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簡単、明瞭、トラップ射撃術

2004年 9月14日 築地
更新 2004年 9月22日 築地
更新 2004年 9月24日 築地
更新 2004年 9月29日 築地

私は射撃を始めたのは14才、1960年、ローマオリンピックの時です。

爾来、2004年、今年のアテネオリンピックで 44年間射撃をやっていたことになります。銃器関係の原稿も、1968年以来「現代狩猟」「ライフル スポーツ」「シューテング ライフ」「狩猟界」と多くの雑誌に長年書いて来ました。
しかしながら今まで一度もハウツウ物は一度も書いたことはありません。
当然、私のコラムでもその類の書き物はありません。
それは何故かと言いますと、射撃技術という類の物は人それぞれであまりにも多種多様の理論と方法があるからです。10人の射手が居れば10通りの射撃方法があります。
100人の射手が居れば100通りの射撃方法があります。
私の理論で射撃方法を説明すれば、別の人からすれば、それはそれで、また間違った射撃理論になります。
私は自らの書き物で他人から「間違った」と言う言われ方をしたくないので色々な意見が存在する射撃教本の類には今迄踏み込まないで来ました。
しかしながら、射撃教本の類を書いてくれと言うリクエストは非常に多いのです。
特に最近は当社から通信販売で銃を購入された方からそういう声が少なからずあります。
今回はそういう方々のフォローとして、初めてハウツウ物を書くに至りました。

先ずは、銃の選び方と言うテーマについてお話しします。
トラップ射撃をやるには、要するにトラップ銃であれば銃は何でも良いのです。
当社で販売しているSKBの中古、5万円程度の銃でもいいのです。
トラップ射撃には命中精度という概念は存在しません。
また、どういう装弾を使ってもそこに優劣は存在しません。
当然、銃器にも機能的な優劣は存在しません。
存在しないと断定すると幾ばくかの疑念はありますので、存在しないと断定するのでは無くて、優劣は稀薄だとあえて言い換えておいたほうが無難でしょうね。
トラップ銃には、リブの高さがうんと高いお神楽みたいなハイリブ、あるいは少し段が付いただけの一寸気取ったけど意味のないステップリブ、謙虚で実用本位の、全く段差のない平リブ。30年前に流行したリブの幅が広いワイドリブ、また昔に戻ってきた普通の物よりも狭い細リブ、ペラッチに使われている、先に行くほど細くできているテーパーリブ、色々ありましてそれぞれの蘊蓄はありますが、概して同じだと考えていいでしょう。激発機構もサイドロックもボックスロックもありますが、概して同じだと考えて良いでしょう。スプリングも松葉バネもコイルスプリングも有りますが、概して同じだと考えて良いでしょう。これに蘊蓄をたれる人も少なくありませんが、ペラッチは松葉が主流ですがコイルもあります、ベレッタはコイルです、FNのコイルです。
コイルも松葉もこれらが何かが抜きん出て、あるいは卓越して優位という物は事ではありません。意味が有るように言っている人は一方だけの優位性しか知らない人なのかも知れませんね。
こうした銃の事について神懸かり的な蘊蓄を話す人がいたら、その人とは少し距離を置いて冷静に観察した方が良いでしょう。
あるいは特定の銃の優位性について、妙に神懸かり的な話をする人は変人かも知れません。
でも私は変な事は書きませんが、充分変人の要素は兼ね備えています。
このコラムの読者の賢者の方々は少なくとも、そう言う訳の解らない神懸かり的な言い分を真に受ける愚だけは犯さないと思います。
中には私から見ると完全に宗教化して居るように見える群れもありますからね。

散弾銃に於いて命中精度と言う概念はありませんが、トラップ銃の選択において、銃のバランスとか、銃のフィーリングとか、銃の完成度とか、そういう要素はあります。
そういう要素を語り出すと、コラムの話が終わらなくなりますので説明は勘弁してください。
銃の善し悪しについては、オリンピックで使われているかどうか、それが一番解りやすい回答です。それ以上の銃は存在しませんし、それらの銃のコピー物はさらに論外でしょう。
コピーがオリジナルを超える訳がありません、でもコピー物がオリジナルより高いと言う怪奇現象もこの業界には存在します。
過日、「貴方の会社で売って居るペラッチはコピー物ですか」なんて目が覚めるような事を電話で突然言われましたが、この人はペラッチがわざわざお金をかけてコピー物を作ると考えて居るのでしょうかね、私はわざわざそのコピー物だけを売っていると・・・・
最近は私もメジャーになったと見えて、こうした「気違い」からの目の覚める様な電話も少なくありません。

話がそれましたがペラッチとかそうしたメジャーな銃を使わなくてもトラップ射撃は充分出来ます。それこそSKBの中古、5万円程度の銃でもいいのです。
トラップ射撃をすると解りますが、だいたい1日、1~2万円を使いますね、私は3万円使うこともあります。だいたい年間これらの練習に費やすコストから逆算して銃を選択するのも悪くないかも知れません。この辺りの選択はそれぞれの個人に感性にお任せします。

スタンスについて
銃を構えたときの足の位置の話です。本当はこういう話は全くの時間無駄なのですが、ビギナーの人の中には、これが極めて大切だと考えて居る人も少なくありません。
ライフル射撃でもわざわざ、足の位置をチョークで書いている人も居ますが、時間の無駄ですからすぐに止めた方が良いですよ。
私は射撃の極意には精通していませんが、射撃に関する無駄には良く精通しています。
何しろ私自身の存在が44年間の無駄な射撃の結果なんですから。
射撃の無駄、それを説明するために無駄なスタンスの原稿を書きますので少々お付き合いください。
中々来ない恋人をボサーット待っている状態の足幅、虚脱感からボサーット遠くの雲を見ている足幅、女に捨てられて項垂れている時の足幅、それが一番自然な足幅です。
こういう体験をされた方は容易にその足幅の感覚がお解りになる筈です。これより広くても狭くても不自然です。
逆に言うとそれが一番安定しているそして疲れないスタンスです。
ですからら何も注意を払わなくても自然と立っていれば自ずと一番安定して足幅になっているはずです。わざわざ足幅を細かくチェックしているひとはその分、「的を狙う」と言う一番大切な部分の神経を無駄に使っていることになります。
足幅だけのチェックをこまめにする人は、その事だけで、2,3年無駄な射撃をしているように私は思えてなりません。さあ、足幅チェックは止めてちゃんと的を狙いましょうね。
足幅はどうでも良いのですが、飛び出すクレーに対して、右利きの人は概ね右45度に体を傾けます、これは右利きの人の場合、先台を保持した左手は押す力より引く力の方が強いので、こうしたスタンスになる訳で、これは初心者からベテランまで同じスタンスです。
これに付いては特段コメントすることはありません。

狙い方
私は元々がライフル射撃の出身です。
ですから狙うと言う事については相当な拘りを持って居るのですが、クレー射撃では「狙ってはいけない」と言うのが私の44年間の射撃の末に到達した考えです。
狙うのでは無くて感覚で撃つのがクレー射撃です。
ライフル射撃の場合、フロントサイトとピープサイトで照準を定めます。
ピープサイトの1クリックは百分の25ミリ移動します、これで風を読んだり、微妙なサイテングを調整したりします。
しかしながら散弾銃にはピープサイトはありません。その替わりになるのが自らの目です。
ですからこの目の位置は絶対に動いてはならないのです。
いわゆるヘッドアップして目の位置が狂ったのでは、ミリ単位の誤差がピープサイトで起きている訳ですから、スイングが完璧で、狙いも完璧でも当たらないのは当然です。
しかし、目がちゃんと見ていたかどうかは目の感覚だけでは絶対に解りません。
それを確認出来るのが唯一頬の感覚です。銃床が頬に当たってる強さ、それは感覚的に把握する事が出来ます。ですから頬付けの感覚が常に同じようにして撃てばヘッドアップは起きません。私は生来のガンマニアですから、トーナメント射撃で優勝するよりも、色々な銃を替わる替わる撃つのを最良の楽しみとしています。
ペラッチ、FN,等を撃つ合間にメルケルも撃ちます。ですがメルケルはベンドがえらく深い銃なのです。通常のペラッチの頬付けをメルケルでしたらリブなんか全然見えなくなります。
しかし、私は他の銃と同じように撃つことが出来ます。それはメルケルの頬付けの感覚が解っているからです、メルケルは優しく頬付けするとリブの見え方はペラッチと同じになるのです。
この頬付けの感覚を完璧に身につけられれば、照星でクレーを狙うと言う事は必要なくなります。
ではその狙い方を伝授します。
先ず銃を構えて、リブの見え方で頬付けを確認します。
そうしたら目の視線は土手に合わせます。遠くに視線を合わせておくとクレーが飛びでは瞬間を正確に把握出来ます。そこでクレーの飛翔ラインを完璧に把握してください。
これはあくまでも感覚の話ですが、目の下に照星が有ることを感じてください。
そして目の下の照星で飛翔するクレーを撃破するのです。
完璧なスイングが出来る人なら、ちゃんと照星でクレーを追いかけても構いません。
あるいは、感覚で撃ったり、ちゃんと狙って撃ったり、混在した射撃をしても構いません。
照星を感覚で捕らえておくと言うことは、銃のスイングをスムーズにするための秘伝なのです、一般的な人は照星でクレーを追うと、銃のスイングが止まる事が有るからです。
銃のスイングが完璧に出来ればどちらの方法で狙っても構いません。
スイングが完璧に出来れば銃床なんてどうでも良いことです。
こんな事を書くと銃床屋さんに怒られますが、銃が当たらなくなるとやたら銃床をいじくる人が居ます、中には銃床を作り替える人も居たりします。
これってあまり意味無いですね。銃床に問題点が有ると考え出すと3年は無駄にするでしょうね。3年くらい銃床をいじくり回して、また最初に戻ると言うのが一般的な末路です。
この間は、全く無駄な射撃と、全く無駄な銃床を作ったと言うことになります。
膨大な時間と、膨大な費用の無駄ですが、では人は何故銃床を作るのでしょう。
それは新しい銃床だと何故か良く当たるからです、それが幻想だと気付くまでは2,3回の射撃で簡単に解ります。新しい銃床の場合変な癖が無くてちゃんと基本とおりの射撃が出来るからでしょうか、ちゃんと当たります。昔、銃の貸し借りが自由だった頃、他人の銃で撃つと妙に当たる事があります。「これだっ」と思い、急いでその銃を購入して撃つといつもの射撃しか出来ないと言う場面に遭遇した事は、私自身1度や2度ではありません。
そうです、別の銃で撃つと変な癖が付かずにちゃんと基本とおりの射撃が出来るからなのです、しかし、その銃に慣れるとまた「ちゃんと」当たらなくなるのです。
おかげで、今はどんな銃でも同じように撃てる様になりましたが、女性の取り扱い方も同じかどうかは私は体験がないので良く解りません。

狙う高さ
銃を構えて狙いを付けるのに、クレーの放出口、それよりは少し上、芝生の切れ目、あるいは土手、そういう風に銃を構える高さは人によって色々あります。
銃の構えが高いと、クレーを追うために無駄な動きは少なくなります、その代わり、銃口が急いで動くと言う欠点も犯しがちです。
銃の構えが低いと、銃の動きが多くなる反面、スイングを綺麗に出来ると言う利点もあります。いずれも完璧なスイングをするためにはどちらが有利か、個人個人で考えるしかありません、私は高付けで撃っていますが、それが正解かどうかは解りません。
30年くらい経てば、射撃理論は簡単に替わりますからね。

銃の保持
銃をどれくらいの力で保持するかと言う問題は、具体的な力の入れ具合を数字で表せないので困りますが、力を抜かず、力を入れすぎず、あえて言えば、それが極意です。
銃を構えたときに、正面から見ると左右の腕は八の字になっています。この時肘が上がれば上がる程力が入っています、肘が下がれば下がる程力を抜いています。
銃を横から見た場合、グリップが横になればなる程力が入ります。
グリップが立っていれば立っている程力は入りません。
現在の銃は、実に微妙なところでこの角度が出来ており、極めて完成度が高い設計になっています。グリップの角度は同じですが、グリップの上を持てば力を入れられます。
グリップの下を持てば力が抜けます。これはグリップと引き金の距離関係にも直接関係します、グリップと引き金の距離が遠いと感じたらグリップの上を持てば距離は近くなりますし、下を持てば距離は遠くなります。
グリップと引き金の距離がミリ単位でああだこうだと言う人も居ますが、グリップの位置をずらすだけで簡単に5ミリ程度は自由に変化させることが出来ます。
銃を力を入れて保持すると、素早いスイングが可能です、またクレーのラインを追うときにも銃がぶれません。また初矢を撃ったときにも銃がぶれないので二の矢が素早く的確に撃てます。ところが力みすぎるとクレー射撃で致命的な、撃つ瞬間に「銃が止まります」
力を入れたまま綺麗にスイングすることがこの場合極めて大切です。
力を入れて銃を保持しないとこれと逆の事が言えます。
力を入れていないので、銃のスイングは遅れ気味になりますが、すぐにクレーを追わないと言うことは別の意味での必中の極意ですからこれはこれで良いのです。
但し、有る程度の力で銃を保持しないと、初矢を撃った瞬間に銃がぶれます。あるいはクレーを追うときにラインが崩れます。
しかし銃を無理矢理、力でコントロールしていないので「引き止まり」は意外と起こりにくいのです。慣性で銃がスイング出来てしまうので良く当たるのです。
女性にはこうした撃ち方をしている人も居ますね。
この事から言えるのは力を入れすぎず、力を抜きすぎない、これが極意です。
この極意がだんだん高レベルになると、力を入れて銃を保持しているのに銃の「引き止まり」が起きない、ちゃんと「完璧なスイング」が出来ていると言う事になります。

私がコラム「散弾銃の弾道学」で書いたように銃口から撃ち出された散弾は最初、横の広がりよりも縦長の広がりの方が長くなって飛翔します。
つまり俵状の物が飛翔する、あるいは円柱状の物が飛翔すると考えてください。
横の広がりは30cm位でも縦の長さは1mにもなります。
しかし遠くになればなるほど、横の広がりが大きくなります。
横の広がりが1mにもなれば縦の長さは30cmくらいになります。
あまりにもクレーを飛ばしてから撃つと、スカスカのパターンでクレーを捕らえる事になります。従ってクレーを何処の位置で捕るかは大切な問題になります。
クレーをうーんと飛ばして、撃つと、クレーは力なくパカッと2枚に割れます、しかしクレーをあまり飛ばさないで、素早いスイングで撃つと、銃口から飛び出た散弾は銃のスイングに合わせて横に流れながらクレーを粉砕します。
クレーが横に飛んでも、散弾は直線ではなくて少し横に流されながらつまり少し斜めに飛翔しますので散弾の先端でクレーを割っても次々と散弾がクレーに襲いかかり完璧に粉砕してしまうのです。これが完璧に出来た場合、クレーが粉砕された煙としてしか残りません。
昔、装弾に32グラムもの大量の散弾が装填されている頃は、クレーを有る程度飛ばして、散弾のパターンが有る程度開いたところで撃つと言うのが当時の最先端の射撃理論でした。今時、24グラム装弾でこういう撃ち方をすると、広がりきった散弾の僅かな粒でクレーがかろうじてパカンと割れる射撃になります。勿論クレーが割れれば1点は1点です。
でも私は嫌ですね、こういう撃ち方で満射が出ても全然嬉しくありません。
私なら、15枚しか当たらなくてもクレーを粉砕する撃ち方をしますね。
まあ、これは個人の好みですがね。

撃つタイミング
ビギナーが、少し射撃の完成度を上げてくると、過ちを犯しやすいのが銃のスイングのタイミングです。
クレーを早く捕ると言う事を目指すあまり、クレーが飛び出た瞬間クレーを追いかけますがこれは結果的にクレーを早く捕る事にはなりません。
これでは銃口のスイングのスピードははクレーの1.5倍程度でしかありません。
真横にクレーが飛ぶような早いクレーの場合はそれでも当たりますが、チョコンと前に出たクレーの場合は、オットトットてな具合で銃口が先走ってしまい外れます。
あるいは横に少しだけ切れた場合は、銃口が簡単にクレーに追いついてしまし、撃つ瞬間に引き止まりが起きてクレーの後ろを撃ってしまいます、かろうじて当たってもクレーの先端しか当たらないので、隊列の後ろのクレー、つまりコロンは無駄になってしまいます。
つまり、これもパコッと二枚に割れる口ですね。
銃口のスイングを完璧にするためには、クレーが飛び出しても0.2~0.5秒はじっと我慢をしてください、そしてその瞬間はシッカリとクレーのラインを見極めてください。
そして、見極めた瞬間、ライオンが獲物を襲うように素早くクレーを追いかけて間髪を入れず粉砕します。これが完璧に出来ればチョコンと前に出たクレーを慌てふためいて追いかけるなんて愚を犯すことはありません、また引き止まりもありません。
理論的には放出口から出た瞬間のクレーは、真横に飛翔する場合はクレーの3倍のスピードで追いかけて撃破すると完璧な破砕が出来ます。
冷静にクレーを見定め、瞬時に粉砕する事が私のトラップ射撃術の極意です。
私は現在でも毎週2回射撃をやっています、関東近県の射撃場には毎週出没しています。
その私に、じゃコラムで書いた射撃をやって見せろなんて酷な事を言ってはいけません。

私はトーナメント射撃を目指しているのでは無く単なるガンマニアの射撃なんですから。


更新 2004年 9月22日

簡単、明瞭、トラップ射撃術を読んで

昨年11月からクレー射撃(主にトラップ)始め、15から20までしか当たらなかったのですが、簡単・明瞭・トラップ射撃術を読んで翌日5ラウンド18・21・20・20・17の成果がありました。
1番良かったのは、ボサーっと立つ・・で力が抜けたことだと思います。築地様有難うございました。
この日で、始めてから消化弾数4,057発ですが、スタンスについては45度は誰でも言いますが、しっかりと踏ん張る・・とかケツの穴に力を入れろとか言われてたので腰が回っていなかったと感じます。
皆勝手な事ばっかり言うもんですね。
関西でも御社で買ったと言う人がかなりいます(私はSKBのスポーティングをベント調整器付及びガスポート付のカスタムを格安で買いました)、ユーザーの評判は良いのですが銃砲店はむちゃくちゃ(大阪弁)
言うてますよ。やはりクレームがあったらしい・・とか、並行ものなのでアフターに金が掛かる・・とか、売りっぱなしにされるでが1番多いですね、イヤですね。
そんな事言ってる銃砲店がいい加減なことをしてる・・とも聞きました。

標記のアップ、ありがとうございます。
内容的には、クレー射撃、そのことなる射撃理論の存在を、更に我々初心者にわかりやすく解説して頂いているようで、大変ありがたく思っています。
私にとっては、スタンスの考え方と感覚的に狙って撃つという部分がとても参考になりました。
クレー射撃に限らずどんな操作でも、ある程度経験して初めて理解できるものがあり、この二点については当にその通りになっています。
スタンスは、初めの内注意してとっていましたが、なれたせいもあるのか、今は自然に立っている感じがします。
二点目につき、初めの内あれほどよく見えていた照星が、今は何となくはっきり見えない場合があります。
その代わり、管理人さんから撃破点が10m位早くなったと言われています。
狙い込まない場合も出てきているのだと思っています。
安定するまではもっと撃ち込む必要もあるとは思いますが、記事内容が、身体やそれに伴うセンスで理解できるようになっていることをご報告します。


更新 2004年 9月24日

簡単、明瞭、トラップ射撃術を読んで

大変ごもっともなご知見だと一々納得させられました。
私は、射撃をやる前は乗馬の障害競技に力を入れまくっていたのですが、腕が上がるにつれインストラクターから技術の押し売りが段々と強くなってきました。自分としては何も考えずに自然体で馬に随伴していけば馬は勝手に高い障害でも何なく飛んでいきます。まさに一点に集中しながらも体のどこにも力を入れるということがない状態です。ところがそれではダメだと始まるわけです。
案の定、首は、腕は、腰は、膝は、踵はというぐらいで、10の障害を1分もかからずに通り過ぎていく行くのに、そんなことをいちいち考えている暇は全くありません。
私と違って真面目な人は、あまりにも考えすぎたため飛ぶ障害の順番を間違えて失格し失笑を買うことが良くあります。ようは、障害を飛ぶのは馬の方ですし、まさに随伴して馬の動きを邪魔しないということが一番大切なはずです。
ところが、自分の信じて止まないことをどうしても教え込もうとします。それで、今までは難なく飛越していた障害が物の見事に飛べなくても「今はより一層上級者になるための過渡期だから変な癖をつけずにその調子で慣れてくれば見違えるよ、確実にうまくなっている」などと全く無責任なことを平気でのたまうわけです。乗馬の障害競技では飛越姿勢を採点されることはありません。兎に角、飛ばなければどんなことを言っても負け犬です。
スポーツというものは、技術が日々進化していくものでなければなりません。相撲のように、何百年も48手しか決まり手がないものは、スポーツではなく伝統芸能です。武道の世界では「守・破・離」という言葉がよく用いられるそうですが、一応の基本から入ることは大切にしても、最終的には自分のスタイルを確立し、道具(この場合馬や銃)を使うスポーツはその道具が持つポテンシャルを最大限に引き出すことが最終のゴールではないでしょうか?この辺に、世界のスポーツ指導者とのロジックの違いを感じます。
教え魔は、あなたの技術を滅茶苦茶にしようと日夜てぐすねを弾いて待っています。その毒牙にかかったとたん、あなたはあなた自身を失うことになります。そんなに正鵠を射た技術ならお前がオリンピックに出ろといいたくなります。挙句の果てに、物事がうまく行かないと、今度は道具のせいにされます。教習射撃ではレミントンのボロボロ教習銃使用したのにかかわらず21/25で合格しましたが、今は15もあたればいい方です。
兎に角、横から一々ああせいこうせいと言うのはやめてください。特に、手を叩いたところで引き金を引けというのだけは簡便してください。今は、そのような輩のいない時間を見計らって射場に行くので大変です。掲題のコラムを教本を基に「守・破・離」の精神で自分なりのスタイルを確立したいと思います。
かつてベートーベンは音楽評論家に何を望みますがという質問を受けたとき、「何ものぞまない、一つあるとすれば沈黙していて欲しい」と答えたそうです。
自分の道は自分で切り開く精神で頑張ることが大切ですね。早くペラッチの許可をいただいて、「簡単、明瞭、トラップ射撃術」を試して見たいと思っています(今は自動銃のためスキートが主です)また、私自身初心者のため、何か間違っていたり考え違いをしている点があればご教示いただきたく存じます。
コラム、これからも期待しています(やはり技術論が待ちどうしいのですが)


更新 2004年 9月29日

初めまして
自(陸)の*****をしております。
後輩の射撃技術の向上に繋がればと貴社のHPをいつも拝見して、指導の資としております。

射撃の指導というのは難しいですね。
自の指導方法は、画一的であり、教範資料に基づく事項とベテランの経験で指導しますが、前者は当然として、後者すら着眼は同じであり、指導される方にしてみると、いつもいつも、どこに行っても同じ指導の繰り返しで、射撃技術の向上へ向けての研究心が感じられません。

私自身は、**で約7年ほど*******を経験し、その間、通常の隊員の10~15倍の弾数を射耗してきました。
しかしながら、指導となると「経験が余り物を言わないな・・」と、感じる毎日でした。
こう感じる理由については、以下の理由が考えられるのですが

1 射撃は個人指導であり、個体差(身長・体重・柔軟性・視力・?等々)
  に差があるため、教える方も、教えられる方も歯がゆいところがある。
  ?は、ちなみにセンスとか感性とかです。

2 前項でセンスと書きましたが、
  当たる隊員は最初から何も教えなくても当たる。

3 数少ない弾薬のため、その場の命中にこだわり、
  指導や自己の弱点等の分析による(そこまでやってるのかな?)
  研究的な射撃をしない。(させてないのか?)

要するに、云うことを聞かない奴らばっかりでって事ではなく、教える方も教わる方もあまり射撃自体に興味がないのでは・・
という結論に至りました。

そんな時、バイアスロン時代に研修に行った、自の体育学校及びB大(弾道学)で習った雑談を射撃の導入教育に使用したところ、今までにない目の輝き、反応があり、
やれ、バレルタイムだのやれロックタイムだの銃身のたわみが弾道に影響する(我々の射撃にはほとんど関係ないが・・)原理だのを暇を見つけては語っていました。
そんな時に貴社のHPを発見し(ネタギレしためネットで検索していた→まさに、ネタ発見!という感じ)私自身興味深い内容にどっぷり浸ると共に、射撃の教育の参考にさせてもらっています。(FSの資料よりわかりやすいので・・)

科学的に懐の中にある銃のマクロの世界の出来事の方が300m先の標的の弾痕について語るより興味や研究心を引き出すには適していたようです。

自の若い者は、「射撃」がいかに貴重で重要な訓練であるか再認識しなくてはいけません。
一般の人は撃ちたくても簡単には撃てません。費用も莫大にかかります。
成果がなければ血税の無駄遣いです。成果がなければ任務が達成できません。
自分が死にます。仲間が死にます。国民が死にます。
このことを充分に理解させ、じ後の訓練に励んでいこうと思います。
HP更新楽しみにしております。 

満射を撃ったその時は

2003年12月 2日 築地

ボクは満射撃つ事なんて滅多にないので、あまりこうした心配をすることはないのですが、かと言って、全く満射と言うアクシデントに遭遇しない訳ではありません。

何しろ週に2回、10ラウンドずつ、1年を通じて毎週射撃をしているのですから、結果的に相当な数を撃ちますので、たまたま25発連続して命中する事はままある事なのですね。

自分一人撃っている時は気にしないで良いのですが、他の人たちと一緒に撃っているときなど、満射を撃つと全員から拍手されたりしますよね、仲間同士で来たときは口笛を吹いてくれたりもしますよね、射座の後ろでは仲間達で大騒ぎに成る事もあります。

肩をたたかれたり、頭をなでてくれたりすることもあります(それは無いか)

その時はどういう風に反応したらいいのでしょう? 

ドウモといって軽く会釈するのが良いのでしょうか。

でもそうすると「満射なんか撃ち慣れているもんね」てな具合に他の人に見られないでしょうか?

それとも国会議員の亀井静氏みたいに苦虫を噛みつぶして、おまけに正露丸も噛みつぶしたような顔をして「ウム」という方が良いのでしょうかね?

そうすると、この野郎!「気取りやがって」なんて思われないでしょうか?

ではVサインを出して小躍りしたらいいのでしょうか、でもそれだと転がっている薬莢を踏んで、転倒し、転んだ勢いで頭を打ってバカになったら困りますね。

満射を撃ったときは快事なので喜ぶべき事なのですが、満面笑みを浮かべると言うのも大人気ないですね、そうすると照れ隠しに笑いを殺すと言う事になり、他の人から見ると不機嫌な様子に見えたりもします。満射を撃って不機嫌になると言うのも不自然ですよね。

あまりに笑いをこらえると涙が出たりしませんか? 涙を流すと「満射を撃っただけで泣くな」と言われてしまいますね。

この様に私は満射を撃ったときの反応は場慣れしていないだけに反応に苦慮します。

オリンピックを見ていた時は、オリンピック選手達は満射を撃っても、撃った当人も、周りの射手も、何事もなかったように当たり前の表情で、当たり前に対応していましたね。

このクラスになると、満射を撃つのが「日常」ですから当たり前に対応できるのでしょうね。本当はこういう雰囲気の方が気楽で良いのですが、何せ、満射は私にとって「非日常」ですから撃った当人もオロオロしてしまいます、ナンダ、ナンダ、ドウシタ、ドウシタ、と言う風に狼狽えてしまいます。

不思議なことに満射と言うのは鼻息を荒くして、肩を怒らせて、「ようし、満射を撃ってやる」なんて気迫を込めて挑むと最初の1発から外してしまったりしますね。

かと言って気を抜いて射撃すれば、また最初の1発から外れたりしますね。

気持ちを入れて、しかも淡々と撃っている時に、思わず満射がポロッと出たりします。

満射を撃った後は、誰が何と言おうと次も満射、つまり50満射を内心意識してしまいます、これも淡々と撃てれば可能なのでしょうが、悪魔が耳元で囁きます「あと*枚で50満射だね」そうすると、ついつい1枚1枚のクレーを丁寧に狙いすぎて、その結果銃の振りが遅れたり、タイミングがずれたりして、射撃はボロボロになり、悲惨な結果となります、スコアーボードに目をやると、やっぱり自分は普通の人だったと思い知らされる事になります。

40年射撃をしてこの体たらく、でもまた週末が来ると、いそいそと射撃場に出かけてしまうのです。

おいでやす! 京都国際射撃場

2003年10月26日 築地

京都国際射撃場は、ナショナルチームのトレーニング射撃場でもあり、射撃場の環境や設備はピカ一の射撃場でもあります。
昨年の夏も、個人的な夏休み射撃遠征でもここに寄せてもらいました、ですから今回の訪問は2回目と言うことになります。
前回、京都を訪問した折りは、國友さんから「京都に来る時は必ず声をかけろ」ときつく言われていたのですが、京都独特のしきたりで、来いと言われてノコノコ出かけていくと、「ほんとに来たの?」なんて嫌みを言われないかと、私の様な小心者は要らぬ心配をしてしまい、2回目の京都訪問でやっと國友銃砲に顔を出すことが出来ました。
言うまでもなく國友さんは、スコープのシュワロフスキー、装弾のフェデラル、エレー、銃器のワルサー、等々の総代理店の社長で流通業界の頂点の立っている人です。
ひるがえり、私は言うまでもなく流通業界に反旗を掲げる平行輸入業者ですから、本当の事を言うと利害関係が対立する立場のですが、私と國友さんの関係は、お互い利害関係が対峙する以前からのお友達としてのお付き合いですから、このコラムを読んで業界関係者の方々はお怒りに成らないようにお願い申し上げます。

さて、今回の京都行きには一つだけ目的がありました、それはアメリカの射撃チームの専用装弾であるフェデラルの紙ケース装弾をテストしてみる事なのです。
この装弾は値段が通常の倍すると言うことで、何処の銃砲店でも取り扱いをされておりません、幸いに國友さんの会社には現物が有ると言うことなのでそれも京都行きを決めたと言う経緯の一つなのです。

新幹線で京都に到着すると、早速タクシーで國友銃砲店に向かいます。
京都はタクシーが安いですね! 1000円もしない料金で本社に到着です。
この安さも、価格破壊のMKタクシーが原因でしょうかね?
最近は猟銃の値段も昔よりは相当安くなっていると思いますが、これは当社の影響が少なからずあると自負しています。
余計な話をしましたが早速装弾を購入して、射撃場に出かけます。
今回のテストの為に、愛銃のメルケルと、ペラッチを持参しました。
写真はメルケルと、フェデラル紙薬莢装弾です。

メルケルと紙薬莢装弾
メルケルと紙薬莢装弾

この日はお天気が良くて絶好の射撃日和です。
ガンマニアの私は、銃が雨に濡れるのが大嫌いで、体の心配よりも銃の心配の方が先に立ちます。
フェデラルの紙薬莢装弾、射撃した最初の感想は「反動が軽い」と言うことです。

射撃開始
射撃開始

私が普段使っている装弾よりも反動が軽く感じます、撃った感じで弾の初速は1400フィート出ているようで、他の弾との初速の違いはないので、同じ初速で反動が軽いと言うことは火薬の燃焼が緩やかで、銃身内の散弾の加速が非常にスムーズだと言うことなのでしょう。ライフルの場合は同じ初速でも、火薬の圧力上昇が早いと「カツン」と言う反動になりますし、圧力の上昇が急激でなく淡々と圧力が上がる場合は「トン」と言う感じの軽やかな反動になります、いずれの場合も初速は同じですから、撃った感じは柔らかい方が射撃の感じは断然感じは良くなります。
言うまでも有りませんが、二の矢を撃つ感じも反動が軽い方が違和感がありません。
射撃中に解ったのですが、今までの装弾と明らかに雷管の臭いが違います。
撃った後、空薬莢の臭いを嗅ぐと簡単に解ります。
多くの人はその臭いは火薬の臭いではと勘違いされますが、それは雷管の臭いです。
それが証拠に散弾も火薬も全部除去して、雷管だけを激発しても同じ臭いですから、雷管の臭いに間違いありません。
いろいろな装弾を撃った後に、空薬莢の臭いを嗅ぐのは私の性癖ですが、ほとんどの装弾は、雷管の臭いはほとんど同じです。
基本的な成分は同じと言うことが言えます。
唯一、共産圏の腐れ弾等は異質な臭いがしますが、これは商品の出来が悪いからでしょう。事実、共産圏の劣悪な装弾で、弾頭と火薬を抜いて雷管だけで激発させて放置させておくと、一週間で保証付きで銃腔内に錆がでます。
共産圏の腐れ雷管の臭いは何か「ツン」と鼻に来る感じですから、酸性ガスが発生しているのかもしれません。
フェデラルの雷管の臭いはこうした嫌な臭いではないのですが、他の装弾の臭いとは明らかに違った臭いをしていますので、火薬の成分が違うことは間違い無さそうです。
私はメルケルとペラッチで、國友さんはペラッチで撃ちまくりましたが、私は反動が軽いと言う印象を受けましたが、私の射撃を見て、國友さんは「二の矢の威力が落ちない」と言う印象を持たれたようです。
紙薬莢装弾は、散弾が全て銅メッキされています、これが弾道上影響があるのかどうかはまだ解りません。

國友さんと
國友さんと

当日もそうですが、別にこの装弾を使ったからと言って満射が撃てた訳ではないので、別段装弾により成績が左右される程の影響は無さそうですね。

紙薬莢装弾とプラ薬莢装弾
紙薬莢装弾とプラ薬莢装弾

10ラウンド位の射撃で射撃終了し、國友さんの会社の火薬庫が近くにあると言うので見学させてもらった。
東京近郊の銃砲店の火薬庫というと、6畳くらいのスペースがせいぜいですが、國友さんは打ち上げ花火をやったり、装弾、火薬の総輸入元ですから、現場に行ってその規模に圧倒されました、とても写真に写しきれないので、火薬庫の隅っこの一部だけを撮影してみました。

ここにはどでかい火薬庫が4棟建てられていまして、1棟の火薬庫に、火薬にしたら40トン、装弾にしたら6000万発が収納できるそうです。
6000万発X4棟ですから、2億4000万発になります、1円儲けたとしても2億4000万円です、儲けが1円と言うことはないでしょうから、10円儲けたとしたら24億円、これを年に4回転したら、「嗚呼、考えるだけで息が止まりそうです」
どうやら、とてつもない金額を儲けているらしいことは何となく國友さんの艶々した顔色で解りました。

弾だ
弾だ

今回の京都行きには、銀座銃砲の安齋さんも同行されました、安齋さんと國友さんとは装弾、火薬の関係で取引関係にありますが、それ以前に我々は三名とも昭和21年生まれで、飲み友達でもあります、三名が顔を合わせれば、当然にして宴席と言うことになります。
今回は日本の奥座敷京都に出かけたのですから、京都の奥座敷祇園に出向く事になりました。そういう訳で祇園の奥座敷「美濃幸」に出かけます。
祇園の御茶屋さんは、何処も一見さんお断りですから、我々は國友さんが居なければ歯牙にもかけられません。
お茶屋さんから「またおいで」とつれなく追い返されるところです。
美濃幸の奥座敷の広さからは想像出来ない様な、密やかな入り口から入り、足下をぼんやり灯す明かりの中の水を打ったばかりの飛び石の路地を抜けると、光を押さえた広い玄関が「どどーん」と忽然と現れ、「あらー、お兄ちゃん、おいでやす」と仲居さんが空気の中を泳いで出てこられます、どうやら國友さん、相当な顔みたいですね。
てな訳で、朱漆塗りの、20名くらいは楽に座れそうなとてつも長い机が用意された奥座敷で宴会が始まります。

こういう画像を公開するのは、お二人にとって非常に迷惑なのは重々承知で公開させて頂きますが、事前に画像公開の承諾を頂こうとすると間違いなく拒否されると思いますので、
お二人とも会社がお休みの間に公開しちゃいましょう!

安齋さん
安齋さん
國友さん
國友さん

安齋さんとは長いお友達関係ですが、今までどんなに飲んでも、泣き言も、自慢話もされません、今回の祇園でも、泣き言も自慢話もありませんでした。「当たり前ですかね?」
安齋さんは「白玉の歯にしみ通る秋の夜の、酒は静かに飲むべかりけり」と言う雰囲気で静かに飲まれていました、國友さんも何時も紳士的な酒を飲まれます、この画像での國友さんは、財布の中身を見ておられるのか、手帳を見ておられるのか詳細は不明ですが、何やら財布のご心配をされている様に私のような貧乏根性の人間には見えてしまいます。

今回の勘定は國友さんに、おんぶにだっこに肩車という感じで、頭からしっぽまで全部お世話に成りました。
祇園では我々一見さんには勘定書が回って来ないシステムに成っていますので、これは私にとっては非常に良きシステムだと思います。

舞妓さんと
舞妓さんと

私も舞妓さんの踊りを見たり、芸子さんとの会話を楽しんだり大満足の私でした。
そして、月はおぼろに東山~~と流れる舞妓さんの踊りの中で、祇園の夜はシンシンと更けゆくのでありました。

釧路も、いいんでないかい

2003年 9月 8日 築地

東京都内に住んでいますと、近郊の射撃場に行こうとしますと、最低でも1時間半はかかります、行楽シーズンによっては2時間、あるいは3時間と言うことも例外ではありません。

北海道の釧路に300mのライフル射撃場が出来たというので早速出かけてみることにしました、釧路までは飛行機で1時間20分、飛行場から射撃場までは車で5分、なんと東京都内からは、時間的に言うと一番近い射撃場と言うことになります。
驚いたことに射撃場は100万坪と言う私有地内に建てられています、100万坪という単位の広さはは、都内の住民である私には到底想像できません。
当社のご近所には岩城滉一さんの家も、長島一茂さんの家もあり、この辺りの坪単価は法外と言うか論外な値段なのですが、100万坪と言われますと、思わず地価の計算してしまうのは私の悲しい性なのでしょうか。

ここの射撃場は元々川口屋の射撃場だったのを、埼玉の峰岸さんが購入して、趣味の延長線上の様な射撃場を作ってしまわれたのです。
これだけの敷地を購入して設備を作り、射撃場の売り上げだけで運営できているとは到底思えませんので、色々財政的には持ち出しで運営されているのは無いでしょうか。
今回はライフル射撃場のレポートがメインですが、この射撃場は元々散弾銃の射撃場がメインで、私が訪れた前の週まで世界選手権に出場するクレー射撃の強化合宿が行われていました。
私の専門はライフルですが、折角クレーがあるのでクレー射撃も楽しませて頂きました。

画像を見て貰うとお解りいただけますが、射座には屋根がありません、これは経費をケチって屋根を付けないのではなく、ヨーロッパの射撃場と同じ雰囲気にしているためにあえて屋根を付けていないのです。
シドニーオリンピックの射撃場も屋根はありませんでした、シドニーオリンピックのレポートを参照して頂くとお解りいただけますが、弾を置く台すら置いてありません。
大体外国の射撃場はこんな作りなのです。

オープン
オープン

従って、日本の射撃場みたいに射撃をしようとしてしている射手の手前では後ろを通るのを控えて待っているなんて習慣は外国にはありませんね、別に射手の真後ろを通るわけではありませんから、大回りして歩けば撃とうとする射手には何の影響もないではないからです。

ルート
ルート

私が撃っているのはトラップですが、私の横に見えるのはスキート用のクレーハウスです、つまりこの射撃場はトラップとスキートの兼用射台なんです、これも一見するとセコイ作りみたいに見えますが、外国の射撃場はこうした射撃場が非常に多いのです。
射台は3面ありますので、内地の射撃場なら、ためらわずトラップ2面、それも1面は初心者用に遅い設定にするでしょう、そしてスキート射撃場1面と言う作りにするはずです、しかしながらここはトラップは全部公式設定です。
セコイ作りでやって居るわけはないと言うことが簡単に理解できます。

トラップ
トラップ

100万坪と言う広大な敷地のおかげで、射撃場には欠かせないバックストップと言う目障りな物がこの射撃場にはありません。
空に向かって撃つ快感があります、この空に向かって撃つ快感、下手なSEXより余程気持ちいいですが実際に皆さんがそう感じられるかどうかは保証の限りではありません。
女房とのSEXの方が気持ちが良かったと言われても、私は責任は取れません。

クレーの飛び出したすぐは、バックの森のグリーンに色が浮き立ち、はっきりと視認できるのですが、空の領域に入ると空の明るさに負けてクレーが視認できにくくなりますのでクレーの飛翔ラインはクレーが飛び出たときにしっかりと把握しておく必要があります。

視認
視認

プーラーハウスは射手のズーット後ろにあり、これも射撃をするのに全く目障りになりません。

プーラーハウス
プーラーハウス

参考までにスキート射撃をしている人達の画像も紹介しておきましょう、この画像でスキート射撃とトラップ射撃の配置が良く分かると思います。

スキート射撃とトラップ射撃の配置
スキート射撃とトラップ射撃の配置

この射面のさらに奥がライフル射撃場になっているのです。
ライフル射撃場の公認は7月12日に交付されておりますので、出来立てのほやほやなのがよくお解りだと思います。

ライフル射撃場の公認
ライフル射撃場の公認

ここのライフル射撃場はバッフル式ですが、何よりも評価したいのは標的交換の為の観的壕を設置しなかったことです。警察の指導を安易に聞くと、安全のために標的交換の観的壕を設けがちなのですが、これを作りますと、観的壕にゴミと水が貯まり、射撃場として最悪の状況になります。またそれの管理費用も馬鹿になりません。
ここの射撃場では標的交換の時はお互いの安全を確認して前に出て標的交換をします、外国の射撃場はほとんどこれですし、安全上、実用上、何の弊害もありません。

バッフル式
バッフル式

射撃場のオーナーがここまで考えてやったかどうかは不明ですが、射座の上はかまぼこ型のテントで覆われています。こういう開放的な設計ですと発射音が室内にこもりません。

かまぼこ型のテント
かまぼこ型のテント

射撃場で最悪なのは狭い室内で、土管の中に銃を入れて撃つ方法です。
射撃場は出来るだけ開放的に作りませんと、音が室内にこもり快適さに欠ける事になります。ここの射撃場は音が外に逃げてくれるので非常に助かります。

射座の雰囲気は清潔でゴミもなく、快適に射撃が出来ます、ここの射撃場自体は風が吹いているのですが、5射座の左右に土手がありますので、こういう射撃場の場合、弾道に対しての風の影響はほとんどありません。
また射撃場全体が明るいですので、300mの標的もベンチレスト射撃用スコープを使えば、完璧に弾痕を確認することが出来ます。

ベンチレスト射撃
ベンチレスト射撃

クレー射撃、その異なる射撃理論の存在

2003年 9月25日 築地
読者意見追記 2003年 9月26日 築地

私が射撃を始めた1960年には、ライフル射撃の世界では、すでに"ライフル射撃の理論と実際と"いう600ページにも及ぶ厚い教本が存在しました。
書かれた内容は、的確とまでは言わないまでも、ライフル射撃の基礎的な事を書いた書物としてライフルシューターに長年読継がれて来ました。
その後もラルフ、ホーネバー氏の教本とか、色々な指導書が出版されましたが、クレー射撃の世界では射撃教本と呼ばれる指導書の類が、今日に至るも全く出版されていません。

最も、全くの初心者に、許可の取り方等の射撃を始めるためのハウツウ物なら皆無とは言えませんが、少なくとも射撃理論を解説した出版とは言えない物ばかりです。
何故こうした教本の類がないのか不思議に考えていたのですが、自ら色々なタイプの銃を使い、年間200万円以上の弾代を使い、クレー射撃の射撃理論を自ら探求してみてやっとその理屈が解るように成りました。

これからその理由、およびトラップ射撃の射撃理論を併せて説明してみます。

初めてクレー射撃をやる人が、事実上初めて指導をして貰うのは教習射撃の時です。
その時は一般常識的な話をされると思います、クレーが出たらクレーを追い越しざまに撃つとか、頬付けをしっかり付けるとは、クレー射撃のABCを教わります。
それについては私も全くの異論は無いのですが、それからしばらくすると色々な疑問が出てくるはずです。

先ず狙い方です。

1,目のピントを照星に合わせて、クレーが出たらそれを追って追い越しざまに撃つ理論

これは昔32グラム装弾で射撃していた頃は圧倒的に、そして唯一の理論だったのです。装弾の初速が遅い代わりに32グラムという多くの装弾が装填されていたので、コールをかけてクレーが飛び出た後、クレーが充分に飛行して散弾のパターンが充分開いた位置で撃っても充分命中させられた頃の理論です、これも理論的に間違っている訳でもありませんし、現在の24グラム装弾でも充分通用しますが、24グラム装弾で二の矢を撃つときには明らかに不利になると思います。でも決して間違いではありません、古いシューターならこうした理論で初心者を指導する事になると思います。昔の名人の人は今でもこうした射撃方法で撃たれていますが当然ちゃんと当たります、しかしながら、照星をよく見て撃つと言うことは相当数の弾数を撃たないとその感覚が身に付かないのでは思われます。

2,照星をしっかりと見て、そのまま目のピントを土手に合わせてクレーが出たら撃つ理論

これは狙い方そのものは1と同じですが、ピントの合わせ方を照星から土手に移したと言う事で、1の射撃方法の改良型、あるいは発展型、とも言えます。
目のピントを何処に合わすかと言う論争は今迄ずいぶんと交わされましたが、どちらの言い分も正論と言うのが現在の私の考えです、何故ならどちらの射撃方法をとっても、どちらもちゃんと当たるからです。しかしながら何れの照準方法も相当数の弾数を撃たないと身に付かないと言う事が言えます。

3,照星をしっかりと見て、そのまま視点を上にずらして目のピントを遠くに合わせて、クレーが出たら、少しクレーを飛ばして感覚的に銃口をクレーに向けて撃つ理論。

これは現在私が推奨している照準方法です。
照星をしっかりと見て頬付けを確認したら、目の焦点を上に上げます、そして土手を見るのです、その場合、両眼照準であることは言うまでもありません。
両眼で遠くにピントを合わせて、そして広い視野を見るとクレーが飛び出してもしっかりとクレーを視認できます。
クレーの飛翔方向をしっかりと確認して、充分な「タメ」をおいてからスピーデーに銃口を振ります、この場合クレーを見ている感覚は95%、照星を見ている感覚は5%です。
照星は感覚的に捕らえていると考えて良いでしょう、もっと大胆に言うと照星は無くても良いのです、感覚的に銃口を振る事が出来れば必ず命中します。

私はライフル射撃の出身ですから、クレー射撃の当たりも、ライフル的な感覚で言うならば、二の矢でクレーが力無く二個に割れた物は、ライフル射撃の感覚で言えばそれは4点位の意味しかありません、30~40メートルの距離で、クレーを煙のように粉砕した場合は10点です。ですから出来るだけ10点のクレーを撃つように心がけるのが本来のクレー射撃の姿だと私は信じます。
その理論から言うと一番優れているのが3の照準方法なのです。

ビギナーのシューターが、超ベテランのシューターに、1や2の理論をたたき込まれた後、私の3の理論を聞いても、私が間違った事を言っていると感じるのは当然の事です。
しかし、逆の場合もあるでしょう。ですから初心者がとまどうのです。

これがクレー射撃の理論は、人ごとに違うと言う最大の理由です。
困ったことにその何れも理論的に間違いであると断定できないためにに多くの混乱を来す理由にも成るのです。どれも正解なのです!

過去から現在に至るまで、全ての人が共通して理論的に一致していることが一つだけあります、それは頬付けです、射撃中に頬付けが浮いたりすれば、照準の基準となる目の位置が変化するので、照星とクレーが一致しても命中する訳がありません。
いわゆるヘッドアップの弊害です。
ヘットアップの弊害を完全に無く為に、私は照準装置としてドットサイトで実験したことがあります、これは光学照準器でヘッドアップすれば照準点も変化するので、ドットとクレーの位置関係で正確な照準が出来ると言う優れものです。
1年以上実験したのですが、クレー射撃の場合、撃つ瞬間は感覚的にクレーを見ているのでおおよそ照準器のドットとクレーの位置関係を把握できないのです、ドットとクレーの関係を正確に把握すると撃つタイミングが致命的に遅れるのです、ですからクレー射撃には照準器は必要ないと言う結果に落ち着きました。

クレー射撃は感覚で撃つ射撃競技なのです!

クレー射撃に必要なのは頬付けの感覚と、銃口がどの当たりにある、か、(感覚的には目の下、顎の上と言う感覚ですね)そう言う感覚が身に付いて感覚だけで撃てる様になるのが本当です。ですから照星は必要ないとも言えるのです。
照星の色を変えたり、大きさを変えたり、少なくとも当たらない原因を照星に求めている内はまだまだ頂点を極めると言うにはほど遠いレベルでしょうね!

さて頬付けの話が出たのでベンドの問題をお話しします。
ベンドの高さがどうたらこうたらと多くの人が言いますが、はっきり言うと全く関係ないと言うのが私の理屈です・・・・・・・・・・・・・なんて事を書くと、ここぞとばかりに非難が集中してくるのを背中で感じますが、では非難する方にお聞きしますが、ベンドの事を云々する人で、チークピースの厚みを論議しますか? チークピースの厚みを言わないでベンドの事を言っても不毛の論理と考えませんか?
ミロクのベンドが**ミリなのでペラッチも同じベンドでなんて事を言われる方も少なくありません、しかしペラッチの銃床はもっと厚みがあります、つまりふっくらしているのです、ですから同じベンドにしたら相当な違和感があるはずです。
その銃が違えばフィーリングが違うはずですから、フィーリングを無視して寸法で比べると言うところに根本的な無理があるのです。
一番大切なのはそのフィーリングを大切にする事なのです、ペラッチを改造してミロクみたいな銃にしても(最も完全な改造は無理な話ではありますがね)何の意味もないと言うことなのです。
私はペラッチとFNとメルケルのトラップ銃を使い分けていますが、メルケルとペラッチではベンドの高さは劇的に違います、メルケルは深すぎてほんの僅かチークピースが頬に触っているだけです、メルケルはそうやって撃てばちゃんと満射が撃てます。ペラッチはがっしり頬を押し付けて撃たないといけませんが、そうやって撃てばこれまたちゃんと満射が撃てるのです。
つまりベンドの高さなんて、使う側がちゃんと使えばどうでもなると言うことです、幾ら調整しても頬付けが弛めば何の意味もないことがご理解頂けますでしょうか。

まあ、お好みでベンドの高さを変える事まで止めろとは言いませんがね!

ピッチダウンについて。
ベンドですらどうでも良いわけですからピッチダウンに神経質になる必要はありません、私の知る限り32グラム装弾を使っていたことは反動がきついので、レコイルパットの角度が肩に正確に合っていないと、初矢の反動が大きかったり、肩にアザが出来たり、色々な弊害がありました。
また初矢の反動がが大きいとか言う理屈もありました、でも24グラム装弾ではそれほど神経質になる必要もないと思います。現在でも5円硬貨をレコイルパットと銃床の間に挟んだりする人も皆無とは言えませんが、現在の24グラム装弾を使う限りは効果の程はあまり無いと私は考えています。

スタンスについて。
スタンス、つまり足場の問題ですが、これはライフル射撃でも気にする人も少なくありません、勿論クレー射撃においても同じです。
はっきり言うとこれはどうでも良い物です、気にする人にとっては大切な物でしょうが、ベテランでこれを気にする人は皆無ですから、自然と立った位置が適正な位置に成るのでしょうし、この位置を気にするほど射撃への集中力が削がれるのではないでは無いでしょうかね、上手になればこうしたことはあまり気にしなくなるものです。

高付けか、低付けか、
銃口の位置を土手に合わせるか、クレーの放出口に合わせるかという問題ですが、その理屈について説明してみます。銃口の位置が高いと早くクレーを捕らえられます。その為に銃の振りが少なくて済みますので、あまり疲れないと言う利点がありますが。
漫然とそうした撃ち方をしていると、今度は銃が全然振れなくなってしまうことがあります。
銃口の位置を放出口の所に付けている人は、飛び出たクレーを追いかけるために必然的に銃口の振りが大きくなります、適正なスイングをすると言う意味では銃口の位置は低い方が良いのです、スイングが的確に出来てさえ居れば、銃口は高付けでもちゃんと当たります、逆に高付けで漫然と撃っているといつの間にか銃口のスイングが遅くなる人も居ますので、そうした場合は再度、低い付け方にして適正なスイングを再度身につけた方が良いと思います。勿論的確なスイングスピードが身に付いたら、また高付けにしても何の問題もありません。

何れの場合も、絶対的に必要なのは「タメ」です、0.5秒~1.0秒位のタメ、つまり銃口が動かない時間が絶対的に必要なので。
クレーが出てすぐに追いかけると銃口のスイングが遅くなり、必ずクレー後ろを撃って「正確に外す」事になります。
タメの感覚がよく理解できない人は、銃口の上に大きな仮想の虹を描いてください。
クレーが放出されても、その仮想の虹をクレーが通過するまで銃口を動かしてはいけません。クレーが仮想の虹を通過するまで待つことにより、クレーの飛翔コースを正確に把握出来ます、そして銃口のスイングスピードを的確にスピーデーに振るためにどうしても必要なプロセスなのです。
タメを作らないでクレーに当たった場合、銃口のスイングが遅いためにクレーの割れ方が悪いはずです、それは散弾銃の破砕力で必要なコロンの力を充分利用できていないからなのです、コロンの事についてはコラム、散弾銃の弾道学を参照してください。

この様に銃口は高く付けても低く付けてもどちらでも当たるのですが、人によってはどちらかが絶対的な物として説明してしまうかも知れません、これも極端な両論が存在する理由なのです。

力を入れて保持するか、軽く保持するか
これもどちらも正解と言うことが出来ます。
力を入れて銃を保持すると、スピーデイなスイングが出来て、またクレーを追うラインにもブレが出ません、その変わり腰の動きが悪いと、ある地点で銃が止まってしまう恐れがあります、腰がちゃんと回っていれば大丈夫なのですが、相当な弾数を撃たないとそうしたスイングは身に付きません。
銃を軽く保持していると、銃の慣性で綺麗なスイングが出来てしまいます。
スイングが良いとクレーも粉々に粉砕されますね、しかし大会等で緊張したときなど、なかなか軽く銃を持つと言うことが出来にく成ってします事もあります。
ペラッチなどの銃床は力を入れて保持するように作られていますので、軽く銃を保持すると言うのはペラッチ向きの撃ち方ではありませんね。
逆にメルケル等はこうした撃ち方をした方がよく当たります。
力を入れるか、力を抜くか、これは銃床の形状に左右される要因も多々ありますので、ベテランの人に間違った指導をされると、そのまま間違った使い方をすると地獄にはまることにも成りかねません。
射撃大会などの緊張の極に立つ場合は、力を入れて撃つ方がかえって適正かもしれません。
力を入れない撃ち方をマスターした場合、大きな大会で力を入れないで撃つことはまた別の意味での修練を要することに成るかも知れないからです。

30年前の射撃理論と現在の射撃利理論とでは違っているのが当然です。
装弾の量も、初速も、そしてクレーのスピードも、クレーの切れ方も、そしてクレーの硬さも違ってきているのですから、逆に昔と同じだとおかしいと思います、その様に変化するのが射撃理論ですから、100人いれば100通りの、1000人いれば1000とおりの射撃理論があるのが当然なのです。
ですから、色々な射撃理論が混沌として存在するのも事実なのです、そして最大の問題は、その何れもそれぞれ正論なのです。

ですから"クレー射撃の理論と実際"と言うようなバイブル的なハウツウ物を書くほど厚顔無恥なシューターは存在しないと言うのが事実ではないでしょうか。
書けば必ず反論されるのは見え見えですからね、それに人の足を引っ張る人はこの世界には意外と多いのではないかと思われます。

ですから、このコラムで書いた私の射撃理論も当然ボロクソに言う人が存在したとしても不思議ではないし、私自身はそれに反論もしません。
しかし、私のコラムに異論があれば、別のHPでさらなる優れた射撃理論の展開、そして開示を切望するものです。


読者意見追記 2003年 9月26日

築地様

始めまして。いつも楽しくHP拝見させていただいております米国CA在住の****と申します。
日本国内で所持許可を取るほどの甲斐性が無かった私ですが、もともと銃器関係は好きだったので在住後に散弾銃を含め4丁ほど所持し、ただいまクレー射撃(主にアメリカントラップとスポーティングクレー)にしっかりはまっています。(と言ってもクレーは始めて1.5ヶ月の超初心者ですが)

いつもながら、非常にわかりやすいコメントやアドバイス、業界の事情など知識と文才にうなるばかりですが、今回の御社のコラム「クレー射撃、その異なる射撃理論の存在」は大変参考になりました。

理論など何も判らずに闇雲に始めて以来、すぐに20個以上は当たるようになったのですが、どうしてもスカッと粉砕しない事に不満を覚えて、まず今回とは別のコラムでの射撃法を勉強させていただき、多少は粉砕回数を上げる事ができました。

ちょうど時期を同じくして、上手な方のフォームを見て、皆、結構バラバラなので疑問に思っていた所でしたので「そういうことなのか」と判った(おそらくわかった気持ちになっているだけ?)次第です。
私の地元では田舎なのでインターナショナルトラップはあまり見かけませんし、使用装弾も異なるので全く同じではないかもしれませんが、過去の歴史も含めたコラムはその点でも非常に参考になります。

色々と業界に旋風を巻き起こし、その中で常にシェアを伸ばすことは想像を越えるご苦労があるかと思いますが、是非これからもがんばってください。HPも楽しみにしております。 

水平二連で射撃を!

2002年 6月17日 築地

この間射撃場で、お客さんから「築地さんは週1ですか」と聞かれたので、」私は通常週2ですと答えた。お聞きになったお客様は30代だったので、我々の30代世代は週2回と言うとなかなか女房が良い顔をしないのですよと言われた。
中には、週1どころか、月2とか、月1と言う例も決して珍しくないそうである。
そう言えば、私自身も半年に1回とか、年に1回とか、中には4年に1回とか、まるでたまにある楽しみがオリンピック開催年みたいな方も知らないわけではない。
4年に1回は論外だが、月1のペースでは体中がムズムズしてこないか人ごとながら心配である。私の場合月1では欲求不満で発狂しかねない。
私は50代だが、お客様の意見では、50代で週2回と言うと他の人から比べても多い方ではないですかと言われたが、私の楽しみは唯一これしかないので、出来る事なら週2どころか、週7でも大歓迎と言うのが私の本音である。私って異常でしょうか?
私は、この世界の初体験は14歳だったが、現在まで週1のペースは崩していない。
若い頃、アメリカでガンスミスの修業時代を過ごしたが、そのような恵まれない環境でも週一の励行を欠かしたことはないのである。
先月まで、私の休みは土、日、だったので、どうしても射撃は土曜日だけに集中して、日曜日は大会で事実上射撃場が使えないので、致し方なく、日曜日は映画を見たり、本屋を回ったり、昼間かからビールを飲んだ入りして1日を過ごすことになる。不健康この上ない事である。
しかし、今月から日曜日を出勤する替わりに、金曜日を私独自の休みにしてから、金曜と土曜日を射撃に振り当てる事が出来るようになった。
そんな訳で現在では毎週のお楽しみは週2回と成ったのである。

さて、今回のコラムのテーマは水平2連で射撃を!と言うテーマでお話しをする事にします。

私は週2回射撃場に行っていると書いたが、毎回同じ銃を撃っていたのではさすがに飽きが来る、そこで毎日同じ銃ではなく、以下のような色々な銃を取り混ぜて使っているのである。

まず、上下2連銃はペラッチSCOサイドプレート、この銃は某ペラッチ代理店の値段では700万円以上した銃である、当社で扱うようになって大分安くはなったがそれでも、現在では280万円である。FN-D4、ブローニングの上下でDグレードは一番高い、ブローニングの上下でDグレードの銃は如何なるルートから取り寄せても350万円以下にはならない、正規代理店の値段は470万円である。メルケル303サイドロックである。この銃は旧東ドイツの頃に作られた銃で、現在製造されている東西ドイツが合併後に作られた銃とはレーバーコストが全然違う銃である、東ドイツがまだ健在の頃は日本国内の定価は500万円していたのである。こうした銃をかわるがわる撃ち、またその合間に気分転換に水平2連銃を撃つことにしている。

ペラッチSCO
ペラッチSCO

私はクレー射撃のオリンピック出場を目指しているわけではない、射撃は単純に私の楽しみなのである。
射撃競技はライフル射撃だけで充分尽くした。14歳から54歳まで、40年間射撃競技をやってきたので、競技人生はもう結構と言う心境である。

私は現在は56歳、これからは生涯スポーツトしての射撃を目指そうと考えている。
上下だけを撃っていると、何となく銃が重く感じたり、その為か銃のスイングが鈍くなったりするが、水平二連を使うと、銃が軽いので切れ味の鋭いスイングをする事が出来る。
トラップ射撃をおやりの方ならお解り頂けると思うが、飛び出したクレーが力無く二枚に割れたりすることが良くある、これはスイングの切れが良くない証拠である。
ショットガンで撃ち出された散弾は、パターンと呼ばれる広がりと、散弾の連なりであるコロンで構成される。銃のスイングが鋭いと、コロンの繋がりが適正なので飛翔しているクレーに散弾の粒が次々と命中するためクレーは粉々に粉砕する、銃のスイングが遅い、あるいは撃つ瞬間に銃が止まった時など(銃が止まると実際は当たらないが)散弾の広がりのほんのわずかな粒が命中するだけなので、力無く"パカッ"と二つに割れたり、クレーは割れなくてクレーに塗られた白い粉だけが舞ったりするだけである。こんな時は銃を鋭くスイングさせればクレーは粉々に粉砕するのであるが射撃がマンネリ化していると鋭いスイングと言ってもなかなか出来ないのである。
そんな時に、水平二連銃を撃つと、銃が軽く、銃身が短いので上下2連銃の感覚で銃を振っても以外と鋭いスイングが出来るのである。

水平2連銃は鋭いスイングが出来るが、だからと言って水平2連でオリンピックに行けと言っている訳ではない。上下2連銃でスランプ陥ったり、マンネリ化した射撃しか出来なくなったときには水平2連銃を撃って、心機一転、また射撃の楽しみを見いだそうと言う訳である。上下を撃った後水平2連銃を撃つとまた新鮮な感覚で射撃が出来る。

ベレッタ451EELL
ベレッタ451EELL

水平2連銃の銃身長は長くても28インチしかない、絞りもフルとモデである、本来が狩猟用の銃であるのでベンドも深い、従ってクレーを狙う場合、前に出るクレーは素早いスイングで追い越しざまに撃たないと必ずスイングは遅れる。横に飛ぶクレーでは出来るだけ早く取らないと、絞りがモデなのですぐにパターンが広がる、そうした難しさがあるので上下2連銃と違ってまた水平2連銃の射撃は楽しいのである。そしてそれこそがクレー射撃の最も大切な基礎ではないか。

水平2連銃を撃つ時には、先台を持つ方には必ず手袋が必要である、これがないと焼けた銃身でやけどをしてしまう、私の使っているベレッタは、銃身の周りまで銃床でカバーしたビーバーテール銃床である、これがイギリスなどの伝統的に水平2連銃にある、小さなクラシカルタイプの先台だと、先台を持つ手は必ず銃身に触れているので手袋無しではとうてい使えない事になる。
水平2連銃でクレー射撃と言うと、射撃競技としては完全に場違いのような印象を持たれるかも知れないが、私が射撃を始めた昭和30年代は、割合多くの人が水平2連銃で射撃を楽しんでいたのである、事実、この頃開催された国体でも水平2連銃で国体に参加した選手も数多く存在するのである。多くの人がその存在すら知らないかも知れないが、有名なジェームスバーデーでは水平2連銃のトラップ専用銃すら製造している、私も一度見せて貰ったが、銃床のベンドが高く、リブの高さも狩猟用の物より高く作られていた、その銃は今は亡き萬屋錦之助さんの愛銃であったが、今は誰の所有になっているか私は知らない。この様に水平二連でも充分に射撃に使えるのである、しかも軽い、切れ味の良いスイングが出来ること請け合いである。それに第一撃っていて楽しい。
水平2連で当たらなくても誰も"下手くそ"と侮らない。しかしながら実際には上下と比べて1~2枚、悪くても2~3枚しか違わないのである。

ペラッチ上下とベレッタ水平
ペラッチ上下とベレッタ水平

水平2連銃の欠点は強い弾を撃てないと言うことである。昔のトラップ射撃では32グラム装弾を使っていたので、この装弾だと水平2連だと10万発は撃てないだろうと言われていた、強装弾を使った場合、やはり銃身と機関部の間に隙間が出来る。
それに、現実問題、昔は軽い水平2連銃で32グラム装弾を500発も撃つと、肩が痛くなり、頬付けも甘いので負けたボクサーがパンチを食らったみたいに頬が大きく腫れたものである。
そのためクレー射撃で水平2連銃を使うのは邪道扱いされたのである。
しかしながら、現在の射撃用装弾はわずか24グラムである、この様な弱装弾だと10万発撃ってもびくともしない。今でこそクレー射撃に水平2連銃を使える時代になったのである。私は現在ベレッタ451EELLと言う水平2連銃を使っている、すでに20年前に製造中止になっているが、当事、アメリカで$15,000していた銃である。単純に現在の為替1ドル¥125で計算しても日本円で\1,875,000である。あくまでも私の推測でしかないが、当事の銃砲業界は論外の価格体系をしていたので国内価格は400万円位していたのかも知れない。

私の体には、ガンマニアとしての資質が流れている、そのためにこうした超一流の銃を好むのである、良い銃を使うと、良い銃と悪い銃の違いが如実に分かる。
そのためそうしたガンマニアとしての知識は私のビジネスには絶対必要な事なのである。

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