2013年4月アーカイブ

Q&A 空気銃関連

築地

Q27 玩具銃の威力が1ジュールを超えると逮捕・検挙される場合があるとの事ですが、何も改造しなくても威力が2ジュールを越える一部のメーカー製品や、1ジュール以上あると思われるショップカスタムが存在しているようですので、実際には、高圧ガスで弾を発射できるなど明らかに威力の高いものでなければそれほど問題は無いと思うのです。そうでなければそのメーカーやショップが罰せられないのはおかしい気がします。違法になる基準(は明確にはないと思いますが)は1ジュールよりかなり高いのではないでしょうか?01-5/15

カスタムショップで販売している物の中には2ジュールくらいあるいはそれ以上の物も当然あるはずです。警察が検挙してそのまま被疑者が違反の認めれば何の問題もありません、しかしながらメーカーやショップの場合、違反を素直に認めるかどうかが問題です、仮に違反を認めなくて、警察が書類送検すれば裁判で争うことになります、裁判費用は最低でも500万円はかかると思いますが、ちゃんと弁護士を立てて裁判をした場合、どうなるか解りません、私の個人的な見解では過去の判例から考えると2ジュールの物でも銃器にするのは無理があろうかと思います。それに警察にとって判決が出ることは決して好ましいことではありません。仮に1ジュールが違反とされたら、今度は警察はこれらの玩具を銃器として取り締まらなければなりません、少なくとも告発されたら無視する事が出来ませんから警察に取っては単に仕事を増やすだけになります、ですから、極力行政指導と言う方法に成るはずです、しかし個人の場合は1罰100戒の意味もあって検挙する場合も考えられます。


Q26 私は、現在仕事の都合で海外に暮しておるのですが、もうすぐ帰国と言う時期になりました。この地では、中国やブラジル、米国製の銃器が自由に手に入ります(無論、装薬銃も)。先日、行き付けの銃砲店を覗くと、アメリカ製?のおもちゃの様な空気銃が入荷しておりました。中折れ式単発で口径はBB、本体は全てプラスチックと言う物です(多分 ディジー製だと思います)。面白そうなので買いたいのですが、いかんせん日本は・・・・。果して、玩具として持ち帰る事は出来ないものでしょう・・・か?と思い質問させて頂きました。01-5/13

不可能です、絶対に持ち込んではいけません、航空機に搭載時点でレントゲンで内容物を特定された場合直ちにFBIに通報されます、FBIは日本の警察に連絡します、しかしながらあえて成田で検査をOKにして泳がす事も考えられます、勿論後日自宅に家宅捜索が入ることは保証付きですが。


Q25 空気銃(要許可銃)とエアーソフトガンとの境界は、何なのでしょうか?。先日UPなされた、"銃砲刀剣類所持等取締法"上の定義では、金属製(又は類する物)の弾を使用するか否かの差異だけなのでしょうか?。それなら、6mmBBを使うエアーソフトガンに6mmの鋼球(ベアリング等)を詰めて撃てば違反になるのでは?。何か、弾の初速や威力、又は本体の材質等(金属製の銃は駄目とか)に付いての定義は在るのでしょうか?。01-5/13

玩具と銃器の定義に付いては法律では特に定めておりません、ドイツの法律では玩具の威力は0.5ジュールと定めております、日本の玩具メーカーはこれを基準に自主的に威力を定めております、この玩具に金属製の弾丸を詰めて撃っても法律的には銃器にはなりません、元々プラスチックの弾を撃つように出来ている玩具に、金属製の弾を装填すると弾が重すぎて全然飛ばないからです。
日本でこれらの銃を改造して検挙された例ですが、概ね1ジュールを越えると検挙、逮捕される場合があります。
玩具を改造して逮捕され、1ジュールあるから銃器と見なすと、警察から言われたら、それはおかしいと言うような被疑者は皆無なので、100%、犯意を認め罰金数万円を支払って釈放されている例がほとんどですから、裁判で威力に付いて審議された例は皆無です。


Q24 今月の「狩○界」の記事中強力25口径により、オスジカの止め打ちをおこなうと頭蓋骨を貫通し脳髄の半ばで停弾していたそうです。(距離1~2m)ビーマンが強力なのは実感していますが、シカの頭蓋骨まで破壊できるものでしょうか?所属の猟友会長はネックショットなら、ひっくり返る可能性がある。とは言ってましたが、頭蓋骨まではね・・・・・真偽のほどはいかが?00-9/15

充分可能です、猪を捕った例もあります。


Q23 以前から疑問に思っているのですが、蓄気式にしろポンプ式にしろ圧縮空気を急激に開放した場合(つまり発射した時)圧は急激に下がり、圧縮空気中に含まれている水分がバルブ、銃身内に付着すと考えられます。
しかし、これらに対する文献を読んだことがありません。簡単な実験では注射器の出口を指で塞いでおいて圧力をかけた状態で
指を離すと、注射器内部と出口に完全な霧状の水蒸気が認められます。この水分は銃の銃身の錆び、汚れを呼び、さらには命中精度に影響を与えると思うのですが、いかがなものでしょう。00-9/2

ご指摘のとおり、ポンプ式空気銃では空気室内に水が溜まります。
ファインベルクヴァウなどの1回ポンプするだけの射撃競技専用銃の場合、空気をためるところが小さく、そこに水分も全部押し込んでいるので激発時に水分も含めて全部吹き飛ばします、従って水が空気銃の中に残留することはありませんが、狩猟用のポンプ銃の場合、空気室と言う物がありますのでそこに水が溜まることがあります、それが金属の錆を呼びバルブのシールが悪くなる事があります。
しかしながら当社で販売している蓄圧式の空気銃の場合、アクアラングのタンクから移充填する場合、アクアラングに注入されている空気はコンプレッサーで圧縮された段階でコンプレッサー側に水としてすでに分離されていると言うことです、そのためアクアラングタンクの中の空気は、超々乾燥状態の空気なのです、従って移充填しても水分は全くありません。


Q22 ビーマンの初速でどの程度ですか、強力さはあの重いコディアックを飛ばすパワーで実感はしているのですが00-7/8

初速は850フィート、マズルエネルギーは28.4フィートあります。
ちなみに射撃競技専用のファインベルクバウの場合。初速は570フィート、マズルエネルギーは5.0フィートです。なんと5.68倍あるんですね!


Q21 教授の回答にあった、初速が180を超えると弾がふるえる。とすると私のビーマンはこのギリギリの初速なのかしら?教授の受売りなら告訴しましょう。00-7/8

ビーマンはこれを遙かに越える初速です、従ってビーマンでハンテンするのは最適ですが、オリンピックに出るのはファインベルクバウを使う方が賢明です、ちなみにファインベルクヴァウの初速は174平均です。


Q20 「世界最高性能」のうたい文句は信用してはいけない。
*この記述は教授のビーマンをさしているのでしょう。いずれのライターもビーマン最高・最強と言ってくれません。よほど某銃砲輸入業者の入れ知恵か圧力か、はたまたライター自身が某銃砲店所属のひとだったりして、本当なら~恐いお話~。00-7/8

うたい文句を信用してはいけませんが、自分自身で弾の初速を計測すれば簡単に威力が演算できます、以外とこういう人ってエネルギー計算をしていないのですよね。


Q19 強力プリチャージ銃(ビーマン)は、高齢者や女性に好適だそうです。加えて初心者にも魅力だそうです。
*こんな高価で扱いがデリケート(強力)な銃がなんで年寄りや女性に扱えますかいな・・ましてや初心者に進めるとは・・・・・本気かいな?00-7/5

中折れ式よりは遙かに扱いは楽です。


Q18 空気銃マニアは弾速と集弾性を求めていて、無意味な威力ではない。
*へぇ~わたくしはまず威力を求めてビーマンかいましたけど。00-7/5

シャープ銃の愛用者の中にはビーマンは威力が強すぎると言う意見もあります。
30メートル程度で雀等を撃つには確かにオーバーパワーの感が否めません、威力がない方が良い場合はシャープの選択も可能です。


Q17 5.5mmの弾速は4.5mmに比べればドンガメ、動きの速いゲームには追従できない。
*これはパワーのない国産○○ープの銃のことでしょう。きっと00-7/5

そのとおり、これは国産シャ**の事でしょう、ビーマンなどは口径6.3ミリありながら、初速は4.5ミリ並にありますからその指摘は的はずれですね。


Q16 空気銃は「弾速が上がると精度は下がる」法則
*こんな法則は聞いたことないですね?00-7/5

事、空気銃に関して言えば初速が180を越えると、弾に震えが発生するみたいです。
射撃用の空気銃弾の形状を見ると解りますが、先端はフラットに出来ています、この形状では高速弾を前提に設計しているとは思えません、空気銃の弾速が上がると精度は落ちると言う理論は、20年くらい前にすでに廃刊した雑誌、シューテング、ライフに私が書いた記事に掲載してあります、私が書く以前にこの事実を書いた人は居ないと記憶していますのでひょっとしたら私の書いた原稿が参考になっているかも知れません。
ついでに書きますと、22口径ロングライフルでも同じ事が言えます、22ロングライフルも初速を上げすぎると命中精度に乱れが出てきます、と、言いながら最近のマッチ弾は少し弾速が早くなってきていますが、早すぎるとぶれます。


Q15 射撃専用空気銃の弾速はカタツムリのように遅い。
*ほんまかいな。オモチャのシャープより射撃の専用銃が劣るとは考えられないのですが?いかが00-7/5

射撃専用銃の初速は170~175で理論が完成去れ尽くしています。これ以上でも、これ以下でも駄目みたいです。
狩猟界にその様な記述があったとしたら、ライターのジョークか無知でしょう。


Q14 ビーマンをロッカーにしまうときタンクは外しておけばいいんですね?150気圧かけたまま保管するわけにいかんでしょうし、銃にもストレス?がかかるのでは?00-7/3

銃には一切のストレスはかかりません、空気圧は常にタンクだけにかかっていますから、しかし銃に付けたままですとほんのわずかずつですが空気が漏れます、しばらく使わないときはタンクを外して蓋をねじ込んでおくことです。


Q13 
スコープの調整について(早く来い来いビーマン)、さて注文したスコープの調整はいかがすればよろしいか?
(1)実射して合わせるよりない。
(2)とりあえず、精度のでないレーザーポンター?で調整する。

空気銃の調整は実射が一番です、ボアーサイター等はライフル用のカートリッジを使い、100ヤードで正照準になるようにセッテングした物ですから空気銃では使えません。


Q12 築地さんのご近所の空気銃メーカーにも、うたってますが無振動・無反動なんて ありえるですか?ビーマンスーパーは高圧ガスを遮断・開放するだけのシス テム?(こんな簡単なわけないか)なら考えられるのですが。スーパーエースは同じ構造なの?

シャープの空気銃の圧縮空気解放システムはなかなかユニークで、元々バルブのふたを押さえていたものを外すだけのことです、ですから文字通り無振動無反動なのです、ただ常時強い力でバルブを押しているのでバルブの劣化が起こりやすいこと、それとあまり強い圧力は押さ
えることが出来ないと言う欠点は有ります、せいぜい利用できる圧力は40気圧くらいでしょう。
ビーマンは150気圧のバルブを解放するシステムなのでハンマーの力でバルブをたたく必要があり、わずかながら振動が発生します、しかしながらスプリングの力でハンマーをたたいて圧縮空気を解放すると言う方法は一番安定していて、アンシュッツ、ワルサー、ファインベルクバウなどオリンピックで使われる射撃競技銃には全て採用されている方法ですのでそれにより命中精度に問題が出ると言うことは皆無です。


Q11 空気銃弾の保護、弾頭部とスカート部の保護が必要と「狩*界」で論じられておりますが、ポケットにガチャガチャ入れて歩こうと思っているのですが、これも信用していい?

狩猟に使うレベルではスカートの保護にはそれほど神経質になる必要はありませんが、ご存じの様にオリンピックで使われる射撃競技では、空気銃の弾は1発づつ、スポンジの中にガードされています、スカートの重要性と命中精度の因果関係は、実際に自分で射撃して確認するのが一番です、私は意図的にスカートを変形させて実験しましたがあまり大きな変化はありませんでした、しかしそれが大きい変化か、無視して良い変化かは人それぞれの認識により違いがあるでしょう、先ずは実験です! 本に書いてあることが本当かどうか、私の言っていることが本当かどうか、先ずは実験しましょう!


Q10 ビーマンスーパー12射撃時注意する点は、何ですか?クローマグナムは、ピストン始動時の衝撃を逃がすことがポイントとおっしゃってましたね。
連続して80発以上の弾を撃たないことです、80発以上撃つと着弾が変化します。
クローマグナムは、ピストン始動時の衝撃を逃がすことがポイントとおっしゃってましたね。

そのとおり、昔の国体種目には空気銃競技のスプリング銃の部があり、スプリング式は特にハンデがあると認識されていたのです、その後無反動銃が出てハンデが無くなったのでスプリング式の部は無くなりましたが、いずれにしても昔は有反動のスプリング式はピストンが走り始める初期の振動を自然に逃がすのがコツでした、ですから昔のスプリング式のスリングの使い方はスリングを腕に巻き付けるだけで銃には固定しなかったのです。


Q9 築地さんのHPのQ&Aにある、5発ワンホールは何mの射撃結果ですか?

10メートルの室内試射場です、アンシュッツ社にも、ファインベルバウ社にも試射場があります、もしこれらの会社の試射係の人が某誌の記事を読んだら腹を抱えて笑い転げるでしょうな、もっとも私は恥ずかしくてとても言えませんが。


Q8
Q1.ガス銃の連発式には弾の種類が限定される。(指定された弾以外使えない。)でも、ガス銃でも単発式ならばいろいろな弾が使用できる。
Q2.22口径のライフルが禁止されたのは、「着弾距離が遠くて危険だから」ですか?
Q3.プリチャージ式は発射音が大きく、人の生活圏に近い猟場では不向き?

Q1、ガス銃の連発式には弾の種類が限定される。(指定された弾以外使えない。)でも、ガス銃でも単発式ならばいろいろな弾が使用できる。

昔、大洋銃器と言う潰れた会社から、グランドスラムと言うガス銃が売られていました、この弾倉はチューブ式なので、弾の全長が違うと薬室に装填されなかったりする問題がありました、しかし当時から弾の全長に関しては大体同じだったのですが、先端がフラットな弾の場合問題ないのですが、先端が尖ったジェット弾やを使うと前に弾のスカート部分に食い込んでしまうため、装填が旨くできなかったのです。
これはガス銃の問題では無く設計の問題ですのでこれをこれを以て連発式を論じるのは問題外と思います、しかしこの会社が無くなってすでに20~30年経過しているのでは無いでしょうか? 
この原稿を書かれた方は現在60代以上で、しかも頭の中は30代当時から全く進歩していないようですね。
連発式と言っても、ロータリー式の弾倉の物は如何なる形状の弾でも使えます。

(読者意見)*何のこっちゃ、さっぱり理解できません。同じガス銃だったら同じじゃないの?わたしのスパー12は連発式だったっけ?この記事が本当だったら大変なことです・・・・・・

Q2.22口径のライフルが禁止されたのは、「着弾距離が遠くて危険だから」ですか?だから、あまり着弾距離の長い空気銃は必要ない・・・・
これは全く事実と異なります、22口径ライフルでの狩猟が禁止されたのは威力が小さいので獲物を撃った場合半矢になる可能性があったからです。
少なくとも、それが当時の環境庁の言い分です、では22-250と30カービンではどちらが威力が大きいのか、なんて論争をしたくなりますが、この法律は我々の知らない間に決まってしまったと言うのが現状です、昔、1960年当時は22口径リムファイヤーでカラスを撃つハンテングがあったのですが、これで事故があったと言う事例は知りませんが、しかし22ロングライフルでの鳥撃ちは射程距離から考えて危険性があると思います。

(読者意見)*着弾距離が長いから、買った私はどうなるのか?加えてこの雑誌にも強力空気銃?の広告があふれているではないか。

Q3、プリチャージ式は発射音が大きく、人の生活圏に近い猟場では不向き?

威力が大きいから発射音が大きいので、威力を小さくすれば音は必然的に小さくなります。
これはプリチャージ式でも、ポンプ式でも、中折れ式でも同じ事です、圧縮した空気を解放した場合、その度合いが大きければ大きいほど発射音は大きくなります、どうもこのライターはシャープしか買えないのでシャープが世界最高と言いたいのでしょうか。

実を言うと、シャープの会社と私の自宅はごく近くにありまして、警察も同じなのです、ですからシャープの悪口はあまり書けないのですが、事実誤認がひどすぎるので筆を押さえて書きました。本当はもっともっと書きたいのですけど!

(読者意見)*なんてこったい。そんなに大きな音がするもんですか?人の生活圏に近い猟場で12番散弾銃を激射していたので、遠慮してビーマンにして、サイレントスナイパーになろうと思っている私には信じられましぇん。


Q7 質問者が雑誌の中で疑問点に感じたと説明していますが、私が雑誌の内容を確認したわけではありませんので記事の内容が事実かどうかについての責任は負いません。ですから雑誌の誌名は公表致しません。

★ 読者からの質問 ★
雑誌「狩*界」の空気銃の記事めくっていると疑問に感じる点があるので質問します。
Q1.右まわりのライフリングを持つ銃の特性は共通
Q2. 鉛弾を重くすれば、弾道のドロップが大きくなるので猟には使えない。
Q3. 国産ポンプ銃が日本全国を制覇している。
Q4. 実猟に向くのはアンダーレバーマルチポンプ式である。
Q5. セミプロは、4.5mmを選ぶ。空気銃は弾速が生命。
Q6. スコープ付きは「当たると錯覚」しているから。
Q7. ライフル用スコープはダメ、空気銃専用スコープを選ぶのが正しい。
Q8. 空気銃の鉛弾の不良率は6~7割に達する。(重量とバランスが悪いものの率)
Q9. 空気銃なら10mの室内射撃場で大方のことはわかってしまう。

Q1.右まわりのライフリングを持つ銃の特性は共通
A1. 左から右に吹く風 →  2時の方向へ着弾 (正解4時方向)
    右から左に吹く風 →  8時の方向へ    (正解10時方向)
   左まわりのライフリングを持つ銃の特性は
    左から右に吹く風 →  4時の方向へ着弾  (正解2時方向)
    右から左に吹く風 → 10時の方向へ    (正解4時方向)

上記の記述はす全て逆さまですね、正解を(  )の中に書いておきました。

Q2. 鉛弾を重くすれば、弾道のドロップが大きくなるので猟には使えない。
A2. は? 軽い弾頭を使えば残存エネルギーが激減するので猟には使えない、と言う考えもありますが

Q3. 国産ポンプ銃が日本全国を制覇している。
A3. あえて、コメントしません!

Q4. 実猟に向くのはアンダーレバーマルチポンプ式である。
A4. あえて、コメントしません!

Q5. セミプロは、4.5mmを選ぶ。空気銃は弾速が生命。
A5. あえて、コメントしません!

Q6. スコープ付きは「当たると錯覚」しているから。
A6. 俺達ベンチレストシュータは錯覚していたのか、(愕然)

Q7. ライフル用スコープはダメ、空気銃専用スコープを選ぶのが正し い。
A7. 何故わざわざ安物の空気銃用を選択しなければならないのかもはや私の理解力ではついていけません。

Q8. 空気銃の鉛弾の不良率は6~7割に達する。(重量とバランスが悪いものの率)
A8. 少なくともドイツ製の弾に不良弾はありません、100万発に1発もないでしょう、あったら是非開示してもらいたいものです。

Q9. 空気銃なら10mの室内射撃場で大方のことはわかってしまう。
A9. すごいね(呆然!)


Q6 ペレットは直径で 4.49mm と 4.50mm、重量では 0.53g と 0.50g のものが各社から日本へ入ってきているように見受けられますが、不適合の場合の一般的集弾傾向というのは存在するのでしょうか?

存在しません。(存在すると言う理論もありますが私は確認できません)


Q5 空気銃では、自分の銃への適合ペレットを探すことが重要であるということが教科書に書いてありますが、各銃一丁毎に適合するペレットが違うものなのでしょうか。それとも銃のモデル毎に大体決まっているものなのでしょうか?

重要ではありません、空気銃の命中精度に関しては理論が完成され尽くしていますのでよほど名前の知らない弾で無い限り銃との相性はありません。私がファインベルクバウとアンシュッツの工場に行ったとき使用している弾を確認していますので間違いありません、マシンレストで試射しますが5発の弾痕は完全にワンホールに成ります、驚いた事にその弾痕に空気銃の弾をそっと入れると、スカートの所で止まります、あれを見て空気銃のベンチレスト射撃はやるだけ無駄だと解りました、あれでは全員が一等賞になります、事、空気銃に関しては命中精度の理論は確立しています。


Q4 同コラムではブラシを往復させるよう指導されておりますが、一般的に装薬銃の掃除では、ブラシを往復させてはいけないと言われます。これは迷信なのでしょうか? また、これは空気銃にも当て嵌ることでしょうか?

ブラシを前後させてはいけないと言う理論は30年前、私が雑誌の中で言い出したことです、理想的にはブラシを薬室側から銃口に向けて一方通行で押し出すのが最良ですが、それをやっても銃身寿命の延命にはさほど効果が無いことが解りましたので、ブラシを前後させるように説明しているのです。


Q3 続き 「撃ったら帰り際にVFGのフエルトをオイル:Birchwood Gun Oil with TEFLON Lublicant を染み込ませて1発、その後ドライを2発位撃っておけば大丈夫です」という指導を受けましたが、こちらのコラム(銃の手入れについて)では「VFGのフェルトなんか使うことは論外です」とあります。これはどのように理解したら宜しいでしょうか?

空気銃の場合にはVFGのフエルトを使うことも可能ですが、少なくとも最善ではありません、少なくとも上記オイルは単なる潤滑剤ですから鉛の除去には何の役にも立ちません、鉛を除去するのにあんな物を"パチン"と撃つだけで除去できると思いますか? 常識的に言ってもブラシで無いと鉛は除去出来ないです。


Q2 続き 銃身の汚れが「程度問題」であるとすればどの程度の頻度で掃除を実施したら良いものなのでしょうか?

もしグラファイト処理を全くしていない場合は、50発くらいから蓄積します、ところが少しでも処理してあれば数百発くらいは大丈夫です。いずれにしても空気銃でクリーニングと言うのはあまり気にしないで良いと思います。


Q1 空気銃で教えてください。銃身の掃除は必要ないと言われる一方で鉛が堆積して当たらなくなっていると言われた事実はどのように理解したら宜しいでしょうか?

通常の空気銃弾では鉛は蓄積しません、といますのでは弾のメーカーで仕上げの行程でグラファイトを表面にまぶすからです、しかしそれがないと蓄積する可能性があります。
でも純鉛のまま出荷するメーカーは考えにくいのですが何とも言えません。表面が黒いのはグラファイトがまぶしてありますが、表面が銀色の物はまぶしてありません、自分で確認してください。

ターク高野 射撃技術講習会記録

1999年12月25日 築地

  • 日時:1999年10月31日(日曜日)
  • 場所:日本教育会館 一ツ橋ホール

10月31日に開催されたターク高野氏の講習会の内容を書き出しました。
私の解説も加筆したのでご覧下さい。
この講習会、多くの方がメモを取っておられましたが私はメモを取っておりません、従って単に記憶だけで書き上げましたので書き漏らしが有るかもしれませんがご容赦下さい。

なお詳細の数字についてはカッチリメモを取られた浅野さんの書き込みを参照させていただきました、これが無ければこの原稿は未完成のままでした、ベンチレスト射撃協会の会員、浅野さんに感謝の意を表しさせていただきます。

タークが日本にボランテアでやってきて講習会を開催したのは、私、築地に依頼されたことアメリカのベンチレスト射撃協会会長から、ワールドカップの時に、日本選手が"ルガー"を持って参加した、一度日本に行ってベンチレスト射撃の事に付いて説明してきてくれとの要請があったからだとの事でした。

(築地解説)
この時ルガーを使ったのは坂上さんですが、坂上さんの名誉の為に言いますが、かれはその大会会場でストールパンダを直ちに購入しております。勿論前回の我々のベンチレスト射撃大会でも上位に食い込んでいることはおわかり頂けると思います。

ベンチレスト射撃の始まりは、牧場での害獣、プレリードック等の狩猟から始まったそうです、プレリードックは300~400メートルで射撃しますが、リスより少し大きい程度の獲物なので非常に狙うのが難しいハンテングです。
昔、ベンチレスト射撃が始まった頃、4発しか撃たないのに5発撃ったと主張して上位に入ろうとしたシューターが居たため、その対策としてバックターゲットが設置されるようになった。

(築地解説)
その後、バックターゲットの電源を意図的に切断して、その大会で驚異的な世界記録が出たことがあります、そのグルーピングはなんと0.0ミリでしたが後にも先にそのその射手は最初で最後のレコードだったため、バックターゲットの電源を切ったのは"奴だ" と言うことになり、自然と射撃界から姿を消しました。

ベンチレスト射撃には以下、4種目があります。
アンリミテッドクラス 無制限
スポーターライフル 重量4.8キロ以下、口径6ミリ以上
ライトバーミント  重量4.8キロ以下、口径、制限無し
ヘビーバーミント  重量6.2キロ以下。口径、制限無し

アンリミテッドクラスは10発撃ち、それ以外は5発撃ちで競います。
上位に食い込める目安は1/11インチ以内、つまり2.3ミリ以下と言うことになります。 タークの射撃方法は、とにかく早く撃つ事だそうです、10発を、20秒から30秒で撃つそうです、早く撃つために左から装填して右から排莢するアクションを特別に作ったそうです。

(築地解説)
これはあくまでも気象条件、とりわけ風の変化が起きる屋外の射撃場の場合であり、室内射撃では早く撃つ必要はありません。

バレルメーカーとしては、ハート、シーレン、リルジャ、クレエーガーなどがあります。
ダグラスは生産量が多いのでカスタムバレルメーカーとは見なされていないようです。

ガンスミスがこれらの銃身を使うのは、何よりも、"無難" な事が第一だからです、これらのメーカーならまず命中精度に間違いがないからそれらのメジャーカスタムバレルを使うのです。
同じハート、シーレンでも国内の射撃選手には特別に選ばれた銃身を使うことが有りますかと良く聞かれますが、そのような事はないと言うのが正確な回答です。
銃身は射撃する前にエアーゲージなどで計測して有る程度のレベルは判断できますが最終的な判断は、実際に撃たなければ解らないのです。

以下、タークとの懇親会での話
おもしろい話としてベンチレスト射撃界で殿堂入りしたトニー、ボイヤーは何回も優勝した名射手ですが、彼は年間12本のバレルを購入して、色々テストを繰り返し、一番よかった銃身を使っています、要らない銃身は他の射手に払い下げています、そのトニー、ボイヤーが要らないと言って貰った銃身でチャンピオンになった射手も居るそうで、銃身の命中精度と言うのはこれくらい解らないそうです。

銃身の命中精度を引き出すためには、使用する火薬、使用する弾頭により変化します。
また弾頭のシーテング量によっても変化します、アメリカでは弾を作るのに100%ウイルソンのダイスを使いアーバープレスで作りますがその時の弾頭シーテング量を変えるために隙間ゲージを使うそうです、隙間ゲージを弾頭の深さを決めるシーテングダイスの間に入れて千分の数ミリ台でシーテング量を変化させて命中精度の変化を調べています。
これらの変化のバリエーションを考えると10000通り以上に成るでしょう、これを全部テストしたら、その前に銃身寿命がつきてしまいます。

命中精度が良くなるのは一般論としてその弾の最高初速の辺りが一番良いとされています。
当然、ローデングブックのマキシマムを完全に越えています、ベンチレストシューターでローデングブックを見てローデングする射手は皆無だそうです、ローデングブックは実際のマキシマムより低めに設定してあるそうです。
その理由は訴訟を起こされないためだそうです。

カートリッジで一番良いのは6ミリPPCと言うのが定着しています。
6ミリPPCは220ラッシアンと言う薬きょうがベースです、220ラッシンのショルダー角度を30度に変化させることにより劇的に性能が良くなりました。
タークはこれを35度にしたり、色々テストしたそうですが30度以外では効果が無かったそうです、30度にすると何故効果があるかと言いますと、火薬はプライマアーで点火された後、周囲から前に燃焼が進んだ後一旦ショルダーで火炎が吹き戻し燃えていない火薬に点火すると言うプロセスを起こします、そのためショルダー角度を変化させると燃焼特性が変わるのです。

(築地解説)
30-06に薬莢のショルダーは26度ですが、この角度を30度にするだけでマグナム並の初速が出せます)
PPCの良さは、弾作りがシビアーでないことが特徴です、割合ラフに火薬を詰めても非常に優れた命中精度をしめします。
同じようなカートリッジで6ミリBRがあります、6ミリBRは重たい弾頭を使えると言うメリットがあります。

風の読み方
弾の飛行が風に影響されるのは誰でも理解できることであるが、真横から吹く風に真横に流されるのでは無く弾頭は高速回転しているのでそこに微妙な変化が生じます。
多くのライフル銃身は右回転なのでそれを対照に話を進めます。
3時方向から吹く風によって弾頭は流されますが、その流される方向は真反対の9時方向では無く、少し上の10時方向に流されます、これは弾の回転する方向により弾の下にある空気の圧力が強く、上にかかる空気圧が小さいので上に変位するのです。
逆に9時方向から吹く風には3時方向では無く、少し下の4時方向に流されます、これは弾頭の上にかかる空気の圧力が大きいので少し下に流されるのです。
前から吹く風には上に上がります、後ろから吹く風には下に流されます、右斜め前、4~5時から吹く風の場合は、着弾は左斜め、10~11時方向に流されます、左斜めの7~8時方向から吹く風の場合、1~2時方向に流されます。

銃の構え方
激発前の狙い込みの時、隣の射手が激発した衝撃により、思わず引き込まれ自分も引き金を引いてしまうことがあります、これを我々はダブルと呼んでいます、ベンチレスト射撃の場合引き金が軽いのでダブルを犯す事がありますので隣の射手とのタイミングも計算しながら撃つ方が無難です、また射座の前にバッフルがある場合、その衝撃波が来るのでダブルが顕著に現れる事があります。
銃の構え方ですが、銃をレストの上に載せて頬付け肩付けをほとんどしなくて引き金だけを引いて銃を自由にリコイルさせるやり方をフリーリコイルと言います、この射撃方法は時折、もの凄いグルーピングが出る可能性が有るのですがどうかすると大きく外れる時もあります、これと対照的なの頬付け、肩付けををしっかりして射撃するのをホールデングといいます、この射撃方法ではポカは出ないのですが狂ったようなグルーピングと言うのも滅多にありません。私自身はホールデングで撃っています。
アメリカでは100%の人がパウダーメジャーを使って計測しています、間違ってもパウダートリックラーなどを使っている人は居ません、実際のベンチレスト射撃では火薬量の0.5グレイン程度は無視して良いレベルです、従ってこれ以下の計測はあまり意味がないのです。私はアンリミテッドクラスの銃で何度も実験しているの間違い有りません。
日本ではエレクトリックパウダースケールを使っている人は多いと思いますが、アメリカではほとんど使う人は居ません、その理由としては電圧が一定でないと駄目、あるいは標高によって狂いがで出ると言うことがその理由です。

(築地解説)
日本での電力事情では電圧の変化と言うのはほとんどありません、また標高による変化と言うのはアメリカみたいに試合を変遷する事の無い日本では全く問題にする必要は無いでしょう。

バレルの製造方法
銃身製造方法としてはボタン加工とカッタード加工があります、シーレンもハートもボタン加工ですが、クリエーガーはカッタード加工です。
昔シーレンに居た頃エド、シーレンンにカッタードで作らないのかと聞いたら、あんな歩留まりの悪いのじゃ商売に成らないと言われました、そのことをクレエーガーに言ったら色々ノウハウがあってクリエーガーでは歩留まりが良いと言っていました。

(築地解説)
ボタンもカッタードも命中精度に優劣はありません、ボタンは難削材の加工は難しいのですがカッタードなら可能です、カッタードでは1回の往復で削り取る寸法は千分の数ミリです、ライフリングの山は5/100あります、これを6本加工するのですから作業工程がかなりかかります、ボタン加工の場合超硬で出来たボタンを油圧で押し出すだけです。

以下タークの説明に戻ります
銃身材料としてはクロームモリブデンとステンレスがあります、ステンレスの場合ボタンを通すと"めくれ"が起きます。そのためボタンを通す前に内径に銅メッキを施します、それにより"めくれ"が無くなります。
この銅メッキをはがすのと、ボタンを通した後の成形のためホーニングをします、ホーニングは溶かした鉛を銃口に流し込み、それを型にして研磨材を塗って研磨します。
同じ行程で作られた銃身でもスタンダード、マッチグレード、セレクテッドマッチグレード、により分けられます。

以下タークとの懇親会での話
ハートなんかの銃身はまず一番良い物は国内の射撃選手に使わせると言う事実はないのですかと言う質問に対して。
それは考えられないですね、まずメーカーでどの銃身が当たるかと言うことが解る訳有りません、ですから撃つ前に銃をセレクトすると言うことはあり得ません。
超一流の選手から注文が来たとして、最高に便宜を図ったとしても納期が早いと言うことだけでは無いですか。

以下タークの講習会の講義
ボタン加工で処理された銃口内の仕上げは220番程度の仕上げです、鏡面仕上げとはほど遠い状態です(注:鏡面仕上げは1200番)実はこの荒さは意図的に荒く仕上げられているのです、これが一番カパーファウリング(銅の付着)が少ないのです、鏡面仕上げにするとファウリングが起きやすいのです。
このファウリングを除去するのにJBクリーナーを使う射手がいますが、これはコンパウンドなので銅は除去出来るのですが同時に内径を鏡面に仕上げてしまします、つまりさらにファウリングが起こりやすくなるのです。
最近Cryo(クリオ)処理をすると銃身のストレスが無くなると言うことで色々宣伝していますが、銃身の場合、低温処理した銃身としない銃身とを比べましたが違いは無いと言うのが結論です。
しかし、カスタム銃身メーカーは念のためと言う感じで全部処理をしています。

(築地解説)
クリオ処理は金属を超低温の状態にする事により金属のストレスを除去し、なおかつ分子配列を直すので硬度が増すと言うのがうたい文句ですが、刃物に関してはカイ刃物の実験でも効果のないことが確認されています。しかしトランペットなどの金管楽器を処理すると低温の音域が広がることは確認されています。
ここの社長、ケテー、フィッシャーは現役のベンチレストシューターでこの間のスーパーシュートにも来て居ました。

以下タークの講習会の講義
チャンバリングの事について話します、チャンバリングの作業自体はあまり難しい作業ではありません、チャンバリングで大切なのがバレルの内径にあわせたブッシングを付けているかどうかです、銃身の内径は微妙に違うので内径にあわせたブッシングの交換が必要です。

フラッシュホールを大きくすると言うことが言われていますが、大きくするのは駄目です、せいぜい成形と言う加工にとどめています、私のは65/1000です。
薬莢のフラッシュホールはパンチで抜いていますのでバリがありますからそれを除去しています。
薬莢はほとんどがラプアを使っています、それ以外の薬莢は強度が弱くて誰も使いません。

ファクトリーカートリッジが何故当たらないかと言う事に付いて説明します。
多くの方がファクトリーカートリッジは火薬量がバラバラだから当たらないと思われていると思いますがそうではありません、以外と火薬量は正確に装填されています。

(築地解説)
工場装弾の火薬量はきわめて正確に計測できます、たとえば22口径競技用弾頭を作るのにその誤差は0.2グレインです、皆さんがハンドロードするよりも遙かに正確です。

以下タークの講義
ファクトリーカートリッジは色々な銃に間違いなく使えるように元々少し小さめに作られています、そうすると薬室に装填したときに銃身軸線から下にセットされる事になりますね、その状態で弾頭を発射すると、弾頭は銃身の中を斜めに"みそすり現象"を起こしながら弾頭が進みます。そのため命中精度が悪くなるのです。
皆さんの中には、弾頭が銃口内を通過するときにはまっすぐ矯正されるだろうと思われるでしょうが、実験の結果そうでは無いことが確認されています。
300メートル先におがくずを詰めた箱をおいてそこに弾頭を撃ち込み、完全無傷な弾頭を回収しました、それを顕微鏡で回しながら見るとライフルマークが偏芯して付いていることが解りました、つまり弾頭は偏芯して飛んだと言うことです。

引き金はジュエルが一番優れています、基本的にジュエルは油を使わないで作動するように作られています。問題は洗い矢を通すときにソルベントを機関部に垂らし、それが引き金に流れ込みゴミを巻き込む事があるのでオーバーホールの時は中をきれいにクリーニングする必要があります。

アクションとしてはストールパンダ、ホール、ネシカベイなどがありますが圧倒的に売れているのはケルビー社で作られているストールパンダです。
機関部がアルミで出来ているというのが一番の利点かも知れません、軽く作れるというのは勿論ですが、アルニは一番振動が少ないんですよね。それからグーイン(接着取り付け)した場合食いつきが良いんですね、私の機関部はスチールなんですが試合で当たりが悪いので色々チェックしていたら"パカッ"と機関部が銃床から外れたことがあります、こんな具合にスチールは食いつきが悪いのです、しかも接着が剥離しているかどうかが解らないので非常に困ります。

次に弾頭について説明しますが、弾頭のジャケットはJ-4が独占で製造しています、ジャケットはプレスの絞り加工で製造するので肉厚が必ずしも均一には上がりません。
ジャケットの厚みは20/1000ですが、公差は3/1000です、マッチブレットの場合公差は2/1000以内になります。
射撃仲間で色々シュミレーションしている奴が居て、1/1000の偏芯で、弾頭は85/1000影響すると言っていました。
弾頭の形状でテーパー部分の事をオージャイと言います、通常の弾頭は7度くらい、最近のVLD等の弾頭は8.5度になっています。弾頭のストレートの部分、つまりライフリングが食い込む部分をベアリングサーフェスと言いますが、こうした新しい弾頭はベアリングサーフェスがだんだん短くなっています。従って弾頭の偏芯は命中精度不良に顕著な影響を与えます。
弾頭を作るとき、中に鉛のコアを入れますが、弾頭の先端を絞る行程でこのコアが偏芯して成形されることがあります、こうした弾頭は命中精度が劣化します。
昔コックと言う弾頭がありましたが、オーナーが死んで二代目が後を次いだとき命中不良の問題が起き色々アドヴァイスして解決したことがあります。
弾を作るときは火薬を目一杯入れるのが原則です、エアースペースがあると異常高圧になる事があります、通常パウダーメジャーから火薬を入れると、マウスから溢れますが、ドロップチューヴを使うと、火薬が落ちている途中でタンブリングして入るのでより多くの火薬を装填できるようになります。
ベンチレスト射撃では、弾頭はウイリアムスのダイスを使い、アーバープレスで作ります、何故そうするかと言いますと、弾頭のセッテングが精密に出来るからです。
ベンチレストシューターは全員隙間ゲージを持っています、これをどう使うかと言いますと弾頭のシーターの間に入れてシーテングすると、その分弾頭を浅くシーテング出来るわけです、つまりランドタッチの条件を色々微妙に変えることが出来るのです、そしてそのデーターを子細に記録することが必要なのです。
射撃の度にエロージョンが進行するため10発撃つとスロートは1/10000長くなります、従って500発撃ったら弾頭のセッテングを再度調整する必要があるのです。

銃口内の掃除にはブッチボアーシャインが最高です、一番良くとれます。
名前はダサイけど効果は抜群です!


質疑応答
:スコープマウントのラッピングがシンクレアー等のカタログに掲載されていますがそれの使用方法を教えてください。

:スコープマウントはスコープのボデーと同じに出来ていますがそのままネジを閉め込むとスコープをつぶすことになるので、マウントリングの下端を少し研磨してマウントリングの下端ではなくサイドからもホールドしようと言う発想で作られています。


:SBのバレルで、ロングバレルとショートバレルがありますが、タークさんはどちらが優れていると思いますか?

:アメリカのBR50では20インチ、あるいは18インチ銃身もあります、命中精度的に言えばそれでも充分ですが、ポジションシューテングの場合、バランスの問題が有るので長めに出来ています。


:  1,アンシュッツは銃口を絞ってありますが、絞った方が良いのですか?
2,絞った銃身を注文するときには何と言えば良いのですか?
3,アンシュッツの銃身はどこで作っているのですか
4,SBの場合でもバレルクリーニングは10発度とか、20発度とか頻繁にやった方が良いのでしょうか?
5,SBのベデングはやった方が良いのですか?

: 1,22口径の鉛弾は銃身内を通過すると摩耗するので銃口は絞った方が良いでしょう。
2,絞った銃身はスクイーズバレルと言えば解ります。
3,よく分かりません。
4,その必要はありません、クリーニングした後コンデションを整えるまで10~20発くらい撃たなければなりません。


:チャンバリングするときに触れ止めを使われると思いますが、銃身と触れ止めの間は当然隙間を作られていますか?

:普通は隙間を取りますが、私は特殊なジグを作っていますので隙間は取りません。
(以下、築地注
銃身の薬室切る作業をチャンバリングと言います、ガンスミススクールで教える場合銃身の先端をを旋盤のチャックに止め、銃身の薬室の当たりを触れ止めと言う3方向から止める工具で銃身が触れないようにしますが、強制的に中心に保持するのでは無く、隙間を設けます、これはチャンバリングリーマが銃身の中心に自ずから切り込んで行く性質を利用した切削方法です。
しかしながらこれは旋盤の精度が良くない場合にはこういう工作方法しか取れませんが、工作精度の優れた旋盤で加工する場合、薬室の所をチャックにくわえて加工します。
工場で銃身を作る場合当然この方法で作られます、工場で作る場合ターレット旋盤を使い、薬室下穴加工、ラフリーマ加工 フィニッシュリーマ加工、ねじ切りと、ここまで銃身をチャックに付けたまま仕上げます。

海兵隊での狙撃訓練

2000年 1月 30日 築地

たまには息抜きに軍事物のお話を致しましょう。
私が根っからのライフルシューターで有ることは私の書き込みでおおかたお察しだと思います。ライフル射撃に関して言えば私は3段の資格を持っています、その番号も0013番ですから如何に私が早い時分に段位を取得したかおわかりいただけると思います、ライフル射撃を極めると、やはりスナイパーの世界を覗きたくなるのが人情では無いでしょうか。
実は、以前、アメリカの国防総省のつてを頼って海兵隊のスナイパー訓練に参加させてくれと無謀な申し出をしたことがあります、で、その結果海兵隊の狙撃チームの最前線は沖縄なので現地の司令官に連絡を取って見ろとの返事をもらいました。

実を言いますと、在日米軍の銃器販売はすべて当社の独占事業なのです(知らなかったでしょう)在日米軍は勿論、沖縄の海兵隊と言うとなんと当社の一番のおなじみさんでは有りませんか、海兵隊の司令官も当社のお得意さんです、思わず頬が緩みました。
で、早速************(この辺の情報は非開示です)******して、キャンプハンセンの海兵隊射撃場に行ける事になりました。
キャンプハンセンには海兵隊の専用射撃場あります、最大射程は500ヤードです、なんと長瀞より長いでは有りませんか、私は愛用のFAL、そして自作のスナイパーライフルをこのために持参しました。
で、ここで問題ですが、日本の銃砲所持者が日本国内の米軍基地で射撃するのは合法でしょうか、それとも違法でしょうか?
日本国内で射撃をする場合、必ず公安委員会の指定射撃場で使わないと違反になります、しからば米軍基地内は外国でしょうか、国内でしょうか。これが大使館の敷地内なら外国ですが米軍基地内は実に微妙な立場にあるのです。そのため当社の顧問弁護士から警察庁に疑義照会を出してもらい警察庁の見解を得た上で銃器を携帯して沖縄に飛びました。

那覇から車で2時間くらい行くとキャンプハンセンのゲートに着きます、付近には軍用犬警戒地域違法侵入者は射殺、なんてヤバイ警告もあります。
私は"その筋"を通して来ていますので基地内では何でもOKと言う感じです、射撃場に行くと私の為に現用のスナイパーライフル40M1Aが用意されています、その他にM-16、軽機関銃ミニミも用意してあります。しかしながら今回の目的はスナーパー射撃訓練に参加する事ですから、一応スナイパーライフル以外は外道として体験射撃をするのは止めました。そのあとゲリースーツと呼ばれるスナイパーが着用する衣服を見せてもらいました。網で出来たポンチョに草色の布きれが取り付けてある、ホームレスも驚いて逃げ出しそうなヤバイ服です、もっと正確に表現するなら、服と言うよりぼろ切れですね。

しかし、これを着て草むらに寝転がると、すっかり草むらに溶け込んで5メートルくらい近づいても全く解りません。スナイパーの基本は射撃技術より、如何に敵に近づくかと言うことだそうです。スナイパーは同じ服装をした観的手と二人で行動します。観的手は通常のM-16ライフル、スナイパーは4.5キロのスナイパーライフルを携帯します。
スナイパーライフルには147グレインの軍用弾頭の弾道に合わせて射程距離に合わせて照準調整が出来る、ウナートルの専用スコープが装着されています。スナイパーライフルは全部の重量を合わせると5キロを超えます。使用する弾は、レイクシテー製のマッチ装弾です。海兵隊のスナイパーは全員この特殊弾頭を使います。しかしながらもっと命中精度の良い6ミリPPCなどの装弾は軍隊で使わないのだそうです、なぜなら308はM-60などの機関銃、M-14などの軍用小銃に使われています、これと同じ弾を使わないと発射音に違いが有るのですぐにスナイパーだと解るから使わないのだそうです。
ナルホド納得!
海兵隊の訓練で、300、500、ヤードで固定標的を撃つのは表向きの訓練です。
通常はこうした訓練をしていると一般には説明しています、また広報の写真もこうした物しか公開していません。

一応、海兵隊からは非公開という事で口止めされたのですが、私に"内緒だよ"と言ってしゃべったのが悪かったのです。それに海兵隊がこのHPを閲覧する事はないと思いますのでこの際思いっきり全部しゃべっちまいますが、海兵隊の訓練のメインは実は固定的の射撃では有りませんでした。
その訓練とは、観的壕で、兵隊に竿の先につけた頭と同じ大きさの標的を持たせて、観的壕を左右に行ったり来たり、そして時折止まらせたりして射撃するのです。これで人間が歩行する状況と同じ場面を再現させ、その狙撃訓練をしているのです。しかし狙撃は簡単です300メートルで人間の頭と同じ大きさですから歩いていてもタイミングさえ間違わなければ100%命中します。
ベンチレスト射撃の世界では、固定的ですが300メートルで10円硬貨に命中させられます。ですから動いていても外れる訳はありません。
しかし、実際のスナーパー射撃は700~800で撃つ場合が多いのだそうです、このくらいの距離がないとスナイパーが敵前から離脱出来ないのだそうです。

警察の狙撃
海兵隊の狙撃と違い、警察の狙撃は全く状況が違います。
まず射撃する距離が根本的に違います、100メートル以内で撃つと言うことが原則なのですが、指揮官がどうしても"ビビル"ため実際の狙撃は50メートルくらいが多いのだそうです。50メートル! これでは外しようが無いではありませんか、頭どころか目玉の、それも黒目に命中させられるレベルです。しかし頭を狙撃するとマスコミのカメラがそれを写していますから後で脳味噌の飛び出すショッキングな映像が24時間放送されることになります。
そのため頭以外の場所を狙撃せざるを得ないことが多いのだそうですが、頭以外の場所を撃つと、麻薬中毒患者などは痛みを感じないのだそうです。ですから、神経系統を撃って体のコントロールが利かなくさせるのも方法の一つだそうです、しかしマスコミのカメラが近くに無ければ間違いなく心臓を狙います。
使用する銃器は700ヴァーミンターですが、最近はさらに精度の良い40Xを採用する警察も増えています。ターク高野の話では警察の狙撃用に6ミリPPCの試作を造っていると言っていました。

ひるがえり、我が日本では、(あ、悲しくなるから話すのは止めます。

銃器の手入れ方法に付いて

2000年 1月 7日 築地

銃の手入れに関しては散弾銃とライフル銃ではいくらか相違点があります。

散弾銃に関しては妨錆を最大の目的としますがライフル銃の場合はライフリングの保全を最大の目的とするからです。


散弾銃(自動・スライド式)

自動銃の場合、一番汚れやすいのはガスポートの周辺です、これは火薬ガスを吹き出す所ですから当然の話しですが、逆の言い方をすると少々ゴミが有ってもガスで吹き飛ばすので大丈夫です、問題は妨錆処理だけです、ここの部分はいくら妨錆油を塗っていても1発弾を撃つだけで油分を吹き飛ばしてしまうので、撃つ前よりも撃った後の手入れが大切なのは言うまでもありません。ここに付着したカーボンはブラシ等でそぎ落とすのが最良でしょう。その後妨錆油を吹いておいてください。

レミントン11-87自動銃の場合、ピストンリングの所にガスシーリングと呼ばれているOリングがあります、これは24グラム装弾を撃つときに必要な物です。

昔は射撃用の装弾でも32グラムだったのですが、現在は24グラムと言う極めて弱い装弾です、そのため24グラムで完全に回転するようにすると3インチ装弾を撃ったときスライドの動きが強烈になりすぎて故障の原因になります。そのためOリングを使いガスのシーリングを完璧にすることにより24グラム装弾での回転を確保しています。

しかしながらこのOリングは消耗品ですので、24グラム装弾を使うとき以外は外して置く方が賢明です。

そして射撃場で使うときだけ装着して使えばOリングの持ちも良くなります、勿論消耗品ですから当社では在庫しております、価格は1個 ¥500です。

引き金ブロックを取り外して手入れする必要はありません。そのままエジェクションポートから妨錆油を吹いてください。特にレミントンの自動銃の場合、引き金ブロックを取り外して、ハンマーを押さえないで空うちすると100%間違いなくキャリアーラッチパーツが破損します、絶対に引き金ブロックだけで空うちしてはいけません。

銃身の中の手入れは、銅ブラシでカーボンを除去した後、布で拭き取り妨錆油を吹いておいてください。そのほかに妨錆油を吹き付ける所は機関部の内部と外部、銃身の外部とガスポート周辺です。吹き付ける量は少々多くてもかまいませんので充分に吹き付けてください。吹き付けた後は銃口を下向きにしてガンロッカーの中に収納しておけば不要な油分は下に流れ落ちます。

スライド式はガスポートが無いのでその分手入れは自動銃よりは手間がかかりません、その他の手入れは自動銃と同じです。

散弾銃(上下2連銃・水平2連銃)

銃口内の手入れはどの散弾銃でも同じですが、上下2連の場合機関部に妨錆油を吹き付けておけば内部にも油は回りますので必ずしも銃床を取り外して木か鞍部の内部の手入れをする必要はありません。

射撃用の散弾銃は試合の場合など雨天の中で使用することもありますのでその場合リヴ等に付着した水分は完全に除去してください。

また彫刻のある機関部は水分が残りやすいのでこれも注意が必要です。

銃身や機関部が錆びたら黒染めをやり直せばと簡単に考えがちですが、銃の黒染めをする場合は、一旦現状の黒染めを研磨でそぎ落とし、完全に鉄の地肌を露出させてから再着色処理します、そのためごく薄くですが表面を削ることになります。そのため銃身に打刻してある刻印が薄くなり、我々が見ると一目で仕上げ直ししたのがわかります、当然、銃の評価は低くなります。仕上げ直しは表面を再研磨するのですから彫刻してある所はとても研磨できませんからこの場合ブラシで錆の部分を磨くしかないのです。

こんな面倒な事に成る前に使った後は必ず手入れをしましょう。

ライフル銃

ライフル銃の手入れで一番重要なことは銃腔内をしっかりと手入れすることです、ここを錆びさせたらライフル銃は駄目です。極端に命中精度が落ちるとは言いませんが一度錆びさせると後は簡単に錆びやすくなります。

銃腔内はボアーソルベントを付けて銅ブラシを使い、銃腔内を5~6回往復させます。

今までは、色々なメーカーからボアーソルベントが発売されています、ホップス9、カッパーリムーバー、シューターチョイス、色々有りますが、ダントツに優れているのはブッチボアーシャインです(www.bbsindustries.com)最近発売された物ですが効能は極めて優れています。残念ながら毒性が有るためか合法的にアメリカは輸出出来ないみたいですがサンプルとして当社には入荷しておりますので必要な方はご注文下さい。

価格は¥3800です、1回買えば2~3年は使えるほどの量があります。

ブッチボアーシャインの使い方は銅ブラシにこれを付けて銃腔を5~6回往復させます、その後10分間放置してふき取るだけです。3回ふき取れば完全にきれいになります、是非おためし下さい。

この時使うブラシはナイロンブラシではいけません、ナイロンでは銃腔に付着して銅は除去できません、ましてやVFGのフェルトなんか使うことはは論外です。

銃の外形の手入れは妨錆油を吹き付けるだけで大丈夫です、引き金や、ボルトは分解する必要はありません。

WD-40

今まで述べた中で妨錆油と言っているのは WD-40の事です、WD-40はほとんどのメーカーが工場で使用している妨錆油で効能は一番優れています。

面白い事に、メーカーブランドのスプレーオイルがそれぞれのメーカーから出されていますが、メーカー自身が使っているのはWD-40です、私はアメリカ、ヨーロッパの銃器工場に度々出かけていますが、どこの工場でもWD-40が転がっています。

WD-40の特性は浸透性が強いこと、スプレーした後でも揮発成分が蒸発した後でもごく薄い被膜を鉄の表面に形成します。

そのため妨錆効果が劇的に長持ちします。

何故かWD-40は銃砲店では販売しておりません、工具やさんか、日曜大工店、東急ハンズで取り扱っています、銃砲店で販売している妨錆油は使わない方が無難です。

ライフル銃の銃腔内の手入れには必ずブッチボアーシャインを使ってください。

但し、散弾銃の場合は通常に市販されているボアーソルベントでも使用できます。 

装弾の話

2000年10月15日 築地
追記 2000年10月24日 築地

ベンチレスト射撃ではハンドロードしないと命中精度の良い弾は絶対に出来ませんが、22口径ライフル射撃、クレー射撃、では100%既成の装弾を使うことになります、今回のコラムはそうした完成実包の話をしてみます。22口径、大口径、散弾実包と、全てのジャンルの話をしますので最後まで読んでくださいね。


22口径

22口径ライフル射撃競技では100%完成実包を使うのでどこのメーカーの弾が良いかは射手にとって最大の関心事です、その前に何故22口径リムファイヤーはハンドロードが出来無いのか説明してみます。
22口径リムファイヤーの弾は作り方が非常に難しいのです。恐らく色々ある弾の中で一番製造が難しい弾と言うことが出来ます。とてもハンドロードで出来るような領域では無いのです、22口径の弾の弾頭を取り外すと簡単に解りますが、弾の中に火薬は半分以下しか入っていません、これ以上火薬を入れると命中精度が出ないのです、火薬量が極めて少ないと言うことは火薬量の計測はかなり厳密に行われていると言うことです。私の推測ですが計量は0.1グレインまでは計測されているはずです、これほど厳密に火薬量を計測されているのは22口径ロングライフルだけです、この火薬燃焼速度が極めた早い、そのため火薬量を間違えると大変な事になるのです、あの小さなキャパシテーの中で火薬は半分以下しか入っていないのだから火薬をダブルチャージすると間違いなくボルトのエキストラクターが吹っ飛びます。
念のために言いますが、エキストラクターが吹っ飛ぶだけで人身事故にはならないので心配はありません。
ハンドロードが出来ないもう一つの理由は弾頭のクリンプです、22口径の弾は弾頭対して薬莢の先端が絞ってそれが弾頭に食い込んでいるのがお解りだろうか、多くの人がどうやって弾頭を取り付けたのか疑問に思うようで、私もよく質問される、薬莢は始めから先端が絞ってある訳では無く、最初はストレートである、そこに弾頭を入れて、弾自体を回転させながらナイフの刃先の様な物で薬莢の先端を絞り込んで弾と一体にするのである、この絞り込みが無いと撃針を叩いたときに雷管の圧力で弾頭が簡単に簡単に抜けてしまい、火薬がチャント燃焼しないことになる、そうなると威力もなくなるし、当然命中精度もバラバラになる、この様に弾頭のクリンプは22口径ライフル実包にとって極めて大切な要素なのです。
22口径に付いてもう一つ素朴な疑問として聞かれることがあります、それは22口径のリムの部分はどうして作られるかと言うことです。機械的に考えると非常に難しい製法なのです、単にリムを作るだけならプレスで成形すれば問題ありません、最大の問題はこのリムの間に爆粉を塗らなければならないのでその隙間をもうけなければならないことです。
機械的に製造したと考えると極めて複雑な構造になるし、第一、薬莢には機械工作の痕跡が全くないのです、とても私の頭では考えられなかったのでヨーロッパに行った時に長年の懸念問題をテネックスの技術に聞きました、答えは、"空気で膨らまします" と言う答えでした、なるほど空気で膨らましたのなら機械工作の後がないのがうなずけました、長い間、本当に長い間私の頭の中に巣食って居た疑念が一気に溶解しました、この喜びはとうてい他人には解らないでしょうが、解って貰わなくて結構です、でもその夜に飲んだビールの美味かったこと、私、少し変態でしょうか?

昔のテネックスは当たったと言う話の真偽!
一部の射手の間で昔のテネックスは当たった、逆に言うと最近のテネックスは当たらないと言う話がある、テネックスの名誉のために言うが、別にテネックス独自の問題では無くダイナマイト、ノーベル社のR-50も昔の方が当たったのである。
最新の工業技術を以して昔の方が性能が良かったと言うことは考えにくいのだが、この話、実は本当の事なのです、メーカーサイドは絶対に認めていませんが、昔の弾が命中精度が良かったという原因は火薬の製造方法に最大の問題があります。
もっと正確にいうならリムの所に塗る爆粉の製造方法に問題があるのです、昔はこの爆分を作るのにあまり溶剤を使わずに製造していたようなのです、そのため業界の間ではこの頃の爆粉をドライプライマイーと呼んでいます、この爆粉、性能は良いのですが唯一の欠点は製造過程で爆発の可能性がある火薬なのです、実はこの爆粉の製造過程で事故がありエレー社で数人の死者が出たことがありました。事故原因調査の結果この爆粉が原因とされ以来ドライプライマーの製造は中止されたのです、これはテネックス社だけの問題ではなくヨーロッパ中の火薬製造過程が変更されたようです、以後ウエットプライマーと呼ばれる溶剤の多い、そして危険性のない爆粉が使用されるようになったのです、で、その結果、当たらなくなった、と言われています。


大口径ライフル装弾

一番命中精度の良いのは。
大口径ライフルの装弾は、厳密に言うと150種類くらいあります、従ってそれらの性能や特性等を全部話すと、あまりに膨大な話になるので、誰もこのコラムを読んでくれません、従って装弾の全般的な話をお話しします。
市販されているレミントンやウインチェスターの装弾は、1発¥300~¥400しています、この値段、わたしからすれば異常に高い値段です、もし購入目的が狩猟ならそれほど多くの数を必要としないでしょうからこの値段でも良いかも知れませんが、射撃を練習を十分にするには高すぎます、もしハンドロードすれば100円以下で出来ることを記憶して置いてください。
ライフル装弾の問い合わせで一番多いのはどこの弾が一番性能が良いですか? と言う質問である、性能を威力と言い換えると何処の弾も威力は同じである、しかし命中精度と言うと、私は "ラプア" と断言できる、この弾はフィンランド製のたまであまり世の中に知られていないが世界選手権で優勝した弾で命中精度は完成実包としては世界一であろう、値段は1発¥160である、レミントン、ウインチェスターの半値である、最も海外の値段はレミントン等より高い、日本では逆転現象が起きているのである、但しこの弾は一般の銃砲店では取り扱っていない、逆に言うと取り扱っていないから安いと言えるのだろうが、この装弾を取り扱っているのは東京の銀座銃砲店だけである、電話は 03-3571-2639 なので一度問い合わせられると良いと思う、銃もそうだが、装弾も通信販売で購入できる、使うならこのラプアが一番命中精度が良いので、私の一押しのお勧め品である。

(追記)ラプアに関しては國友銃砲火薬店でも輸入販売しておりますとのことです。 
     國友銃砲火薬店 電話 075-351-3037
     http://www.kunitomogs.co.jp


軍用装弾の評価

値段の安いと言うことで軍用装弾も流通しています、価格的には1発¥150ですからまあまあの値段なのですが、この弾、アメリカ国内では1発わずか¥30の弾です、おっと誤解の無いように言いますが、軍隊から流れた古い弾ではありません、出来たての新品がこの値段なのです、この値段で売れるカラクリを言いますと、軍用品として政府に買い上げる弾の余剰品だから安いのです、どこの国の政府もそうですが軍事力と言うのは保有する武器の総数は勿論ですが、武器の生産能力が大切な要因です。従ってどこの国も戦時に大量の装弾を製造できるように生産能力を確保しています、しかし、確保しただけでは民間会社は潰れてしまいますから、決められた量を買い上げ、過剰分は販売を認めているのです、従って223レミントンと308ウインチェスターに限って言えば、軍用の過剰生産分がアメリカでは¥30で流通しているのです。
軍用装弾は雷管の所に赤いペイントが塗ってあり、雷管の周りはクリンプされています、多くの人が気づいていませんが弾頭はコールタールみたいな溶剤で僅かに接着してあります、これらの理由は、まず防水性能を高めるためです、私が実験した訳ではありませんが、数年は水の中にしたしておいても使えるはずです。
雷管をクリンプしてある理由は、言うまでも雷管が抜けるのを防止する目的ですが、何故この様な処理をするかと言いますと、機関銃でベルトにリンクされた弾の場合、その振動で雷管が抜けないとも限らないからです、機関銃なら不発か回転不良で済みますが、これが戦闘機の場合、給弾中に飛び出した雷管が摩擦で暴発したばあい、1発¥30の弾のおかげで100億の戦闘機が墜落してはかないません、そうした理由があるのです。
弾頭を接着している理由は、防水効果の面と、初速を上げる効果があります、弾頭は接着されているので火薬の圧力が相応に上がるまで弾頭が動きません、そのため同じ火薬量でも初速は100フィート位、早くなります。但し命中精度は悪くなります。


散弾の話

弾の事を書き出すと書くことが多くてすでに相当長いコラムになりました。
これから散弾装弾のことも書きますが少し押さえ気味の書き込みにしますのでもう少しおつきあい下さい。
先々週シドニーオリンピックから帰りましたが、持参した双眼鏡で選手達の使用装弾をつぶさに観察しました、結果、何でもありでした。
ライフル銃の場合、使用する弾で命中精度は少なからず影響を受けますが散弾銃の場合装弾による優劣はあまり認められません、特に昔は劣悪だったイタリアの装弾が最近飛躍的に性能が良くなり性能の差が無くなったのが特徴です。
昔のイタリアの弾は、ごく一部の装弾を除いて不発はほとんどなくなりました、これは雷管の性能が良くなったと言う一言につきます、プライマーの性能としては、規定の衝撃をかけると必ず激発しなければならないことと、それと矛盾しますが、ある規定の衝撃では絶対に激発してなならないと言う二面性を持っています、これは実用性と安全性から要求された性能なのです、これらの性能が劣悪なのは共産圏の弾です、最高なのはアメリカ、ドイツ、イギリスなどの弾でしたが、最近では共産系以外の国ならほとんどが技術的な差は無くなりました。
ショットガンシューターの多くが弾の善し悪しを判断するのに、銃が汚れるとか、汚れないかで評価をしましが、この評価は的を得ていません、評価すべきは当たるか当たらないかだけです、しかしながら20枚そこそこしか当たらない多くのシューターはその弾が当たるかどうかの評価は出来ようはずもありません、勿論私も同じです、ですから少なくとも論理的に技術的に優劣を判断してみましょう。
まず銃口内が汚れるかどうかですが、散弾の火薬は硝石をベースにニトログリセリン、ニトロセルローズ、を主原料に作りますが、その中に安定剤や、火薬の装填をスムーズにするため、グラファイトを表面にまぶす場合があります、グラファイトはいわば鉛筆の削りかすみたいなものです、表面の滑りは良くなるので火薬を装填するとき誤差が少なくなりますが、火薬と一緒に燃焼しないので黒い物がのこります、しかし銃口が汚れると言ってそれを敬遠するのは間違いです、グラファイトは火薬の装填誤差を少なくするためには貢献しているのですから、それから燃えかすが残るのも何の問題もありません、次の弾を撃つときにはこれらが吹き飛びますので銃には何の問題もありません、勿論燃えかすが無いに越したことはないのですが、火薬の燃焼速度を上げれば火薬の燃えかすの問題は解消しますが、燃焼速度を上げることは射撃に関してはあまり良いことではありません、燃焼速度が上がると薬室には大きな力がかかりますがだからといって弾を押し出すにはあまり効率的に作用しないのです、理想的なのは弾のスピードに合わせて徐々に燃焼していくことです、ニトログリセリンは元々爆薬的に秒速8000メートルの爆速で燃えるものを、色々なコーテングをして燃焼速度を遅くしたのが火薬ですから燃えかすが出るのは、いわば当たり前の話なのです、ですから火薬の善し悪しを燃えかすがあるかどうかで判断すべきではありません。
  昔、イタリアの弾は性能が悪くその最大の原因だったのが火薬の問題でした、イタリアの火薬はシングルベース火薬が主流だったのであまりパワーが無かったのですが、最近ではほとんどが(あるいは全てが)ダブルベース火薬になったのでアメリカや日本の弾と同じように初速が出るようになりました。そのためかイタリアの銃は昔と今では同じチョークでも少し寸法が違います。それは初速による変化のためパターンが違ってくるためです。
初速が早い方が良いのか遅いほうが良いのか即座に判断は出来ませんが、最近ではほとんどの装弾が410~430メートルあたりで落ち着いているようです。
メーカーによっては "マイルド"と言うクラスの弾を製造している所もありますが、反動がマイルドと言うことは火薬の特性もありますが一般論としては初速が落ちているので少しは不利かもしれません、私はほとんどレミントンばかりを使っているのでレミントンを例にとってお話ししますが、同じレミントンでも値段の違いがあります、高い弾はリムの部分の金属が長くなっていますが、あれは何の意味もありません、いわば化粧ですから長いというメリットは何もないのです、散弾については高い弾は鉛の中にアンチが混入されています。アンチは鉛の10倍の値段がしますので少し混入させただけでもコストが高くなります、アンチを混入させる目的は鉛を硬くするためです、何故鉛を硬くさせるかと言いますと、散弾がチョークを通過する時衝撃がかかるので弾が柔らかいと変形するのです、変形した散弾は決められたパターン以外の所に飛んでいく、いわゆる死に玉の原因になります。
初速の違いによりパターンが変化すると言いましたが、初速を上げるとパターンが小さくなると考えるのが常識ですが、実は逆の現象が起きるのです、初速を上げるとチョークでの衝撃が大きくなり、お互いに弾同士か干渉しあい、パターンは広がるのです。

まだまだ書くことはあるのですが、今回は話が長くなりましたので、これでおしまいです。

ライフルスコープに付いての基礎知識

1999年12月25日 築地
改訂 1999年12月29日 築地

ライフルスコープの性能に付いて明確に解析した書物はありません、またそれぞれのメーカーが当社こそ一番と言う宣伝をしていますので一般ユーザーは何を基準に選択して良いか迷います、ここではライフルスコープの選択方法、適した使い方、メーカーによる性能の違いに付いて説明します。

ライフルスコープは1万円程度のスコープから十数万するスコープまで色々あります、しかしいずれのスコープも単に覗いただけではその性能に見分けが付きません、ではどういう事が値段の違いに影響しているか説明してみます。


レンズの特性

まずスコープが高いか安いかの一番大きな違いはレンズの性能にあります、レンズの材質これが明るさを決めます、またレンズの設計も重要なポイントです、高いスコープは材質にカメラ用のレンズを使っています、安いスコープは通常のガラスだと言うことです。

次に大切なことは、コントラストの問題です、獲物を暗がりで見たときにハイコントラストのスコープほど獲物を明確に見分けられます、このコントラストを最大限に発揮させるのがレンズのコーテングです、高いスコープはこのコーテングに手間暇をかけています、安いスコープはコーテングしてない物があります。

対衝撃性

通常の光学器械と違い、ライフルスコープは強烈な反動を発生させる銃器に取り付けられています、そのため対衝撃性はきわめて大切な性能です。
ライフルスコープはスコープ本体のチューブの中に、照準を調整するためのチューブが内部に組み込まれています、その内径のチューブの中心にクロスヘアーがセットされています、通常はこのチューブを通して目標を狙うことになります。従って照準調整をしてもクロスヘアーは常にレンズの中心にあるのです。照準調整をする場合この内側のチューブだけを上下左右に移動させて照準調整をしているのです。照準調整をするネジは上下の場合上、左右の場合は右に付いています、その反対側にバネが入っています。
安物のスコープの場合、このバネが完全に収縮しないことがあります、また経年変化でバネが弱くなったり、錆びたりすると、戻りが悪くなります。
射撃の衝撃がある度に内部のチューブは動きます、そしてバネの力で戻るのですが安いスコープではこの戻りが悪くなることがあります、この場合、弾着がある瞬間からとんでも無いところに着弾するようになります、またそのうちに規定の所に戻ったりします。これはスコープを覗いただけでは決して解りません。

レンズ口径

最近はレンズの口径が50ミリを越える物がたくさん作られるようになりました、これによりより明るい物が作られるようになりました、レンズが明るくなることは良いことなのですがレンズの口径が大きい分マウントリングの高さは高い物を使わざるを得なくなります、そうすると頬付けが甘くなり大変使いにくい銃になってしまいます。
もしお使いになるならレンズの口径は40ミリ前後を選択される方が良いと思います。

鏡体

ライフルスコープのボデーは1インチの物と30ミリの物があります、値段的には30ミリの方が割高になっています、これは1インチの製造数が圧倒的に多いからで、スコープそのものの性能に違いはありません。
では何故30ミリの物が存在するかと言いますと、基本的にヨーロッパのスコープはこの30ミリを基本に作られています、30ミリのメリットは外径が大きい分内径も大きくなります、そうすると中のチューブの移動量も必然的に多くなります。
ライフル銃で500メートルで射撃する場合は照準調整が出来ますが、700メートルくらいになりますとレチクルがそれ以上調整できなくなります。
しかし30ミリチューヴの場合、内径に余裕が有りますので800メートルくらいまで照準調整ができます、それが30ミリチューブのメリットです。
もう一つのメリットは1インチスコープの場合ボデーの厚みは1ミリ程度ですが、30ミリチューブの場合厚みが2ミリあります、その分丈夫だと言うことが言えます。
軍用のスコープがことごとく30ミリなのはそのせいです。
レンズの明るさで言うと以下のスコープが優れています、
ツイアス、シュワロフスキー、カールス、シュミット&ベンダー、ボッシュロム

視差について

ライフルスコープは倍率を変化させるとその構造上狙点がわずかに変化します、これはライフルスコープを完全固定して、スコープを覗いたままズームを動かすとレリクルと目標がごくわずかずれることを確認できるはずです、これが視差です、多くの方が一旦照準調整をすると何倍で使っても照準位置は同じだと考えていますが、実は微妙に違うのです。
視差の程度を確認するにはスコープを固定して接眼レンズの上側、下側、右側、左側とずらして見るとスコイープに何も手を触れていないのにリチクルが上下左右に動くことが解るはずです、だいたい100メートルで2センチくらいは動きます。これも視差です。
色々なスコープを試した結果、視差が一番少ないのはリューポルドです。

修理について

ツイアス、シュワロフスキー、カールス、シュミット&ベンダー、ボッシュロム、リューポルドの中で、一番故障の少ないのはリューポルドです。
私の人生の中で相当数のスコープを売りましたが一番修理件数の少ないのはリューポルドでした、ツアイスは売れているせいか年間に数件数理以来があります、ツアイスの修理代は無料ですが当然にして往復の運賃は自己負担です。
日本製のスコープではボッシュロム、ニコン、タスコ等があります、ボッシュロムの修理体制は完璧ですがニコンは修理すら受け付けてくれません、なぜなら日本ではなくシンガポールかどこかで作っているのでニコン製と言うのは名前だけです。タスコの修理体制も整っています。 

弾道計算ソフトを使う

2000年 4月 2日 築地

このサイトをご覧の方のほとんどがコンピューターを介して閲覧されていると思う。
現在ロスアンジェルスのコンピューター博物館に展示されている、世界で最初に作られたコンピューター "エニアック" 実は弾道計算するために作られたコンピューターでああった、砲弾の弾道を計算するために何万と言う真空管とリレーを組み合わせ、小さな町一つと同じ程度の電力を使い、砲弾が発射されてから着弾するまでの弾道を瞬時に演算できた驚異的な機械だったのである、何と、それまでは何百人と言う人間が計算機を使って演算していたのである。価格は、と言っても軍事予算で作られたので実際には知ることは出来ないが、今のお金に換算すると数百億円という値段では無いだろうか。しかし今、貴方が使っているコンピューターに内蔵されているマイクロチップはそのエニアックよりもさらに高度な計算処理能力を備えているのである。そのCPUを弾道計算に使わないのはあまりにも、もったいないではないか、もし貴方がライフルシューターなら、100メートルで照準を合わせた弾頭が、300メートル先、あるいは500メートル先で何処に着弾するかコンピューターに計算させて見るのもこれこそ、ライフルシューターのコンピューター利用方法の一つではないだろうか。

さて、弾道計算をするには先ずは弾道計算ソフトが必要になる、私はコンピューターがDOS仕様の頃から弾道計算ソフトを色々買い込んでテストをしてきたが、90%以上の弾道計算ソフトが日本では使えなかった、全ての弾道計算ソフトが英語版のDOS上で動いているため日本語バージョンにインストールすると全く動かない、そのためハードデスクの中に英語版の領域を作っておきそこにインストールして初めて作動することになる、しかしながら使い勝手は極めて悪く、私自身よほどの事がない限り弾道計算ソフトを使うことは無かった。こうして買いそろえた英語版の弾道計算ソフトはほとんど私のコンピューターでは使われないまま、防衛大学で弾道学を研究されているT教授の研究室に寄付させて頂いた。(防衛大学では充分使えたそうである)

その後ウインドウズが発売されてからウインドウズ版の弾道計算ソフトが発売されるようになったが、それでも日本語版でやると動かない、今まで発売された全ての弾道計算ソフトを試した中で唯一シェラの弾道計算ソフトが作動するのを確認した、しかもNEC仕様のコンピューターでも作動する、今まではDOS/V仕様のコンピューターでは作動を確認できてもNEC仕様のパソコンでは動かない物がほとんどであった、そのため弾道計算ソフトの紹介をする事が出来なかったのでが、ここで初めて日本仕様のコンピューターで使える弾道計算ソフトを皆さんに公開することが出来る。

この弾道計算ソフトにはほとんどの弾頭メーカーの弾道がデーターベースとして記録されているので簡単に目的の弾頭を計算できる。弾頭には元々それぞれ独自の空気抵抗係数があってこの係数は残念ながら計算では求められない、どの弾頭がどのくらいの空気抵抗があるかは、すべて実験でデーターを集める、たとえば、30口径の150gr、ホローポイント、ボートテールの弾頭を実際に撃って、初速を取ると同時に100ヤードで何処に当たったか記録する、同じ条件で撃って、300ヤードでは何処に当たったか記録する、そうしたデーターの積み重ねがないと弾道計算は出来ない、これが元になるデーターベースなのである。だからいくらコンピューターが在っても弾道計算はデーターベースが無いと演算しようが無いのである。

このデーターベースを最初に作ったのはアメリカ陸軍である。陸軍の弾道のデーターベースをG1と読んでいる、G2は多分ホワイト弾道学研究所、G3は多分シェラ社のデーターだと思う、G4,G5については知らないが、弾道計算のデーターベースはG5まであるが、それぞれの弾道データーベース間の、数字の違いはごく僅かだから弾道学計算上から無視してかまわない。
多くの人が弾道計算ソフトを、これを使うと初速が演算出来るのでは無いかと勘違いする人がいるがそれは出来ない。弾道計算ソフトは、何の火薬を何グレイン入れたら銃身長、いくつの銃では初速がいくらになると計算できる物では無いのである。初速に関しては各弾頭メーカーから発売されているデーターブックを見ると使用火薬と火薬量との組み合わせに応じた初速が出ているので参考にされると良いと思うが、しかしながらこれはあくまでも "参考" であって必ずしもその初速が出ると保証しているわけでは無い、同じメーカーの同じモデルの銃であっても、銃身の内径がほんの僅かでも小さいと火薬の圧力が上がり、初速は早くなる、逆に大きいと初速は遅くなる、従ってデーターブックに書かれている数字は貴方の銃を使って出る初速では無いことをしっかり頭にたたき込んでください。
実際の初速は実際に弾速計算機を使って速度を測るしかないのである、で、実際に初速を計ってもそれが海抜の低いところで計測すると、海抜高度の高い山の上で撃つと、空気の密度が低いので着弾は上に着弾する、同じ海抜でも外気今度が高くなると空気の密度が小さくなるので空気の抵抗が少なくなり着弾は上に上がる。
従って弾道計算ソフトで演算してもいかなる場所でもそのとおりに弾道が描かれる訳では無いことを弾道学の常識として頭に"入力"しておいてもらいたい。

従って弾道計算をするときには使用弾頭の抵抗係数はデーターベースから呼び出せるが、その弾頭をいくつの初速で撃ちだしたときにどういう弾道を描くかは、貴方自身が初速をコンピューターに入力する必要がある、と言っても常識的に初速は大体決まっているのでその常識的な初速を入力すれば実用上特に問題は起こらないので気にしなくても良い。
使用する弾頭を選択して初速を入力したら、最大射程をいくらまでにするか入力する、これは弾道を求める最大距離の事である。次に正照準を合わせる位置を入力する、100メートルなら100、300メートルなら300と入力する。
最後に何メートル置きに弾道を計算するかも入力する、10と入力すると、400を最大射程と仮定して、10メートル置きに、着弾の位置と、その時点での初速、エネルギーを演算してくれる。表示する数字にはメートル、またはヤードを選択できるので、我々が弾道を把握するのにはメートル表示にしておく方が弾道がどのくらい上がるか、下がるかが把握出来やすい。
数字で表示出来るが、同じようにグラフィックでも表示できる、グラフィックの方が視覚的に把握しやすいので他の弾頭と比較する場合は有用な手段である。
初速の変化、残存エネルギーの変化、風によるドラフテングもグライックで視認できる。

さて、この弾道計算ソフトの購入方法だが、私の会社で扱えば手数料を加算する関係上どうしても高くなるので直接シェラ社にご注文される方法をお勧めする。
商品名は以下のとおりである。

INFINITY BALLISTICS SOFTWERE

このソフトウエアーの価格は$38位、その他運賃が$20位かかります。
支払いは、VISA及びMASTERカードでの決済が可能です。
シェラ社の住所は以下のとおりです。
SERRA
1440 West Henry Street Sedalia,MO65301
Tel 660-827-6300  Fax660-827-4999

http://www.sierrabullets.com/

銅弾(バーンズ弾頭)について

2000年 2月 2日 築地
改訂 2000年 2月 3日 築地

多くのハンター達から、過去に何度も相談された事がありますが、20~30メートルの所にいる鹿を撃ったら、マグナムライフルなのに逃げられたとか。30-06なら止まるのにマグナムで撃つとだと逃げられると言う相談が幾度と無くありました。
これはマグナムライフルの場合、初速が早すぎて鹿の体内に衝突した瞬間、弾頭が破砕するのがその原因です。
ですから回収した鹿の弾頭をよく調べて見ると解りますが、1発で鹿が倒れなかった場合、銅のジャケットと鉛のコアーが完全に分離しているはずです、実はこれが殺傷力を極端に減少させている最大の原因なのです。
多くのハンターが誤解しているのですが、鹿の体内に弾頭が残留している場合、弾頭のエネルギーを100%消費したわけだから、一番破砕力が強いはずだと!
ところが現実にはそうなりません。ではその理由を説明しましょう。

一番わかりやすい例として、仮にごく至近距離に猪が出てきたとしましょう、Aの場合、スラッグで撃って弾頭は貫通したとします。かたや、Bの場合、雀撃ちに使う9号散弾よりももっと微細なダスト散弾を使って猪を撃ったとします、猪にすれば平手でひっぱたいたような物ですから。簡単に逆襲されてしまいます。しかし、この場合100%散弾は猪の体内に残留しているはずです、少なくとも貫通はしません、さあ、どちらの威力が強いでしょうか?

学校で教えられる事以外なら何でも知っていると言う貴方ならすでにお解りですね。

マグナムライフルを近距離で使うとこのような現象が起こると考えてください。
では学校で教えるように、もう少し論理的にご説明します。弾丸が獲物(人体も同じ)の体内を貫通するときどのような作用をするかと言いますと。弾丸が組織の細胞に衝突するとその細胞は弾丸よりも早いスピードで隣の細胞を破砕します。これは弾頭の質量と細胞の質量の違いです。これを実験で確認するにはアルミ板を標的にして弾丸で撃ち抜くと簡単に解ります、撃ち抜いた瞬間を高速度写真で撮影すると、弾頭の衝撃波と、飛散するアルミ板の破片の衝撃波は、明らかにアルミ板の方が早いのです。これは弾頭の質量とアルミ板の質量と比べると、アルミの比重が軽いのでスピードが早くなるのです。
ですから、弾頭が獲物の細胞に衝突した時、その細胞はまるでドミノ倒しの様に、隣の細胞、隣の細胞という風に、円錐状に破砕が進むのです。
ですからライフル銃で撃った穴の入り口は小さく、出口は大きいでしょう。
ライフルで撃った傷口はライフル銃は弾が回転しているから入り口が小さく、出口が大きいなんて解った様な事を言うベテランも居ますが、それは間違いです。
それが証拠に初速が遅ければ円錐状の破砕はその角度が浅くなります。
弾丸の初速が早いと円錐状の形状は角度が大きくなります、同じ回転数でです。
ですから破砕効果を持続するためには弾頭は出来るだけ内部で微細に破砕しないことが大切なのです。
180グレインの弾頭が体内に入り、体内から抜けた時も180グレインある方が破砕効果は強いと言う事です、体内で破砕した場合、弾頭は貫通できません。
理屈の上では弾頭のエネルギーは100%使われていますが、これはエネルギーが分散して有効に使われなかったと言うことを意味します。弾頭があまりにも微細に分解すると前進する力が無くなり、従って威力も無くなるのです。
従って、弾頭は貫通する事をもって一番威力を発揮できるのです。
ハンターの中には私と逆さまの理論を言っている人も居ますが、私の説が正解です!(キッパリ)弾頭が貫通すると言うと、軍用のフルメタルジャケットを想像される方も居られると思いますが、バーンズ弾頭は全体が純銅で出来ていますが、先端がホローポイントに成っているので完璧にエキスパンションします、バーンズ弾頭は初速1400フィートでエキスパアンションしますが、これは数ある猟用弾頭の中では一番低速でエキスパンションする弾頭です、実猟には最低でも1600フィート無いと威力不足で使い物にならないので弾頭のせいでエキスパンションしないと言うことはありません。
念のために言いますが、弾頭がエキスパンションして貫通することが、一番破砕力が強いのです。

数年前から私はバーンズ弾頭を輸入していますが、これは"近距離でマグナムライフルを使う可能性のあるハンターの為の"対策だったのです。これで金儲けしようと企んだ訳ではありません。
最近は尾白鷲の保護のため銅弾がにわかに注目を浴びていますが、なにもバーンズ弾頭が、わざわざ北海道の尾白鷲のために開発した訳ではありません。
勿論、私が尾白鷲のためにバーンズ弾頭を輸入しようとした訳ではありません。
私は、今説明したように、一部のハンターの為に輸入したので、これを大々的に当社のビジネスに組み込もうと考えた訳ではありません。

バーンズ弾頭は全体が純銅で出来ていますので、鉛の弾頭とするとライフリングに食い込む抵抗が大きくなります、したがって火薬の圧力は上がり、初速は早くなります。
当然弾着は変化します。弾頭を変えればデーターの取り直しをするのは、いわば"お約束"なのですが、一部のハンターの中にはデーター変更をしないまま使って、その結果弾着が変化したため、狙った所に当たらない、つまりバーンズは当たらないと言う結論を導き出した人も居たようで、頭をかかえます。
通常のジャケット弾頭は、ジャケットをプレスの絞り行程で作りますので外径の公差は2/1000程度で収まります、これ以上公差があると皺がよるか剪断しますので製品が出来上がれば自ずから寸法的には高精度で出来ることになるのです。
バーンズ弾頭は絞りで作っていませんので、ジャケット弾頭とすると公差は一桁大きいはずです。命中精度から言えば良いことではありませんが、ベンチレスト射撃みたいにミリ単位のグルーピングを競うのでなければ十分な実用性が有ります。 

間違いだらけの銃選び(金属編)

2003年 2月 9日 築地

昨日、間違いだらけの銃選びと言うコラムを書き上げましたが、この原稿を書け上げるために実は大変な思いをしました、疲労困憊と言う言葉はまさしくそのためにあるような言葉です、私はコラムの原稿はほとんど夜間に書いています、恥ずかしながら7時に就眠して12時に起床します、それから原稿を書くのですがいつもなら大体3時間くらいで書き上げます。
いつもの様にノートパソコンを使い、ほぼ原稿を書き上げたときに、如何なる理由か解りませんが、突然パソコンがフリーズしてしまいました。ほとんどの原稿を書き上げたときにパソコンがフリーズすれば、パソコンよりもこちらがフリースしてしまいます。
マウスも動きませんし、文書の保存は勿論、終了も出来ません。1時間くらい試行錯誤して色々トライしましたが万策尽きて泣き泣き電源を落としましたが、思った通りといいますか、予感が当たったと言いますか、悲しい事にチャンと再起動すら出来ません。
致し方なく、別のもう1台のパソコンで、また最初から書き直しをしました。
で、やっと書け上げたと思ったら、何と!何と!何と!
今度は文書が忽然と消えたのです、パソコンのフリーズは何度も体験していますので別段驚きはしませんが、文書の喪失というのは初体験です。色々ある初体験の中で、もっと色っぽい初体験ならまだしも、これこそは最も忌まわしい初体験です。
パソコンの使い方が・・・・・なんて事は言わないでください。
私はこれでもDOSの頃からパソコンは使っているのです、DOSの頃は間違って何度もハードデスクをフォーマットしてああああああああああ、なんてため息を漏らしは事は何度もありますが、文書の喪失は初めての体験です。

宣保愛子さんにお聞きすれば、きっと幼少の頃の呪われた過去、あるいは私に取り憑いている怨霊について的確な指摘を頂けるかも解らないのですが、悪霊払いをする元気も無いほど疲労困憊したのです。原稿を書き上げたときは夜の静寂が明け出す6時30分でした。
キャバクラ等に勤めている、おねーちゃんたちが酔っぱらって帰って来る時間です。
そういう忌まわしい体験をした後なので、本当はもう原稿は書きたくない心境ですが、"間違いだらけ"シリーズは一応2回の原稿で書く予定でしたので、元気を振り絞りまたキーボードを叩いています。
何とか、今日中に書け上げませんと、12日からショットショーに出かけますので、その後は原稿を書く暇が無いのです。別段さほど期待されている原稿でもありませんので、書かないで放棄しても良いのですが、突然の掲載中止となれば、警察に身柄を拘束されたか、自転車に轢かれたか、飲み過ぎで頓死したか、年の若いガールフレンドのマンションで腹上死したか、いずれもよからぬ噂が流れるであろう事を考えますと、こうして原稿を書かざるを得ない悲しい性なのです。

前回は銃床について書いたので、今回は金属部分について書いてみます。
私がガンスミスを目指していた1960年代は、銃の鋼材と言うとボラースチールこそが頂点と言う考えがありました、ボーラースチールとは、オーストリアのボーラー製鋼所で生産されている鋼材です、製鋼所の製品ですから色々な金属材料を生産しています。
しかしながら通常の粗鋼を作るのではなく、全て鋼(はがね)等に代表される特殊鋼ばかりでした。
当時からスエーデン鋼材と同じように語られる優秀な鋼材だったのです。
私の所持しているメルケルにも、そしてベレッタの水平のも、ボーラースチールと書いた刻印が打刻してあります、それも全モデルではなく、一応最高級品のみ打刻してありますので、当時としても頂点を極めた鋼材だったのでしょう。1960年代、私はガンスミスとしての技術的なバックグラウンドを、あるいはスキルを磨くため、"腕が良い"と呼ばれている町工場を何カ所も転々と修行して歩きました、修行が目的ですから、給料は要りません、と言う条件で町工場の社長にお願いして色々な会社を数ヶ月ずつ修行をさせてもらいました。
ある時、"腕が良い"と言う評判のプレス屋さんで修行していたとき、そこの金型材料がボーラースチールだと知ったのです。そこの金型は型保ちが良いと言う評判でしたので、仕事も多く、なおかつ金型の単価も高かったのです。ですから私がボーラースチールの優秀さを知ったのは最先端の技術を持っている町工場だったのです。
勿論、その工場が金型材料にボーラースチールを使っていると言うのはそこの会社の秘中の秘でした。
当時の特殊鋼は、金属を鍛造したままの外側に"黒皮"の付いている状態で売り買いされていたのですが、ボーラースチールだけは、チャンと表面が研磨され、その上に錆びないように表面をビニールで覆っている、いかにも高そうな鋼材でした、その町工場では入荷したボーラー鋼材のビニールをはぎ取り、それがボーラー鋼材だと解らないようにしていました。ですから私はその当時ボーラー鋼材は金型の材料だと認識していたのです。
ですから、後になって銃の刻印にボーラースチールと言うのを目にしたときは、それが高級銃の証だと簡単に納得できたのです。爾来、鋼材はボーラーが最高だと考えていたのですが、日本の特殊鋼メーカーの技術者の話を聞く内に、日本の鋼材も最高の物はそれに負けないと言うことを知りました。最近では何処の銃メーカーもボーラースチールと言う打刻をしなくなりましたので現在ではボーラー鋼材の優劣性は無くなったと解釈しています。何故、こうした事をくどくど書いたかと言いますと、巷では****の銃は特殊な材料を使っていると言って、疑いを知らない、いたいけないシューターを騙しているケースを見聞きするからです。金属材料がこれほど頂点を極めた中で、それをさらに超える金属と言うのは存在しません。銃器に使う金属材料は何よりも粘り強さを求められます。

皆さんはお気づきで無いかもしれませんが、散弾銃の自動銃で20年くらい前の物としますと、現在の物は銃身が軽くなっているのにお気づきでしょうか?
レミントン等は銃身にライトカウンター銃身(LC銃身)と言う製品を出しています。これは銃身の肉厚を0.5ミリ程度薄くして軽く作った銃身です。
これは鍛造の技術と鋼材の改良で、肉厚を0.5ミリ薄くしても従来の製品と同じ強度を保てる材料が出来たからに他なりません。
最近の自動銃は年々軽くなっていますよね、それはこうした技術改良がなされたからです、勿論使われている材料はクロームモリブデン鋼材であることは言うまでもありません。
現在の最先端の技術では、研究室レベルではありますが現在の4倍の強度を持つ鋼材も出来ています、ですから将来的にはもっと軽い鉄鋼製品が出てくることは容易に予想できます、****の銃メーカーでそれほど優秀な鋼材を使っているのであれば、軽い銃を作れば技術革新が容易に視認出来るのですが、大きな事を言う割には、普通の銃しか製造していないのには思わず失笑してしまいます。
聞いたことのない材料でも、強度は変わらないという事でしょう?
材料が違うと言えば、銃身材料にチタンを使ったと言う無謀なメーカーもあります。
私は航空機用のチタン材料を加工した経験がありますので断言できるのですが、チタンは思いの外もろい材料です、軽さの割には強いかもしれませんが、クロームモリブデン鋼材の様に粘りはありません、破砕するときは突然"パキッ"という感じで破砕します。
ですから銃身に使うのは論外です。
私が常々こうした事を書いていますので、それほど優秀なクロームモリブデンで作った銃身が、簡単に傷が付いたり凹んだりするのは何故ですかと聞かれたことがあります。それは熱処理によって銃身が一番柔らかく作られているからです。もし銃身が硬ければ、異常高圧の時には銃身は破砕せずに逆に機関部が破砕する事になります。機関部の破砕!それこそ深刻で重大な被害に繋がります。銃身は異常高圧が起きたら自らが膨らむことにより、高圧ガスを排除し、銃の崩壊を防ぐのです。ですから銃身は以外と柔らかく、銃口に異物があると簡単に膨らんでしまうのです、自らが膨らむことにより実は貴方の命を救っているのです。
先ほどチタンは"パキッ"と破砕すると言いました、破砕するのなら同じように銃の崩壊を防ぐのではと思われるかも知れません、しかし、破砕するとその破片が猛烈なスピードで飛散するのです。破片が小さいほど、そのスピードは猛烈です、小さな破片はマッハ4くらい出ているのです。そうした破砕の瞬間写真で破片が飛翔する衝撃波の角度を見ると簡単に速度が分析できます。
0.1グラム程の微細な破片でも、スピードが速いと簡単に皮膚に突入します。もしこれが眼球に突入したら大きな被害に及びます。ですから銃の部品は絶対に崩壊してはいけないのです、どんなに大きな力が加わっても膨らむだけでないといけないのです。
銃身にチタンを使うのは論外ですが、機関部の一部にチタンを使うのは問題はありません。
たとえば、ベレッタのシルバーピジョン等の狩猟用の上下2連銃は、機関部に軽合金を使っていますので、機関部のブリーチ面にチタンの板を張っています。これなどは賢いチタンの利用法です。またレミントン700ボルトアクションに軽量のチタンモデルがありますが、これはチタンを使っているのは機関部だけで、銃身は勿論、ボルトにもチタンは使っていません、こうしたところは粘りのある材料で構成されているのです。
ライフル銃の場合で言いますと、一番柔らかいのが銃身、その次が機関部、一番強靱なのがボルトです。これはそれぞれの強度を変えることにより、逆に安全性を確保しているのです。素人向けに****の銃の機関部は****鋼材を使っていますというのは、逆に異常高圧の時には、一番危険なボルト破砕が起きるのではとかえって心配になります。
"大丈夫です、銃身は市販の安物ですから"と言う答えが返ってくるかも知れませんがね。
だったら****鋼材は意味無いじゃん!と私は思うのですがね。

騙される人が居るから騙す人も居るのでしょう、しかし、銃器の世界では騙されるというのは当人の見識が無いと言うことですから、いくら高い銃を買っても、自慢できるどころか、かえって自分の無知を世間にさらけ出して居ることになります。

元々クロームモリブデン鋼材は、レアメタルみたいに超高価な材料ではありません。
ライフル銃の材料で、せいぜい1万円、上下2連でもせいぜい1万5千円程度の物です。いや、当社は2万円だと言うところがあったら、それはそれで訂正します。
でもね、5万円なんてところは無いですよ! 1000万円を超えるペラッチでも、ジェームズパーデイでもそうです。銃の材料と言うのはそんなに高い物ではありません。
多くの方がマグロの切り身と勘違いされているのでしょうか、赤身と、中トロと、大トロと、その位の値段差があると思われるかも知れませんが、銃器に関して言えば、材料の違いはないのです。少なくともマグロの切り身みたいな値段差はありません。
高い銃を買った皆さんにすれば、是非とも"違いがあって欲しい"と言う気持ちはわかります。一番自慢しやすいですからね。
でも、銃の値段差と言うのか工作技術の差だとお考えください。皆さんのひんしゅくを買うのを承知であえて白状しますが、私は身分不相応なのは重々承知で、ポルシェに乗っています。長期ローンで買ったので金利だけでも100万円しました、でも車本体が100万円以下の車と、何処が違うかと言いますと、少なくとも金属材料に関しては違いはありません、違うとすれば唯一工作技術です。
私は工作技術が優れている製品には、簡単にヘロヘロに降参してしまいますので、ポルシェのピストンとコンロッドをつなぐつなぎ目のクリアランスを手で実感した瞬間に参りました!こういうのには弱いんです、簡単に降参してしまいました!
車が動くと言うことに関しては、ポルシェでも100万円以下の車でも何ら違いはありません。物事の頂点を極めるとそれは最早美学の世界です、銃器の場合も美学です。
しかしながらそれは金属素材の違いではないのです。
唯一美学として語れるのは、加工工作の違いなのです、ですから間違っても、俺の銃は材料が違うからなんて無知な事は言わないでください、高い銃と安い銃の違いは唯一、加工工作にあります。違いはこれだけです。

それは何処の部分がどう違うのか、それだけは絶対自分で理解して欲しいと思うのは、無理な要求でしょうか? いいえ無理な要求ではありません、これから書かれていく私のコラムを見落とさないように読んでいけば、数年の内に必ず頂点を極められるはずです。

間違いだらけの銃選び(銃床編)

2003年 2月 7日 築地
更新 2003年 2月 9日 築地

過日、読者の方からメールをいただき、私の風貌が、どこか自動車評論家の徳大寺氏に似ていると言われました。普段から私は、自らの風貌はどこか俳優のトム、クルーズににていると思っていましたので、徳大寺氏に似ていると言われても別段喜ばしいとは思いませんでしたが、似ていると言われるのなら、いっそ氏の著書になる大ベストセラーの"間違いだらけの車選びのパクリで、その"冠をいただいて"間違いだらけの銃選び"と言うテーマで書いたらと言うお気楽な発想でまた原稿を書いてみようと思います。

氏の"間違いだらけの車選び"はこれらの雑誌としては超ベストセラーで、10年以上にわたって書かれている書籍です。今まで数十と言う版を重ねているので膨大な印税が氏の懐に転がり込んでいるわけですが、私の様にHPにいくら原稿を書いても懐にはただの1円も転がり込んで来ません。
只の原稿なので、冠にパクリの"間違いだらけの"と言うフレーズを書いても、徳大寺氏から訴訟を起こされることもないであろうと考え、早速アクセルを踏み込みます。
アクセルを踏み込んだ瞬間に急ブレーキをかけたくなりましたが、よく考えると、銃器の世界は車の世界ほどバリエーションが豊富ではありません。従って徳大寺氏の書籍みたいに膨大な原稿量は書きたくても書けない、根本的な問題がある事に気づきました。
従って、何時エンストするか解らない状態での危なっかしいスタートと相成りました。

 今まで相談を受けた中で、一番気が重いのは、日本人向けの銃床と、外人向けの銃床と言う相談です、大体が日本人向けと言う、大雑把な分け方自体が論拠を欠いていると思うのに何の疑念も持たずに信じておられる方が少なくない事に先ず驚かされます。
日本人の中にも、デブも、痩せも、のっぽも、チビもいます、また青二才も、爺もいます、雄も雌も、鬱病もどきの奴も、態度のでかいのも、居ます。
あっ、態度のでかいのは私でしたが、そんな訳で大体"日本人"と言う分け方が相当乱暴であると言うことがお解りいただけるでしょうか。
逆の言い方をすると、外人向けと言うのもさらにいい加減な言い方だとご理解頂けますでしょうか、外人の中には、デブも痩せも、のっぽもチビもいます、また青二才も爺もいます、雄も雌も、色の黒いのも、黄色いのも、白いのも、おっと、これを書き出すと原稿用紙数百枚分は書けるのですが、書き手のテンションが上がっても、読み手が白けてしまうので止めておきます。
つまり100人の人間が居たら、100通りのタイプの銃床が必要となるわけで、日本人向け、外人向け、と言うセールストークが如何にいい加減な物かお解りいただけましたでしょうか。勿論大きい銃床を小柄な人が使いこなせる訳も無く、その逆もまた同じです。
要はその人に合わせたサイズが必要なのですが、どういう寸法を最適とするのでしょうか、この根拠が結構いい加減なのです。
 何故いい加減かと言いますと、射撃理論は年々進化していますのに、その射撃理論にあわせた銃床の適正寸法という理論はほとんど論じられていないからです。
本来は射撃理論の変化に応じて、適正銃床の寸法は変化するのが当たり前ですのに、これに関して論理的な寸法が存在しないのです、今でも往々にして言われるのが、銃のレコイルパッドを肘の内側に当てて、そのままグリップを握り、引き金に指が届けば適正、届かなければ銃床が短いと言う論法です。
一体、これらの根拠がどこから出たのかそのルーツは知りませんが、その論法で銃床を調整しますと、現在の射撃理論では明らかに2cm位、適正から短い銃床になります。
逆に言うとその寸法から約2cm程度長目にすれば適正と言うことになります。
この寸法はトラップ射撃の場合ですから、スキート射撃の場合は1cm程度短い寸法がベストでしょう、また狩猟の場合のように厚着をする場合は、服の厚み分さらに短くするのも理に叶っています。
銃砲店の店内で、お客様に好きな様に銃の寸法を決めさせますと、どうしても"使いやすい"寸法になるため、上記のような短い寸法に出来上がってしまいます。
先ず、使いやすい銃と言うのが、必ずしも当たる銃ではないことを理解する必要があります。
 銃床が短いと使いやすい、構え易い反面、実際のクレー射撃の場合は銃が走りすぎて、撃つ瞬間に銃が止まるというクレー射撃で最悪の問題が起こります、また、銃が使い易いと射撃の瞬間に銃が暴れると言う問題も起こります。

最近私の書いたコラムに"鉄砲自慢"という記事がありますが、この中で私は、メルケル、ブローニング、ペラッチの上下2連銃を使っていると書いています。
それぞれの銃がベンド、プル、グリップの太さ、が違います。
違いはあってもそれぞれの銃で満射を撃った経験は何回もありますから、銃によって当たるとか当たらないとか言うことはありませんが、いずれも撃ち方は大きく異なります。
いずれの銃もその時代背景の射撃理論に左右されて作られていると思います。
一番古いのはメルケルでしょう、この銃は頬付けもソフトに、グリップも柔らかく、先台も軽く握り、軽やかなスイングで撃つと使いやすく、かつ良く当たります。
当たるのですが、銃口の跳ねは大きくなります。また同じフルチョークでも絞りはきつめなのでクレーをある程度飛ばして撃つのには適しています。

ひるがえり、ペラッチの場合、頬付けも、グリップも、そして先台の握りもしっかり持って力強いスイングをすることにより、良く当てる事が出来ます、必然的に初矢は早く取り、初矢がはずれた場合、銃のぶれが少ないので間髪を入れずに二の矢を撃つことが出来ます。
これを可能にしているのが、ベンドの高さ、グリップ、先台の太さです。
ある程度しっかり握りませんと、こういう射撃は出来ません。従ってこれらは太めになっているのです。これを見て、あ、外人用だからグリップが太いね、なんて事を言うからトンチンカンな事になるのです、しからばメルケルは外人用では無いのでしょうか?
紛れもなく外人用です、しかしながら射撃理論の違いで銃床の形状がかくも変化しているのです。メルケルでも間違いなく満射は撃てます、しかしながら安定性が悪いのです。
現在の様にスピードの速い、そして切れの大きいクレーを安定して満射を撃ち続ける、それにはペラッチタイプの銃床の方が理屈に叶っているのです。ですからペラッチを購入して、ベンドを深く、グリップを必要以上に細く、先台も細くなんて具合に作りますと、それはもはやペラッチでは無いのです。
ではメルケルをペラッチタイプにするとどうでしょう、それならば最初からペラッチを購入した方が良いでしょう、メルケルの場合、私は制作者の意図を尊重してオリジナルのまま使っています、当たる当たらないよりそちらの方が私は楽しいのです。
メルケルをペラッチみたいな銃床にしても、銃が重く、かつ引き金の初矢、二の矢の切り替えがペラッチみたいにスピーデイでないので、銃をがっちり押さえて撃つと言う撃ち方には適していません。やはりメルケルはメルケルの銃床でしょう。
メルケルも1960年代から変化する射撃理論に応じて銃を軽量化したり、銃床の形状を変化させたりさせていけば、今でもメジャーな銃であり続けたと思いますが、それにはメルケル自慢の芸術的な、技術の頂点を極めたサイドロックを捨てさらなければならなかったと思います、メリケルはあえて頑固なまでに現在のスタイルを守り続けているのだと私は思います。

肘の張り方も射撃に影響を与えます、肘が張りすぎる、肘を落としすぎる、銃床のグリップの形状が、ストレートグリップに近ければ近いほど、肘は高くなります。
ロンドンガンの水平2連はストレートグリップで作られていますが、こうしたグリップを握ると必然的に肘は高くなります。
逆にピストルグリップの場合ですと肘は下がります。ライフルの例で恐縮ですが、M-16等の軍用銃の場合、肘の位置が下がるのがご理解頂けますでしょうか。
この論法からするとペラッチのグリップは他の銃からするとグリップはピストルグリップに近いので、あまり肘を上げないで、がっちり銃を構えて撃つ意図で作られています、ですから銃床と言うのはいずれもそれぞれの会社の射撃理論に裏打ちされて出来ているのです。オリンピックなどで使われる銃の場合、銃器の設計者と、射撃選手のアドバイスで今日まで何度も何度も試行錯誤が繰り返され、そうして練り上げられて作られた歴史があります。従ってその銃がオリンピックで使われたかどうか、そういう点は銃床形状に大きな影響を与えています。
私が上下2連の射撃銃はオリンピックで使われた銃しか取り扱わないのはそうした根拠があるからです。
銃床で多くの間違いを犯しやすいのが、今までミロクを使っていたので、それと同じ寸法にペラッチを作ってくれと言う注文です、勿論作るのは簡単ですが、それでは制作者、つまりメーカーの経験と意図は生かされないことになります、また相当長期に渡り、当たらないと言うことになり、やっぱりミロクが当たるな~なんて事になりかねません。
それぞれの銃に応じて、それぞれの銃に応じた構え、撃ち方、射撃理論があることをご理解ください。

銃床の長さについてクレー射撃を例に取ってお話ししましたが、今度はライフル銃について説明します、私のコラムのレベルの高いところは、散弾銃もライフル銃も同じテーマで同じ問題をチャンと書けると言うことです。
こう言っちゃ何ですが、両方を極めると言うのは相応に大変なのですが、両方を極めると言うことは、クレー射撃が当たらないときは、"俺の専門はライフルだから"ライフルが当たらないときは"クレーで満射を撃ちすぎて感覚が狂って"なんて、いずれもどちらかに逃げ込めるという利点もあります。
さて、ライフル銃の銃床ですが、散弾銃と同じように、銃のレコイルパッドを肘の内側に当てて、そのままグリップを握り、引き金に指が届けば適正、届かなければ銃床が短いと言う論法、未だにこれが相変わらず出てきます。なんだかかなり根深い信仰のようです。
もし、無謀にもこの寸法に切りつめた、スコープ付きのマグナムライフルを撃つと、かなりの確率で、ライフルスコープの後端で目の上を切ることになります。眼鏡をかけていればレンズは割れます、危険な上に、結構情けない格好を周りに晒すことになります。
マグナムライフルの銃床切りつめを銃砲店に依頼して、はいはい、と店主が軽く応じるようではその店主は銃器の専門家とは言えないと思います、少なくとも最低限の危険性について説明をしておく義務があると思います。少なくとも私は説明しています。
ではスタンダード口径の場合はどうでしょうか、スタンダード口径でも銃床を切りつめすぎると同じように目の上を切る可能性があります、一旦こうしたトラブルに遭遇しますと、射撃姿勢が異常に顔を引いたフォームで射撃をすることになり、これではライフルは当たりません。じゃスコープが付いていなければ良いのですね、と言われそうですが、照星照門付きの銃でも短い銃床は推奨しません。
銃床が短いと銃の保持が完璧に出来ません、ライフル射撃の経験が豊富ならまだしも、散弾銃からステップアップしてきた人の場合、ほとんどが"ガク引き"をします。
この時に銃の保持が完璧でありませんと、銃口が簡単に下を向いてしまうのです。
ライフル銃の射撃は、ほとんど静止状態からの射撃ですから、上下左右どちらの方向にも簡単に方向を変えます、その上ライフル銃の反動と言うのが意識下にありますと、どうしても肩で銃床を押し気味でガク引きになりがちなのです、逆に言いますと、撃つ瞬間、上に銃が向くと言うことは先ず先ずあり得ません。
ですから照星照門付きの銃といえども短い銃床は推奨しません。

ほとんどの人がそうですが、ライフル銃の所持は狩猟目的の所持だと思います。
実際にハンテングをすると、射撃する状況は色々なります、上から下に向けて撃つ場合、下から上に向けて撃つ場合等色々です。
下向きに撃つ場合はあまり問題は無いのですが、上向きに撃つ場合、別段銃床を切りつめていない銃でも場合によってはスコープで目の上を切ることがあります。
これは上向きに撃つ事により、見かけの銃床の長さは2cm位短くなります、こうした状況で切りつめた銃床を使えば、これは保証付きで目の上を切ることは間違いありません。
短い銃床の危険性についてご理解頂けたでしょうか。
では短い銃床は全然使えないのかと言うとそうでもありません、たとえばライフル射撃競技の要領で立撃ちをする場合、銃床が短い方が重心が手前に来るので使いやすくなります。また膝撃ちの場合も短い方が使いやすくなります、立撃ちや膝撃ちの場合は銃に対して顔が持ち上がっているのでライフルスコープで目の上を切ることはありません。
しかしながら、伏撃ちで撃つときには、相当気を付けないと顔が極限までライフルスコープに近づいているので要注意です。
ほとんどのライフル銃はライフルスコープを取り付けた状態で、目に当たらないような寸法に出来ていますので、むやみに切りつめるのは推奨できないのです。


更新 2003年 2月 9日

読者のメール紹介

間違いだらけの「FEGS評判」

昨年秋頃にFEGSのHPを見つけ、築地教授のコラムをプリントして通勤電車の中で読むのが楽しみとなってしまいました。
他の銃砲店のHPもいろいろ見ておりましたが、これほど充実したコラムは他には見当たりませんでした。
オークションの出品についても毎回楽しみにしており、毎朝会社に出社してPCを立ち上げた時、FEGSのHPを開くのが日課となっております。

ただ、困ったことに「FEGS」の評判に間違いが多いことです。
甲信越の某銃砲店のHPでは「ペラッチの海賊並行輸入屋」の表現もあり、FEGSのファンであればどこの銃砲店のHPかはすぐにわかります。
また、別のHPでは、「電話をしたけど愛想が無い」「信用できない」などの書き込みがありました。
私の体験からすると、これらの評判は「間違いだらけ」と言わざるを得ません。

昨年の10月、ガンケースが古くなってきたので、築地教授にメールで問合せを出しました。手短かな返事でしたが即座に回答を頂きました。その直後、10月27日のオークションでガンケース大放出されまして、無事ダブルのケースを落札致しました。
今年に入り、遊び心でレミントン870が欲しくなり、中古の問い合わせをしたところ「オークションに出します」と返事がありましたが、あいにく好みのタイプではなかったので入札はしませんでした。
やっぱり870の新銃を購入しようと問い合せると「在庫はあります。すぐ申請できます」と返事をもらい、先台をポリスタイプに変更したいと言うと、在庫の確認をしてくれました。その後、新着情報で「870用先台レンチ」がUPされ、先台の交換に必要な工具であることを教えてくれました。

築地教授は、こんな人なのです。
私の思い過ごしかもしれませんが、実にさりげなくHPでもユーザーの要望にこたえてくれる人なのです。

先日、私の銃の買取と870の購入のためにFEGSにお邪魔しましたが、玄関先でご挨拶しても「どうぞ」の一言だけしか言葉を出しませんでしたが、事務所に入って私が銃を取り出すとその目つきは一変し、手にした瞬間に銃の特徴をズバズバ指摘してきました。
この時、地元の銃砲店に買い取ってもらわなくてよかったと思いました。長年愛用した銃ですから、大切にしてくれる人に使ってほしいと思っておりましたが、築地教授なら任せられると思いました。
たしかに、玄関でお会いしたときは「うわさ通り愛想の無い人だな」と思いましたが、銃の彫刻の話など地元銃砲店などでは絶対聞けない話をしていただき、あまりにも居心地がよくて1時間以上お邪魔してしまいました。

「愛想の無い人」。これは性格なのでしょう!しかたありません!
コラムを読んでいる人はわかると思いますが、銃に関しての豊富な知識を惜しむことなく開示してくれてます。
業界のこともズバズバ指摘してきます。銃の設計者が意図することまで教えてくれます。
これは経験と実績に裏付けられた事実ですから、他の銃砲店が何を言おうと、ゆるぎようがありません。

電話の応対が悪いと築地教授自らおっしゃってますが、江戸っ子なのでしょう。歯に衣をつけてしゃべってもユーザーにとっては何のメリットも無いことです。必要なことを知りたいだけですから、率直に回答していただける方がありがたいと思います。
自らをトム・クルーズに似ているなどと虚言癖もありますが、築地教授がトム・クルーズなら私はベッカムそっくりになってしまいます。???

ここで、ちょっと考えてみて下さい。
自分が病気にかかったとき、医者に行きますよね! どのような医者に行きますか?
医者は二人です。
一人目は、とても愛想がいい医者で、いつもニコニコしてお喋りで、世間話もよくしてくれるヤブ医者です。
二人目は、愛想が無い医者で、日頃の不養生をズバズバ指摘するとても性格の悪い(ゴメンナサイ)名医です。
私は間違いなく、愛想の無い名医の所に行きます。
自分の病気を治すのには、名医を選びます。

これは極端な例かもしれませんが、こう考えれば築地教授を充分理解できると思います。
私は1回しかお会いしておりませんが、すっかりファンになってしまいました。
あちらこちらのHPで「教授」と呼ばれる意味がわかりました。勝手ですが私もこれから「教授」と呼ばせていただきます。

大切な銃、そして大好きな射撃のために、そろそろ銃砲店、業界も転換が必要な時期になってきているのではないでしょうか?

ボルトアクションライフルについて

1999年12月25日 築地
改訂 1999年12月29日 築地

ボルトアクションライフルは100年以上前にすでに完成されたアクションで現在では全く改良の余地がないとされています。しかしながらそれぞれのメーカーで独自の進化を遂げていますのでそれぞれのメーカーによった特徴、長所、欠点を公開します。


ウインチェスター

ウインチェスター社は長い間、M-70ボルトアクションライフルを作り続けて来ました。
余談ですがアメリカのスミソニアン博物館には世界で初めて飛行機で大西洋を果たしたリンドバーグ関係の資料がありますが、ここにリンドバーグが白熊に襲われたときのための選んだ銃、M-70が展示してあります。
M-70にはプリ64モデルとポスト64モデルがあります、これは1964年以前に作られたモデルをプリ64、それ以降のモデルをポスト64と呼んで区別しています。
製造するためにうんと手間暇をかけたプリ64モデルの評価が高いことは言うまでもありません、コストダウンの為に設計変更をしたポスト64タイフはあまり評判が良くありません、最大の違いはエキストラクターです、プリ64タイプはモーゼル98用と同じように最強の構造でした、それと比べてポスト64タイプのエキストラクターの貧弱さは多くのハンターから不評を買いました、そのため売れ行きは激減してしまいました。
そのためウインチェスター社では4年前からプリ64タイプの再生産を開始しました。
中でも、M-70スーパーグレードの品質は最高です。
当社ではスーパーグレードを¥185000で販売していたのですがすでに1999年の12月現在で、3年間入荷しておりません、どう考えてもプリ64タイプのスーパーグレードはこの値段、この価格では完全な精算割れではないかと思われます。もし、この銃が再生産、再発売されたらためらわずに "買い" でしょう。

サコー

サコーは新製品のサコー75が好調な売れ行きを示しています、発売以来全てのモデルで品不足が続いています、サコーアクションは前のモデルとすると全面的な設計変更がなされています。ごく一部の人の中には昔のサコーアクションの方が優れていると言う人もいますがこれは間違いです。
昔のアクションにはボルトの横にボルトガイトと呼ばれる横板が付いています、実はこれがサコーの決定的な欠点だったのです、通常の使用では問題ないのですが何かの拍子にこのボルトガイドが前にずれるとボルトロッキングの間に挟まりボルトを起こせなくなってしまう決定的な欠点があったのです。 
サコー75ではこれが最初から付いていませんから最大の欠点が解消されました。
命中精度は数あるボルトアクションライフルの中ではAクラスです。
エキストラクターも丈夫に作られており、薬莢の焼き付きが有ってもボルハンドルを足でけ飛ばせば排莢出来るくらい丈夫なボルトアクションライフルです。
ボルト本体は、すべて一体で作られています。
またサコー75から採用された着脱弾倉式の弾倉は好評です。
サコー75にはスチール銃身を付けたモデルと、ステンレス銃身を付けたモデルがあります、ステンレス銃身の場合付属の銃床はシンセテック(耐衝撃プラスチック)銃床を使っています、サコーのシンセテック銃床は握りの部分に薄いゴムを張ってありますので寒い外気の中で触れても従来のシンセテック銃床の様に冷たい感じはしません。

レミントン

レミントンライフルの命中精度の良さには定評があります、銃身精度は正解最高といえます、その銃がデラックスモデルでも比較的安い、¥105000の値段で手にはいるので値段的に考えれば買いやすい銃ではあります。
しかしながら、この銃の欠点はエキストラクターとボルトハンドルが弱いことです、エキストラクター非常に小さな部品で出来ており、薬莢が張り付くと排莢は困難になります。異常高圧でボルトが動かなくなった時など、ボルトハンドルをハンマーなどで叩くと簡単にボルトハンドルが取れてしまいます、これはボルトハンドがボルト本体とは別部品で、接着されているからです、ボルトのロッキングブロックの部分も別部品です。つまりレミントンのボルトは3つの部品から出来ているのです。
また銃を軽く作ると言う意味から薬室部分の肉厚があまり厚くないのでマグナム系統の弾は排莢がしにくいと言う銃も中にはあります。
レミントンの着脱式弾倉は好評を得ています。

ウエザビーライフル

実を言うと、私は30年前ウエザビー社でガンスミスとして働いていたのです。
ですからウエザビーの事は結構知り尽くしているつもりですが、昨年までは積極的には取り扱いをしておりませんでした、それは幾分改良点が残されていたからです。
弾倉の底蓋、フロアープレートのキャッチはトリッガーガードの外側のノッチで止められていますが、銃を両手で保持してボサの中を進むと、時折ボサがこのノッチにかかり蓋が開いてしますことがあります、あるいはロックが甘く成っているときは射撃の衝撃でこれが開いてしまうこともあります。
また安全装置については問題が深刻でした、新品の内は良いのですが長い間使ったり、引き金を交換したりするとファイアリングピンのロッキングの位置に変化が生じ、安全をかけた状態で引き金を引くとロッキングが外れ、その時点では弾は発射されないのですが安全を戻した時に弾が発射されると言う大問題が有りました。この安全の問題はM-70でも発生するのですがウエザビーの方が問題はより深刻でした。
しかし一昨年からウエザビーはアメリカ国内で製造されるようになり、問題部分は解決されました、フロアープレートのキャッチはトリッガーガードの内側に取り付けられ安全装置も設計変更され問題点が無くなりました、従って私はウエザビーライフルの取り扱いを開始したのです。
ウエザビーライフルのなかでもウルトラライトと言う2.6キロの超軽量ライフルを発表してからこの銃なら売れると確信を得ました。
ウエザビーのウルトラライトは非常に軽いボルトアクションライフルです。 
命中精度も問題ありません、但し銃身が細いので連続して10発以上撃つて銃身が手で触れないくらい焼けて来ると狙点に変化が生じますのであまり連続して撃たない方が良いでしょう、銃身が焼けると狙点が変わると言うのは冷間鍛造で作られた銃身の特性ですからサコーも同じように発生しますのでウエザビーだけの欠点ではありません。
ウエザビーライフルはそのフォルムの美しいのを最大の特徴としていますのでグリップもかなり細く作られています、こんな華奢な銃床で強烈なウエザビーマグナムを撃つと、グリップから銃床折れが発生しやすくなります、グリップには金属のロットが通されているのですがそれでも木取りが悪いと折れます、木銃床の300マグナム以上の銃はこの問題が常に有ることを織り込んで購入してください。

ダコタライフル

すべて注文生産のカスタムライフルです。
基本設計はウインチェスターM-70のフルコピーですが、昔のプリ64タイプと同じ作りで、なお全ての部品が削り出しで作られている点が最高のカスタムライフルと評価を得ている点でしょう、実を言うとM-70は引き金が劣悪で、これがM-70の最大の欠点でしたがダコタライフルは生き金をカスタムバレルメーカーのシーレン社に作らせているので引き金も最高もレベルの物を使っています。(ダコタでは自社製造と言っていますが)
銃床の素材もすべて特別注文です、銃身もお好みのメーカーの物を付けてくれます、勿論ツイスト、それにあらゆる口径の製造に答えてくれます。
最近ベレッタでボルトアクションライフルの販売を始めましたが、ベレッタブランドのボルトアクションライフルは、実はダコタで生産しているOEM製品なのです。

ダコタの銃身はワルサー社製ですが、リクエストをすればハート、シーレン、等セレクテットマッチグレードの銃身も取り付けてくれます。

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このページには、2013年4月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

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