのため引き金だけは他の物に交換して使う人が少なくない。

マトー ライフル 機関部
マトー ライフル 機関部
マトー ライフル 機関部上
マトー ライフル 機関部上

ベレッタの場合は、引き金は最初からジュエルを取り付けている、ジュエルトリッガーは現在では最高の引き金と言われている。ダコタ、そしてプリ64の弾倉は固定式であった。しかし、マトーライフルの弾倉は着脱式弾倉に出来ている、外見上何処にもストッパーが見えないので一見すると固定式に見えるが、トリッガーガードの内側にラッチがあり、これを押すとマガジンが外れる、着脱式マガジンの場合、多くの人が予備弾倉をついでに購入するが、この銃の場合、最初から予備弾倉が1個付属で付いてくる、つまり弾倉は2個あると言うことである。

マトー ライフル 着脱マガジン
マトー ライフル 着脱マガジン

この銃の銃身を製造しているのは、ロットーワルサー、有名なカール、ワルサーの2男が起こした銃身専門のメーカーである、ワルサー社は勿論、射撃銃のファインベルクバウ社もここの銃身を使っているので命中精度としては定評のある銃身である。

機関部はダコタ、引き金はジュエル、銃身はワルサー、銃床デザインはベレッタ。

ベレッタ マトーライフル、久々の期待のライフル登場である。

ベレッタ391 ウリカ(ゴールド、シルバー、シンセテック)

2003年 3月18日 築地

左全体図
左全体図
右全体図
右全体図

私、最近足腰が弱りました!
年齢の所為も有りますが、何と言っても、足腰を使わなくなったと言うのが最大の原因でしょうね。しかしながら、腰に関しては年に数回、充分運動出来る様な思わぬ幸運に遭遇することも有りますが、足に関しては全然駄目ですね、私の通勤は車ですし、唯一の趣味である射撃ですら、べンチレスト射撃は椅子に座ったままですし、トラップ射撃ですら5つの射座をとぼとぼと移動するだけの動きですから、箸を動かすより運動量は少ないはずです。ですから歩くのも遅いです! ハンテングフィールドに出れば、70代、80代の大先輩方よりも歩きは遅いと思います。山歩きなんて論外ですね。
足は遅いのですが、他人の目から見ると手は早いようです。
ショットショーのレポートの中で、オイラのガールフレンド"クミちゃん"の事を書いたら、"さすが築地さん、手が早い、なんて言われ方もしておりますが、これって何の事なんでしょうね? さっぱり解りません。
手が早くても運動量解消にはあまり役立つとも思えず、足腰を強くするには、何と言ってもハンテングフィールドに出かけるのが一番ですね。
そしてハンテングに使用するには、一押しはベレッタ391です。
今回は、この銃について説明を繰り広げたいと思います。

当社で一番売れる自動銃(散弾銃)はベレッタです。

ですから、ベレッタの取扱説明書の日本語版が欲しいという声は以前から沢山リクエストがありましたので、今回はベレッタ391に付いて説明してみましょう。

391全体図
391全体図

この取扱説明書では、391ウリカ、ゴールドブラックと言う銃を使っていますが、これより下位のモデル、シルバー、あるいは銃床が対衝撃性プラスチックの、シンセテックモデルも構造は同じですので、取扱説明書としては同じと考えてください。

ベレッタが何故ベストセラーモデルなのかと言うと、先ず、故障が少ない、重さが軽い、これがお客様が購買を決定する最大の決め手だと思います。
機関部に軽合金を使っていますので、部材自体が軽いのですが、外見はスリムは仕上げに徹しており、これが軽量化に繋がっていることは言うまでもありません。

機関部右
機関部右
機関部左
機関部左

ゴールドブラックの機関部には、金象眼したような部分が有りますが、これは本物の金象眼ではなく、この部分だけメッキしたものです。
本物の金象眼で\185,000で売れるわけがありません、金象眼だけでこの値段がかかりますからね。しかし、見た目はいいでしょう。素人目には充分金象眼に見えますからね。
金象眼のある面は、研磨仕上げしてあります、研磨と言っても磨き上げではなくてヘアーラインと言う仕上げですね。この部分以外の上と下は、つや消し仕上げに出来ています。
これだけでも結構凝った作りです。艶消し部分と同じ仕上がりですが、トリッガーガードはファイバーグラスを混入したプラスチックで出来ています。
通常の軽合金を使ったのでは、この薄さでは簡単に割れてしまいますからね。

トリッガーガードには引き金の前に安全装置が付いています。赤いラインが見える状態ですと引き金が引けます、つまり安全が解除されている状態です。
この銃が優れている点は、この安全装置は左右どちらにでも変更できることです。
左利きの人は、当然安全装置は右用の人とは逆にして使いたい筈ですよね。
ストッパーを押しながら片方に押しますと、安全装置が抜けますので、逆に入れ替えると左用の安全装置に変更できるのです。
しかしながら、安全装置が引き金の"前"に有るのは非常に使い勝手が悪いのです。

安全装置
安全装置

引き金の"後"にあれば問題ないのですが、この事だけでベレッタの購入を止める人も少なくありません。この点に関してはレミントン、またはFNの方が優れていますね。

さて、銃の組み立てについて説明を進めます。
先台先端のネジをクルクル回しますと、ネジが取れ、先台がはずせます。
先台のネジのことを、フォアエンドキャップと言います。
先台を外した状態でメカの話をしてみます。先端に付いているのがピストンです。

ファエンドキャップ
ファエンドキャップ

ピストンですから本当は単なる円筒でいいのですが、このピストンは幾つものスリットが見えますよね、実はこの部分でガス筒に付着したカーボンを取り除くのです。

ピストン
ピストン

ベレッタが、セルフクリーニング(自動清掃)と言って宣伝しているメカニズムなのです。これで削り取られたカーボンはガス筒のエギゾーストノズルから自動的に排出されます。

ガス排出穴
ガス排出穴

ベレッタは24グラム装弾から57グラム装弾まで完璧に作動すると宣伝していますが、これは本当です!今まで回転不良のクレームは皆無です。

何故この様な事が可能かと言いますと、24グラム装弾を使うときは作動しないのですが、強い装弾を使うときは、ガス筒の前の部分が強さに応じて自動的に開放されますので、強い弾でもピストンが急激に動くことは無いのです。

バルブ
バルブ

一般の人が考えるのは24グラム装弾で動けば、強い弾でも動くわけですから、別にガスを逃がしたり、余計な事をしなくてもいいのではないかと思われるかも知れませんが、もし余分なガスを逃がさないと、ボルトが急激に後退し、機関部の後ろに激突して、機関部にクラックが生じる事があるのです。その為に強い弾を使うときは余分なガスは排出するように作られているのです。

ピストンの移動量
ピストンの移動量
スリーブの移動量
スリーブの移動量

ピストンが動くのは22ミリ、ピストンの後ろにあるスリーブがその慣性で95ミリ移動するのです。スリーブの取り付けてあるオペレーテングロッドを見てください。
レミントン等とすると数倍の強度があります。レミントン等はプレスで打ち抜いた物を加工していますので所詮は"鉄板"ですが、ベレッタの場合は"削りだし"です、それを溶接部分が酸素と結合しないように溶接した、アルゴン溶接で溶着していますので強度は完璧です。
ボルトの部分をご覧下さい。ボルトハンドルの後ろに楕円の穴があります。

溶接部分
溶接部分

ピストンが最初に動いたときには、先ず最初にボルトハンドルが10ミリ後ろに後退するのです、楕円の穴はその後退するスペースです。
ボルトハンドルが後退しますと、ボルトの上にある、銃身とロッキングしている、ロッキングブロックが降下してロッキングを解除します。

ボルトハンドルの移動量
ボルトハンドルの移動量

そしてそのまま95ミリ後退して薬莢を排出します。
銃身のロッキング部分をご覧下さい、この溝にロッキングブロックが填り込み、銃身とボルトをロックしているのです。

ロッキングブロックUP
ロッキングブロックUP
ロッキングブロックダウン
ロッキングブロックダウン

銃身を子細に見て頂くと銃身の内側は白く、銃身の外側は黒くなっているのがお解りでしょうか。これは白い部分が硬質クロームメッキしてあるのです。
ボルトの部分をご覧下さい、このロッキングブロックが持ち上がり、銃身部分に結合するのです。銃身に施してある硬質クロームメッキは錆止めの目的も有りますが、主たる目的は摩耗を防ぐためのメッキです。摩耗を防ぐためならロッキングボルトにも硬質クロームメッキをしても良さそうなもですよね。

銃身のロッキング部分
銃身のロッキング部分

私の解説書が、市販の雑誌のレベルを遙かに超えているのは、ちゃんとこうした事まで丁寧に説明する事にあります。と、言うよりは雑誌のライターなんてこんな事は知りません。鉄砲屋さんは勿論、自称専門家なんて言うレベルでも知らないでしょうね。
現場をちゃんと踏んでこないと知り得ない知識ですね。
さて、その理由ですが硬質クロームメッキはとても硬くて対摩耗性に優れているのですが、その硬い物同士を噛み合わせますと、お互いが硬すぎて両方に"カジリ"を生じてしまうのです。その為に硬質クロームメッキをした相手側は、通常のクロームモリブデン鋼材のままでないといけないのです。
ですから、機関銃の作動部分には硬質クロームメッキは絶対使ってはいけな事は、銃器設計者の常識なのです。
航空機に搭載してあるバルカン砲の銃腔内は銃身寿命を延ばすためにクロームメッキをしてありますが、それ以外の部品にはカジリが起きるので絶対硬質クロームメッキをしてはいけないのです。また、メッキは厚ければ厚いほど丈夫なように一般的には勘違いされていますが、硬質クロームメッキは実は薄ければ薄い程丈夫なのです、気取って厚いメッキをすればメッキと銃身は硬度が違うので剥離の原因になるのです。
過日、自衛隊の戦闘ヘリ、コブラの機関砲を見たのですが、銃身の1本に明瞭にメッキの剥離が視認できました、これは製造現場のエンジニアが気取ってメッキを厚くしたからです。メッキの剥離が起きると命中精度は極端に劣化します。
バリカン砲のミルスペックは、射距離300メートルに於いて、命中精度は1メートルの範囲に80%着弾すると言うことで、まるで散弾銃のパターンテストみたいな事をします。
しかしながら、昨年行われた総合火力展示演習の記録ビデオを子細に分析しますと、ホバリングしたコブラのバルカン砲は、300メートルの距離なら1メートルどころか、10メートル以上に拡散するほど非道い命中精度ですね! ホバリングするヘリコの振動は半端でないので、バルカン砲のせいだけではないので仕方ないのでしょうが、あれは物に命中させると言うための機関銃ではないですね、何処に当たるか解らないですから単なる脅しの為の機関銃です。弾着がバラバラですから弾幕を張るという目的には逆にいいかも知れませんがね。
私はメッキ屋の経験は無いのですが、64式小銃を開発した防衛庁の技術者に粘っこく食らいついて小銃の銃腔内メッキのノウハウについて徹底的に教えて貰ったのです。
ですから、チョットしたメッキ屋さんレベルの知識ならあります。

話が飛びましたが、銃身を機関部に取り付け、先台をはめますが、ベレッタの場合先台がちゃんと機関部側にぴったりと付いているか必ず確認してください。

これが正しい
これが正しい
これは駄目
これは駄目

先台がちゃんと機関部に付いていなくても取りあえず銃身は組み立てられます。
先台がちゃんと入らないのは機関部との填め合いのため、2ミリ程度の段差があるため、この段差にちゃんとはまらないとこんな状態になるのです。画像をご確認下さい。

カットオフボタン オフ状態
カットオフボタン オフ状態
カットオフボタン オン状態
カットオフボタン オン状態

機関部左側にカット-オフボタンがあります、これはボタンをオンにしますと、弾倉内の弾が出てこない装置です。通常の自動銃なら弾倉から弾が出てこないと意味がありませんよね、ではこの装置は何の為にあるかと言いますと、ハンテングの最中、チョット一休みなんて時に、当然にして薬室に入っている弾は抜きますよね、ところが弾倉に入っている弾を抜くとなりますと、何回もボルトを前後させないと駄目ですよね、ところがこのカット-オフ装置を使いますと、薬室の弾を抜いても弾倉の弾はそのままホールドされるのです。
そして、休憩が終わり、また銃を使おうとするときは、ボタンを戻すと弾倉の弾が給弾されるようになります。

ベレッタの場合、キャリアラッチは常にこの状態にあり、引き金を引いた瞬間に弾倉から装弾がここに飛び出します、偽装弾を使って空撃ちするとそのメカがよく分かりますよ。
ボルトが後退してボルトが前進すると、このキャリアが持ち上がり装弾を薬室に装填します。

キャリアラッチ
キャリアラッチ

銃を収納するときは、先台を取り付けますが、銃身が無い状態ではネジと先台の部分に空間があり、がたがたしますので赤いプラスチックスペーサーを使って組み立てます。

赤いスペーサー
赤いスペーサー

391ウリカには多くの付属品が付いています。
ベンドの高さを調整するスペーサーがあります、C-60-DXと書いてあるプラスチックの部品です。これは片方が厚くなっていますのでこれを上下入れ替えることによりベンドを高くしたり、低くしたり出来るのです。

ベンド調整スペーサー
ベンド調整スペーサー
スペーサー
スペーサー

また別の部品を銃床に組み込みますと、キャストオフ、キャストインの設定が出来ます。
キャストオフとは、右利きの射手が、銃身軸線から銃床の後ろを外側にずらすことを言います、通常キャストオフは5ミリ程度です、ストレート銃床の場合、左でも右でも使えますが、右用にキャストオフしてある銃床を左利きの人が使うと非常に使いずらいので、この場合は左用に調整する必要があります。

銃床の後ろに、このキャストオフの部品を組み込むとキャストオフになります。
この部品をひっくり返して使うと、キャストオンになります。

キャストオフ部品
キャストオフ部品

左用と言うと、薬莢が飛び出すエジェクションポートの事も気になると思いますが、これは全く気にする必要はありません。何故なら飛び出した薬莢は顔の方に向かって来る事はないのです。排莢した薬莢は先端が回りながら後ろに跳びますが、薬莢の先端が機関部にあたり、今度は逆に回転しながら45度前方に跳んでいくのです。ですから左利きでも全然問題はありません、それが証拠に軍用銃は全部エジェクションポートは同じですが、米軍の場合、30%兵隊さんが左利きです。

部品取り付け図
部品取り付け図

ベレッタ391にはガンケースも付属しています。中に何に使うか解らない金属棒が1本有ります、これはこれを弾倉内に入れることにより、弾倉内1発に改造するスペーサーです、外国では猟場によっては弾倉内1発と言う所もあるからです。
最近の銃は全てそうですが、ベレッタも交換チョーク式の銃身です、チョークは全部で5本付属しています。チョークの先端に溝が入っており、その溝の数で何のチョークか知ることが出来ます。

チョーク溝
チョーク溝
銃口部分
銃口部分

1本の溝は、フルチョーク 2本の溝はインプルーブド モデファイ、3本の溝はモデファイ 4本の溝はインプルーブド シリンダー 5本の溝はシリンダー 何も溝のない物はスキーとチョークです。
チョークのサンプルは4本有りますね、1本は銃身に付いています。
これで、合計交換チョークは5本付いていることになるのです。

チョークの他に厚さの違うレコイルパットも付属で付いています。

レミントン 11-87 プレミア

2003年 3月11日 築地

言わずと知れた11-87はレミントン社の自動散弾銃ですが、プレミアと言うのは直訳すると特選品と言うような意味があり、この銃は機関部、銃身はピカピカに磨かれた上で黒染めされ、銃床もアメリカンウオルナットを使い、ウレタンでピカピカに塗装されています、このモデルをプレミアと言うのです。

11-87
11-87

ハンテング専用のモデルは、SPS(スペシャルパーパス)と言って、機関部、銃身はつや消し、銃床もシンセテック銃床を使ってあります。
今回はプレミアについて説明しますが、内容的には同じですのでSPSの場合も同じだと考えてください。
ベレッタなどが機関部を軽合金にして、さかんに軽さを売りにしているのですが、未だにレミントンだけはかたくなに機関部は"スチール"を売りにしています。
勿論、スチールが丈夫なのは言うまでもありませんが、銃の耐圧は銃身と、銃身にロックされるボルトで保っているので機関部がスチールである必然性はないのです。
それが証拠に、軽合金の物でも機関部に割れが入ったなんてトラブルは皆無ですからね。
但し、金属の質感とか言うことになるとスチールの質感は軽合金では出せないのは事実です。なんて事を言いながら、この銃の引き金ブロックは軽合金です。
後半に引き金の説明の所に画像がありますのでご覧頂くと解りますが、引き金ブロックの下側は黒くなってますが、上の方はダイキャストの地肌のままですから白いですよね。
下の黒いのは焼き付け塗装なのです。

この様に機関部がスチールなのでレミントンは重たいと言われるのです。
しかし、ベレッタ等と比べると値段が安いので、値段で決めるならレミントンですがね。

アメリカでは子供が銃をいたずらして事故を起こすと言うことが少なからず発生しています、下手するとどんな大メーカーでも訴訟を起こされ、万が一にでも敗訴なんて事になると、膨大な賠償費用を請求されるため会社が倒産しかねません。

安全
安全

必ずしもそれだけが理由ではないかも知れませんが、レミントンの銃は安全装置が二重にかけられるようになっています。
通常、引き金の安全装置は左右に動かすことにより作動します。
これは従来とおりです、新しい安全装置は安全キーを使って、180度回転させてロックしたり、解除したり出来るのです。安全装置ボタンの白い矢印を、トリッガーガードの白いマーキングに合わせると、安全装置がロックされます。

安全キー
安全キー
安全キーを差し込む
安全キーを差し込む

これを赤いマーキングに合わせると安全装置を作動させることが出来ます。
日本では銃は全てガンロッカーに収納されているので、子供が銃を触ることもないし、そのために事故が起こると言うこともないので、こんな煩雑な安全装置を使う必要はありません、はっきり言って無駄な装置ですね。

銃は、銃身を取り外した状態で箱に収納されています、器用、不器用にかかわらず、必ず銃身は自分で組み立てなければなりませんが、これが出来ないという人は今まで居ませんでした、しかし、手間取る人は居ますね。、そこで手間取らないでスピーデーに組み立てられるコツを少しお話しします。

先ず先台のキャップ(ネジ)を外して先台を抜くと、銃身を機関部に取り付けられる状態になりますが、このまま銃身を差し込んでは駄目です。
ボルトが前進した状態では、ボルトの上にあるロッキングが出ている為に銃身が差し込めないのです。そのために銃身を差し込む前に必ず機関部を開放してください。

機関部開放
機関部開放

レバーを完全に後ろまで引けば、機関部は開放された状態で止まります。
この状態で銃身を差し込むのですが、銃身を差し込む前にもう一つだけチェックしておくことがあります。
レミントンの自動銃には24グラム装弾を使うときに、回転を確実にするためにガスヒールという部品をガスシリンダーの所に使います。

ガスシール
ガスシール

画像、ガスシールをご覧ください。
銃を箱から出した段階ではガスシールは大体ここの位置になります。
このまま銃身を差し込むと、ガスシールが弾倉パイプの段差の所で引っかかってしまい、銃身が上手くはまらなくなるのです。
その為に段差の所よりも機関部側にガスシールを移動させておくのです。
そうすれば銃身はスムーズに装着できるのです。

段差
段差

銃身とガスシールの位置関係をご確認ください。
ガスシールと言う名称ですが、要するにOリングです、しかし、市販のOリングを使うと簡単に切れてしますので、これが切れた場合はレミントン純正の物を使うしか方法はありません。純正品の値段は\1200です。
このOリングは比較的容易に切れますので、24グラム装弾を使用するとき以外は外しておいてください。マグナム装弾を使うと簡単に切れますが、切れても回転するのでほとんどの人がそれを知らないで使っているケースも多々あります。

ガスシールの位置
ガスシールの位置

ベレッタは24グラム装弾から52グラム装弾まで綺麗に回転しますが、レミントンの場合、24グラム装弾で回転不良が起きることがあります。これは元々マグナム装弾を使うことを前提として作られているので設計上問題があるのかも知れません。
逆にマグナム装弾を絶対に使わないと言う前提なら、レコイルスプリングを切りつめたり、ガス筒の穴を調整したりして24グラム装弾でも綺麗に回転するように調整する事は出来ます。このあたりのガス筒の設計はベレッタの方が上手ですね。
画像をご覧ください。ガスシリンダー本体の前に、ガスシリンダースプリングがありますね。これは強い装弾を撃つときにはここのスプリングが開いて余分な強いガスを放出するのです。

ガスシリンダー
ガスシリンダー

11-87の前のモデルは1100でしたが、昔の1100の頃は、射撃用装弾も32グラム狩猟用のマグナム装弾ですら45グラム程度だったので、こうしたガス抜きの穴は銃身には付いてなかったのです。
現在は24グラムから52グラムまで、装弾もいろいろありますのでレミントンも苦悩するところでしょう。

銃床の先台の内側にはファイバー繊維で内張してあります。
これは補強の為なのですが、昔、この補強が無かった頃は、やたらとここが割れましたね。
割れて割れて割れまくった感じでしたね。
1100のうんと古いモデルはほとんどここに割れが入っています。

先台内部
先台内部

日本では、法律で散弾銃の弾倉には2発しか装填出来ませんが、アメリカも場所によっては弾倉内は2発に制限されている所もあります。
そういう場所で使用するために弾倉無いにプラグを詰めます。

プラグの取り外し
プラグの取り外し
弾倉スプリング
弾倉スプリング

弾倉の先端には黒いプラスチックの部品がありますが、これはマガジンスプリング リテーナーと呼びます。

プラグスペーサー
プラグスペーサー

これはドライバー、または付属のチョーク交換レンチを使うと簡単に取り外すことが出来ます・・・・・・・・出来ますが、個人でやると武器等製造法違反ですからご注意ください。これはあくまでも説明書ですからこうすればこうなる言う意味での説明です。リテーナーを押し込んだまま、左右どちらでもいいですから45度回転させると弾倉の中のスプリングが、ビヨヨーーンと出てきます。この中にプラグを入れて弾倉内2発にしているのです。
再度警告しますが、プラグを抜くと武器等製造法違反、銃刀法違反ですからね!

キャリアラッチリリース
キャリアラッチリリース

さて銃身を取り付けたら、開放していたボルトを前進させなければなりません。
機関部の下にあるキャリアラッチリリースを押せば、ボルトはバシ~ンと前進します。言うまでもありませんが、銃身を着けない状態でボルトを前進させたら壊れますからね!

参考までに言いますが、ボルトを作動させるボルトハンドルはネジやピンで止まっている訳ではありません、単なる挿入です。ですからこのまま上に引くと簡単に抜けます。
時たまこれを無くす人が居ますので気を付けてくださいね。

ハンマー停止位置
ハンマー停止位置
激突
激突

トリッガーガードブロックは機関部にある2本のピンで止まっています。
ですからこの2本を抜くと引き金ブロックは簡単に外すことが出来ます。
取り外した後は"絶対に引き金を引かないでください。
その理由は、この状態で引き金を引くと、通常ならばハンマーはボルトの後端撃針を叩く位置で停止します、それ以上は動きません。しかし、ボルトば無い状態で引き金を引くとハンマーはキャリアラッチに激突して、保証付きでキャリアラッチを折るのです。
時々お客様から、「何にもしないのに部品が折れた」なんてとぼけた電話があります。
何にもしないでキャリアラッチは折れません!

ドクターサイト

2003年 3月 4日 築地

新しい、コラムのシリーズとして取扱説明書を徹底的に書くことにしました。
誰も書けないと言うのは、製品の利点も欠点もビシバシ書いていくので、とてもメーカーの取扱説明書では書けない領域まで踏み込むからです、だからといって書いたからと言って別に自慢になるわけでもなく、従って誰も書かない取扱説明書なのです。
従って誰も書けない、だれも書かない取扱説明書と言うタイトルを付けたのです。

元々は、当社の取扱説明書に日本語の取扱説明書が欲しいと言う要望が少なからず有りましたが、付属の取扱説明書を翻訳してもとてもユーザーの知りたい情報を提供できると思えなかったので翻訳はしなかったのです。特にアメリカ系統の銃の取り扱い説明書に至っては、裁判を起こされたときの予防策ばかりで、人に銃を向けてはいけないとか、常識以前の説明ばかりでしたので、とても取扱説明書のレベルではなかった事も事実です。
これを根本的に考え直して、銃の説明書と言うよりは解説書と言うレベルで書いてみたいと思います。
だからと言って、いいきなり銃の説明書では負担が大きすぎますので、最初はお気軽なサイトからスタートしたいと思います。

ドクターサイトとファイヤーポイント
ドクターサイトとファイヤーポイント

先ずは当社の一押しサイト、ドクターサイトの取り扱い説明書です。
ドクターサイトは昨年から取り扱いを始めた照準器です、類似のサイトとしては、イギリス製のファイヤーポイントが有ったのですが、この会社が倒産したため、急遽ドクターサイトの取り扱いを始めたのです。誰が見ても簡単に解りますが、ドクターサイトはファイヤーポイントの"パクリ"です。しかしゃながら一般的にパクリ物なら本物の半値くらいで良さそうな物ですが、逆に値段は倍近くします。
値段から考えても只のパクリでないことは容易に想像できます。ファイヤーポイントを取り扱っている時に気づいたのですが、ファイヤーポイントはあまり精度の高い射撃には向かない欠点がありました。
それは射撃の衝撃で赤点が少しずれる事が有るのです、何時もと言う訳ではないし、ライフル射撃の精密射撃に使われた訳ではないのでクレームにはなりませんでしたが、改良点であるなとは感じておりました。ドクターサイトが昨年発売され、この点が改良されていることでこのサイトの完成度が理解できました。それにこれを製造している会社は、東ドイツの頃はツアイス、イエナーと言う名称で軍用の双眼鏡などを作っていた会社ですから技術レベルはファイヤーポイントより遙かに技術的にはレベルが上と言うことです。
ファイヤーポイントは本体がプラスチックスでしたが、ドクターサイトは金属の削り出しですのでもともとボデーの剛性が全然違います、調整ネジを締めすぎてフレームが変形すると言うような事は全くありません。そういう意味でも基本的な基準になる精度が全然違うと言うことです。
ドクターサイトの裏側をご覧頂くと、金属削り出しと言うことがよくお解りいただけると思います。
電池を入れるときにお解りいただけるのですが、本体側に電磁石が入っており、電池を挿入するとき"バチッ"と本体側に吸い付きます。これで電池の接触不良を無くしているのですね、ファイヤーポイントとはここが違います。

裏側
裏側
仕組み
仕組み

電池を挿入すると自動的に赤点が点灯します。電源のスイッチは無いのですが、カバーを被せると自動的に電源はオフになります。
これは本体の先端に外部の照度を感知するセンサーが付いており、外部が真っ暗になると赤点は光らないのです、つまり電源が切られるのです。
逆に、クレー射撃の様に青空に向けて狙いを定めると、センサーが外の明るさを最大限に感知するため、赤点の光量も最大限になります。
この様に、ライフルスコープ仕様のものと違い、赤点の明るさは自動的に調整されるのです。赤点は本体内に設置された発光ダイオードを使い、それを前のスクリーンに反射させて照準するのです。通常のライフルスコープは十時のリチクル、または●の状態にエッチングで切り抜かれた、あるいはガラス板に印刷された物に反射剤を塗り、スコープ本体の中に仕込まれた発光ダイオードを反射させて見ます。そのためにスコープタイプの物はリチクルも、●も正確に縁取りされ、かつ、真円ですが、発光ダイオードを反射させる物は周りが滲んで見えてしまいます。
実は、発光ダイオードの発光部分と言うのは円では無くて、四角なのです。
これをレンズで拡大して、見た目の円にしているのです、従ってそれをスクリーンに反射させるとどうしても周りが滲んでしまうのです。

リフレックスタイプと呼ばれる、発光ダイオードを反射させるタイプの照準器はどうしても避けられない構造上の問題ですのでご承知おきください。
勿論、実用上は何の問題もないのですが、遠距離の標的射撃には赤点の周りが滲むので中心が捕らえにくいと言う感じはします。
しかし、そのために超軽量化、超小型化が実現出来ているのです。
参考までに、ニコン製のモナークサイトとドクターサイトをお見せします。
ニコンの方は赤点がくっきりしますがサイズはどんなに小さくしてもこれが限界です。
ドクターサイトは赤点が多少滲みますが、サイズはここまで小さくできます。

ニコンとドクターサイト
ニコンとドクターサイト

ファイヤーポイントの時は銃の衝撃で赤点が僅かにずれるという問題が有ったのですが、ドクターサイトの場合はその問題を修復しています。
ドクターサイトの正面に固定ネジが2本ありますが、このネジは発光ダイオードの取り付け部を固定するネジで、照準調整をするときは、最初にこのネジを緩めます。
これを緩めることにより、赤点の調整が出来るようになるのです。
照準調整をする前に、ドクターサイト本体をマウントに取り付けなければなりません、マウントがないと銃に取り付ける事が出来ないからです。
元々、この手の照準器は拳銃用に使われる場合が多く、マウントもそれぞれの拳銃用は色々用意されているのですが、ライフル、および散弾銃に使うにはウエーバータイプのマウントを利用して使うしか方法がありません。
ウエーバータイプのマウントは四隅にノックピンが立ててあり、これにドクターサイトをはめ込んでネジ止めするのです・・・・・が
このはめ込みがやたらきついのです、計器で寸法を計測してみたら5/100ミリ程度の公差しかないので、ほとんどガタの無い製品だと考えてください。
ガタがない=はめ込みがきついです。いかにも昔の東ドイツ製という感じです。
一旦はめ込むと次回にばらすときは大変な感じがしますが、通常の使用なら電池の寿命は5年間あると言うことなので、その時はその時で対応するしか有りませんね。

マウントベース
マウントベース
仕組み
仕組み

取り付け図をご覧頂くと銃に取り付けた状態をご確認頂けます。
目下の所、これ以上小さい光学照準器は存在しません。世界最小、世界最軽量ですね。

取り付け図
取り付け図
デスクにドライバーを差し込む
デスクにドライバーを差し込む

銃に取り付けると、今度は照準調整です。
照準調整をする前に、付属のデスクの中心に付属のドライバーを差し込みます。
勿論ドライバーだけでも照準調整は可能なのですが、調整量が解らなくなります、そこであらかじめデスクを取り付けておけば、照準調整の移動量を把握することが出来るのです。
照準調整の前に、正面2本の固定ネジを緩めるのは説明ししましたが、これを緩めて上下調整ネジを調整します、デスクの目盛りをドクターサイトの何処かを基準点に定めておきます、そこから1目盛り移動すると、100mで3cm移動することになります。

赤点固定ネジ
赤点固定ネジ
上下調整ネジ
上下調整ネジ

デスクの目盛りをドクターサイトの何処かを基準点に定めておきます、そこから1目盛り移動すると、100mで3cm移動することになります。
照準調整が終わったら、赤点の固定ネジを必ず締めておくことを忘れてはいけません。

デスクを使った上下調整
デスクを使った上下調整
デスクを使った左右の調整
デスクを使った左右の調整

射撃を終えたら、あるいは銃を収納するときはカバーをかけて収納します。
カバーはかけるときは簡単なのですが、問題は外す時です、これもが東ドイツの設計思想なのでしょうか、一旦はまったらなかなか外れません、それは蓋の内側にノッチがあり、それがドクターサイトの本体にがっちりはまりこむためです。
ですから蓋を外すときは蓋の両方を左右に開くようにして外すと簡単に外れます。
外した蓋は意外と無くす人が多いので、出来れば紐を付けておく方が蓋が外しやすく、なおかつ紛失の恐れがありません。お試しください。

本体とカバー
本体とカバー

ドクターサイトには赤点の大きさが3.5MOA(ミニッツ、オブ、アングル)と7MOAがあります、大きさの目安は3.5MOAは100mでの大きさが、約9cm
7MOAは100mでの大きさが約18cmです。
一般論としてライフルには3.5MOA、散弾銃には7MOAをお奨めします。

ドクターサイトの定価は¥55,000 マウントは¥7,800 ウエーバータイプのマウントベースは¥4,800ですが、機関部に取り付け穴が無い場合は加工料が¥5、000~¥6,000かかります。
散弾銃の換銃身で、カンチレバー付きの物はそのままマウントを購入するだけで取り付けられます。

ジェームス ウッドワード

2003年11月 8日 築地
更新 2003年11月11日 築地
2003年11月22日 築地

ジェームズ ウッドワード君なんて、年下みたいに気楽な呼び方をしていますが僕よりグット年上なのです。確かな生年月日は不明ですが戦前生まれなのは間違いのないところです。80才?あるいは100才かも知れません。
お生まれはイギリス、ロンドン。うーん正統派ですね。

右全体図
右全体図
左全体図
左全体図

ジェームス ウッドワード君のトップレバーには、1番と言う数字が金象眼で入っています、つまり、ペアーガンの一つであったことを物語っています。

上彫刻
上彫刻

ペアーガンとは、全く同じ作りの2丁の銃が存在することを意味します。
イギリスのお金持ちがハンテングをするときに、自ら装填しないで、サーバントに装填させた銃を受け取り、「ドンドン」と撃ったら、装填された銃を受け取り、また「ドンドン」と撃って、また装填させると言う目的で作られた銃なのです。
そんなハンテングフィールドは、今時何処にもないと思いますが、かってはそう言うハンテングが出来た時代もあったのです。その時代の名残の銃ですね。
日本では最後の将軍、徳川慶喜さんですら、1丁の銃でハンテングされていますから、ペアーガンと言う発想すら無いはずですから、この銃、戦前の日本に有ったと言うわけではなく、多分バブルの頃、金の力に物を言わせて日本に輸入された銃ではないかと思われます。バブルの頃はこうしたロンドンガンが多数日本に輸入されましたね。
銀座の飲み屋で1日、300万円使ったとか言う馬鹿の居た時代ですから、お金の使い道が無かった頃の産物かも知れません。
バブリーな頃輸入されたジェームス パーデイのペアーガンを500万円で買わないかという話がありましたから、今はその位が相場でしょうね。
ところが、アメリカではまだバブルの影響が多少残っているのでしょうか、アメリカだったらもう少し値段が付く可能性があります。
この銃も日本国内で売りたいのですが、オーナーの希望する販売価格は200万円なので、何方か買って頂ければ200万円で販売しますが、希望者が居ないとアメリカに輸出される運命にあります。

当社のビジネスは、海外からの輸入だけでなく、米軍にもガラクタの安物中古を販売しますし、超高級銃の輸出もします。
あるいは、ロンドン製のダブルライフルや、水平二連銃の修理なども請け負っています。
こうした銃の修理は、日本国内ではなくて、製造元で修理させます。
数百万、あるいは一千万を超えるような銃ですから、修理調整は値段が高くても製造元での調整をオーナーが求めるためです。
こうした銃の修理代は原価、輸出入の当社の手数料は10万円ですから案外安いと私は考えています。下手に素人さんが手出ししたら税金だけでこれ以上のお金を請求されるはずですからね。もしロンドンガンなどをお持ちのお方が居たら何なりとご用命下さい。

さて、ジェームス ウッドワード君ですが、親元ははすでに無く、会社自体はジェームス パーデイ社に吸収合併されており、現在はジェームス パーデイ社のコントロール下にあります。かってはロンドンガンも数社あるいはもっと有ったのですが、現在はジェームス パーデイ社の独走態勢にあります。パーデイはニューヨークにも支店があり、現在でも納期は3年待ちと言う状況です。
パーデイと他のロンドンガンを比べても製品の出来自体には大差はないと思うのですが、そこはやはりブランドの違いと言うことになるのでしょうね。
自分で使う分には何の問題もないのですが、中古で売るとなるとジェームス パーデイを超えるブランド名は無いのです。

この銃のオリジナルのガンケースも付属しているのですが、あまりにも古いため取っ手の皮が切れてしまっています。ガンケースとしての用途よりも、当時のガンケースの作り方を知ることの出来る貴重な逸品ですので、その辺りを少し紹介してみましょう。

オリジナルガンケース
オリジナルガンケース

このガンケース、一見すると革製に見えますが、本体を構成しているのは樫材です。
樫材でガンケースの本体を作り、その樫材の外側を牛革で補強して居るのです。
現在もこれと同じ製法でガンケースを作り、銃の付属品として提供しているのは、私の知る限りジェームス パーデイ社だけです。
実はそのガンケースを製造しているのは、当社でガンケースを販売している販売している「エンビ」社の製造になるものです。

ガンケース材料
ガンケース材料

私も樫材を部材にして牛革で補強した物を使っていますが、しっかりした作りですが重いのが欠点です。私は重いと思っていたのですが、ウッドワード付属のガンケースはさらに重たくできています、重量は7キロ有ります。なんと銃よりもガンケースの方が倍くらい重たいのです。
ペアーガンを使うような人達は、自らガンケースを運ぶと言う発想は無かったのでしょう。ですから軽さよりも丈夫さを重要視したのだと思います。

オリジナルガンケースラベル
オリジナルガンケースラベル
オリジナルガンケース内部
オリジナルガンケース内部
新しいラベル
新しいラベル
今のガンケース
今のガンケース

現在はジェームズ パーデイ社でウッドワード君の専用ケースをリリースしています。
ガンケースのラベルにそれが読み取れますよね。
1948年以降、ウッドワード社はパーデーの傘下に組み込まれたと言うことですね。
でも、このガンケース当社で販売している「エンビ」社のガンケースと同じ物なのです。
ガンケースの部材に樫材を使っていないのは、自らのジェームズ パーデイと差を付けるためなのでしょうね。

この銃が作られた当時の80~100年前の貨幣価値で言うと、家1軒が買えたのと同じくらいの貨幣価値が有ったでしょうね。
仮の話、100年前に親から遺産相続されて、お前は長男だからこの銃を、お前は次男坊だから家屋敷と田畑を、なんて言われたらその長男は泣きの涙ですね!
時折、親からの遺産相続で貰った銃の買い取りを相談されることがありますが、大抵の場合、ロンドンガンの価値は家1軒と同じだと親から言われた方が少なくありません。
そして今でもそれを信じている人も少なくないのです。今となってはまるで漫画ですね。

さて、ジェームス ウッドワード君の銃床材質を見てみますと、当時の値段からは考えるとごく平均的な銃床材料ですね。

右元台
右元台
左元台
左元台

勿論、これ自体良い銃床にかわりはないのですが超レア物とまでは言い切れませんね。
当時としては良い銃床材料は枯渇していたのでしょうか? 
今考えると何だか不思議な気がします。
実を言うと100年前より現在の方が良い銃床材料は多いのでは無いかと思います。
それは何故かと言いますと、100年くらい前に数百年と経過した古木を伐採しても、利用されるのは根っこから上の部分だけでした、言うまでもなく木質が一番緻密でなおかつ綺麗なのは何トンもの自重に耐えた根っこの部分なのです、何トンもの自重のために木質の導管は真っ直ぐに成長することが出来ず、縦横に折れ曲がりながらの成長を余儀なくされます、その為にその部分を製材すると複雑で華麗な木目が現れるのです。
100年前は伐採しても根っこを掘り起こすことは出来ませんでした。そのため今日までその一番おいしい部分は土の中に放置されてきたのです。
所が伐採された木の根は多くの場合、伐採されて捨てられても意外とそのまま生きていることが多いのです。その木からまた枝が生え、一見すると2,3本の木が生えているように見えますが、実はその下には巨大な根っこが隠されている場合があるのです。
あるいは枝が生えていなくても、根っこの部分は腐らずに残っている場合もあります。
現在では伐採の機械が画期的に進歩していますので、こうした「歴史的な」木が採集可能なのです。さすがヨーロッパの先進国ではこうした事は有りませんが、共産圏が崩壊したヨーロッパ諸国ではこれは大変に美味しいビジネスと成っているのです。
根っこを掘り起こすだけで、数百万、あるいは1千万円近い値段で取引できるからです。
そして、そうして掘り出された根っこの部分は、丸ごとペラッチなどに買い取られたり、それを製材して銃床材料として単品で売られたりしています。
私もドイツなどに行った時には購入していますが、販売しているのは中東の人たちとか、トルコの人たちです。そうして買った貴重な材料があるのですが、日本国内で加工に出したら、この材料は自分たちには手に負えないと言われて加工を断られた事もあります、こうした材料は木目も順目と逆目が微細に入り組んでおり、よほど切れる刃物を使い、腕の達つ職人が加工しないと加工できないのかもしれませんね、それにこうしたレア物の材料の場合、木の収縮で木の内部にミリ単位の空洞が出来ている場合もあります、そうした場合は同じ木を使い、木目と色を合わせながら丹念に埋めていく作業も避けられません。私はウエザビーに居るときにこうした作業を学びましたが日本ではこうしたレア物の材料を使わないので技術が継承されていないのかも知れませんね。
この銃床にはレコイルパットが付いていないのがお解りでしょうか?
最高級の狩猟銃には、この様にレコイルパットを付けないのが標準なのです。

銃の彫刻ですが、ロンドンガンの彫刻は、ドイツの深掘り、イタリアの毛掘り、その中間に位置するところにあります。

右彫刻
右彫刻
左彫刻
左彫刻

ドイツ物は唐草などを彫るときには良いのですが、彫りが深いため動物などの繊細な表情を表すのには不向きです、イタリアの毛彫りは動物の繊細な表情や、自然の豊かな情景を表現するのには適していますが、彫刻が薄いため、擦過により彫刻が薄くなる事もあります、それからするとロンドンガンの彫刻は繊細で、なおかつしっかりとした彫りから出来ており経年変化にはびくともしない強さがありますね。

下彫刻
下彫刻

機関部の中も分解して色々説明を加えたいのですが、分解の時にねじ山を滑らせたりするとそれだけで何十万円のペナルテーに成りますから怖くて出来ません。
ですからメカ的な説明は省略させて頂きます。

外見上から判断すると、数千発は使用されてはいますね、何しろ100年近い年月が経過しているので当然でしょう。

使用されたかどうかはブリーチ面のファイアリングピンの周りを見ると、ガスの吹き戻しで出来たクレーターで判断できます。
しかしながら、この部品は別パーツで出来ていますので、この部分だけを交換すれば見た目は新品同様にレストア出来ますね。

ブリーチ面
ブリーチ面

ブリーチ面全面にある細かな傷は錆の痕とも、火薬ガスの損傷による痕とも言えますね。

右銃口
右銃口
左銃口
左銃口
銃口
銃口
薬室
薬室

何しろ100年近い年月が経過していますので当然の事でしょうね。

チェッカリングを子細に観察しますと、ダイヤモンドの頂点がちゃんとエッジが出ていませんね、銃床はオリジナルと思いますので考えられないくらいお粗末な仕事ですね。
私でももう少しましなチェッカリングは出来ますよ!

右グリップ
右グリップ
左グリップ
左グリップ
右先台
右先台
左先台
左先台

これが後作りの銃床なら何となく理解出来るのですがね。


更新 2003年11月11日

私のコラムを読んだ読者の方から以下のメールを頂きました、先ずはご一読ください。

おはようございます
いつもためになる情報ありがとうございます.
さて,お粗末なロンドンガンのチェッカリングですが,これは小生のパーディ-もそうです.
聞くところによると,今のカスタムガンみたいにインチ26本とか30本とかのチェカリングで山を立てて施すと,店頭でのミントコンディションの時には良いのですが,猟場等で使用すると,直ぐに山がつぶれて価値が無くなるから行わないとのことです.
親子数代にわたって補修を重ねて,最後に山が立つようにとの配慮と聞いています.

上記のメールに対して、私は以下の様に考えています。
全ての銃は、完成したときが最良の状態であるのが本当です。さんざん銃を使ってだいぶ痛んだ頃にチェッカリングをやり直すというのは合理的ではありません。
それにその場合はチェッカリングの幅を均等に仕上げるのが本当で、山があったり無かったりと言うのはどうかと思いますがね?多分、セールストークの上手な銃砲店のオヤジにまんまと言いくるめられたのでは無いでしょうか?
私の回答に対して以下のようにメールが来ました、再度ご一読ください。

築地様
銃は見ていないのでチェッカリングのレベルはわかりません.
確かに現在のレベルから言うとそうかもしれませんね.
しかし,ロンドンガンのストックのチェッカリングが山を立てないといいうか,チェッカリングを完成させないで出荷している理由は何人ものオーナーから聞きました.
また,日本やアメリカでは投資目的で購入する人が多いのはわかりますが,私はエゾ雷鳥用に購入しました.まさか鴨撃ちには使いませんが.
私の知人でパーディ-で修行をし,その後メイン州キッテリーのニューイングランドファイアームズというセミカスタムのダブルガン専門店を経て独立した,ロンドン在住のサイモンリットンというあまり上手くないイングレーバーがいるのですが,パーディ-のVIP顧客が狩猟中に木に立てかけてあった水平2連のストックをレンジローバーでバックしたときに折ってしまったのでマネージャーが呼ばれたことがあると言っていました.
コルトで鹿撃ちをする人もいればロンドンガンを山に持っていく人もいるということでしょう.

こんばんは,築地さん!
お蔭様でまた勉強してしまいました!
ロンドンガンのチェッカリングはフラットトップダイアモンドといって,両引きのストレートグリップの銃で二の矢を撃つ時に手を滑らせるためものものだそうです.
詳しくはGAME GUN Richard S.Grozik著 Countrysport Press の86~87ページを参考にして下さい.たぶんアマゾンで購入できます.ちなみに92ページのイングレーバーが若き日のサイモンリットンです.

それから,去年,白熱した議論をメールで行ったスコープのパララックスですが,先日入手したUS OpticsのUSMCスナイパーの取扱説明書に書いてありました.
USMCスナイパーでは鏡筒の後ろのリングでレチクルのピント合わせをしたあとに前方のリングを冶具でゆるめて隠れているAOリングを動かすのですが,このとき,眼を動かしても(つまりパララックスを生じさせても),レチクルとターゲットがずれなくなるまで調節するように,と記載してあります.10X固定のスコープですので,これがパララックス調整です.

このメールを受けて思わず私の脳裏に昔の記憶がよみがえりました。
確かにストレートグリップの、両引き引き金の銃には、初矢と後矢でグリップを滑らせる必要があり、エッジの立っていないチェッカリングをすると言う事実が蘇りました。
それはそのとおりなのですが、私が書いたジェームス ウッドワードは、単引きのピストルグリップです、ですから、ロンドンガンの伝統を継承しているように見えて、実は大間違いをしていることが解りました。
グリップの位置をずらさない、単引き引き金の、ピストルグリップで、フラットダイアモンドに仕上げるなんて論外ですね!
これでは、銃の根本が理解できていません。
案外パーデイですらそうかも知れません、そうだとしたらお笑いですね。(違っていたらごめんなさい)

両引きの引き金のストレート銃床なら、グリップが滑りやすいようにフラットトップダイアモンドに仕上げるのが正統です。
逆に単引き引き金のピストルグリップ銃床なら、ちゃんとエッジの付いたチェッカリングに仕上げるのが理に叶っています、これを間違ったら、ガンスミスの知識としては私以下と言うことになります。

スコープの件は、パララックスについて色々ご説明したり、逆に資料を頂いたりした結果のメールです。
前後の話がわからないと意味不明なメールになります。
私はコラムで普段から偉そうな事を書いていますので、こうしたレベルの高い問い合わせが少なくありません。毎日が研鑽の日々です。

サコー フィンライト

2002年 3月13日 築地

昨日、お客様からメールを頂いた。

ホームページ、数日更新がないと「身柄を取られたかな」と心配しています。警察も「高飛びしたか」と思うでしょう。

メールの発信人は某大新聞社の社会部の記者さんである、勿論ジョークで書かれたメールには違いがないのであるが、私の場合冗談が冗談で無くなる場面も充分想定されるので、また大急ぎでHPを頻繁に更新しなければならない、そうしないとお客様にも、行政にも疑念を招くことになりかねない。
そんな訳で、急遽、サコー、フィンライトのレポートに取りかかる事にする。

この銃はサコー75の軽量版である、この銃のカタログは意外と少なく、2002年版のベレッタ総合カタログには掲載されているがそれ以外には出回っていないのである。
従ってこの銃の詳細をレポートするのは雑誌も含めてこのレポートが始めてでは無いだろうか?

前回リポートしたレミントン700チタニュームとの違いは、チタニュームの弾倉は固定式なのと比べて、フィンライトの場合は着脱式に出来ていると言うことである。

どうしても軽量化と言うことになると弾倉は固定式にならざるを得ない、ウエザビーウルトラライトもそうだし、当社では取り扱いをしていないが、ウルトラライト社の、ウルトラライト、ライフルも弾倉は固定式である。
しかしながら、これらの銃を購入した人たちの多くが、後日、弾倉を着脱式に改造できないかと度々相談される、実際に使ってみると弾倉交換式の利点に着眼されるからであろう。

着脱式弾倉
着脱式弾倉

その点、最初から着脱式弾倉に設計したサコー フィンライト軽量モデルの登場はそれなりに大きな意味を持つことになる。

軽量モデルと言っても、レミントンチタニュームみたいに機関部に特殊な材料を使った訳ではない。
機関部は通常のサコー75と全く同じステンレス鋼である。但しロングアクションの場合サコー75と比べて、銃身を24インチから21インチに変更し、その銃身にスリットを切って、重量を3.75キロから3.15キロに減量している。
さらに308口径等のショートアクションの場合、機関部がロングアクションと比べて少し短いのでさらに軽量化されている、銃身もさらに短くされて20インチになり、重量は3キロとさらに軽量に出来ている。

フルーテッド銃身
フルーテッド銃身
ロングアクションとショートアクション
ロングアクションとショートアクション

減量化の為、トリッガーガードと弾倉は軽合金を採用している、従来のステンレス製と比較すると白さがより際だって見えるのはそのせいである。

アルミ弾倉
アルミ弾倉

サコーのシンセテック銃床は全体的に黒色で出来ているが、握りと先台の部分に灰色で出来ている部分があるが、これは柔らかいゴムが貼り付けられている部分である。

ゴムを貼り付けているその目的は握った感じが柔らかいことと、それと寒冷地で使った場合、シンセテックみたいに手に張り付いたり、冷気を感じないことである、これは結構寒冷地では効果的なのである。

ゴム引き部分
ゴム引き部分

サコー社が、ベレッタの傘下に組み込まれた事はご存じの方も居られると思うが、そのため現在はサコー純正のカタログは存在しない。
サコーのカタログはベレッタの総合カタログの中に掲載されているが、2002年のベレッタ総合カタログはまだ国内には出回っていないので、サコー フィンライトのカタログをご覧になった方は案外少ないのではなかろうか。

ベレッタ傘下に組み込まれる時に、イタリアベレッタ本社のサコー担当者がサコーマウントの注文を忘れた為であろうか、現在サコーの純正マウントが世界的な規模で劇的に不足している。
当社でも相当数在庫していたのであるが、現在はほとんど在庫も底を突いている有様でベレッタの不手際で入荷予定もはっきりとしていないのが現状である。

そこで代替え品としてドイツ製のEAWのマウントをお勧めしている。
EAWのマウントは全部削りだしで作られており、さすがドイツ製と言う出来の良さである。
しかしEAWマウントは削りだしで作られているために、他の機種の市販価格は5万円近くしているのであるが、サコー用マウントに関しては、サコー純正マウントと同じ2万円で販売しているのでご安心頂きたい。

EAWマウント
EAWマウント

前回のレミントン700のレポートでは、銃床の先端が銃身を押させていると書いてあるが、ウエザビーライフルも銃床の先端で銃身を押さえている、これは細い銃身の命中精度を確保するための一つの手段なのである。
しかしながら、ファインライトの銃身はフリーフローテングになっている、つまり銃身と銃床は全く接触していないのである。

これは銃身の太さを限界までに細くせず、有る程度の命中精度を確保しているためであろう。

そのため銃身と銃床の間に紙が差し込める隙間があり、多くの射撃専用の銃はみんなこの様にフリーフローテング加工をしてあるのである、これは銃身の振動を銃床などで阻害しないことにより命中精度を高める方法なのである。

フリーフローテング
フリーフローテング
先台の紙
先台の紙

話は変わるが、銃を梱包するときに銃身の銃床の間に茶色い紙が挟んである、またボルトも茶色い紙で巻いて、ビニールで密閉してある。

これは何のためにそうしているかと言いうと、錆止めの為なのである。

梱包されたボルト
梱包されたボルト

実はこの紙に有る薬品を染みこませてあり。この薬品が蒸発してガス化すると、錆の原因である酸素を除去する事が出来るのである、そのためこの紙を入れて外気と遮断すると、銃はほとんど永久に錆びないのである。

しかしながら、この銃はすべてステンレス製であるが、ステンレスと言えども銃器に使われるステンレスは"鉄分"が多くて限りなくスチールに近いステンレスなのでこうした防錆び処理が必要なのである。

サコー フィンライト、ロングアクションモデル (口径30-06、270)
全長:105.5cm 銃身長:53.5cm 重量:3.15キロ

サコー フィンライト、ショートアクションモデル (口径308ウインチェスター)
全長:103.0cm 銃身長:52.0cm 重量:3.0キロ

いずれも価格は¥225,000である。

レミントン700 チタニューム

2002年 3月 9日 築地

現物を手にして初めて気がついた、それまでショットショー等でさんざん見ていたのにどうしたことなのだろう。ショットショーでは非常に混雑した中で見るので、かなり子細に見たつもりでもやはり見落としが避けられないのだろう。

チタニューム全体図
チタニューム全体図

私はショットショーレポートの中で、レミントンチタニュームのボルトもチタニューム製と書いた記憶があるが、ボルトを持った瞬間 "これはチタンじゃない" と解った!
ショットショーでは、展示品は機関部にボルトを装着した状態で展示してあるので、私はボルト全体の色で、ボルトはてっきりチタン製だと思いこんでいた、実を言うとチタンでは耐久性が大丈夫だろうかと言う懸念があったのだが、ボルトの先端が黒染めしてあるのを見て、この部分だけはクロームモリブデン鋼材を使っているなと勝手に判断していたのである。そうなるとボルトのメインフレームはチタン製だと勝手に思いこんでしまう。
特に、黒くなっている部分はボルト全体の中では別部品なので特に先端以外はチタンだと勝手に思いこんでしまった。
レミントンから当社に送られてきた銃は、箱の中では、ボルトは機関部から取り外してあるので、ボルトを持った瞬間、チタンではなく、クロームモリブデン鋼材で作られていることは瞬間的に判断できた。
念のために磁石をつけると、"バチン"と磁石が張り付く、間違いなくクロームモリブデン鋼材ではないか。ボルト本体を顕微鏡で子細に観察すると、旋盤加工した後200番程度のサンドブラスト加工をして表面を梨地に仕上げ、見た目チタンと同じような色になるように仕上げてある。私はすっかりこのチタン色に騙されてしまった。

ボルトはクロームモリブデン鋼材で出来てはいるが、それなりに軽量化の試みは色々なされており、ボルトハンドルのくり抜き、余分な部分の肉抜き、ボルトボデーのスリット、そうした試みはなされている。
レミントンのボルトはボルトボデーに先端のラグの部分、そしてボルトハンドルの部分が銀蝋付けで取り付けられている、つまり本来はそれぞれが別部品なのである。

ボルトの肉抜き
ボルトの肉抜き

私はチタンの蝋付けをしたことがないので定かではないが、チタンの場合、案外蝋付けがうまくいかない可能性がある、それもボルトボデーにチタンを使えない理由なのかもしれない。
要するに、チタニュームで出来ている部分は機関部だけである。チタニュームは私自身加工した経験があるので解るのだが、以外と割れやすい材料である、少なくともクロームモリブデンと比較すると粘りが無い、そのためだろうか機関部の刻印はエッチングでマーキングしてある。

もし機関部に銃身と同じように刻印を使い、深い打痕を打つとチタニュームの場合、割れてしまう恐れがある、以外とチタニュームは脆い材料なのである。
機関部の表面を顕微鏡で調べると、機械加工した痕に苦労の後が視認できる、それは加工表面の仕上がりが均一でないからである、これは加工時にバイト(刃物)で切り取った切り子がきれいに排出されたのではなく、バイトにくっつきながら削った事を物語っている。バイトに切りかすが付くと、その部分は深く削れ、切りかすが取れると本来の寸法に仕上がる、加工表面を見るとそれらが断続的に発生して加工されたことが解る。

機関部接写
機関部接写

軍用品ならともかく、民間用だと表面仕上げが悪いとクレームになるので、表面仕上げの荒を隠すために、加工後の表面にサンドブラスト仕上げをして、加工痕を誤魔化しているに過ぎないのである。
弾倉も軽量化のために固定式にされている。そのためか、ボルトを取り外した状態での重量は驚異的な軽さである。ボルト無しではなんと2.2キロである。片手で持てる軽さである。ボルトを入れると2.5キロである。

弾倉のタイプ
弾倉のタイプ

銃床は軽量化のために、プラスチックだけで作られている、こうしたプラスチック製銃床の場合は、内部にダイキャスト製のインナーを入れるのが普通だが、これも軽量化のために入れ込んでいない、但し機関部を止めるねじの部分にアルミのパイプを挿入してある、こうしないと銃床材料のプラスチックスがスカスカなので、ねじを締めればいくらでもねじが埋没してしまうからである。

銃床挿入されたパイプ
銃床挿入されたパイプ

銃身は基本的にフローテングされており、銃床の先端だけが銃身に接触している。
銃身の長さは22インチ、あと2インチ切りつめて20インチにすることも可能である、銃身を20インチにしても命中精度には何の影響もない。

銃床の先端部分
銃床の先端部分

銃身は長い方が命中精度は良いと考えがちであるが、究極の命中精度を競うベンチレスト射撃の場合などほとんどの銃は20インチの長さで作られている、あくまでもベンチレストライフルの場合であるが、この長さの銃身で100メートルでの命中精度は1ミリ~3ミリ程度の精度が出せる。
従って銃身が長いから命中精度が良いと考えるのは誤りである。20インチあれば少なくとも命中精度の観点から言えば十分な長さである。
銃身材料は416ステンレスである、日本には存在しない材料である。この材料の特性をもっと解りやすく言うと、通常のステンレスと、鉄の中間みたい無い特性を備えた材料である、従ってステンレスと言う名称ながら磁石は"バチン"と着く。鉄の成分であるクロームを大量に含んでいると言うことである、従ってステンレスでありながら、保管状況如何によっては"錆びる"事もあり得るのである。なぜ銃身材料には完璧なステンレスを使わないのかと言うと、加工が難しいからである、銃身内径の加工は5/100ミリ以上の公差があると極端に命中精度が悪くなるのである、従って加工性が良い材料を使わないと、肝心要な命中精度が出鱈目になるからである。
レミントン700チタニューム のロングアクションモデルの仕様は以下の通りである。
口径は30-06、270ウインチェスター、全長108.1cm 銃身長56.1cm 重量2.5キロ、そして価格は¥228,000である。

レミントン700 ポリス

2001年 8月27日 築地

レミントン700ポリスは警察向けの狙撃銃である。
てな書き出しで記事を書くと、仕事熱心な行政関係の方が読まれると、うむ、それではこの銃は狩猟用ではないな! と言い出しされかねない。
皆さんは"まさか"、行政官がそんな無謀というか無知なことを言うわけがないと思われるかも知れませんが、先々月号の狩猟界に今村銃砲の今村さんがサコーTRGを輸入しようとして警察からこの銃が狙撃銃だと認定され、輸入許可が貰えなかったと言う顛末が書かれているのでお読みになるとその"まさか"が現実に起こり得ることをご理解頂けるでしょう。
これは行政関係者の方が、たまたま、サコーTRGをどこかの軍隊で使っている写真を見て、仕事熱心なあまり、俺の目の黒いうちは何が何でもこの銃は輸入させないと決断されたのかも知れない、確かにこういう姿勢は仕事熱心かも知れないがたまたま目に付いた物だけに規制をかけようと言うのでは逆に言うと仕事に対して無知と言うことにもなる。

軍隊で使っている銃は猟銃としての輸入を一切認めないと言うので有れば、それでは1950年からアメリカ軍の狙撃銃として採用されてきたレミントン700、この銃はボルトアクションライフルとしては最も多く日本に輸入された銃であるがであるが、この銃については行政の仕事熱心な方はどういう説明をなさるのであろうか?

700ポリス
700ポリス

行政が無知だと国民が迷惑を被るが、さりとてあまり行政の悪口を言うとこちらまで目を付けられかねないので、逆に行政の方たちの立場に立って説明してみると、元々メーカーが猟銃として開発した物を、たまたま軍隊が狙撃用として採用したからと言ってそれが急に軍用銃になると言うのでは軍用銃の判断基準そのものが間違っているからである。
軍隊で使っている物は軍用銃、民間で使っている物は猟銃、軍隊で使っている物は軍用車、民間で使っているも物は自家用車、形が同じだから全部同じものと言うのでは行政に対する信頼はほとんどなくなりつつあるが、これでは法律に対する信頼までなくなりかねない。
昔からアメリカ軍の狙撃銃として使われてきたレミントン700であるから、いまさら警察向けの狙撃銃だと言っても、行政の方たちが目くじら立てられることも無いだろう。
最も狙撃銃だと言う言い方をしてもハンターが使えば猟銃になる、勿論軍隊が使えば全く猟銃と同じ銃であっても軍用銃という事になる。要はその使用用途で銃の名称も自ら変化するのである。この銃の機関部にはレミントン700と刻印があるが、軍用も、警察用途の銃も、そして猟銃もすべて同じ刻印なのである。何処にも違いはない。

刻印
刻印

刻印は同じなのだが多少は違いがあるのでその違いに付いて説明してみよう。
この銃のベーシックモデルは700バーミンターである、バーミントライフルは小さな動物を遠距離から狙う猟銃であるので、命中精度を最重要視して作られている、そのため重量は他の700より重量的には重たく出来ている。銃が重たいのは銃身の外形が太いからである、銃身が太いことは射撃時の銃身の熱の上昇を防ぐこと、反動を軽減すること、銃身の歪みが生じにくい、と言うことが利点として上げられる。
寸法的にはそのバーミンターと全く同じ寸法で作られているのがこのポリスモデルなのである。寸法的には全く同じであるが金属の表面処理は大きく異なる。
この銃の表面処理は最初にパーカーライジング処理をしてある、パーカーライジング処理をすると表面は隣酸皮膜が覆うので本来の色は白色になる、しかしながら白色では商品価値が半減するのでパーカー処理の上から黒染め処理を施してある。
パーカーライジングは防錆効果が極めて高いので、警察官が警察の装備品として使う場合、自分の銃と違い"手入れを怠るかも知れない"と言う前提でパーカー処理をしてあると言えなくもない。実はこのパーカー処理、顕微鏡で見ると小さなガラス状の結晶が表面に付着しているのが視認できる、顕微鏡の世界で見ると表面はかなり凸凹なのである、そのため表面が乱反射してつや消しの様な表面に仕上がっているのである。
金属の表面に処理するならば何の問題もないのだが、これが銃身の中に付着すると表面が凸凹なので命中精度は極端に劣悪になる。
レミントンの偉いところはちゃんと銃身内にはパーカー処理液が侵入しないように薬室側と銃口側にちゃんとプラグをして処理していることである、そのため銃口から覗くと、銃身内はつや消し仕上げになっていないことが簡単に視認できる。

銃身はまぎれもないレミントン製だが銃床はHSプレシジョン社製なのである。
この銃床の特徴は銃床の中に機関部を保持するためのアルミのフレームを埋め込んである事である。
プラスチックのままだと金型整形後変形しやすいのでアルミを埋め込むと変形が発生しない。

インナーフレーム
インナーフレーム

この銃床は外国では通称パームと呼ぶがグリップの所に脹らみを付けてあるが、脹らみが左右両方に付いているのが特徴である、警察の装備品の場合、右利き、左利き、どちらの人は使うか解らないので両方に対応しているのである。
一昨年までポリスモデルには弾倉交換式のモデルも有ったのだが、現在はヒンジタイプと呼ばれる固定式弾倉の物しか作られていない、狙撃用と言う以上、弾倉を交換して5発以上の弾を撃ち尽くすというのは現実的には考えられないからであろう。

銃床には負環の止め金具が2本付いている、先に付いているのはここにバイポットを取り付けるためである、後ろの金具にスリングを取り付ける。

皆さん方常識人にとってはとうてい信じられないでしょうが、バイポットが取り付く銃は軍用銃であると、我々輸入業者が血の気の引くような無謀な事を行政の方たちは平気でおっしゃいます、ですからこの銃にバイポットの付いた写真を公開することは出来ません。
負環の金具が2個付いているのは気の向いた時に好きなところに負環を付けるためかも知れませんが、ひょっとしたら先の方のはバイポットが付くのかも知れません、と、この程度しかかけませんので私の苦渋の内情をお察し下さい。

先台負環
先台負環

この様に馬鹿な人間が公務員になると国民が非常に迷惑します、私自身は元々納税意欲はあまり無かったのですが、こんな馬鹿公務員に給料を払うために納税するかと思うと、なおさら納税意欲が減退してきました。

ジュエルトリッガー
ジュエルトリッガー
ボルト分解工具
ボルト分解工具

引き金は通常のレミントントリッガーですが、これをジュエルトリッガーなどに交換すると引き味はさらに良くなります。ジュエルトリッガーの値段は¥38000です。

ボルトを分解するとき、またコッキングが外れたとき、再コッキング等に使うボルト分解工具は¥4500です。勿論、他のレミントン700全てに使えます。

ベレッタ682と686を比較する

2001年 8月21日 築地

従来まであった682が新モデルとなり、682Eと言うネーミングでリリースされたのは一昨年の事である。
それまで686と言うシリーズも682よりも一段下のモデルとして存在していた、682シルバーピジョン、あるいは682オニックスというモデルがそれである。
両方のモデルは外見上明らかに違いがあるので割合容易に判別することが出来た。

ところが、当然というか、思いがけずと言うか、686Eと言うモデルが突然発売されてきた、それまであまり情報が無かったので最初見たとき682と間違いそうになった、機関部に刻印してあるマークでかろうじて別のモデルというのが判別できた。
それくらい682ゴールドEと非常に良く似ているのである、但し値段はそれなりに安いのである。

機関部の刻印
機関部の刻印

682ゴールドEのトラップ及びスキートモデルの当社での値段は\305000であるが、S686Eのトラップ及びスキートモデルの値段は\250000である。

名前も間違いやすいし、値段も間違いやすい、どの部分にどれほど違いがあり、どういうメリット、デメリットがあるのか徹底的にリポートして皆さんにその違いを理解していただこう。

材質について。
銃身素材、及び機関部の素材についてはいずれも全く同じだと思われます、と言っても銃身を切断して断面を顕微鏡で見たとか、素材を分析したとかそのようなことをしているわけではないので断言すると言うにはいささか根拠に乏しいが、今まで何度も説明してきたのだが銃身素材はクロームモリブデン鋼材が唯一の銃身材料でこれ以外の材料を使うと言うことはあり得ないので、材料については同じだと考えるのが常識でしょう。

しかしながらいまだに高い銃には高い鋼材を使っていると信じている方も多いのでこれらの人に説得するのは難しいかもしれない、私の使っているベレッタのサイドロックの水平は銃身にボーラースチールと打刻してある、確かに同じクロームモリブデン鋼材でもボーラー鋼材は値段が高いのでこの様に打刻する意味は理解できる、ボーラー鋼の特徴は不純物が少ないことがその最大の特徴であり、だからといって特別に強靱な耐久性があると言う訳ではない。これはオーストリアで産出される鉱石に特徴があり、その為に以前は珍重されてきた材料なのだが、最近では製鉄技術が向上して為不純物のある鉱石でも徹底的に不純物を除去出来る高炉や技術が開発され最早ボーラー鋼を使う意味はあまり無くった。現在はベレッタの最高級の銃にもボーラースチールと言う刻印が無くなったので、ボーラー鋼材を使っていないか、使っても刻印する意味が無くなったんのだと思われる。

機関部比較
機関部比較
686機関部
686機関部

機関部にもクロームモリブデン鋼材を使うのは常識であるが、機関部を加工した後、表面硬度を上げて耐久性を上げるように処理するのもこれも現在では常識である、機関部の色で見ると682ゴールドの方がいくらか黒ずんで見える、私は窒化処理の結果かなとも思ったのだか、両方の機関部の堅さを見てみると、ロックウエルで45程度出ているので両方に硬度の違いはない、とすると単純にメッキ処理の違いだけと言うことになる。
せめてメッキの色くらい変えておかないと値段差の根拠にならないと言う発想かもしれない、一般のユーザーに違いを認識させるには色と形を変えるしか手がないからであろう。

機関部上部比較
機関部上部比較
機関部上部比較
機関部上部比較

機関部の上部のつや消し部分はそれぞれ少しの違いを見せている、多少は682の方が、手がかかっていると言うことは出来る、最もだからと言って別にどうと言うことはないが。
また機関部のデザインも多少の違いが見受けられる、しかし、これも別にどうと言うことはないが。

外見上の違いをもっと探してみよう。
引き金は686が固定式なのに対して、682ゴールドの方は移動式に出来ている、この辺りはユーザーにとってはメリットと考える人も多いかもしれない。
また686にはスペアの引き金が付いているのも価格差の違いであろう。
銃床のチェッカリングに付いても違いがある、686はチェッカリングなのに対して、682ゴーリドはレーザーチェッカリングである、これもそれぞれの好みで別にどうということもない。リブ幅、リブの形状をみても同じ作りである。

サイドリブの比較
サイドリブの比較
リブの比較
リブの比較

銃身のサイドリブに付いては明らかに外見上の違いが見られる、686のダイドリブはフラットなのに対して、682ゴールドの方はスリットが切ってある、ほとんどの高級銃はスリットが切ってあるのが普通だから、ここにははっきりと価格差を付けてある。

銃床素材については一般論として言えば682ゴールドの方が良い素材を使っていると言えるがその差はわずかな差である。

先台の比較 横
先台の比較 横
先台の比較
先台の比較

銃を注文されるお客様の中には、同じ銃の中で出来るだけ良い銃床の物を選んでくださいとわざわざ言われる方もあるが、このクラスの銃で、値段の割に高価な銃床材料が間違って入っていた、等と言うことは1000丁の内に1丁もない、このように特別に木目の良い銃床が間違って安い銃に使われると言うことは絶対無いのですべて値段相応の銃床がつけられている事をご理解下さい。
DT-10はそれなりに、ASE90もそれなりに SO5もそれなりの銃床が使われていますが、逆の例は皆無です。

元台の比較
元台の比較

外見上の差を最後に一つだけ申し上げると、少しセコイが、ガンケースに金属の鍵が付いているのが682ゴールド、付いていないのがS686Eである。ここまでくるとほんとにセコイ話である。

ガンケース比較
ガンケース比較

外見上の違いはここまでで、内部機構の違いは全くない、全く同じ物である、引き金が前後調整出来ることを除けば部品の互換性すらある。完全に同じパーツである。

ではベレッタのロッキングメカニズムを紹介しよう。
トップレバーをひねるとロッキングアームが後退して銃身と機関部のロックを解除する。

ロッキング機構
ロッキング機構
ロッキングアーム
ロッキングアーム

ロッキングアームは機関部から2本の丸棒として機関部から突き出て、これが銃身のロッキング部分に組み合わされる。トップレバーをひねると同時に安全装置が働き、引き金を引けないようにロックする。
銃身を折り曲げると機関部のロッキングシャフトを押し、機関部に組み込まれたハンマーのシエアーがハンマーを押し上げ、引き金にロックさせる、これで激発準備完了である。

ロッキングシャフト
ロッキングシャフト

これでトップレバーを戻し、安全を外して(射撃場でいちいち安全を使う人はいないが)引き金を引けば初矢が発射される、初矢が出た後その反動で振り子が後ろに下がり、それで2の矢ロックが解除され、2の矢が撃てる。

振り子
振り子

この様にいちいち弾の発射を確認して次の弾を撃つような構造にしているのは、引き金を軽くしすぎると発射の衝撃で2の矢のハンマーのロックが外れて同発になるのを防止しているからである。

セフテーの仕組み
セフテーの仕組み
引き金の安全機構
引き金の安全機構
引き金の安全機構 解除
引き金の安全機構 解除

ベレッタのプルレングスは370ミリである、当社で販売しているペラッチは注文生産であるが、銃床の長さは360ミリから380ミリ以内なので、ベレッタの寸法は平均的な日本人の好みに合っていると言うことが出来る。

ブローニング BPR

2000年11月23日 築地

BPRとは、ブローニング、ポンプ、ライフルの事である。

スライドアクションは別名ポンプアクションとも言う。ポンプアクション、ライフルと言うと、レミントン7600の独占市場だったのだが、ここにブローニングが参入したのである。元々ポンプアクションと言うのはあまり売れてはいない。自動銃100に対して、ポンプアクションの売れ行きは5~3丁と言うところであろうか。散弾銃でもそうだがライフル銃の場合でもポンプアクションは回転不良が少ないというのが最大の利点であろう。

自動銃は火薬の発射ガスを利用して回転しているので、火薬圧力の強い弾、弱い弾、つまり重たい弾頭、軽い弾頭で使用条件が大きく異なる、そのため使用装弾によっては回転不良が起きることは避けられないことなのである、しかしながら特定の弾頭の重さを特定したその装弾で回転することが確認できれば、その装弾を使う限りに置いてはあまり心配はない。しかし羆猟をするとなると自動銃を使用するのはやはり躊躇するのでは無いだろうか、少なくとも私なら猛獣を獲るのに自動銃は使わない。
話は逸れるが、先週ハンターとして名を知られた柳田佳久さんからご招待を受けた、奥さんの誕生日で私も同席させて頂いた、柳田さんは国内では70頭近くの熊と、180頭近くの鹿、それに外国ではライオン、象、サイ、ピューマ、ケープバッファロー、北極熊、等々の獲物を仕留められたハンターであるが、柳田さんの場合、猛獣を獲る場合使用銃はほとんどがウエザビーボルトアクションである、間違っても自動銃を使うことはあり得ない。(最も柳田さんも猟を始められて昭和30年頃は銃の種類も無かったのでレミントン742の自動銃で猟をされていた時期もあるが)。

すでに亡くなられた方なのだが、釧路では佐藤修さんと言うハンターがおられた、この方大藪春彦さんの親友で、私は大藪さんの紹介でお知り合いになったのである。佐藤修さんはレミントンのポンプアクションしか使われなかった、最も猟をされるのはいつも蝦夷鹿なので羆みたいに獲物に反撃される事がないのでポンプアクションの方が使い勝手が良かったのだと思う。
佐藤さんは亡くなられるまで生涯レミントンのポンプしか使われることがなかった、そのためこの1丁の銃を徹底的に使われて私が何度か再仕上げして新品同様に直したことがある。佐藤さんは徹底して忍びの単独猟をやっておられた、ポンプアクションを使われたのは自動銃だとボルトを戻したときに大きな音がして鹿が逃げてしまうからだと言われていた。忍びは絶対に音を立てないと言うのが大原則であるからである、これは柳田さんも同じ事を言われている。柳田さんはボルトアクションライフルを使われているがボルトの操作はソーット、音を立てないように操作されるそうである。
音を立てないで作動させるとなると、ボルトアクションライフルか、ポンプ式と言う選択になる、その中で素早く第2弾を撃てる銃となると、これはもうポンプ式しか無い。

そういう風に考えると忍の鹿猟となるとポンプ式しか選択の余地がないでは無いか、佐藤修さんはレミントンしか使われなかったが、それは佐藤さんの存命中はブローニングがまだポンプ銃の製造をしていなかったからである、もし佐藤さんが生きておられたら私はこの銃を使われるようにお勧めしたはずである。

全体図
全体図

何故これをお勧めするとかと言うと、絶対にレミントンよりは使い易いからである。
ブローニングの最大の利点は先台の移動距離の問題である、レミントンより大幅に先台が手前に移動する、つまり先台の持つ位置がレミントンみたいに先を持つ必要がないのである。これはレミントンみたいに真っ直ぐに後退するのではなく、ブローニングのメカニズムは真っ直ぐに後退した後、機関部を避けるようにして機関部の下に潜り込んで後退するかなり変則的な作動をするからである。また先台を作動させるための力も、ブローニングの方が軽い力で作動させることが出来る。外見を見るとお解り頂けると思うが、ほとんど自動銃と同じ格好である。

先台前進
先台前進
先台後進
先台後進

機関部も自動銃の軽量と同じで、素材はアルミ軽合金を使用しているのでレミントンなどよりは軽くできている。
自動銃もそうだが、ポンプ式も、マグナムカートリッジを使えるのはブローニングだけである、レミントのポンプ式は308,30-06だけで7ミリマグナム、300マグナムは使えない、使えるのはブローニングだけである。

BPRは照星照門が標準で付いているが、勿論スコープを使うことが出来る、そのためのマウントベースを止めるネジは最初から機関部に鉄製のブッシングをはめ込んで取りつけられている。

照門
照門

ボルトの外径は白いメッキをされた鉄板で覆われておりボルトは作動時以外露出していない、ボルトの先端は2個のロッキングが3カ所にあり、合計6個のロッキング、ラグで銃身後端にロックされている、先台を動かすと、ボルトが回転をはじめ、5度回転した時点で不用意に激発しないように撃針をロックする。60度回転したところでロッキングが解除される。解除されたボルトはそのまま後退し薬室内の薬莢を排出する。ボルトが完全に後退すると先台を前に押し出す。ボルトも連動して前に前進する。ボルトの先端は弾倉の装弾をキャッチしそれを押しながら薬室に装填させる。装弾が薬室に装填されたらボルトは60度回転してロックして止まる。この時点で初めて撃針のロックが外れ何時でも激発できる状態になる。これがポンプ式の発射一連のメカニズムである。

機関部
機関部

ブローニングは自動銃もそうだがこのポンプ式も予備弾倉の交換が面倒である、しかしながら実猟で予備弾倉を交換してやっと獲物を仕留めると言うことはあっては成らないことである、薬室に1発弾倉に4発、合計5発の弾が装填できているのであるからこれらの弾を全て撃ち尽くしても獲物に命中させられないときは獲物の勝ちというべきであろう。
もっとストレートに言うならば射手が下手糞と言うことに他ならない。

従ってブローニングの予備弾倉の装填が煩雑だと言う理屈はマイナス要因とは考えられない。ブローニング弾倉への装填方法を説明してみよう、マガジンキャッチを開いて弾倉を解放する、弾倉をヒンジに付けたまま弾を装填する、弾倉への装填が完了したらヒンジを閉鎖して装填完了である。案外慣れると簡単な作業である。

マガジンキャッチ
マガジンキャッチ
マガジン取り外し
マガジン取り外し
装填
装填

トリッガーガードの周囲は手前に安全装置が設置されている、トリッガーの前には スライドリリースと呼ばれるレバーがある、これはスライドを作動し引き金をロックさせた場合は引きを引いてハンマーを落とさないとスライドが引けないが、引き金をロックした状態でスライドを作動させるためにはこのレバーを押せばスライドが作動する、つまり装弾を薬室に入れた状態の場合引き金を引かないと排莢出来ないが、このレバーを引くと装弾は薬室から排莢出来ると言うことを意味している。

安全装置
安全装置
スライドリリース
スライドリリース

今まで説明したことがないが今回は照星照門の調整方法を説明してみよう。
初旬調整は全て照門で行う、標的の弾痕が下にあった場合、弾痕を上にやりたいわけであるから上下調整ネジを "UP"(アップ)の方向に回す、回す加減は1目盛りで100ヤード1/4インチ移動することになる。メートル法で言うと、約100メートルで、約0.6cm移動する事になる、6cm移動させたいときは10目盛り動かせば良いと言うことになる、左右の調整は弾痕が9時方向に飛んだ場合は、3時方向、つまり右に移動させれば良いわけだから、"R"の方向に回す、これも1目盛りで100ヤード1/4インチ移動することになる。メートル法で言うと、約100メートルで、約0.6cm移動する事になる、ブローニングはこの様に微調整出来るが、レミントンの場合微調整は出来ない。

さてここまで書くとポンプアクションには何の欠点もないように思われようが、これからポンプ式の最大の欠点というか、致命的な欠点をお話する、散弾銃の場合ほとんど問題視されないのだがそれは散弾の薬莢は撃ち終わった後は銃を逆さまにすると自重で落ちてくる、しかしながら、ライフル装弾の場合発射ガスの逆流を防ぐため薬莢が広がり薬室と薬莢の間をシールする、そのため弾を撃った後でも薬莢は自重で落下する様にクリアランスは無いのである、場合によっては薬莢が薬室に張り付いているときがある。ボルトアクションの銃はボルトを持ち上げたとき最後の所で強制的に3ミリ程度後退する、これで薬莢の張り付きを強制的に剥がすことになる、自動銃の場合、これは強制的に排莢するので張り付きがあったとしても薬莢を強制的に掻きだすことになるので問題はない。

ポンプ式の場合、この様に強制的に張り付を剥がすシステムは残念ながら備えていない、従って新品の時はあまり問題がないのだが手入れをしないで使っていると、薬室にカーボンが蓄積して薬莢が張り付いてしまうことがある、こうなると先台を引いたくらいでは簡単に動かすことが出来無い、これがポンプ式の最大の欠点である。
しかしながらポンプ式の場合、最悪の場合は両手で先台を持って"ヨイショ"と引けばまだ何とかなる、最悪なのは同じ原理で作られた直動式ライフルである。これも原理はポンプ式と同じ物である、薬莢が張り付いたら片手しか使えないのでどうにも成らなくなる。
直動式ボルトアクションライフルは100年前にスイスで作られている、それから最終的に製造中止に成ったのだが最近また復活した、しかしながら問題点が解決したわけではないのである、従って当社では、私の良識として今でも直動式ボルトアクションライフルは取り扱わないのである。

このブローニングの価格は¥115000、国内定価は約30万円である、勿論全く同じ銃なのである事は言うまでもない。未だに国内定価の30万円で購入される方も居るが、皆さんなかなか太っ腹な人達である。

ベレッタ 391ウリカ

2000年11月19日 築地

今回はベレッタの新製品、391ウリカ自動銃のリポートである。
ますはベレッタの言い分を聞いてみよう。
以下の文章はベレッタの取扱説明書からの引用です。

非常に細身の丸みを持たせた機関部の設計です、こうした機関部を採用することにより本能的に的に素早く狙いを付けることが可能です。機関部の上部と下部はマットフィニッシュというつや消し仕上げにしてあります、これは的を狙ったときに反射を無くすためです。
しかし銃の華麗さを保つために、機関部の中心部の左右は、輝きを持たせてあります。
またボルトおよびキャリアーにはエンジンターンと呼ばれる飾り磨きを施しております。

ボルト
ボルト
キャリアー
キャリアー

ガスピストンは全く新しいシステムを採用しました、名付けてエグゾーストバルブ付ガスオペレーテングシステム、これは排気バルブ付 ガスオペレーテングシステムと言う意味です。わざわざ排気バルブ付と言っているのには理由があります。
この銃は24グラムの射撃用装弾から、57グラムの3インチマグナム装弾まで全て使えるというのがその最大の特徴です。

ガスオペレーテングシステム
ガスオペレーテングシステム

排気バルブはそれらの作動を完璧にこなすための特殊装置なのです、つまり24グラム装弾を使うときは反動が少ないので当然にしてガスの圧力も弱い、そうしたときはガスをあまり排気しないでボルトが完璧に後退させるためにガス圧を利用する、マグナム装弾を撃つときはガス圧が高いので余分な高圧ガスを排気バルブから排気してボルトが強烈な勢いで後退してボルト、および機関部が破損するのを防止しているのです。
銃床の中にはボルトが急激に後退したときの衝撃を防ぐためにリコイルダンパーを内蔵してあります。また通常の使用時でも、ボルトの後退による衝撃を少なくするために作用します。トリッガーガードはガラス繊維混合のテクノポリマー樹脂で作ってあります。

この素材はアルミ合金より強い強度を備えております、またトリガーガードは手袋使用時でも楽に使えるよう大きく作っております。極寒の中でトリッガーガードに触れても従来の金属製のように冷たいと言う感じはしません、またポリカーボネイトは汚れにくいという性質も備えております。

トリガーガード
トリガーガード

機関部の左側にはカット-オフ機能を備えております、このレバーを押し込んで"オン"の状態にしておくと、弾倉から装弾が送られなくなり、ボルトを操作して排莢すると薬室の装弾だけが排出され弾倉内の装弾は排莢されません。
カット-オフ装置を解除すると通常とおり装弾が送られます。

カットオフ OFF
カットオフ OFF
カットオフ ON
カットオフ ON

安全装置はトリッガーガードの前に配置してあります、この安全装置はボタンを左右にはめ変えるだけで左射手用に簡単に交換することが出来ます。
バットプレートは通常のゴム製の物を取りつけてありますが、プラスチック製の物も標準装備されています。

安全装置
安全装置

狩猟や、スキート射撃の場合など素早い肩付けが要求される場合には便利なベットプレートです、またこれに取り替えると簡単に全長を1.6cm短くすることが出来ます。
銃床はベンドの調整、およびキャストオフが簡単に出来ます。以下その方法を説明します。
部品セットの中にポリカーボネイトで出来た楕円形のC-50-DXと刻印された部品があります、これは片方が厚く、片方が薄くできていますので、これを銃床と機関部の間に挟めばベンド調整が簡単に出来るのです、薄方を上にして挟めばベンドは高くなり、逆に厚い方を上にして挟めばベンドは低くなります。
またC-60-DXと書かれたスチール製の楕円の板を銃床のボルトチューブと呼ばれる中にセットすれば銃床を銃身軸線から左右に振ることが出来ます、これは楕円の鉄板に穴が開けてありますが、その穴が中心から少し偏芯しています、その偏芯分だけキャストオフすることが出来るのです、キャストオフとは右利きの射手が銃床の後ろを右側に振ることを言います、左射手の場合、逆に振り、これをキャストインと言います。
このキャストオフ、キャストインは銃を構えたとき銃床が反対側に少し曲がっていることにより狙いやすくするためです。
これらの調整をするためにはまずレコイルパットを外します、レコイルパットは上下2本のネジで止められていますのでこれを外します、そうすると銃創の中に銃床を機関部を止めているネジが見えます、これを外すと銃床と機関部が分離します。その分離した間に部品を挟めばベンドを変更できます、銃床の中に鉄の楕円形の部品を入れるとキャストを変更できます。

銃の付属品は、ガンケース、マガジンプラグ、予備のバットプレート、ベンド調整金具、キャストオフ設定金具、負環セット、ガンオイル、交換チョーク5本、交換チョークレンチが付属で付いている。これで391ウリカゴールドが¥165000、シルバーが¥145000ならお買得価格と言うことが出来るかも知れない。

引き金から銃床までの長さを言うプルレングスは36.2cm~37.6cm
重量は12番が 3.0キロ、20番が2.7キロです。

フルセット
フルセット
収納時注意
収納時注意
硬質クロームメッキ
硬質クロームメッキ
アルゴン溶接
アルゴン溶接

以上がベレッタの言い分であります、これからが私のレポート部分でありますが、少し辛口のいつもの調子です。

機関部の素材はどこのメーカーも軽合金としか言いませんが、どこのメーカーも素材はいわゆるジュラルミン製です、これが軽合金の中では一番強度がありなおかつ加工性も良いからです。従ってメーカーによって素材の優劣はありません。
機関部を上下マット仕上げにして真ん中を艶仕上げにしてあるのは単なる見栄えですがデザイン的に言うとなかなか優れたデザインだと言うことが出来ます、ゴールドモデルは機関部の中に金象眼が施されていますが、勿論本物の象眼ではありません、この部分だけを金メッキ仕上げにしただけの物で長期間使用すると剥げてくる可能性も否定できません。

機関部全体
機関部全体

機関部全体に丸みを持たせて狙いやすくしてあると言うベレッタの主張はある程度的を得ていると思えます、実際に狙ってみると従来の物よりは狙いを付けやすいように感じられます、また機関部のリブ延長線上の真後を少し削ってあるのも狙いやすくしてある理由でしょう。

窪み
窪み

この銃は24グラム装弾から57グラム装弾まで使えるというのが最大の売りですが、果たして全メーカーの全装弾まで絶対に使えるかと言うとほんのわずかですが疑念は残ります、私だったらメーカーによっては使えない可能性がありますよと注釈を付けておきたいところです。先台の構造はガス穴から排出したガスを銃床の外側に排気するような構造になっているのでレミントンなどに起こりがちな銃床割れは少ないと思われる、事実、今までベレッタ系統の銃はほとんど先台割れのトラブルは起きていない。
レミントンなど比較して、銃床の品質が良いと言うのもベレッタの特徴である、良い素材を大量にがっちり押さえているのでこうした事が出来るのだろう。

客の中には銃床を選ばせてくれと言うお客も居るが、当社では銃床は選ばせない、その理由としては銃の数が多く、煩雑でとても何丁もの銃を見せて対応することが出来ないからである、もう一つの理由は当社は99.9%通信販売であるため、全てのお客様に公平と言うスタンスを保っている、当社に来社されたお客様だけに優遇したのでは99.9%のお客様のい背信行為ではないか、それに、はっきり言うと、当社に来社されたお客様より電話だけで注文されたお客様の方が明らかに手間がかかっていないわけだから、煩雑なお客様により優遇するというのもおかしな話である、それと最大理由は、今時、定価の決められた銃に特別程度の良い銃床が取り付いている訳がない、銃によって例外的に綺麗な銃床が付いていると言うことは皆無であるから銃床を選択する必然性は無いのである。

安全装置ボタンはトリッガーガードの前にあるが、何故わざわざ前にしているのかその理由が解らない、使い易いという意味から言うとレミントンみたいにトリッガーガードの手前に設置するのが当然だと思うがこの辺りは設計者に聞かないと理由が解らない、ひょっとしたらこの設計者は実猟をやったことがないのかなと疑念を持たざるを得ない、ベレッタの安全は銃を構えた状態では絶対に作動させられない、従って銃を構える前、グリップを握る前に作動させなければ成らない。安全装置に関してベレッタは他のメーカーからすると明らかに間違った設計をしている。

レミントン7400

2000年11月18日 築地

ライフル銃の自動銃は以外と少ない、ハンテングにきっちり使えるのはブローニングとレミントンだけである。
当社のベストセラーはブローニングだが、レミントンもなかなか根強い人気がある、レミントンを好む人の多くは形から入っている人も多い、ブローニングのスタイルは一部の人にとっては格好が良くないらしい、また弾倉交換が簡単なのもレミントンが好まれる理由の一つである。
ブローニングの場合、弾倉を交換するのにはトリッガーガードの前にあるマガジンキャッチを押して、ヒンジを開き、その蓋の裏側に弾倉が取り付けられているので弾倉の後ろを持ち上げて外す、予備の弾倉を取り付けるには、弾倉の先端をヒンジの裏側にひっかけ、弾倉の後ろを押し下げ、"カチッ"とロックされるのを確認してヒンジを閉じる。
この様にブローニングの弾倉交換は煩雑極まりないのである。それとするとレミントンはマガジンキャッチを押しさせすれば直ちに弾倉が外れる、この作動性の良さは明らかにレミントンの方が優れている。

マガジンキャッチ
マガジンキャッチ
マガジン外し
マガジン外し

値段が安いこともレミントンの良さである、当社のセール価格は¥99,000である、正規代理店の価格では30数万円であることからして当社の価格は国内の正規代理店の価格からすると破格の値段だが、私からすると、ちゃんと適正利潤を確保した値段である。逆に言うと正規代理店価格は完全なボッタクリだったと言うことになる。小売店の名誉のために言うが小売店の利益はせいぜい30%である、通常は定価から10%程度の値引きをしているので利益率は20%程度ということで決して暴利を得ているわけではない、小売業者もいわば被害者なのである。輸入商社が如何に小売価格を押し上げていたか、その弊害の最たる物がこうした猟銃の価格で簡単に解る。
ビジネスを展開する上で価格は最も大切な事であるが同じように大切なことは技術的なサポートが出来る事である。銃器のサポートに関しては教科書が存在しない以上、銃器に関して豊富な経験と知識がないと出来ない、少なくともこれに関しては私の方が商社の社員より2歩も3歩もリードしていると自負している。
皆さんはすでにお解りだろうが、この徹底的に説明しましょうと言うレポートはほとんど毎日1本と言うペースで書いています、それも通常の仕事をちゃんとこなしながら書いている事なので、銃器の事がちゃんと頭に入っていないと出来ない芸当である。
誰かの書いた原稿や、資料を見ながら書いたのではとても追いつけないハイペースなのである。それに私は週末必ず射撃場に行くので、原稿を書くのは土日祭日以外の平日と言うことになるが、そうなると原稿を書くのは早朝と言うことになる、実はこの原稿を書いている今の時間は午前3時である。このまま2~3時間原稿を書いて6~7時には会社に出社しているのである。こんな事をつらつら書き連ねると、自慢話に聞こえるといけないが、つまり相当好きでないと出来ない芸当であると言うことをいいたかっただけなのである。

さて話がそれたがまた本題に戻ろう。自動銃で回転不良以外の次に多いトラブルは銃床の割れである。割れるのは決まって先台、元台が割れることはまず起きない。先台が割れる原因は火薬のガスである。自動銃を回転させるために銃身からガスを導入してピストンを動かし、その作用により弾を排莢して、弾倉から装填する、これら一連の作業はピストンに吹き付けたガスの作用による。

この火薬ガスはピストンを1センチメートル動かすだけである、あまりにも火薬のガスは強力なため、ピストンが1センチ動くだけでボルトはその "慣性" だけで10センチ動いてこれらの一連の作動を繰り返すのである。念のためにいうがピストンの力でボルトの作動範囲、10センチを動かしているのではない、わずか1センチである!
もしボルトを10センチ動かすようにピストンが作動したら、余りにも強烈な力のためボルトが崩壊してしまうはずである。ピストンを1センチだけ動かした後のガスがガス穴から放出される。この放出されたガスが当然にして強烈な力を持っている。
このガスが放出されるのは先台の中である、そのため自動銃の先台は割れやすいのである。

ガス吹き出し
ガス吹き出し

M-14という軍用銃があるが、この銃は火薬ガスを先台の中ではなく、先台の外に排出している、そのため先台の割れるトラブルは起こらないのである、国産でフジオートという散弾の自動銃があった、この銃は火薬ガスを先台の外に排出するシステムをとっていた、M-14と同じ設計である、こんな事を書くといかにも日本にも優れた設計者が居たかと思われるだろうが、実はこれはM-14のパクリである、ピストンの作動方法もM-14と全く同じだし、欠点まで完璧にコピーしているので簡単に解る。

さて、自動銃にとって先台が割れやすいということがお解りいただけたと思うが、レミントンの場合、新製品として銃床がシンセテックの物を発売した、シンセテックというのは対衝撃性プラスチックである、このプラスチック極めて強く、この材料を使ったナイフがあるくらいである、ただしナイフといっても切れ味が良いわけでは無い、シンセテックと言えどもさすがに鉄よりは弱いからである。このナイフ切る目的ではなく、刺す目的で作られたナイフなのである。では何故プラスチックかというと、それは金属探知器に反応しないからである。それにパソコンと一緒にカバンに収納すればレントゲンでみてもナイフと分かる事はない。何となくハイジャク犯人のために作られたようなナイフである。
話が横道に逸れたが、シンセテック銃床が割れないことはご理解いただけたと思うが、実は木製銃床も新型の物は横幅がかなり大きく出来ており非常に割れにくく出来ている、ここが旧型と違うところなので指摘しておきます。

さて自動銃がピストンの作動で回転することはご理解いただけたと思うのだが、実はこのシステムを使っていたのは他の自動銃である、このピストン方式は若干問題があったのである、使っている間にガス穴の中にカーボンが付着してくるとピストンの動きが渋くなって回転不良が起きやすいのである、レミントンの場合その構造は全く違う。ピストンにガスを吹き付けてピストンを動かすのではなく、ガスを直接アクションバーに吹き付けるのである、これだとカーボンがピストンに付着することはない、何故なら元々ピストンが無いからである。
そしてカーボンはガスと一緒に吹き飛ばされる。
昔の米軍の正式小銃はM-14であったが、これはピストンを使って作動させていた、それから後に正式採用されたM-16はピストンを使わず、ガスを直接ボルトに吹き付けて回転させる方式に改良した、しかしこの方法はボルトに直接ガスを吹き付けるためボルトが汚れやすい欠点があった、しかし新レミントン7400の場合、ボルトではなくアクションレバーに直接吹き付けるのでボルトが汚れる事はない。
旧型の物とはボルトのロッキングも変更された、旧型はボルトのロッキングがブローニングの様に6個付いていたのだが、新型は大きな物が2個付いている構造に変更された、ロッキングが多ければ多いほど異物を噛み込む可能性が大きくなる、それを避けるためにロッキングを少なくしたのであろう、ボルトの外側にはプラスチック製のダストカヴァーが付いているがこれも異物の進入を防御するためには効果がある。

レミントンには照星照門が付いている、もう一つレミントンで起こりやすいトラブルであるがこの照門を無くす人が思いの外多いのである、このサイトは調整式のためネジをゆるめて照準調整が出来るが、工場から出荷した段階でこのねじが良く締まって居ない物があり、山歩きの最中にポロリと抜け落ちてしまうのである。これは何もライフル銃だけに限った事ではなくレミントンの場合散弾銃のスラッグ銃身でも同じ事が言えるのでご注意願いたい。射撃場で照準調整を済ませた後は、ねじを完璧に締め上げ、そのあと外側をエポキシ系統の接着剤で接着しておくことをお勧めする、こうすれば抜け落ちることはない、どうしても再調整をするときはライターであぶると、接着剤を剥がすことが出来る。

照門
照門

銃全体の外見を見てみよう、写真では解らないと思うが金属部分は全部つや消し仕上げに出来ている、シンセテック銃床の仕上げとうまくマッチしている。
従来型の艶仕上げの7400とは全然雰囲気が違っている、ハンテングにはシンセテック銃床の方が良さそうに見える。

ウッド & シンセテック
ウッド & シンセテック
機関部の比較(ウッド、シンセ)
機関部の比較(ウッド、シンセ)

シンセテック銃床の機関部はよけいな装飾がないが、木銃床の機関部には彫刻が施してある、最も手彫りではなくプレスでスタンプしただけの簡単な物であるのであまり価値はないが。自動銃の回転不良を防ぐためには薬室をきれいに掃除しておかなければ成らない、自動銃は射撃をする度に火薬ガスが薬莢と薬室の間にわずかに進入する、通常は高圧ガスのために薬莢が膨らんでガスの吹き戻しをシールするがそれでも少しずつ汚れてくることには変わりない、またリーロードした弾を使う場合、ターボタンブラーできれいに研磨してから使うようにお勧めした、汚れたままの薬莢をそのまま使うと薬莢に付いたカーボンや汚れが、火薬ガスの圧力で薬室に押しつけられる、そしてそれが少しずつ蓄積するといつしか薬室の壁がざらざらになり、ついには薬莢が薬室に張り付くことになる。これが以外と回転不良の原因になるのである。ですから汚れた薬莢は使わない、射撃をした後は必ず薬室ブラシで薬室を清掃する事が必要である。この薬室ブラシを最初から付属で付けているのはレミントンだけである。

レミントンは最近のモデルから、安全装置に鍵がかかるようになった。この鍵を外さないと安全が外れないのである。つまり引き金を引くことが出来ないのである。
つまり安全装置が二重構造になっているのです、鍵を挿入して赤い印のある所まで回転させると初めて安全を左右に押して安全を解除したり、安全をかけたりすることが出来る。
鍵を挿入して白いマーキングの所に回すと、安全装置を左右に押し出すことが出来なくなる、つまり安全装置がロックされた状態になるのである。
かえって面倒に感じられるかも知れないが、今までとおりの使い方をするならば鍵の位置を赤い印の所にセットしておけば従来とおりの使い方が可能である。

安全装置の鍵
安全装置の鍵

レミントン7400には照星照門は全てのモデルに付いているが、当然にしてライフルスコープも使うことが出来る、マウントベースを取り付ける穴はすでに加工してあるので単純にネジ止めするだけで取り付けられる。
負環金具は付いていないのでアアンクルマイケル社の7400用専用負環を使うと先台の止めネジに差し替えるだけで取り付ける事が出来る、金具の価格は¥6000である。

先台の止めネジ
先台の止めネジ

ベレッタ DT-10

2000年11月17日 築地

オリンピックでどの選手が金メダルをゲットするかは誰しも興味のあるところだろうが、私たちみたいにガンビジネスに関わっている人間にとってはどこの銃を使ったかと言うことも非常に関心のあるところである。
車で言うとF-1レースみたいな物である、誰が優勝したかと言うことと共に、どこのメーカーが勝ったのか、フェラーリか、マクラーレンかと言うような別の次元の興味もそそられるのである。何故なら多少なりともビジネスの展開に影響があるからである。
日本ではオリンピックで誰も使っていないような銃をわざわざ宣伝して販売している。オリンピッククラスの射撃競技では、選手の使用銃は圧倒的にペラッチとベレッタに二分される、私もどちらの方がいい銃ですかと聞かれると返事に窮する。何を以て良しとするかはそれぞれの射手の価値観に負うところが大きく、私でも善し悪しを断定することは出来ない。私自身はペラッチSC0のサイドプレート銃を使っているがこれとて単なる私の好みで使っているにすぎない。

銃床のフィーリングはペラッチ、とベレッタでは違いがある、それはベレッタの方がグリップにパームと言う、手の平に当たる部分に脹らみを持たせてつくられているからである、昔のペラッチにはパームがつけられていたが、最近のペラッチはパームがないのが主流である。パームをつけない理由はそちらの方が自由に握る箇所を変えられると言うメリットがあるからである。

グリップ
グリップ

当社に銃を見に来られて、ベレッタ、ペラッチと両方の銃をお見せして、それぞれ構えさせて見ると、多くの方がベレッタの方が何となくしっくり来ると言う感想を述べられるが、ではしっくり来る方がより当たるかと言うと、それはまた別問題なはずである。これが射撃の奥深い所である。
当社では最近射撃銃の値段を大幅に値下げした、ペラッチMX8で¥690000である、この値段、イタリアの小売価格より安いのである、アメリカですらMX8は$8600である、約90万円である。
多分、世界中でMX8を一番安く売っているのは当社であろう。
MX8のライバルと言うと、ベレッタではASEゴールドがそれに相当する、当社の価格で¥800000であるが、ベレッタが打倒ペラッチとして出してきたのがDT-10である、当社の価格で¥595000である。 明らかにMX8を意識した価格である、銃の値段を下げると言うことはどこのメーカーもしないことである。今までの流通体系が完全におかしくなってしまう、在庫を持っていた所は悲劇だろう、そのため銃の値段が上がることはあっても下がることは無いのである。

DT-10 全体
DT-10 全体

今年のショットショーでDT-10を見たとき、新製品を出して値上げをするのだろうと思っていた、その時点では正確な価格が提示されていなかったからである。しかし最終的に提示された値段を検討した結果、当社ではこの銃を¥595000で販売することにした、正規代理店がいくらで売るかは関係のないことである。
値段が安い分、ASEより質が落ちているだろうと考えるのは至極当然の事だろうが、私の目からするとあまり遜色がないのである、ベレッタのエンジニアによると、DT-10の方が耐久性があるとのことだが、真偽のほどはわからない、その理由を聞いたところ銃身ブロックに差し込んでいる銃身のスリーヴが長いと言うのもその理由の一つだと言っていた、銃身ブロックと言うと聞いたことのない人が多いだろうが、ペラッチ、ベレッタの銃身は、薬室の部分は上下一体のブロックで作られている。そのブロックに銃身にあたる部分を差し込んで作られているのである、その差込の部分がスリーヴである。

話が変わるが、銃の中で最低と言われる故障はこの差込が抜けることである、弾を撃っても火薬の圧力は機関部と、ブロックにかかり、銃身にはほとんど負担を与えない、一番負担となるのは散弾が銃口内を通過していくとき、チョークの部分で抵抗が生じるのでその時銃身が抜けるような作用が働くだけである、しかし現実問題銃身が抜ける事はない。
しかし、かなり昔、SKBの銃身が少し抜けたのを見たことがある、昔の事なので今とは製造技術が違っていたのであろう、最近はその様な事例は皆無である。

クロスボルト
クロスボルト

しかし最近ある会社の銃の銃身が抜けたと言う話を聞いた、どこのメーカーかと思ったらマエストロとのことである、ペラッチのコピーみたいな銃であるが、値段はペラッチの正規価格と同じ値段で売られている銃である。
銃身が細く、銃床も小さくまた仕上げも非常に綺麗な銃でいかにも日本人好みの銃である、私のこの銃を売るかどうか判断するため外国の評判を聞いてみたらその評価は最低であった、外人の業者仲間からも扱わない方がいいよ、といわれたのだがその時点でその理由は示されなかった。
時間が経ちマエストロの銃を見る機会が出来て内部を見たら、とても銃器のことを熟知した人が設計したとは思えない作りである、外見はペラッチと同じであるが内部はペラッチと比較するとかなり劣悪な設計である、銃器設計の基本的な事が解っていないと言える。ただしパーツ類は良く研磨されているので素人目には良い銃に見えるかも知れない、しかしながらどんなに中の仕上げが良かろうが銃身が抜けるような銃は最低である、1回でも銃身が抜けると修理が効かない、その銃は廃棄しるしかないだろう、この事実からしてマエストロはジャンク、史上最低の銃であるとキッパリ断言しておく。
こんな事を書くと、マエストロの代理店の人は怒るかも知れないが、無知な射手を騙すようなビジネスをすべきではないと考えあえて暴露しました。(異論のある方はご自社のホームページで反論なさって下さい)

さて話がそれたがDT-10は明らかにMX8に対抗するために作られた銃である、なんと言っても価格が明らかにMX8を意識した値段になっている、MX8を購入しようとしているユーザーなら10万円安ければユーザーの判断は大きく揺らぐはずである。

しかしユーザーの心理からすると、安いからどこか手を抜いていているのだろうと考えるのが常識だろうが、この銃に関してはそのような懸念は必要ない、銃のクオリテーはASEと遜色がないのである、せめて引き金が固定式だとか言うのであればASEとの比較が出来るのだが、ほとんど違はない、あきれたことに銃床の質までASEと同じクラスの銃床を使っている。

先台
先台

これでは単にASEの名前を変えてプライスダウンして販売しているのと同じである。
私はペラッチが良いか、ベレッタが良いかは断言できないが、ASEを買うお金があったらDT-10を買うようにお勧めすることだけは自信をもって断言できる、なぜならベレッタが明らかにペラッチ潰しとして放った銃であるからである。
当社では相応の数のDT-10を注文しているが、間違いなく品薄状態に突入するはずである、当社ではDT-10ならいくらでも引き取るがASEは一丁も注文していないのが現状である。
DT-10が¥595000なら、ASEゴールドは¥695000くらいが妥当な値段ではないだろうか、つまりMX8と同じ値段と言う事である。

受注輸入と言うことが条件ですが、
セール期間中, ASEゴールドを¥695000で販売します。

この値段、多分、世界中で一番安い値段だと思います。
アメリカでの小売値段は$12,000です、¥110で換算して132万円と言う値段です。しかしながらこの値段ですのでASEゴールドの在庫はしません、受注輸入なので注文を貰ってから納品までは3ヶ月程度かかるのでご承知おき下さい。

DT-10はペラッチ潰しと言う戦略があるためだろうか、交換チョーク式のトラップ銃、スキート銃がある、皆さんは え? と言われると思うトラップやスキートで交換チョークを使う必然性など何処にもないと思われると思う、私自身もその必然性は感じないが、あえて言うならトラップの場合は、ダブルトラップに使う場合、初矢のチョークは交換できる方が良いかもしれない、スキートの場合、私はスキート射撃はやらないので全くその必然性を感じないがフルチョークに交換して練習でもするのかなと? と推測するがその利点は定かではない。
交換チョーク式の銃は5万円アップである、DT-10にはアジャスタブル銃床のモデルもあるが、これも5万円アップの値段である、初心者の場合ならともかく、ある程度射撃の経験がある人は、それほど頻繁にベンドをいじくることはないと思うので本当にアジャスタブル銃床が必要かどうかは疑問である。
ASEゴールドと比べてほとんど同じだと書いたが、あえて違いを見つけるなら機関部が窒化仕上げをしていないところであろう、窒化処理をすると機関部の表面が堅くなるが、堅くなったからと言って寿命が延びるわけではない、勿論傷に強いというのは屁理屈でしかない、窒化処理をしなくても使用している材料はクロームモリブデン鋼なので表面が柔らかいわけではない。

ベレッタの引き金の外し方を説明しておこう、これはASEもDT-10も共通の方法である。

レバー位置
レバー位置
引き金を外す
引き金を外す

引き金は安全装置と連携しているのでまずここの機構について説明しておこう、安全装置は安全がかかった状態だと"S"の文字が視認できる、レバーを前にやるとSの字が隠れる、さらにレバーを前進させるとレバーの後ろに金色の点が視認できる。この状態でトップレバーをひねると引き金を取り外す事が出来る。

先台
トップレバー

実はこの引き金、ASEとは大きく異なる、この引き金には振り子が組み込まれていない、ミロク、SKB、ペラッチ、ベレッタ、ASEゴールド、いずれの銃も引き金の中に振り子が組み込まれており、初矢を撃った反動で振り子が動き、二の矢がセットされる、つまり初矢が出ない限り二の矢は出ないのである、これは同発防止のための装置である、しかし初矢が不発の場合、二の矢も撃てないことになる。
これと違いブローニングなどは、振り子を使っていないので初矢が不発でも二の矢を撃つことが出来る、いずれの機構も決定的な長所短所ではない。勿論どちらが有利とも断定することは出来ない。

予備部品
予備部品
ガンケース
ガンケース

DT-10には交換用の照星二個と、撃針セット、交換用のトリッガーシエアーが付属で付いている。勿論ガンケースが付属なのは言うまでもない。

ウエザビー マークV ウルトラライト

2000年11月11日 築地

上記の文字はマークV(ヴイではなくて、ファイブ)です、アラビア文字の5と言う意味ですからお間違いの無いようにお願いします。
マーク*と言う言い方は、改良型*号と言う意味ですから、当然最初にはマーク1があったはずですが、ほとんどの人が1,2,3,4,は知らないはずです、ほとんど社内的な改造のレベルでほとんど市販された銃はありません、従って最初に市販された銃はマーク5だったのです、それからオイル仕上げ銃床のユーロマーク、とかレーザー光線で彫刻をしたレーザーマークとか、銃身をフルート加工したアキュアマークとか、銃身の太いバーミンターとか、マーク5を更新できるモデルが色々リリースされましたが、名称が相変わらずマーク5ままなのは語呂が良いからなのでしょう。車で言えばトヨタのマーク2と同じ感覚なのでしょう。

全体図
全体図

さて、当社では長い間ウエザビーは取り扱って来なかったのですが、一昨年、計量のウルトラライトがリリースされてから取り扱うようになりました、それは私の目から見てなかなか出来の良い銃であったからです。
なによりも軽量なのが最大のポイントです、元々ウエザビーは細い銃身をしているので重量としては軽かったのですが、機関部が重すぎました。ボルトラグの外径がボルトボデーの外径と同じ寸法のため、ボルトの重量が思いの外あったため軽量化に限界があったためです。ボルトボデーの外径を細くしないと軽量化は限界があるのです。しかし308や、30-06口径のウルトラライトがリリースされて、マグナム口径みたいにボルトを太くする必要性が無くなり、機関部自体も細くすることが出来て2.6キロと言う非常に軽量のボルトアクションライフルが作れる事になったのです。

重量
重量

ウエザビーライフルの取り扱いを躊躇していたもう一つの理由、それが銃床の折れです。
強烈なウエザビーのマグナム口径を撃つのに、銃床のグリップは数あるマグナムライフルの中で一番細いのです。その為グリップの中にはアルミの角棒を挿入して補強していますが、それでも折れると言うことは避けられないトラブルでした。
ウエザビーの工場ではクレームで返品された、グリップの折れた銃床がゴロゴロしています、アメリカ国内ならスピーデーな対応が可能でしょうが、日本からこうしてクレーム処理をするのには、いちいち通産省の輸入許可を取得しなければならないし、相手もアメリカ国務省の輸出許可を得なければなりません、これではスピーデーなサポートが出来ないので取り扱いを躊躇せざるを得なかったのです。

銃床テンション部
銃床テンション部

しかし、軽量のウルトラライトのリリースにより取り扱いをしてみる事にしました、それは先ず銃が軽いこと、こんな軽い銃は外のメーカーではありません、それに銃床がシンセテック銃床になったことで銃床折れの心配が無くなったからです、しかもそのシンセテック銃床にはアルミのフレームが鋳込んであります、これなら銃床折れは発生しせず、安心して売ることが出来ます。
また品質が昔より良くなったことも取り扱いを開始した理由の一つです。

銃床アルミフレーム
銃床アルミフレーム

1960年代、ウエザビーはドイツのサワー社で作らせていました。このころのウエザビーは非常に良い品質の銃でした。ウエザビーの社長、ロイ、ウエザビーと設計者のフレッド、ジニー氏はドイツの帰りに日本に立ち寄り、豊和工業を訪問しマークVの図面を見せて見積もりを取らせました、その当時の為替は¥360です、工員の平均給料が¥5000程度の頃でしたから、豊和工業はJ。P。サワーの半値で作ると言うことになり、1970から豊和工業で生産を開始する事になったのです。
しかし、それには相応のコストダウン製造方法が加味されていたのです、当時サワーで製造されていたウエザビーのトリッガーガードはスチール製の物でした、フライス加工の手間を十分にかけて非常に手の込んだ作り方をしていました、それが豊和工業で作るとアルミのダイキャストに変わったのです。それまでのウエザビーは最高級の銃と言うことを売り物にしていたのでトリッガーガードがダイキャストではいささかイメージダウンを避けられないでしょう。
実を言うと最も今回リポートしたウルトラライトもトリッガーガードはダイキャスト製です、これはコストダウンと言う意味もありますが、何よりも軽量を売りにしている銃ですからこれならばお客様にも充分容認される事でしょう。
さて、今のウエザビーはアメリカのサコーと言う会社で作られています、おっと、フィンランドのサコーと勘違いしてはいけません、アメリカのサコーはこの会社とは何の関係もありません、元々軍事産業の会社で、米軍の他用途機関銃M-60E3を作っていた会社です、ソ連崩壊以後軍需産業は仕事が激減し、この会社も民間用の銃を製造せざるを得なくなり、ウエザビーライフルの製造を引き受けることになったのです。
ここの会社は試射場すら持っていないので試射的は豊和製のウエザビーみたいに付いていませんが、命中精度は問題ありません、100メートルで1インチ以内に集弾します。
ウエザビーのカタログでは冷えた銃身から撃った最初の3発だけは1.5インチ以内に当たると書いていますが、実際には20発くらいまでは1インチにまとまります。しかしこんな事を書いて当たらないと困るので私もカタログにはウエザビーのカタログとおり書いていますが、本当はもっと命中精度がよいと考えて良いでしょう。

豊和工業で作られたウエザビーは銃番号の頭にHの文字があります、アメリカのサコーで作られたウエザビーはWBの刻印が打たれていますので簡単に識別出来ます。
それに、何よりも機関部の横にMADE IN U.S.A.と刻印してあるので簡単に見分けらます。
残念ながらこの銃の何処にも、これがサコーで作られたと言うことは一言も書いてありません、サコーは完全に蔭のメーカーとして忍んでいるのでしょう。

USA 刻印
USA 刻印

機関部の構造は昔と同じである、多くの会社が銃の反動を受けるラグの部分をより簡素化して来ているのに対して、ウエザビーはあくまでも頑固な作り方である。
レミントンは銃身と機関部の間にラグを挟み込んでいる構造だし、サコーも機関部に溝を切ってそこにラグを挟み込んである、いずれもコストダウンのためである。
ウエザビーがレミントン、サコーなどより高いのは、こうしたコストダウンをしないで頑固な製造しているからである。

ボルトのロッキングラグは昔から変わらない、マグナム系統のボルトは3個のロッキングラグが3列、合計9個に配置されているが、スタンダード口径のボルトはラグが2個ずつ、3列に配置され合計6個のラグで反動を受けている。

ボルトラグ
ボルトラグ
ラグ
ラグ

ウルトラライトが如何に銃を軽くするために苦心しているかというのは、ボルトの後端の上をほんの僅か削り取っている事からも容易に推測できる、またボルトハンドハンドルの中もくり抜いている、念のために言うが、これには技術的な意味は全くない、単なる軽量化の為である、これで何グラム軽くなったかは解らないが、極力軽く作らねば、と言う製造サイドのニュアンスは十分に伝わってくる、こういう徹底したところが所が私はこの銃を気に入っているのだ。
ウルトラライトの機関部はスチールですが、銃身はステンレスです。そのため錆びません。

軽量化ボルト
軽量化ボルト
ボルト穴
ボルト穴

銃身はフルート加工したあとステンレスの黒染めをされ、その後外側を研磨してまた地肌を再現させています、かなり面倒な行程を踏んでいますが、ボルトと同じように白黒パターンを付けるのはウエザビーの伝統です。勿論白黒をつけるのは見栄えだけの問題で技術的な意味は全くありません。白黒にするのは見栄えだけだが、フルートを加工することにより銃身の重量を軽減することが出来る、この加工だけで150グラム程度は軽くなっているのではないだろうか。

フルート溝
フルート溝

銃身はさらに軽くするため極限まで細くしてある、銃口の先端で14ミリである、普通の銃は細い銃身でも16ミリ程度であるから相当補足まで削り込んである。
この細い銃身の命中精度を確保するため、サコーみたいなフリーフローテングではなく、最初から銃身を銃床で下から押し上げ、極端に言うなら銃床のテンションで少し曲げてあるのである、細い銃身の場合、フリーフローテングにすると逆に銃身が安定しないので強制的に銃床で押さえて曲げてあると言う訳である、その銃床が銃身を押し上げている部分は銃床の先端にあり、銃身の当たる部分が少し盛り上がっているのである。
これがウエザビーの特徴で、ウエザビーライフルはすべて銃床をこのように工作している。

銃身計測
銃身計測

この押さえつける重さも3ポンド半とかで、設計上決められているのである。
ウエザビーは非常にデザインにこだわる会社です、銃身と先台の細い線、それに異常なまで細くしたグリップ、銃床が折れやすいと言うデメリットを押さえても細いグリップに拘ったのはデザインの問題です、もう少しグリップを太くした方が良いのではないですかと、設計者のフレッド、ジニーに言ったところ、"これがアメリカ人好みのデザインなのだ"と逆にたしなめられてしまった、日本人が握っても細いグリップだからアメリカ人が握ればさらに細いはずである、アメリカ人向けの銃は銃床が長くグリップは太いと言っている人に、私が知らない振りをしてウエザビーは何でグリップが細いの? と聞いたら、寒いところで手袋をして使うために細くしてあると言ったが、じゃ、アフリカで使うときはどうするのだと逆に聞きたくなった。
そんな屁理屈ではなくて、アメリカ人の目から見て、ウエザビーはカッコ良い銃なのである、そして多くの日本人もカッコ良い銃であると思っているのでは無いのだろうか?
それは銃身から先台に流れる細い線、細いグリップ、豊かなチークピースの盛り上がり、このスタイルこそがウエザビーの伝統デザインなのであろう。
私はかってこのウエザビー社でエンジニアとして修行をしていた、ある時、社長のロイ、ウエザビーが、世界中に色々なメーカーがある中で何故わざわざ日本からウエザビーに来たのと聞くので、マークVが世界中で一番カッコ良い銃だからです! と言ったら、社長のロイ、ウエザビーも、設計者のフレッド、ジニーも顔をくしゃくしゃにして喜んでいた、今頃天国で2人は何をしているのだろう、まさか天国でハンテングなど罰当たりな事をしている訳もないと思うが!

その他 詳細

マウントネジ
マウントネジ
付属 キー
付属 キー

ベレッタ S682ゴールド ベレッタ S682ゴールドE

2000年11月 8日 築地

今回のレポートは趣向を変えて2丁の銃を比較しながらレポートしてみよう、レポートする銃はベレッタS682ゴールド、と新製品のゴールドEである、いずれもトラップ用の銃を用意した。
新製品というと多くの人は、新技術が取り入れられた新製品だろうと考えるだろうが、銃器の場合は技術的にはすでに完成され尽くしているので、残念ながら新技術と言う物は存在しないのである。銃器の場合は車のエンジンみたいに進化を続けている物ではないのである。それでも新製品を出さざるを得ないところにメーカーの苦悩があるのである。
今回は新製品が必ずしも優れているわけではないことを織り交ぜながら色々説明をしてみたい。

新旧の比較をする前に、ベレッタS682の説明をしてみたい。
ベレッタには色々なモデルの上下2連銃がある、多くの人はどれを選んで良いか迷うところだろうが、オリンピックに使われる銃はS682か、ASE90である、これから新製品のDT10も使われてくるだろうが、今までは上記の2種類が大半である、あえて言うならほんのわずかSO5を使っている選手もいる。
何故これらが使われて、他のモデルが使われないかと言うと、S682か、ASE90(DT-10)以外の銃は全て割高な銃であるからである、687ELとか、687EELLとかの銃は不当に高い銃であると私は考える、これらの銃は基本的な構造は687と同じであるのに、サイドプレート仕様にしていかにも高そうに装っていたり、手彫りの彫刻風の彫り物をして値段を高くしたりしている、彫刻も素人目には手彫りに見えるだろうが、複雑なところは機械のスタッンプである、"ガチャン" はい、出来上がりと言うわけである。
但し、全部機械スタンプと言う訳ではなく、周りの唐草は手彫りなので素人目には全部手彫りに見えてしまう、しかしながら値段は全部手彫りの値段と同じである、従ってベレッタがお金儲けするために作られた銃であると言うことが出来る。
逆に言うとS682か、ASE90(DT-10)は品質本意の銃と言うことになる。
よってオリンピック選手などはこれらの銃しか購入しないのである、勿論当社もこれらの銃しか販売しないのである。注文されればSO5も販売するが、687ELとか、687EELLとかは最初から取り扱わない。
S682は当社の値段は¥275000、ASE90の値段は¥800000であるから、耐久性で比較すると当然にしてASE90の方が耐久性は大きい、ASE90に付いてはまた別のレポートで取り上げてみるつもりなのでここでは解説はしない。

ロッキングピン
ロッキングピン
銃身ピン穴
銃身ピン穴

S682は耐久性では劣る科に思われるかも知れないが、オリンピック選手が使用している銃なので一般の人がウイークエンドに射撃する分には一生持つ程度の耐久性がある、しかしながら、これからが肝心なことだが、使い方を誤ると耐久性が劇的に低下する、銃の耐久性とはほとんどがロッキング関係関係に現れる、ロッキングがしっかりしているか、そうでないかは、保持している面積で違いが出る、S682の支持している部分は銃身のヒンジ部分と、機関部側にある2本のピンだけである。このピンは機関部が開くのを防止しており力は銃身をしっかりと下に押しつけるために作用している、丸いピンで下に押す場合、力のかかるところは丸棒の一番下端だけであるので、この様に保持している面積は極めて小さいと言わざるを得ない、従ってこのピンが摩耗すると少し大きめのピンに交換して修理することが出来る。

ヒンジ
ヒンジ

ASE90やSO5の場合はクロスボルトと言って横から平板の鋼材を貫通させて銃身のロッキングラグと交差させているので耐久性は格段に向上している。
全てのベレッタがそうだが、銃身のヒンジ部分は非常に弱々しい、ブローニングなどはヒンジには丸棒を貫通させている、最もそのために機関部全体が大きくなる欠点がある。
ペラッチやベレッタは機関部がコンパクトに出来ているためヒンジを銃身の左右の引っかかりで保持している、これだけで激発時に火薬の圧力で機関部と銃身が離れようとする力を押さえ込んでいる。ここにガタが出ると銃身を折ったときに "パコン" と言う感じで軽く簡単に折れるようになる、余りにもガタが大きくなった場合修理することが出来る、この場合ヒンジピンを少しサイズの大きな物に取り替えて対応する。
しかしながらその補修も自ずから限界があることをご理解いただきたい、従って銃を如何に長持ちさせると言うことは、ここに如何によけいな負担をかけないと言うことである、勿論発射した弾数により耐久性が落ちてくることは言うまでもないが、その10倍くらいの早さでヒンジが劣化することがある、それは銃身を折るときに勢いよく折る場合である、銃身を折ると機関部の先端に銃身の下端が当たってそれ以上曲がらないようになるが、その反作用をヒンジの部分で受けているのである、そのため勢いよく曲げるとヒンジに不必要な負担を与えることになる、さらに悪いのは銃身を戻すときである、勢いよく銃身を戻すと銃身の後ろが機関部の包底面で当たるが、その反作用がヒンジに集中する。
実はこの作動を勢いよくやった場合、弾を10発撃ったとき以上の負担をヒンジに与えているのである。以前、ビギナーの人に682を販売して半年も経った頃、調整で銃をお持ちになったことがある、銃も見てみるとすでに5万発撃ったようなガタがある、ビギナーが半年で5万発と言うのも解せない話なので試しに、銃の操作をして貰ったところ、案の定凄い力で銃身を折り、なおかつ戻していた、聞いてみるとまだ1万発も撃っていないとのことである、私は使い方を良く説明して銃を大切に扱うように諭した。
ビギナーの場合、射撃場であまりに当たらないとついつい銃に当たり散らすことになる、外れると銃を殊更乱暴に操作する人もいるが、当たらないのはそうした荒っぽい狙い、粗雑なスイングにより命中率が低いのであるから、もっと丁寧な狙い、そして何よりも丁寧な取り扱いを心がけて貰いたい。682Sは丁寧に使えば10万発以上使える銃である。
さらにガタ直し、オーバーホールをすることにより最終的には30万発は撃てるはずである、30万発と言えばクレー射撃に使った場合、弾代金、クレー代金とで総計2490万円にもなる、それから考えると銃の代金はほんのわずかな出費である。
そこまで使えれば682なら充分元を取ったと言うことが出来るではないか。

682ゴールドと682ゴールドEの違い。
新製品場合、旧モデルと比較すると必ず値段が高くなる、正規代理店の値段はどうか知らないが当社ではどちらも同じ値段で販売している、何故なら仕入れ価格が同じであるからである、仕入れ価格が同じで新製品となると、逆にどこかをコストダウンしていると考えるのが常識である、はてさて何処をコストダウンしたのか素人目にはほとんど解らないはずであるが、私は元々、銃器の販売よりも銃の製造経験の方が長い人間なので、私の目から細かいところを分析していこう。

ゴールドとゴールドE
ゴールドとゴールドE

まず両方が大きく異なるのは機関部の色である、写真では見にくいかも知れないが旧型は機関部の黒色があまりはっきりしていない、くすんだ黒色と言う感じである。
それと比べると新型の方は銀色に輝いている、何となく銀色の方が良さそうに見えるが実はそうではない。旧型の機関部がくすんだ色をしているのは表面が窒化処理されているからである、窒化処理とはガス炉の中で熱処理をすることにより金属の表面に窒化ガスを浸透させ表面を硬化させる技術である、金属表面が硬化すれば当然耐久性が増す、しかし当然コストアップにつながる、コストダウンをするとすればこれらの処理をしなければコストは下がる、新型の銃は間違いなく窒化処理はなされていない。ここでコストダウンをワンポイント稼いでいます、さて銃床に目を移しますが、銃床材質の低下はありません、前の物とほぼ同じランクの銃床を使っています、これは合格!

ではチェッカリングを見てみましょう、新型はちょっと変わったチェッカリングです、表面が魚の鱗見たですね、この魚の鱗みたいなチェッカリングは数百万円するようなダブルライフルには良く取り入れられています、魚の鱗と同じように瓦状に積層しながらハンドメイドでチェッカリング加工するのですが、もの凄い手間がかかり数百万円する銃でないと出来ません、このチェッカリングはそれとは少し違います、鱗が瓦みたいに積層していないからです、鱗状の間に溝が掘ってあるだけです、素人目にはどうやって工作したか解らないかも知れませんが、これはレーザー光線で焼いて作った溝なのです、昔はレーザーが高かったのでレーザー加工してもコストダウンが難しかったのですが、今やレーザーは劇的に安くなっています、これならハンドチェッカリングより安くできることになります。これでコストダウンを2ポイントゲットしました。

ハンドチェッカー
ハンドチェッカー
レーザーチェッカリング
レーザーチェッカリング
旧型先台
旧型先台
新型先台
新型先台

銃身の表面処理を見てみましょう、写真では見にくいかも知れませんが旧型は銃身の表面がつや消しになっています、新型は艶のある、そして黒色も深みのある仕上げになっています、一見すると新型の方が高そうに見えますね、でもそうではありません。
銃身を黒染めするときの作業を説明してみましょう、リヴやサイドリブをハンダで溶着した後は、表面にはみ出したハンダを完全に除去します、除去しないとそこだけ着色出来ないからです、表面が研磨できたら研磨剤を布製のグラインダーにかけて鏡みたいになるまで表面を徹底的に研磨します。

新型の銃はここで黒染め作業にかかります。旧型の場合は、研磨が終わった後、サンドブラスと言う機械を使って、圧縮空気で細かい砂を表面に吹き付けて表面をつや消し状態にします。それから黒染め行程に入ります、つまり旧型の方がサンドブラストの行程が1行程余分にかかっているのです、銃身の表面をサンドブラストするのは照準しているときに銃身からの反射を防ぐためです、ペラッチなどはサンドブラスト加工をしていないので必ずしも必要と言う訳ではありませんが、少なくともコストダウンにはなっています。
これでコストダウン、3ポイントゲットです。

銃身""

どうです、新型というだけで飛びつくとむしろ安物をつかまされる事にもなります、私は最初に新型を見たときに、旧型を相当数確保しました、案の定お客様の中には旧型がありますかとわざわざ指名してくる人も居ました、しかしその在庫品もそろそろ品切れです、20001年には全て新製品に取って替わられることになるでしょう。
そしてまた窒化処理をされた物が新製品として売り出され、今度は少しだけ値上げされると思います、チェッカリングもまたハンドチェッカリングになるかも知れません。

さて引き金に付いても説明をしておきましょう。
外見上は全く違いはありませんがメカ的には大きな違いがあります。
旧型は二の矢のセットは振り子式になっています、つまり初矢を撃った後その反動を受けて引き金内部の振り子が作動して二の矢のセットをします、引き金を戻して引くと二の矢が出ます、このメカニズムを振り子式と言います。
それと比べると新型は引き金を引くと最初に初矢、弾の出る出ないに関わらず引き金を戻してまた引くと二の矢が出ます。

アジャスタブルトリッガー
アジャスタブルトリッガー

ペラッチなどは振り子式、ブローニングなどはメカ式です、(ミロクはメカ式)どちらが良いとは断言できませんがそれぞれの特徴を説明しておきます。
振り子式の場合、初矢が出ないと二の矢が撃てないと言うことは同発が起きないと言うことです、その代わり初矢が不発だと二の矢を撃つことが出来ません。
メカ式は初矢が不発でも二の矢を撃つ事が出来ます、しかし引き金を極限まで軽くすると同発が出るようになります。
コスト的に考えても、メカ的に考えてもどちらに優劣があるとは言えません。

さてベレッタ682ゴールドは新旧のモデルとも、ガンケースは付属で、予備のトリッガーシェアー、予備の照星が付属で付いている。引き金は前後の位置へアジャスト調整が出来るように出来ているので、¥275000ならお買い得値段だと思うが皆さんの評価は如何に!

新型の銃はアジャスタブル銃床の写真を掲載してあります、アジャスタブル銃床付の銃床は¥310000です。

アジャスタブル銃床
アジャスタブル銃床

ブローニング 自動ライフル

2000年11月 7日 築地

ライフルの自動銃は色々あるが、世界中で一番売れている自動銃はブローニングである。
これだけは誰に聞いても疑いの余地のない事実であろう、当社でもブローニング95%に対してレミントンの自動の売上は5%位の物であろう、何故こんなにブローニングに注文が集中するのかというとバリエーションの豊富さと、故障の少なさが最大の要因であろう。
バリエーションで言うとマグナム口径を撃てる自動銃はこのブローニングしか存在しない。
マグナム口径も7ミリマグナム、300マグナム、338マグナムと3種類のマグナムカートリッジが使える。こんなに強力な弾を使えてしかも故障は皆無である。
当社では相当数の数を売っているが、修理で直す数は年間に極めて少ない、先程当社の販売量は95%がブローニング、レミントンが5%と書いたが、年間に修理するのはブローニングはレミントンと同じ程度の数でしかない、つまり圧倒的に故障が少ない。

照門
照門
ボス
ボス

ブローニングの銃のバリエーションは、通常の照星照門付の銃、ボスと言う反動軽減装置の付いたスコープ専用の銃、機関部がアルミ合金で出来た軽量銃と多種多様である。

しかしながら軽量銃はマグナム口径は対応していない、マグナム口径を撃つにはアルミ合金の機関部では耐久性が不足しているのである。軽量のアルミ合金機関部にもスコープマウントを取り付けるネジが切ってあるが、このネジの部分はアルミ合金では持たないので鉄の別部品が挿入され、ネジ部分だけは鉄で作られたブッシングで保持されることになるのでスコープを付けた状態でも充分な強度がある。

マウントネジ
マウントネジ

ライフル銃なのに、アルミ合金の機関部で強度は大丈夫だろうかとの懸念もあろうかと思うがそれは心配ない、弾の力を受けるボルトは、勿論クロームモリブデン鋼材で出来ている、ボルトの先端に歯車みたいなロッキングラグがあるが、これが銃身の後ろにある填め合いラグとかみ合って弾の圧力を受けているのである、アルミ合金の機関部は火薬と弾の反動を直接保持している訳ではないのである。
従って軽量化と言っても銃身、ボルト、激発機構は、クロームモリブデン鋼材で作らざるを得ないので軽量化と言っても自ずと限界があるのである、逆に言うと安全性だけは確実に確保されている。

ロッキングラグ
ロッキングラグ
ダストカヴァー
ダストカヴァー

機関部から見えるボルト部分は表面が白いがこれは防錆処理をしているので白いのである、しかし、この白い部分は実はダストカヴァーでこれにより機関部内部に木っ端等の異物の進入を防いでいるのである、ボルト本体はダストカヴァーの内側にありクロームモリブデン鋼材で作られているので黒い色をしているそれがボルトである。
時折、左用のブローニング銃はありませんかと聞かれることがある、じつはこの銃は左射手でも問題なく使える、あえて変更するなら安全装置を左右入れ替えるだけ大丈夫である、この費用は¥8000である。

安全装置
安全装置

勿論目で見て解るとおり、薬莢の飛び出るエジェクションポートは右側にある、左の射手が構えると顔の前にエジェクションポートが来ることになり、いかにも飛び出した薬莢が顔面を直撃しそうだが、そうはならない、薬莢は排莢されるときに薬莢の底の部分を中心にして先端部分、つまりネックの部分が外側に廻りながら排莢され、ネックの部分が機関部に激しく当たり、その反動で逆に前に回転しながら前方の45度の方向に飛んでいくのである。薬莢は後ろではなく、前45度の位置に排莢されるので顔に直撃することは無いのである。例を出すまでもないが、米軍のM-16もブローニングと同じように右側にエジェクションポートがあるが、兵隊の20~30%は左利きである排莢に関して支障があるという話は聞いたことがない。ブローニングは銃床の形状、グリップの形状も左右対照で、また銃床の曲がり、いわゆるキャストオフは作られていないので左右どちらの射手が使っても違和感は無いのである。
多くの自動銃がそうだが、弾を撃ち終わるとボルトは開いたままの状態で停止する、このボルトを前進させるのがボルトリリースである。

ボルトリリース
ボルトリリース
マガジンキャッチボタン
マガジンキャッチボタン
弾倉
弾倉

ブローニングは6ミリ口径の243ウインチェスターから8.5ミリの338マグナムまで色々な口径の銃が用意されているが、基本設計は全部同じである。
6ミリと8.5ミリでは反動も薬莢の大きさも大きく異なる、しかし大きく異なる弾でも同じように作動するのは、ガスポート部分が優れた設計になっているからである。
口径の小さい弾はピストンに小さな圧力のガスしか吹き付けない、逆にマグナムの場合強烈なガスを吹き付けることになる、この圧力差を同じように調整するためにガスピストンが作用している。

ガス調整装置
ガス調整装置
ガス放出口とピストン
ガス放出口とピストン

ガスポート部分にピストンが収まっているときは、どんな小さなガスでも逃がさずに受け止めることが出来る、しかしそのガスに押されてピストンが1センチ後退するとガスはリリースポートから全部抜けて余分な力がピストンにかからないようになっているのである。しかし薬莢を排莢し、ハンマースプリングをロックさせながらメインスプリングを完全に押し下げるには1センチではなく、10センチボルトが後退しなければならない、ピストンはわずか1センチしか後退しないのである。
ピストンが1センチ後退してボルトはスプリングを押しながら10センチ後退するメカニズムは、慣性の力である、ピストンは1センチしか動かないが、瞬間的に1センチ動くため、その慣性を受けてボルトはずるずると10センチ後退してしまうのである。
勿論弾頭が銃口内にある間にボルトが解放されると事故につながる、そのため弾頭が銃口から離脱して、銃口内のガス圧が完全に低下してからボルトは解放されるのである。
そのメカニズムを説明しよう、雷管に点火して弾頭が動き出す、全長52センチの銃身の中心まで前進するのに、1万分の5秒程度かかる、銃身の中心にガスポートがあるのでそこからガスが導入されるピストンを押し始める、その間弾頭はさらに前進を続け、さらに1万分の4秒くらい立つと銃口から離脱し、マッハ3弱のスピードで飛び出す。
ピストンはすでに作動を始めているがまだ数ミリ動いた程度である、銃口内のガス圧は充分に下がりつつあるが余分なガスは銃口から吹き出す。
銃口には炎と硝煙が吹き出しているが、すでに火薬は17インチの所で完全に燃焼しているのである、ピストンは1センチ移動してストッパーの力で停止するが、ボルトはさらに後退を続ける、ボルトが1センチ後退したところでボルトの先端が徐々に回転をはじめ、銃身とのかみ合いが外れる、ボルトはさらに後退して薬莢をエキストラクターが掻きだしてくる銃口内のガスはすでに充分に下がっているので薬室から吹き出すガスは無い、ボルトが7センチ位後退するとエキストラクターのバネの力で薬莢が排莢される。
この様なメカニズムで自動銃は作動しているのである。
この様に弱い弾でも、強い弾でもピストンが移動するのは1センチだけで、余分なガスは全て放出される様に出来ているので強い弾でも、弱い弾でも同じように作動するのである。

自動銃で一番錆びやすいのがこのガスピストンの辺りである、どんなに油を差しても、1発弾を撃つと油分は全て飛び散るので、銃を使った後は必ずここの油を吹いておいて欲しい、先台を外すのが面倒なら、ガスを抜くための先台と銃身の隙間からスプレーオイルを吹き込んでも良いが、出来れば先台を外して油を吹くのが望ましい。
先台の外し方は簡単である、負環金具のベースを回して取り外す、ボルトを一杯に引いてボルトストッパーを作動させておく、そうすると先台は前に簡単に抜くことが出来る。
こうすればガスポートに簡単に油を吹くことが出来る。
ここに吹き付ける油はWD-40をお使い頂きたい、間違ってもCRCは絶対に使わないようにしてください。

先台分解ネジ
先台分解ネジ

よく質問されることだが自動銃の場合、火薬ガスを使って回転させているのでボルトアクションの銃よりは威力が落ちるのでは? と良く聞かれるが、威力に関しては自動でもボルトでも全く違いはない、勿論初速も同じである。
それは火薬のエネルギーが弾を撃ち出す以上の十二分なガスを発生させているからである。弾を撃ち出した後銃口から火薬ガスが吹き出し、銃声が起こる、これは弾を撃ちだした後の余分なエネルギーなのである、その余分なエネルギーを使って自動銃は回転しているので撃ち出す弾に初速の低下は起きないのである。

スコープと照星照門
ブローニングには照星照門付のモデルと、照星照門の付いていない、最初からライフルスコープを使うことを前提としたモデルがある、ライフルスコープを使い場合は照星照門が付いていると低倍率のスコープを使った場合、照星がスコープの視野に入るのではなはだ具合が悪い、またスコープによってはスコープの先端が照門に当たる事になる。
人によってはスコープを使ったり、あるいは照星照門を使ったり、色々使い分けたいときがあろうかと思う、そういうときはリューポルド社製造のクイックリリースマウントを使うのがよい、マウントベースの横のレバーをひねるだけで簡単にマウントリングが外れる、取り付けるときもレバーの操作だけである、取り付け取り外しの時に生じる誤差は100メートルで1センチ以内であるから実用上なんの問題もない。ちなみに価格はセットで¥12000である。

ブローニングにはボス付もある、ボスの主な目的は反動軽減装置であるが、命中精度の向上にも効果がある "と、ブローニングが言っている" ので多くのユーザーに誤解を与えている、説明文によるとボスの目盛りの調整をすると命中精度が上がると書いてある、これは100メートルで3センチくらいの命中精度が出せる場合、ボスを調整すると2センチくらいになるというだけの事である、3センチ以上になる場合はボスをいくら調整しても意味がない。ましてや10センチくらいにしか集弾しない人がボスをどんなに調整しても集弾がこれより小さくなることはない。だから最近ではボスは調整しないで反動軽減装置として使ってくださいと言う説明に終始している。

ボス取り外し
ボス取り外し

ボス付の銃を購入すると、赤いプラの部品が付いてくる、これは何に使うかと言うと銃口から洗い矢ブラシを入れるためのガイドなのである、ボス付の銃は銃口を90度に切り落としてある、通常はマズルの部分を面取りと言って45度の角度で角を落としてある物なのだが、ボスの効果を高めるため銃口は角が立っており、そこにブラシを入れると角が傷付くことになる、銃の命中精度では銃口の角は極めて重要なポイントなのである、従って不用意にここからブラシを差し込むのはいけない、必ず赤いガイドを取り付けてブラシを通す様にしなければならない、銃口を保護するため赤いガイドの内径は銃口内径より小さく出来ているのである、そのためブラシの隣青銅が銃口を傷付けることはないのである。
ガイドに内径は銃口より細くできている、そのため間違ってこのガイドを付けたまま銃を撃つとガイドが弾頭で破砕されそのまま飛んでいくので絶対にガイドを付けたまま撃ってはいけない、そのために危険な赤色に出来ているのです。

ぺラッチ MX8

2000年11月 6日 築地

今年のシドニーオリンピックでは、トラップ射撃に関しては圧倒的にペラッチMX8を使用している選手が多かった。日本で圧倒的に使われているミロク、SKBなどはオリンピックでは皆無と言う状況である。昔はオリンピックなどでもブローニングやメルケルなど機関部の重たい物が使われていたのであるが年々影が薄くなってきている。
昔は公式でも32グラム装弾を使っていたが現在は24グラム装弾を使用しているため、当時とすると、射撃時の反動が劇的に軽くなってきているので昔みたいに重たい銃を使う必然性が無くなってきた。反動は軽くなっている事に加え、クレーの飛翔スピードは早くなって来ているので軽い、バランスの良い銃が好まれる様に成ってきたのである、軽いと言えばSKBでも軽いのだが、残念ながらペラッチとSKBとでは銃の完成度が格段に違う。

射撃を仕事にしている人なら安い道具を使うことも必要かも知れないが、趣味で射撃をしている人の場合は銃に対して思いこみと言うか、愛情を感じていないと道具として使う気になれないのが人間の感情と言う物であろう。
上下2連銃はビギナーでも折った瞬間に解る、摺り合わせが根本的に違うからSKBなどは"パコン"と言う感じで折れるが、ペラッチは"シャキッ"と言う感じで折れる。

機関部
機関部
ロッキング部分
ロッキング部分

これは機関部の内部と銃身の摺り合わせ部分を研磨で仕上げないと再現できない感触である、SKBに言わせると"値段が違う"と言うことになると思う、値段の割にSKBは良くできている、ウェザビーブランドのSKB散弾銃はアメリカでは15万円くらいで売られている銃なのでペラッチと比較する方が酷だとは思う、15万円でアメリカで販売するには国内の工場出し値は7万円位と言うことになる。工場出し値が7万円なら国内でも適正な利益を取ったとしてもアメリカと同じ15万円程度で売れるはずなのであるが、まだまだ高値での流通が継続しているようである。
さて、話が飛んだが、摺り合わせが良くできていると言うことは使用中に摩耗することが少ないと言うことが出来る、何故なら接触している部分が接触面全面で当たっていると摩耗する事が少ないからである、摺り合わせが良くできていないと一部分だけで接触していることになり、結果的に摩耗が早くなる、それだけ耐久性が無いことになる。
ペラッチと同じクラスの銃であるベレッタと比較しても、ペラッチの方に耐久性がある、MX8とそれよりもっと高いSO5と比較しても、ペラッチの方が耐久性がある、それは機関部と銃身の接触部分がペラッチの方が多いのでより耐久性が増すと言うことにつながる。話が少しそれるが、私はペラッチのSCOサイドプレートと、FNのDグレードを使用している、FNの場合、A,B,C,クラスは新品の時は作動部分がかなり堅い、折るときも、戻すときも相応の抵抗がある、新銃の場合当然の事だと思っていた、ところがFNの最高クラス、Dグレードを購入したとき、最初から軽い力で使うことが出来た、最初は中古銃と見まごうほどの軽さだった、しかしながらこれは徹底的に作動部分を研磨した結果である。Dグレードは国内定価480万円であるのでこれくらい手間をかけていないと私としては納得できない値段である、逆に言うと使ってみて初めてその価値が実感できたのである。こうして徹底的に摺り合わせをしてあり最初から作動は非常に軽いのだが、ほとんどと言って良いほど摩耗が無い、A,B,C,クラスだと使い込むに従い作動が軽くなる、Dクラスは最初から軽くそして逆に摩耗は極めて少ないと言うことである。
これが高級銃の違いである。

機関部を真上から写した写真を御覧頂けるとお解り頂けるがトップレバーが中心に無いことがお解り頂けるだろうか、良く問い合わせで聞かれるのだがトップレバーが中心に戻らないのですがと言うことがある、これは新品の内はみんなそうなのである、数万発の弾を使うとだんだんかみ合いがうまくなじんで最終的にトップレバーが中心に来るようなる。
新品の内はみんなトップレバーが中心にないのが正常である。

トップレバー
トップレバー

ペラッチの偉いところは、基本的な構造はMX8でも最高級のエキストラでもほとんど違いがないことである、勿論外見、および内部の研磨は全然違うが、肝心な摺り合わせはほとんど大差がないと言うことである。ごくごく細かい点でのフィーリングの違いは認めるがメカ的な違いは少ない、そういう意味ではMX8は完成度の高いお買い得な逸品である。

ペラッチが他の銃と決定的に違うのは銃床を注文で作ってくれると言うことである。
日本では悪しき風習として商社が物流に介在しているため輸入物価が外国とすると法外な値段でにされてきた、これは何も日商岩井だけの事を指しているわけではなく、三井も、三菱も、住友も同罪である、日本の物価を高止まりさせた大きな原因は商社にあると言ったら言い過ぎだろうか! 
(商社マンの中で反論があったら、どうぞ自社のホームページにしつかり書いてください)
話が脱線したが商社が暴利を得るためにペラッチの銃床は日本人向けに作られていると言う宣伝文句で高い銃を売りつけてきた、日本の射手も、幼いというか、無知というか、あるいは純朴というか、その商社の宣伝文句をコロリと信じてしまうので簡単に懐に付け入られてしまう、ペラッチでは特別注文の銃床も、既製の銃床も全く同じ値段なのである、当社ではMX8を¥690000と言う、涙物の値段で販売しているが特別注文の銃床も同じ値段である。特注品は3ヶ月の納期で注文を受けます。
当社ではトラップ銃に関してはプル365、グリップと引き金の距離は70位で作らせています、スキートはプル360、グリップは75位で作らせています、この辺りが、多くのシューターに好まれる寸法のようで、私は間違っても日本人向けと言う言い方はしませんが、一部の銃砲店みたいにファーイーストの銃は外人向けの大きい銃床だという悪質なデマは全くの的はずれですので誤解のない様にお願いします。

デタッチャブルトリッガーについて。
サイドロックの銃が何故高いかお解りだろうか? 勿論工作が複雑なことは当たり前だが何故わざわざ複雑なサイドロックを作るかと言うことである。実はサイドロックの場合、撃発機構がサイドプレートに組み込まれているのでサイドプレートを外すと撃針スプリング、撃針が簡単に交換できると言うことである、逆に言うと昔の銃は簡単にスプリングや撃針が折れたのである、それは昔は雷管の性能が良くないため今の銃よりさらに強い力で叩かないと激発しなかったのである、それともう一つスプリングや、撃針の熱処理が完璧に出来なかったことも最大の要因である。現在の焼き入れは真空状状態で焼き入れしたり、ガスの中で焼き入れしたり、また完璧な温度管理がなされている、そのためバネが折れるという劇的に少なくなってきたのである、バネが折れなければサイドロックにする必要はない、むしろサイドロックはスプリングも撃針も片側の支えなので構造学的に言ったら決して良い構造ではない。

デタッチャブルトリッガー
デタッチャブルトリッガー

前書きが長くなったが、デタッチャブルトリッガーはボックスロックの銃で、スプリング交換を容易に出来る新しい機構なのである、代理店扱いのペラッチは予備のスペアートリッガーを付属で取り付けているが、全くの無駄なことである、単に値段を高くするための手段でしかない(キッパリ)

外国で売られているペラッチで予備引き金の付いている銃は一丁もない、何故なら全てのMX8には予備のスプリング、予備の撃針がそれぞれ1セットずつ付いているのでもし折れても射撃場で簡単に交換できる、もしスプリングが折れたのなら、引き金を外してスプリングを取り替えれば良いことなので引き金を交換する必然性は全くない、むしろ引き金を交換すると引き味が変わるではないか、オリンピックに出るようなトップクラスの射手がそんな無謀な事をするわけがない。

当社では年間かなりのペラッチを販売しているが、撃針折れのため、予備の撃針スプリングの販売をするのは年間2~3本である、つまりほとんど銃はスプリング折れが起きていないと言うことになる、しかも当社からスプリングを販売しているお客の半分は、当社以外でペラッチを買われた方である。先程述べたがスプリングの熱処理は最近になって格段に改善された技術なので残念ながら10年くらい前のペラッチはいまのペラッチより撃針、およびスプリングの耐久性はいくらか劣る。

予備スプリング
予備スプリング

ペラッチはスプリングが折れやすいと言う人は間違いなく10年前の銃を使っている人達である。
これからしてもスペアーの引き金を持つ意味は全くない、どうしても引き金が欲しいと言われる方は別売で20万円で販売している、当社はMX8を69万円で販売しているが、時折"スペアーの引き金の付いていますか"と聞かれることがある、そういう場合は返事もせずにこちらから黙って電話を切ることにしている、その行為をして私が常識無しと言われる前に、そういう無謀な事を聞く方が常識無しと私は考えているのでご無礼をお許し願いたい。

引き金
引き金

ペラッチの引き金は通常は松葉バネを使っているが、MX8Bと言うモデルはコイルスプリングを使っている、耐久性としてはコイルスプリングの方が優れているが、しかし引いた感じは松葉バネの方が、切れ味が良さそうに感じられるかも知れないが、本当の事を言うとどちらも大差がない。松葉バネの方が"パチン"と言う音が強いのでそう感じるだけである、引き金を引いてからハンマーが撃針を叩くまでの、いわゆるロックタイムはいずれの3/1000秒前後である。
さらにロックタイムを早くすると誤差が出やすくなる、ロックタイムを遅くするとロックタイムが安定すると側面がある、ではロックタイムが早いほうが良いのか、ロックタイムが安定している方が良いのかその事について説明してみよう。
世の中のシューターがかなり勘違いしていることにこのロックタイムの優劣がある、松葉バネの方がロックタイムが早いので射撃に有利であるとか無いとか、色々噂をしているのを耳にすることがあるが、いずれも無駄な会話である、ロックタイムを早くするのはほとんど命中率とは関係のないことなのである、何故かというと人間が目でクレーを視認して頭で認識し、指に引き金を引けと神経を介して指令を与えて指が反応するまで3/100秒かかる、ロックタイムの時間の10倍である、これはどんなに訓練しても早くなると言うことはない、従ってロックタイムを早くしても神経の伝達スピードが早くならない以上なんの意味も無いことがお解り頂けるだろうか。最近レミントンからライフル用の電気雷管が発売になったので、これがいかにもロックタイムが早いとメリトがあると勘違いされる原因になった様であるが、ライフルの電気雷管は激発時の振動を無くすために作られた物である、レミントンのカタログにはこれによりロックタイムが無くなると書いてあるがロックタイムが0秒になっても命中精度から言うとなんに効果もない。ロックタイムに関しては昔、国体で使う光線銃の開発に関わったとき、電気回路の設計者であった菊池さんがロックタイムを0にした光線銃を作られて何人かの現役の射手に撃たせたところ、成績がかえって悪くなったと言われていた、これは射手は知らず知らずの内に、ロックタイムを自然に計算して、銃が動いていてもここで引き金を引けば、10点にあったところで弾が出ると言うことを、人間は自然と"予知"しているのである、つまり銃が3時方向から中心に向かって真横に動いているときには、10点に照準が合う前に9点の所で引き金を引いているのである、そうすれば銃口はそのまま動き、10点の所で弾が出ると言うことになる、従ってロックタイムを0にするとその"予知"能力が働かず、銃が動いて10点に合う前に引き金を引いてしまうのだそうである。この様にロックタイムが早いという事は全く意味のないことである。
ちなみに私の使っているFNのDグレードはロックタイムは遅いほうである、しかしコイルスプリングを使っているため安定性があり、スプリング折れも起きにくい。
そんな訳でロックタイムが0になっても、下手が直るわけではないのである、残念ながら!

サコー75

2000年10月28日 築地

これから何回かに分けて、銃器のことについて徹底的に説明したレポートを連続して書いていきたいと思います、最初に選んだ銃、それはサコー75です。
一部の人の中には昔のサコーの方が出来が良かったと言う人が居るが、昔のサコーには一つだけ致命的な欠点があった、昔のサコーはボルトの横にボルトガイドと呼ばれるプレートが付いていたのだが、使い込んだ古い銃などは射撃の衝撃でこのガイドが前にずれ、ボルト先端のボルトロッキングと機関部のロッキングの間に滑り込んでしまうことがある、そうなるとボルトガイドとボルトロッキングが噛み込んで絶対に開かなくなる、ハンテングの最中ならこれが致命的なトラブルになる、めったに起こるトラブルでは無いが一回起きるとやっかいな事になる、これが昔のサコーの、唯一の欠点であった。

しかしながらサコー75になり、この問題が解決した、サコー75ではこの部品が無くなったからである。これからしてもサコーもこの欠点はとうの昔に把握できていたのであろう、昔のサコーのデットコピーである、ホーワライフルは未だにこのボルトガイドを付けて製造しているのでいささか問題認識が甘いようである。

さて、ボルトガイドの役目はボルトをスムーズに動かす目的が有ったのだが、サコー75ではこのガイドが無くてもボルトがスムーズに動くようになったからである。

3個のラグ
3個のラグ
60度オープン
60度オープン

昔のサコーが何故ボルトガイドが必要だったかというと、ボルトに先端の左右にロッキングラグが付いていたため、そのボルトが機関部を通過するためには機関部の横にコの字型のロッキングラグが通過するためのスペースを開けなければ成らないが、ボルトの本体は円筒型なので機関部の左右にコの字型の空洞があるとボルトがスムーズに動けないのである、そのためコの字型のスペースを埋めるためロの字型のボルトガイドを設ける必要があったのである。

サコー75ではロッキングラグを3個にした、上に一個、左右の下側にそれぞれ取り付けたのでボルトの横の空洞が無くなり、ボルトガイド無しでボルトがスムーズに動くように成ったのである。

ボルト閉鎖
ボルト閉鎖

ロッキングが3個に成ったことでボルトの開閉角度が90度から60度に変更された、ボルトの開閉角度が小さいと言うことはボルトハンドルがライフルスコープに当たらなくなり、ボルト操作がスムーズになり、またスコープマウントの高さも低くすることも出来るようになった、スコープ低くなると狙いを定めるときの頬付けをしっかりと付ける事が出来るようになり格段に使い勝手が良くなる。

ボルトの改良についてはもう一つ改良された部分がある、それはボルトリリースである。レミントン700ボルトアクションの場合、安全をかけた状態でボルトの操作をすることが出来る、操作できると言うことは安全をかけていてもボサの中を歩いているときなど、ボサがボルトに引っかかるとボルトが起きてしまい、また何かの拍子にボルトリリースのボタンに触れると簡単にボルトが銃から抜け落ちてしまう。

ウインチェスター、ウエザビーなどの場合は安全をかけるとボルトもロックする、そのため安全さえかけておけばボルトが抜け落ちる心配は無いのだが、逆にボルトを操作するときは安全を外さないといけない、問題が発生するのは実際に薬室に装弾を装填している時である、弾を装填して安全をかけておくとボルトがロックしているので問題ないのだが、撃針を取り替えたり、または引き金を取り替えてシエアーの位置が変化している銃の場合、安全装置のシエアーがすり減っている銃の場合、安全と撃針とシエアーの関係を微調整しておかないと安全を戻した瞬間に"ドカーン"となることがある。

安全とボルトリリース
安全とボルトリリース

これは安全をかけた状態で引き金を引くと安全はかかっているのだが、撃針はリリースされ、安全装置の中で撃針が引き金のシエアーから外れて安全装置だけで保持されている場合、安全を外した瞬間に撃針が外れ装弾の雷管を叩くために弾が出るということになるのである、勿論どんな銃もそうなるのではなく、昔のウインチェスター、昔のウエザビーなどはそうなることがある。安全を外した瞬間に弾が出れば、おそらく、こんなに危険でビックリする事はないと思うが、古い銃ではあり得ることなのである、レミントン700も昔の銃は安全をかけるとボルトもロックしていたのだが、最近のモデルは安全をかけた状態でもボルトを動かして排莢出来るように成っているのである。

サコー75の優れているのはここである、サコー75では安全をかけるとボルトがロックする、従ってボルトが抜け落ちることがない、他の銃では薬室に装填した状態では安全を外さないとボルトが動かないのだが、サコー75の場合は安全をかけたまま、安全の前にある補助ボタンを押すと、"安全装置をかけたまま" ボルトを動かすことが出来る、つまり安全に実包を排莢する事が出来るのである、この装置が付いているのはサコー75だけである。

分解ハンドルとボルト
分解ハンドルとボルト
分解開始
分解開始

サコーにはボルトを分解するパーツが付いている、プラスチックのダイヤル状の部品で、銃を購入した人から"これはなんに使うのですか"と頻繁に質問されるが、これはボルトを分解するための物である。ボルトの後端に填め合わせてボルトをひねるとボルト全体が分解できるのである、分解は簡単だが組み立ては慣れないと難しいかも知れない、メカ、オンチの方は触らない方が無難だろう、メカに強い人はチャレンジしてみたら如何だろうか。

ボルト分解
ボルト分解

サコー75の安全装置はさらに進化した、従来のサコー75のアクションに、さらに鍵を付けたのである、ボルトの後ろに鍵を差し込んでロックしておくとボルトを起こすことも引き金を引くことも出来なくなる、この装置、日本ではほとんど意味のない装置だが、アメリカみたいに銃がリビングルームに置いてあり、同じ所に弾も置いてあるような状況の場合、鍵をかけておけば子供がいたずらをしたりして事故が起きる事は避けることが出来よう、盗難に遭ってもこうしておけば事件につながる事はないと言えるが、最もその言い分が通るのは外国の話で、いくら鍵をかけて銃が使えない状態になっていても、日本で盗難事件に遭えば所持許可は取り消しになるので、少なくとも日本に置いてはあまり意味のない装置である。意味の無い装置ではあるが一応その機構について説明しておこう。

キーコンセプト取り付け
キーコンセプト取り付け
キーコンセプト
キーコンセプト

ボルトの後端に"キーコンセプト"という部品を横から填め合わせる、パチッ、と中心でロックする、そのままキーコンセプトを半回転させると中の部品が抜けてくる、これ全体が鍵と同じ構造に成っているのでこれを抜いておけば安全なのである、他のサコー75の鍵を差し込んでも互換性がないことはいうまでもない。

勿論これをロックしたまま、鍵をなくせば銃を使うことは出来ない、鍵は一個予備が付いているが、無くすと大変な事になる、これらの鍵には登録番号が有るので、サコー本社にリクエストすれば鍵を作ることは可能だが、それらの手続きをする事は考えただけでも煩雑なことになると思われる、安全第一に考えるならボルトは別保管するのが最良の方法だろう。

キーコンセプト取り外し
キーコンセプト取り外し

サコーの銃身はフリーフローテング処理をしてある、フリーフローテングとは銃身が銃床から浮いていることである、これは銃床のひずみなどを銃身に与えないこと、銃身の自然な振動を阻害しないこと、そうしたメリットがある、射撃専用銃はすべて銃身がフリーフローテング式に成っているのはそのためである。
しかしながらサコー75の銃身は冷間鍛造で作られているため、銃身が手で触れない位熱くなるとほんのわずかだが銃身に歪みが出るため、つまり狙点が変化するのである、ハンテングライフルで銃身が触れないくらいまで連続して撃つことはあり得ないので、実用面からの問題は全く無いが射撃練習をするときは連射を避け、あまり銃身が加熱しないように撃つことが安定した射撃をするコツである。現実問題としては銃身が触れない位熱くなると銃身からかげろうが立ち、標的が揺らぎとてもまともな照準は出来ないはずである。

フリーフローテング銃身
フリーフローテング銃身

スコープの場合は陽炎のため解像力が落ちるので標的がボケるはずである。

また陽炎が立つと標的が実際の位置とずれるので陽炎の中で撃つことはお勧めできない。

私はベンチレスト射撃をするときは横から携帯の扇風機で風を送り、陽炎を吹き飛ばすようにして射撃しているのである。陽炎とはそのくらいやっかいな代物である。

弾倉
弾倉

サコー75の弾倉は着脱式であるが、デラックスモデルは相変わらずヒンジタイプの弾倉で、いわゆる固定式弾倉である、何故こうなっているかというと、サコーは今のところメチャクチャ売れているので売れている間は、デラックスモデルは当面着脱式弾倉は作らないはずである、サコーハンターの売れ行きが一段落したら新製品としてデラックスモデルの弾倉交換式が出る事は間違いない。

とにかくサコーは世界的に売れており、現在でも超品不足状態である、サコーバーミンターの308口径、または左用の銃は当社で三年前に注文した銃がまだ入荷しない状態なのである。

着脱式弾倉の中ではサコーの物が一番優れている、作動性、故障率ともトラブルは全くない、弾倉交換式で最悪なトラブルは、射撃した瞬間にその衝撃で弾倉が外れると言うことがあるが、一部の銃ではその問題があるが、サコーに関しては安心してお使いいただける逸品である。

着脱式弾倉というと弾を入れるのは弾倉を外して、弾倉に装弾を装填してそれを銃に付けて使うと考えがちだが、着脱式弾倉でも今までのヒンジタイプと同じようにボルトを開いて、機関部の上から弾を装填することが可能なのである、射撃場で単発で撃つときなどはこちらの方が遙かに便利な撃ち方である、また弾倉に装填するときもボルトを開いて上から装填するのがお好みという方は何も弾倉を外す必要は無い。

上から装填
上から装填

しかしながら弾倉内の弾を撃ち尽くした後、連続して撃たなければ成らないような場合、予備弾倉を購入されておく方が便利である。

予備弾倉はステンレス製、スチール製とも1個¥12000である。

今回、ここでリポートしているのはステンレス製の銃である、ステンレスの場合多くの銃はシンセテック銃床が取り付けられている、しかしながら最近のモデルではステンレス製のアクションに、木銃床付のモデル付も発売されている。価格はステンレスアクション、シンセテック銃床と同じである。

どこのメーカーの銃床もそうだが、シンセテック銃床には使われる樹脂は対衝撃性のプラスチックが使われている、このプラスチック極めて丈夫で、ハンマーで叩いたくらいではびくともしない、従ってシンセテック銃床が割れることは全くない。

シンセテック銃床を真冬に使うと、手の当たる部分がひんやりするが、サコーの場合、先台とグリップ部分に薄いゴムが張ってあるのでひんやりとする感触が和らげられる、また滑り止めの効果も大きい。

サコーライフルのもう一つの優れた点は、ライフルスコープのマウントシステムにある。

機関部テーパー溝 後
機関部テーパー溝 後
機関部テーパー溝 前
機関部テーパー溝 前

サコーの機関部の上は、マウントを取り付ける溝があらかじめ作られている、その溝もテーパーのアリ溝なのでマウントリングが完璧に固定される。

サコーのマウントに関していえば一端取り外したスコープも、また取り付けるだけでほとんど照準調整が必要ない位完璧に取り付く、勿論サコー純正のマウントを使用した場合のみ可能なことである、サコーマウントは1セット¥15000である。

空気銃のお話

2005年 2月 16日 築地
更新 2005年 2月 17日 築地
更新 2005年 2月 21日 築地
更新 2005年 3月 21日 築地

エアーフォース社のコンドル空気銃を取り扱うと言う告知をしたら、大変多くの方から沢山の反響が有りました。
多くの方がもう少し詳しく空気銃のことを知りたいと言うリクエストです。
私は普段はライフル銃の超精密射撃にチャレンジしたり、トラップ射撃をこなしたり、おおよそ空気銃とは縁のない射撃生活をしておりますが、最初に射撃を始めたのは当然ながら空気銃が初めてです。
射撃を始めた14才から、いきなりペラッチやストールパンダを撃っていた訳ではありません。
同じ射撃人生でも、生まれながらにして目の眩むようなお金持ちだった麻生太郎さんとは訳が違いますからね。
実は、私は今でも日本ライフル射撃協会の3段の資格を持っています。
その3段ですが、実は空気銃で資格を取得しました。
競技種目は空気銃の立撃ち40発競技です。
私の段級の証明書は0013番ですから、如何に昔に取得したかご理解いただけるでしょうか。
空気銃は非常にお手軽に出来る射撃で、第一お金がかかりません。
その様な理由もあり、私はスプリング式からガス式ポンプ式まで、銃のタイプもエアーライフルからエアーピストルまで、多岐にわたり色々な銃を所持してきました。
その数は両方の手の指では足らない位です。
私の場合、過去に「色々な女を渡り歩いた」と言う体験は不幸にして皆無ですが、過去に「色々な空気銃を渡り歩いた」と言う体験は実に豊富な男なのです。
「色々な女をボロ雑巾の様に捨てた」体験は不幸にしてありませんが、「色々な空気銃をボロ雑巾の様にして捨てた」体験は豊富な男なのです。
射撃場で見る私の肩には、何かしら男の郷愁の様な物が漂って居るに違いありません。
そういう男が語る、空気銃の話しは到底安直な態度で聞いてはならないのです。
今日お話する事は、本来は居住まいをキチッと正して聞くべき高尚な内容なのですが、私のコラムは過去にあまりにも不真面目な事を書きすぎた為、皆さんに急に居住まいを正すように要求しても誰も真面目に聞いてはくれないでしょうから、まあ寝転がって鼻くそでもほじりながら読んでください。

10年くらい前は、私はフルオートのエアーガンを発明して一躍業界の寵児となりました。
誰も、エアーガンでフルオートなんか作れる訳がないと思っていたからです。
私は連続的に空気を補充できる構造にすれば、車のエンジンと同じで「連続した動きを作れるのでは」と考えて開発に成功したのですが、別にここで偉そうにそうした理屈をひけらかすつもりはありません。ただ空気銃の製造と言うことに関して、全くの門外漢と言う訳では無いと言う事を言いたかったのです。
つまり、「空気銃には詳いからね」と言う風に、前もって言いたかったのです。
前もって権威つけしておかないと、真面目なことを書いても冗談に思われると困るからです。
空気銃に詳しい人に「なめんなよ」と言う虚勢が有ることも否定はしません。
なんせ、私はコラムの中でも全然空気銃の事については書いていませんので、急に空気銃の権威風を吹かせて馬鹿にされないか内心心配なのです。

さて、玩具のエアーガンは威力が有りすぎると銃刀法の問題に抵触しますが、私は研究段階では玩具を作りながら本物の空気銃に発展させられるように色々と考えて作りました、ですから、私自身は設計図を少し書き換えるだけで簡単に本物の空気銃のフルオートも作れる自信はあります。勿論空気銃と言えどもフルオートは違法ですが、セミオートには簡単に作り直せます。
巷では、あまりにもくだらない空気銃が法外な値段で売られている現状を見て、本当に心底、空気銃を作ろうと真剣に考えた時があります。空気銃は単純ですが理論的には流体力学の究極を極めたメカなのです。
空気の持つ潜在的なエネルギーを如何に弾丸の発射に利用するかと言う設計は、火薬を使う銃器とは全く別物の設計なのです。ですから面白い側面もあります。
現在、多くのハイパワー空気銃が法外というか、無法と言われる様な値段で巷にあふれていますが、操作性と威力から考えて、プレチャージ式と言う、高圧のエアータンクを利用してタイプの空気銃が一番強力な様です。
現在のエアータンクの圧力は200気圧が最高ですが、これ以上圧力を上げてもチャージ出来るコンプレッサーが無い事と、タンク自体の耐圧の関係で圧力を上げる事は出来ません。それにこうした行為はあまり意味がないのです。何故なら200気圧を250気圧ににしたところで、最初の数発撃っただけで、圧力は簡単に200気圧下ります。ですからこれ以上空気圧を上げて威力を高めるのは無駄な行為というか、無駄な設計なのです。
無駄な設計と言えば、巷に氾濫している空気銃にはかなり無駄な設計が少なくありません。
多くのプレチャージ式空気銃は、銃身の下にエアータンクを備えています。
先ずこれが最大の無駄な設計なのです。
こういう構造の場合、エアータンクから放出された高圧空気は一端、機関部に導入され90度方向転換をして上の方向に曲げられ、さらに機関部の中で再度90度に曲げられて銃身の方に導入されます。
つまりコの字に90度2回曲げられるのです。流体力学を少しでも囓った方、あるいはエアガンの違法改造に携わった方には簡単にご理解いただけると思うのですが、空気は流体ですから水と同じに、直進させるのが一番エネルギーの損耗が少なく、効率的にエネルギーを利用できるのです。
空気は水と同じですから、直進を阻害すればするほどエネルギー、つまり勢いが無くなるのです。
それと同時に、空気はエアータンクから放出されて弾を押し出すまで、その導入路が長ければ長いほど急激に圧力が激減してそれが致命的なエネルギーロスを生じます。
ファインベルクバウのポンプ式空気銃が、蓄圧した圧力を仮に70気圧として、空気銃の弾が10cm前進しただけで空気圧は幾らに減圧されるか、皆さん計算した事がありますか? 私は生まれるつき計算は苦手なので、ここで数字を披露して、訳知りの偉い人に後で訂正させられるような愚は犯しません。その為に数字は敢えて言いませんがそれだけで圧力は相当減圧されます。
それはポンプ式空気銃の銃身長が思いの外短いことにもその理由が察せされます。
ポンプ式空気銃の一見銃身と見えるのは、実はスリーブで、本当の銃身はスリーブの半分しかありません。つまりライフル銃の様に24インチも銃身長があると、半分以上の長さは空気量が足らないため、逆にブレーキに成ってしまうからなのです。
私が玩具のエアーガンを作ったときは、ほんの僅かなパワーしかないエアーブラシのスプレー缶のエネルギーを利用してフルートを完成させたのです。
その時、設計値から割り出した銃身の長さは僅か40cmでした。
その時に最大限考えたのが、如何にエネルギーを損なわないでエネルギーを取り出すかでした。空気は出来るだけ直進させればエネルギーを損なわないで済むのです。
言うまでもありませんが、私の設計したフルオートはエネルギーを最大限に効率よく利用する様に設計しました。その設計が優れていたかどうかは兎も角、それを超える設計は現在に至るも現れては居ませんから誰も呆れて作らないか、設計が優れていたかどちらかでしょう。
私が実際に空気銃を設計していたとしたら、エネルギー効率を考えて、ためらわず銃身のすぐ後ろのエアータンクを持ってきたに違い有りません。
つまりこれが一番エネルギー効率が高い設計だからです。
その理由は、聡明な読者諸賢ならすでにお解りのとおり、エアータンクからの導入路が少ないこと、空気を直進させられること、この2つが大きな要因のためです。
ですから巷にあふれているエアータンクからコの字に空気を導入する空気銃の設計は、2回も90度に進行方向を曲げて空気の直進性を妨げ、その為に導入路も長くなり、所詮は素人考えの設計なのです。つまり誰でも容易に考え付く設計なのです。
空気銃の威力を上げると言う事で着眼すべきは空気の圧力では無く、実は空気の吐出量なのです。
昔、玩具の研究過程で実験した事なのですが、僅か5気圧の空気圧で金属の弾丸でベニア板を貫通させる事が出来ました。勿論猟銃の製造免許を持っていて研究しているのですから、別段、違法行為をしていた訳ではありません。この実験で空気の圧力よりも流量がエネルギーに大きな影響を与えると言う事を確認したのです。
この事から如何に多くの空気を大量に吐出させるかが、空気銃の威力を高める大きな要因で有ることを確信出来ました。
エアーフォース社のカタログ説明を見ますと、エアータンクの吐出口について説明があります。でもその些細な説明と効果はあまり細かく記載してないのです。

ボンベの吐出口
ボンベの吐出口

意外なことですが、外国の書き物は、雑誌も含めて説明書に至るまでほとんど蘊蓄を書いてありません。
何故そうなのか、何故そう考えたのか、そういう蘊蓄があまり書かれていないのです。
話しがそれますが、私のコラムは、一体何処の人達が覗いているかおおよその推測が出来るように成っています。日本の政府機関か、日本の個人か、外国の政府か、外国の個人か、あるいは米軍組織か、大まかですがそうした色分けは出来るのですが、少なくない数で外国の人達が見ているのです。別段英語のページが有るわけではないのですが、翻訳ソフトを利用すると私のコラムは英語でも意訳程度では理解できるのです。
多分スケベな記述は理解不明の語彙に翻訳されている筈ですので、外国人から見たら私はそれ程変態には思われていない筈です。
私は、自分のコラムが英語に翻訳されて居る書き込みを、アメリカ人から見せられて驚いた事があります、すでにインターネットの世界はそこまで進化しているのですね。
当たり前のことですが、驚きました!

さて、話しを空気銃の威力に戻しますが、このコンドル空気銃の銃身が24インチだと言う事に私は「解って居るね!」と心ならずも賞賛しました。
つまり、24インチの長さの弾が前進する間、相当量の空気をエアータンクから送り込んで居ると言うことです。
24インチの銃身の長さ弾の加速を持続出来る空気銃は現状では皆無です。
24インチの銃身長、これが初速1300フィートと言う恐るべき威力を出した最大の理由でしょう。言うまでも有りませんが、空気の吐出量が充分に無い銃の場合、銃身が長いとかえってブレーキになりますからね、そこの理屈をよく理解して下さい。
1300フィートの初速が出せるかどうか、何処のメーカーも200気圧のタンクを使って居るのですから、少なくとも条件は同じです、威力の違いは銃身の長さと、それを補う空気の吐出量に有ったのです。つまり設計の良さです。
ここの会社では200気圧の空気を挿入するために、空気入れも取り扱っています。
貴方が糖尿病の患者で、医者から運動をするようにきつく言われているのなら。あるいは上半身をマッチョマンみたいに鍛えたいのなら敢えて止め立てはしませんが、普通の市民生活を送りたいのなら、決して空気入れで490ccの容器に200気圧の空気圧を注入するなどと言う暴挙は止めておいてください。
正常に夫婦生活をこなして居る人でも、それが原因で夫婦生活が数年間疎遠になることは間違いありません。
夫婦生活が疎遠になったとしても、エアーフォース社は勿論、私も一切の責任を負えませんのでご了承下さい。
兎に角、490ccの容器に200気圧の空気圧を入れると言うことはそれだけで、自衛隊のレンジャー訓練をマスターするのと同じくらいの体力と気力を要する事だけは覚悟しておいた方が良いでしょう。ですから私は最初から空気入れは取り扱いません。

空気入れ
空気入れ

ではどうして高圧空気を装填するかと言いますと、アクアラングのタンクから充填することをお勧めします。しかし厳密に法律を解釈すれば、高圧タンクから他の高圧タンクに異充填する場合、それだけで高圧ガスの製造となり、高圧ガスの取り扱い免許が必要となります、ですから私は高圧ガス製造法違反の教唆にならないよう、異充填は取り扱い業者に依頼されることを推奨します。でもアクアラングボンベを自ら購入して異充填されている方も現状では少なく有りません、ほとんどの方がそうだと言っても言い過ぎでは無くくらいです。
但し、銃砲所持者には遵法精神を遵とばれる方達がほとんどなので、これらの人達が高圧ガス製造の免許を持っているであろう事は容易に推察出来るのであります。
それが証拠に、銃砲所持者の誰も高圧ガス規制法で誰も検挙された方が居ないからです。

ところで、この空気銃は単発です!「なんだ単発か」と言う前に少し考えてください。
この空気銃は狩猟用です、ですから連射は必要ではありません。
何故なら初弾を撃ったときに、鴨達は飛び立つので連射の意味がないのです。
ですから単発で良いのです、逆にその方が弾のジャムがありません。
それよりも、初速が1300フィート出る方が遙かに意味のある事なのです。
多くの空気銃の場合初速は800フィートにも達しません。それでも「凄い!」と呼ばれているのが現状なのです。
充分な加速が有られない最大の理由は、そうです、すでに皆さんお解りのとおり。タンクからの導入路が長い、空気の流れを阻害している、空気の流量が充分にない。
それが最大の理由です。
過去に私を踏みつけて乗り越えて行った女性達は、誰も私の事を「凄い!」としてくれた者は居ませんが、何時の日か、私は「凄い!」と呼ばれる空気銃を作りたかったのです。
でも、誰でも考えることは同じですね、私と同じ設計思想でコンドルは作られています。
私は空気銃を自らの手で作るのは止めますが、その代わりこれを売ることにします。
唯一の国産空気銃メーカー「シャープ」の社長古田さんは、私の30年来の古い友人なのですが、早くこうした高性能エアーガンの開発に着眼してくれたらと思われてなりません。
私はシャープを「凄い!」と思った事は一度もありませんからね(キッパリ)

最後に空気銃の威力について少し説明してみましょう。
空気銃の威力の表し方は、それぞれのメーカーで勝手に言い表して居ます。
イギリスとアメリカでも違います。フィート/ポンド、キログラム/メーター、いずれも火薬銃の威力の表し方です。
空気銃の場合は威力が小さいので本来はジュールで表すのが本当です。
ジュール計算をする式は昔聞いたのですが、残念ながら覚えることが多すぎて忘れました。
資料を調べれば解ると思いますが、念のためにその式をエクセルで残して居たので、弾の重さと初速を打ち込めば簡単にジュールの計算ができます。
射撃専用の空気銃の場合はどれくらいでしょうか?
先ずは計算してみます。射撃競技用の空気銃はまるで言い合わせたようにファインベルクバウ社もワルーサー社も、初速568フィート(初速173m)前後です。
重さ4.5ミリの空気銃弾は0.6グラムですから、これを数式に入れて計算しますと8.7ジュールになります。

オリジナル画像
オリジナル画像
https://www.fareast-gun.co.jp/goroku/airrifle/j.xls

あくまでも体験上知り得た数字ですが、30m離れた鴨を即死させるには4.5ミリの空気銃弾を使い、初速705フィート(初速215m)程度必要です。
多分、これより少ない威力でも充分捕獲できるはずですが、多くの場合、この程度の威力の銃が使われています。この威力が13.9ジュールです。
コンドル空気銃の場合どうでしょうか?
5.5ミリ空気銃弾(重量1.2グラム、15グレイン)を初速1300フィートの威力と言うのは、94.0ジュールあります。空気銃の威力としては充分すぎる威力なのです。
ファインベルクバウ社も、ワルサー社も、射撃専用銃の為にあえて威力は初速初速560フィート(約初速173m)に押さえています。
でも、その命中精度は10mで10発撃って、ほとんど同弾です。
つまり10発撃っても弾痕は1発分しか出来ないのです、それくらい当たります。
昔は国体でも、空気銃射撃はスプリングの部と、ポンプ式の部と2種目ありました。
つまりスプリング式はそれくらい当たらなかったのです、でもポンプ銃でも伏撃ちで100点満点を取るのは容易では有りませんでした。
しかし、現在では立撃ちで100点を出す女性射手も珍しい事ではありません。
こんな現状ですから、私が立撃ちで3段を持っていると言っても「だから何?」と女性射手に軽く馬鹿にされるに違いありません。でも、そういう私の事を小馬鹿にする女性射手にコンドルの銃身は、ファインベルクバウとワルサーの銃身と同じ、「ロットー ワルサー」社の銃身なんだよと言ったら、きっと「凄い」と言ってくれるかもしれません。


更新 2005年 2月 17日

空気銃の新規取り扱いの件、拝見いたしました。
やはり、ストーカー、FX、エアアームス、デイステート等の興味を引かれる銃の取り扱いは出来ませんか。

【コメント】
読者の方から以上のようなメールが来ました。
コンドルはイギリス製ですので、威力的には私の要求するパワーはありません。
何故なら、イギリスでは法律で空気銃の威力が限定されているのです、イギリスでは空気銃の威力が限定されているから空気銃としての存在が認められているのです。
威力の強い銃が欲しければ散弾銃を使えと言う発想なのでしょうかね。
アメリカでは、空気銃の威力は無制限です、ですからアメリカ製に意味があるのです。
また、コンドルの銃身はワルサー社製の製品です。
韓国製の銃と比較するのはいささか気の毒ではありますね。

御社にて AirForce Condorを扱われると聞及び大変嬉しく思っています。
実は小生は一昨年にこれの従前モデル TALONを苦労して個人輸入した経験があります。ところがその1年後にはるかに性能を上回るCondorが発売され悔しい思いをしております。そこで何とかCondorへのバージョンアップキットを手に入れられないか、米国のいくつかの取扱店に何度かメールを出していますが、なかなか色よい返事が着ません。ところで今回のCondor取り扱いに際してTALONのパワーアップキット(24inchバレル、HI-FLOバルブタンク、ストライカーウェイト)なども取り扱いになるご予定はありませんでしょうか?

【コメント】
また別の読者の方からは上記のようなメールが来ました。実はこのパワーアップキットは工場組み込みが条件みたいですので、我々では対応出来ないようです。
この様に、多くの方が威力に対して大きな関心を寄せられています。
命中精度は当然のことですが、威力は空気銃の選択時には大きな要因だと思います。


更新 2005年 2月 21日

コンドル空気銃について色々書いたら、威力が強いのは解るが命中精度はどうだと言う問い合わせが沢山ありました。

空気銃の命中精度について書きますが、ドイツに行った時に、アンシュッツ社、ファインベルクバウ社を訪問しました。
その時に工場で空気銃の試射を見せて貰いましたが、両社とも10m離れた試射的に10発の弾を撃ち込み、完璧な同弾を示していました、驚くべきは、その10発撃ち込みの標的に、空気銃弾をソーット差し込むと空気銃弾のスカートの部分で引っかかって弾痕の穴から落ちないのです。「完璧な同弾痕ですね!」
私は長年、究極の命中精度を競うベンチレスト射撃をやっていますが、空気銃でのベンチレスト射撃は何処の国でもやっていません。
それは銃の命中精度が高すぎて、そのままでは競技が成立しないからです。
つまり現在では空気銃の命中精度は完璧に完成され尽くしているので競技にならないのです。

そのファインベルクバウ社の銃身は、ワルサー社で作られています。
以下、ワルサー社のHPです。
http://www.lothar-walther.de/
ここの会社のHPを読めばよく分かりますが、かの有名なワルサーP38を設計した、カールワルサー氏の息子さんが創立した会社だったのですね、ですから最初から相当レベルは高いのです。
ワルサー社は当然ですが、ファインベルクバウ社もここの銃身を使っていますので、間接的ながらワルサー社の銃身は、多くのオリンピックメダリストに選択された銃身と言うことが出来ます。現在の常識で言うならば世界最高の高精度銃身と言うことになります。

エアーフォース社の、コンドル空気銃の銃身もここワルサー社の銃身を使っています。

ワルサー社が偉いのは、絶対に何処の会社に納品しているか、自ら言わないことです。
以前にファインベルクバウ社を訪問したとき、「何処の会社の銃身を使っているのですか?」と会社の偉い人に聞いて、やっとワルサー社の名前を聞き出しました。
そして翌年、ワルサー社に言って「何処の会社に納品しているのですか?」と聞いたらノーコメントという返事でした。ファインベルクバウ社では御社の銃身を使っていると言っていますが、と水を向けると、やっと「ファインベルクバウ社には納品していますが」という返事を得る事が出来ました。この様に徹底的に裏方に回って居るのですね。

ところで、空気銃の初速ですが、ファインベルクバウ社でも、アンシュッ社でも、試射している時の初速は173mでした。
これ以上早くても、遅くても命中精度は落ちると言うのが試射している人の意見でした。
私自身は、まだコンドル空気銃の試射をしておりません、現物がまだ無いことも理由ですが、威力が強すぎてどこの射撃場でも撃たしてくれそうもありませんから、試射するのもライフル射撃場でないと無理みたいですね。
ですから10mでの命中精度の比較は難しいかもしれません。
少ない数ですが、エアーフォース社の空気銃を個人輸入している人達がおり、その人達の話を聞くと、50mで鴨の頭部には命中する精度はあるそうです。
現実に沢山の鴨を捕獲していますので、これらの人達の意見は本当の話だと思いますが、銃が入荷したら私自身、自らの手で命中精度のテストをして、レポートを開示するつもりです。


更新 2005年 3月 21日

アメリカでのコンドルのレポート記事です。英文ですが参考に掲載します。
 http://www.pyramydair.com/site/articles/condor/

銃器世界、その常識の嘘

2003年 2月 12日 築地

世界の常識は日本の非常識、日本の常識は世界の非常識なんて事がよく言われます。
この間、左寄りのラジオ番組を聞いていましたら、イラク攻撃に賛成の人は6%、反対、あるいは分からないと言う人が、が96%あり、私自身は大変びっくりしましたが、マスコミと言うのは基本的に左寄りですから、設問の仕方でアンケートはどうにでもなりますから、このアンケートをそのまま信じるほど私は馬鹿ではありませんが、仮に攻撃反対と答えた人は、もし北朝鮮が攻撃してきたら、その時はアメリカさん"助けてっ"と叫ぶのでしょうか?私だったらそんな自分勝手な奴は絶対助けませんね!
反米のために、アメリカに頼らないと言うのであれば、国防と言う見地から北朝鮮と対峙するには日本の核武装しかありませんが、私は核武装には反対です、核装備はコストがかかりすぎますし、実験場もありません。それに何よりも国民のコンセンサスも得られないでしょう。と、すると北朝鮮には無防備で、アメリカのイラク攻撃には反対し、北朝鮮からの攻撃で、困ったときにはアメリカに助けて貰う、これが国民の常識でしょうか?
アメリカも日本のマスコミにはボロクソに言われながら、ちゃんとやるべき行動を取っている事に対して私は敬意を表します。佐世保を母港としている強襲揚陸鑑、"エセックス"は密かに佐世保港を出港して今、沖縄にあります。沖縄のキャンプハンセン海兵隊基地の海兵隊員は未だ基地に留まっています。現状ではイラクに出兵する気配はありません。岩国の海兵隊も何故か静かですね。いつもの時期なら中古銃のバザーの開催時期について連絡が頻繁に来る頃なのですが、猫が獲物を狙っているようにずっと沈黙しています。
沖縄の嘉手納空軍基地には空軍の虎の子**が現在常駐しています、アメリカはイラクに手を取られているように見えますが、なかなか北朝鮮への警戒は緩めていません。今の時期に北朝鮮が愚かな行動を起こせば、瞬時に北朝鮮は壊滅です!不見識のそしりを受けるでしょうが、私は密かに北朝鮮が軍事行動を起こすことを願っています。
その時、社会党は(党名は変わっても内容は同じですからね)、日教組は、朝日新聞は何と言うのでしょうかね、また北朝鮮賞賛ですかね。
この間も広島の市長さんが米軍の艦載機発着訓練に広島の無人島を使うという案に猛反対されておりました、この方はアメリカの核には猛反対の政治姿勢を貫いておられますが、何故か北朝鮮の核には、グッとトーンダウンしていますが、どちらの核が国民にとって脅威なのでしょうか?それともこの市長は北朝鮮から金でも貰っているのでしょうかね。
広島市民の方、日本国のためにしっかりした選択をお願いしますよ!

この様に、私からするとおかしいと思うことでも、日本では常識として定着している事が多々あります、世相でもそうなのですから、私の専門とする銃器では尚更です。
私が常識として認識していることでも、一般のユーザーからこちらの足下がふらつく位の衝撃的な答えが返ってくるときがあります。
意外と、私が常識と考えていることでも、一般の方には非常識!
逆に私が常識として考えていることが、皆さんにとっては非常識と言うことがあるようです、今回は、その常識の嘘について淡々と説明してみます。

■自動銃はボルトアクションと比べて初速が遅いのでしょう?
こういう疑問は多くの人が抱いているようですね、常識的に考えれば、弾を撃ち出すエネルギーの他にボルトをスライドさせて、弾を装填するエネルギーまで使っているのですから誰が考えても弾の方には充分なエネルギーが回らないと思うでしょうね。
しかしながら、ボルトアクションの銃で撃っても、銃口から猛烈なガスが吹き出ますね。
弾を撃ちだした後のガスは何の役にも立っていません、それはご理解頂けますね。
車で言えば、エンジンのエネルギーは駆動力に使ったとしても、排気ガスでターボを回してもエンジンには一切の負担をかけて居ないこともご理解頂けるでしょうか。
これと同じ延長線上でお考えください、確かに銃腔内からガスを引き込むわけですから多少のエネルギーは自動銃の回転のために利用されますが、それ以上のガスが銃腔内では順次発生しているのです。ですから多少のガスをガス穴に引き込んでも、弾の発射エネルギーとしては全然問題は起きないのです。64式小銃を開発した某氏にお伺いしたところ、同じ弾をボルトアクションの銃と自動銃に使用したところ、何度テストしても何故か自動銃の方が初速が早かったという話を聞いたことがあります。「それは何故ですか」とお聞きしたら、鉄砲七不思議で原因は解らないと言うお答えでした。
私自身が視認した訳ではありませんので、私は正しいとも間違いとも、何とも言いようがないのですが。少なくとも自動銃だと初速が落ちるということは無さそうですね。

■マズルブレーキが有ると初速が落ちますよね?
これも非常に良く聞かれる疑問です、誰でも銃口付近からガスを抜くのですから初速が落ちると考えるのが常識ですよね。
ところが、実際に初速をはかってみますと、全く影響は無いのです。しかし現実にガスを抜いていますよね、私の仮説ですが、銃口から出る余分なガスは、弾の推進にはあまり役立って居らず、あのエネルギーは銃口をジャンプさせている事に多くのエネルギーが使われていると思います。超高速度写真を分析しますと、銃口から弾丸が離脱してから銃身のジャンプが始まります、銃口から吹き出すガスが多ければ多いほど、銃口のジャンプは大きくなるのではないかと思います、ですから銃口にあるマズルブレーキから余分なガスを逃がせば、銃口のジャンプは少なくなると考えています。
軍隊で使う大砲には等しく銃口にマズルブレーキが付いていますよね、実験の結果、あれが有っても砲弾の初速は落ちないことが立証されています。逆にあれがないと反動が強くなり銃口のジャンプも大きくなります。
実験室で実験する場合、全く同じ銃、同じ弾を使っても、反動で銃口が後退する銃を使った方が初速は遅くなります。つまりライフル銃を固定して、レコイルパットを使わないで、後ろも完全に固定して試射しますと、銃が後退しない分、初速は明らかに早くなります。
レコイルパットを使って後ろを固定すれば初速は少しだけ落ちます、人間がレコイルパットの付いた銃を使って試射すれば、射撃の瞬間に急激に銃が後退するので初速はさらに遅くなります。
ウエザビーライフルの場合、300ウエザビーマグナム、180グレインの弾頭を使った場合、その初速は3240フィート出るとカタログには記載してあります。
ところが、ハンドロードする人に言わせますと、どんな事をしても、絶対その初速は出ないと断言します! そういう質問を浴びせられた時には"貴方は自分で銃を撃ったんでしょう?"と答えます、ほとんどの人は呆然としますが、カタログには人間が構えてテストしたとは何処にも書いてないでしょうとたたみかけます。
ウエザビーマグナムの初速、これは実はトリックがありまして、銃を完全固定して、薬莢と弾頭を僅かに接着した装弾で撃てば、薬莢から弾頭が離脱するのに抵抗があるため、火薬の圧力も上がり、なおかつ銃身の後退が皆無ですので、そうした初速が出るのです。
ですから銃口が後退すると言うことは初速が遅くなると言うことに繋がります。
しかし、銃口が全く後退しないと命中精度はバラバラになります、銃口が行き場が無くて暴れるからでしょうね。命中精度を得るためには適当な反動が必要ですが、必要以上の反動は初速を遅くさせるのです、ですからマズルブレーキは反動は軽くしても、弾頭の初速が落ちると言う事には必ずしもならないのです。

■自動銃は命中精度が悪いでしょう?
銃の命中精度が悪い最大の要因は射手の腕です。
こう書けば身も蓋もない話になりますが、当たらない一番の要因は使う射手が最初から当たらないと思って撃てば当たりません、少々当たっても「自動銃なら良い出来だ」と妙に納得してしまうのも問題です。銃が当たるかどうか、根本的な問題は銃身にあります。
現在ではボルトアクションの銃でも、自動銃でも銃身の精度は同じに作られています。
唯一、自動銃の命中精度低下の要因は、銃身の固有のバイブレーションを阻害する銃身に固定されたガス穴でしょう。しかしながらボルトアクションライフルでも銃身が完全にフリーフローテングしてありますのは射撃専用銃しかありません、ハンテング用のライフルは全て何らかの形で銃床と接触して銃身バイブレーションを阻害しているのです。
じゃフリーフローテングにすればどんな銃でもたちどころに当たるようになるかとそうでもありません、やはりある程度の太さがないと銃身が暴れて命中精度は良くなりません。
その様な理由で、自動銃もボルトアクションの銃も、ハンテングライフルに関しては100mで2~3cmには集弾します。
ですから、自動銃だから、ボルトアクションライフルだからと言う理由で命中精度が違うと言うことはありません。

■自動銃の機関部は弾が出る前に開くのですか?
自動銃というのは完全に弾が銃口から離脱してから、ボルトは開いているんですよ。
ではそのプロセスを時間を追って説明してみましょう。
雷管で点火された火薬ガスは、燃焼と膨張を繰り返しながら大量のガスを発生させます、この場合、ガスの圧力と燃焼温度は極めて重要な因果関係にあります。
火薬の燃焼温度は3500度、火薬の圧力も3500気圧有ります。
両方の条件が絡み合って膨大なエネルギーが発生するのです、ですから火薬だけを取り出して、マッチで火を付けますと、火薬は単に"ボーッ"と燃えるだけです。
この様に、周囲に強力な圧力がないと火薬は爆発的な燃焼は起こさないのです。
ですから、火薬は閉ざされた銃腔内でないとあのようなエネルギーは発生しないのです。

私もたまに火薬を燃やしますが、これは放火犯が火を見るとスカッとすると言うよな、そういう心情で燃やしているのでは無いのです、実は火薬の燃焼は、子細に観察するとそれぞれの火薬で微妙に燃焼時間が違うのです、この燃焼時間の違いが、火薬が爆発したときの燃焼時間に正比例しているのです、従って2種類の火薬の燃焼時間がどちらが早いかと言う判断をするには2種類の火薬を同時に点火して燃焼時間の差を比べますと火薬の爆発時の燃焼速度の違いが判断できます。
ライフル銃の場合、火薬を大量に消費するマグナムライフルの場合、燃焼時間は遅くなければなりません、そうしないと大量の火薬が瞬時(火薬ですからみんな瞬時ですけど)に燃焼したら銃腔内の火薬ガスの圧力が上がりすぎて、銃が破砕してしまうのです。
逆に口径の小さな装弾に燃焼速度の遅い火薬を使うと全然スピードが出ないのです。
散弾銃の場合、全てが同じような形態をしていますので全て同じ火薬を使っているように見えますが、24グラムの射撃用装弾を撃つ場合は"パッ"と火薬が燃えます。
逆にサボット弾の火薬は"ボボボボ"とゆっくり燃える火薬が多く装填されています。
では射撃用装弾はみんな同じかというと、たとえばB&Pの場合、F1とF2では火薬が違っています、燃焼速度に変わりはないのですが、それぞれの火薬の色と大きさが違いますから違うのでしょうね、しかしながらどちらがどういう特性なのか全然解りませんがね。
B&Pの弾の場合、オリンピックでも使っている位ですから、悪くはないと思うのですが時たま必要以上に圧力の高い弾がありますが、こうした不良弾に遭遇すると薬莢の底が膨らんで排莢出来なくなります。
この弾は気取って薬莢の底に鉄の(メッキしてあるので真鍮に見えますが、決して真鍮では有りませんからね)の補強がありますが、生半可これが長いために薬莢が膨らんだ場合、かえって始末に負えなくなります。仮にこれが本物の真鍮だったらスプリングバックの作用でちゃんと収縮するのですが、鉄だと全然駄目ですね。
ですから、ライフルの薬莢は全部真鍮で出来ているのです、例外的にソ連の腐れ弾等は、薬莢が鉄で出来ているのもありますが、これはその弾を使う軍用銃の薬室が余程ぶかぶかに出来ているのでしょうね。幾ら弾が安くても銃を壊したら何の意味もないですよね。
鉄を使ったために薬莢が広がり排莢出来なくなるのなら、むしろ全部プラスチックで出来た、レミントン、プレミアの方が遙かに良いですね。

話がだいぶ横道にそれましたが、話を元に戻します。
弾頭が銃腔内を3500気圧の超高圧で押されて前進しますと、銃腔内の中心あたりに設けいられたガス穴にさしかかります、ガスはほんの僅かですがガス穴にも導入されます。
ガス穴の導入されたガスはピストンを押し下げます、ピストンの移動距離は極めて限定されており、移動量はせいぜい1cmくらいです、ピストンはオペレーテングアームを強力な力で、そして、すざましいスピードで押します、まさしく瞬間です!
オペレーテングハンドルはその慣性で10cm位後退し続けるのです。
ガス穴からガスが導入されてから、弾頭が銃口から離脱するまで、こうしてタイムラグを稼いでいるのです、そうでないと火薬ガスが高い内にボルトを開放しますと、ボルトが破損する可能性があります、なんせ銃腔内は3500気圧の超高圧がかかっているのですからね。銃口から弾丸が離脱すると銃腔内の圧力は急激に減少します。
ちなみに、銃の反動と言うのは弾丸が銃口から完全に離脱してから発生します。
ですから銃口がジャンプしたときは弾頭は相当先を飛翔していることになります、火薬ガスも圧力が下がり、ボルトは大体このあたりで開放を初めます。
銃口のジャンプが下がったときには、ボルトは前進を終わり、次の弾が装填されている状態になります。ですから反動が来た後、ガチャガチャとボルトの動く振動を感じるでしょう、ガチャガチャが収まった頃は、銃口のジャンプも元に戻っているはずです。

■ライフルの銃身は長い方が当たるのでしょう?
これも往々にしてある誤解です。
銃身が長くて有利なのは、唯一初速が出せると言う事だけです、弾丸は銃身の中にある間常に加速されますので、加速される時間が長いほど初速が早くなるのは当然です。
1000ヤードの標的射撃、パルママッチに使われる射撃専用銃は30インチ有りますが、これは308ウインチェスターの弾を、2900フィート以上で撃ち出すためにこの様な長い銃身長が必要なのです。そうでないと1000ヤード射撃の場合、ちゃんとした命中精度が出せません、また放物線もかなり高くなります。
漫画のゴルゴ13には1000メートルでフットボールを撃てる腕前のスナイパーと言うことになっていますが、それならばパルママッチの参加選手は全員ゴルゴ13並の腕前と言うことになりますね。
22口径ライフルの競技用銃身も28インチ有りますが、これは振り子のモメントと同じように、銃身がある程度長くないと銃口が簡単に振れてしまうからです、ちなみに射撃競技で使われる空気銃は、見かけはそこそこの銃身長がありますが、あれは実際の銃身はあの半分しかありません、先の半分は銃身ではなくて単なるパイプなのです。
究極の射撃精度を競うベンチレスト、ライフル射撃競技の場合、銃身長は僅か、56cmしかありません、50cm程度のもっと短い銃身すらあります。
私の実験では、6ミリPPCという弾の場合は、銃身長を長くすると逆に命中精度は悪くなりました、ですから銃身が長ければ命中精度がいいと言うのは迷信ですね。
ちなみにベンチレスト、ライフル射撃の場合、100メートルでの命中精度は僅か1ミリです、つまり6ミリ口径の弾頭を5発標的に撃ち込んでも、弾痕はわずか7ミリにしかならないと言うことです、勿論その7ミリの中に直径6ミリの弾頭が5発命中していると言うことですよ、20インチの銃身でこれは可能な命中精度ですね。

■ライフル銃の銃身に加工してあるフルートは放熱効果の為ですか?
うーんこれは難しい質問ですね、銃身にフルートを加工すれば表面積は大きくなるので、物理的には放熱効果はありますが、ライフル銃の銃身は放熱しなければならないほど熱くなるかという問題があります、確かに連続して撃てば手で触れなくなるほど熱くなります。射撃競技の場合は陽炎の発生は避けられないでしょう。しかしながらフルート加工をすればその問題が回避できるかと言うと、回避はできません。同じです。
同じような質問で軽量化のためですかと聞かれることもあります。
軽量化ならば銃身を細くするか、短くすれば事足ります。
確かに銃身にフルートを入れれば銃身が軽くなることは事実ですが、多くの場合、この加工をしてあるのは"見栄え"の為ですね、私はそう思います。
私の知識の範囲では、最初に銃身にフルートを入れたのは、戦闘ヘリコプターに搭載するために作られた、モーゼル社の3本銃身のバルカン砲では無かったかと思います。
3本銃身をぐるぐる回して1分間に4000発もの弾を撃てば銃身は急激に加熱されますし、銃身がぐるぐる回っていれば、銃身にフルートを入れることにより、放熱効果は得られます。しかし、フルートの入っている銃身と言うのは妙に格好がいいんですよね。
そのためにライフルの銃身にフルートを入れたのが動機ではないかと思います。
しかし、何でフルートが有るかと言うことについては、技術的な理屈付けが必要ですよね、そのために放熱効果とか、軽量化とか、言い始めたのではないかと推察します。
こういうフルートは、ミーリングマシンで削るのですが、この加工は思いの外銃身にストレスを与えます、フルートが一本だけだったら間違いなくその方向に銃身は曲がります。
必ず対面の側にも加工をするので歪みが釣り合っているに過ぎないのです。
ですからベンチレスト射撃等の究極の命中精度を競う世界ではフルート加工をしないのが常識です、そういう観点から推測すると、あれは一種の飾りですね。

■ボルトアクションライフルはボルトががたがたなのは不良品ですか?
ボルトアクションライフルのボルトを引くと、目一杯引いたところではボルトは機関部に対してがたがたに収まっています。誰の目から見ても、精度の悪い安っぽい加工のように見えると思います。誰でもこのガタがない方が良さそうに思うのでしょうが、このガタがないと色々と問題が起きるのです。
ボルトアクションライフルは真ん中の弾倉の部分は空洞です。機関部と銃床はトリッガーガードの前のネジと、後ろのネジ2本で止まっています。
銃床がへたったりすると、このネジが必要以上に締め付けられます。そうすると機関部は弓なりに反るのです。もし機関部が反ると、ボルトは途中で止まってしまうのです。
また小さなゴミが介在してもボルトは止まってしまいます。
そうしたトラブルを避けるため、機関部とボルトはがたがたに作ってあるのです。
現在の工作技術を持ってすれば、極当たり前に作っても、加工精度は5/100ミリで作れます、ですからガタが無いように作るのは極めて簡単なのです。
ですが、ボルトがスタッグしない為に、わざとがたがたに作って有るのです。

■射撃装弾は、マグナム装弾より初速は遅いでしょう?
今回の常識の嘘は、ライフル一辺倒になってしまいましたので、ショットガンユーザーのために最後のコメントをしましょう。
狩猟に使われるレミントンプレミアの56グラムの3インチ装弾などは二度と撃ちたくない程の強力な反動があります。レミントンのカタログによりますとこの弾の初速は1175フィートです。
ひるがえり、射撃用の24グラム装弾、2:3/4装弾の場合、反動はかなり弱くなりますが、弾の初速は1325フィート出ています。
なんと射撃用のあの軽量の反動の弾の方が弾の初速は早いのです。
あの強烈な反動は、弾の初速ではなく、弾の重さのために生じていた反動なのです。
ですから反動は強力でも、弾の数が多いだけですから一発の弾に存在するエネルギーは、逆に小さいと言うことになります。
もし、このマグナム装弾でクレーを撃つと、初速が遅いので相応に前を撃たないと当たらないことになります、マグナムと言う名前に惑わされないようにしてください。

ライフル銃入門講座

2003年 2月 1日 築地

この所、散弾銃関係のコラムが多かったですが、私の本来の専門はライフルです。

専門がライフルなので、今まではあえて散弾銃関係のコラムを書いていたのですが、この辺りで専門のライフルについて少し書いてみます。
私の所には毎日50通ものメールが送信されてきます。そうした中で比較的質問の多かった事、あるいはライフル銃で誤解されている事等を、頭の中で反芻しながら書いてみたいと思います。

当社のHPへのアクセスポイントは勿論日本が一番多いのですが、最近気になる事にほんの僅かですが、米軍がアクセスしています、警察関係や、行政関係者がアクセスすると言うのならまだ理解できるのですが、しかしこれらの人たちは通常の閲覧者達の中に埋没しているので誰がお役人か全然判別が出来ません。
しかし、米軍だけはアクセスポイントが違うので明瞭に判別できるのです。米軍が閲覧していると言うと、ライフルの事もいい加減な事は書けませんが、それでも兵隊さんよりも私の方がライフルについては詳しいと自負していますので、気にしないでこのままコラムに突入します。では突撃・・・・・・・

ライフルが始めてと言う方からは時々、こちらが絶句するような質問をされる事があります。 "やっぱりライフルは試射はしたほうが良いですかね?" なんて聞かれることがあります。
確かに散弾銃の感覚で言えば、散弾銃は試射をしないでいきなり使ってもそこそこ当たる物ですからそう思われるでしょう、しかしながら、これは私の想像を遙かに超える質問です。ライフル屋の常識としてどんなに照準調整をしてあっても、ライフル射撃競技では必ず試射をするのは当然ですし、ライフル射撃でいきなり本番の射撃は絶対考えられません、それ位ライフルの初弾と言うのは微妙な物なのです、しかしながらハンテングの場合、試射なんて出来るわけもありませんので、
実際にはそのまま使うしかありません。しかし微妙に狙点は違うものなのです、射撃場で照準調整をした後でも、気圧が違うと着弾が違いますし、気温が違うと空気の密度が変化するので着弾が変わります、当然使用する弾が変われば着弾は当然変化します。
上向きや下向きに狙う場合でも、水平に撃ったときとは明確に着弾に変化が出ます。
確かに散弾銃の場合は、弾によって着弾が変化すると言うことはありませんし、散弾銃の場合、狙い上げ狙い下げ、水平でも着弾を気にする人は居ないでしょう、その感覚から言えば、 "やっぱりライフルの場合は試射はしたほうが良いですかね?"と言う質問は異常な問いかけではないことが解ります。ですから、ライフル銃の場合は必ず試射をして弾着を確かめる、これはライフルを使う上で絶対的な条件なのです。
なんか当たり前の事書いてますね~

あまりにも当たり前の事を書きましたので、今度はもう少しステップアップします。
ライフル銃の照準調整をする道具として、ボアーサイターがあります。

ボアーサイター
ボアーサイター
ボアーサイター本体
ボアーサイター本体

これは銃口にアーバーと呼ばれる棒を差し込んで、銃身の軸線とライフルスコープの軸線を合わせる道具です。
ボアーサイターのアーバーの部分と、本体の中にある光学的な軸線は一致していると考えてください、そのためボアーサイターを差し込んで、取り付けたスコープを覗くと、ボアーサイターの格子模様が見えます、その格子模様の1目盛りが、100ヤードで1インチ、つまり2.5cmのずれを意味しています。
少なくない人が、このボアーサイターの基準は絶対的な物であり、これこそが正照準の基本であると勘違いしているのです。
これはあくまでも "簡易" 照準装置なのです。
従ってこれで照準調整しても、せいぜい100mで標的の黒丸内には入るでしょうが、それ以上の精度は望めないのです。時折、射撃場で照準調整して帰って、ボアーサイターで見たら狂っていたので再度ボアーサイターに合わせて照準調整した方が良いですかと、聞かれることがあります。
私は、"とんでもない"と言って即座に否定しますが、射撃場で照準調整した状態が間違いなく照準調整が完璧に出来ている状態なのです。ボアーサイターを付けると狂っていると言う事は、逆にボアーサイターが狂って居ると言うことなのです。
逆にその狂った状態で、何目盛り狂っているかちゃんと把握しておけば常にその目盛りに合わすことにより正常な位置を確認することが出居ます。
この目盛りは個々の銃により微妙に違いますのでそれぞれの銃の正常値は目盛りの何処の位置、また別の銃の正常値は目盛りの何処の位置と把握しておくのが正しい使い方です。
ライフル銃と言うのは使用する装弾を替えただけで着弾位置が変わります、また火薬の量でも、弾頭の重さでも、また弾頭形状でも、そして外的要因として、外気温度、気圧でも変化します、また射撃の方法でも変化します。依託射撃なのか、同じ委託でも先台を保持するホールデングなのか、伏撃ちか立ち撃ちか、そうした事でも微妙に変化するのです。
ですから、射撃の条件でもボアーサイターの位置は変化するのが当然なのです。

もし1丁の銃しか使わないのであれば、このHPをご覧の方だけに裏技調整方法を伝授します。射撃条件が同じであると言うのが前提なのですが、射撃場で完璧に照準調整をします、完全に出来た状態でボアーサイターを装着します。

これからが裏技です、ボアーサイターの後ろの部分がネジになっており、これが取り外せます、そうすると透明のグラスが出てきます、よく見るとガラスの中心に格子柄模様の微細な升目が印刷されているのが視認できるはずです、これがボーサイターの格子柄の本体です、さてそのガラスの外周に、上下左右に微細なネジがあるのがお解りいただけますか、これがボアーサイター側の調整ネジです。そうです、ボアーサイター自体も組み立ての段階で調整して出されているのです、但しこの調整は特定の銃に合わせた物ではないため、相当大まかな調整しか出来ないのです。

ボアーサイター
裏蓋取り外し
ボアーサイター本体
ガラス格子模様
ボアーサイター本体
ガラス格子模様

ですから、今度はご自分の銃に合わせて特別調整すればいいのです、正照準が出来ているのであれば、現在調整されたスコープこそが唯一の基準ですから、ボアーサイターの中心がスコープの中心に来るように、ボアーサイターの上下左右のネジを調整するのです。
完璧に調整が出来たら、また後ろの蓋をねじ込みます。
これで、貴方の特定の銃に完全に調整されたボアーサイターが出来上がりました。
これで、スコープを取り替えたときも、ほとんど正照準に近い精度で合わすことが出来ます。

ボアーサイターの調整は100mで合わせたあります、貴方が射撃場で照準調整した場合も、多くの場合が100mでしょう、また射撃場自体も多くの場合が100m射撃場です。しかしながら私は100に照準調整するのではなく、300mでの照準調整をお奨めします。その理由は100mで照準調整しますと、100mを過ぎると弾頭は落下の一歩で、よほど考えて狙い越しないとなかなか遠距離の場合は命中しません。
内地の猪猟専門なら100m照準調整でかまいませんが、それでも何かの折り向かいの尾根にいる鹿を狙わないとも限りません、そうした場合を想定すると照準調整は300mに合わせておく方が有利だと思います。
参考までに30-06で、弾頭165グレインを使って、初速2800フィートで撃った場合、100m照準と、300m照準の違いを表にしてみました。

照準の違い

青色の線が300m照準の弾道です、赤線が100m照準の弾道です。
弾の命中した所から特定の範囲、つまり細胞を破砕する範囲ですが、これをバイタルゾーンといいます、使用する弾頭、初速、距離に応じてこれは変化しますので、煩雑ですから少し乱暴ですが、着弾の上下25cmをバイタルゾーンと仮定しますと。
300m照準の方がより遠くまでバイタルゾーンが確保できていることがお解りでしょうか、それに300m以内であればほとんど狙い越の必要はありません、僅かに下を撃つだけで命中させる事が出来るはずです。
つまり、ボールを投げる場合、遠くに飛ばすにはほんの僅か上に投げるのと同じ事です。

地元に300m射撃場が無いと言われる方も少なくないと思いますので、これから100mで300m正照準に合わす方法をお教えします。
以下の弾道表をご覧ください。
一番上の枠は銃口から標的までの距離です。
距離の下は300mの弾道表です、300mの所の数字が0になっている事を確認してください、一番下は100mの弾道表です。100mの数字が0になっていることを確認してください。さてこの表の見方ですが、300mで0の数字の行は、100mでの数字は15.75です、つまり100mの標的で、狙点より、15.75cm上に着弾すれば、それはとりもなおさず、300mに正確に照準調整出来ていると言うことです。
つまり、射撃距離に応じて任意の距離で照準調整できることになります。ご参考にしてください。

0m25m50m75m100m125m150m175m200m225m250m275m300m325m350m375m400m
-3.812.467.8512.315.7518.1619.4619.5918.4716.0412.216.890-8.75-18.93-31.19-45.48
-3.81-1.5-0.070.440-1.44-3.91-7.46-12.18-18.06-25.19-33.62-43.41-54.62-67.32-81.59-97.49

ハンテングの場合、必ずしも何時も水平で射撃できるわけではありません。
銃口を上向きにしたり、下向きにしたりして撃つ場合も多々あるはずです。
ではその様な場合、弾着はどう変化するのでしょう。
今までの私の経験では半分以上の人が間違って考えています。正解は上向きに撃っても、下向きに撃っても弾着は必ず上に着弾します、地球の引力を一番大きく受けるのは水平の弾道です。真上と、真下は、銃身軸線に対して、真上と真下に行くわけですから銃身軸線に対しては全然ドロップしません、水平が一番影響が大きいのです、ですから45度の角度で撃った場合、ドロップ量は水平撃ちの半分だけ影響される事になります。
そうなりますと、数字で上げられる人はほとんど居ません。ではどれくらい影響があるのは表で説明します、今回のデーターも30-06を使い、弾頭重量は165gr、初速は2800フィートで演算しました、言うまでもありませんが、上向き、下向きとも弾のドロップ量は同じですからね!

水平射撃と上下撃ち

どうです、黒線の水平に撃ったときの弾道より、赤線の45度上向き、下向きに撃った弾道は狙点よりかなり上を飛翔しているのがお解りいただけましたか。 実際の数値でもご確認ください。

0m25m50m75m100m125m150m175m200m225m250m275m300m325m350m375m400m
-3.812.467.8512.315.7518.1619.4619.5918.4716.0412.216.890-8.75-18.93-31.19-45.48
-3.812.568.2613.517.8721.5324.4126.4527.6227.8427.0825.2622.3217.1912.796.05-2.14

言うまでもありませんが上の枠が水平撃ち、下の枠が45度上下撃ちです。
45度傾けて撃った場合、本来ならば命中すべき300mで、22cmも上を弾頭は飛翔していたのです。
"だから外れたんだと" 今頃膝を叩いて納得されても手遅れですが、次回からはヨロシクお願いします。これが散弾銃とライフル銃の大きな違いです。
ライフルには弾道があると言う事をお忘れ無きよう。
弾道学の話が済みましたので、それと関係の深い照準装置について話して見ましょう。
ライフル銃の照準装置は照星照門付きの物がありますが、実はこれが一番難しい照準装置です、この照準装置は照星と照門を極めて正確に合わさないと絶対に的に当たりません。
私は昭和58年からライフル射撃の教習射撃指導員をしています、神奈川県、伊勢原射撃場で実施した教習射撃の時は、警視庁や千葉県警の方も見学に来られていました、当然関東圏では私が最初だったはずです。あるいは日本で初めてのライフル銃の教習射撃だったかも知れません、爾来多くの方に射撃教習をしましたが、教習射撃の銃が照星照門付きなので、最初、この見方をしつこいくらい説明しました。
散弾銃の方は、照星と目標を合わす事は出来ても、照門を合わすことはあまり慣れていないのです。照門をいい加減に合わすと言うことは、クレー射撃で言うところのヘッドアップと同じです、ですから照星照門を合わすことは何よりも大切なことなのです、これらの調整が完璧に出来ないのに、やれベンドが低いだの、ああだこうだと言うのは論外です、ライフル銃の場合、照準さえ合えば "必ず" 当たります!
ですからベンドはどうでも良いのです、もしライフルスコープを取り付けた状態で、散弾銃と同じようなベンドにしたら、ボルトアクションの場合、間違いなくボルトが元台に激突して絶対に抜けません。ボルトが抜ける寸法で銃床を作れば、散弾銃の感覚ではベンドは相当深いはずです。しかしながらベンドの深い銃で照準をすると言うのは相当抵抗があると思いますが、その場合の元台の当て方は、散弾銃でやっていたように頬骨の下に当てるのではなく、もっと下に当てるように心がけてください、不自然さは残るでしょうが所詮は慣れです。

ボルト、銃床
ボルト、銃床

新しくライフル銃を購入される方も、装薬銃10年の経験を要すると言う、我々鉄砲撃ちにとってはとんでもない悪法のおかげで、かなりの方が実際にライフル銃を所持される頃は相応の年齢に達せられて居ますので多くの方が視力が落ちている場合があります、そうした場合は躊躇なくライフルスコープの使用をおすすめします。 猪などの近射の場合は、1.5倍~4倍程度の低倍率の物、50m~300m位の射撃の場合は3倍~9倍くらいの倍率をお使いになるようにおすすめします。 それ以上の倍率の場合は、射撃用か、300m以上の遠距離射撃用とお考えください。

ライフル銃の命中精度は通常のハンテングライフルで、100mで2cm~3cmくらいとお考えください、当社で販売している銃に関しては全てこの範疇で収まります。
自動銃、ボルトアクションの優劣はありません。
また自動銃だからと言って弾頭の初速が落ちる事もありません、同じようにマズルブレーキを使用しているからと言って、同じように弾頭の初速が落ちる事もありません。
これは、自動銃の場合、弾頭が完全に銃口から離脱してから、火薬ガスの圧力が完全に落ちてからでありませんと、ボルトは解放されません、そうでないとボルトは火薬ガスの圧力で開くことが出来ず銃は壊れてしまいます、自動銃の作動メカニズムは、弾頭が銃身の中程以上に進んだ時点で、火薬ガスがガス穴に導入され、そのガスがピストンを作動させます、ピストンの作動は慣性の法則で、直ぐに作動するわけではなくごく僅かなタイムラグが存在します、そしてピストンが作動して後退を始め、ボルトのロッキングを解放して、なおかつボルトを後退させているときは、弾頭は銃口からとっくに発射された後なのです、ですから自動銃のメカニズムを構成している作動エネルギーは、弾頭を飛翔させるのには使われない、無駄なエネルギーを利用していると考えてください。
同じように、マズルブレーキも、銃口で火薬ガスを抜くので弾頭の初速に影響を与えそうですが、全然無関係です。弾頭が銃口から離脱した後に銃口から吹き出す火薬ガスは、いわば全く無駄なエネルギーです、弾頭は銃腔内ですでに充分加速されており、弾頭が銃口から離脱する寸前に解放されるガスには何の影響も受けません。従ってマズルブレーキは反動を軽減するメリットがある代わりに、音が大きくなると言うマイナス面以外は弾頭のは影響はほとんど及ぼしません。
しかしながらマグナム口径の銃にマズルブレーキを装着した場合は、かなりの音が発生するようです、私自身は耳栓なして体験したことはないの何とも言いようがありませんが、ハンテングの場合は耳栓などはしていませんので、耳栓無しで撃つのは一般的に大変のようです、ですからメリット、デメリットを考えるとどちらが良いとも断定は出来ません。

口径の選択ですが、内地の獲物に関する限りマグナム口径は必要ありません、しかしながら500mを超える遠距離射撃の場合は、マグナム口径でないと弾頭に残存エネルギーが充分ないので命中しても半矢にしてしまう可能性があります。北海道の蝦夷鹿猟では、300mを超す遠距離射撃も多いのでマグナム口径の方が有利なのです。

ショットガンシューターをライフルシューターに矯正するのには、一番大変だったのが"ガク引き"の癖の修正です。
クレー射撃の場合、"潔く引く"と言うのが信条ですから、ためらいがちに引き金を引きますと、クレーがどんどん飛んでいってしまいます。
そのためショットガンシューターの場合、何方もライフル銃を使うとガク引きをされるのですが、ライフルの場合、静止状態からの射撃ですからガク引きしますと、弾が出る前に、簡単に銃口が下を向いてしまいます。標的に横転弾が出るのは、割合こうしたガク引きが原因です。
ガク引きしますと、弾が銃口から離脱する前に銃口が下を向くため、銃口から発射された弾頭はまず地面に向かい、地面でリバウンドして、不規則回転をしながら標的に命中するので横転弾となってしまうのです。
ある老齢な猪猟師の方から質問されたことがあるのですが、ずいぶん猪を転がしましたが、弾頭が全部斜めに当たるのはどうした訳ですかな? なんて聞かれたことがありますが、これなどは怪我の功名で、地面にリバウンドした弾がうまく猪に、それも毎回命中していたという奇跡的な事例でした。これが遠距離の鹿だったら保証付きで外れていたところですね。ライフル銃の場合、クレー射撃みたいにあんなスピードで銃を振ることがないのでどうしてもガキ引きすると簡単に銃口が下を向いてしまうのです。
散弾銃みたいにスピーデイーなスイングをしている限り、慣性の原則で、下に銃口が向くことはありません。ですから、ライフル銃の場合はついついガク引きしてしまいがちです。
次にライフル銃は何故威力が強いか、について説明して見ましょう。
散弾銃が平手で叩くのと同じ程度とすれば、ライフル銃の場合はアイスピックで突き刺すくらいの差があります、散弾銃の口径は18.5ミリです、それと比べてライフル銃の30口径の直径は僅か7.62ミリしかありません。
至近距離では散弾銃も破壊的な威力を示しますが、弾自体が小粒の鉛弾ですから、元々あまり大きな質量がありません、そこへ銃口から離脱した後は猛烈な空気抵抗に押されて、ほんの数秒飛翔しただけでエネルギーは激減します。
散弾銃と比べるとライフル銃は何倍もの火薬が詰められています、散弾の火薬は瞬間的に"パッ"と燃えて弾を撃ち出しますが、ライフルの火薬はロケット火薬のようにゆっくり"ボボボボボ"と燃えて行くのです、火薬が燃焼している間は、常に弾頭を押し続けるわけで、弾頭が銃口から離脱する時のスピードは、散弾の1400フィートと比べて、ライフルの30-06、弾頭180グレイン装弾で2800フィートになります。
同じ180グレイン弾頭を使っても、マグナム口径になるとさらにスピードを増して、3200フィートにもなります。このスピードと弾頭の質量こそがライフル銃の威力の源泉なのです。30年くらい前に発刊された写真雑誌"瞬間"を見ますと、ライフル弾頭がアルミ板を貫通した写真があるのですが、その破片の衝撃波の角度を見ますと、ライフルの弾頭よりもさらに速い速度で飛んでいます、つまりライフル弾頭は質量が大きいですので、質量の軽いアルミはさらに速い速度で飛翔しないと、物理学の理屈がつかない事になります。と、言うことはライフルの弾頭が、人間や獲物の細胞に命中した場合、当然同じ事が起こっていると考えるべきです、弾頭が命中したところは僅か7.62ミリですが、その命中した部分を基点に円錐状に細胞が破壊され続けることになります。
それは鉛で構成された180グレインの弾頭の質量と生物の細胞の質量とでは全然違いますから、質量の軽い方は弾頭が命中した時のスピードよりさらに速い速度で隣の細胞を破壊していることになります。弾頭が鉛だけなら鉛自体が粉砕され、瞬時にエネルギーの拡散は停止しますが、ライフルの弾頭は周りを銅のジャケットで覆われていますから鉛は分散することなく、どんどん突き進んで行くことになります。
その破砕効果をさらに効果的に上げるために、ライフル弾頭の先端は適当な大きさにつぶれ、自らの直径を大きくしてさらに進みます。このつぶれ方が大きすぎると瞬時にエネルギーが分散されるので、せいぜい直径の倍程度の大きさしかならないとうに、工夫されています、その工夫は鉛の種類を先端は柔らかく、後端は堅くしてあるとか、弾頭の中心は銅でつながって、それ以上開かない様に出来ているとか、各弾頭メーカーで色々な工夫がなされています。
数年前、捕鯨船団用に鯨のとどめを差すために、375口径のバーンズのソリッド弾頭を大量に納めたことがあります、ソリッド弾頭とは、弾頭が開かないように弾頭全体が銅あるいは銅の合金のムクで出来ている弾頭です。そうでないと通常の弾頭を使ったのでは、弾頭が広がり鯨の脂肪層のところで弾頭が止まってしまい、さらに余計に鯨に大きな苦痛を与えることになります。
捕鯨の映像を見ますと、100%鯨は死んでいる画面しか出ませんが、捕鯨砲でしとめた鯨で死に至らしめることの出来るのはたったの25%と言う公には公開をはばかる資料があります。つまり残りの75%の鯨は全部半矢と言うことです。
この事を考えるとグリーンピースが反対する理由も解らないではありません。
文字通り血の海で75%の鯨が半矢でのたうち回っている映像を、家庭の茶の間に放映したら、ご家庭の皆さんは凍り付くでしょうね。
そう言う非道な事をしないためにも出来るだけ速やかにとどめを差す必要があるのです。
鯨の体内から回収した弾頭を見ますと、375口径のソリッド弾頭ですら潰れていましたね、こんな事を書きますと、"似非平和団体"からクレームが来そうですが、驚いたことに捕鯨には大反対のグリーンピースですら鯨から余計な苦痛を取り除くと言うことでバーンズ弾頭の使用には反対をしなかったと言うことらしいです。
そう言う訳で、鯨にとどめを刺せるのは捕鯨砲も駄目で、唯一ライフル銃しかありませんでした。鯨はちゃんと急所に当たれば1発で死に至るそうですが、半矢で暴れている鯨を荒れた船の上から撃つわけですから、平均3発の弾を撃ち込んでとどめを差すという、公には公開をはばかる資料があります(どうも、今回は公に公開をはばかる資料が多いようですが)

まあ、そんな具合でライフル銃の威力と言うのはこれくらい強力なのです。

バーンズ ソリッド
バーンズ ソリッド

次に命中精度について説明して見ましょう。
通常のハンテングライフルではここまでの命中精度は必要ないでしょうが、オリンピック等の射撃競技を考えた場合、命中精度は究極まで求められいます。
空気銃もライフルですから空気銃の命中精度から説明しますが、現在オリンピックで使われる射撃用の空気銃は、ファインベルクバウ、あるいはアンシュツがほとんどを占めていますが、両社の工場を訪問して試射を見せて貰ったとき、10発撃ち込みの標的に全く1個の弾痕しか空きませんでした、1個の穴と言っても見る人の感覚で色々でしょうが、10発撃った標的に、新品の空気銃の弾をそーっと挿入しますと、空気銃弾のスカートの部分で引っかかって落ちないと言う驚異的なレベルです。
空気銃の標的の10点は10mで僅か1ミリです、同じように両社でスモールボアの試射も見ました、言うまでもなく全弾10点に命中します、ただし、どんな弾でも大丈夫と言うわけではなく、当たる弾と当たらない弾が存在するのです、そんなの当たり前だと言われそうですが、同じメーカーの同じモデルの銃で、銃身によって当たる弾と当たらない弾が存在するのです、ですから両社の試射場には常時数種類の弾が使われているのです。
何故そう言う事が起こるかと言う論理は、さらにもう少し上のレベルですから、今回の様に入門講座の場合は割愛します。

さて、私が目下熱中してるライフル射撃は、ベンチレスト射撃競技です。
これこそ究極の命中精度を競う競技ですから、はっきり言って、アンシュッツ等のオリンピック競技銃より当たります、スモールボア競技は50mで行いますが、ベンチレスト射撃は100mと200mで行います。
ベンチレスト射撃の場合、100mでの命中精度と言うと最悪でも5ミリ、通常は3ミリ、最高の時は1ミリのグルーピングを出します。長瀞では300mも撃てますので、300mで5発の弾痕が全部10円硬貨で隠れます。これくらい当たるのです。
100mで数ミリの物体が視認出来るでしょうか?
300mで10円硬貨が視認できるでしょうか?
絶対に見えないはずです! 逆に言いますと、肉眼で視認できる物は精度の良いライフル銃なら100%必ず命中させる事が出来るのです。

獲物を視認出来て外れる! それはライフル銃の性能から言って絶対にあり得ないことです。しかし、私に、猟場でそれを実践して見せろ等とは、間違っても言ってはいけません!

ダブルライフルについて

2000年 2月10日 築地

ダブルライフルとはライフル実包を使う水平2連銃であります。
上下2連のダブルライフルもブローニングから出ているのですが、私のノスタルジーなのか、それとも私の思いこみが強すぎるのか、上下2連のダブルライフルはどうしてもイメージが良くありません。
強度と言う面から言えば上下の方が強度的は出しやすいのですが、水平2連でその強度を再現しているところにダブルライフルの意味がある、なんて全く合理的でない理屈を持ち出してまことに恐縮ですが、ダブルライフルには元々合理性では説明しきれない存在でありますのでこうした屁理屈を言いたくなります。

何故ハンテングにダブルライフルが必要なのかと言う問いかけに対して、外国の文献は"より確実な射撃をするため"と書かれてあります。
自動銃は論外だが、ボルトアクションライフルの場合でももし装填不良の故障が起きても、ダブルライフルなら確実に2発撃てる、と言うのがその説明であります。ボルトアクションライフルで装填不良なんて、まずまず起こり得るわけは無いのです、逆に言うとダブルライフルでも、撃針折れや、スプリング折れが絶対に起こらないと言う保証も有るわけでは無いのですが、そういう説明しか出来ないのも事実です。
ダブルライフルを使うのは、どちらかと言うとハンテングに対する美学の問題であろうと思います、2発で獲物を倒せたらハンターの勝ち、2発の弾が当たらなかったら獲物の勝ち、そうしたハンテング美学が根底に流れているからダブルライフルに対しても思い入れが強くなるのかもしれないと思います。
ダブルライフルは元々アフリカでのハンテングを目的として作られた銃であるから、これで30-06なんて言う口径を選択するのは全く的はずれである、やはり375以上の口径でないと意味がない。意味が無いというよりサファリの場合は極めて危険ですらあるのです。
サファリハンテングをした人の多くが、究極のハンテングはケープバッファローだと言います、外国の文献にもそう書いてあります。
しかし、草原にいるケープバッファローを遠方から狙撃したのでは、危険でも何でもない。
アメリカのバッファローハンテングと同じであります。やはり正面から相対した場合のみ極めて危険なゲームとなるのです、亡くなられた大藪春彦さんと話したときは、ケープバッファローが一番怖かったと話して居られました、確か大藪さんは375を使われていたと思うのだが、正面から突進してくるケープバッファローに至近距離で3発かけて、4発目で倒したとか言われていました。もし最後の弾を外したら自分が殺されていたと言う話でした、ケープバッファローの頭蓋骨はかなり頑丈で3発の弾がそこで止まっていたそうです。
その大藪さんをニュージーランドで案内したのが、宮川雅雄さんです、彼は私の友人でそして射撃仲間ですが、彼もサファリでケープバッファローハンテングに挑みました。
足を骨折しながら車で追いつめて、ブッシュに潜んでいるケープバッファローが突然飛び出してきて、やはり彼も3発かけてやっと仕留めたそうです。かれのハンテング人生でも最大のイヴェントだったとみえ、仕留めたケープバッファローの写真はいつも彼の財布の中に入っています。彼の場合も同じように頭に3発弾頭を受けていたそうです。

話が横道にそれましたが、ですから2発しか撃てないダブルライフルを使ってのハンテングは美学となるのです、2発しか撃てない訳ですから375ではいささか心許ないという感じになるため、さらに強力な弾を使うと言うことになります。そうした強力な口径の弾を使うため銃身も太く、そして重くなります。口径によっては水平2連なのにボルトアクションより重たい銃にもなります。元々量産を考えて作られた銃ではないので値段も数百万と言う値段になります。ダブルライフルで有る程度の量産品と言う物を作っているのはヘイムです、昔はボルトアクションを作っていたのですが、最近はダブルライフルで有名になっています、値段も100万以下で売っているので買いやすい品物です。
命中精度そして工作技術も問題はありません、一度はダブルライフルを買いたいと言う人にはお勧めの銃です。
完全な手作りベースを今でも守っているのは、オーストリーのフェラッハでしょう、フェラッハと言っても会社の名前ではありません、町の名前なのです。ここでは小さな工房と呼べるような工場がそれどれオリジナルのダブルライフルを作っています。
ダブルライフルは2連と言うイメージが定着していますが、ここの銃はオリジナルですから水平3連と言う銃も作っています、最も私は個人的には水平3連なんてお断りですが。
ダブルライフルが何故こんなに高いのかと言いますと、やはり手間がかかると言うのが最大の問題でしょう、散弾銃の水平2連より手間がかかるのは、それぞれ2本の銃身が100メートル先でチャント同じ所に当たらなければならないからです。
2本の銃身は散弾銃と同じように、鉛で溶着されています、当然200度以上の熱を加えるので、溶着するまえは軸線が合っていたのに、温度を加えてそれが冷えると、どうしてもその方向に引っ張られるので銃身が曲がって狙いが狂ってしまうのだそうです、そのため先端にくさびを打ちながら、微調整をして仕上げるのだそうです、銃によってはそのくさびを入れたまま仕上げています、銃口からそのくさびが出ているため、銃口を下にしてついても、命中精度にとって一番大切な銃口を保護出来るからです。
イギリスではジェームス パーデー、ボスなどでダブルライフルの生産をしています。
価格は300万以上、納期は3年と言うことになります。
300万と言うと、ゲッ 高いと言われるかもしれませんが、かつて、日本ではこの300万の銃が1000万以上で売られていたこともあります。
現在世界で一番高い銃は、ある1丁のダブルライフルです、この銃はその歴史的価値のためこうした値段が付いています。
その銃はルーズベルト大統領の銃です、その銃は彼の功績をたたえた上院議員達の寄付で、ジェームス パーデーに依頼して作られました。
ルーズベルト大統領はそれを実際にアフリカでのハンテングに使用し、勿論獲物も仕留め、その写真と彼のサインも現存しております、さらに上院議員達のサイン、製作者のジェームス パーデー社の社長のサインまであります。
で、その値段は500万ドル(5億円)だそうです。某オークションで落札されました。
落札した人は、アメリカ上院議員の、あ、これは言えない事になっています。

水平2連銃について

2000年 2月 9日 築地

水平2連と言うと、多くの人が安い銃だとイメージされるのでは無いだろうか、少なくと上下2連よりは安いと言うイメージは定着していると思われます。しかしながら実際の製造では上下と変わらない位手間がかかるのです。
しかし現実に売る場合はあまり高い値段では売れない、そのため製造するメーカーは激減していき、現在大手で製造している所は、メルケルとベレッタだけになってしまっています、番外的にはスペインのAYA(アヤ)でも製造しています。
これらの中で一番のお勧めはメルケルでしょう、やはり強度がダントツで優れています。
強度が強い理由は、通常のロック機構に加えて、機関部の上に銃身と機関部をロックするクロスボルトが取り付けてあることがその理由です。
昔は国内でもSKB、ミロクも水平2連を作っていたのですが、高い値段で売れないためかいずれも製造を断念しています。
それに水平2連は狩猟用しか用途がないため、現在の状況ではその需要が頭打ちなのもうなずけます。イギルスのジェームス、パーデーではトラップ射撃用の水平2連も製造しております、(当たるの?)と言われそうですが、私が実際に使った経験で言いますと上下と同じように当たります。超ワイドリヴを使って撃つような感じで使えます。それに何と言っても銃身が軽いので振り回しが軽く、キレの良いクレーなどもビシバシ捕れます。
ただ欠点としては水平2連の先台は申し訳程度のチョコットついているだけで現実問題は指先では銃身を押さえているような状態ですので、1ラウンドも撃つと手袋が無いと手が熱くなり先台を持てなくなります、また先台自体も木が薄いので1ラウンド撃つと先台全体が熱くなります。
そんな訳で、現実問題としては射撃に使うにはいささか問題が有るようです。

水平2連は狩猟用として考えると軽くて狩猟目的には使い勝手の良い銃です。
銃身は水平に配置されていますが、獲物が遠くから近づくのか、それとも手前から遠くへ遠ざかるのかで使用する銃身が変わります、そのためには両引きの引き金でないとその選択が出来ません、両引きの引き金を選択した場合、グリップの部分をずらすことの出来るストレートグリップでないと使い勝手がよくありません。
従いまして水平2連は引き金は両引き、グリップはストレートグリップとするのが一番オーソドックスな考え方です。銃身長は26インチ、または28インチを選択すべきでしょう。エジェクターは必ずしも必要ではありませんが、まともな銃は殆ど組み込まれているのが実状です。

水平2連はメーカーでもあまり在庫はしません、それは選択のバリエーションが多すぎるからです、銃身は今でも100%固定チョークですから、銃身長に対してどのようなチョークを選択するかで多くのバリエーションがあります、そのうえ両引きにするか、単引きにするかで選択幅が倍になります、さらにピストルグリップにするか、ストレートグリップにするかでさらに倍になります。その上彫刻の種類で選択の幅はその数倍になります、従ってメーカーといえどもめったに在庫することはありません。
ベレッタにしてもアヤにしても豊富な在庫から選択すると言うことは出来ないと思います。
水平2連を購入するときは6~12ヶ月くらいの納期が必要だと考えていた方が無難でしょう、ちなみにジェームス パーデーなどは納期3年と言っています。
まあ、ジェームス パーデーと言うのは特別な例外中の例外ですがですが。 

空気銃について

2000年 2月 3日 築地
追記 2003年 3月30日 築地

(追記)
コラムの中で空気銃の取り扱いの記述がありますが、現在は取り扱いをしておりません。
その理由は、威力の強い空気銃は故障の発生を無くすことが出来ないため取り扱いを中止致しました。

今年から狩猟法が改正され空気銃が、散弾銃と同じ免許で撃てるようになります。
そのため最近空気銃の引き合いが俄然多くなりました、狩猟用の場合、当然その威力が最大の問題になります。国産ではホーワのガス銃、シャープのポンプ式空気銃があります。
ガス銃の場合、外気温度が低いと充分な威力が出せません。仮にある程度の外気温度が高かったとしても、ガスを放出するとその気化熱の為に外気温より銃の方が温度が低くなってしまいます、そのため冬季に外で使用する狩猟にはガス銃はお勧めできません。
ポンプ銃はポンプ回数により威力が増強できるので今でも多くのハンターが使用しています。しかし、口径が最大でも5.5ミリなのでその射程距離と威力には限界があります。
ポンプ式空気銃の場合射程距離は最大で30メートル、獲物も鳩程度で、鴨撃ちには威力不足の感じがあります。
ドイツのダイアナなどはスプリング中折れ式の強力な空気銃を昔から出しています。
威力は強いのですが、どうしても強いスプリングを使っている為、スプリング折れのトラブルは避けられません。

当社ではビーマンのクローマグナムと、スーパー12を取り扱っています、ビーマンの名称で販売していますがこれはOEM商品で原産地はイギリスです。
クローマグナムは一見中折れ式のスプリングと同じに見えますが、スプリングの代わりにガスピストンと言う方法を使っています。
このシステム、なかなか皆さんに理解してもらえないので折角の書き込みですから出来るだけわかりやすく説明してみます。

中折れ式空気銃の引き金をコッキングして引き金を引いてピストンが前進してその圧縮空気の力で弾を撃ちだすと言うメカニズムは従来型の中折れ式空気銃と全く同じです。ですからここのメカニズムに関してはこれ以上考えなくて結構です、考えすぎると頭が混乱します。ここではガスピストンのメカだけ考えてください。
この銃を分解すると、従来型のスプリング式であれは、そのスプリングの入っているところにショックアブソーバーみたいな部品があります、これがスプリングの代わりをしているのです。円筒形のボデーからシャフトが飛び出ていますが、これを押し込むとあたかも中にスプリングが入っているように押し返されます。いま、単に押し込むと簡単に書いていますが実を言うとこのガスピストンとても人間の力で押せるような代物ではありません。
空気銃で使うときも、中折れの部分を利用してテコの力でやっと押せる位の強力な力を要します。で、スプリングの代わりに中に入っているのは圧縮空気です。
このままでよく空気が漏れないもだと思いますがこのまま1~2年は空気漏れが無いまま使えます。空気のシーリングに使っているのは単なるOリングだけです。ですから内径の仕上げは鏡面で無いと空気漏れがおきます、もし内部に微細な金属片が有ってもOリングが傷ついて空気が漏れます。だからと言って使用者側でどうにかなる問題ではありません、2年くらい経過すると、少し空気が漏れる事があります、その場合、空気を補充するために付属のポンプが付いているのです。多くの人がポンプが付いているのでこれで空気を注入して打ち出すと誤解しているのですが、この空気ポンプは "ガスピストン" の空気が抜けた時に補充するためだけのポンプなのです。
ここまで書くと、では最初からその畜圧した空気を使って弾を撃ち出せば良いではないかと言われそうですが、もしそうした場合、空気の補充のため数百回のポンプを繰り返さなければ成らなくなります。これは事実上不可能です。ではガスピストンを使うと空気を放出しないのに何故強力な弾を撃てるかと言いますと、重たいピストンと弾の抜弾抵抗を利用した賢いアイデアが有るのです。
この銃にはガスピストンで押し出す、もう一つその前に重たいピストンがあります。コッキングしたガスピストンは引き金を引くと一気に解放され、重たいピストンを急激に前に押し出します、ピストンは瞬時に前進し弾の後ろの空気を圧縮します、空気銃の弾は銃身に込められていますがライフリングには食い込んでいません、ライフリングに食い込むには相応の力を掛けないと入らないのです。"これがミソです"スプリングはどんどん前進して弾の後ろの空気を圧縮していきます、単にガスピストンの力だけならその圧縮した空気の圧力の反発で逆に押し返されるところですが、重たいピストンの"慣性"のおかげで押し返されることはありません、弾の後ろの圧力が40気圧になると空気銃弾はライフリングに食い込み急激に前進を始めます、そしてピストンが機関部内部の壁に激突する前に空気銃弾は銃口を離脱します。ですから、銃のもの凄い振動が有っても命中精度には影響がないのです。ピストンが前進を始めるときに小さな初期振動が始まりますがこれは命中精度の影響を及ぼしますので、このタイプの銃を撃つときは、引き金を引く瞬間はしっかりと銃を押させてないと命中精度が劣悪になります。これが中折れ式空気銃を撃つコツなのです。昔は空気銃射撃の国体種目に、スプリング銃の部と言うのがありました、つまりスプリング銃は元々無反動の銃に比較してその命中精度に少しハンデキャップがあるものだったのです。

スーパー12はエアータンクを使用した空気銃です、このエアータンク200気圧まで空気を入れることが出来ます。昔は高圧ガス規制法と言う法律があり、この法律では100CCまでしか容器の容量を認めて無かったのですが、法改正があり、容器の大きさが400CCまで認められるようになり、この銃も日本で市販できるようになったのです。
圧力が200気圧と言うと、威力=圧力 という感じで圧力が強ければ威力が強いと単純に考えがちなのですが、一番大切なことは空気の"流量"なのです。
1回の発射にどの位の空気を放出するかで威力が決まります、この銃は200気圧の高圧空気を400CCの容器に入れて、70~90発消費します。
射撃競技用の銃なら同じ200気圧を、1/4の100CCの容器に入れたものを使い、200発以上使うことが出来ます。これを比較しただけで如何に大量の空気を放出しているかご理解頂けると思います。威力を増大させるためには空気銃弾が銃腔内を進んでいるときも常に弾の後ろに高圧の空気で加速し続ける必要があるのです。
クローマグナム、スーパー12の射程距離は50メートルです、狙うゲームは鴨、雉、カラス等です、ユーザーの多くがシャープの空気銃からの転向組ですから元々空気銃ハターの方たちが愛用されているようです。

1/2ライフリング散弾銃について

2000年 1月 6日 築地

スラッグ弾の命中精度と威力を飛躍的に改善した銃が散弾銃でありながらライフリングを有するライフルドショットガンです、ライフルドと言うくらいですから銃身の全体にわたってライフリングが有るのですが全面にライフリングがあると日本ではライフル銃の扱いになってしまい散弾銃として所持することが出来ません、そのため全体の中から1/2以上ライフルを除去して散弾銃として登録できるように改造した銃が1/2ライフルと呼ばれる物です。

これに使う弾はサボット弾と呼ばれる装弾です。弾頭自体はサボットと呼ばれるプラスチックのホルダーに保持されています。ちなみにサボットとはオランダの木靴の事です。
このプラスチック自体をライフリングで回転させ撃ち出します。
銃口から出ると空気の抵抗でサボットは弾頭から剥離し落下します。こんな面倒なことをしないで最初から大きい弾頭を作れば良さそうな物ですがもしそんなことをしたら強烈な反動が発生し誰も使えない銃に成ってしまいます。
大きな口径から小さな弾頭を撃ち出す物を、アクチュエーター、又はサボットと呼んでいます、ライフル銃でも30口径から22口径を撃ち出す、アクチュエーターがあります。この場合初速は4000フィートに達します、通常の30口径の初速が2800フートくらいですからもの凄いスピードアップです。
戦車砲の中でもアーマードピアシーと呼ばれる、弓矢の形をした特殊な砲弾があります。
これは超硬の材質で非常に硬い弾頭として作られたり、劣化ウランなどを使用して非常に比重の重たい弾頭として作られているため弾道が極めて安定していて、戦車の鋼板を貫通させる事が出来ます。実際の発射を見ると射程4キロくらいはほとんどドロップしていないように見えます。戦車砲で撃ち出す場合同じく4000フィートで撃ち出します。
これらの弾頭もサボット弾頭と呼ばれています。

自動銃やスライド式散弾銃でも1/2ライフル銃身はありますが、ご存じのようにこれらの型式は機関部と銃身が固定されていないため激発の瞬間に微妙に銃身が動くため命中精度から言うとあまり良くはありません。
やはり命中精度重視で考えるなら銃身と機関部が固定されたボルトアクション式の銃が最良です。こうしたボルトアクシヨン式の散弾銃は、今まではブローニングのA-ボルトとモズバーグが有りましたが、ブローニングは今年から製造中止が決定しましたの現状で入手できるのはモズバーグのみとなりました。
モズバーグは当社では¥79000で販売しております。
また20番だけに限定されますがターハントも製造されております。
ターハントは当社では¥299000で販売しております。
ターハントとモズバーグはそれぞれ値段の格差が非常に大きいですがモズバーグは量産品、ターハントは少量生産の特別な銃ですので値段格差がありますが命中精度に違いはありません。
命中精度と弾の相性は極めて密接な関係にあります、装弾メーカーでは独自に弾を包むサボットの直径をそれぞれ独自の寸法で作っていますので使用する銃にそのサイズが合わないと命中精度が極端に悪くなります、そのため事前に使用する装弾の弾頭を取り出して銃口内を通過させて見れば簡単に判断できます、もし抵抗無く通るようだと命中精度は劣悪だと考えてください。

ライフリングが薬室側にあるか、銃口側に有るかの優劣ですが私は薬室側に有るのが有利だと考えております。それは雷管を点火して火薬に燃焼が広がると弾頭が移動を始めますが、そのとき弾頭がライフリングに食い込む抵抗が無いと、火薬の圧力が上がりません。
元々装弾は薬室からすぐライフリングが始まるのを想定して燃焼速度が決められていますので薬室の前にライフリングが無いとライフル銃で言うところのスロートがあるのと同じ状態になりますので、弾頭が早く動きすぎ火薬の燃焼が遅れがちになります。
従って燃焼速度の速い散弾銃の火薬を使うとはなはだ不都合な事が発生します。
その最大の問題は銃身の損傷です。通常の使用の場合問題ないと思いますが銃身と装弾の相性が著しく悪い状態で使いますと弾頭がライフリングに激突する事になり、銃身に膨らみが生じる事があります。また命中精度からも決して良いことではありません。

上下2連銃について

1999年12月29日 築地
改訂 2000年 1月24日 築地
改訂 2000年 1月28日 築地

当社で取り扱いをしているベレッタとペラッチについて紹介します。


ベレッタ(射撃専用銃の場合)

アメリカの射撃協会のサイトを覗くと、この協会の推薦している射撃銃はベレッタ682と、ASE90それにペラッチMX8だけです、それ以外の銃は推薦していません。
これら3丁の銃は、性能も、精度も、耐久性も、そしてコストパフォーマンスも最も優れた銃だからです。残念ながら日本のミロクも、ブローニングも推薦銃には入っておりません、しかしベレッタの銃種に関してはこれを訂正をしなければ成らなくなりました、それは今年の1月にラスヴェガスで開催されたショットショーでベレッタ製の銃にモデルチェンジがあったからです。ASE90は製造中止になり、それの改良モデルとしてDT10が新発売になりました。外見上はお互いそれほど大きな違いはありませんが、細かいところで改善がされていますのでその詳細について説明してみます。
まず、リヴの関係で言えば、DT10のリブは従来のASE90のリヴよりも少し高いステップリヴに変更されました。従来アメリカ向けの銃は銃床サイズがいくらか大きめに作られていたのですが、DT10の場合グリップも小さくなり、引き金とグリップの間隔も狭くなりました、銃床の長さ、プルレングスも短く成りました。相対的にASE90よりは少し小振りな感じに仕上がっています。
実を言いますと、ベレッタはアメリカ向けの銃と、ヨーロッパ市場に流す銃は銃床に若干寸法が違います、ヨーロッパ向けの銃はサイズが少し小さくできています。私の会社でも輸入する銃はサイズの小さいヨーロッパスタンダードと言う規格の銃を輸入しています。
ベテラン射手の中には、"日本人向け"の銃があると間違った考えにしっかり洗脳されている人が多いため事実を説明をするのに結構閉口しますが、実際には日本人向けの銃というのは存在しません、輸入元のリクエストで多少銃床の加工をしている事例は有るのですが、
単純に考えて、その日本人向けの銃というのは、一体身長何センチ、体重何キロ、年齢は何歳、射撃方法はどんなフォーム、の人を対象に作られているのでしょう? それが確定されていなければ銃床の寸法の決めようがないのに、具体的にそうした基本サイズの話は全くないまま、日本人向けの銃床と言う漠然とした話だけが既成事実として流れているのが現状です、ほんのわずか疑問を挟むだけで馬鹿な話だと言うことが解るのですが多くの射手が解らないままその風評を信じているので困ります。
日本人向けに作られた銃床とというキャッチは、商社が考えた与太話だと言うことです。
しかしながらベレッタには大別すると、アメリカ向けとヨーロッパ向けの銃床があり、アメリカ向けの銃を買うと確かにサイズ的には大きく感じます。
日本人にはヨーロッパスタンダードの規格が最適なので当社ではそのサイズの銃を輸入しています。で、今回の展示品が一体どの規格の銃を展示したのかそのスペックが解らないのではっきりしたことは言えないのですが、全体的には気持ち小さめに仕上がっているように感じました。
グリップのフィーリングはASE90とあまり変わりはありませんが、先台の指の辺りのくぼみの部分は、くぼみの取り方が大きくなり、実際に先台を握ると今までの先台より、よりしっかり握れる感じに仕上がっています。
銃床のチークピースは上下の可動式に成っており、左右に振ることも出来ます。これによりキャストオフ、キャストインを微妙に調整することが出来ます。
これは単に頬のサイズに合わすと言うことではなく、頬付けをしっかりする、あるいは通常の強さの頬付けにするかを容易に調整することが可能になります。
また銃身は全部交換チョーク式に変更されました。こうした変更には射撃フォームの変化がベースにあります。私が射撃を習った1960年代は、クレーが出て、ワンタイミングおいて、つまり"ため"を作ってからクレーを追う射撃方法が主流でした。
これに適したチョークは初矢がモデインプ(3/4)で後矢がフルチョーク(4/4)でした、クレーを有る程度飛ばしてから撃つため、私は特別注文の、上下の銃身ともフルチョークのメルケル303を使っていたこともあります。
この頃はあんまり早く撃つと、パターンが広がらない前に撃つといわれ、もう少し飛ばしてから撃てとよく言われたものです。
しかし、最近、オリンピッククラスの選手の射撃方法を見ますと、銃をかなり上に構え、クレーがでたら、銃身を上にもって行くと言うより、銃身を横にスイングさせるような感じで出来るだけ早くクレーを獲るような射撃方法に変わってきました。こういう射撃方法ですと銃床を柔らかく保持したり、頬付けが甘すぎると、シャープなスイングが出来ません。そのため銃自体もそうした射撃方法に合わせて改良がなされたと思います。
シャープにスイングさせると、銃が軽い方が有利なように思えますが、ある程度の重さがないと銃身が走りすぎるというのがベレッタの主張のようです。
ベレッタは多くのオリンピック選手のアドヴァイスによって作られます、そして多くのオリンピック選手に使われます、ですからベレッタが従来のASE90よりバランス的には重たい銃を作ったことは注目すべき事と思います。
さて、クレーを早く獲ると言うことは、散弾は早めに散開した方が良いに決まっています。
そのため希望の散開パターンが得られる用に全部の銃に交換チョークを取り付けているのです。スポーテングモデルは勿論ですが、スキート銃も交換チョーク式に成っています。
引き金に関して言えばASE90もそうでしたが、新製品のDT10も引き金は交換式に成っています。これは引き金が壊れた時に交換できると言うより、ハンマースプリングなどの交換が容易だと考える方が現実的な考えです。引き金が交換できるからと言って予備の引き金を持つのはナンセンスです、なぜなら引き金関係の故障の場合、撃針折れの場合は引き金を交換しても直らないからです。引き金が外れるのは、あくまでも修理がしやすいと考えるのが普通の考え方でしょう。
ベレッタの散弾銃は、銃身部分の製造方法で機関部とはめ合いになる銃身基部は大きなブロックから作られています。そのブロックに銃身を2本差し込んで作られています。
ブローニングなどは2本の銃身を上下に合わせて出来ています、ここが銃身の製造方法として違いがあるところです、別の言い方をすると、だからベレッタの銃は軽く出来るのです。で、この銃身の差込部分が従来のASE90よりDT10の方が長いそうです、その理由は、その方が耐久性が増すのでそうです。それにロッキングの部分も補強されたと説明していました。事実保証期間はASE90よりDT10の方が3年長いそうです。
当社では旧型のASE90は90万で発売していましたが、DT10は125万円と言う値段になります、ASE90は製造中止が確定したため現状ではもう少し値段は安くなるかもしれませんが、予算的に余裕が有ればDT10を買われる事をお勧めいたします。
国内の銃砲店ではまだこうした最新情報に接していないと思いますので場合によってはASE90も銃来の価格で取り引きされ続かもしれません、過去の事例を考えると、輸入元に旧型の在庫が無くなってから新製品の輸入を始めた事例もありますので消費者としてはこの事実はしっかりと頭に入れて購入してください。

ベレッタの射撃銃で最高級のモデルはSO5、またはSO6ですが、これは両方の銃ともサイドロック型式のため、コストが高くなっているのです。
サイドロック式の銃は左右のプレートの中に激発装置を組み込んでいるので構造が複雑になるため製造コストが高くなるのです、ではサイドロックのメリットは何かと言いますとサイドプレートを外すと、激発装置の部品交換や補修が簡単に出来るのが特徴ですが、DT10の様に引き金ブロックが簡単に外れるとサイドロックの意味が無くなります。
事実現在ではサイドロックの利点は全くありませんが、昔通りコストをかけて作っていると言うことがサイドロックの唯一の売りでしょう、故障発生率もむしろサイドロック系統の方が多いのが事実です、ですから射撃専用銃の場合、これを選択する理由はあまりありません。

同じく世界選手権やオリンピックに使われる、682ゴールドも型式が変更になることは確実です、しかしながらカタログには682Sとして新製品が掲載されているのですが展示会には新製品の展示が有りませんでしたので、発売は来年以降と考えるべきでしょう。
現状の682ゴールドは機関部は窒化仕上げをしてあります、これは金属の表面を深さ0.3ミリ程度ガスを浸透させ表面硬度を上げる処理の方法です、ガスを使わず楽品を使う方法もあります、機関部の硬度が上がっても耐久性能には何の変化もありませんが、表面が傷付きにくいという利点があります。
682ゴールドと新製品の682Sではタログで見る限りあまり大きな変更は有りませんが、チークピースの可動式と、固定式の両方が選択できうる様です、リヴの形状には変更はありませんが、機関部の彫刻には変化があります。年内の変更は無さそうなので今年購入する場合は買ってもかまいませんが、来年買い換えを希望し人は状況を見ながら判断される方がよろしいかと思います。

ベレッタ(狩猟用)

狩猟用の銃としてはシルバーピジョン、¥299000があります、基本設計は682と同じです、銃床の材質が682よりは少し落ちますが射撃用に使っている人も多くいます。
性能としては何ら変わりないので射撃用として使っても問題はありません。

シルバーピジョンと同じ構造ですが、機関部の材質に軽合金を使って軽量化を図った銃がウルトラライトです、重量はわずか2.6キロしかありません、弾の反動を受ける機関部の所にはチタニウムで出来た板を張ってあります、チタニユムはジェット機に使われる費用に高価な材料ですが、鉄よりも強い強度でなおかつ重量は鉄の60%しかありません。
そのためこのような軽量銃が出来たのです。しかしながら銃身等は鉄を使っています、ここはやはり安全性を無視できなかったからなのでしょう。価格はシルバーピジョンと同じです。ベレッタで一番お手軽なのはオニックスモデルです、値段的には¥199000とお手軽ですが、上下の銃身を取り付けているサイドリヴもありませんし、機関部も決して良い仕上げではありません、銃床も良い材料を使っていません。ま、値段で勝負と言うところでしょうか。

ペラッチ(射撃用)

世界選手権、オリンピック等で一番多くの選手が使っているのがペラッチです。
なぜ多くの選手が使っているのかと言うと、バランスの良さ、それが最大の理由でしょう。
ミロク等の銃と比べると機関部の大きさが小さいのがおわかり頂けると思います。機関部が小さいと当然重さも軽く出来ます、その軽い機関部に適当なバランスの銃身が付いているのです。
ペラッチのロッキングは上と下の銃身の間にロッキングが2個付いています、ブローニングやミロクはこのロッキングが銃身の下にあるため機関部全体が大きく成らざるを得ないのです。ペラッチの引き金ブロックは安全装置のレバーを前に押し出すと簡単に外れます、そのため引き金ブロックのメンテナンスは非常に簡単に出来ます、バネが折れたときにも簡単に交換できると言うメリットもありますが、現在製造されているペラッチのスプリングはめったな事では折れません、現在製造されるペラッチは、ほとんどのユーザーがスプリング折れは経験されていないはずです。勿論撃針折れもありません。金属材料はあまり変わっていませんが熱処理の技術が格段に進歩したのがその理由でしょう。
当社では当然スプリングや撃針の部品を持っているのですがここ3年間は1セットも販売したことはありません、これはペラッチの銃ではめったな事ではスプリング折れや撃針折れが発生した事がないと言う何よりの証明です。

ペラッチに関しては特段大きな変更はありません、やはり射撃用として一番売れているメーカーですからモデルチェンジは何の意味もないことを理解しているのでしょう。
しかしながら、特別注文で色々なバリエーションの注文を受けるようになりました。
交換チョーク式の銃身は下の銃身だけでも、あるいは上下2本の銃身だけでも引き受けるようです、また機関部の白仕上げも引き受けるそうです、当社では¥60000でお受けします、機関部だけでなく中の部品ごとの白仕上げもやるそうです、この場合追加料金は¥70000です。銃床の特別注文、アジャスト引き金、アジャスト銃床も注文に応じるそうです、このあたりベレッタと変わりはありません。
今年からペラッチ関係は値上げを決めました、MX5が$6400、当社は¥55000ですからアメリカで買うより割安で買えます。
MX8は$8800、当社の値段は¥85000ですから、これまたアメリカより安い価格で販売しています。
もし、折りがあったらミロク、SKBのアメリカでの販売値段を調べてみるとおもしろいと思います、ミロク、SKBは国産にも関わらず、外国では、なんと国内価格の半値で売っていますので、国内のユーザーはほとんどメーカーには舐められっぱなしです。
ミロクは最高と言う人も多いのですが、値段を倍もふっかけられてありがたがっているのですからメーカーも笑いが止まらないでしょう、そして心の中ではそうした射手を軽蔑しているに違いがありません、昔、国産の自動車がそうでした、1960年当時、ブルーバードはアメリカでは国内価格の半値売られていましたが現在は価格差がありません、銃砲業界に関しては消費者が無知である間はこの価格差は縮むことが無い事は間違いない事実です。皆さん出来るだけ早く事実に注目してください。
国産銃の値段は半分で売ったとしてもメーカーは採算が立つはずですから、2割引で買ったと喜んでいる方は3割高で買ったのと同じ事だと言うことを出来るだけ早めにお気付きなられるようの念じてなりません。

さて話が変わりますが、ペラッチの兄弟モデル、マエストロに付いてですが、今回も色々聞いたのですが外国での評価は全くよくません、念のため日本国内での修理状況を調べましたがマエストロは故障発生率が多いのが現状です、私は世界中から色々な銃を輸入して販売していますのでどこのメーカーにも何の義理もありません、マエストロを売る変わりにペラッチを売らなければ成らない義理もありませんが残念ながら世界の評価が極めて低い状況ではマエストロは当社の扱い品目に加えられません、もし世界選手権で大多数の選手が使うようになれば、現状のマエストロは国内標準価格の半値以下で売って見せます。なぜなら相変わらず標準価格の倍以上の値段で多くの人が買わされているからです。

ペラッチ(MX5)

MX5をMX8の下位モデルと見がちです、確かに価格的にはMX8¥850000に対してMX5は¥550000ですが、単に安いと言うことではなく、MX5の有利性と言うことにも着眼する必要があるかと思います。

MX5の特徴それはペラッチで一番軽量の銃だと言うことです、MX5のスキート銃の重量は3.5キロです、MX8よりも200~300グラム軽くできています。
そんためスキート射撃の場合に関して言えば、軽くて使いやすい銃と言う事になります。
スキート射撃の場合、クレーが出てから構えたのでは遅すぎます、"ガシャン"と言う放出器の音を聞いたときに瞬時に構えられなければなりません、スキート射撃の上達の秘訣を一言で説明するなら、如何に早く銃を構えられるかと言うことにつきます、そのためには軽い銃を選択するのは当然も事だと思います。スキート射撃の4番は銃の振れが一番大きなポジションですが、最初のクレーを捕ったあと、銃身を返す時には重いより軽い方が多くの射手に好まれるのは当然のことです。
オリンピッククラスになると、重たい方が銃のスイングが均一で、なおかつ最初のクレーを捕った後、ある程度惰性で振れた方が、銃身を戻したときに勢いが付くと言う論理もありますが、これはかなりの腕がある人の話ではないかと思います。
多くの人がMX5をスキート銃として選択するときは、"軽い"バランスが良い"こうした理由で選択されます、決して"安い"と言うことが最大の理由ではありません。
MX8からMX5に替えると言うことも起きています、MX5決して安いと言うことだけで選択されてはいないと言うことです。
トラップ射撃の場合、銃身を返すと言う動きがないので軽い銃のメリットがどれほどあるかは解りませんが、早捕りする人には好まれると思います。
ミロクとするとMX8は充分軽い、そしてバランスの良い銃ですが、MX8でも重たいと言う人にはMX5はお勧めです。 

自動式散弾銃について

1999年12月29日 築地

現在世界的に売れている自動式の散弾銃は1位がレミントン、2位がベレッタ、3位がブローニングです。 ですから当社ではこの3社の自動銃だけを取り扱っています。これ以外にもメーカーはたくさんありますが、この3社の製品を越える作りの銃はありません。
いずれのメーカーも銃身は交換チョーク式です、通常はフル、モデ、インプ、の3本の交換チョークが付属です。


レミントン

レミントンの最大の特徴は機関部がスチールで出来ていると言うことです、そのため丈夫だという利点の代わりに重たいという欠点も合わせ持っています。
レミントンの自動銃は現在流通している物は1100が最初のモデルです、以降のモデルも基本的な設計は同じで、1100の内部の肉厚を少し削り少し軽く作ったのが11-87です。
1100が作られた頃は、射撃専用の弾も32グラムでした、そして一番強い狩猟用の装弾も45グラムでした、ですからガスシリンダーの構造もそれほど複雑にする必要は無かったのですが現在は、射撃用の装弾は24グラム、猟用は3インチ装弾が当たり前になると強い弾から弱い弾まで同じように回転させなければ成らなくなりました。
そのため11-87にはピストンにガスシールと呼ばれるOリングを使うようになりました、これは24グラム装弾を使うための苦肉の策なので、射撃装弾を使うとき以外は取り外して置いた方が良いのです、なぜならこれを付けたまま使うと1年も経たない間にOリングが切れてしまいます、いざ射撃用の装弾を使おうとするときに回転しなくなりますのでOリングは射撃装弾を使うときだけ取り付ける方が良いでしょう。
強力なマグナム装弾を使うときは余分な火薬ガスはガス穴のバルブから放出される様になっています、1100用の銃身にはこの放出バルブがありません。
11-87をさらに軽くしたのが11-96です、機関部も極限まで肉抜きをしています、銃身も限界まで肉厚を薄く作っていますので、1100、11-87用の銃身を換銃身として使うときは11-96の先台を少し削らないと銃身と先台はフィットしません。

11-87にはプレミアと呼ばれるモデルと、SPS(スペシャルパーパス)と呼ばれるモデルがあります、プレミアモデルは木銃床を使い、金属の表面もしっかりと艶出し仕上げがされています、銃床もデュポン製の塗料で光沢のある仕上げにされています。
SPSは目的が狩猟用ですから金属部分も銃床も艶消し仕上げで仕上げられています。
またシンセテック銃床を使っているモデルもあります。
皆さんから良く聞かれる質問ですが、シンセテック銃床と木銃床とどちらが良いでしょう? これは状況によって選択する物に違いがあります。
木銃床の場合、外見の美しさ、加工性は優れていますが、割れなどの強度はシンセテック銃床の方が優れています。
寒冷地の場合、零下40度以下に下がる場合、木銃床は割れる場合があります。
もしレミントンを射撃専用に使うなら、プレミアスキート、プレミアスポーテングなどの射撃専用銃を使われることをお勧めします、この銃なら24グラム装弾で快適に回転します、また銃床も特選の品質の物を使っています。

ベレッタ

ベレッタには3インチマグナム装弾が使えるA-390と、マグナム装弾は使えない代わりに3キロと言う軽量のA-304があります。
新製品のA391ウリカは軽量でなおかつマグナム装弾も使える優れものです。
いずれのベレッタの機関部は軽合金製です、そのためレミントンよりは軽くできあがっています。銃床の材質もベレッタの方が格上の材料を使っています、値段がレミントンよりは割高なので当たり前と言えば当たり前の話です。
ベレッタの場合回転不良の調整をすることはまずありません、これはベレッタの場合旧型のモデルを引きずっていないため常に最先端の設計がされているためです、従って旧型の換銃身は使うことは出来ません、つまり303型の換銃身は304にも、A-390にもそれぞれお互いに一切の互換性はありません。
銃身内部は硬質クロームメックがされており錆びず、摩耗にも強く出来ています。

ブローニング

ほとんどのブローイング銃が労働単価の安い作られるのに対して、この銃は珍しくベルギーの工場で作られています。実はこの前に作られたブローイングの自動銃、モデル2000があまり評判が良くなかったため、ブローニングとしては細心の配慮をして作っていることが伺えます、その為か、この銃は回転不良も、修理することも全くない極めて優れた銃に仕上がっています。使用している銃床材料もベレッタと同じ良質の材料を使っています。しかしながらブローニングは24グラム装弾での作動性は保証していません、もし24グラムを使うので有れば3インチを使わないと言う前提で調整は可能です。
銃身内部は硬質クロームメックがされており錆びず、摩耗にも強く出来ています。

スライド式ライフル銃について

1999年12月25日 築地

当社で取り扱いしているライフルはブローニングとレミントンだけです。
スライド式の特徴は、何と言っても作動性が確実なことでしょう、この銃の場合回転不良と言うことはおきません、しかし、以下の事をよくよく注意して使ってください。

全てのライフル銃は、ごく通常の使い方をしても激発の度に火薬ガスがネックの周りに吹き戻してきて、それが徐々に薬室の壁にカーボンとして付着します。 
これが限界以上に付着しますと薬莢が薬室に張り付いてしまいます、自動銃の場合強制的に薬莢を引き出すので張り付があっても剥離します。 ボルトアクションライフルの場合ボルトを引き起こしていくと最後のところで強制的に後ろに2~3ミリ後退します、これで強制的に薬莢の張り付をはがします。 仮に薬莢の張り付が有ったとしても以上のような構造のため多くの射手は薬莢の張り付に気付くことはありません。

しかしながらスライドアクションの銃は、張り付いた薬莢を強制的にはがす設計になっておりません、そのため薬莢が張り付くと、先台はかなり強烈な力で引かないと動かなくなります。ですからスライド式ライフルを使う場合は常に薬室をきれいに掃除しておかなければなりません。
スライド式について説明したついでに説明しますが、最近はやりの "直動式ボルトアクション" も強制的に排莢するというメカになっていない以上同じようなトラブルに遭遇します。


レミントン

レミントンはスライド式ライフルでは一番古い歴史を持っています、当然して愛用者が一番多いのもレミントンです。 スライドアクションの欠点に付いてはすでに書きましたが、レミントンのエキストラクターは色々ある銃の中で一番貧弱ですから張り付が強いとエキストラクターが外れてしまうことがあります。弾倉はワンタッチで交換できますからこの辺の取り扱いは楽です。それに何と言っても値段が¥99000ですから買いやすい値段であるメリットも大きいと思います。

ブローニング

ブローニングのスライド式は一昨年から流通するようになった新製品です。
そのためレミントンよりは色々改良されている所があります、レミントンと比べて一番使いやすい点は、先台のアクションが軽いと言うことです。それと先台が機関部の下まで動きますので先台を保持する所がうんと手前でも充分に使いこなせます。
エキストラクターもレミントンよりは強力です、またマグナム口径に対応しているのもブローニングだけです。弾倉形式はヒンジタイプの弾倉蓋に取り付ける方法ですからレミントよりは使い勝手がわるいです。

自動式ライフル銃について

1999年12月24日 築地
改訂 2000年 2月 6日 築地

当社で取り扱いしている自動式ライフルはブローニングとレミントンだけです。
それ以外のメーカーはあまりお勧めできないので取り扱いをしておりません。

12月24日、最初にコラムとして書いたのがこの書き込みだったのですが、他のコラムの書き込み量とすると、重要なテーマなのにあまりにも書き込み量が少ないので、今回、加筆ではなく最初から全部書き直しました。そんな訳で、このコラムをすでにお読みになった方でも再読いただける内容になっています。


ブローニング

外国ではこの銃をBAR(バー)と愛称を込めて呼びます。BARとはブローニング、オートマチック、ライフルの略称です。実は、この銃の原型は第2次大戦中に使われた30-06のフルオートライフル、BARがその原型なのです。ですから現在市販されている猟用のBARも同じ会社の製品ですから極めて高い信頼性があります。
現用の猟用ライフルの中で回転不良が一番少ないのは、このBARです。
BARは世界中で一番売れている自動銃です、ですから常に品不足気味で販売する側からすると、品物の入手にいつも苦労させられています。高い性能の割に値段が安いのは、部品はベルギーで作られるのですが、その組み立ては工賃の安い、ポルトガルで組み立てられているからです。ですから性能の割に値段的に割安の銃が出来上がって居るのです。またBARの特徴として、7ミリマグナム、300マグナム、338マグナム等、マグナムカートリッジを使用できる自動銃としてはこのBARが世界で唯一のライフルなのです。
マグナム仕様の銃と、通常の308、30-06、とも基本構造には違いはありません。
但し、機関部はマグナム実包の長さに合わせて、308タイプ等よりはその分長くできていますが、ボルトの強度、ガスシリンダーの構造、引き金ブロックの構造、すべて同じ物です。
338マグナムを使っても大丈夫な作りの銃ですから、308や30-06では充分過ぎる耐久性があると言えます。現在のブローニングはマークII(マーク ツー)と呼ばれています、ですからこの前のモデルとしてマークI(マーク ワン)が有ったのですが、唯一の違いは弾倉の寸法が少し違うだけで、銃の構造には変更はありませんでした、それだけ完成度が高いと断言できます。
銃の出来は完璧に近いのですが、ユーザーからの不満が一番多いのが弾倉型式です。
多くの銃が、弾倉は着脱式なのですが、この銃はヒンジタイプの弾倉型式なのです。
トリッガーの前のストッパーを外すと、ヒンジが開きます、弾倉はこのヒンジに取り付けられているのです。最大の欠点は弾倉交換がスムーズに出来ないと言うことです。

一昨年あたりから、軽量モデルが発売されました、発売と同時に非常な人気となり現在も超品不足状態が続いております。当社でもこの銃を売るより、この銃を仕入れる事が最重要課題になっています。夏のセールの時からの品不足は現在も続いています、当社はこの銃をアメリカ経由で輸入しているのですが、アメリカ市場の流通経路からこの銃がほとんど消えてしまったため、急遽値段の高いヨーロッパ市場にも手を回して銃の確保につとめたのですが、ヨーロッパ市場からもこの銃は消えています、ブローニングも生産はしているのですが注文が多すぎてデーラーの間で取り合いになっているのが現状です。
日本では、お金さえ出せば何でも入手できる社会機構ですから、お金を出しても入手が難しい物と言う物はあまりありません、日本の企業なら注文が有れば増産という図式が出来上がっていますが、銃砲業界は少し事情が違うのです。
銃器の世界は40年位前が最大の生産ピーク時でそれ以降、生産量は年々減少を続けて来たのです、注文があるから増産、増産しすぎたため不良在庫、不良在庫のため経営悪化と、悪循環を繰り返し、銃砲業界は20年位前から深刻な構造不況業種になってしまったのです。
銃器メーカーはこの間に、銀行管理になった会社、経営者が変わった会社、他企業の傘下に組み込まれた会社、倒産して別の資本家が再建した会社、ほとんどがこういう状態に陥ったのです。
特に軍用品売り上げの比重の大きかった会社ほどその影響が深刻でした、最近のソ連の崩壊をみてもご理解いただけるでしょうが、国際的な緊張感が薄れたため、新規の軍用銃の注文が激減したのです。正確に言うと、激減と言うよりは消滅したのです。
そのため多くの軍用品メーカーが民間市場になだれ込みました、その為に民間用の猟銃の値段はあまり上げられないのです、かと言って会社経営を危うくする、短絡的な増産はどこの会社もリスクが多すぎてやらないのです。それに現在のアメリカは好景気が続いており、現在は銃器の需要がかなり高いので常に人気の銃は品不足状態になっているのです。
最も売れない商品はいつでも即納ですが。
今月、アメリカのショットショーに行きましたが、超品不足状態を解消するため、当社ではレスキュー、インポート、システム(緊急輸入システム)を設置する事にしました。
名前は大げさですが、仕事の内容は大したこと有りません、品不足の銃はアメリカ中の銃砲店に片っ端から注文を流し品不足を解消するのです。
つまり購買専門のスタッフをアメリカに置いたと言うことです。しかしながら、非常時に買い入れる値段は業者価格ではなくアメリカの小売価格で購入するので、当社の利益はあまりありません、場合によっては完全な逆鞘になりますが、これからのビジネスは単価の安さだけが売りではありません、在庫の品揃えこそ最大のビジネス拡大のチャンスと私は捉えていますので、この機会に在庫を極力確保しようと考えています。
さて、下らない内輪話をしてすみません、また話を戻します。
BARがこれほど品不足になった最大の原因は軽量モデルを発売したため、その人気に拍車がかかったのが原因です。軽量モデルは銃身を22インチに短くし、機関部を軽合金で作って3.2キロにしました、銃身の長さはこれくらいが限界です。これ以上短くすると回転不良がおきるようになるのです。
では銃身を短くすると何故回転不良が起きるのか説明してみましょう。
自動銃を撃つと弾を発射したと同時に薬莢が排出されます、人間の目から見ると同時ですがメカ的にはチャントした"お約束"に基づいて順序よく動いているのです。
引き金を引くとハンマーロックが外れ、ハンマーは撃針を叩きます。
この時は、ハンマーが外れるにはチャントボルトが前進していることが"お約束"です。
ハンマーは撃針を叩きますが、この時ボルトが回転してちゃんとロックされていることが"お約束"です。
点火した火薬はどんどん弾頭を押して行きます、ガス穴を弾頭が通過すると、火薬ガスはガス穴から入り、ピストンを押し下げます、ピストンが動いてもこの段階で絶対にボルトが開いてはいけないのです、これは絶対的な"お約束"です。
弾頭はさらに前進を続けます、ピストンはさらに後退します、まだボルトは開いてはいけません、弾頭が銃口から離脱しました! ピストンは慣性でさらに後退します。
弾頭は銃口から数メートル先を飛翔しています、銃口内のガスはほとんど放出されました。
ここで初めてボルトが解放されるのです。
ですからピストンが動き始めてからボルトが解放されるまで、タイムラグがあるのです。
そのため銃身が短すぎると、ピストンが後退し切る前に弾頭が銃口から飛び出し、ピストンを後退させるガス圧が減少するからです。ガス圧が減少するとピストンを充分押せなくなるので回転不良が起きます。
機関部について説明してみましょう、機関部が軽合金だと言うと"強度は大丈夫ですか"と聞かれることがあります。機関部は軽合金でも、ボルトと銃身は鉄ですよね!
弾の強烈な圧力はボルトと銃身だけで支えられています。で、そのボルトは先端が回転して銃身と噛み合うように設計されているのです。
ですから鉄の機関部でも、軽合金の機関部でも安全性には何の影響も無いのです。
機関部は弾の圧力を受けると言う意味では何の役にも立っていないのです、単に内部部品を止めているだけに過ぎないのです。
ライフルスコープを取り付けるとき、マウントベースを機関部の上にねじ止めして取り付けます、ねじ止めと言うことに関しては残念ながら軽合金は強度不足です。
そのため、軽合金の機関部はねじの入る所は鉄のブッシングが内側から圧入されています。
これでねじ山の潰れるのを防止しています。

では次にブローニングに取り付けられているボスについて説明します。
ボスは反動を軽減するマズルブレーキの効果があります、おおよそ30%反動を軽減します、実際に撃った感じでは300マグナムは30-06の反動になります。
ボスの反動軽減効果は大きいのですが、反動を軽減する為に弾頭が銃口から離脱する前に火薬ガスを横から抜くため、音がかなり大きくなります。音が大きいと言っても射撃場で使う分にはあまり支障は無いのですが、実猟の場合耳栓をして居る人はいないので、猟場で撃つとかなり音が気になります。音が気になればボスを外すか、ボスの周りにテープをぐるぐる巻きにして、ガスが横から飛散しないようにするか、穴のあいていない別売りのボスCRに変れば簡単に解消します。
では一番問い合わせの多いボスの調整について説明してみます。
ライフル銃を撃つときには固有の銃身は振動を起こします、いわゆるヴァイブレーションと呼ばれる物です、ボスを回すと回転により銃身の全長が変化します、これによりバイブレーションの振動を変化させて命中精度を良くしようと言う装置なのです、銃身には固有の振動があると説明しましたが、その振動の一番小さいところを銃口の位置にするため、全長を変えて振動のリズムを変化させ、弾頭が離脱するとき、つまり銃口の部分で銃身振動が一番小さくなるように工夫した物なのです。
銃身の振動は銃身長で変化しますが、装弾の弾頭重量、使用火薬の燃焼特性、圧力でも変化します、ハンドロードする場合、使用する弾頭、火薬、火薬量を色々変化させて一番当たるところを探りますが、実はこれも銃身のバイヴレーションを変化させているのです。
ですから、ハンドロードする場合は、ボスの調整は無意味なのです。
で、現実問題ボスを調整する事でどのくらい効果があるかと言いますと、まず工場装弾を使い、100メートルで3センチ位に集弾させる事が出来ないとなりません。
工場装弾でそれくらい当たれば、ボスを調整することにより2センチくらいにグルーピングを小さくすることが出来ます。この効果、わずか1センチくらいしか有りません。
100メートルで3センチに集弾させる事の出来る人は100%ハンドロードをやっているはずです、ハンドローダーにはボスは無意味です。
グルーピングが3センチ以上の人、たとえばグリーピングは30センチの人は、ボスをどのように調整しようが命中精度に変化はありません、それは銃身のヴァイブレーション以前に、腕がヴァイブレーションしているからです。

レミントン

レミントンも長い間自動銃を作っています。昔のモデルは742、現在のモデルは7400です、しかしモデルチェンジと言っても何処が変わったのか解らない程度のマイナーチェンジです、弾倉は互換性が無いし、マウントリングベースのねじの位置が違いますが、内部的にはあまり大きな変更はありません。
変更が無いと言うことはタイムプルーフされ完璧なメカニズムに到達したと言いたいのですが残念ながらまだ問題を残しています。それは回転不良です。
元々の設計は30-06だったので、30-06の場合は回転不良はないのですが308口径は回転不良の発生率が高いのです。
それは30-06は装弾の長さが長いので弾倉から上がってくる角度があまり急でないのですが、308の場合全長が30-06より短いので、弾倉から薬室に上がる角度がより急になり、弾頭の先端が薬室の壁に当たり装填不良になりがちです。
これを解決するには使用する弾頭の形状を別の物にするのが近道です、一般的には先端が丸い弾頭の方が装填不良を起こしやすいので、先端が尖った、スパイヤーポイントの弾頭を使う方が良いでしょう。
また弾頭が軽い場合、スライドが下がりきらないため、装弾の上にスライドが乗り上げて装填不良になるケースもあります。
この対応策にはガスポートの穴を0.3~0.5ミリ程度大きくするか、レコイルスプリングを1~2センチ切断して、レコイルがより完璧になるように調整する方法もあります。
またレミントンの場合、ガス筒の工作が不完全なため、ガスが充分吹かないため回転不良になる事も認められます。いすれにしても調整連すれば改善できます。
レミントンの利点は、弾倉が5発だと言うことと、弾倉交換が容易だと言うことです。
猟場での安全性を考えると、簡単に弾倉が着脱出来ることは極めて大切なことです。

ルガーミニ30

当社ではルガーは取り扱いをしておりませんが、他店から購入される方のためにルガーの事についても説明をしておきます。
ルガーミニ30の外観をご覧頂くとお解りになると思いますが、外見はM-14そっくりです内部の部品もM-14を参考にして作られています、いわばM-14の小型版なのです、ですから回転不良なども起きない優秀な銃です。日本では当然にして狩猟用の銃として輸入されていますが、実はミニ14の多くの需要先は外国政府です。
イスラエルでも、カナダでも、最近ではタイでも採用されたと言う話を聞きました、それも軍隊ではなく、警察とか、国境警備隊とか、あまり銃器を使用しないですむ部門か、相手が銃器の装備していないと言う状況の場合が多いようです。
つまり滅多に銃器を使用しないが、銃器を携帯しないといけないような部門です、ですからどうしても軽量の銃と言うことになります。
これに使われる装弾は30X39と言う、ソ連の軍用銃カラシニコフ47の実包と同じ物を使用しています。ですから人間にとっては有効でも、狩猟には力不足の感じが致します、とは言いつつ、カービン銃でも猪撃ちに使っている人は居ますのでチャント急所を撃てば大丈夫だと思いますが、さすがに蝦夷鹿撃ちに使う人は居ません、蝦夷鹿の場合、カービンではほとんど半矢になってしまいます、30X39も同じような物だと考えてください。
実を言いますと、このカートリッジ人間に使っても半矢になる場合が多いのです。むしろそれを意図として作られているのです。戦場で戦士が戦死すれば、当然にして見捨てられます、ところが半矢の場合、つまり貫通銃創だだけで死に至らない場合は当然救護しなければなりません、そのため相手を戦士させた場合、戦列から離脱するのは戦士1名ですが、戦士が負傷した場合、その介護と搬送のため戦列から離脱するのは4名という数字が出ているのです、当然実戦では戦士させるよりも、半矢の方が戦略的には効果が大きいのです。 

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