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銃床材を極める

2004年 6月21日 築地
更新(インレット画像追加、油仕上げ追加) 2004年 6月22日 築地

外国ではこうした銃床材料をfancyu woodと言うのですが、日本には適切な訳文がありません、銘木という言葉は適切ではありませんね。これよりも全然レベルの低い材料でも銘木として売られているからです。銘木よりも何ランクも上の銃床材ですね。
ペラッチの最高級銃でも、FNの最高級でも使われていません。
あえて言えば値段の有って無いような、フェラッハのダブルライフルには使われています。ですから1千万円クラスの銃に使われているのですね。
詳細は拙著、IWAリポートをご覧下さい。
私がドイツで開催されたIWAに行った時、このfancyu woodの銃床を2本買ってきたのですが、誰も買う人は居ないだろうと思いながら、¥380,000と言う値段を付けたら、お客様の中でどうしてもその銃床材料が欲しいと言う方がおいでになり、結局2本ともお客様に御譲りせざるを得なくなりました。
2本とも手放したために、自分用に使う銃床材料が無くなり、急遽ドイツにメールを送り、追加で2本の銃床材料を購入しました。
ドイツの銃床屋さんとは画像でやり取りしましたが、そのやり取りした画像がこれです。

素材
素材

この画像の銃床素材を2本購入しました。左側の素材は私が使いましたが、右側の素材は神奈川県のMさんが購入され、ミロクスペシャルの銃床素材として作られました。
ミロクの銃ですから、高知のミロクに送られて加工されたようですが、私は未だ見せて頂いてないのですが、多分すばらしい出来上がりだと想像しています。
言うまでもなくミロクにもこのクラスの銃床材料は有りませんからね。
あれば私から購入する必要もありません。

私はこの銃床を手持ちのベレッタ451EELLに使用しました。
この銃をこの材料を使い、オイル仕上げで作り上げるつもりなのです。
この手の銃床はほとんど日本には輸入されていないと思います。何故なら私自身はこれと同じ様なレベルの銃床は未だに日本国内では一度も見た事がないからです。
こうした銃床材の木質は、巨木の木の根っこの部分僅か1m程度にしか存在しません、小さな丸い渦巻きはそこの部分から細い根っ子の枝が出ていたことを物語って居ます。また木目が波状に波打っているのは何十トンもの木の重量を支えているために導管が真っ直ぐ成長できなかった事も意味しています。こういう根っこの部分は何百年と経過た巨木でないとこういう木質になりません。
何百年のも間には落雷と言うアクシデントに遭うのは当たり前のことですが、落雷に遭うと木の中心が焼けこげ、その部分は腐ってしまいます。落雷に遭わなくても多くの大木は中心が空洞になっている物も少なくありません。大きな大木ほど落雷に遭う可能性は高くなります。ですから、こうした完璧な素材が入手できるのは極めて希な事なのです。
こうした貴重な素材は西側諸国では完全に枯渇して、この材料はかつての共産圏、アゼルバイジャンで入手出来た物なのです。かつての共産圏ではこういう貴重な素材を掘り起こしても売れる場所がありませんでしたので、幸いな事に現在まで持ちこたえていたのです。
でも将来的にはここでもいずれはいつかは枯渇することは明白な事実です。
こういう特選銃床が今まで日本に無かったと言うのは、銃床屋さんに持ち込むと簡単に解ります。多くの銃床屋さんは「割れが多いね」「ひびが有るね」甚だしい場合は「節があるね」とさえ言われかねません。そういう銃床屋さんは今までこの手の銃床の加工をしていないためにそう言われるのかも知れません。逆に言うとこういう銃床は今まで見たことがないと言う証でもあります。
でもこの手の銃床材料には割れは避けられないのです。割れと言っても致命的な大きな割れではなく、多くの場合、横で数ミリ、幅で0.数ミリと言うレベルです。

インレット1
インレット1

木の根っこの部分には多くの水分を含んでいますが、乾燥の途中で水分が蒸発しますと、必然的に細かい割れが発生するのです。木質が真っ直ぐなら簡単ですが、根っこの部分ですので導管が複雑に入り組んでいるため、全体的に小さなひびが存在しているのです。
普通ならこうした割れはエポキシや砥の粉を目止めして修正するのですが、私は同じ材料から切り出した木片を丁寧に1つずつ埋めていきました。

インレット2
インレット2
インレット3
インレット3

安物なら目止めで簡単に補正するのですが、高い材料ですからこうした方法を採るのです。
1970代、アメリカで修行中の私は銃床制作の過程で良くこういう作業をやった記憶があります。
多くの場合がくさび状に削りだした木片で、横幅数ミリ、先端は0.2ミリ程度です。
それをラジオペンチを使い空洞に押し込みます、有る程度挿入できたら、軽くハンマーでたたき込みます。ハンマーでたたき込むとほとんど隙間は視認できません。勿論接着剤も使いません。本来はこうした作業も銃床屋さんの作業なのですが、日本の銃床屋さんではこういう仕事の体験が無いために、私が自分でこなしているのです。

未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床
未完成銃床

画像では見にくいのですが、未完成銃床には細かい割れが無数にあるのです。
細かい作業ですが2日もあれば完成ですね。
あとは仕上げをしてチェッカリングをして銃床の外見は出来上がりです。

銃床油セット
銃床油セット  (¥14,000)

これからいよいよ、銃床の油仕上げに入るわけですが、銃床仕上げに使う油はわざわざヨーロッパから取り寄せました、私がIWAで購入してきた物と同じ物ですが、購入分は全て完売しましたので追加で輸入した物です。
銃床油セットは、シーラー、銃床油、硬化剤、800番耐水ペーパーのセットで、¥14,000です。
銃床油セットの、一番右側にあるのはシーラーと呼ばれる溶剤です。
何か特殊な溶剤かと思ったのですが、単に砥の粉を溶かしただけの物みたいです。
砥の粉ですから銃床の導管を目止めする物ですね。少し塗るだけで木が非常に乾燥しているのでどんどん染みこみます。

シーラーを塗る
シーラーを塗る

どんどん染みこんでどんどん乾いていきます。溶剤を調べたら水溶性です、その為に染み込みが良く、乾燥も早いのですね。
シーラーは手で塗りますが、手に付いたシーラーは水道水で洗うと簡単に落ちます。

有る程度シーラーを塗り込んだら、付属の180番の耐水ペーパーで空研ぎします。
つまり、何も付けないで銃床の表面にペーパーをかけるのです。そうすると余分な砥の粉が削れ、導管には逆に砥の粉がすり込まれます。
次のステップでいよいよ銃床油を擦り込みます。
銃床の表面に油をタラ~と流し、その上からコルクの板に巻いた、180番の耐水ペーパーで研ぎ上げていきます。
勿論木に巻いて研ぎ上げても良いのですが、コルクの方が木になじむので作業がはかどります。でも間違っても手で研ぎ上げないように注意して下さい。
手で研ぎ上げると表面を平面に仕上げることは困難です。

銃床油は、導管の粗いところはどんどん油を吸い込んで行きます、木質の堅いところはあまり吸い込みません、そうして銃床に綺麗なコントラストが生まれます。
銃床全体を銃床油と、180番の耐水ペーパーで研ぎ上げたらいよいよ仕上げです。

付属の硬化剤を銃床に垂らして全体に行き渡るように擦り込みます。
布を使っても良いのですが、手でやった方が細部まで完璧に出来ます。
硬化剤と言うと、これで銃床油がカチカチになると思われるでしょうが、そうではありません、銃床油が「シットリ」としてくるのです。不必要に染みこまないし全体的に表面にとどまり、全体的に「シットリ」した感じで完成します。

完成銃床
完成銃床
完成銃床
完成銃床

銃床の油仕上げと言うと、相当長い時間かけて完成させている様に思われるかも知れませんが、実はこの仕上げは8時間程度で完成させたのです。
ビジネスの場合、不必要に時間をかけるのは問題です。これくらいの時間で完成させるのが工場サイドでは常識なのです。この様に短時間で完成させるのには専用の銃床油セットが不可欠です。市販されているアマニ油を塗り込んで居たのでは1ヶ月かかっても完成しないでしょう。
何故なら1ヶ月擦り込んでも、まだまだ幾らでも油が染みこむからです。
逆に銃床が熱い場所に置かれると油が浮き上がってきます。油が「シットリ」落ち着くには硬化剤が必要なのです。

銃床油セットは、シーラー、銃床油、硬化剤、
800番耐水ペーパーのセットで、¥14,000です。
  *この機会に是非、御注文ください。

銃床油セット
銃床油セット(¥14,000)

私は銃床の取り付け取り外しは自分でやりましたが、一般の方は銃床の取り付け取り外しは必ず銃砲店、または銃床屋さんに任せて下さい。
散弾銃のネジは全て特殊なネジですから、間違ってネジの頭を滑らせると補修がききません。ネジの頭には彫刻があるので他のネジでは補修が出来ません。
また彫刻のスタイルがそれぞれ独自なので、他の彫刻師に依頼しても駄目なのです。
そのリスクを考えると、絶対に自分で銃床は取り外さないように注意して下さい。

完成銃床
完成銃床
完成銃床
完成銃床

最後になりますが、こうした難作材料なのに嫌な顔もせず、なおかつ非常に高度な工作を要求されるサイドロックの銃に最高の加工をして頂いた、栗原銃床製作所の皆さんに最大の感謝の意を表します。

皆さんも高度な銃床加工を依頼されるときは、栗原銃床製作所をご利用されると良いかと思います。以下、住所と電話、FAXを明記しておきます。

〒145-0066 東京都大田区南雪谷5-17-22
栗原銃床製作所
電話:03-3727-7203 FAX:03-3727-7219

ウナートル スナイパー スコープ

2004年 3月 2日 築地

私がこのスコープを初めて見たのは、今から15年くらい前、狙撃訓練の為に訪問した沖縄のキャンプハンセン海兵隊基地でした。
羽田でJALのカウンターで携帯ののライフルを預けたため、ライフル射撃場の無い沖縄で何をするのかと怪訝に思ったスタッフが警察に電話したため、沖縄の飛行場から沖縄県警の尾行されました、勿論パンダ模様のパトカーではなくて、一般車両を装った車でしたが、さすがにスナイパー訓練所のスタッフですから「尾行されてる」と教えてくれました。
キャンプハンセンでは射撃訓練をしたことは事実ですが、自分の銃を使ったかどうかについてはコメント出来ません。
(私が行った当時、キャンプハンセンには現在のウナートル社の社長、ロッキー グリーンさんが勤務していたのでひょっとしたら何処かですれ違ったかも知れませんね)

さて、キャンプハンセンでは、今までに見たことのないスナイパーライフル、M40-A1がありました、それまでのスナイパーライフルというと、レミントンバーミンターにレザーウッド、スナイパースコープを取り付けたのが、唯一海兵隊のスナイパーライフルだったのです。
その新しいスナイパーライル、40A-1に取り付けられていたのがこのウナートルスコープでした。
M40A-1スナイパーライフルは、銃身はハート、機関部はレミントン700、銃床はマクミラン、引き金はジュエル、トリッガーガードはウインチェスターM-70用のスチールトリッガーガードの構成で作られていました、マウントはレッドフィールドのワンピースマウント、前後とも90度回して固定する、ヂュアルドブテールのリング、それにマウントリングの止めネジは上からでなく、下からネジ止めするBlack Luster と言うタイプのリングを使います、下からネジ止めするリングはレッドフィールド社でしか製造していません。
ヂュアルドブテールで前後のリングとも固定し、しかも下からネジ止めするなど、非常にやっかいな作業を強いられますが、それが一番信頼できる方法なのかも知れません。
このライフルは市販品ではなくて、すべて海兵隊で海兵隊のガンスミスが組み立てて作っていたのです。驚くことにスナイパー訓練中の射撃場の隣には大きなトレーラーが常駐しており、そこがガンスミスの工房に成っていたのです。

ウナートルスコープのボデーは1インチです、多くのタクチカルスコープが30ミリなのはリチクルの移動量が大きく取れるので30ミリボデーを使っていますが、ウナートルの場合、100ヤードでのリチクルのセッテング位置が最初から下になっているので、100ヤード射撃の位置にリチクルをあげても、ボデーの上にぶつからない設計に成っているのです、そういう意味では何も無理矢理30ミリボデーで設計する必要はないのです。
多くの人の間に誤解があるのですが、1インチボデーより、30ミリボデーの方が明るいとか色々間違った事を言われる事が多々ありますが、光学的に言うとボデーの大きさは何の関係もありません。

ウナートルスコープ
ウナートルスコープ

ウナートルスコープのレチクル調整は極めて特殊な方法です。
この設計はウナートル社の特許だったのですが、すでに特許は有効期限が切れているので、USオプチクスで100%同じ物が作られているのです。
しかし、USオプチクススとウナートル社の間で裁判が行われ、ウナートル社が勝訴し数千万円の賠償金をUSオプチクスが支払わなければ成らなくなったのですが、その保証の多くは、USオプチクス側の営業妨害の訴訟です。
同じ製品を作ったと言うことが裁判の争点に成ったわけでは無いそうです。
ウナートル社に対してUSオプチクス社が色々な誹謗中傷をしたことが営業妨害と認められたようです。そのため毎月USオプチクス社はウナイトル社に相当額の損害金を払っていると言うことでした。

ウナートル社の社長、ロッキーさんにショットショーでインタビューした中で、USオプチクスとウナートルとの相違点について色々質問したのですが、大きな相違点はレンズの違いだと強調していました。
ウナートル社の場合は全部アメリカ製だが、USオプチクス製はアジア製のレンズを使っていると言うことでした、これも最初はUSオプチクスはレンズはアメリカ製だと言っていたのですが、裁判の中で解った事実だそうです。
アジア製と言われても、日本もアジアなので、いささか私もムッとしましたが、日本のレンズが優秀なのはカメラ用のレンズだとか、そういう汎用向けのレンズは確かに優れているようです。しかしながら純粋の軍事用となると、これはもうアメリカ製の独壇場なのです、例えば、天文観測史上最大の貢献をした宇宙空間に打ち出されたハッブル望遠鏡ですが、これは100%アメリカ製のレンズが使用されています。軍事偵察衛星に使われる超高倍率、超高解像力のレンズもアメリカ製です。
実は、日本が世界に誇るスバル天体望遠鏡もアメリカ製なのです、どうです以外でしょう?
光学系は日本製が世界一だと思っていませんでしたか、実はアメリカ製が一番なのです。
人工衛星を追尾撮影するカメラがあるのですが、そのレンズをソ連に輸出した職人はスパイ罪でFBIに逮捕され無期懲役ですからね、日本にはスパイ罪はないので日本に注文すれば何の問題もないのですが、そこは人工衛星追尾用のカメラレンズはアメリカ製でないと駄目だったんですよ。
この様にレンズ物では最先端の物はアメリカ製と言うのが、本当は常識なのです。
ですから、ウナートル社がレンズは100%アメリカ製と胸を張るのは、レンズが良い事は勿論ですが、レンズ自体が相当高価であることを意味しています。

世間一般に言われるミルドットリチクルですが、多くのレチクルはエッジングで作られています、いわゆる写真製版と同じ様な技術ですね、薄い銅箔を写真蒸着した部分以外を溶剤で溶かして作る製法です、この場合リチクルのワイヤーをあまり細くすることが出来ないのです、またリチクルが切れやすいと言う欠点もあります。
ウナートルのリチクルは「メカニカル」製と言うことです。
縦横2本のワイヤーを張って、それにミルドットを取り付けるのです、細いワイヤーにどの様にしてミルドットを正確に付けていくのかどうして作るのか全く想像できません、現在この製法でミルドットリチクルを製造できるのは世界で1社、テキサス州にある*社しかありません。
エッチングの場合、このミルドットが大きくて、如何にも団子の串刺しに見えますが、ウナートルのミルドットは非常に細身なのです、ですからミルドットに邪魔されて目標が視認できないと言うことが無いのです、これがUSオプチクスとの大きな違いでしょうか。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
ウナートルスコープ
オリジナル画像

ウナートルスコープには照尺が着いています、308ウインチェスター、弾頭148グレイン、初速2800フィート、フルメタルジャケット軍用実包を使う場合、射距離に応じて正確な弾道修正が行えます。この弾道修正の方法も独特です。

ウナートルスコープ
オリジナル画像

まず300ヤードでサイテングする場合、照尺の目盛りを(3)にします。
それから横のロックネジを緩めて、真ん中のネジで上下の調整をします、上に弾着を移動させたいときは、時計方向に回します。

弾着を下に移動させたいときは時計と反対方向に回します。
上下の弾着調整が終わったら、横のロックネジを固定します。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
ウナートルスコープ
オリジナル画像

これでダイヤルのネジを(5)にすれば500ヤード(8)にすれば800ヤードの距離に自動的に弾道修正が行われます。弾道修正ダイヤルは(10)迄しかありませんが、1000ヤード以上は308ウインチェスターの射程外と考えて良いでしょう。
上下調整のダイヤルの下に、副調整レバーと言うべき物があります。
これは、射撃する条件により、弾着が上下に移動することがあります。
つまり空気の密度です、大気が寒いと空気の密度が大きいので飛翔する弾頭の抵抗力が大きくて弾着は下がります。
空気が暖かいと空気の密度が薄いので弾頭の受ける抵抗は減少し、弾着は上になります。
この様な場合、副調整レバーで上下に3MOAだけ弾着を調整出来るのです。

ウナートルスコープ
オリジナル画像
ウナートルスコープ
オリジナル画像

左右の調整も同じように横のロッキングネジを緩めて行います。

暗視スコープ

2003年 2月10日 築地

今回は暗視スコープの事について書きます。
普通の銃砲店でこうした商品を取り扱ったり、解説を書いたりするところは皆無だと思います、しかしながら、ガンビジネスの頂点を極めようと言う私にとって、暗視スコープに熟知するのも私の中では大切なアイテムとして位置付けられているのです。
私が暗視スコープに付いて、妙に詳しいと、"築地は夜撃ちをやっている"なんて勘ぐられるかもしれませんが、夜撃ちは論外な話で、この世にある一切の違法行為は私の周辺から完璧に排除しています。今や完全に順法精神の化身と化している私にとって、車のわずかなスピード違反、そして些細な賭け事も一切ないのです。
嘘だと言うなら賭けてもいい!

暗視スコープの最初は朝鮮戦争当時、夜間戦闘用に米軍が赤外線照射のスコープを使ったのが最初です。
5万カンデラ以上もある、強力な投光装置に赤外線のフイルターを付けて照射すると、人間の目には見えなくても赤外線フイルターを通して見ると、チャンと視認できるのです。
これを使って夜撃ちを試みた人が居るのですが、虫が大量に寄ってきて撃つどころの話では無かったという事です、また獲物も赤外線を当てると、普通の光を当てたのと同じように瞬時に逃げ出すそうで、赤外線が見えないのはどうやら人間だけみたいです。
自衛隊でも74式戦車などには大型の赤外線照射装置が長い間取り付けられていましたが、赤外線を照射すると、相手が赤外線スコープを持っていれば簡単に視認できる訳で、長年これを使っていた訳ですから、いささかお粗末な軍事知識ですよね。物のついでに申し上げますが、現在自衛隊で今でも製造、そして配備され続けていますが、対空レーダー、対空機関砲エリコンを搭載した陸上自衛隊自慢の対空戦車があります。10億円もするような馬鹿高い装備ですが、エリコンの対空機関砲の射程はせいぜい4キロでしょう、現在の航空機の装備から言っても、戦闘ヘリコプターですら、射程10キロ程度のミサイルを装備しているのが常識ですから、誰が考えても対空戦車の射程内に航空機が到達する前に、対空戦車は全部ミサイルの餌食です! ましてや、対空戦車はジープなどと比べて4倍以上のレーダー反射をしますから、一番最初の攻撃目標にされます。
航空機が地上に攻撃をかける場合、脅威となる目標を最初に攻撃するのは常識以前の常識ですから、一番最初に破砕されると言うのは100%断言できますね、第一、対空戦車の射程にのこのこ入る航空機が有るわけありません。
対空戦車の機関砲の初速はマッハ3以下でしょう、米軍のミサイル"ハーム"なら初速はマッハ4です、機関砲の弾よりもミサイルの方が早いのが昨今の軍事技術です。使い道が無い対空戦車に無駄金を使う位なら暗視スコープを陸上自衛隊員に大量に装備した方が隊員にはよほど励みになると思うのですが石破茂防衛庁長官、如何でしょうかね。

おっと、我々の仮想敵国、北朝鮮には姿勢制御技術が未熟なため何処に飛んでいくか解らないフラフラミサイル、ノドンは在っても、命中精度の良いハームなんて最先端のミサイルは在りませんでしたね、どうしても軍事技術は最先端の西側を見てしまうので大間違いをしてしまいます。アメリカと戦争しない限りこうした心配は無用でしたね。
いずれにしても米支援さえ停止すれば自然崩壊する国家の軍事技術なんて現在は脅威でも何でもないので考える必要は在りませんでした。
北朝鮮と言えば、シークレットヒール野郎の馬鹿息子、金正男氏が頻繁に赤坂の韓国バーに出没していたのを公安当局の方はご存じでしたでしょうか? 当然ご存じですよね!
私ですら知っているありきたりの情報ですからね。(言うまでもありませんが、奴をファーストクラス貸し切りで国賓待遇で田中真紀子の馬鹿が中国にお送り返す前の話ですよ。)
遊ぶ事を知らない私にとっては、こうした水商売の仕来りはよく知らないのですが、バーの同伴と言うのは一般的には8時くらいに入るのが普通らしいですね、その馬鹿は暇なのか、早起きなのか、熱心なのか、スケベなのか解りませんが、馬鹿が同伴で店に入るのは何時も5時です、酒はオヤジに似て強いですよ!。5時に来て看板まで飲みます。当然、ふんだんに金を使います、通常の財布では札が入りきれないのでルイビトンに特注で作らせた財布にはち切れんばかりに万札を入れて連日くるのですから、並の日本人は全て全滅です、間違いなく200万円以上は入っていますね。試したかどうかについてはコメント出来ないのですが、大判の財布ならぎちぎちで200万円は入ります、特注と言うことはこれ以上ですから300万円?それとも、もっとでしょうか?その財布の中身をガンガン使われたら全ての日本人は降参です!
戦争になれば北朝鮮には簡単に勝てそうですが赤坂のバーでは完全に北朝鮮に負けましたね。
しかし、奴がまともに金を稼げる訳もなく、その原資たる軍資金は日本の援助金でしょう!それを考えますと、はらわたが煮えくりかえりますよね。
店内では、なんだらかんだらハムニダ! どうのこうのスムニダ! なんて朝鮮語でお店のホステスを口説いていましたね、で、毎回お店のホステスを自分のホテルに連れ込んでいました。で、奴のお気に入り、そこのナンバーワンの韓国ホステスがある日、忽然と消えました。これも拉致でしょうかね? 
奴が、母国ではなくて世界中を放浪してこの間はフランスで入国拒否されましたね、将軍様の後継者たる馬鹿が、母国に居ないという事は、何時国が崩壊してもおかしくないと、当の将軍様とその馬鹿が感じているからでしょう、奴の盟友だったルーマニアのチャウチェスクの例は絶対に脳裏から消えないのでしょうね、あれほどの独裁者が、権力の座から落ちた瞬間、自国から脱出することも出来ず、夫婦そろって殺されたんですからね。チャウチェスクもそうですが金親子はあまりにも人を殺しすぎました。総軍様が軍を視察に行くとき、視察を受ける部隊の全ての兵隊の銃からは、装弾は勿論、撃針まで取り外しさせています、奴はすでに北朝鮮人民軍ですら信じられないのですから、こんな状態では国の崩壊は近いですよ。こんな国に支援をしてきた政治家は国賊です、ましてや援助の見返りに金を受け取った政治家は売国奴ですね。おっと、あまり余計な事を喋りすぎると朝鮮総連から刺客が飛んで来そうですから、この辺で話を止めます。

本体
本体

さて、これからが本題です。暗視スコープ、英語ではナイトビジョンと言いますが、この製品、現在ではアメリカからの輸出は禁止されていますが、しかし、ごく少ない数ですが何らかの方法で日本に輸入されています、アメリカが輸出禁止しているのは、これが北朝鮮やイラクに流れるのを問題視しているからです、しかしながら戦闘中や、あるいはスパイなどを使って入手する場合を想定してでしょうか、これに使われる電池も極めて特殊な電池を使います。秋葉原で探そうが、何処を探そうが絶対に入手できません。
電池の名称はBA5567/Uと言う電池です。
しかし、そうは言っても通常では入手できないナイトビジョンがこうして存在するのですから、蛇の道は蛇、電池も何とか入手出来ない事もありません。しかしながら実際の戦闘状態でこの電池が切れたら戦場では補給が無い限り入手できないこともあると見えて、現在では単3電池を使用できるバッテリーパックと言うのも後で作られるようになりました。しかし、北朝鮮にバッテリーパックが流れたら同じ事なので、やはりバッテリーパック自体も暗視スコープと同じように極めて入手困難な部品なのです。バッテリーパックで単3電池が使えるなら、最初から単3電池を使えるようにすれば良かったのでは無いかと思ってしまいますが、アメリカ軍もよほど心配なんでしょうね。

軍用バッテリーパック
軍用バッテリーパック
単3電池バッテリーパック
単3電池バッテリーパック
パックを閉じる
パックを閉じる
パックを乗せる
パックを乗せる

この暗視スコープANP/PVS-4は正式の軍用モデルで、10年前は某商社で350万円で売られていた物です、当時は高価すぎて、いくらマニアでも買いようが無かったのですが、現在は中古品だったらその値段は1/10程度まで価格は落ちています、ですから今ここにこうして在るのですけどね。
現在では最先端の暗視スコープは大きさもこれの10分の1程度まで小さくなっていますが、しかしながらこの様なコンパクトな暗視スコープの様にリチクルは内蔵されていません、何故なら暗視スコープはライフル銃の照準装置として使うだけでなく、ヘリコプターや車両のパイロット用、または単なる前線の監視用等、色々多用途の目的のために使われるので最初からリチクルは内蔵していないのです。こうした暗視スコープは通常のライフルスコープの前、あるいは後ろにつけて、ライフルスコープを通して使うように作られています。
暗視スコープは通常の明かりを4万倍まで拡大して見られます、構造を簡単に説明しますと、一種のテレビカメラ装置と考えてください。対物レンズから入光したわずかな光を電気的に増幅して画像として表示しているのです。ですからスコープを覗いた映像は質の悪いビデオカメラを覗いて居るような画像なのです。当然ですがカラーではありません、軍用品ですからカラーにする必要はないのです。
暗視スコープは別名スターライトスコープと呼ばれており、わずかな星明かりで見ることが出来ます、星明かりで見るのですから、東京都内みたいに、何処かしらに明かりのあるところでは逆に明るすぎて使えません。
車の明かりも、街の明かりも、家庭の明かりも一切の光が存在しない、北朝鮮みたいな国で使うには最適なのです、日本で使うなら山の中か何処かでないと何かしらの光がありますから逆に使い道がありません。
しかしながらマニアと言うのは使い道が無くてもほしがる物なのです、子供と同じですね。
暗視スコープは光の無いところで使うように出来ていますので、昼間に使うことは出来ません、用途は夜間射撃です、夜間射撃と言っても東京都内みたいに常時何らかの光源があるところでは、対物レンズから入光する光を制御する必要があります、光の量が大きすぎると暗視スコープの中の撮像管が壊れるか、極端に寿命が短くなります。
最初に作られた頃の暗視スコープは、漆黒の中で兵士を狙っていたときに、兵士がたばこを吸うためにライターに火を付けた瞬間、撮像管が壊れたなんて話もあるくらいです。
その瞬間350万円の暗視スコープは不燃物ゴミになります。

絞り
絞り

これもそうですが、現在の暗視スコープはフューズが内蔵されていますのでさすがにそういうことはありませんが、フューズ事態も入手困難な貴重品です。東京都内みたいに光の量が多いところで使うには対物レンズにはデイライトカバーと言う部品が装着されており、ここから入光するわずかな光量で使うようになっています、デイライトカバーには3個の穴があいておりカバーのレバーを回転させることにより、穴の大きさを選択できます。つまり光の量を調整すると言うことです。

開放時
開放時

人間の目で視認できないような漆黒の闇では、このカバーを取り外して使います。
カバーを取り外した状態が、本当の暗視スコープの姿です。
私はこの状態の暗視スコープが一番格好が良いと思います。
暗視スコープに使われる撮像管は極めてデリケートな製品で、使用時間4000時間で完全に壊れます、また50度以上の中に放置しますとこれこそ保証付きで完全に壊れます、夏の車の中に放置したら完璧にアウトですね。しかし軍用品だからこれで良いのです。
言うまでもありませんが、壊れた場合、修理の方法は全くありません。
それを前提に購入していると言うことです、高いオモチャですね。

接眼部には、ラバーアイシェードと呼ばれる部分があります、これに目の周りと言うか、顔を押しつけると、ラバーの中心が"パカッ"と開き、レンズを見ることが出来ます。
つまりラバーアイシェードに顔を押しつけない限り、接眼レンズは解放されないのです。
これは何のためかと言いますと、漆黒の世界で唯一光を放っているのが暗視スコープの撮像管なのです、もしラバーアイシェードが無い状態で暗視スコープを使うと、撮像管の緑色の光が瞳に当たっているのが見えます。これは戦場の場合、敵からも見えると言うことで、自らの居場所を察知されることになります、極めて危険ですよね。
ですから撮像管の光が外に漏れないように、顔を押しつけないとラバーアイシェードが開かないように出来ているのです。

接眼部
接眼部

この暗視スコープは、正規軍用モデルなので、リチクルも軍用物が使われています。
このリチクルを使うと、目標までの距離を簡単に補足することが出来ます。
参考までにリチクルを使った距離の補足方法を取扱説明書から開示しますので内容を読みとってください。この内容を逐一素人さんに説明するのは好みません、その筋のマニアなら簡単に解りますよね。レチクルの図を見ただけで簡単に解りますよね。

リチクル取り扱い説明書
リチクル取り扱い説明書
スイッチ詳細
スイッチ詳細

リチクル内蔵の暗視スコープは、リチクル自体も明るくなります。
しかし、何時も明るいままで馬鹿みたいに使っていると、撮像管の中でこれが白焼けして、明るさを絞っても撮像管に残ることになります。ですから暗視スコープの使い方はこまめにスイッチを切り、出来るだけ光量を上げないで使うことが賢い使い方なのです。
軍隊では撮像管は消耗品として位置付けしているようで、壊れたら単に取り替えるという考え方です。暗視スコープの撮像管は、いわばノートパソコンのデスプレイみたいな物で、ドット抜けというか、一部に黒点が残る場合がありますが、これは不良品ではなく、避けられない問題なのです、しかし実用上の問題は全くありません、なんせ用途が軍用目的なのですから。画像を楽しんで貰う目的ではないのです、あくまでも照準装置ですから。

照準調整は、上下左右のリチクル調整ノブを使い通常のライフルスコープと同じ照準調整方法です。現在のライフルスコープは、イメージムーブと言って、リチクルの調整をしてもリチクルは常に中心にありますよね、これはライフルスコープは二重の筒の構造になっており、内部の筒の中心にリチクルがあり、照準調整はその筒を動かして調整します、従って"見た目"リチクルは常に中心に見えるのです、30年位前はイメージムーブと言う考え方はなく、ライフルスコープのリチクルは、常にどちらかに寄っていたものです。
当然と言えば当然ですが、この暗視スコープもイメージムーブではありません、ですからリチクルは使用する銃により、真ん中には無く、常にどちらかに変位しています、しかし、イメージムーブでないこの方がリチクルの移動量が大きいのです。
この暗視スコープはマウントシステムを変えることにより、どんな銃にも付けられます。
現在、この暗視スコープに付いているのはウエーバータイプのマウントです、ウエーバータイプならマウントベースを銃に取り付ければ、どんな銃にでも取り付きます。

マウントベース
マウントベース
マウントレバー
マウントレバー

銃床について考える

2000年 7月15日 築地

今回は銃床の寸法に付いて考えます、日本国内では銃床について誤った考え方をする人が少し多すぎるように思えます、私は射手として40年間射撃をやっています、ライフル射撃、トラップ射撃、ベンチレスト射撃、こうしたジャンルを徹底的にやってきました。
私は射手ですが、併せて銃器を製造するサイドにも携わりました、こうした経験の中で体験的に取得したのですがその人に適した最適の銃床の長さとはその人の射撃フォームで判断するのが最適です、そして、判断するのは貴方では無く、私です!

シューターに最適の長さを判断させると間違いなく最適の長さより短い銃床を選択します。これは当たる銃床ではなく、単に使いやすい銃床を選択するからです。
この間違った考えを助長しているのが、肘の内側に銃床を当て、それからグリップを握る、そうするとほとんどの場合引き金に適性に指が届かない、届くのが正しい銃床のサイズと誤解しているのでこのような大間違いをしでかすのである。

使用目的により銃床の長さは違ってくるが、銃床を肘に当ててグリップを握った感じで適性を決められるケースは、ライフル射撃競技の立射の場合だけである、これだけである。これは反動の無い銃を筋肉の緊張をさせないで(少しの緊張は要するが)タイミングを計って撃つ場合には最適な銃床の長さである、しかし膝撃ちや伏撃ちの場合は、完全に銃床は短くなる、そのため3姿勢射撃競技専用銃は必ず銃床の長さが調整出来るように作られている、こんな事はライフル射撃をやっている人間にとっては常識以前の常識なのだ、銃床の長さを短くして使うと使い易いのだが何故だか当たらない、伏せ撃ちの場合には銃床を立ち撃ちの時より1~2センチ伸ばさないと筋肉の緊張が保てないので、銃をうまく保持出来ない。この事はライフル射撃の体験者なら体験的に知っている。
間違っても外人向けの銃は大きく作られている等と言う人は居ない、そんな事を言ったら完全に馬鹿扱いされるに違いない。

ひるがえりショットガンシューターの中にはこうした経験を経ていないので、不必要に銃床を改悪するケースが少なくない、最悪なのは先程述べた肘を基準にして銃床の長さを判断する誤った考え、それに外国の銃は外人用に作られているという先入観がこうした誤りを助長する、お店の店頭で適正な長さの銃床と、切りつめた銃床の銃を交互に構えれば切りつめた銃の方が遙かに使いやすいはずである、しかし実際に撃つと、銃床を切りつめすぎた銃は何故だか当たらなくなる。

その銃が適正な長さかどうかは実際に銃を撃ってみて点数が上がるかどうかで判断すべきではないかと思う、スコアーが上がらなければ何の意味も無いでは無いか、仮に同じスコアーだったとしよう、銃床が短いと試合の時のように緊張した状態ではさらに結果は悪くなる、では何故こうなるかガンスミスの立場で説明してみよう。

銃を撃つ場合には全ての筋肉が緊張状態に無ければならない、筋肉が緊張していないと銃を適性にコントロール出来ないからである、私の経験論からすると射手が最適とする銃床からすると1~2センチ長くした銃床が最適な寸法である、別の言い方をするならば肘の内側にバットプレートを当てて、引き金に指をかけて、1~2センチ長い寸法が最適である、多くの方が大変な勘違いをしている事に外国作られた銃は外人向け、国産の銃は日本人向け、と言う大間違いがある、ミロクのホームページを読むと、ミロクで作られる銃の95%は輸出用なのである、つまりミロクでは5%しか国内向けに販売していないのである、では国内向けの銃は銃床サイズが短いだろうか? そんな事はない、全く同じである、としたら皆さんはミロクを使っている限り全員外人向けの銃を使っていることになるでは無いか! しかしご安心あれ、それでいて日本人に適正な寸法なのである、勿論長い銃床をそのまま使えと言うような暴論を吐くつもりは無い、私自身はFNのDグレードを使っているが、これは銃床を1センチ切りつめて使っている、同じくペラッチのSCOサイドプレートも使っているがこの銃の銃床は切りつめていない、昔メルケルが東ドイツだった頃、少し小さめの銃床で特別注文したらメルケルの会社から"止めなさい"と適切なアドヴァイスが届いた、アドヴァイスの通り作ったらなる程適正な長さであった。勿論ヨーロッパで流通しているスタンダードのサイズでありごく普通の寸法であるが物を知らない人に言わせれば"外人サイズ"の銃であることに間違いはない。

私はウエザビー社でガンスミスとして働いていた、ウエザビーのグリップは数ある世界中のライフル銃の中で一番細いだろう、もしこれを"外人サイズ"と言う人が居たら、日本人サイズのグリップとは割り箸サイズになるでは無いだろうか? はっきり言っておくが銃を設計するときグリップの大きさは使う人の手の大きさで決めている訳では無い!

ウエザビーを例にして言うと、グリップを細く作っているのはデザインの華麗さの為である、実際グリップの太いライフルはカッコ悪い、昔の軍用銃は銃床折れを防ぐためグリップは出来るだけ太めにして作られているが、丈夫ではあるが残念ながら華麗さには欠ける、しかしながら、グリップを細くするとここから折れ易くなる、特にウエザビーの場合マグナムライフルが売りなのであるから反動も強烈で本当は太くしたいのが山々なのだが、ウエザビーの場合はここに芯金を入れてまで、グリップの細いさにこだわった。

昔、設計者のフレッド、ジニー氏に聞いたところ、これがアメリカ人好みの銃床なのだと話してくれた。決して手の大きさで決めたわけでは無い。

話を戻してペラッチのグリップについて話そう、人によってはペラッチのグリップは大きい、あるいは遠いと感じる人が居ると思うが、グリップを細く、引き金を近くにする手に緊張感が無くなる、緊張感が無くなるから引き金の感じを敏感に感じるようにもなる、引き金を鋭敏に感じると良さそうに思えるかも知れないが、引き金に対して常に気持ちが行くことになる、いつも引き金が気になって気になって仕様が無い状態に陥る、こんな状態では絶対に当たらない、本当に射撃が当たるときは何も考えないで無心で撃っているときである。この様にあんまり射手のわがまま通り作ると使いやすいのだが、結局当たらない銃に出来上がってしまうのである。 

引き金について

2000年 1月16日 築地

引き金について書くと、散弾銃の場合は散弾銃の引き金だけ、ライフル銃の引き金の場合はライフル銃の事だけ、書くのが今までのスタイルです。
私は最もデリケートな競技用拳銃の引き金からから銃器の中では最悪とも言える散弾銃銃の引き金まで今まで色々な引き金をチューニングしたり、そして実際に作ったりしてきた人間ですから、このコラムでは今まで誰も書かなかったすべての銃器の引き金について説明してみましょう。

あらゆる銃器の中で最も繊細で最も軽いのは競技用のフリーピストルの引き金です。
固定的を撃つ射撃競技の場合、一番銃口が振れるのはピストル射撃です、そのため激発のチャンスはほんの一瞬しかありません。またピストルの場合、引き金に力を加えると簡単に銃口が振れてしまいます、そのためフリーピストルの場合極限まで引き金のウエイトを軽くしています、その引き金ウエイト、わずか15グラムです。もっと軽くしようと思えばまだ軽くは出来ますが現状ではこの位で使っています。
引き金を15グラム以下に調整すると、ピストルの銃口を上に向けただけで、引き金の自重だけで激発してしまいます。いくら軽くできても15グラム辺りが限界でしょう。
この15グラムの引き金でもしばらく使うと重く感じてくるから人間と言うのはまことに不思議です、こんな引き金を使っていても、もう少し軽いととか、もう少し切れ味がいいと、とか色々考えてしまいうのが人間のエゴと言う物でしょうか。
実は、引き金を軽くするというのはそれほど難しい技術ではありません、一番シンプルな散弾銃の引き金の場合、ハンマーを止めているストッパーを直接引き金力で外して激発します。引き金としてはこの方法が一番お粗末というか、一番シンプルなシステムです。
ハンマーの重さを直接引き金自体で受ける場合、必然的に重さも、ストロークも長くなりますが、シェアーを一つ介在させると、それだけでかなり軽い引き金にする事が出来ます。
原理を図面ではなく、文章で説明するとかなりの難しさを感じますが、引き金の間にもう一つ引き金を組み入れるような物です、フルーピストルの場合、そのシェアーが5段階に出来ているのです。
つまり15グラムの引き金を引くと、最初のシェアーがはずれて、それが外れると次のシェアーが外れ、その次、その次、その次と段階的に外れ、最後にハンマー自体が外れて激発します。メカ的には、カチャ、カチャ、カチャ、カチャ、カチャ、ドッカ~ンと言う具合になります。勿論ロックタイムは長くなりますが、5/1000程度長くなるくらいの物でしょう。
ロックタイムの事にも少し触れておきます。
ロックタイムと言うのは引き金を引いてから激震がプライマーを叩くまでの時間です。
昔、計測器を作り色々ロックタイムを計測したことがありますが、ロックタイムを短くするためにハンマースプリングを強くすると、ロックタイムがかえって不安定に成ることが解りました。
そのほか、現在国体種目として使われているビームライフルの試作をしたときに、ビームライフルは電気的に信号を送れますので、ロックタイムはいくらでも簡単に調整できるんどえすが実験の結果、ロックタイムを0にするとかえって成績が悪くなることも解りました、射手は無意識でロックタイムを計算し、将来的に銃口が狙点に行くであろう事を予測してその事前に引き金を引いているのです。この事からしてロックタイムを短くすることはあまり意味が無く、それよりも安定したロックタイムで激発できる銃の方が遙かにすぐれているのです。
また散弾銃の引き金の話に戻りますが、散弾銃の引き金でもこうしたフリーピストルの引き金メカを導入すれば簡単に切れ味の良い、軽い引き金を作ることが出来ます、何も5段階のシェアーを組み込まなくても、1段階の物を組み込んでも相当軽くできます、しかしあまり意味はありません、射撃を3~5年くらいやると、えてして引き金をいじくる人が多くなります、こういう人は引き金を直せばもっと当たると勘違いしているのです。
引き金の引き味は良くなりますが、成績には何の関係もありません。
もし引き金を直すだけで成績が良くなるなら、散弾銃のメーカーがとっくの昔に、この引き金メカを採用しているはずです。
それをやらないのは、散弾銃の場合やってもあまり意味がないからなのです。
その理由は後で説明します。

フリーピストルのカチャ、カチャ、カチャ、カチャ、カチャ、ドッカ~ンと言うメカに変わり、最近では電磁石を利用したエレクトリックトリッガーが最近ではフリーピストルに使われています。
これだとメカ的な物と比べるとロックタイムが早くなりますし、それに作るのもより簡単に出来ます。昔、ライフル銃でもエレクトリックトリッガーが売り出され、私もいち早く試した事がありますが軽すぎて使い物に成りませんでした。
何故使い物に成らなかったのか、エレクトリックトリッガーについて説明します。
ピストルと違い、ライフル銃のグリップはある程度の力で保持しています。
肘の高さが上がっているとグリップには力が入っています、肘が下げるとグリップの力を少し弱める事が出来ます、これはライフルだけでなく散弾銃でも同じ事が言えます。
しかしエレクトリックトリッガーを使うと、あまりにも引き金が軽いため、グリップをしっかりと保持することが出来なくなります。そして色々試行錯誤した結果結局軽すぎて使えないと言うことがはっきりしました。
散弾銃の引き金が、何故そんなに軽くできていないのか、その意味もここにあります。
散弾銃の場合、ライフル銃よりもグリップはしっかりと握ります、そうしないと銃を振り回す事はとても出来ません。
引き金を軽くすると、グリップがしっかり握れなくなるのです。そのためにあまり軽くしないのです、ですから、高い散弾銃を持っている人が、この銃は特注だから引き金が軽いとか言っているのをみると思わず苦笑してしまいます、勿論メーカーはセールストークで、高い銃を売るのですからそれくらいのデタラメは平気で言うと思います。
特にイタリア人は平気でそうしたことを言いますので、木訥な日本人は簡単にコロリと騙されてしまいます。
今でも人によってはコイルスプリングは切れ味が悪く、松葉バネは切れ味が良いとか、そういう事を平気で言う人が相当いますが、切れ味はハンマーとシェアーの相互関係で決まります。ばねの形状ではありません。
あくまでも引き金の重さはハンマースプリングとトリッガースプリングの相互関係できまります。ただそれだけの話です。

ペラッチの場合、値段の安いMX5はコイルスプリングを使っています、値段の高いMX8は松葉バネを使っています、しかしそれよりももっと高いブローニングの最高グレード、Dモデルはコイルスプリングを使っています。
スプリングとしては松葉バネは強く、コイルスプリングは折れにくいのを特徴とします。
数ある散弾銃の中で一番強いハンマースプリングの銃はメルケルです、何故メルケルのスプリングが一番強いのかと言うと、メルケルはかって共産圏であった東ドイツで作られていたからです。
え??と言われると思いますのでその説明をしてみましょう。共産圏の火薬製造技術は劣悪です、火薬の燃焼特性は悪いし、雷管は不発だらけです。
特に先進国で作られた銃に共産圏で作られた装弾を使うと酷い事になります。
撃つ弾の1%~10%は不発です、しかしそれらの腐れ弾を確実に撃つには並はずれた強力なハンマースプリングが必要なのです。
そのため東ドイツで作られていたメルケルのハンマースプリングは異常に強いのです。
私の持っていたメルケルではいかなる腐れ弾でも100%確実に激発出来ました。
その代わりスプリング折れはかなり頻繁に発生します。メルケルを使うときはいつも予備のスプリングが欠かせませんでした。
共産圏は論外ですが、西側でお粗末な弾を最後まで作って居たのはイタリアです。
私のFNでイタリアの弾を撃つと、共産圏の弾と同じ程度の割合で不発が出ました。
そのイタリア製のペラッチですからイタリアの弾を不発なしで使うにはペラッチは松葉バネを使わざるを得なかった、というのは私の考えすぎでしょうか?
しかし、最近ではイタリアの装弾も劇的に改善されました、それはアメリカ、日本などの資本や技術が導入され、火薬やプライマーが相当改善されたからです。
つい数年前までイタリアの火薬は威力の弱いシングルベースの火薬しか作れなかったのですが、最近はダブルベース火薬を使っている装弾が多くなりました。
最近発売されたレミントンの弾は、なんとイタリア製ではありませんか、しかも使うと火薬は十分なパワーがあり、間違いなくダブルベースの火薬が使われています、プライマーもその硝煙の臭いで、アメリカの火薬と同じ成分です。
イタリアの技術もここまで出来るように成ったのです、メーカーブランドを注意してみると何とデオニスと同じメーカーが作っています。デオニスには日本の技術も入って居るはずですのでこうした改善された弾が作られるようになったのです。
勿論雷管も劇的に改善され、私のFN-Dで使っても最近のイタリア弾は不発は1発も出なくなりました。(これはレミントンブランドの弾をデオニスしかテストしていませんが)
それに併せてペラッチもコイルスプリング対応のMX8まで作られるようになりました。
MX-8Bはコイルスプリングを使ったMX8です。

もう一つコイルスプリングの利点は、折れにくいと同時に、折れても一時的な使用に耐えると言うことです。松葉はその構造上折れればその瞬間から弾性は無くなりますが、コイルスプリングの場合、もし途中で折れても、弾性は弱くなりますが、スプリングの弾性が全く無くなるわけではありません、折れたとしても、要は短いコイルスプリングが2本入っているのと同じ事なのです。
兵隊の命のかかっている軍用銃の場合、ライフルでも、拳銃でも、松葉バネを使用した銃は絶対に存在しません、機関銃でも、戦車でも、戦艦でも、潜水艦でも、戦闘機でも松葉バネはどこの部品にも使いません、それはなぜだか、すでにお解りですね?

さてまた引き金の話に戻ります、今度はライフル銃の引き金です。
ライフル銃独自の引き金としてセットトリッガーがあります、引き金を引く前にセットトリッガーを引いてセットすると、引き金が軽く引けるシステムです。
これは最新の技術だと思ったら大間違いです、このシステムは銃が発明されるズーット前から存在したのです。
それはクロスボーに使われていたのです、あのクロスボーの弦はとても人の力では引けません、そのため梃子を使い弓をかけるのです、手でかけられる物はオモチャのクロスボーです。それほど強力な弦ですから当然引き金にも相当な力がかかっています。
通常に使ったのでは、ものすごく強い引き金になってしまいます、それでその引き金を叩くもう一つの引き金を組み込んだのがセットトリッガーなのです。
ですからセットトリッガーはムチャクチャ昔からあったのです。
セットトリッガーがヨーロッパでしか使われないのはそうした歴史的な背景があるからなのです、西部劇で使って居るのはみたこと無いでしょう!
で、使い勝手ですが、結論から言うとピストルグリップの銃には必要ありません。
その理由はグリップがしっかり握れないことと、もし軽い引き金を使いたい場合は市販されている、ジュエルやシーレンのマッチトリッガーの方がはるかに優れているからです。

シングルステージ、ダブルステージの事について説明してみましょう。
ライフル銃の場合、軍用銃は100%ダブルステージの引き金を採用しています。
ダブルステージとは引き金を引くと、最初に一定のストロークがあり、ある所から急に重たくなる所があります、そこからは少しでも引くと激発されます。
これは日本の軍隊でも予告式と言って射手に激発する瞬間を理解させるために作られた引き金で射撃専用銃も100%このシステムです。この引き金ならあらかじめある程度の重さを引き金にかけておくことができます、そして引く瞬間に指にわずかの圧力をかければガク引きをすることなく激発出来るからです。
散弾銃ではこうした構造はしておりません、なぜなら、ここと言うときに思い切りよく引き金を引かないと当たらないからです。

話は変わりますが、私は現在でも神奈川県のライフル銃の教習射撃指導員をしております、(実際の指導は10年前に引退していますが資格は保持しています)私はライフル銃の所持に教習射撃が義務つけられた昭和54年に最初に指定され、関東地方では私が最初に教習射撃を実施しました、そのときは誰もやって居なかったので私が講義内容、教習指導方法を作り最初に実施しました、関東で最初だと言う理由は、私が神奈川で実施した教習射撃を警視庁と千葉県警の警察本部から見学に来たので解ります、事実これが最初だと言っていました。
なぜこの教習射撃の事を話すかと言いますと、そのあと10年近く神奈川県で教習射撃を実施していく中で、散弾銃の10年経験でライフルの教習射撃を受験する人は、まず100%の人がガク引きをするため、これはライフルの世界では絶対にしてはいけないと口を酸っぱくして、徹底的に吹き込まなければ成らなかったからです。
ライフル銃の場合、ガク引きしたら絶対に当たりません。
散弾銃の場合、思い切りよく引き金を引かないと絶対に当たりません。

引き金の引き方、それどれの銃で全く違いますのでよくご理解ください。 

換銃身について

2000年 1月11日 築地


レミントンの換銃身

散弾銃用の換銃身の場合、多くの場合メーカーで生産される純正部品を取り付けるので特別注意を払うことはないがレミントンの換銃身の場合、LCとSPと書かれたモデルがあるのでそれぞれの銃身について説明をしておきます。

LCと書かれた換銃身、そのLCの意味はライトカウンターと言う意味です、日本語で言うと軽量銃身、つまり銃身の肉厚が少し薄く作られているモデルなのです。
スタンダードの銃身を使っている銃にLC銃身を取り付けるのには問題はありません、しかしこれの逆は出来ません。しかしながらスラッグ用の換銃身の場合、すべてスタンダード銃身しか存在しないので、これをLCタイプの銃に取り付けると、先台の銃身が接触する部分で当たり先台を奥までセッテングすることが出来ません、その場合、先台で銃身と接触する部分をほんのわずかサンドペーパーで削り落とす事が必要です。
銃身と同じ太さの丸棒に(銃身を使うことも可能です)サンドペーパーを巻いて、それで先台と銃身が接触する先台の先端部分を0.5ミリ程度研磨すれば先台が入るようになります。昔はスタンダードばかりで、なぜ現在はLCバレルが作られるようになったかと言いますと、銃身素材の改良が進んで銃身の肉厚を0.5ミリ削減しても同じ耐圧が得られるようになったからなのです。
しかしながらスラッグ銃身の場合、対応する銃身の安全係数の圧力が高すぎるのでLCカウンターの銃身は作れないのです。常識的な事ですが、スラッグ弾はインプシリンダーの交換チョークを取り付けて使うように出来ているのですが、間違ってユーザーがフルチョークを使っても銃身の耐圧が大丈夫なように作られているからです。
フルチョークを使った場合、弾頭にかかる抵抗が異常に強くなり圧力もあがりますが、その状態でも安全なように作られているのです。
SPの銃身は銃身がサンドフラスト仕上げで全体的につや消し仕上げに出来ているので表面が綺麗に研磨されているプレミアーのモデルの銃につけると違和感があります、しかし寸法的な問題はありません。

ライフル銃の換銃身

シーレン、ハート、リルジヤ、クルーガー等の換銃身のメーカーはライフル用の換銃身の素材を作っているメーカーです。元々銃のメーカーでは最初から銃身のついた完成銃を作っているのでライフル用の銃身だけを作ってはたしてビジネスになるのかと考えがちですが、メーカーで作られる銃身よりもさらに高精度な銃身を作ることによりこれらのカスタム銃身メーカーはビジネスとして成功しています。
では何故その相違があるのか説明してみます。
レミントン、サコー、ウインチェスター、等々、メーカーで作られる銃身はすべて冷間鍛造と呼ばれる方法で作られています。
これはガンドリルで穴あけした銃身部材に、コアーと呼ばれる超硬で出来た芯金を入れて、これを周りから押し付けてライフリングを付けるのです。
芯金には最初からライフリングがつけられています。
銃身の部材の直径は40ミリあるのですが、コールドハンマーと呼ばれるこの機械に通すと細く絞られ直径は30ミリになって出てきます、当然銃身にはものすごい圧力がかかっています。機械から出てきたときは触ると大やけどをするくらい強烈な加工熱を発しています。加工時には強烈な音もしますのでイアープロテクターなしでは加工現場に居ることはできません。ライフリングの部分は加工硬化と言って表面の0.5ミリくらいは硬度も硬くなります。こうして加工するので銃身部材全体に歪みが生じています。
機械から出てきたこの段階ではストレートの30ミリの丸棒なのでこれからならい旋盤にかけて銃身の形状に加工して銃身として完成します。
コールドハンマーでの最大の製造利点は量産が容易だと言うことです、当然コストも安くなりそのため大量に銃を製造するには欠かせない設備です。
しかしながらこの製造方法で作られた銃身は、実際に使用するときにはあまりにも細すぎる銃身の場合連発して銃身の温度が上がってくると、ほんのわずかですが、銃身が曲がってきて狙点がずれてくることがあります。これがコールドハンマー製造方法の欠点です。

カスタムバレルメーカーで作られる銃身の場合、これらの欠点が改善されています。
カスタム銃身の製造方法ではコールドハンマーは使いません。
ガンドリルであけた銃身部材の中にボタンと呼ばれるこれまた超硬で作られた芯金に油圧をかけて押し出します。その時にライフリングが作られるのです。
この製造方法の場合、銃身部材にはそれ程のストレスはかかりません。
しかしそれでも少しのストレスは存在していますので、調質と言うやり方で銃身のストレスを抜きます、この方法は加工の済んだ銃身を800~600度の釜にいれて少しずつ温度を下げながら24時間くらいかけて常温まで戻します、そうすると銃身部材のストレスは全部抜けてしまいます、メーカーで手間がかかりすぎるのでやりません。
そうして出来た銃身の内径を整えるため銃腔の内径と同じになるように棒の先端に鉛を長さ2センチくらい流し込み、それに研磨材をつけて気の遠くなるようなラッピング作業をします。そうして内径の仕上がりが整った銃身がカスタム銃身と呼ばれる物です、命中精度は抜群の命中精度を示します。

100メートル離れて5発の弾を撃ったとして全弾小指の爪の中に入るでしょう。
300メートル離れて5発の弾を撃ったとして全弾10円硬貨の中に入るでしょう。

この驚異的な命中精度の詳細についてはリンクを張ってあるベンチレスト射撃協会のページをご覧頂くと容易にご理解いただけると思います。
いろいろな換銃身メーカーがある中で銃身の薬室とねじ切り外形の仕上げまでの完成銃身としての加工をしてくれるところはシーレン社だけですので当社ではシーレン社の換銃身だけを取り扱っています。完成銃身の値段は¥79000です。
世界最高品質の銃身がわずか¥79000ですから安い値段だと思います。
国内でいろいろ高い銃身が存在しているようですが、これらの銃身以上に高性能の銃身はありません、従いまして¥79000以上の銃身は全く無駄な出費です。
ただし、銃身交換をご自分でやられる場合はかまいませんが銃身交換を当社に依頼される場合は銃身交換費用¥20000が別途かかります。
シーレン社で完成銃身の製造をしているのは、レミントン、サコー、ウインチェスター、ウエザビーだけです、それ以外の銃は個々の銃身ねじに合わせるため国内で加工します。
ねじ加工の部分がさらに¥10000加算されます。

銃身のカウンター(外形寸法)、口径、カートリッジ、ライフリングツイストなどは自由に選択できます。
換銃身ですから現在所持している銃と異なる口径の銃身の製造も可能ですが、ボルトヘッドが異なる、スタンダードカートリッジとマグナムカートリッジの併用は出来ませんのでご注意ください。
また弾倉から装弾が上がってきて薬室に送られる、いわゆるフィーデングの問題があるためあまりにも形状が違いすぎると問題が生じます。
たとえば30-06のネックダウンである270ウインチェスターの場合は問題ありません、308のネックダウンである243も問題はありません、300マグナムから7ミリマグナムの変更も問題ありません。
それ以外のカートリッジ間の相性については電話でお問い合わせください。 

銃身素材に付いて

2000年 1月 4日 築地

私の所では1丁数百万もする散弾銃から1丁数万円の散弾銃まで色々販売していますので、高い散弾銃は易い散弾銃と比べて銃の材質が違うのでしょうとよく聞かれます。 またカスタムライフル メーカーは特殊な鋼材を使っていると説明していますので多くの方が高い銃=材料が高いと勘違いして居られますので今回は材料と銃器について説明してみましょう。

ライフル銃でも、散弾銃でも、材料として使われるのはクロームモリブデン鋼です、これが唯一の銃器の材料です。数百万の銃でも、数万円の銃でも全く同じクロームモリブデン鋼です、部材の原価、つまり鋼材の値段で言うと銃身1本の鋼材原価はせいぜい2000円程度でしょう。銃1丁分の鋼材原価は5000位の物です。安い銃も高い銃も全く違いはありません。超高級銃はこれ以外の付加価値でその値段が決まります。

散弾銃の場合、ペラッチとブローニングの場合を例にとって説明します。

まずペラッチの場合です。最大の値段の違いは、彫刻の違い、そして銃床素材の違いがあります。彫刻の違いは職人の手間代ですから値段に違いがあるのは当然です。
何も彫刻がされていないのがMX8ですがSC3は彫刻があります、この上がSCOそしてSCOのサイドプレートモデルと続きます、最高級はエキストラモデルです。
基本設計はいずれのモデルも同じですが、スタンダードモデルのMX8の場合、たとえば銃を折ったとき一番折った時にハンマーがコッキングされるのではなく、その少し手前でハンマーがロックされます、つまり銃を目一杯まで折った時に力を抜くと、ほんのわずか折れが戻ります、この位置ですと初矢の弾を入れる弾のリムが機関部の上端に当たるときがあります。しかしSCO以上のグレードになると、銃を一番折った時にハンマーがコッキングされるように微調整がされています、この調整は極めてやっかいな作業ですし、後々部品がすり減るとハンマーがかからなくなります、そのためSCOの部品には硬質クロームメッキが施してあります。こうした調整がされているのも値段の高い理由です。

ブローニングの場合、グレードはA、B、C、D、とあります。
一番安いのがAグレード、一番高いのがDグレードです、A、B、C、のモデルとも最初の内はロッキングするときも硬く、いかにも新銃と言う感じですがDグレードになると中古銃の様に簡単に折り曲げる事が出来ます、これは決して使い込んだ訳ではなく徹底的に当たりと摺り合わせをやってあるため最初から作動部分が軽いのです、これだけ摺り合わせをやってあると、使い込んでも削れる所はあまりありません。勿論彫刻も最高級の物がされていますが。

ライフル銃で一番高い銃は水平のダブルライフルです、これが高いのは強力な圧力を水平二連の構造で持たす為のロッキング機構と、100メートル先で2本の銃身が3センチ以内に集弾するように調整するのが極めて煩雑だからです。
2本の銃身は鑞付けで付けられていますが、鑞付けしたときには平行だった銃身も、銃身が冷えると微妙に反ってしまうからその調整が極めて大変な作業なのです、このように銃が高いのにはそれどれちゃんとした理由があります、おおよそ材料が高いから銃の値段が高いと言うのはどう考えても理屈に合いません。

銃の素材として一番優れているのがクロームモリブデン鋼なのです。銃を作る上で一番大切な特性は、加工性と引っ張り強さです、銃が異常高圧になったとき、堅すぎて割れるような材料は危険すぎて使えません、ですから一番折れにくい、曲がりにくい材料を使うのです。ライフル銃を例に取ってお話ししますと、銃身、機関部、ボルトとある中で同じクロームモリブデンで作りながら、熱処理の過程で一番柔らかく作るのが銃身です、その次が機関部、ボルトは一番堅く熱処理します。これは異常高圧が発生したとき銃身が膨らんで危害を防ぐ為なのです。
ボルトのロッキングが折れると大惨事になることは皆さんも容易に想像がつくはずです。ですからいたずらに堅い材料を選択するのは大変な大間違いと言うことになります、勿論熱処理を間違って堅くしすぎることも大惨事になります。
ですから、私から言わすと、この銃は焼きが違うとか、材料が違うと言う理論は大間違いの理論と言うことになります。決してそのような話をありがたがってはいけません。
クロームモリブデン鋼は車のシャフトや、クレーンのフック、スパナ等の材料として使われています、クロームモリブデンより少し粘りも強さも強い材料としてクロームバナジュームがあります、40年くらい前に作られていたブローニングのハイパワーライフルの銃身はクロームバナジュームで作られていました。今まで作られた銃身の中では最強の銃身でしょう。しかし最強である分、加工性が悪いのです
私も一時期この銃を使った事がありますが、命中精度は決してよくありませんでした、はっきり言うと劣悪でした、ですから材料が堅いと言うことは銃として決して完成度が高いことでは有りません。
ベンチレスト射撃の世界では銃身はステンレスと言うのが常識ですが、これとて303や18-8ステンレスのような、流し台に使うような強靱なステンレスは絶対使いません、わざわざ隣や硫黄などの不純物を混入して堅さも粘りもクロームモリブデンと同じ物を使っているのです、その理由は加工性を良くして精密な加工をするためです、銃身にステンレスを使う唯一のメリットは、錆びないこと、ただそれだけです。ヨーロッパで作られるダブルライフルの多くは、その材料としてBuler(ボーラー)スチール使用と刻印されている事もあります、そんためこの材料は何か特殊な鋼材と勘違いしている人も居ますが、これもオーストリアのボーラー社で作られているクロームモリブデン鋼です。ボーラー鋼も昔は不純物の無い優れた鋼材でしたが現在の製鉄技術では国産でも遜色の無い鋼材が作られるようになったためボーラー鋼を使う意味は無くなりました。同じようにドイツではクルップスチール等、イギリスではビッカーススチールの名称もありますがこれもクロームモリブデン鋼です。 

銃床素材に付いて

2000年 1月 4日 築地

銃床に使われる材料はクルミ材です、クルミ材は多くの木材の中でもっとも粘りがあり、木質も緻密でなおかつ非常にきれいな木目をしています、日本にもクルミ材はありますが木の色は白く木目も綺麗ではありませんので使われるクルミ材料は100%輸入された物です。
クルミ材は大きく分けるとイングリッシュウオルナットとアメリカンウオルナットに大別する事が出来ます。
イングリッシュウオルナットと呼ばれる種類は木質が緻密で木目は繊細ですが育ちが遅い木材です、アメリカンウオルナットは木質が荒く木目も緻密ではありませんが育ちが早いのを特質とします、日本ではイングリッシュウオルナットの事をフランスクルミと言う名称で呼んでいますが、勿論フランスで産出されるわけではありません、だからと言ってイギリスで産出される訳でもありません、たぶん昔から最高級の散弾銃を作成してきたイングリッシュガンからその名称が由来してきた物だと思います。

これらイングリッシュウオルナットの最大の産地はトルコです。
恐らく何百年も昔はヨーロッパ中にこれらの材料はあったと思いますが先進国ほどその伐採が進んで最初に材料が枯渇したのだと思います、従って現在残っているのはトルコだけと言うことになります、クルミ材料は寒い地方で産出された物でないと育ちが良すぎて道管が荒くなります、熱帯地方の木代であるラワンなどと比較されるとおわかりいただけるでしょうか。
最良の銃床材となると樹齢は100年を越さないと良い銃床材料はとれません、最低ランクの銃床材なら30年程度で使えますが、最良の銃床材料となると樹齢は1000年を越します、1000年を越すような材料になると木材自体の重量が非常に大きくなるため、木の下端の部分には相当な何トンと言う相当な重圧がかかっています、そのため緻密な木質はさらに圧縮され木目はさらに繊細になります、若木の内は木の目は真っ直ぐに成長しますが、木の重量が増大するとその重さのために根本の部分は波状にうねるうねりながら上に伸びることになります。そのため銃床材料として切り出したときに、その表面が虎目として浮き上がることになります。虎目の銃床材は100年程度の樹齢の木で認められますが木質が特に緻密で木目が入り組んでいる物は数百年、あるいは1000年以上の樹齢がある材料から作られています、イングリッシュウオルナットの場合、薄い黄色い地肌に黒のグレインの入った物がありますが、こうした材料は数百万する銃の材料に使われます。
こうした最高級の銃床材料を使っているのは、ブローニングのDグレードの散弾銃、またはベレッタのSO6の最高級モデルだけです。こうした材料が最高級で虎目はありません、虎目があるのはこれらの銃よりワンランク下の銃に使われています、日本では虎目のある銃床は最高級との見方がありますが、決して最高級ではありません。
最高級の木目として根っこの部分だけにみられるバードアイと言われる部分の材料があります、ここの部分はほぼ根の部分で成形されており、木質はパイプの材料として使われるホワイトヒースと同じように小さな渦の集合でできています、その渦の一つ一つが鳥の目の様に見えるのでバードアイと呼ばれています、カエデなどの木でもバードアイはありますが、これはあまり高い材料ではありません。
ウオルナットのバードアイの方がはるかに高級品です。
オールトリアのフェラッハで作られるダブルライフルの材料は伝統的にバードアイの材料だけが使われています。残念ながら日本ではこれらの材料を使った銃を使っている人は今まで見たことはありません。

現在一般的な銃に使用される銃床材料の大半はアメリカンウオルナットです。
現在は作られる銃にはウオルナット以外の材料は全く使用されていません、昔の日本軍の38式にはクルミ材ではなく桜が使われました、ソ連の銃には白樺、フィンランドの銃にはカバの木が使われ、ドイツの98kはクルミの合板が使われました、美的な一面を無視するならこれらの材料も使えますが、クルミの持つ独特な色合いは、残念ながらいずれの材料では再現することは出来ません。
参考までに言いますと日本の火縄銃に使われているのは樫材です、関東の火縄には白樫、関西の国友、堺などの火縄には赤樫が使われています、樫も強いのですが以外と割れに弱い材料です。
話を戻しますが、銃床の色は塗装で色付けされている物だと思っている人もいますが、あの色はクルミ独特の色なのです決して染料を使っている訳ではありません。
きわめて安物の銃の場合、銃床に染料を塗って色をごまかしているメーカーもありますがこれらの銃床の場合、銃床を削ると色が変わります。
量産される銃に使われるアメリカンウオルナットの材料はあまり木目の入り組んだ材料は使われません、最大の理由は値段が高いことですが量産する場合は不都合が多いのです。
銃床はコピーマシンと呼ばれる機械で外形が作られます、アルミで出来た型を通りに回転している刃物が材料を削り上げていきます。この際木目が入り組んでいると逆目を削る事になるので銃床が割れることがあるのです、ですから木目は出来るだけ素直な物が量産向きなのです。
銃床は出来上がると塗装されます、使われる塗装はほとんどがウレタン塗装です。
塗装の場合、最初にレタンシーラーが塗られ、レタンサンジングシラーが重ねられ、最後にクリアーで仕上げられます。塗装の種類を変えるのは木材との定着性をよくするためです。
中にはつや消し仕上げで塗装される銃床もありますが多くの方がこれはオイル仕上げだと誤解される方が多いのですが、オイル仕上げまがいの銃床はレタンシーラーをしみこませてあり、いわば塗装を2~3ミリ奥の方まで浸透させて奥で硬化させてあるので表面にいくらオイルを塗っても何の効果もありません。
本当のオイル仕上げの銃床は表面にオイルを塗っておくと染みこみますので判断できます。
オイル仕上げの方法はひたすら時間との勝負です、使用するオイルはボイル油といって画材やさん等で売っていますので買い求めてください。ボイル油は黄色い沈殿物がある物が最良です、この沈殿物は松ヤニでして銃床のつや出しに効果があります。
オイル仕上げは単に油を塗るだけではだめです、蒲鉾板に1500番~2000番の耐水ペーパーを巻いて油をつけながら銃床を研ぎ上げるのです。
そうすると塗装仕上げでは得られない非常に美しい表面を作り上げることが出来ます、耐水ペーパーで研ぎ上げる理由は、研ぎ上げる行程で出る微細な木のパウダーを木の道管に塗り込むことが目的です、そうすると表面が非常に綺麗になります。
お試しください。

銃床の寸法について
よく質問される事なのですが、その銃床は日本人向けに作られたのですか? と聞かれる事があります、この質問が一番回答に窮するのですが、これは一部の業者が "当社で輸入する銃は日本人向けに特別に作ってある" というコマーシャルトークを流しているのが原因だと思うのですが、残念ながらどこのメーカーも日本人向けと言う銃は作っておりません。勿論輸入元は独自のスペックの銃床を特注で作らす事は可能です、しかし、日本人の寸法と言っても一体身長がいくつ、体重がいくつ、年齢がいくつの人を対象にしているのか、肝心な輸入元からその基準サイズは未だに公表されたことはありません、もしそういう基本サイズが存在するならば、逆にそれ以外のサイズの日本人は全部サイズが会わないと言うことになってしまいます。
ペラッチでも基本サイズは4種類あり、1種類の銃床を以して、これが日本人向けに作られた特別の銃床と言うのはあまりにも現状を無視した話です、同じ日本人でもいろいろなサイズがあると言うのが本当だと思いますがみなさんはいかがお考えでしょうか?
銃床サイズについてもう少し話を続けますが、日本のミロク製作所はブローニングの散弾銃を生産しており、ミロク製作所で制作する90%の散弾銃はブローニングのブランドで海外に輸出されております。
同じくSKBもウエザビーブランドの散弾銃を制作しており、これまた90%以上を海外に輸出しております。
そして両社とも10%以下の銃を国内で販売しております、両社の技術担当の人に一度聞いてもらうと簡単にわかると思いますが、"国内で販売される銃は日本人サイズになっているのでしょうかと?" 答えは同じ物を販売しておりますと言われるはずです。
しかしながらペラッチは日本人向けに作られていると、何のためらいも無く話している射手、銃砲店の人がミロクの銃は外国向けと同じサイズだと言うことには全く気づきません。しかしこれは当たりまえなのです。
それは元々日本人サイズの銃と言う物が存在しないからなのです。
銃床のサイズは国によって決まるのではなく、それぞれの体型によって異なるという基本的な事が解らないからなのでしょう。

銃床の寸法の決め方ですが、一番確実なのは実際に銃を構えてもらって目視で判断するのが最良ですが、お客さんが自分自身で最良の寸法を判断するのはかなり難しいと思います。
特にビギナーの場合は判断に迷うところです、ではベテランに聞けばどうかと言いますと結構いい加減なベテランが多いのでこれまた下手にアドヴァイスをもらえないと思います。
一般的に言われていることに手の長さとプルの寸法をあわせると言う事がありますが、実際にはこの寸法から1~2センチ長い寸法が良いのではないかと思います。
それと絶対やってはいけない事ですが、銃砲店で的を撃たずに構えだけで "使いやすい" 寸法にしないことです、これだけはよく覚えてください、使いやすい銃がよく当たる銃ではありません、むしろ少し長めでちょっと長いなと感じる程度の銃が一番よく当たるはずです、使いやすい銃は銃身が走りやすい、流れやすい銃になり決して当たり易い銃になるわけではありません、ライフル銃の場合は使いやすい銃は引き金を引く瞬間に銃口が動いてしまう可能性が高いのです。
銃砲店で銃床の長さを合わせて"これならイケル"と喜んで射撃場に行って思いの外当たらないと言うのはほとんどそれが原因です。
勿論短すぎる銃床はかなり悲惨な結果を生むはずです。 

実は私は20年前、アメリカでガンスミスをしているとき、多くの特別注文の銃床を作る仕事もしていたので、普通の人よりはいくらか銃床には詳しいと思います。 

ライフルスコープに付いての基礎知識

1999年12月25日 築地
改訂 1999年12月29日 築地

ライフルスコープの性能に付いて明確に解析した書物はありません、またそれぞれのメーカーが当社こそ一番と言う宣伝をしていますので一般ユーザーは何を基準に選択して良いか迷います、ここではライフルスコープの選択方法、適した使い方、メーカーによる性能の違いに付いて説明します。

ライフルスコープは1万円程度のスコープから十数万するスコープまで色々あります、しかしいずれのスコープも単に覗いただけではその性能に見分けが付きません、ではどういう事が値段の違いに影響しているか説明してみます。


レンズの特性

まずスコープが高いか安いかの一番大きな違いはレンズの性能にあります、レンズの材質これが明るさを決めます、またレンズの設計も重要なポイントです、高いスコープは材質にカメラ用のレンズを使っています、安いスコープは通常のガラスだと言うことです。

次に大切なことは、コントラストの問題です、獲物を暗がりで見たときにハイコントラストのスコープほど獲物を明確に見分けられます、このコントラストを最大限に発揮させるのがレンズのコーテングです、高いスコープはこのコーテングに手間暇をかけています、安いスコープはコーテングしてない物があります。

対衝撃性

通常の光学器械と違い、ライフルスコープは強烈な反動を発生させる銃器に取り付けられています、そのため対衝撃性はきわめて大切な性能です。
ライフルスコープはスコープ本体のチューブの中に、照準を調整するためのチューブが内部に組み込まれています、その内径のチューブの中心にクロスヘアーがセットされています、通常はこのチューブを通して目標を狙うことになります。従って照準調整をしてもクロスヘアーは常にレンズの中心にあるのです。照準調整をする場合この内側のチューブだけを上下左右に移動させて照準調整をしているのです。照準調整をするネジは上下の場合上、左右の場合は右に付いています、その反対側にバネが入っています。
安物のスコープの場合、このバネが完全に収縮しないことがあります、また経年変化でバネが弱くなったり、錆びたりすると、戻りが悪くなります。
射撃の衝撃がある度に内部のチューブは動きます、そしてバネの力で戻るのですが安いスコープではこの戻りが悪くなることがあります、この場合、弾着がある瞬間からとんでも無いところに着弾するようになります、またそのうちに規定の所に戻ったりします。これはスコープを覗いただけでは決して解りません。

レンズ口径

最近はレンズの口径が50ミリを越える物がたくさん作られるようになりました、これによりより明るい物が作られるようになりました、レンズが明るくなることは良いことなのですがレンズの口径が大きい分マウントリングの高さは高い物を使わざるを得なくなります、そうすると頬付けが甘くなり大変使いにくい銃になってしまいます。
もしお使いになるならレンズの口径は40ミリ前後を選択される方が良いと思います。

鏡体

ライフルスコープのボデーは1インチの物と30ミリの物があります、値段的には30ミリの方が割高になっています、これは1インチの製造数が圧倒的に多いからで、スコープそのものの性能に違いはありません。
では何故30ミリの物が存在するかと言いますと、基本的にヨーロッパのスコープはこの30ミリを基本に作られています、30ミリのメリットは外径が大きい分内径も大きくなります、そうすると中のチューブの移動量も必然的に多くなります。
ライフル銃で500メートルで射撃する場合は照準調整が出来ますが、700メートルくらいになりますとレチクルがそれ以上調整できなくなります。
しかし30ミリチューヴの場合、内径に余裕が有りますので800メートルくらいまで照準調整ができます、それが30ミリチューブのメリットです。
もう一つのメリットは1インチスコープの場合ボデーの厚みは1ミリ程度ですが、30ミリチューブの場合厚みが2ミリあります、その分丈夫だと言うことが言えます。
軍用のスコープがことごとく30ミリなのはそのせいです。
レンズの明るさで言うと以下のスコープが優れています、
ツイアス、シュワロフスキー、カールス、シュミット&ベンダー、ボッシュロム

視差について

ライフルスコープは倍率を変化させるとその構造上狙点がわずかに変化します、これはライフルスコープを完全固定して、スコープを覗いたままズームを動かすとレリクルと目標がごくわずかずれることを確認できるはずです、これが視差です、多くの方が一旦照準調整をすると何倍で使っても照準位置は同じだと考えていますが、実は微妙に違うのです。
視差の程度を確認するにはスコープを固定して接眼レンズの上側、下側、右側、左側とずらして見るとスコイープに何も手を触れていないのにリチクルが上下左右に動くことが解るはずです、だいたい100メートルで2センチくらいは動きます。これも視差です。
色々なスコープを試した結果、視差が一番少ないのはリューポルドです。

修理について

ツイアス、シュワロフスキー、カールス、シュミット&ベンダー、ボッシュロム、リューポルドの中で、一番故障の少ないのはリューポルドです。
私の人生の中で相当数のスコープを売りましたが一番修理件数の少ないのはリューポルドでした、ツアイスは売れているせいか年間に数件数理以来があります、ツアイスの修理代は無料ですが当然にして往復の運賃は自己負担です。
日本製のスコープではボッシュロム、ニコン、タスコ等があります、ボッシュロムの修理体制は完璧ですがニコンは修理すら受け付けてくれません、なぜなら日本ではなくシンガポールかどこかで作っているのでニコン製と言うのは名前だけです。タスコの修理体制も整っています。 

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