銃についての最近のブログ記事

空気銃のお話

2005年 2月 16日 築地
更新 2005年 2月 17日 築地
更新 2005年 2月 21日 築地
更新 2005年 3月 21日 築地

エアーフォース社のコンドル空気銃を取り扱うと言う告知をしたら、大変多くの方から沢山の反響が有りました。
多くの方がもう少し詳しく空気銃のことを知りたいと言うリクエストです。
私は普段はライフル銃の超精密射撃にチャレンジしたり、トラップ射撃をこなしたり、おおよそ空気銃とは縁のない射撃生活をしておりますが、最初に射撃を始めたのは当然ながら空気銃が初めてです。
射撃を始めた14才から、いきなりペラッチやストールパンダを撃っていた訳ではありません。
同じ射撃人生でも、生まれながらにして目の眩むようなお金持ちだった麻生太郎さんとは訳が違いますからね。
実は、私は今でも日本ライフル射撃協会の3段の資格を持っています。
その3段ですが、実は空気銃で資格を取得しました。
競技種目は空気銃の立撃ち40発競技です。
私の段級の証明書は0013番ですから、如何に昔に取得したかご理解いただけるでしょうか。
空気銃は非常にお手軽に出来る射撃で、第一お金がかかりません。
その様な理由もあり、私はスプリング式からガス式ポンプ式まで、銃のタイプもエアーライフルからエアーピストルまで、多岐にわたり色々な銃を所持してきました。
その数は両方の手の指では足らない位です。
私の場合、過去に「色々な女を渡り歩いた」と言う体験は不幸にして皆無ですが、過去に「色々な空気銃を渡り歩いた」と言う体験は実に豊富な男なのです。
「色々な女をボロ雑巾の様に捨てた」体験は不幸にしてありませんが、「色々な空気銃をボロ雑巾の様にして捨てた」体験は豊富な男なのです。
射撃場で見る私の肩には、何かしら男の郷愁の様な物が漂って居るに違いありません。
そういう男が語る、空気銃の話しは到底安直な態度で聞いてはならないのです。
今日お話する事は、本来は居住まいをキチッと正して聞くべき高尚な内容なのですが、私のコラムは過去にあまりにも不真面目な事を書きすぎた為、皆さんに急に居住まいを正すように要求しても誰も真面目に聞いてはくれないでしょうから、まあ寝転がって鼻くそでもほじりながら読んでください。

10年くらい前は、私はフルオートのエアーガンを発明して一躍業界の寵児となりました。
誰も、エアーガンでフルオートなんか作れる訳がないと思っていたからです。
私は連続的に空気を補充できる構造にすれば、車のエンジンと同じで「連続した動きを作れるのでは」と考えて開発に成功したのですが、別にここで偉そうにそうした理屈をひけらかすつもりはありません。ただ空気銃の製造と言うことに関して、全くの門外漢と言う訳では無いと言う事を言いたかったのです。
つまり、「空気銃には詳いからね」と言う風に、前もって言いたかったのです。
前もって権威つけしておかないと、真面目なことを書いても冗談に思われると困るからです。
空気銃に詳しい人に「なめんなよ」と言う虚勢が有ることも否定はしません。
なんせ、私はコラムの中でも全然空気銃の事については書いていませんので、急に空気銃の権威風を吹かせて馬鹿にされないか内心心配なのです。

さて、玩具のエアーガンは威力が有りすぎると銃刀法の問題に抵触しますが、私は研究段階では玩具を作りながら本物の空気銃に発展させられるように色々と考えて作りました、ですから、私自身は設計図を少し書き換えるだけで簡単に本物の空気銃のフルオートも作れる自信はあります。勿論空気銃と言えどもフルオートは違法ですが、セミオートには簡単に作り直せます。
巷では、あまりにもくだらない空気銃が法外な値段で売られている現状を見て、本当に心底、空気銃を作ろうと真剣に考えた時があります。空気銃は単純ですが理論的には流体力学の究極を極めたメカなのです。
空気の持つ潜在的なエネルギーを如何に弾丸の発射に利用するかと言う設計は、火薬を使う銃器とは全く別物の設計なのです。ですから面白い側面もあります。
現在、多くのハイパワー空気銃が法外というか、無法と言われる様な値段で巷にあふれていますが、操作性と威力から考えて、プレチャージ式と言う、高圧のエアータンクを利用してタイプの空気銃が一番強力な様です。
現在のエアータンクの圧力は200気圧が最高ですが、これ以上圧力を上げてもチャージ出来るコンプレッサーが無い事と、タンク自体の耐圧の関係で圧力を上げる事は出来ません。それにこうした行為はあまり意味がないのです。何故なら200気圧を250気圧ににしたところで、最初の数発撃っただけで、圧力は簡単に200気圧下ります。ですからこれ以上空気圧を上げて威力を高めるのは無駄な行為というか、無駄な設計なのです。
無駄な設計と言えば、巷に氾濫している空気銃にはかなり無駄な設計が少なくありません。
多くのプレチャージ式空気銃は、銃身の下にエアータンクを備えています。
先ずこれが最大の無駄な設計なのです。
こういう構造の場合、エアータンクから放出された高圧空気は一端、機関部に導入され90度方向転換をして上の方向に曲げられ、さらに機関部の中で再度90度に曲げられて銃身の方に導入されます。
つまりコの字に90度2回曲げられるのです。流体力学を少しでも囓った方、あるいはエアガンの違法改造に携わった方には簡単にご理解いただけると思うのですが、空気は流体ですから水と同じに、直進させるのが一番エネルギーの損耗が少なく、効率的にエネルギーを利用できるのです。
空気は水と同じですから、直進を阻害すればするほどエネルギー、つまり勢いが無くなるのです。
それと同時に、空気はエアータンクから放出されて弾を押し出すまで、その導入路が長ければ長いほど急激に圧力が激減してそれが致命的なエネルギーロスを生じます。
ファインベルクバウのポンプ式空気銃が、蓄圧した圧力を仮に70気圧として、空気銃の弾が10cm前進しただけで空気圧は幾らに減圧されるか、皆さん計算した事がありますか? 私は生まれるつき計算は苦手なので、ここで数字を披露して、訳知りの偉い人に後で訂正させられるような愚は犯しません。その為に数字は敢えて言いませんがそれだけで圧力は相当減圧されます。
それはポンプ式空気銃の銃身長が思いの外短いことにもその理由が察せされます。
ポンプ式空気銃の一見銃身と見えるのは、実はスリーブで、本当の銃身はスリーブの半分しかありません。つまりライフル銃の様に24インチも銃身長があると、半分以上の長さは空気量が足らないため、逆にブレーキに成ってしまうからなのです。
私が玩具のエアーガンを作ったときは、ほんの僅かなパワーしかないエアーブラシのスプレー缶のエネルギーを利用してフルートを完成させたのです。
その時、設計値から割り出した銃身の長さは僅か40cmでした。
その時に最大限考えたのが、如何にエネルギーを損なわないでエネルギーを取り出すかでした。空気は出来るだけ直進させればエネルギーを損なわないで済むのです。
言うまでもありませんが、私の設計したフルオートはエネルギーを最大限に効率よく利用する様に設計しました。その設計が優れていたかどうかは兎も角、それを超える設計は現在に至るも現れては居ませんから誰も呆れて作らないか、設計が優れていたかどちらかでしょう。
私が実際に空気銃を設計していたとしたら、エネルギー効率を考えて、ためらわず銃身のすぐ後ろのエアータンクを持ってきたに違い有りません。
つまりこれが一番エネルギー効率が高い設計だからです。
その理由は、聡明な読者諸賢ならすでにお解りのとおり、エアータンクからの導入路が少ないこと、空気を直進させられること、この2つが大きな要因のためです。
ですから巷にあふれているエアータンクからコの字に空気を導入する空気銃の設計は、2回も90度に進行方向を曲げて空気の直進性を妨げ、その為に導入路も長くなり、所詮は素人考えの設計なのです。つまり誰でも容易に考え付く設計なのです。
空気銃の威力を上げると言う事で着眼すべきは空気の圧力では無く、実は空気の吐出量なのです。
昔、玩具の研究過程で実験した事なのですが、僅か5気圧の空気圧で金属の弾丸でベニア板を貫通させる事が出来ました。勿論猟銃の製造免許を持っていて研究しているのですから、別段、違法行為をしていた訳ではありません。この実験で空気の圧力よりも流量がエネルギーに大きな影響を与えると言う事を確認したのです。
この事から如何に多くの空気を大量に吐出させるかが、空気銃の威力を高める大きな要因で有ることを確信出来ました。
エアーフォース社のカタログ説明を見ますと、エアータンクの吐出口について説明があります。でもその些細な説明と効果はあまり細かく記載してないのです。

ボンベの吐出口
ボンベの吐出口

意外なことですが、外国の書き物は、雑誌も含めて説明書に至るまでほとんど蘊蓄を書いてありません。
何故そうなのか、何故そう考えたのか、そういう蘊蓄があまり書かれていないのです。
話しがそれますが、私のコラムは、一体何処の人達が覗いているかおおよその推測が出来るように成っています。日本の政府機関か、日本の個人か、外国の政府か、外国の個人か、あるいは米軍組織か、大まかですがそうした色分けは出来るのですが、少なくない数で外国の人達が見ているのです。別段英語のページが有るわけではないのですが、翻訳ソフトを利用すると私のコラムは英語でも意訳程度では理解できるのです。
多分スケベな記述は理解不明の語彙に翻訳されている筈ですので、外国人から見たら私はそれ程変態には思われていない筈です。
私は、自分のコラムが英語に翻訳されて居る書き込みを、アメリカ人から見せられて驚いた事があります、すでにインターネットの世界はそこまで進化しているのですね。
当たり前のことですが、驚きました!

さて、話しを空気銃の威力に戻しますが、このコンドル空気銃の銃身が24インチだと言う事に私は「解って居るね!」と心ならずも賞賛しました。
つまり、24インチの長さの弾が前進する間、相当量の空気をエアータンクから送り込んで居ると言うことです。
24インチの銃身の長さ弾の加速を持続出来る空気銃は現状では皆無です。
24インチの銃身長、これが初速1300フィートと言う恐るべき威力を出した最大の理由でしょう。言うまでも有りませんが、空気の吐出量が充分に無い銃の場合、銃身が長いとかえってブレーキになりますからね、そこの理屈をよく理解して下さい。
1300フィートの初速が出せるかどうか、何処のメーカーも200気圧のタンクを使って居るのですから、少なくとも条件は同じです、威力の違いは銃身の長さと、それを補う空気の吐出量に有ったのです。つまり設計の良さです。
ここの会社では200気圧の空気を挿入するために、空気入れも取り扱っています。
貴方が糖尿病の患者で、医者から運動をするようにきつく言われているのなら。あるいは上半身をマッチョマンみたいに鍛えたいのなら敢えて止め立てはしませんが、普通の市民生活を送りたいのなら、決して空気入れで490ccの容器に200気圧の空気圧を注入するなどと言う暴挙は止めておいてください。
正常に夫婦生活をこなして居る人でも、それが原因で夫婦生活が数年間疎遠になることは間違いありません。
夫婦生活が疎遠になったとしても、エアーフォース社は勿論、私も一切の責任を負えませんのでご了承下さい。
兎に角、490ccの容器に200気圧の空気圧を入れると言うことはそれだけで、自衛隊のレンジャー訓練をマスターするのと同じくらいの体力と気力を要する事だけは覚悟しておいた方が良いでしょう。ですから私は最初から空気入れは取り扱いません。

空気入れ
空気入れ

ではどうして高圧空気を装填するかと言いますと、アクアラングのタンクから充填することをお勧めします。しかし厳密に法律を解釈すれば、高圧タンクから他の高圧タンクに異充填する場合、それだけで高圧ガスの製造となり、高圧ガスの取り扱い免許が必要となります、ですから私は高圧ガス製造法違反の教唆にならないよう、異充填は取り扱い業者に依頼されることを推奨します。でもアクアラングボンベを自ら購入して異充填されている方も現状では少なく有りません、ほとんどの方がそうだと言っても言い過ぎでは無くくらいです。
但し、銃砲所持者には遵法精神を遵とばれる方達がほとんどなので、これらの人達が高圧ガス製造の免許を持っているであろう事は容易に推察出来るのであります。
それが証拠に、銃砲所持者の誰も高圧ガス規制法で誰も検挙された方が居ないからです。

ところで、この空気銃は単発です!「なんだ単発か」と言う前に少し考えてください。
この空気銃は狩猟用です、ですから連射は必要ではありません。
何故なら初弾を撃ったときに、鴨達は飛び立つので連射の意味がないのです。
ですから単発で良いのです、逆にその方が弾のジャムがありません。
それよりも、初速が1300フィート出る方が遙かに意味のある事なのです。
多くの空気銃の場合初速は800フィートにも達しません。それでも「凄い!」と呼ばれているのが現状なのです。
充分な加速が有られない最大の理由は、そうです、すでに皆さんお解りのとおり。タンクからの導入路が長い、空気の流れを阻害している、空気の流量が充分にない。
それが最大の理由です。
過去に私を踏みつけて乗り越えて行った女性達は、誰も私の事を「凄い!」としてくれた者は居ませんが、何時の日か、私は「凄い!」と呼ばれる空気銃を作りたかったのです。
でも、誰でも考えることは同じですね、私と同じ設計思想でコンドルは作られています。
私は空気銃を自らの手で作るのは止めますが、その代わりこれを売ることにします。
唯一の国産空気銃メーカー「シャープ」の社長古田さんは、私の30年来の古い友人なのですが、早くこうした高性能エアーガンの開発に着眼してくれたらと思われてなりません。
私はシャープを「凄い!」と思った事は一度もありませんからね(キッパリ)

最後に空気銃の威力について少し説明してみましょう。
空気銃の威力の表し方は、それぞれのメーカーで勝手に言い表して居ます。
イギリスとアメリカでも違います。フィート/ポンド、キログラム/メーター、いずれも火薬銃の威力の表し方です。
空気銃の場合は威力が小さいので本来はジュールで表すのが本当です。
ジュール計算をする式は昔聞いたのですが、残念ながら覚えることが多すぎて忘れました。
資料を調べれば解ると思いますが、念のためにその式をエクセルで残して居たので、弾の重さと初速を打ち込めば簡単にジュールの計算ができます。
射撃専用の空気銃の場合はどれくらいでしょうか?
先ずは計算してみます。射撃競技用の空気銃はまるで言い合わせたようにファインベルクバウ社もワルーサー社も、初速568フィート(初速173m)前後です。
重さ4.5ミリの空気銃弾は0.6グラムですから、これを数式に入れて計算しますと8.7ジュールになります。

オリジナル画像
オリジナル画像
https://www.fareast-gun.co.jp/goroku/airrifle/j.xls

あくまでも体験上知り得た数字ですが、30m離れた鴨を即死させるには4.5ミリの空気銃弾を使い、初速705フィート(初速215m)程度必要です。
多分、これより少ない威力でも充分捕獲できるはずですが、多くの場合、この程度の威力の銃が使われています。この威力が13.9ジュールです。
コンドル空気銃の場合どうでしょうか?
5.5ミリ空気銃弾(重量1.2グラム、15グレイン)を初速1300フィートの威力と言うのは、94.0ジュールあります。空気銃の威力としては充分すぎる威力なのです。
ファインベルクバウ社も、ワルサー社も、射撃専用銃の為にあえて威力は初速初速560フィート(約初速173m)に押さえています。
でも、その命中精度は10mで10発撃って、ほとんど同弾です。
つまり10発撃っても弾痕は1発分しか出来ないのです、それくらい当たります。
昔は国体でも、空気銃射撃はスプリングの部と、ポンプ式の部と2種目ありました。
つまりスプリング式はそれくらい当たらなかったのです、でもポンプ銃でも伏撃ちで100点満点を取るのは容易では有りませんでした。
しかし、現在では立撃ちで100点を出す女性射手も珍しい事ではありません。
こんな現状ですから、私が立撃ちで3段を持っていると言っても「だから何?」と女性射手に軽く馬鹿にされるに違いありません。でも、そういう私の事を小馬鹿にする女性射手にコンドルの銃身は、ファインベルクバウとワルサーの銃身と同じ、「ロットー ワルサー」社の銃身なんだよと言ったら、きっと「凄い」と言ってくれるかもしれません。


更新 2005年 2月 17日

空気銃の新規取り扱いの件、拝見いたしました。
やはり、ストーカー、FX、エアアームス、デイステート等の興味を引かれる銃の取り扱いは出来ませんか。

【コメント】
読者の方から以上のようなメールが来ました。
コンドルはイギリス製ですので、威力的には私の要求するパワーはありません。
何故なら、イギリスでは法律で空気銃の威力が限定されているのです、イギリスでは空気銃の威力が限定されているから空気銃としての存在が認められているのです。
威力の強い銃が欲しければ散弾銃を使えと言う発想なのでしょうかね。
アメリカでは、空気銃の威力は無制限です、ですからアメリカ製に意味があるのです。
また、コンドルの銃身はワルサー社製の製品です。
韓国製の銃と比較するのはいささか気の毒ではありますね。

御社にて AirForce Condorを扱われると聞及び大変嬉しく思っています。
実は小生は一昨年にこれの従前モデル TALONを苦労して個人輸入した経験があります。ところがその1年後にはるかに性能を上回るCondorが発売され悔しい思いをしております。そこで何とかCondorへのバージョンアップキットを手に入れられないか、米国のいくつかの取扱店に何度かメールを出していますが、なかなか色よい返事が着ません。ところで今回のCondor取り扱いに際してTALONのパワーアップキット(24inchバレル、HI-FLOバルブタンク、ストライカーウェイト)なども取り扱いになるご予定はありませんでしょうか?

【コメント】
また別の読者の方からは上記のようなメールが来ました。実はこのパワーアップキットは工場組み込みが条件みたいですので、我々では対応出来ないようです。
この様に、多くの方が威力に対して大きな関心を寄せられています。
命中精度は当然のことですが、威力は空気銃の選択時には大きな要因だと思います。


更新 2005年 2月 21日

コンドル空気銃について色々書いたら、威力が強いのは解るが命中精度はどうだと言う問い合わせが沢山ありました。

空気銃の命中精度について書きますが、ドイツに行った時に、アンシュッツ社、ファインベルクバウ社を訪問しました。
その時に工場で空気銃の試射を見せて貰いましたが、両社とも10m離れた試射的に10発の弾を撃ち込み、完璧な同弾を示していました、驚くべきは、その10発撃ち込みの標的に、空気銃弾をソーット差し込むと空気銃弾のスカートの部分で引っかかって弾痕の穴から落ちないのです。「完璧な同弾痕ですね!」
私は長年、究極の命中精度を競うベンチレスト射撃をやっていますが、空気銃でのベンチレスト射撃は何処の国でもやっていません。
それは銃の命中精度が高すぎて、そのままでは競技が成立しないからです。
つまり現在では空気銃の命中精度は完璧に完成され尽くしているので競技にならないのです。

そのファインベルクバウ社の銃身は、ワルサー社で作られています。
以下、ワルサー社のHPです。
http://www.lothar-walther.de/
ここの会社のHPを読めばよく分かりますが、かの有名なワルサーP38を設計した、カールワルサー氏の息子さんが創立した会社だったのですね、ですから最初から相当レベルは高いのです。
ワルサー社は当然ですが、ファインベルクバウ社もここの銃身を使っていますので、間接的ながらワルサー社の銃身は、多くのオリンピックメダリストに選択された銃身と言うことが出来ます。現在の常識で言うならば世界最高の高精度銃身と言うことになります。

エアーフォース社の、コンドル空気銃の銃身もここワルサー社の銃身を使っています。

ワルサー社が偉いのは、絶対に何処の会社に納品しているか、自ら言わないことです。
以前にファインベルクバウ社を訪問したとき、「何処の会社の銃身を使っているのですか?」と会社の偉い人に聞いて、やっとワルサー社の名前を聞き出しました。
そして翌年、ワルサー社に言って「何処の会社に納品しているのですか?」と聞いたらノーコメントという返事でした。ファインベルクバウ社では御社の銃身を使っていると言っていますが、と水を向けると、やっと「ファインベルクバウ社には納品していますが」という返事を得る事が出来ました。この様に徹底的に裏方に回って居るのですね。

ところで、空気銃の初速ですが、ファインベルクバウ社でも、アンシュッ社でも、試射している時の初速は173mでした。
これ以上早くても、遅くても命中精度は落ちると言うのが試射している人の意見でした。
私自身は、まだコンドル空気銃の試射をしておりません、現物がまだ無いことも理由ですが、威力が強すぎてどこの射撃場でも撃たしてくれそうもありませんから、試射するのもライフル射撃場でないと無理みたいですね。
ですから10mでの命中精度の比較は難しいかもしれません。
少ない数ですが、エアーフォース社の空気銃を個人輸入している人達がおり、その人達の話を聞くと、50mで鴨の頭部には命中する精度はあるそうです。
現実に沢山の鴨を捕獲していますので、これらの人達の意見は本当の話だと思いますが、銃が入荷したら私自身、自らの手で命中精度のテストをして、レポートを開示するつもりです。


更新 2005年 3月 21日

アメリカでのコンドルのレポート記事です。英文ですが参考に掲載します。
 http://www.pyramydair.com/site/articles/condor/

銃器世界、その常識の嘘

2003年 2月 12日 築地

世界の常識は日本の非常識、日本の常識は世界の非常識なんて事がよく言われます。
この間、左寄りのラジオ番組を聞いていましたら、イラク攻撃に賛成の人は6%、反対、あるいは分からないと言う人が、が96%あり、私自身は大変びっくりしましたが、マスコミと言うのは基本的に左寄りですから、設問の仕方でアンケートはどうにでもなりますから、このアンケートをそのまま信じるほど私は馬鹿ではありませんが、仮に攻撃反対と答えた人は、もし北朝鮮が攻撃してきたら、その時はアメリカさん"助けてっ"と叫ぶのでしょうか?私だったらそんな自分勝手な奴は絶対助けませんね!
反米のために、アメリカに頼らないと言うのであれば、国防と言う見地から北朝鮮と対峙するには日本の核武装しかありませんが、私は核武装には反対です、核装備はコストがかかりすぎますし、実験場もありません。それに何よりも国民のコンセンサスも得られないでしょう。と、すると北朝鮮には無防備で、アメリカのイラク攻撃には反対し、北朝鮮からの攻撃で、困ったときにはアメリカに助けて貰う、これが国民の常識でしょうか?
アメリカも日本のマスコミにはボロクソに言われながら、ちゃんとやるべき行動を取っている事に対して私は敬意を表します。佐世保を母港としている強襲揚陸鑑、"エセックス"は密かに佐世保港を出港して今、沖縄にあります。沖縄のキャンプハンセン海兵隊基地の海兵隊員は未だ基地に留まっています。現状ではイラクに出兵する気配はありません。岩国の海兵隊も何故か静かですね。いつもの時期なら中古銃のバザーの開催時期について連絡が頻繁に来る頃なのですが、猫が獲物を狙っているようにずっと沈黙しています。
沖縄の嘉手納空軍基地には空軍の虎の子**が現在常駐しています、アメリカはイラクに手を取られているように見えますが、なかなか北朝鮮への警戒は緩めていません。今の時期に北朝鮮が愚かな行動を起こせば、瞬時に北朝鮮は壊滅です!不見識のそしりを受けるでしょうが、私は密かに北朝鮮が軍事行動を起こすことを願っています。
その時、社会党は(党名は変わっても内容は同じですからね)、日教組は、朝日新聞は何と言うのでしょうかね、また北朝鮮賞賛ですかね。
この間も広島の市長さんが米軍の艦載機発着訓練に広島の無人島を使うという案に猛反対されておりました、この方はアメリカの核には猛反対の政治姿勢を貫いておられますが、何故か北朝鮮の核には、グッとトーンダウンしていますが、どちらの核が国民にとって脅威なのでしょうか?それともこの市長は北朝鮮から金でも貰っているのでしょうかね。
広島市民の方、日本国のためにしっかりした選択をお願いしますよ!

この様に、私からするとおかしいと思うことでも、日本では常識として定着している事が多々あります、世相でもそうなのですから、私の専門とする銃器では尚更です。
私が常識として認識していることでも、一般のユーザーからこちらの足下がふらつく位の衝撃的な答えが返ってくるときがあります。
意外と、私が常識と考えていることでも、一般の方には非常識!
逆に私が常識として考えていることが、皆さんにとっては非常識と言うことがあるようです、今回は、その常識の嘘について淡々と説明してみます。

■自動銃はボルトアクションと比べて初速が遅いのでしょう?
こういう疑問は多くの人が抱いているようですね、常識的に考えれば、弾を撃ち出すエネルギーの他にボルトをスライドさせて、弾を装填するエネルギーまで使っているのですから誰が考えても弾の方には充分なエネルギーが回らないと思うでしょうね。
しかしながら、ボルトアクションの銃で撃っても、銃口から猛烈なガスが吹き出ますね。
弾を撃ちだした後のガスは何の役にも立っていません、それはご理解頂けますね。
車で言えば、エンジンのエネルギーは駆動力に使ったとしても、排気ガスでターボを回してもエンジンには一切の負担をかけて居ないこともご理解頂けるでしょうか。
これと同じ延長線上でお考えください、確かに銃腔内からガスを引き込むわけですから多少のエネルギーは自動銃の回転のために利用されますが、それ以上のガスが銃腔内では順次発生しているのです。ですから多少のガスをガス穴に引き込んでも、弾の発射エネルギーとしては全然問題は起きないのです。64式小銃を開発した某氏にお伺いしたところ、同じ弾をボルトアクションの銃と自動銃に使用したところ、何度テストしても何故か自動銃の方が初速が早かったという話を聞いたことがあります。「それは何故ですか」とお聞きしたら、鉄砲七不思議で原因は解らないと言うお答えでした。
私自身が視認した訳ではありませんので、私は正しいとも間違いとも、何とも言いようがないのですが。少なくとも自動銃だと初速が落ちるということは無さそうですね。

■マズルブレーキが有ると初速が落ちますよね?
これも非常に良く聞かれる疑問です、誰でも銃口付近からガスを抜くのですから初速が落ちると考えるのが常識ですよね。
ところが、実際に初速をはかってみますと、全く影響は無いのです。しかし現実にガスを抜いていますよね、私の仮説ですが、銃口から出る余分なガスは、弾の推進にはあまり役立って居らず、あのエネルギーは銃口をジャンプさせている事に多くのエネルギーが使われていると思います。超高速度写真を分析しますと、銃口から弾丸が離脱してから銃身のジャンプが始まります、銃口から吹き出すガスが多ければ多いほど、銃口のジャンプは大きくなるのではないかと思います、ですから銃口にあるマズルブレーキから余分なガスを逃がせば、銃口のジャンプは少なくなると考えています。
軍隊で使う大砲には等しく銃口にマズルブレーキが付いていますよね、実験の結果、あれが有っても砲弾の初速は落ちないことが立証されています。逆にあれがないと反動が強くなり銃口のジャンプも大きくなります。
実験室で実験する場合、全く同じ銃、同じ弾を使っても、反動で銃口が後退する銃を使った方が初速は遅くなります。つまりライフル銃を固定して、レコイルパットを使わないで、後ろも完全に固定して試射しますと、銃が後退しない分、初速は明らかに早くなります。
レコイルパットを使って後ろを固定すれば初速は少しだけ落ちます、人間がレコイルパットの付いた銃を使って試射すれば、射撃の瞬間に急激に銃が後退するので初速はさらに遅くなります。
ウエザビーライフルの場合、300ウエザビーマグナム、180グレインの弾頭を使った場合、その初速は3240フィート出るとカタログには記載してあります。
ところが、ハンドロードする人に言わせますと、どんな事をしても、絶対その初速は出ないと断言します! そういう質問を浴びせられた時には"貴方は自分で銃を撃ったんでしょう?"と答えます、ほとんどの人は呆然としますが、カタログには人間が構えてテストしたとは何処にも書いてないでしょうとたたみかけます。
ウエザビーマグナムの初速、これは実はトリックがありまして、銃を完全固定して、薬莢と弾頭を僅かに接着した装弾で撃てば、薬莢から弾頭が離脱するのに抵抗があるため、火薬の圧力も上がり、なおかつ銃身の後退が皆無ですので、そうした初速が出るのです。
ですから銃口が後退すると言うことは初速が遅くなると言うことに繋がります。
しかし、銃口が全く後退しないと命中精度はバラバラになります、銃口が行き場が無くて暴れるからでしょうね。命中精度を得るためには適当な反動が必要ですが、必要以上の反動は初速を遅くさせるのです、ですからマズルブレーキは反動は軽くしても、弾頭の初速が落ちると言う事には必ずしもならないのです。

■自動銃は命中精度が悪いでしょう?
銃の命中精度が悪い最大の要因は射手の腕です。
こう書けば身も蓋もない話になりますが、当たらない一番の要因は使う射手が最初から当たらないと思って撃てば当たりません、少々当たっても「自動銃なら良い出来だ」と妙に納得してしまうのも問題です。銃が当たるかどうか、根本的な問題は銃身にあります。
現在ではボルトアクションの銃でも、自動銃でも銃身の精度は同じに作られています。
唯一、自動銃の命中精度低下の要因は、銃身の固有のバイブレーションを阻害する銃身に固定されたガス穴でしょう。しかしながらボルトアクションライフルでも銃身が完全にフリーフローテングしてありますのは射撃専用銃しかありません、ハンテング用のライフルは全て何らかの形で銃床と接触して銃身バイブレーションを阻害しているのです。
じゃフリーフローテングにすればどんな銃でもたちどころに当たるようになるかとそうでもありません、やはりある程度の太さがないと銃身が暴れて命中精度は良くなりません。
その様な理由で、自動銃もボルトアクションの銃も、ハンテングライフルに関しては100mで2~3cmには集弾します。
ですから、自動銃だから、ボルトアクションライフルだからと言う理由で命中精度が違うと言うことはありません。

■自動銃の機関部は弾が出る前に開くのですか?
自動銃というのは完全に弾が銃口から離脱してから、ボルトは開いているんですよ。
ではそのプロセスを時間を追って説明してみましょう。
雷管で点火された火薬ガスは、燃焼と膨張を繰り返しながら大量のガスを発生させます、この場合、ガスの圧力と燃焼温度は極めて重要な因果関係にあります。
火薬の燃焼温度は3500度、火薬の圧力も3500気圧有ります。
両方の条件が絡み合って膨大なエネルギーが発生するのです、ですから火薬だけを取り出して、マッチで火を付けますと、火薬は単に"ボーッ"と燃えるだけです。
この様に、周囲に強力な圧力がないと火薬は爆発的な燃焼は起こさないのです。
ですから、火薬は閉ざされた銃腔内でないとあのようなエネルギーは発生しないのです。

私もたまに火薬を燃やしますが、これは放火犯が火を見るとスカッとすると言うよな、そういう心情で燃やしているのでは無いのです、実は火薬の燃焼は、子細に観察するとそれぞれの火薬で微妙に燃焼時間が違うのです、この燃焼時間の違いが、火薬が爆発したときの燃焼時間に正比例しているのです、従って2種類の火薬の燃焼時間がどちらが早いかと言う判断をするには2種類の火薬を同時に点火して燃焼時間の差を比べますと火薬の爆発時の燃焼速度の違いが判断できます。
ライフル銃の場合、火薬を大量に消費するマグナムライフルの場合、燃焼時間は遅くなければなりません、そうしないと大量の火薬が瞬時(火薬ですからみんな瞬時ですけど)に燃焼したら銃腔内の火薬ガスの圧力が上がりすぎて、銃が破砕してしまうのです。
逆に口径の小さな装弾に燃焼速度の遅い火薬を使うと全然スピードが出ないのです。
散弾銃の場合、全てが同じような形態をしていますので全て同じ火薬を使っているように見えますが、24グラムの射撃用装弾を撃つ場合は"パッ"と火薬が燃えます。
逆にサボット弾の火薬は"ボボボボ"とゆっくり燃える火薬が多く装填されています。
では射撃用装弾はみんな同じかというと、たとえばB&Pの場合、F1とF2では火薬が違っています、燃焼速度に変わりはないのですが、それぞれの火薬の色と大きさが違いますから違うのでしょうね、しかしながらどちらがどういう特性なのか全然解りませんがね。
B&Pの弾の場合、オリンピックでも使っている位ですから、悪くはないと思うのですが時たま必要以上に圧力の高い弾がありますが、こうした不良弾に遭遇すると薬莢の底が膨らんで排莢出来なくなります。
この弾は気取って薬莢の底に鉄の(メッキしてあるので真鍮に見えますが、決して真鍮では有りませんからね)の補強がありますが、生半可これが長いために薬莢が膨らんだ場合、かえって始末に負えなくなります。仮にこれが本物の真鍮だったらスプリングバックの作用でちゃんと収縮するのですが、鉄だと全然駄目ですね。
ですから、ライフルの薬莢は全部真鍮で出来ているのです、例外的にソ連の腐れ弾等は、薬莢が鉄で出来ているのもありますが、これはその弾を使う軍用銃の薬室が余程ぶかぶかに出来ているのでしょうね。幾ら弾が安くても銃を壊したら何の意味もないですよね。
鉄を使ったために薬莢が広がり排莢出来なくなるのなら、むしろ全部プラスチックで出来た、レミントン、プレミアの方が遙かに良いですね。

話がだいぶ横道にそれましたが、話を元に戻します。
弾頭が銃腔内を3500気圧の超高圧で押されて前進しますと、銃腔内の中心あたりに設けいられたガス穴にさしかかります、ガスはほんの僅かですがガス穴にも導入されます。
ガス穴の導入されたガスはピストンを押し下げます、ピストンの移動距離は極めて限定されており、移動量はせいぜい1cmくらいです、ピストンはオペレーテングアームを強力な力で、そして、すざましいスピードで押します、まさしく瞬間です!
オペレーテングハンドルはその慣性で10cm位後退し続けるのです。
ガス穴からガスが導入されてから、弾頭が銃口から離脱するまで、こうしてタイムラグを稼いでいるのです、そうでないと火薬ガスが高い内にボルトを開放しますと、ボルトが破損する可能性があります、なんせ銃腔内は3500気圧の超高圧がかかっているのですからね。銃口から弾丸が離脱すると銃腔内の圧力は急激に減少します。
ちなみに、銃の反動と言うのは弾丸が銃口から完全に離脱してから発生します。
ですから銃口がジャンプしたときは弾頭は相当先を飛翔していることになります、火薬ガスも圧力が下がり、ボルトは大体このあたりで開放を初めます。
銃口のジャンプが下がったときには、ボルトは前進を終わり、次の弾が装填されている状態になります。ですから反動が来た後、ガチャガチャとボルトの動く振動を感じるでしょう、ガチャガチャが収まった頃は、銃口のジャンプも元に戻っているはずです。

■ライフルの銃身は長い方が当たるのでしょう?
これも往々にしてある誤解です。
銃身が長くて有利なのは、唯一初速が出せると言う事だけです、弾丸は銃身の中にある間常に加速されますので、加速される時間が長いほど初速が早くなるのは当然です。
1000ヤードの標的射撃、パルママッチに使われる射撃専用銃は30インチ有りますが、これは308ウインチェスターの弾を、2900フィート以上で撃ち出すためにこの様な長い銃身長が必要なのです。そうでないと1000ヤード射撃の場合、ちゃんとした命中精度が出せません、また放物線もかなり高くなります。
漫画のゴルゴ13には1000メートルでフットボールを撃てる腕前のスナイパーと言うことになっていますが、それならばパルママッチの参加選手は全員ゴルゴ13並の腕前と言うことになりますね。
22口径ライフルの競技用銃身も28インチ有りますが、これは振り子のモメントと同じように、銃身がある程度長くないと銃口が簡単に振れてしまうからです、ちなみに射撃競技で使われる空気銃は、見かけはそこそこの銃身長がありますが、あれは実際の銃身はあの半分しかありません、先の半分は銃身ではなくて単なるパイプなのです。
究極の射撃精度を競うベンチレスト、ライフル射撃競技の場合、銃身長は僅か、56cmしかありません、50cm程度のもっと短い銃身すらあります。
私の実験では、6ミリPPCという弾の場合は、銃身長を長くすると逆に命中精度は悪くなりました、ですから銃身が長ければ命中精度がいいと言うのは迷信ですね。
ちなみにベンチレスト、ライフル射撃の場合、100メートルでの命中精度は僅か1ミリです、つまり6ミリ口径の弾頭を5発標的に撃ち込んでも、弾痕はわずか7ミリにしかならないと言うことです、勿論その7ミリの中に直径6ミリの弾頭が5発命中していると言うことですよ、20インチの銃身でこれは可能な命中精度ですね。

■ライフル銃の銃身に加工してあるフルートは放熱効果の為ですか?
うーんこれは難しい質問ですね、銃身にフルートを加工すれば表面積は大きくなるので、物理的には放熱効果はありますが、ライフル銃の銃身は放熱しなければならないほど熱くなるかという問題があります、確かに連続して撃てば手で触れなくなるほど熱くなります。射撃競技の場合は陽炎の発生は避けられないでしょう。しかしながらフルート加工をすればその問題が回避できるかと言うと、回避はできません。同じです。
同じような質問で軽量化のためですかと聞かれることもあります。
軽量化ならば銃身を細くするか、短くすれば事足ります。
確かに銃身にフルートを入れれば銃身が軽くなることは事実ですが、多くの場合、この加工をしてあるのは"見栄え"の為ですね、私はそう思います。
私の知識の範囲では、最初に銃身にフルートを入れたのは、戦闘ヘリコプターに搭載するために作られた、モーゼル社の3本銃身のバルカン砲では無かったかと思います。
3本銃身をぐるぐる回して1分間に4000発もの弾を撃てば銃身は急激に加熱されますし、銃身がぐるぐる回っていれば、銃身にフルートを入れることにより、放熱効果は得られます。しかし、フルートの入っている銃身と言うのは妙に格好がいいんですよね。
そのためにライフルの銃身にフルートを入れたのが動機ではないかと思います。
しかし、何でフルートが有るかと言うことについては、技術的な理屈付けが必要ですよね、そのために放熱効果とか、軽量化とか、言い始めたのではないかと推察します。
こういうフルートは、ミーリングマシンで削るのですが、この加工は思いの外銃身にストレスを与えます、フルートが一本だけだったら間違いなくその方向に銃身は曲がります。
必ず対面の側にも加工をするので歪みが釣り合っているに過ぎないのです。
ですからベンチレスト射撃等の究極の命中精度を競う世界ではフルート加工をしないのが常識です、そういう観点から推測すると、あれは一種の飾りですね。

■ボルトアクションライフルはボルトががたがたなのは不良品ですか?
ボルトアクションライフルのボルトを引くと、目一杯引いたところではボルトは機関部に対してがたがたに収まっています。誰の目から見ても、精度の悪い安っぽい加工のように見えると思います。誰でもこのガタがない方が良さそうに思うのでしょうが、このガタがないと色々と問題が起きるのです。
ボルトアクションライフルは真ん中の弾倉の部分は空洞です。機関部と銃床はトリッガーガードの前のネジと、後ろのネジ2本で止まっています。
銃床がへたったりすると、このネジが必要以上に締め付けられます。そうすると機関部は弓なりに反るのです。もし機関部が反ると、ボルトは途中で止まってしまうのです。
また小さなゴミが介在してもボルトは止まってしまいます。
そうしたトラブルを避けるため、機関部とボルトはがたがたに作ってあるのです。
現在の工作技術を持ってすれば、極当たり前に作っても、加工精度は5/100ミリで作れます、ですからガタが無いように作るのは極めて簡単なのです。
ですが、ボルトがスタッグしない為に、わざとがたがたに作って有るのです。

■射撃装弾は、マグナム装弾より初速は遅いでしょう?
今回の常識の嘘は、ライフル一辺倒になってしまいましたので、ショットガンユーザーのために最後のコメントをしましょう。
狩猟に使われるレミントンプレミアの56グラムの3インチ装弾などは二度と撃ちたくない程の強力な反動があります。レミントンのカタログによりますとこの弾の初速は1175フィートです。
ひるがえり、射撃用の24グラム装弾、2:3/4装弾の場合、反動はかなり弱くなりますが、弾の初速は1325フィート出ています。
なんと射撃用のあの軽量の反動の弾の方が弾の初速は早いのです。
あの強烈な反動は、弾の初速ではなく、弾の重さのために生じていた反動なのです。
ですから反動は強力でも、弾の数が多いだけですから一発の弾に存在するエネルギーは、逆に小さいと言うことになります。
もし、このマグナム装弾でクレーを撃つと、初速が遅いので相応に前を撃たないと当たらないことになります、マグナムと言う名前に惑わされないようにしてください。

ライフル銃入門講座

2003年 2月 1日 築地

この所、散弾銃関係のコラムが多かったですが、私の本来の専門はライフルです。

専門がライフルなので、今まではあえて散弾銃関係のコラムを書いていたのですが、この辺りで専門のライフルについて少し書いてみます。
私の所には毎日50通ものメールが送信されてきます。そうした中で比較的質問の多かった事、あるいはライフル銃で誤解されている事等を、頭の中で反芻しながら書いてみたいと思います。

当社のHPへのアクセスポイントは勿論日本が一番多いのですが、最近気になる事にほんの僅かですが、米軍がアクセスしています、警察関係や、行政関係者がアクセスすると言うのならまだ理解できるのですが、しかしこれらの人たちは通常の閲覧者達の中に埋没しているので誰がお役人か全然判別が出来ません。
しかし、米軍だけはアクセスポイントが違うので明瞭に判別できるのです。米軍が閲覧していると言うと、ライフルの事もいい加減な事は書けませんが、それでも兵隊さんよりも私の方がライフルについては詳しいと自負していますので、気にしないでこのままコラムに突入します。では突撃・・・・・・・

ライフルが始めてと言う方からは時々、こちらが絶句するような質問をされる事があります。 "やっぱりライフルは試射はしたほうが良いですかね?" なんて聞かれることがあります。
確かに散弾銃の感覚で言えば、散弾銃は試射をしないでいきなり使ってもそこそこ当たる物ですからそう思われるでしょう、しかしながら、これは私の想像を遙かに超える質問です。ライフル屋の常識としてどんなに照準調整をしてあっても、ライフル射撃競技では必ず試射をするのは当然ですし、ライフル射撃でいきなり本番の射撃は絶対考えられません、それ位ライフルの初弾と言うのは微妙な物なのです、しかしながらハンテングの場合、試射なんて出来るわけもありませんので、
実際にはそのまま使うしかありません。しかし微妙に狙点は違うものなのです、射撃場で照準調整をした後でも、気圧が違うと着弾が違いますし、気温が違うと空気の密度が変化するので着弾が変わります、当然使用する弾が変われば着弾は当然変化します。
上向きや下向きに狙う場合でも、水平に撃ったときとは明確に着弾に変化が出ます。
確かに散弾銃の場合は、弾によって着弾が変化すると言うことはありませんし、散弾銃の場合、狙い上げ狙い下げ、水平でも着弾を気にする人は居ないでしょう、その感覚から言えば、 "やっぱりライフルの場合は試射はしたほうが良いですかね?"と言う質問は異常な問いかけではないことが解ります。ですから、ライフル銃の場合は必ず試射をして弾着を確かめる、これはライフルを使う上で絶対的な条件なのです。
なんか当たり前の事書いてますね~

あまりにも当たり前の事を書きましたので、今度はもう少しステップアップします。
ライフル銃の照準調整をする道具として、ボアーサイターがあります。

ボアーサイター
ボアーサイター
ボアーサイター本体
ボアーサイター本体

これは銃口にアーバーと呼ばれる棒を差し込んで、銃身の軸線とライフルスコープの軸線を合わせる道具です。
ボアーサイターのアーバーの部分と、本体の中にある光学的な軸線は一致していると考えてください、そのためボアーサイターを差し込んで、取り付けたスコープを覗くと、ボアーサイターの格子模様が見えます、その格子模様の1目盛りが、100ヤードで1インチ、つまり2.5cmのずれを意味しています。
少なくない人が、このボアーサイターの基準は絶対的な物であり、これこそが正照準の基本であると勘違いしているのです。
これはあくまでも "簡易" 照準装置なのです。
従ってこれで照準調整しても、せいぜい100mで標的の黒丸内には入るでしょうが、それ以上の精度は望めないのです。時折、射撃場で照準調整して帰って、ボアーサイターで見たら狂っていたので再度ボアーサイターに合わせて照準調整した方が良いですかと、聞かれることがあります。
私は、"とんでもない"と言って即座に否定しますが、射撃場で照準調整した状態が間違いなく照準調整が完璧に出来ている状態なのです。ボアーサイターを付けると狂っていると言う事は、逆にボアーサイターが狂って居ると言うことなのです。
逆にその狂った状態で、何目盛り狂っているかちゃんと把握しておけば常にその目盛りに合わすことにより正常な位置を確認することが出居ます。
この目盛りは個々の銃により微妙に違いますのでそれぞれの銃の正常値は目盛りの何処の位置、また別の銃の正常値は目盛りの何処の位置と把握しておくのが正しい使い方です。
ライフル銃と言うのは使用する装弾を替えただけで着弾位置が変わります、また火薬の量でも、弾頭の重さでも、また弾頭形状でも、そして外的要因として、外気温度、気圧でも変化します、また射撃の方法でも変化します。依託射撃なのか、同じ委託でも先台を保持するホールデングなのか、伏撃ちか立ち撃ちか、そうした事でも微妙に変化するのです。
ですから、射撃の条件でもボアーサイターの位置は変化するのが当然なのです。

もし1丁の銃しか使わないのであれば、このHPをご覧の方だけに裏技調整方法を伝授します。射撃条件が同じであると言うのが前提なのですが、射撃場で完璧に照準調整をします、完全に出来た状態でボアーサイターを装着します。

これからが裏技です、ボアーサイターの後ろの部分がネジになっており、これが取り外せます、そうすると透明のグラスが出てきます、よく見るとガラスの中心に格子柄模様の微細な升目が印刷されているのが視認できるはずです、これがボーサイターの格子柄の本体です、さてそのガラスの外周に、上下左右に微細なネジがあるのがお解りいただけますか、これがボアーサイター側の調整ネジです。そうです、ボアーサイター自体も組み立ての段階で調整して出されているのです、但しこの調整は特定の銃に合わせた物ではないため、相当大まかな調整しか出来ないのです。

ボアーサイター
裏蓋取り外し
ボアーサイター本体
ガラス格子模様
ボアーサイター本体
ガラス格子模様

ですから、今度はご自分の銃に合わせて特別調整すればいいのです、正照準が出来ているのであれば、現在調整されたスコープこそが唯一の基準ですから、ボアーサイターの中心がスコープの中心に来るように、ボアーサイターの上下左右のネジを調整するのです。
完璧に調整が出来たら、また後ろの蓋をねじ込みます。
これで、貴方の特定の銃に完全に調整されたボアーサイターが出来上がりました。
これで、スコープを取り替えたときも、ほとんど正照準に近い精度で合わすことが出来ます。

ボアーサイターの調整は100mで合わせたあります、貴方が射撃場で照準調整した場合も、多くの場合が100mでしょう、また射撃場自体も多くの場合が100m射撃場です。しかしながら私は100に照準調整するのではなく、300mでの照準調整をお奨めします。その理由は100mで照準調整しますと、100mを過ぎると弾頭は落下の一歩で、よほど考えて狙い越しないとなかなか遠距離の場合は命中しません。
内地の猪猟専門なら100m照準調整でかまいませんが、それでも何かの折り向かいの尾根にいる鹿を狙わないとも限りません、そうした場合を想定すると照準調整は300mに合わせておく方が有利だと思います。
参考までに30-06で、弾頭165グレインを使って、初速2800フィートで撃った場合、100m照準と、300m照準の違いを表にしてみました。

照準の違い

青色の線が300m照準の弾道です、赤線が100m照準の弾道です。
弾の命中した所から特定の範囲、つまり細胞を破砕する範囲ですが、これをバイタルゾーンといいます、使用する弾頭、初速、距離に応じてこれは変化しますので、煩雑ですから少し乱暴ですが、着弾の上下25cmをバイタルゾーンと仮定しますと。
300m照準の方がより遠くまでバイタルゾーンが確保できていることがお解りでしょうか、それに300m以内であればほとんど狙い越の必要はありません、僅かに下を撃つだけで命中させる事が出来るはずです。
つまり、ボールを投げる場合、遠くに飛ばすにはほんの僅か上に投げるのと同じ事です。

地元に300m射撃場が無いと言われる方も少なくないと思いますので、これから100mで300m正照準に合わす方法をお教えします。
以下の弾道表をご覧ください。
一番上の枠は銃口から標的までの距離です。
距離の下は300mの弾道表です、300mの所の数字が0になっている事を確認してください、一番下は100mの弾道表です。100mの数字が0になっていることを確認してください。さてこの表の見方ですが、300mで0の数字の行は、100mでの数字は15.75です、つまり100mの標的で、狙点より、15.75cm上に着弾すれば、それはとりもなおさず、300mに正確に照準調整出来ていると言うことです。
つまり、射撃距離に応じて任意の距離で照準調整できることになります。ご参考にしてください。

0m25m50m75m100m125m150m175m200m225m250m275m300m325m350m375m400m
-3.812.467.8512.315.7518.1619.4619.5918.4716.0412.216.890-8.75-18.93-31.19-45.48
-3.81-1.5-0.070.440-1.44-3.91-7.46-12.18-18.06-25.19-33.62-43.41-54.62-67.32-81.59-97.49

ハンテングの場合、必ずしも何時も水平で射撃できるわけではありません。
銃口を上向きにしたり、下向きにしたりして撃つ場合も多々あるはずです。
ではその様な場合、弾着はどう変化するのでしょう。
今までの私の経験では半分以上の人が間違って考えています。正解は上向きに撃っても、下向きに撃っても弾着は必ず上に着弾します、地球の引力を一番大きく受けるのは水平の弾道です。真上と、真下は、銃身軸線に対して、真上と真下に行くわけですから銃身軸線に対しては全然ドロップしません、水平が一番影響が大きいのです、ですから45度の角度で撃った場合、ドロップ量は水平撃ちの半分だけ影響される事になります。
そうなりますと、数字で上げられる人はほとんど居ません。ではどれくらい影響があるのは表で説明します、今回のデーターも30-06を使い、弾頭重量は165gr、初速は2800フィートで演算しました、言うまでもありませんが、上向き、下向きとも弾のドロップ量は同じですからね!

水平射撃と上下撃ち

どうです、黒線の水平に撃ったときの弾道より、赤線の45度上向き、下向きに撃った弾道は狙点よりかなり上を飛翔しているのがお解りいただけましたか。 実際の数値でもご確認ください。

0m25m50m75m100m125m150m175m200m225m250m275m300m325m350m375m400m
-3.812.467.8512.315.7518.1619.4619.5918.4716.0412.216.890-8.75-18.93-31.19-45.48
-3.812.568.2613.517.8721.5324.4126.4527.6227.8427.0825.2622.3217.1912.796.05-2.14

言うまでもありませんが上の枠が水平撃ち、下の枠が45度上下撃ちです。
45度傾けて撃った場合、本来ならば命中すべき300mで、22cmも上を弾頭は飛翔していたのです。
"だから外れたんだと" 今頃膝を叩いて納得されても手遅れですが、次回からはヨロシクお願いします。これが散弾銃とライフル銃の大きな違いです。
ライフルには弾道があると言う事をお忘れ無きよう。
弾道学の話が済みましたので、それと関係の深い照準装置について話して見ましょう。
ライフル銃の照準装置は照星照門付きの物がありますが、実はこれが一番難しい照準装置です、この照準装置は照星と照門を極めて正確に合わさないと絶対に的に当たりません。
私は昭和58年からライフル射撃の教習射撃指導員をしています、神奈川県、伊勢原射撃場で実施した教習射撃の時は、警視庁や千葉県警の方も見学に来られていました、当然関東圏では私が最初だったはずです。あるいは日本で初めてのライフル銃の教習射撃だったかも知れません、爾来多くの方に射撃教習をしましたが、教習射撃の銃が照星照門付きなので、最初、この見方をしつこいくらい説明しました。
散弾銃の方は、照星と目標を合わす事は出来ても、照門を合わすことはあまり慣れていないのです。照門をいい加減に合わすと言うことは、クレー射撃で言うところのヘッドアップと同じです、ですから照星照門を合わすことは何よりも大切なことなのです、これらの調整が完璧に出来ないのに、やれベンドが低いだの、ああだこうだと言うのは論外です、ライフル銃の場合、照準さえ合えば "必ず" 当たります!
ですからベンドはどうでも良いのです、もしライフルスコープを取り付けた状態で、散弾銃と同じようなベンドにしたら、ボルトアクションの場合、間違いなくボルトが元台に激突して絶対に抜けません。ボルトが抜ける寸法で銃床を作れば、散弾銃の感覚ではベンドは相当深いはずです。しかしながらベンドの深い銃で照準をすると言うのは相当抵抗があると思いますが、その場合の元台の当て方は、散弾銃でやっていたように頬骨の下に当てるのではなく、もっと下に当てるように心がけてください、不自然さは残るでしょうが所詮は慣れです。

ボルト、銃床
ボルト、銃床

新しくライフル銃を購入される方も、装薬銃10年の経験を要すると言う、我々鉄砲撃ちにとってはとんでもない悪法のおかげで、かなりの方が実際にライフル銃を所持される頃は相応の年齢に達せられて居ますので多くの方が視力が落ちている場合があります、そうした場合は躊躇なくライフルスコープの使用をおすすめします。 猪などの近射の場合は、1.5倍~4倍程度の低倍率の物、50m~300m位の射撃の場合は3倍~9倍くらいの倍率をお使いになるようにおすすめします。 それ以上の倍率の場合は、射撃用か、300m以上の遠距離射撃用とお考えください。

ライフル銃の命中精度は通常のハンテングライフルで、100mで2cm~3cmくらいとお考えください、当社で販売している銃に関しては全てこの範疇で収まります。
自動銃、ボルトアクションの優劣はありません。
また自動銃だからと言って弾頭の初速が落ちる事もありません、同じようにマズルブレーキを使用しているからと言って、同じように弾頭の初速が落ちる事もありません。
これは、自動銃の場合、弾頭が完全に銃口から離脱してから、火薬ガスの圧力が完全に落ちてからでありませんと、ボルトは解放されません、そうでないとボルトは火薬ガスの圧力で開くことが出来ず銃は壊れてしまいます、自動銃の作動メカニズムは、弾頭が銃身の中程以上に進んだ時点で、火薬ガスがガス穴に導入され、そのガスがピストンを作動させます、ピストンの作動は慣性の法則で、直ぐに作動するわけではなくごく僅かなタイムラグが存在します、そしてピストンが作動して後退を始め、ボルトのロッキングを解放して、なおかつボルトを後退させているときは、弾頭は銃口からとっくに発射された後なのです、ですから自動銃のメカニズムを構成している作動エネルギーは、弾頭を飛翔させるのには使われない、無駄なエネルギーを利用していると考えてください。
同じように、マズルブレーキも、銃口で火薬ガスを抜くので弾頭の初速に影響を与えそうですが、全然無関係です。弾頭が銃口から離脱した後に銃口から吹き出す火薬ガスは、いわば全く無駄なエネルギーです、弾頭は銃腔内ですでに充分加速されており、弾頭が銃口から離脱する寸前に解放されるガスには何の影響も受けません。従ってマズルブレーキは反動を軽減するメリットがある代わりに、音が大きくなると言うマイナス面以外は弾頭のは影響はほとんど及ぼしません。
しかしながらマグナム口径の銃にマズルブレーキを装着した場合は、かなりの音が発生するようです、私自身は耳栓なして体験したことはないの何とも言いようがありませんが、ハンテングの場合は耳栓などはしていませんので、耳栓無しで撃つのは一般的に大変のようです、ですからメリット、デメリットを考えるとどちらが良いとも断定は出来ません。

口径の選択ですが、内地の獲物に関する限りマグナム口径は必要ありません、しかしながら500mを超える遠距離射撃の場合は、マグナム口径でないと弾頭に残存エネルギーが充分ないので命中しても半矢にしてしまう可能性があります。北海道の蝦夷鹿猟では、300mを超す遠距離射撃も多いのでマグナム口径の方が有利なのです。

ショットガンシューターをライフルシューターに矯正するのには、一番大変だったのが"ガク引き"の癖の修正です。
クレー射撃の場合、"潔く引く"と言うのが信条ですから、ためらいがちに引き金を引きますと、クレーがどんどん飛んでいってしまいます。
そのためショットガンシューターの場合、何方もライフル銃を使うとガク引きをされるのですが、ライフルの場合、静止状態からの射撃ですからガク引きしますと、弾が出る前に、簡単に銃口が下を向いてしまいます。標的に横転弾が出るのは、割合こうしたガク引きが原因です。
ガク引きしますと、弾が銃口から離脱する前に銃口が下を向くため、銃口から発射された弾頭はまず地面に向かい、地面でリバウンドして、不規則回転をしながら標的に命中するので横転弾となってしまうのです。
ある老齢な猪猟師の方から質問されたことがあるのですが、ずいぶん猪を転がしましたが、弾頭が全部斜めに当たるのはどうした訳ですかな? なんて聞かれたことがありますが、これなどは怪我の功名で、地面にリバウンドした弾がうまく猪に、それも毎回命中していたという奇跡的な事例でした。これが遠距離の鹿だったら保証付きで外れていたところですね。ライフル銃の場合、クレー射撃みたいにあんなスピードで銃を振ることがないのでどうしてもガキ引きすると簡単に銃口が下を向いてしまうのです。
散弾銃みたいにスピーデイーなスイングをしている限り、慣性の原則で、下に銃口が向くことはありません。ですから、ライフル銃の場合はついついガク引きしてしまいがちです。
次にライフル銃は何故威力が強いか、について説明して見ましょう。
散弾銃が平手で叩くのと同じ程度とすれば、ライフル銃の場合はアイスピックで突き刺すくらいの差があります、散弾銃の口径は18.5ミリです、それと比べてライフル銃の30口径の直径は僅か7.62ミリしかありません。
至近距離では散弾銃も破壊的な威力を示しますが、弾自体が小粒の鉛弾ですから、元々あまり大きな質量がありません、そこへ銃口から離脱した後は猛烈な空気抵抗に押されて、ほんの数秒飛翔しただけでエネルギーは激減します。
散弾銃と比べるとライフル銃は何倍もの火薬が詰められています、散弾の火薬は瞬間的に"パッ"と燃えて弾を撃ち出しますが、ライフルの火薬はロケット火薬のようにゆっくり"ボボボボボ"と燃えて行くのです、火薬が燃焼している間は、常に弾頭を押し続けるわけで、弾頭が銃口から離脱する時のスピードは、散弾の1400フィートと比べて、ライフルの30-06、弾頭180グレイン装弾で2800フィートになります。
同じ180グレイン弾頭を使っても、マグナム口径になるとさらにスピードを増して、3200フィートにもなります。このスピードと弾頭の質量こそがライフル銃の威力の源泉なのです。30年くらい前に発刊された写真雑誌"瞬間"を見ますと、ライフル弾頭がアルミ板を貫通した写真があるのですが、その破片の衝撃波の角度を見ますと、ライフルの弾頭よりもさらに速い速度で飛んでいます、つまりライフル弾頭は質量が大きいですので、質量の軽いアルミはさらに速い速度で飛翔しないと、物理学の理屈がつかない事になります。と、言うことはライフルの弾頭が、人間や獲物の細胞に命中した場合、当然同じ事が起こっていると考えるべきです、弾頭が命中したところは僅か7.62ミリですが、その命中した部分を基点に円錐状に細胞が破壊され続けることになります。
それは鉛で構成された180グレインの弾頭の質量と生物の細胞の質量とでは全然違いますから、質量の軽い方は弾頭が命中した時のスピードよりさらに速い速度で隣の細胞を破壊していることになります。弾頭が鉛だけなら鉛自体が粉砕され、瞬時にエネルギーの拡散は停止しますが、ライフルの弾頭は周りを銅のジャケットで覆われていますから鉛は分散することなく、どんどん突き進んで行くことになります。
その破砕効果をさらに効果的に上げるために、ライフル弾頭の先端は適当な大きさにつぶれ、自らの直径を大きくしてさらに進みます。このつぶれ方が大きすぎると瞬時にエネルギーが分散されるので、せいぜい直径の倍程度の大きさしかならないとうに、工夫されています、その工夫は鉛の種類を先端は柔らかく、後端は堅くしてあるとか、弾頭の中心は銅でつながって、それ以上開かない様に出来ているとか、各弾頭メーカーで色々な工夫がなされています。
数年前、捕鯨船団用に鯨のとどめを差すために、375口径のバーンズのソリッド弾頭を大量に納めたことがあります、ソリッド弾頭とは、弾頭が開かないように弾頭全体が銅あるいは銅の合金のムクで出来ている弾頭です。そうでないと通常の弾頭を使ったのでは、弾頭が広がり鯨の脂肪層のところで弾頭が止まってしまい、さらに余計に鯨に大きな苦痛を与えることになります。
捕鯨の映像を見ますと、100%鯨は死んでいる画面しか出ませんが、捕鯨砲でしとめた鯨で死に至らしめることの出来るのはたったの25%と言う公には公開をはばかる資料があります。つまり残りの75%の鯨は全部半矢と言うことです。
この事を考えるとグリーンピースが反対する理由も解らないではありません。
文字通り血の海で75%の鯨が半矢でのたうち回っている映像を、家庭の茶の間に放映したら、ご家庭の皆さんは凍り付くでしょうね。
そう言う非道な事をしないためにも出来るだけ速やかにとどめを差す必要があるのです。
鯨の体内から回収した弾頭を見ますと、375口径のソリッド弾頭ですら潰れていましたね、こんな事を書きますと、"似非平和団体"からクレームが来そうですが、驚いたことに捕鯨には大反対のグリーンピースですら鯨から余計な苦痛を取り除くと言うことでバーンズ弾頭の使用には反対をしなかったと言うことらしいです。
そう言う訳で、鯨にとどめを刺せるのは捕鯨砲も駄目で、唯一ライフル銃しかありませんでした。鯨はちゃんと急所に当たれば1発で死に至るそうですが、半矢で暴れている鯨を荒れた船の上から撃つわけですから、平均3発の弾を撃ち込んでとどめを差すという、公には公開をはばかる資料があります(どうも、今回は公に公開をはばかる資料が多いようですが)

まあ、そんな具合でライフル銃の威力と言うのはこれくらい強力なのです。

バーンズ ソリッド
バーンズ ソリッド

次に命中精度について説明して見ましょう。
通常のハンテングライフルではここまでの命中精度は必要ないでしょうが、オリンピック等の射撃競技を考えた場合、命中精度は究極まで求められいます。
空気銃もライフルですから空気銃の命中精度から説明しますが、現在オリンピックで使われる射撃用の空気銃は、ファインベルクバウ、あるいはアンシュツがほとんどを占めていますが、両社の工場を訪問して試射を見せて貰ったとき、10発撃ち込みの標的に全く1個の弾痕しか空きませんでした、1個の穴と言っても見る人の感覚で色々でしょうが、10発撃った標的に、新品の空気銃の弾をそーっと挿入しますと、空気銃弾のスカートの部分で引っかかって落ちないと言う驚異的なレベルです。
空気銃の標的の10点は10mで僅か1ミリです、同じように両社でスモールボアの試射も見ました、言うまでもなく全弾10点に命中します、ただし、どんな弾でも大丈夫と言うわけではなく、当たる弾と当たらない弾が存在するのです、そんなの当たり前だと言われそうですが、同じメーカーの同じモデルの銃で、銃身によって当たる弾と当たらない弾が存在するのです、ですから両社の試射場には常時数種類の弾が使われているのです。
何故そう言う事が起こるかと言う論理は、さらにもう少し上のレベルですから、今回の様に入門講座の場合は割愛します。

さて、私が目下熱中してるライフル射撃は、ベンチレスト射撃競技です。
これこそ究極の命中精度を競う競技ですから、はっきり言って、アンシュッツ等のオリンピック競技銃より当たります、スモールボア競技は50mで行いますが、ベンチレスト射撃は100mと200mで行います。
ベンチレスト射撃の場合、100mでの命中精度と言うと最悪でも5ミリ、通常は3ミリ、最高の時は1ミリのグルーピングを出します。長瀞では300mも撃てますので、300mで5発の弾痕が全部10円硬貨で隠れます。これくらい当たるのです。
100mで数ミリの物体が視認出来るでしょうか?
300mで10円硬貨が視認できるでしょうか?
絶対に見えないはずです! 逆に言いますと、肉眼で視認できる物は精度の良いライフル銃なら100%必ず命中させる事が出来るのです。

獲物を視認出来て外れる! それはライフル銃の性能から言って絶対にあり得ないことです。しかし、私に、猟場でそれを実践して見せろ等とは、間違っても言ってはいけません!

ダブルライフルについて

2000年 2月10日 築地

ダブルライフルとはライフル実包を使う水平2連銃であります。
上下2連のダブルライフルもブローニングから出ているのですが、私のノスタルジーなのか、それとも私の思いこみが強すぎるのか、上下2連のダブルライフルはどうしてもイメージが良くありません。
強度と言う面から言えば上下の方が強度的は出しやすいのですが、水平2連でその強度を再現しているところにダブルライフルの意味がある、なんて全く合理的でない理屈を持ち出してまことに恐縮ですが、ダブルライフルには元々合理性では説明しきれない存在でありますのでこうした屁理屈を言いたくなります。

何故ハンテングにダブルライフルが必要なのかと言う問いかけに対して、外国の文献は"より確実な射撃をするため"と書かれてあります。
自動銃は論外だが、ボルトアクションライフルの場合でももし装填不良の故障が起きても、ダブルライフルなら確実に2発撃てる、と言うのがその説明であります。ボルトアクションライフルで装填不良なんて、まずまず起こり得るわけは無いのです、逆に言うとダブルライフルでも、撃針折れや、スプリング折れが絶対に起こらないと言う保証も有るわけでは無いのですが、そういう説明しか出来ないのも事実です。
ダブルライフルを使うのは、どちらかと言うとハンテングに対する美学の問題であろうと思います、2発で獲物を倒せたらハンターの勝ち、2発の弾が当たらなかったら獲物の勝ち、そうしたハンテング美学が根底に流れているからダブルライフルに対しても思い入れが強くなるのかもしれないと思います。
ダブルライフルは元々アフリカでのハンテングを目的として作られた銃であるから、これで30-06なんて言う口径を選択するのは全く的はずれである、やはり375以上の口径でないと意味がない。意味が無いというよりサファリの場合は極めて危険ですらあるのです。
サファリハンテングをした人の多くが、究極のハンテングはケープバッファローだと言います、外国の文献にもそう書いてあります。
しかし、草原にいるケープバッファローを遠方から狙撃したのでは、危険でも何でもない。
アメリカのバッファローハンテングと同じであります。やはり正面から相対した場合のみ極めて危険なゲームとなるのです、亡くなられた大藪春彦さんと話したときは、ケープバッファローが一番怖かったと話して居られました、確か大藪さんは375を使われていたと思うのだが、正面から突進してくるケープバッファローに至近距離で3発かけて、4発目で倒したとか言われていました。もし最後の弾を外したら自分が殺されていたと言う話でした、ケープバッファローの頭蓋骨はかなり頑丈で3発の弾がそこで止まっていたそうです。
その大藪さんをニュージーランドで案内したのが、宮川雅雄さんです、彼は私の友人でそして射撃仲間ですが、彼もサファリでケープバッファローハンテングに挑みました。
足を骨折しながら車で追いつめて、ブッシュに潜んでいるケープバッファローが突然飛び出してきて、やはり彼も3発かけてやっと仕留めたそうです。かれのハンテング人生でも最大のイヴェントだったとみえ、仕留めたケープバッファローの写真はいつも彼の財布の中に入っています。彼の場合も同じように頭に3発弾頭を受けていたそうです。

話が横道にそれましたが、ですから2発しか撃てないダブルライフルを使ってのハンテングは美学となるのです、2発しか撃てない訳ですから375ではいささか心許ないという感じになるため、さらに強力な弾を使うと言うことになります。そうした強力な口径の弾を使うため銃身も太く、そして重くなります。口径によっては水平2連なのにボルトアクションより重たい銃にもなります。元々量産を考えて作られた銃ではないので値段も数百万と言う値段になります。ダブルライフルで有る程度の量産品と言う物を作っているのはヘイムです、昔はボルトアクションを作っていたのですが、最近はダブルライフルで有名になっています、値段も100万以下で売っているので買いやすい品物です。
命中精度そして工作技術も問題はありません、一度はダブルライフルを買いたいと言う人にはお勧めの銃です。
完全な手作りベースを今でも守っているのは、オーストリーのフェラッハでしょう、フェラッハと言っても会社の名前ではありません、町の名前なのです。ここでは小さな工房と呼べるような工場がそれどれオリジナルのダブルライフルを作っています。
ダブルライフルは2連と言うイメージが定着していますが、ここの銃はオリジナルですから水平3連と言う銃も作っています、最も私は個人的には水平3連なんてお断りですが。
ダブルライフルが何故こんなに高いのかと言いますと、やはり手間がかかると言うのが最大の問題でしょう、散弾銃の水平2連より手間がかかるのは、それぞれ2本の銃身が100メートル先でチャント同じ所に当たらなければならないからです。
2本の銃身は散弾銃と同じように、鉛で溶着されています、当然200度以上の熱を加えるので、溶着するまえは軸線が合っていたのに、温度を加えてそれが冷えると、どうしてもその方向に引っ張られるので銃身が曲がって狙いが狂ってしまうのだそうです、そのため先端にくさびを打ちながら、微調整をして仕上げるのだそうです、銃によってはそのくさびを入れたまま仕上げています、銃口からそのくさびが出ているため、銃口を下にしてついても、命中精度にとって一番大切な銃口を保護出来るからです。
イギリスではジェームス パーデー、ボスなどでダブルライフルの生産をしています。
価格は300万以上、納期は3年と言うことになります。
300万と言うと、ゲッ 高いと言われるかもしれませんが、かつて、日本ではこの300万の銃が1000万以上で売られていたこともあります。
現在世界で一番高い銃は、ある1丁のダブルライフルです、この銃はその歴史的価値のためこうした値段が付いています。
その銃はルーズベルト大統領の銃です、その銃は彼の功績をたたえた上院議員達の寄付で、ジェームス パーデーに依頼して作られました。
ルーズベルト大統領はそれを実際にアフリカでのハンテングに使用し、勿論獲物も仕留め、その写真と彼のサインも現存しております、さらに上院議員達のサイン、製作者のジェームス パーデー社の社長のサインまであります。
で、その値段は500万ドル(5億円)だそうです。某オークションで落札されました。
落札した人は、アメリカ上院議員の、あ、これは言えない事になっています。

水平2連銃について

2000年 2月 9日 築地

水平2連と言うと、多くの人が安い銃だとイメージされるのでは無いだろうか、少なくと上下2連よりは安いと言うイメージは定着していると思われます。しかしながら実際の製造では上下と変わらない位手間がかかるのです。
しかし現実に売る場合はあまり高い値段では売れない、そのため製造するメーカーは激減していき、現在大手で製造している所は、メルケルとベレッタだけになってしまっています、番外的にはスペインのAYA(アヤ)でも製造しています。
これらの中で一番のお勧めはメルケルでしょう、やはり強度がダントツで優れています。
強度が強い理由は、通常のロック機構に加えて、機関部の上に銃身と機関部をロックするクロスボルトが取り付けてあることがその理由です。
昔は国内でもSKB、ミロクも水平2連を作っていたのですが、高い値段で売れないためかいずれも製造を断念しています。
それに水平2連は狩猟用しか用途がないため、現在の状況ではその需要が頭打ちなのもうなずけます。イギルスのジェームス、パーデーではトラップ射撃用の水平2連も製造しております、(当たるの?)と言われそうですが、私が実際に使った経験で言いますと上下と同じように当たります。超ワイドリヴを使って撃つような感じで使えます。それに何と言っても銃身が軽いので振り回しが軽く、キレの良いクレーなどもビシバシ捕れます。
ただ欠点としては水平2連の先台は申し訳程度のチョコットついているだけで現実問題は指先では銃身を押さえているような状態ですので、1ラウンドも撃つと手袋が無いと手が熱くなり先台を持てなくなります、また先台自体も木が薄いので1ラウンド撃つと先台全体が熱くなります。
そんな訳で、現実問題としては射撃に使うにはいささか問題が有るようです。

水平2連は狩猟用として考えると軽くて狩猟目的には使い勝手の良い銃です。
銃身は水平に配置されていますが、獲物が遠くから近づくのか、それとも手前から遠くへ遠ざかるのかで使用する銃身が変わります、そのためには両引きの引き金でないとその選択が出来ません、両引きの引き金を選択した場合、グリップの部分をずらすことの出来るストレートグリップでないと使い勝手がよくありません。
従いまして水平2連は引き金は両引き、グリップはストレートグリップとするのが一番オーソドックスな考え方です。銃身長は26インチ、または28インチを選択すべきでしょう。エジェクターは必ずしも必要ではありませんが、まともな銃は殆ど組み込まれているのが実状です。

水平2連はメーカーでもあまり在庫はしません、それは選択のバリエーションが多すぎるからです、銃身は今でも100%固定チョークですから、銃身長に対してどのようなチョークを選択するかで多くのバリエーションがあります、そのうえ両引きにするか、単引きにするかで選択幅が倍になります、さらにピストルグリップにするか、ストレートグリップにするかでさらに倍になります。その上彫刻の種類で選択の幅はその数倍になります、従ってメーカーといえどもめったに在庫することはありません。
ベレッタにしてもアヤにしても豊富な在庫から選択すると言うことは出来ないと思います。
水平2連を購入するときは6~12ヶ月くらいの納期が必要だと考えていた方が無難でしょう、ちなみにジェームス パーデーなどは納期3年と言っています。
まあ、ジェームス パーデーと言うのは特別な例外中の例外ですがですが。 

空気銃について

2000年 2月 3日 築地
追記 2003年 3月30日 築地

(追記)
コラムの中で空気銃の取り扱いの記述がありますが、現在は取り扱いをしておりません。
その理由は、威力の強い空気銃は故障の発生を無くすことが出来ないため取り扱いを中止致しました。

今年から狩猟法が改正され空気銃が、散弾銃と同じ免許で撃てるようになります。
そのため最近空気銃の引き合いが俄然多くなりました、狩猟用の場合、当然その威力が最大の問題になります。国産ではホーワのガス銃、シャープのポンプ式空気銃があります。
ガス銃の場合、外気温度が低いと充分な威力が出せません。仮にある程度の外気温度が高かったとしても、ガスを放出するとその気化熱の為に外気温より銃の方が温度が低くなってしまいます、そのため冬季に外で使用する狩猟にはガス銃はお勧めできません。
ポンプ銃はポンプ回数により威力が増強できるので今でも多くのハンターが使用しています。しかし、口径が最大でも5.5ミリなのでその射程距離と威力には限界があります。
ポンプ式空気銃の場合射程距離は最大で30メートル、獲物も鳩程度で、鴨撃ちには威力不足の感じがあります。
ドイツのダイアナなどはスプリング中折れ式の強力な空気銃を昔から出しています。
威力は強いのですが、どうしても強いスプリングを使っている為、スプリング折れのトラブルは避けられません。

当社ではビーマンのクローマグナムと、スーパー12を取り扱っています、ビーマンの名称で販売していますがこれはOEM商品で原産地はイギリスです。
クローマグナムは一見中折れ式のスプリングと同じに見えますが、スプリングの代わりにガスピストンと言う方法を使っています。
このシステム、なかなか皆さんに理解してもらえないので折角の書き込みですから出来るだけわかりやすく説明してみます。

中折れ式空気銃の引き金をコッキングして引き金を引いてピストンが前進してその圧縮空気の力で弾を撃ちだすと言うメカニズムは従来型の中折れ式空気銃と全く同じです。ですからここのメカニズムに関してはこれ以上考えなくて結構です、考えすぎると頭が混乱します。ここではガスピストンのメカだけ考えてください。
この銃を分解すると、従来型のスプリング式であれは、そのスプリングの入っているところにショックアブソーバーみたいな部品があります、これがスプリングの代わりをしているのです。円筒形のボデーからシャフトが飛び出ていますが、これを押し込むとあたかも中にスプリングが入っているように押し返されます。いま、単に押し込むと簡単に書いていますが実を言うとこのガスピストンとても人間の力で押せるような代物ではありません。
空気銃で使うときも、中折れの部分を利用してテコの力でやっと押せる位の強力な力を要します。で、スプリングの代わりに中に入っているのは圧縮空気です。
このままでよく空気が漏れないもだと思いますがこのまま1~2年は空気漏れが無いまま使えます。空気のシーリングに使っているのは単なるOリングだけです。ですから内径の仕上げは鏡面で無いと空気漏れがおきます、もし内部に微細な金属片が有ってもOリングが傷ついて空気が漏れます。だからと言って使用者側でどうにかなる問題ではありません、2年くらい経過すると、少し空気が漏れる事があります、その場合、空気を補充するために付属のポンプが付いているのです。多くの人がポンプが付いているのでこれで空気を注入して打ち出すと誤解しているのですが、この空気ポンプは "ガスピストン" の空気が抜けた時に補充するためだけのポンプなのです。
ここまで書くと、では最初からその畜圧した空気を使って弾を撃ち出せば良いではないかと言われそうですが、もしそうした場合、空気の補充のため数百回のポンプを繰り返さなければ成らなくなります。これは事実上不可能です。ではガスピストンを使うと空気を放出しないのに何故強力な弾を撃てるかと言いますと、重たいピストンと弾の抜弾抵抗を利用した賢いアイデアが有るのです。
この銃にはガスピストンで押し出す、もう一つその前に重たいピストンがあります。コッキングしたガスピストンは引き金を引くと一気に解放され、重たいピストンを急激に前に押し出します、ピストンは瞬時に前進し弾の後ろの空気を圧縮します、空気銃の弾は銃身に込められていますがライフリングには食い込んでいません、ライフリングに食い込むには相応の力を掛けないと入らないのです。"これがミソです"スプリングはどんどん前進して弾の後ろの空気を圧縮していきます、単にガスピストンの力だけならその圧縮した空気の圧力の反発で逆に押し返されるところですが、重たいピストンの"慣性"のおかげで押し返されることはありません、弾の後ろの圧力が40気圧になると空気銃弾はライフリングに食い込み急激に前進を始めます、そしてピストンが機関部内部の壁に激突する前に空気銃弾は銃口を離脱します。ですから、銃のもの凄い振動が有っても命中精度には影響がないのです。ピストンが前進を始めるときに小さな初期振動が始まりますがこれは命中精度の影響を及ぼしますので、このタイプの銃を撃つときは、引き金を引く瞬間はしっかりと銃を押させてないと命中精度が劣悪になります。これが中折れ式空気銃を撃つコツなのです。昔は空気銃射撃の国体種目に、スプリング銃の部と言うのがありました、つまりスプリング銃は元々無反動の銃に比較してその命中精度に少しハンデキャップがあるものだったのです。

スーパー12はエアータンクを使用した空気銃です、このエアータンク200気圧まで空気を入れることが出来ます。昔は高圧ガス規制法と言う法律があり、この法律では100CCまでしか容器の容量を認めて無かったのですが、法改正があり、容器の大きさが400CCまで認められるようになり、この銃も日本で市販できるようになったのです。
圧力が200気圧と言うと、威力=圧力 という感じで圧力が強ければ威力が強いと単純に考えがちなのですが、一番大切なことは空気の"流量"なのです。
1回の発射にどの位の空気を放出するかで威力が決まります、この銃は200気圧の高圧空気を400CCの容器に入れて、70~90発消費します。
射撃競技用の銃なら同じ200気圧を、1/4の100CCの容器に入れたものを使い、200発以上使うことが出来ます。これを比較しただけで如何に大量の空気を放出しているかご理解頂けると思います。威力を増大させるためには空気銃弾が銃腔内を進んでいるときも常に弾の後ろに高圧の空気で加速し続ける必要があるのです。
クローマグナム、スーパー12の射程距離は50メートルです、狙うゲームは鴨、雉、カラス等です、ユーザーの多くがシャープの空気銃からの転向組ですから元々空気銃ハターの方たちが愛用されているようです。

1/2ライフリング散弾銃について

2000年 1月 6日 築地

スラッグ弾の命中精度と威力を飛躍的に改善した銃が散弾銃でありながらライフリングを有するライフルドショットガンです、ライフルドと言うくらいですから銃身の全体にわたってライフリングが有るのですが全面にライフリングがあると日本ではライフル銃の扱いになってしまい散弾銃として所持することが出来ません、そのため全体の中から1/2以上ライフルを除去して散弾銃として登録できるように改造した銃が1/2ライフルと呼ばれる物です。

これに使う弾はサボット弾と呼ばれる装弾です。弾頭自体はサボットと呼ばれるプラスチックのホルダーに保持されています。ちなみにサボットとはオランダの木靴の事です。
このプラスチック自体をライフリングで回転させ撃ち出します。
銃口から出ると空気の抵抗でサボットは弾頭から剥離し落下します。こんな面倒なことをしないで最初から大きい弾頭を作れば良さそうな物ですがもしそんなことをしたら強烈な反動が発生し誰も使えない銃に成ってしまいます。
大きな口径から小さな弾頭を撃ち出す物を、アクチュエーター、又はサボットと呼んでいます、ライフル銃でも30口径から22口径を撃ち出す、アクチュエーターがあります。この場合初速は4000フィートに達します、通常の30口径の初速が2800フートくらいですからもの凄いスピードアップです。
戦車砲の中でもアーマードピアシーと呼ばれる、弓矢の形をした特殊な砲弾があります。
これは超硬の材質で非常に硬い弾頭として作られたり、劣化ウランなどを使用して非常に比重の重たい弾頭として作られているため弾道が極めて安定していて、戦車の鋼板を貫通させる事が出来ます。実際の発射を見ると射程4キロくらいはほとんどドロップしていないように見えます。戦車砲で撃ち出す場合同じく4000フィートで撃ち出します。
これらの弾頭もサボット弾頭と呼ばれています。

自動銃やスライド式散弾銃でも1/2ライフル銃身はありますが、ご存じのようにこれらの型式は機関部と銃身が固定されていないため激発の瞬間に微妙に銃身が動くため命中精度から言うとあまり良くはありません。
やはり命中精度重視で考えるなら銃身と機関部が固定されたボルトアクション式の銃が最良です。こうしたボルトアクシヨン式の散弾銃は、今まではブローニングのA-ボルトとモズバーグが有りましたが、ブローニングは今年から製造中止が決定しましたの現状で入手できるのはモズバーグのみとなりました。
モズバーグは当社では¥79000で販売しております。
また20番だけに限定されますがターハントも製造されております。
ターハントは当社では¥299000で販売しております。
ターハントとモズバーグはそれぞれ値段の格差が非常に大きいですがモズバーグは量産品、ターハントは少量生産の特別な銃ですので値段格差がありますが命中精度に違いはありません。
命中精度と弾の相性は極めて密接な関係にあります、装弾メーカーでは独自に弾を包むサボットの直径をそれぞれ独自の寸法で作っていますので使用する銃にそのサイズが合わないと命中精度が極端に悪くなります、そのため事前に使用する装弾の弾頭を取り出して銃口内を通過させて見れば簡単に判断できます、もし抵抗無く通るようだと命中精度は劣悪だと考えてください。

ライフリングが薬室側にあるか、銃口側に有るかの優劣ですが私は薬室側に有るのが有利だと考えております。それは雷管を点火して火薬に燃焼が広がると弾頭が移動を始めますが、そのとき弾頭がライフリングに食い込む抵抗が無いと、火薬の圧力が上がりません。
元々装弾は薬室からすぐライフリングが始まるのを想定して燃焼速度が決められていますので薬室の前にライフリングが無いとライフル銃で言うところのスロートがあるのと同じ状態になりますので、弾頭が早く動きすぎ火薬の燃焼が遅れがちになります。
従って燃焼速度の速い散弾銃の火薬を使うとはなはだ不都合な事が発生します。
その最大の問題は銃身の損傷です。通常の使用の場合問題ないと思いますが銃身と装弾の相性が著しく悪い状態で使いますと弾頭がライフリングに激突する事になり、銃身に膨らみが生じる事があります。また命中精度からも決して良いことではありません。

上下2連銃について

1999年12月29日 築地
改訂 2000年 1月24日 築地
改訂 2000年 1月28日 築地

当社で取り扱いをしているベレッタとペラッチについて紹介します。


ベレッタ(射撃専用銃の場合)

アメリカの射撃協会のサイトを覗くと、この協会の推薦している射撃銃はベレッタ682と、ASE90それにペラッチMX8だけです、それ以外の銃は推薦していません。
これら3丁の銃は、性能も、精度も、耐久性も、そしてコストパフォーマンスも最も優れた銃だからです。残念ながら日本のミロクも、ブローニングも推薦銃には入っておりません、しかしベレッタの銃種に関してはこれを訂正をしなければ成らなくなりました、それは今年の1月にラスヴェガスで開催されたショットショーでベレッタ製の銃にモデルチェンジがあったからです。ASE90は製造中止になり、それの改良モデルとしてDT10が新発売になりました。外見上はお互いそれほど大きな違いはありませんが、細かいところで改善がされていますのでその詳細について説明してみます。
まず、リヴの関係で言えば、DT10のリブは従来のASE90のリヴよりも少し高いステップリヴに変更されました。従来アメリカ向けの銃は銃床サイズがいくらか大きめに作られていたのですが、DT10の場合グリップも小さくなり、引き金とグリップの間隔も狭くなりました、銃床の長さ、プルレングスも短く成りました。相対的にASE90よりは少し小振りな感じに仕上がっています。
実を言いますと、ベレッタはアメリカ向けの銃と、ヨーロッパ市場に流す銃は銃床に若干寸法が違います、ヨーロッパ向けの銃はサイズが少し小さくできています。私の会社でも輸入する銃はサイズの小さいヨーロッパスタンダードと言う規格の銃を輸入しています。
ベテラン射手の中には、"日本人向け"の銃があると間違った考えにしっかり洗脳されている人が多いため事実を説明をするのに結構閉口しますが、実際には日本人向けの銃というのは存在しません、輸入元のリクエストで多少銃床の加工をしている事例は有るのですが、
単純に考えて、その日本人向けの銃というのは、一体身長何センチ、体重何キロ、年齢は何歳、射撃方法はどんなフォーム、の人を対象に作られているのでしょう? それが確定されていなければ銃床の寸法の決めようがないのに、具体的にそうした基本サイズの話は全くないまま、日本人向けの銃床と言う漠然とした話だけが既成事実として流れているのが現状です、ほんのわずか疑問を挟むだけで馬鹿な話だと言うことが解るのですが多くの射手が解らないままその風評を信じているので困ります。
日本人向けに作られた銃床とというキャッチは、商社が考えた与太話だと言うことです。
しかしながらベレッタには大別すると、アメリカ向けとヨーロッパ向けの銃床があり、アメリカ向けの銃を買うと確かにサイズ的には大きく感じます。
日本人にはヨーロッパスタンダードの規格が最適なので当社ではそのサイズの銃を輸入しています。で、今回の展示品が一体どの規格の銃を展示したのかそのスペックが解らないのではっきりしたことは言えないのですが、全体的には気持ち小さめに仕上がっているように感じました。
グリップのフィーリングはASE90とあまり変わりはありませんが、先台の指の辺りのくぼみの部分は、くぼみの取り方が大きくなり、実際に先台を握ると今までの先台より、よりしっかり握れる感じに仕上がっています。
銃床のチークピースは上下の可動式に成っており、左右に振ることも出来ます。これによりキャストオフ、キャストインを微妙に調整することが出来ます。
これは単に頬のサイズに合わすと言うことではなく、頬付けをしっかりする、あるいは通常の強さの頬付けにするかを容易に調整することが可能になります。
また銃身は全部交換チョーク式に変更されました。こうした変更には射撃フォームの変化がベースにあります。私が射撃を習った1960年代は、クレーが出て、ワンタイミングおいて、つまり"ため"を作ってからクレーを追う射撃方法が主流でした。
これに適したチョークは初矢がモデインプ(3/4)で後矢がフルチョーク(4/4)でした、クレーを有る程度飛ばしてから撃つため、私は特別注文の、上下の銃身ともフルチョークのメルケル303を使っていたこともあります。
この頃はあんまり早く撃つと、パターンが広がらない前に撃つといわれ、もう少し飛ばしてから撃てとよく言われたものです。
しかし、最近、オリンピッククラスの選手の射撃方法を見ますと、銃をかなり上に構え、クレーがでたら、銃身を上にもって行くと言うより、銃身を横にスイングさせるような感じで出来るだけ早くクレーを獲るような射撃方法に変わってきました。こういう射撃方法ですと銃床を柔らかく保持したり、頬付けが甘すぎると、シャープなスイングが出来ません。そのため銃自体もそうした射撃方法に合わせて改良がなされたと思います。
シャープにスイングさせると、銃が軽い方が有利なように思えますが、ある程度の重さがないと銃身が走りすぎるというのがベレッタの主張のようです。
ベレッタは多くのオリンピック選手のアドヴァイスによって作られます、そして多くのオリンピック選手に使われます、ですからベレッタが従来のASE90よりバランス的には重たい銃を作ったことは注目すべき事と思います。
さて、クレーを早く獲ると言うことは、散弾は早めに散開した方が良いに決まっています。
そのため希望の散開パターンが得られる用に全部の銃に交換チョークを取り付けているのです。スポーテングモデルは勿論ですが、スキート銃も交換チョーク式に成っています。
引き金に関して言えばASE90もそうでしたが、新製品のDT10も引き金は交換式に成っています。これは引き金が壊れた時に交換できると言うより、ハンマースプリングなどの交換が容易だと考える方が現実的な考えです。引き金が交換できるからと言って予備の引き金を持つのはナンセンスです、なぜなら引き金関係の故障の場合、撃針折れの場合は引き金を交換しても直らないからです。引き金が外れるのは、あくまでも修理がしやすいと考えるのが普通の考え方でしょう。
ベレッタの散弾銃は、銃身部分の製造方法で機関部とはめ合いになる銃身基部は大きなブロックから作られています。そのブロックに銃身を2本差し込んで作られています。
ブローニングなどは2本の銃身を上下に合わせて出来ています、ここが銃身の製造方法として違いがあるところです、別の言い方をすると、だからベレッタの銃は軽く出来るのです。で、この銃身の差込部分が従来のASE90よりDT10の方が長いそうです、その理由は、その方が耐久性が増すのでそうです。それにロッキングの部分も補強されたと説明していました。事実保証期間はASE90よりDT10の方が3年長いそうです。
当社では旧型のASE90は90万で発売していましたが、DT10は125万円と言う値段になります、ASE90は製造中止が確定したため現状ではもう少し値段は安くなるかもしれませんが、予算的に余裕が有ればDT10を買われる事をお勧めいたします。
国内の銃砲店ではまだこうした最新情報に接していないと思いますので場合によってはASE90も銃来の価格で取り引きされ続かもしれません、過去の事例を考えると、輸入元に旧型の在庫が無くなってから新製品の輸入を始めた事例もありますので消費者としてはこの事実はしっかりと頭に入れて購入してください。

ベレッタの射撃銃で最高級のモデルはSO5、またはSO6ですが、これは両方の銃ともサイドロック型式のため、コストが高くなっているのです。
サイドロック式の銃は左右のプレートの中に激発装置を組み込んでいるので構造が複雑になるため製造コストが高くなるのです、ではサイドロックのメリットは何かと言いますとサイドプレートを外すと、激発装置の部品交換や補修が簡単に出来るのが特徴ですが、DT10の様に引き金ブロックが簡単に外れるとサイドロックの意味が無くなります。
事実現在ではサイドロックの利点は全くありませんが、昔通りコストをかけて作っていると言うことがサイドロックの唯一の売りでしょう、故障発生率もむしろサイドロック系統の方が多いのが事実です、ですから射撃専用銃の場合、これを選択する理由はあまりありません。

同じく世界選手権やオリンピックに使われる、682ゴールドも型式が変更になることは確実です、しかしながらカタログには682Sとして新製品が掲載されているのですが展示会には新製品の展示が有りませんでしたので、発売は来年以降と考えるべきでしょう。
現状の682ゴールドは機関部は窒化仕上げをしてあります、これは金属の表面を深さ0.3ミリ程度ガスを浸透させ表面硬度を上げる処理の方法です、ガスを使わず楽品を使う方法もあります、機関部の硬度が上がっても耐久性能には何の変化もありませんが、表面が傷付きにくいという利点があります。
682ゴールドと新製品の682Sではタログで見る限りあまり大きな変更は有りませんが、チークピースの可動式と、固定式の両方が選択できうる様です、リヴの形状には変更はありませんが、機関部の彫刻には変化があります。年内の変更は無さそうなので今年購入する場合は買ってもかまいませんが、来年買い換えを希望し人は状況を見ながら判断される方がよろしいかと思います。

ベレッタ(狩猟用)

狩猟用の銃としてはシルバーピジョン、¥299000があります、基本設計は682と同じです、銃床の材質が682よりは少し落ちますが射撃用に使っている人も多くいます。
性能としては何ら変わりないので射撃用として使っても問題はありません。

シルバーピジョンと同じ構造ですが、機関部の材質に軽合金を使って軽量化を図った銃がウルトラライトです、重量はわずか2.6キロしかありません、弾の反動を受ける機関部の所にはチタニウムで出来た板を張ってあります、チタニユムはジェット機に使われる費用に高価な材料ですが、鉄よりも強い強度でなおかつ重量は鉄の60%しかありません。
そのためこのような軽量銃が出来たのです。しかしながら銃身等は鉄を使っています、ここはやはり安全性を無視できなかったからなのでしょう。価格はシルバーピジョンと同じです。ベレッタで一番お手軽なのはオニックスモデルです、値段的には¥199000とお手軽ですが、上下の銃身を取り付けているサイドリヴもありませんし、機関部も決して良い仕上げではありません、銃床も良い材料を使っていません。ま、値段で勝負と言うところでしょうか。

ペラッチ(射撃用)

世界選手権、オリンピック等で一番多くの選手が使っているのがペラッチです。
なぜ多くの選手が使っているのかと言うと、バランスの良さ、それが最大の理由でしょう。
ミロク等の銃と比べると機関部の大きさが小さいのがおわかり頂けると思います。機関部が小さいと当然重さも軽く出来ます、その軽い機関部に適当なバランスの銃身が付いているのです。
ペラッチのロッキングは上と下の銃身の間にロッキングが2個付いています、ブローニングやミロクはこのロッキングが銃身の下にあるため機関部全体が大きく成らざるを得ないのです。ペラッチの引き金ブロックは安全装置のレバーを前に押し出すと簡単に外れます、そのため引き金ブロックのメンテナンスは非常に簡単に出来ます、バネが折れたときにも簡単に交換できると言うメリットもありますが、現在製造されているペラッチのスプリングはめったな事では折れません、現在製造されるペラッチは、ほとんどのユーザーがスプリング折れは経験されていないはずです。勿論撃針折れもありません。金属材料はあまり変わっていませんが熱処理の技術が格段に進歩したのがその理由でしょう。
当社では当然スプリングや撃針の部品を持っているのですがここ3年間は1セットも販売したことはありません、これはペラッチの銃ではめったな事ではスプリング折れや撃針折れが発生した事がないと言う何よりの証明です。

ペラッチに関しては特段大きな変更はありません、やはり射撃用として一番売れているメーカーですからモデルチェンジは何の意味もないことを理解しているのでしょう。
しかしながら、特別注文で色々なバリエーションの注文を受けるようになりました。
交換チョーク式の銃身は下の銃身だけでも、あるいは上下2本の銃身だけでも引き受けるようです、また機関部の白仕上げも引き受けるそうです、当社では¥60000でお受けします、機関部だけでなく中の部品ごとの白仕上げもやるそうです、この場合追加料金は¥70000です。銃床の特別注文、アジャスト引き金、アジャスト銃床も注文に応じるそうです、このあたりベレッタと変わりはありません。
今年からペラッチ関係は値上げを決めました、MX5が$6400、当社は¥55000ですからアメリカで買うより割安で買えます。
MX8は$8800、当社の値段は¥85000ですから、これまたアメリカより安い価格で販売しています。
もし、折りがあったらミロク、SKBのアメリカでの販売値段を調べてみるとおもしろいと思います、ミロク、SKBは国産にも関わらず、外国では、なんと国内価格の半値で売っていますので、国内のユーザーはほとんどメーカーには舐められっぱなしです。
ミロクは最高と言う人も多いのですが、値段を倍もふっかけられてありがたがっているのですからメーカーも笑いが止まらないでしょう、そして心の中ではそうした射手を軽蔑しているに違いがありません、昔、国産の自動車がそうでした、1960年当時、ブルーバードはアメリカでは国内価格の半値売られていましたが現在は価格差がありません、銃砲業界に関しては消費者が無知である間はこの価格差は縮むことが無い事は間違いない事実です。皆さん出来るだけ早く事実に注目してください。
国産銃の値段は半分で売ったとしてもメーカーは採算が立つはずですから、2割引で買ったと喜んでいる方は3割高で買ったのと同じ事だと言うことを出来るだけ早めにお気付きなられるようの念じてなりません。

さて話が変わりますが、ペラッチの兄弟モデル、マエストロに付いてですが、今回も色々聞いたのですが外国での評価は全くよくません、念のため日本国内での修理状況を調べましたがマエストロは故障発生率が多いのが現状です、私は世界中から色々な銃を輸入して販売していますのでどこのメーカーにも何の義理もありません、マエストロを売る変わりにペラッチを売らなければ成らない義理もありませんが残念ながら世界の評価が極めて低い状況ではマエストロは当社の扱い品目に加えられません、もし世界選手権で大多数の選手が使うようになれば、現状のマエストロは国内標準価格の半値以下で売って見せます。なぜなら相変わらず標準価格の倍以上の値段で多くの人が買わされているからです。

ペラッチ(MX5)

MX5をMX8の下位モデルと見がちです、確かに価格的にはMX8¥850000に対してMX5は¥550000ですが、単に安いと言うことではなく、MX5の有利性と言うことにも着眼する必要があるかと思います。

MX5の特徴それはペラッチで一番軽量の銃だと言うことです、MX5のスキート銃の重量は3.5キロです、MX8よりも200~300グラム軽くできています。
そんためスキート射撃の場合に関して言えば、軽くて使いやすい銃と言う事になります。
スキート射撃の場合、クレーが出てから構えたのでは遅すぎます、"ガシャン"と言う放出器の音を聞いたときに瞬時に構えられなければなりません、スキート射撃の上達の秘訣を一言で説明するなら、如何に早く銃を構えられるかと言うことにつきます、そのためには軽い銃を選択するのは当然も事だと思います。スキート射撃の4番は銃の振れが一番大きなポジションですが、最初のクレーを捕ったあと、銃身を返す時には重いより軽い方が多くの射手に好まれるのは当然のことです。
オリンピッククラスになると、重たい方が銃のスイングが均一で、なおかつ最初のクレーを捕った後、ある程度惰性で振れた方が、銃身を戻したときに勢いが付くと言う論理もありますが、これはかなりの腕がある人の話ではないかと思います。
多くの人がMX5をスキート銃として選択するときは、"軽い"バランスが良い"こうした理由で選択されます、決して"安い"と言うことが最大の理由ではありません。
MX8からMX5に替えると言うことも起きています、MX5決して安いと言うことだけで選択されてはいないと言うことです。
トラップ射撃の場合、銃身を返すと言う動きがないので軽い銃のメリットがどれほどあるかは解りませんが、早捕りする人には好まれると思います。
ミロクとするとMX8は充分軽い、そしてバランスの良い銃ですが、MX8でも重たいと言う人にはMX5はお勧めです。 

自動式散弾銃について

1999年12月29日 築地

現在世界的に売れている自動式の散弾銃は1位がレミントン、2位がベレッタ、3位がブローニングです。 ですから当社ではこの3社の自動銃だけを取り扱っています。これ以外にもメーカーはたくさんありますが、この3社の製品を越える作りの銃はありません。
いずれのメーカーも銃身は交換チョーク式です、通常はフル、モデ、インプ、の3本の交換チョークが付属です。


レミントン

レミントンの最大の特徴は機関部がスチールで出来ていると言うことです、そのため丈夫だという利点の代わりに重たいという欠点も合わせ持っています。
レミントンの自動銃は現在流通している物は1100が最初のモデルです、以降のモデルも基本的な設計は同じで、1100の内部の肉厚を少し削り少し軽く作ったのが11-87です。
1100が作られた頃は、射撃専用の弾も32グラムでした、そして一番強い狩猟用の装弾も45グラムでした、ですからガスシリンダーの構造もそれほど複雑にする必要は無かったのですが現在は、射撃用の装弾は24グラム、猟用は3インチ装弾が当たり前になると強い弾から弱い弾まで同じように回転させなければ成らなくなりました。
そのため11-87にはピストンにガスシールと呼ばれるOリングを使うようになりました、これは24グラム装弾を使うための苦肉の策なので、射撃装弾を使うとき以外は取り外して置いた方が良いのです、なぜならこれを付けたまま使うと1年も経たない間にOリングが切れてしまいます、いざ射撃用の装弾を使おうとするときに回転しなくなりますのでOリングは射撃装弾を使うときだけ取り付ける方が良いでしょう。
強力なマグナム装弾を使うときは余分な火薬ガスはガス穴のバルブから放出される様になっています、1100用の銃身にはこの放出バルブがありません。
11-87をさらに軽くしたのが11-96です、機関部も極限まで肉抜きをしています、銃身も限界まで肉厚を薄く作っていますので、1100、11-87用の銃身を換銃身として使うときは11-96の先台を少し削らないと銃身と先台はフィットしません。

11-87にはプレミアと呼ばれるモデルと、SPS(スペシャルパーパス)と呼ばれるモデルがあります、プレミアモデルは木銃床を使い、金属の表面もしっかりと艶出し仕上げがされています、銃床もデュポン製の塗料で光沢のある仕上げにされています。
SPSは目的が狩猟用ですから金属部分も銃床も艶消し仕上げで仕上げられています。
またシンセテック銃床を使っているモデルもあります。
皆さんから良く聞かれる質問ですが、シンセテック銃床と木銃床とどちらが良いでしょう? これは状況によって選択する物に違いがあります。
木銃床の場合、外見の美しさ、加工性は優れていますが、割れなどの強度はシンセテック銃床の方が優れています。
寒冷地の場合、零下40度以下に下がる場合、木銃床は割れる場合があります。
もしレミントンを射撃専用に使うなら、プレミアスキート、プレミアスポーテングなどの射撃専用銃を使われることをお勧めします、この銃なら24グラム装弾で快適に回転します、また銃床も特選の品質の物を使っています。

ベレッタ

ベレッタには3インチマグナム装弾が使えるA-390と、マグナム装弾は使えない代わりに3キロと言う軽量のA-304があります。
新製品のA391ウリカは軽量でなおかつマグナム装弾も使える優れものです。
いずれのベレッタの機関部は軽合金製です、そのためレミントンよりは軽くできあがっています。銃床の材質もベレッタの方が格上の材料を使っています、値段がレミントンよりは割高なので当たり前と言えば当たり前の話です。
ベレッタの場合回転不良の調整をすることはまずありません、これはベレッタの場合旧型のモデルを引きずっていないため常に最先端の設計がされているためです、従って旧型の換銃身は使うことは出来ません、つまり303型の換銃身は304にも、A-390にもそれぞれお互いに一切の互換性はありません。
銃身内部は硬質クロームメックがされており錆びず、摩耗にも強く出来ています。

ブローニング

ほとんどのブローイング銃が労働単価の安い作られるのに対して、この銃は珍しくベルギーの工場で作られています。実はこの前に作られたブローイングの自動銃、モデル2000があまり評判が良くなかったため、ブローニングとしては細心の配慮をして作っていることが伺えます、その為か、この銃は回転不良も、修理することも全くない極めて優れた銃に仕上がっています。使用している銃床材料もベレッタと同じ良質の材料を使っています。しかしながらブローニングは24グラム装弾での作動性は保証していません、もし24グラムを使うので有れば3インチを使わないと言う前提で調整は可能です。
銃身内部は硬質クロームメックがされており錆びず、摩耗にも強く出来ています。

スライド式ライフル銃について

1999年12月25日 築地

当社で取り扱いしているライフルはブローニングとレミントンだけです。
スライド式の特徴は、何と言っても作動性が確実なことでしょう、この銃の場合回転不良と言うことはおきません、しかし、以下の事をよくよく注意して使ってください。

全てのライフル銃は、ごく通常の使い方をしても激発の度に火薬ガスがネックの周りに吹き戻してきて、それが徐々に薬室の壁にカーボンとして付着します。 
これが限界以上に付着しますと薬莢が薬室に張り付いてしまいます、自動銃の場合強制的に薬莢を引き出すので張り付があっても剥離します。 ボルトアクションライフルの場合ボルトを引き起こしていくと最後のところで強制的に後ろに2~3ミリ後退します、これで強制的に薬莢の張り付をはがします。 仮に薬莢の張り付が有ったとしても以上のような構造のため多くの射手は薬莢の張り付に気付くことはありません。

しかしながらスライドアクションの銃は、張り付いた薬莢を強制的にはがす設計になっておりません、そのため薬莢が張り付くと、先台はかなり強烈な力で引かないと動かなくなります。ですからスライド式ライフルを使う場合は常に薬室をきれいに掃除しておかなければなりません。
スライド式について説明したついでに説明しますが、最近はやりの "直動式ボルトアクション" も強制的に排莢するというメカになっていない以上同じようなトラブルに遭遇します。


レミントン

レミントンはスライド式ライフルでは一番古い歴史を持っています、当然して愛用者が一番多いのもレミントンです。 スライドアクションの欠点に付いてはすでに書きましたが、レミントンのエキストラクターは色々ある銃の中で一番貧弱ですから張り付が強いとエキストラクターが外れてしまうことがあります。弾倉はワンタッチで交換できますからこの辺の取り扱いは楽です。それに何と言っても値段が¥99000ですから買いやすい値段であるメリットも大きいと思います。

ブローニング

ブローニングのスライド式は一昨年から流通するようになった新製品です。
そのためレミントンよりは色々改良されている所があります、レミントンと比べて一番使いやすい点は、先台のアクションが軽いと言うことです。それと先台が機関部の下まで動きますので先台を保持する所がうんと手前でも充分に使いこなせます。
エキストラクターもレミントンよりは強力です、またマグナム口径に対応しているのもブローニングだけです。弾倉形式はヒンジタイプの弾倉蓋に取り付ける方法ですからレミントよりは使い勝手がわるいです。

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうち 銃についてカテゴリに属しているものが含まれています。

次のカテゴリは間違いだらけの銃選びです。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。